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内外情勢の回顧と展望(平成20年1月)

第4 特集

北海道洞爺湖サミットの開催に向けて


(1) 国際テロ,反グローバル化勢力などによる不法事案発生が懸念

―国際テロ組織の標的となる可能性も否定できず―
―国内外諸団体は,サミット反対行動の実施に向け,活動を活発化―


 2008年(平成20年)7月7日から9日までの間,北海道洞爺湖町において主要国首脳会合(北海道洞爺湖サミット)が開催される。また,これに伴う関係閣僚会合などが,3月以降,東京,大阪など8都市で開催される。


〈近年のサミットでは,テロや暴動が発生〉

 近年のサミットでは,2001年(平成13年)7月のジェノバ・サミット(イタリア)において大規模な暴動が発生し,サミットにおける初めての死者(1人)が出たことや,同年9月に米国同時多発テロ事件が発生したことなどを受け,2002年(平成14年)のカナナスキス・サミット(カナダ)以降,主催国は,警備面を重視して地方都市を開催地に選ぶ傾向にあった。しかし,こうした中,2005年(平成17年)のグレンイーグルズ・サミット(英国)において,イスラム過激派による同時多発テロが開催地から離れた首都ロンドンで発生し,市民52人が死亡,約700人が負傷する事態となった。また,6月に開催されたハイリゲンダム・サミット(ドイツ)においても,サミット会場周辺や付近の都市などにおいて反グローバル化勢力が大規模なデモなどを行い,そのうち,「ブラック・ブロック」と呼ばれる過激な活動家など約2,000人が火炎びんを使用するなどして暴徒化し,多数の逮捕者・負傷者を出した。


〈我が国開催のサミットでは,過激派によるテロ・ゲリラ事件が多発〉

 過去4回の我が国のサミットにおいて,過激派は,サミットを「国際帝国主義の戦争会議」などととらえ,サミット会場周辺で集会・デモを実施したほか,計50件のテロ・ゲリラ事件をじゃっ起している。過激派による主なテロ・ゲリラ事件としては,1986年(昭和61年)の東京サミットにおいて,中核派が迎賓館に向けて金属弾を発射した事件や,2000年(平成12年)の九州・沖縄サミットにおいて,革労協解放派・反主流派が米軍横田基地に向けて金属弾を発射した事件などが挙げられる。


我が国におけるサミット関連のテロ・ゲリラ事件数


〈国際テロ組織,反グローバル化勢力,過激派,右翼などの動向に要注意〉

 北海道洞爺湖サミットをめぐっては,(1)国際テロ組織,(2)反グローバル化を主張する一部の過激主義勢力,(3)国内の過激派,などによる脅威が存在する。このうち,国際テロについては,我が国が,米国の主要な同盟国として,「アルカイダ」やその関連組織からテロの対象に再三名指しされている上,我が国にはイスラム過激派がテロの対象としてきた米国関連施設などが多数存在し,テロリストの隠れ蓑に利用されるおそれのある外国人コミュニティが多数形成されている現状にかんがみると,国際テロ組織などが,首脳会合及び関連閣僚会合開催時に我が国をテロの標的とする可能性も否定できない。
 加えて,近年,反グローバル化勢力による活動が活発化の傾向にある中,国内の反グローバル化運動団体は,北海道洞爺湖サミット反対行動の実施に向け,国内外の諸団体との連携強化に力を注いでおり,今後,インターネットなどを通じ,広範な団体・個人に対して反対行動への参加を積極的に呼び掛けていくものとみられる。さらに,この呼び掛けに賛同する海外の過激な反グローバル化運動団体活動家が入国し,一部過激な活動家が暴徒化するおそれもある。
 また,国内の過激派,とりわけ武装闘争を活動の基軸に据えている革労協解放派・反主流派によるテロ・ゲリラ事件の発生も懸念される。
 一方,右翼団体は,サミット開催を「拉致問題や北方領土問題の存在を世界にアピールできる好機」ととらえ,開催期間中,在日公館のある主要都市などで活発な街宣活動を実施するものとみられる。


(2) サミットの開催に向けて取組を強化する公安調査庁

―テロなど不法事案の未然防止に主眼を置いた調査を推進―


〈特別調査本部を設置し,関連情報の収集・分析に注力〉

 政府が首脳会合などの開催地を発表したことを受け,公安調査庁は,4月24日,サミットの安全な開催に寄与するため,「G8サミット関連特別調査本部」を設置した。
 同本部の下,公安調査庁は,サミットの安全な開催に向けて内外関係機関との連携を緊密化するなどして,関連動向に関する情報を迅速・的確に収集・分析し,適時に関係機関へ提供するなど,テロを始めとする不法事案の未然防止に努めている。


コラム

〈これまでテロの標的となった欧米諸国の施設など〉


公共交通機関

2004年 3月 スペイン:マドリード列車同時爆弾テロ
2005年 7月 英国:ロンドン地下鉄・バス同時爆弾テロ
2006年 8月 英国:航空機同時爆弾テロ(未遂)
2007年 6月 英国:グラスゴー国際空港爆弾テロ

宿泊・娯楽施設

2002年10月 インドネシア:バリ島ディスコ爆弾テロ
2002年11月 ケニア:モンバサ郊外イスラエル資本ホテル爆弾テロ
2003年 8月 インドネシア:ジャカルタ米国系ホテル爆弾テロ
2005年10月 インドネシア:バリ島レストラン同時爆弾テロ

大使館など

1998年 8月 ケニア・タンザニア:両米国大使館同時爆弾テロ
2003年11月 トルコ:英国総領事館・英国系銀行爆弾テロ
2004年 9月 インドネシア:オーストラリア大使館爆弾テロ
2006年 3月 パキスタン:米国総領事館爆弾テロ
2007年 9月 ドイツ:米軍基地爆弾テロ(未遂)


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