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最近の動向

2017年5月12日 更新

1 主流派は,麻原の生誕を祝う「生誕祭」を開催したり,年3回開催している集中セミナーでは,麻原が「グルと共に転生するためには,タントラ・ヴァジラヤーナ(殺人を暗示的に勧める危険な教義)の実践が必要である」旨説法する映像を視聴しながら同様の内容を唱和する修行などを,休憩・睡眠時間を与えない状態で数日間取り組ませるなど,麻原への絶対的帰依を徹底する指導を依然として行っている。また,小学生や未就学児童に対しては,麻原の説く教義に結びつけた「真理かるた」や「真理すごろく」などの教材を使用して教義の定着を図っている。
 さらに,同派はこれまで同様,勧誘活動について,麻原の説く「衆生救済」を実現するための重要な活動と位置付け,各教団施設(支部)で組織的に取り組んでいる。具体的には,青年層や学生を主な対象に,繁華街の路上や書店で声を掛けたり,占いや花見など宗教色を感じさせない各種イベントを開催したりするなどして,一般人と接点を持ち,ヨーガや精神世界などに興味や関心を示した者などを,教団名を秘匿したヨーガ教室などに誘導している。その後,指導する役割の信徒が,勧誘対象者との人間関係を構築しながら,麻原の名前を出さずに麻原の教えの内容を解説したり,地下鉄サリン事件などは教団以外の者による陰謀であると説明したりして,教団に対する抵抗が見られなくなった段階に至ってから教団名を明かす,という巧妙な手法で勧誘活動を行っている。(参考:主流派の勧誘活動の流れ
 同派においては,2013年(平成25年)秋以降,麻原二男の“教団復帰”に向けた動きが認められるところ,2015年(平成27年)5月中旬から6月末にかけて,幹部信徒・二ノ宮耕一が全国の支部道場を巡回し,在家信徒に対して,「血筋から法則を残すことが重要」などと,二男が麻原の後継者であることの正統性を強調する指導を行うなど,同人復帰に向けた機運の醸成に努めている。
 また同派は,新たな拠点施設として,2016年(平成28年)1月に甲賀信楽施設(滋賀県甲賀市),同年5月に札幌白石施設を確保した。このうち,札幌白石施設は,多数の在家信徒を指導するための道場として使用され,その内部には,かねて麻原が勧誘活動や布教活動にまい進することを信徒に督励した際に用いていた「狂気の救済者となれ」との言葉が掲げられるなどしていることが認められた。

2 上祐派は,ホームページに松本・地下鉄両サリン事件の総括文書等を掲載したり,「『ひかりの輪』基本理念」に麻原の教義を信じることが誤りである旨加筆したりして,「麻原との決別」や「主流派との違い」を主張するなど,対外的に「脱麻原」をアピールする活動を継続している。その一方で,在家信徒に対して上祐が「麻原に犯罪の責任が全てあるとは,どう考えても思えない」などと説法したり,全国いずれの施設においても麻原の化身であると説かれた仏画を掲示し続けたりするなど,同派が今なお麻原の影響下にある実態が確認されている。
 また,同派は,観察処分の5回目の期間更新請求において,「『ひかりの輪』基本理念」が信徒に周知されておらず綱領とは認められないと指摘されたことを受け, 同基本理念に関する「お知らせ」の受領書を提出させることで基本理念を信徒に周知させた外形を整え ようとしているほか,公安調査官との関係があった場合には除名などの処分の可能性があることを明示して公安調査官との接触を強くけん制するなど,組織防衛の強化に取り組んでいる。

3  日本国外の関連動向としては,2016年(平成28年)3月,モンテネグロ治安当局が,同国内に滞在していた主流派のロシア人信徒ら58人を「国際組織犯罪」に関与した疑いで一時拘束する事案が発生した。同信徒らは,教団のセミナー開催を目的として同国に入国・滞在していたものとみられ,拘束された信徒らの中には我が国から渡航した日本人信徒4人も含まれていた。当局による取調べの中で,信徒らが「国際組織犯罪」に関与したという事実は確認されなかったが,全員が同国の外国人法に基づき国外退去処分とされた。
 さらに同年4月には,ロシア治安当局が,ロシア連邦刑法第239条第1項(市民に対する暴力及び市民の健康に対するその他の損害を伴う活動を行う団体の設立)に基づいて提起された刑事事件の捜査の一環として,モスクワ及びサンクトペテルブルクにおいて,「オウム真理教」の指導者の居住先や宗教儀式の実施場所などの関係先20数か所を捜索した。捜索では儀式の際に使用される物品やコンピュータなどが押収されたほか,モンテネグロ治安当局に拘束されて国外退去処分を受けたロシア人信徒らに対する尋問が行われた。
 その後,同年9月,ロシア連邦最高裁判所は,ロシア連邦法「テロリズムへの対抗について」第24条に基づく同国最高検察庁の請求を受け,「国際宗教団体『オウム真理教』(Aum Shinrikyo, AUM, Aleph)」をテロ組織として認定,ロシア国内における活動を禁止する決定を下した 。同決定により,「オウム真理教」は,アルカイダやISIL(イラク・レバントのイスラム国)などが含まれる「テロ組織リスト」に登載され,教団活動への参加や資金提供,勧誘などの行為が刑事罰の対象となった。

4 公安調査庁においては,観察処分に基づき,2000年(平成12年)2月から2016年(平成28年)12月末までの間,19都道府県下延べ662か所(実数133か所)の教団施設に立入検査を実施したほか,教団から計68回(3か月ごと)にわたり,組織の現状に関する報告書の提出を受けた。

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