法制審議会民事訴訟法部会            第1回会議 議事録 第1 日 時  平成18年10月20日(金) 自 午後1時00分                        至 午後4時08分 第2 場 所  東京高等検察庁第2会議室 第3 議 題  犯罪の被害者等の保護のための民事訴訟法の見直しについて 第4 議 事 (次のとおり)                議        事 ● それでは,予定した時刻が参りましたので,これから第1回の民事訴訟法部会を開催いたしたいと存じます。   後ほど部会長の選出がございますけれども,それまで暫定的に私,幹事の○○の方で議事を進行させていただきます。   この民事訴訟法部会でございますけれども,去る9月6日に開催されました第150回法制審議会の総会におきまして諮問第79号がされますとともに,その調査,審議のために部会の設置が決定されたということに基づいて開催されるものでございます。その諮問でございますけれども,事前にお送りしました資料にございますとおり,「犯罪の被害者等の権利利益の保護を図る等の観点から,証人尋問及び当事者尋問の際の付添い,遮へい及びビデオリンクの措置等を民事訴訟法上認める必要があると思われるので,その要綱を示されたい」というものでございます。これから,この部会におきまして,この諮問事項につきまして御審議をお願いするわけでございますけれども,審議の開始に先立ちまして,法務省民事局長の寺田の方から皆様に一言ごあいさつ申し上げます。 ● 担当部局であります民事局の方から一言だけごあいさつを申し上げます。   先生方におかれましては,大変お忙しいお立場でおられるにもかかわらず,この民事訴訟法の部会に御参加くださいまして本当にありがとうございます。   この民事訴訟法の部会は,民事訴訟法本体はもちろん,御承知のように,平成になりましてからもう既に大きな実績を上げている,非常によくできた改正だったという評価をいただいているところでございますけれども,この間,司法制度改革等の関連もございまして,犯罪の被害者に対してもっと包括的な対策をとるべきであるという制度全体の方針が示されております。お手元にもお配りしておりますが,内閣の方で犯罪被害者の基本計画というのを平成17年につくられているわけでございます。その中に,多くの刑事訴訟の関連とともに,民事訴訟の証人の取り扱いという民事訴訟法関連の事項があるわけでございます。これを,この計画全体で示されたところによれば,なるべく速やかに,来年度を一応念頭に置いているわけでございますけれども,実現したいということでございますので,甚だ急なことではございますけれども,集中的に御審議をいただければ大変ありがたいわけでございます。   最近では,犯罪被害者の問題も非常に注目を集めているところでございまして,制度全体の課題としても非常に大きいところがあるわけでございます。ひとつどうぞよろしく御審議をお願いをいたしたいと思います。 (委員,幹事及び関係官の自己紹介省略) (○○委員が,部会長に互選され,法制審議会会長である○○委員により部会長に指名された。) ● ただいま,皆様の御意向で部会長ということを御指名いただきまして,会長からそのような指名をちょうだいしたわけでございます。今回の審議事項,犯罪被害者の保護の面,また民事訴訟の適正な審理という面から大変重要な課題であろうかと思います。不慣れではございますが,充実した審議のもとに要綱案の策定に至りますよう,よろしく御協力いただければと存じます。   それでは,早速でございますけれども,事務当局から配布資料の確認をお願いいたします。 ● それでは,資料の確認をさせていただきたいと思います。   まず,事前に送付させていただきました資料でございますけれども,部会資料の1,「犯罪の被害者等の保護のための民事訴訟法の改正に関する論点整理(案)」というものがございます。今後,今回のテーマを御審議いただく際に検討を要する論点と思われるものを事務当局におきましてピックアップしたものでございます。後ほど,この資料に基づきまして御審議いただければと思っております。中身につきましては,また後ほど御説明申し上げます。   それから,参考資料1から3までがございます。まず参考資料の1でございますけれども,参考条文集でございます。今回の議論に関係します民事訴訟法,あるいは刑事訴訟法等の関係する条文を抜粋して載せたというものでございます。適時御参照いただければと存じます。   続きまして,参考資料の2でございますけれども,刑事訴訟における各措置の実施件数についてのものでございます。刑事訴訟におきまして,法律上規定がございます各措置がどの程度利用されているのかというものでございまして,また後ほど内容につきましては触れさせていただきたいと思います。   それから,参考資料の3でございますけれども,陳述者の権利利益を保護するために活用することができる制度の概要等というものでございます。今回,付添い等の措置につきまして御検討いただくわけでございますけれども,ほかの制度との関係,あるいはほかの制度との平仄の関係がいろいろと問題として出てこようかと思いますので,そういった場合の参考に資するものとして御用意させていただいたというものでございます。   そのほか,特に資料番号は振ってはございませんけれども,「民事訴訟法部会開催予定(案)」,これはまた後ほど御説明いたします。それから,先ほど申し上げました法制審議会の諮問の第79号,それから,犯罪被害者等基本計画の全体のもの,これは今回の検討の背景をなすものでございますので,御参照いただければと存じます。それから,今回の検討に当たりまして,既に規定が設けられております刑事訴訟法の規定がどのような内容,あるいはどのような趣旨のものなのかということも重要になってまいりますので,そのために松尾先生等の編著でございますけれども,「逐条解説 犯罪被害者保護二法」という本の該当部分を抜粋してコピーしたものをお送りしております。   以上が事前にお送りいたしました資料でございます。   それから,本日席上配布でございますけれども,最高裁判所の方から遮へい等のイメージに関する資料を用意していただいております。これもまた後ほど最高裁判所の方から御説明いただく予定でございます。   資料の確認,説明は以上でございます。 ● ありがとうございました。   ただいま事務当局から資料に関する説明がございましたが,御質問等があればお願いいたします。いかがでしょうか。特別のことがなければ,引き続きまして,今後のスケジュールにつきまして事務当局から説明をお願いいたします。 ● それでは,先ほど申し上げました「民事訴訟法部会開催予定(案)」に基づきまして,簡単に今後のスケジュールにつきまして御説明を申し上げます。   本日,第1回でございますけれども,部会の御審議といたしましては第4回までを予定しております。第4回目の平成19年1月26日の部会におきまして,要綱案を取りまとめていただくという予定でございます。その後,法制審議会の総会におきまして要綱案を御審議いただいて要綱を決定する。それを法務大臣に答申するというような手続の流れでございます。私ども事務当局といたしましては,その法制審議会の答申をいただいて,平成19年,来年の通常国会に必要な改正のための法律案を提出することを目標としているところでございます。 ● ただいま説明いただきましたスケジュールにつきまして,御質問等ございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。   特に御異論などがないようでございますので,今説明がございました「民事訴訟法部会開催予定(案)」に沿いまして部会を開催し,事務当局の説明のような時期に法律案を提出すること,これを目途に要綱案の取りまとめに向けた審議を進めていくことにいたしたいと思いますが,そういうことでよろしゅうございましょうか。   それでは,そのような手順で進めさせていただきます。   さて,それでは,これから内容的なことに入りたいと思いますが,部会資料1の「犯罪の被害者等の保護のための民事訴訟法の改正に関する論点整理(案)」について審議をいただきたいと思います。本日は,部会資料1をたたき台といたしまして,この部会において検討すべき項目及び議論の進め方について御議論いただくとともに,各項目について皆様の御意見を広く伺いたいと存じております。よろしくお願いをいたします。   部会資料1では第1から第4までの項目がございますが,まず第1,付添い等の導入の必要性についてと,第2,付添い等の措置の導入に当たっての一般的な論点について事務当局より説明をお願いいたしまして,あわせて関連部分について最高裁からも説明をお願いをしたいと存じます。   それでは,どうぞよろしく。 ● それでは,私の方から,まず部会資料1の第1,付添い等の措置の導入の必要性について御説明申し上げます。なお,そこで現状についての御説明をいたしますので,第1につきまして私の説明が終わりました後に,最高裁判所の方から席上配布資料に基づきまして御説明をいただければと存じます。その後でまた私の方で第2のところを御説明申し上げたいと思います。   それでは,まず第1の1,現状でございますけれども,付添い等の措置を民事訴訟法上認めることの必要性につきまして御議論いただく,その前提として,今の現状が一体どうなっているのかという点について,まず御説明を申し上げたいと思います。   まず,刑事訴訟法では3つの措置について規定があるわけでございまして,具体的な措置がどういうものかといいますものは,この四角の中に書かれているとおりでございます。付添い,すなわち証人の不安,緊張を和らげるのに適当な人を証人に付き添わせる措置。それから2番目が遮へいでございまして,被告人,あるいは傍聴人との間につい立てを置くといった措置。それから3番目がビデオリンク,すなわち証人を法廷の外の別室に在席させる。その別室と法廷とを回線でつないでテレビモニターを介して証人尋問を行う,こういう方式が刑事訴訟法に規定があるわけでございます。   もう少し,この3つの措置につきまして具体的な内容を条文に即して簡単に御説明いたしたいと存じます。恐縮でございますけれども,参考資料の1をごらんいただけますでしょうか。   刑事訴訟法の規定は,この参考資料1でございますけれども,6ページに規定がございます。まず付添いの措置でございますけれども,例えば典型的には,性犯罪の被害者の方などが証人として法廷で尋問を受けるというような場合がございます。そのような場合には非常に強い不安感,あるいは緊張を覚える。時には精神的な被害をさらに悪化させるというようなこともございます。この付添いの措置は,そのような不安や緊張を和らげる,そういうためにとられる措置でございます。措置の内容でございますけれども,具体的に付添人といたしましては,例えば心理カウンセラーですとか,あるいは証人が年少者の場合には,その親などが典型的な例として考えられているところでございます。なお,こういった付添いの措置がとられる証人の対象者といたしましては,必ずしも犯罪の被害者には限定されておりません。例えば犯罪を目撃した証人などもこの措置の対象になるというものでございます。   続きまして,2番目は遮へいの措置でございますけれども,条文で申し上げますと157条の3に規定がある措置でございます。これは,法廷で証言する際に,被告人,あるいは傍聴人から見られているということによって強い精神的な圧迫を受けると,こういう場合を念頭に置いた措置でございます。このような精神的な圧迫を軽減するために,つい立て等を置くといったような措置がとられるというものでございます。なお,このつい立て,遮へいでございますけれども,被告人との間に遮へいを置くという場合と,傍聴人との間に遮へいを置くという2つの場面がございます。それぞれ多少要件が異なっております。   なお,1項のただし書きをごらんいただきますと,被告人から証人が見えなくなる,そのようにする措置は弁護人が出頭している場合に限られるというようになっております。この点につきましても,また後ほど具体的な論点として御説明を申し上げたいと思います。   それから,3番目でございますけれども,ビデオリンクの措置でございます。先ほどの遮へいの方は被告人や傍聴人から見られているということによる精神的な圧迫でございましたが,こちらのビデオリンクの方は,裁判官ですとか訴訟の関係人が在席する場所で供述する,そういうこと,すなわち場所的な要因によって精神的な圧迫を受けるという場合についての措置でございます。   どのような場合に証人が保護されるのかということにつきましては,まず1項の3号に規定がございます。1項の3号を見ますと,犯罪の性質等,その他の事情により裁判官等が在席する場所において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者という規定がございます。そのほか,1項には1号と2号がございまして,性犯罪,あるいはこれに類似する犯罪の被害者についての規定がございます。これは,このような方々は法廷で尋問を受けることによって非常に重たい心理的・精神的な負担を余儀なくされる,そういうことが類型的に多いと認められますことから,3号とは別個に保護の対象となっているというものでございます。   それから,第2項でございますけれども,証人尋問の状況をビデオテープに録画することができるという趣旨の規定でございます。これは,例えば性犯罪が複数の犯人によって行われたが,被告人の公判が分離されていると,こういったようなときに,それぞれの公判で同じ被害の事実について繰り返し証言しなければならなくなると,こういった事態を避けることができるようにしたものでございます。これも具体的に後ほど少し説明を申し上げますけれども,刑事訴訟におきます証拠能力の問題にかかわる規定でございます。   以上が,刑事訴訟法上規定がされております措置の簡単な紹介でございます。   続きまして,ウの刑事訴訟における各措置の実施件数でございますけれども,これにつきましては参考資料の2をごらんいただきたいと思います。こちらの方は,この刑事訴訟法の改正後に一体どの程度措置がとられているのかを表にしたものでございます。数字はごらんいただいたとおりでございまして,この3つの中では遮へいの措置が件数としては非常に多いということになっております。   続きまして,エの現行民事訴訟法のもとにおける運用でございます。刑事訴訟法に規定がございます3つの措置のうち,証人への付添い,あるいは遮へい,つい立てを立てる措置,これにつきましては現行法のもとでも運用上可能というように考えられております。根拠といたしましては,民事訴訟法の148条という規定がございます。これも参考条文集で申し上げますと1ページの一番最初の条文でございます。「口頭弁論は,裁判長が指揮する」と,いわゆる裁判長の訴訟指揮権について定めた規定でございまして,恐らく根拠としてはこの規定をもとにしているものではないかと思われます。実際にとられた例といたしましては,この部会資料にございますとおり,新聞報道等によるものでございますけれども,HIVの事件ですとか,あるいは聖神中央教会婦女暴行事件,これはいわゆる聖職者が婦女暴行事件を起こしたということによる損害賠償事件でございます。そういったような事件におきまして遮へいの措置がとられたという例がございます。   ビデオリンク,広い意味でテレビモニターを介した尋問につきましては,民事訴訟法上は現在,証人,当事者尋問の場合に,遠隔地にそういった方が居住している場合にはテレビモニターを通じた尋問,テレビ会議システムと呼んでおりますけれども,テレビ会議システムによる尋問が可能というようになっております。ただ,証人,当事者尋問の場合には,例えば犯罪の被害者で精神的な圧迫を受けると,こういう理由ではテレビモニターによる尋問は民事訴訟法上は認められていないと,こういう状況でございます。   以上が大まかな現状とご説明でございます。   このような現状を踏まえまして,2のところでございますけれども,昨年の12月に犯罪被害者等基本計画が定められました。その全体につきましては,先ほど申し上げましたとおり事前にお送りしたところでございます。その中で,この民事訴訟法に関する事項といたしましては,法務省において,民事訴訟においても遮へい措置,ビデオリンク,付添いを民事訴訟法上認めることについて検討を行い,2年以内を目途に結論を出し,その結論に従った施策を実施するというふうにされたわけでございます。   このような経緯で今回の諮問に至ったわけでございますけれども,まず,このような措置を民事訴訟法上認める必要性についてどう考えるのか。付添い,遮へいの各措置について規定を設ける必要性,それから新たにビデオリンク方式を導入する必要性について,どのように考えるのかということが今回の議論の出発点になるのではないかと思っております。   以上が第1についての御説明でございますが,現状の説明に関しまして,本日,最高裁判所の方から席上に配布の資料を御用意いただいておりますので,そちらの方の御説明をお願いできればと存じます。 ● それでは,最高裁の民事局の○○から,本日お配りしました資料につきまして簡単に御説明させていただきます。   ただいま○○幹事から御紹介がありましたように,民事訴訟法の制度におきましては,現在,今回検討いたします付添い,遮へい,あるいはいわゆるビデオリンクという制度は,まだ法制度としてはないわけでございますけれども,ただいまも御紹介がありましたように,運用上,類似の運用をしている場面,あるいはビデオリンクと同じような形で遠隔地の証人というような形で,適用場面が異なりますけれども,同様にテレビモニターを介在して証人尋問を行うという運用がなされておりますので,ただいま御紹介がありました3つの制度につきまして,これからその制度の導入の必要性ですとか,あるいはその内容について御審議いただくに先立ちまして,まずはどのようなものになるのだろうかというような多少のイメージを持っていただきたいと思いまして,本日,多少ビジュアルにイメージを少し思い浮かべていただけるような資料を工夫して御用意したところでございます。   まず,付添いと遮へいの関係でございますけれども,ただいま御紹介がありましたように,これらにつきましては現在制度として類似のものがあるわけではございませんで,個々の事件の中で裁判長におけます訴訟指揮によって,それと同様の法廷内における扱いをしておるというものでございますので,ある意味でのちゃんとした資料というものは,民事事件の関係で持ち合わせておらないものですから,今回,既に制度として導入しております刑事事件でこのような付添いや遮へいがどのような形で扱われておるのかというところについての資料を抜粋して御用意させていただいたものが,まず1ページ目でございます。1ページ目は,下に引用しておりますように,法務省のホームページにおきまして刑事事件における証人の付添い,証人の遮へいについてのイメージ図として公表されておるものでございます。おおむね民事訴訟において,現在訴訟指揮に基づいてこうした運用をする場合も,ほぼ同じようなイメージで運用がされているのではないかと考えております。   まず,証人への付添いにつきましては,この1ページ目の上の図のところにありますとおり,絵のほぼ中央のところに証人という方が座っている図がかいてあるかと思いますが,この証人の斜め後ろのところに,比較的距離的に近いところにもう一ついすを設けまして,そこに,この証人の方の不安,緊張を和らげるのに適当な方に付添人として座っていただいて証人尋問を行うと,このような形で手続が行われているようでございます。   次に,遮へいについてでございます。この1ページ目の下の図にありますとおり,これはわかりやすいように絵がわざわざ透明になっておるんですけれども,下の方の法廷のバーのところの前につい立てというところがございまして,絵の形では証人が透けて見えておりますが,実際には見えない,あるいは曇りガラスのような形で姿形が見えないようなつい立てか,そういったものを立てるということになるように考えております。こういった形で,この刑事法廷ですと,被告人というのがこのつい立ての斜め後ろに座ってございますので,被告人から証人の姿が見えない。また,つい立てで三方を囲まれておりますので,裁判官,弁護人,検察官,あるいは書記官の方からは証人の姿は見えますが,傍聴人の方からも証人の姿が見えないような形でつい立てを設けているということになろうかと思います。   このつい立ての立て方は,一つのイメージとして,この法務省の図にかいてございますけれども,2ページ目,3ページ目の方をごらんいただきますと,こちらの方は裁判所の職員総合研修所という書記官実務についての研修・研究等を行っておる機関が作成いたしました,「犯罪被害者等の保護のための諸制度に関する書記官事務の実証的研究」という文献から抜粋したものでございます。3ページの方に引用元が書いてございますけれども,その書物によりますと,おおむね設営例としては3つほどイメージがあり得るというふうに紹介されています。これはいずれも各裁判所によりまして法廷の形が微妙に異なりまして,例えば被告人が座る場所がどこになるかということや,あるいは証人が出入りする出入り口がどこになるかということが若干異なりますことから,それぞれつい立ての立て方も,その法廷の形,事情に応じたような形での設置をするというようなことで,幾つかのパターンを御紹介しているものでございます。   設置例①と設置例②,これらにつきましてはいずれも,設置例①では証言席が真ん中のあたりにありまして,そこを三方囲むようについ立てを設けます。設置例②におきましては,左下の方の隅に証人席が設けられておりますので,その証人の周りを囲むようについ立てAというものを設置するということになってございます。この設置例①,②の場合には,証人の出入り口が裁判官の座る法壇の左側の後ろの方になりますので,ここの位置から証人が出入りをいたしますと,傍聴人の方から証人の出入りする姿が見えてしまう可能性がございますので,それぞれつい立てBというのが,上の図でいいますと,左側の方の検察官というところの上につい立てBというのがございます。また,設置例②では左側の端の方につい立てBという記述がございますけれども,こうしたつい立てBをあらかじめ設けた上で,証人の方が入っていただいて,証人席に着いた段階でこのつい立てBは撤去する。これは傍聴人の方から出入りするときの姿が見えないようにするために,仮に設置するつい立てというものでございます。   また,もう一つの設置例③,もう一枚めくっていただきますと,この法廷の場合には証人席は左側の上の方にございまして,この法廷におきましては,例えば右の方に検察官と弁護人がそれぞれ位置を構えるというような格好の配置をしてございます。この場合には,あらかじめ傍聴席から見えないような形でつい立て,アコーディオン式と書いてあるところが,出入り口のところから少し斜め上の方に行った上で真っすぐにずっと立って,さらに横の方へ立っているということで,出入り口から証人席まで,すべてをあらかじめ一つのつい立てで遮へいしておく。こういうようなイメージなどがあるようでございます。恐らく民事事件におきましても同様に,それぞれの構造に応じたつい立ての立て方をすることによりまして,証人等の姿が見えないようにする配慮をすることになろうかと思われるところであります。   それでは,付添いと遮へいを終えまして,3番目としまして,刑事手続におけるいわゆるビデオリンクに相当いたします,テレビモニターを介して証人尋問を行う場合のイメージでございますが,4ページ以下でございます。   まず4ページが,テレビ会議システムを設置した法廷の様子。これは模擬でございまして,ここに写っているものも,私どものスタッフがかつて数年前に撮影したものでございますけれども,このような形でそれぞれ設置するというものでございます。上の四角い写真の方が法廷でございます。裁判官と裁判所書記官が右の方に座っておりますが,その両側に訴訟代理人が1名ずつ,これが原告側の代理人,被告側の代理人というわけでありますけれども,こうした関係者のテーブルを挟んで正面にテレビ会議装置を設置いたします。また,遠隔地の証人が遠隔地の裁判所の方に出頭いたしましたところを模擬したものが下の楕円形の写真の方でございます。これは全く別室のところで,証人または当事者本人がテーブルのところに座っていただいておりまして,そのテーブルを挟んだ向こう側にテレビ会議システムが設置されておるわけでございます。   ちょっとわかりにくい写真ですが,よくごらんいただきますと,法廷の方のテレビ画面に写っておりますのが,この下の楕円形の写真の証人または本人となっている方でありまして,逆に下の方の楕円形の写真のテレビモニターの画面に写っておりますのが,この上の写真の法廷の方にテーブルを囲んで座っていらっしゃる,あの4人の方々が写っておる姿でございます。ちょっと写真が小さくて見にくくて恐縮なんでございますけれども,このような形で,それぞれ相手方の部屋の状況がそれぞれのテレビに写し出されることによりまして,テレビモニターを通じて質問,回答をしていただくということになるわけでございます。   ちなみに,この写真のテレビ画面の上の方に,少し小さな黒い箱が置いてあるかと思いますが,おわかりいただけますでしょうか。楕円形の写真の方がシルバーのテレビ枠の上に黒い,少し足があって横に長方形の箱が置いてあるかと思いますが,これがいわゆるテレビカメラに相当する部分でございます。ですから,テレビの方を見ながら,その真上にあるテレビカメラに自分が映し出されて,相手方の部屋にその姿が映るというようなことでイメージしていただければと思います。   次,1枚めくっていただきまして,5ページがちょっと大きな紙になって恐縮ですが,今写真で御説明いたしましたテレビ会議システムの配置図を平面図に示したものでございます。写真で写り切っていないところを若干補足させていただきますと,まず左側が受訴裁判所側ということでございまして,先ほどの写真でごらんいただきましたように,右側にテレビ会議装置,テレビのモニターと,その上に設置されたカメラが置いてございます。真ん中のところに楕円形のラウンドテーブルが置いてあるわけでございますが,このテーブルを挟んで反対側に裁判所の側の人間と訴訟代理人の人たちが座って手続を進めることになります。   その他,写真に写っていないところを幾つか説明しますと,ラウンドテーブルの上の方にございますのが傍聴者用のモニターということで,その上の方が傍聴者席になるわけでございますが,傍聴者向けに1台テレビモニターを置いておりまして,別室から証言しております証人の顔,つまり裁判所で代理人の方々が見ているテレビ画面と同じものが傍聴席側に向けても画面として示されていると,こういうようなことになってございます。   それから,左端の方にファクシミリと書画カメラというものがかいてあるかと思いますが,これは,証人の証言をしていただく際に,文書,書証ですね。証拠として用いる文書ですとか,そういったものを相手方に示す場合に,一つには,この書画カメラというものを使うことによりまして,書面の内容をそのまま相手方のテレビモニターに映し出すことが可能となっております。また,非常に細かい図などでテレビモニターでなかなか見切れないようなものにつきましては,このファクシミリを使うことによって,相手のいる部屋の方にリアルタイムでその書面の写しを送ることによって,裁判所側と証人が出頭しております部屋とで共通の書面,図面等を見ながら,場合によりましては,その図面等の場所等を示したりしていただきながら尋問に答えていただくことが可能であるというような形で,各種の機器を整備しておるわけでございます。   それから,最後に7ページ目でございます。先ほど写真ではテレビモニターに単純に証人の方の顔や裁判所の様子が映っておりましたけれども,この7ページにありますように,このテレビ会議装置は,ボタン操作一つでさまざまな形での画面に映像を映し出すことが可能となっております。通常の操作というところが主に使うところでございますけれども,上の方の通常の操作の運用場面の開始または終了というところを横に見ていただきますと,手続を開始する最初,あるいは一番最後のところでは,裁判所側の画面には,この一番上の段の左側の絵にありますように,画面の親画面,大きな画面としましては証人そのものが近影で映っているということになるわけでございまして,さらに下の方に子画面,小さな画面を同時に映し出すことができまして,裁判所側,自分たちの側が相手方の部屋でどんなふうに映っているのかということを小さな画面で表示することによって,見え方を確認することができます。ですから,こちらのカメラの設置の角度が悪くて,例えば代理人の1人が欠けてしまっているかどうかというようなことは,裁判所側の子画面を通じてチェックをすることができるようになっているわけであります。また,それと同様に,相手方の方では親画面の方に裁判所の遠景ということで,裁判所,あるいは代理人の方が座っている姿が大きな画面として映されますし,子画面,小さな画面におきましては証人等の近景が映せるというようなことになっております。   また,個々の尋問をする際には,むしろ裁判所側の者が全員映っている姿よりは,個々人の尋問している方の顔,表情等をより大きく映すことが必要になりますので,その場合にはボタンを操作することによりまして,相手方の画面には裁判所側の中の一人の方,尋問している代理人の方などの顔をアップで映し出すということが可能なようになっておるわけでございます。   このように,各種のボタンを操作することによって,さまざまな形の映像を映し出すことができます。下の方,その他必要な操作というところでは,先ほども御紹介しました書画カメラを用いて書類を提示することができるようになっているということを,ちょっと絵で説明しておるところでございます。   あと,最後に,このテレビ会議装置の画質の問題でございます。これは写真や,このボタン操作の表示ではなかなかちょっと表現できない部分でございますけれども,現在の民事訴訟で使われておりますテレビ会議における画質としましては,イメージとしましては,通常のテレビ画面と同程度というふうに御説明させていただいております。ただ,最近は通常のテレビと申しましても,アナログからデジタル,ハイビジョンとさまざまなものがあるようでございますので,あえて特定させていただきますと,通常の地上アナログ波と同程度の画質ということになります。この制度自体が導入されたときは,まだもちろんハイビジョン等もなかった時代でございますが,その時点で通常の地上走査と同様に,大体1秒間のこま数が30前後ぐらい,こまとして動くような形になっておりますので,証人や裁判所側の人が,例えば手を挙げたりしたときの画面への映り方,これは性能が悪いと,ある種ストップモーションのようにカクカクというふうに見えるわけですが,ほぼ普通のテレビと同様に滑らかに動作が映せるぐらいの性能を持っているということでございます。   ちょっと長くなって恐縮でございましたが,以上のような形での運用を現在行っておりますので,今後の御審議の参考にしていただきまして,ぜひいろいろと御協議いただければと思います。どうもありがとうございます。 ● どうもありがとうございました。   説明が続いて恐縮でございますけれども,引き続きまして,また私の方から部会資料1に戻りまして,第2の付添い等の措置の導入に当たっての一般的な論点というところにつきまして御説明申し上げます。   まず第1は,付添い等の措置の目的,これをどのようにとらえるのかという点でございます。非常に観念的な論点でございますけれども,例えば措置をとるための実体的な要件をどうするかといったような点にもかかってくるのではないかと考えております。先ほど御説明いたしました刑事訴訟法の157条の2などの付添い等の措置は,恐らく,この資料で申し上げますと①,すなわち不安や緊張等を緩和すること自体を目的とする制度として位置づけられているのではないかと思われます。これに対しまして,例えば刑事訴訟法の281条の2という規定がございます。参考資料で申しますと,参考資料の1の7ページに規定がございます。7ページの下の方に,被告人の退席という規定がございます。この規定の措置といいますものは,この部会資料で申しますと②,十分な陳述を可能とすることにより,適正な裁判のための資料を確保する,こういうことを目的とする措置と思われます。この281条の2の条文をごらんいただきますと,その措置をとるための要件といたしまして,「証人が被告人の面前」--括弧がございますが--「においては圧迫を受け充分な供述をすることができないと認めるとき」といったような要件の表現になっております。例えば,こういった規定の解釈といたしましては,証人が精神的な外傷を生じさせる,あるいは悪化させるような状況であっても,証言すること自体は十分に可能であると,このように判断されるときには,こうした措置をとることはできないといったような解釈がされておるところでございます。したがいまして,そういったことにも関係しまして,またさまざまないろいろなところでの議論にも,そもそもこの措置がどういう目的のものなのかというところがかかわってくるのではないかと思われるところでございます。また,こういった措置の目的のとらえ方でございますけれども,例えば証言義務を課されている,しかもそれが制裁によって担保されるという,そういう証人の場合と,そのような事情にはない,例えば当事者本人といったような場合で考え方を違える必要があるかどうかということも,一つの論点になってこようかと思っております。   次に,2番目の各措置を認める事案の範囲でございます。刑事訴訟ということになりますと,これは当然起訴された犯罪に関する事件になるわけでございますけれども,民事の場合には,一般的には対象はさまざまな類型の民事訴訟があるわけでございます。したがいまして,この措置をとることができる事案については特に制限をしない,一般的な事案について対象措置をとることができるというようにするのか,それとも刑事訴訟と同じように,例えば犯罪に起因する不法行為に基づく損害賠償請求訴訟といったように,事案に関して何らかの限定を付すのが相当なのかという点でございます。民事の場合には,一般的にあらゆるさまざまな類型が考えられますので,もし②のような考え方に立つのであれば,そのように事案を限定する必要性,あるいは合理性というものをどのように説明できるのかという点が問題になろうかと思われます。   次に,3ページの注でございますけれども,もし仮に①のように事案を限定しないといったような考え方に立った場合でございますが,刑事の場合には,これは犯罪事実を審理する手続でございますので,その証人といたしましては,例えば犯罪の被害者の方,それから犯罪の目撃者といったような方々が典型的には考えられるところでございます。しかしながら,民事一般ということになりますと,いろいろな事案が出てまいりますので,必要以上に幅広い範囲でこの措置がとられるというように解されるおそれはないであろうかといったことも一つ問題になろうかと思います。もしそのようなおそれがあるとすれば,そういうことも踏まえて何らかの考慮をすべき必要があるのではないかというのが,この注の論点でございます。   続きまして,3番目は手続の範囲でございます。刑事の場合には,犯罪の被害者の方などが供述しますのは証人尋問ということになるわけでございますけれども,民事の場合にはさまざまな場面が考えられるわけでございます。当然のことながら,犯罪の被害者の方が加害者を相手に原告として訴えを提起するという場合には原告の本人尋問という場面になりますし,あるいは証人という場面も考えられます。あるいは原告が幼少の者ということになりますと,その親が法定代理人として陳述するということもあるわけでございます。また,そのほか,判決ではなくて決定手続ということになりますと,簡易な証拠調べとして審尋という手続もあるわけでございます。そのほか主張の場面,口頭弁論,あるいは争点整理手続等で当事者が主張する場面ということもございます。このように,民事の場合には,犯罪の被害者の方々がいろいろな場面で登場してまいりますので,一体どのような手続においてこういう措置を導入すればいいのかという点が一つの論点かなと思っております。   続きまして,4番が一般的な手続のあり方についてでございます。もちろんこれまで一般的な論点と申し上げておりますけれども,実は細かく分けますと3つの措置それぞれについて本当は細かく見なければいけないのかもしれません。   まずアでございますけれども,陳述者,あるいは当事者の申立権を認めるかどうかという点でございます。もし申立権があるということになりますと,申立てがありますと,それについて裁判所が判断を示して応答するということになるわけでございます。申立権がないということになりますと,措置をとるかどうかは,これは裁判所の判断。ただし,そのような判断を職権でするべきであるといったような,いわゆる職権発動を求める,そういう事実上の申し出はできるわけでございます。先ほど条文を紹介いたしましたけれども,刑事訴訟法では申立権は認められておりません。また,注にありますような民事訴訟法の一般的な考え方との関係についてどのように考えるのかという点が問題になろうかと思います。   続きまして,イは,それぞれの措置の決定の主体をどうするかという点でございます。具体的には裁判長が決めるのか,それとも裁判所が決めるのか。合議体で3人の裁判官でやっているときに3人の裁判官で話し合って決めるのか,こういう問題でございます。一般的には,そういった措置の影響の大きさによって,それが大きいということになりますと,より慎重に裁判所,すなわち3人の裁判官が話し合って決めるということになりますし,そういうように民事訴訟法上は切り分けがされているというふうに理解されます。したがいまして,本件の問題になる各措置について,そういった影響の大きさをどう見るか。裁判所にするのか,それとも裁判長でよいのかという点が論点かと思います。なお,注にありますとおり,付添いと遮へいについては現在の運用では,先ほど御説明いたしましたとおり,裁判長の訴訟指揮で実施するとされているものと思われます。他方,テレビ会議システム,遠隔地におきます尋問につきましては,これは裁判所が判断するというようになっております。こういった現行の運用,現行の制度との関係も考えなければいけないのかなと思っております。   それから,次に不服の申立てでございます。裁判長の訴訟指揮につきましては,民事訴訟法の150条という規定がございます。これはまた参考資料の1の1ページをごらんいただければと存じますけれども,150条を見ますと,裁判長の命令,あるいは裁判長の処置に対し異議を述べたときは,裁判所が決定でその異議について裁判をするという規定でございます。したがいまして,もし裁判長が決定をするということになりますと,それについては裁判所に異議を申し立てることができるようにするということが考えられるわけでございます。   しからば,もし措置を決めるのが裁判所の場合にはどうかということでございます。民事の場合には,ここの4ページの上のところにございますけれども,現在の民事訴訟法によりますと,証拠調べの方法に関する裁判所の決定につきましては,独立の不服申立ては認められておりません。したがいまして,例えばこのつい立て等,今回のこの措置を裁判所が決定したという場合に,その同じ裁判所に異議を申し立てるというのは,これまでの現在の民事訴訟法のこういう証拠調べの方法に関する決定という点と同じようにいたしますと,そういう異議の申立ては認められないようにするということが考えられるわけでございます。   ただ,刑事訴訟の場合にはどうかと申し上げますと,刑事訴訟法に309条という規定がございます。これは参考条文で申し上げますと9ページでございます。9ページに309条がございますが,「検察官,被告人又は弁護人は,証拠調に関し異議を申し立てることができる」という,このような証拠調べに関する一般的な異議の申立ての規定がございます。この規定が適用がございますので,刑事訴訟の場合には,実は先ほど条文をごらんいただきましたとおり,3つの措置すべて裁判所が決定をすることになっておりますけれども,決定した裁判所に対して異議を申し立てる。もう一回,本当にそれでいいかどうかというのを判断してもらうということが刑事訴訟法では認められておるものでございます。この点で,刑事訴訟と民事訴訟との違いをどうするのかという点が一つの論点かなと思われます。   最後にエでございますが,当事者の意見聴取をどうするかという点でございます。このような措置は,証人等,法廷で陳述される方の保護に資するわけでございますけれども,その反面,質問する当事者に対しては影響があるわけでございます。例えばつい立てを置かれるということになりますと,直接証人の顔を見て尋問することができないといったようなことにもなるわけでございます。そのようなことから,こういった措置をとるためには,当事者の意見の聴取ということを必要的なものとするかどうかという点が問題になろうかと思います。刑事訴訟法で申し上げますと157条の2,3,4,いずれの措置におきましても,先ほどの参考条文で言いますと6ページでございますが,例えば157条の2をごらんいただきますと,「検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き」ということになっておりますので,こういった訴訟関係者の意見を聴くということが必要とされております。したがいまして,民事の場合には一体どうするのかという点。それから,注にございますとおり,仮にもし意見聴取を必要だというように考えた場合でも,それを法律で規定すべきなのか,それとも最高裁判所規則で規定すべきなのかという点も一つ議論になろうかと思います。いわゆる技術的な面等にかかわるものにつきましては,最高裁判所の規則に委任するということになっておりますけれども,こういったものはどうかということでございます。   ちなみに,遠隔地の場合にテレビ会議システムによる尋問ができるわけでございますけれども,こちらの場合には民事訴訟規則の123条でございます。参考資料の1で申し上げますと3ページでございます。123条の第1項で「当事者の意見を聴いて,当事者を受訴裁判所に出頭させ」云々とございます。したがいまして,テレビ会議システムによる遠隔地の証人尋問を行う場合には意見聴取が必要でございますが,それにつきましては最高裁判所規則に規定がされておる,そういうものでございます。こういったような現在の規定との関係につきましても御検討いただければと存じます。   大変長くなりまして恐縮でございますけれども,これで第2までの御説明を終わります。 ● 御苦労さまでした。   それでは,ただいまの報告をもとにして御質問,御意見等を承りたいと思いますが,順序といたしましては,まず第1,付添い等の措置の導入の必要性について,現状,それから基本計画,民訴法上規定を設ける必要性というふうに分かれておりますが,この第1全体について,先ほどの○○幹事からお話がございました現状,あるいはイメージを含めて御意見,御質問等を御自由に御発言をお願いしたいと存じます。どうぞよろしく。   どうぞ,○○委員。 ● 最初にお話しさせていただけば,ほかの皆さんもお話ししやすくなるんじゃないかと思いまして,弁護士会で,昨日日弁連の母体委員会がございまして,まだ議論としては煮詰まっていませんので,そういう意味ではあくまでも私見になるかと思いますけれども,第1の方向性につきましては,これは基本計画にもありますとおり,やはり民事と刑事の違いはあるものの,それぞれ付添い,遮へい,ビデオリンク,それなりの相当性,理由があるのではないかとは考えております。   ただ,これはもう第2の問題にかかわってくることなんですが,実際に民事の場合には,刑事と訴訟制度が大分違いますので,根本的に違うところがありますので,それぞれどういうふうに要件を決めたらいいのか。それから,最大の問題点は,第2の方の事案の範囲ということをまず限定する,しないというくくりになっておりますけれども,こういうふうな考え方でそもそもいいのかというところで,総論としては,恐らく弁護士会の中でもこれは反対する意見は少ないのではなかろうかというふうに,あくまでも推測ではございますが,そういうふうにしています。しかし,技術的なこととか要件の規定等,先ほど御説明がありましたとおり,それを規則にするのか,そもそも民訴にするのかという問題以前の考え方をどんなふうにやるのかということについては,非常に難しいなというところがございまして,それはまた別途お話しさせていただきますが,総論としては,やはり民訴においても必要性,妥当性があるのではないかと思っております。 ● ただいまの現状というか,必要性について積極的な御発言がございましたが,○○委員,あるいは○○委員,いかがでしょうか。   どうぞ,○○委員。 ● 今,○○委員さんの方からお話がありましたように,今回,この犯罪被害者等基本計画がつくられるに当たりましても,多くの被害者団体,あるいは関係者からのヒアリングを行った上で,これはぜひ進めてほしいということで盛り込まれましたので,必要性,妥当性ありということを今おっしゃってくださいまして,私も大変心強く思いました。   それと,実際に被害者支援都民センターの方で被害者の方に接しておりますと,当然損害賠償を求めるということで民事訴訟を起こしたいと考えている被害者の方たちはたくさんいます。でも,全員がそれを実行できるかといいますと,もう一度その加害者に顔を合わせるのが怖い,二次的な被害を受けるのではないか,また,公判に立つことによって事件のときのショックがよみがえってきて,このまま自分は元通りの生活を取り戻すことができないようになってしまうのではないか,そういうようなことも感じるという被害者の方が多いものですから,なかなか民事訴訟を行うということ自体も難しい状況にある被害者の方がたくさんおります。そういう点,このような措置をとっていただけるということになりますと,それはひいては被害者の方がもう一度,被害に遭う前の平穏な生活を取り戻して社会復帰することができるということと同時に,やはり関係機関や,この日本という国に対する信頼感をもう一度取り戻して,もう一度自分なりに精いっぱい生きていってみようと,そのように思えるような制度にも結びつくかと思いますので,難しい問題点はあるかもしれませんが,ぜひ粛々と進めていっていただきたいと,そのように感じております。 ● ありがとうございます。   ○○委員,いかがでしょうか。 ● 私も総論的に,○○委員がおっしゃいましたように,この民事訴訟法においても,この必要性と妥当性を認めるという大きな方向に関しては,ぜひそういう方向でやっていっていただきたいと思います。   今,それと,○○委員のお話を伺いますと,私も犯罪被害者の問題はそんなに詳しいわけではないんですが,やはりもう当たり前の感情として,犯罪に遭った方が自分の旧来の暮らしや平穏を取り戻すために,こういう権利がぜひ認められてしかるべきではないかと思っています。 ● ありがとうございました。   ほかの委員,幹事の方々,この点……。   どうぞ,○○委員。 ● 基本的には結構で,ぜひ検討せんといかんと思いますので,ちょっと確かめることだけですが,現状が現行民事訴訟法のもとにおける運用ということで,どちらにお聞きしたらいいのかわからないんですが,実際にもう付添いも運用として開始されているという理解でよろしいんでしょうかということと,もう一つは,遮へいの場合に,刑事訴訟法からいえば被告人と証人,証人と傍聴人とかいうようなことで遮へいするところが分けられますよね。実際にそういう,かなり件数が多いんですけれども,そこが,普通に考えれば,もう傍聴人も被告人も結果として遮へいする。今の図を見てもそうなっているような気がするんですが,わざわざ2つに分けて考える,例えば被告人とは顔を合わせるけれども,傍聴人には見せないとか,そういう分け方をしているのが実際にあるんでしょうかということを確かめておきたいと思います。ちょっと細かいと思いますけれども。 ● 実は,この付添いですとか遮へいについては,明確な統計といいますか,あるいは表に書かれているようなものが少のうございます。ただ,私どもがいろいろお聞きしている中では,実際に付添いも行われた例はあるというふうに聞いております。   あと,遮へいについて具体的な被告人と傍聴人との関係でどうかというのは,大変申しわけございませんけれども,私どもとしては,また次回までに調べたいと思います。もし最高裁の方でおわかりでありますればと思いますが。 ● 今日の段階では,ちょっとそこまで詳しいところはこちらも把握しておりません。 ● そこは次回までに,私どもの方で少し調べさせていただきます。 ● そういうことでよろしゅうございますか,○○委員。   それでは,ほかにいかがでしょうか。   総論的な部分ですが,どうぞ,○○幹事。 ● 資料についてちょっと詳しい説明を,お調べいただけるんでありましたら,参考資料2のビデオリンクの部分で,遮へいとの併用がどのぐらいあるのか。今,多分○○委員のおっしゃっているのは,遮へいのこの数字の内容で,1個使っているのか,2個使っているのか,証人からか,傍聴人か,あるいは併用か,その数字と,プラスでビデオリンクで遮へいと組み合わせがどのぐらいあるかというところも,もし統計としておわかりになるようでしたら,教えていただければと思います。   それと,もう一つは,民事訴訟で遮へいの例で,HIV訴訟と,もう一つの聖神中央教会という例が挙がっておりますが,HIV訴訟,これは恐らく傍聴人からの遮へいだったと思います。もう一つの方はどうでしたでしょうか。つまり,当事者本人からの遮へいの例が民事訴訟で訴訟指揮で行われた例があるかどうか。これをもしおわかりでしたら教えていただきたいと思います。 ● そこまで例があるかどうか,また調べられるかどうかわかりませんが,少なくともここに挙げました2つの事件につきましては,いずれも傍聴席との間のつい立てでございます。 ● それでは,今,○○幹事の御質問の,前半の部分の遮へいとビデオリンクの併用例ですね。これについては適宜またお調べいただいて,その結果を報告いただくということでよろしいですか。 ● 承知いたしました。 ● それでは,そのようにさせていただきます。   ほかにいかがでしょうか。   もしあれでしたら,また後で戻ることはできますので,第2の付添い等の措置の導入に当たっての一般的な論点。これ,先ほど○○委員の御発言にも関連することがございましたが,やはり基本的な制度の仕組みを考える上で大変重要なところになるかと思いますので,こちらについて御質問,御意見をちょうだいしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。   どうぞ,○○委員。 ● 目的につきまして大きく2つ挙げていただいて,犯罪被害者等の不安や緊張感の緩和,心理的な圧迫を受けないための措置というふうに位置づけられるというのが1で,2は,十分な陳述を可能とする,そして適正な裁判ということで,これはついては○○幹事とも事前にいろいろ議論してきたんですが,やはり刑事と民事で違うんだろうかという観点から申し上げると,やはり御本人の,それは証人であろうが,民事でいう当事者であっても,心理的な圧迫,不安や緊張の除去という意味では,やはり同じなんじゃないかというふうな気が少なくとも今の段階ではしております。そういう意味では,民事と刑事と本質的な差はないんじゃないだろうかという感じがします。そして,十分な陳述,しかし,例えば刑事裁判でいえば,被告人の裁判を受ける権利と,被告人が有罪になるのか,構成要件に該当する事実が認定されるのかということですから,そういう意味で,やはり先ほどお話が出たように,被害者がまた裁判所に行って,ようやく嫌な思いをしてとられた自分の調書が不同意にされて,また裁判所に出て証言しなきゃいけない。正直言って,もう出たくないだろうと。しかし出なければ裁判ができないという意味では,1と2というのは,少なくともオール・オア・ナッシングではないんだろうなと,それは刑事でも民事でもという感じがいたします。   そういう意味では,適正な裁判を行うために,やはり法廷で証人なり当事者として尋問をする必要はあるからこそ,こういう問題が出てくるんだろうと思うんですね。そういう意味では,1でやはり不安や緊張の緩和,除去,心理的圧迫を和らげるということが,結局は2の十分な陳述を可能とするというところに恐らくつながるんだろうと思うんですね。そして,そのことによって適正な裁判がなされるという意味では,どちらにウエートがかかるという問題はあるかもしれませんが,やはり1と2というのは原因と結果といいますか,因果の流れというんですかね。直接には御本人の心理的な抑圧からの解放,そのことによって法廷に出てきてしゃべっていただけるふうなことの機会を確保ができる,そして十分に陳述ができる,結果として裁判ができる,そういうふうに考えていいのではないかなという感じがいたします。   ただ,適正な裁判がやはり根本的に民事と刑事というのは全然違うんじゃないだろうか。刑事の場合には,当然のことながら刑事法廷ですから,被告人が有罪になるかどうかという,職権で厳格な証明がなされていくということになるかと思うんですね。ただ,民事の場合に,例えば原告が被害者の場合を考えてみる場合に,そもそもの民訴の当事者主義,武器対等主義と,そして主張が立証ができなかった場合には立証責任の負担というところで,その立証責任を尽くせなかった方に不利益に働くというような,まさに当事者主義というところの限界みたいなものがあるのかなという感じがいたします。そういう意味では,訴訟構造は大分違うのだけれども,だからこそビデオリンクについて,ああいうふうに厳格な規定をするのは,裁判所の離れたところで出頭するということが刑訴全体の枠組みの中でどう論理性として合理的な制度設計だと言えるかというところがあるんだろうと思うんですね。そういう意味では,民事も刑事も恐らく1と2というのは同じではないかと思われて,ただ適正な裁判というところの適正というところの意味が,やはり違ってくるのかなという感じがいたします。   それから,すみません。ついでに申し上げてしまいますと,2の先ほど申し上げた特に制限をしないという考え方,それから,犯罪に起因する不法行為に基づく損害賠償請求訴訟ということで,1につきましては,確かに先ほど御説明がありましたとおり,制限をしないというふうに言うと,非常に事案について制限はしない。その分,要件をどういうふうに規定するかという問題が当然出てくるわけですけれども,その辺は非常に難しいだろうなという感じがいたしますが,その一つのくくりはあると思います。犯罪に起因するという点,これだけ見ますと,確かに先ほど御説明があったとおり,それぞれ刑訴の規定の,とりわけ性的犯罪被害者というイメージからすると,非常にそれをこの2の方にパラレルに考えることはできるのかなというふうなところがあるんですが,後の問題も,皆この1なのか2なのかという問題にみんなはね返ってくるような気がしてならなくて,そういうことも弁護士会でもちょっと議論になりました。   それで,もし事案について制限をしないとすると,私ども弁護士が証人尋問,本人尋問するときに,まず緊張しない証人っていないんですね。なれっこな証人というのはめったに--それはそれでちょっと問題ですから,ですから,非常に初めてですので「どうしましょう」と,言いたいことも言えなくなる。そういうことに対して「大丈夫です。自信を持ってリラックスして言ってください」というようなことを言っているわけですので,そうしますと,もともと刑訴から先に規定されて民事にという,何となく刑訴を,刑事の問題を民訴にスライドしたようなイメージがないことはないんですが,しかし,心理的な抑圧や不安や緊張の除去というと,犯罪に限らず,いろいろな事件,極端に言うとほとんどの事件が大なり小なりそういうところがありますよと。そういうことについて申立権を認めて裁判所に判断してもらうというのは,もう少し絞りを何か具体的につけないと混乱するのかなと。   仮に犯罪じゃないとしても,例えば昨日議論になった人事訴訟なんかは民訴が準用されていますので,もしそういうふうになりますと,別れた夫の前ではしゃべるのは嫌だとか,それからDVだとか,それから,ちょっと表現が不適切かもしれませんが,精神的に非常に危険だといいますか,そういう方の前でしゃべるのは嫌だとか,それから,非常にジャンルが違うかもしれませんが,民事介入暴力,民暴事件というところでいうと,怖い人の前でしゃべりたくないというのが,このくくりの中に1だとやはり入ってくるのかなという,入ってくる可能性もあるのかなという感じがいたしまして,1の立てつけというのはかなり絞り込みが難しいのかなという感じがしました。   2について申し上げますと,犯罪に起因するというのと,犯罪に起因する不法行為に基づく損害賠償請求というのは,2つに分けられるのかなと。つまり,犯罪に起因するというところが1つと,それから,訴訟としての不法行為に基づく損害賠償という2つの立てつけになっているわけですが,犯罪に起因するという場合に,刑事訴訟の場合には,すべての刑事事件がいわゆる公判請求の事件になるわけですね。そうしますと,もうそこで既に絞りがおのずからかけられているわけですが,犯罪に起因する民事の場合には,公判請求にもう既になった事件,確定した事件,逮捕されたけれども不起訴になった事件,不起訴の中でも起訴猶予のケース,それから証拠不十分のケース,そもそも証拠嫌疑なしという事件,それから,そもそも例えば性的犯罪のことで言えば,やはり親告罪の場合に告訴が嫌だと,実際そういうことがありますから,告訴が嫌だと思って1年ぐらいたったけれども,刑事までやりたくはないけれども,やはりあの人が許せないということで,今度は民事だけでもやろうという場合に,そういう場合に刑事とリンクしない,いわゆる生の構成要件該当事実を持ってくるものも,ここでいう犯罪に起因するというふうに言えるのかどうか。ですから,犯罪という中に,刑事政策で起訴したものだけに限るのか,公判請求したものに限るのか,じゃ,略式はどうかと,そういう意味で,犯罪に起因するというのも,実際には絞りがかかった部分であるけれども非常に難しいなというところがあると思います。そういう意味では多くは不法行為なんでしょうけれども,本当に例えば差し止めとか,ほかにもあるのではないかというようなことを考えると,この間ずっと考えていたんですけれども,この問題に,いろいろなことを考えても全部ここに戻ってくるような感じがして,逆に言うと,この入り口の部分が解明できれば,あとの制度設計はおのずから整理ができていく可能性もあるのかなという感じがいたしました。   それから,これは○○幹事の発案で,私が先取りして申しわけないんですが,そもそも待てよ,事案の範囲という取り上げ方が本当に適切なんだろうかというような疑問がありまして,刑事でもともと,先ほど来出ていましたとおり,犯罪被害者というのは,もう思い出したくもない,ましてや法廷なんかに行ってまた思い出したくもない,そういう嫌な犯罪というか,犯罪被害を受けた被害感情が癒えていないときに,その癒えていない人が法廷でどう証言するかというところが出発点だとすれば,そもそも事案の範囲という入り方自体ではなくて,事案がどうであれ,犯罪被害者が民事で証言する場合,もしくは民事で原告,被告の場合に供述する場合という,そういう入り方の方が,むしろこの制度としてはフィットするのかなというようなことも,今,これは本当にすみません。○○幹事の発案で,後で補足していただきたいんですけれども,そういうようなところで非常に難しい問題だなと。すみません。かえって混乱させてしまったかもしれません。そんなところでよろしくお願いいたします。 ● ありがとうございました。   ただいま,目的,それから事案の範囲に関する御発言がございましたが,そのあたりについてほかの委員,幹事の方,いかがでしょうか。   どうぞ,○○委員。 ● 今の○○委員の御意見との関係で,第2の1の目的の①,②,どちらか,あるいは二者択一ではなくて連続性があるという御発言だったんですが,私もそのとおりだとは思うんです。ただ,現時点で犯罪被害者の保護と,基本計画に基づいて新しい制度を民事訴訟法においてもつくるということとの関係で考えますと,やはり①の方を強調しないといけないのではないかという気がいたします。その結果,どういうふうに違いが出てくるのかはこれからのお話だと思うんですけれども,特に②の方の十分な陳述を可能とするという刑訴の281条の2の規定というのは,かなり古くからあった規定でありまして,若干の改正はほかの規定との関係であったようですが,昭和33年からあったようで,ちょっと今,現時点で問題になっている被害者の保護というのは,そういうものとはかなり観点が違うのではないかという気がいたします。それから,○○委員の御指摘のように,適正な裁判というものの内容が,あるいは基本的な考え方が刑訴と民訴では違うということもありまして,そういうようなことから,①の方をやはり重視すべきではないかと,こういうふうに思います。 ● どうぞ,○○幹事,お願いします。 ● この資料の読み方についてお教えいただきたいんですが,第2の1の②の資料というのが,証拠資料だけなのか,訴訟資料も含むのか,どちらとしてお考えになっているのか。恐らくそれによって,第2の3の狭義の弁論を含めるべきかどうかというところが少し変わってくる。そこは,狭義の弁論を含めた上での適正だということなのか,それとも証拠資料としての証拠価値の高い陳述を得るというのが目的なのかというのは,先ほど来出ています適正さの内容に少し差が出てくるかと思いますので,事務当局のどういう--そこは括弧にくくってあるんだということかもしれませんが,ちょっとお考えをお聞かせいただければと思います。 ● ここは特に,第2の1の論点と,それから第2の3の論点は,いわば独立の並列的な論点というつもりで掲げさせておりますので,確かに適正さが異なるというのは御指摘のとおりだと思いますけれども,この第2の1の資料は,第2の3をどう考えるかによって,やはり資料の範囲は異なってくる。ただ,そこは範囲は異なってくるにしても,やはり十分な陳述を可能とするというところ,そこの点を重視するのか,それともやはり不安や緊張を緩和すること自体を重視するのかという,そこに差を強調して,この第2の1は論点として掲げさせていただいているという,そういう趣旨ではございます。 ● ①でいきますと,恐らく狭義の弁論も含むという方に行きやすいのではないのかなという気がしているわけです。証拠力の高い陳述を得るという趣旨であれば,狭義の弁論を外れるのではないかというイメージを持っていたものですからお伺いしました。 ● 今,○○幹事がおっしゃったのは,弁論というのはイメージとしては,例えば犯罪被害者が原告となって,自分がこれこれこういう加害行為があったとか被害を受けたということを主張するような場面にも,この新しい考えられる制度を結びつけるかと,そういうお話ですね。   どうぞ,○○幹事。 ● 今の○○幹事の御発言に関連して,先ほどから何回も御意見が出ていますように,やはりこの制度,とにかくここに呼ばれて入れましょうよと,伺いましょうという目的は,まさに①で呼ばれているわけですから,刑事訴訟法にも①を目的として入れているということなので,民事訴訟法でも①に目的があるということは,これは間違いがないと思います。①が確保されれば,先ほど○○委員もおっしゃいましたように,適正な裁判も副次的にはつながってくるはずだということなんですが,つながらなければいけない。ただ,その制度の立て方によっては適正な裁判を後退させる場合もあり得る。その場合,民事訴訟法でいう適正な裁判というのは何かということを考えながら,2の問題も,それから,今,○○幹事から御指摘がありました,どの手続の範囲で何を入れるかというところにも考えていかなければいけないのかということでございます。   それから,2について,これも先ほど○○委員からちょっと御紹介がありましたが,事案の範囲についての入り方がいけないかどうかということよりも,結局,2のように絞るのは難しいでしょうねと。そうなると1ということになるけれども,1は裸のまま何でもというわけにはいかないので,どう絞り込みを入れるかというと,やはり一つの案としては,場面はどの手続かということはちょっと置いておきまして,犯罪被害者等が犯罪該当事実を陳述する場合とか,そういうような規定ぶりで,この手続を使える場面を規定していくしかないのかなということを,ちょっと話しているということです。ただ,その場合,もちろん犯罪該当事実をという,簡単に申し上げましたが,刑事と違って何が犯罪かを民事裁判所が判断しなければいけないというちょっと大変しんどい問題が出てくるのは,そこはどうしようかというふうに,まだ考え方がまとまっておりません。 ● 今日は第1回ですから,御疑問の提示も含めて,余り御遠慮なさらないで自由に御発言いただければよろしいかと思いますが,どうぞ,ほかの委員,幹事の方も御自由に御発言ください。今,目的と,それから事案の範囲が議論の中心になっておりますが。   どうぞ,○○委員。 ● 私が目的で読ませていただいたときに,どっちもありやなという感じがしていたわけです。裁判をするために,その犯罪の被害者等が証人なりになるときにどうするのかというのは,要するに民事裁判であれ刑事裁判であれ,適正な裁判をするというのはもう当然の前提で考えて,その中で犯罪の被害者をどう保護するかということを考えたんじゃないのかということなので,無論,当面犯罪の被害者等の保護というのが中心になるけれども,そのときに,多分こうやって2つの考え方を並べられたというのは,そこがぶつかってくるところがあるので,最後にはそこの調整をする必要がどうも出てきそうだというのをお感じになるから,2つ並べられたんだろうと思うので,大抵の場合は2つ重なっておるんじゃないのかというようなことを感じました。そのときに①をとりあえず優先させて考えてみるかって,先ほど○○幹事が言われたように,適正な裁判を引っ込めても犯罪の被害者を保護するとかいうような形でぶつかってくるのかな,そのときにどう対応するか,こちらがどう対応するという問題がどうも出てくるのかなという意味で,最初はどっちでもええかなということを考えておったのですが,そう詰めてくると,最終的には犯罪の被害者を保護するために適正な裁判が多少引っ込むというところがあっても,そのぎりぎりのところはどこだろうかというのを探す作業になるのかって,どっちやいうたら①なのかという気はしているということ。   それと,せっかくだから,これが使えるものをほかの事件にも使いませんかということもあるのかもしらん。先ほどお話があった離婚訴訟とか人事訴訟にすぐ入れかわってくるような気がしますが,そこの点をまず最初で切っておくのか,もうそこも見ながら考えていくのかということになりますと,犯罪被害者等の「等」が広がってくるというようなことになろうかと思いますが,そんなことで,雑駁ですが,どっちでもいいのかなというのと,詰めたら1かというような気がしておりますので。 ● 今の点でよろしいですか。今,○○委員からのお話,非常に示唆に富むことだと思います。先ほど申し上げたとおり,1が直接やはり証言,もしくは供述される方の保護が副次的といいますか,それがひいては適正な裁判につながるという大きなくくりは一般的にやはり言えるかと思っているんですけれども,刑事の場合には,やはりどうしても被害者が証人として出てこなければ裁判ができないという,そういう意味の適正な裁判。民事の場合には,今申し上げたとおり当事者主義で,自分が例えば原告になる場合を考えた場合には,やはりそういう措置があるよということになりますと,先ほど別な委員からも出ていましたように,そんなに自分が公の法廷でしゃべるようなことは,仮に慰謝料請求が通るといっても出たくないということの除去という意味では,適正な裁判以前のやはりもともとの権利の保護ということにつながるのかなと思いますが,今度は逆に民事の武器対等や当事者なり立証責任という問題になりますと,例えば遮へいやビデオリンク。我々,証人尋問をやるとき,どうしても弾劾を考えますので,そうすると,その供述がやはり顔色を見たり,それから証拠を示して,証拠の示し方も適宜タイミングよくということが弁護技術としてはあります。そういう意味では,もちろん事案の範囲にもよりますけれども,事案の範囲が非常に広くて,仮に刑事とリンクしないような場合一般を考えた場合に,例えば自分は刑事にはなっていないけれども性的被害を受けたと称して,非常に詳細な供述ができるときに,性的被害というか,例えば痴漢とか,非常に細かい話をすると,そういう場合になかなか遮へいされてということになると,極端な場合には,本当に真実の解明という意味で,真実の解明のための反対尋問による弾劾というものは,やはり事実上,武器対等という面から見ると,そちらは一歩後退するのかなという,ちょっとデリケートな話なので,余りこれ以上申し上げにくいんですが,そういう意味では,委員の方がおっしゃったとおり,やはり刑事と民事の適正な裁判というもののバッティングする場面があるとすれば,むしろ民事の方が想定しやすいのかなという印象です。補足でございます。 ● どうぞ,○○幹事。 ● 2の事案の範囲の方ですが,このペーパーの①と②を見比べると,何かかなり違う考え方のように見えますけれども,私の理解するところでは,恐らく見かけほど大きく違った方向性という議論にはならないのではないかという気がします。既に何人かの委員,幹事の方からも御発言がありましたが,①の特に制限しないという立場というか,これを前提にするとしても,何でもいいというわけには恐らくいかないので,結局,注にお書きになっておられるように,これは事件類型という形で規律しないということを言っているのであって,何らかの事件類型とは違う別な観点からの,これは実体的要件という言葉を使っておられますけれども,実体的という言葉の意味をどう理解するかというのはややわかりにくいですが,要するに事件類型という形ではない形で何かの限定を,あるいは要件を加える。それに対して②の方は,事件類型を列挙できないかというようなことではないかと思います。   結局,これは突き詰めていけば規定ぶりの話に近くなって,実際に両者でどういう事件とかどういう要件でこれを認めるかという適用の結果というのは,今後,この法制審で議論を詰めていくと,ほぼ同じようなところに落ち着くのではないかという気がいたします。ですから,そういう理解が正しいのかどうか,私の理解であって正しいかどうかわかりませんけれども,そうであれば,こういうぎらぎら対立したような形で以後の資料をつくっていくのがいいのかどうかというようなこともありますし,そういうことも考えることもある。   それから,これも私の全くの--深くこの問題を研究したことはありませんので,深くというか浅くもありませんので,この資料をいただいてからの思いつきではありますが,先ほどちょっと犯罪被害の例として人事訴訟の例が出ましたが,先般の人事訴訟法の改正で公開禁止の規定が入りまして,あれは傍聴との関係では最もドラスティックな措置になりますが,非常に厳しい要件で入っておりますけれども,人事訴訟で場合によっては傍聴禁止までできるということであれば,一定の限度で傍聴人からの遮へいとかいうものは,人事訴訟がああいう制度をとったこととのバランスからいくと,一定の人事訴訟事件とか,その他の事件に広げるのがバランス上相当ではないかという気はいたしております。   以上です。 ● どうぞ,○○幹事。 ● 今の○○幹事と同じようなことなんですけれども,民事訴訟制度,やはりほかの制度とのバランスということを考える必要があるんじゃないかということです。これ,それぞれ違うと思うんですけれども,ビデオリンクについては,もちろん民事訴訟は先ほど御紹介があったようにテレビ会議システムという制度をもう既に持っていますので,やはり刑事とはそもそも前提がかなり違うような感じがいたしておりまして,テレビ会議システムというのは,基本的には遠隔地等に証人等がいれば,それは裁判所,面前でなくていいという,基本的にはそういう制度だとすれば,ただ遠くに住んでいればそれでいいということなのだとすれば,ここでそんなにぎりぎりビデオリンクの範囲を制限していくということが刑事訴訟法のように必要なのかどうかということは,バランス上問題にする余地はあるのではないかという感じはしますし,今,遮へい等の関係につきましても,○○幹事が言われたように人事訴訟法でそのような措置が入り,さらに先般の改正で特許法等についても一定の範囲で公開停止という措置が入ったわけですね。これはまさに,特許はもちろん重要なものだとは思いますけれども,あくまでも経済上の利害関係であるような訴訟類型にあったとしても,その公開制限というのは民事訴訟においては認められているということを考えますと,そういう被害者の保護という,今,非常に重要な保護法益とされているものを保護するために,どういうふうに考えていくのかということはあると思いますので,やはりその点,○○委員が先ほど言われたことだと思いますが,刑事訴訟とは違った民事訴訟の特質,全体のバランスの中で考えていく必要があるのではないかという意見です。 ● どうぞ,○○委員。 ● 2に関係するんですが,全体をぶち壊してしまって申しわけないんですが,現行法でも運用でやっているということは,現行法で適法だということを前提にしますと,これで2で規定することの意味なんですが,ほかではできなくなるというような規定になるのか,それとも,これは規定するけれども,ほかは運用でできるという規定になるのか。私は,これは解釈論になるんでしょうが,運用の芽は残る。条文ができれば,もちろんその重みがあるんでしょうが,できなくなるわけではない。そこは,私はそういう頭で考えますというだけですが。 ● わかりました。そのあたりも,具体的にどういう制度でつくるかというところに大変密接に関係する問題だと思います。   どうぞ。 ● すみません。今,運用でもできるというお話もありましたけれども,確かに現段階でも民事訴訟を起こして,裁判長か裁判所がお決めになったのかはわかりませんけれども,現実問題に遮へい,ビデオリンク等が使われている場合もあるということを知ってはおりますけれども,今回のこの基本法ができたというところでは,やはり犯罪被害者が権利としてそれを持つということに大きな意味があると思いますので,やはりきちんとしたものとしてつくり上げていっていただきたいというふうに思います。 ● わかりました。   ただいまの御議論を前提にして,この3の各措置を認める手続の範囲からずっと,4の一般的手続のあり方,やや手続技術的な問題も多いとは思いますが,このあたりについては御発言ございませんか。   どうぞ,○○委員。 ● 今の御指摘のところとぴったり一致するかどうかはわかりませんが,今,○○委員のお話に関係するんですけれども,実は非常にそこが大変なところだなと。運用といいますか,一応根拠条文では裁判所,裁判官の一般的な訴訟指揮という包括的な規定ですから,そういう根拠があるわけで,それを運用というかどうかはあれですが,それで遮へいと付添いをできている。確かに今おっしゃられたとおり,それを権利として高めるというのは,やはりそのとおりだと思うんですね。それは正しいことなんです。問題は,その制度設計で,今までが148だったですかね。そういう裁判官の訴訟指揮権限という権限の中でやられたことを,実体要件を当てはめると,権利性に高めたはずが,今度は要件という縛りをつける分だけ,じゃ,一般的にそれ以外の訴訟指揮として遮へいや付添いができないのかという問題が,実はジレンマみたいなところがあるのかなと思いまして,そこはそれで残しておいて,さらに権利性を高めるという,かなり民訴法,民訴規則の技術的な問題にもかかわるんでしょうけれども,実はそこをよかれと思ったけれども,逆に制約したような結果になるのは余りよくないなと。そうなると,勢い,だったらいっそのことビデオリンクとテレビ会議はもう既にあるんだから,遠隔地という要件はありますけれども,それをちょっとこっち側に,ビデオリンクだけもっと制度設計を被害者対策にやれば,思いつきですけれども,全体としてそういう考え方も実はあるんだろうなという感じがありまして,ですから,そこのところは技術的な問題にもかかわる問題ですけれども,従前の訴訟指揮権限を制約することなく,さらに権利性として高めていくという,また先ほどの委員の御発言があったようにするような制度設計がやはり必要なんだけれども,実際そういうふうにするのはどういうふうにしたらいいんだろうというところでございます。 ● 手続のあり方についての一般的な視点等,いかがでしょうか。申立権,決定主体,不服申立て,意見聴取等々ですが。   どうぞ,○○幹事。 ● 今のお話ですと,陳述者の申立権というのは認めるというのが何か当然のような形になってきているのではないかという気も……。つまり,裁量でできる範囲プラス,申立てがあればやらなきゃいけないというものと併存させるということが,恐らく○○委員がおっしゃった問題を解決する最大の一つの方法なんではないかなという気がするわけでして,そういう点では,陳述者の申立権というのを認め,それについて一定の要件を,申立権の発生要件を民事訴訟法に規定していくというのがよろしいのかなという印象を,今議論を伺っていて持ちました。   それから,決定主体についてはどうなんでしょうか。これは,その申立てについての決定というものと,裁量としてやる場合の決定主体というのを分けることが可能なのであれば,裁判所等にしてしまって,もう不服申立ては一切許さないという制度設計にしてはいかがか。つまり,先ほど○○幹事がおっしゃった人事訴訟法22条でも,不服申立ては特に規定せず,裁判所が決定主体となって不服申立ては独立上訴はできないという考え方をとっていますので,そこと平仄を合わせておいて,もう余りそこでもめないというような形にしておくというのが一つの考え方かなという気がいたしました。 ● どうぞ,○○幹事。 ● 今,○○幹事が言われた点ですが,まず前者については,もちろんそういう選択肢もあると思うんですけれども,私が,ちょっと調べたところでは,刑事訴訟でも,この制度ができる前の段階で,下級審で遮へい措置というのが訴訟指揮権に基づいてできるかどうかという議論になって,それを認めた裁判例というのがあったように承知しています。そういう意味では,ですから,刑事訴訟でも訴訟指揮でも一応できるということになっていたのを,この法律で規定したということかなと思うんですけれども,しかし,先ほど御紹介があったように申立権は認めていないわけなので,必ずしも申立権までは認めなくても,○○委員が提起された問題については,回答としてはそういう回答もあり得るのかなと思います。それは刑事訴訟とは違って,刑事訴訟の場合は申立権が認められていないという前提だとすると,刑事と違える合理的な説明なり必要性なりということがあるのかどうかということが問題になるのかなと思いました。   それから,不服申立てにつきましては,私は,今,○○幹事が言われたことに基本的には賛成で,公開停止のところは非常に大きな憲法上の問題を抱えるわけなので,たしか民事・人事訴訟法部会でも議論をしたと思うんですけれども,最終的には特別抗告ができるかどうかは議論がやや分かれて,解釈に委ねるというような結論になったのではないかと思います。これは憲法上の問題がかかわるので,そこはなお議論が残るということだったのだろうと思いますが,ここは遮へいについても憲法上の問題まではないということの理解だろうと,こう思いますので,決定主体を裁判所としても,その抗告等を認めるということまではないのかなというふうな印象を持っています。 ● どうぞ,○○委員。 ● 決定主体を裁判所とした場合,先ほどの議論と関係するんですけれども,そうすると148条が,裁判長が訴訟指揮権を持つと。その148条で裁判長の訴訟指揮権で,現状付添いと遮へいをやっているというようなところが,今度は,もしこの制度設計で犯罪被害者については裁判所だということになったときの整合性というんですかね。もちろん,そうするとまたさっきの議論の入り口のところに入って,事案の範囲という問題なんですけれども,では,これは,その場合に決めるのは裁判所なのか。当該事案について遮へいなり付添いを決めるのは裁判所が決めるのか,裁判長が決めるのかという,そういう迷いという場面も出てくるのかなという感じを,その入り口論のところの制度設計にもよりますけれども,そこのところが実は非常にまだ整理できないというか,難しいところかなと。裁判長というふうに同じくくりにしておけば,それを明文化したものだというふうにできるけれども,逆に今度は先ほど言った議論に戻りまして,従前,その148条という包括・一般的な権限条項でできたことが,かえって要件というたががはめられるという意味では制約してしまうのかなという感じがあって,どっちも結構難しい問題だなという感じはしました。   それから,申立権については,ちょっと誤解されたかもしれませんけれども,イメージとしては,やはり申立てをしたからといって,裁判所はそれに全部拘束されるというのはやはりうまくないだろうと。そういう意味では,やはり最終的にそれを決定するのは裁判所で,そういう意味では申立権というか,職権を促すという方に,むしろ個人的にはそっちの方に近いようなイメージは持っています。ただ,そういうふうな制度設計をより具体的にすることによって,やはり権利性という意味のところは高まってくるのかなという意味でございます。言われたら,裁判所がどうあれそれが通ってしまうということでは,かえって適切じゃないとは思っています。   以上です。 ● どうぞ,○○幹事。 ● 申立権云々というのは,最初の目的のところに恐らくリンクする問題だと思うんですね。つまり,この陳述者の権利性を強めていくんだというのは,恐らく①の方向だとそういうふうになる。②の方ですと,むしろ裁判所が事案の適正な解決のために適当と認める処分を行うという範疇で,訴訟指揮とより近いところに入ってくると思うんですね。ですから,①,②は同じようだけれども,やはり違っているんではないか。①であれば,やはり申立権という,本来職権発動を促すという意味の申立てではなくて,より強い権利性を持った申立権を認めるという方向に動くのではないでしょうか。ですから,それを二者択一ととらえるか,それとも裁量でできる部分は②でカバーし,片方で①のところは権利性を持って陳述者に申立権を与えるという,こういう二重構造というのも十分ある制度設計だろうと思いまして,先ほど申し上げたような次第です。 ● どうぞ,○○幹事。 ● ○○委員がおっしゃったことに関してですが,これは言わずもがなのことではありますが,○○委員の御指摘をどう受けとめるかというのは,この第2の2のところで,その要件をどのように仕込むかということ当然リンクする話だと思います。例えば実体的要件と注に書いている発想を仮にとったとして,そこで適切な範囲がすべてカバーできるような,過不足なくカバーできるような要件が仮にうまく仕組めるのであれば,当然その要件から漏れたものは,反対に許されない違法なものになるということにもなるのだと思います。現在でも裁判長の訴訟指揮等で行われていることですけれども,それはもちろん適切な事案について適切な形で行われているんだろうと思いますから,当然,新たにつくる要件はそういったものを取り込むというか,包含する形でつくられなければいけないし,それがつくられるのであれば,それは現在の実務と特に反する,それを否定するということにはならないということなので,そこはやはり法制度としては,その要件がそういうふうに本当につくれるかどうかということ自体は大変な問題でしょうけれども,そう考えるべきではないかと思います。 ● そろそろ休憩をとりたいと思いますが,この第1,第2に関して何か御発言があれば。   どうぞ,○○幹事。 ● ちょっと感想めいたところにはなってしまいますけれども,○○委員がおっしゃられましたように,今回のこの制度をつくることによって,従来のある種運用ないし裁量的にできたところが一切否定されるということになりますと,今回の制度の範囲を相当きちんと吟味した上でかっちりしたものをつくらなければならないということになりますし,逆にそうしてつくってしまいますと,実務的には非常に動きがとりにくいという感覚になるんではないのかなという気がしております。やはり申立権を明確にするとなりますと,例えば要件も非常にがちっとしたものをつくらなければならないし,さらに不服申立てまでというような話になりますと,それこそそれについての相手方からの反対ですとか,そういったことによって手続自体がかなり遅延するというようなおそれもありまして,逆に犯罪被害者の方の保護という観点からしますと後退するおそれもあるような気がいたしますので,できる限り柔軟な運用ができるような規定にしていただき,かつ,ある意味では規定から漏れるような中でも,従来の解釈によって多少は生かせる余地が残るようなものにしていただけると,大変幸いだなと思っております。   その意味では,先ほどもちょっと御指摘がありましたんですが,例えば今の民事訴訟法の148条の裁判長の訴訟指揮の場合には,民事訴訟法の150条で,異議があった場合には,裁判所が事後的にその異議についての判断をするという2段階構造をとっておりますので,例えばこれは非常に今の思いつきなんですけれども,今回つくる制度は裁判所が決定する特定の要件の場合に,ある種訴訟指揮的なものの一部を決定で裁判所が先行的に行うような制度として位置づけた上で,そこでうまくカバーし切れないもの,あるいは漏れたものについては,従来どおりの裁判長の訴訟指揮の148条から入って,最終的には150条の異議によって裁判所がその適否について判断するというような,2段階のといいますか,ツートラックの制度だというような説明がもしうまくつけられるのであれば,そういった余地も残していただけるのではないかと思いますので,学者の先生方にもぜひいいお知恵を出していただければと思っております。 ● よくわかりました。   どうぞ,○○幹事。 ● 考えが練れているというわけではございませんけれども,先ほどの,現行法のもとでも運用でやれるというところの中で制度をどういうふうにつくっていくかという御指摘は,まさにそのとおりだなというところで,ちょっとよくわからないところがありますのは,今回の措置の中で,多分従前から運用上行われているのは遮へいと付添いの関係だと思うんですけれども,では,ビデオリンクは運用上やれるのかということになりますと,ここはまたちょっと違った考慮が必要になるのかなと。ではどう考えればいいのかなというところについては,ちょっと私も余り考え方は整理されておりません。   以上です。 ● それじゃ,また後で特に御発言があればもう一度戻りますが,一応ここで区切って,休憩したいと存じます。            (休     憩) ● それでは,再開いたします。   引き続きまして,第3以降について事務当局からの説明をお願いします。 ● そうしましたら,部会資料の4ページでございますが,第3,各措置の要件,内容についての論点でございます。各措置,3つの措置それぞれに固有の問題点があるかどうかという点でございます。   まず付添いでございますけれども,付添いにつきましては,現時点では私どもの方では特に特出ししての固有な論点は挙げておりません。一般的に要件,あるいは措置の内容等について,何らかの論点があるかどうか,御意見があれば伺いたいという趣旨でございます。ただ,そういった実体的な要件につきましては,先ほどの資料の第2の2のところで注の問題点はあろうかと思います。   それから,2番目が遮へいでございます。アのところは今申し上げましたことと同じ,同様の趣旨でございます。   次にイの問題でございますけれども,本人訴訟,正確には本人しか出頭していない場合の扱いをどうするかという点でございます。刑事訴訟法の規定につきましては,先ほど御説明したとおりでございまして,被告人から見えなくなるようなつい立てにつきましては弁護人が出頭している場合に限られると,そういうような限定がございます。それでは,民事の場合に,例えば訴訟代理人がいない,本人しか出頭していないというような場合でもつい立てを立てることを認めるかどうかというのが一つの論点かと思います。一方で,そういう本人しかいないというのは,逆に言いますと,証人の側から見ますと精神的な圧迫をより強く覚える場面というふうに考えられますので,非常に保護の必要性は高いとも考えられます。他方で,やはり当事者の尋問権,尋問する権利というものの保障ということをどう考えるか。そういった双方の要請をどう考えるのかという点が問題になろうかと思います。   なお,ちなみに,刑事の場合には被告人の審問権は,これは憲法上の権利として保障されております。具体的には参考資料の10ページでございます。10ページの一番最後に注として,日本国憲法第37条という規定を掲げておりますけれども,ここの第2項に「刑事被告人は,すべての証人に対して審問をする機会を充分に与へられ」というようなことがございます。このように,刑事の場合には憲法上の権利として保障されておりますけれども,民事の場合には特にそのような憲法上の規定はございません。そのようなことがここの議論に絡んでくることも考えられます。   次に,3番目でございますが,ビデオリンクでございます。ビデオリンクのアにつきましては,今までの1と同じような趣旨でございます。   続きまして,イの実体的要件に関する特則の要否ということでございますけれども,参考資料で申し上げますと6ページから7ページにかけて規定がございますので,ごらんいただければと思います。まず,7ページの1号,2号でございますが,1号が性犯罪の被害者,それから2号はこれに類似する犯罪の被害者でございますけれども,いわばこういう犯罪の被害者の方は3号の要件に該当すると扱うというふうに,同じようなことになっているわけでございます。   それでは,民事訴訟の場合にはどうか。仮に何らかの実体的な要件を設ける場合に,1号,2号のような規定を民事訴訟法にも置くかどうかという点が一つの論点になろうかと思います。これにつきましては,恐らく一番最初の先ほど御議論いただきました第2の2で,事案の限定をどうするのかといったようなこととも関係してくるのではないかと思われます。特にそういった,仮に事案の限定をしないような場合に,このような犯罪類型を掲げる規定を設けるということについてどう考えるかということでございます。   それから,ウの陳述者の在席する場所でございますけれども,刑事の場合には,先ほど見ましたとおり同一構内に限られております。民事の場合には,既に遠隔地の場合には,ほかの裁判所とつないでテレビモニターを介して尋問することが可能ということになっております。そうしますと,民事訴訟の場合に被害者等の方が裁判官等が在席する場所のところまで行くと,そのように限る,限定する必要があるのか。例えば近くの裁判所に出頭するというようなことも認めるのかどうかということも一つの論点かと思われます。   なお,鑑定人でございますけれども,注の1にございますが,鑑定人につきましては,裁判所が相当と認める場所に出頭させてすることも認めております。これは,例えばお医者さんの場合には,勤務先の病院などにもうテレビ会議システムが導入されているといったような場面もございますので,「相当と認める場所」というようなものが入っているわけでございます。   なお,注の2でございますけれども,仮にこのような出頭すべき場所について何らかの規定を設ける場合,それを法律で規定すべきなのか,それとも規則で規定すべきなのかといったような点もございます。現在,テレビ会議システムによる尋問につきましては,民事訴訟規則の第123条第1項という規定がございます。参考資料で申し上げますと3ページの規則の第123条のところでございます。「当事者を受訴裁判所に出頭させ,証人を当該尋問に必要な装置の設置された他の裁判所に出頭させ」といいますように,どこに出頭するかということは,これは規則で規定がされているという状況でございます。   それから,資料の1に戻りまして,次にエの尋問の録画でございます。刑事で尋問の録画が認められております趣旨は,先ほど御説明を申し上げたとおりでございます。もう少し具体的に申し上げますと,例えば刑事で最初の法廷で証人尋問を受ける。その場合の証人尋問調書でございますけれども,刑事訴訟法の321条の1項1号の書面に該当いたします。参考条文の9ページの下のところにございます。その被告人以外の者の供述を録取した書面でございまして,裁判官の面前における供述を録取した書面に該当するわけでございます。これにつきましては,特に規定を設けませんと,ここに書かれておりますような要件,これが満たさないと,別の被告人の手続では証拠とすることはできないということになっております。したがいまして,そうなりますと,もう一度法廷にお呼びして尋問をするということになりますけれども,それでは非常に酷であるということで,今回,この刑事訴訟法の改正におきましてビデオ録画を認めて,そのビデオ録画したものについて,それについて特に証拠能力を認めるという特別の規定を置いたものでございます。それが321条の2の規定でございます。刑事訴訟法のこのビデオ録画の規定には,このような刑事訴訟特有の証拠能力の制限という背景があるわけでございます。これに対しまして民事の場合には,御承知のとおり証拠能力の制限はございません。したがいまして,ほかの法廷で行われました証人尋問の調書は,別の民事裁判の手続におきまして書証として証拠になるわけでございます。こういったような民事と刑事との違いというものをどのように考えるのかというのがここでの論点かと思われます。   最後が第4でございます。第4につきましては,以上,第1から第3まで,我々事務当局の方で現時点で検討すべき論点としてピックアップさせていただきましたけれども,ほかに検討すべき論点があるかどうかについて御意見を伺いたいというのが第1点でございます。   それから,2点目でございますが,今,犯罪被害者等基本計画におきましては,刑事訴訟法に規定があります3つの措置を民事訴訟法上導入するということが書かれておりますけれども,こういった措置以外に民事訴訟法の改正事項として検討すべき事項があるかどうかという点について,御意見を伺いたいというものでございます。   例えばでございますけれども,注に,現在,犯罪被害者等基本計画に基づきまして刑事手続に関して検討されている事項がございます。それは,ここに書いてあります被害者情報の保護の制度でございます。具体的には,ここの①にありますような,例えば起訴状の朗読等の場面における保護,それから,②にありますような証拠開示の際の保護というものでございます。民事には現在こういったような規定はないわけでございますけれども,刑事訴訟法には,例えば②でございますが,同じような規定が既にございます。これは参考資料1の8ページをごらんいただきたいんですが,299条の2という規定がございます。これは,いわゆるお礼参りのおそれがあると,こういう場合の配慮を求めるといったような趣旨の規定でございます。ただ,この規定では,この299条の2でございますけれども,被告人はこの配慮を求める対象の外,対象外でございます。配慮すべき者は検察官と弁護人になっております。弁護人から被告人の間,この間についても配慮が求められるということになっております。例えば1つ,民事の訴訟代理人と本人の関係,それと刑事の弁護人と被告人との関係に,いろいろ差があるわけでございますけれども,そういった差などがこの論点,この点につきましても関係してくるのではないかとも思われるところでございます。   以上,第3と第4の御説明でございます。 ● それでは,まず第3の1,付添い及び2,遮へいについて御意見をいただいて,その後で第3の3,ビデオリンクについての各事項について議論いただき,さらに第4について議論いただくと,こういう順番でお願いしたいと思います。   まず,1の付添い及び2の遮へいに関して御発言をお願いいたします。   どうぞ,○○委員。 ● 先ほど申し上げたことの繰り返しになるかもしれませんが,やはり現行でも裁判長の訴訟指揮権限でできている148条を根拠としたことが,余り要件的に厳しくやってしまうこととの整合性という先ほど来の論点がここに出てくるかと思うんですが,そもそも先ほどの民事訴訟という制度上,要件としては書くものの,基本的には裁判所ないし裁判長の権限というところを広く認める形で,やはりここのところは刑訴独特の厳格な手続というところがあるんだろうと思われますので,全く刑訴が書いてあるようなところとパラレルにという考え方はしなくていいのかなという感じはします。   それから,先ほどもありましたとおり,やはり代理人が出頭していないというのは,例えば原告,被告で言えば犯罪被害者,例えば性的被害者の女性が加害者を相手に民事の法廷で相まみえると,そういう場面をちょっと考えれば要保護性は非常に高く,この遮へいはより一層保護する必要があるのではないだろうかという感じがします。   以上です。 ● この遮へいの本人訴訟の場合というのは,今,○○委員の御発言がございましたが,例えば被害者が加害者に対して損害賠償請求訴訟をしている,被害者の当事者本人尋問のような場面になったときに,加害者の被告の方は弁護士代理人がいない,その被告が自分で反対尋問というか,当事者に対する尋問をすると,そういう場面を想定すればよろしいわけですね。 ● これを刑事とパラレルに考えると,やはり被害者,原告自身の保護にならないということを言いたいわけでございます。 ● いかがでしょうか。   どうぞ,○○幹事。 ● 確認なんですが,今,部会長がおっしゃったような事案を想定した場合ですが,遮へいの是非自体はこれからの議論ですけれども,声の方ですね。何というか,遮へいしていても,加害者が尋問してやりとりすると,声とかでわかっちゃ嫌だとかいうケースがどのぐらいあるのか知りませんけれども,そういうときに,技術的には音声を変えることはできるんですけれども,そういうことまで実務の場でニーズがないのかとか,検討されることがあるのか。一応それだけちょっと確認したいんですけれども。 ● それはいかがでしょうか。これ,ちょっと裁判所の方のだれかに御発言いただく以外にないんですけれども。 ● ニーズがあるかと言われると,正直申しましてよくわからないんですけれども,恐らく犯罪被害者の方の中で,声を聞かれることすら耐えられないという程度の方が仮に本当にいらっしゃったとしたときには,そもそも多分尋問という方式になかなかなじみにくいと思いますので,陳述書を出していただくなり,あるいは,今,民事訴訟法である書面による尋問というような方法をとるなり,何らか声を聞かせなくても済むような別の手法で実務的には何とか対処しようと考えるのではないかと思います。ただ,今の○○幹事からの御指摘で,仮にそういうものを制度としてつくれるかどうかということを御検討されるということであれば,また……。恐らく本人に聞かせないで尋問をすると,やはり反対尋問権の保障の問題とかがございますので,制度としてはそもそもかなり難しいのではないかと思いますので,先ほど申しましたような実務的な工夫でうまくやっていくということが現実的なのかなという気がいたします。 ● ありがとうございました。   ほかの方,いかがでしょうか。   どうぞ,○○委員。 ● 付添いとか遮へいの問題ですが,運用をなるべく制限しないようにという御趣旨だろうと思うんですが,この条文を見た限りでは,刑事訴訟法の条文はそんなに悪くはないような気がするので,だれの意見を聞くかというところは,それは修正せんといかんとは思いますけれども,そこで立ててある要件そのものは,今の裁判長なりの判断でも同じようなことを考えておるのではないのか,もしそこが違う,もっと緩いとかいうことであれば,そこをどうせ一回調べてもらわんといかんと思いますが,そこのところをお調べいただいて,本当にずれているのかどうかというのも結構,これは裁判官の裁量でもそれなりの要件を考えておられるんじゃないのか,それに従って運用されているんじゃないかという気がするんですが。 ● ありがとうございました。   どうぞ,○○委員。 ● 細かい話なんですが,本人訴訟の場合との関係について,純粋な本人訴訟だと,なかなか反対尋問権の保障で証人尋問としてやる限りは難しいというんですが,代理人がついている訴訟の場合に,確かにその本人との間では遮へいするということを考えられると思うんですが,その場合に,本人が尋問したいというようなことを述べた場合にどうするのか。刑事の場合は,恐らく弁護人と被告人とがかなり違うので,被告人が尋問することは基本的にないのでしょうからいいんですが,民事の場合はそういう規律は特にないと思うので,それももちろん訴訟指揮で,代理人がいれば本人の尋問は制限するということは可能でしょうけれども,何らかのことを考えておく必要があるのではないかと,こういうことです。 ● どうぞ,○○幹事。 ● 私も,○○委員がおっしゃったように,刑事訴訟法の要件の決め方はよくできていると思います。これを見ると付添いの要件があり,それから遮へいの場合は被告人からの遮へいと傍聴人からの遮へいとを区別してつくってあって,この要件もこれでいいと思います。ビデオリンクの方を見ると,これはむしろ被告人の遮へいと同じ要件になっていて厳しいですね。しかも定型的な類型として犯罪を1号,2号と決めて,3号で漠と規定しているということですが,むしろビデオリンクを刑事訴訟が被告人からの遮へいと同じようにしたのは,公開法廷に証人が来ないということをどこまで許せるかという,その刑事訴訟特有の問題であったがためにこうなったのかなと思われますので,民事訴訟法は既にテレビ会議システムでやっているわけですし,陳述書を使いながら,場合によってはすべて陳述させないでやるということもやっているわけですから,ビデオリンクというところは,むしろ157条の3の2項,つまり傍聴人からの遮へいの要件と同じ程度でよいのかなという,一般的に傍聴人からの遮へい要件と同じでいいのかなと考えます。 ● ○○委員に先ほど発言を求められましたね。どうぞ。 ● 今の○○委員の話で結構でございます。ありがとうございます。 ● よろしいですか。わかりました。   どうぞ,○○委員。 ● 結局は杞憂であり却下されるような論点と自分でも思っています。民事の場合には自称被害者,訴訟マニアというのがあり得るわけですね。先ほど○○委員からも性的被害者というような話が出ましたが,それは刑事でも相当と認めるということが何かあって,うまくいくんだろうと思いますが,立法するときに,やはり民事はそういうこともちょっと頭に入れておかなきゃいかんということだけ。 ● わかりました。どうぞ。 ● 弁護士会でも,そういういろいろな人が出てくるだろうという意見はありまして,結局それは前の方のどういう場合に,どの手続でこれを入れるかという,そのときの第2の2のところに戻るのかなという気がしまして,それはもう全然おっしゃるとおりだと思います。 ● そうしましたら,3のビデオリンクに関するア,イ,ウ,エ,この各項目いずれでも結構ですが,いかがでしょうか。先ほどイに関しては○○幹事から御発言がございましたが,その点でも,あるいはほかの点でも結構です。   先ほど事務当局から,例えばエについては,刑訴ではいろいろどういう証拠を使えるとか使えないとかいう規律が厳しいので,こういうものを設ける必要があるけれども,民事については果たして同じことが言えるだろうかという問題の提起がございましたが,そのあたり,いかがでしょうか。   では,どうぞ。○○委員からお願いします。 ● 今,部会長の御発言のあったところから申し上げますと,これは証拠能力の先ほどの御説明がありましたとおり,制限がある,なしという民事と刑事の違いもありまして,これはビデオ録画までされる,残るんだという,今度は逆に被害者の立場を考えると,そこまでする必要はないし,それがなかったとしても調書だけで十分証拠ができますので,これは要らないのではないかなという感じがします。それから,民事訴訟で同一の被害者が繰り返し証言するという場面は,多分そうはないだろうという感じもいたしますし,そういう意味では特段必要はないのではないか。これについては刑事と民事と分けていいのではないかなという気がします。   それから,先ほどの要件の問題は,先ほど○○幹事から出ておりますとおり,遮へいの被告人との要件がかなり厳しく書いてあって,それがこのビデオリンクの1項の3号のバスケットにたしかなっていたかと思うんですが,傍聴者要件という先ほどの○○幹事のところでくくることができれば,1号,2号は,多分バスケットの端的な例と,代表的な例という意味で性犯罪の被害者等ですから,これは民事の世界ではここまで具体的にやらなくてもいいのではないかという感じがいたします。   あと,テレビ会議システムで,これは遠隔地の場合ですが,他の裁判所等に出頭させるまではいいかもしれませんが,鑑定人で認められている,相当と認める場所までは,やはり裁判所というくくりはしておいた方がいいのではなかろうかという感じがいたします。 ● どうぞ,○○幹事。 ● このエの録画の関係ですが,ちょっと今の○○委員の御意見とは少し違うんですけれども,私は,この刑訴の規定は被害者保護のためにある規定,何度も呼ばれないというか,ですので,今,○○委員が被害者保護の観点から要らないんじゃないかとおっしゃいましたけれども,私は被害者保護の観点からは何がしかあってもいいと思います。ただし,刑訴と違って証拠能力の問題がありませんから,厳密に言えば規定がなくても運用でやれるのかもしれませんが,ただ,行為規範ということになるかもしれませんけれども,私は,場合によっては規則の方にこの種の規定を置くということも考えられるのかなという気はしております。法律事項とまでする必要があるかどうかという趣旨です。 ● わかりました。   いかがでしょうか。今の件でも結構です。   どうぞ,○○幹事。 ● 質問なんですが,どうもこの規定の意味というのがもう一つよく十分理解できていないんですが,今,○○幹事は運用でできるというふうにおっしゃいました。民事訴訟規則上,その証人の証言等をビデオで記録するということはできるんじゃないかと思うんですけれども,文字どおり刑事訴訟法157条の4の第2項の規定を民事訴訟で置く意味というのは,要件とか何か,どこがどう違うか,ちょっと整理できていないので,そこをちょっとお教えをいただければと思うんですけれども。 ● 民事訴訟規則では,いわば調書の作成にかえて録音テープですとかビデオテープに録画することができるというような規定はございますけれども,具体的に,これは参考資料で挙げていなかったですね。失礼しました。規則の68条でございますが,こちらの方は「裁判所書記官は」ということでございまして,裁判所書記官が主体となった規定でございます。「裁判所書記官は……裁判長の許可があったときは,証人,当事者本人又は鑑定人……の陳述を録音テープ又はビデオテープ……に記録し,これをもって調書の記載に代えることができる」と,こういう規定でございます。ですから,実際問題として具体的なケースで,裁判所書記官が裁判長の許可を得ればビデオテープに残るわけでございますけれども,ただ,その趣旨がかなり違うものでございますので,この68条のこの規則があるから,それでできると,そういうふうにストレートに言うのは難しいかなという気もしております。ですから,何らかのこういう観点からの規定で,ビデオテープに残すことができるという規定がありませんと,恐らく運用上,例えば今でも調書をつくる際に,まさに裁判所書記官の,いわば今後自分が調書をつくる際の参考としてテープレコーダーを回すというのは一般的にやっておりますけれども,それが恐らく正式な記録として残るということにはならないのではないかと思います。ですから,そういうものとして残す,しかもこの規則の68条の趣旨とは違って,犯罪被害者の保護のための規定としてつくる,それが「裁判所書記官が」という主語でいいのかどうかというのは,少し問題があるでしょうから,そういうための新しい何らかの規律を設けるかどうかというのがここでの問題かなと思います。 ● よろしいですか。   どうぞ,○○委員。 ● 今のことで質問なんですが,もしもこれが刑訴と同じようにビデオ録画できるとすると,157条の4の3項のように,これは記録媒体も記録の一部ということになるわけですよね,やはり。 ● ここはどういうふうにするかは,またいろいろと政策的なことがあるのかもしれません。現実としては,刑事の場合にはビデオも撮るし,書記官が調書を作成すると,両方でございます。 ● 後でそれをまた閲覧なんか--それを閲覧というのはどういうふうにするのか。そういう形で残すのも,先ほどの被害者保護という観点からすると,調書の一部にならない方がいいんじゃないかなという感じがしたものですから。 ● どうぞ,○○幹事。 ● 刑事訴訟法の方では,このビデオに残した場合に,それは刑事記録としてそのビデオを被告人なりが閲覧可能になってしまうのか。ちょっと,そのケースの方の運用がよくわからなかったものですから。 ● 関係官の○○の方から若干御説明いたします。   刑事においてビデオテープに撮った場合ですと,刑訴法40条2項がございまして,157条の4第3項に規定する記録媒体は謄写することはできないということになっており,謄写の対象とはされておりません。 ● 謄写はできないんですけれども,閲覧はできるんですか。 ● 恐らく一般的に可能で,禁止規定がないからできるんじゃないかなとは思いますけれども。 ● 被告人に顔を見られたくないという犯罪被害者は,ちょっとここに言ってみれば穴があるような気がするんです。もちろん同意をすることが条件になっているから,それはそれでいいんでしょうね。 ● 仮に,この民事訴訟法で何らかの規定を設けてビデオ録画をして,そのビデオ録画を,例えば被害者が当事者となって民事訴訟をやるというような場面を考えると,どういう形で利用される場面というのを典型的には想定したらいいんでしょうかね。 ● 今の刑事でつくったビデオを現状で民事で使う場合。 ● こういう規定を設けるということを仮に考えたときに,民事訴訟でのそういうビデオ録画が利用される場面のようなものを少し説明していただいた方が議論がしやすいかと思ったものですから。 ● 場面といたしましては,刑事でも結局同じ犯罪被害を繰り返ししゃべらなくてはいけないということでございます。民事の場合に,例えば複数の加害者に対する損害賠償を起こして,通常はそれは弁論が併合されるなりするのかもしれませんけれども,仮にそれが何らかの事情でばらばらの訴えになっていたというような場合には,片方でつくられたビデオテープというものを証拠として,そのままビデオテープで出す。 ● ということは,そのビデオテープを一たん,例えば原告の被害者に渡して,その被害者がそのビデオテープを別の加害者に対する訴訟の証拠として出すと,そういう場面ですね。 ● そこは恐らく民事の場合にはビデオの複製の交付みたいなものの請求を認めるということが必要になるかもしれません。 ● わかりました。   どうぞ,○○幹事。 ● 確認みたいなことになるんですが,先ほど来から,この例の問いかけの趣旨ですけれども,これ自体は記録ができる規定を置くかということですけれども,その目的は,その当該事件での記録にあるんではなくて,他の事件で証人尋問にかえるというところにあるわけですよね。ただ,もちろん民事の場合ですから証拠能力の制限はありませんから,他の事件で使えるという正面からの規定はもちろん必要ないし置かないでしょうけれども,趣旨はそっちにあるわけですよね。そうすると,先ほどの規則68条にしても,これは当該事件での記録の規定ですから,やはりちょっと趣旨が違うというか,ほかの事件に使うために録画できるという,行為規範か何かわかりませんけれども,そういう規定を置くかどうかという話で,そうすると,先ほど○○委員が調書でかえられるから要らないんじゃないかとかおっしゃいましたけれども,別の方の事件における手続で,そちらの被告というのは初めての事件なわけですね。そうすると,当然理論的には証拠の採否は裁判所が一応裁量で決められますから,厳密に証人を求める権利というのはないでしょうけれども,ただ,その事件では結局,最も重要な証人が直接証人尋問の対象にならずに,ビデオでかえられるということを想定するわけですよね。それは被害者保護のためにビデオまではいいと思いますけれども,調書となると,やはり直接主義の関係とか,いろいろなところからいって,常に調書があるからいいとか,そういう議論には何かなりにくいという気がするんですね。そういう意味で,他の事件に使うために記録ができるという,根拠規定ということじゃないかしれませんけれども,置いた方がいいんじゃないかという趣旨で申し上れば,それは法律事項まで民事の場合には必要かどうかということです。 ● ほかの委員,幹事の方,いかがでしょうか。   ウの点は何か御意見ございますか。刑訴との対比で限定をする必要があるのかないのか,そのあたり,いかがでしょう。○○幹事,いかがですか。 ● 経験はありませんけれども,私は,先ほど○○委員がおっしゃったような形で,民事の場合には既にテレビ会議システムがありますので,あえてその裁判所まで被害者の方に出てきていただくというほどの必要性はないかなと。ただ,鑑定人は,これは先ほど御紹介があったように,お医者さんとか特殊な場合を想定して,わざわざこういうことを置いたというので,証人はそこまでの必要はないのかなという感じがしますので,そういうことかなと。 ● そうすると,一応裁判所であることは,それが適切だけれども,その同一の裁判所であるというふうに限定する必要はないというのが,この点に関しては大体の御意見だというふうに承ってよろしいですか。特に何か,いやいや,必ずしもそうじゃないという御意見があれば。よろしいでしょうか。   どうぞ,○○幹事。 ● むしろ同趣旨の意見なんですけれども,裁判所側としましては鑑定人等と異なりまして,やはり証人等になりますと,例えば本人確認ですとか,そういった出頭の手続という意味でも,やはり他の裁判所を含むところまではよろしいかと思うんですが,さらに裁判所以外の場所でもいいということになりますと,ちょっといろいろ実務的には難しい場面も出てくるような気がいたしますので,ちょっとそこはまたよく,こちらも内部的には検討していきたいとは思いますけれども,私の第一感としましては,今皆さんがおっしゃられていたような,とりあえず他の裁判所まではというようなあたりが実務的にも比較的にもしやすいんじゃないかなという印象を持っております。 ● そういたしましたら,第4のその他についてはいかがでしょうか。先ほど事務当局から説明があったとおりですけれども,これ以外に検討すべき点があるか,あるいは注に掲げられている,このあたりについては,民事訴訟において何らかの検討をする必要があるのかどうか。この点はいかがでしょうか。--格別ございませんか。   注の②は,ややもうちょっときちんと詰めて考えないと難しい問題があるかもしれませんので,今後のさらに事務当局に検討していただく必要があるかもしれませんけれども,そのほかの点は格別の御意見はないというふうに承ってよろしいでしょうか。   どうぞ,○○委員。 ● ちょっと確認をさせてください。この中で,犯罪被害者の方の住所等が知られないようにということも,この民事訴訟の中に何らかの形では盛り込まれるということですか。でも,それはこれからの検討課題ということでしょうか。 ● 例えば,民事訴訟の場合,当事者の住所というものをどこまで開示するか,あるいは特に原告になった場合に訴状,訴えを提起する場合に,自分の住所をどこまできちんと書かなければいけないかという問題は,従来からある問題でございます。それにつきましては,実は最高裁判所の方でも,実情に応じて,また事案に応じて,その点については十分に保護が図れるように柔軟な扱いができますといったような立場をとられているというふうに承知しております。したがいまして,そういう問題について,今後何らかの検討が必要な点がありますれば,それは検討することになろうかと思いますけれども,とりあえずそういう住所の秘匿については,今はそういった運用がされておると理解しているところでございます。   ここの注に書かれております②というのは,いわば刑事の場合には,証拠の開示の際,こちらの方はこんな証拠を持っているんですよということを相手方に開示する際に,そこからまたさらに第三者の方にそういう情報が流れないようにする,そういうような制度を検討してはどうかということが基本計画に挙がっておりますので,特に具体的にこういった措置に類似するような措置を民事訴訟法何か検討する必要があるでしょうかということを,ここの注で書いてあるものでございます。委員が御指摘のとおり,住所等被害者の情報を民事訴訟法で保護すべきかという,もっと一般的な論点はございますけれども,それにつきましては,先ほど申し上げましたような運用上の手当てはされているところでございます。もちろん,それにつきましてももっと個別に,その点からこういうような制度,もっとこういうようなことをしなければいけないんじゃないかというような点がございますれば,こちらとしては検討することになるかと思いますけれども,もしそういうことがありましたら,広く御意見をいただきたいと思っております。 ● 実際に本人訴訟の場合,弁護士さんがいらっしゃる場合は弁護士事務所を連絡先にするということもよくあることなんですけれども,本人の場合,自分の住所は知られたくない,でも親にも内緒にしている,そういう相談があった場合,当センターとしても大変困るということもあるものですから,もしそのあたりで被害者の方が利用しやすいような何か制度ができればと思いましたので,ちょっと聞かせていただきました。 ● 裁判所の幹事の方,何か御発言はございますか。 ● 先ほど○○幹事から御紹介いただきましたように,御指摘のような場面において,かなり現住所--特に一番多い例としてよく伺いますのは,DV被害者の方が自宅から退避していらっしゃるときに,現在の居所を訴状に記載しなければならないというのでは,民事訴訟をそもそも提起することができないというようなところがございますので,今,○○委員からも御指摘がございましたように,多くの実務例としましては,代理人がつかれているときには弁護士さんの事務所とか,あるいは御相談されているDVセンターなどが書面等の受け取りをしてくれて引き継いでいただけるというようなところであれば,そういったところもある種,気付といいましょうか,連絡先ということで訴状に記載していただいて,訴訟提起自体は受け付けるというような柔軟な運用を多くの裁判所でもしておられるように伺っております。その辺のそういった柔軟な運用ができるということは,昨年度,私どもの方からも各地の裁判所の方に,一つの工夫例としてこういう例があるんだということを多くの裁判所に知っていただけるような連絡文書を発出したところでありますので,またそういった事案に応じて柔軟な対処を引き続きしていくように努力したいと思っております。 ● よろしいでしょうか。   どうぞ,○○委員。 ● 第4に関して,犯罪の被害者という場合に想定している場合で,さっきのビデオリンクの刑訴の場合には性犯罪被害者という,そういうイメージ,ですから,この犯罪の被害者という制度の立てつけを考える際に,どういう犯罪がどういうイメージでというところを前提にいろいろお話しされていると思うんですけれども,その想定される犯罪の被害者像によっては,随分制度のつくり方がイメージ,印象,ニュアンスが変わってくるのかなと。本当に要保護性の高い気の毒なケースから,犯罪が刑事とリンクしない場合には,言い方は悪いですけれども,えせ被害者的なところの濫用の防止策もあるのかという,非常に広くなってきてしまって,その辺のところの枠組み--そうすると,さっきの第2の問題に戻ってきてしまうんですが,それと,さらにそういう心理的な抑圧,加害者に会いたくないというだけじゃなくて,先ほど申し上げた,やはり抑圧の仕方が,恥ずかしいとか,本当にもう自分が忘れたいということだけではなくて,怖い人ですね,例えば実際に私がやっているのは,もう20年近く不法占有されていても明渡しができなかったという事件をやっていまして,何と時効の主張なんかをされているという信じられないような事件で,裁判官が「これ,何ですか」と言う,こういうのも現実にあるわけです。そういう場合に,裁判をやればすぐ勝てるのにと思うけれども,そういうところまで今回の枠組みは,もう一気にそこまでいくのか,さっきの第2の問題にかかってくるわけですけれども,それはもう来年の通常国会,正直言うともう間に合わないけれども,そういうところはもう今回は,可能であればその辺の大きな枠組み,そういう意味ではその他に入るかもしれませんが,御検討いただければと思います。 ● どうぞ,○○幹事。 ● 刑事訴訟法の場合,やはり訴因が基準になっているわけですよね。訴因のない民事訴訟法で犯罪を特定していく方が,私は時間がかかって大変だろうと思って,より一般的な要件を,刑事訴訟法もビデオリンクの1号,2号を除いては犯罪被害者に限定はしていないわけですね。ですから,そちらの要件で一般的な規定を置く方が,はるかに私は時間もかからずにできるのではないか。ただ,それでは政府の方針に合わないというのであれば,例示として犯罪被害者等が証人となるときとかいうような,何らかの例示をつけ加えることで対処して,あとはもう一般的な要件でやった方がやりやすいのではないか。つまり捜査も経ていない,一定の嫌疑があって訴因を検察官が提示しているということが刑事訴訟法の前提ですから,それとはおよそ手続構造の異なる民事訴訟法において犯罪被害者に特化した規定を置く方が私は難しいと,そう思いますけれども。 ● わかりました。   今回のこの審議事項が犯罪被害者等基本計画に示された考え方に基づいて成り立っているものであると,その前提は恐らく御異論のないところだと思いますが,それをもとにして,具体的にどういうふうな民事訴訟の特質を踏まえて制度化していくかというあたりについては,今日いろいろな観点から種々の事項について御意見をいただきました。やや予定の時間を若干過ぎておりますので,他に特に御発言がなければと思いますが,よろしいですか。本日の段階ではこのあたりで審議を終了したいと思いますが。 ● それでは,私の方から事務連絡でございますが,ちょっと1点ほど,先ほど刑事の場合のビデオの閲覧につきまして補足いたします。申しわけございません。 ● すみません。関係官の○○でございます。   先ほどのビデオに録画した場合の刑事訴訟法の取扱いの方でございますが,かなり厳格な規定が置かれております。まず,公判中におきましては,一般私人はもちろん閲覧権はございませんで,訴訟関係者がそのビデオを閲覧,謄写することはできるかという論点になるとと思います。弁護人と検察官はそのビデオを閲覧することはできますが,コピーすることは法律で禁止されております。刑訴法で明文の規定を設けておりますので,コピーをとることは許されません。問題は,刑事事件がそれで終了いたしまして確定した後はどうなるかとなると,これは,あとは刑事訴訟法53条の規定によりまして一般的な訴訟記録の閲覧の規律を受けることになりますが,そのときに,この当該ビデオが53条2項でいうところの一般の閲覧に適しないものに当たれば閲覧されないと,そういう規律になるということになると思われますので,一応御報告いたしておきます。 ● それでは,次回の予定でございますけれども,先ほどの開催予定のとおりでございます。11月24日の金曜日午後1時から,次回は午後5時まで時間をとっております。場所は本日と同じでございまして,この東京高等検察庁の第2会議室でございます。   今日,いろいろと御意見をちょうだいいたしましたので,私どもの方で今日いただきました御意見を踏まえまして,それぞれの論点につきまして,もし少し方向性が出せるものであれば,少し方向性を示した,次回の議論のたたき台を御準備させていただきたいと思っております。 ● それでは,本日の部会はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。また次回,御多忙のところで恐縮ですが,よろしく御出席方お願いいたします。 -了-