法制審議会 被収容人員適正化方策に関する部会 第1回会議議事録 第1 日 時  平成18年9月28日(木) 自 午後3時00分                       至 午後5時01分 第2 場 所  法曹会館 富士の間 第3 議 題  被収容人員の適正化を図るとともに,犯罪者の再犯防止・社会復帰を促進するという観点から,刑事施設に収容しないで行う処遇等の在り方等について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ● 大変お待たせいたしました。ただいまから,法制審議会被収容人員適正化方策に関する部会の第1回会議を開催いたします。 ● 本日は,御多忙中のところ,被収容人員適正化方策についての御審議のためにお集まりいただき,まことにありがとうございます。  本日,本部会が開かれるに至った経緯等について,御説明いたします。  去る7月26日,法務大臣から,被収容人員適正化方策に関します諮問第77号が諮問され,同日開催されました法制審議会第149回会議において,同諮問についてはまず部会において審議するべき旨が決定されました。そして,同会議において,同諮問を審議するための部会として被収容人員適正化方策に関する部会を設けることが決定され,同部会を構成すべき委員及び幹事が法制審議会の承認を経て会長から指名され,本日ここに御参集いただいたところでございます。          (委員・幹事及び関係官の自己紹介省略) (○○委員が,部会長に互選され,法制審議会会長である○○委員により部会長に指名された。) ● ただいま部会長に選ばれました○○でございます。議事が円滑に進みますように誠心誠意部会を運営してまいりたいと存じますので,皆様方の御支援と御協力のほどをお願い申し上げます。  初めに,部会長に事故があるときに,その職務を代行する者をあらかじめ部会長が指名しておくこととされておりますので指名させていただきますが,○○委員にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  次に,関係官の御出席の承認の件でございますが,法務省特別顧問の○○氏に関係官として当部会に出席していただきたいと考えておりますが,よろしゅうございますでしょうか。  それでは,○○氏には部会の会議に御出席願うことといたします。よろしくお願いいたします。  これから,先の法制審議会におきまして当部会で審議するように決定のありました諮問第77号について,審議を行います。  まず,諮問を朗読していただきます。 ● 諮問第77号,被収容人員の適正化を図るとともに,犯罪者の再犯防止及び社会復帰を促進するという観点から,社会奉仕を義務付ける制度の導入の当否,中間処遇の在り方及び保釈の在り方など刑事施設に収容しないで行う処遇等の在り方等について御意見を承りたい。  以上です。 ● どうもありがとうございました。  次に,事務当局から諮問の趣旨等について説明をしていただき,その後,審議に入りたいと思いますが,それに先立って,本日の審議の進め方について事務当局の方で何かお考えがございますでしょうか。 ● 審議の進め方につきまして事務当局の方から御提案というかお願いをさせていただければ,本日は本部会の第1回の会議であることでございますし,今回の諮問は刑事司法の非常に幅広い分野にわたるいずれも重要な事項に関する御審議,御検討をお願いするものでありますことから,諮問の趣旨等について御説明申し上げた後,今回の諮問の契機となった過剰収容の実態についてやや詳しく御説明をさせていただくとともに,今回の諮問について御審議をいただくに当たって参考としていただくため,刑を受けた者による再犯の実情を含め,刑事司法の関連する分野の現状,さらには執行猶予者保護観察法の改正等,関連する最近の動きについて,統計資料を交えながら御説明をさせていただければと考えております。 ● ということですが,それでよろしいでしょうか。  わかりました。どうもありがとうございます。  それでは,事務当局から,今回の諮問の趣旨等について御説明をしていただきます。 ● ただいま読み上げました諮問第77号につきまして,提案に至りました経緯及び諮問の趣旨等について御説明いたします。  まず,刑事施設の収容の現状でございます。後ほど統計等に基づいてさらに詳しく御説明いたしますが,刑事施設の収容人員数を見ますと,過去10年間一貫して増加傾向にございまして,平成8年の収容人員総数が約4万9千人であったのに対し,平成17年の収容人員は約7万9千人となっておりまして,この10年間で約3万人増加したということでございます。この間,法務省におきましては,刑事施設の収容能力の向上,刑事施設で勤務する職人の増員に努めまして,収容定員は毎年増加してきております。その結果,平成8年には約6万4千人であった収容定員が約7万6千人にまで最近では増加しているところでございます。しかしながら,収容定員の増強は,収容人員,実際に刑事施設に収容される人員の増加に伴う収容率の上昇に追いついておらず,平成13年には収容率が100%を超えて101.2%となりまして,それ以降,現在に至りますまで,100%を超える過剰収容状態が継続しているところであります。とりわけ,受刑者等の既決者に係る収容率は,平成14年以降,116%を下らない状態が続いているところであります。  一方,犯罪情勢でございますが,刑法犯の認知件数は,平成8年以降平成14年まで毎年戦後最多を更新し,現在も依然として高い水準にあります。このように近年の犯罪情勢には依然として厳しいものがあること,さらには,受刑者の平均刑期が長期化する傾向がうかがえることなどにかんがみますと,過剰収容の傾向,こういったものが直ちに大きく変わるとは考えられず,そのような状態がしばらく続くものと言わざるを得ないのではないかと考えております。  このような状況を踏まえますと,刑事施設の収容能力の向上にとどまらず,これと併せて,刑事施設に収容しないで行う処遇等の充実強化についても検討する必要があるのではないかと考える次第であります。そのことによりまして,犯罪者の改善,更生,犯罪の予防という刑罰の目的の一つをよりよく達成しつつ,被収容人員の適正化を図ることができると考えられるところであります。また,奈良県生駒郡内における女児の誘拐殺人等事件あるいは愛知県安城市における幼児の通り魔殺人事件など,刑を受け終わった者あるいは仮出獄や執行猶予中の者による重大再犯が相次ぎまして,大きな社会問題となったことは記憶に新しいところでございます。さらには,重大再犯とまではいかないにしても,窃盗あるいは薬物犯罪を繰り返すなどして幾度も受刑する者が相当数存在し,平成8年以降,一般刑法犯検挙人員中の再犯者の人員・割合は増加し続けているところであります。このようなことから,犯罪者の再犯防止及び社会復帰の促進もまた重要な課題となっているところであります。  以上,申し上げたような問題意識を踏まえまして,刑事施設の過剰収容状態を解消して収容人員を適正化するとともに,犯罪者の再犯防止及び社会復帰を促進するという観点から,法務省内におきまして刑事施設に収容しないで行う処遇等の在り方について基礎的な調査・検討を行ってきたところでございますが,これらは非常に重要な課題でありまして,できる限り速やかに対処すべきものであると考えられます上,検討を要する問題点も多いということが考えられますので,この段階で法制審議会に諮問をし,御審議いただくこととなったということでございます。  以上のような諮問に至る経緯と諮問の趣旨を若干敷衍して御説明いたします。  被収容人員の適正化を図るとともに,犯罪者の再犯防止及び社会復帰を促進するという観点からしますと,まず,刑事施設に収容しないで処遇を行う方策を拡充することが考えられるところであります。その中には,現在では刑事施設に収容して処遇を行うことになる者を対象とするというものも考えられるでありましょうし,現在でも刑事施設に収容しないで行う処遇の対象となる者について,処遇の在り方を充実強化させ,その者の社会復帰を促進し,再犯に及ぶことを現状よりもより的確に防止することによって過剰収容の要因を減らすということも考えられるところであります。そのような方策といたしましては,例えばでございますが,諮問にもありましたように,比較的罪が軽い者に対して社会奉仕活動を義務付けることなどが考えられるところでございます。  次に,いったんは刑事施設に収容した者について,適切な時期に社会復帰が期待できる形で社会内に戻すことができるような方策を拡充することも考えられるところであります。例えば,これも諮問にあったところでございますが,効果的な中間処遇の在り方について御検討をいただければと考えております。刑事施設からの出所者総数は増加しておりまして,これに比例して満期で出所する者も増加しておりますところ,満期出所者の再犯率が高いという傾向にかんがみますと,満期釈放前に有効な中間処遇を行うことにより,社会復帰を容易にし,再犯に及ぶことをより的確に防止することによって過剰収容の要因を減らすことが考えられるところであります。また,仮釈放によって社会に戻るという者につきましても,特に刑期がある程度長期に及んだ場合などには,仮釈放前に中間処遇を行うことにより,より円滑に社会復帰できるようにすることができるものと考えられるところであります。また,未決勾留段階の保釈につきましても,例えば,逃亡を防止し裁判所への出頭を確保する制度や,有効な罪証隠滅防止制度を創設するということも考えられるところであります。  さらには,刑を受け終わった者に対する再犯防止・社会復帰支援制度についても御検討をいただきたいと考えております。窃盗,薬物犯罪などの罪を犯した者の刑事施設への再入率が高い傾向にあることにかんがみますと,例えば,これらの罪による刑を受け終わった者に対して,再犯を防止し社会復帰を支援するための措置を講じることにより,再犯に及ぶ数を減少させることができれば,被収容人員の適正化にも資するものと考えております。また,例えば,性犯罪者の再犯防止措置ということも重要な課題ではないかと考えております。もとより,刑執行終了者は既に刑事責任を果たし終えた者でありますので,そのことをも踏まえて,どのような制度が適当と考えられるか,あるいは可能なのかを十分御議論お願いしたいところであると考えております。  このように,今回の諮問は幅広い分野にわたるいずれも重要な事項に関する御検討をお願いするものでありますが,例として挙げられた方策を中心としまして,幅広く御検討いただければと考えております。委員の皆様方におかれましては,諮問の経緯及び趣旨について御理解をいただきまして,十分に御審議くださいますようお願い申し上げる次第であります。  以上です。 ● 次に,事務当局から,配布資料に基づくなどして,刑事司法の現状や最近の動き等について御説明していただきます。  まず,刑事局からお願いいたします。 ● お手元の資料でございますが,まず,配布資料1が諮問第77号でございまして,先ほど朗読いたしましたとおりでございます。配布資料2ないし4が,これから御説明する内容についての資料ということになります。  まず,刑事局の方から配布資料2に基づきまして,最近の犯罪情勢等につきまして若干の御説明を申し上げたいと思います。  配布資料2のうちの資料1でございますが,刑法犯の認知件数・検挙人員の推移についてのグラフでございます。資料2は,主要罪名別の認知件数・検挙件数・検挙人員の表でございます。これらを見ますと,刑法犯の認知件数は,平成8年以降,毎年,戦後最多を更新したところでありまして,ピークが平成14年の369万3,928件でございまして,翌15年には減少に転じたとはいえ,平成17年を見ましても312万5,216件でありまして,依然として高い水準にあるということが言えると思われます。  認知件数の罪名別の構成という点につきましては,窃盗が約55%ということになり,次いで,交通関係業過が約27%となるところであります。それから,刑法犯の検挙人員でございますが,平成10年に,27年ぶりとなるようでありますが,100万人の大台に回復したといいますか再度乗りまして,翌11年以降,平成16年に128万9,416人を記録するまで,毎年,戦後最多を更新したというところであります。平成17年も127万8,479人でございまして,依然として高い水準にあるということでございます。  次に,そのような一般的な犯罪情勢を受けました科刑の状況ということでございますが,資料3は,平成17年におけます地方裁判所における有期の懲役・禁錮の科刑状況についての表であります。資料4の方ですが,第一審において実刑判決を受けた者の刑期の分布について,主要犯罪別にまとめたものであります。資料4-1ないし3ということで,平成15年から17年までの3年間の数字となっておりまして,大まかな傾向を全体として見ますと,1年以上2年未満の刑を言い渡された者が約3割,次いで,2年以上3年未満の刑を言い渡された者が約4分の1を占め,これらを合わせると半数を超えるというところであります。これを罪名別に見ていきますと,実刑判決を言い渡された人員数が多いのは,窃盗,覚せい剤取締法違反,詐欺,傷害といったところであります。これらの罪については,3年未満の刑の言い渡しを受けた者の割合が高くなっていると言えます。さらに,道路交通法違反であるとか,過失傷害の罪,これは注4のところを見ていただきますと,業務上過失致死傷などを含んだものでございますが,これらの罪については,1年未満の刑を言い渡された者の割合が高くなっております。一方,強盗致死傷であるとか強盗では,3年超5年以下,殺人につきましては10年超20年以下の刑の言渡しを受けた者の割合が最も高くなっているところであります。  次に,執行猶予の状況でありますが,資料5は,地方裁判所,家庭裁判所の終局処理人員のうち,有期の懲役・禁錮の執行猶予に付された者についての資料であります。これも同様に,平成15年から17年までの3年間の状況をまとめてございますが,全体として見ますと,懲役・禁錮刑の言渡しを受けた者のうち,約6割が刑の執行を猶予されているというところであります。罪名別で申し上げますと,刑の執行が猶予された人員が多いものを見ますと,覚せい剤取締法違反,窃盗,業務上過失致死傷などが多くなっております。刑の執行が猶予される割合につきましては,業務上過失致死傷あるいは道路交通法違反などが高くなっております。一方で,強盗や殺人などについては,刑の執行が猶予される割合は低くなっております。さらに,執行猶予判決を言い渡された者のうち,9割以上が単純執行猶予でありまして,1割弱が保護観察付執行猶予を言い渡されているところであります。  次に,勾留や保釈の状況についてでございます。まず,捜査段階における勾留の状況についてでありますが,資料6は,平成17年の検察庁既済事件,ただし,交通関係の業過及び道路交通法違反を除いたものでございますが,そのような検察庁既済事件についての被疑者の罪名別の逮捕・勾留人員であります。いわゆる身柄事件の被疑者が法人を除きました全被疑者に占める比率は31.7%でありまして,身柄事件のうち検察官が勾留請求をした者の比率は93.1%でありました。  資料7も,同様に,被疑者の逮捕・勾留に関する統計でありまして,平成13年から17年までの各年における逮捕・勾留の人数,逮捕・勾留をした者に対する措置の状況等をまとめたものでございます。これを見ましても,先ほども申し上げましたとおり,身柄の拘束を受けることなく検察庁における処分が決せられた被疑者は全体の6割以上に上っておりまして,身柄を拘束された者の多くは勾留をされているということになります。そして,勾留された者の半数以上が勾留中に公判請求されておりまして,略式命令や家庭裁判所送致された者を含めますと約4分の3に上るということであります。  次に,保釈の状況についてでありますが,資料8は,被告人の身柄関係に関する統計でありまして,平成14年から17年までの各年において,保釈が許可された人数,勾留が取り消された人数等をまとめたものであります。若干ではありますが,保釈請求の人員数は年々増加の傾向にあるとは言えますが,この保釈請求人員数はいわゆる延べ人数でありまして,一人の被告人について複数回保釈請求がなされた場合には複数の人員として集計されておりますので,資料の数値から保釈の許可率を単純に計算するというのはなかなか難しいところではありますけれども,保釈請求の数の増加に伴いまして保釈を許可された人数も増加しているとは言えるところでございます。ただ,その一方で,平成16年を見ますと,保釈を取り消された者が前年の倍以上に上っているところであります。  次に,再犯の実情でありますが,主に犯罪の発生の面から見たところでありますけれども,資料9及び10は,平成8年から17年までの一般刑法犯検挙人員中の再犯者・有前科者の状況を明らかにしたグラフであります。再犯者と申しますのは,資料9の注3にございますが,前に刑法犯または特別法犯によって検挙されたことがある者をいうということでございます。有前科者の方は,資料10の注3にございますが,前に確定裁判によって刑の言渡しを受けたことがある者をいうということであります。平成8年以降,再犯者の人員,再犯者率ともに増加をしている状況が見てとれるところであります。平成17年における一般刑法犯検挙人員中の再犯率は37.1%,有前科者率は,資料10の方でございますが,28.5%でございまして,前科の内容を見ますと,前科1犯の者が大幅に増加しているということが言えると思います。  次に,資料11でありますが,主要罪名別の検挙人員の中の有前科者の状況を明らかにした一覧表であります。この表によりまして有前科者率を罪名別に見てまいりますと,平成17年の成人の検挙人員中,有前科者率は一般刑法犯総数では28.5%でしたが,高いものとしては,恐喝あるいは脅迫については50%を超えるというところであります。また,殺人であるとか強盗では40%を超えております。さらに,同一罪種の前科を有する者の比率ということになりますと,一般刑法犯は全体で見ますと13.8%でしたが,その比率が高いものと申しますと,窃盗,傷害,恐喝では,20%近くに上っているというところであります。  さらに,資料12でありますが,子供を対象とする暴力的性犯罪の検挙人員の表であります。これを見ますと,平成16年の数字でございますけれども,13歳未満の者を対象とする暴力的性犯罪の全検挙人員のうち,過去に性犯罪の経歴がある者は約25.8%であったということであります。  次に,資料13でありますが,これは平成17年の起訴人員について有前科者がどの程度いるのかという状況をまとめたものであります。有前科者率は総数で申しますと46.2%でありまして,罪名別では,覚せい剤取締法違反,暴力行為等処罰法違反で60%を超えているということであります。また,有前科者のうち犯行時に執行猶予中であった者の起訴人員に占める比率は全体でいきますと14.8%でありますが,罪名別で申しますと,窃盗で21.3%,横領で23.2%,覚せい剤取締法違反が16.6%となっており,これらが比較的比率が高くなっているものということが言えるかと思われます。  以上でございます。 ● どうもありがとうございました。  では,引き続き,矯正局の方からお願いいたします。 ● 配布資料3,統計資料2というものについて御説明申し上げます。  資料1は刑事施設の年末収容人員の推移でございまして,刑事施設の収容人員は平成4年以降増加傾向が続いておりまして,年末収容人員では,平成13年以来,収容定員を上回る過剰収容となっております。収容定員自体も御覧のとおり伸びてきておりまして,この中にはもともと教室や集会室であったところを模様替えして居室にするというふうなことも含めまして収容定員は増加しておりますが,それでも過剰収容となっているということでございます。中でも既決の過剰収容が深刻でして,平成8年末~平成17年末まで比べますと,この間に既決の人員は約3万人,率にして約60%増加しているということでございます。  未決の人員につきまして,本表で見ていただいて,平成16年~17年にかけて増加傾向が止んだかのように見られますけれども,この要因としましては,刑が確定した者から刑務所へ送るところの流れが必ずしも今はスムーズに行っておりませんで,拘置所において既決の収容人員が未決の収容能力を圧迫するという現象が生じておりまして,刑事施設だけではなくて警察留置場に勾留されている者の数を見ますと,そちらの方も高い水準で推移していまして,警察からは刑事施設への移送待ちの解消につきまして強い要請を受けているという状況もございますので,現在,未決の収容人員がはっきりとした減少傾向にあるとは言えないという状況かと見られます。  資料2は刑事施設の一日平均収容人員の推移でして,やはり増加を続けているということでございます。  資料3でございますが,新受刑者の推移でして,新受刑者は増加を続けておりまして,平成8年の新受刑者数がその表にありますとおり2万2,400人余りであったのに対し,平成17年の新受刑者数は3万2,800人弱となっておりまして,これは人数にして約1万400人,率にして約46%増加したということです。特に女子の新受刑者は,全体数として下のグラフで見ますとまだ少ないのではありますが,女子新受刑者数の伸びは顕著でありまして,平成8年には1,071人であったものが,平成17年には2,182人になっておりまして,率としては2倍以上の伸びを示しているということでございます。  次に資料4でございますが,男女別,罪名別の新受刑者数です。新受刑者の罪名で見ると,窃盗が全体の27.9%,これは下の円グラフで見ていただけるかと思いますが,総数の4分の1以上を占めて最も多くなっておりまして,次は覚せい剤取締法違反,これが男女とも高い比率を示しております。円グラフの青いところで示しているものでございまして,男で18.9%,女で32.6%,全体で19.8%という比率でございます。特に女子について見れば覚せい剤取締法違反の方が窃盗を上回っておりまして,女子新受刑者全体の3分の1近くを占めているということでございます。  ただ,この表からは分からないのですが,以前との比較で見ますと,10年前の平成7年との比較をしますと,覚せい剤取締法違反の新受刑者は,絶対数としては増えてきておりますが,構成比としては低下しておりまして,10年前には,男性で見まして,覚せい剤取締法違反が占める比率は27.0%でしたので,これが18.9%になっているということ,それから,女性では,平成7年は51.5%が覚せい剤取締法違反だったものですから,これが32.6%ということで,以前との推移からしますと覚せい剤取締法違反の占める比率としては低下しているということでございます。  資料5ですが,懲役新受刑者の刑期別構成比の推移ということでございます。刑期別に見まして,刑期2年以下の受刑者数の割合は,その「2年以下」というところから上の部分を足した数値ということでございますが,平成8年では2年以下の占める割合が67.4%でございましたが,これが平成17年で57.0%に減少しているということでございます。それから,刑期が3年を超える新受刑者数の割合ということで,これはその表では「5年以下」から下のところを足したものの比率ということでございますが,平成8年では13.9%だったものが,平成17年では21.2%ということになっておりまして,増加しております。  資料6でございますが,これは端的に受刑者の平均刑期の推移を見たものですので,御覧いただいてわかりますとおり,平成8年には24.4月であったのに対して,平成17年は29.5月となりまして,約5カ月の延びということでございます。  資料7は年末時点でみた場合のことでございまして,御覧いただいて分かりますとおり,2年以下の刑の者は,この時点で区切りますと,約30%という状況でございます。先に見た新受刑者数の増加に加えまして,この刑期の長期化傾向が今後も続くとしますと,受刑者数が今後も増え続けることは必至と見られるということでございます。  資料8は,労役場留置者の人員を見たものでございます。これは,入場人員,年末収容人員の双方で顕著な増加の傾向が認められておりまして,入場者数で見ますと,平成8年には年間1,968人ですが,これが,御覧のとおり,平成17年で7,261人に増加しているということでございます。特に近年,平成14年以降の増加が著しくて,平成17年の入場人員は平成13年の入場人員のほぼ2倍という状況になっております。  資料9ですが,主要罪名別出所受刑者の出所事由ということでございます。仮釈放につきましては後ほど保護局の方からも御説明されるところですけれども,平成17年の出所受刑者中の仮釈放の比率を見ますと,これはパーセントとしてはそこには表れておりませんが,平成17年で仮釈放が54.7%,満期釈放が45.3%ということになっております。ここ数年の傾向を見ますと,満期釈放される者の比率はおおむね40%台半ばで推移しているということでございますが,その下の折れ線グラフで見まして,右側の満期釈放率の推移の数値を細かくとっている関係から若干強調されすぎた形になっているかも分かりませんが,満期釈放率が,平成16年は43.5%だったものが,平成17年は45.3%ということで,満期釈放の者の比率が少し上がったという傾向は観察されております。罪名別で見ますと,仮釈放率の高い罪名は業務上過失致死傷で75.3%ぐらいになりまして,仮釈放率の低いのは傷害ということでありますが,覚せい剤取締法違反も仮釈放率は比較的高くて61.2%ということでございます。  資料10を見ていただきますと,「出所受刑者の在所期間」というところで,下のグラフでお分かりのとおり,刑期が短い場合は余り仮釈放は機能しないということでございますが,その右側の方で,刑期7年を超えるという長期刑でも仮釈放の割合はそれより短いものに比べて低下しているという傾向が見られます。15年以上というところは,ここは無期刑も含んでいるという数値でございますので,仮釈放の中に無期の仮釈放が含まれており,当然ながら満期釈放には無期はあり得ませんので,そういう意味で仮釈放の比率は15年以上のところでは高くなっているということでございます。  資料11でございますが,出所受刑者のうち,更生保護施設を帰住先とする者の割合がどうかを主として見た数値でございまして,平成7年に比べて平成17年の出所受刑者は増加しているのですが,更生保護施設に帰住した者の比率は,満期釈放,仮釈放のいずれにおいても低下しておりまして,満期釈放された者のうち更生保護施設を帰住先とする者の割合は,平成7年は10.2%でございましたが,平成17年は5.0%で,仮釈放により出所した者について,平成7年は32.1%の者が更生保護施設に帰住したものが,平成17年では23.3%になっているということでございます。  資料12-1でございますが,これは再入所率を見たものでございまして,平成13年に出所した者のうち平成15年末までに再び刑務所に入ってきた者の人員及び比率を見たものでして,罪名別に見ますと,窃盗,覚せい剤取締法違反あるいは詐欺の再入所率が高くなっているということでございます。  資料12-2は,これは出所後5年間を見たものでございます。罪名別の結果ではほぼ出所後3年と同じような傾向かと見られます。  資料13で,釈放事由別の再入所率を見ますと,満期釈放の者の再入所率が高くなっておりまして,平成13年に出所した者が,「出所後5年間の再入所率」というところで見ていただいて,一番右端の数値がある中の一番下のところでございますが,仮釈放により出所した者の再入所率は35.1%,満期釈放により出所した者の比率は56.5%ということでございます。この再入所率の推移ということで見ますと余り大きい変動は見られないのですが,出所後5年の再入所率が得られた最近3年ということで見ますと,一番右端の数値が入っているところの下のところで,平成11年に出た者46.9%,平成12年は45.9%,平成13年は44.5%ということですので,若干の再入所率の低下が見られるというところでございます。  第14表は,再入所した者の再犯期間を罪名別に見たというものでして,罪名別にそれぞれ100%になるというところで,再犯期間の分布がどのようなものかというのを見たところでございます。罪名別に見ますと,窃盗,詐欺の再犯は比較的出所後短期間に犯した者の比率が高いということでございまして,見ていただいて,「6月未満」というところまでの累計で見まして,窃盗でありますと再入所に至った者のうちの29.0%がこの6月未満で再犯を犯している,詐欺で見ますと38.3%が累計6月未満で再犯を犯しているということでございます。これに対しまして覚せい剤取締法違反は,表で見ていただきまして,中央値は「1年以上2年未満」というところになっておりまして,6月未満で再犯した者は15.9%ということで,窃盗,詐欺に比べれば出所後短期間に犯した者の比率は低いということになっております。  それから,過剰収容の現状と今後の対策ということでございますが,1枚飛ばさせていただきまして,資料16で写真をおつけしたところでございます。これは,本来,スライド等で説明するぐらいのイメージでつくっていたものでございますが,お配りすることになってしまいまして,余り美しくない写真で申しわけございません。  写真を見ていただいて分かるとおりのものでございまして,余り説明も要らないかと思いますが,工場の通路にたくさん並んでいるというところは,以前なら2列ぐらいで済んだところが3列にしないと入り切らないということで,通路もいっぱいでないと整列もできないという,そんな状況でございます。  工場での作業の写真ですが,工場のスペースも狭くなっているということでございまして,一工場当たりの就業受刑者数の増加ということにもなっておりまして,受刑者の安全かつ良好な作業環境の確保に苦心しております。懲役刑ということで所定の作業は科さないといけないということでございまして,就業人員が増えておりますので作業量の確保ということがなかなか簡単ではございませんで,職員が必要な作業量を確保するために東奔西走するような状況にもなっております。本来,理想としては,有用作業と申しますか,質が高くて生産的な作業,出所後の就労に結び付くような資格・技術につながるような作業を行わせるのが望ましいわけでありますが,作業量の確保ということもありまして,作業の質はなかなか上がっていかず単純作業の方が増えている結果,就業人員が実際には増えているわけですが,それによる作業収入は逆に低下しているという状況にもなっております。  食堂の写真は,狭いということでございますが,施設によっては食堂の外の通路にテーブルといすを並べて食事をとるという状況にもなっているということでございます。  居室の写真は,そのようにベッドを入れたりしまして,定員以上の人員を収容しているということでございます。  最後の写真で,単独室に2名の受刑者を収容しているというのは,やむを得ず1名の単独室に2名の受刑者を収容せざるを得ない状況になっている施設がやはりございまして,このように布団を2人分敷く場合もありますし,単独室にもベッドを設置して就寝させている場合もございます。ただ,1室に2人ということでけんか等のトラブルも発生しておりますので,2人の受刑者を収容する場合の対象者の選定にも苦心しているということでございます。  この写真の前のところに戻らせていただきまして,資料15でございますが,刑事施設における過剰収容の現状と今後の対策ということで,問題としましては,そこにありますように,収容人員は増えておりますが,なかなか職員の増がそれに追いついていかないということでございます。もちろんこの収容状況から職員の増員ももらってはおりますが,もっと小さな政府をという要請下,一方では一律の計画削減も受けつつの増員ですので,なかなか職員の増も難しいという状況が生じております。  左の下にありますように,そのために職員の勤務負担増が生じておりまして,職員1人当たりの被収容者数を外国と比べますと,我が国は4.5人になっておりますが,アメリカは3.0人,ドイツは2.1人など,諸外国の例と比較しても負担は突出しております。交代制勤務の職員の場合でも4週間のうち8日の休日は割り振らないといけないのですが,4週8休が確保できない刑事施設というのが74庁中65庁に上っておりまして,これらの職員の執務環境の改善は急務となっております。  収容人員の増加に伴いまして保安事故等も増加しておりまして,そこにありますように,懲罰の件数の増加で見ますと,右上になりますが,平成8年に2万6千件であったものが,平成17年には5万6千件と,2倍以上の件数になっております。職員に対する暴行事犯も増加しておりまして,平成8年に570件であったものが,平成17年には1,080件と,2倍近い件数になっております。  このような過剰収容への対策でございますが,右側の下にありますように,収容能力の増強を図っておりまして,収容棟増設等の既存刑務所の拡大整備を行うと同時に,官民共同によるPFI事業による刑務所の整備を推進することによりまして収容能力の増強を図っておりまして,そこにありますように,今後約9千人分の収容能力拡充工事が完成予定ということでございます。第2は,収容人員の増加に対応した要員の確保に努めておりまして,収容棟の増設により収容人員が増加した場合,適正な施設運営を確保するために要員の確保は不可欠でありまして,このことから,刑務官等の職員の増員を図るほか,業務の民間委託を推進しておりまして,人的体制の整備に努めております。PFIにも,施設の整備からPFIとする形態と,施設の運営等に関しまして,施設の警備なり受刑者の処遇に大幅に民間委託を導入するというその運営の部分のPFIというものも試みているところでございます。  このほか,再犯防止機能の強化が喫緊の課題でございまして,新たに受刑者となる者の約半数が過去に入所歴を有する者でありますので,刑事施設における改善更生処遇を充実させて再犯を防止させること,これが長期的に将来に向けた過剰収容対策となるという認識で,これに取り組んでいるということでございます。  以上,過剰収容の問題点と今後の対策について説明を申し上げました。 ● どうもありがとうございました。  最後に,保護局の方からお願いいたします。 ● 保護局でございます。統計資料3というものが保護局の関係分でございます。この配布しました資料の作成の都合上,一部少年に関するものも含まれておりますけれども,これらにつきましては説明を省略させていただきます。  まず,仮釈放の現状,状況について御説明申し上げます。  資料1,これは刑事施設からの出所受刑者数,それと,仮釈放率の推移を見たものでございます。釈放者数につきまして近年の動向を見ますと,満期釈放者,仮釈放者ともに,平成7年以降,おおむね増加していることがうかがわれます。仮釈放率につきまして長期間全体を概観いたしますと,昭和24年の79.7%をピークといたしまして,35年までおおむね65%~70%という高水準で推移しておりましたけれども,昭和30年代後半から次第に低下し,57年は戦後最低の50.8%を記録いたしました。こうした状況下,59年から仮釈放の適正かつ積極的運用を施策として実施しました結果,同年,昭和59年ですけれども仮釈放率は57.6%に上昇し,以後,今日まで55%~57%台で推移し,先ほど矯正局の方からも説明がございましたけれども,平成17年におきましては54.7%となっております。  次に,資料2でございます。これは地方更生保護委員会において刑事施設からの仮釈放申請を受理した人員及び仮釈放申請の棄却率の推移を見たものでございます。これも長期的に見ますと,仮釈放の申請受理人員は,昭和25年の6万158人をピークといたしまして,その後おおむね減少し,昭和56年を境にいたしまして一時増加に転じましたものの再び減少に転じて,平成7年,これが戦後最低の1万3,072人となりました。その後,平成8年から再度増加に転じ,以後一貫して増加しておりましたけれども,平成17年,これは前年が1万8,665人だったわけですが,749人減少して,1万7,916人となっております。棄却率につきましては,昭和50年代前半までの間,比較的大幅な上昇と下降を繰り返しておりましたけれども,昭和59年から棄却率は徐々に低下し,近年,2%~4%,この前後で推移しております。  次に,資料3でございます。資料3は,平成17年におけます仮釈放の申請棄却率を主要罪名別と初犯・累犯の別に見たものでございます。罪名では,強制わいせつ・強姦等の性犯罪,殺人及び強盗といった事案において棄却率が高く,また,いずれの罪名においても初犯に比べて累犯の棄却率が高くなっております。  次に資料4でございますが,これは有期刑の仮釈放者につきまして刑の執行率別に人数比の推移を見たものでございます。なお,刑の執行率と申しますのは,下に「注」で記載しておりますとおり,言い渡し刑期から未決勾留日数を控除した執行刑期に占める仮釈放の日の前日までに受刑した期間,割合を示したものでございます。昭和59年以降,刑の執行率74%以下の者の比率が増加しております。上の図ではピンクとブルーを合わせた部分でございます。  資料5は,平成17年における有期刑仮釈放者の刑の執行率を主要罪名別に見たものでございます。刑の執行率が比較的高いものといたしまして,暴力行為等処罰に関する法律違反,強制わいせつ・強姦などの罪名が挙げられます。  次に,資料6でございます。資料6は,長期刑の仮釈放者数,中間処遇実施率の推移を見たものでございます。なお,長期刑と申しますのは,無期刑のほか,執行すべき刑期が8年以上の刑を言います。長期刑の仮釈放者につきましては,円滑に社会生活に移行させることを目的といたしまして,地方更生保護委員会が相当と認め,かつ,本人の同意を得た事案について,仮釈放後の一定期間,更生保護施設に居住させ,生活訓練を中心とした保護観察処遇を行う中間処遇と言っておりますが,そういう処遇を行っております。ここで言う中間処遇実施率と申しますのは,長期刑仮釈放者全体に占める中間処遇実施対象者の割合を示したものでございます。近年は長期刑の仮釈放者の8割前後の者に対して中間処遇を行っているということでございます。  次に,保護観察の現状と状況について御説明申し上げます。資料7でございますけれども,これは保護観察の新規受理人員,保護観察の種別ごとに見たものでございます。黄色で示した仮釈放者につきましては,これも長期的な話になりますけれども,昭和27年の4万5,465件をピークといたしまして,翌年には激減して,以後なだらかな減少傾向を示しておりましたが,平成7年以降増加に転じていることが認められます。水色で示しました保護観察付の執行猶予者につきましては,昭和29年の刑法改正で初度目の執行猶予者に対しまして裁量的に保護観察に付すことができるとされましたことから,昭和29年以降は件数が急増しております。昭和33年以降はおおむね6千件台~8千件前後で推移しておりましたけれども,平成に入りましては4千件台後半~5千件台で推移しております。  次に,資料8でございます。資料8は,保護観察新規の受理人員につきまして,罪名別・非行名別にその構成比を示したものでございます。最初の2枚が仮釈放者,そして,保護観察付の執行猶予者の分でございます。いずれも,水色と緑色になりますが,窃盗の比率が一貫して高いということ,そして,昭和50年代後半から赤色の覚せい剤取締法違反の対象者の比率が高まっていることがこのグラフから認められます。近年,保護観察付の執行猶予者に占める覚せい剤取締法違反の対象者の比率が低下しております。  次に,資料9でございます。平成17年における保護観察新規受理人員の保護観察期間について,保護観察の種別ごとに見たものでございます。仮釈放者につきましては保護観察期間が3月超6月以内の者が最も多く,保護観察付の執行猶予者につきましては,保護観察期間が2年を超えて3年以内の者,猶予期間3年,4年の者が最も多くなっているということでございます。  資料10でございますが,これは過去10年間の保護観察所における係属事件の類型認定状況の推移を見たものでございます。保護観察所におきましては,保護観察の実効性を高めるため,保護観察に付された者の問題性,その他特性を類型化して把握し,その問題性に焦点を当てた処遇を実施しているところでございます。近年,覚せい剤,シンナー,暴走族の各類型に認定される者が大幅に減少し,逆に無職という類型に認定される者の急増が認められるところでございます。  次に,資料11でございます。これは保護観察付執行猶予者の新受人員につきまして,罪名別に平成13年~平成17年までの推移を見たものでございます。新受人員は全体として減少傾向にございます。  資料12でございますが,これは平成17年に新たに受理した保護観察付執行猶予者について,初度目,再度目の別に刑事処分歴,保護処分歴を示したものでございます。  資料13は保護観察終了人員の推移ということで,黄色で示した仮釈放者につきましては,昭和27年の5万4,469人をピークといたしまして,以後おおむね減少しておりましたが,近年,平成8年を境に増加に転じております。水色で示しました保護観察付の執行猶予者につきましては,昭和30年代前半から増加し,おおむね6千人~8千人で推移しておりましたけれども,平成に入ってからは徐々に減少して,近年,おおむね5千件台で推移しているということでございます。  資料14,これは保護観察事件の終了事由別にその構成比の推移を見たものでございます。仮釈放者,保護観察付の執行猶予者とも,今は期間満了で終了する者が多いと。仮釈放者につきましては,近年,おおむね6%~7%台で仮釈放取消によって終了しております。平成17年におきましては980人,比率で言いますと5.8%となっております。一方で,保護観察付の執行猶予者につきましては,近年,30%前後で推移しておりまして,平成17年におきましては32.6%となっております。  次に,資料15でございます。資料15は,平成17年におけます保護観察終了者の再処分率について保護観察の種別ごとに,保護観察事件,受理時の罪名・非行名別に見たものでございます。再処分率と申しますのは,保護観察終了者のうち,保護観察中の犯罪・非行によりまして保護観察期間中に刑事処分または保護処分に付された者の割合を示すものでございまして,起訴猶予についても含めて算出しております。保護観察付執行猶予者の再処分率は他の罪種に比べて高く,窃盗は41.4%,傷害は33.3%,覚せい剤取締法違反は32.6%,全体で34.4%となっております。一方,仮釈放者の再処分率,これはいずれの罪種におきましても低水準にとどまっておりまして,全体で1.1%というふうになっております。  一応,統計関係の説明は以上でございまして,引き続き,更生保護をめぐる最近の動きということで,3点ほど説明をさせていただきます。  まず,資料16関係ということで,ポンチ絵も含めて2枚ございます。執行猶予者保護観察法の改正の経緯と内容等の概要ということでございます。  資料にございますとおり,平成17年5月,保護観察付執行猶予者によります少女監禁事件が発覚したことを受けまして,与党内に現在の執行猶予者に対する保護観察制度は本人の改善更生を促し再犯を防止する観点から十分なものと言えるのか検証の必要があるという議論が起きました。そして,現在の制度は,第1に,転居・旅行について届出で足り,1カ月未満の旅行については届出すら不要であるため,対象者の所在の把握等が十分とは言えない,そういう状況にあること,第2に,対象者に即した特別遵守事項を設定することができないため,個々の対象者の特性に応じた処遇をすることが難しい状況にあることなどが指摘されました。  そこで,このような状況に緊急に対応する必要があるとして,第164回国会におきまして,平成18年3月14日,衆議院の法務委員長により,執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案が提案され,同月31日に成立し,公布されました。  この法律は,まず,保護観察を実効あるものとするための前提として,保護観察付執行猶予者について,所在の把握等をするための仕組みを整えるため,住居を移転し,または7日以上の旅行をするときはあらかじめ保護観察所長の許可を得なければならないものとしました。次に,個々の保護観察付執行猶予者にふさわしい処遇を可能にし,その改善更生を一層促すため,保護観察所の長は,刑の執行を猶予された者に対して保護観察に付す旨の言い渡しがあったときは,言い渡しをした裁判所の意見を聴いて,これに基づいてその者が保護観察の期間中遵守すべき特別な事項を個別に定めなければならないものとしました。この法律は今年の9月19日から施行されております。  2点目でございますけれども,更生保護のあり方を考える有識者会議の報告の概要ということで,資料17の関係でございます。○○委員,○○委員には,この会議でも委員として御尽力いただいたところでございますが,本年6月27日,「更生保護のあり方を考える有識者会議報告書」が同会議の○○座長から法務大臣に提出されました。この報告書におきましては,「はじめに」の部分におきまして,現行の更生保護制度についての問題点を集約するような形で,我が国の更生保護制度はこれまで国民の十分な理解を得られず,国や法曹三者の認識が十分でなく,余りにも脆弱な人的・物的体制の配分の下で推移し,民間篤志家に過度に依存してきた。この報告書は国が必要な制度改革や体制整備等を先送りにし,上記状況を放置してきたことが更生保護制度の歴史的な構造上の問題点であると認識し,現場の第一線で保護観察事件を担当する保護観察官を少なくとも倍増し,さらに制度面・運用面の改革により,これまでの我が国の更生保護制度では改善更生,再犯防止が十分に図られなかった一定の処遇困難な対象者や仮釈放の対象とできなかった者に対しても有効な社会内処遇を実施し,安全・安心の国づくり,地域づくりに貢献し,国民の期待にこたえることのできる強靭な更生保護制度の確立を目指すものである。同時に,その前提となる国民や地域社会の理解と協力を得ることを目指すものであると述べられております。  そして,問題の所在といたしまして,資料にございますとおり,1~3まで,更生保護制度の運用についての国民や地域社会の理解が不十分であること,民間に依存した脆弱な保護観察実施体制にあること,指導監督・補導援護の両面で十分に機能していない保護観察だと,以上3つの問題点を指摘した上で改革の方向性として,犯罪や非行をした人と共に生きる社会へ,官の役割を明確化し,更生保護官署の人的・物的体制を整備することにより,民間への依存から脱却し,実効性の高い官民協働へ,そして,保護観察の有効性を高め,更生保護制度の目的を明確化し,強靭な保護観察の実現へ,このような3つの事項が示されたところでございます。  当面の課題として,配布資料に掲げられました6項目について,今後の更生保護制度改革のための具体的な提言がなされましたほか,中長期的な課題として,刑期満了者に対する新たな制度の検討などについても言及されております。保護局におきましては,当面の課題につきまして,工程表を作成するなどして,提言事項の実現に向けた運用面,制度面の見直し作業を現在行っているところでございます。  最後に,自立更生促進センター構想の概要ということで,資料18関係について説明申し上げます。自立更生促進センター構想と申しますのは,特定の保護観察所に保護観察対象者への一時的な宿泊場所の提供等を可能とする施設を整備するとともに,保護観察官による直接かつ濃密な指導監督,専門的かつ高度な処遇プログラム,そして,充実した就労支援等を提供できる体制を整備することによりまして,仮釈放者のうち民間の更生保護施設では受け入れが困難な一定の処遇困難者の受け皿を創出するとともに,そうした対象者の円滑な社会復帰と再犯防止を可能にするこれまでになく強化された保護観察を実施し,安全・安心な国づくり,地域づくりを推進することを目的とするものでございます。  センターの対象者といたしましては,民間の更生保護施設では受け入れが困難であるものの,構想しておりますセンターの体制機能の下であれば十分に改善更生が期待できる者として,具体的には,刑務所内での成績が比較的良好であるものの,現状では適切な帰住先を確保できないため満期出所となっている者を,センターを帰住先とすることで仮釈放して受け入れるほか,民間の更生保護施設で受け入れたものの,そこでは十分な対応ができない者,そして,自宅等の帰住先はあるものの,円滑な社会復帰のためには改善更生のための特に強化された処遇が必要な者等を考えているところでございます。また,入所の必要はないものの,センターが有する機能を通所または一時保護により利用させる対象者として,④として記載してございますとおり,専門的な処遇プログラムの受講等が必要で,帰住先からの通所が可能な者,充実した就労支援,福祉・医療へのつなぎが特に必要な者等を想定しているところでございます。  センターの機能といたしましては,改善更生のために特に強化された保護観察として,保護観察所の特別処遇部門による直接処遇により,24時間・365日体制による濃密な指導監督を行うとともに,薬物依存等個々の問題性に応じた専門的かつ高度な処遇プログラム等を実施することを考えております。また,充実した就労支援として,刑務所出所者等の求職ニーズに適合した雇用掘り起こし,その雇用情報を一元的に集約するなどして,就労機会の確保・提供を行うほか,保護観察官が対象者の適性・能力等を的確に評価しつつ,職場体験講習や農林漁業への就労支援をも含めた多様な支援メニューを提供することにより,安定した就労生活への移行を図ることを考えております。  具体的なセンターの整備箇所,定員規模については構想段階で未定でございますが,将来の本格規模の施設における運営技法とか,対象者の処遇技法の水準をあらかじめ高めるため,平成19年度には既存の保護観察所の改修ないし別棟増築という形で,定員10名~20名程度の小規模なパイロット的施設を全国3カ所程度整備し,平成20年度から運営を開始することを検討しております。  この資料には記載しておりませんが,北海道の沼田町には,少年院仮退院者等に対して,農業を通じた改善更生と就労支援を目的とし,同庁が運営する就業支援実習農場と一体となって農業実習を中心とする処遇を行う就業支援センターを設置したいと考えており,平成19年度の運営開始を目指し,現在,同庁と連携しながら準備作業を進めているところでございます。この就業支援センターは農業への就労支援の機能に特化している点,それから,就農,農業を希望する若年者等を主な対象としている点で,自立更生促進センター構想の中ではやや特異な性格を有するものでございますが,国が仮釈放等によって矯正施設を出所した者を受け入れ,保護観察官による直接かつ濃密な指導監督と充実した就労支援を施すという点で,本構想の一環に位置づけられるものでございます。同町における運用状況を見ながら,将来,同様の取り組みに賛同する自治体を募るなどして,順次,全国に展開していくことも検討しております。  以上でございます。 ● どうもありがとうございました。  事務当局からの御説明は以上のようですが,説明内容に関しまして御質問,御意見等がある方がございましたらお願いいたします。なお,資料が非常に多くございますので,これに基づいて御発言をされる場合には,統計資料ナンバーと資料ナンバーを御指摘いただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。 ● 質問の前で恐縮なのですが,毎度のことで申しわけありませんけれども,今回の一定諮問のような形で,事務当局案のないこの法制審議会について,やはり総会の方の意向との関係があると思いますが,議事録について発言者が明確になるということは考えられないのでしょうか。 ● 議事録につきましては,総会の決定によって,発言者の名前は出さないまま議事録を公表すると決められておりますので,それに従ってこの部会でも行うことになると考えております。 ● そういうことでよろしいでしょうか。 ● はい。 ● ほかに御質問,御意見がございましたらお願いいたします。 ● 確認のための素朴な質問なのですけれども。  過剰収容ということの意味合い,すなわち何をもって過剰収容と考えておられるのかということ,これをまずお聞きしたいと思います。つまり,先ほどの説明でいきますと,収容定員と収容人員を比較して,100%を超えたら過剰収容と呼ぶ,つまり,そういう形式的なものとして考えておられるのか,あるいは,もっと何か実質的な基準があるのかどうかということです。これが1点。それから,過剰収容の説明が先ほどありましたけれども,地域差というものがあるのかどうか,特に顕著な地域差があるのかどうか,この2点をお聞きしたいと思います。 ● 過剰収容ということにつきましては,特に現行法の下での裁判でありますとか仮釈放の可否の判断といったものを踏まえて現在の収容が行われているというところでありまして,その個々の判断自体は特段適正を欠くとかそういうことはないのだろうと理解しており,やはり,収容定員に対しまして実際の収容人員が多いということが問題であると考えております。そのような事態は,それ自体として本来想定しているものよりもたくさんの人数を収容しているということでございますので,やはり適正とは言えないであろうということでありますし,実際の実態を見ましても,先ほど矯正局の方から若干御説明いたしましたように,弊害が生じているというところもありますので,その点でもやはり適正とは言えないであろうと考えております。そういうことから言いますと,収容定員と収容人員の割合の問題ではありますが,それ自体として問題であると考えているところであります。  地域別等につきましては何かございましたら。 ● 地域差ということで,御質問の趣旨を正確に理解しているかどうかは分からないのですが,既決の受刑者につきましては全国で収容調整という措置をとっておりまして,東京の近辺で刑が確定しても遠くまで送って収容処遇するということをしていますので,地域差というよりは,全国の刑務所につきそれぞれの状況に応じて負担の公平を図りつつ収容処遇をしているということでございます。ただ,未決の被収容者の収容状況については,そのような全国的な収容調整というのは当然できませんので,その事件の発生した裁判所の近くの拘置所,支所,拘置区に収容しますから,実際に大都市近郊の拘置所において過剰収容が生じているということでして,そういう意味では,これは地域差がはっきりしているということです。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● 今の○○委員との関連なのですが,一般的に適正な収容というのが収容定員の8割ぐらいだと言われているというふうに聞いているのですが,今回目指すのはそういうものを目指すのでしょうか。適正化を図るといった場合,刑務所なり拘置所が増えればそれを図ることはできると思うのですが,恐らくそれには追いつかない,さらにはもう少し先を見た上でこれを考えなければいけないといった場合に,我々が目指すべき収容の適正率というのはどのくらいのものなのか,それに対して制度的なものがどういう形でそれに作用するのかというところが全くよく理解できないのですが。要するに,新しい制度をつくるとしても,その部分がよく理解できないので,もしわかればお答えいただきたいと思うのですが。 ● 適正な収容率というのはどの程度のものかというのは難しいところがありますし,さらに個々の制度を考えるに当たりまして,その制度によって実際にはどのくらいの人数が減るのか,その一応の見通しを立てられる制度もあるかもしれませんし,ないかもしれませんが,具体的な制度の検討の中で,もしそういう見積もりができるのであれば,その点も検討していくことは考えられると思います。  ただ,被収容人員の適正化という問題ではございますけれども,ただ単純に減らせばよいというものではもちろんないと思いますので,単純に減らせばよいということであれば,それこそ処遇の適正であるとか充実であるとかということを無視して釈放していけばいいということになってしまうのですけれども,先ほどの趣旨説明の中でも申し上げたように,刑罰の目的の一部である再犯防止であるとか,社会復帰の促進といったことを充実させつつ,あるいは,それを充実させることによって被収容人員の適正化を図っていくべきではないかというのが恐らく基本になると思っております。そういう意味から言いますと,人数目標というのを立てるのが適当なのかという問題も逆にあるのかなと思っていまして,特に,今回のこの方策,いろいろな方策が考えられると思いますが,もちろんそれだけで問題が解決するものでもありませんでしょうから,当然,施設の増強であるとか,施設側の人員の増強というような対策もありますので,少なくとも被収容人員の適正化に向かって何らかの寄与ができる制度を考えていく,こういうことにならざるを得ないのかなという印象でございます。 ● 今の回答でよろしいでしょうか。 ● 先ほどの御説明で,今後は9千人程度の収容定員を増やすというようなことがあったのですが,さらにその先の計画との関係なんかはどうなのでしょうか。要するに,恐らく全体の見通しがどういう形でこれから,そういう形の判決を受ける方が出てくるのかということとの関係もあるかと思うのですが。収容定員が到底追いつかなければ思い切った改革案を考えなければいけないのですが,ある程度建物ができてくるのであれば,ある種のものを解決すれば恐らくそれができるかもしれないという,そのあたりの部分が何となくわからないのですが。 ● 今後の収容人員の増強自体が当面のものでございますので,今後の特に裁判の結果あるいは仮釈放との関係で被収容人員がどう推移するかという予測にもよるわけでしょうが,例えば劇的にさらに増えていくということになればもちろん施設の増強等の面でもさらに考えていくということにもなりましょうし,そういう意味ではこの部会でも何らか考えなければいけないのかもしれません。ただ,そのあたりは将来の見通しにかかわることでちょっと私どもとしても何とも申し上げかねますので,当面は現在の状況あるいはそれに対する収容施設の面での見通しと申しますか目標を前提にしてお考えいただくほかないのかなというふうには思っております。 ● ○○委員の問題提起と関連いたしまして,この諮問にある「適正」という言葉ですけれども,何が適正であるかという質問は総会の審議でも出たところであります。現在あるいは将来の収容人員に十分見合うだけの施設を増設すれば問題は解消するのかという形のお尋ねもありましたけれども,むろん問題は,それに尽きるものではありません。そういう解決を求めようとするのは現実的でないだけではなく,この諮問に含まれている問題の複雑さ,多様さということとの対応においては余りにも単純過ぎるというものです。つまり,現在の過剰拘禁の状態は,定員何名,実員何名という,この2つの数字の比較だけで済むような問題ではないということで,今回の諮問が相当に複雑,多岐にわたる内容を含んでいることを前提として,収容人員の適正とは何ぞやということについても,これからここで審議していく問題だろうと思います。 ● ほかにはいかがでしょうか。 ● 今の議論はその通りだと思います。つまり,過剰収容という意味は,実際にはいわゆる,形式的に100%を超えるかどうかの問題だけではないのではないかということですね。つまり,適正化という意味は,収容人員をただ減らせばいいということだけではない反面,刑務所を増やしたらいいという問題でもないと思うのです。だから,諮問の77号はすごく含蓄を含んでいて,再犯防止とか社会復帰という実質的な面で弊害をなくす方向でこういう適正化というのは考えるべきであるということでありまして,それゆえ過剰収容を緩和する趣旨は,形式的な意味合いだけではなくて,実質的な意味もかなり含んでいるのではないかという気がいたします。  以上です。 ● 今,適正ということに関していろいろ御意見が出ておりますが,この点につきましてほかにいかがでしょうか。  今,お話にありました意味合いを持ったものとして理解し,これを共通認識にして議論を進めていくことにしたいと思います。  先ほどの事務当局の御説明に関してほかに御質問,御意見がございましたらお願いします。 ● 矯正局から御説明いただきました統計資料の2ですけれども,この中で私が印象的に感じましたのは資料の6でありまして,受刑者の平均刑期が確実に伸長してきております。これと関連いたしまして,もし可能ならばということですけれども,各年度において釈放された受刑者,刑の執行を終了した受刑者が,現実に執行された刑期の平均はどうなったかということをおわかりでしたら,追加資料としていただければと思います。  あわせて,2つ目ですが,再入という問題がありますが,何度も入所した受刑者について,その合計の刑期というものはどんなものかということも,もしわかれば知りたいと思います。  最後に,受刑者というのはさまざまな属性を持っているわけですが,今日の保護局からのお話の最後に就労支援ということがありましたけれども,社会に出て労働をして生活をする能力を持っていない者もある程度いるのではないか。そういうことを考える一端として,受刑者の年齢層別の数字というものがありましたら教えていただきたいと思います。  以上です。 ● どうもありがとうございます。  ただいまの御質問,御要望に関しまして,いかがでしょうか。 ● 直ちにとは参りませんが,受刑者の実際の在所期間というか,仮釈放,満期釈放を含めての在所期間,あるいは,年齢別の受刑者の構成等の資料は用意できるかと思います。  申しわけございませんが,第2番目の御質問は再入受刑者の実際の執行刑期というお尋ねだったのでしょうか。 ● 頻回入所者のトータルですね。例えば人生の3分の1を刑務所で過ごしたとか,そういう話が意外にありますけれども。 ● 判決ではなくて,実際に執行された刑期という御趣旨ですか。 ● ちょっと難しいかもしれませんが。 ● それに近いものが出るのかどうか,それも含めて調べてみます。 ● その点はよろしくお願いいたします。  ほかにいかがでしょうか。 ● 第2点目のところなのですけれども,その場合に,刑期が長い場合にはどういう罪名なのか,実質的なことも知りたいのですが。例えば窃盗の場合ですと,犯罪の重大性はそれ程ではないのに,再犯を繰り返してすごく長期化している例というのはかなり多いように思っているのですけれども,そういうことが実態的に明らかになるのかどうかということにも興味があります。 ● では,その点も含めて調べます。 ● 統計的に出すのが難しければ,個々の特徴的な事例を幾つか御紹介いただくというのでも有益かと思います。 ● そういう御指摘でございますので,可能でしたらよろしくお願いいたします。  この諮問の内容が多岐にわたっておりますので,いろいろな観点からの御議論もあろうかと思いますので,もし何かございましたらよろしくお願いいたします。  では,○○委員,お願いします。 ● この部会が取り扱うべき範囲を超える内容になるかもしれませんが,もし,おわかりになれば,受刑者が刑務所を出所した後の社会福祉とのつながりがどうなっているかという点を教えていただけませんでしょうか。先ほどのご説明で,受刑者の社会復帰,再犯防止のために,矯正,保護それぞれにおいて,刑事司法の枠内で,様々な施策を行い,努力をされているのはよくわかりました。ただ,先ほど○○関係官がおっしゃったように,高齢であるとか,あるいは障害を有しているために,出所後,働くことができないという受刑者もいるはずで,そのような人については,刑事司法の枠内で何かを行うというよりも,例えば生活保護等の適切な社会福祉のルートに乗せることが,再犯防止の観点からはより意味があるように思います。それは,本部会で検討しようとしている様々な施策の対象者をどうするかという問題にも関わってきます。その意味で,それ自体は厚生労働省の管轄になると思うのですが,矯正ないし保護の活動と,そうした社会福祉のルートとのつながりはどういう形になっていて,そこではどういうフォローがされているかというようなことを教えていただきたいと思います。 ● その点,よろしくお願いします。 ● それは,今一番問題になっているところで,福祉とのつなぎ,ソーシャル・インクルージョンと申しますか,そういう社会的に排除された人,特に福祉的な対応を要する人,身体障害あるいは精神的な障害を持った人たちをどうするか,今までは谷間になっていたというところがございまして,そこらあたりの対応をどうするかというところは厚生労働省と連携しながら,その検討が始まったばかりというような状況でございます。ただ,今までのところも含めて資料化できるものがあれば次回までに検討したいと思います。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● 諮問77号のところで「中間処遇」という言葉を使っているのですけれども,これは極めて多義的であると思うのですね。特に国際的にもそうですし,我が国でも,先ほどの幾つかの報告の中でもややミックスされて報告されていたように思いますので,この諮問に言う「中間処遇」の意味,これをまずお聞きしたいと思います。 ● 御指摘のとおり,若干大雑把に使用してしまっているところもあるかと思いますが,先ほどの諮問の趣旨のところで申し上げましたように,諮問に書いてあります中間処遇といいますものは,どちらかといいますと施設内処遇の方からアプローチして,それを中間的な形態にするという意味合いのものとして考えている部分がございます。もちろんそれは言葉の使い方でありますので,一方では社会内処遇の方の処遇を強化するであるとか,義務付けを強化する,あるいは自由の制限を強化するということで,中間的な形態に至るというものもあると思います。この場の検討で特段そちらの方の検討を排除するというものではもちろんありませんので,両面から御検討をいただければよろしいのかとは思っておりますけれども,諮問に書いてある意味としてはそういう意味合いで主に書いてございます。 ● 予定していた時間が経過いたしましたので,本日の審議はこの程度にいたしまして,次回以降の審議について決めたいと存じます。  当面の審議の進め方について,事務当局の方で何かお考えがございますでしょうか。 ● 審議の進め方につきましては,もとより,本部会において御検討をいただいて決定していただく事柄ではございますが,事務当局といたしまして若干の御提案をさせていただければ,先ほども申し上げたとおり,今回の諮問は刑事司法の非常に重要な事項について幅広く御検討をいただくということになりますことから,あくまで当面ではございますが,主な検討事項として考えられるところについて,まずはひとわたり自由討議的な議論をしていただいてはどうかというふうに考えております。  そのような進め方について御了承をいただけますようでしたら,次回はまず社会奉仕を義務付ける制度導入の当否について御議論をいただき,次々回,第3回になりますが,第3回には,その他の社会内処遇のあり方のほか,刑執行終了者に対する再犯防止,社会復帰支援措置策について御議論いただくこととしてはどうかと考えております。その後,第4回の会議におきまして,先ほど申し上げたような意味での中間処遇の在り方,さらには保釈の在り方について御議論いただくということでいかがかと考えているところであります。 ● 私といたしましても,論点が多岐にわたっておりますことから,もしよろしければ事務当局から御提案がございましたような進め方で,当面審議を進めてまいりたいと存じます。そういうことでよろしいでしょうか。 ● 1点よろしゅうございますか。  例えば社会奉仕命令を含めた第2回ということでの議論なのですが,2時間というのは非常に自由討議としても限られた時間の中になってしまうような感じがするのですね。果たして自由討議として2時間で十分な議論ができて次の二巡目に行けるのかどうかという,その懸念だけを私はちょっと持っております。それ以外は賛成なのでございますが。 ● 時間につきましてはあくまで当面の見積もりでございますので,その進行具合によって若干の延長を含めまして,随時考えさせていただくことになるとは思いますけれども。 ● 諮問が非常に多岐にわたっておりますので,十分に議論を尽くした上で,部会案を纏め上げるようにしたいと思います。今は結論を急ぐ段階ではございませんので,審議のための時間の確保に努めたいと存じております。 ● 1点質問なのですけれども。実際にどういう方策がとれるかどうかは別といたしまして,被疑者段階というのも一応ターゲットとして考えておいてよろしいのでしょうか。起訴前の保釈とか,あるいは,被疑者段階でも場合によったら薬物関係の何らかの対策を立てるとか,そういうことは考えられ得ることだとは思うのですけれども,そこら辺はここでは対象になる可能性があることとして理解しておいてよろしいのでしょうか。 ● 一般的に申し上げますと,法制審議会の審議は諮問に応じて行っていただくということになっておりますので,諮問事項に入るということでありますればそのような事柄も検討対象としていただいて差し支えないということになると思います。本諮問について申しますと,諮問の中の例示の部分を外しますと,被収容人員の適正化を図るとともに,犯罪者の再犯防止及び社会復帰を促進するという観点から,刑事施設に収容しないで行う処遇等の在り方ということになりますので,そういう位置付けができるものでありましたらそれは可能だということになると思われます。 ● それでよいでしょうか。 ● はい。 ● どうもありがとうございます。  次に,外国法制の調査委託について事務当局から御提案があるようですので,その点についてお願いいたします。 ● 今回の諮問について御審議いただくに当たりましては,当然ですが,諸外国の関連する法制度,あるいはその運用の実態,さらにはそれに対する評価といったところまで及ぶことになるかもしれませんが,それらについても参考にしていただく必要があると考えております。そこで,諸外国における社会奉仕命令であるとか,中間的な処遇,保釈の在り方といったところにつきまして,できましたら学者の先生方を中心に調査をお願いしてはどうかと考えているところでございます。調査していただいた結果につきましては,可能な限り本部会の場において調査した方に直接御報告いただいて,質疑応答あるいは意見交換をできれば有益ではないかと考えているところでございます。 ● ただいまの御提案に関しましていかがでしょうか。  そのような方法で行うということでよろしいでしょうか。  では,そのように進行させていただきたいと存じます。  調査の方法や委託先等につきましては部会長と事務当局に御一任いただきたいと存じますが,それでよろしいでしょうか。  御了解いただきましてありがとうございました。では,この点は部会長と事務当局に御一任願うことにいたします。  事務当局の方で,次回以降の日程等についてはどのようになっていますか,お教えいただければと思います。 ● 当面,部会用に会議室を確保していますのは,11月2日(木)と12月15日(金),この2日でございます。場所につきましては,次回の11月2日は,法務省第一会議室,20階でございます。12月15日につきましては,法務省大会議室,これは地下1階となっております。時間につきましては,11月2日は,本日と同じ午後3時~5時ころまでを予定しております。また,12月15日につきましては,午後1時~3時ころまでを予定しております。  以上です。 ● どうもありがとうございました。  特段の差し支えがございませんようでしたら,次回は11月2日(木),時間は午後3時~5時ころまで,場所は法務省第一会議室としたいと思います。 ● 要望というか今のお話の関連なのですけれども,社会奉仕命令について議論をして2時間を超えるかどうかという御心配がありましたけれども,私は,逆にすぐ終わってしまうのではないかという気もしますので,むしろ討論の材料という点で既に準備されているのかもわかりませんけれども,先ほどの諸外国の例,今の段階で社会奉仕命令について,イギリスとかアメリカとかほかの諸外国でどの程度なされているのかという,言ってみれば一覧表みたいなものがあればというふうに思っております。それが1点です。  それから,二番目に,90年代の初めにたしか社会奉仕命令については,法制審議会でしょうか,財産刑の関連で議論をされているかと思いますが,今の意味合いとは少し違った意味合いで,罰金の未納の問題についてのことだったと思いますが,どの程度の議論というか煮詰まりがあったのか,これを簡単で結構ですので教えていただきたいということ。  第三に,社会奉仕命令については既に少年に対して試験観察のようなところでなされている例があるというか現実があると思いますので,その点についての何か資料があれば討論に有益ではないかと思います。  この3点をお願いしたいと思います。以上です。 ● まず,可能なところから申し上げますと,社会奉仕命令についての従前の議論ということでございますが,ただいま御指摘のとおり,法制審議会刑事法部会の財産刑小委員会において,平成4年ころだったと思いますが,議論がなされているようでございますので,そのときの議論の状況につきまして可能な範囲で取りまとめた資料を用意させていただきたいと考えております。  それから,少年の処遇の一環として行われているものにつきましても,可能な範囲で御報告をさせていただきたいと思います。  それから,諸外国の一覧表ということでございますが,こちらにつきましては,当方の調査,外国法制の若干の調査をしておりますが,何分行き届いていないということで,先ほど御提案させていただいたように,更に調査をお願いして研究を深めてはどうかと考えているところでございますので,ちょっとどこまで可能かは難しいところが現段階においてございますが,何らか可能であるかどうかについて次回までに検討させていただきたいと存じます。 ● 2時間内に収まるかどうかはよくわかりませんけれども,次回は非常に内容の濃い充実した議論がなされることを期待して,第1回目はこれで終わらせていただきたいと存じます。  本日はどうもありがとうございました。 ―了―