法制審議会電子債権法部会 第12回会議 議事録 第1 日 時  平成18年11月28日(火)   自 午後1時00分                          至 午後5時25分 第2 場 所  東京地方検察庁会議室 第3 議 題  電子債権制度の整備について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ● それでは,時間になりましたので,法制審議会電子債権法部会の第12回会議を開催いたします。  今回は委員,幹事の異動はございませんので,まず事務当局に配布資料の説明をお願いいたします。 ● 今回の会議の配布資料は,事前送付させていただきました部会資料14の電子登録債権法制の私法的側面に関する要綱案(第1次案の下)1つだけでございます。この第1次案の下は,要綱の第1次案の後半部分でございますが,前半部分とちょっと書き方が変わっているところがございまして,登録事項から先に書いているという違いがございます。これは,条文の作成を意識したものでございまして,前半部分につきましても,第2次案におきましては,同じように登録事項から先に書くという方向にしたいと思っております。  それから,中間試案から案を絞った点,あるいは実質を若干変更した点とか,新たな論点などもございますが,それらにつきましては,それぞれの部分について注記をさせていただいているところでございます。注記をしていないところで,実質を変更した部分はないというふうに私どもとしては理解しておりますけれども,そうでないということであれば御指摘をいただければと思います。  以上です。 ● それでは,本日の審議に入りたいと思います。  本日は,この部会資料14の電子登録債権法制の私法的側面に関する要綱案(第1次案の下)に基づきまして,議論をしていきたいと思います。  この資料は,前回の部会資料13よりは分量がやや少ないですが,それでも質権などについて詳細な注が付されております関係で17ページに及んでおります。当部会が要綱案を取りまとめるまでに残された期間を考えますと,本日はこの資料の全部について一通り御議論をしていただく必要がありますので,よろしくお願いいたします。  なお,いつものように,審議の途中で区切りの良いところで,休憩をとりたいと思います。また,5時の時点で議論すべき事項が相当残っております場合には,また区切りの良いところで,もう一度休憩をとりたいと思います。できれば,今回はこの2度目の休憩をとらないうちに終わりたいと思いますが,よろしく効率的な審議に御協力をお願いいたします。  それでは,まず部会資料14の「第6 電子登録債権の消滅」の部分で,これまでの案から変更を加えた点,特に御議論をいただきたい論点などを中心に,事務当局に説明をしていただきます。 ● それでは,「第6 電子登録債権の消滅」について御説明いたします。  まず前注を3つ付けさせていただいておりますが,前注1に書いておりますように,中間試案におきましては,電子登録債権の消滅については第4という項目としており,その1番目として「支払の方法」ということで,支払の方法について法令上は規定を設けないということを書いていたのでございますけれども,要綱案は規定を設けるものについての案でございますので,ここの部分は記載しないということにさせていただいております。  それから,前注の2でございますが,中間試案におきましては,まず支払について書いてその後に支払等登録を書いて,それから支払以外の消滅原因ということで書いていたのですけれども,支払等登録は消滅事由が生じた場合全般についての登録手続でございますので,まず実体法に関する部分を先に書きまして,最後に手続である支払等登録を書くというように順番を変更させていただいております。  それから,前注の3でございますが,これも中間試案では第3という項目で,「支払等の効力と支払等登録との関係」というのを取り上げまして,その(1)で支払を受けた債権者との関係ということで,支払を受けた債権者との関係では,支払った時点で債権債務が消滅するのだということを書いていたんですが,これは民法どおりの当たり前のことで電子登録債権特有のものではございません。そうなりますと,電子登録債権につきましては,民法は,特に適用除外しない限りは,基本法として当然適用されるという前提でございますので,ほかの部分と平仄をとりまして,この部分は要綱案には特には記載しないという形にさせていただいております。  それから,同じ項目の「(2) 支払を受けた債権者以外の者との関係」と,5の弁済以外の消滅原因の「(1) 相殺」ですけれども,ここの部分も第三者との関係では支払や相殺が人的抗弁の一部を構成することになるということ--この人的抗弁については,前回の部会で御審議いただきましたように,譲渡のところで扱っているわけですけれども--その人的抗弁とは何ぞやという解釈問題を注意的に書いたものでございますので,規定を設けることはないだろうということで,要綱案には記載しないということにしております。  したがいまして,これらの点については,要綱案には記載していませんけれども,中身としては中間試案と変更はないという理解でございます。  次に,要綱案自体に書いてあることを申し上げたいと思います。  まず1の支払免責でございます。ここには注をつけておりますように,中間試案におきましてはA,B両案を併記していたわけでございますけれども,中間試案に対する意見照会の結果を踏まえまして,また前回の部会で御審議いただいた人的抗弁の切断の例外について主観説を採ることで決まったということと合わせまして,平仄をとる形で従前の中間試案のA案(主観説)を採るという形にしてございますけれども,これでよろしいかということを議論していただきたいと思います。  それから,混同については変更はございませんで,消滅時効でございますが,中間試案では支払期日から3年間という言葉を入れていたんですけれども,この注に書いておりますように,起算日を支払期日という形で明記することはかえって妥当ではないということで,起算日は明記しないと。民法も起算日を明記していないものが普通でございますので,それに合わさせていただくということでいかがかということでございます。  その次の支払等登録ですが,冒頭にも申しましたように,中間試案や要綱案の上では,まず当事者の請求,次に管理機関による登録という順番で,時系列に従って書いていたわけですけれども,条文の作成を念頭に置きまして,登録事項から先に書いて,請求権者や請求事項を次に書くという形にさせていただいております。ですから,中身が変わっているわけではないということでございます。  中身の方ですけれども,(1)の登録事項の②でございますが,注に書いておりますように,中間試案におきましては,支払等にかかる債権の金額と支払等の内容を別の登録事項として書いていたわけですけれども,両者は内容的に重複いたしますことと,特別求償権や法定代位が生じた範囲を登録記録上明確にすることが望ましいであろうということ,それから,電子登録債権の一部のみについて支払等があった場合の残債権額を登録記録上明確にする必要があるということから,元本充当額を含む支払等の内容を登録事項とするという形にさせていただいております。  それから,次の④でございますが,ここは中間試案では正当な利益の有無というふうに書いていたのですけれども,有無を書かせるというのは余り例がないものですから,正当な利益がある場合にのみ,そのことを登録していただくということでいかがかということでございます。  それから⑥でございますが,これは発生や譲渡のところと同じですけれども,従前の業務規程で定めるものとしていたものを,政令で定める事項というふうにいたしまして,政令で業務規程で定めるという形に規定するということにさせていただきたいということでございます。  それから,その次に「(2) 支払等登録の請求権者等」のaの請求権者でございますが,まず①ですけれども,当該支払等登録についての登録義務者というのを挙げております。この登録義務者というのは,前回の要綱案の第1次案の上に書いておりますように,登録上,当該登録がされることによって,直接に不利益を受ける者でございますので,質権が設定されている場合に,質権の被担保債権の支払がされたときは,当該質権者が登録義務者になり,質権の実行によって電子登録債権の支払自体がされたときは,質権者と質権を設定した電子登録債権の債権者の双方が,共同の登録義務者となるという理解でございます。この理解は,実は中間試案のときと全く変わっていないわけですけれども,登録義務者と書くことによって,より明確になっているのかなと思います。これでよろしいかということをご議論いただければと思います。  それから次に,より大きな変更ですけれども,③のイの登録債務者でございます。4ページの注をごらんいただきたいんですけれども,中間試案では支払等をした者のみが債権者等--つまりここでいう登録義務者ですけれども--の全員の承諾を得て支払等登録をすることができるとしていたわけでございます。しかし,これはやはりまずいのではないかと考え直したわけでございます。その理由は,ここに書いてございますが,まず電子登録債権を自働債権とする相殺が行われた場合や,電子登録債権の免除がされた場合には,支払等とした者というのは,相殺の意思表示をした者あるいは免除の意思表示をした者ということになるわけですけれども,それは債権者ということになってしまいまして,債権者は登録義務者として自分で単独で支払等登録をすることができるわけですけれども,その債権者が支払等登録の請求をしてくれないときに,債務者側が請求できるようにする必要があるわけでございますので,ですから,この場合は支払等をしていない相殺を受けた,あるいは免除を受けた登録債務者に請求権を与える必要があるというのが第1点でございます。  それからもう一点が,債務者以外の第三者が支払をしたという場合に,当該第三者が支払等登録の請求をしないときでも,登録債務者はそれで免責を受ける場合がありますので,その免責を受けたことを登録上明らかにするために,登録債務者には支払等登録の請求をするという利益があるだろうと考えられます。  そこで,中間試案とは変えまして,登録債務者につきましては,支払を自分でしたかどうかにかかわらず,登録権義務者の全員の承諾を得れば,支払等登録の請求をすることができるという形に改めさせていただいたということでございます。  それから,その1つ飛ばしたハですけれども,イまたはロに掲げる者の相続人その他の一般承継人でございます。払った後に支払等登録の請求をしないで死んでしまったとか,支払等をした者を消滅法人とする合併が起きたということがございますので,ここでも相続人その他の一般承継人に支払等登録をする利益があるということで,これを認めようというものでございます。  それから,その次は同じ4ページの(3)の請求の際に提供すべき情報でございますが,その②の中央,5ページに書いてございますが,中間試案では業務規程によって支払等登録の請求をする際に提供を義務づける情報というものを用意し,さらにそのうちの登録事項として請求を義務づける事項というものを用意するという形にしていたわけですけれども,業務規程で定める事項というのを,先ほど申しましたように政令で定めるという形にしておりますので,政令で定めるときにそれを2段階に分けて登録まで要求する事項と,請求の際に提供することを要求するだけで登録事項にはならないものというものは,政省令段階で分けるという整理にさせていただいているということでございます。  それから,その次でございますが,(4)の当事者の請求によらない支払等登録でございます。ここは実は中間試案のまま全然変えておりません。その理由は,注にありますように,金融審議会における審議結果を踏まえて詰めなければいけないということで,まだ金融審議会が明日に開催されますので,その議論を踏まえてここの表現を改めたいということによるものでございます。金融審議会で検討されている管理機関が送金手続に関与する場面というのは,ここの注に書いておりますイ,ロ,ハの3つの場合ということになっています。従前は,例えば代理弁済受領権を管理機関が受けて,そしてその代理弁済を受けるというような構成とか,あるいは管理機関が債権者から債権譲渡を受ける,あるいは債務者から債務引受を受けることによって,管理機関の口座へ振り込まれた時点で支払がされたことになるようにするというやり方もあるということが,この部会でも,あるいは金融審議会でも議論がされたんですけれども,その後の金融審議会での御議論の現在の状況は,管理機関は専業でなければならないということとなっております。これは兼業になりますと,兼業部分の経営がうまくいかないということによりまして管理機関としての業務も破綻するということが起きる恐れがあって,それを防ぐためには兼業部分においても監督検査をしなければいけないということになるという問題があり,それから兼業部分と管理機関業務との間のファイアーウォールというんですか,チャイニーズ・ウォールというのか,そういうのを設定しなければいけなくなるとか,非常にややこしい問題がいろいろ起きるということから,専業で処理すると。それによって,どの業態の企業が管理機関をつくる場合でも,公正な競争が行われるようにするというような観点で,専業にすべしという意見が大勢になってきていると認識をしております。  その関係で,兼業ができませんから,代理弁済受領とか債務引受とか,債権譲渡を受けるとか,そういうこともできないということで,イ,ロ,ハという3つの形に整理されており,かつ,送金を行ったり入金を行ったりしてそれを確認するのは金融機関であって,その連絡を金融機関から管理機関が受けて,職権で支払等登録を行うという説明のされ方になっているわけでございます。  第6の関係は以上でございます。 ● それでは,今御説明いただきましたけれども,特に議論をしていただきたい論点について,先に議論をしていただきまして,それ以外の項目については最後にまとめて御意見をいただくというそういう形で進行をさせていただきます。  まず,この第6の「1 支払免責」について御議論をいただきたいと思います。これは中間試案ではA案,B案とが掲げられていた論点でありますが,今回の原案は支払をしたものに悪意または重大な過失がある場合には,支払免責が生じないとするA案を採用することとしております。これは前回の部会におきまして,人的抗弁の切断の例外につき,悪意の抗弁を認めるということでまとまったことと平仄を合わせているわけでありますが,こういう整理でいいかどうかということについて,御意見をお伺いしたいと思います。  どうぞ,どなたからでも御発言をお願いいたします。もうこれまで散々議論をした問題点ではありますので,特に御意見ございませんでしょうか。  それでは,この点についてはこの原案のとおりということで,これは確定するということになりましょうか。確定したということに扱わせていただきます。  それでは,次に「4 支払等登録」に移りたいと思います。これにつきましては(1)の登録事項につきましても,(2)の請求権者につきましても,実質的な変更を加えている項目や案を絞った項目があり,また,(4)のいわゆる職権による支払等登録につきましては,金融審議会における審議結果を踏まえて,具体的内容を定めることにしたいということであります。  この支払等登録の全部,2ページの下の方から5ページの(4)のところまで通して御意見等をお伺いしたいと思います。  どうぞ。 ● (4)の当事者の請求によらない支払等登録に関してなんですけれども,この場で議論するのがいいのかどうか,ちょっと金融審議会の方で議論されているということなので,ちょっとどうなのかなと思いながら質問させていただきたいと思うのですけれども。  今の原案では,特にその管理機関が支払等登録を職権で行うことについての方法的なものは,余り具体的には定められていなくて,ただし金融審議会の方で具体的にここで掲げてあるイ,ロ,ハの方法というのを念頭に置かれて検討されている。そこに支障がないような形で定められるというスタンスで今望んでいるということですね。 ● そのとおりでございますが,このイ,ロ,ハで金融審議会の方がまとまって,またこの部会でもそれでよろしいということになれば,それに合う形に(4)の本文を直させていただきたいと思っておりますので,このイ,ロ,ハについても御意見があれば,いただければと思います。 ● そういうことでしたら,御意見を申し上げたいと思うのですけれども,ここでイの方法は,債務者サイドの金融機関がその支払等のデータをもとに管理機関の方に連絡をして,管理機関が支払等登録を行うと。ロは逆に,債権者サイドの金融機関がこれを行うということになっていて,ハもほぼこれと同じだと思うのですけれども,方法が違うというだけで,ロとハは同じだと思うのですけれども,この3つの方法がメインで検討されているということなんですけれども,この場合の金融機関というのは,すべて決済の関係で銀行になると思うのですが,果たしてこれだけで実際に回っていくのかなというのがちょっと疑問に思っています。そこについて,こういうことになるんだという御説明をいただければ幸いでございます。  一つリース債権とか,クレジット債権を流動化するケースなんですけれども,リース債権やクレジット債権を電子登録債権として登録した上で,対抗要件具備とかが非常に簡単になったり,後の安定性の問題等もありますので,流動化するケースがあると思います。その方法としては,信託する方法とか,SPCを使う方法とか,そのまま流動化してしまう方法ももちろんあると思うのですけれども,その場合,いずれも,特に信託方式であれば,現状もございますので信託方式を説明させていただきますと,信託された債権についての回収というのは,本来であれば受託者である信託銀行がやることになるんですが,データ等の受渡しであるとか,いろいろなシステム上の問題,請求のスキームの問題等もあって,すべてオリジネーター,元の債権者の方に回収委託されるというのが実際でございます。  そうしますと,実際にこのイ,ロ,ハのどれかができるかというと,もしイをやろうと思えば,すべての債務者の銀行口座ですね,リース債権にしろ,クレジット債権にしろ,数千件から数十万件の流動化をやっているわけですし,全体の量からいうと膨大な量になると思うのですけれども,1件でそのくらいなので数百万件とかなってしまうんですけれども,個別に回収受託者であるリース会社,クレジット会社が債務者データを結局その金融機関に提供しないといけなくなる。それから,債権者口座という場合でも,やはりリース会社,クレジット会社は債務者口座よりは少ないですけれども,各金融機関にすべて口座があってそこから回収をするということなので,やはりそちらを経由して報告しないといけないということになります。  そうしますと,最初から銀行はデータを持たないわけですから,サービサー会社としては,まず信託銀行にその内容を通知した上で,信託銀行から各口座の方を管理している金融機関の方に連絡し,さらにその金融機関がその管理機関に通知するということになりはしないかと。結局,そのデータを持っている会社の方から機関の方に直接すなわち債権者の回収委託を受けている者ですけれども,こちらの方から報告するというそういった道も必要なように思うのですけれども,そのあたりはこのイ,ロ,ハのスキームの中に含まれているのかどうなのか,そのあたりをお教えいただけたらと思うのですけれども。 ● ○○委員がおっしゃられたことを正確に理解できたかどうか,やや自信がないんですけれども,信託を例に挙げられたと思うのですけれども,ここで言っている金融機関というのは,信託における受託者である信託銀行のことではないんです。イの場合は,その債務者から債権者口座への送金はある金融機関が行いますので,要するに債務者の銀行口座を管理している,銀行口座なのか郵便貯金かも知れませんし,農協かもしれませんので,先ほど銀行じゃないかとおっしゃったんですけれども,銀行法上の銀行には限らないので,信用金庫,信用組合あるいは協同組織金融機関が含まれるという,そういう理解でございます。  要するに,広い意味での金融機関だと思いますけれども,証券会社を除くことになりますが,そういう預金債権を管理している金融機関ということになりますけれども,ですから債務者側の金融機関か,債権者側の金融機関かどちらかと管理機関が業務提携するということを前提にしています。先ほど○○委員は,オリジネーターが回収代行をするんだから,オリジネーターに情報があってとおっしゃったんですけれども,ここでは電子登録債権ですから,全部管理機関に情報があるはずなんです。ですから,管理機関が債務者側の金融機関か,債権者側の金融機関かどちらかと必ず業務提携をしてそこへ情報提供して送金事務をやってもらって,その結果を教えてもらうという形をとるということを念頭に置いています。念頭に置いていますと私が言うのが妥当なのかどうなのかわかりません。あるいは○○幹事に確認していただいた方がいいのかもしれませんが,私の理解しているところはそういう理解でございますので,それが正しいとすれば,信託の場合でもそのやり方には変わりはないということになるのではないかと思いますが,○○幹事,そういう理解でよろしゅうございましょうか。 ● ええ。こちらの注に書いてある,事務局をやっておりますけれども,一応前回の金融審議会でこれを御提示させていただきまして,特段の異論はなかったように記憶をしております。ただいま委員の御質問ですけれども,答えになっているかわかりませんが,やはり回収をする方が1社で,回収される方はたくさんに上るという場合は,その回収者の銀行口座に債務者からどんどん入ってくるわけですから,その入金を確認した時点で,その管理機関がその銀行との提携契約に基づいてどんどん消す。要するに,支払期日をいついつ回収すべき債権があると。電子登録債権化されている。それでそれがどんどん着金されたら,その都度消してくれというように銀行にお願いをして,それで管理機関はそれを連絡を受けてどんどん消すと。そうすると,債権者は一々請求をして消す必要はないということで,こういうやり方も考えられるのではないかということで特段異論がなかったのかというように記憶をしております。 ● どうぞ,○○委員。 ● 金融審議会は伺っていなかったものですから,どういう議論か詳しく知らないんですけれども,今申し上げた債権の流動化の局面では,今は金融機関の口座に支払われる例をもとにお話をしましたけれども,それ以外にもコンビニ入金等で,最終的にはオリジネーターの預金口座には入ってくるわけです。そういう意味では,今御説明いただきましたように,最終的にはその流動化をやっているオリジネーターの預金口座に入ってはきますので,そこの時点でのデータをその口座を管理している金融機関経由で管理機関の方に提出すれば,これが可能ではあるということで思いまして,それで一つわかりました。  ただ,そうしますと,リースとかクレジットの流動化の場合,非常に件数が多いということで,特にクレジットの場合ですと単価も非常に少ない上に,現在も口座振替の手数料とかを銀行さんにお支払してやっているんですけれども,またさらにそこの費用が非常にかかってしまうのではないかと。簡単にデータを渡せればいいんでしょうけれども,登録のフォーマットに流し込むにしろ,相当な新たな,今現在その回収代行を受けている信託会社に対する報告フォーマットもありまして,こちらの方が真の債権者ですね。そちらのフォーマットと同じであれば,特に問題はないんでしょうけれども,また別途つくるとなると,相当負担も大きくなってしまうのではないかと。そういった問題点があるので,そちらの真の債権者経由という形でいけば,問題ないんでしょうけれども,そのあたりも可能な形に,本来的に可能なんでしょうけれども,実務的には相当負荷がかかるので,そこも検討していただきたいとは思っているんです。 ● どうですか,○○幹事。 ● 今の点ですけれども,この資料には書いておりませんけれども,金融審議会で議論されている内容としましては,その管理機関はこのイ,ロ,ハのどれかを必ず提供できるようにしなければならないと。しかし,債権の当事者がこの方法によらない別の方法で,つまり職権による支払等登録の方法を使うか,使わないかは当事者の自由であるという説明が,金融庁当局からされていますので,今○○委員がおっしゃられたような場合であれば,それはあえて使わないで,オリジネーターが自分の口座に入ったときにその旨を管理機関に連絡して消し込むということで,債務者になられる方とお互いに了解をとって,そういう措置をとることは金融審の議論では別に禁止はされていなかったのではないかと理解をしているところなんですけれども,金融審のメンバーの○○幹事から言っていただいてもいいかと思いますけれども,それ以外の金融審のメンバーの方々も,そういう理解でよろしいかどうか,確認させていただければと思います。 ● では,○○幹事,どうぞ。 ● 私の後に○○委員にお願いをしたいと思いますけれども,今の○○幹事のおっしゃるとおりでございまして,高い金を払ってまでその職権で消してくれなくてもいいという方は,それはそれでいいわけです。ところがやはり多くの方は,やはり電子登録債権というのは支払ったのに消えないというのは非常に怖いですから,基本的には支払ったら消してほしい。それも債務者も債権者も請求するというような面倒くさいことを抜きに,何かきちっとした情報をつかまえて,もう管理機関が職権で消してほしいと。これが非常にニーズに合うということで,そのサービスを求めて若干のお金を払ってでも,そういう同期的な管理サービスを求める債務者が多かろうと。それを便利と思う債権者は多かろうということで,今のところの議論では,電子債権管理機関は,そういう職権で抹消できる能力,具体的には銀行間送金の情報をつかまえて,債権者からの請求を待たずに抹消できる能力は持ってください。それはそれを要望する債務者のニーズにこたえられるように持っておいてくださいということで,利用者が特にそういうのは要らないというのであれば,それは必要ない。何か振替機関でもDVPを求める方は手数料100円で,求めない方は手数料50円とかなんかそういうのがあるように,そこはやはり利用者のニーズに合わせて管理機関のサービスを使う使わないという選択肢があると,このように考えております。 ● ○○委員,どうぞ。 ● まず,○○委員がお考えになっている電子登録債権化がどのレベルで行われるかでも,まず違ってくると思うのです。リース債権やクレジット債権のもとの元債権の方自体を電子登録債権にするのか,それともそれを証券化して特定目的会社なり,あるいは信託が発行する流動化されたその証券を電子登録債権化するのかによって,話が違ってくると思うのですけれども。おそらく電子登録債権にするのは,さっきおっしゃった真の債務者とおっしゃいましたけれども,証券化された後の信託会社なり特定目的会社の支払債務をそれらを流動化して,それを電子登録債権にして流動化するということが,まず考えられるのではないかと思いますので,その場合はまさに信託銀行あるいは特定目的会社の支払を銀行が確認するということになると思うのです。おそらく元の原債権のところまで電子登録債権にすることまでは,多分,普通は考えていないのではないかとは思うのですけれども,もし仮にそこまでするんでしたら,やはりそれも同じように,原債権の債務者からオリジネーターへの支払を確認してということになると思うのですけれども。  ですから,実態は全く今と変わらなくて,現在だって両方の支払をやっているわけですね。金融機関の口座を使って。それを単に管理機関に伝えてもらって,そしてそれによって消込みをするということだけですから,現在と全然変わらなくて,実態として変わるところがないと,私は理解しているんですけれども。 ● 説明ではよくわかったんですけれども,職権でやれる場合とそうじゃない場合とがあるというのはよくわかりました。今○○委員のおっしゃったところで,現在と同じではないかとおっしゃっておられるんですけれども,銀行には全くデータがありませんので,かつ,同じ債務者の同じ口座から債権者の口座に入る金額も,現実には合算請求というのをやっていまして,複数の契約の分を一つの引き落としなどでやっておって,その後に実際はオリジネーター自身の債権と流動化している債権でも,流動化のどの場合の信託に入っているということで,全部別々なんでですね。それは1回入ったものを充当して個別にデータごとに処理をしないといけない。それをまた戻さないといけない。全部が戻るわけではなくて,この場合だと電子登録債権になっているものだけが戻っていくということになるので,そこはかなり現状とは違うというか,新たなシステムが必要だということだけはちょっと御理解をいただきたいなと思うのですけれども。 ● そうなると,そのプラスアルファの言わばサービスを提供するということになるんでしょうね。それによって,今はそのオリジネーターがやっているサービスを合わせて,言わば金融機関からの,金融機関はあくまでその口座に入りましたよという情報なので,それとそういう現在オリジネーターがやっている情報と合わせて,そしてそれを管理機関の方に伝えて,それを管理機関が消込みを行うと。多分そういうイメージになるので,これは例のCCPと同じような話になってくると思いますね。それはそれでまたもう一つ考えなければいけないかもしれませんね。  管理機関自体は,そういうことを判断できる能力がありませんから,まさにさっきの専業でそういうことまでやらないことを前提にしていますので,それをもしそういうサービスまで受けたいということであれば,それを受けて,そのCCPからの連絡があればそれでもってその支払等登録をやってもらうという,もう一つのものが入ることになるので,これは結局原則に戻って,自動的にはやれないというさっきの話になってくるんじゃないかなと思いますね。 ● よろしいですか。それは金融審議会でさらに御検討いただいて……。 ● そこまでやると,もう一段上のサービスが提供されることになるので,ここで考えているのはもっと単純な場合の例だけを考えてやっているということだと思います。 ● こちら側というか,法務省が関与する規律としては,これはこれでということになりますかね。 ● それでよろしゅうございますか。 ● ほかにそれでは,この(4)のところに関連して御意見等ございませんでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● ただいまのところは,したがってCCP型なんかを考えた場合には,銀行が確認したから全部自動的に消されるというのでは困る取引もあるはずだというのが,○○委員の御発言だと思うので,そういうものについては,その集中計算センターでの処理が終わって,支払等登録を請求したものについて消してもらわないと,銀行の方で補足して消されるというのが全部ということになると困りますという御意見だと思うのです。それはそのとおりだと思うので,それはそういうものが留保される形であるべきだと思います。  私が申し上げたいのは,この(4)の本文の1行目なんですけれども,「管理機関が電子登録債権の支払に係る送金手続をする場合には」と書いてあるんですけれども,これはちょっと誤解を招く表現で,これだと何か管理機関がお金を預かって自分で送金手続をするみたいに読めてしまいますので,金融審でも管理機関というのはブックキーピングが基本の機関であって,そしてそのイ,ロ,ハで書いてあるハがちょっとよくわからないんですけれども,イとロについては確実に,先ほどの○○幹事の御発言の中からとらせていただければ,「銀行間送金の情報をつかまえて」ということなんです。だから,管理機関が自分でお金を預かって送金手続をするわけではないので,ここの1行目は「管理機関が電子登録債権の支払に係る送金手続を確認した場合」とかそういうことで文章を修文していただいた方がよろしいのではないかと思います。 ● ○○幹事,どうぞ。 ● まさにおっしゃるとおりでございまして,本文と注が全然合っていないわけでございます。合っていないことは,先ほど御説明したつもりだったんですけれども。ただ,注を本文に上げるには,まだ注の方が固まっていないということがあって,注を本文にそのまま上げられないので,とりあえず本文は中間試案のままにしております。ですから,注が実質で,本文は仮置きになっているだけという御理解をいただければと思います。 ● それでは,この(4)についてさらに御意見等ございませんでしょうか。  それでは,金融審議会の審議の経過も踏まえながら,最終的に確定をしていきたいと思います。  それでは,それより前のところですが,例えば(1)の2ページですが。この登録事項のところについて,②,④,それから⑥について注がございますが,特にこれらの点について御意見ございませんでしょうか。この原案のとおりでよろしゅうございますでしょうか。  それでは特に御異論がないということで,これはこれで確定をしていきたいと思います。それから,(2)のところでございますが,①についてまず注がございますが,この点については注というよりこれは説明でしょうか,こういう整理でよろしいでしょうか。  特に御意見がないようですので,それではあと③の登録債務者のところですが,その4ページの頭から注がございますが,特にこれについて御意見ございませんでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● 意見と申しますか,御質問なんですが。この登録保証人はこの登録債務者に入るんでしょうか,入らないんでしょうか。 ● 入ります。登録債務者の定義は,たしか上の方に書いていたと思いますが,入るという前提で書いています。 ● 入る場合に,主たる債務者の承諾は得なくてよいということでしょうか。 ● 主たる債務が消滅して保証債務も消滅するという場合は,主たる債務者でも保証人もどちらも登録債務者ですので,それぞれ独自に支払等登録の請求はできると。もちろん登録義務者の承諾は必要ですけれども,そういう整理で書いています。 ● 主たる債務者は,登録義務者には入らないわけですよね。 ● 登録義務者には入りません。 ● 入りませんね。そうすると,今の場合ですと,登録保証人は債権者等の登録義務者の承諾を得れば,主たる債務者の承諾なしに支払等登録ができると,こういうことですね。 ● はい,そういう整理をしておりますが。 ● それで支障がないかどうか。主たる債務者の意思に反して登録がなされてしまうという場合がないかどうかということを一応確認した方がよかろうと。今,どんな場合があるかなかなか思いつかないんですけれども,弁済以外の理由によって消滅した場合に,主たる債務者の意思を確認するべき場合がないかどうかを一応確認した方がよいだろうということです。 ● 主たる債務者の意思に関係なく支払等登録がされるとまずい場合があるということでございますか。 ● おそらく大丈夫だと思うのですけれども,主たる債務者が自分の債務が自分の知らないところで消えるわけですよね。保証人と債権者だけで消えてしまうということで問題なかろうかという質問なんですが。 ● それは保証債務についてだけ消えるんじゃないんですか。 ● いえ,私の質問は保証債務ではなくて,主たる債務についての質問です。 ● ごめんなさい,失礼しました。 ● 保証債務だけ消える場合もあれば,つまり特別求償権に切りかわるという場合もあれば,そうではなくて,例えば免除がされたときに主たる債務者は放りっぱなしにしているので,登録保証人が免除があった旨の支払等登録をするというような場合は,主たる債務も消滅するわけですけれども,それで特段,支払等登録というのは単に事実を登録するだけですので,それで特段何か問題があるとは認識しておらなかったんですけれども,何かありましたら御指導いただければと思います。 ● 私は相殺はどうかとか,時効はどうかとか,今考えていたんですけれども,多分大丈夫だと思うのですが,一応念のために確認した方がよかろうということです。 ● それは,それでは事務当局で不都合がないかどうかさらに,今御指摘をいただいた点を勘案しながら検討いただきたいと思います。  ほかに(2)の関連でございませんでしょうか。ハについても注がございますが,これは説明的な注でございますから,特にございませんでしょうか。  それから,あとは(3)のところで②のところに注がございますが,これも説明的なものでございますが,特にございませんでしょうか。  それでは,後は(4)のところで今御議論いただいたとおりですので,よろしいでしょうか。ほかに特に御意見ございませんでしたら,この事務当局の整理のとおりで御異論ないということでまとめさせていただきますが,よろしいでしょうか。  それでは,そのようなまとめにさせていただきます。  それでは,この第6については以上御議論いただいたとおりでございまして,次に第7の……。 ● 第6のその他のところでよろしいでしょうか。 ● その他。 ● その他と申しましょうか,消滅時効について1点御質問です。 ● どうぞ。 ● 起算日を記載しないということでよろしいかと思うのですが,期限の利益を喪失した結果,時効が早く進行することになるわけですが,その時効が進行したということは,これは人的抗弁になるという理解でよろしいんでしょうか。それは時効が人的抗弁になるのか,それとも期限の利益喪失がそうなるのか。つまり,譲受人は支払期日を期限にして,まだこの債権はあるなと思って譲り受けているわけですが,実は時効消滅していたという場合なんですけれども。 ● 一般に人的抗弁というのは,その債務者側が言う主張なんですけれども,消滅時効にかかったということは,債務者側が債権者側に言うことではあるんですが,その消滅時効の時効期間が満了して援用するまでは抗弁にならない反面で,その時効期間が経過して,その時点で援用すれば,それは前者に対する抗弁を後者に言うという関係ではなくて,直接今現在取得している人に対して援用することになりますので,ちょっと普通の人的抗弁とは違うのではなかろうかとは思っておったんですけれども,その辺,手形でも同じ問題があるのかもしれないんですが,○○委員に何か御教授いただけることがあれば。 ● 今のは非常に難しい問題ですね。手形の場合は普通手形面を見ればわかるんですけれども,わからないのが白地補充権が補充されて,そこから消滅時効が進行する場合ですね。いつ白地が補充されたのかわからないものですから,同じ問題がありまして,大議論になって,最近では人的抗弁と考えるべきではないかという説がかなり有力というか,支配的になってきているので,多分それとパラレルに考えることになるのかなと思うのですけれども。これはもう解釈に任せるしかないんじゃないでしょうか。余りにも難しい問題で。  手形と違って,確かに見ただけでは消滅時効が完成しているかどうかわからない場合が出てきますので,そこは難しいかなと。ちょっと私も全部の問題を考えていないので,手形でほかの場合もあるかもしれません。ちょっとそれは考えてみたいと思いますけれども,非常に難しい問題かなと思いますね。 ● どうぞ。 ● 確かに,その期限の利益を喪失したということそのものは登録されないことの方が多いんだろうと思いますけれども,しかし期限の利益があるということは分割払か何かになっていて,しかし分割払の各支払期日のうち,どこかから支払等登録がされていないわけですので,それを見れば,譲り受けようとする人は,「これは支払等登録がある時点からされていないのだから,期限の利益が失われている可能性が非常に高いな」ということはおそらく認識はするのであろうとは思うのですけれども。 ● いろいろな条項が,例えば期限の利益の喪失条項のようなものが,かなり多量なものが書き込まれる可能性がありますので,そうするとちょっとなかなかわかりにくいということが出てくると思うのですね。これは手形では普通は生じない問題なので,ちょっとこれは独自に起きてくる問題で,比較するとしたら,さっきの手形の白地補充権がいつ補充されたか,取得した人にはわからないというような問題と,ある面ちょっと似ているかなという感じはしますね。 ● そうすると,人的抗弁と考えますと,手形でいえば裏書譲渡がされたとき,こちらでいえば譲渡登録がされると,いわば時効と登記みたいな話ですけれども,譲渡登録がされると消滅時効が中断したのと同じになって,もう一回そこから3年間起算すると,そういう感じになるということでございますか。 ● ですから,その時効制度を非常に何というか,公益的なもので絶対こうでないといかんという考えからはかなりずれてきちゃうと思うのですけれども,実際上流通の保護を考えると,そうでも考えないと,確かに取得する人にとっては極めて危険になってしまいますので,やむを得ないと考えるかという,ある面,その時効制度をかなり相対的に考えることになるかという問題になってくるかと思います。 ● この譲受人にとっては,期限の利益を喪失させないほうがいいわけですよね。だから,相対的に考えればいいんだけれども,相対的には考えられないんでしょうね。債権者ごとにとか。 ● 今おっしゃられた相対的というのは……。 ● 最初の債権者との間で何か約束があって喪失させるわけですよね。だから,譲受人との関係でいえば,むしろその条項があるがゆえに時効という問題が生ずるわけで,何か変な感じがしますけれども。  いずれにしろ,この問題は解釈に任せざるを得ないように思いますけれども。  ○○委員,何か。 ● 支払期日後の譲渡登録に関して,前回も議論があったと思うのですが,それとこの消滅時効と合わせて期限の利益喪失をどういうふうに考えるのか。最終的に解釈に委ねざるを得ないかもしれませんけれども,一応検討しておいた方がよかろうと思います。 ● しかし,この原案の整理以外には,ほかに整理はしにくいようですので。 ● 原案これ自体はいいわけですが,これに伴って発生してくる問題があるだろうということです。 ● それでは,ほかにこの第6の電子登録債権の消滅に掲げられている事項の中で,御質問等あるいは御意見等ございませんでしょうか。  よろしいでしょうか。それでは第6はこの程度にいたしまして,「第7 登録事項の変更」に移りたいと思います。中間試案からの変更点があるという点,あるいは特に御議論いただきたい点を中心に事務当局に説明をしていただきます。 ● それでは「第7 登録事項の変更」につきまして御説明させていただきます。  まず1の電子登録債権の内容の意思表示による変更の要件でございますが,ここは中間試案と実質は変えていませんで,書きぶりだけを少し変えているだけでございます。注に書いておりますように,この要綱に「別段の定めがある場合を除き」というのを加えたのですが,これは登録記録の分割とか,電子登録債権の譲渡も電子登録債権の内容の意思表示による変更とも言えなくもないので,それは分割とか譲渡登録の問題だということを明らかにするために書き加えたに過ぎないものでございます。  それから,変更登録の全般的なことは支払等登録と同じでございますが,6ページの「(2) 変更登録の請求権者」の「a 原則的な請求権者」につきましては注に書いておりますように,第10回部会における御審議の結果に従いましてそのとおり直したつもりでございます。すなわち,当該変更登録をすることにつき,登録上の利害関係を有する者だけが,かつ,その全員が変更登録の請求をするんだということでございまして,その変更登録がされる当該登録の当事者であっても,もう利害関係がなくなっている人は,請求権者にはしないという整理に,第10回部会でしていただいたと思いまして,そのとおりしているということでございます。  なお,そのときは「業務規程に別段の定めがある場合に除き」と書いていたんですけれども,前回の部会で変更登録については業務規程による制限ということはしないことにするということをお決めいただきましたので,そのように修正してございます。  それから,次のbの一般承継が生じた場合の取扱いでございますが,ただし書の部分が共同相続に関する部分でございまして,従前A,B,Cの3案をお出しし,中間試案でも意見が分かれたところでございますけれども,比較的B案支持が多かったということと,これまでの審議の結果でもB案支持が大勢であったということを踏まえまして,B案に一本化をして書かせていただいております。なお,C案支持という意見もあったわけですけれども,C案というのは要するに債務者と債権者の場合で分けて,債務者の相続の場合は,各債務者が単独で変更登録の請求ができるという考え方ですけれども,しかしこれを採用しなかったのは,この注に書いておりますように,債務者の相続の場合でも相続の放棄という問題が起きるということは,債権者の相続の場合と同じでございまして,一体だれが債権者又は債務者の地位を引き継いでいるのか,それから幾ら引き継いでいるのかということについては,債権者と債務者の相続の場合の差というのは,程度の差に過ぎないということで,債権者の場合の方が善意取得の問題があって深刻ではありますけれども,債権者に合わせて債務者の方も整理するということで全員一緒にやらないと変更登録ができないというB案で整理させていただいたということでございますが,これでよろしいかどうかということを御議論いただければと思います。  後は特段,説明することはございません。  以上です。 ● それでは,この第7について,特に御議論いただきたい点は,今最後に説明をいただきました(2)のbの一般承継が生じた場合の取扱いのただし書の共同相続の場合の取扱いであります。これについては今説明がありましたように,中間試案ではA案からC案までの3つの案が掲げられており,中間試案に対する意見照会の結果では,それぞれの案について支持する意見があったところでありますけれども,今回の案では意見照会において比較的多数の支持があり,かつこれまでの当部会における審議においても大勢であったB案,すなわち債権者の相続と債務者の相続の双方について,共同相続人の全員の請求がなければ,共同相続を原因とする変更登録をすることができない。そういう案に絞ることとされていますけれども,この点について最初に御意見等をお伺いしたいと思いますが,いかがでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● この点につきましては,金融界からはB案またはC案で,実務的なことを考えるとどちらかといえばC案が望ましいという意見を出しておりました。ここに御指摘いただいているような問題がC案の場合にもあるということであれば,B案またはC案ということですので,B案を採用するということで,特に異存はございません。 ● それでは,ほかにこの点について御意見ございませんでしょうか。  どうぞ。 ● B案ということで,これまでの部会でも大体皆様方の御意見はまとまっていたかとは思うのですけれども,ただ相続の法的な性質の問題としては,他の金銭債権と同じように可分債権,可分債務として相続するんだという考え方と,ここで全員でなければ変更登録ができないという考え方の整合性に問題があるのではないかという指摘が,中間試案に対する意見照会においても若干寄せられているところでございますので,その点については問題ないということでよろしゅうございましょうか,○○幹事。 ● 急に振らないでいただきたいんですが,いや,よくわかりませんけれども,その実体法上といいますか,権利の帰属の形態として当然に可分の状態になっているのかというのと,それを行使することができる状態を整えるために登録を変えるというのはおそらく別問題で,実体的に1千万円の債権が200,200,200,200,200と5人に分かれていたとしても,それをそういうふうに変えるためには,全員の請求が必要だというのは,別に相続の考え方と矛盾しているわけではないのではないかと思いますが。 ● ありがとうございます。ほかにこの点について,御意見ございませんでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● これは確認なんですが,以前私がこの審議会で申し上げたところですけれども,変更を今のように幾ら,幾らに変えるのではなくて,電子登録債権について電子登録債権でなくするという形にして原因債権だけ残す--そういうことができる場合ですね--にして,後は原因債権,普通の民法上の指名債権として分割の手続等をすればいいと,これは可能なわけですよね。 ● それはもちろん可能です。その場合もしかし全相続人が共同で,この電子登録債権をなかったことにするという変更登録なのか,支払等登録なのか,どちらかになると思うのですけれども。 ● その確認なんですが。 ● そのどちらかをやって,電子登録債権はないということを,登録上も明らかにして,指名債権一本に戻すということになろうかと思います。 ● ありがとうございます。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 確認的なことなんですが,共同相続人の相互間で一部の者が登録に応じないというときにどうするか。そのときにお互いにその登録請求をせよという権利があるかどうかということが問題となってくると思うのですが,それはここでは決めないで解釈に委ねる,あるいは例えば債権者代位権の転用が可能な場合にはそれを使うというようなことで,電子登録債権としては特に否定しないという理解でよろしいでしょうか。 ● 解釈に委ねるということはそのとおりでございますが,その解釈はここでお決めいただければと思っておりまして,私どもは当然のこととして,各相続人は他の相続人に対して一緒に相続が生じた状態の変更登録をするように請求する権利があると考えておったんですが,それは何か規定を設けないとまずいでしょうか。 ● 当然にいえるかどうかが,不動産の共同相続の場合に売主の相続人の一部が移転登記に協力しないというケースの問題があったと思うのです。そこで,その相続人相互間で移転登記をせよという権利がもし認められれば問題はなかったと思うのですが,それがないことを前提にして債権者代位権の転用という解決をとったと思うのです。それとの関係で,ここでは共同相続人相互間で登録申請請求権というのがあるといえるかどうか,ちょっと相続一般としてここで決められるのかなという気はいたしますけれども。 ● 今の点ですけれども,不動産の場合は,○○委員がおっしゃったような判例があったということですけれども,金銭債権の場合は,当然の可分債権,当然の可分債務となっていますので,不動産と違って相続の瞬間にもう自分のものであることが確定していますので,そこはちょっと不動産と違うように考えられるのではないかなというふうに,私個人では思っていたんですけれども,そういう解釈ではちょっと弱いですか。 ● 確かに,今おっしゃった考え方は説得的だなと思います。ここでそれを決めることができるかどうかわかりませんけれども,おそらく解釈としてもそういう方向になるだろうなと思いますが,その程度でよろしいということですね。 ● もしも解釈で賄えないということですと,規定を設けるということも検討しなければなりませんので,ここは特に相続人の債権者が差押えをする前提,差押え自体はできると思うのですけれども,差押えをしたものを分割しないと譲渡できませんから,例えば転付命令を受けようと思っても,今の状態では転付命令は受けられないということになりますので,代位して分割してそれに転付するとか,そういうことを考えなければいけないんですけれども,それをするためには,前提として相続人の一部が他の相続人に対してその可分債権になった状態の登録にする変更登録に協力しろという請求権があると考えないと,相続人の1人の差押債権者が,それを代位行使できないということになりますので,そこは解釈で賄えるのかどうかということは,もうちょっと御議論いただいた方がいいかと思うのですけれども,○○委員,どうでしょうか。 ● 今すぐにはちょっとわかりませんね。どっちがいいのか。 ● ではまたそこはもうちょっと検討させていただいて。 ● そうですね。今,○○委員に御指摘いただいた点について,もう少しそれでは不都合が,仮に解釈だけで賄えないということになれば,それはまさに今言われたように規定を設けなければいけないので,その点について継続して検討いただくということにしたいと思います。  それでは,今議論していただいている以外の項目について,この第7のところですが,それ以外の項目について何か御質問,御意見ございませんでしょうか。5ページの下のところから,8ページの上のところまででありますが。おおむねそれ以外のところは,説明的な注になっておりますので。  よろしいでしょうか。それでは,この第7のところにつきましては,先ほど御指摘いただいた点について,もう少し検討いただくとして,それ以外の点については,この原案のとおりということで御異論なかったものとさせていただきます。  それでは,この第7のところはこの程度にいたしまして,「第8 その他」に移りたいと思います。この項目は分量が多いので,まずこの1の質権について審議をすることといたしまして,中間試案からの変更点や特に御議論をいただきたい点について,事務当局に説明をお願いいたします。 ● それでは,「第8 その他」のうち,質権の部分について御説明をさせていただきます。  質権の関係でまず御議論いただかなければいけない大きなところは,(1)の電子登録債権の質入れのbとcの部分でございます。民法362条第2項の規定,これは本来ならば債権質の一種である電子登録債権質にも適用されるはずなんですけれども,これは包括準用規定で,かつ,性質に反しない限り準用するという規定なものですから,一体電子登録債権質にどの規定が準用されるのかがさっぱりわからないという問題がありまして,そこを実体法上わからないままで登録の方だけ規定するというのもいかがなものかというふうに考えまして,民法362条2項による包括準用規定は適用除外して,電子登録債権質に準用される具体的な規定を電子登録債権法の中で列記して準用するということにしてはどうかというのが,bとcの基本的な考え方でございます。  それで,問題となる規定につきましては,ブラケットを付させていただいているものもあるわけですけれども,注にさせていただきましたので,これを順次御説明させていただきたいと思います。9ページをごらんいただきます。  まず1つ目でございますが,346条,375条,398条の21の関係でございます。これは優先弁済権のある利息,遅延損害金の範囲をどのように決めるかということでございます。質権につきましては,346条で,質権は,利息,遅延損害金の年数の限定なしに全部について優先権があるということになっておりますのに対して,抵当権の場合は375条の規定によりまして最後の2年分に限るということになってございます。  不動産質につきましては,この375条の規定が361条で準用されておりまして,この準用の方が346条に優先するというふうに解釈されております。そこで,電子登録債権質をどう考えるかというのがここでの問題でございます。中間試案に対する意見照会の結果では,後順位質権の設定を可能にすべきであって,そのためには包括根質のようなものは認めるべきではないという御意見ばかりだったわけですけれども,それを徹底するのであれば,優先権の範囲は最後の2年分に限定するという抵当権式のやり方が一つ考えられるわけでございます。さらに申しますと,ちょっとページは飛ぶことになりますが,11ページに書いてございますように,「(2) 質権設定登録手続」の「a 通常の質権の登録手続」の⑤でございますが,外国通貨で被担保債権の額を指定したときは,本邦通貨で表示した担保限度額を登録させて,その範囲でしか優先権を認めないと。さらに言えば,その注に書いてありますように,利息,損害金は変動利率によるものは認めないというのが登記実務でして,これは最後の2年分というのを徹底しようという考え方によるものでございますが,そこまで徹底するかどうか。どこら辺で切るのが電子登録債権というものを使いやすくするためにいいのかということを御議論いただきたいというのが①でございます。  それから②でございます。これは転質とか抵当権の処分に関する一連の規定でございます。これらの規定を準用するといたしますと,登録について相当複雑な登録規定を用意しなければならなくなりますけれども,そうなると管理機関もそういうシステムを用意しなければいけなくなるわけですが,これまでもこの部会で何回も御議論いただきましたように,質というのが果たしてどのくらい使われるのか,ほとんど譲渡担保なのではないかということになりますと,システム構築コストばかりかかって意味がないということにもなりかねないのではないかという問題もございます。選択肢としましては,転質もその他の抵当権の処分の規定も全く準用しないという考え方。転質だけは質権自体にもありますのでそれは準用し,ほかのものは準用しないという考え方。それから全部準用するという3つがございます。  それから4つ目として,準用はするけれども管理機関が業務規程で対応する登録を用意しないと,例えば質権設定登録は認めるけれども転質は認めないとか,転質までは認めるけれども抵当権の譲渡とか,順位の放棄は認めないとか,そういうことを業務規程で定めるということはどうかということもあり得ようかと思います。ただ,この点は疑問を呈させていただいているんですけれども,そのように決めるということは,民法の実体規定を準用するかどうかを実質的に管理機関が決めるということになりますので,これは債権ならそれでいいと思うのですけれども,質権は物権なものですから,物権法定主義に反するのではないかという問題があるのではないかとの疑問もあります。  ただ,既に中間試案段階で質権の設定自体を認めないという業務規程でもいいんだということになっていまして,それは中間試案で異論はほとんどなかったところでございますので,全然認めないのがいいのなら一部だけしか認めないというのでもいいのではないかというのも一つの考え方であって,そこをどう考えるんだろうかということをお教えいただければと思います。  それから,次に374条1項ですけれども,これは抵当権の順位の変更の規定でございます。これも転質などと同じ問題でして,ここまで用意する必要性があるのかないのかという問題でございます。ですから,この①,②,③あたりは,まずは実務家の委員にニーズのお話をしていただければと思います。  それから④なんですが,これはどちらかというと理屈の問題で,民法394条の準用の問題ですけれども,まず抵当不動産についての優先権があるわけですから,そこから弁済を受けるのが原則で,ただし先に別の財産について配当が行われるときは別ですよという規定で,いわば当たり前の規定ですので,これは電子登録債権質も準用されていいのではないかと思っていたところが,注釈書とかを調べますと,この394条というのは権利質については準用されないというのが普通の解釈のようでございます。  それはどうしてかというと,抵当権の場合は,抵当権設定登記がされている不動産登記簿が公開されているということがあって,この規定が機能するけれども,一般に質ではそういう公示制度がないので,394条が機能する余地がないということによるもののようでございます。それがまず正しいのかどうか実体法の御議論をいただく必要があるんですけれども,もしもそうだとすると,電子登録債権質はちょうど中間的なものでございまして,登録制度を設けるという点では不動産に近いんですけれども,不動産登記のような一般公開は行わないと,後で開示のところをみていただくわけですけれども,これまでの議論でも開示が受けられる人の範囲というのは,限定された人に限られるということでございますので,そういう制度のもとにおいて,394条の規定を準用すべきかどうか。これは準用するか,しないかで実は余り結論は変わらないと思うのですけれども,ですからどちらかというと理屈の問題かと思いますが,研究者の先生方に御教示をいただければというのが④でございます。  ⑤はまた実務の話になりまして,398条の12から15までの規定,これは根抵当権の譲渡等の規定でございますので,こういう複雑な根抵当権の譲渡とか一部譲渡とか分割譲渡とか,そういう規定を準用してシステムを用意するだけのニーズがあるのかどうかということをお伺いしたいということでございます。  それから⑥でございますが,392条とそれに関する398条の16から18までの規定でございますが,これらの共同抵当についての規定でございます。これらの規定を準用しようと思いますと,電子登録債権質の登録についても共同担保目録の作成が必要になるわけですけれども,そこまではしなくていいだろうということで,共同担保目録は作らないというふうに考えております。そうしますと常に累積的ということになりますので,累積根抵当権の原則を定める398条の18も準用しないで,いわば当たり前のこととして処理するというように整理をしているんですけれども,そういう整理でよろしいかどうかというのをお伺いしたいということでございます。  それから,次の397条でございますが,抵当不動産の時効取得による抵当権の消滅の規定でございます。これは最近の学説においてと書きましたけれども,最近なのかどうかよくわかりませんけれども,注釈民法などを見ますと,金銭債権についても定期金の支払をするようなものについては,準占有者による時効取得があるとするのが通説であるというふうに書いてございます。そうしますと,397条も準用されるのかということになるんですけれども,仮にそれが本当に正しいのかどうかと。最近の○○教授の教科書には,そういう金銭債権についての取得時効というのはないと考えるということが書かれており,また,もう少し古いものですけれども,四宮先生の民法総則でも同じようなことが書かれていて,債権の時効取得は賃貸借とかそういうものに限られるんだということが書かれているわけですけれども,どちらの解釈が正しいのかということが一つございます。  さらに,金銭債権についても時効取得があり得るとしたとして,それでは電子登録債権の場合にどうなるのかということですけれども,電子登録債権の場合には準占有者となるには登録名義人にならなければいけないのではないかと。そうすると,質権が既に設定されている電子登録債権の登録名義人となるということになりますので,そうであれば,質権の負担付きの電子登録債権を時効取得するに過ぎないのではないかと考えられます。  これは397条の解釈としても,第三取得者が抵当権設定登記がされている不動産の所有権移転登記を受けたような場合に,この規定の適用はないというのが一般的な考え方だと思いますので,そうなると,そもそも397条の規定は金銭債権についての取得時効の問題を抜いても準用しない方がいいのではないかと思うわけですけれども,そういう理解でよろしいかというのが⑦でございます。これは主として研究者の委員,幹事の方々に御教示いただければと思います。  最後の⑧ですが,398条の20第1項第3号でございます。これは根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続あるいは滞納処分の回収を知ったことを元本確定事由とする規定で,知ったときから2週間後に元本が確定するという規定でございます。これは不動産の競売や滞納処分の手続において,消除主義がとられていることに伴う規定だとされています。つまり,ほかの者が競売手続等を開始したとしても,当該根抵当権も消滅してしまいますので,その前提として確定する必要があるということから,知ったときから2週間で確定するという整理になっており,しかも手続法上,その旨の通知がされることになっているわけでございます。そして,手続参加が求められるわけですけれども,電子登録債権質がついている根質権付電子登録債権を差し押さえたとしましても,差押債権者が差し押さえただけですと,取立権を取得するだけで,転付命令を受けても根質権付電子登録債権を取得するだけの話でございますので,消除ということは考えられないのではないかと。そうだとしますと,この規定は準用しない方がいいのではないかということで,準用しない案にしてございますけれども,それでよいかということをお伺いしたいと思います。  それから,(2)の質権設定登録手続のところですけれども,これは先ほど申しましたように⑤が問題なんですけれども,御議論いただきたい点は,先ほど申し上げたとおりでございます。  それから,12ページの⑥ですけれども,注に書いておりますように,前回,部会資料13では利息と違約金という書き方にしておったんですけれども,どうもほかの法律とかを見ますと利息,遅延損害金,違約金と3つ分けて書いてあるものが普通のようでございますので,今回は利息,遅延損害金または違約金と書かせていただいております。前半部分も同じように直したいと思っております。  それから⑧ですけれども,これも民法346条を準用するのかという問題とセットの問題で,同条を準用するとすれば,この⑧が必要になろうということでございます。それからbの根質権の登録事項の⑦も,398条の14の規定を準用するかどうかによって,これが要るかどうかが決まるということでございます。  それから,cの管理機関による登録の拒否でございますが,これまでは必要的登録事項と任意的登録事項とを分けて,任意的登録事項については,管理機関が業務規程で禁止,制限することができるとしていたわけでございますが,登録事項から書き始めるということから,書き方をこのように改めているということでございます。実質は変わりませんで,その質権については質権の設定そのものを禁止したりあるいは制限できることにするということでございます。そこは全く変わっていないということでございます。  それから,(3)の質権設定登録の効力でございますが,中間試案では権利推定効についても準用するという形にしておりましたけれども,今回の要綱案,部会資料の13の方ですけれども,権利推定効については質権者も含めて総則で掲げる形にしておりますので,準用されるのは善意取得と人的抗弁の切断という,譲渡登録の方に書かれているものを準用するということになるということでございます。後注で書いておりますように,今日,電子登録債権質の実質を決めていただきまして,それを踏まえて,所要の登録手続の規定を設けるようにしたいということでございます。  以上です。 ● それでは,この8ページ以下のところですが,この「1 質権」の部分について議論をお願いしたいと思います。  まず1のcの注に記載されている論点が幾つかございますけれども,これを順次議論したいと思います。  まずこの注の冒頭に記載されております電子登録債権質については,民法362条2項の包括準用によるのではなくて,どの規定が準用されるかを個別に規定するという,そういう方針について御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● 最初に基本的なスタンスを確認して議論をしていった方がいいのではないかと思いまして,直接には今○○委員のお話の点を申し上げたいと思いますけれども,2点ありまして,1点目はやはり先ほど○○幹事からも御説明の中であったんですが,この質権の規定を置く積極的な理由というのがどの程度あるのか。つまり,現実に実務上のニーズがどのくらいあるかということです。御説明の中にもあったように,譲渡担保と質とを比べると,質は非常に少ない。現に債権譲渡特例法登記のデータを見ても,圧倒的に譲渡担保でありまして,質の設定登記は非常に少ないということです。  そういうことで,実務の委員の方で,どうしてもこの質はないと困る,あるいはあるべきだというニーズがどのくらいあるのかというのは,私も確認させていただきたいと思うのですが,そのニーズが少なければ,この適用される規定は極力限定していいのではないかというのが,私の基本的な考え方でありまして,そうすると,今の○○委員のお尋ねになったbのところは,この362条2項の規定は適用しないという形で結構だと思いますし,cの各論についても,非常に限定された形になるのではないかと思います。  2点目は,また次のところで申し上げます。 ● ありがとうございます。  今,その質権を設定するニーズがどのくらいあるのか,あるいは強いのかということについて,実務家の委員の方々に御意見を伺った方がいいのではないかという御指摘だったんですが,いかがでしょうか。まずその基本的なところをちょっとお伺いできればと思いますが。  ○○委員,どうぞ。 ● 実は,金融界の中でいろいろここについて話をしていたときも,そんなに実は積極的な意見も出なかったという部分はあるんですけれども,特に短期の売掛債権とか手形,そういった周りのものを電子登録債権に置きかえて考えた場合に,資金調達する場合というのは,通常はその債権をそのまま譲渡するというやり方が通常のやり方だとは思うのです。ただ,売掛債権の流動化,その周辺業務の中で,どうしても債権の譲渡ではなくて借入れという形で担保に入れて調達したいというふうなニーズがあることもたしかでして,その場合に,じゃあその担保の入れ方としてどういったやり方があるのかというふうなことになろうかと思うのです。  ここからはちょっと推測といいますか,なるんですけれども,昔,一括支払システムという商品--今もあるんですが--ありまして,これは債権の譲渡担保で当座貸越を借りるという商品だったんですけれども,有名な裁判で国税徴収法24条との関係で,譲渡担保であるがゆえに国税,その差押えに対して劣後するというふうなこともありまして,そういった一種のアレルギーみたいなものがありまして,そういう意味で質権という形で設定して,そこの保全も固めてやりたいというニーズというのは,やはりあるのではないかなと思います。  そもそもの話としては,そんなところです。 ● どうでしょう。ほかにあるいはもうひと方。  どうぞ,○○幹事。 ● 中間試案に対して寄せられた御意見としましては,メザニンファイナンス等に使われるというニーズがあるという御意見がございました。このメザニンファイナンスに使うには,譲渡担保ではだめなので,質でないとだめで,後順位質権の設定が認められるべきだという御意見をちょうだいしていますし,後順位質権の設定が認められるべきだという意見もちょうだいしていますので,その関係の委員の方から何か御教示いただけることがあればお願いしたいと思います。 ● 特に実務的に質権が譲渡担保と比べてどれぐらいニーズがあるかという観点から意見を申し上げたわけではなくて,質権を設けるのであればという法律のプロパーの問題として申し上げて,ちょっと実務的ニーズについて申し上げる立場にないと思いますが。 ● ○○関係官,どうぞ。 ● 今のメザニンファイナンスという点について,少し補足させていただきますと,実務上,特にプロジェクトファイナンスの場合ですと,優先ローンと劣後のローンの真ん中にメザニンのレンダーがいるというような場合に,譲渡担保ですとその譲渡の順位がつけられないのではないかという議論があります。それに対して優先レンダーと劣後レンダーとメザニンのレンダーが1位,3位,2位という順位をつけた質権を取得すれば,いざというときのそういう優先レンダーの優先権の把握というか,保全に役立つのではないかという議論があって,そういうプロジェクトファイナンスのような業界では,譲渡担保ではなくて質権の方がむしろ使われると聞いたこともございます。 ● なるほど。一般的需要についてはあり得る,あるいは一種の取引においては使われる可能性があるという,そういう御指摘のようですので,全部否定するということでは,もちろんないんだろうと思います。  どうぞ,○○委員。 ● 一般的にその商売の上でこういう質権が使われるかどうかという,このニーズについては正直言ってわからないというところだと思うのです。一般的には私どもが債権保全を図るという場合には,やはり債権譲渡を結ぶというケースの方で現在は対応しているということでございまして,ただ,新しくこういう電子登録債権に関してこの質権という制度ができて,これが使いやすいというか,あれば使うかどうかということになるのかと思いますけれども,逆に言うと今までの慣例からいうと,なくても余り影響はないのかなということで,実体的にはよくわからないというところが正直なところです。 ● なるほど。需要の有無については,今何人かの委員に御意見を伺いましたが,この法の規定としてどういう形にするかということについて御議論いただきたいと思いますが,まず先ほどお伺いしました362条2項の包括準用によるのではなくて,これを準用しないで個別的に準用される規定を指定していくという方針で臨もうということですが,その点については特に御異論はございませんでしょうか。それでは,この点については御承認をいただけたものとして,それでは各論点ごとに御意見を伺いたいと思います。  まず論点の①,9ページの上のところにございます①ですが,利息,遅延損害金等の優先弁済権の範囲について,抵当権や不動産質権と同様に,最後の2年分に限定をするのか,あるいはそうではなくて他の質権と同様に,優先権の範囲を限定しないのかという点について御議論をお願いしたいと思います。  この点につきましては,先ほど説明ございましたように,これで申しますと11ページの下の方に⑤というのがございますが,外国通貨で被担保債権の額を指定した場合における本邦通貨で表示した担保限度額を登録すべきかという問題や,その注に記載されている利息損害金は確定利率によってしか優先権を主張できないものとすべきかという問題とも関連をしますので,合わせてこの点について御議論いただきたいと思います。いかがでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● それでは,ここも○○委員の今の御質問にも意見を申し上げるとして,その前に一つ基本的なスタンスの2点目というのを話させていただきたいんですが。  先ほど申し上げたように,ニーズを伺ってそれによっては限定していいのではないかということで,今一定のニーズを伺ったわけです。それで,まず今の最初のところについては,したがってこのニーズに合わせてこういうものが認められる必要はあるかということで,メザニンファイナンスの場合には,その順位づけということが必要なのでということが,最初に出てきている理由づけだと思うのです。  ですから,以下一つ一つやっていく上で,そういう使う可能性があるスキームにとって障害になるか,ならないかというのが一つの判断基準になると思うのです。一方で,これを設定したら,すごくコストがかかるとかいうような話は,これは実際には必要な話ではあるんですが,まずはそのニーズの話,それに対応したものが先かなということで,そういうものがあるのかないのかまず確認したいということでさっき伺ったわけです。  一つ余計なことを申しますと,○○委員のおっしゃられた一括支払システム,あれが譲渡担保で引っかかったので質権でやりたいというニーズがあるんだというお話でしたが,これはいかがでしょうか。その後一括支払システムに関しては,譲渡担保方式でなくて債権譲渡方式か,並存的債務引受方式でやるのがメインになっているのではないかと私は認識していますので,余り決定的なニーズではないのではないかという気がします。  それで,もう一つ基本的スタンスとして申し上げたかったのは,先ほど○○幹事がおっしゃったことに関係するんですが,一つ一つこれからやっていく上で,質権設定を認めない,扱わないというのは業務規程でできるということにしたのだからというお話があったんですけれども,そこのところですけれども,これは別に○○幹事の御発言に異を唱える意味ではなくて中身の確認なんですけれども,質権設定を認めないというのは,我が管理機関はこういう業務は扱いませんという意味でこの業務規程でそれを排除する,これは結構だと思うのですね。ただ,一方でそうではなくて質権設定を制度として認める以上は,その内容や性質はやはり物権的なものとして,その法で定めるべきであって,業務規程で一つ一つの適用の可否を定めるというのは,これは相当ではない。だから,①から⑧については,ここでやはりきちんと適用するのかしないのかを決めていくべきではないかと。これは私の総論的な意見でございます。  以上です。 ● ありがとうございました。  いかがでしょう,今,○○委員が総論的な議論を先にした方がいいんじゃないかという御提案ですが,確かにそのとおりだと思いますので,この点について御意見等をお伺いできればと思いますが。 ● 先ほど,○○委員の方から御指摘いただいた点に関してなんですけれども,質権というのを一括決済全般に使おうということではなくて,個別のいわゆる債権担保融資という世界でも当然可能性があり得るなという,そういう中での話でございます。 ● 物権法定主義といいますか,うちは質権という登録を扱わないよというところはそれ,扱うというふうに言ったところは,いわばパックとして,全体としてそういうものを扱うと。個々の点について,この点は登録させない,この点は登録させるとそういうことにはしないという。パックになるという扱いにしなくちゃいけないという御指摘だったんですけれども,その点についてはいかがでしょうか。  例えば,①の論点で言えば,私のところは後順位のものは受け付けませんよというようなことを各登録機関が決めることができるかと,そういうことだろうと思いますが,だから先ほど御指摘があったメザニンファイナンスというんですか,あの場合について,後順位のその登録をやらなくちゃいけないというニーズがあるとすれば,これを閉ざしてしまえば,そこは電子登録債権をなかなかしにくいということがあって,ただこれを認めてしまいますと,被担保債権の範囲というものが必然的にこの375条のルールになってしまう,それを準用するという形になってしまうということではあろうかと思うのですが。  パックにする,あるいはパックにしなくちゃいけないかどうかという点についていかがでしょうか。これは民法の先生にちょっとお伺いした方がいいかもしれませんが。  いかがですか。民法の先生って2人しかいらっしゃらないので,ちょっと申し上げにくいですが。もし何か御意見があれば。  ○○委員,どうぞ。 ● 1つは取引をする際のコストを考えると,やはり確定的な方が便利であろうということです。それからもう一つは,倒産の場面における取扱いを考えてもやはり確定的な方がいいだろうと。必ずしも絶対にそうでなければいけないかというと,それはあり得るとは思うのですが,やはりパックにする方が,特にこの場合には妥当ではないかなと思います。 ● ○○幹事,何か特に。 ● 特にございません。全く同じで必然的ではないと思うのです,別に。物権法定主義との関係で必然的だというわけではなくて,この程度の登録しかできないというふうな機関があってもおかしくはないと思うのですが,妥当でないことは確かで混乱を巻き起こすだけだと思いますので。 ● それでは,今○○委員の御意見も同じだったと思いますので,一応パックにはなるという形で,個別登録機関ごとに内容が違うというようなことにはしない方がいいということだろうと思いますが,その上でそれでは御議論いただきたいと思いますが,この今問題としておりますのは①の点ですが,これはいかがでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● この①に関しては,出た意見としましては,2年分に限定するのが妥当だろうというような意見が出ています。その理由としましては,その資産の担保価値を有効活用するという観点で,その後順位担保権者の期待を確保するという,そういった観点から2年分に限定するのが妥当だろうという意見が出ております。 ● 最後の2年分に限定するということになりますと,11ページの方の外国通貨で被担保債権の額を指定したときの本邦通貨で表示した担保限度額とか,あるいは利息,損害金は確定利率によるものしか受けつけない,優先権は認めないとするのかと,そこら辺はどうなんでしょうか。 ● ここは不動産の場合と同じにするということで。 ● そうすると,普通はこれはたしか抵当権の実務でも確定利率の登記しか認めないという扱い,これはもう不動産登記の確定した実務の扱いなんですが,これはたしか規制緩和要望も出ているぐらいで,非常に金融実務界からは御批判もあるところですけれども,最後の2年分となっているんだから,こうしかしようがないんだということで,私どももはねつけてきているんですけれども,それでよろしいということなんでしょうか。 ● そこは,もう合わせる,現行に合わせる。 ● ○○幹事,どうぞ。 ● 質権というのを認めて,かつそのときに極度額が必要であるということになりますと,ここにおいても2年の制限というのは置かざるを得なくなるわけであって,根質ではないものについては,実はずっと幾らでも拡大する可能性があって,限度がなくなるということになりますと,何で根質だけ極度額があるんだという話になっておかしくなりますので,それは必然だと思うのですが,ただ先ほどの,私はどちらかというと申し上げたいのは,利息の変動利率,確定利率の問題なんですね。抵当権の制度というものは,例えばその金銭債権というのが契約上発生していて,そしてそれは不動産からどれだけの優先弁済を受けられるかということを,不動産登記簿上明らかにするということで,一応これは債権の具体的な内容と齟齬をしていても,齟齬というのは債権の具体的内容よりも大きく書いていたら,債権の範囲でしか効力がないわけですが,小さく書いていたら,それは別に有効性が否定されるわけではなくて,その範囲だけで優先権が認められる。優先権だけを画すという意味を持っているわけです。  しかるに,電子登録債権の場合には,その債権の内容も登録簿に書かれ,こういう制度に書かれ,かつ質権の内容も書かれるということになりますと,電子登録債権そのものとしては変動利率で構わないはずではないかと思うのです。しかるに,質権のところには固定金利で書かざるを得ないということになるわけであって,そうすると注意としては,被担保債権の利息については固定金利の登記しか認めませんが,それはあくまで優先弁済権の額を画する意味を持っているだけであって,その実体的なその電子登録債権の金額の問題としては,その登録部分は影響を及ぼさないということを確認すべきではないかという気がしたということなんですが。 ● 電子登録債権の利息,損害金の方は,別に変動利率で構わないということで,ここでどなたも御異論がなかったと思います。ここで問題なのは質権の被担保債権の方で,質権の被担保債権は別に電子登録債権とは限りません。指名債権かもしれませんので,はい。 ● そうですね,ごめんなさい。登録が違いますものね,ごめんなさい。 ● 電子登録債権は担保の目的物になるという……。 ● そうか,そうか。 ● ですから,要するに,ただ被担保債権も登録事項としては書くことになっていますけれども,そこに登録事項として書く利息,損害金は最後の2年分ということにするのであれば,固定金利で書かなければいけない。ただし,その固定金利で書くという意味は,別に被担保債権がそれだけしかないということを意味するのではなくて,優先権が及ぶ最高の範囲がそこまでであるということを登録しているだけなんだと,そういう意味であると,そういう理解でよろしゅうございますね。 ● もちろん結構です。どちらかというと削除したいようなところですけれども。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 教えていただきたいんですが,11ページのこの外国通貨建てのところなんですけれども,これは「外国通貨で被担保債権の額を指定したときは」というのは,外貨建てで指定しているわけですね。その場合に本邦通貨で表現する担保限度額というのは,これはどちらが,外貨が優先する,当然エクスチェンジ・レートというのは毎日,日々変動しますね。後順位の質権をつけるためには,当然ある程度確定しなければいけないというのはわかりますけれども,ここでいうのは,ただ外貨建てで指定しているんだから,本邦通貨というのはあくまでも参考の円貨相当額を表示しただけですよというのか,ここで表示した円貨額が優先するのかというふうなところをお聞きしたい。  それからもう一つは,この電子登録債権質を設定する,あるいは担保される電子登録債権は外貨建てのものだから外貨で設定するんじゃないかと。要するに円貨建ての債権に外貨建ての質権を設定するんですかと。これは一般的にちょっと私も考えれば,外貨建ての電子登録債権だから外貨で設定するんだよということで,余りコンバートする必要性というのが,ちょっとあるのかというのがよくわからないんですが,ちょっとその辺を教えていただきたいんですけれども。 ● この11ページの⑤は不動産登記法,お手元の六法ですと3,143ページなんですけれども,不動産登記法の83条1項5号と全く同じことを書いているわけでございます。この規定が置かれておりますのは,要するに外貨建ての被担保債権の場合ですと,その担保として提供されている土地を競売した場合に,そのうち一体幾らまで抵当権者がとるのかというのが,外貨ですから,今まさに○○委員がおっしゃったように,日々変動するのでわからないわけですね。そこで,本邦通貨で表示した限度額を登記させて,その限度額までしか優先権はないと。それによって最後の2年分が幾らなのかということの限度額が,登記上一見してわかると。そこまでしか優先権がないということにしたものですから,○○委員の御質問にまっすぐ答えれば,本邦通貨で書かれた額の方が優先するというのが,この規定の趣旨でございます。  それから,2つ目の御質問でございますが,外貨建ての電子登録債権には外貨建ての質権で邦貨建ての電子登録債権なら邦貨の質権なんじゃないかとおっしゃいましたけれども,そこは必ずしもそうは考えておりませんで,電子登録債権自体は日本円なんですけれども,それを外国の金融機関に担保に供して,外国の金融機関からお金を借りたので,外貨建てでお金を借りて,担保としては円建ての電子登録債権を提供するとか,あるいはその逆というんですか,外国企業が入っているので,外貨建ての電子登録債権なんだけれども,お金を借りるときは日本の銀行からお金を借りたので円建てでお金を借りていますという,そういうこともあり得ると思っております。  よろしゅうございましょうか。 ● 円貨建てということについては,理解いたしました。ただその場合の,この外貨からそうすると円貨に切りかえるときのレートというものの決め方というのはいかがなんでしょう。どの相場を適用して円貨を設定するかということについての換算についてはどういう,何か決まりをつけるんでしょうか。 ● いえ,これは決まりをつけませんで,当事者が登録しますので,不動産登記簿もそうですけれども,当事者が本邦通貨建ての担保限度額を幾らかというのを決めて,それを不動産登記なら登記し,ここであれば電子登録債権の質権の設定登録をするということで,実際は例えば今100円であるとしても,将来的には115円になるかもしれないと思えば115円で登録してもそれは受け付けると。ですから,そこは管理機関はチェックしないということになります。 ● それは当事者の任意という……。 ● 実際は,ですけど200円としても,実行する時点は90円しかなければ,それは200円とれるわけではありませんので,それは先ほど○○幹事がおっしゃられたとおりだと思います。 ● わかりました。 ● ちょっとよろしいですか。 ● はい。 ● 今の○○委員と○○幹事のお話ですと,いわば一気通貫というんでしょうか,最後の2年分にすれば,外貨建ての本邦通貨の限度額も定めて,かつ,利息,損害金は確定利率というか固定金利によるというふうに,それが非常に徹底した考え方であることは,もちろんそのとおりなんですけれども,そこまでぎりぎり不動産登記と全く同じようにしなければいけないのかどうか。例えばこれはどこで切るのかという問題があるんですが,2年分にはするけれども本邦通貨での限度額は定めないとか,あるいは本邦通貨での限度額までは定めるけれども,利息,損害金は変動利率でもいいとするとか,いろいろ選択肢としてはあり得るところではあるのかと思うのですけれども,さらに御意見をいただければと思います。それからもっと言ってしまえば,質権なんだから後順位は認めるとしても,最後の2年分までは限定しなくてもいいんじゃないかという考え方も,もしかしたらあるのかなとも思うのですけれどもいかがでしょうか。 ● 後順位をつけるというニーズですが,一般的抽象的な議論だけではなくて,具体的な議論を先ほど御紹介いただきましたが,その具体的なニーズがあり得るという,その前に第1順位のものがどこまでとれるかというのを,かなりぎりぎり決めておかないと具合が悪いという性質のものなのかどうかと,そこが多分決め手になるのではないかと思うのですけれども。その点がもしわかれば,先ほど○○関係官にちょっと御紹介いただきましたが,何か。 ● すみません,私がお答えしていいのかどうかよくわかりませんが,間違っていたら実務の方に御指摘いただきたいんですけれども,いわゆるそのメザニンファイナンスのようなものをやる場合には,もちろん一番大事なのは順位をつけることなんですけれども,具体的に優先的な効力をどこまで書ききるのかというと,非常にさまざまなスキームがありますので,固定でないと計算ができないとは思えないですし,ただその2年分云々というところについては,先ほど○○幹事からも御指摘いただいたように極度額の問題があるというのは,たしかにそれは別の問題としてあると思いますが,順位をつけるということが非常に質権では大事だということのみから,必然的に外貨は本邦通貨でやらなくてはいけないとか,固定金利であらわさなければ後順位質権者が害されるという議論まではされていないのではないかと認識しております。  つまり,順位はついていておおよそこのぐらいで優先するのであるというところまでは,もちろん表示はされているとは思うのですけれども,極論を言えば1円単位まではっきりしていなければいけないのかというと,そういうところまでは要請されていないのではないかとは思っておりますけれども,実務的に具体的な取引にかかわられた方がいらっしゃったら,ぜひ御指導いただきたいと思います。 ● メザニンファイナンスの場合,あるいはそれ以外の場合も含めて,後順位のものをつける需要がどのくらいあるのかということと,その後順位のものがどこまで先順位の取り分を予測できるという必要があるのかという問題ですが。  いかがでしょうか,○○委員,何か御経験……。 ● 私自身は余りそこの経験はないんですけれども,今具体的な御指摘もありましたので,ちょっとここの辺は持ち帰りといいますか,もうちょっと調べてみます。 ● 中間試案の意見照会で金融界からちょうだいした意見の中で,シンジケートローンが日本銀行の適格担保として利用される場合に,質権が設定されることもあり,実務上の利用可能性があるということを言っておられるんですけれども,私が承っているところでは,日本銀行が適格担保としてシンジケートローンをとられるということは非常に少ない,全体のシンジケートローンの枠の中ではごくわずか,これは当然のことながら適格担保ですから,適格がなければだめなので,原則としては国に非常に近いような,デフォルトの可能性がゼロに近いようなものでなければとらないからだと思うのですけれども,その場合に,その担保としておとりになるときは後順位はつけさせないという形で質権を設定するように合意をされていて,最後の2年,そんなに長いこと日銀が待たれるとは思いませんけれども,最後の2年間というふうに限定を加えてしまうと,それ自体で質にとりにくい,自分は第1順位だと思っても2年分に限られてしまいますので,それで本当にいいのかという問題もあると思うのですけれども,その辺はどうなんでしょうか。 ● 今おっしゃった場合は,そういったところがあるかもしれないんですけれども,一般の事業法人その他が担保に入れて資金調達をするという局面では,限定するという場合はそういうようなところも当然あると思いますので。実際,今のところ具体的な事例をかなり集めて議論していたわけではないという実情もありますので,そこはもうちょっと調べてみたいと思います。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 私も専門的にそれほど詳しくないので発言をためらっていたのですが,私の不十分な知識でメザニンローンの場合には,取り分とか,先ほど関係官からの御説明があったようにスキームの中でかなり細かく自主的に決めていくものだと認識していまして,そうすると逆に2年分だとか,利息・損害金が固定だとかいうふうに縛られてしまう形になるのが,この順位づけをしてほしいと言っている人たちのニーズに合うのかどうかというのが,大分疑問ではないかと思うのです。その順位づけをしてほしいというのは,まさにその優先劣後メザニンというところを決められるようにしてほしいと。譲渡担保ではそれができないから質権でやれる道を残しておいてほしいというぐらいのことではないのかと,私は感じておりましたので。  ここで先ほど○○幹事もおっしゃったように,全部筋を通してというか,不動産と同じように全部決めていくというのが,果たして彼らのニーズに合うのかどうかというのが,ちょっと私は疑問なところがありまして。もう少しニーズが私,さっきそのニーズに合うようにと申し上げたことが,逆にこれでいいのかというのはちょっと自信がないものですから,いろいろお調べいただいた方がいいのかなという気はしております。  以上です。 ● ここで少し休憩をとりたいと思います。よろしくお願いします。           (休     憩) ● それでは,再開をしたいと思います。  先ほどの議論の続きでありまして,この9ページの①のところについて,さらに御意見をお伺いしたいと思います。  ○○委員,お願いいたします。 ● 実務的に私はシンジケートローンとかメザニンファイナンスの完全な専門家ではないんですけれども,休憩前に○○関係官,○○委員がおっしゃったとおりだろうと思います。余り法律上で細かな規定をしていただくと,かえって実務的にいいますと,シンジケートローンの世界でもコベナンツできちんと規定をするとか,アレンジャーとかリードバンクと言われている人たちが中心となって管理をするという私的自治の範囲で行われているビジネスが非常に多いかと思いますので,それに余り障害がないような形で規定を考えていただく方が現実的かなという気がいたします。 ● ありがとうございます。  ほかにこの点について,御意見等ございませんでしょうか。  ○○幹事,どうぞ。 ● この問題を議論するのに,先順位質権者と後順位質権者が1つのスキームの中での優先劣後関係に立つ債権者であるということだけを念頭に議論してもいいのかというのが,私はそうなのかなという気がします。2年の制限にしても何にしても,それは先順位者と後順位者の利害が対立して,かつ,そこの間には先ほどのシンジケートローンにおけるさまざまな取り決めのような形での調整規範が別個にはないということを前提にしているわけですので,ここでその2年の制限を外すという議論を,そのシンジケートローンとかそういうふうなところの話だけを根拠にして行うことには,私には非常に違和感があります。 ● そういう限定をしているつもりでは,必ずしもないんですが,この後順位の質権者の設定を認めながら,しかしその2年分等に限定しないという形にするのは,何か理論的な問題点があるとお考えでしょうか。つまり,後順位のものはあり得るけれども,先順位のものがとり得る価値の範囲は,この346条のルールによるというような決め方というのは,後順位者の予測可能性を害してしまうので,理屈の上では非常に具合が悪いということになりましょうか,○○幹事。 ● 繰り返しになりますが,なぜ根質のときだけ後順位者のことを考えて極度額を決めるということになるのかがわからない。それは繰り返しになりますけれども。 ● どうぞ。 ● 根質の場合に極度額を定めるといっても,これは電子登録債権という金銭債権ですので,電子登録債権の元本額全額という極度額の定め方もできるわけですよね。ですから,実務上は根質の方は極度額を定めることを要求しつつ,普通質の場合は最後の2年分に限らなくてもそんなには困らないような感じがするんですけれども,学理的にはそこはパラレルで,普通質について最後の2年分という限定を付さないで346条のように全額とれるんだ,優先権があるんだというふうにするのであれば,根質の方も包括根質が認められないとおかしいということになるんでしょうか。 ● 個人的な意見ですが,おかしいということになるんだと思います。先ほどのその質権の目的たる債権の額と同じの額に極度額を設定していれば,それでいいではないかという話なんですが,それというのは極度額を設定していないのと同じ効果を導けるという例ですよね。ですから,極度額を一般的に要求することに合理性があると考えることを前提として議論をするときの例として必ずしも適切ではないのではないかと,私は思いますが。 ● ほかの委員の方の御意見はいかがでしょうか。  もし御意見があればですが。  ○○委員,どうぞ。 ● やはり,可視化との関係というのは結構重要だと思っていまして,登録を確認すれば,まずその先順位者がいるかどうか,わかるかわからないか。多分実務的に言うと,先順位者がいるかどうかというのがわからないというのが一番不安定な状態なので,それがその電子登録債権になって,調べればちゃんとわかりますという状態になっていれば,今その電子登録債権がない世界の中で行われている実務とは,全然変わってくるのではないかなという気はいたしますけれども。 ● どうぞ。 ● 今の点ですけれども,この後に御議論いただく登録事項についての開示の問題になるんですけれども,14ページをごらんいただきたいんですが,これから担保権を設定しようとしてお金を貸そうとする人自体は,原簿の開示は受けられないんですけれども,設定してお金を借りたいという側,つまり現在の債権者が開示を受けてそれを提供することはできるという形にしているわけです。これは今までの中間試案などと同じですが,その14ページの(1)aの①のところで「自己の氏名または名称が登録名義人として記録されている者」というのを挙げていまして,それが開示を受けられる者の範囲として,「すべての登録名義人に係る登録において記録されている事項」というのが挙がっています。したがいまして,質権が設定されていれば,その質権者についての質権設定登録の内容は,全部幾つあろうともすべて開示されて,その開示されたものをこれからお金を貸そうという人は見ることができるという形にしてございます。それによってかなり変わってくるということでございましょうか。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 今,可視化ということをおっしゃったんですけれども,登録内容が幾らわかっても,遅延損害金や利息が幾らたまるかというのは,登録を見てもわからないわけですね。将来,何年分たまるのかということが。ですから,後順位質権を認めるのであれば,担保余力が幾らあるのかということは,もし2年間に限らなければ全然わからなくなってしまうことになるので,どこかに年数で切らないと計算はできないということにはなりませんか。 ● それは理屈の上ではそうですが,そんなに長い期間,この担保を設定し続けるということがあり得るのかということが,まず前提として問題になると思うのですね。不動産の場合には,抵当権設定をしてかなり年数がたつだろうということはあり得ると思いますが,この電子登録債権を担保目的物として質権を設定するという場合に,相当長い年月,担保にとり続けるということは,余り想定できないのではないかと思いますので,単発の債権であれば一体幾らぐらい先順位の者にとられるかというのは,おおよその予測はつくと思うのです。  根質の場合についてはそれこそ極度額を決めないと,増減変動する被担保債権というのは,全然つかまえようがないわけですので,つまりそれを決定する基準しか登録されていないわけですので,だからおよそつかまえるめどが全然立たないわけですから,極度額というものを定めなくてはいけないという趣旨なので,私はちょっと○○幹事の意見とは違って,根質の場合については極度額を定めないといけないけれども,通常の質権の場合では優先的にとれる範囲を別に定めなくてもおおよその予測がつくので構わないんじゃないかという気は,するんですけれども。  ちょっと担保法の権威に刃向かうようで申しわけありませんが。 ● ちょっといいですか。担保法の権威というのはだれのことを言っているかよくわかりませんが。私は議論の仕方について申し上げているわけで,今○○委員がおっしゃったように,その短期間しかしょせん使われないのだということを表に出して議論をするというのならばまだわかるんですが,その実務的ニーズというものが,優先劣後関係にある人たちは最終的には対立関係になるわけですけれども,しかしそれを十分に意識した上で入って,1つのスキームの中で債権者となって入っていくという人の事例を考えると,2年間という制限をつけない方がいいだろうということからは押していけないのであって,○○委員のおっしゃるような理屈でその正当化を図ろうというのならば,まだ私はそんなには違和感を感じないですが。 ● ほかに何か。  それでは○○委員,お願いします。 ● 担保法の両巨頭の後,発言するのは非常にためらわれるんですけれども,議論の仕方については○○幹事のおっしゃるとおりだと思います。  その上で一般的なこととして何が言えるかというと,346条が抵当権と違っている理由の1つとして,不動産質の場合には特にそうですけれども,後順位担保権者がそもそも現れにくいということが理由になっていると思います。電子登録債権の場合に,現れはするけれども,やはりそれほど多くはないだろうとすると,それを前提に考えるということでよろしいんじゃないかと思います。  346条についていうと,ただし書があって,設定行為で別段の定めを置くことができて,それが登録事項にもなっているとすると,その原則は特に限定しないで,後はただし書のような考え方で対応することもあり得るかなと思いました。 ● なるほど。それは非常にあるいは重要な点かもしれないですね。  いかがでしょう,ほかに御意見ございませんでしょうか。  ○○幹事,お願いします。 ● これまでの御議論ですと,最後の2年分に限定するとかえってその電子登録債権を使った質権の設定をいろいろ柔軟に行うということの妨げになる可能性が出てきたと思いますけれども,先ほど○○委員から金融界でもう一回検討してみたいというお話もございましたので,方向性としては限らない方向でさらに次回もう一回御議論をいただくということでよろしゅうございますでしょうか。 ● それでは,この①の点については,事務局で検討いただくとして,その間に御意見を伺えればと思いますが。この点についてはこのくらいにいたしまして。  次に,論点の②に移りたいと思います。転質や抵当権の処分の規定を準用すべきかという問題であります。選択肢として3つが掲げられています。A),B),C)とございますが,どれにすべきかという点について御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。ニーズということも,この点について問題になると思いますが。  ○○委員,どうぞ。 ● ここに関しては,これもどれぐらい出てくるかというのはあるんですけれども,転質については可能性があるのかなというふうな意見が出ておりました。それ以外は,特にイメージできないところもありますので,このA),B),C)でいきますとB)というふうな意見かなと思います。 ● ほかに,ニーズの点等で御意見等ございますでしょうか。  指名して恐縮ですが,○○委員,いかがでしょうか。ニーズという点で転質,質権の処分といいましょうか,そういう可能性が予測されるかどうかということですが。 ● 予測されるかという御質問ですと,多分利用はされる可能性が高いだろうと思いますけれども。 ● どうぞ。 ● それは転質だけではなくて,抵当権の譲渡とか,抵当権の放棄,抵当権の順位の譲渡,順位の放棄といったようなものについても,先ほど○○委員は,そちらは制度,システムを用意しなくてもいいんじゃないかというお話だったんですけれども,そちらも転質と同程度に利用される可能性があるということでしょうか。 ● 一番利用度が高そうなのは転質だろうとは思います。そのほかについては,ちょっと何とも言えないですね。 ● いかがでしょう。この種の規定を用意するとなると手続的にも,またそれに対応した複雑さが要求されるということにはなりますが。  どうぞ。 ● すみません,何度も。先ほどから質権の利用の仕方については,まさに○○幹事に先ほど御指摘いただいたように,2つ今挙げられているのがあって,1つはメザニンファイナンスのように,全員がおそらく一遍に質権を設定するというのが1つの典型的なパターンとして議論に上っていて,一方で,○○委員から担保余力というような話がありましたが,それは従来の抵当権のつけ方と同じように,ある人が抵当権なり担保権をつけた後,その後別に投資をしようとする人が,その余力を見て担保を設定するという2つの場面が想定されていて,それについて,その念頭に置いている場面がそれぞれ違うために,やはり2年分に限定すべきだとか,さっきの点ではむしろしない方がいいという議論になっていたと思うのです。  ここについても,どちらを念頭に置くべきかというところが大きく影響してくるのではないかなと思っておりまして,転質については確かにいろいろなニーズがあるのかもしれないですが,その抵当権の譲渡とか,順位の譲渡とか,そういうのは閉じた世界というか,1つのスキームでいろいろな人が一遍に順位をつけるのであれば,どうせその後,いろいろなことをみんなの合意でやることはあるのかもしれないですけれども,後から全然違う貸付人が出てきて,それぞれ担保をつけているような場合,それはそういうことがそもそも電子登録債権の質であるのかといわれると,ちょっとあるのかどうか,非常に疑問なんですけれども,そういう場合にまで順位の譲渡とかそういうものが行われるのかというと,余り行われないのかなとも思いますし,またさらにメザニンファイナンスのような場合で言えば,もともとそういうスキームでやっているので,あんまり抵当権の例は詳しくないんですけれども,そんなに順位の変更とかは,そういうスキームですら,余り放棄とか変更とかをやることが頻繁であるというふうに聞いたことは,私の知る限りでは余りないんですけれども,一応そういう印象は持っております。 ● ありがとうございます。今お伺いした範囲では,転質の需要はあり得るかなと。それ以外のものは余り考える必要はないのではないかということでしたが,仮に転質の需要があり得るということであれば,この並べられている規定のうちの転質については,準用規定を置くということにしなくてはいけないということになると思いますが。  いかがでしょう,○○委員。 ● 転質の需要というのが,承諾転質で足りないのかどうかというところではないでしょうか。どうしても責任転質が必要だということですと準用規定が必要になるでしょうし,承諾転質で足りるのであれば,362条1項で質権は財産権を目的とできると,それだけで足りそうな気がいたします。ですから,転質の需要があるかというよりも,責任転質の需要があるかということではないでしょうか。 ● どうぞ。 ● 今の点はそのとおりだと思うのですけれど,○○委員や○○委員がおっしゃっているのは,責任転質の需要はあり得るという,そういうお話だと承ってよろしいんでしょうか。 ● そうすると,責任転質の規定を準用するという必要がありそうだということになりますが,この点についてほかに御意見ございませんでしょうか。  これについては,それでは……。 ● 転質の方は,348条に規定があるところでもありますので,動産も不動産もほかの権利質も全部転質はあることになっているのに,電子登録債権質だけはなしにするというのは,これはなかなか説明困難なのかなと思っていましたので,それでは転質は用意すると。そのかわり,質権の設定を認める管理機関は,転質にも対応できるようにするためのシステムを用意していただかなければいけないということになりますけれども,それでよろしいですね。 ● わかりました。それではこの論点②については,この責任転質の規定を準用するということでよろしいですか。 ● はい。 ● そういうことで扱いたいと思います。  それでは,次は論点の③です。これは抵当権の順位の変更の規定を準用すべきかどうかという点ですが,これについて御意見を伺いたいと思います。これも実務界の方のニーズに関する御見解が伺えればと思いますが,いかがでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● 実務的なニーズという意味では,先ほどの転質と抵当権の順位の変更,これぐらいが具体的なニーズがあるかなというふうなことでした。順位の変更については,これも将来こういったものが出てきたらということだと思うのですけれども,そのプール債権を担保にとるようなケースで--債権のプールですね--を担保にとるようなケースで,複数の金融機関がお金を貸していて,その担保に今とっています。その与信のシェアが変わるごとに,その担保の入れかえとかそういったことが行われるんじゃないかと,そういったときに順位の変更という言葉が使われる可能性もあるのではないかと。そういったニーズであります。 ● ○○委員,プール債権というのは,電子登録債権の場合,どういうふうにして電子登録債権化し,また質に入れるんでしょうか。そこを教えていただけると。 ● これは,かなり制度が普及した場合の話だと思うのですけれども,すべてその売掛債権的なものが,すべて電子登録債権に置きかわって,そういった電子登録債権を非常に多数小口に持っています。その一つ一つの債権自体は,なかなか見れないんですけれども,それを丸ごと担保にとるということによって,全体としては担保力はあるとそういうふうな,今でもその小口のプール債権の流動化というのをやっていますけれども,それが徐々に電子登録債権が普及していったときに,それに置きかわるような手法として考えられるんじゃないかというような,そういったケースです。 ● それは個々の電子登録債権ごとに質権の設定の登録をするんですか。 ● それは当然そうしなければ……。 ● ということになりますね,はい。 ● 順位の変更というのは一挙にやるわけだけれども,それを個々の電子登録債権ごとに同じ内容ではあるけれども,順位の変更の登録をする。コストが随分かかるということになりませんか。 ● そうですね。どういう場合に使われるかなんですけれども,例えばかなり信用状況が悪化してきて,できるだけとれるものはとっておきたいということで,いわば全資産担保といいますか,資産としてあるものはなるべくとりたいという,そういったニーズの中でできるだけ回収可能性を高めたいという中で使われるかもしれないなというようなことです。 ● どうでしょうね。ほかの委員の方の御意見ございませんでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● 余りよくわからないんですけれども,多分○○委員がおっしゃったようなその抵当権の順位の変更ぐらいがあれば十分かなと。ピント外れなことを申し上げているかもしれませんが,実務的に例えばプール債権等でどう活用するかというと,おそらく担保の管理者,例えば担保付社債信託法の担保の受託者みたいな人が,包括的なことを管理して,個別の権利変動なんかについてはその人に任せてしまうというのが,もしかしたら実務的には一番活用される事例かもしれないなとは思っています。  ただ,ちょっと難しいんですけれども,制度的にはあって困るものではないんだろうと,実務的に言うと。なければないで何か工夫の余地があるかといったら,ありそうな気もするという中途半端な答えで恐縮なんですけれども,何かそんな感じです。 ● 制度的な,あって困るものではないとおっしゃった,これはここの注のところに書かれてある電子登録債権質の登録が相当複雑になるという,そういう登録機関になる立場の方々のその立場を考慮しても,なお必要かどうかということでもあると思うのですが。 ● いい加減なことを申し上げると,それでコストが高ければ,その担保を代表者が管理するような方式にして,実務的には余りコストがかからない抜け道を考えるということではないかなと思うのですけれども。 ● だから,結局最終的には,ここにある順位の変更の規定を準用するということを最初から決めておかなくてはいけないかどうかということだと思うのですけれども。  いかがですか,○○委員,管理機関にもなり得るお立場で。 ● 想定していますのが,かなり普及した後の話ということもありますので,今本当にそれでいいのかどうかというのは,非常に厳しい御質問ではあるんですけれども。これはやる以上は,やはりどんどん普及させていくという前提でやっていくということだと思いますから,今現実に売掛債権の世界で起こっていることができるようになるのが望ましいのではないかなとは思いますけれども。 ● いかがですか。 ● この374条第1項の抵当権の順位の変更の規定の方は,準用しても条文を作る立場からしますと,恐らく変更登録で賄えるのかなという,どっちみち全員の承諾が必要だというのが374条2項にもそう書かれていますので,変更登録の1つとしてできそうなので,これ独自の規定はもしかしたら要らないかもしれないんですが,条文はそう書けてもシステムの方がそれでうまくいくのかどうかというのがちょっとよくわからなくて,システムが複雑なのかもしれないということを書いているんですけれども,そのコストというのは大したことではない,初期投資からやってもいいということでよろしいですかね。  ○○委員,どうでしょう。 ● おそらく当初こういうものを管理機関でやろうとした場合は,質については取り扱わないということでやらざるを得ないのかなと思いますので。当然将来的にいろいろな利用者の利便性等を考えて,こういうニーズが出てくるとは思いますけれども,頭の段階でここまでやって本当に使われるのかということを考えたら,ここまでのシステム化云々というのはなかなか難しいかなと思います。正直なところですけれども。 ● というのは,これは質権をまとめて取り扱わないということになりますよね。 ● そうですね。 ● どっちみち変更登録をできるようにシステムは作らなければいけないんですけれども,後ろの方の質権設定登録手続のところの12ページの⑨なんですけれども,bに入る手前のですね。そこに質権順位番号というのを登録するということにしていまして,質権順位番号の変更登録ということで可能であるとすれば,いわば紙でいうと備考欄みたいなところにその番号を,前の番号を抹消して別の番号に変えるような登録さえできるようにすればいいんですけれども,ほかの部分でも変更登録は,例えば質権者の氏名とか住所が違っていたり,あるいは住所変更になったら,それは変更できなければいけないので,それとシステム的にその質権順位番号の変更だけがすごい大変なのかどうかというあたりはどうなのでしょうか。 ● 単純にそのシステム自体にコストがかかる部分と,当然それを運用していくことを含めて全体をシステムという話で考えると,どういう手続をとってだれがどういう責任で行うかということ,当然それは変更手続はみんな一緒なんでしょうけれども,そういう部分でいろいろな変更の内容がふえればふえるほど,そこに対してのいろいろな基準等を作らなくてはいけないというところが非常に難しくなってくるのかなと。  あと管理機関がやるときに,それは当然窓口となる,例えば金融機関を窓口として利用者と取引する場合は,そこの金融機関に対しての周知徹底とか,いろいろな部分がございますので,それらを利用者あるいは窓口となる金融機関が徹底できるかというところが一番難しいのかなと思います。そういうところで,時間を含めたコストというのがかかってくるのかなと思います。 ● ○○委員,この点はどうでしょうか。 ● これは実質的にその変更登録で,この質権の順位の変更をするということは,効力的にはこの抵当権の変更登録というのと同じような効果を持つということですよね。それが法的に同じような効果があるのであれば,それは使い方の問題ということもありますので,また別のカテゴリーを設けるのが,そこは設けなくてもいいのかなとは思いますが,同じことが達成できるのであれば。 ● そうすれば,システムコスト的にはそんなに大してかからないという理解でいいんでしょうか。 ● 1つのカテゴリーをなくすというそこの限界的な部分ですので,それが全体の中でどれぐらいの部分かというのがありますけれども。おっしゃるように減ることはたしかですよね,原価的に。 ● しつこくお聞きしているのは,これだけ時間をとって議論していただいて,こちら側も相当苦労して条文を書いて,どこの管理機関も質権を設定させないでは目も当てられないと思うものですから,いろいろオプションをつけたために使われないなら,オプションがない方がいいのかなと聞いているんですけれども。  少なくとも,○○委員のところは順位の変更のところでもやっていただけるという前提で,転質と順位の変更は用意する,後は用意しないということでよろしいでしょうか。 ● それでは,順位の変更は一応準用するということで。  次は論点の④ですが,これは394条の準用の可否,当否の問題です。これについて御意見を伺いたいと思います。これは理論的にどうかという問題でもありますが。いかがでしょうか。  先に抵当権の目的物から弁済を受けないといけないというルールでありますが,ここに説明がありますように,登録は一般公開をしないということなので,準用するにはやや問題があるのかなという御指摘だと思うのですけれども。不動産登記だってわからないですよね。他の財産にかかっていった場合に,こちらに抵当権があるからというのは最初からはわからないですよね。後になってわかってくる。  何か政策決定のような問題ですが,担保をつけているんだったら,その担保から先にとってくれと一般債権者側からは言いたいということを認めているルールだと思うのですけれども。これをここでも適用するかどうか。わからないといえば,わからないんですね。担保権を設定している者がこっそり一般財産にかかっていったときに,他の債権者が待てよというふうにいえるかというと,それはなかなかわからないままで終わってしまうということが十分あり得るんですが,しかし担保はとっているわけですから,そんな回りくどいことをやるだろうかというのも,逆に言えると思います。担保権を当然先に実行するだろうとは思いますけれども,ルールとしてそういうものを置いておかなくちゃいけないかどうか。置いていても,法根拠がないといえばないわけで。  ただ,このルールを置いたがゆえに,手続がややこしくはなりはしないかというのがあるのは--しかし置かない方が,そういう面倒さというものをなくすることができるということでもある。いかがでしょうか。  ○○幹事,いかがでしょうか。 ● 置かなくてもいいんじゃないかと思うのですが,幾つか気になることがあるんですが。第1に置くと手続が煩雑になるのかということなんですが,394条に関しては,1項は当たり前の話で,これはその担保の不動産の代価から,同時のこともあるんですが,先立って配当されて,そこについて債権を回収していたら,他の財産から弁済を受けるときにその額が引かれると,これは当たり前の話ですよね。同時のときはまた別ですが。かつ,その2項に関していいますと,これは他の財産の配当の手続のときの規律ですから,電子登録債権についてこういうふうな規定を置いても,手続が煩雑になるのは,他の不動産が競売されるというふうな場合に,その手続が行われるだけであって,電子登録債権法の中で何かその面倒くさくなるようなことが起こるとかいうと,それはそうではないと思うのです。  逆にもっといえば,もし394条は抵当不動産については適用されるのは明らかであって,こういう条文があるわけですから,394条2項の他の財産というものには,電子登録債権も入れますから,電子登録債権一般について差押えが起こった場合には,その人がその抵当不動産を持っていたら,その部分について供託せよと,抵当権を持っていたら供託せよという話は起こってくるわけであって,もう全くいずれにせよ,何をしなくても同じことになってしまうという感じがまず第1点としする。  少なくとも,これを準用することによって,面倒が生じるわけではなかろうという気がするんですね。  第2点目としては,認識の問題なんですが,394条というのは,私,実務はよくわからないんですが,働いているんですか,現在。抵当権を有してる債権者が,一般財産の差押えがあって配当要求したときに,「お前は抵当権を持っているじゃないか」という形で他の債権者から異議が出て,供託をするという例というのが本当にあるのかということで,私,いろいろ調べたことがあるんですが,実務家の中でも,「え,そんな条文あるの」とおっしゃった方もいらっしゃるわけでありまして,余り使われているような規定もないような気もするんですが。 ● 抵当権を持っているということが,わからないんじゃないですか。 ● ええ,それはそうだと思いますけれども。ですから,公示が抽象的には不動産登記簿はだれでも見られるんだと。だから,可能性としては異議を申し立てるということはあり得るんだというふうに言っても,実際には余り働いているとは私には思えないわけであって,ですから別段そんなに準用して苦しくなるような規定でもないんだけれども,準用することもないだろうというのが結論になるわけです。 ● 確かに配当すべき金額の供託を請求することができる。だから,黙っていればそのままということになるわけで,類推適用をしても確かに困ることはないかもしれませんね。  いかがでしょうか。ほかの方の御意見,○○委員,どうでしょう。この条文について何か御経験があれば。 ● いや,394条というのはほとんど見ることもない条文で,今○○幹事がおっしゃった以上に,何もつけ加えることはないんですけれども。この注に書いてあるように,不動産登記と違って一般公開を行わない電子登録債権ですが,ますます他人にはわかりにくいということにはなろうかと思います。 ● わからなければ,供託を請求することができるという条文があっても……。 ● 何も活用できないと。 ● だから,あってもなくても結局,結果は同じだということになるのかなと。  ○○委員,どうぞ。 ● 供託請求をする際に,不動産の場合ですと,どのくらいかというのは検討がつくと思うのですが,債権の場合,幾ら供託させるかというのが,債権の価値によって変わってくるから,より不動産よりも難しいのかなという気がいたします。 ● 供託そのものを見ることができないわけですから,担保の目的物の価値というのは把握しようがない。 ● 準用しても有害ではないという御意見が大勢を占めたように思いますが,いかがでしょうか。  ほかに御意見ございませんでしょうか。 ● 今,○○委員がおっしゃったのは,もし準用しても,この2項で供託すべき金額を計算しようがないということであるという御趣旨でしょうから,準用しない方がいいという御意見ではないでしょうか。 ● なるほど,そうですね。  どうぞ。 ● 積極的に反対ということまでは申しませんけれども,まずその公示が乏しいから使われにくいし,それから仮にわかったとしても,その供託金額を決定するのが非常に難しいのではないか。だから,使われる可能性が非常に少ないのではないかという,そういう趣旨です。 ● 1項はいかがですか。 ● 1項はさっき○○幹事がおっしゃったように,ある意味で当然といえば当然のことですが,わざわざ書かなくても当然のことだからというようにもいえると思いますけれども。 ● そうすると,○○委員の御意見は準用しない方がいいというか,2項については準用してはぐあいが悪いことがあると。1項はしてもしなくても,原則的なことだから当然だということで,準用しなくてもいいという結論になりましょうか。 ● 2項も,別に反対とまでは申しませんけれども,余り意味がないのではないだろうかということです。 ● なるほど。どうしましょう。  事務局,何か。 ● 私どもも,別に定見があるわけではなくて準用--これは幸いなことに登録手続は全然関係ないものですから,ただ単に準用する規定として394条と書くかどうかだけの問題なので,決めていただければどっちでもいいんですけれども,積極的に準用すべきだという御意見はお一人もいらっしゃらないように思うのですけれども,そういう理解でよろしゅうございましょうか。  じゃあ,もう,ちょっと今の御意見を。 ● ○○幹事,何かありますか。 ● いえ,ありません。 ● ありません,それでは。 ● それでは積極的に準用すべきだという御意見はなかったということを踏まえつつ,しかし,○○委員もおっしゃられたように,その394条1項と2項の前段までは,いわば当たり前のことなので,問題は後段で,後段は準用するのはいささか問題だという御意見があったわけですから,1項だけ準用して2項の前段は準用しないということになると,何かそこはまた変わるのかというふうにも見えるので,1項と2項前段まではセットなんだと思うのですけれども,そういう形で準用するのはそれは当たり前だからそれも準用しないのかということを,事務局の方でさらに検討させていただきたいと思います。 ● それでは,この④の394条の点については,もう少し今の意見を踏まえた上で,事務局で原案を作っていただきたいと。検討して議案を作っていただきたいと思います。  それでは,次は注の論点の⑤に移りたいと思います。  これは根抵当権の譲渡等の規定を準用すべきかという問題でありますが,これについて御意見を伺いたいと思います。  この根質の設定そのものについては,原則的なルールをそのまま準用するという。その上でということだと思うのですが。譲渡等の規定まで準用する必要があるかということですが,いかがでしょうか。ニーズの点がもちろん関係してくると思いますが。  ○○委員,どうぞ。 ● 転質に関してはそのニーズがあると申し上げましたけれども,その譲渡のところまで本当にニーズがあるかどうかという,完全にないのかとい言われると,そこはちょっとそうだとは言い切れない部分もあるんですけれども,転質が認められることによって,かなりの部分,カバーができるのかなと思いますので,相対的にニーズは低いのかなと思います。 ● ほかにニーズの点について,御意見を伺えればと思いますが,いかがでしょうか。あるいはまた指名して恐縮ですが,○○委員,いかがですか。 ● ○○委員と同様,転質が利用できれば,それで大半のニーズが吸収できるのはないかなという気がいたします。 ● なるほど。それでは,この点についてはほとんどニーズについて積極的な御意見がなかったように思いますので,この点については準用しないということに決めたいと思います。  それでは,次は注の論点⑥でありますが,共同抵当についてであります。  この規定については,準用しないということにしたいということですが,それでよろしいでしょうか。  ○○委員,いかがですか,共同抵当のところ。 ● 特に別に異存はない,はい。 ● そうですか。ほかにいかがでしょう。共同抵当のような規定を,というか共同質になりますが。特に必要はないということでよろしいでしょうか。  それでは,この点については準用しないということに決めたいと思います。  論点の⑦について御議論をいただきたいと思いますが,397条の適用の当否の問題であります。  これは,やや理論が勝つ問題かなと思いますが,いかがでしょうか。どうも今日はゼミみたいになって恐縮ですが。民法の先生方,いかがでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● 私はこの原案どおり準用しないということで結構だと思います。私自身,前の方に書いてある学説は反対でありまして,後ろ半分の方の説明で十分足りるかと思っておりますので異存はありません。 ● やはり準用しないでいいという御意見ですが。いかがでしょう,それでよろしいですか。○○委員もよろしいですか。○○委員もそういう……。 ● 準用すると金銭債権について時効取得があるということを認めることになりますよね。 ● なるほどね。 ● だから,それが○○委員おっしゃるように,それが反対かどうかという問題もさることながら,結構難しそうな問題を今ここで決めるのはちょっと怖いですけれども。 ● そうしますと,準用しない説明も,金銭債権には時効取得がないからだという説明ではなくて,注の後ろの方に書いてありますように,電子登録債権については,登録名義人にならない限りは,準占有ということがあり得ないから,仮に金銭債権の取得があり得るとしても,電子登録債権についてはこういうことはないんだという,そういう説明にしろということでございますね。 ● そこまで深読みしていただくとあれなんですが,それでよろしいんじゃないでしょうか。 ● わかりました。それでは,この条文については準用しないということにしたいと思います。では最後,⑧でありますが,398条の20の1項3号について。これは他の債権者等がした差押え等を根抵当権者が知った場合の元本確定の規定の準用の問題でありますが,これについて御意見を伺えればと思います。  いかがでしょうか。ここに説明というか,解説が書かれていますが,これはこのとおりかなと私は拝見しましたが,○○幹事どうですか。 ● 準用しないという結論に全く反対するわけではないんですが,理屈の上では売却命令というのはあり得るわけですよね。 ● 売却命令ね。 ● 債権の。 ● 売却命令が理屈の上であり得て,それを用意するかどうかはまた今後考えることになるんですけれども,仮に売却命令を用意するとしても,売却命令が出てもそれは根質のついたままの状態で売却をするということになるんじゃないかと思いますが。ですから,消除されるわけではない。 ● いかがでしょうか。これは確かに消除主義との関係で,こういう規定が置かれていると理解することができるかと思うのですが。○○委員,どうですか。 ● 今の,私も譲渡命令とか売却命令とかということを考えたんですが,そうすると根質がついたまま移転するということと,根抵当権の譲渡の規定を準用しないということとは,そこは別によろしいんですか--そうか,これは根抵当権だけを譲渡する場合だから,違うということですかね。これを確定……。 ● 設定されている電子登録債権を譲渡するわけですので。 ● それについていくだけだから,これは別の問題だということですかね。 ● 根質が別に売却で買い受けた人に行くわけではありませんので,買い受けた人はその設定された電子登録債権を受け取るだけですから。 ● わかりました。 ● 若干不安になってきたので確認なんですけれども,質権の場合,転付命令の場合は質権は当然引き継がれることを前提にした裁判例,それは転付命令の対象になるのかという裁判例,平成十何年でしたか,ございましたよね。それが譲渡命令,売却命令の場合,何かが変わってくるということがあるのかどうかというところが,ちょっと今○○委員と○○幹事の御指摘を受けて,何か違う場合があるのかなという,私はちょっと今考えても違う場合はないんじゃないかなと思うのですけれども,そこは何か引っかかられることがおありであれば,お教えいただればと思った次第ですけれども。 ● ○○幹事。 ● 違うという趣旨で申し上げたのではなくて,私もそんなことを深く考えて申し上げたわけではないんですが,11ページの説明において,その差押債権者は取立権を取得するだけであるからという文章は,ちょっとあれかなという,それだけの話です。 ● 売却される場合に,質権も消滅して配当になるかどうかということが,多分今,○○関係官から疑問として,あるいはちゃんと把握しておくべきだという問題点として質問があったと思うのですが,何かそれについてお答えがあればありがたいということですが。  質権が設定されている目的物を一般債権者が差し押えて競売をしたという場合に,質権が消えるのか消えないのかという問題,ですからそれはあんまり議論されたことがないのでよくわからないんですが。消えてしまうということになれば,同じルールを置いておかないといけないということ。それについては,ちょっと後で事務当局でさらに御検討いただけますか。 ● 売却命令等に準用される規定は,民事執行法161条6項で規定されているんですが,売却命令の準用の中に消除主義を定めた59条は入っていないんですね。ですから,これは消除するというのは例外ですので,規定はないのに消除なんかできっこないはずですから,それは消除はされないと私は理解しておりました。 ● そういう理解であれば,この11ページの頭のところの⑧に解説がありますが,この解説のとおりではないかと思いますが。  よろしいですか。引き継がれるわけですよね。引き継がれるということのようですが,それを前提として御議論いただくとしていかがかということですが。準用する必要はないと思いますが,いかがでしょうが。よろしいですか。  それでは,これはここの原案の整理のとおりということにさせていただきます。  どうぞ。 ● ここまできますと,ちょっと私が見落としているだけかもしれないんですが,基本的には不動産に関する抵当権に関する条文で--そうか,順位の変更は準用されるのか。 ● 順位の変更は,9ページの下の③のところで準用すると。 ● 最初の今日の要綱案の部会資料の書き方というのは,一応その不動産の抵当権の規定が準用される可能性があると。そこで一個一個考えていこうという,こういうスタンスで書かれていると思うのです。  しかるに,最終的に準用されることになった条文というのは,ごくわずかであって,それは非常に例外的なものとして認められたと。ニーズとの関係で認められたんだと理解するわけであって,そうすると,394条の先ほどの話に戻るんですけれども,もし仮に不動産抵当権の条文でおかしくないものは全部準用しようというふうなスタンスに立てば,394条も別に邪魔ではないんだから準用しておこうじゃないかということになるのに対して,どうしても必要なものだけ準用しようということになりますと,準用はしなくていいじゃないかという話になるような気がいたしまして。その全体のトーンが,今の議論の結論として,結果として変わってきたような気がしますので,394条の準用の可否について御検討の際に,そういうふうなこともお考えいただければと思います。  以上です。 ● 一番最初のスタートは,これは362条2項ですよね。質権の規定のうち,前3節を包括的に準用している,これがちょっとどれが準用されるのかわからないので,包括的な準用はとにかくやめて,個別的に準用するというのがスタートで,しかし,登録の形になるので抵当権の規定で準用できるものは準用しなくちゃいけないという,多分こういう整理だったと思いますので,抵当権のところについては全部ということでは,必ずしもなかったように私は理解したんですが,これは事務当局ではどうお考えだったんでしょうか。 ● その点も含めて,ですから一つ一つ論点を議論していただいたということでございます。 ● では,○○幹事に指摘いただきましたが,ほかにこの準用の問題について何か特に御指摘をいただく点がございますでしょうか。準用すべきだとかという多分指摘になると思うのですが。  ○○委員,どうぞ。 ● 確認なんですが,349条,流質の規定も準用するとなっていますが,これは同時に商法515条も当然かかってくる,つまり商行為の場合には適用しないという理解でよろしいでしょうか。 ● それはいかがでしょうか。 ● 流質を準用する以上は,515条も適用されるということになると思うのですけれども,あれですか,商法515条も準用の対象に明示した方がいいという御指摘でしょうか。 ● 多分,明示しなくても,準用すればかぶってくると思うのですが,実際上はほとんど349条が働く場面というのはないのかなと思ったんですが,電子登録債権の場合。 ● なるほど。 ● そうしますと,もう流質の規定の準用はやめた方がいいと。 ● いや,基本的に349条をここだけ除外するのは変だから残しておくというのは,それで結構ですけれども,実際にはほとんど適用されないだろうなと思うという,確認と感想です。 ● ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。  その1点,ちょっとさっきも質問した点なんですが,確認したいんですが,これは362条2項の規定は,この節に定めるもののほか,その性質に反しない限り,前3節の規定を準用するとありますから,この節,つまり363条以下の規定ですが,それは当然これは権利質だから適用されるという,そういう理解でよろしいんでしょうか。 ● そういう理解でございますが,そうはいっても,362条1項はもちろん適用されるのですけれども,363条は証書の交付ですので,電子登録債権には適用される余地はなく,364条は指名債権の規定ですのでこれはまた適用される余地はなく,365条は指図債権の規定ですのでこれはまた適用される余地がございませんから,結局は,第4節の権利質の規定のうち,適用されるのは362条1項と366条ということになるという理解をしております。 ● 何かそれも工夫して--その規定だけ準用するというやり方はないですかね。 ● いえ,権利質というふうに性格づける以上は。 ● わかりました。それでは,ほかに御意見ございませんでしょうか,この準用等について。○○幹事,何かございますか。  それでが,先ほど大体整理ができたと思いますが,さらに検討すべき点については,事務局で検討していただきたいと思います。  それでは,この先ほどの資料でいいますと,11ページの(2)以下のところで,何か御指摘をいただく点がございますでしょうか。質権の設定登録手続のところ。これは⑤の注については,先ほど既に関係して議論していただきましたので,これはその議論とのかかわりで決まってくるということでありますが。⑨についてもそうですね,先ほど既に議論したところであります。  ございませんでしょうか。よろしいですか。  特にございませんようですので,この第8の点については,先ほど議論が残った点もございますけれども,全体として,質権について,原案が認められたということで。  次に,第8の「2 信託」以下の事項についての審議をしたいと思います。最初に事務当局に説明をお願いいたします。 ● まず,2の信託でございますが,前回申し上げましたように,信託登録という形の登録,それぞれの発生登録とか譲渡登録,質権設定登録の中に信託という項目をつくるのではなくて,信託登録というものを設けまして,それを場合によったら発生登録などと同時に行うという形,これは今般の信託法の改正に伴う不動産登記法の改正でも用いられている方式ですけれども,そういう形にしたいというのが本文でございます。  それから,その信託登録の内容,手続をどのようなものにするかということにつきましては,注に書いておりますように,現在国会で審議中の信託関連法案の帰趨を踏まえて検討しなければならないわけですけれども,ここでとりあえずお決めいただきたいのが,信託目録は作成しないということでよろしいかということでございます。  実は,本当は信託登録の内容,手続をもうちょっと詰めてお示ししたかったんですけれども,今,信託法を衆議院の審議が終わって参議院に移っているところでございまして,信託の担当者と十分に協議できていないものですから,こういう形でお示ししております。次回にはもう少し具体的なものがお示しできればと思っておりますのでお許しください。  それから,3の登録記録等の開示でございますが,「(1) 登録事項についての開示」でございます。これは15ページの注1に書いておりますように,第10回部会で非常に時間をとって御議論いただきましたので,その審議結果を踏まえまして,中間試案の案を大幅に改めております。  まず,柱書の方ですけれども,前の中間試案当時のただし書の抽象的な拒絶事由というのをやめまして,具体的にどういう請求権者が請求すれば,どういう事項を開示するのかというのを制限列挙の形で書くという形にさせていただいております。  ただ,柱書にただし書をつけておりまして,当該事項のうち,政省令で定めるものについてはこの限りではないものとすると書いてございますが,その中身といたしましては,15ページの注2に書いておりますように,いわゆる法定外の任意的登録事項のうち,管理機関が当該登録の当初に届け出があった場合には開示しないということを,業務規程で定めた事項を開示しないことができることとするということでございます。これは第10回の部会で,当事者の届け出なしに管理機関が勝手に開示しないという事項を認める必要はないということで御異論がなかったものですから,そういう形で政省令を定めたいと考えているところでございます。  それから,各項に入らせていただきますけれども,まず①でございますが,自己の氏名または名称が登録名義人として記録されているもの,要するに現在の債権者と質権者でございます。この者が請求したときにはすべての登録名義人,つまり現在の債権者と現在の質権者のすべて,それから登録債務者と書いていますので,発生登録における債務者と登録保証人,現在も債務を負担している者,それからその後の「並びに」以下が長いんですけれども,譲渡登録または質権についての登録の個人である譲受人または質権者として記録されている者で,登録名義人でないものというので1つでございます。  要するに,現在は債権者でないけれども,過去に債権者または質権者であったもので,かつ個人である者という,これは善意取得とか人的抗弁の関係で,消費者である場合には,善意取得,人的抗弁の切断の規定の適用が除外されるということになっていますので,これは開示の対象にするということになりましたから,それを挙げているということでございます。  その後の「及びこれらの者」というのは,登録名義人でない者でございますけれども,その相続人であって,譲渡登録の譲渡人または質権設定者,もしくは質権の処分をした者というのは,先ほどの御議論で質権の処分は,転質だけがあるということになりましたので,転質をした者ということになるのでしょうか,それで書くということになると思いますけれども,そういう者として記録されている者というのは,相続の場合には相続人が譲渡人になる場合に,相続人名義に変更登録をしないでも譲渡あるいは質権設定ができるようにするということになっていたかと思いますので,そのかわりに,譲渡人が個人である場合には,それは譲渡人の住所,氏名を登録するということになっていましたので,それは開示すると。これも消費者保護の関係でございます。  それから②の自己の氏名または名称が登録債務者として記録されている者,すなわち発生登録における債務者あるいは登録保証人でございますが,これは3つに分けておりまして,まず必ず見せるものとして,すべての登録名義人及び登録債務者に係る登録において記録されている事項でございます。ですから,だれが権利者でだれが債務者で,どういう権利義務関係なのかということは,全部任意的登録事項も含め,先ほどの柱書のただし書で除外される法定外の任意的登録事項の一部以外は全部見せるというのが,イでございます。  なお,この関係につきましては注3をつけさせていただいておりまして,ここは第10回の部会で必ずしも固まったわけではなかったんですけれども,登録債務者というのは発生登録における債務者である場合と,登録保証人である場合があるわけですけれども,そのいずれであっても,自分に対して請求する立場になるものを知る正当な利益はあると考えられます。また,登録保証人については,自分が特別求償権を行使することができるものを知るという正当な利益もあると考えられますので,自分を含むすべての登録債務者の債務の内容の開示を受けることができるという形で案を作らせていただいておりますので,それでいいかどうかを御議論いただきたいと思います。  それから次のロでございますが,これは要するに,人的抗弁があるときはその人的抗弁のある譲渡人等から登録名義人までの間の譲渡登録あるいは質権の登録に譲受人あるいは質権者として記録されている者の氏名または名称及び住所だけを見せるというもの。それを追加して見せるというものでございます。ここにはちょっと注をつけ忘れたんですけれども,「人的関係に基づく抗弁を有するときは」と書いていますので,その抗弁があるということは主張立証していただかないと,管理機関からは見せてもらえないということにしておりまして,それは後で申し上げます③のロの場合と同じでございます。  それから,次のハでございますが,これはブラケットにしておりますが,その理由は注4に書いたとおりで,意見が分かれたためでございますが,原則がイで例外がロなんですけれども,管理機関によっては,業務規程で定めることによって,一々先ほどの主張立証してもらわなくても見せますという管理機関があってもいいのではないかという御意見もございましたので,それをブラケットの形でハとして挙げさせていただいております。ただ,管理機関によってばらばらになるのはよくないのではないかという御意見もありましたので,ブラケットにしているということでございます。  それから,これは第10回のときには議論にならなかったんですけれども,債務者の側についてこのハを設けるとすると,①の債権者・質権者側が請求する場合にも,ハのようなものを設けた方が,何か規定上はバランスがいいように見えるんですけれども,そうするべきか否かということについて,御審議をお願いしたいと思います。  それから③でございますが,自己の氏名または名称が登録記録に記録されているものであって,①及び②に掲げる者以外の者ということですけれども,要するにかつては債権者または債務者であったけれども,現在はそうでないという者でございます。  まず絶対見せるものとしてイがございまして,当該請求者が登録の当事者となっている登録と発生登録,その発生登録について変更登録がされているときは変更登録を含むということでございます。これは,自分が譲受人であり,また譲渡人となっているそれぞれの登録と,一体どんなものを譲り受け,譲り渡したのがわからないと,おそらく税務署とかに説明するときに困ると思います。それで,発生登録は見せてもらいますよということでございます。  それから,ロですけれども,その請求者から第三者への譲渡登録あるいは質権についての登録がされている場合において,当該登録が当該請求者を代理する権限のない者または当該請求者になりすました者の請求によりされたものであるときは,当該請求者から登録名義人までの間の譲渡登録または質権についての登録に,譲受人または質権者として記録されている者の氏名または名称及び住所ということでございまして,偽造あるいは無権代理という場合には,自分に名義を戻すためにどういうふうに転々流通したかということを知ることができるということにしてございます。  ここは,第10回部会でどの程度の証明が必要なのかということについて,御議論のあったところですけれども,注5に書いておりますように,譲渡履歴は過去に権利者であったに過ぎない者には開示すべきでないという御意見が,中間試案における意見照会の結果の大勢であったということで,無権代理あるいはなりすましであることを主張・立証しない限りは,管理機関は見せないということで案をお出ししておりますけれども,それでよろしいかどうかについて御議論いただきたいと思います。  それから(2)でございますが,登録の請求に際して提供された情報についての開示でございます。これは基本的には中間試案のときと同じでございますが,第10回部会での御議論の結果を踏まえまして,後段ですけれども,当該請求が適法かどうかにつき,利害関係を有する者という言葉を入れさせていただいて,かつ利害関係を有する部分に限り同様とするという,そこをつけ加えさせていただいております。これによって,注に書いておりますような者が,その利害関係を有する限度で,その範囲だけ見せてもらえるということを明確にしたということでございます。  (3)は,中間試案のときと同じでございます。  (4)ですけれども,第10回部会での御審議の結果を踏まえまして,保存期間をすべての登録について支払等登録またはすべての登録事項を削除する変更登録がされた後という起算日のものと,支払期日後という起算日の2つを用意するということにいたしまして,第10回の部会では必ずしも期間についてコンセンサスが得られたわけではないんですけれども,また3つ出すのもいかがなものかと思いまして,とりあえず5年,10年というような御示唆が若干あったかなと思いまして,とりあえずのものとして5年,10年を出しています。ここは全く定見はございませんので,ほかのもうちょっと長くした方がいい,あるいは短くした方がいいということであれば,御指摘をいただきたいと思います。  なお,②につきましては,括弧書で「(分割払の電子登録債権にあっては最終の支払期日,支払期日後に登録がされた場合にあっては当該登録の日)」ということにしていまして,これは今は当たり前のことかもしれませんけれども,分割払の場合は最終の支払期日から10年,仮に期限の利益が喪失していても,そのことの登録がされていなければ,最終の支払期日,最初の発生登録でされた最終の支払期日から10年間は,保存しなければいけないということにし,それから支払期日後に一部だけ支払等登録がされていて,その残りは放りっぱなしになっているということもありますから,そういう場合は,その最後の登録がされてから10年ということでいかがかということでございます。  次に「4 電子登録債権に関する差押え等」ですけれども,実質は中間試案のときと変更しているわけではありませんけれども,中間試案の書き方がややわかりにくかったために問題が起きたのかとも思いまして,裁判手続に関し必要な事項を最高裁判所規則で定めていただくと。他方,裁判手続に従って差押え等の命令が出された場合の登録に関し必要な事項は法律で一般的な委任規定を設けまして,それに基づく政省令において規定を整備するという形でいかがかということでございます。これは,ほかの法令もいろいろ調べましたけれども,これ以外のものはほとんどないということでございますので,それに合わさせていただきたいということでございます。  それから最後ですけれども,以上のほか,罰則その他所要の規定を整備するということでございます。  以上です。 ● それでは,今説明いただきました点につきまして,順次議論をお願いしたいと思います。まず最初に,この13ページの一番下のところにございますこの信託についてございますが,これは具体的にはまだ中身は提示されていませんけれども,信託目録は作成しないものとするという,この点についてだけは提案の形になっていますので,この点について何か御意見ございますでしょうか。  信託に関係された先生方,いらっしゃると思うのですが,いかがですか。  ○○委員,いかがですか。 ● 詳しいことは次回にということで,信託目録を作成しないということについて,結論的にはそれでよろしいと思うのですけれども,もう少し理由,なぜ作成しないのかということを御説明いただいた方がよろしいのでは。 ● 中間試案に対する意見照会におきましては,信託目録を作るのは非常に負担なので,それは勘弁してくれという意見はいただいておりますけれども,それの反対の意見はなかったということから,管理機関側の負担ということも考えまして,信託目録は作らない型の登録制度を用意するということでいかがかということで,案を出させていただいた次第でございます。 ● ほかに御意見ございませんか。よろしいでしょうか。  それでは,一応この原案の形で整理をさせていただき,なお,細かい点については後日確定をしていただきたいというふうに思います。  それでは,この信託については,これはほかに何か御意見がございますでしょうか。この点以外に,一般的に。よろしいですか。  具体的な提示がないのでまいりますが,それではまた別の機会に御意見を伺いたいと思います。  それでは,次に3の登録記録等の開示でございますが,まず(1)の登録事項の開示ですが,この注3に記載をされていますように,原案は登録債務者はすべての登録名義人のほか,自己を含むすべての登録債務者の債務の内容の開示を受けることができることとしていますけれども,こういう取扱いでよろしいでしょうかということをお伺いしたいと思います。  特に御意見ございませんでしょうか。よろしいですか。この整理で特に御異論はないということで,この整理を承認していただけたということで。  それから同じく登録事項の開示のうち,ブラケットが付されている②のハのところですが,この点について御意見を伺いたいと思います。  ○○委員,どうぞ。 ● ここのブラケットに関しましては,銀行界としてはこれはあった方がいいと考えております。前回もその意見が割れたところではありますけれども,債務者から見た場合に,この②のロで整理されている以外は,過去の債権者については開示が受けられないというのが原則になっていますけれども,過去に債権者であった場合には開示されないんですが,現に債権者である場合には開示はされるわけでありまして,債権者としても,自分が現に債権者であれば,開示されてもしようがないということを前提に権利関係に入ってきていると思いますので,原則的な考え方としては,私はすべて債権者は開示されるということでやってもいいのではないかなと思っています。  ただし,開示されたくないというふうなニーズも一部にはあると聞いていますので,そこについてはブラケットに整理されているように,管理機関の業務規程でそこをどうするかということを決めるというふうな選択肢があれば,柔軟に対応できるのかなと思います。  それとの平仄でいきますと,①に関しても同じような規定があってもいいのかなとは思いますが,過去の譲渡人に関する譲渡履歴ということで,この②に比べれば,そこを開示されたくないというニーズの方が非常に強いのかなと思いますので,規定としてはバランスとしてあってもいいとは思いますけれども,実際使われるかどうかという意味では,②の方がニーズは強いのかなというような感じはいたします。  以上です。 ● ほかに御意見ございませんでしょうか。前回の議論では,意見が分かれたところでありますが。どうしましょう。特に御意見がなければ,このブラケットを外した形でという○○委員の御意見が有力になりますが,○○委員,いかがですか。 ● ○○委員と全く同様でございます。 ● どなたか,前回余りこういう規定は要らないんじゃないかと。よろしいですか。○○幹事,よろしいですか。  それでは,特に今回の御意見,ブラケットを外すという御意見以外ございませんので,そういう形で取り扱いたいと思います。 ● ちょっと説明するときにもらしてしまったんですけれども,今見ていただいている②のハとか④で業務規程という言葉を書いているのですけれども,柱書のただし書は業務規程という言葉を避けて,「当該事項のうち政省令で定めるもの」と書いておりますので,もしかしたらこれは条文を作る過程でどうなるかということなんですけれども,こちらも政省令で定めるものということで,実質は業務規程にさらに落とすということに多分なると思うのですけれども,そういう書き方にさせていただくかもしれないことをちょっと留保させていただければと思います。 ● それでは,同じく登録事項の開示のうち,ブラケットが付されている③のロについてでございます。注5にありますように,無権代理またはなりすましによる譲渡登録等がされたことを管理機関に立証しない限り,譲渡履歴の開示を受けることができないものとする,そういうふうにされていますが,これでよろしいでしょうかどうかということですが。  これは前回の議論を踏まえてのことだと思いますが。特に御意見ございませんか。  ○○委員,どうぞ。 ● 立証というのは,管理機関が満足するということですか。そこで裁判手続をやるわけではないですよね。 ● 管理機関がその立証があったと認めれば,もちろん任意で見せてくれるということになりますけれども,管理機関が納得しなければ,見せろという訴訟を最終的には起こさなければいけないということになると思います。 ● そこの訴訟では立証までが必要だという趣旨で,この注5が書かれているんですか。疎明では足りないという趣旨で。 ● 訴訟ですから立証が……。 ● そうか,そうですね。すみません。そうすると開示の段階で本案と同じことをやらないといけないということになりますかね。本案というか,名義を回復するための訴訟を今本案と呼んでいるんですけれども。 ● ですから,少なくとも無権代理かなりすましであったことは,主張立証できなければいけないと。  だから,その段階で立証できないようでは,本当の相手と闘うときにもできないわけですから。 ● そこで勝てれば,本当の相手にも勝てるわけですね,立証できたということですから。 ● 当事者が違いますので,反証の程度が違うかもしれませんが。 ● ほかに御意見ございますでしょうか。よろしいですか。  それでは,この点についても原案のまとめで御承認がいただけたと承りました。  それでは,この(1)の登録事項の開示ですが,今,御議論いただきました以外の点について,何か御意見ございますでしょうか。 ● ちょっとよろしいでしょうか。 ● どうぞ。 ● 今,御議論いただいた結果によりますと,②のハはブラケットだけをとって取り入れるということになったわけですけれども,①の方にその②のハと同じものを設けるかどうかは,ちょっと○○委員も結論をやや留保されたような言い方だったんですけれども,ほかの委員の御感触はいかがでしょうか。 ● ○○委員は,もうこっちの方は要らないんじゃないかとおっしゃったように伺ったんですが,そうではなかったですか。 ● いや,そのバランスだけを考えるとあってもいいかなとは思いますけれども,実際のニーズという意味ではないんじゃないかなと思います。 ● そうすると,管理機関が譲渡履歴を業務規程で定めて見せるというところがあるのかどうかということにも係ると思うのですけれども,○○委員はないんじゃないかというお話なんですが,○○委員あるいは○○委員はいかがでしょうか。 ● どうぞ,○○委員。 ● 私は②だけあれば十分ではないかなと思いますけれども。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 実際ニーズとして考えつかないかなと。②の方は当然あるとは思いますけれども。 ● それでしたら,特にこのハのところを政省令で定めるものというふうにしますと,バランスの問題もあるので,法律上は政省令で定めるものとしておいて,①の方は政省令で定めないということも考えられないわけでもないので,ちょっとそこは法制的な問題もありますから,今のお話を承ってニーズはないという前提で,それでもなおハのようなものを設けるかどうかについて,さらに事務局の方で検討させていただきたいと思います。 ● それでは,さらに。 ● 別のことなんですけれども,その業務規程で定めるものというのが,ハとか④とか,あるいは規定上は政省令で定めるものになっているんですけれども,政省令で定められることによって業務規程に定められるという柱書のただし書があるんですが,最初に登録したときには業務規程で定められていなかったんだけれども,後で業務規程が変更されたときに,変更前の登録についても変更後の業務規程に従って開示をしてもいいか。それとも,変更前に登録したものについては,業務規程の変更にかかわらず,なお従前の例によるといいますか,登録がされたときの業務規程のままの範囲でしか開示ができないものとすべきかというところについても,合わせて御感触を伺えればと思っております。  実は,ここはもしかしたら,対象によって変わり得ると思いまして,例えば開示する範囲については,Aという範囲までしか開示されないと思っていたのにBまで開示されるというのであれば,そのBの部分でした登録は,本来そんな開示されるくらいなら登録しなかったということがあるかもしれないので,柱書の方のただし書で定める事項についての業務規程で定める範囲の変更というのは,既に登録している人には主張できないといいますか,業務規程を変更したからといって開示してはならないということになるのかなと思う反面,④の管理機関が業務規程で定める者というのは,例えばシンジケートローンの一定の範囲内の機関投資家みたいな人ですと,その管理機関を利用する機関投資家のグループの中身が変われば当然変わるんですけれども,その管理機関を利用している以上は,その投資家たちに売買されるということは,利用している人たちはわかって利用しているので,これは業務規程の書き方の問題なのかもしれないんですけれども,新しいメンバーを入れて,業務規程の範囲を広げた,開示する人の範囲を広げたときに,もう既に登録されているものについては,その新しい人だけは見られませんよというふうにするのがいいのかどうかというのが,やや疑問にも感じて。  業務規程の変更と開示を受けることができる人の範囲,あるいは開示される範囲についてどう考えるべきかということについて,ちょっと御意見を伺えればと思います。 ● ○○委員,どうぞ。 ● その契約という観点からすれば,前者の範囲というものについては,これはその登録した段階で開示される範囲というのが合意されていると。それは後で業務規程で定めて広げてしまうとか,それはやはりないだろうと思うのです。  確かに④の場合,その業務規程で定める者というのが,後でふやしたいというようなケース,これについてまた同じ議論をして,後でふやして見せるわけにいかないというのは,ちょっと硬直的で,逆にそういうのがあったら困るという御意見もあるかと思うのですけれども,それは何か工夫できませんかね。業務規程でこういう範囲のものについてはふえる可能性があるとか,そういう形で書いておく。いずれにしても,原則のその前者の方,開示される範囲について後から業務規程で勝手に広げてしまうというわけにはいかないだろうと思います。  以上です。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 今,○○委員がおっしゃったことと基本的には同じでして,業務規程の中でどういうふうな書き方をするかというところだと思うのですね。おそらく将来にわたって,例えば法制とか慣行が変わって,開示しなければいけないことがふえるというふうなことも十分考えられますので,そういったことも含めて,例えば管理機関がその必要と認めるものとかいうふうな書き方が適当なのかどうかわからないですけれども,その当事者の利害を害しない範囲で,一定の委任的なものも場合によっては必要なのではないかなと思いますので,原則は当初承認した,その業務規程にのっとって開示されるというのは原則だと思いますけれども,そこはその後の変化といいますか,そういったことも見込んでどういうふうな手当を業務規程でするのかなという,そのバランスの問題ではないかなという感じはいたします。 ● ほかにどなたか,今の問題点について御意見ございませんか。  ○○委員,何かございますか。 ● 考え方としては,○○委員のおっしゃられたとおり,やはりその範囲については,その業務規程が変更されたからといって,前のやつまでそれに合わせることはそれは難しいというか,それは承諾できないだろうということで,それは新規程になった後のものに限るでしょうと。ただ,対象者については,確かにその後の状況によって変わることはあるので,そこについてはちょっと業務規程上どういう文言で表示するかは難しいにしても,それがあった場合には,その関係者に対して通知するような仕組みをもって変更させるとかということが必要なのかなと。  やはり何もなくて,急に変わってしまうというのはまずいので,そこは利用者に対してちゃんと開示する,それを通知するような仕組みが必要かなと思っております。 ● よろしいですか。  ありがとうございました。それでは,今の御意見を参考にしたいと思います。それでは,次はこの登録事項の開示の点については,もうほかに……。  ○○幹事,お願いいたします。 ● 今回といいますか,この事務局の方の開示に関する全体のスキームは,大変きれいにまとめていただいていて,全く異論がないところなんですけれども,実際のところ,この(1)②のロのところで,人的関係に基づく抗弁を有するということを証明していただいたときに開示が行われるということになるんですけれども,手形代替的なイメージで考えますと,原因関係上に売買契約に取消事由があるとか,そういったかなり法的に判断を要する事情が前提になって抗弁というのが発生する形になりますので,ちょっとやや管理機関の方にその判断をさせることは難しい場面というのがあるのではないかなということが気になりまして。  そこのあたりのところで,先ほどの議論では,見せられるべきものについて最後まで訴訟で争って見せてもらうというのであれば,見たい人にとってみれば,そこまでいけば何とかなると思うのですけれども。逆に誤って開示されてしまった人が,その開示をした管理機関に対して,何らかの不法行為なり何なり損害賠償を求めてくるというときに,管理機関に対してある程度免責というんでしょうか,こういうようなセイフ・ハーバー・ルールというか,こういうことのときは開示できますという,あるいはこういう程度の注意を果たしておけば免責されるというようなことがないと,結局は全部見せないという方向で処理が行われてしまうのではないかなという気がするんですが,このあたりのところは,何か手当は考えておられるんでしょうか。 ● 今の御指摘の点は,第10回の部会でも御議論があったところだと思うのですけれども,率直にいっていいアイデアは浮かばなかったということでこういうふうになっているわけですが,管理機関はリスクをテイクできないと思うのですね。ですから,こういう人的関係に基づく抗弁があるといわれたときには,その当該人的関係に基づく抗弁の相手方である,ここでいう当該譲渡人等ですけれども,それに確認してそのとおり間違いないといえば見せるし,そう言われて見せて実は違っていたというときに責任を負うということは多分ないと思うのです。  もしも,いや,そんなことはない,そもそも人的関係に基づく抗弁があるということを,当該譲渡人自体が否認したとすれば,よほど明瞭な証拠がない限りはお見せできませんねと,訴訟をやってください,ということになるのではなかろうかと。訴訟で負ければ負けたんですから,開示することになるんだろうと思います。 ● ○○幹事,お願いします。 ● その点についてちょっと確認なんですけれども,その場合,訴訟になった場合の立証の対象というのは何になるかということなんですが,例えば今の例で言いますと,人的関係に基づく抗弁を有するかどうかというのを立証しなければならないか,それとも人的関係に基づく抗弁を有するというふうに合理的に管理機関等が考えたか否か,あるいはその管理機関の裁量の幅を超えているか,超えていないかという点が立証の対象となるかという点なんですが。 ● 今,問題にされている訴訟は,開示を求める訴訟ということでいいんですか。それとも開示をしたことに伴う損害賠償請求訴訟ですか。 ● 両方あり得るのかなと思います。あるいは,その訴訟の類型によって,あるいはその立証の対象が違ってくるのかもしれませんけれども。 ● 私は,まず開示を求める訴訟であれば,ここに要件事実を書いていますので,登録名義人でない者に対して人的関係に基づく抗弁を有することが要件事実であると。それに対して損害賠償の場合は,開示したことに伴って損害賠償を請求するわけですので,不法であることを立証しなければいけないわけですから,人的関係に基づく抗弁がないにもかかわらず開示したということと,そうしたことに過失があるということを開示されてしまった側が立証--もちろん損害と因果関係も立証しないといけないでしょうけれども--することになるのではないかと思っていますけれども,○○幹事の御意見はいかがでしょう。 ● 私もそうやって詰めて考えたのも全く今が初めてなところですが,おそらく分けて考えることになるのかなと思います。行政手続における情報開示等の訴訟等もございますので,そういうのを参考にしながら,当てはめていくのかなと,ちょっと個人的には考えているところです。 ● ○○幹事,どうぞ。 ● 今の点といいましょうか,先ほど御質問させていただいた点のちょっと延長なんですけれども,ここでいう人的抗弁を持っているかどうかというのは,既にもう切断されていることが明らかな場合というのはどういう扱いに,つまり,例えば登録債権者ですね,発生登録における債権者に対して何らかの人的関係に基づく抗弁があったということなんですが,それが譲渡登録の譲受人のところで明らかに切断されているということになっているような場合というのは,もはやその後,譲受人の後にこの抗弁に関連して情報を得る必要が全くないというような場合なんですが,そういう場合の判断も,管理機関はするということになるんでしょうか。 ● いや,ですからここでは,人的関係に基づく抗弁を有することだけが主張立証の対象で,それさえ主張立証すれば後の譲渡履歴は見せるという整理にしているんですけれども,そうでないと,管理機関としてはその後の譲渡履歴の中で抗弁が切断されたりしているのかどうかというのはわからないでしょうから,そこはそれこそ本案で,もう切断されているんだから対抗できないよということは言うということになるんじゃないかと思っていたんですけれども。 ● 私はそれはそれで構わないと思うのですけれども,発生登録,例えば債権者に対する抗弁があるということが事実としてあったとしましても,確認を今されるわけですね,それがどうですかということが確認されたときに,それはあったんだけれども,それは譲渡したらどうのこうのという事情が示されてきたときに,明らかにわかってしまった場合,管理機関の方がもう人的抗弁は切断されているんだという事実が,ほぼ間違いなく切断されているんだろうということがわかってしまった場合でも,過去に人的抗弁があったという事実さえ主張立証されているのであれば,その後は法的紛争ですので,本当にそうかどうかは管理機関はわかりませんので,そこは判断せずに開示してしまうということで構わないということですか。 ● そういう原案なんですけれども,まずければ御指摘いただければと思うのですが。 ● いえ,確認だけです。それで制度が回るかどうかを確認させていただいていただけですので,登録債権管理機関が何をどの程度確認すればいいのかということを,今明確にしていただければ,それで特に異存はございません。 ● ほかに,それでは御意見ございませんでしょうか。この登録事項の開示について。よろしいでしょうか。それでは,一応御意見すべて伺えたということで。  次に(4)の登録記録の保存等についてですが,16ページの一番下から17ページにかけてございますが,5年,10年というその保存期間でしょうか。これを原案としたいということですが,これについて御意見等お伺いできればと思いますが,いかがでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● これは自分ではっきりした意見があるわけではなくて,御質問というか,感触を伺いたいんですが。②の方は,債権の10年というのがあるのかなと思うのですが,①の方は消されてから5年という案ですよね。これはデータ処理の点でもうちょっと短くてもいいのかなという感じが,例えば3年とか,そういうものでもいいのかなという感じがしないでもないんですけれども,これは皆様方の御意見はいかがでしょうかということなんですが。 ● 管理機関になる可能性のあるお立場の人は,いかがでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● 5年程度であれば,特に問題ないかなという感じはいたします。 ● いかがですか。  ○○委員,どうぞ。 ● 短い方が,当然システム上の負荷は小さくなりますから,短ければいいと思いますけれども,後は何年にするか決めれば,それに従っておそらくシステム的な対応をするのかなと思いますけれども。 ● なるほど。ほかにございませんか。  ○○委員,どうぞ。 ● ②の方なんですけれども,特に強い意見ではないんですが,これは支払期日から3年で時効が完成していれば特に問題ないんですけれども,その間,裁判が起こってずっとそれが何かの事情で長引いているというような場合,あるいはそこから確定判決に至って,確定判決の時効がそこから10年だというような場合にも,これでよろしいのか,それともそういう場合の特例を何か設けなくていいのかというのは,それはいいんですかね。 ● いかがですか。 ● その場合,登録を消去してはならないというようなまず申し入れをして,それを聞いてくれそうもなければ,解消をするということになるんでしょうか。 ● ですから,今裁判をやっていますからこれを消さないでくださいという申し入れをしても,でも法律でこうなっているんだから消しますというふうに言われてしまうと困ったことにならないかなと。そんな長々と裁判をやっていないからいいんだということかもしれませんけれども。 ● 前提として,消去されても訴訟をやって判決が出ておれば,その債権自体は判決で確定していますので,記録が消去されたからといって,判決で認められた権利までなくなってしまうわけじゃないと考えています。だから○○委員の言われた,その後の方の問題はあんまり問題はないのかなという気がするんですが,裁判をやっている途中でというのはやや問題かもしれないんですが,それを考慮して10年という,このごろ2年を超えるものはほとんどないので,10年もあればけりがつくのかなと思っていたんですけれども。 ● そんな例外的な場合を考えて,この10年をさらに延ばしてくれと申し上げているのではなくて,何かそういう場合の保存の特例みたいな。 ● どうぞ。 ● 基本的に電子登録債権の時効期間は3年ですから,それでトラブルがあって,○○委員の御指摘もごもっともとは思うのですが,そういうことについて特例をつくって,管理機関はそれに従っていろいろ,それにトラブったものについての処理をしていかなければいけないというのは,やはりちょっと負担増ではないかと思うのです。だから,そういう負担も含めて一括10年で私はよろしいのではないかと思うのですけれども。 ● 確かに勝てば判決書がありますし,負ければそれはそれでおしまいだし,継続中であるという場合が一番問題になるかと思いますが,10年間,訴訟がどれだけ長引くかということとの関係で。 ● 私もレアなケースをただ議論のために議論をしているように聞こえるかもしれないので,余り強い意見として申し上げるわけではないですけれども。 ● わかりました。ほかに何か。  ○○関係官。 ● 何かいい知恵があるわけでは全くなくて,判決の場合は先ほど○○幹事の方から申し上げたとおりかなという感じはするんですが,訴訟継続中は何かいい手はないのかなと。やるとすれば,手続的に何かかませるぐらいしか考えにくいのかなというようなことを,ちょっと横で○○関係官としゃべっていたんですが,例えば,今○○関係官との話の間で出ていたのは,消すときに例えば何か,消しますけれどもこういう現在の,消す前に当事者に送りつけて消すとか,そういうようなことも,これは全く今思いつきなので,何の検証もない話ではあるんですが……。 ● それは何か前回の議論で,手続が負担になるという話でたしか……。 ● 電子登録債権にする……。 ● それは大変ですよね。ですから,それはちょっとなかなかいい案はないのかなと。今のはちょっと社振の方で,振替機関が取り扱わなくなったときには書面を出すというような規定があるので,同じことをやるとしたらそんなことぐらいしか考えにくいのかなというようなことを,ちょっと今横で話していたんですけれども,それは負担だというのはまさにおっしゃるとおりですので,ただそこまで残っているんだけれども,これはだれのかというところはありますけれども,支払等登録をされずに10年間放ったらかしというところ,それが負担だということになると,なかなか手続的にかませると,そしてそれが負担だということであれば,通知することすら多分負担だということをおっしゃることになるでしょうから,とするといい知恵がわかないなということかなと思いますけれども。 ● ○○委員,どうぞ。ごめんなさい,よろしいですか,どうぞ。 ● たしか前回も議論になって,それでできるだけ負担をする方向で考えようということだったと思うのですが,今回は支払期日後に登録された場合というのが新たに入っています。そういたしますと,電子登録債権を第三者が差押えたり,あるいは債権者が破産して,破産に基づく登録がなされたというときは,そこから起算ということになるわけですね。  仮に,そこからさらに10年たって,まだ例えば会社更生なんかで延々とやっているという場合であれば,また改めてその登録をするということで,多分そこは対応できるんだろうと思うのです。そうすると最後に残るのは,当事者間でその債権を回収しようとしているときに,債権の存否についての争いがあって,訴訟が継続しているときにどうなるかという,そこだけ考えれば足りるわけです。  そこで,先ほど○○幹事が,仮の地位を定める仮処分ということをおっしゃいましたけれども,それがうまく継続中にできるのかどうかわからないんですが,もしそれができるのであれば,ほぼ問題は実際上は解決できるのかなと思いますけれども。 ● ちょっとよろしいですか。さっき仮の地位を定める仮処分と申し上げたんですが,もう一回よく考えてみると,訴訟をやっているんですから,登録原簿は開示を受けていると思うのです,もう既に。開示も受けないで訴訟をやれないわけですから,全部開示を受けて資料は入手しているはずなので,それで消されても,それで訴訟は続けられますから,問題ないんじゃないかなとちょっと考え直したんですけれども,いかがなんでしょうか。 ● わかりませんけれども,なりすましの立証に3年,その後の本案に何年と考えるとね。2回裁判をやらなければいけないわけですからね。要するに開示を受けるまでに何年か,管理機関を相手に裁判をやっているかもしれない。 ● 開示を受ける裁判が10年かかったんであれば,消されそうなときには今訴訟をやっているんだからということで,それこそそれは仮の地位,消すなという仮処分はできるんじゃないでしょうか。 ● どこかで登録事項を全部一回プリントアウトしておけばいいんですけれども。そういう手続がどこかで保証されているんならいいんですけれども。 ● これは実務上の運用で何とかならないかというだけのことなんですが,これは保存しなければならないというだけであって,消さなければならないではないんですね。ですから,そういう場合に何らかの形で申し入れがあったときには,管理機関の方で消してもいいし,消さなくてもいいしと,そこはどう管理機関の方がお考えになるのかというようなところかもしれません。そこら辺の実務的な対応で何とかなるような気もしないでもないんですが,そこはいかがでしょうか。 ● 保存してくれればいいんですけれども,病院とかそういうのは5年でぱっと全部捨ててしまうし,カルテなんかは,執刀記録なんかも5年で自動的に全部廃棄なんです。だから,そういう個別事情を言っても,何か手がかりがあればいいけれども,ただ事実上申入れがあったというだけでは対応してくれないんじゃないかなと。 ● だから,それは開示を受けていればもう必要ないですし,開示を受けていなければそれを訴訟で争っているときは,訴訟が解決するまでは消してはならないという仮処分を申し立ててそれを出してもらう。それに10年かかるということはないと思いますので。 ● 訴訟の係属中であれば,全く係属していない場合,その区切り,区切りで消されてしまうということがあり得るかもしれませんが,係属中であって,それはもう管理機関に知らせれば,それはそれでちょっと事情は違うんじゃないでしょうか。というふうに,ちょっと実務的な工夫と先ほどおっしゃっていたので,何かそういうふうにも感じますがいかがでしょうか。 ● すべての管理機関はそういうふうに考えてくれれば,結構だと思います。 ● これは決めの問題ですので,さらにそれではちょっと10年という点については,最後まで留保があったということで,少し検討をいただくということで一応原案は原案で大方承認されたと受けとめさせていただきます。  それでは,後は14ページの登録記録等の開示のところから,この最後までのところでありますが,何か御意見等はございませんでしょうか。  ○○幹事,どうぞ。 ● すみません,普通,意見のない17ページの最後のその他のところなんですけれども,先ほど○○委員が流質に関する民法の準用の話の後に,商法の515条が適用されるんだろうかということを御指摘されたときに,ちょっと気になったものですから,その点について議論の整理が必要なのではないかなと思いまして,ちょっと発言させていただきます。  私自身,考えがまとまっているわけではないのですけれども,電子登録債権に関しておそらくここで一般的に通常の前提としているのは,原因債権が商行為によって生じた商事債権であった場合については,電子登録債権も商行為によって生じた債権だという処理になるというイメージで,民事上の,商行為以外の行為によって生じた債権が電子登録債権になった場合には,商行為法は適用されないというイメージで議論が進んでいたような気もするんですけれども,御案内のように手形に関しては,手形その他の商業証券に関する行為は絶対的商行為ということになっておりまして,手形に関しては,手形行為をしますとその原因関係が民事債権であったとしても,手形自体の債権は,手形債権は商行為によって生じた債権だということで,簡便に処理される形になっているということなんですが,おそらく電子登録債権についてはこの商法501条4号の適用があるや否やというのは,この文言だけから見ますと証券がありませんで,適用されないということになると個別に判断していく,法性決定をしていくという形にもなるような気もするんですが,流通していくということを前提にしますと,商法が適用される債権なのか,民法が適用される債権なのかということが,わからないまま流通していくということがどのようなものなのかというのが,ちょっとまだイメージできないんですけれども,何か解決すべき問題がそこにあるのではないかというような気がしたものですから,一言発言させていただきまして,答えのないままで恐縮ですけれども御検討いただければと思います。 ● そこは実は若干気にはなっていたところなんですけれども,商法501条に規定を設けるというのは,ちょっとどうかなと思いますけれども,あるいは電子登録債権法の中にこれは絶対的商行為だという規定を設けるということも考えられると思うのですけれども,そういうふうにするのがいいのかどうかということが,そもそもの問題かと思うのですが,確かに○○幹事がおっしゃるように,原因債権がどういうものであるかというのが見えないわけですので,電子登録債権を見ただけでは商事法定利率なのか,民事法定利率なのかわからないというのでいいのかというのは,確かにおっしゃるとおりだと思いますけれども,全部絶対的商行為として一律に処理するという規定を設けるべきかどうかについて御意見を,○○幹事はそうした方がいいという御意見と承ってよろしいんでしょうか。 ● どちらかにやはり一本化しないと混乱するだろうなというのが前提なんですけれども,ただ商事法ではやはり利息は商事利息というのがあるので,それを下げると両方に合わせるのはやや難しいかなと思いますので,上げる方にも使わせていただくことになるのかなとは思いますが,大変難しい問題でここで提起しただけでは大変あれですので,またお持ち帰りいただいてでも結構かと思うのですけれども。 ● 今日提起していただいたばかりなので,今日決めることはできないと思うのですけれども,ほかの委員,幹事の皆様方に御感触を承れればと思うのですけれども,いかがでしょうか。 ● 私も今日伺って今の現時点での感想ですけれども,以前私もちょっと感じたことがあるんですけれども,やはり今,○○幹事が最初の方でおっしゃられた,民事債権が電子登録債権,原債権は民事債権というときは,やはり私は民事債権だろうと思っておりまして,原債権が商事債権ならば,その電子登録債権も商事債権ということで,したがって501条の絶対的商行為にするというふうに,おっしゃるように一律になった方がいいんですけれども,今までここで議論してきたことから突然とそうなってしまうんですよと言われると,私は抵抗感が大きいという気がいたします。  とりあえず以上です。 ● ほかにこの点について,御意見いかがでしょうか。  ○○委員,いかがですか。 ● どちらか有利な方が言えるようにするという手はないんですか。 ● なるほど。 ● 一応はその絶対的商行為でないとしておいて,その商法の適用がほしいと思っている人は,原因関係から言い出せば,それで答えは出るような。わからないはずはないので,一見してわからないだけですから,調べたらわかるので,調べて有利な方にいたければいればいいという考えもあると思っただけです。  一応,突発的な質問に応じてということです。 ● すみません,どうも。ほかに何か御意見ございますか。これは特に性格を決定しておかないと,一般民法,一般商法の規定で処理をされることになって,ここで規律されたこと以外のその処理を必要とするというか,つまり一般法を適用して処理をしなくてはいけないという事態が生ずるかどうかということが,多分問題になると思うのですが。 ● 具体例として,今先ほど法定利率が,商事法定利率なのかどうかというのは,最後紛争になったときに今お話ありましたように,最後のところでもう一回確認すればいいということがあるんですけれども,例えば商事留置権の適用などを考えてみたときに,商人間において双方の商行為によって生じた債権に関しては,一般的牽連関係はなくても留置できるという規定になっていますので,そうしますと,そういう商人間において生じているその債権で商行為によって生じた債権なのかどうかとか,そういうことが訴訟になる前の段階で判断を必要とする場面というのが,ちょっと思いつきなのでどうかわかりませんけれども,あるんじゃないかなと。商法というのは適応するときに商人概念と商行為概念を組み合わせて,適用範囲を決めていますので,その具体的なさまざまな諸規定の適用があるのかどうかということが,当事者間において判明しづらいということになりますと,商法の適用されるや否やの判定が非常に難しくなるかなというのが実感なんですけれども。 ● ○○委員,どうぞ。 ● ○○幹事がおっしゃるとおりと思うのですが,一方で今日の審議会の部会の最初に方でも,○○幹事の御発言として民法は適用除外をしない限りは,基本法として当然適用されると,この電子登録債権法制について,そういうのは基本的な私どものこれまでの発想だと思いますのでそこも十分考慮していただきたいと思います。 ● おっしゃるとおりで,私もそれは全く否定しておりません。商法が適用されてもほとんど民法で処理されておりまして,まさに商法というのは民法のごく一部だけ適用除外しているというだけですので,その適用除外があるや否やというところが明確にならないというだけのことですので,私は民法が基本に適用されることは全く否定しておりません。 ● だから,適用除外がある部分について,この電子登録債権法の中で規定があって,すべてそこで処理ができるのであれば,特にあんまりかんかんがくがく議論する必要なないかなと思うのですが,さっきおっしゃったように利率とか商事留置権の適用とかというので,もしそういう適用が問題になるとすれば,それはやはり性格をはっきりしておかないといけないということはあると思うのです。  ○○関係官。 ● まず手形に関する行為がなぜ絶対的商行為にされているのかと,私もちょっと詳細に調べてわけではなくて,何とも申しかねるんですけれども,この電子登録債権というのがいろいろな債権が入ってくる,ましてや消費者保護というところも別段設けておったりするところもあって,そういうことを前提にものを考えたときに,一律に商行為性を認めていいのかどうかというのは,ちょっといろいろ考えなければいけない問題があるのかなと。結論があるわけではございませんけれども,そういう問題があるかなということだけちょっと指摘させていただければと思います。 ● ○○幹事にちょっと御質問なんですけれども,基本的なことをお聞きして恐縮なんですけれども,付属的商行為ってございますよね。電子登録債権の債務者または債権者の一方が商人であれば,例えば会社であるという場合は,この電子登録債権は商行為によって生じた債権であると考えていいという理解でいいんでしょうか。 ● 多くの場合はそうなるんですけれども,ただ会社であっても,それが営業の,事業のために行わない行為というのも,会社ではなく商人の場合ですね,個人商人の場合に関していいますと,私的な領域で発生するものもありますから,当事者が商人であれば必ず商行為であるとは認定しづらいということはあると思います。ですから,例えば自分で自宅を買うために借金をした場合であるとか,マイカーを買うために借金をしたような場合というのは,これは別に事業のために借りているわけではありませんので商行為にはならないということはあると思います。 ● それはおっしゃるとおりだと思うのですけれども,商行為かどうかわかりにくいというか,少なくとも会社が債務者あるいは債権者として登録されていれば,これは商行為で商事法定利率が適用されるということは一目瞭然と考えていいのかどうかというだけの質問だったんですけれども。 ● それは今回,会社法の中で会社が行う行為については全部商行為だという規定を,特別規定を設けていますので,そういう意味では会社が当事者であればみんな商行為であるということで大丈夫だと思います。 ● 他方,先ほども御議論が出ましたけれども,消費者保護規定とかも置いているということもこれありで,絶対的商行為までしてしまうのがいいのかどうかというところ,先ほど○○委員からも御疑問が呈されたんですけれども,○○委員,○○幹事,いかがでしょか。 ● 私,先ほど、実際の適用はほとんどないだろうなというふうに申し上げた,そのほとんどというのはまさにそういう趣旨でございまして,今回の案で債務者が消費者になる場合と,譲渡人が消費者になる場合と,それぞれ考えているわけですが,そうしますと,やはり一般的には民法が適用されて,しかしほとんどの場合には法人が当事者になるから,会社が当事者になるから,そこで解決できるだろうと考えておりました。したがってほとんどということを申し上げた次第です。 ● そうすると,絶対的商行為にするのは妥当でないということですね。 ● はい。 ● ほかにこの点について御意見がございますか。場合によっては民事債権であることもあり得るということを認めるかどうかということですけれども。多くは商事債権になるだろうということですが,それを認めないというか,その絶対的商行為として全部商事債権になるというかどうかということですが。  ○○委員,いかがですか。 ● 私は,利用者が一般消費者もなり得るということで,民事債権になる余地があるのであれば,あえて絶対的商行為だとまで言わなくても,多くの場合はほかのところで商行為になるわけですから,それでよろしいんじゃないかなと思いますが。 ● ○○幹事,どうぞ。 ● 私は商行為法が適用されるべきだという議論をしているわけではなくて,譲り受ける人にとってみた場合に,その債権の性質がわからないまま譲り受けたときに,それがあるときには商行為に基づいて発生した債権だったということになったり,あるときには民法が適用される債権だったということになるということが,一種抗弁の対抗を受けるみたいな形で誤解を生じしめた人の保護規定が全くないまま,これは法令の適用ですので,もう勘違いした人は終わりということになると。  ですから,これはちょっと商行為という言葉が出てしまっていますので,議論がやや性質決定になっているかのような気がするんですけれども,単純に言いますと,法律関係を一元的に決めるかどうかというだけのことを申し上げていて,実際にその原因関係が,消費者の方が登場しているものの商行為というのは,ミスマッチであるということはよくわかるのですけれども,そういうふうに穴があくというんでしょうか,商行為以外のものがあるというのを認めて,ちゃんと回るのか,うまくいくのかどうかということをただ懸念しているだけであります。 ● 今,一元的にとおっしゃられたんですけれども,一元的にはしないということは,もうこの部会で決まっているんじゃないでしょうか。つまり,消費者に穴をあけるということを決めたわけですので,ですから個人が出てくるものを買い受けるのは,極めてリスキーであることを承知の上で買い受けていただくということですから,そもそも善意取得や人的抗弁の切断すらないかもしれないわけなので,商行為でないかもしれないというリスクは,それよりかは軽いのではないかという気がするんですけれども。 ● 大部分は商事のものであるということだから,むしろ民事であるということが後になってその譲受人に対して主張された場合に,何かかなり大きなダメージがあるかという,多分実際上の議論をすれば,そういう問題に置きかえられると思うのですが。  ちょっと事務当局でこの点について詰めた検討をしていただいて,最終的には次回にでも提案させていただきたいと思います。  ほかにございませんでしょうか。  特にないようですので,これはもう休みをとらないまま続けておりますが,これで本日予定した審議はすべて終わったということになりますけれども,ちょっと早めに終わってありがたいなと思いますが。  次回の予定をそれではお願いいたします。 ● 本日も長時間にわたりまして御審議をいただき,ありがとうございました。  第2回から今日までの最短審議時間で審議を終えていただいたことになります。次回でございますが,12月19日火曜日の13時からということで,場所は本日とは違いまして,法務省の20階の第1会議室でございます。  次回に要綱案の第2次案をお示しをして,これが事実上の最後の御審議ということに,もちろん1月の最後に部会がありますけれども,できればそこでけんけんがくがく御議論いただくということは避けたいと思っておりますので,次回,全体をおまとめいただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。  どうも本日はありがとうございました。 ● どうもありがとうございました。 -了-