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内外情勢の回顧と展望(平成17年1月)

第1  平成16年の公安情勢の概況

1  国際情勢

 2004年(平成16年)の国際情勢の最大の焦点となった国際テロに関しては,国連においても,その防止のための様々な国際的な努力を続けてきたが,特に,2001年(13年)9月の米国同時多発テロ事件以降,国際テロは国際社会全体にとっての最大の脅威となっており,国際社会は,国連安保理決議1373号等に基づき,対テロ国際包囲網を強化し,テロの根絶を図っているのであり,我が国も,テロ防止に協力・貢献すべき責務を負っているところである。しかしながら,「アルカイダ」等の国際テロ組織によるテロ攻撃は,世界各地に及んでおり,また,その手法もいわゆるソフトターゲットをも広く対象にした無差別大量殺人など凶悪なものとなっているのであり,テロの背景・要因には根深いものがあることもあって,国際社会は,テロとの長い闘いの時代に入っているといわなければならない。
 我が国周辺の情勢についてみると,北朝鮮は,6者協議の枠組みは維持しつつ,核兵器計画の放棄について種々の条件を付すなど,あいまいな態度をとり続け,実質協議を引き延ばす一方で,我が国に対しては,拉致問題の早期幕引きを図りつつ,国交正常化と多額の経済援助の獲得を志向し,韓国に対しては,一層の民族協調への働き掛けを強めている。また,2002年(14年)7月の「経済改革」措置以降,北朝鮮国内では,インフレが進み,社会統制の弛緩が拡大するなど,体制不安定化の兆しともみえる事象が増大している。
 中国では,江沢民が党中央軍事委員会主席を辞任後,後任に胡錦濤総書記が就任し,国家,党,軍のトップとなった。胡総書記は,政権内部を固め,積極的な内政・外交を推進しているが,対日関係では,その改善を目指し,政党間交流や民間交流を活発化させつつも,小泉首相の「靖国参拝」に反発し,首脳相互訪問には応じない姿勢を維持している。また,我が国周辺における海洋権益の拡大を目指す動きもみせており,さらに,台湾の独立路線への傾斜に反発と警戒を強めている。
 ロシアでは,再選を果たしたプーチン大統領が,国内でのテロ事件の続発を契機に国家統制強化の動きを一層強める中,我が国に対しては,対日関係を重視する考えを明らかにしつつも,北方領土問題では慎重姿勢を崩さなかった。
 イラクでは,主権委譲後も,米軍や暫定政権に対する武装勢力や外国人テロ組織等による攻撃が頻発しており,邦人を含む外国人に対する拉致・殺害等の事件も多発している。
 一方,「アルカイダ」関連組織は,引き続き,中東のみならず欧州等においても大規模テロを頻発させているが,東南アジアでは,「アルカイダ」と関係を有する「ジェマー・イスラミア」(JI)によるとみられる爆弾テロが発生するなど,テロの脅威は深刻化している。
 こうした中,我が国国内でも「アルカイダ」関係者の潜入事例が判明し,さらに,「アルカイダ」指導者オサマ・ビン・ラディンを始めとする「アルカイダ」関係者が我が国をテロの標的として名指しする声明を繰り返し発するなど,国内外での我が国権益及び邦人に対するテロの脅威が高まっている。

2  国内情勢

 オウム真理教は,正悟師による集団指導体制下で「麻原回帰」の傾向を強め,2月に東京地方裁判所において麻原彰晃こと松本智津夫に死刑判決が言い渡されて以降は,信徒の動揺を抑えるため,「麻原回帰」をより一層鮮明化させた。また,教団が,引き続き,ヨーガ教室を装うなど教団名を秘匿した信徒の勧誘活動や,拠点の確保,資金獲得などの活動を続ける一方,修行により在家信徒や分派グループ信徒が死亡するなど,麻原の教えに基づく危険な修行を継続している事実も明らかとなった。
 共産党,過激派及び右翼などの諸団体は,自衛隊のイラク派遣や人質事件を契機に活発な活動を展開した。
 さらに,共産党及び過激派は,沖縄などで反米軍基地運動に力を注ぐほか,憲法及び教育基本法改正問題,年金制度改革問題などをめぐり,反対運動の盛り上げを図った。また,共産党は,1月に綱領を大幅改定して,新しい共産党をアピールし,その党内学習と党外宣伝を本格的に推進した。
 一方,右翼諸団体は,北朝鮮問題をめぐって抗議・要請活動などを活発化させたほか,日中関係をめぐっても,在日中国公館への抗議活動などを展開した。その中で,右翼関係者が,衆議院通用門前での車両炎上事件や大手ゼネコン本社でのけん銃発砲事件,あるいは,在大阪中国総領事館への街頭宣伝車突入事件などの暴力事犯をじゃっ起した。

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