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公安調査局長・公安調査事務所長会議における公安調査庁長官訓示

2012年5月22日 更新
公安調査庁


尾﨑公安調査庁長官訓示
 

 我が国を取り巻く国際情勢には,警戒・注目を要する事象が少なからず存在しております。

 まず,北朝鮮は,4月の金日成生誕100周年を機に,党規約及び憲法を改正し,金正恩自身が党・政府の最高ポストに就任するとともに,幹部の人事異動を実施するなど,名実共に,三代世襲による金正恩体制を発足させました。そして,米朝合意や国際社会の非難にもかかわらず,ミサイル発射を敢行してこれに失敗し,今後も,金正恩の実績作りや核武装の示威を目的として,核実験や武力挑発に及ぶ懸念が払拭できないところであります。
 
 また,中国は,共青団派,太子党等の確執,各種の大衆運動の頻発,一党独裁に反対する人権活動家等の活発な動き等,不安定要因を多くかかえる中で,今秋の第18回党大会を控え,政治・社会の安定に腐心しております。さらに,対外的には,軍備の現代化を急速に進めつつ,南シナ海の島しょ領有をめぐって強硬な姿勢を示しており,我が国に対しても,無名島しょ命名や「尖閣購入発言」などに対し,これを非難するとともに,尖閣諸島を囲む我が国領海及びその付近海域への公船派遣を繰り返しております。

 さらに,ロシアについては,4年振りに大統領に帰り咲いたプーチン大統領が,アジア・太平洋重視の姿勢を顕著に示し,北方領土問題に関しても,就任前から言及しており,対中政策を含めて,その真意に関心が持たれるところであります。

 国際テロに関しては,「アルカイダ」が「ジハード」継続を表明し,その関連組織が各地でテロを引き続き実行しており,欧米では,これら組織の過激思想の影響を受けた「ホームグロウン・テロリスト」によるテロ関連事案も相次いでいます。さらに,最近では,在アフガニスタン日本大使館がタリバンとみられる武装勢力から砲撃を受ける事案が発生するに至っております。

 一方,国内情勢に目を転じますと,オウム真理教に関しては,主流派が,麻原への絶対的帰依を強調する“麻原回帰”路線を推進し,組織の防衛及び拡大のための活動を活発化させております。また,上祐派は,「脱麻原」を社会にアピールし,観察処分を免れるための“麻原隠し”を継続しております。
 
 このほか,過激派等の諸団体は,原発問題への国民の関心の高まりなどを捉えて,活動を活発化させております。

 こうした現下の情勢に鑑み,当面,留意願いたい事項を申し述べます。
 
 第一は,北朝鮮・朝鮮総聯関連の情報収集の強化についてであります。

 朝鮮半島の動向は,我が国の平和と安全に多大な影響を及ぼし得る重大な問題であり,安全保障上,その動向を常時把握しておくことは極めて重要なことであります。現在は,金正恩の人物像や新政権の構造・基盤が必ずしも明らかではなく,その指導力や意思決定方法,核拡散を含む兵器開発・輸出の実態などについて,鋭意注視していく必要があります。各局・事務所においては,北朝鮮の動向を迅速かつ的確に把握し,情報貢献に資する情報を入手されるよう努めていただきたいのであります。併せて,日本人拉致問題の解決に資する情報の把握や,金正恩体制下においても北朝鮮への従属姿勢を堅持する朝鮮総聯の組織と活動,我が国各界への働き掛けなどの実態についても,その解明に鋭意取り組んでいただきたいのであります。

 第二は,国際テロ関連調査の一層の推進についてであります。当庁には,情報コミュニティの一員として,我が国内におけるテロの未然防止に向け,万全を期することが求められております。テロの未然防止のためには,国際テロとの関わりが疑われる者の発見及び不穏動向の早期把握が不可欠であり,各局・事務所においては,これを着実に推進し,関連情報の収集に努めていただきたいのであります。

 第三は,オウム真理教に対する観察処分の適正かつ厳格な実施についてであります。
 本年1月,公安審査委員会は,当庁の請求を認め,観察処分の期間更新を決定しました。この決定において示されたとおり,主流派,上祐派共に,麻原の影響力の下にあり,依然として危険性を保持しております。また,両派信徒の中には,麻原の死刑執行に対する危機感や不安感を吐露する者が認められるなど,今後,信徒の中に不穏な動きが生じる危険性も懸念される状況にあります。当庁としては,引き続き観察処分を適正かつ厳格に実施し,公共の安全の確保と国民の恐怖感・不安感の払拭・緩和に努めなければなりません。各局・事務所においては,本庁との緊密な連携の下,観察処分の次回更新請求や再発防止処分の請求をも視野に入れ,調査に全力を挙げて取り組んでいただきたいのであります。

 第四は,国内の過激派など諸団体の動向の迅速かつ的確な把握についてであります。
東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故から1年余りが経過しましたが,過激派等の諸団体は,原発問題に対して国民の関心が高まる中で,政府の復興・復旧対策や原子力政策への批判・抗議活動を展開するとともに,消費税増税やTPP参加といった政府の重要施策に対する抗議活動を強め,これらを通じて,自派勢力の拡大を図っております。各局・事務所においては,このような勢力拡大の動き等これら諸団体の動向を迅速かつ的確に把握していただきたいのであります。

 以上,当面の諸課題について申し述べましたが,我が国情報コミュニティの一員であり,また,団体規制機関である当庁がその責務を十全に遂行するためには,各調査官の能力向上と目的を明確に意識した効率的組織運営等により,組織全体の力を一層向上させ,政府のニーズを鋭く意識した的確な情報収集及び分析に努め,迅速に情報を提供していくことが肝要であります。調査活動を行う現場の最高責任者である皆様には,改めてこの点を深く認識した上で,部下職員の指導監督にこれまでにも増して力を注いでいただきたいのであります。また,調査活動の前提として,情報の保全が不可欠であることは自明のことながら,その重要性に鑑み,部下職員に改めてこれを徹底し,情報保全に対する意識を更に高めていただきたいのであります。

 また,職員の一人一人がその能力を十全に発揮するためには,明るく活力にあふれた職場環境を作り出す必要があります。皆様におかれては,率先垂範を旨として,従前にも増して風通しのよい職場作りに意を用いられ,幹部を含む全職員が一丸となって力強く諸課題に立ち向かう気風を醸成していただきたいと思います。

 終わりに,皆様の平素の御労苦に心から敬意と謝意を表し,私の訓示といたします。

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