法制審議会戸籍法部会            第13回会議議事録 第1 日 時  平成18年11月21日(火) 自 午後1時30分                        至 午後4時47分 第2 場 所  法曹会館「富士の間」 第3 議 題  戸籍法の見直しに関する要綱案について 第4 議 事 (次のとおり)                議        事 ● それでは,定刻が参りましたので,法制審議会戸籍法部会第13回の会議を開会したいと思います。           (幹事の異動紹介省略) ● それでは,審議に入りたいと思いますが,最初に,配布資料について,事務当局からの説明をお願いいたします。 ● 本日の資料は席上配布になりましたが,「戸籍法の見直しに関する要綱案(案)」で,部会資料番号は42番でございます。 ● 本日は,配布資料の「戸籍法の見直しに関する要綱案(案)」,部会資料42について審議を行う予定ですけれども,まず,前回と前々回の審議の中でさらに議論が必要と思われる点が2点ございます。  1点目は,要綱案の第1の1の(2),第三者請求に関係しますが,中間試案の別紙1の(イ)に挙げられているbの,婚姻等の身分行為を確認するに当たり,相手方の戸籍の記載事項を確認する場合と,cの,財産的法律行為をする場合に当たり,相手方の法律要件の存否を確認する場合の取扱いです。2点目は,要綱案の第3,届書を持参した者の本人確認に関係しますが,届出人の実印が押印され,その印鑑証明書が添付されている場合の通知の要否です。これらの点と要綱案第1の1の(4)の弁護士等による請求について御審議をいただき,その後,要綱案について全般的な御意見を伺いたいと思いますので,よろしくお願いいたします。  それでは,要綱案の第1の1の(2)と中間試案の別紙の事例について,事務当局から御説明をお願いしたいと思います。 ● それでは,今日お配りした要綱案の第1の1の(2)の「第三者請求」のところに関連いたしまして,中間試案の別紙のところでつけておりました,戸籍の謄抄本等の交付請求をすることができる場合の例について御議論いただきたいと考えております。  御存じのとおり,第三者請求に関しましては,自己の権利を行使し又は義務を履行するために必要がある場合,それから,国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合,その他の戸籍の記載事項を確認するにつき正当な理由がある場合という形で,これは前回までの当部会での議論を踏まえてこのようにまとめさせていただいているものでございますが,これに関しまして中間試案のときに別紙で,まず,権利・権限行使に当たるかどうかということで,(ア)のところのd,e,それから,後段の,その他市町村長が相当な理由があると認める場合についてというところでb,cといったところの,合計四つぐらいの問題となる事例についてパブリック・コメントの結果を聞き,この部会でも御議論をいただいているところでございます。  dとeに関しましては,一つは,債権者が債務者の詐害行為を立証するため,債務者と財産の譲受人との親族関係があるかどうかを確認するというものでございました。それから,eというものは,結婚詐欺を理由とする損害賠償責任を追及しようとする者が,当初から自分と婚姻する意思がなかったということを立証するため,相手方が婚姻中であったかどうかを確認するというものでございました。この二つのいずれにつきましても共通しておりますのは,既に債権が存在していることを前提としているということです。詐害行為の取消しの場合は債権の対外的効力が問題となっているわけでございまして,既に債権が存在しているという前提でございます。それから,結婚詐欺の方も不法行為に基づく損害賠償責任というものが一応観念的には存在していて,その追及のために必要だということでございます。いずれもその権利実現のための間接事実の立証のために必要であるという位置づけでございますけれども,これにつきましてはパブコメでも意見が分かれましたが,どちらかというとこういったものについても含めて考えてもいいのではないかという意見の方がより説得的であり,ここの部会においてもこのdとeに関しては,前回,前々回の御議論におきまして,これを含めることについて余り異論は出されなかったのではないかと認識しております。  問題は,相当な理由があると認める場合の具体例ということで,婚姻等の身分行為をするに当たり,相手方の戸籍の記載事項を確認する場合,それと,財産的法律行為をするに当たり,相手方の法律要件の存否を確認する場合のb,cの二つでございます。この二つにつきましては,いずれも相手方との関係で具体的な権利が発生していないわけでございます。先に述べたd,eの事例は既に債権の存在が観念できますけれども,この二つの場合はこれから身分行為をする,あるいは,これから財産的な契約を結ぶということでございまして,厳密な意味で権利があるという評価はし難いのかなと,そうしますと正当な理由といったところで読むかどうかという問題が生じます。これに関しましてはパブコメでも意見が分かれまして,この部会でも意見が一致していないという状況でございますが,パブコメでこのような形で意見を聞きました以上,この部会としてこの二つの扱いをどうするかということは,合意が得られればそういう方向性で考えさせていただきたいと思いますし,合意が得られなければ部会で合意が得られなかったということで議事録に残していただいて,それを踏まえて立法するということになろうかと思います。  したがいまして,特に最後のbとcの二つにつきましてはどのように考えたらよいかと,今回の要綱案の関係で,権利を行使しに当たるのか,あるいは,正当な理由がある場合に含めて考えるのかといった点について御議論をいただければと考えております。  以上でございます。 ● それでは,ただいまの説明に関しまして,この婚姻等の身分行為をする場合と,財産的な法律行為をする場合に調べるということについて確認するという場合について,御意見をお願いいたします。  いかがでしょうか。  では,○○委員。 ● 私,個人的には,今,身分行為あるいは財産的な法律行為をするについて,先方が既婚であるか未婚であるかとか,あるいは,一定の年齢に達しているかどうかというようなことを調べるということについて,正当な理由・利益というのはあるのではないかと思っていますけれども,ただ,今回の場合には自己の権利を行使し又は義務を履行するために必要がある場合という①の縛りが既にかかっておりますので,これを前提にして考えたときに,そこに入るのかと言われると難しいかもしれないと,もし考えるのならば③のその他の方で考えるということになるのかなと思っております。  ただ,身分行為あるいは財産行為を行うについて知らなければならないことというか,知りたいことというのは,既婚であるかどうか,あるいは,年齢がどうであるか,生年月日がどうであるかといったような事柄に限られますので,その他の事柄についてまで戸籍の謄抄本の請求ができるとすることについては抵抗が大きいのではないかということもよく了解できます。ですから,私の持論は公開すべき事項について制限を設けるべきだという案でありますけれども,これはこの審議会で入れられそうにもありませんので,個人的には今のような意見を持っているということだけを改めて申し上げておきます。ですから,③で今の二つの点について読むのは相当でないというのが皆さんの御意見であれば,それはそれで結構なのかなと思います。  他方,先ほどの詐害行為取消権の行使ですとか,あるいは,損害賠償請求権の行使というのについて,確かに既に権利関係が発生しておりまして,それを行使するために必要があるかもしれないという事柄であるわけですけれども,必要なのか,必要でないのかは場合によるわけでありまして,既に権利が存在するということだけを理由に広く認めてよいのかということについては一抹の不安を覚えているということも意見としては述べておきます。 ● ほかの方はいかがですか。  ○○委員,どうぞ。 ● 先ほどの,財産的法律行為をするに当たり,相手方の戸籍の記載事項を確認する場合についてという場合なのですけれども,やはりこれについては未成年者自身の保護でもあり,取引の相手方の保護でもあり,いろいろな要請もあると思いますので,ここら辺については認められるべきであると。ただ,具体的にはまだ何も,ただそういうふうに書いてあればいいかどうかというのも問題かもしれませんので,そういうことはあり得るかもしれませんけれども,請求できないとされることについてはやはり問題があるのではないかと思います。  それから,婚姻等の身分行為というのは,これは一番濫用されやすいわけですから,ある意味では絶対取れないというのではなくて,例えば婚約中とか,何かそういう署名を出したら取れるとか,もしくは,戸籍ではなくてもその要件があるかなしかの行政証明というのも今出されると聞いておりますけれども,何らかの形で確認できるという制度にしていただきたいなという気持ちは持っております。 ● ほかの方はいかがでしょうか。  どうぞ。 ● ちょっと質問なのですけれども,ここの③について,市町村によってばらばらになったりとか,あるいは,逆に請求者の側で濫用されないようにというような意味で,制度として例えば法務省令とかで類型化されるとか,そういう予定はおありになるのでしょうか。そういう予定で考えてよいのかどうかお尋ねしたいと思います。 ● その点はできるだけ全国一律の扱いが望ましいとは考えておりますので,できるだけ細かい形で通達等で基準を示せればと考えておりますが,すべての場合を書き切るわけにはいきませんので,最後にはやはり市町村長の判断という余地が残るということでございます。したがいまして,ここで御議論いただいて,これは含める,これは含めるべきではないと言われれば,それは,法律上書くことは難しいと思いますけれども,規則あるいは通達レベルでこの場合は認められるべきだということで示すことは十分考えられるところだと思いますが。 ● ほかの方はいかがでしょうか。  ○○委員,お願いします。 ● ちょっと考えがまとまらないのですけれども,若干法律論ではないのかもしれないのですけれども,婚姻の相手方が戸籍謄本を交付請求できるということに非常に違和感を覚えまして,同じくこの婚姻の相手方と財産行為の相手方にこれからなろうとする者というのは,その意味では,まだ権利関係も義務の関係もない,これから法律関係に入ろうとしているという意味では同列ではあるのですけれども,どうもいわゆる一生身分を一緒にしようという相手方と一回こっきり,一回こっきりではないとしても,生活の一つの区切り部分だけを一緒にしようというのは変な言い方ですが,ここをどうも同列に論じるということに違和感を感じまして,婚姻の相手方について交付請求というのは私は非常に違和感を覚えます。  特に婚姻の相手方の場合ですと一番問題なのは,戸籍謄抄本を取る相手が見たいことの興味というか関心というのは既婚か未婚かとかということもあるのでしょうけれども,やはり本籍地ということがかなり重要な問題になって,戸籍謄抄本の交付請求をするかどうかということで今まで一番問題になってくることに引っかかってきますので,さっき○○委員がおっしゃいましたように,例えば婚姻の相手方とか財産行為の相手方ですとそういう交付請求書に書かせたらもう出すものは決まっていると,例えば年齢と婚姻障害がないかと,そこまでにするかというふうな,全部が全部一部だけ出せということではなく,こういう特に婚姻の相手方が知りたいという場合には,法律上ここまではあなたも知っていても当然でしょうぐらいまでに,何か定型的な形で情報が出せるという形にしておきませんとかなりずるずるになるような気がいたします。  以上でございます。 ● ○○幹事,どうぞ。 ● 今の結婚の場合だと,結婚する相手方の戸籍を婚姻届に添付するために取るというような事例も結構現場では出てきます。 ● 一方の配偶者が取らないで,もう一方がそれもやってしまうということですか。 ● お願いしますよというふうに頼まれたということで取りに来たという事例も結構あります。そういった場合,通常は委任状をつけてくださいというようなことでお願いをしているところですけれども。 ● ちょっと質問なのですけれども,戸籍謄本を取るときに,私たちは,大体,本籍を書いて,筆頭者を書いてという形で取るのですけれども,申請書の本籍地が中途半端というか不完全な記載で出すということはあるのでしょうか。 ● 中には忘れてしまったというような人もいますよね。ただ,戸籍の中で親族関係であるとかそういうことが確認できれば,それについては出す場合があります。ただ,第三者が来て,例えば最小行政区画までしか分からないというような場合についてはもう一回御確認くださいということでお断りするのが,そういう取扱いになると思います。 ● ですから,逆に,本籍地まで知っている婚姻の相手方という人が取ろうというときは,さっきおっしゃったように,婚姻届に添付するとか,そういう必要があってということが多いのでしょうか。 ● この辺は,ほかの戸籍の証明書だとか住民票の写しの交付請求だとか,そういったトータルなところから戸籍が分かってしまうとそれで請求できる,次につながる可能性がありますので,ほかのことも含めて必要以上の情報は出さないようにするというふうにしていかないと取られてしまう可能性があるかと思います。 ● それは今検討中の住民票の問題にも関係してきますね。 ● そうですね,そちらにも絡んでくる話だと思います。原則は,戸籍の表示は出さないというふうになっていますけれども,特別な事情がある場合については出すことができるとなっておりますので,そういったところから知れてしまうということが場合によってはあるかと思います。 ● そうすると,第三者が戸籍を請求してくる場合には,本籍地をきちんと書いて来る者について出すということなので,ある意味では本籍地がその人にもう知れているということが前提になるということですね。 ● ○○幹事に教えていただきたいのですけれども,今言った二つの事例を仮に含めると考えますと,これから結婚しようとする相手方の既婚・未婚を確認したい,あるいは,これから契約を結ぼうと思っている相手方の年齢を確認したい,あるいは,未成年であっても結婚をしていて成年擬制されていることを確認したいというようなことを言ってきた場合に,どの程度の疎明があったら受けるというような実務が想定されるかということなのですけれども。 ● 特に法律要件の場合につきましては,別にこれは戸籍を見なくても確認できる方法ですとか,特に年齢的なものであればそういう方法は可能だと思います。ただ,婚姻しているかどうかというのは住民票の場合だと制約が出てきます。ただ,契約の相手方ということであれば,相手に疎明させるということも必要なのではないかと思うのですよね,自分がやらなくても。というのはあるかと思います。  あとは婚姻の身分関係ということで,どうなのですかね,疎明資料を。婚約証明書と言ってもぴんときませんし。そういった意味では,先ほど行政証明というお話が出ましたけれども,婚姻要件具備証明書ですとか,そういった別の行政証明の対応というのも可能なのかなと思います。 ● bの場合は,婚姻障害があるかどうかだけではなくて,相手に子があるかとか,扶養すべき親族があるかとか,そういう点を調べたいという人もいるのではないかという議論が前のときにここであったと思うのですが,そういうのを証明してもらうことは可能なのですかね。 ● そういうことであれば,それこそ当事者同時での話し合いがあるのではないかと思いますけれどもね。どうなのでしょうか。 ● 本籍を明らかにして請求するといったときに,どの辺まであいまいでも可能なのですか,例えば地番が分からないとか。 ● 親族関係がある方だったら比較的その辺は,戸籍でもって確認できますから,正式なものを覚えていないというようなことはあり得るかと思うのですよね。ただ,だれか第三者が取りに来たというような場合については,正確に地番まで書いてくださいというような形になるかと思います。ただ,そこで地番が,22のところを21と書いて,それでだめとなるかどうかはちょっとまた現場の対応になるかと思いますけれども,極力その場合については再度確認をしてくださいというような話になろうかと思います。 ● 現実に,今,本人以外が正確な本籍を知るというのはなかなか難しいですよね,多分,本人から聞かない限りは。 ● そうですね。それはあるかもしれませんね。住民票の方も簡単には出していませんから。 ● どうしましょうか,このbとcは。今までの御意見では,どちらかというと,これは削っておいた方がいいのかなという感じなのですけれども。これは認められないとまで書く必要はないのではないでしょうか,こういう場合は。 ● 書きません。議事録に残していただきたいと考えております。 ● 削るだけで,要綱案には書かないというわけだよね。 ● 実際に窓口には余り来ないとおっしゃっているし,何か本当に欲しい人もいるのでしょうけれども,そうでない別な目的でということの方も多いような気もするので,書くとしたら消極的に。 ● 弁護士会の意見は,bとcは両方とも残すべきだというような意見だったと思いますけれども,これはどうですかね。部会の結論としては少なくとも積極的に含めるという結論には至らなかったというようなことでも差し支えないですかね。 ● 弁護士会としては,それは余り関係ないかもしれないですね。  私が個人的に思うのはやはり公証制度で,婚姻については法律要件というのが民法にあるわけですから,それを公証する一つの有効な方法として戸籍謄抄本というのはやはり取れるようにしなければいけないのではないかなと思うのですね。四つの事例について,私は,それは取れるようにするべきではないかと,戸籍制度ということから考えて。  ただ,○○委員がおっしゃるように,それから,皆さんが危惧されていることも,もっともだと思うのですね。だからといってそれが一切できないというのはちょっと行き過ぎではないかと思うのです。基本的にはできるのだけれども,それがそのために取れるのかどうかということですね。疎明資料とか,そういうもので縛るという扱いはできないのかと思うのですね。婚姻要件に疎明資料というのを出してくれと言ってもなかなか難しい,それから,それを窓口で判断するというのも結構難しいと思いますけれども,それが疎明できないのならあきらめていただくということでしようがないのではないかと思うのですが。 ● それは,これから契約に入る,あるいは,これから結婚しようとしているらしいということが疎明されればもう出すべきだということですね。 ● 疎明ができれば。ただ,財産行為については,○○幹事がおっしゃったように,それはもっとビジネスライクに向こうから取れるのかなという気がするので,ちょっとそこは迷うところですけれども。 ● 結婚しようという相手に戸籍謄本を出してくださいと言うのはどうかということですよね。 ● そうです。 ● 黙って取れるのがいいのか,あなた出しなさいよというのがいいのか。 ● 本来もし婚姻する二人なら信頼関係があってという話になるのかもしれませんけれども,ただ,そういうふうには考えないで,そういう公証制度があるのだからそこではっきり取れるようにした方がいいという考えも一つの考えだと思いますので,それを全部シャットアウトしてしまうというのはちょっと違和感があるかなと思いますが。 ● やはり公証制度というにしても,だれでも見られるというものではないと思うのですよね。行政機関が保有する個人情報の保護に関する法律でしたか,あれの中でも外部提供につきましては,本人の同意が必要であるとか,法令の定めがあるとか,それなりの縛りがかかっていますので,また,場合によっては悪用されるとか,別の目的に使われるということが,想定までは行かないまでも,それが考えられるというような場合については余りオープンにしておかない方がいいのかなとは思いますけれども。 ● 今の点ですが,おっしゃるとおり,公証制度だからといってだれにでも見られていいわけではないですよね。現実に今回の改正では,原則,公開を非公開にすると言っているわけですから,別に公証制度だからだれでも見られるようにするということではないのですね。それから,行政機関個人情報保護法のレベルは,あれはもともと公証を前提とした情報ではないものがたくさんあるわけですから,必ずしも想定したようには見られないと思うのですね。おっしゃるように,個人情報を保護しなければいけないので,一応抽象的には取れるのだけれども,現実に取るときにもっと縛りをかけたい,かけられないのかというのが私の個人的な意見です。 ● どうぞ。 ● 私も基本的なスタンスは○○幹事と同じですけれども,今の公証あるいは公開ということについてこの会合の初めのころにも申し上げたかと思いますけれども,国民,それぞれ,自分のものについては,自分がどういう身分関係になるかということについては公証が得られると。他方,だからといって公開ではないと。公開については今回その考え方を改めるということなのですけれども,その公証制度に基づく基本的な身分関係の公証の機能というのをどのように考えるのかということだと思うのですね。公開していなくても公証の機能を果たすという制度設計は可能なのだと思うのですね。それは,先ほど出たように,先方から出してもらうということがあれば,それによってどういう身分になるかということを知ることが事実上可能になるわけですけれども,そういうことが期待できない場合もあるだろうと。そのときにダイレクトにアクセスするというのが公証の機能を果たすということになると思うのですけれども,その場合の線引きが今ここで問題になっているということなのだろうと思いますけれども。  皆さんの危惧は私もよく分かりますし,ほかの事柄,不要な情報が出ないような手当てをできるだけしていただきたいということは重ねて申し上げているのですけれども,それとの兼ね合いで,可能であれば今ここで挙がっているような事柄について,場合によっては請求ができるというような道を残してもらった方がいいのではないかと個人的には思います。 ● ○○委員は,もともと公開すべき事項が制限されていればこういう場合も適切に対処できるけれども,どちらかだといえば,全く出ないより出る方がよいであろうという,そういう御意見とお伺いしてよろしいでしょうか。 ● 皆さんの危惧が払拭されて,要件をかけるということが恐らく必要なのだろうと思いますが,そうしたことができないということであれば今回はあきらめざるを得ない,先ほど皆さんの御意見次第ですと申し上げたのですけれども,あきらめざるを得ないと思いますけれども,途中で出ていました話題で,行政証明と言うのでしょうか,私には正確には分かりませんけれども,ある特定の事柄について証明をするというようなルートがあるのだとすれば,その面についてはそうしたものの利用をしてほしいというようなことを示すといったようなことも一案かなとは思いますけれども。 ● あらゆる場合を類型化できれば,この場合にはこの情報だけ出しますというそういう対応関係が書けると思うのですけれども,この二つだけを議論するなら,cについて言えば,未成年者であるか,あるいは能力者であるかだけを伝えればいいと,bについて言えば,例えば年齢と配偶者がいるかいないかだけは出すとか,あるいは,請求者との関係で近親婚のあれはないとか,そういうところに限って出すということならここでの議論はできるのだけれども,請求するいろいろな場合を考えて全部それが書けるかというと,それはそれでちょっと技術的に難しいかなという感じですね。 ● 今の点は,もしそういうふうに考えるのならば,発想を逆転させる必要があると思うのですね。年齢と性別と既婚であるか未婚であるかということだけ,それを定型的に示すというやり方をつくって,それを認めるべき場合というその要件の方を考えると,それを請求するについて正当な理由というのは何なのかと考えるということはあろうかと思いますけれども,この審議会のここまでの議論はそういう議論ではありませんでしたので,ここでその件を蒸し返す気持ちはございません。 ● 私は,やはり,これから契約関係なり結婚なりに入ろうという場合ですから,当然フェアに出してくれ,自分も出すよというのが本来の姿だろうと思うのですよね。それをこそこそっとやるというのが,確かにこれからそういう関係になるよというのは分かる,それで絶対に必要なのだよということも本人にとっては分かるのですけれども,やはりまだ現実そういう関係にないという段階で戸籍謄抄本が取れるというのは,制限がかけられればもちろんそれでいいのですけれども,そうでないとすれば取れないようにした方がいいなと思うのですけれども。 ● どっちを選択するという意味ではなくて,今のように相手の方から出してもらえばいいということは,その情報にアクセスすること自体は必要だということですよね。それを自分で取るか,相手から取らせるかだけの違いですから,要は,こういう制度にしたときにそういう必要のない人が濫用しないのかということを恐れておられるということになりますからね。その内容の点は,やはりさっきお尋ねした類型をどのぐらいきちんと正当な理由がある場合にかけるかということと,その疎明をどうするかということと,あと,制裁の強化ということでどういう担保をするかというあたりでも,完全ではないかもしれないけれども,相当程度カバーできる部分もあるのかなという感じはするのですけれども。こういうものを相手からもらって見るのもいけないということだと話は別ですが,見せてもらう必要があるということになるとルートの問題になるのでしょうかね。 ● 先ほど,例えば年齢とか,既婚か未婚かとか,その辺だけであれば問題ないと思うのですけれども,何か過去に子供がいたとかそういうところまでということになると,では,どこまで,どこで線引きをするかということが出てくるし,やはり結婚しようとする人間をより知りたいと思うのですよね。何かその辺を考えると,制限して進むのか,それとももう最初からそういうのは本人から取らせるという形でやる方がいいような気がするのですけれども。 ● 今回のこのbとcはちょっと話としてはレベルがだいぶ違う話で,cについてはある程度本人から取ってビジネスライクにやるということでいいのかと思うのですが,ただ,bの方,婚姻についてというのはまた違う要素の話がだいぶ入ってきます。千代田区でも行政書士による不正取得の事件がありまして,その目的としては,婚姻する相手側の家族関係というか,出身であるとか,子の有無であるとか,そういうものを確認しようというようなことで,普通だと取りにくいので行政書士に頼んで取ってもらったというような事件が発生しているところです。その辺で考えると,いろいろな情報が戸籍の中には入っていますので,それを全部見られるようにしていいのかというと非常に難しい要素があるのかなと思いますけれども。 ● 疎明というのはかなり難しいと思うのですよね。何を出せば婚約していると認められるかというのは無定形ですから,窓口から相手方に電話して結婚する気はあるのと聞くことが直截かもしれませんけれども,そのほかに何か資料をもって婚約を証するとか,何か婚約指輪の領収書をつけましたとか,どうもぴんとこないですね。法制審で決めるべきことは,婚姻しようと思っているから婚姻事項を確認するということが正当な理由に当たるかと,疎明できたとしても正当な理由に当たるかどうかということなのですよね。それは,やはり,ここでは,現時点では,否定しますというメッセージを議事録に残すのか,否定はできないよということで何となく認める余地を残すのかということですね。最後には正当な理由で引っかかるようにする余地を残すのかということなのですよ。 ● 多分,今までの議論は,請求することについて相当な理由があると,ただ,それの弊害をうまくシャットアウトできるかというとそこがちょっと難しい。シャットアウトできないとすればやはり当面認めないと言わざるを得ないという,そんな感じですか,大体のところは。 ● 私はどちらかというと見るのもけしからんという,疎明の容易さとかということは抜きにしてどちらかと言われれば,それは全部引き受けるものだというので見るのもけしからん,でも,やはり見たいですよね,見たいから相手が出してくれるかなと言ったら見ようかな,見てもいいということで,オフィシャルな形では相手の戸籍を見るということに正当な理由は私はないと考えております。ただ,パブリック・コメントの中にそういう言い方というのは国家が一つの価値観を押し付けているのだという意見があって,そうするとやはりある種の私の婚姻観というもので今しゃべっていると思うので,そういう正当な理由があるないという土俵で話すのは控えたいということがあります。  ただ,正当な理由があるとしても,先ほど○○幹事がおっしゃいましたように,これは一番疎明がしづらい事態で,私はこの人と結婚しようと考えていますという書面を持って来いという話になれば相手から取ってもらえばいい話というように,戸籍謄抄本を取るのだけれども,そのためにあなたと婚姻しようとしていますよねという,それに印鑑を押してくださいということは,では私が取ってくるわよという話ですから,実は疎明というのは無理ではないかと,一方当事者だけでの疎明というのは無理ではないかと思います。そのレベルで止めておくと疎明はできない,不可能となって,ですから結局は見せないと,私はそう考えたいと思います。  それから,ちょっと先ほど○○幹事が婚姻届に添付するので取ってきてくださいと言われてもやはり拒否すると……。 ● 相手側の委任状をつけてくださいと。 ● 現状では,婚姻絡みと言うのは変ですけれども,それで相手方の戸籍謄抄本をくださいと来たらやはり拒否を,相手方の委任状がないと出しませんということですよね。だから,今の実務を前提にしても,婚姻しようとしておりますからといって一方当事者が相手方の同意も得ずに戸籍謄抄本が取れるというのはやはりいかがなものかと思いますが。 ● 今の○○委員のお気持ちはよく分かるのですけれども,2点ありまして,相手方が見るのはけしからんというときには,やはり情報が広い範囲というか戸籍全体を想定されていると思うのですね。ですから,そういう事柄については本人を介して聞くべきであるということですけれども,婚姻要件に関わる事柄に絞って考えれば,その辺はまた御判断が別にあるのではないかと思いますが,ただ,その切り分けができないというところに問題があるということだろうと思いますが。  それから,もう一つは,疎明が困難なので実際の問題として認めるとしても大体の場合は疎明できないではないかということになるのはそうなのだろうと思います。ただ,婚約しているということが証明できると,しかし,結婚するまでには自由があるわけですので,婚約していることは明らかに証明できるのだけれども,婚姻要件を具備しているかどうかについて調べたいということがもし疎明されれば,それはそれで仕方がないのではないかなというか,出すのが正当なのではないかと私は思います。 ● 今言っているのは,婚姻要件というのを民法で規定しているわけですから,ある程度それに相応するものというのを見るということ,その範囲でアクセスするということはやはり認められるべきであると。ただ,確かに現実に疎明が困難だというのは全くそのとおりだと思いますので,現実には難しいかもしれませんけれども,やはり婚約の証明とか疎明ができれば,婚姻要件を定めている以上それに対するアクセスというのにはやはり正当な理由があるということに反対としてなるのだろうと思います。  それから,相手方に出してもらえばいいというのは本当にそのとおりなのですけれども,やはりそれが期待できない場合があるということもまた一面において事実としてあるわけですから,そういう非常に限定的な場合になるかもしれませんけれども,そういう場合に全部シャットアウトということは,そこまで,一切取れないのだと,この問題についてはということについては,ちょっと行き過ぎではないのかという感じがいたします。 ● 財産的法律行為についてはもう取れないということで大体よろしいということですか。今のお話は両方についてということですか。 ● 私は,財産的行為についても。ただ,それは,契約交渉が進んでいるとか,契約の原案がもうできているとか,疎明や何かがある程度出されれば。 ● 今の点についてはこれ以上こだわりませんけれども,先ほど○○幹事が御発言になった,どの程度定型化されて,どの程度の疎明が求められるのかというところは,実際の制度の運用においては非常に重要なのだろうと思います。今我々が危惧しているようなことについて,ここのところを塞いだとしても濫用的な申請をしようという人は様々な理屈をつけて別のルートでやってくるということが十分に考えられますので,ここだけ塞いでみても他を塞がないと実効的ではないということがあると思いますので,そちらも十分にお考えいただきたいと思います。 ● 違う角度なのですけれども,従来,①の方は「権利若しくは権限」という表現を使っていて,それについて相当広いイメージで事務当局から御説明をいただいていたと思うのですけれども,今回,「権限」というのを外して「権利」になっているのは,従来の権利・権限行使よりも狭くして,その狭くなった分を③に持ってくるとか,そういうようなことなのでしょうか。それとも,①も従来同様に比較的広い範囲をカバーするイメージで,言葉だけの問題なのでしょうか。③にいろいろ入ってくる話なのかどうか,今議論しているbやc以外にも③にいろいろなだれ込んでくるものがあるのかどうかちょっと教えていただけますでしょうか。 ● 「権利・権限」を「権利」と書いたのは,別にその権利・権限を狭めるという趣旨ではございません。端的に「権利」と書けば同じ意味が表現できているのだろうと考えたところでございます。  それから,③にほかに何かなだれ込むものがあるかということですけれども,中間試案の別紙では,今御議論いただいているbとcと,あと,民生委員のjを掲げておりましたけれども,この民生委員の事例自体もどちらかというと適切な事例かどうかというのは議論の余地があると思っていまして,むしろ①,②にも当たらずに③に当たる場合というのはどういう場合があるのかということがもしあるのであれば,実例でもあれば教えていただきたいなという感じでございます。仮にaもbもcも①ということになりますと③が要るのかどうかということにもなってしまいますので,③は要らないという方向にもなりますので。  個人的には,最終的には正当な理由というのはバスケット・クローズで,どのレベルなのか,法律のレベルなのか,規則のレベルなのか,通達のレベルなのかはありますけれども,必ず必要ではないかと個人的には思います。 ● ③の部分について,その他のところで今まで話が出ていたのは,民生委員だとか,人権擁護委員,保護司が職務上の必要から請求する場合というようなことだとか,婚姻届を出していない妻が婚姻届を出していない夫の分,内縁の夫というのですか,その戸籍謄抄本を請求する場合だとか,そういったことが考えられるのではないかというようなことがあったかと思いますけれども。 ● この辺でまとめておきたいと思うのですけれども。  この③を残すということは,これはいいのでしょうね,これ自身は。なくなったらちょっとやりにくいですよね。問題はbとcなのですけれども,部会としては,どちらかというと,消極的だったということでしょうかね,非常にあいまいですけれども。ただ,完全に否定するということではないわけですよね。 ● ですから,○○幹事がおっしゃられたように余地を残すという形で。 ● 特に婚姻の場合だと,この間もテレビの取材があったのですけれども,バツ1の離婚歴をなくすために転籍すれば大丈夫かというような取材があったりして,実際には離婚の事実はなくなりませんから,そうすると転籍前の戸籍だとか,現在の戸籍の前のものまでさかのぼっていけば離婚歴だとかそういうのが出る。そうすると,今回の婚姻の要件の確認,そうすると,離婚しているかどうかの確認,子供がいるかどうかだとか,そういうものも含めての確認をするということになると,その転籍前の戸籍までさかのぼってというようなことも場合によっては出てくる可能性がありますよね。範囲が広がってくるかなと思うのですけれども。 ● それでは,一応このbとcについては,両方とも基本的には消極的であるけれども,完全に否定するということはできないのではないかという意見もあったという,そのようなまとめ方でよろしいでしょうか。  次は,要綱案第3の「届書に届出人の実印が押印され,その印鑑証明書が添付されている場合の通知の要否」について,事務局から御説明をお願いいたします。 ● それでは,要綱案の3ページ,4ページのところでございます。  今回はタイトルと内容を若干変えさせていただいておりまして,従来は「届出人の本人確認」というタイトルを使わせていただいていたのですが,ちょっと分かりにくいのではないのかという意見を何回かいただいておったところでございまして,今回は「届書を持参した者の本人確認を行う場合」ということにいたしまして,要するに,やっていることは,届書を持ってきた者がだれであるかを確認して,それがその種類の届出をすべき本人なのかどうなのかを確認すると,そうでない場合は本人確認ができなかった届出人に通知を発すると,そういう規律になっておりますので,できるだけ端的に書き表してみたということでございます。  これは,中間試案の記載ですと,郵送による届出がこの規律の対象となっているかどうかというのは若干不明確なところがございまして,中間試案の第3の1の「注」のところでは,届書を窓口に持参した者がだれであるかの確認をし,その者が届出人であるかどうかを確認するものであるという定義を打っているのですが,その次の中間試案の2の「注1」を見ていただきますと,「郵送の方法等において届出がされた場合には」というような記載がございまして,郵送による届出がこれらの規律の対象となっているのかどうかというような点が若干不明確だったということでございます。  今回のような書き方をいたしますと,窓口での本人確認ということに特化しておりますので,一応郵送による届出は規律の外になるわけでございます。しかし,実印が押された届書に印鑑証明書がつけられた場合には通知をしなくてよいのだという意味での例外を認めるのであれば,実質的に見ましてこの規律の例外に当たるわけでございます。したがいまして,郵送の届出についてそのような通知をしない例外を認めるのであれば,今回のこの規律についても「注」のような形で何かをうたっておく必要があるのではないかと思われます。仮に通知をその場合もするのだということであれば,この規律と実質的に矛盾しているものではございませんので,特にここに書く必要はないのかなと考えております。  実印が押されて印鑑証明書が合わせて出された場合に通知をしなくていいのだという扱いをいたしますと,翻って,実印が押された届書と印鑑証明書を託して使者によって窓口に持ってこさせた場合の扱いもやはり同様でないとおかしいということになります。そうしますと,持ってきた使者について権限を確認するのかというような問題も生じます。したがいまして,前回の部会でしたでしょうか,実印が押されて印鑑証明書が合わさっている場合には,通知はしなくてよいことにしましょうという形にまとめさせていただきかけていたところなのですけれども,本当にそれでいいのかなということでございます。この場合は,通知するかしないかだけですので,印鑑証明書がついていても通知するということにしたとしても,印鑑証明書までつけたのに何で通知が来るのだというような文句は余り出ないだろうと思われますが,印鑑証明書までつけてきたのにハガキで通知を出さなければいけない市町村の事務負担にはなり得るかなということでございます。  あと,戸籍法の規則の方ではオンラインによる届出も可能になっていますが,そのときの扱いとの平仄を考えると,通知をするということにしますと必ずしも平仄がとれないことになるかもしれませんが,それはそれで別に考えるとすれば,この場合は通知をするのだという方向性は十分あり得るのではないかなと思います。この点はちょっともう一度御確認の意味で御議論をいただいて,方向性を示していただきたいと考えております。 ● それでは,この点についていかがでしょうか。 ● 質問なのですけれども,実印が押されていれば御本人が押したということなのかもしれませんけれども,今,印鑑証明書というのは住基カードとかを持っているとどれぐらい簡単に取れるのでしょうか。私はちょっとよく分からないものですから。 ● まず,実務的には,本人確認のできる書類,運転免許証だとかパスポート,住基カード,そういったものを持って御本人が来た場合については即日で交付をしています,千代田区の場合は。もしそういうものがない,例えば保険証だとか別の書類しかないといった場合については,照会書を住所のところに出して,回答書に書いてもらって持ってくる,その時点で出すという形になっています。ただ,その場合でも,住所は郵便物が届くように設定されていると届きますので,それでもって印鑑証明を取るというのは非常に楽な方法で,比較的最近の虚偽の転入届だとかそういったもので事件になっているのはその手の手法を使うケースが多いかと思います。  印鑑証明書の添付を義務づけるというのは一手間かかるので,面倒臭いということは確かにあると思いますね。それによる抑止効果はあると思うのですけれども,本格的にやろうとする人はもう何でもやってしまいますから,そのことをもって決定的に抑止できるということにはならないかと思います。 ● 義務づけるわけではなくて,それが出てきたときにはもう自動的に本人確認ができたものとして扱うという,郵送であれ,窓口であれ,そういうことなのですけれども,それを特別扱いするか,それともここには一切記載しないでやるかという。 ● 印鑑登録カードというのを発行しますので,そのカードを持っていると比較的簡単に印鑑証明書というのは入手できてしまうのですね。今まで登録してある人も印鑑をなくしたということで廃止をして,それで新たに登録するという方法で,入手は比較的楽なのです。 ● そのカードと暗証番号さえあれば変更できるということになってしまうわけですね。 ● 変更については,カードをなくしてしまったと,印鑑をなくしてしまったということでその届出をして,なおかつ新たにこの印鑑でもって登録をしたいということで持ってきて,本人確認書類があればその場で交付と,そうすると証明書が発行されてしまうというようなことになります。 ● それでは,印鑑証明書と登録した印鑑が押されていても,特にそれで本人確認ができたというような特別扱いはしないということでよろしいでしょうか。 ● 事務量の方はどうなのでしょうか。 ● 恐らく件数としてはそれほど多くはないと思いますので,極端には増えないかと思いますが。 ● さっき○○幹事がおっしゃっていたように,同じ話として,戸籍の場合だと代理は認めないという話だと思いますけれども,使者はあり得るという整理を今までもされているやに聞いておりますので,使者の場合というのも同じぐらいにレアケースということですね。 ● これは結構あると思います。 ● そういう証明書を持ってくるとか,そういうのはないですか。印鑑証明書付の委任状を持ってくるとか。 ● 今のところ印鑑証明書までをつけた委任状というのは余り見かけないかと思います。ただ,出されたときに,今度は市区町村側として,印鑑証明の印鑑と委任状の印鑑が同一かどうかの確認を,この作業を相当厳密にやらなければいけないので,そういった点が非常に難しいかなというのは危惧しているところです。 ● では,よろしいでしょうか。  もう一つ御議論をお願いしておきたいのが,第1の(4)の「弁護士等による請求」ですね。これについて御説明をまずお願いします。 ● それでは,要綱案の2ページを御覧いただきたいと思います。  この問題に関しましては,前回は議論をいただいていなかったのですが,パブコメから前々回の議論まで方向性が出されていなかったものでございます。今回は,A案,B案,C案ということで,三つの提案を掲げておりますが,比較的これまで支持が少なかったA2案は削除しております。今回新たに出したC案でございますが,これを御説明させていただきたいと思います。  まず,前記(2)にかかわらずということでございます。この(2)というのは「第三者請求」の箇所を指すわけでございます。弁護士等は,受任事件の依頼者について前記(2)のいずれかの必要等がある場合は,その具体的事由及び依頼者の氏名を明らかにして,戸籍の謄抄本等の交付請求をすることができるものとする,これが原則です。これは前のA1案に相当するものですが,ただし書きが例外でございます。「ただし,紛争解決手続代理関係業務を遂行するために必要がある場合は,その代理する紛争解決手続の別,紛争の種類及び利用目的を明らかにすれば足りるものとする」ということでございます。これは,弁護士等の受任事件のうち,紛争性がある場合,紛争性がある受任事件を扱う場合の交付請求書の記載要件について特例を設けるというものでございます。実質的に考えますと,ただし書きの部分はA案の一部でございまして,A案で取れる範囲を超えるものではございません。取れる戸籍の範囲も,紛争解決手続代理関係業務の遂行に必要な範囲という,そういう縛りが実体的にはかかっている提案でございます。  問題は,その紛争解決手続代理関係業務ということでございますが,これにはポイントが二つございまして,一つは,まず,紛争性のある受任事件の類型でございます。それから,もう一つは,そういった事件を紛争解決手続で代理できる弁護士等の権限でございます。したがいまして,受任事件がそのような紛争性を有する場合であって,その紛争性を有する事件が裁判手続あるいはADRといった紛争解決手続の対象となる場合であって,かつ,そういった紛争解決手続に移行した場合に交付請求している資格者がその手続を代理できる権限を持っていなければならないというものでございます。  そこで言う紛争の種類ですけれども,これは,私法上のもの,公法上のものを含むわけでございます。紛争解決手続というのは,民事訴訟,民事調停,家事審判,家事調停,仲裁,行政上の行政不服審査,各種ADR等々,そういった紛争解決手続一般を指すものでございます。そのような紛争解決手続によって当事者を手続代理できる権限を有している有資格者のみがこのような紛争の解決に必要な限度で特例を認めるというものでございまして,具体的に申しますと,弁護士,司法書士,土地家屋調査士,税理士,社会保険労務士,弁理士は,何らかの形でこういった紛争解決手続の代理権限を持っております。海事代理士と行政書士はそのような意味での代理権限はございません。したがいまして,そのような代理権を持っている士業の資格者の方は,そこで扱われ得る類型の紛争事件に関して,その処理に必要な限度で特例規定の適用があるということでございます。現にそういった紛争解決手続が開始されているということは要件ではございません。受任していれば,それらの手続に至る前の調査事務も含むものでございます。それから,刑事事件,少年事件における被告人の弁護人としての活動,少年の付添人としての活動は含まれます。それから,固有権限行使の場合,破産管財人等に選任され,固有の権限を行使していると,依頼者から委任されて代理をしているというものではない類型のものにつきましては,原則に従って第三者請求をやっていただくという,そういう前提でございます。  これまで,B案では,使用目的及び提出先を明らかにするものと考えておりましたけれども,C案のような,紛争解決手続代理関係業務の遂行のための必要性ということを要件に掲げますと,交付請求書に記載する記載事項としては,紛争解決手続の別,紛争の種類と利用目的になるということでございます。したがいまして,依頼者の氏名,依頼事件についての第三者請求で記載しなければいけない詳細な事項はC案のただし書では出てこないということでございます。紛争性のある事件を処理する場合の特質,すなわち,紛争性があればその紛争解決のために実体関係を対外的に証明する必要性が高まる。したがいまして,戸籍を利用することも含めた証拠収集手段をそういった資格者の方に与える必要があるという点等を考慮した提案でございます。  C案の説明は以上でございます。これを含めまして御議論をいただければと思っております。 ● それでは,御議論をお願いしたいと思います。 ● 質問なのですけれども,ごくごく普通の民事事件を前提した場合のこの利用目的ではどういうものを求められているということになるのでしょうか。 ● ごくごく普通の民事事件というのは,具体的にはどのような事件でしょうか。 ● 例えば離婚訴訟とか。 ● 離婚訴訟の提起の準備のためという記載で足りるかと思いますが。 ● それは紛争の種類も含めて,紛争の種類が離婚訴訟になって,提起のためということですね。 ● はい。 ● いかがでしょうか。 ● 法律的な手続とかその辺はちょっと分からないのですけれども,ただ,当初から言っていますように,知らないうちに自分の戸籍謄抄本を取られるというのはやはり納得できないと主張してきた私の立場からすると,紛争になった場合は遅かれ早かれ分かるのですよね,自分の戸籍謄抄本を必要としていて取っているなというのは分かるのですけれども,紛争にならない場合というのは分からないのですよ。それをだれが取ったかというのが追跡できないというのはやはり納得できないと思うものですから,私は,このC案というのはとても,私たちからすればいいかなと考えるのですけれども。  というのは,今までの議論の中で,依頼人の名前を出さないということになると,例えば私が弁護士の方を使ったとしてもその依頼人にたどり着かないのですよね。結局,弁護士の方の守秘義務という形になるだろうし,そうなると永遠に紛争でない場合に使われた場合は追跡できないこととなるものですから,後からでもいいからそういうふうな,こういう目的で取られたというのが分かるのであればそれなりに納得できると思うのですけれども。 ● ただ,この場合だと,前回の自己情報の開示請求の話がありましたけれども,依頼者の氏名というのは個人情報保護条例では出さないという方向になるかと思いますけれども。 ● 理由があっても。 ● ええ。自己以外の情報ということになりますから。そうすると,その依頼者名は恐らく出されないと。 ● そうですか,それは追跡できると思っていたので。 ● A案によってもできないという。 ● そうすると,あくまでも依頼人の氏名の記載というのは窓口の人が正当性を判断するためにということになりますかね。 ● 方法としては,恐らくこれは不正なのではないかと言ったら,取った資格者に対して確認をしていくと,これが本当に目的どおりに使われたのかどうか,そのためには依頼者名がはっきりしていて,目的や何かはしっかり書いていた方が正当か不当かの確認はしやすいということになるかと思います。そのためには有効だと思いますけれども。 ● 私が間違っていましたけれども,ただ,窓口の方の判断の材料というか基準というか,その部分では効果があると。 ● 判断といっても,Aさんはよくて,Bさんがだめというわけにもいかないので,書いてあるかどうかということですね。 ● 正当性があるかどうかという。 ● 名前がちゃんと出ているかどうかというところの判断かと思います。あと,どの程度まで求めるかということですね。Aさんの依頼に基づいてBさんの戸籍謄抄本を取る,AとBの関係は何かというところまでずっと確認をしなければいけないとするのか,そこの記載があって,目的,利用方法等がそれなりに書いてあればそれでいいよというふうにするのか,その辺のところによって違ってくるかと思いますけれども。 ● 分かりました。 ● 今の問題は,交付請求者に関する情報の開示請求の問題ですよね。最初のころは議論をここでやっていましたけれども,最終的に要綱案からは戸籍の問題ではないということで落とすことにした部分の問題なのですよね。ですから,ここでの議論ではないと。 ● ほかに御意見はいかがでしょうか。 ● C案の提案があるわけですけれども,紛争解決手続代理業務を遂行する場合だけに絞る合理性というのがちょっとよく分からない,どこで線を引くかということになったときに,例えば弁護士の方であっても紛争性のない法的な助言をするような事案ではAに戻ると,あるいは,紛争性のある事案でも解決手続を利用しないで直接交渉しようとする場合にはやはりAに戻ると。解決手続を代理して行うときだけに限る理由というのが,先ほどの証拠収集の必要性というだけではそこに線を引く論理的な理由にはなっていないような感じがしたのですけれども,そのあたりはいかがでしょうか。 ● 弁護士はあらゆる紛争について代理権限を持っていますので,その場合はすべてただし書きかというとそうではございません。まず最初の点からいきますと,例えば紛争性がないような案件,弁護士がやることがあるのかどうかは分かりませんが,登記申請とか,特許の申請とかというような,一次的には紛争性が認められないようなものを扱う場合には本文でございます。紛争性のある民事事件を扱う場合には,それが将来的に裁判手続あるいは仲裁手続において解決の対象となる事件であれば,必ずしも手続が開始されていなくてもよいわけでございます。したがいまして,そういった事件を受任した時点で,その事件が将来的にそういった紛争解決手続に行き得る紛争であれば,このような形で戸籍謄抄本を取っていただいて,これはどうも請求が立たないなと思えばそれは提訴を断念する場合もあるでしょうし,裁判とか仲裁にかけるまでもなく示談,裁判外の和解で事件を修する場合もあると思います。  したがいまして,紛争解決手続というのは,紛争事件の類型とそれを代理する資格者の権限を引き出すための概念でございまして,実際これが開始されていないとただし書きによれないというものではございません。 ● そうすると,最初の時点で,私は,「弁護士等」の「等」の部分で,すべてを含めるのか,ないしは,いわゆるいろいろ問題があった方の資格を排除するのかとか,その辺の議論があったのですけれども,このC案で行くと,その部分が少しカバーされるのかなという気がするのですけれども,違いますか。 ● 確かに,先ほども御説明をさせていただきましたけれども,紛争の類型が限定されて,かつ,その紛争についてADRの代理権を持っていないとただし書きには行けないわけでございますので,例えば税理士であれば所得税の申告について税務署長がした更正処分に対する税務措置の不服申立て手続という段階に至った後は,ただし書きで行けるというような形になっておりまして,そういった基準でいきますと,例えば,行政書士についてはそういった代理権限がありませんので,常に本文でやっていただくということになろうかと思います。 ● 質問が2点ございまして,1点は聞き漏らしたことで恐縮なのですけれども。  まず,A案,B案,C案,いずれの案もそれぞれ職務請求をする場合に取れる範囲というのは,第三者請求のこの原則の範囲と理論上は重なる,一致するというお立場でお書きになっていると理解してよろしいのでしょうか。 ● そのとおりです。 ● 2点目でございますけれども,このC案をとった場合のただし書き以下ですけれども,そうすると,例えば,弁護士もそうですし,司法書士も,いわゆる認定司法書士の方ですと総額に一定の限界はありますけれども,簡裁代理権を持っていらっしゃる方,そういう紛争手続でも代理権限があるという方ですと,ある意味でこれは全部ただし書きに入ってしまう,受任事件というのはすべて潜在的には紛争性というのは芽としてはあるわけですので。例えば司法書士の方ですと,ただし書きの認定司法書士でない方は本文ですけれども,認定司法書士の方だと全部ただし書きというふうに,ものの書き方によっては。どうやってその割り振りをなさるのかというのがちょっと具体的に見えないのですけれども,よろしくお願いします。 ● 司法書士の話をしますと,認定司法書士は140万円以下の制限がございます簡裁の代理権,ADRの代理権を持っています。したがいまして,そういった簡裁の代理権あるいはADRの手続の対象となるような民事紛争が持ち込まれ,それを受任して,それに必要な場合にはただし書きでいけるということになります。ただ,認定司法書士でも,登記業務,自ら登記を申請するというようなものは,これは紛争性がございませんので,本文でやっていただくということになります。ただ,紛争というのは私人間の紛争に限られませんので,例えば司法書士の方が登記申請をして,それが却下処分になったと,それに対して審査請求をするというような場合には紛争性が起きるというふうに整理をいたしますので,その場合には認定司法書士・非認定司法書士問わずただし書きでいけるという整理です。 ● 私もよく考えがまとまっていないのですが,このただし書きを規定した趣旨ですが,さっき○○幹事がお聞きになっていましたけれども,司法権を中心とした紛争解決手続をスムーズにというか進めるためという,そういう価値観,判断も入っているのですかね。 ● 紛争が生じた場合には,その紛争を適切に解決すると。ADRにしろ,裁判にしろ,そこで出た判断というのは確定してもう争えなくなりますので,それはきちんと証拠を出して,真実に近い形で解決しなければならないという価値判断はもちろん根底にあるということでございます。 ● 私はちょっと法律的なことはよく分からないのですけれども,例えば,離婚の先ほどのお話ですと,普通の取扱いで,依頼者名や何かを出してということになるかと思うのですけれども,それがもめてくるようになると,いわゆる協議離婚からもう少し財産の分与だとか何だとかというところまで行ったときには,紛争性があるということになるのですかね。同じ離婚でも,その辺はもめているかどうかというところで変わってくるものなのですか。 ● そうですね,それは紛争性を持つかどうかというのがメルクマールでございますので,協議離婚がスムーズに行けば,それは紛争性がないということになろうかと思いますけれども,例えば,親権者を巡って争いがあるとか,財産分与あるいは慰謝料を巡って争いがあると,それを人訴ないし家裁で決着をつけようという段階になれば,それは紛争性を帯びるわけですので,そうなるとただし書きに行くということになると思います。 ● そうすると,その辺はある程度請求者の判断に基づいてみたいなことになるわけですかね。 ● 請求者のいろいろな事情を一たん弁護士の方が引き取って,そういった権利の蓋然性があるかどうかを一たん判断した上で,こういう紛争類型であるということを示して市町村に請求してくるということになると思います。 ● そうすると,例えば紛争性があるよということになれば離婚についてもただし書きで行くということになるというと,弁護士はこれはちょっともめそうだと言えばみんなただし書きに流れ込んでしまう可能性はありませんか。 ● そこは弁護士の適切な判断が要求されているわけですよね。紛争性がないのに全部紛争性にかこつけてただし書きで請求してきて後で争われた場合には,当然,賠償責任を負いますし,制裁,懲戒の対象にもなるということでございます。 ● いかがでしょうか。 ● B案では今最後に言われたような言い方は当てはまらないのですか。職務上必要があるかどうかをその資格者の責任において判断させて,濫用したときはそれに対して別途対処があると。それではだめで,C案のように考えられたのはなぜですか。 ● すべての資格者についてB案で行けということですか。B案は資格者によって場合分けはしていませんので,すべて資格者であれば,職務上必要があるということだけで,C案であればA案でカバーできるようなこともすべて利用目的,提出先だけで行けという提案ですか。 ● C案は資格者で制限をしているわけではなくて,弁護士でもC案の本文の場合とただし書きの場合に分けるということですよね。 ● そうですね,職務上請求用紙を今後も使うとすれば,そういった職務上請求用紙の形式というか書式が複数になるということですね。 ● 「注2」の代理する権限を有するというのは,具体的権限ではなく,資格を持っている抽象的権限という意味で書いてあるということですね。類型に当てはめるということですか。 ● はい。 ● ここのところは,そうすると,受け手の市町村の方で判断するのではなくて,ここで言う紛争業務であるとか,そういった権限を有しているということがここに書いてある中で明らかになるような請求書になって,それをチェックするということですかね。 ● そうですけれども,例えば土地家屋調査士が離婚訴訟提起の準備のためと書いてきても,それはだめですよね。ですから,土地家屋調査士では筆界特定手続の代理のためというような形で,土地家屋調査士が代理権を持っている紛争解決手続の対象となっている紛争であることを示していただくと,それと交付請求してきている資格者の権限を見比べていただいて,ただし書きで行ける場合であるかどうかという判断は,市町村の方にお願いしたいということです。 ● ですから,それは形式的にマトリックスで判断できるということですよね。 ● この資格者の場合はこういう類型がありますというマニュアルを作っていただければ判断できると。 ● だから,そこは,逆に言うと,定型的な判断がここのところで明らかにすれば足るという紛争解決手段の別と,紛争の種類とか利用目的の中に代理権限を有しているかというこの「注」のところも取り込めるような形で定型的に判断できるようになるだろうという御提案ですよね。 ● おっしゃるとおりです。 ● 多分,それぞれが今は定型的な用紙をつくっていますけれども,2種類つくるということですよね。  それでは,いろいろ御議論をいただきましたけれども,C案でということで--まだ何かございますか。 ● 紛争手続の代理権を有することと,訴訟代理権であったり,申立て代理権であったりすることですよね,その代理権とこの戸籍の請求の要件が変わることの関係が今ひとつ分からないのですけれども,その代理権から出てくると考えているわけではないわけですよね,今の御説明だと。具体的な委任まで行っていなくてもいいのですか。 ● 具体的な委任は必要です。事件の受任は必要なのですが。 ● 事件の受任というのは,例えば弁護士の方の場合だと,訴訟提起の準備のためというときに,もう訴訟委任状もないとだめだということなのですか。その訴訟委任状の何か効果として出てくるということなのか,何なのでしょうか。 ● 私の理解で言うと,普通の場合だと例えば委任状は必要だけれども,委任状までは別にこういった権限を有している人間には求めないよということですよね,個々の事件についての。 ● そういう議論をすると,この戸籍謄抄本請求の代理権と訴訟手続における代理権と何か混同しているような議論になるのではないかと思うのですけれども。 ● ここは代理請求という位置づけではないのでしょうか。 ● 第三者請求ですから。 ● 第三者が職務上必要なものとして請求していると。ただ,職務上必要なことが紛争解決手続の代理関係の業務であると言えば紛争の種類と利用目的だけでいいと,そうでないときは具体的事由と依頼者の氏名を書きなさいという。 ● その代理権から出てくるものでないということのようだとすると,ますます代理資格の存否の場合だけこうするという理屈がなぜそうなのか分からないのですが。 ● ですから,一番のポイントは紛争類型です。こういった紛争類型をきちんと扱える人かどうかという,そういう主体の制限ですよね。この紛争類型の受任事件をいずれ裁判等で自分が代理して片をつけることができる権限を持っている人かどうかというのを見るということですね。 ● 「弁護士等は」と書いているけれども,もう事実上資格者によって分けて,ただし書きについては初めから入ってこない資格者も出てくるということですかね。 ● はい。 ● よろしいでしょうか。  どうぞ。 ● あと,個人で訴訟する場合とこの資格者が紛争の手続をする場合,その辺のところでアンバランスというか個人が訴訟をするときの不利益というのは特にはないですかね。 ● 個人の方が第三者請求をする場合はやはり(2)の原則で,権利行使に必要だということを言ってもらうことが必要だと考えています。  では,どうして紛争解決手続代理権限を持っている弁護士が扱う場合はただし書きのようなもので足りるかというと,そこは一つ専門家の判断がかんでいるので,こういう依頼者から生の事実を聞いて,資料も見て,それで組み立てて,これでこの戸籍謄抄本を取って請求が立つかどうか判断しようという一つ専門家の判断が入っているわけですが,個人で訴訟を起こされる方というのはそういった判断をした上で市町村に出してくるとは限りませんので,およそ請求になり得ないような請求を立ててきて,例えば隣人が火星人を通じて電波を飛ばしているから隣人に損害賠償を請求するというようなものも不法行為に基づく損害賠償請求訴訟提起のためと言えばそれ以上言わなくて済むような事態が生じかねないわけでございまして,個人の方が請求してこられる場合には交付請求書にちゃんとどんな権利があるのかというのをきちんと書いていただいた上で,市町村の方で交付請求書の記載によって正当な理由を判断していただくという前提でございます。 ● そうすると,ある程度その事件の内容であるとか概要をきちんとお話ししてくださいと,それに基づいて正当性があれば認めるけれども,なければだめよという形になるということですか。 ● まずは交付請求書の理由の記載をきちんと書いてもらうということになると思いますが。 ● ちなみに,今の説明だと,国の機関に提出する必要がある場合かどうかを疎明するのではないですかね。 ● 国から別に訴状を出してくれと求められているわけではないですよ。ですから,それはその権利の内容を言ってもらうということですね。 ● 今ちょっとひょんなところに飛び火をしたのですけれども,訴訟を起こすので戸籍謄抄本を提出するというときに,国から求められていないとだめなのでしょうか。 ● いや,そうではないです。 ● そこはちょっと確認させてもらいたいと思います。  今の弁護士等による請求のところで,弁護士会の方が余りおっしゃらないので余り頑張る必要もないのかもしれませんけれども,例えば別の行き方として,具体的にこの士業のうちこの士業についてだけB案にするとか,あるいは,C案は,本文の方はA案だということで言っておられましたけれども,何かただし書きの場合は,こういう場合にはB案になるとか,別のオプションというのはないのでしょうか。 ● 検討はしたのですけれども,例えば弁護士だけに限ってオールマイティーにするという方がそれは規律としては明確だと思いますけれども,本当にそれでいいのかと,紛争性がない事件を扱う,あるいは,司法書士あるいは土地家屋調査士,税理士ができるようなことを弁護士がやるときに,弁護士という資格だけで弁護士だけがB案で取れるというのはやはりおかしいという発想でございます。できるだけ依頼者にとっての必要性を依頼者の氏名とともに具体的に書いてもらう,そう考えますとやはりこういう切り口が一番説明しやすいのではないかと考えたわけです。 ● 基本的にはやはり私は個人的にB案でと思っているのですね。ただ,多分それはこの部会では通らないだろうと思いますので,ある程度のところで妥協するのかなと思っているのですけれども。  一つは,先ほどの,司法権を迅速,円滑に処理するためということの価値判断があるということと,それから,個人が訴訟をする場合と士業の者が紛争手続の代理をする場合のアンバランスという話は,それは必ずしもアンバランスとは私は思わないのですが,それは法律で士業・資格業というのがそれぞれに認められているわけですから,それはその士業に与えられたものと考えていいと思うのですね。それから,従来私がB案だと申し上げていた根拠というのは,我々は紛争性,争訟性を抱えていて,情報としてはセンシティブなものだと言っていたものですから,ここで紛争解決と出てくると私の主張といいますかその根拠を一つ拾い上げていただいたという気持ちはあるのですけれども。  それで,非常に巧みな案だと思うのですが,一つその紛争解決手続代理と一つの士業の間でそういうふうに分けることが,では,うまくできるのかと,それから,職務上請求用紙を2種類つくって適切に使えるのかというところでちょっと不安があるのですけれども,それは日弁連の弁護士側の問題でしょうということになればそれを周知徹底するしかないと思うのですけれども。そういうところにも不安があるのですが,C案というのはB案の次にいい案だなというようなのはありますけれども。 ● それでは,いろいろ御意見をいただきましたけれども,バリエーションはいろいろあり得るのですけれども,一応この部会としてはC案でということでよろしいでしょうか。 ● もう議論はしないのですか。 ● 一応これでとは思っていますけれども。今日で大体確定させると。 ● 一言言わせていただきたいのですが。  まさにC案は,今おっしゃったように,私は,蓋を開ければ,弁護士の方の職務上請求は現行のB案で行くのではないかと,現実,実務は回らざるを得ないのではないかなと思うのですね。ですから,やはり日弁連の側で,さはさりながらも,やはり人の戸籍を見るというのはある種の,幾ら職務上のことだとはいえ,人権侵害であるという自覚を持って切り分けることは切り分けるように御指導をお願いできればと思います。ましてこれから弁護士がまさに司法試験合格者500人の時代から見れば信じられないぐらいに増えるわけですから,今までのようなある種の同室者集団というわけにはなかなかいかないと思いますので,よろしくお願いをいたします。 ● 私が日弁連として分かりましたとはとても言えないのですけれども,おっしゃることはまったくそのとおりで,非常にそこら辺は危惧するところがありまして,何とか我々としてもその辺の周知徹底をもう事あるごとにやっているので,これからも続けていかなければならないとは私たちも思っていますので。 ● 一応C案ということで部会としてはまとめさせていただくということにしたいと思います。  ここで休憩にしたいと思います。           (休     憩) ● それでは,審議を再開したいと思いますが,これからは「戸籍法の見直しに関する要綱案(案)」について全般的な御意見を伺いたいと思いますが,まず,第1の1の「交付請求」について,これまで議論いただいた以外の点について事務当局から説明をお願いいたします。 ● それでは,先ほど議論いただきました第1の1の(2)の「第三者請求」と(4)の「弁護士等による請求」以外の部分について御説明を若干したいと思います。それで,項目といたしましては,第1の1の「交付請求」と3ページ目の2という資料の部分は交付請求の要件にかかわる部分ですので,第1の1と2をまとめて御説明させていただきます。  まず,1ページ目の第1の1の「交付請求」の(1)でございますけれども,これは中間試案の内容についてパブコメ後に認めていただいたとおりで,特に変わっている点はございません。ただ,「注2」のところにつきまして,交付請求をする場合に,自分が戸籍に記載されている本人であると,あるいは,その戸籍に記載されている配偶者でありますよということは明らかにする必要があると考えますし,この点について「注」の方で記載しておく必要があるのではないかということで書かせていただいておりますけれども,必ずしも「注」の記載が必要であるとは思われないかもしれませんので,ブラケットにさせていただいています。  それから,1枚めくっていただきまして,2ページ目の「公用請求」の部分については,中間試案では,この議論の中では,国又は地方公共団体の機関は,その事務を遂行するために必要がある場合には,戸籍の謄抄本の交付請求をすることができるものとするということだけを記載していたのですけれども,では,その事務を遂行する必要がある場合にどのような事項を明らかにすべきなのかという点が不明確であったことから,その事務の種類と請求者の官職と氏名を明らかにしてという,何を明らかにしなければならないかという部分を明確にさせていただいた案でございます。  それから,またページをめくっていただきまして,3ページ目の項目2の「資料の提示等」の部分につきましては中間試案のとおりの内容を記載させていただいておりまして,この点について,中間試案についてパブリック・コメントで意見をかけた際に,資料の提示を求めて交付請求の要件を確認できないときには交付を拒むことができるという規律を設けるべきという意見もございまして,当然,もともと交付請求要件を確認できないときは拒むことができると考えていたわけですけれども,その点を「注」に明記させていただいたところでございます。  「交付請求」につきましての項目1と項目2の説明は以上でございます。 ● それでは,ただいまの説明について何か御意見はございますでしょうか。  どうぞ。 ● 今の○○関係官の御説明の中には入っていなかったのですが,さっきちょっと気になった点を再度念のため確認させていただきます。  「第三者請求」の②で,国等の機関に提出する必要がある場合ということで,裁判所に提出することを念頭に置いた場合に,裁判所からはもちろんこれを出してくださいという形で釈明を求めて提出をしてもらう場合もありますけれども,これから申立てをしようというときに,その申立てのために必要な書類として戸籍の謄抄本を請求する場合であるとか,あるいは,訴訟の継続中に当事者の一方が戸籍に記載されている事項を自ら立証しようということで,特に裁判所からの指示とかということではなしに当事者として戸籍を提出するために請求するという場合などもこの裁判所に提出する必要がある場合ということに含める必要があると考えております。さっきの裁判所から言われていないとだめというのはそうでないという御説明だったと思いますので,その点はそうではないのだということを確認させていただきたいと思います。まずそれが1点なのですけれども。 ● 本当にそれでいいのかというのはちょっと考えた方がいいと思っています。一たん訴訟が係属して裁判手続中に追加資料として出さなければいけないというのだったらまだ分かりますけれども,今から請求を立てて,これを裁判所に持っていくということは,だれでも,どのような形でも,やろうと思えばできるわけですよね。裁判所に持ち込まれる事件というのは非常に多種多様なものがありますので,裁判所に持っていくのだと言いさえすれば①の「権利行使し」ということを具体的に言わなくてよくなるということは引っかかるのですよね。ですから,これだけ第三者請求の要件をきちんと書いて交付請求書に具体的な権利の発生要件も書いてくださいと言っておきながら,いや,②ですと言われれば,その記載が要らなくなるというのは違和感があるのですけれども。 ● それは従来の中間試案を出されたときの説明とは変わっていると思いますので,今そこをひっくり返されるとなるとこの案でいいかどうかというのはすぐには承諾できないことになります。従来は,中間試案でも両方の要件は「又は」でしていて,後段,「又は」以下の方についてはそうではないという,私がさっき申し上げたような理解での説明がなされていたというふうに思っていて,急にそれがだめだということになるとかなり影響が大きいと思うのですけれども。 ● この裁判の関係についてはほかの自治体から話があったところなのですけれども,裁判所の方で事件継続証明書だとか申立て受理票だとか,そういったものを出してもらって,それでもって確認をして交付するというような話があったのですけれども,実際そういうような手続というか処理というのはされていらっしゃるのですかね。 ● 私の方でかねてこの部会で申し上げているのは,そういう扱いでは当事者の方が困るということを申し上げています。申立てをする前に申立ての相手方を特定したり,申立書に添付する書類として戸籍謄抄本が必要な場合が類型的に多いと,そのために言っているので,申立てをしてから裁判所からそういう紙をもらって,また市区町村役場に取りに帰ってということでは申立ての相手方を誤る場合もありますし,訴訟の進行も遅れる可能性があるということで,まず1点としては,申立てをしようとするときに,その申立てに必要なものは申立てをする前に戸籍謄抄本が取れなければならないということであります。 ● ①は必要ないという,そういう御趣旨ですか。 ● これはさっきも御質問をした①の「権利を行使し」というものにどのぐらいのものが入ってくるのかということともかかわってきます。権利というものにそういう手続的な申立権のようなものも含めて考えてもらえるのであればかなりの限度でカバーできるかもしれませんけれども,権利というのは何かもっと実体的なものだということになったときに,すべての裁判手続をカバーできるかどうかというあたりはちょっと疑念があります。 ● そうすると,だれが見ても主張自体失当で,証拠調べに入るまでもなく訴え却下されるような案件であっても裁判所に提出するということだけを書けば戸籍謄抄本は取れるということであったはずだということなのですか。国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合という要件は設けておりますけれども,裁判所に提出する必要があるということに加えて,どういった訴訟を提起するからということは言わなければいけなくて,その中に①の発想というのが入ってくるのではないですかね。 ● どこの裁判所にどういう事件を起こすかということは,請求の事由,必要があることを明らかにするためには書くということだろうと思うのですけれども,その当否を市町村長において判断するということはできないのではないかと思うのですね。○○幹事がさっき挙げられたような火星人がうんぬんというのは,これはだれから見ても失当な訴えかもしれないけれども,この種の訴えが失当かどうかということは少なくとも申立てを受けた裁判所において判断することであって,その前提として戸籍謄抄本が取れないという話ではないのではないでしょうか。 ● 火星人であれば取れないのではないですか。どうなのですかね。 ● それは,客観的には通らないかもしれないけれども,主観的には通ると思っているものについて訴訟を利用して紛争を解決する道を閉ざしていることにならないですか。 ● 訴訟の内容について,先ほどお話があったように,当否の判断を市長がするということは非常に厳しいと思うのです。それを求められても恐らく市区町村の担当者としてはできないですよね。市区町村の担当者としては,本当に裁判をするために必要な書類,裁判に使うのだなということが確認できればいいのかと思うのですけれども,それだと相手の口だけで申請者ベースで言ってしまうと本当は出さなくてもいいものを出してしまったということにもなりかねないので,その辺をどうやってきちんと守れるようにするのかというところが非常に気がかりなところなのですけれども。 ● 要するに,裁判を受ける権利と正当な理由がなければ人の戸籍謄抄本は取れないというそれをどう調整するかという問題だと思うのですよね。  ②の要件を立てる場合でも,どういった性質の機関に提出するかによって交付請求書に書かなければいけない内容というのはやはり変わってくるのではないかと思うのですね。まさに税務申告をするために税務署に提出するということであれば簡単でいいと思いますけれども,裁判所に提出するということになると先ほど申しましたように内容は無定形なわけですから,そこは裁判の当否で勝てるかどうかというのを市町村で判断するのは土台無理な話ですけれども,そこはある程度具体性を持った記載を求めるという運用は合理性を失するわけではないと思いますが。 ● それは②の提出する必要がある場合に当たるかどうかという中で読み込むのだろうと思うのですけれども。 ● 運用の問題としては,裁判所に提出するのだというだけではちょっと足らない気がするのですけれども。 ● 提出する必要があるということについては,本人だけがそう思っているということではなしに,ある程度客観的なものは必要なのではないかと思いますけれども,さっき申し上げたのは,裁判所から言われていないとだめだということではないだろうと。 ● それはそうでしょうね。 ● それから,そのときに,②で裁判所あるいはその他の手続をするために国の機関に提出するというときに,①を重畳的に被せるという発想ではなかったのではないかと。 ● 念頭に置いていたのは,やはり,毎年提出をしなければいけないとか,提出するのが義務であるとか,そういった定型的なものを主に念頭に置いてはいましたけれども,①と②は別要件ですので重畳的に係るという理解ではなかったのではないかというとそれはそのとおりではありますが。 ● だから,この点は中間試案前の部会で再三確認させていただいて,その疎明の仕方も基本的には請求書に本人が書いた内容で足りる場合が多いという前提で議論を進めさせていただいて,そういう前提でまた我々の方も全国の裁判所の意見を聞いて意見を述べているところでありますので,またその辺が変わってくるとなるとそれで実務が回るのかどうかという点は検証をした上でないとこちらとしては責任を持って判断できない。 ● 必要性についてある程度具体的に書かすという運用自体は許容できるわけですよね。 ● 提出する必要があることは明らかにしないといけないわけですよね,具体的に。 ● そうですよね。その必要性の中にある程度の権利関係を書いてもらうということでもよろしいのですか。 ● それを市町村長が判断するのに必要かどうかということになりますけれども。単に訴訟提起のため提出先は裁判所と書くだけではなくて,もう少し書くということですかね。 ● そうですね。 ● その辺だと,先ほどの,弁護士の方のような紛争代理権を持っている方だと余り細かくは書かなくてもいいよと,一方で,個人でやる場合については相当細かくいろいろ言ってもらわないと困るよというその辺になるのですよね。 ● ①で行けば,そんなに違わないでしょう,多分。ただ,②で行って,ただ裁判所に出しますというだけではだめだという,なぜ裁判所に出すのかというところはある程度書かないといけないでしょうというのが今の議論だと思うのですけれども。 ● ①についても,その権利の行使というのは具体的にどういう内容ですかというのはどう判断するのでしょうか。 ● それはなかなか難しいですよね,それを具体的に列挙するのは。ただ,自分はこういう権利を持っていて,債務者が死んでしまっていて相続人を探したいのでとか何か,そのぐらいは書くということなのではないでしょうか。 ● そういうのだったらその契約関係を,債権債務の契約関係だとかというのが確認できればある程度は動きが取りやすいかとは思うのですけれども,隣の境界線の関係で紛争が起きているとか,迷惑がかかってしまってどうのこうのとかという話になると,市区町村の担当者としてはそれが本当なのかどうか全然分からないですし,やろうと思ったけれどもやはりやめてしまったよということで情報だけ入手するというようなことも出てくるのかなというのが心配なところですよね。 ● 前回の議論でしたか,貸金業者には,原則,契約書を提出させるというような扱いだと言われていまして,すべてについてそういう疎明資料みたいなものが存在するわけではないわけですよね。今言った筆界特定とか境界争いなんかは持って来させてみても市町村では分からないと思いますし,不法行為の損害賠償請求なんていうのは,単純なものもありますけれども,建物に瑕疵があったとか,医療過誤とかという損害賠償請求を立ててきて,請負人が死んだとか,医者が死んだと言った場合にどうするかという,何を出させるのかというのは非常に難しい問題があると思うのですよね。だから,基本的には,そういった場合にはもう交付請求書の記載自体からそういった権利の存在の蓋然性を読み取って,疑義があればもちろん追加資料の提出は求めるにしても,原則としては交付請求書の記載によって判断するというようなことにならざるを得ないのかなという感じはするのですよね。そうであれば,裁判所に提出するという場合も,どんな訴えを提起するのかというようなことを請求書に書いてもらうということは考えられると思いますけれども。 ● ②については,やはり,地方公共団体等の機関に提出する場合という形ではなくて,提出する必要がある場合となっているわけで,基本的には必要性については自治体が第一次的に判断することになるわけでしょうから,その必要性を認めるものとして家裁に夫婦関係調整の調停申立てとか,そういうふうに書けばある程度必要性があるという場合に当たるという形になるのではないかと思います。夫婦関係調整が家事調停という形でいいのかどうか,そこはちょっと微妙なところなのですけれども。  基本的にはここら辺のところはある程度通達等で,例えば,税務署は,相続税の申告にはこういうものが必要とされているとか,そういう窓口に対する必要書類というのはある程度知らせるとかそういう形になっていくわけですよね,具体的には。 ● 第三者請求は今回の提案でも具体的事由を明らかにしてということを柱書きで書かせていただいていて,これには交付請求書にはちゃんと具体的に書けよという思いが込められているわけでございまして,やはり定型的に裁判所に提出するとか調停の申立てをするということだけでは足らないという整理にはなっております。 ● あと,○○幹事が御質問された点で,もともとこの中間試案の案をつくる段階で御議論をいただいたときに最初に資料でお示ししたのは,自己の権利を行使するために必要がある場合として,国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合というのを独立の要件として最初は掲げなかったのですけれども,まずその権利というのは何なのかという御質問を受けて,それは債権とか物権とか実体上の権利ですという御説明をした関係で,それではちょっと狭いのではないかという御指摘も踏まえまして,その裁判所とか公的な機関に申請する権限とか申立権とかも含めて読めるような表現で考えてみようということで,自己の権利プラス権限というのをまず入れさせていただいたと。その上でさらに御指摘を受けたところが,厳密な意味での法律上の権利とか権限とか言えない場合でも,公的な機関に提出する必要がある場合もあるのではないかと。そういう場合に,権利・権限行使で読めなくて,国又は地方公共団体に提出する必要があるのに戸籍謄抄本が利用できないというのは問題ではないかという御指摘も受けて,それで①プラス②という要件の立て方をしたという認識でいるのですけれども。  そうすると,①と②というのはすべて重なるわけではありませんけれども,裁判所に申立てをする権限とかという意味ではちょっと被ってくる場合もあるので,要件とすると①と②は独立なのですけれども,その交付請求の際に明らかにすべき具体的な事情とすると②の場合に限っては単に裁判所に提出するだけという,抽象的な内容を明らかにすれば足りるというのではなくて,ある意味では①の事情も含めて裁判所に何で提出する必要があるのかということも明らかにする必要があるということで,実体的に取れる要件とすると①と②なのですけれども,交付請求書に何を具体的に書いてもらうかという点では②の方も①の事情も含めて具体的に明らかにしてもらう必要がある場面もあろうかと思うのですけれども,そういう点はいかがでしょうか。 ● それは,どういう申立てをするとか,どういう訴訟を起こすというようなことは,どこまで具体的に書くかどうかは別にして,それが必要であることが分かる程度には書くという理解はしておりました。 ● 何だか分からなくなってきてしまって,確認なのですが。  ここの②の提出する必要がある場合というのは,本当に裁判所に提出するかどうかを判断するための具体的な理由を書けということなのですか,それとも,提出するのだけれどもそれが必要なのかと。つまり,本当に提出するかどうかというのは,本当に提出するのだけれども,その訴訟が,さっきの話になってしまいますけれども,全く意味のない訴訟という場合もありますよね,でも本当に出すのだと,おれは絶対に出すのだという場合は,この提出する場合に当たるのですよね。ここでの具体的事由というのは,何を判断するためのものですか。 ● 最初の,権利を行使し,義務を履行するために必要があるということであれば,権利の具体的内容あるいは義務の具体的内容を,どうしてそれで戸籍謄抄本を取らなければいけないのかという戸籍との関連性を示していただくということだと思います。国,地方公共団体の機関に提出する必要がある場合というのは,端的に言えば,こうこうこういう書類の提出を求められているというのが典型的な例ですが,難しいのは,裁判所におれは絶対提出するのだというようなものは①の権利行使で大体読めるわけですよね,その切り口が違うだけで。ですから,②の要件だけを独立して考えていいかというのは先ほど来議論があるところですけれども,裁判所に訴状を提出するというのは自己の権利を行使する典型的な例なので,その場合にはやはり①の事情のようなことを全く書かなくて無関係に②だけで取れるというのは質的にいかがかなものかなという感じはするのですけれども。 ● 今のは,②の場合も,権利の具体的な内容を書かせる必要が出てくるということになってしまうわけですか。 ● 訴えを提起する必要があるのだということが分かるように書く,その内実は①の自己の権利の行使と同じなので,それと同一かどうかは議論の余地があるわけですけれども,市町村長は交付請求書の記載だけから,これだったら必要性があるなと判断できる程度の記載事項は求める,それが具体的事由を明らかにしていることになるという整理ですかね。  特に弁護士の方がかんでいる場合は,先ほどの資格者請求のただし書きの方で紛争性を示すという特別扱いになりますけれども,一般私人が訴えるというときになるとそれはやはり無定形だし,どのような権利を行使するつもりなのかと,人の戸籍謄抄本を取るという手段を使ってどのような権利を行使するのかというのを今回はちゃんと見ましょうというのが今回の立法の趣旨だとすると,訴えを提起するということが全くその私人のイニシアティブにかかっていくことであれば,やはり①の考え方というのを削除することはできないのではないかなと思います。 ● 先ほどの不法行為に基づく賠償請求をするというようなことであれば,その不法行為の内容はこれこれだと,こういう被害を受けたので,それに対して裁判に訴えるのだということを明らかにさせるということになるわけですかね。 ● ですから,隣人が火星人を通じて自分に危害を加えているというような事例であれば何を言っているのですかということですけれども,隣人が継続的に騒音を立てて眠れなくて頭が痛くなって昼夜が変わったというようなことが書いてあれば,それは一応不法行為に基づく賠償請求権があるかもしれないというか,蓋然性があると判断するのだと思いますが。 ● 火星人がと言われても,それはないでしょうと僕らは言えない,そんなことあるかと,何でおまえはそんなことを言うのだと言われることになります。 ● 今の話なのですけれども,まさに一番極端な例で火星人が隣人に--火星人だと戸籍はないですけれども,隣人に火星人が乗り移って非常に私に電波を出しているので不法行為に基づく損害賠償請求訴訟をしたいと,裁判所に訴えたいのだと来たときに,これこれで地裁に提訴するためと書かれてしまったらば,きちんと裁判所に提訴すると言われたら,それは,火星人はないでしょうというのは窓口では言えないのではないかと思うのですけれども。それを一体②で読むのか①で読むのかというのはちょっと悩ましいところではあるのですが,ただ,どちらにしても,御本人は自分には不法行為請求権があると言っているし,かつ,裁判で権利を実現するということをだめでしょうと言うのは,これは言えないのではないかと。現実に裁判所に行って棄却されてというそのプロセスはとにかく経させてあげないといけないのだと思うのですけれども。  だから,もっとさかのぼれば,よく分からないのですけれども,これは,提訴するときには相手方の特定のために戸籍謄本を要求するという理解でよろしいのでしょうか。 ● それは事案によります。相手方をそもそも特定できていないと,特定した上で訴えを起こすという場合に,その特定性がはっきりしないときには訴状にその特定に使った戸籍謄本をつけたりして訴えを起こすこともあります。それから,例えば,未成年者に危害を加えられた場合に,その監督義務者を特定するために戸籍謄抄本を使うとか,法定代理人を特定するために戸籍謄抄本を使うというようなこともあります。契約の相手方に対して貸金の返還請求をするというような場合には,戸籍謄抄本は必要ありません。 ● そうすると,今のは火星人がうんぬんで隣の人というのが明らかだと。これは①なのですか。 ● 火星人を使った隣の人が死んで隣の人の相続人に請求したいという場合ですよね,想定しているのは。 ● それはもう①でクリアに読めるのではないでしょうか。 ● 権利は主観的なものでいいということですか。 ● そこまでは,その段階では。 ● 火星人は除くと書いたらどうですか。 ● 火星人が乗り移っているという。そこまでは無理ではないかと思うのですけれども。 ● 火星人と書いて請求したら,一般の国民の皆さんはどう思いますかね。だから,明らかにだれが見てもおかしいというのは排除しないと,それは,市町村は何をやっているのだということになってしまうのではないでしょうか。だから,難しい,境界線はあると思いますけれども,明らかに市町村の担当の方が見ておかしいというのをそこで受けつけたら,国民の信頼がなくなってしまうのではないですかね。 ● 確かに,戸籍謄抄本を取られた人,訴えられた人が何で出したのかと言ったら,いや,火星人だと言われたということで,何でおまえはそんなことで出すのだと,それは言われる可能性がありますよね。だけれども,一方では裁判を起こしたいと言っているのに,あなた,火星人はおかしいでしょう,だめですよと言うのも本当にそれでいいのかと。それを言ってしまってどうなのですかね。言ってもいいものなのですかね。 ● 今,火星という非常に極端な例が出てくるわけですが,これが月になり,北極になり,だんだん近づいてきたときにどこで線を引くのかということで,そういう主観的に紛争があると感じているときに訴訟を起こす権利というのはまさに裁判を受ける権利としてあるわけで,その当否をそこで判断するような話ではないのではないかというふうに思うのですけれども。 ● 権利の存否とかそういうものは最終的に裁判所が判断をするのだから,区役所の窓口が,あなたには権利がありませんよとかということは言えないわけですよね。ただ,明らかにおかしいというのはやはり除かないと確かにまずいのではないですかね。 ● 怖くて言えないですよ。 ● 実際に運用を開始してみないと分からないところはあると思うのですよね。 ● 他人の戸籍に入っているのだけれども,実は自分の子供なので親子関係の訴訟をするのですとか何とかと言われたら,それはやはり出さざるを得ないのかなという気がするけれども,たとえ怪しいと思っても。それは出さざるを得ないのかなという気はしますね。 ● 隣人が火星人を自分の家に派遣したとかと言うのならあれですけれども,何か隣人が火星人の指示によって私を殴ったとかと言えば,殴ったこと自体は不法行為になりますので,それは余字記載として出すことも考えられないわけではないですよね。 ● ある程度そういう行為があれば明らかですよね。 ● 一方で,その種のことは,別に火星人が登場しなくても殴ったことまで診断書をつけて戸籍謄抄本の請求をしないといけないということは,多くの国民に多大な手続負担を課すことになるのではないかという感じがしますね。 ● そこまでは実際には想定されないのだろうと思いますけれども。 ● 提出する必要ということで,例えばパスポートの請求のために外務大臣に旅券の申請をすると,そこに戸籍謄抄本をつけるというのも,パスポートの窓口からあなたは戸籍謄抄本を持ってきなさいと具体的に言われているわけではなくて,パスポートの申請をするときには戸籍謄抄本を提出する必要があって,自分がパスポートを申請しようと思うから戸籍謄抄本が要るわけですよね。 ● それは(1)の問題ではないですか。 ● パスポートの場合は旅券法でもって戸籍謄本というものがありますよね,項目が。 ● 本人ですかね。  では,パスポートは例が悪かったかもしれないですけれども,国又は公共団体の機関に提出する必要がある場合ということについては,繰り返しになるのですけれども,さっきの係属証明書とかとも関係するのですけれども,その機関から具体的に言われていなくても,自分がそういう機関に対して何らかのアクションを起こそうと自分で決めて,その前提として戸籍謄抄本が必要になる場合というのもあるだろうと,それも提出する必要がある場合に含めて考えるべきだということを申し上げたかったので,パスポートは適切でなかったのかもしれません。 ● 今のような場合だと,大体定型的にどこかにルールとして書いてあるのではないですか。こういうことを申請する場合には,本人請求でない場合ですけれども,相手方なり何なりの戸籍謄本を,これとこれとこれの書類を添付してくださいというのが定型的に決まっている場合は問題ないと思うのですけれども,訴訟の場合ですと本当にケース・バイ・ケースということなので,この②に,例えば私は提訴しますと言って,ダイレクトに②に当たるかというと,まさに本当に隣人の人を,生きている隣人自体をダイレクトに訴えようとするときには,戸籍謄本の提出は要らないわけですか。裁判所としては,出せとはおっしゃらないのですか。 ● その被告となるべき者の特定ができていれば別に要らないと思います。 ● ですから,そこのところが②にダイレクトに入るのは気持ち悪いというところなのではないかと。何か②に入るものというのは,現実に役所が何か提出証明書を出す,出さないにかかわらず,これは要りますよねと定型的にみんなが納得している場合というふうに私は理解をしていたのですけれども。ですから,裁判所の場合はまさにケース・バイ・ケースだとすると,訴状は受理されたけれどもちょっと分からないので追加して書類を持ってきてくださいという形の場合はこの②に入ると理解をしていたのですが。 ● さっき○○関係官が説明された権限とも関係するのかもしれませんけれども,例えば家庭裁判所の場合だと,四親等内の親族が成年後見開始の審判の申立てをすると,これはどこで読むことになるのでしょうか,申立てをするに当たって事前に戸籍謄抄本を取って四親等内の親族であることを証明する書類を申立書に添付すると。 ● 権利で読めるのではないですかね。申立権あるいは自分の近親者について成年後見人を選任してもらうそういう権利があるのでそれを行使するために必要があるという①で読めると思うのですけれども。 ● だから,権利にどこまで入れるのかという話で,そういうものも全部含めて考えることになるのでしょうか。 ● だから,①の権利というのはかなり広いものだという整理は一応していたところですけれども。  いずれにしても,義務づけられた場合でないと②で読めないとはこちらでは考えておりませんので,それは②に該当する場合もあるわけですけれども,やはり必要がある場合ということですので,②に出す場合で,かつ裁判所に提出する訴状のように定型性がないものについての必要性の判断のための記載事項として①のポリシーというのは当然やはり考慮されてくるという整理になるのではないですかね,最後は。 ● あえて①が考慮されるとまでは言わなくてもいいのではないかと,必要があるかどうかを判断してもらうということではないですかね。そのときには,裁判所であればやはりどういう訴訟をするのかということを言わざるを得ないということではないでしょうか。  ほかの点はいかがでしょうか。 ● もう1点,すみません。  3ページの資料の「資料の提示」のところの「注」について御説明があったので,ここに限った話ではないのですけれども,市町村長が交付請求を拒んだ場合には,その拒む旨の処分のようなものが行われると理解してよろしいでしょうか。 ● 観念的にはそこで何らかの処分があるものと思います。 ● よろしいですか。  それでは,一応第1は大体以上でよろしいでしょうか。  次は,第1の3ですか,「本人確認等」というところです。  ここについて事務当局から御説明をお願いします。 ● 第1の3,3ページ目でございますけれども,ここは中間試案のとおりで要綱を考えるということで御議論をいただいていたところなのですけれども,中間試案と表現が変わっている部分は,例えば(1)のアの最後の2行ですけれども,「運転免許証を提示させる方法等により明らかにさせなければならない」という表現にこの要綱案の案ではなっています。中間試案では,「運転免許証を提示する方法,その他市町村長が相当と認める方法により明らかにしなければならない」という表現をしていたのですけれども,その「市町村長が相当と認める方法」という表現を「等」という表現に変えさせていただいています。  この点については,運転免許証以外に定型的に示せる部分については,ある程度の規則化,通達化という形で示していく方が全国統一的な取扱いという観点からしてもいいのではないかという点にも配慮して,単に「市町村長が相当と認める方法」という表現よりも「等」というところで,規則とか通達とかで今後類型的に示せる部分についてはそういう形で示していくような方向で考えられる表現として「等」とさせていただいています。  それから,(1)のイと(2)につきましても,「市町村長が相当と認める方法」という部分を「等」という表現に変えさせていただいております。それは,今説明した趣旨と同じでございます。  それから,「注」の記載といたしましては,本人確認ができないときにはこれらの交付を拒むことができるというところはもともとそう考えていましたけれども,それを「注」で明確にしたという点でございます。  以上です。 ● それでは,今の御説明について何かございますでしょうか。 ● そういう形で規則化等を図るというのは自治体によってばらばらではないということで大変いいと思うのですけれども,(2)の委任状を提出させる方法等もあるのですけれども,これについても,この「等」もある程度の規則化とか類型的なものを示すという方向で考えられているのでしょうか。代理人,使者の場合ですけれども。 ● 代理権限のところですよね。それもそのような方向で考えているところですけれども。 ● この中には,例えば事務所の所員の身分証明書とか,そういうのも含めて考えていらっしゃるのでしょうか。 ● 法律事務所の事務員が請求を代理するとか。 ● それはもちろんそういうことでございます,資格者の請求の場合はですね。 ● そうすると,ある程度本人確認についてはこういう手法でやりなさいよということが明らかなものとして規則なり何なりで示されるということですね。 ● 原則はそうですが,全部書けるかどうかは検討してみないと。 ● 自治体によっては,規模の小さいところだとみんな顔見知りみたいなところがありますので,そういったところまで全部出してというのはなかなか事務処理が円滑にいかないようなところも場所によってはあると思いますので。 ● ですから,法律レベルでは市町村長が相当と認めるというのは書けないかもしれませんけれども,規則,通達レベルでは「その他市町村長が相当と認める」というのはバスケット・クローズで残る可能性はあると思いますが。 ● 中身の話は今後の課題だと思いますけれども,本人確認のここの部分は住民票の写しの請求とほぼ戸籍の場合の本人確認というのはパラレルになるものですから,ちょっとよく連絡を取らせていただいて,現場で混乱しないように,ここら辺はほぼパラレルな形でやってくるかなと思いますので,その点はまたよろしくお願いいたします。 ● それでは,ここは特にほかにはよろしいでしょうか。  次は,第2の「除かれた戸籍の謄抄本謄の交付請求」というところですが,ここについてはわずか1行なのですけれども,特にこれまで大きな変更はないのですけれども,これでよろしいでしょうか。  それでは,ここはこのままということで。  第3の「届書を持参した者の本人確認等」というのは先ほど部分的に御議論をいただいておりますので,残りの部分について事務局から御説明をお願いします。 ● それでは,第3の「届書を持参した者の本人確認等」について御説明させていただきますけれども,まず4ページ目の項目1のところで,「届書を持参した者の本人確認」という表現にさせていただいたのは,中間試案をつくる段階で御指摘があったり,その後指摘を踏まえて,中間試案の「注」のところでも本人確認というのは届書を持参した者,窓口に持参したのがだれであるかどうか,それが届出人であるかどうかを確認するものであるという注書きをさせていただいて,その表現にあわせた形で項目の1について「届出を持参した者の本人確認」という表現にさせていただいています。  それから,項目2,3につきましては,中間試案後の部会の議論を踏まえまして,項目2については本人確認ができなかった届出人があるときは,届出を受理した上で通知をするという内容でございます。  3の「不受理申出」の部分につきましては,これは中間試案の提案どおりで了承をいただいておりますので,特に変更した点はございません。表現振りで,「届出がされても自己の」という部分を追加で記載していただいたぐらいで,内容的には変更はございません。  以上でございます。 ● それでは,第3について御意見はいかがでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● 3番の今つけ加えられた点なのですけれども,「自己の本人確認のない限り」というのはちょっと意味がよく分からないのですけれども,あらかじめ不受理申出をした人がこれは確かに私が出しましたということで直接確認をするという趣旨なのですか。これは,届出人の本人確認のない限りというか,そういうことでしょうか。表現ですけれども,「自己の」というのではなくて「届出人の本人確認」という手続ですよね。その手続に乗らないという趣旨ですか。ちょっとよく分からないのですけれども。 ● 一たん不受理申出をした人がまた撤回しないでその届出が出てくるということを想定しているのではないですか。 ● 出た場合に,こういうのが出ましたがあなたは確かですかということなのか,それとも,来た人にその場で確認をするということなのですか。 ● それは両方あり得るのではないでしょうか。 ● 不受理申出を受けるときに,私自身が来たとき以外は証明書なんかは出さないでくれと,自分が来たときは免許証を出すよと,そういうのをあらかじめ言ってもらうのですよね。その書類でないときについては全部断ってしまいますという,恐らくそういう意味なのかなと思うのですけれども。 ● 今の○○委員の御質問は,1の「注」で言う「本人確認」と「自己の本人確認」の整合性がとれているのかという言葉使いの御質問ですよね。 ● 「自己の」という部分を挿入させていただいたのは,届出人というのは,婚姻届であれば夫になる方,妻になる方のお二人がおられることになるので,単に「自己の」という限定をかけないと,例えば婚姻届で,届出人は夫と妻がいて,夫の方があらかじめ不受理申出をしていた場合に,その不受理申出というのは夫自身が窓口に出頭して本人確認ができない限りは受理しないように異議申出ができるという制度なのですけれども,それを妻の本人確認ができない限りと読める可能性があるので,「自己の」という限定をさせてもらったのですけれども,分かりにくいですかね。 ● 3で言うところの本人確認というのは確かに1の本人確認と若干ニュアンスが違っていますので,言い換えるとすれば,自己が届書を持参した場合でない限りこれを受理しないよう申し出ることができるものとするというような意味だと思うのですね。 ● 「あらかじめ」は2行目の「受理しないよう」の後に入った方が分かりやすいような気がするのですが。ここに入っているから分からなくなっているのではないですか。 ● 内容はそんなに御異論がないのだと思いますけれども,もうちょっと分かりやすい表現に,そこは事務局で工夫していただきたいと思います。 ● 3のところも,別に内容的には何の異論もないのですけれども,段取りとして,この申出があったと,ところが届書が出たと,その後はどういう手続になるのでしょうか。手続及び効果というか。受理しないよう申し出ることができるというのは,逆に言うと,受理できないという状態になるわけですかね,受理してはならないという義務を市町村長が負って,その後,本人確認の手続に入る義務も出てくるのでしょうか。本人確認しないでもう放っておいてもいいのでしょうか,あるいは,それで本人確認をしたらどの時点で受理の効果を発生させるのでしょうか。ちょっと参考までに。 ● 恐らく不受理申出があると,その申出というのは不受理申出をした人の本籍地の方に送られまして,そこに旗が立てられます。それ以降,申出人,その不受理申出をした人に関する1に掲げてあるような届出があった場合に本籍地に受理照会をして,これは本人確認がない限り受けてはいけないものだと,不受理申出が出ているものだということになると,これは不受理処分になるというか,不受理申出をした後の届出は,そういった申出が先行しているときには不受理処分になるということですよね。  では,その後,不受理申出をした者が出頭をして,自分が免許証を持って来た場合には,これは本人確認がされる場合ですので,その場合は受理されるということに記載上はなりますが,恐らく実務としてはそういった不受理申出を一たん撤回してもらってから受理するという扱いになると思います。 ● 一たん不受理処分をしたということは,もうその届書は突き返したということになるわけですよね。 ● そうですね。 ● 後からやはりよかったのですよと言ったからといって届けが復活することにはならないという,それは今と同じなのですか。 ● そうですね。今でも,問い合わせが来た場合については,これはだめですという形でやっています。受けてしまった場合もたまにはあるのですよね,出ていたけれども受けてしまったと。そうしたときは法務局の方に通知というか連絡をして取消しというようなことでやっています。 ● これは,今後,出ているのに受けてしまったら違法だということになりますよね。 ● そうですね。問い合わせをしなければいけないというのは,自分に本籍があればいいのですけれども,ない場合については必ず問い合わせをして不受理申出が出ているかどうかの確認をした上でないと受理できないという形になるかと思うのですね。それで,あなたのは不受理の申出が出ているからそれをまず撤回してくれと,その後でないと受けられませんよという手続になるかと思いますが。 ● 窓口は一応全部受け取ってしまうわけでしょう,分からないわけだから。受けつけてしまうわけですね。 ● 特に夜間窓口や何かで婚姻届や離婚届を出しているという場合があるのですね。そのときは一時預かりで翌日確認をして,また本籍地に確認の上,だめということになれば不受理だよという扱いになるかと思います。 ● いや,出ているか出ていないかは分からないでしょう。 ● 分からないです。確認しないと。  ただ,今度は,もっと厳しく法律で出てくると,確認できない以上は受理できませんというような話になりますね。 ● さっき質問した趣旨は,こういうのがあると市町村の方で申出をした人にこういうのが出ていますけれどもいいのですかという確認をしないといけなくなるのかなと思ったのですが,それは,今,○○幹事の方は,そうではなくて,もうその時点で不受理処分ということで戸籍事件としては終わるという御説明だったので。 ● 撤回した上で再度出し直させるという話ですね。 ● 第3についてはよろしいでしょうか。 ● 今まで話は余り出ていなかったのですけれども,婚姻届や離婚届の場合には証人の欄があるのですけれども,今現在は欄に記入があるかどうかのチェックだけなのですね。それが本当に実在の人物かどうかとかというそこまではしていないので,本人確認まではちょっと厳しいかと思うのですけれども。 ● 名前と押印があれば本当に実在しているかどうかはチェックしないのですね。 ● チェックは全然していないですね。そうすると,効果があるのかなという気はするので,余りやりたくはないけれども,後で住基ネットで検索をかけるとか,何かそういうことになるとまた違う取扱いになってしまうかなと。  たまにあるのは,離婚届を出しに来る,証人欄に書いていないではないかと言うと,それでは書いてきますと言ってどこかに行って,10分後に書いてきましたという事例もないことはないのですけれども。筆跡も違うし,だめだとも言えないし,困ったなというのは正直なところです。 ● それは私文書偽造になりますよね。 ● ただ,本当に証人にやってもらっているのかどうかは。 ● その辺を通りかかった人に書いてもらったということだってあるような気もしますけれども。 ● 筆跡は確かに違うとかね。 ● ただ,この問題は遺言とかほかにも全部波及しますよね。 ● ちょっとすみません,1のところにある「注」の確認なのですけれども。窓口に持参した者がだれであるかという確認と,その者が届出人であるかどうかを確認するということは,使者の場合は入らないと理解していいのですか。 ● 届書を窓口に持参した者が使者の場合ですか。 ● 両親が婚姻届を持ってきましたというケースの場合,あなたたちはこの人たちの御両親ですねというのは確認するとして,御本人たちの使者ですということで,それはいいのですか。 ● そこで使者ですと言っていただいても余り意味がないですよね。要するに,届書がそのお子さんの婚姻届であれば,持ってきた人がその人以外の人だというのが認定できれば,その人の名前だけ確認して受理して通知するというだけの話なので。 ● それだけの話なのですか。 ● だから,そこで,あなたには持ってくる代理権があるのですかというようなことはもう調べないです。 ● 今の関係でいくと,だれであるかを確認するということになると,だれが持ってきたかというのは当然届書の方に記載するという前提で書いているという理解ですよね。 ● 持参者は書かないよね。 ● 書かないと,婚姻届の用紙には,届出人を書くところはあるけれども,持参者を書くところはないわけですね。 ● 届出人でなければもう意味がないわけですね,どんな人でも。 ● 届出人でなければもう通知するということだけです。  ただ,虚偽の届出があったときにだれが来ていたのかというのは参考になるので。 ● それぐらいですよね。戸籍の流れとしては,御本人でなければもうだれかというのは余り意味がないと。 ● その持参した者がだれであるかというのは,婚姻届は妻が持ってきたのか,夫が持ってきたのかを確認して,夫が持ってきたなら夫で,その人が届出人であるかどうかを確認し,その場合,妻が来ていなければ妻に通知すると,そういうことですね。 ● そうですね。 ● その両名から頼まれて持ってきましたという人がいたらそれは確認するのですけれども,Aさんという人が私は頼まれて持ってきましたという,そのAさんが持ってきたということはどこかに残すのですよね。 ● こちらの方の請求の場合は,使者の場合ですけれども,使者がだれであるかというのを確認するということで,いわゆるここでは罰則の担保があるのでなりすまし防止とかということをやるよという流れが出てきて,この届出の場合は代理はないのだけれども,使者の場合も,そういう意味では当人には通知するけれども,結局,偽装の届出か何かを担保する手段としてはだれが持ってきたかというのは当然書かせるのかなと。  実は私どもの住民票の写しの方は当然のことながら代理も,転入・転出の届け,代理権限があれば代理も認めていますので,その場合は今の運用でも届出をした人はだれかというのは実際上書かせているので,多分そういうふうになるかと思います。 ● 登録者ですね。 ● いや,届出の申請書……。 ● 登録というか,転入の届出を……。 ● 創設的規定ではないので,届出義務者というのは世帯主なり世帯本人ですけれども。 ● 窓口に来た人を。 ● そうです。だれが届出をしたのかという。  つまり,それである意味ではなりすまし防止みたいなところがあって,確かに通知によってというのもあるのですけれども,確かこちらの本人確認の請求のところは使者とか何かも書かせることによってそれもある意味での抑止力になるのだという議論だったので,こちらの使者の方も先ほどの記述があるので要は書かせるのかなと思ったのですが。ちょっとそこの意味で言うとなりすまし防止みたいな,後から整理するのは通知が行った場合なのですけれども,通知の場合もいろいろな条件があって,必ずしも通知だけで発見できるかどうかは分からないという意味からすると,何かなりすまし防止の防止策としてはだれが持ってきたかというのは何か書かせる,そこは様式に書くのか実態の取扱いをやるのかはちょっと分かりませんけれども,様式の方なのですかね,という方が何となく今までの議論の流れになるのかなと思うのですけれども。 ● 運用としては多分書かせているのではないですかね,実際に持ってきたのはだれなのかというのは。 ● 婚姻届だとか離婚届については,届出をする者は婚姻をしようとする者が届け出る,また,離婚しようとする者が届け出るということになっています。それで,様式の中では届出者の欄がありますので,妻か夫が記入するという形になっています。使者の場合は受けつけるかどうか。 ● でも,使者は受け付けているのでしょう。 ● 郵便でも別にいいわけですから,届けさせてもいいわけですよね。 ● 使者の場合,使者で本人が両方とも来ていない場合は,受理はするのですか。 ● ですから,受理して通知するという扱いにしようということでやっているのですが。 ● 使者だけが持ってきた場合でも受理はされるのですね。 ● ただ,本人確認をきっちりしようという今回の立法提案ですので,実際に持ってきたのはだれなのかというのは当然運用としてどこかに多分記載すると思うのですよ。仮にそれが虚偽の届出であれば公正証書原本不実記載で罰則がかかりますので。 ● だから,そういうのを,今の様式でもし何かあれば,多分様式なのかどうかは知りませんけれども,多分そういう前提になるのかなと思っていまして。私どももそれをやりたいと。代理人であろうが使者であろうがだれが届けたかというのはちゃんと書かせるようにしないと,今,○○幹事がおっしゃったように,罰則の担保がかからないものですから。 ● 2項で,前記1の届出があった場合でというのは,1は本人確認を行うものとするというので,一方の本人確認だけができているような届出というのか,それとも,前記1の届出というのは,婚姻,協議離婚……,それの届出という趣旨に読むのか,そこのところがちょっと紛らわしいような気がするのですが。 ● 前記1の届出というのは,婚姻,協議離婚……。 ● この五つの届出を指すということですね。 ● そうです,それを指しています。 ● 私が1,2,3で使者のことを持ち出したのは,1番の「届書を持参した者」というこの書き方がいかにも使者風の書き方なので,ところが,2,3になると確認するのは「届出人」ということになっているので,1と2と3とで余り合っていないなというので,注書きを見るとどうもこれは使者が持ってきたものは想定していない規定になっているので,どうなるのかなと疑問を感じたわけです。  ですから,典型的に,両親が持ってきた場合は全然記録は残らないけれども,普通は受け付けていますよね,婚姻届なんかは。特に離婚届なんかは一方が持ってくるし,本人以外が持ってくる場合もあるけれども,それは普通に受け付けるということで,それでこういうのが出ましたよということを届出人とされている当該本人たちに通知をするというだけですよね。 ● これは,議論の最初から「本人確認」と言っているときには,窓口に来た人間ではなくて,届出人本人の確認というのでずっと議論がされてきたと,そこが今のようにちょっと分かりにくいところは確かに分かりにくいのですけれども。ですから,窓口に来た人間の確認というのは正面から今までずっと議論していないのですよ。それがちょっと分かりにくいところなのですよね。  ちょっと「注」か何かで書きますかね,窓口に来た人間の取扱いを。というか,第三者請求の場合の本人確認という本人と一応平仄は合っているのかな,前はちょっとずれていたような感じがしたのですが。 ● その人がだれであるかの確認という意味だけで「本人確認」を読んでいただければ,届書を持参した人がだれなのかを見るという意味で「本人確認」という言葉の実態を表しているのではないかと思うのですけれども。 ● 中身としては,私はこちらで,前回と違って届書を窓口に持参した者がだれであるかという要件をかっちり書いたので,確認する事項はだれが持ってきたかというのを確認すると,その場合は,やはりそこは私はこういう立場の者で持ってきたというのは当然書かせて,かつ,その人がいわゆる届出ができる人間かどうかというダブルのチェックをするというのを明確にしたので,これは前回よりも非常に分かりやすくなったなと思っているのですが。私は,確認的に,当然,持参者がだれであるかというのは書かせるのだろうなと思ったのですけれども,それをちょっと確認しただけです。  ですから,先ほど申しましたのは,そこはきちんと書かせるというのがこの中に含まれているということであればいいし,もうちょっと書いた方がよければ,ちょっとそこは違うのかもしれませんけれども,請求のときと同じようにだれが届けてきたかは当たり前だけれども書かせるみたいな,本人だったらもう様式に書いてあるからいいのですけれども,使者の場合も何となく読み込めるような文案を。概念としてはこれで分かるかなと思うのですけれども。認識としては,今,○○幹事がおっしゃったように,書かせて担保しておいていただきたいというのが,もしそれを考えていないということであれば意見ですけれども,そこの意見は御一緒だと思いますので。 ● 今までは「届出人の本人確認」という表現だったので紛らわしかったですけれども,「持参した者」という表現になったから,そのために使者の問題が顕著に出てきてしまって。 ● 現実問題としては,使者というのは実務でもあるし,私ども住基にもあるものですから,その場合に,よくあるのは,本人になりすますのもあるのですけれども,使者になりすます方が事案としては多いものですから,そこの担保のためにはだれが持ってきたかというのを身分証明書等で確認するというのは,私はそういうようなことを今考えていまして,ただ,ここにそこまで書くのがいいのかなというバランスもあるものですから,使者の場合だけ書くのかなというのはあるのですけれども,実際の運用としては多分使者について確認するということは身分証明書等で,先ほどの請求の本人確認と同じように運転免許証であなたはだれですかというのを確認しないと通知をするかどうか窓口で判断できないということになると思いますので,多分要素としては入っていると思うのですけれども,ちょっとどこまで書くかの問題があると思いますので,そこら辺は整理をしていただければと思います。 ● それでは,実質は大体分かりましたので,表現方法については事務局でお考えいただくということにしたいと思います。中身については大体よろしいでしょうか。  最後に,第4の「その他」というところについて御説明を最初にいただきたいと思います。 ● 第4の「その他」でございますけれども,項目1,2,3とございまして,1,2につきましては中間試案の提案について前回の部会でも御了承いただいたということで,そのまま記載させていただいています。  項目3の点につきましては前回の部会で新たに不服申立手続について提案させていただきまして了解をいただいたと認識しておりますので,その旨を記載しております。  なお,項目2の「制裁の強化」につきましては,前回の部会で刑罰化も視野に入れて検討をするということでございますけれども,こういう刑罰化が可能かどうか,可能としてもその範囲がどうなるかという点についてまだお示しすることができる段階ではございませんので,とりあえず項目2につきましては中間試案のとおりとさせていただいておりまして,さらに具体的に書ける事項が出てきましたら追加をしたいと考えています。  以上でございます。 ● それでは,御意見をお願いしたいと思います。  どうぞ。 ● 1の「学術研究」のところで,「注」に医学研究を目的とするものに限定されるわけではないというのが入ったのですけれども,具体的にはどういうことを想定されているのでしょうか。 ● ここに書かせていただいたとおりで,ほかに何が出てくるかというのは分かりませんが,疫学調査というのが医学に含まれるかどうかもよく分かりませんし,いずれにしても戸籍謄抄本を取られる人のプライバシーとの関係で公益性があると認められるような学術であれば,別に医療の発展を目的とするものでなくてもいいのではないかと,歴史学的なものでも必ずしもだめというわけではないと思いますが,いずれにしてもこれは個別判断ですので。 ● 今までだと,歴史的なものだとか,ある方の,功績を上げた人の戸籍を確認するというようなのはだめだというような取扱いになっていたかと思うのですけれども,そういったものについても今後は必要があれば。 ● 分からないですね。それは,やはり目的とか研究内容を実際に法務局に照会いただいて判断しないと分からないですよね。ですから,余り具体的な定型的な判断というか基準をここで示すわけにはいかないので,とりあえず学術研究という抽象的なもので括らせていただいているということなのですが。 ● そうすると,形としては従来どおり法務局の事前承認を得たものについてということで。 ● この「注」が広く認めるというような誤解を与えるような感じがするということであれば,これは削っても構いませんので。 ● そんな感じがしますね。 ● そうですね。では,やめます。 ● 2番の「制裁の強化」については,次回以降にもまたできればということですか,それとも,もうこの部会としては難しいという御判断ですか。 ● 次回の部会には多分何らかのものをお示しできると思うのですが,ただ,次回で最後の予定でございますので,それについてはちょっと次回の部会の前に個別に御相談をさせていただければと考えております。 ● ほかにいかがでしょうか。  どうぞ。 ● 質問ですけれども,第4の3にございます「不服申立手続」の「交付請求に関する市町村長の処分の適否を争う手続」の市町村長の処分というのは,一番典型的には,あなたには出さないよということと理解してよろしいのでしょうか。 ● 交付請求の却下処分のようなものです。 ● ほかにいかがでしょうか。  どうぞ。 ● ちょっとこの項目とは離れてしまうのですけれども,前回のときに交付するべき証明書がどうのこうのというお話があって,結果的には難しいからということで表現が消えてしまったかと思うのですけれども,戸籍というのはいろいろな個人情報がたくさん含まれていますので,できるだけそれを,必要な情報を提供するというのは必要かと思うのですけれども,それ以外のところまで出していくというのは果たしてどうなのかなという気がします。それなので,何らかの形で戸籍の証明書を持ってこいと,提示を求める方に対してその辺の何が必要なのか,その項目を明らかにして求めなさいというようなことは,法律上は難しいとしても,何かそういう措置を講じる必要があるというようなことは何か匂わせていただければという気がするのです。  また,本来であれば出す方も必要な項目のみ出す一部事項証明書というようなものを中心に必要なものだけ出すような方策も考えられればと思うのですけれども,これは電算化等の関係もあるので,全部の自治体が対応できるわけではないというその辺の事情もありますのですぐには言えないのですけれども,そんなようなことも思うのですけれども,そういう要望みたいなことを出すのは難しいのですかね,こういうのは。 ● 前回の部会資料41の第1の8の注3のところで書かせていただいていまして,謄本の請求があった場合に,明らかに個人事項の抄本で足りる場合にはそれのみを出すということは判断がやはり難しいということだったのですが,そもそもこの問題は戸籍の証明書を持ってこいと言う側が必要最小限のものを求めるべきであるということはそれ自体そのとおりだと思いますので,法務省としても関係各省にそのような必要最小限の証明書を求めるようにしてくださいというお願いを行うつもりでおりますので,その点は議事録にも残っておりますのでこちらの方で配慮させていただきたいと思います。 ● ほかの点はいかがでしょうか。  よろしいでしょうか。   それでは,一応第4は,先ほどの「注」の「学術研究の目的」のところはこれを削ると,それから,「制裁の強化」については刑罰も視野に入れてということで,最終的な要綱案の中ではある程度そこも踏み込んで書くということで,一応一通り要綱案については御議論をいただいたということで,一応本日予定していた御審議は以上ですけれども,次回の予定について事務局の方からご連絡をお願いいたします。 ● 次回は12月19日(火)の1時半から,会場はここでございます。要綱案の御採択をいただくという予定をしておりますので,よろしくお願いいたします。  今日いただいた御意見等を踏まえましてこちらの方でもう一回表現振り等をチェックいたしまして修正して,できれば事前に送らせていただいて,12月19日に採択ということにさせていただければと考えておりますので,よろしくお願いいたします。 ● では,今日は長時間にわたりまして御議論いただきましてどうもありがとうございました。これで閉会にしたいと思います。 -了-