法制審議会電子債権法部会 第9回会議 議事録 第1 日 時  平成18年9月12日(火)   自 午後1時00分                         至 午後6時25分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題  電子債権制度の整備について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ● それでは,時間になりましたので,法制審議会電子債権法部会の第9回会議を開催いたします。           (委員,幹事の異動紹介省略)  それでは,事務当局に配布資料の説明をしていただきます。 ● 本日の配布資料は,資料番号11の「電子登録債権に関する中間試案意見照会結果」という席上に配布させていただいているもの1点でございます。また,私どもは,8月1日から,前回の部会の御審議でおとりまとめいただいた中間試案のパブリックコメントの手続を行ったわけでございまして,その際に委員,幹事の皆様にも「中間試案」と「補足説明」をお送りさせていただいていると思います。それも資料として使わせていただきますのでよろしくお願いいたします。 ● それでは,本日の審議に入りたいと存じます。  本日は,部会資料11の「電子登録債権法制に関する中間試案意見照会結果」に基づきまして,電子登録債権法制に関する中間試案についての意見照会に対して,関係各界から寄せられた意見の状況を事務当局に報告していただき,意見照会結果をも踏まえて各論点についての取りまとめの方向性について議論をしたいと存じます。  本日は,要綱(案)の作成を進める前提としての重要論点についての取りまとめの方向性を御議論いただくというわけであります。中間試案に至るまでの審議状況から考えますと,終了予定時刻を超えて御議論をいただくことになるおそれもないとは言えないと思いますが,次回以降の審議を進める上で,論点全般について,委員,幹事の皆様の御感触を一通り承っておく必要があると思いますので,どうぞよろしくお願い申し上げます。  いつものように,審議の途中で区切りの良いところで休憩を取りたいと思います。また,審議がかなり長引きそうな場合には,もう一度休憩を取りたいと思いますが,できれば二度目の休憩を取ることなく審議を終えたいと思いますので,効率的な審議に御協力をお願い申し上げます。  それでは,部会資料11の「電子登録債権法制に関する中間試案意見照会結果」に基づき,中間試案に対して寄せられた意見の概要を,中間試案で複数案を掲げた事項など,意見が分かれた点に重点を置いて,寄せられた意見の全体像を事務当局に説明していただきたいと思いますが,資料が大部ですので,まず,最初の部分から第2の電子登録債権の発生の部分までについて説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ● それでは,御説明させていただきます。  この部会資料11の最初に略称一覧を書いておりますように,中間試案の意見照会に対しましては,44の団体と個人から御意見を頂戴したわけでございます。意見照会の期間がちょうど夏休み期間中だったので,一部からは,この夏休み期間中のわずか一カ月で意見を寄せろというのはひどい話だということが冒頭に書いてある意見書も実はあったのでございますけれども,そうであるにもかかわらずこれだけの数の団体,個人から御意見をいただけたということは非常にありがたいと思っております。ここにお越しの委員,幹事の皆様の中にもこの意見照会への回答に深く関与された方々が多々いらっしゃると思います。この場をお借りしてまず御礼を申し上げたいと思います。  それでは,早速,この意見照会結果の本文の下の方にページが書いておりますけれども,本文の方の1ページから,第2の「電子登録債権の発生」の部分につきまして,意見照会の結果の要点をできるだけかいつまんで申し上げたいと思います。  まず,この意見照会結果の整理の仕方なのでございますが,ここに「賛成」とか「反対」,「その他」と意見分類をさせていただいておりますけれども,ここで「賛成」とか「反対」と言うときは,具体的に「賛成」とか「反対」という言葉が書かれているものだけを「賛成」,「反対」と書かせていただいております。「異論がない」と書いてあるものには「異論がない」という別の表現にしてございます。これは,勝手に「賛成」の方に分類したとか「反対」の方に分類したとかといって後で怒られるのが嫌だということで,「賛成」と書いていないものは「賛成」の中には入れていないということでございます。ですから,補足的な「理由」とか「批判」のようなところに挙がっているのに本体の方の「反対」には挙がっていないとかというのは「その他」に入れてございます。それともう一つ,幾つかの団体からは「基本的に賛成」という御意見を初めに書いていただいたものがあったわけでございますけれども,「基本的」はどこなのかというのはこれまたわからないものですから,そういう御意見については「賛成」というところには挙げていないということでございます。これに対して,「ここで意見を述べるもの以外は賛成」という御意見もございましたが,このような御意見については,何も述べられていないものは「賛成」ということで分類をさせていただいているということでございます。  ですから,「賛成」というのは,「賛成」と書いてあるもの以外にも,黙示的には恐らく「賛成」なのだろうと思われるものがいくつもあったということをまず申し上げておきたいと思います。それから,当然のことながら,関心のある項目についてだけ個別に意見を述べておられる団体もございまして,それ以外の部分については少なくとも「異論はない」という御趣旨なのかなと思いますけれども,そこも「異論がない」と具体的に書いていただいていませんものですから,名前を挙げることは差し控えさせていただいたということでございます。  それがまず全般的な整理の仕方についての御説明でございますが,中身に入らせていただきます。  まず,電子登録債権制度の創設についての総論的な御意見ですけれども,意見を寄せられたところは非常に少なかったのですけれども,全般的に賛成だという意見が幾つかございました。他方,創設に懐疑的な意見があったということが書かれている団体もございます。  引き続いて,第1の「総則」に入らせていただきますけれども,まず1の「電子登録債権の概念」につきましては,ここに挙がっていますように,ほとんど反対もなく,大方の理解は得られているという感じでございます。  1枚めくっていただきまして,2の「電子登録債権に係る意思表示」の「(1) 電子登録債権の発生・譲渡等の要件等としての意思表示」でございますが,ここでは部会での御議論も分かれましたので,A-1案からB-2案までを掲げて意見照会をしたわけでございますが,関係各界の御意見もこの部会での御議論と同じように,A-1案からB-2案までに分かれたということでございます。これは非常におもしろいことなのですけれども,法曹界でも,例えばA弁護士会はA-1案に賛成で,B及びC弁護士会はA-2案に賛成で,D弁護士会はB-1案に賛成というように,同じ弁護士会でも意見が分かれている。それから,管理機関になられる側でも同じように,B案を支持される団体もあれば,A案を支持される団体もあるというような状況でございます。それから,団体の中でも,B-2案がいいという意見とA-1案がいいという意見に分かれたというような団体もあったということでございます。  全般としてはそういう状況で意見が区々に分かれているということでございますが,もう一つ全般的な傾向を申しますと,A-2案とB-2案につきましてはそれなりの支持,特にB-2案については支持が相当数あったのですけれども,他方で,非常に強い反対といいますか批判もA-2案とB-2案に集中しているということが言えるかと思います。  寄せられた理由あるいは批判は部会で御議論いただいたものが大半でございますけれども,幾つか今後御議論をいただく上で,参考になるのかなといいますか,補足説明に書いていなかったような問題点などを指摘しているものがございます。  まず1つが,3ページ目の最後の行から4ページ目にかけて書いてある御意見でございまして,これはA-1案を支持するのですけれども,契約を要件とする以上は,管理機関は,その成否を何らかの方法で確認すべきであるというものです。つまり,これはどういうことを意味するかというと,A-1案のただし書で,「管理機関は,当事者の双方が登録の申請をしたことを確認すれば足りる」というここの部分がそれでは不十分なのではないかということを言っているのだろうと思います。  それから,4ページに入っての「A-1案への批判」というところの2つ目,「A-2案支持」の手前ですけれども,管理機関による確認だけでは要件として軽きに過ぎるという御意見も,似たような問題意識なのではなかろうかと思います。  考えてみますと,例えば対抗要件に過ぎない不動産登記ですら,昔で言うと登記原因証書,新法で言うと登記原因情報の提供が要求されて,実体がちゃんとあるのかどうかのチェックを登記する側が確認するということになっているのですけれども,それと比べてこのA-1案では双方の申請があったことだけを確認すればいいということで,それで本当にいいのかという問題点の指摘がされているのだろうと思います。これをどう考えるかという問題があろうかと思います。  それから,A-2案の関係ですけれども,4ページの終わりから5ページにかけてでございますが,管理機関が一方当事者の意思を誤って通知したり,通知することを失念したりした場合の処理が困難になるのではないかという御指摘がされています。  それから,白紙委任状又はそれに近い委任状をとって公正証書が作成されたのと同様の事態が生じるおそれがあるという指摘がされています。  他方で,管理機関になられる側からは,手続的な煩雑さの問題が指摘されております。これは部会でも御議論があったところでございます。  それから,B案についてなのですけれども,5ページの真ん中辺りから「B案全体についての意見」というところで,「B案に対する批判」というのを挙げていますが,その2つ目に,B案では,心裡留保,虚偽表示,錯誤,詐欺,強迫等をどのように構成するかが問題となり,法律構成を複雑にする可能性があるという指摘を挙げております。これは,要するに,管理機関に対する意思表示しかないわけですので,例えば発生登録の債権者が債務者をだました場合に,相手方とは誰かとか,第三者とは誰かということをどう考えるのかという問題があるという指摘だろうと思われます。ただ,これは本当にB案にだけしかない問題なのかというのは問題で,A案は当事者の管理機関に対する申請プラス当事者間の契約ということですので,契約の方は普通は民法がそのまま適用されるわけですけれども,やはりA-1案の場合には別途申請があるわけですので,申請の方についての錯誤とか詐欺とか強迫ということは同じように問題にはなるのではなかろうかという感じはいたしますけれども,この点はどう考えるかということを御議論いただく必要があると思いました。  その次に挙げている御意見ですけれども,B案の場合は当事者間の契約を要件にしないわけですので,消費者契約法とか特定商品取引法上の取消しに関する諸規定を適用することができなくなるのではないか,契約を前提にした規定ぶりに消費者契約法等はなっていますので,契約ではないということになるとこれをどういうふうに適用するのかという問題が起きないかという指摘でございます。  その次でございますが,B-2案の関係ですけれども,B-2案に反対する側から,差押えについての厄介な問題が起きるということ,これは前に当部会でも○○委員から御指摘のあったところで,その次の6ページの終わりから7ページにかけて,いわゆる弱い立場にある債権者が不利になることになりはしないかという問題意識が出されております。  同じような問題意識は恐らくその下の方,7ページの3つ目の「・」ですけれども,下請企業や中小企業者の即時資金化のニーズを踏まえるとB-2案は避けるべきだという御意見も同じような問題意識につながるのかなという感じがいたします。  他方,B-2案を支持する立場でもその点の問題意識がおありのところもあったようで,6ページの方に戻っていただきますけれども,「補足意見」の1つ目のところに,中小企業者(債権者)の保護等が十分に図られる仕組みとする必要があるということが書かれているわけでございます。  このような点が若干部会で御審議をいただいたときに余り触れられていなかった御指摘であるという感じを受けたわけですけれども,別の意見として7ページに「その他の意見」として書いてございますが,A-1案を基本に,限定的な場面ではB-2案とするという意見を一部の団体からいただいているわけでございます。こういう方法があるのかどうかということを御検討いただく必要があろうかと思います。  これは一見いいように思うのですけれども,両方をアウフヘーベンするような感じがしないわけではないのですが,ただ,どうやってA-1案で行くものとB-2案で行くものを切り分けるのかと,実際にどういう要件が立てられるのかということが1つ大きな問題になると思いますし,理屈としても,1つの電子登録債権という債権なのに,あるものについては管理機関に対する意思表示だけでよくて,別のものは当事者間の契約が要るというものを,1個の債権ということで説明できるのかというようなことを御議論いただく必要があると思います。  次の話題に行かせていただきますけれども,8ページの後ろの方から(2)の「意思の不存在・意思表示の瑕疵と第三者保護」を挙げてございますが,このような特則を設けることについては,9ページの初めに書いてありますように,多くの賛成があったわけでございます。しかし,部会でも御議論のありました強迫による取消しをどうするかという問題は,それも含めろという御意見と除外すべきという意見の真っ二つに分かれているわけでございます。したがいまして,さらに御議論をしていただく必要があるということになろうかと思います。  他方で,「その他」という形で分類をしておりますけれども,部会で確か○○委員から御指摘があったと思うのですけれども,虚偽表示の場合の第三者や詐欺による取消し前の第三者も含めて,もう全部,無重過失で一律に規律した方がいいのではないかという御意見もいただいております。ただ,この問題については中間試案取りまとめ以外の部会でも御議論をいただいたところですけれども,消費者保護との兼ね合いで,少なくとも条文上は後退したことになるということはやはり避けるべきではないかということで,やや細かい切り分けの仕方にしていただいたわけでございますので,今回こういう意見がもう一回出たということを踏まえてどう考えるかということを御議論いただく必要があるのかなと思います。  その次の10頁の「消費者保護」でございます。これを設けることには賛成の意見が非常に多かったわけですけれども,「賛成」の中でも「補足意見」として,申請時に消費者に該当するかどうかを登録させるということが考えられるのではないかという御意見,これは取引の安全ということを考えてのことだと思いますけれども,そのような御意見が寄せられています。ただ,これは,登録することができるような人なら消費者ではないのではないか,つまり,消費者は自分で自分の身が守れないから消費者なので,登録することを要求したら消費者保護規定の意味がほとんどなくなってしまうのではないかという感じを個人的には受けておりますが,その理解でよろしいかどうか御意見をいただければと思います。  それから,「その他の意見」として,そもそも消費者を除外すべきではないかという御意見もいただいております。それから,法人限定をすべきだという御意見もいただいております。これは当部会以前の研究会の段階で既に議論がし尽くされた問題だと思っておりまして,法人限定をすると個人事業者が利用できなくなる,それは困るということで,個人事業者も利用できるようにしながら,しかし消費者の利益が害されてはならないということからこの案になったわけでございます。しかも,消費者を除外するといっても,消費者かどうかは,ある行動をするときのその人の行動によって決まりますので,消費者は利用できないとか,そういう条文の書き方はできない類のものですので,この御意見はちょっと通り難いのではないかと思います。いずれにしましても,大多数の意見は中間試案の考え方に賛成していただいていますので,こういう形での消費者保護を要綱案でもとっていくという形にならざるを得ないのかなと思っております。  次の話題に行かせていただきますけれども,ちょっと飛んで12ページでございます。bの「他人のためにする意思表示をした者の責任」ですが,ここも賛成が圧倒的多数だったのですけれども,1団体から反対の意見も出ていまして,その理由として,無権代理人の責任について過失ではなくて重過失を要件にするのであれば,表見代理の方も平仄を合わせるべきなのに,表見代理の方は善意無過失を要件としながら,無権代理の責任の方だけ善意無重過失を要件とするのはおかしいのではないかという御意見をいただいております。これは,実は,中間試案の議論の段階でも,たしか○○委員からだったと思いますけれども,そういう疑問の御指摘があったところでございますけれども,この点についてどう考えるのかということをもう一回議論していただいた方がいいのかなと思っております。  それから,飛びまして13ページからの,3の「電子登録債権と原因関係等」でございますが,本文の原因関係の有効性は電子登録債権の有効性の要件とはしないということは圧倒的多数が賛成というか賛成の意見しか出なかったわけですが,「注」の,原因関係との関係をどう整理するかということにつきましては,寄せられた意見の数は必ずしも多くはないのですけれども,意見が分かれているという状況にあるということでございます。このうち,規定を設けないという方の議論は部会でも出されたものと同じでございまして,規定を設けるとかえって多様なものを妨げて弊害になるおそれがあるというようなことを言っておられるわけでございます。また,デフォルト・ルールとしてどういうものを設けるかということも,必ずしも一致していないということでございます。  なお,この関係で1点少し御議論をしていただく必要があるのかなと思いましたのは,「その他の意見」の2つ目の○で書いております御意見でございまして,消費者が債務者である場合に,電子登録債権の発生による原因債権の消滅,つまり,「支払に代えて」というものを認めると,消費者契約法,割賦販売法等の規定による消費者保護の救済が受けられなくなる可能性があるのではないかという御指摘がございました。これが本当にそうなのかどうかというのはよくわからないのですけれども,本当にそうなのかというところから少し御議論をいただければと思います。  次の15ページの「原因債権と電子登録債権が併存する場合の行使の順序」でございますが,これもここで御覧のとおり意見が分かれているのですけれども,デフォルト・ルールを設けると原因債権を訴訟上請求する場合に電子登録債権の存在が抗弁事由となりかねず,権利行使に無用な紛議を招くおそれがあるので,もう規定は設けないで当事者の意思に委ねるべきだという御意見を頂戴しております。  それから,あとはずっと賛成がほとんどですので,少し飛んで16ページなのですけれども,これはほかにも多々出てくるところなのですが,「遅滞なく」という言葉が中間試案の至るところにあるわけですけれども,それについて,「遅滞なく」ではなく「直ちに」とすべきだという意見をいただいております。「遅滞なく」と「直ちに」の違いについては前にも部会で御説明したのですけれども,登録の申請をする場合には,申請してすぐに登録をしてもらいたいというときと,いつから登録してくれという場合があるわけで,そういう先日付でいつ登録してくださいという申請は認めざるを得ないと思うのですけれども,それを認めるときには「遅滞なく」とせざるを得ない。だから,これは法制執務に誤解がある意見かと思います。  次へ行きますけれども,18ページですが,「不実の登録の訂正」のところでございまして,これは「注」の通知の問題が中間試案で残った課題だったわけですけれども,その通知の要否については,寄せられた意見が非常に少ないのですけれども,事前の通知が必要という意見と,事後の通知が必要という意見が寄せられまして,どちらかというと,事前の通知と事後の通知なら事後の通知の方が必要だという意見が多かったと言えるのかなと思います。これは,理由がそこに書いてありますけれども,訂正後,速やかに通知をすることによって,登録が不実であるかどうかについてチェックする機会を登録の当事者に与える必要があるということからであります。  これとは別に,ちょっと戻りますけれども,「(注)について」の前の「その他の意見」というところに,利害関係を有する第三者がある場合であっても,一定の条件で,当該第三者の同意なしに訂正ができるようにすべきだという御意見がございまして,これは,伝票と異なる登録をしてしまった場合の取扱いと同様の取扱いができるようにしてほしいということによるものなのですけれども,この「一定の条件で」というのは,実はこれしか意見書にも書かれておりませんが,この「一定の条件」が何なのかということが非常に問題かと思いますので,○○委員から補足をしていただけるのであれば補足をしていただいて,そうでないとすればまた別途考えたいと思います。  それから,19ページの方で,また「その他の意見」の方ですけれども,軽微な登録ミスや訂正については,通知が不要な場合を認めるべきだということなのですけれども,この「軽微なミス」というのは条文には書けませんので,軽微かどうかという具体的に明確な要件も定めなければいけませんから,一体何をもって軽微なミスと考えるのかが問題になります。ただ,そのような規定は設けられないので登記なども全部通知で処理をするということになっているのだろうと思いますので,これは,お気持ちはわかるのですけれども,法技術的になかなか難しいのかなという気がしておりますので,その点について何か追加で御指摘をいただければ,○○委員からまず御指摘をいただいて議論できればと思っております。  次の(3)の「申請の方式等」でございますが,これについては賛成意見が多数寄せられておりまして,特段反対意見というものはないのですけれども,ただ,ちょっと意見の御趣旨がやや分かりにくかったものとして,20ページの2つ目の○の御意見で,登録フォーマットの合理化・標準化が維持できるような措置を検討すべきということなのですけれども,これは,恐らくは,実務,運用の問題についておっしゃっておられるのかなと理解したのですけれども,それでいいのかどうか,あるいは法令上の問題をも指摘しておられるのかどうかというところあたりを○○委員から補足していただけるならば後で補足していただければと思っておりますので,よろしくお願いいたします。  次は大問題ですけれども,(5)の「不実の登録についての管理機関の責任」でございます。これは法律家とそれ以外の実務界の意見が真二つに分かれたという感じでございまして,法律家は基本的に無過失責任を支持されるのに対して,実務界はそれには反対で,過失の証明責任を転換する案に賛成というのが多数を占めているということでございます。法律家を除けば,実務界は,過失の証明責任の転換でまとまっていると言っていいかと思います。不可抗力を免責要件とする案は支持が余りなかったということでございます。  次の(6)の「申請権限のない者の申請に基づき登録をした管理機関の責任」,23ページから25ページまでですが,これも意見が分かれているのですけれども,証明責任の転換案の支持がほかの案の支持よりもかなり多いと,半分ぐらいはその支持があるという状況です。なお,一部と書いてあるのは,それぞれその案を支持する者と別の案を支持する者があったということを示すものでございます。  次の,第2の「電子登録債権の発生」の方に移らせていただきます。1の「発生の要件」については特段申し上げることはないのですけれども,「発生登録手続」の「必要的申請事項」でございますが,⑤のところの「(注)」がA案とB案の2案になっているわけでございますが,これについては,A案,つまり,最高裁の判例どおり,共同相続の場合にも相続分に従って当然に分割されるという,そういう案に賛成される意見が多数を占めているということでございます。そうではなくて,不可分債権になるという意見に賛成されるのは,28ページの冒頭ですけれども,学者側の若干の方と,実務界でも一団体だけという状況でございます。この問題というのは,前に部会で御議論をいただいたときにも申しましたけれども,変更登録の問題とセットで考えなければいけないわけでございます。  それで,変更登録の方をついでに御紹介して一緒に議論をしていただきたいと思うのですけれども,63ページ以下でございます。63ページは試案自体を載せているだけですので,64ページ以下が意見状況ということになりますが,A案は単独で変更登録の申請ができるという案ですけれども,それがまた補足説明で書きましたように2案あって,単独で全員分の変更登録ができるというのと,単独で自己分のみの変更登録ができるという2つの考え方に分かれるわけでございます。B案は,相続人が全員でしなければいけないという案。C案は,債権者の相続と債務者の相続で分けて,債権者の相続人は全員が共同でしなければいけないけれども,債務者の相続人は各自が単独でできるというものでございます。それぞれ支持者があったわけですけれども,65ページの「その他の意見」で,A案は不適切であり,B案またはC案に賛成するという御意見があるのですけれども,そうして見ますとB案かC案というものを支持される意見が全体としては比較的多いということになります。  ですから,必要的申請事項の両方を見ていただきますと,相続が法的にどうなるのかということについては可分債権として分割して相続されるけれども,登録するときは少なくとも債権者については共同でしなければならない,そうしないと善意取得とか何かで厄介な問題が起きてしまうということで,そういう意見が多数ということが言えるかと思います。債務者の方をどうするかということについては,B案では全員でやらなければいけないとするのに対して,C案では債務者の方は単独でできるという案なのですけれども,両方の意見があるということでございます。B案を採るかC案を採るかというのは,この中でも出ているのですけれども,債務者の場合にも相続放棄というものがあるということをどう考えるかということにかかわるのだろうと思いますので,さらに御議論をいただければと思います。  それから,⑤以外については全般的には賛成意見が多いのですけれども,28ページから29ページについて,③とか⑨など,あるいは⑥もそうですけれども,それについていろいろな意見が寄せられております。ただ,どれも一人とかそういうような意見ではあります。  次に,「法定の任意的申請事項」でございますが,このうちの⑦で,善意取得及び人的抗弁の切断の規定の適用を除外する旨の登録の申請ができるかという問題で3つの案が掲げられていたわけですけれども,これについては,人的抗弁の切断と善意取得の両方とも適用しないという申請ができるという意見が多数を占めております。ただ,善意取得と人的抗弁の両方とも適用しない旨の登録の申請をしても,両方とも無益的登録事項になるというC案を支持される御意見があるわけでございます。その中間の善意取得と人的抗弁の切断に分けるという考え方も若干の支持があったということでございます。  この問題というのは,実は電子登録債権の自由譲渡性の問題のいわば裏返し的なものがございます。そこで,それもあわせて見ていただきたいのですけれども,34ページでございます。こちらの方も意見が2つに分かれておりまして,電子登録債権については全面的な譲渡禁止特約をすることはできないというA案を支持する意見と,そういう制限は設けないで全面的な譲渡禁止特約を認めるという意見の両方に分かれているということでございます。ここは別に管理機関側とか利用者側とかということに関係なく,団体によって分かれているというところに特徴があろうかと思います。自由譲渡性の方で全面的な譲渡禁止はできないという考え方を採る方は,法定の任意的申請事項の⑦の方も,そういう登録もできないという形にしている方が多いということが言えるかと思います。  それから,⑦以外の問題なのですけれども,31ページで,⑥の譲渡,登録保証又は質権の設定の制限に関する事項の登録ができるというところなのですけれども,譲渡の回数,相手方の制限の登録は認めるべきではないという御意見が寄せられております。  それから,同じ団体からの御意見で,これは(2)の「管理機関による登録」に関して寄せられたものですが,34ページの上から3行目ですけれども,②というのは,管理機関が業務規程において譲渡の制限に関する事項その他の電子登録債権に係る私法上の権利義務の制限に関する事項を定めている場合には,その内容を登録しなければいけないというところですけれども,同じように,譲渡の回数や相手方の制限は認めるべきではないという御意見が寄せられております。したがって,この御意見は,当事者の合意によるにせよ,管理機関の業務規程によるにせよ,譲渡の回数や相手方の制限は認めるべきではないという御意見ということになるわけでございます。ほかからはそういう意見が寄せられていないというところでございます。  次に,「法定外の任意的申請事項」ですけれども,これは,実はこの発生登録だけではなくて,ほかの部分にも共通するところですけれども,この発生登録以外の部分も含めて任意的な事項というものは認めるべきではなくて,全部法定すべきだという御意見が寄せられております。  それと似たような御意見として,33ページですけれども,管理機関ごとに様々な申請事項を認めるべきではなくて,政省令で委任することによって,とにかく全部法定すべきだと,そういう御意見が寄せられています。ただ,これは本当に,政令によるにせよ,多種多様なものについて全部法令で定められるのかということが問題であろうかと思います。  別の御意見として,○○幹事や二つの団体から,任意的申請事項として記録された事項の効力が譲受人に対しても及ぶのかを明確にすべきであるとの御意見を頂戴しております。  次に,(2)の「管理機関による登録」に移りたいと思いますが,33ページの下の方から34ページにかけてですが,登録原簿記録日と登録日は等しいものとすべきだと,それから,仮に申請日,登録原簿記録日,登録日という,3つの異なる日付の存在を認める場合には,申請から登録日までの期間に制限を設けるべきであるという御意見をいただいているのですけれども,ここで言う登録原簿記録日というのは登記日と同じでして,当然,原簿に登録をした日を登録日と言うのは当たり前のことだと思っていますので,等しいものとするというのは,もともと等しいわけでございます。ですから,登録原簿記録日と登録日は同じ日になるはずなのですが,申請日と登録日は違う日になる場合もあります。これは,先ほど申しましたように,いつ登録をしてくれという始期付きの申請ということがあり得るからであります。ですから,期間に制限を設けるといってもなかなか難しいのではないかなという気がいたしますけれども,何かその点について私の申し上げたことがおかしければ○○委員から団体内での御議論を紹介していただければと思っておりますので,よろしくお願いいたします。  第2までは以上です。 ● ありがとうございます。  それでは,ただいま説明がありました部分のうちで,中間試案自体において複数案を掲げていた項目と,そうでない項目で傾聴すべき意見が出された項目について,順次,要綱案の作成の前提としての取りまとめの方向性のあり方について御議論をいただきたいと思います。  まず,第1の2の(1)の「電子登録債権の発生・譲渡等の要件等としての意思表示」についてでありますが,これにつきましては,意見照会の結果におきましても,A-1案からB-2案まで各界の意見が分かれたということでございます。これを踏まえて,これから要綱案の作成作業を進めていく上で考慮すべきこと等について,御意見があれば承りたいと存じます。  どうぞ,どなたからでも。  ○○委員,どうぞ。 ● この6ページのB-2案の「支持」と「反対」の間のところの「補足意見」というのがあるのですが,6ページの下の方ですが,「原因債権をサイレントで譲り受けた譲受人に立場に立って考えると,この案を採用した場合には,補足説明11頁のB-2案からの反論(ニ)のような手当てがされることが必要であるが」というのは,まずこの補足説明の内容を確認したいのですが,11ページの(ニ)を見ると,「債務者による登録後,債権者が承諾しない間に原因債権が譲渡された場合には,譲受人は電子登録債権発生の抗弁を受けないこととし,債務者としても債権者の承諾を得ていないのであれば,電子登録債権と原因債権の双方を支払わなければならないことになるリスクは甘受すべきであること」ということを指しているわけですね。  これはまず分けて聞かなければいけないのかと思うのですが,先ほどの15ページのところの議論があったものですから,そこのところとの関係で,実は私にとっても非常に重要な,債権譲渡特例法と電子登録債権法の抵触場面がここに出てくると思いますので,ここで「サイレントで譲り受けた譲受人の立場に立って考えると」と書いてあるのですが,ほかのところで確かこの団体は将来債権譲渡のことについて,B-2案を採ると,債権者が原因債権を主張としているにもかかわらず債務者が電子登録債権を発生させたときの問題があるということを指摘しておられたと思うのですが,これはまさに債権者が原因債権をサイレントではなくても譲渡して債権譲渡特例法上の登記をした場合,まだ債務者は知りませんので,債務者がそれから電子登録債権をB-2案だと発生させることはできるわけですね。逆もあるわけですね。債務者が一人で電子登録債権を発生させた後で債権者がそれを知らずに譲渡して,譲受人が特例法による登記をする。これがこの団体が将来債権譲渡の実務に対するB-2案の問題点として挙げているところだと思うのですが,その場合に,補足説明の11ページの(ニ)というのは,譲受人は電子登録債権の発生の抗弁を受けないとすればいいのではないかという,こういうご意見であるということですよね,B-2案でやるのであれば。  でも,まことに申しわけありませんが,その質問の趣旨を御理解いただくためにちょっと先走ってしまいますが,15ページの先ほどの裁判所の意見のところを見ていただきたいのですが,裁判所は,原因債権と電子登録債権が併存する場合に,どちらを行使すべきかについては,そのつど当事者の意思により決せられるとするのが適切だという文脈で,電子登録債権を先に行使すべきとすると,原因債権を訴訟上請求する場合に電子登録債権の存在が抗弁事由となりかねず,権利の行使に無用な紛議を招くおそれがあると,こうおっしゃっておられるわけでして,ということは,裁判所は,行使の順序が自由であるならば,原因債権を訴訟上請求する場合に,電子登録債権が発生しているからという抗弁はできないという前提で物事を考えておられるわけですね,論理的に。電子登録債権を先に行使すべきだというのであると,電子登録債権の存在が抗弁事由になりかねないと言っているわけですから,行使の順序が自由であるということであれば,原因債権を訴訟上請求する場合に,電子登録債権を発生させているよというのは抗弁事由にならない。つまり,具体的に言うと,電子登録債権が発生しているのだから,支払登録がされなければ払わないというような抗弁はできないということになりますよね。 ● ここに書いていますのはいただいた御意見をそのまま書いただけなので,ちょっと私どもからコメントをするのは困難ですけれども,確かに○○委員がおっしゃるようにとらえることもできると思います。ただ,原因債権を先に行使する場合でも,電子登録債権が既に発生しているのであれば,これは原因債権が行使された後で電子登録債権を別の人が行使すると困りますので,債務者としては,当然のことながら,電子登録債権の支払等登録をするのと引き換えでないと原因債権も払えませんよと。つまり,手形を出している場合に原因債権を行使されるときには,手形を返してくれないと原因債権の弁済に応じませんよという抗弁が出されるのと同じ構造の抗弁が原因債権については出せると考えざるを得ないと思います。 ● そこについての御質問なのです。  つまり,今回の裁判所の見解は,今,○○幹事が御説明になったような,手形と原因債権の関係と異なる考え方を示してはいませんかということなのですが。 ● ○○幹事,答えられますか。 ● 今の点なのですが,裁判所として特に念頭に置いておりますのは,保全事件の審理における場合を特に想定しております。すなわち,金銭債権を被保全権利とする保全事件の申立てにおいては,仮に電子登録債権を先に行使すべきこととしますと,すべての管理機関において当該債権を原因債権とする電子登録債権が存在しないことを疎明しなければならなくなりかねないと。そういった問題点から今回のような意見を出させていただいた次第でございます。 ● ただ,裏返しに,行使の順序が自由であると,原因債権を訴訟上請求する場合に,電子登録債権が発生しているからという抗弁を対抗できないということにはならないということですか。今回の裁判所からの御意見では,先に電子登録債権を行使すべきだということになると,原因債権の請求のときに電子登録債権が出ているよということが抗弁事由になりかねないと言っているということは,そうでなければ,原因債権を訴訟上請求する場合に電子登録債権が発生しているということは抗弁事由にならないということになりませんか,論理必然的に。 ● 今,○○幹事の御話を聞いていて分かったのですけれども,ここに書いてあることとお考えだったことが少し違うのかもしれないのですが。要するに,裁判所としては,保全の審理をするときにいろいろなことを疎明対象として広げなくてもいいようにしたいというだけのことを考えておられるだけで,○○委員のお考えのところまで考えてこの意見を述べられたものでないことは○○幹事のお答えから明らかだと思います。 ● ありがとうございます。  この段階ではまだ確認の質問にとどめさせてください。ちょっとここで言うべきことかどうかはわかりませんが,自分自身,今度の学会で,この債権譲渡特例法登記と電子登録債権の登録がどういう関係に立つのか,電子登録債権を登録したということが債権譲渡特例法登記をした人に対する抗弁事由になるのかどうかということを議論したいと思っていますので,確認をさせていただきました。ありがとうございます。 ● A-1案からB-2案までについての意見に関係して,何か御意見がおありだったのでしょうか。 ● 今,質問をさせていただいたのは,B-2案を採るのであれば,B-2案の立場からも,補足説明を,11ページのような手当てが必要だとおっしゃっていますねということをまず確認したわけです。これは抗弁事由にはならないというふうにしないとうまくいかないのではないかということですね。そのことと関連して今の裁判所の御意見について確認を求めたと,こういうわけです。 ● それでは,ほかに御意見はございませんでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● 先ほど○○幹事の方からB-2案に反対する意見ということで,6ページの一番下以降のところで,債権者,特に下請業者等の弱者保護の観点の指摘があったという御説明がありましたけれども,この点につきましては銀行界の内部の議論でも出ている話でありまして,この電子登録債権の発生登録要件を決める上で非常に重要なポイントの1つだと引き続き思っております。  ここのところは,下請業者の債権者の立場に立つのか,それとも逆に債務者の立場に立つのか,ここのバランスをどうやってとっていくかという話だと思っていまして,債務者側からすると,結局,原因債権と別個の債権・債務を発生させるということですので,実務的には,特別な行為をやるとの意識があると思うのですね。そういう意味で,債務者がいかにこの電子登録債権制度にスムーズに乗ってくるかというふうな視点も非常に大事でして,そういう意味で,下請業者の保護も非常に大事なのですけれども,この点を発生登録要件の決め方のところで担保していくのか,それとも,別の下請法等の下請保護,こういった制度の中でやっていくのか,そういったことを今後は考えていく必要があるのかなと考えております。 ● ほかに御意見はございませんでしょうか。 ● この問題は大きな問題で,今日決着がつくような問題ではもちろんないと思っていますので,これからも引き続き御議論をいただくということで,今日はこの程度にしていただきまして,また次回以降改めて検討をしていきたいと思います。  ただ,1点だけ,7ページで御紹介した,A-1案を基本に,限定的な場面ではB-2案とするというようなアイデアが一部から出ているわけですけれども,これは,先ほど申し上げたように,本当にその要件は切り分けができるのかという問題と,それから,論理的に同じ電子登録債権という債権なのに,あるものは契約が必要で,あるものは必要ではないということが果たして説明できるのかという2つの問題点を申し上げさせていただいたのですけれども,特に研究者の委員,幹事の方々にこういうような考え方があり得るのかどうかということについて御感触でもいただければ次回以降の議論がしやすいかなと思うのですけれども,いかがでしょうか。 ● 引き続きになってしまいますが,簡略に申します。  私は,基本的には,従前からお話ししているように,A-1案の支持というか,契約は必要であるという考え方ですが,仮にこのA-1案を基本に,限定的な場面ではB-2案とするということを1つの電子登録債権の中で実現するとすれば,この電子登録債権の概念がやはりA-1案の概念の外にB-2案の概念の電子登録債権が存在すると。いわゆる基本的な電子登録債権の概念は,B-2案のものは包摂できないはずだと思うので,それは,外出しといいますか,別概念にしなければ両立はしないのではないかと。別概念というか,部分的にその部分は基本的な電子登録債権概念の包摂する範囲の外になるという理解をしておりますが。  とりあえず,以上です。 ● ほかにございませんでしょうか。 ● そのような意見を出したのは私が関係する業界団体だということで,ちょっとどういう経緯があったかということを簡単に御説明いたします。  私もひと夏パブコメのためだけに費やしたような状況でございまして,結論を言いますと,電子登録債権の対象が非常に幅広く金銭債権を対象にしていますので,手形的なものと指名債権的なものと,水と油という表現がいいかどうかはわかりませんけれども,相当違うものを電子登録債権にするということで本当にうまく整理できるのだろうかということが問題になりました。基本的な考え方としてはA案支持の方が多かったのではなかったかと思うのですけれども,一方で,なぜ今ある手形を電子化できないのですかということに対して,今,実務で使われているものを電子化する手段を排除できない。  ということで,特定の場面と申し上げたのはどういうことかといいますと,例えば小口大量の債権があって,いちいち合意をつくっていると非常に手間であるというような債権があったような場合については,B-2案的な対応ができるのではないかということ,それから,先ほど申し上げましたように,手形の代替というニーズも否定できないのではないかということで,これは排除できないというような書きぶりにせざるを得なかったということですかね。  そのときに幾つか議論が出たのですけれども,手形といっても手形行為そのものではなくて,受取人の側であっても手形を受領するという意思表示はあるはずなので,A案の方にB-2案的なものも包含できるのではないか。例えば代理権という形で,当初から債務者の方が代理権をもらっておくということも可能であるかもしれませんし,それから,一種ちょっと飛道具的なことかもしれませんけれども,管理機関との契約という形にすることもできるのではないのという意見もあったのですが,一応,我々実務家は学者ではありませんので,先生方にも議論をしていただいて,うまい方策が見つかるのであれば両立できるようなことを検討していただこうという形で,こういったコメントになっているということでございます。 ● ありがとうございました。  ほかにございませんでしょうか。  ○○幹事,どうぞ。 ● その後に並んで,同じように区分する考え方もあるのではないかというところに名前が挙がっておりますので,一言だけ。  幹事として意見を出させていただくのがどうかは別といたしまして,ただ,先ほど○○委員からお話がございましたように,この電子登録債権というプラットホームがなるべくいろいろなものに使われていくということを考えた場合には,○○幹事からお話がありましたように,うまく条文として切り分けられるかという難問はあるわけですけれども,例えば効果の部分で,先ほど○○委員からお話があった,例えば抗弁事由として持ち出せるかどうかという部分の違いなどを踏まえて,発生の部分で多少異なったものを用意する,しかしながら権利の帰属というようなものが管理機関における登録というものによって表せるという部分についてはやはり基本となる部分が共通しているということが考えられないのかなということで,このようなことを提案させていただきました。ただ,私自身もちょっと駆け足で考えた部分もございますので,もう少し具体的に御提案ができるかどうかも含めて,次回の部会までに再度検討して,○○幹事などとも御相談しながら,検討させていただければと思っております。 ● ありがとうございました。  それぞれの案についていろいろな問題点が指摘されているところであります。その問題点を更に検討いただくということで,今日のところはこの問題については以上にとどめたいと思います。  それでは,次に,この中間試案の第1の2の(2)の「意思の不存在・意思表示の瑕疵と第三者保護」に移りたいと思います。  まず,aについて議論をしたいと思いますが,この項目につきましては,強迫の取扱いについて意見が分かれていますほか,虚偽表示や詐欺取消し前の第三者についても,この特則に含めるべきとの意見も寄せられておりますので,これらの点についてどう考えるか少し御議論をいただきたいと思います。  いかがでしょうか。  まず,強迫の点についてどう扱うかということについては,いかがでしょうか。いずれにしろこの部会でも意見が分かれていた問題でありますし,繰り返しになるかもしれませんが。  ○○委員,いかがですか。  よろしいですか。  特に御意見がないようでありますと,中間試案どおりということで,この問題については処理をしたいと思います。  それでは,次に,bの消費者保護に移りたいと思います。 ● 今,中間試案どおりとおっしゃったのはどういう意味ですか。 ● 中間試案どおりというのは,強迫についてはブラケットのままもうちょっと議論をしていただいて,虚偽表示とか取消し前の詐欺による第三者の問題については取り上げないと,つまり,中間試案の形で整理をするということでございます。 ● わかりました。 ● すみません,あいまいな表現をいたしまして。  それでは,次に,bの消費者保護の問題に移りたいと思います。  この項目につきましては,利用対象者から消費者を除外すべきであるとか,法人限定をすべきであるという意見が寄せられておりますが,先ほどの事務当局からの説明にもありましたように,これらの考え方については既にこの部会でも議論をしてまいりました。消費者かどうかを管理機関が判断するのは困難であるということから,消費者というくくりでの除外はできない,また,法人限定は個人事業者の利用を不可能にしてしまうという問題があるということで,個人も利用対象にしながら消費者保護を図る,そういうことで中間試案の案を作成したものであります。したがいまして,これらの意見は取り上げないで,意見照会でも大多数が賛成意見を提出している中間試案の考え方を維持するということにしたいと思いますが,この点はそういう扱いでよろしいでしょうか。  それでは,中間試案の考え方をこの点については維持するということにしたいと思います。  それでは,次に,中間試案第1の2の(3)のbの「他人のためにする意思表示をした者の責任」に移りたいと思います。  この項目については,先ほど紹介がありましたように,表見代理の規定の適用については,民法どおり善意・無過失としながら,無権代理人の責任についてのみ重過失を問題にするというのは平仄がとれていないという,そういう指摘がされております。この意見について少し御議論をいただきたいと思いますが,いかがでしょうか。  表見代理については,善意・無過失という表現ではなくて,「正当な理由」という表現になっておりますので,この指摘のとおり変えるというようなことはやや条文的には難しいかなという気がいたしますが,そういうことも含めて御意見をいただければと思いますが,いかがでしょうか。 ● すみません,○○幹事か○○幹事に口火を切っていただけるとありがたいのですけれども。 ● 指名をしていただいても部会長の御指摘以上のことは申し上げられないのですけれども。  規定上は困難であるというのは確かにそうでしょうし,表見代理規定の第三者保護要件自体はいろいろな考え方がございますので,本人の帰責事由の問題ですとか,果たして単純に同じにできるかということは確かに問題であろうとは思います。他方で,無権代理人の方の責任規定を民法と違えることの正当化がどうかと。ですから,表見代理との平仄よりも民法117条の責任をここで変えることそのものの議論であって,それは,しかし,中間試案の提案の理由ということに帰着しますので,表見代理との平仄というふうにはならないのではないかと思いますけれども。その程度しか申し上げられないのですが。 ● ありがとうございます。 ● そのとおりではないかと思いますが。私も民法117条の方の変更の方が気になるのでありまして,バランスをとられて生かしていけないということには全くならないと思います。 ● いかがでしょうか。  無権代理人の責任については私もちょっと別の考え方を実は持っていたのですけれども,ただ,ここでは,無権代理人の責任というだけではなくて,いわゆる他人名義を冒用した無権限者の責任もこの中に含めて議論をしておりますので,そういう意味ではそこの責任をやや重くしてもそれはそれで悪くはないかなという気もいたしますので,特に私はこだわってはいないのですけれども。  ○○委員,どうぞ。 ● 商法の方では今まさに部会長がおっしゃいましたような考えが非常に強くて,冒用者の責任について,相手方に過失があったときまで冒用者を保護する必要はないのではないかという考えが非常に強くて,そもそも民法117条2項のルール自体に疑問を持つのが強くて,それを前提に手形ではこの重過失という考えがとられていますので,私は違和感のない条文だと思っていますが。 ● ほかに御意見はございませんでしょうか。  ないようでしたら,これは中間試案の整理のとおりの方向で取りまとめていきたいと思います。  それでは,次に,中間試案第1の3の「電子登録債権と原因関係等」の「(注2)」のデフォルト・ルールを設けるかどうかという論点に移りたいと思います。  この論点につきましては,デフォルト・ルールを規定しない方がよいという意見の方がやや多かったわけでありますが,これを設けるべきであるとの意見も相当数あり,また,別の特殊な考え方に基づく意見も寄せられておりますが,取りまとめの方向をどうすべきかについて御意見を頂戴したいと思います。  ○○委員,どうぞ。 ● 大変申しわけありませんが,先ほどの続きで,ここはプロパーの意見を申し上げます。  今回のパブコメで出てきた議論で,例えば15ページで,手形と同様の解釈論で対応可能だという意見があり,それから,手形取引においても,必ずしも手形債権を先に行使するという取引慣行が定着しているとは言えないと言って,それから,真ん中辺りでは,明確な規定を欠く場合に手形法の判例をそのまま用いることができるかは疑問があり,判例の枠組みを法制度として明確化した方がより法的安定性を増すと,いろいろな御意見があるわけです。  私は,自分で調べてみても,最高裁の,これはどれだけ拘束性があるのか,手形の返還と引換えにのみ譲受人の弁済に応ずるという,これは手形の所持人と譲受人がずれていないケースだったようですが,昭和35年の判決が1つあるだけで,手形の所持人と債権者がずれているケースでは,東京高判の昭和44年1月20日という1つしか見つからなかったので,この手形の判例をどのくらいこの議論で持ち出せるのか,そして,また,さっきも○○幹事から御意見があったように,ある類型のものについては非常に手形代替的な要素を強くするけれども,別の一般類型はそんなに手形代替とそろえないというような考え方もあり得ると思いますので,この抗弁の問題も先ほどの類型論につながることもあるかと思いますし,この類型論の議論を別にしても,手形の判例をどれだけここで先例といいますか参考として持ち出せるのかも,もう一回検討した方がいいのではないかというのが私の現在の考え方です。 ● いかがでしょうか。  ○○委員,お願いします。 ● 確かに出ている判例の数としてはおっしゃるとおりかもしれませんけれども,少なくとも私は,手形取引においても,必ずしも手形債権を先に行使するという取引慣行が定着しているとは言えないという理解はしておりませんで,原則としては,手形を支払のために振り出したときはまず手形を先行するというのはもう確立した実務,むしろ,判例がどれだけ出ているかということよりも,実際の商取引の実務の中でそれは定着した慣行だと思いますから,私は,それを参考にすることは余りおかしいことではないというように理解しております。とりあえず,それだけ申し上げます。 ● このデフォルト・ルールを設けるかどうかという問題については,○○委員もたしかデフォルト・ルールを設けた方がいいという御意見だったと思うのですけれども,日弁連からの御意見は設けなくていいとなったわけですけれども,その辺の経緯みたいなものを御紹介いただければと。 ● 私の個人的な意見は,デフォルト・ルールを設けた方がいいということでありますけれども,私は日弁連の代表で来ているわけでもございませんので,この日弁連の意見,多数意見は,当事者の意思に任せていいのではないかということだったと思います。  手形と同様の解釈で対応可能という書き方は,それしか書いてございませんけれども,基本的には,皆さん議論をしている方々の理解というのは,先ほど○○委員がおっしゃったように,手形の返還の抗弁というのは効くものだという理解で考えていたと思っておりまして,なぜ手形取引においても,必ずしも手形債権を先に行使するという取引慣行が定着しているとは言えないということを言っているのか私はちょっと理解できないと思っておりますし,また,先ほど○○委員が御指摘になった,電子登録債権を先に行使すべきとすると権利行使に無用な紛議を招くという意見もよく分からないなと思っております。だから,デフォルト・ルールを設けなくても電子登録債権を発生させておれば,支払登録との引換給付の抗弁は出されてしかるべきだろうと考えておりますけれども。 ● ○○委員,どうぞ。 ● ただいまの○○委員の御発言は比較的多数の御意見ではないかと私も思うのですが,手形の判例に関しての理解としては。  1点だけ問題提起をさせていただきますと,そうすると,それを電子登録債権の方に引き寄せますと,先ほど申し上げたように,優先関係において,原因債権について,民法上の債権譲渡をして,債権譲渡登記をした後で電子登録債権が発生したと,この場合には,譲受人はかなり不安定な地位に置かれると。この場合に,免責といいますか,債務者の方の支払抗弁を認めることと譲受人の優先効がどうなるかというのは厳密には別の問題かと思いますが,支払抗弁が通って優先効もつぶされるとなりますと,特例法による登記をした譲受人にはかなり不安定な状況が生まれるということを,今後どこかで御検討いただければと思います。  以上です。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 私が関係する団体が,消費者が債務者になる場合については一定のルールを設けるべきではないかというような意見を出しておりますので,ちょっとそのことについて補足的に御説明したいと思うのですけれども。  1つは,クレジット債権などを活用するという場面を想定した場合,非常に小口で大量な電子登録債権を扱わないといけない。そうした中で,今議論されている,例えば手形での取引のようなある程度まとまった金額での取引と違って,やはり余り調査とかそういったものにお金をかけられないという問題もありますし,消費者をいたずらに紛争に巻き込むというのも余りよくないだろうと。それから,小口であるだけにやはり紛争コストをかけたくないというのもありますので,あとは,流動化のときの調査等についてもやはり複数のルールがあるとなかなかこれも調査をするのにコストがかかるとか,いろいろな問題がありまして,ある程度どちらにするのか明確に,できれば電子登録債権を優先するとか,そういった方が消費者にとっては非常にわかりやすいということもありますので,そういったことも御検討いただきたい。特に小口で消費者が関係するようなものについてはデフォルト・ルールを設けていただきたい,そういう意見でございます。 ● 今,○○委員がおっしゃられたこととはちょっと別なことなのですけれども,14ページの「その他の意見」の2つ目の,消費者が債務者である場合について,電子登録債権が発生すると原因債権が消滅するという場合には,消費者契約法等の消費者保護の規定による救済が受けられなくなる可能性があるという指摘があるのですけれども,これというのは本当にそうなのかということ自体がよくわからないのです。特に研究者の委員,幹事の方から何かコメントをいただければありがたいのですが。私は,消滅するかどうかという問題と抗弁が出せるかどうかというのは別の問題なのではないかと思うのですけれども,いかがなのでしょうか。  つまり,もうちょっと言いますと,消滅しなければ原因関係上の抗弁がそのまま残るわけですけれども,消滅したとしても--支払に代えて発生させれば消滅するということになっているわけですが--その元となった原因債権が,消費者契約法上,解除されたり何かされるべきものであったのならば,それを人的抗弁として主張できると,消費者であればその人的抗弁の切断はしないということに中間試案ではなっていますから,それで消費者は救われると思っていたのですけれども,いかがなのでしょうか。 ● 今の部分で,まず,消費者契約法の場合は一段階しかないので今おっしゃられたとおりなのですけれども,割販法だと,元となる売買取引の決済をクレジットでやって,そのクレジット債権がさらに電子登録債権になるという二段階に分かれることもあるので,そこも含めて御検討をいただけたらと思うのですけれども。  特に割販法上の特別な規定であるので,そもそも別個の契約なものを割販法30条の4で創設的に接続させているわけなのですね。ところが,それが消滅してしまっているという段階でそのクレジットの前の元々の売買取引等の抗弁を電子登録債権の決済のときに抗弁事由として対抗できるかどうかとなると,ちょっとこれは難しいのではないかなと考えたのがここに書いてあることだろうと思うのですけれども。 ● いかがでしょうか。今の御意見について何かどなたかからコメントをいただければありがたいのですが。  ○○委員,いかがですかね,今の点は。 ● 直感的には消費者契約法が何らかのテクニックを使うことで潜脱されるということにはならないのだろうなと思いますけれども,ただ,割販法について30条の4をどういうふうに理解するか,今,○○委員がおっしゃったような考え方が強いと思いますけれども,それも含めまして割販法についてはもう一度検討したいと思いますけれども,多分同じになるのではないかと思います。 ● 特に心配はないというか,ここに指摘されているような心配はないのではないかというお見通しですか。 ● 恐らくそうなると思いますが,ただ,○○委員からただいま詳しい問題関心を御指摘いただきましたので,もう一度検討してみたいと思います。 ● わかりました。この点については事務局でとりあえず検討いただいて,この会議でも検討したいと思います。  ほかにここのデフォルト・ルールを設けるかどうかというそういう点について,御議論をいただく点はございますでしょうか。いずれにしろ意見が分かれたままでありますし,更にこの点については検討していきたいと思います。  そういうことでよろしいでしょうか。  それでは,次に,中間試案の第1の4の(2)の「不実の登録の訂正」についてでありますが,当事者への事前または事後の通知を要求するかについて意見が分かれております。また,利害関係を有する第三者の同意なしに訂正ができる場合を認めるべきとの意見が寄せられておりますが,この点についていかがでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● 先ほど御紹介がありました18ページの「その他の意見」というところで,「一定の条件で当該第三者の同意なしに訂正ができるようにすべきである」というところの「一定の条件」というところなのですけれども,これは,銀行業界内部で出た意見としましては,申請内容と異なる登録がされた場合ということで,申請内容が何かということは客観的にわかっていますので,それに合わせるという形で訂正をするものについては,要は正すべき方向に直すわけですから,承諾がなくてもできるのではないかと,そういった意見がここの「一定の条件で」の意味でございます。 ● それは1つの例ですか。ほかに何か。 ● 具体的に出たのはその線です。 ● 今のお話ですと,全部利害関係者の同意は要らないということにはならないのでしょうか。つまり,常に間違っていたものを直すのが訂正ですので。しかし,管理機関は間違っているから直すつもりなのだけれども,そうであっても直されたらもうその間違っている方を前提に取引して,自分はそれだけの権利があると思っていたのに直されたのではたまらないという人もいるからその同意が要るという問題ですので,○○委員の今の御説明を伺っていると,そもそも利害関係がある第三者の承諾は全面的に要らないということになりそうな感じで,しかし,それは問題だと思うのですけれども,いかがですか。 ● 例えば17ページのこの括弧書の中で,元々の中間試案の説明の中で,①,②,③とありますけれども,②の,申請がないにもかかわらず登録がされていると,こういった場合は要するによって立つべきものがないわけですので,それに関しては承諾をもらうと。もうどう直すべきかわかっているものについては,そのとおりに直すというふうな考え方です。 ● 直す方向がどうかということは,ここでは関係ないはずなのです。つまり,②の場合であれば,申請がないにもかかわらず申請を要する事項について登録されているのですから,それを消すという登録というか訂正をするはずなのですね。つまり,元の状態に戻すということが訂正ですので。ですから,①の場合であろうが,②の場合であろうが,利害関係者の同意が要る,承諾を得るのかどうかという問題と自明かどうかということは別の問題だと思うのですけれども。そういう観点からもうちょっと御議論をさせていただくということでよろしいでしょうか。 ● よろしいですか。  それから,通知について,事後の通知という御意見をいただいていますが,この点についてはいかがでしょうか。事後の通知はあった方がいいという御意見を日弁連からいただいていますが。 ● この点については従前から当事者に対して異議を述べる機会を与えるという意味では事前もしくは事後の通知があった方がいいという意見を申し上げてきたところですけれども,日弁連の意見では,事後の通知でいいのではないかということになりまして,それは,明らかな誤りであれば一刻も早く直した方がそれに基づいて生ずる間違いのおそれがなくなるので,直すべきものは早く直して,それを事後に通知するというところでよろしいのではないかということです。 ● この事後の通知の点について,あるいは事前の通知も含めてですが,何かほかに御意見等はございませんでしょうか。  事後の通知が必要だというのは,今,○○委員が指摘されたようなことで比較的説得力があるような気もいたしますが,そういう方向で今後は議論をするということでよろしいでしょうか。  それでは,同意の点についてはさらに議論をしていただくということで,この問題については以上で。  次に,中間試案第1の4の(3)の「申請の方式等」に移りたいと思います。  この項目につきましては,中小企業の事務負担を軽減させるための登録フォーマットの合理化・標準化ができるような措置を検討すべきであるという意見がございますが,もし,この点について,○○委員,補足的な御意見がおありであれば御発言をいただきたいと思いますが,いかがでしょうか。 ● ここの「申請の方式」のところでございますけれども,そもそもこの電子登録債権で,業務規程によるという規定がたくさんあるわけですね。この業務規程で自由に選択ができるということでこういう趣旨でそうしているわけですけれども,果たして中小企業にとっては本当に自由に選択できるのだろうかというところにそもそも私はちょっと疑問を持っておりまして,管理機関を選択するだけの的確な情報を中小企業は果たして十分に持っているだろうかと。あるいは,そういうものを比較検討するようなスタッフとか時間的な余裕というものが中小企業にはあるだろうかということとか,それから,やはりいろいろな取引をしている中で,例えば大企業の方が,自分のところはどこそこの管理機関を使って取引をするよということで,そういうものに従わざるを得ないというケースの方が私は多いのではないかと。  そういうことから言うと,業務規程でいろいろなことが選べるよということがむしろ弊害をもたらすのではないかなということで,この申請の方式についても,管理機関によってまちまちであるというのは,私は本当に使いやすい制度になるのかどうか。そういうことからいけば,フォーマットや何かができることならば標準化されていると。これを法律で定めるのがいいのか,例えば銀行協会みたいなところが,運用ルールとしてこういうふうに決めて,こういうふうに登録してくれればいいよと決めるのか,その辺はどちらがいいのかというのは私もよく分かりませんけれども,やはり申請のフォーマットというものは一本化されている方が中小企業としては使いやすいと。そういうふうなことを考えますと,この辺はぜひ標準化をしていただいて,どこへ行っても,どの管理機関を使おうが,同じやり方をすればいいのだよとなっていることが必要だと考えているということで,このような意見をここに述べさせていただいたということでございます。 ● 今の御意見ですけれども,電子登録債権を利用されるニーズとしてはいろいろなものがあるだろうということが言われておりますよね。1つは手形代替のようなものもあれば,一括決済というものもあり,それから,シンジケートローンの流動化というようなことも言われておりますし,ほかにもいろいろなニーズがあり得ると言われておるわけですけれども,それによって,当然のことながら,登録すべき事項とかは変わってくるわけですよね。  ですから,○○委員がおっしゃっておられるのは,例えば手形代替なら手形代替として使う場合には,どこの管理機関であろうが同じフォーマットになるようにすべきだと,こういうことをおっしゃっているのですか。それとも,手形代替であろうが,シンジケートローンであろうが,全部同じになるべきだということですか。それはあり得ないと思うのですけれども。 ● その点は,私どもの考え方は,売掛債権ということについて申し上げているつもりです。  1つの例として,今はeコマースというのがございますね。ああいったものを,コンピューターを通じて取引をするということが中小企業の場合にどれだけ使われているかというと,ほとんど使われていないのですね。これは,例えばある大企業と取引をするといった場合に,A社はこういう形で部品調達をしたいということで言ってくると,いちいちA社のフォーマットに合わせた申請をしなければいけない。今度は,B社は,俺のところはこうだよ,C社はこうだよというふうなことを言ってきて,極端なことを言えば,結局いろいろなフォーマットを全部中小企業というのは,取引先の数の分だけ用意しなければいけないというふうなのはかなわないよねと。それでeコマースの利用が余り伸びていないような現実の問題があるわけです。もし仮にそういったもののフォーマットが一本化されていれば,もっと使いやすく,eコマースも伸びていくかもしれないという問題が,この電子登録債権でも同じ問題が出てくるのではないかなというふうなことを心配しているわけです。 ● 先ほど,法制レベルの問題なのか,あるいは,運用ルールのレベルの問題なのかと御自身はおっしゃったのですが,どちらのレベルの問題として議論されるのが適当だとお考えでしょうか。 ● 例えば,今,手形というのは非常に一般化して使われていますね。手形というのは,例えば手形のフォームは一定のフォームですよ,金額はどこに書きます,振出人の住所,氏名はどこに書きます。私は,これが法律で決まっているのか,銀行協会ベースで決めて,それにみんなが従うのかはわかりませんけれども,要は,そういった形でルール化されていれば混乱がなく一般的に利用されるようになりやすいのではないかと,そういう形で標準化されることが望ましい,あるいは必要であると私は思っているということでございます。 ● そうしますと,手形の場合は全銀協でお定めになられたルールに従って統一手形用紙というのが使われていますので,これは管理機関が別に銀行には限らないかもしれないのでいろいろなところが入るかもしれませんから全銀協というわけにはいかないのかもしれませんけれども,何らかのデファクト・スタンダードを将来つくられることが望ましいという,そういう御議論であると整理させていただいてよろしいでしょうか。 ● 今,その場合に,管理機関というのは,○○幹事がおっしゃるように,いろいろなところがやるかもしれないというと,やはり銀行協会というわけにもいかないだろうなと。そうであれば,この法律の中に組み込まれればすっきりするねというような考え方なのです。 ● 法律でフォームまで定めるわけにはいきませんので。 ● だから,フォーマットというか,その辺をどうするか私は専門家ではないのでよくわかりませんので,検討していただきたいと,研究すべきだろうと思っておりますけれども。 ● 御議論はよくわかりましたけれども,法律の中に方式までというわけにはいきませんので,いずれかの段階でそういう議論をしていただく必要があるだろうとは思います。  ほかにこの申請の方式等につきまして御意見等はございませんでしょうか。  ないようですから,それでは,これにつきましてはこの中間試案のまとめのとおりということで。  続きまして,この中間試案の第1の4の(5)の「不実の登録についての管理機関の責任」の問題と,あわせて,(6)の「申請権限のない者の申請に基づき登録をした管理機関の責任」,この問題に移りたいと思います。  これらの論点につきましては,中間試案の作成の際のこの部会での御議論と同様に,関係各会の意見も分かれているわけでありますが,いずれの論点につきましても,実務界は,管理機関となる側だけではなく利用者となる側も--弁護士会は無過失責任ということでありますけれども--弁護士会を除きますと,証明責任転換案というものに支持が集まっているという状況にあると思いますが,このような意見照会結果に基づいてこの問題については証明責任転換案で取りまとめていくことについて,学者あるいは弁護士の委員あるいは幹事の皆様の御意見をお伺いしたいと思いますが,いかがでしょうか。  ○○委員,いかがでしょうか。弁護士会はいずれについても無過失責任と強い意見ですが,ただ,無過失については困るという強い反対の意見も書かれているところでありますが。 ● お互い過失がない者同士の間でだれが損失を負担するのかという観点からは,誰の支配領域で起こったかという観点から管理機関の責任でいいのではないかということで,日弁連の意見もそういう意見になっておるわけです。  確かにリスクを保険等に転嫁できないという御指摘もそのとおりかもしれませんので,リスクを必ず転嫁できますよという部分については正しくないのかもしれませんが。あと,もちろん管理機関の側に立たれる団体がすべて過失証明責任転換案というのは理解できるのですが,果たして利用者というのは全部そういうふうになっているのか,今,部会長はそういうふうにおっしゃって,22ページでも過失の証明責任転換案というのが,これは,利用者,団体,皆さんがそういう意見でまとまっているということなのかどうかちょっとよくわかりませんが,もしこの制度を利用するすべての関係者が,弁護士以外はこれでいいと言っているのであれば,あえて固執する理由,正当性がなくなるのかなとも考えておりますけれども。  あと,中間的に不可抗力というのは,その間を採るというような折衷案的なものだったので,必ずしも賛成が多くないのかもしれませんけれども,1つの落としどころではあるのではないかと個人的には思っておりますが。 ● 今の○○委員の利用者はみんな果たして証明責任転換案に賛成なのかというところですけれども,22ページから23ページを御覧いただきたいのですけれども,経済関係団体がこの案に賛成でして,これらの団体はどちらかというと利用者側の企業が多い団体かと思います。それから,23ページの方中小企業団体も合理的な範囲での免責が認められるべきだという御意見で,これは,中小企業者は当然これの利用者側で管理機関側になることは普通ないわけでございますので,そういう意味からすると,管理機関になられることが想定される団体のうちの一部のもの以外は,実務界は過失の証明責任転換案に傾いているということは言えるのだろうと思います。 ● それでは,この問題につきましては,先ほど御紹介しましたような意見状況でありますので,この意見照会結果に基づきまして,証明責任転換案ということで,当部会では取りまとめていきたいと思います。  それでは,中間試案第1の関係はこの程度にしたいと思いますが,この第1のところについて,今まで指摘がなかった点につき御意見はございますでしょうか。  よろしいでしょうか。  それでは,第1の関係はこの程度にさせていただきます。  中間試案第2の「電子登録債権の発生」に移りたいと思います。  まず,2の「発生登録手続」の(1)のaの「必要的申請事項」の⑤でありますが,これについては共同相続の場合の変更登録のやり方の問題とセットで検討する必要があります。先ほど紹介されたとおりでありますが,中間試案の第6の2の(1)のcのロ,63ページでしょうか,これに対する意見照会結果とあわせて御覧いただく必要がありますが,今扱っておりますこの「必要的申請事項」の方についてはA案支持が多数を占めたわけですけれども,B案支持も相当数あったという状況でありますし,また,この63ページの「変更登録」の方につきましてはB案支持が比較的多かったわけですけれども,B案かC案のいずれかにすべきとの意見などもあったわけであります。  これらの論点につきましては,中間試案の作成の際の当部会での御議論では,研究者の委員の中に,必要的申請事項の方について可分債権というA案をとりながら,変更登録の方についてはB案やC案を採ることができるのかという御意見もあったわけですが,この意見照会結果ではその点は余り問題視されていないと受け止めることができると思います。  そこで,このような意見照会結果を踏まえて,必要的申請事項の方については可分債権とするA案を採る一方,変更登録の方につきましては,少なくとも債権者の共同相続の場合につては共同相続人全員の申請を要するとするB案ないしC案について次回以降にさらに議論を続けると,そういう方向性を出すということでよろしいかどうか,主として,研究者の委員あるいは幹事の方々の御意見もお伺いしたいと思います。  いかがでしょうか。  必要的申請事項の方については可分債権とするA案を採ったらどうか,変更登録の方についてはB案ないしC案,少なくとも債権者の共同相続の場合については共同相続人全員の申請を要することになるB案ないしC案について次回以降こういう方向で取りまとめていったらどうかということですが,この点について御意見等をお伺いできればと思いますが。 ● 今の点なのですけれども,部会資料11の64ページを御覧いただきたいのですけれども,真ん中より少し上に「単独で自己分のみの変更登録を認めるもの」を支持する理由として寄せられた意見が挙がっていまして,これは非常に論理的な意見で,可分債権・可分債務として相続されるならば,単独で自己の相続分についてのみ変更の登録の申請をすることができると解すべきだという御意見なのですね。つまり,可分かどうかということと誰がどういう登録の申請ができるかということは裏表なのだというような御議論もございますが,大勢はそうではなくて,可分なのだけれども登録は全員でやらなければいけないという考え方が比較的多いわけですけれども,それはおかしいのではないかというこの御意見,あるいは,その上に挙げている御意見も,自己分ではなくて全員分ができるというところは違うのですけれども,似たような考え方ではあろうと思いますので,そういう論理面から問題があるのではないかという意見について,そうではないと言えるのかどうかということを研究者の委員,幹事の方々の御感触を伺いたいのですけれども。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 自分自身で余り理論武装していませんけれども,私はこれで違和感はありませんけれども。可分だけれども,変更登録に関してはみんなでおやりなさいということで問題ないように私は思います。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 研究者ではないのですけれども。  日弁連が,30ページの方ではA案を支持して,64ページの方ではB案を支持しているというのは,判例の原則は確かに可分なのですが,相続の場合はいろいろなことがありますから,遺言があったり相続放棄があるということで,銀行実務は可分説で必ずしも動いていないところがあるわけですから,そういうことも考えると,登録の方については全員でいいのではないかという考えだろうと思います。 ● その法律の理屈から言うと別の議論があるかもしれませんが,実務界の要望は,もちろんこれを全員でやるということにこしたことはないということだろうと思いますが,○○委員,何かございますか。 ● 筋は先ほど御紹介いただきました○○弁護士会のような考え方の方がすっきりしていることは間違いないと思うのですけれども,ただ,可分債権で当然分割としながら登録は共同でということになると,登録前の可分債権というのは一体どういう法律関係になるのかというのはまだよく分からないところです。  ただ,結論として,そういう方向で,うまくこの制度が動いていくということであればそれをどうやって説明するかということになると思いますので,もしこの方向でということであれば,特殊な法律関係を考えていくのか,あるいは,より一般的な法律関係で説明できるのかということを検討するという方向になると思います。 ● ほかにいかがでしょうか。  ほかに御意見はないようですので,とりあえず,前者の必要的申請事項についてはA案を採るという方向で,それから,後者の変更登録の点については基本的にB案ないしC案の方向で検討していくと,さらに理論的な問題が残れば,その点についてはその際に改めて議論をしていただくと,そういうことで今後は進めていきたいと思いますが,そういうことでよろしいでしょうか。  ○○幹事,何か。 ● ○○委員がおっしゃったことがずっと気になっているのですが。結局,被相続人の口座に振り込まれるという形で支払われると,今度は単独で自己の持分についての払戻請求はできるわけですね,共同相続人は。だから,請求していくときは,電子登録債権を請求していくという形をとるときに困難な問題が生じるということになりますかね。 ● ○○関係官。 ● 今,○○幹事がおっしゃったように,結局,電子登録債権として請求するときには遺産でもめているからなかなか登録ができないということになると思いますけれども,実際に期限が来て銀行口座に振り込まれてしまえば,それはもう今の判例と同じように単独でも請求できる,銀行実務は必ずしもそう動いていませんがそういうところで処理されるというような流れになるのではないかと思います。 ● では,この問題についてはさらに先ほど指摘しましたような方向でまず議論をしていただこうということで。  それでは,中間試案の第2の2の(1)のaの⑤以外の部分について,このどの項目についても賛成が大多数でございますが,③と⑥と⑨については異なる意見が一部寄せられております。そこで,これらの意見で次回以降に取り上げて議論すべきものがあれば御指摘をいただきたいと思いますが,いかがでしょうか。  特にございませんでしょうか。  それでは,ないようですので,これらの点については特に取り上げないということで。  それでは,ここでちょっと休憩を入れたいと思います。           (休     憩) ● 時間になりましたので,再開をしたいと思います。  まず,この中間試案の第2の2の(1)のbの「法定の任意的申請事項」に移りたいと思います。  まず,この⑦の「善意取得及び人的抗弁の切断に関する事項」について,A案の支持が大多数を占めておりますが,C案の支持も相当数あり,また,B案の支持も若干あったと,そういう状況でございます。  この問題は,第3の2の「自由譲渡性」の問題とも密接に関連するものであります。34ページにございますが,自由譲渡性については,A案とB案に意見が半分半分に分かれている,そういう状況であります。そこで,これらの論点については,本日,一定の方向性を出すことは無理かなと思われますので,時間の関係も考慮して,これらの論点についての議論は本日は行わないで,次回の会議における議題の主要なものの1つとして取り上げたいと思いますが,こういう扱いでよろしいでしょうか。  それでは,そうさせていただきます。  次に,中間試案第2の2の(1)のbの「法定の任意的申請事項」の⑦以外の項目に移りたいと思いますが,まず,この⑥につきましては,譲渡の回数と相手方の制限は認めるべきではないとの意見が寄せられております。また,○○幹事から,任意的申請事項として,登録された事項の効力が譲受人に対しても及ぶかどうかを明確にすべきであるとの御意見が出されております。なお,この前者に関しましては,(2)の「管理機関による登録」に関してではありますけれども,同じ団体から,業務規程によって譲渡の回数と相手方の制限をすることも認めるべきではないという意見が寄せられております。また,この後者に関連しましては,すぐ次にございますCでありますが,法定外の任意的申請事項についてのものではありますけれども,○○幹事のほか,実業界の一部からも同様の意見が出されております。  そこで,これらの意見もまとめて議論をしたいと思いますが,まず,この前者の点,譲渡の回数と相手方の制限は認めるべきではないというご意見でありますが,この前者の点について,○○委員から補足をしていただければと思います。続きまして,この後者の点については,○○幹事から,補足すべき点があれば補足をしていただければと思います。  まず,○○委員,いかがでしょうか。 ● この譲渡の問題については,そもそも先ほど次回に検討しようということで議論しております自由譲渡性の問題とも絡んでくるわけですけれども,やはり,そもそもこの電子登録債権というものはいわゆる中小企業の資金調達であるとかこういう資金決済を円滑にするということが目的であったわけでありまして,これはやはり電子登録債権を通じて取引を決済するというこの取引決済の手段でございますので,この取引そのものが,まず基本的に,だれとどう取引をしようが当然自由であるということでございます。  したがって,その結果,例えば取引の決済をこの電子登録債権を使って行うというときに,電子登録債権を通じて譲渡をすることによって資金決済をしようという使い方が当然あるわけでございますけれども,こういう相手方が誰であるかというのは取引の結果出てくるものであって,これが場合によっては制限されるというふうなことは好ましくないと。それから,回数についても,仮にこの管理機関が5回とか10回とか決めたと,回ってきたものが既に5回あるいは10回,その制限回数いっぱいまで譲渡が繰り返されたものを最終的に受け取ったといったときに,もうこれは目いっぱいですということで,銀行に割引をしようと思ってもこれもできないというふうなことがあっては,何のための譲渡性というか,自由に決済に使える,あるいは資金調達に使えるという本来の目的から外れてしまうのではないかということを危惧しているわけでございます。したがって,そういったものに制限をつけるべきではないと考えている次第でございます。 ● わかりました。  ○○幹事,何かつけ加える点はございますでしょうか。 ● 任意的登録事項に関する部分でしょうか。 ● はい。 ● この点はこの部会でも既に何度も出てきたところなのだと思いますけれども,改めて全体を通して見たときに,電子登録債権は金銭債権であると書かれてはいるのですけれども,その実,いろいろ任意的登録事項として,権利行使に対する制限ですとか,あるいは,シンジケートローン的なものも考えますといろいろな義務のようなものも書き込めるようになっているといった場合に,電子登録債権として書かれたものがどのようなものとして発生しているのか,債権として発生するのでしょうけれども,その債権の権利行使にどういった制約がついているものとして発生しているのかということに関して余り明確でないとしますと,それを取得しようとする人が,その債権の実際の価格を,実際にそれをどう評価して,どれぐらい価値のあるものとして評価していいかというのはかなり分かりにくくなるのではないかなというふうな問題,関心から,できる限り明確にできるような工夫をすべきであるということを申し上げさせていただきました。  しかし,これもまた先ほどの論点と同様で恐縮なのですが,任意的登録事項の中にも権利の行使を制限する,そういう意味では債権の内容と言っていいように思われるものもある一方で,例えば支払先口座などというものは,どんなに書かれていてもそれで譲受人を拘束してもらっては困ると思いますので,いろいろなものが混在していると,その中で本当に債権の内容として関連するものを拘束する部分は何なのかと,これは本当に大問題で,私がうまく名案を出せるようなものではないかもしれませんけれども,ただ,何か新しい法律をつくるときにどういうものとして発生しているのかということについてもう少し明確なルールづけができた方がいいのではないかというふうなことで。この点についても,私自身ももう少し考えまして,より具体的な御提案ができればいいとは思いますけれども,何かそこは工夫をする必要があるのではないかなというふうなことでございます。 ● ありがとうございます。  それでは,これ以外の任意的登録事項についても幾つかの意見が出されておりますが,今,○○委員,○○幹事に御意見をいただきましたが,それらも含めて全体で御意見がございましたら御発言をお願いしたいと思います。  最初に,あるいは○○委員の御発言に対して,何か御意見等がございましたら。  ○○委員,どうぞ。 ● 譲渡回数の制限のところで,これはこれまでの部会でも同趣旨の発言をしておりますけれども,結局,譲渡回数を無限に認めたときのシステム的なコスト,運営のコストといったものをどう考えていくかという中の論点だと思いますので,引き続きそういった観点から,本当に無限のものを認めていいのかということを御検討いただきたいと思います。我々,管理機関を多分やるのであろう立場からすると,無限に譲渡できるものを前提にしてシステムを組むというのは非常に厳しいなというのが実務的な感覚でございますので,そういった側面から引き続き検討をしていきたいと思います。 ● 譲渡の相手方の制限もすべきでないという,その点についてはいかがでしょうか。 ● 譲渡の相手方の制限につきましても,これは債務者の側からしますと,一定の相手方であれば譲渡をされてもいいと考えるケースは当然あると思いますし,制限をつけてはいけないということになると電子登録債権化には応諾しないと,ですけれども,一定の制限つきであれば応諾するということで,これをつけることによってかえって電子登録債権化される可能性が高まるということも言えると思いますので,そうした意味からいきますと,譲渡制限をつけるということも有用な局面というのは当然あるだろうと思います。 ● 今,○○委員から,当事者,債務者の側から相手方を制限するというニーズがあるというお話があったわけですけれども,私は管理機関にもそのニーズがあると思うのです。というのは,管理機関としては,例えば管理機関と基本契約を結んでいない人,どこのどういう人かわからない人に譲渡されることも認めるということになると本人確認とか代理権の確認とかで物すごく大変になりますから,これは先ほど議論があった責任問題にも関係する問題で,責任を負わないようにするという観点からは,管理機関ときちんと基本契約を締結してIDとパスワードをもらった人だけしか譲受人になってもらっては困りますという制限をする必要があるのではないかと思います。  それから,後の方で出てくると思うのですけれども,支払等登録と支払との同期性の確保ということも非常に大事な課題なわけですけれども,そういう観点からすると,同期性が確保できないような人,例えば銀行に口座を持っていない人とか,そういう人に譲受人になってもらっては困りますとかということも当然あり得るのではないかと思うのですけれども,いかがでしょうか。 ● その点はおっしゃるとおりだと思います。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 今のお話で言うと,では,発生のときに相手方というのは,同じように,登録先でなければだめだとか,そういう問題が出てくるのではないですか。 ● それは当然出てくると思います。発生のときから債権者・債務者ともに管理機関との間で基本契約を結んでいる人ということに普通はなるのではないかと思いますが,そうでなければならないということに法律上制限がされるとは思いませんけれども,実務上はそうなるのではないのでしょうか。○○委員,いかがですか。 ● おそらくその仕組みの中でこの債権者・債務者に使ってもらうということが必要になりますので,それを無制限にするということになると,今,○○幹事がおっしゃられたように,相手方の確認というところで管理機関としては非常に重い責任を負わされてしまうのかなと。当然,管理機関となるべき組織というのがその相手方を完全に知り得る立場にあるのかどうかというところは非常に問題になってしまうのかなと思いますので,やはり管理機関の立場からいくと,発生の段階あるいは譲渡の段階で相手方の制限というのはある程度かけざるを得なくなってしまうと思っております。 ● 先ほど統一手形用紙の話が出たと思うのですけれども,手形だって当座預金を持っていない人は利用者にはなれないのですよね。それと同じような制限は当然あってしかるべきなのではないでしょうか。 ● それは,債務者は恐らくそうなのだろうと思うのですね。でも,権利を持っている人,債権者というのは,何も必ずしも管理機関とお付き合いがあるかどうかということは言えないわけですね。そのときに,新たに発生したときにも,当然やる以上は本人確認ということが必要になるのだろうと思いますけれども,管理機関から見れば,それは発生したときの相手方というのを,無限の人を相手にしなければいけないかもしれませんね。譲り渡したときでも,譲受人というのはどなたが当事者として出てくるかということはわからないということにおいては,そういう意味での確認の負担というのは一緒なのではないですかね。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 問題の所在は,私なりに,こういうことかと思うのですね。つまり,原則論はやはり○○委員がおっしゃるとおりなのだと思うのです。ところが,例えばシンジケートローンに使うとか,系列企業内の決済に使うというようなことで,○○幹事がおっしゃったような形で,発生時からこのサークル内でしか動かない電子登録債権にしたいと,こういう希望は現実にあると。だから,そういう意味で,相手方制限というのはある程度必要なのではないかと,こういうお話なのだと思うのですが。  そのニーズは確かに私もわかる。ただ,○○委員が危惧されているのは,例えば商品を納入して電子登録債権の債権者となる中小企業としては,その段階で,力関係で,債務者側からそういう相手方制限のついた形での登録をさせられてしまうと,そこから先,自分の資金調達のために動かせる相手が限定されてしまうのではないかと。だから,私は,シンジケートローンとか系列企業内の決済処理のためにも,最初から動くサークルを決めてある,そういう必然性のある電子登録債権は存在すると思うので,そのための相手方制限というのは理由があると思うのですが,大企業が,そういう必然性のない場合でも,法律上,何もこうやって相手方制限をつけられることになっているのだからということで,勝手にといいますか,かなり恣意的に相手方制限をつけてしまうような風潮が出てきた場合に,中小企業としてはやはりこの電子登録債権を使っての資金調達は制約される場面があるのではないかと,こういう御心配があるのではないかと思うのですね。  それから,加えて言えば,先ほどの回数制限の方は,これは○○委員の御発言にあったように,恐らくは,もっぱら,管理機関の技術的な問題だと思うので,この回数制限は制限をする回数の問題だと思うのです。4回,5回なんていうことになれば,○○委員がおっしゃられたように,回ってきたときにはもう動かせないということがあるかもしれないけれども,10回,20回ということになれば,普通の債権では20回も30回も移転するなんていうのはやはりちょっと異常な債権であるということになるのであって,ですから,こちらは常識の範囲内で議論ができるものではないかと。  ですから,繰り返しますけれども,相手方制限は必然性のある債権とそうでない債権をどうやって区別できるのか,濫用されないことはどういうふうに確保できるのか,このあたりがポイントではないかと私は見ております。  以上です。 ● ○○委員,ありがとうございました。  今のお話なのですけれども,この中間試案の補足説明にも書いたことですけれども,この中間試案というのは業務規程に委ねるところが非常に多いわけですけれども,その業務規程というのが恣意的に作られることは決してないということを前提にして,つまり,それは,今後,金融審議会で議論される事柄ではありますけれども,当然,業務規程については金融庁さんの認可とかそういうものにかからしめられて,必要もないのに今おっしゃったような濫用的な制限がついたようなものは認可されないと,あるいは,間違って認可されても変更命令が出されるというようなことになるという前提で物事を考えているのですけれども,そういう処理でもそれはそれで解決はつくのではないかと思うのですが,いかがでしょうか。 ● 恐らくは○○幹事がおっしゃられたような処理でいけるのだと思いますが,ただ,一方で,いろいろな最近の立法について,その法律を見ただけでどこまで分かるかということがその法律の信頼性につながるのだという議論が強くなってきておりまして,業務規程であるとか,規制規則であるとか,そういうものまで見ないと全部分からないという法律は必ずしもいい法律ではないという議論が一方にあるわけでありまして,その辺の兼ね合いも考えた上で今のような処理で足りるかどうかということを御検討いただければと思います。  以上です。 ● この点については,なお,具体的な議論を進めていきたいと思います。  それから,○○幹事の御意見についてですが,余り具体化はまだ,つまり,内容のあるものかどうかということの振り分けについては,必ずしもまだ具体的な御議論にはなっていないのでしょうか。 ● 何らかの条文を置くとしたとして,こういったようなものについては関係当事者を拘束するけれども,これは拘束しないというばちっとしたものができれば,それはあった方がいいと思いますし,そうでないとなかなかシンジケートローンのようなものだとかなり使いにくいのかなという感覚を私自身は抱いておりますので,研究して御報告できるよう努力をさせていただきたいと思います。 ● わかりました。  ほかにこの項目について御意見はございますでしょうか。  なければ,それでは,今出されました点についての御意見等についてはさらに議論をしていただくということで。  続きまして,中間試案第2の2の(1)のcの「法定外の任意的申請事項」に移りたいと思いますが,一部のご意見として,登録事項はすべて法定すべきであるとの意見も出されていますが,法定外の任意的申請事項を認めることに賛成する意見が大多数でありますし,いろいろな利用形態が将来生じる可能性がある電子登録債権について,申請事項,登録事項を政省令にせよ限定列挙するというのは困難であります。将来の利用を阻害するおそれがありますので,中間試案どおり法定外の任意的申請事項を認めるという,そういう方向にしたいと思いますが,そういう方向で進めるということでよろしいでしょうか。  それでは,特に御異論はないようですので,この中間試案どおりということで進めたいと思います。  それでは,次に,中間試案第2の最後の3の「管理機関による登録」に移りたいと思いますが,登録原簿記載日と登録日を同じ日とすべき旨の意見が出されておりますが,先ほど事務当局から説明がありましたように,ここで言う登録日というのは登録をした日という意味であるというわけでありまして,不動産登記における登記日と同じく,登録原簿への記録日を登録日として記録することになる,そういう理解でありますが,それでよろしいでしょうか。 ● この意見は起案者において誤解があったようにも思います。もともと意見の方は申請日と登録原簿記載日は違うのだろうかという疑問形で書かれていたもので,それは正していただいてありがとうございます。  ここで次に言っていることは,申請日と登録日までの間,期間の問題ですけれども,今,もともと試案は,将来の日を登録日とする申請を認めるという前提で書かれておるわけですが,これが例えば1年先に登録してくれというような申請を認めるということになると,その間いろいろ間違いが生ずることはないかなと,余り長い期間を認める必要性はないのではないかという議論がありまして,一定の期間制限を設けたらいいのではないかというような意見が出されて,それもそうだなということで意見として書いているという次第です。そこについては1年先でも2年先でもいいのかということなのですけれども。 ● 確かにそれはおっしゃるとおりだと思うのですけれども,もう既に議論をいただいた申請の方式等は業務規程で定められるということにしていますので,そんな余りにも先日付のものは受け付けませんということも業務規程で各管理機関は定められると思うのですね。それで対処できるのではないかと思っていたのですけれども,それではまずいのでしょうか。 ● 法律に書かなくてもそれで対処できればいいと思いますけれども。 ● 遅滞なくという点についてもよろしいですよね,先ほど事務当局から御説明いただきましたが。 ● そうですね。法制上はそういうふうにならざるを得ないというところであれば仕方ないのですけれども,書いた人の気持ちとしては,そういう始期付きではないものについてまで遅滞なくというところまで落とす必要はないのではないかと,普通の原則のものは直ちにということでできないのかというところがあったものですから,そういうことの使い分けができないというのであれば仕方ないですが。 ● では,遅滞なくというこの中間試案のまとめで進めたいと思います。  それでは,この中間試案の第2の「電子登録債権の発生」につきましてはこの程度にしたいと思いますが,何かこの第2について御意見はほかにございますでしょうか。  それでは,御意見がないようですので,第3以降に移りたいと思います。  まず,この第3の「電子登録債権の譲渡」から第5の「登録保証等」までの部分について寄せられた意見の状況につきまして,部会資料11に基づいて事務当局から説明をしていただきます。 ● それでは,第3から第5まで御説明をさせていただきますが,その前に,実は○○委員のお机と○○委員と○○幹事のお机のところに意見書の束を置かせていただいております。これは非常に大部なものですので,1つの列に1つだけ置かせていただいておりますので,適宜御覧いただいて,回覧をしていただければと。非常に大部なものですから,全部コピーするのがちょっと大変だったものですから,3部だけコピーをとらせていただきましたので,回覧をしていただくようにお願いいたします。  それでは,第3から第5について御説明をさせていただきます。  第3の「電子登録債権の譲渡」でございますが,1の「譲渡による移転の要件」については賛成意見ばかりでございました。  次の「電子登録債権の自由譲渡性」は先ほど御審議いただきましたので飛ばさせていただきまして,その次の3の「譲渡登録手続」でございます。このうち,(1)の「当事者の申請」のaの「必要的申請事項」の⑤について,必要的申請事項を業務規程に委ねることには反対するという御意見が出されています。これは先ほど御議論をいただいた法定主義をとるべきだという御議論に基づくものですけれども,これは先ほどそれは取り上げないということで整理していただきましたので,ここでも取り上げないということになるのだろうと思います。  次のbの「法定の任意的申請事項」でございますが,①のハ,つまり,一部譲渡をする場合の申請事項として,一部譲渡の回数制限の登録がされているときには,さらに一部譲渡をすることができる回数を申請しなければいけないというのは削除して,管理機関が譲渡の回数をシステム的に決め,自動的に処理できるようにした方がいいという御意見をいただいております。  しかし,ここは既に中間試案を御審議いただくときに御説明したと思うのですけれども,例えば譲渡の回数5回は少なすぎるというお話がちょっとあったのですけれども,計算しやすいように5回にさせていただきますけれども,仮に5回となっているときに,1回分割譲渡しましたと,そうすると1回使っていますので残り4回なのですけれども,残り4回を元の方で何回使えて譲渡を受けた方で何回使えるか。つまり,2・2に分けるのか,1・3になるのか,3・1になるのか,あるいは0・4になるのか,4・0になるのかという,そういう問題ですけれども。これというのは,管理機関が決めるべき問題ではないはずで,当事者がもともと譲渡の回数制限をしているわけですから,当事者がその判断で選ぶべきものだろうと思うのですね。ですから,管理機関がシステム的に決めて,自動的に処理をするといっても,一体0・4から2・2までどういうふうに分けるのかという問題があると思いますし,それを管理機関側で決めるというのもおかしいのではないかなと思うのですけれども,その点についてさらに御議論をいただければと思っております。  次でございますが,既に申し上げたことと重なっている部分は飛ばさせていただきまして,38ページの(2)の「管理機関による登録」のaの「原則」の「その他の意見」でございますが,譲渡登録が行われた場合に,管理機関から債務者へ通知するという制度を設けた方がいいのではないかという御指摘をいただいておりますので,これを御議論いただければと思います。  これは債権譲渡通知みたいなイメージなのかと思いますけれども,そこまでそういうことをサービスとしてやる管理機関があってももちろんいいと思うのですけれども,手形の場合だと今どこにあるかというのは分からなくてもちゃんと支払われるわけですので,そういうものだってあっていいはずですので。この意見をお出しいただいた方の一方は「有用」という言葉しか使われていませんのでしなければいけないということにはなっていないのですけれども,もう一方の方は譲渡を知らせることが「必要」と書いておられますけれども,そこまでやる必要はないのではないのかなと思うのですが,そういう整理でよろしいかどうかを御議論いただければと思います。  次に,39ページですが,4の「譲渡登録の効力」の(1)の「権利移転の効力」のところの「その他の意見」ですけれども,原因債権に付随する債権を任意的申請事項として申請され,記録されていなければ電子登録債権に付随して移転しないのか,それとも付随して移転するのか,さらに,移転する場合には移転する根拠及び範囲について明確にすべきだという御意見が出されております。  この御意見自体がややよくわからないのですけれども,原因債権に付随する債権は電子登録債権とは別の債権ですので,本来的には電子登録債権の譲渡とは関係がないはずであります。記録されていてもそこで直ちに移転するのかどうかということになるわけでもないので,先ほど○○幹事から御説明がありましたけれども,それは権利の内容を構成するような形になっているかどうかで決まるということに恐らくなるのでしょうけれども,それに一律に規定を設けるのは,○○幹事からも先ほど御指摘がありましたが,なかなかそう簡単にできそうもないということでもあるわけでございますので,そういうことを踏まえて何かコメントをいただければいただきたいと思います。  それから,飛びまして40ページですけれども,ここは大きな問題ですけれども,「人的抗弁の切断」の「例外」についてでございます。ここは,A案とB案が,A案が悪意の抗弁を認めるという説で,B案がいわば客観説で,登録されているかどうかで決めるという案ですけれども,意見の分布状況としてはA案支持の方が大多数という状況でございました。  出ている意見は部会でも指摘されたものが比較的多いと思うのですけれども,B案を採ると,債務者が想定し得るあらゆる抗弁を登録することになって,かえって債権の内容が複雑化して,結局,流通性を害するのではないかというような意見も出されているということと,それから,詐害的な意思を持った譲受人との関係でも弁済を強いるのは妥当ではないという意見もいただいているということでございます。  それから,今まで出ていなかった議論としては,41ページの上から3つ目の「・」ですけれども,業務規程により法定外の任意的申請事項が制限されているようなときは,抗弁の一部が登録できずにその対抗が認められないということになりかねないと。これは確かにそのとおりなので,そういう問題はあるのかなと思います。それから,理屈の問題として,ここは私はよくわかりませんけれども,悪意の抗弁の問題は,詐欺の禁圧という公序に属する問題だから,悪意の抗弁は出せるとせざるを得ないのではないかというような指摘もされております。  次に42ページの(4)の「消費者保護」でございますが,これは先ほどの問題と同じ問題でございますけれども,やはり賛成意見が多数でございます。法人限定というような形で処理をすべきという意見もありましたけれども,先ほど御議論いただいたとおりで,それはとれないということでございます。  ただ,先ほど出ていたこととはちょっと違う意見,ここだけなぜか出ているのですけれども,42ページの「その他の意見」の2つ目の○ですけれども,小企業や零細事業者についても善意取得の規定の適用の範囲外にすべきではないかというような御意見が出ています。それから,規定の書き方の問題かとは思うのですけれども,善意取得の例外の部分について,消費者が無権利である場合,つまり,権利が転々流通するその途中に消費者がいて,消費者自身が盗んできたということはないのですけれども無権利者であるときも,この表現だと善意取得の規定の適用がないように思えるということなのだろうと思いますので,表現についてはさらに考えたいと思います。  ただ,この小企業とか零細事業者も善意取得の規定の適用の範囲外とすべきだという御意見につきましては,これは普通の場合でもやはり消費者かそうでないかという区別で議論されているわけで,小さいといえども事業者についてまでこういう扱いというのは,ほかの法制とのバランスからいっても,電子登録債権だけそういうことをするということはちょっと考えがたいのかなと思いますけれども,それでよろしいかどうかということを御議論いただければと思います。  それから,全然逆の議論として,43ページの上の方ですけれども,人的抗弁の切断はいいのだけれども,善意取得の規定の適用は,動産の譲渡の善意取得などから考えると,消費者だからといって善意取得の規定の適用を除外するのは妥当ではないという御意見をいただいております。そこをどう考えるかということの御議論をいただければと思います。  それから,その下ですけれども,債権譲渡における異議なき承諾に類するものを認めることも考えるべきだという御指摘がございますが,これは任意的登録事項として譲渡については異議をとどめないとか何とかというのを書いておくというようなことが考えられるのかどうかとか,余りいいアイデアが浮かばないのですけれども,そもそもそういうニーズがあるのかどうか自体もよくわかりませんけれども,あるいは○○委員が何かこれについて御存知であれば教えていただいて議論をする必要があるかもしれませんので,よろしくお願いいたします。  それから,次の「支払期日後の譲渡登録」でございますが,支払期日前の譲渡登録と同様の効力を有するものとするA案と,第三者保護規定の適用を除外するというB案があったわけですけれども,意見照会の結果はB案の方が圧倒的に多いという結果でございました。  意見の理由も大体は部会で出たものだと思うのですけれども,44ページの上から3つ目の「・」の意見ですけれども,これも部会でも出たと思いますけれども,支払はともかくとして,相殺とか時効の援用については同期性の確保はできないのだから,そういうことも考えるとB案が妥当だという指摘がされておりまして,一理ある御指摘かなと思いました。ただ,B案が多数なのですけれども,その支払期日という概念の分割払の場合の取扱いをどうするかという問題もございます。これについては44ページの後ろから45ページにかけて書いていますけれども,余り寄せられた意見が多くないのですが,両論に分かれているという状態でございますので,さらに御議論をいただく必要があるのかなと思います。  その次,第4の「電子登録債権の消滅等」に移らせていただきますが,1は特に申し上げることはないのですけれども,2の「支払免責」はまたA案とB案に分かれておりますけれども,ここもA案を支持する意見が大多数ということでございます。ただ,これについては,実務界では,二つの団体がB案支持でございます。このうち,一つの団体は,人的抗弁の切断の方はそうはなっていないのですけれども,支払免責の方は,B案支持を言っておられるということでございます。  その次ですけれども,3の「支払等の効力と支払等登録との関係」でございますが,飛んで恐縮ですが,49ページの一番上の「○」のところですけれども,分割払の電子登録債権について,債務者は,毎回支払等登録をしなければ,分割払部分に係る支払済みの抗弁を対抗することができないと考えざるを得ないが,これでは債務者保護に欠けるので,何らかの特則を設ける必要があるのではないかという御指摘がされていますけれども,これは分割払の電子登録債権というものを選択した以上はやむを得ないことではなかろうかということで,これは自己責任なのではないかなと思うのですけれども,そういう整理でよろしいかどうかを伺いたいと思います。  次の(3)の「支払等登録の申請の承諾請求権」の部分ですけれども,現実の運用において,どのように引換えの登録申請が実行されるのかが不明であるという御指摘があるのですけれども,これは不動産登記の場合の登記の申請と引換えに代金を払ったりするのと同じで,一番厳密にやろうと思えば管理機関の窓口で現金の授受と引換えに申請書を出すということになるのだと思います。あるいは,今だとオンラインで申請をしたりすることもありますので,そういうようなことをするということになるのではなかろうかと思っております。  同じような意見で,49ページの一番下の行ですけれども,支払等登録そのものとの同時履行関係を認めるべきだという御意見があるのですけれども,支払等登録という登録自体は管理機関がするので,管理機関の行為との同時履行ということはできないわけでございます。ですから,不動産登記だって申請との引換給付ということになっていますので,ですから,ここでは承諾との引換給付にならざるを得ないのかなと思いますが,それでよろしいのかどうか,もしも違うということであれば御指摘をいただければと思います。  それから,その次,4の「支払等登録」ですけれども,50ページでございます。賛成意見が多数ですけれども,供託の場合はどうするかという問題の提起があります。これはいささか難しい問題なのかなと思っておりまして,ちょっと今日もしも何か御指摘をいただけるのならば御指摘をいただいた上で次回までに私どもの方でもう少し検討させていただきたいと思っております。  それから,同じ項目のところの「その他の意見」の3つ目の「○」ですけれども,○○幹事から,支払を受領した債権者については,支払等登録の申請を義務付けるべきだという御意見をいただいております。これは○○幹事から理由等を少し付言していただいた上で議論をしていただければと思います。  それから,51ページの方ですけれども,「必要的申請事項」の関係で,「その他の意見」の1つ目の「○」ですけれども,管理機関のシステム上の負担の関係で,一部支払の登録は拒絶できるものとされたいという御意見が出ております。これは中間試案を取りまとめるまでの部会での御審議でも,ここは,一部支払というのをせざるを得ない場合というのがあるわけで,例えば強制執行とか破産とか,それで登録できないというのは非常に問題だという御指摘があって,それでこういう形になってきていると思いますので,この一部支払の登録は拒絶できるということにすることができるのかどうか,それから,する必要があるのかどうかをもう少し,システム上の負担という御指摘なのですけれども,それが何なのかということを○○委員に教えていただきながら,さらに御議論いただければと思います。  それから,次の52ページから53ページにかけての「当事者の申請によらない支払等登録」ですけれども,これを認めること自体には異論はなかったのですけれども,いろいろな御意見をいただいております。例えば52ページの最後の行から53ページにかけてですけれども,送金手続への関与が管理機関としての資格要件への制約として求められることがないよう,十分な配慮が必要だという御意見とか,あるいは,53ページの上から3つ目の「○」ですけれども,送金手続とは為替を取り扱う金融機関によるものに限られることを明確にすべきとか,そういうような御意見をいただいておりますけれども,これは,ここで出されてはいるのですけれども,恐らく金融庁さんというか金融審議会の方に読んでもらいたいということで出されたものかなと思いますが,といってここで議論をしてはいけないということではないのですけれども,金融審議会でもあわせて御議論いただく問題の提起かなと思っております。  それから,ちょっと飛びますけれども,54ページの(3)の「消滅時効」でございます。下から3行目ですけれども,時効消滅した電子登録債権の登録を抹消するための法律の規定の整備を検討すべきという御意見でございます。  確かに時効消滅していてもそのまま放りっぱなしになっているということが起きる可能性があって,これは管理機関の業務運営としても登録だけが残ったままになるというのはまずいと思うのですけれども,これはどちらかというと保存期間が満了すれば消してしまいますので,その保存期間の起算点をどういうふうに設定するかとか,あるいは,その期間をどれぐらいにするかという問題とあわせて議論をするべきことなのかなと思います。これは中間試案のところでも,保存期間については期間とかについて全部一定の期間とかしか書いていないのですけれども,ここは公的な規制の問題とも絡む問題ですので,金融審議会での御議論も踏まえながらこちらでも考えていただきたいと思っております。  次は第5の「登録保証等」ですけれども,登録保証の関係は,実は消費者保護の問題がいろいろな項目で指摘されております。  まず,55ページの1の「登録保証の要件等」の「その他の意見」の上2つですけれども,消費者は登録保証人になることができないとすべきだという意見,それから,登録保証人が消費者である場合の消費者保護制度を導入すべきだという意見が出されております。  それから,飛んで恐縮ですけれども,57ページの上の「その他の意見」の2つ目ですけれども,保証人が消費者である場合には,主たる債務者が消費者である場合と同一の保護をすべきだという,これは独立性との関係でございますが,抗弁の切断とかの関係では消費者保護ということを導入したのですけれども,保証のところにもそういうことを考える必要があるのではないかという問題提起でございますので,その必要性があるのかどうかから,今日は少し感触を伺えればと思います。それを踏まえてまた次回以降に御議論をしていただきたいと思っております。  私から第3から第5までについての御説明は以上でございます。 ● それでは,34ページに戻っていただきまして,この第3以降に移りたいと思います。  この第3の「電子登録債権の譲渡」についてですが,まず,2の「電子登録債権の自由譲渡性」についてでありますけれども,これは先ほどの「発生登録における法定の任意的申請事項」とあわせて御審議をいただきましたので,次の3の「譲渡登録手続」から始めたいと思います。  この項目につきましては,(1)のbの①のハについて,更に一部譲渡をすることができる回数は申請事項とするのではなく,管理機関が自動的に更新処理できるようにした方が簡便であるという意見が出されておりますが,これに対しましては,先ほど事務当局から,自動的に更新処理することができない場合があり,申請事項とせざるを得ないという説明がございましたが,この説明についていかがでしょうか,御異論等はございますでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● 先ほど,譲渡回数をどういうふうに割り当てるかとか,そういったそもそものルールのところは利用者が決めるものだと,その点は全く異論がありませんで,当事者で決められたそのルールを管理機関側で把握して,最初に債権が発生したときにそのルールもいわばそのシステムの中に組み込んで,利用者が分割したい回数,その後の分割できる回数といったところまですべて申請してもらうということになりますと間違いが起きる可能性というのが多いのではないかなということですので,そこのルールは最初のルールさえきっちり決めておけば,何回分割したいかというそこさえ申請してもらえば,後は自動的に決まってくるものだと思いますので,そういう意味で,できるだけ,利用者の間違い,管理機関の間違いといいますか,こういったものを減らすためにも,そこはシステミック的な自動処理にした方が実務上うまく回るのではないかなというふうな趣旨です。 ● そうすると,発生登録の際に譲渡の回数の制限をしようとする当事者は,分割譲渡された場合にどういうふうに分けていくのかというのも全部発生登録のときに決めて申請をしなければならないということになりますよね。それから,その発生登録の当事者が決めたことに後の人は全部拘束されるということになるわけですけれども,本来,譲渡するときに,Aが最初の債務者で,Bが最初の債権者で,BからC,CからDへと譲渡していくというときに,CからDへ分割譲渡したときに,CからDが取得した部分とCに残っている分でそれぞれがどれだけ使えるのかというのはCとDの問題であって,AとBは関係ないのではないでしょうか。だから,それこそ譲渡するCとDが話し合って決めるべき問題で,発生登録のときにAとBに決めさせるというのは何かおかしいような気がするのですけれども。 ● ○○委員,どうぞ。 ● この点は,私は,○○幹事の2回にわたる御説明と御質問の方に全面的に賛成であります。そもそも管理機関というものの性格づけの議論からやはり確認すべきだと思うのですが,私は,管理機関というのは,さっきも申し上げたように,譲渡回数など技術的にこれ以上は無理ですというようなことを管理機関は言えるだけであって,後はやはりその当事者が個々の分割の内容とかはそのつど決めていくべきで,それについての間違いは当事者の方の,申請間違い,あるいは,間違って申請した形で当事者の方に責めが負わされるというか,そういう形で分割がされてしまうのであって,管理機関が余りデータに照らしをするというのは,私が以前から申し上げているように,適切ではないのではないかと思っております。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 回数の制限をつけようとするからこういう議論が必要になるのであって,これをそもそも外そうというのが私の意見でございます。 ● ○○委員,どうぞ。 ● ちょっと繰り返しになりますけれども,管理機関側でどういうふうにルールを決めるかと,そこまで決めようとしているわけではなくて,その決まったルールの上でできるだけ間違いが起こらないようにするためにどうしたらいいかという,そういう観点から申し上げているのであって,そういう意味で,できるだけ客観的なシステム処理に任せた方が間違いは減ると言っているだけでございます。 ● 御意見は,要するに,任せ切れない部分があるので,自動的に譲受人と当事者の間でやる回数について個別的に決めて申請をせざるを得ないことが残るという御説明ですので,多分そのとおりだと思いますので,この点については申請事項とせざるを得ないということになるのではないかと思いますけれども。 ● また全銀協さんで今の議論を踏まえてもっと御検討をいただければと思います。 ● この点についてほかにございませんでしょうか。  それでは,次に進みたいと思いますが,3の(2)の「管理機関による登録」に関しまして,譲渡登録が行われたことについての債務者への通知を検討すべきだとの意見が出されておりますところ,これに対しましては,そのような通知をする管理機関があってもいいだろうけれども,通知を義務づけるまでのことではないのではないかという事務当局の説明はそういうことでしたけれども,そういう取扱いでよろしいでしょうかということですが,特に御異論はございませんでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● これは,譲渡登録されたときに債務者に通知をしない場合,これは持参債務ということになっていますね。そうすると,債務者は最終の権利者に対して送金するなり何なりをしなければいけないわけですね。それで通知がなかったときはどうやってそれを知るのですか。 ● 持参債務という前提自体が違っていまして,前から申し上げていますように,これは振替送金で行われるのが実務上は圧倒的多数だと思います。そうでなければ持参債務ではなくて取立債務という形にならないと困るのだと思います。 ● そうすると,振替というのは管理機関がその最終のところへ振り込んでくれるという理解でよろしいのですか。 ● そうであるかどうかというのもまだいろいろな議論の問題があるのですけれども,そうでない管理機関がもしもあるとすれば,それは,少なくともどこに振り込んでいくかについては管理機関を通じて分かるようになるということだと思いますが。 ● ○○委員,どうぞ。 ● これは,基本的には,電子登録債権の可視性の問題が絡むと思うのですね。つまり,手形であるとどこにあるのか分からないという御説明がありましたけれども,手形でも見ようと思えば債務者はその原本をいつでも見られるわけですから,どこにあるかのチェックというのは債務者側でできるわけで,サービスで情報提供を管理機関がすることは差し支えないと思いますが,この意見の中にあるような,債務者対抗要件とかそういう制度化することは全く今回の電子登録債権の発想とは違うと私は考えております。 ● ということで,通知を義務づけるまでのことはないということで取り扱ってよろしいでしょうか。  それでは,そのような扱いにしたいと思います。  中間試案の第3の3につきましてはほかにも幾つか意見が提出されておりますが,その中で特に取り上げて議論すべきであるとお考えのものがございましたら御指摘をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。  特にございませんようですので,それでは,引き続きまして,中間試案第3の4の「譲渡登録の効力」に移りたいと思います。  ここで御議論をいただく必要がありますのは,まず,(3)の「人的抗弁の切断」のbの「例外」というところについてであります。これにつきましては,寄せられた意見の大多数が,手形と同様の悪意の抗弁を認めるというA案を支持するという意見でありましたが,この意見照会の結果に従ってA案で取りまとめるということについて御異論がございますでしょうかお伺いをいたします。  ○○委員,どうぞ。 ● 数的にはA案が非常に多いようなのですが,私はB案なのですが,B案のここで挙げておられる意見は,私はやはりもっともだというところがあると思いますので,多数決的に行くのであれば仕方ありませんが,B案の論理は,私は筋が通っている部分があるとなお思っております。 ● わかりました。  ほかに御意見はございませんでしょうか。  それでは,○○委員から御意見がございましたので,次回以降についてもこの点についてさらに議論をしていきたいと思います。  それでは,引き続きまして,43ページですが,(5)の「支払期日後の譲渡登録」に移りたいと思います。これにつきましては,寄せられた意見の大多数が,支払登録後の譲渡登録については善意取得や人的抗弁の切断を認めないという,そういうB案を支持する意見だったと見ることができますが,この意見照会の結果に従って,B案の方向でさらに議論を進めるということでよろしいでしょうか,御意見をお伺いいたします。  ○○委員,どうぞ。 ● この点につきましては銀行業界では意見が分かれておりまして,B案支持の立場からすると,債務者保護を徹底させるということだと思いますけれども,A案の立場からは,期日後であっても流通性を持たせて,例えば不良債権等の売買,こういったものに使えないかと,そういった観点からでございます。業務的な観点でここのところは本当にB案に固めてしまっていいのかなというところは銀行業界の中でもまだちょっと揺れているところでございますので,引き続き検討をしていただければと思います。 ● なるほど。  ほかに御意見はございませんでしょうか。  ○○幹事,どうぞ。 ● 私は,結論はB案でいいのだと思うのですが,先ほど49ページの上から3行目からの○○さんの意見に対しまして,○○幹事の方から,それは分割払の登録をしたのだから仕方ないのではないかというふうなコメントがあったと記憶しているのですが,この分割払のときにそれぞれのインストールメントの期日が来ていると考えますと,こちらのB案を採ると○○さんのおっしゃっている問題はほぼ達成されるということなのでしょうか,この問題点はほぼ解消されるということなのでしょうか。 ● 失礼しました,○○幹事から御指摘をいただいて今気がついたのですが,確かにここでB案を採って,かつ,分割払の場合の支払期日の解釈について対応する各分割払期日とするという御意見の形にすれば,債務者保護に欠ける事態は全く生じないということになろうかと思います。他方,B案を採っても,最終期日のみとするという御意見になれば支払済みの抗弁を対抗することはできないということになりますけれども,その場合に限って自己責任という問題になろうということかと思います。 ● ほかにはよろしいでしょうか。  それでは,これはなお議論をすべきだという御意見がございましたので,次回以降さらに議論をしたいと思います。  次に,中間試案の第3の「電子登録債権の譲渡」について寄せられた意見についての御議論はこの程度にしたいと思いますが,それ以外の点について何か御意見等はございますでしょうか。 ● 先ほど2点ばかり申し上げましたけれども,42ページと43ページの部分ですけれども,小企業や零細事業者についても善意取得の適用除外にすべきだと,これは他の法制とのバランス上とり得ないということでよろしいかということと,43ページの善意取得の規定の適用排除をするのは妥当ではないという意見があるのですけれども,これについてどう考えるかと。これは(4)の案の善意取得の部分がおかしいという意見になりますので,それについてちょっと御議論をいただければと思います。 ● いかがでしょうか。前に戻りますが,(4)の「消費者保護」のところで。  ○○委員,どうぞ。 ● 42ページの方ですけれども,これについては,現実,手形代替のことを考えると,零細企業さんであっても今は手形を使っていますので,それとの連続性でいきますとやはりこれも使えてしかるべきだと思います。  それと,43ページのこの善意取得うんぬんというところなのですけれども,動産の譲渡の場合には一般消費者で実際にそういったことをやる可能性というのはあると思うのですけれども,それと比較した場合に,今後どれぐらい普及するかにもよると思うのですけれども,消費者が電子登録債権を取得してそれを譲渡するという局面がどれだけあるかなということで,どちらかというと例外的なケースだと思いますので,そういう意味で保護を厚くするというふうな考え方というのもあるのではないかと思います。 ● いかがでしょうか,ほかに御意見はございますでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● これは質問なのですが,消費者の保護の規定を善意取得のときに小企業,零細事業者にまで広げるとかという考え方というのは,やはりそこでまたその定義を置かないとどこまで広げるのかということは非常に問題になると思うのですね。そもそもこの法律における消費者というのはこういう概念であるとどこかで決めて,そこからはやはりはみ出さないようにした方がいいのではないかという気がするのですけれども,いかがなものでしょうか。 ● この中間試案における消費者というのは消費者契約法による消費者だという定義をしてございますので,それにはもちろん零細といえども事業者は入ってこないわけでございます。それを前提として消費者以外の者も対象にしろというのが,この御意見ということになります。しかし,それは消費者契約法よりも広げた考え方をこの電子登録債権という場面だけでとるということになりますので,それはとり得るところではないのではないかということを申し上げたわけでございます。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 今のこれはよくわかりませんけれども,多分,個人事業者と弱者保護というかそういう観点から出てきた御意見なのだろうと思うのですけれども,やはりいわゆる消費者保護法で規定されている消費者という考え方とこれとは違うのだろうと思うのですね。ですから,この辺りは整理をしてよろしいのではないかと私は思っています。 ● ○○委員,どうぞ。 ● すみません,善意取得のところではなくて抗弁の切断の規定の適用についてなのですけれども,私が関係しております団体から出ている意見をちょっと御説明いたします。  基本的には消費者保護をしないといけないということで,これを設けることに反対するわけではないのですけれども,すべて一律化というところにちょっと疑問があると。というのは,最後の方にも書いてある,債権譲渡における異議なき承諾に類するものというので,ちょっと何を言っているのか分からないのかもしれませんけれども,例えば先ほども例に出しました割賦販売法などの場合,支払停止の抗弁権についても,例えば調査コストを考えて,4万円以下の取引については適用しないとか,そういうものがあります。クレジット取引は先ほどから小口で大量なものと御説明しておりますけれども,そういう小口の中でもやはり消費者保護の例外が設けられておりますので,そういったものをちょっと考えていただきたいなということが1つ。  もう1つは,別に消費者との取引は割販法の適用があるばかりではなくて,もちろん消費者契約法の適用はあるのでしょうけれども,それでも双方に何らかの経済的なメリットが,特に消費者サイドに小口の債権で何らかのメリットがあることによってその抗弁権を放棄するような取引というのも場合によっては考えられるのかなと。これは現在あるというわけではないのですけれども,そういうような取引も電子登録債権を活用して考えられることもあるので,バーターとして,それが正当な理由というか,対等な関係において判断されるような場合においては抗弁権の接続の方を放棄するというような,そういった選択肢もあった方がいいのかなと。そういう意味でちょっと書いておりますので,小口の場合とか,あとは,合理的にちゃんと放棄した分のメリットがあるような取引であるという前提のもとで認められるように,これを必ずしも強行規定にしないでいただけないだろうかと,そういうところがちょっとあるのですが。 ● おっしゃったことをすべて理解できたとは思わないのですけれども,最初の方におっしゃられたことについては,割賦販売法上,抗弁の切断の対象外になっているもの,それがここで抗弁として主張できるということはあり得ません。つまり,割賦販売法上抗弁として主張できるものが電子登録債権になったからといって主張できなくなるのはおかしいから人的抗弁の切断の規定を適用除外しているだけで,もともと割賦販売法上主張できないものまで主張できるようになるわけではありませんので,そこは誤解があるのではないかと思います。  後の方はちょっとおっしゃっている趣旨がよくわからなかったのですけれども。 ● ○○委員,どうぞ。 ● ちょっと先ほどの意見に戻るのですけれども,私も個人的には個人零細事業者にまで保護を広げろというのは無理だろうと思っております。例えば弁護士会の中で根強い意見としてありますのは,この42ページの下から2番目の「○」あるいは一番下の「○」に書いてあるように,そもそも消費者を債務者とする電子登録債権制度というのを余り認めるべきではないという意見がかなりあり,これはなぜかというと,一番警戒しているのが貸金業者の貸金債権にこれが使われて濫用されると,商工ローンの問題なんかも記憶に新しいところでありますので,そういうところの,よく知らないうちにそういう電子登録債権化されて転々流通されていくということを何とかして防ぐべきだという意見が非常に強い,それで懐疑的意見が非常に強いと。住宅ローン債権とかの流動化の場面では消費者を債務者とするものも認めなければいけないということもわかるのだけれども,そういう場合に限って認めることはできないのかと,相当根強い意見があるということを申し上げておきたいと思います。 ● ありがとうございます。  この消費者保護の(4)の部分はどういうことになりますかね。いろいろ意見を伺いましたが,このとおりでまとめていいということなのでしょうかね。少なくとも消費者についてはこういう形の保護を与えるという。 ● ○○委員に御紹介いただいた日弁連の中での御議論の状況はよくわかったのですけれども,しかし,これは先ほど別の消費者保護のところで議論していただいたとおりですが,法人限定は事業者の利用ができなくなってしまいますので,事業者側からぜひそれはやめてくれということを言われているわけですから,そこはやれない話だろうと思います。消費者保護については,貸金業法上の抗弁についても人的抗弁の切断の規定の適用がないとすれば抗弁を対抗できるわけですので,ですから,商工ローンの私製手形のような問題が起きないようにこれを設けようということでやっているわけですから,それで解決しないのでしょうか。 ● よく考えるとそうなのですね,人的抗弁の切断の規定の適用除外さえあればいいのだと。特に手形訴訟みたいな簡易な訴訟制度があるわけではありませんから,同じような問題がすぐに起きるというわけではないのですけれども,もともと消費者を相手にして電子登録債権化することをなぜ認める必要があるのだという半ば直感的あるいは感情的な意見が相当あるということであります。 ● それでは,善意取得の問題についてはよろしいですかね,2つの議論に分かれたように思いますが。いずれにしても外すのはおかしいという御意見で。  では,善意取得の問題についてはなお継続して御検討をいただきましょうかね。何か結論がはっきり出たことではないように伺いましたが。 ● 善意取得のこの43ページの御議論は,ちょっと今日は時間の関係もありますので,今日は余り御議論がなかったのですけれども,次回までにそれぞれお考えいただきまして,次回またこれを議論していただくようにしたいと思います。 ● それでは,時間の関係もございますので,先に行きたいと思います。  この第4の「電子登録債権の消滅等」が45ページにありますが,そこに移りたいと思います。  まず,2の「支払免責」でありますが,これにつきましては,寄せられた意見の大多数が悪意または重過失がない限り免責を認めるというA案を支持する意見でありましたけれども,この意見照会の結果に従って,A案で取りまとめるというそういうことでありますが,それについては御異論が多分あるだろうと思いますが,いかがでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● これは先ほど41ページのところで申し上げたことと同じでありまして,41ページのところで,個別には申し上げませんでしたが,電子登録債権の特性及び流通性確保の観点からすると,主観に着目するA案では第三者保護が図られないと,だから,これが客観的に登録原簿に登録がされている抗弁に限り対抗することができるという考え方につながるわけで,やはり債権を可視化して円滑な流通を実現するというここのところを電子登録債権のメリットとしてどのぐらい評価するか,その度合いによってここはなお御検討を続けていただきたいというところでございます。 ● この問題については,先ほど○○委員にも御紹介いただきましたけれども,金融法学会でシンポジウムもされる予定でもございますので,それが次回部会よりも後でございますから,その金融法学会の御議論があった後に部会で御議論をするという方がいいかなと思うのですけれども,いかがでしょうか。 ● よろしくお願いします。 ● では,この問題につきましては引き続き検討をいただくということで,次の項目に移りたいと思います。  少し飛びますが,50ページのこの「支払等の登録」につきましてですけれども,これにつきましては,まず,(1)の「当事者の申請」のaの「申請権者等」に関して,供託がされた場合の取扱いについての規定を整備すべき旨の意見が寄せられておりますので,これにつきまして最初に御意見を伺いたいと思います。  いかがでしょうか,この供託がされた場合の取扱いについてどうするか。  50ページの真ん中よりちょっと下あたりに,賛成意見の中の「補足意見」として供託に関する意見が掲げられていますが。  ○○委員,どうぞ。 ● これは初心者の質問なのですが,ここで言う供託というのは,原因債権を供託することを考えるのか,電子登録債権を供託することを考えるのかということなのですが。つまり,原因債権と電子登録債権は別物であると仕切られているわけですから,そうであれば電子登録債権の供託という制度も考えられるはずでありまして,いずれにしてもこの措置というのは何らか必要になるだろうと私は思うのですが。  そもそも原因債権と電子登録債権の紐つけの問題にまた戻るというかつながってしまうのですけれども,ここはどういうふうにお考えでしょうか。 ● この御意見を見る限りでは,債務者のみの申請によって支払等登録をすることができるようにすべきと書いてありますので,これは電子登録債権の債務の弁済供託のことを言っているのだろうと思います。確かに債務の弁済供託ということも通常は送金処理だからないはずなのですけれども,何らかの事情で債権者不確知とかということが起きる場合があるのかどうかということなのですけれども,そういう場合がもしもあるとすればこういう問題が起きるのかもしれないのですけれども。  この御議論を○○委員から何か補足していただくことはできますか。 ● この意見形成にほとんど関与しておりませんので,ここで読んでいる範囲でしか私もわからないのですけれども。こういう意見があったことは承知しておりますけれども,その背景はよくわからないです。申しわけございません。 ● 具体的にどういうケースが考えられるかということももちろん検討していただく必要はありますが,今ここですぐに結論を出すというわけにはいきませんので,少し検討をいただいた上で,この場合についての扱いをどうするかということを考えていただきたいと思います。  ○○委員,どうぞ。 ● その際に,供託の取戻請求権との関係も問題になるのかなという気がいたしますので,その点もあわせて御検討いただければと思います。 ● わかりました。  それでは,その点もあわせて検討をいただくということにさせていただきます。  それでは,続きまして,aの「申請権者等」に関して,○○幹事から,支払を受領した債権者について支払等登録の申請を義務づけるべきであるとの意見が出されておりますので,この意見について○○幹事に補足すべきところがあれば補足をしていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。 ● 十分考え切れていない部分もあるのですが,その前のところで承諾すべきことを請求することはできるとなっておりまして,これで十分なのかなとも思うのですけれども,前の方に出てまいりました支払期日後の人的抗弁の切断とかそういったようなものとも考え合わせまして,非常に悪質な債権者が承諾すべきことを拒否していたような場合に債務者が不安定な状態に置かれるというのは余り適当ではないのかなと。そういう意味では義務づけても債権者にとって特に不都合はないのかなというぐらいの趣旨でございます。ただ,先ほども,支払期日後においては余りそういった債務者保護のことを考える必要がないということであれば,特にこだわる必要はないのかなと感じております。 ● 登録の申請義務を義務づけても,結局,承諾請求の場合の請求をする場合と同じことになりませんかね。 ● 要は,義務があれば義務に反した場合に損害を請求しやすくなるのかなという趣旨でございます。 ● 現実に登録をするという意味では同じような感じがするのですけれども。 ● そうですね。特に債務者に不都合でなければいいのですけれども,いわゆる承諾を拒否しているようなことで債権者がごね得になるようなことがないように,それによってその間に善意取得されてしまって,債務者が損害を被った場合にその損害の持って行き場所を債権者に対してうまく請求できるように,不法行為とかでも大丈夫なのかもしれませんけれども,特にこだわるところではございません。 ● この点について何かほかに御意見はございますでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● これも初心者的質問なのですが,この承諾請求というのはやはりちょっと私も違和感があるのですが。この承諾がいつあったかとか,そういうようなことの立証とかはどういう形になるのですか。今の○○幹事の御懸念に関連する質問なのですが。○○幹事の御意見でも,支払等登録申請の義務づけというのがいつされたのかとかそういう議論は出てくるとは思うのですが,法律的な義務の発生というところで承諾請求の場合の義務というのは何か非常に主観的な感じで,法的にその違反がどう評価されるのかというようなあたりで,そのサンクションがどうなるのかというあたりに私もちょっと心配があるのですが。 ● そもそも○○幹事がおっしゃったことでよく分からなかったのは,金銭債権で,承諾すべきことが請求できて,承諾と引換給付になっているというときに,承諾しなければ払わなくていいのですよね,なのに損害賠償請求というのがどんな場合にあるのかなというのがよくわからなかったのですけれども。  それと,○○委員がおっしゃられたところについて言うと,まず,承諾をした場合には承諾したことを証する情報を添付して債務者が支払等登録の申請をする,もちろん添付すべき情報として承諾した人の本人確認とかが要求されるかということは業務規程で定められるということになるのだと思いますけれども,それに則った承諾をしなければいけないという義務があるということになると思います。承諾しないときは承諾請求訴訟を起こして承諾をさせるということになるのだろうと思いますけれども。 ● ですから,つまり,その場合の承諾というのはいわばオフラインの世界の承諾ですよね,イメージとして。 ● 当然そうです。 ● いかがでしょうか。  承諾請求があれば○○幹事が言われたような形で処理がなされる,現実にそれに基づいて支払等登録が実現できるわけですから,特に支払等登録の申請義務を債権者に課すという必要は必ずしもないかなと思うのですが,そういうまとめでよろしいでしょうか。  それでは,この点についてはそういうことで,特に義務づけるということはしないということで扱いたいと思います。  それでは,次に,このbの「必要的申請事項」に関して,一部支払の登録は管理機関が拒絶できるようにされたいとの意見が出されておりますので,これについて議論をしたいと思います。これは「必要的申請事項」の③にかかわる問題でしょうか。  これは,○○委員,いかがですか。 ● ここは分割と同じように,実際に一部支払が次々と行えるというようなことが想定された場合の手間というかシステム的なものをどう考えるかというような話なのですけれども,一部しか本当に支払うことができないという債務者が現れたときに,確かに先ほど御指摘があったところでもっともな部分もありますので,ここにつきましては他の対案とかも含めて銀行業界の内部でももうちょっと議論をしてみたいと思います。意見としては,ちょっとずつ支払をされるというのは手間的にもかなわないのだというふうなところがあると,そういうことです。 ● 問題意識はよくわかりますので,また銀行業界の内部で御議論をいただいて,それを踏まえてまた検討をさせていただければと思いますけれども。  先ほど○○委員のおっしゃったところで,一部支払というのは一部譲渡と同じ問題がコンピューターシステム上あるということをおっしゃられたのですけれども,確かに一部譲渡は枠を変えていかなければいけませんので非常にシステム上の負担が大きいという話は前にお聞きして,それで一部譲渡の制限とかを認めることができるようにしようということになったわけですけれども,しかし,それを踏まえて,支払の場合は抹消登録というか一部抹消とかそういうことはやめて支払等登録という形で,とにかく備考欄にいつ幾らを支払ったとさえ書けばいいという形にするということになったわけで,これは○○関係官が非常に苦労をしてこういうことを考えてくれたわけですけれども,それでコンピュータの容量的あるいはシステム的な負担は前の抹消登録スキームと比べて画期的に改善されたと私は思っていたのですけれども,そうではないということなのですか。 ● 恐らく,これはいろいろな業態で検討をしているわけなのですけれども,システム的なものを想定するベースが多分それぞれ検討する人によって違っていると思いますので,そういうこともあってどれぐらいシステム的に跳ねる話なのかわからないというふうな形でこういう意見が出てきたということだと思います。 ● では,その点も踏まえてまた議論をいただいて,それをまた反映させていただきたいと思いますので,よろしくお願いします。 ● それでは,今後,なおこの点については議論を続けたいと思います。  それでは,次に移りたいと思います。(2)の「管理機関による登録」のbの「当事者の申請によらない支払等登録」に関して,送金手続をした管理機関が,入金が確認されるまでの期間,譲渡登録をすることができないとの業務規程を置くべきだとの意見が出されており,また,管理機関としての資格要件等についての意見が出されていますけれども,先ほど事務当局から説明していただいたところでは,これらの問題点については金融審議会で今後議論されるべき事項であるということであります。したがって,金融審議会でこれらの問題については議論をしていただくということで,この審議会では特に立ち入らないと,そういうことでよろしいでしょうか。 ● ○○幹事,よろしいですか。 ● それでは,○○幹事の方に下駄を預けまして。 ● 本当は○○委員の了解をいただかないといけないのだと思うのですけれども。 ● 何か意見はございますか。 ● 幾つかいただいているこの御意見の中で,資格要件の問題ですとか,送金手続を扱うまさに資格として為替取扱機関に限られるべきか,これはまさに金融審で論ずべき問題かと思います。  ただ,若干私法的な問題としては,先ほどの日弁連の御意見は私法的な問題なのですね,問題としては。ですから,本来は,これはここで議論すべき問題だと思うのですけれども,ただ,日弁連の御意見は,実務的に言うと,これを確認することは難しいなというのが私の感想であります。金融審で日弁連の意見の妥当性を論じろと言われると,ちょっとこれはむしろこちらの問題かなという感じだけはしますが。 ● 今の○○委員の日弁連とおっしゃったのは,52ページの「その他の意見」の上から2つ目の日弁連の御意見でよろしいですか。 ● 2つ上の日弁連の。 ● これは,譲渡登録をすることができないとの業務規程を置くべきだということなので,業務規程に必ず置かなければいけないことにするかどうかという問題なものですから,法制審の問題ではなくて金融審の問題なのではないかという問題意識なのですけれども。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 私は,意見というよりも一般論として,今,○○委員のおっしゃられたようなところ等について,どちらで議論するのかというところで,両方で遠慮をしてしまうようなケースがあってはいけないと思いますので,やはりここに出てきたものについて法制審で部会の御意見がある場合はそれを吸い上げて金融審に付託すると,お届けするということは必要なのだろうと思うのですね。ですから,このリース協会の意見なんかについても,ここで御意見があれば○○委員や○○幹事に十分に御了解,御認識をいただいて,金融審で御議論を続けていただくということが姿勢として必要だろうと私は思います。 ● ○○幹事,どうぞ。 ● 弁護士会のご意見の方なのですが,私も○○委員がおっしゃったようなことではないかと思っておりまして,業務規程に置くかどうかという,業務規程の内容であるというのは体裁の問題だと思うのですが,ここで論じられているのは,ルールとしてそのような場合に一定期間譲渡登録をすることができないというルールを設けるべきで,それをどちらで義務づけるかという話だと思いますので,そのルールの部分はやはり法制審で議論すべきで,これ自体は「(注)」のところで禁止することもできると考えられるということを受けて,禁止することもできるというよりは禁止すべきだという主張ですので,中間試案の「(注)」にも答えたものですから,やはりその部分はここで議論すべきではないでしょうか。  その観点からいたしますと,それを一律義務づけるとお困りになるのかどうかというようなあたりは実務的にどうなのかというのはお伺いできればと思いますけれども。 ● この業務規程という言葉にちょっと引っ張られた面がないわけではないのかと思いますので,確かに「(注)」で聞いていることに答えているという面もありますので,これは,どなたかこの点について御意見はございますでしょうか,管理機関の立場におられる方で。  ○○委員,どうぞ。 ● 管理機関ではないのですけれども。  弁護士会の意見は,おっしゃるように,この「(注)」を「できる」ではなくて義務化すべきだということで,ほかの何箇所かでも申し上げているように,二重払のリスクをシステム的になるべくなくしていこうということであります。そして,この「当事者の申請によらない支払等登録」の本文のところで,入金手続を終えて,入金されたことを確認した後に支払等登録を義務づけることができるのであれば,「(注)」の方の,入金が確認されるまでの一定期間というのを置くことは技術的に同じくできるはずであると思いますので,義務付けは技術的に可能ではないかと考えておるのですけれども,管理機関の方でそうでないというお考えがあれば聞かせていただきたいと。 ● ○○委員,どうぞ。 ● この義務付けをするかどうかということを議論されるのであれば,この中にもちょっと書いておるのですけれども,入金手続,送金手続というのが何を指すのかというのはここの中で明確にしていただきたいなと思っています。 ● ○○委員,どうぞ。 ● ここに,「債権者の支払口座への入金が確認されるまでの一定期間」と書いてあるのですけれども,何をもって入金を確認したかといったそこの定義の問題とかもありまして,実際に本当にその口座に入ったということを管理機関が目で確認するとかそういったことまで求めることになりますと,通常,送金した場合に,相手側の口座に入ったかというところまでは今は一つ一つ確認していないというのが実務ですので,ここが義務化されることによって非常に事務的な煩雑さというのが実務の現場では出てくる可能性もあるなと思いますので,どういうふうに決めるかということについてもあわせて検討していく必要があるのではないかと思います。 ● 規定の書き方についてはまだ更に考えなければいけないということは十分承知しているのですけれども,何をもって入金が確認されたかということはこの部会でも申し上げましたし,補足意見にも明確に書いておりまして,被仕向銀行から銀行実務上返事が返ってくるまでの間に入金できなかったという返事が返ってこなければ入金があったと取り扱うとはっきり書いているはずですけれども。そういう前提でお考えいただければと思います。 ● いかがでしょうか。  この点についてはもう少し議論を具体化して,私法的なルールでこの問題について規律できるかどうか,すべきかどうか,そういうことについてさらに検討をいただくということでいかがでしょうか。 ● それ自体はそのようにして,これは,多分,金融審議会で御議論をいただく部分と法制審議会で御議論いただく部分が重なり合う部分だと思いまして,その両方を合体して多分法案になるのかなと思いますので,両方で御議論をいただくことには何ら異論はないのですけれども,この意見については金融審議会マターではないかと申し上げたのは,業務規程に何を書かなければいけないかと,そうでないと管理機関になれないかという部分は金融庁さん御担当の部分だからでございます。 ● この意見は,業務規程にはこだわらないので,法律で書いていただいても一向に構わない,むしろその方が望ましいと考えておりますが。 ● どうぞ,○○委員。 ● 今,最後に,○○委員がおっしゃられたことが私は重要だと思うのですね。つまり,業務規程にするのか,法律にするのかというのは,やはり対外的には意味があることであって,業務規程に書いてもいいという程度でこちらがとどめておくのか,それとも,法律である程度その方向性を,要するに,こういう法律だから業務規程にもこう書かざるを得なくなるというか書くべきということになるという方向性を,法律の方で,本法の方で示してしまうかというあたりは,さらに検討していくべきことだと思います。  先ほど私がちょっと申し上げたように,具体的に言うと,外国の投資家等から日本のこういう資金調達法制等を見た場合に,法律自体を見たときに何が分かるかというと,余り分からないと,それは,業務規程や規制規則に落とされている部分がかなり多いからだということを私は何度も言われたことがあるので,やはり金融審さんの方の御検討も本当に重要で貴重でありまして,そちらに何かこちらから口出しをするというわけではないけれども,でも,本法で方向性を決めるべきところは書いておくというのも大事な姿勢ではないかと思いますので,よろしくお願いします。 ● では,この点については引き続きこの部会でも議論をしたいと思います。この管理機関としての資格要件等については,これはここで議論する問題ではないように思いますので,それは金融審の方にお預けしたいと思います。  それでは,次に移りますが,5の「弁済以外の消滅原因」の(3)の「消滅時効」に関して,時効消滅した電子登録債権の登録を抹消するための法律の規定の整備を検討すべき旨の意見が出されておりますので,これについて議論をしたいと思います。  具体的にどのような規定の整備を検討すべきと考えていらっしゃるのか,御意見をお願いいたします。 ● この点につきましては,特に時効消滅した電子登録債権の登録が残ることによって様々な紛争が生じるのではないかと,そういったことを未然に防止するためにも,時効によって消滅した場合に登録を抹消するための法律の規定が何らか整備された方がよいのではないかという観点から御意見を申し上げた次第であります。  特に一般の場合の時効消滅もそうですが,電子登録債権に差押登録がなされたような場合についても,差押登録が残存したままの電子登録債権がなお存在してしまうということになってしまいますとさらに将来何らかの紛争が生じてしまうおそれがあるという懸念もございますので,そういった観点からもこういったコメントを出させていただいた次第であります。 ● 具体案は何かというのが気になるのですけれども。 ● 例えば差押登録,恐らく差押えがなされた場合,登録という形で差押えがあったことを明示することになるかと思いますが,その差押登録を残したままの電子登録債権というものが仮に消滅時効期間が経過した場合であってもなお存続して,あるいは,消滅時効期間を超えた場合であってもなおそれを抹消するような規定が法律上何ら整備されないというのは,その場合の対応に困ることがあるのではないかと考えておる次第です。 ● どうぞ,○○関係官。 ● この消滅時効のところの手続につきましては,一番最初に中間試案の原案を考えるときもいろいろ検討してみたのですけれども,御承知のように,除斥期間とは違いまして時効というのは援用の意思表示が必要なのですね。そうすると,例えば消滅時効期間が経過した場合には,援用の意思表示をすることができる者が支払等登録の申請をすることが例えば単独でできるというふうな規定を置くこともあり得ないわけではないとは思ったのですが,ただ,時効の場合はさらに中断というのがございまして,途中で中断していたらまたそこから時効期間が始まってしまいますので,本当に単純に一番最初の消滅時効期間が経過したら単独でもう支払等登録ができるのだということもちょっとこれは難しいのではないかと。  そうすると,結局,消滅時効が問題になるような場合には,恐らく裁判所の中で争って,もうこれは消えたのだというようなところが確定してからでないと,管理機関側として安心して弁済と同様のような取扱いというのはなかなか難しいのではないかなというところで,今のところそれがこの中間試案には挙がっていないというのが実情だということです。 ● 確定判決が出た場合には。 ● 確定判決が出た場合には,恐らくその確定判決に従って何らかの手続で,確定判決に従って単独でということは可能だと思うのですが,そうでなければ恐らく消滅時効だけれども共同で申請ということ以外は多分なかなか難しいのかなとは思うのですけれども。 ● 今の原案は,○○関係官が申し上げたとおりで,消滅時効の場合も原則は共同で支払等登録を,支払等登録の内容として,時効消滅はいついつかという,いついつが時効期間満了という登録をするということで,しかし,共同申請というものには消滅時効というのはなかなか馴染みにくいわけですけれども,それができない場合は債務者側が承諾請求をして,承諾を命ずる判決をとって,それを添付して,単独で支払等登録をするというそういうスキームを考えています。  ただ,そう考えているのですけれども,ここで最高裁が問題にされているのはそこから先だと私は思っていまして,つまり,そういうことは法律上はできるのだけれども,しないで放りっぱなしにする例があるのではないかと,それによって後々問題が起きやしないかと,そういうことを問題にされているのかなと思ったのですけれども,そうではないのですか。 ● その点についても意見の対象となっております。 ● あと,差押登録がされた場合のことをちょっとおっしゃられたのですが,それの意味がよく分からなかったのですけれども。XのYに対する電子登録債権をXの債権者Z,これは電子登録債権を有している訳ではないのですけれども,Zが自己の債権を満足させるために差押えをしましたという場合でも,Zが差し押さえたからといってXのYに対する消滅時効が中断するわけではありませんよね。だから,時効期間が満了してしまって終わりになってしまうということはもちろん普通の金銭債権の場合と同じようにあるわけですが,それに何か問題があるのですか。 ● その場合に,例えば仮にXもYもその電子登録債権についての消滅時効による支払等登録手続をとらなかった場合,差押登録自体は残ってしまわないかと,残ってしまうことによって何らかの問題が起きないかと,そういった懸念があるわけなのですが。 ● 具体的にどんな問題が起きるのですか,差押登録が残ってしまうと。 ● すみません,ちょっとそのあたりはもう一回議論をさせていただきます。 ● では,それはまた御相談をさせていただいて。 ● ほかに御意見はございませんでしょうか,この問題について。  それでは,今出された意見等をもとに,もう少し事務当局でこの点は御検討いただきたいと思います。  それでは,中間試案の第4の「電子登録債権の消滅等」について寄せられた意見についての議論はこの程度にしたいと思いますが,何かほかに御指摘をいただく点はございますでしょうか。  それでは,特にございませんようですので,第5の「登録保証等」に移ります。これにつきましては複数の項目について消費者保護の観点からの意見が出されておりますので,これについて御議論をいただきたいと思います。  先ほど事務当局から幾つか御指摘をいただきましたが,それらの意見について御意見等をお伺いできればと思いますが,いかがでしょうか。55ページ以下のところでございますが。  ○○関係官,どうぞ。 ● 弁護士会の意見の方からは,消費者は登録保証人になることができないという1つの提案があるのですけれども,これは,先ほどのように,債務者にそもそもなれないというルールであるならば意味があると思うのですが,債務者にはなれるが登録保証人にはなれないというのだったら共同で発生登録をさせるとかというような形で幾らでも潜脱できるので,ここはいずれにしても歩調を合わせざるを得ないのではないかなと思うのですけれども,そこら辺はちょっと弁護士会の方で何か御意見があったらお伺いしたいのですけれども。 ● どうもこれは○○弁護士会からこういう意見が出ているようですが,42ページの一番下に○○弁護士会の意見として,もともと消費者についてはこの制度を認めるべきではないというところから来ているものだと思います。 ● 今,○○委員におっしゃっていただいたとおり,10ページのところも,○○弁護士会は,消費者を除外すべきだという意見だったわけですので,○○弁護士会の意見としては,債務者にも登録保証人にも何にもなれないと,とにかくこの手続には全く関与できないことにすべきだということですけれども,ここはそもそも消費者かそうでないかで区別することはできないのでそういう取扱いは無理だということでさっき御議論をもう一回していただいたところでございますので,この御意見は必然的に受け入れられないと,こういうことにならざるを得ないと思います。  そこで,消費者保護制度の導入という,これは具体例がないのですけれども,それとか,57ページの方の,独立性をなくす,こちらはやや具体性がある提案なのではないかと思うのですけれども,それについて,まず,○○委員から何か補足をしていただくことがあればしていただいて,その上で若干御議論をいただければと思います。 ● 私自身はこれらの意見の作成には関与しておりませんけれども,ちょっと質問なのですが,42ページの(4)の「消費者保護」で言う,この枠の中の,「電子登録債権に係る債務の債務者が消費者である」というここの「債務者」というのは,登録保証人も含んでいるのですかね。 ● そうです。ここは「係る債務の債務者」という書き方ですので,登録保証人も含んでいます。 ● 保証債務を負っている登録人も含むと言うとすると,あと,前の方の,意思表示をした者が消費者である場合はというのは,当然,登録保証人も含むということになっていますから,相当部分で登録保証人も今までの消費者保護の中で保護されている部分はあるわけですね。そういう理解でよろしいですか。 ● それはそれで結構です。だから,さらに問題なのは,だんだん具体化してきましたけれども,57ページの方の,消費者が登録保証人になったときには独立性がないものとするかどうかということかなと。 ● そうですね。だから,56ページの(1)で,主たる債務者について言える人的抗弁を消費者である登録保証人が主張できるかということに収斂されてくるのかなという気がいたしますね。 ● この御意見も具体的にはそれを指すのだということでよろしいのですかね。 ● それはちょっと,私がそれでいいですとは言えないのですけれども。  そういう趣旨であるとすると,恐らく想定しているシナリオとしては,中小企業が主たる債務者で,その代表者が個人的に登録保証をするという場合に,主たる債務者について言える抗弁を保証人も言えるようにしてくれということだろうと思いますね--そうか,それは消費者ですね。今の発言は撤回します。そういう場合は消費者になるのかな。そういう場合はどうなりますか。 ● ○○幹事,いかがでしょうか,消費者契約法の解釈として。会社の債務を保証した保証人というのは消費者として行動しているということになるのでしょうか。 ● どうですか。 ● 経営者そのものですよね。 ● ただ,経営者の奥さんだったらどうなのですかね。 ● それは消費者ですね。消費者ですねと言い切っていいのか,それは言い切っていいと思いますけれども。 ● 私も全然わかりませんが,一応,条文上は消費者というのは個人で,事業として,または,事業のために契約の当事者となる場合における者を除くという規定になっているのですが。ですから,今の代表者の場合には,事業として契約の当事者となっているかどうかというのは分かりませんが,事業のために契約の当事者となっているようなふうに思うので,何となく消費者概念には当たらないのではないかなと条文上は読めるのですけれども,そこら辺は詳しい方がいらっしゃったら教えてください。 ● そこは研究していただきたいと思うのですけれども。  今のようなケースを想定すると,主たる債務者に言えた事項を対抗できてしかるべきではないかなと結論的には思うところもあるのですよね。そういう中小企業の社長が個人的に登録保証をしている場合に,主たる債務者について言えた抗弁が登録保証であるばかりに言えなくなるということではおかしいのではないかという気がいたしますが,いかがですかね。 ● いかがですか,○○委員。 ● 私もどちらかというと○○委員と同じような感じで,あるいは今のような例以外に,実際には余りないかもしれませんけれども,住宅ローンあるいは消費者ローンについて家族が保証人になったような場合等を考えますと,それは保証をした人も本人と同じ抗弁が主張できてしかるべきかと,特に最近は貸金業法などで非常に問題になっているようなことを考えますと,そういう抗弁は主張できてもいいのではないかという感じはします。 ● ○○幹事,どうぞ。 ● ○○関係官のおっしゃった消費者契約法2条の解釈は,一般的な解釈ではないのだと思います。つまり,ここにおける事業というのは個人事業のことを指していて,今問題になっているのは,法人事業というのがあって,それの経営者である個人というのが問題になっているので,それはここには入らないというのは。○○委員の目が必ずしも納得した目ではないのでちょっと続けにくくなってしまったのですけれども,一般的な解釈ではなかったかなと。 ● 消費者契約法は私共の所管ではないこともあって,ただ,民法の教科書には出ているから先生方ならお分りになるかなと思ったのですけれども,分からないということですので,次回までにそこの点も勉強させていただきまして,その点も含めて少し勉強した結果をまた御報告させていただいて御審議をいただくということでよろしゅうございますでしょうか。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 今の問題は,保証人が消費者であるという場合と,民法の貸金等保証契約は個人か法人かという切り分けですよね,それから,さっきから出ております社長の個人保証とか,あるいは住宅ローンの夫婦であるという場合には,むしろ保証の観点から言うと一体性という方を強調するということになりまして,必ずしも保証人保護には働かないケースも含まれていると思います。ですから,消費者というここと個人かどうかということと保証の類型と,多分3つの観点から検討する必要があると思います。 ● だんだん気が重くなってきましたけれども,とりあえずそれで検討をしてみますので,また御相談をさせてください。  では,次をお願いします。 ● では,登録保証等についてはこの消費者保護の観点からの問題点の整理というのを事務当局にお願いするということで,次に進みたいと思います。  ほかにこの登録保証等については特段に議論するような意見はないように思われますが,それでよろしいでしょうか。  では,中間試案の第6以下に移りたいと思います。  すみません,最初になるべく二度目の休憩をとらないようにと申し上げましたが,まだ議論すべき点がもう数ページ残っておりますので,休憩をさせていただいて,もう少しだけおつき合いをしていただきたいと思います。申しわけありません。           (休     憩) ● それでは,再開したいと思います。  まず,最初に,○○委員,何かご発言があると伺いましたが。 ● 23ページの申請権限のない申請に基づき登録をした管理機関の責任というところなのですけれども,その前の(5)のところについては方向性が示されたと思うのですけれども,(6)につきましては,これは意見が分かれているので,この3案で進んでいくと,そういった方向性になるということでしょうか。 ● さっき(5)と(6)はまとめて御議論をいただいたつもりだったのですけれども。つまり,両方ともBといいますか,証明責任の転換が多数なので,それに収斂してよろしいでしょうかと部会長はお聞きになられたのですけれども,○○委員も何もおっしゃらなかったので,(6)もそれで言うとB案になるわけですけれども,証明責任の転換の方向でさらに議論をするということで御理解をいただけたのかなと思っていたのですけれども,まずいですか。 ● そうですね。ここの(6)についてはまだパブコメの結果も分かれていると思いますので,なおここはちょっと議論をさせていただきたいなと。 ● そうおっしゃると,そうなるのなら(5)の方も無過失責任と研究者の先生方あるいは弁護士会の委員はおっしゃると思うのですが。だから,(5)の方で無過失責任を譲歩する代わりに(6)の方で過失責任を譲歩するというバーターでないと話はつかないと思うのですけれども。 ● ちょっと考えさせてください。 ● では,最後のまとめのところでなお意見がございましたら意見をおっしゃっていただきたいと思います。  それでは,先に進みたいと思いますが,中間試案の第6以下のところで,第6の「登録事項の変更」から最後のところまで事務当局にこの寄せられた意見の状況を説明していただきます。 ● それでは,できるだけ手短に説明をさせていただくようにいたします。  第6の「登録事項の変更」でございますが,御覧いただく必要があるのは,まず,62ページの2の「変更登録手続」のところですが,賛成意見の「補足意見」として,業務規程が適切に作成されるように十分な公的監督規制がされるべきだという意見,それから,ちょっと毛色が違うのですけれども,「別段の定め」について法令等で具体的に限定をすべきだという意見が出ております。  この後者の,法令で決めろということについては他のところで先ほど来議論をいただいているとおりで,法令で全部網羅的に適切に様々なものについて規制できるのかどうかという問題があると思いますので,先ほどのところでは業務規程でやらざるを得ないのではないかというお話になったと思いますけれども,ここをどう考えるのかという問題があろうと思います。  それから,その次の「その他の意見」の方ですけれども,変更登録は当該変更日における利害関係を有する債権者と債務者が申請をすれば足りるものとすべきだという御意見をいただいております。これはなるほどという感じもするわけでございまして,特に支払期日の延期などを考えますと,例えばAが最初の債務者で,Bが最初の債権者で,BからCに譲渡されたという場合に,Aが延期してほしいと言ったときにCはオーケーしているけれども,そのときにもう譲渡してしまって,しかも登録保証か何かしているのであればBはもちろん利害関係があるわけですけれども,そうではなくて,単に譲渡だけをしたという場合に,Bが申請をしないと支払期日の延期ができないということになりますと,登録できないうちに当初の支払期日が来てしまうということにもなりかねないということになりますので,そういう問題を考えますと,譲渡してしまった発生登録における債権者が申請者になるのはまずいという場合があることはそのとおりなのかなという感じもいたします。  しかし,任意的登録事項がいろいろ多岐にわたって認められる場合があるわけでございますので,そういう場合などは譲渡済みの発生登録の債権者で登録保証をしていないという者であっても,利益保護のために申請者の中に加える必要がある場合もあるのではなかろうかという感じがいたしまして,そこはさらにどう考えるのかということを御議論いただく必要があるのかなと思います。  それから,その下でございますけれども,○○幹事から,申請に参加すべき者の協力が得られない場合に迅速に対応するための手法を整備する必要が本来であればあるのではないかという御指摘をいただいております。ここはまた後で○○幹事に補足をしていただければと思います。  それから,その次でございますが,bの「改名等の場合の取扱い」について,63ページの「その他の意見」の2つ目でございますが,債務者単独による変更登録を認めるのであれば,変更が行われた場合に管理機関から債権者等の当事者に対して速やかに通知する制度を検討すべきであるという,これまた通知の話なのでございますが,こういう御意見が出ておりますので,これをどうするかということで何か御意見があれば承りたいと思います。  それから,その次の「一般承継が生じた場合の取扱い」は先ほどの「必要的申請事項」とあわせて御議論をいただきましたので飛ばさせていただきまして,その後は,「一般承継が生じた場合の取扱い」のハの「一般承継人の変更登録と譲渡登録の申請の関係」でございます。ここは,65ページから66ページにかけて,賛成,反対に意見が分かれておりまして,こういう中間省略を認めるべきかどうかについてこういうふうに意見が分かれておりますので,さらに次回以降御議論をいただく必要があるのだろうと思います。  それから,次に第7の「その他」のうち,まず,「質権」でございますけれども,69ページと71ページをあわせて御覧いただきたいのですが,69ページのローマ数字のⅡの④の「(注)」についての意見と,71ページのローマ数字のⅡの「(注2)」についての意見でございますが,後順位質権の設定とか包括根質,あるいは,質権を設定した後の譲渡登録についてどう考えるかという問題提起をしていたわけですけれども,頂戴した意見は,後順位質権の設定は認めるべきで,包括根質は認めないこととすべきで,質権を設定した後の電子登録債権の譲渡も認めるべきだと,こういう御意見で,それ以外の意見は寄せられなかったということになりますので,事務当局としては非常につらいところなのですけれども,かなり厳密な規定を不動産登記のようにつくらなければいけないのかなと思ってがっかりしているというところでございます。本当にこれは使ってもらえるのかなと思って,こういう意見を出しておいて使わなかったら許さないぞという感じなのですけれども。ということで,何か御意見があればいただきたいと思います。  ただ,包括根質の方は認めない,ほかのところは,71ページのところで,ローマ数字のⅡのところの一番下に,業務規程で質権の設定やその譲渡を制限することはできるので管理機関の負担にならないという意見が出されているのですけれども,包括根質の方はどう考えるのかというのは若干問題で,業務規程で包括根質も認めることができるようにするのか,そうすれば譲渡は非常に困難になるわけですけれども,それとも,ここに書いてあるように,包括根質は一切法律上は認めないということにするのかというところはもうちょっと議論をしていただく必要があるのかもしれないと思います。  次の「信託」でございますが,72ページでございますけれども,二つの団体からそれぞれ御意見を頂戴していまして,まず,一つの団体の御意見が,電子登録債権の信託登録についても,受託者が単独で申請することができるようにすべきだということでございます。これは,ここに書いてあるように,信託法が改正されますと不動産登記における信託の登記を受託者が単独ですることができるようになりますので,それにあわせることになるのだろうということで,この御意見のとおりの取扱いにしたいと考えております。  それから,もう一つの団体からは,不動産における信託登記の場合は信託原簿というものを用意することになっているわけですけれども,それは非常に煩雑なので,受益者の名称等についての公示は要求しないという方向にしてほしいという御意見が出されています。これでいいのかどうかについて御意見を承れればと思っております。  それから,3の「登録原簿等の開示」でございますが,ここは御覧のとおり,73ページから76ページにかけて非常にさまざまな御意見をいただいております。時間の関係で1つ1つを御紹介することは省略させていただきまして,ここはもうこれだけ御意見を頂戴していますので,中間試案のときもとりあえずこの形で意見照会をして,寄せられた意見を踏まえてさらに検討をしましょうということでこの形にしていただいたところでございますので,ここに寄せられた意見を踏まえましてもう一度事務局で少し改めて考え直させていただいて,先ほども幾つか次回のテーマということを申し上げたのですけれども,これも1つの次回の主要テーマということで御相談をさせていただきたいと考えていますので,何かこれについてコメントをいただくことがあればいただきたいと思いますけれども,議論は主として次回にしていただくということでお願いできればと思っております。  それから,次に,4の「電子登録債権に関する差押え等」でございますが,77ページでございますけれども,ここは当然のことながら最高裁判所から幾つか御意見をいただいておりまして,骨格部分を法律で定めた上で,細則的な事項を規則に委任すべきだというような御意見やら,登録を義務づける旨の規定の整備をすべきだというようなこと,譲渡の制限が差押債権者に対して対抗できない旨の規定を設けるべきだとか,そういう御意見をいただいております。  ここは,実は,前にも申しましたけれども,先例では最高裁判所規則に全部まとめて委任するとなっていまして,法律では何の規定も設けていないのが保管振替法とか社債等振替法の扱いでございますけれども,それとは違う方がいいのではないかというような御意見かと思います。ここはさらに最高裁判所と具体案について協議をさせていただいて,その上で,それがある程度整った段階でこの部会に御報告をさせていただいて御議論をいただくということにさせていただきたいと思っていますので,それでよろしいかどうかだけ確認をさせていただければと思います。  それから,77ページの「手形訴訟」に入る手前と,78ページの「その他」のところの「その他の事項」に入る前のところで,非常に厳しい御指摘をいただいておりまして,所要の規定の整備の名の下に,国民の権利義務に影響を与えるような規定を設けるなという御指摘を2カ所いただいておりますので,ここは,要綱にどこまで書くかという問題はありますけれども,実質のある部分については十分にこの部会で御議論をしていただいた上で法律の規定を--政省令になるかもしれませんけれども--規定を設けるようにしたいと思っていますので,よろしくお願いしたいと思います。  それから,次の77ページの「後注」の手形訴訟類似の簡易な訴訟制度は設けないということですけれども,寄せられた意見の多くは設けないということでいいということで,先ほどもちょっと出ましたけれども,手形訴訟が商工ローン業者に濫用されたことを考えると,簡易な訴訟手続を設けるべきではないという御意見をいただいておりますけれども,他方,簡易な訴訟手続の創設が必要だという御意見をいただいております。  ただ,では,どんな簡易な訴訟手続が設けられるのかということについては,具体的な提案はされておりません。この問題は,研究会以来,この部会でも御議論をいただいたわけですけれども,具体案がないわけであります。したがって,具体案を伴わない意見では取り上げようがないということになろうかと思いますので,それでよろしいかということを確認させていただければと思います。  それから,最後,5の「その他」に移りますけれども,まず,78ページ,79ページに,ローマ数字のⅠの「他の法律との関係」,Ⅱの「業務規程のあり方」,Ⅲの「管理機関のあり方」という項目に分類して,非常にたくさんの意見を書いておりますけれども,これらはいずれも金融審議会で主として御議論をいただくべき事項についての御意見であろうかと思いますので,これらの意見を踏まえて,ここにいらっしゃる方々で金融審議会のメンバーは相当いらっしゃいますので,そこで御議論をいただくということでよいかどうかということを確認させていただければと思います。  最後に,5の「その他」のうちのローマ数字のⅣの「その他」,最後のページでございますが,ここはちょっと金融審議会マターとは違いまして,まず1つ目に,手形代替的な電子登録債権と指名債権的な電子登録債権とに区分して,その仕様にあわせた整備を行うという,先ほど冒頭のA-1案からB-2案のところで出た,一部はA-1案で,あるものについてはB-2案という議論にもつながる議論なのかもしれないと思うのですけれども,これまで手形とも指名債権とも違う独立の類型としての電子登録債権というものを作って,1つのものとして,その中にいろいろなパターンのものがあり使い出があると,そういうものとして作っていこうということでずっと来たわけですけれども,ここでは,そうではなくて,2つに分けたらどうかというかなり根本的な思想にかかわる御意見が出されておりまして,ここはちょっと今日御議論をいただければと思っております。  同じような意見として,3つ目ですけれども,1つの制度で規律するのには無理があるのではないかというコメントが寄せられております。  最後ですけれども,一番下でございますが,○○幹事から,外国企業が債権者,債務者となった場合に不都合が生じないようなルールの内容となっているかどうかを検討する必要があるという御意見をいただいておりまして,これもまた○○幹事から補足をしていただいた上で御議論をいただければと思います。  以上です。 ● それでは,今説明がございました部分のうち,まず,この第6の「登録事項の変更」について議論をしたいと思います。  まず,2の「変更登録手続」の(1)の「申請権者」のaの「原則」について,変更登録は当該変更日における債権者と債務者とが申請すれば足りるものとすべきとの意見が出されておりますので,これについて御意見を伺いたいと思います。  ○○委員,何か補足することはございますか。 ● 特に,先ほどの御説明で十分です。 ● では,委員,幹事の方々の御意見をお伺いいたしますが,いかがでしょうか。  事務当局からは,必ずしもそうはいかない場合もあり得るということを指摘いただいたわけで,特に御議論がなければ,それでは,引き続き次回までにこの点について検討をいただいて,事務当局で具体的な案を提出していただくということにしたいと思います。  ○○委員,どうぞ。 ● 既にいつだったか私も申し上げたと思うのですが,譲渡済みの人間が変更登録のところまでかかわるのかというのはやはり私も違和感があるので,先ほど○○幹事が言われたようなケースがどのぐらい現実にあるのかというところをちょっと詰めて御検討をいただければと思います。 ● それでは,その点について検討をいただくということにしたいと思います。  それでは,次に,この同じ項目に関して,○○幹事から,申請に参加すべき者の協力が得られない場合について,迅速に対応するための手法を整備すべきであるという意見が出されていますので,この意見について○○幹事に補足すべきところがあれば補足をしていただきたいと思います。 ● 現実にこのような事案があるかどうかというのは,恐らく実務家の方々が利用形態を考えて,もしこのような不都合があるとしますと,そのときに何かうまい,例えば裁判所が--裁判所の方は嫌がられるかもしれませんが--裁判所が代わってその意思表示をできるとか,何かそういう整備でもないともう動かないというふうなことになってしまうということがあるのではないかということで,指摘をさせていただきます。  これは実務家の方々がちょっとビジネスモデルなんかを検討されて,本当にこのような不都合があるようであれば何らかのうまい制度が設けられないかどうかということを考える必要があるのではないかと思います。 ● 具体例というものが考えられるかどうかということですが。 ● 制度としてということですか。 ● はい。 ● 制度としては,裁判所が,ある種,仮処分と,仮の非常に迅速な手続で,例えば期限が変更され前倒しになっているということを契約書などで示すなどして,それをすれば裁判所が,仮処分と呼ぶか,代わって意思表示を,代替的意思表示というか,いろいろ呼び名があるかはわかりませんけれども,そういったような裁判所の命令でも,管理機関に対して命令をすることができるでも構わないのですが,何かないと動かなくなるのではないかと。それを裁判所に委ねることで負担が重過ぎるということになると,当事者に対する,実際にそれを利用される方がそれで不自由しなければ,あえてそういったものを設ける必要はないということになるのかなと思うのですけれども。 ● ○○幹事,それはどういうために必要だとお考えなのでしょうか。ここに書かれている限りだと,期限の利益喪失条項に基づく期限の到来の登録等ということを挙げておられるのですけれども,当事者間で言えば,もう期限の利益喪失条項を発動して期限が到来していればそれで支払請求ができるに決まっているわけで,別に登録をしなくてもそれの請求はできるわけですね。それで,払わないということになれば,これは支払えという訴訟を起こすことになりますので,それとは別に登録うんぬんしなければいけないというのはどんなことを考えておられるのでしょうか。 ● 期限の利益喪失条項というのは1つの例だと思うのですけれども,期限が本当はもう前倒しになっているというにもかかわらずそれが電子登録債権上反映されていないような状態が残っているというと,その期限の利益喪失事由というのは電子登録債権の外の世界の話だと思うのですが,例えば登録期間との関係で期限が到来していることを主張するとか,あるいは,支払等の手続をしてもらうとか……。 ● 何でそういうことを主張しなければいけないのですか。管理機関は単に債権の登録を管理しているだけで,実質については当事者間の問題ですから,期限の利益が喪失していればそれで支払請求をするだけの話ではないのですか。 ● わかりました。今ここで余り細かく……。私自身限られた想像力の範囲でこういった場合はどうかと考えたので,私自身ももう一度考えてみたいと思いますけれども,ぜひ実務の方にも考えてみてもらって,本当に何か不都合がないのか,本来であれば同意を得たいとか,変更登録手続に協力をしてほしいのだけれどもその人が捕まらないとか,そういったような場合に何らかの枠組みが必要ではないかというのは一度御検討いただいておいてもいいのかなと。私自身ももう一度よく考えるようにいたします。 ● では,具体的な事例,具体的な手法等についてさらにお考えいただいて,具体的な提案があれば提案をしていただきたいと思います。  それでは,次にbの「改名等の場合の取扱い」についてでありますが,債務者単独による変更登録を認めるのなら,変更登録が行われた場合に管理機関から債権者等の当事者に対して速やかに通知する制度を検討するべきであるとの意見が出されておりますので,これについての御意見を伺いたいと思います。  いかがでしょうか。必ず通知をしなければいけないとまでする必要があるのかということだと思いますが,特に議論をいただく点はございませんでしょうか。  それでは,もう少し事務当局でこの点について具体的に検討をいただくということにしたいと思います。  それでは,次に進みまして,cの「一般承継が生じた場合の取扱い」のロの「共同相続」についてでありますが,この取扱いについては先ほど既に議論をいただきましたのでこれはパスしまして,次のハの「一般承継人の変更登録と譲渡登録の申請の関係」について少し議論をいただきたいと思います。  この項目につきましては,実業界から賛成意見が出されている一方で,弁護士会からは反対意見が出されておりますが,いかがでしょうか。同じ議論になりますでしょうか。 ● ここでもまた弁護士会だけが単独で反対しているようですけれども,申し上げたかったことというか弁護士会側が言っていることは,不動産登記と同じように,なるべく権利変動の過程を登録に反映させた方が,いざ争いが起こった場合に,わざわざ申請書類までさかのぼっていかなくてもだれが実際の行為をしたのかということが登録上わかった方がいいし,そのための登録のコストというのは大したものではないのではないかという考えです。他の全員が賛成だと言うのであれば仕方ないと思いますが。 ● 分かりました。  従前からの議論がそのまま反映されているということでありますが,さらにこの点については次回以降に議論をしたいと思います。  それでは,中間試案の第6の「登録事項の変更」について寄せられた意見についての議論はこの程度にしたいと思いますが,特に御指摘をいただく点はございますでしょうか。  それでは,ないようですので,第7の「その他」に移ります。  まず,1の「質権」でありますが,この質権につきましては先ほど紹介いただきましたように,包括根質の可否あるいは後順位質権の設定の問題について,後順位質権の設定や質権設定後の設定者による譲渡登録は認める,他方,包括根質は認めないことにすべきであるという意見のみがここに出されておりますけれども,こういう方向で要綱の作成を進めていくということでよろしいでしょうか。特に御意見はございませんでしょうか。  特に御意見はないようですので,ちょっと大変かもしれませんが,この方向で進めていきたいと思います。  それでは,2の「信託」に移りたいと思いますが,これについては,信託の登録について,受託者が単独で申請できるようにすべきであるとの意見と,登録内容はなるべくシンプルにすべきであって,受益者の名称等については公示する必要はないという意見が出されております。これについては信託法の改正等にかかわることでありますが,この問題についてこういう方向で要綱の作成を進めるということでよろしゅうございますでしょうか。  特に御異論はないようですので,それではこういう方向で要綱の作成を進めていただきたいと思います。  ○○幹事,どうぞ。 ● 先ほどの登録内容をシンプルにするというところまで含めて,今,承認をされたということでしょうか。 ● はい。何か御意見はございますか。 ● しかし,そんなにたくさんの人がそう言っているわけではないわけですよね。一団体だけがそう言っているというだけですよね。 ● ただ,他には意見が出なかったので,一人だけど全部なのですけれども。 ● だけど,他の人の意見は書きにくいではないですか,シンプルにすべきであるという意見が存在していて,こういうことまで書かせるべきであるというふうな意見は書けますけれども。 ● ○○幹事,受益者の名称等について……。 ● ということではなくて,これは他のいろいろな登録制度との間のバランスの問題であって,ここで単独で突破口を,例えば他のところがやろうとしているのに,特に電子登録債権だけを簡略化するというのはおかしいと思いますので,ほかのものに合わせればいいのだと思います。 ● それはおっしゃるとおりなのですけれども,ここは登記・登録系でもいろいろなやり方があるものですから,それでこういう御意見が出されているわけであります。不動産登記が最も厳格なやり方で,御承知のとおり,信託原簿というものを不動産登記簿の付属書類として作ることになっているわけで,それに非常に細かいことが書かれることになっているわけですけれども,それでは,振替社債の信託の場合はどうかというと,そんなことは全然ないわけで,信託だということだけが書かれるだけでございます。  ですから,そういういろいろなやり方がありますので,そのうちのどちらかというと振替社債並みにしてはどうかというのがこの御意見ではないかと思いますけれども,○○委員と○○委員はこの協議会にかかわっておられたと思いますけれども,そういう理解でよろしいのでございますでしょうか。 ● そうです。 ● それで,○○幹事は,やはり不動産登記並みの方がいいという御意見でございますか。 ● そういう意見は別にありませんが。 ● この新しい信託法の法案はまだ法案の段階ですが,整備法で,登記・登録制度で,新たな財産について信託の登録制度を新たに設けるということが検討されていますので,典型例は今言われた2つなのですが,今後,登記・登録される財産で信託の登記・登録制度が今回の整備法で整備されるというものも幾つかありますので,ずらっと並べてみて,財産権の性質とか,それぞれのニーズを比較して決めるということでいいのではないかなと。2つだけだと何か非常に極端なところに行っているものですから。 ● それでは,ほかの登記・登録の制度と比べながら何を登記・登録するのかを検討いただくということでお願いをしたいと思います。  ○○幹事,それでよろしいでしょうか。 ● はい。 ● それでは,次に3の「登録原簿等の開示」の問題を取り上げたいと思いますが,これについては様々な点について非常にたくさんの意見が出されておりまして,本日これらを一つ一つ議論するという余裕はありませんので,次回の会議での主要な議題の1つということにさせていただきたいと思いますが,そういう扱いでよろしいでしょうか。  それでは,次回の主要な議題の1つということで取り上げたいと思います。  次に,4の「電子登録債権に関する差押え等」に移りますが,これについては裁判所から3点の意見が出されておりますが,いずれも具体的な提案を含んでいないわけでありまして,先ほど事務当局から説明をいただきましたとおり,具体的にどのような規定の整備をすべきかについて,今後,事務当局と最高裁との間で詰めていただきまして,その結果を当部会に御報告いただいて議論をするということにしたいと思いますが,そういう扱いでよろしいでしょうか。  どうぞ。 ● 1つ進行も含めまして,裁判所からどうしてこのような提案をさせていただいたかというのを,時間も押し迫っておりますが,簡単に御説明させていただければと思います。  今回3点御提案を申し上げておりますが,大きく分けると前の2点とあとの1点に分かれるわけでございます。前の2点につきましては,差押手続等については法律の規定を,骨格部分は法律で定めるべきではないかと,その上で必要な細則的事項を最高裁判所規則に委任すべきではないかと考えている次第であります。  先ほど○○幹事の方から,例えば社債等の振替制度における場合には最高裁規則に全部委任されているというお話がありましたが,社債の振替制度と一番大きな違いは,第三債務者の位置づけだと思います。つまり,社債振替制度におきましては,第三債務者が企業,しかもある程度の規模のある一定規模以上の企業が想定されるわけでありますし,また,その場合,管理機関等との密接な関係というのも十分想定できるところでありますが,今回のこの電子登録債権におきましては,第三債務者が個人であることも十分予想されますし,また,第三債務者と管理機関とのつながりというのも,社債振替の場合に比べますとそこまで強いつながりがあるのかなという懸念がございます。そういった点からも,今回の骨格については法律で定められるべきではないかと。  さらに,裁判所の方から御提案申し上げました第2点とも絡むところではございますが,登録原簿上,裁判所の債権差押命令等に基づく処分の制限に関する登録をぜひ義務付けられたいと。ただ,これを義務付けると申し上げても,私人である管理機関に対する義務付けでございますので,ここの部分は最高裁判所規則で果たしてできるのかなという懸念もございます。したがいまして,ここを仮に法律で規定するということになれば,あわせて差押手続等について,骨格部分については法律である程度,細かい形ではないにしろ,規定を設けていただくのがよいのかなと考えているところであります。  裁判所から提案申し上げました3点目につきましては,電子登録債権の自由譲渡の制限というものが差押債権者等に対して対抗できるか否かという点でございますが,これは最高裁判所判例の昭和45年4月10日民集24巻4号240頁にもございますとおり,当事者の同意等によって民事執行を回避できる財産の創設というのはいかがなものかなという観点から提案させていただいた次第でございます。  なお,そういった観点からしますと,先ほど議論のありました63ページの「一般承継が生じた場合の取扱い」の「共同相続」の場合,相続人,特に債権者において相続がなされた場合の取扱いですが,仮に相続人が全員で変更登録を申請しなければならないということになりますと差押えとの関係はどうなるのかなと,というのが若干本日の議論の中で疑問に思っているところでございます。ここで仮に差押えにおいても全員でというようなことが義務付けられてしまいますと完全に差押えができなくなってしまうということになりかねないかなというちょっと漠然とした懸念を本日抱いたところであります。ただ,この点についてはまだこれから検討させていただきたいなと思っておりますので,どうぞよろしくお願いします。 ● ありがとうございました。  いずれにしろ事務当局と最高裁との間でこの問題は詰めていただきまして,こちらで法律マターにしなければいけないことがあれば法律マターにするということでさらにこちらで議論をすると,そういうことにしたいと思いますがいかがでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● ただいま御説明がありましたが,私は,以前から,第三者関係,優先関係,対抗関係,そういうものを含めたものは法定的に,わが国の対抗要件制度等からして法定的なものであって,当事者の任意の合意のところに下ろせるものではないということを強調しているのですが,その観点からすると,やはりなるべく骨格部分を法律で書いていただくという方が私としては望ましい形だと思っております。特に新しいカテゴリーの電子登録債権をつくるわけですから,既存の法律でそうであったという,例えば社債等振替のケースなどとは違う扱いをしても全くおかしなことではないと思っていますので,ぜひ裁判所の方には積極的な御検討をお願いしたいと個人的には思います。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 私も,記録のために言うのですけれども,今,○○委員がおっしゃったことに賛成でして,丸投げをなるべくしないで,丸投げされようとしている裁判所がこういうふうにおっしゃっているのですから,なるべく骨格部分は,権利義務に関するところは法律で決めるという方向でやっていただいて,具体的な内容は詰めていただきたいと思いますけれども,そういうことだけ申し上げたいと思います。 ● ○○幹事,何か。 ● どこまで法律で書いて,どこから先を委任するのかという問題は,これは先例の関係とかいろいろなことを考えても,私どもだけで決められない,権限ある御当局がお決めになる部分が相当ございますので,それも踏まえて検討したいと思います。 ● ○○幹事,よろしいですか。 ● 今,○○幹事の方からも御説明がありましたが,ただ,今回,○○委員あるいは○○委員の両委員の方からこのようなお話をいただいたこともございますので,例えば,今回の部会の中で,骨格部分は法律で定めるという漠然としたところだけでもお決めいただいて,その骨格部分は何かということについて事務的に最高裁と法務省との間で今後詰めさせていただくという形はいかがでしょうか。 ● そうすることができるかどうかは権限ある当局の御判断を待った上でないとできないのでそう申し上げているので,もうこれ以上は議論しないでおきましょう。 ● それでは,事務当局と最高裁の間でこの問題については詰めていただいた上で,こちらで議論すべきものについては議論をしたいと思います。  それでは,5の「その他」に移りますが,このうち,部会資料11で,1の「他の法律との関係」,2の「業務規程のあり方」,3の「管理機関のあり方」という項目に分類されている意見でありますが,これらはいずれも金融審議会で審議されるべき事項であると思いますので,これらの意見を踏まえて金融審議会で御審議をいただきたいと思いますがいかがでしょうか,ざっと御覧いただいて。  タイトルの打ち方とか中身については確かにここの審議会のマターではないように思われますが,よろしいでしょうか。また何か御意見がありましたらおっしゃっていただいて,とりあえずここではこれらの問題点については議論をしないで,金融審議会にお願いをするということにさせていただきたいと思います。  それでは,「その他」のうち,部会資料の11で,さらに4の「その他」として分類されている意見に移りますけれども,このうち,まず,手形的な電子登録債権と指名債権的な電子登録債権を区分して規定を整備する方がよいのではないかという,そういう御意見がございます。この点について少し御議論をいただきたいと思いますが,いかがでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● この御意見は,本日,最初の方で,○○委員から御発言のあった御趣旨も同じかと思うのですが,私自身もこのパブコメでどのぐらいこういう御意見が出てくるのかと,ある程度数は多い可能性もあると考えていたところであります。そして,先ほど○○幹事からこの御説明のときに,我々がここで電子登録債権という指名債権と手形等を包括する形の新しい第三類型としての債権を作り,その中にいろいろな可能性を包括するものを作るということでやってきたと。私はこの基本姿勢は言うならば最後の最後まで崩さずに行くべきだと思うのですけれども,今後,いろいろな意見の集約の中で,例えば民法典で言えば,最初に総則があって,その後に物権債権とかがあるわけですけれども,2つの類型に分けた部分を大きな総論の傘の下に置くような立法の仕方も最終的に検討する必要があるかもしれないとは現時点で感じているところなのですが,ただ,このやり方は既にいろいろなところで御紹介されている韓国の例のように,一方で電子手形的なもの,他方で電子指名債権的なものという,全く統一のとれない形で分離された立法がされるというのは非常に将来に禍根を残すという感じが私もしておりますので,やはり統一した1つの類型の中に包摂するという私どもが考えてきたやり方を極力突き詰めて維持していくべきだろうとは思っておりまして,ただ,どのぐらいこういう御意見が強いのかというのは,次回,次々回というところでも検討すべきだと思って,私自身も学会で少しその辺の意見を聴取したいと思っております。  以上です。 ● この問題についてほかに御意見はございませんでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● むしろこういう御提案をされた諸団体が具体的にどういう法制をお考えになっているのかちょっと伺ってみないと何とも申し上げられないのですけれども。  ただ,ここで既に議論をしておりますように,この指名債権的な電子登録債権とおっしゃるとしますとやはり一番大きい問題は善意取得あるいは抗弁の切断等ですので,それについては既にここでそういうものについても善意取得あるいは抗弁の切断等を全く認めないようなタイプの電子登録債権も可能だという,反対論もありますけれども,むしろどちらかというとそういうものを認める意見の方が多数ですし,この枠組みの中でもやれるのではないかという気がしておりますので,あえて「その他」で御提案のあるような御意見を出されるとすると,どのような法制にして,ここで今まで議論をしてきたものとどういう点で違って,どうして今までの議論と違う区分をした立法が必要なのかということをおっしゃっていただかないと議論がしにくいのかなと。私は従来の枠組みの中でもこういうものはすくい取れるのではないかと,今のところそう考えております。 ● どなたか実務界の方でこれをサポートするような御意見をお持ちであれば。  今までの議論の中では,全体で包摂できるという形で,特にこの類型だけは別扱いしなくてはいけないという強い意見があったというものはなかったように私は記憶しているのですけれども。  ○○委員,どうぞ。 ● 銀行業界の内部で特にこういった検討の方向でやるべきだという意見は出ていないのですけれども,結局,一番の論点というか,発生登録要件のA-1案からB-2案まで分かれているというところは,現実の手形代替手段としての活用,それ以外ですね,それを考えたときにどうやって現実的に乗せていくか,その中でいろいろと見解の相違とかが出てきていると思いますので,今のところ,銀行業界としては,1つの制度の下でどうやったら幅広くやっていけるかという方向で考えているのですけれども,いろいろな論点をやっていく中でどうしても1つの制度の中でやるのが難しいということになれば,現実的な妥当性という意味ではうまく適用させるために2つ制度を分ける,そういった考え方もあり得るのではないかなとは思います。 ● ○○委員,どうぞ。 ● うまく説明できる自信は全くないのですが,よく分からないのですね。よく分からないのですけれども,皆さんと議論をしていてやはり実務的に割り切れなさというか混乱が生じているのは,おっしゃったとおり発生登録の意思表示の問題と,それからもう1つは任意的な登録事項とその様式性の話ですね。  ○○幹事からも御指摘がありましたけれども,任意的な登録事項がいっぱいあるということは非常に便利な反面,それが債権の内容にどこまで影響するのかと,ただ書いてあるだけということでは多分ないのでしょうねと,書かれたことについては何か責任を取るのだよねというところの整理が実務的にもよく分からないのですよね。ですから,書くことの意味というのがよく分からないので,では書くのをやめましょう,できるだけあっさりと最低限のことだけ書きましょうというものと,同一に論じられるのかどうかというのはよく分からないということで,○○委員がおっしゃったように,今検討されているフレームワークの中ですべて解決できるような気は個人的にはしているのですけれども,ちょっと断言できるところまでは行っていないので,一応書いてありますということでございます。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 発言しないといけないかなと思って。  私もいろいろ悩んではいるのですけれども,やはり一番の原因はその発生のところ,それからもう1つは手形の代替という部分がここに代わることによってどうルールが変わっていくのか,そこが,今まで実務の中で積み上げられてきているものだけに,本当に今までみたいに便利な形でこの電子登録債権となって使えるのか。それから,一括支払システムが一部導入されて手形がずっと減っているという中で,今残っている手形の利用方法が一括支払システムに移った場合,同じ手形からスタートしているのですけれどもやはり使い方が違うわけですね。それは債務者が大規模か小規模かというところでも違ってくるし,手形の便利さというところでも。根本的な手形法で扱われる世界での慣れと簡便さというのがありますので,電子登録債権になったときにそこで若干損なわれる部分というのが。例えば裏書の部分,先ほどの登録保証の部分なんかもあるのですけれども,幾つかの戸惑いがあるという中で,やはり手形代替的なものは残したいなという声がいろいろなところにあるのが原因だろうと思うのですね。  ですから,そこをうまいぐあいに,今のフレームを崩すことなく手形的な取扱いをやろうとするのであれば,1つの管理機関に全国の債権者予備軍と債務者予備軍が集中して集まって,ここだけは別な取扱いをしますねと,それ以外はこの原則的な取扱いでやりますというような,そういう区分けをするような形であれば何とか2つの制度が併存するのかなとはちょっと思っているのですけれども,そういったところが多分実務の一部からは必要だと言われている理由だと思っております。余り回答にはなっておりませんけれども。 ● そうすると,今の○○委員のお話を伺っていると,私法上あるいは法律上の問題というよりは,手形代替のようなことができるようにするためには,いわば,一種,手形交換所に相当するような管理機関というものをつくらなければいけないという,運用というか事実上の問題なのですか。 ● 多分そうではないかなと思うのですね。データとか過去の不渡りの情報とかの共有化とかそういったものを考えると,分散してしまうとその情報はもらえない。もらう場合は,片方ではファイアーフォールを確立しないといけないという部分があるのだけれども,片方ではやはり悪質な人とか支払能力のない人はある程度排除したいというニーズも,当然,受け取る側,中小事業者には信用調査力がやはり余りないですから,そういったところで情報は欲しい,そういったところの矛盾がちょっと出てきているので,それが法律的に解決できるのであれば一番いいし,実務的に実際に解決できるのであればそれはそれでいいのでしょうけれども,今のところはどういうものができ上がるのかというのはよく分からないがためにそういった話にやはりなってくるのだろうと私は考えているのですけれども。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 1点,補足をさせていただいてよろしいでしょうか。  今の○○委員の御発言に端的に出ていると思うのですが,この2つに分けるという意見はほとんどが完璧な手形代替の機能を電子登録債権に求めるというところからの発想のようで,私どもは法務省の研究会の段階から,手形を別につぶしてしまうわけではなくて,手形はそのまま残るし,指名債権も残る,だけど間に電子登録債権ができるという考え方で来ましたので,その電子登録債権には,指名債権の欠点をなくし良いところをとり,手形の欠点をなくし良いところをとるということが要請されていたわけですが,完璧に手形の良いところを全部電子登録債権に移すというところは考えていなかったと思うのですね。だけれども,議論をしているうちにやはり手形の便利さというか簡便さみたいなものを全部電子登録債権にも求めたいという御議論が意外にやはり現場には強いのかなと,そういう印象がありまして。  ですから,そういう希望というかニーズを電子登録債権に吸収するのか,それとも,電子登録債権は間にある別のものなのだということで,その電子登録債権の枠の中でどこまで手形に近いことができるのですと示せばいいのかという,ここのところにやはり帰結するのかなという感じが,今,しております。 ● ○○関係官,どうぞ。 ● 今までの議論で出てきたところだと思うのですけれども,2つ問題があって,結局,○○委員のおっしゃったように,まず,この意見を述べられている方が一体何を求めているかということを明確にしなければいけないということだと思うのですね。もう1つは,では,その求めていることに対してどういうアプローチで,つまり,例えば私法ルールとしてそれを実現すべきものなのか,何か行政的な法によって実現すべきものなのか,それとも,もっと広く私人の約款ベースで,もしくは業務規程ベースで実現すべきことなのか,恐らくその2つのレベルがあると思うのです。  例えば手形代替的なと簡単におっしゃっていますけれども,実は手形法上は裏書禁止手形にしてしまえば指名債権譲渡しかできないわけで,別に手形代替と言うだけでは何も実は表していなくて,今,恐らくこの意見をおっしゃっている方々というのは,そういう特殊な手形の裏書とか記載事項とかは何もなくて,不渡り制度まで含めて全部それが手形代替的なということで多分おっしゃっているのだと思うのですね。ところが,それは現行の手形制度でも,手形法だけで実現していることではなくて,手形法もあれば,銀行実務もあれば,手形交換所の規則とかそういうことも含めてすべてトータルのソフトとしてできていることですので,やはりそこの中身を明らかにした上で,この電子登録債権法という中でどこまでそれを実現すべきなのかということをもうちょっと詰めて考えていかなければいけないのではないかと思うのですね。  そういう意味で,私法ルールとして今この中間試案を見る限り,何ら特別な定めをしなければすごく手形的なのです。恐らくこれは○○委員に怒られるかもしれないのですけれども,何も特別な定めをしなければ手形的とは言えるのですけれども,それにいろいろなオプションが付与できることになっていて,私の個人的な考え方としては,手形代替的なものを作ろうと思えば作れる私法ルールにはなっているのではないかと。だから,それを超えて何らかのニーズが本当にあるのかないのかということをちょっとまた,○○委員が帰られましたのでよく分かりませんが,そこら辺も含めて意見をお聞きしたいなという感じを受けます。 ● ○○幹事,どうぞ。 ● 8月31日から経済産業省でも研究会を開始いたしました。法務省と金融庁にも御協力をいただいております。それで,やはり我々のビジネスニーズをどういうふうに実現するかという観点でものを考えなければいけないので,今の話は非常に重要なポイントになるわけですけれども。  今日のお取りまとめをいただいております資料を見ても,先ほど○○委員の方からもありましたけれども,意思表示,任意的登録事項,自由譲渡性,この3つの点では明らかに中小企業団体とノンバンク関係団体で意見が分かれておりまして,どっちを選択するかでどっちかのビジネスモデルが一部阻害されると,こういう格好にならざるを得ないわけであります。  もちろん,先ほど○○関係官がおっしゃられたように,どこまで法律の中で書くのかという問題はありますが,残念ながら金融審の方はまだこれからということで,どういう監督規制になるのかもまだ今の段階では分からない以上,一応我々としてはそれぞれのビジネスモデルを実現するために何が必要かというところはやはり議論を,そういう観点で議論をしなければいけないのではないかと思っております。  だから,そういう意味で,我々の方でもそういうビジネスモデルサイドの議論はしていきますけれども,やはり法制審の中でも,例えばこれを法律の中で書くとしたらどこまでどういうふうに書けるかというような観点でやっていただいた方が,やはりここまで書く必要はないから,あとは金融審の方にお任せをするとか,もっと別なことも考えなければいけないとか,そういう頭の整理が出てくるのではないかという感じはしております。我々もどこまでどういうふうな形で書くべきかという知恵はまだありませんけれども,少なくとも先ほど言われたような3つの点については最終的には選択をしなければいけないわけですから,選択をしたときに,少なくとも今明示的に出ている2つのビジネスモデルのうちのどちらかがちょっとやりづらくなるということはやはりちょっと言えるかなと思います。  以上です。 ● 今3つの点を○○委員から指摘があったのですけれども,3つのうち,A-1案からB-2案というのは先ほど○○委員からも御指摘があったようになかなか厄介な問題で,どれかしか採れないわけですから厄介な問題だと思っているのですけれども,あとの2つの自由譲渡性と任意的登録事項については業務規程で定められるようにするということだし,自由譲渡性もそれを制限することをどこまで業務規程で制限できるかという話ですので,これは,どちらも制限ができないということになると○○委員の側の方のビジネスモデルが崩れてしまう可能性があって,それはまずいのですけれども,業務規程で制限できるという方にした場合には,それはそういう制限をする管理機関もあれば制限しないという管理機関も出てくるわけなので,さっき○○関係官が言ったのは,業務規程でどちらにでも定められることになっているから,それはそれぞれの手形代替的に,手形代替というのは手形交換所みたいな手形代替を意味しているわけですけれども,そういうものに使おうと思うものは任意的登録事項は認めないし,自由譲渡の制約も基本的には認めないという業務規程になるに決まっているわけですから,それで選択ができるということになるのではないかと思っております。だから,ここでの問題というのはA-1案からB-2案をどういうふうにすれば妥当な形になるのかというそこなのではないかなと思うのですけれども。 ● 今日はもうこれ以上議論をしてもあれですから,それぞれビジネスモデルを頭の中に描いた上で,そのビジネスモデルに従ってこの法律を使おうとした場合にどこが一番阻害要因になっているのかということを御指摘いただくというのが一番早いのではないかと思うのですが。いずれにしろこれは継続して議論をしなければいけない問題であろうと思いますので,詰めて少し,選択肢も残っていますが,この法案でいくとどこが一番使い勝手が悪くなるのかということをそれぞれ議論の際に御指摘いただいて,どうしてもはけなくてはいけないということになってくるとここで御指摘をいただいていることを取り入れざるを得なくなるのではないかという気がいたします。したがって,直ちに結論を出すということではなくて,継続してこの点を意識しながら議論を進めていきたいと思います。  それでは,この問題についてはそのくらいにいたしまして,最後に,部会資料11の4の「その他」の最後の部分でありますが,外国企業が債権者・債務者等になった場合に不都合が生じないようなルールになっているかどうか,これを検討する必要があるという御意見が○○幹事から出されておりますので,この意見について○○幹事に補足すべきことがあれば補足をしていただければと思いますが。 ● これはもう,まさに部会長がおっしゃられましたように,これが幅広く使われるようになったときに,例えば外国通貨であるとか外国債権者で支払口座を例えば外国にしてほしいという人が出てくるのかもしれませんし,それは各々のビジネスモデルによりますので,ぜひ実務家の方々に御検討をいただく際に,ちょっと国際的な広がりがある場合に,例えば外国に口座があると送金手続なんかがなかなか不都合になってくるかもしれないとか,そういった点も一度御検討いただいたらいいのではないかというサジェスチョンというかお願いです。 ● ○○幹事がこの中間試案を御覧になられて,今の視点から何か問題があるとお考えのところは具体的にございますか。 ● 1つは送金手続が,国内の送金手続を基準にしたものと,外貨が入ったような場合になりますと,外国通貨の送金の処理の手続の仕方というのは実務上全く異なってくると思いますので,そこがどうなのかなと。外貨が使えないということになるとどうなのかなというふうな。外国送金が入ってしまえばもっと複雑になると思いますので,そこは具体的にと申しますと1点引っかかるところでございます。 ● それでは,これは継続して意識の中に置きながら各項目についての議論を進めていきたいと思います。具体的な論点が出てこなければもうこれは特に取り上げる必要はないかなと思います。  それでは,大変時間が延長されてしまいましたけれども,これで本日予定していた審議はすべて終わったことになります。  それでは,事務当局から次回の予定について説明をお願いいたします。 ● 今日も長時間にわたり非常に熱心な御審議をいただきまして,まことにありがとうございました。おかげさまで,次回御議論をいただく,どういう方向で私どもは準備をすればいいかというのを,ある程度出していただけたのだと思っております。  それで,次回でございますが,10月3日(火)午後1時から,今日とは場所が違いまして,同じ20階なのではございますが,最高検察庁の会議室で会議を行いたいと思います。この最高検察庁の会議室は,法務省の玄関から入っていただいて,今日乗っていただきましたこの法務省のエレベーターで上がっていただきまして,会議室だけが日比谷公園側の検察庁寄りになっていますけれども,ビルとしては法務省側のセクションの方に入っておりますので,検察庁側にいっていただく手前のところに会議室がございます。ですから,そこの最高検察庁の会議室で13時からということでございますので,よろしくお願いいたします。  審議の内容でございますが,本日の会議で次回以降の課題とされた論点について,次々回以降にしようというものも一部ございますけれども,次回にやるということになった部分について,事務当局において考え方を整理した資料をつくってみまして,これに基づいて今後どういうふうに要綱案を取りまとめていくかという議論をしていただくということにしたいと思っています。事前に,1週間前には,資料を発送させていただきたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。  本日は長時間にわたりどうもありがとうございました。 ● どうもありがとうございました。どうも不手際で延長してしまいまして,申しわけありませんでした。 -了-