法制審議会電子債権法部会 第14回会議 議事録 第1 日 時  平成19年1月16日(火)    自 午後2時30分                          至 午後3時18分 第2 場 所  法曹会館高砂の間 第3 議 題  電子債権制度の整備について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ● それでは,時間になりましたので,法制審議会電子債権法部会の第14回会議を開催いたします。           (委員の異動紹介省略) ● それでは,事務当局に配布資料の説明をお願いいたします。 ● 本日の配布資料は,資料番号16の「電子登録債権法制の私法的側面に関する要綱案(案)」でございまして,事前送付をさせていただいたもののみでございます。  以上です。 ● それでは,本日の審議に入りたいと存じます。  当電子債権法部会は昨年2月から審議を開始いたしまして,中間試案の作成とこれについての関係各界への意見照会の手続を経て,これまで13回にわたり毎回長時間に及ぶ審議を進めてきたわけでありますけれども,皆様の御協力により,前回の部会におきまして要綱案の実質が全体的に固まり,表現に関する事柄について幾つか宿題が残っただけと,そういう状況になっております。  そこで本日は,部会資料16の「電子登録債権法制の私法的側面に関する要綱案(案)」に基づき,要綱案の取りまとめのための審議を行うこととなります。  それではまず,部会資料16について,前回の第2次案から修正を加えた事項について説明をお願いいたします。 ● それでは,説明させていただきます。  今回の部会資料16の要綱案は,前回の第2次案から字句等の修正をしている部分が相当多数ございますが,これらの修正は全体的に3つに分かれるわけでございます。1つは,前回の部会で実質をお決めいただいたものについて要綱案の中に反映させるように修正したというものです。2つ目は,表現について幾つか御指摘をいただきましたのに基づいて修正を加えたものです。3つ目は,前回の部会の後,法案の作成の作業をいたしました関係で表現について修正を加えたものでして,このように3種類に分かれるわけでございます。  順次申し上げたいと思いますけれども,まず全般的な事柄といたしまして,注と後注をすべて削っております。これは今までの作業のためにつけさせていただいた注でございますので,答申いただく要綱の中に入れるのは妥当ではないだろうということで,注は落とさせていただいたということでございます。  それから,あとは順次申し上げますけれども,まず「第1 総則」,1ページでございますが,「1 電子登録債権等の定義」の(1)の「電子登録債権」の定義でございますが,第2次案におきましては,「発生登録,保証登録又は支払等登録をその発生のために必要な要件とする金銭債権」という書き方をしておったわけでして,この「支払等登録をその発生のために必要な要件とする金銭債権」というのは特別求償権のことなわけでございますけれども,それが非常にわかりにくいという御指摘をいただきましたので,その部分は特別求償権であるということを正面から書くという形に修正をさせていただいております。  それから次に,同じく第1の1の(3)の「登録記録」の定義を修正してございます。これは,前回の部会におきまして,譲渡登録とか支払等登録がこの登録記録にされるものなんだということが第2次案の定義では非常にわかりにくいのではないかという御指摘をちょうだいいたしましたので,そのことを明記したわけでございます。  それから次に,3ページに飛んでいただきますけれども,第1の「3 登録の請求」の「(5) 意思の不存在・意思表示の瑕疵と第三者保護」の部分のaでございますが,前回の御審議の結果に基づきまして,強迫による取消しについても取消し後の第三者に限って善意で重大な過失がない第三者に対抗することができないものとするということを入れております。  それから,ここは変更点ではないんですけれども,次の4ページから5ページにかけましての第1の「6 登録に関する管理機関の責任」の(1)(2)のそれぞれのただし書の部分でございますが,この表現について事務当局でさらに検討するということになっておりましたけれども,よりよい表現が見出せませんでしたので,表現の変更はいたしておりません。ただ,実質につきましては,前回の部会で御審議いただきましたように,ここで言う「その他の従業者」には下請その他のアウトソーシングを受けた会社の役員,従業員も含まれるという広い意味であるということは前回決めていただいたとおりでございますので,そういう解釈のもとにこういう表現にしているということをもう一度確認させていただきたいと思います。  なお,ほかの部分もそうでございますけれども,さらに条文を作っていく過程で,よりよい表現ができればそのように改めていきたいとは思っております。  それから次に,「第2 電子登録債権の発生」に移らせていただきますけれども,5ページの「1 電子登録債権の発生の要件」の部分ですけれども,この括弧内の表現を第2次案におきましては,「登録保証人に対して履行を請求する権利」という表現を使っておったんですけれども,これを「保証登録によって生ずるもの」という表現に改めております。これは第1の1の先ほど見ていただきました「電子登録債権」の定義が「保証登録をその発生のために必要な要件とする金銭債権」という表現になっていますので,それと表現を合わせたというだけのものでございます。  それから,同じく第2の「2 発生登録」の「(1) 登録事項」の⑩につきまして,ここはブラケットをつけていたわけでございますけれども,前回の審議結果に従いましてブラケットを外させていただいております。前回の部会におきましては,この部分は非常に時間をかけて御議論いただいたところでございまして,最後に○○委員から,譲渡登録の関係については,譲渡登録を全面的に禁止するような合意の登録,それから譲渡登録を債務者の意思にかかわらしめるような登録,これだけは電子登録債権というものの性質上,また債権譲渡禁止特約に関する国際的な動向からしても妥当でないので,それだけは認めないという形の強い意見があったということを注記をつけてもらいたいという御意見をちょうだいしたわけでございますが,法制審議会のこれまでの例からいいますと,そのような注をつけるということは極めて異例であるということと,この要綱の他の部分につきましてもいろいろ御意見があった中で,結局は注もつけないで整理をさせていただいたということから,ここは注はつけない形でお示しをさせていただいております。その代わりと申してはなんですけれども,この要綱案に基づきまして,今後,法制審議会の総会で部会長に報告をしていただくことになるわけでございますが,その報告におきまして,○○委員から御指摘をいただいた内容の御意見があったということを部会長から御報告をいただいて,それで注記のかわりにさせていただければと思っておりますので,御了解いただければと存じます。  それから次の「第3 登録保証」でございますが,その「4 保証登録」の(2)でございますので,ページでいいますと8ページでございますが,「制限に抵触する登録の禁止」という見出しをつけているものでございますけれども,第2次案では「登録を拒否しなければならない」という表現を使っておりましたんですけれども,一般の法文の表記の仕方からしますと,「登録をしてはならない」というのが普通の書き方だろうということで,そのように改めまして,これに合わせて項目の見出しも,「制限に抵触する登録の禁止」という表現に改めております。同じような項目がほかの譲渡登録以下にもございますけれども,すべて同じように合わせて修正をさせていただいております。したがいまして,あとの部分については一々申し上げることは省略させていただきます。  それから次でございますが,「第4 登録記録の分割」でございます。これの「1 分割の請求権者」,9ページでございますが,ここにつきまして,第2次案につけておりましたただし書を削っております。これは一見すると中身を変えたのかとお考えかもしれませんが,そうではありませんで,このただし書というのは,原登録記録に登録可能回数が記録されている場合には,原登録記録に債権者として記録されている者であって分割登録記録に債権者として記録される者以外の者の承諾を得なければならないというものでございますが,これは,原登録記録に債権者として記録されている者が2人以上いる場合に,登録可能回数の定めがあれば分割登録記録の方に記録される債権者以外の債権者の承諾を得なければならないというものでございますので,債権者が複数であることを前提とするものでございます。ところが,債権者が複数の場合につきましては,前回も今回も同じでございますが,12ページの「5 その他」というところで,別途「特例の規定を整備する」という形になってございます。そこで,5で特例の規定を別途用意するとしておきながら1の部分だけただし書を書いていたというのが整合しないものですから,このただし書の部分を特例の内容として整備をさせていただくということで,ただし書を削ったというだけのことでございます。したがいまして,実質は何ら変更はないということでございます。  それから,同じく「第4 登録記録の分割」の「2 分割登録」でございますが,(1)の柱書に分割登録記録の定義を書き加えておりますが,これは先ほどの1につきましてただし書を削ったことに伴って,そこで書いていた定義を移しかえただけでございます。  それから,同じ第4の2の(1)につきまして,10ページの冒頭でございますが,④として,「債権者の氏名又は名称及び住所」というのをつけ加えております。これだけは実質の変更でございまして,分割登録記録の一番最初に記録されるのが分割登録でございますので,分割登録記録に記録された電子登録債権がだれを債権者とするものであるかを分割登録のところに書いておくと,それだけを見ればどの債権者の債権が分割登録記録に移しかえられたのかというのがわかるわけでございますが,前はそうしていなかったものですから,分割登録記録を子細に見ないとどの債権が移ったのかがわからない場合が出てくるということで,そういうことがないように,見る側の便宜を考えまして債権者を分割登録の中に書くという形に修正をさせていただいたものでございます。  これに伴いまして,12ページの4の分割登録の請求における請求情報の③におきましても,この新たにつけ加えました(1)の④を請求しなければいけない情報の中につけ加えております。  それから,これは誤記の訂正ですけれども,9ページから12ページにかけての部分なんですが,第2次案では「分割登録記録」と書くべきところを「記録」が抜けている箇所が数カ所ありましたので,その誤記を訂正しております。  それから,「第5 電子登録債権の譲渡」の「2 譲渡登録」の「(1) 登録事項」,12ページでございますが,その②につきまして,第2次案では「譲渡人が登録名義人の相続人であるときは」としていたんですけれども,表現を改めまして,「譲渡人が登録義務者の相続人であるときは」という表現にしてございます。これはどちらも同じ意味でございまして,今回の譲渡登録においては,登録義務者になる人が亡くなっていて,その相続人が譲渡人になるという場合ですので,登録義務者の方がわかりやすいだろうということで登録義務者という表現に改めさせていただいた次第でございます。  それから,同じく第5の2の「(2) 制限に抵触する登録の禁止」の部分でございますが,ここもブラケットをつけておりましたけれども,前回の審議結果に基づきまして譲渡登録の部分のブラケットを外させていただいたということでございます。  それから飛びまして,「第6 電子登録債権の消滅」の「4 支払等登録」の「(1) 登録事項」の①でございます。15ページでございますが,①の表現をだれに対する債務かということを明確にするために,「消滅した登録名義人に対する債務」と書いてございますが,これも単なる表現の変更でございます。  それから,次の②なんですけれども,括弧書部分につきまして,第2次案では,「元本への充当額を含む」としていたんですけれども,「元本への充当」という表現は,払った額が元本や利息,遅延損害金の全部に満たない場合に使われているようでございますが,ここでは全部を消滅させる場合もその元本に全額が払われたんだということを書いてもらいたいという趣旨でございますので,「充当」という表現ですとそういうふうに読めないのではないかという疑義があり得たことから,「消滅した元本の額」という表現にいたしまして,全部が消滅したときは全部ということを記録してもらうようにしようと,もともとそういう趣旨だったんですけれども,そうでないように読めるということで,修正をさせていただいた次第でございます。  それから,同じく第6の4の「(4) 当事者の請求によらない支払等登録」,16ページでございます。この部分につきましては,第2次案について前回の部会で,送金の連絡を受けただけで直ちに支払等登録をするようにも読めるのではないかという御指摘をちょうだいしましたので,そういう趣旨ではないというお話を前回の部会でさせていただいたわけですけれども,そのことを要綱上も明瞭にするために,「金融機関から入金についての連絡を受けた場合には」という表現にさせていただいております。これは条文を書くときはまたもう少しいろいろ考えなければならないんですけれども,実質ということでこういう形の表現にさせていただいております。  それから次が,「第7 登録事項の変更」の部分ですけれども,「1 電子登録債権等の内容の意思表示による変更の要件」という16ページでございますが,ここに「又はこれを目的とする質権」というのを「電子登録債権」の後に付け加えて,「電子登録債権又はこれを目的とする質権」というふうにしております。これは質権の意思表示の変更も変更登録しなければいけないのは当たり前のことなんですけれども,そこが抜けておりましたので明記したということでございます。  それから,同じ第7の「3 変更登録の瑕疵」の(1)のただし書でございます。ただし書は18ページの冒頭でございますが,この主語の部分なんですけれども,第2次案では,「当該請求をした者は,当該変更登録による変更後の登録記録の内容に従って,その責任を負う」としていたんですけれども,本文の方を見ていただきますと,2行目ですけれども,「当該変更登録の前に債務を負担した登録債務者は」という表現になっていまして,責任を負うのは登録債務者に決まっていますので,本文との平仄も考えまして,「当該請求をした登録債務者は」という表現の方が正確だろうということで直させていただいたということでございます。ここも表現の変更にすぎません。  それから,「第8 その他」の「1 質権」でございますが,18ページ以下でございますが,前回の御審議の結果,転質につきましては,善意取得や人的抗弁の切断の規定を準用する規定は設けないで解釈に委ねるということとされましたので,第2次案でブラケットにしていました「質権設定者が登録義務者の相続人であるときは,質権設定者の氏名及び住所」を登録事項にするというようなこと,これが2カ所あったんですけれども,これを削りまして,これに伴って項番号をずらすなど,善意取得や人的抗弁の切断が転質には準用されないことを前提とした形式的な修正を数カ所してございます。  それから最後でございますが,第8の「3 登録記録等の開示」の「(1) 登録事項の開示」につきまして,前回の御審議の結果に伴いまして,第2次案の①につけておりましたロの項目を削りまして,それから先ほど申しましたけれども,善意取得や人的抗弁の切断の規定を転質には準用する規定を設けないということとされましたので,ブラケットにしていましたそれに関する開示の部分を削るなどの形式的な手当てをさせていただいております。  変更点は以上のとおりでございます。  また,今,部会長から御指摘をいただいたんですけれども,16ページでございますが,「(4) 当事者の請求によらない支払等登録」,「第7 登録事項の変更」の前の部分で,本文の2行目ですけれども,「直ちに」の後が「当事者の申請によらずに」になっているんですけれども,登録は全部「請求」という表現でございますが,ここだけなぜか「申請」になったままでずっと来ていたということを部会長に御指摘いただいて気がつきましたので,ここは「請求」に直させていただきたいと思います。  以上です。 ● それでは,今説明をいただきましたが,この説明に関連して御質問あるいは御意見ございましたら,よろしくお願いいたします。  ございませんでしょうか。  大部分は,語句とかあるいは表現の修正あるいは形式的な修正でありましたが,御説明の中で1点だけ実質的な変更というのがあるとお伺いしまして,10ページの冒頭のところです。これは第4の「2 分割登録」の(1)の④のところですね。「債権者の氏名又は名称及び住所」,これは今まで入っていなかったんですが,先ほど御説明いただきましたような趣旨でこれを入れようということになって,それは今までなかったものですから,実質的な変更になりますが,この点についていかがでしょうか。特に御意見ございませんでしょうか。  それでは,この点については,先ほど説明いただいたような趣旨で入れるということにしたいと思いますが,それ以外にいかがでしょうか。  ○○委員,どうぞ。 ● 先ほどの譲渡禁止特約の点につきましては,○○幹事の御尽力を私としても多といたしまして,部会長に総会での御報告をいただく際に盛り込んでいただくということで,その点は了解いたしました。  ただ,この点については,ぜひ今後ともこの問題についての議論が継続されるべきである,問題は解決されていないということは御認識をいただきたいと思います。繰り返しになりますけれども,資金調達の弊害になっている我が国における譲渡禁止特約というもの,それについてはどなたも御異論はないわけで,これに対して今回の新しい制度で私が主張したのは,無条件の譲渡禁止特約だけを排除するということでありまして,何か条件のつくもの,あるいはいろいろな別契約との組になっているようなものについては,それを全部書けばよろしいんだということで,単に債務者,バイヤーの自己都合だけでつけるような譲渡禁止特約のみを排除したいということを申し上げたわけでありますけれども,これについても,取引の今後のいろいろな可能性でそういうものが無条件のものでも必要になることはあるかもしれないという御意見や,それから別の法整備で問題解決できるかもしれないという御意見があって,多数の御意見はこのままということになったわけですが,繰り返しますけれども,その別の法整備とか今後の譲渡禁止特約を必要とする新たな取引の可能性とかは,現時点では白紙であります。  したがって,もしこのままこの法律が国会に出された場合には,ぜひ私としてはそこでもまた議論されれば結構だと思いますし,このままの形でできた場合には,今後多数の御意見がおっしゃっておられたような取引の必要性が実際に出てくるのか,あるいは別の法律による手当てというのがうまくいくのか,それが両方ともうまくいかずに,皆さんが認識しておられる資金調達上の弊害になっているという状況はそのままであるということになった場合には,現に先ほど○○幹事にも御発言の中に盛り込んでいただきましたけれども,2001年にでき上がっておりますUNCITRALの国際債権譲渡条約,この中では債権の限定はしてありますけれども,譲渡禁止特約を一部排除する規定が盛り込まれているわけでありまして,既にUNCITRALの国際債権譲渡条約については,昨年ですか,別の法律をつくった際にその条約と抵触する内容の法律が我が国でできたということで,UNCITRALの本部から強い抗議を受けたという事実がございます。ですから,今回のこの条文についても,その可能性なしといたしません。  そういうふうに国際的な趨勢からも問題のある規定であるということは私は否めないと思いますので,もしこのままできた場合に数年たって状況をもう一度確認したときに,多数意見がおっしゃっておられたような状況ができずに問題点がそのまま存置されているということになった場合には,ぜひ速やかに再度修正なり改正なりの論議を開いていただきたいと,私はこれを最後に本日申し上げておきたいと思います。  以上でございます。ありがとうございました。 ● ほかに。  ○○委員,どうぞ。 ● 今の点につきましては,実際にこの制度ができたときに本当に使われるかどうかという点から,中小企業業界からもそういう要望は強かったということもあわせて御報告をいただければ大変ありがたいと思っております。 ● ほかにございませんでしょうか。それでは,先ほど御説明いただいた以外の部分も含めて,この要綱案全般につきまして御質問,御意見ございましたら,お願いをいたします。特にございませんようですので,それでは,ここで一たん休憩をしたいと思います。           (休     憩) ● それでは,審議を再開いたしたいと思います。  要綱案についての最終的な御意見をちょうだいできたと存じますので,要綱案の取りまとめに移りたいと思います。  この要綱案を当電子債権法部会として決定するということでよろしゅうございましょうか,お伺いいたします。それでは,そのように決定をいたします。  なお,要綱案につきましては,これまでも字句,表現の修正がいろいろとされてきたわけですが,今後総会での答申に至りますまでの間にも,法律案の作成の観点から形式的な表現等の修正があり得ると存じます。このような形式的な修正につきましては,部会長である私と事務当局に御一任いただきたいと存じますが,それでよろしゅうございましょうか。お伺いいたします。ありがとうございました。それでは,そのようにさせていただきます。  それでは,事務当局から今後の日程について説明をお願いいたします。 ● 今後でございますが,法制審議会の総会が2月7日水曜日の午後に開催予定でございます。この総会に部会長に御出席いただきまして,この要綱案をお諮りし,御審議をいただいて答申をいただく予定でございます。その後,金融庁さんと私どもで共同して所要の法律案を作成して通常国会に提出し,その成立を図ることとしたいと考えております。  以上です。 ● それでは,ここで○○委員よりごあいさつがございます。 ● 委員の先生方には,この非常に新しい試みであります電子登録債権の課題につきまして,14回にわたり,非常に熱心にスピーディーに密度の濃い議論をしていただきまして本当にありがとうございます。おかげさまで本日このような形で要綱案の取りまとめをいただきました。ただいま担当幹事からも申し上げましたとおり,このいただきました要綱案につきましては,できるだけ早期に法制審議会総会の御承認を得た上で,国会に法律案として提出することとしたいと考えております。  ただ,こういうことを申し上げてはなんでございますが,この通常国会は統一地方選挙あるいは参議院選挙という選挙の制約がありまして,非常に審議時間が短い国会になる見通しでございます。また,法務委員会につきましても,いろいろ報道等で御存じのとおり,刑事関係でも大変厄介な法案が幾つか既にあり,またこれからもかかる見通しでございます。他の委員会についても似たような状況がございますので,私どもといたしましても,全力でできるだけ早期にこの法案が法律となるよう,その実現を図る努力をいたしたいと考えておりますけれども,なかなか厳しい見通しであることもまた否定できないところでございます。委員の先生方には,また今後ともさまざまな形でバックアップをいただくようお願いを申し上げたいと思いますし,先生方のこの間の御努力に報いるためにも私どもも精いっぱいやりたいと思いますので,ひとつよろしくお願いをいたします。  どうも本当にありがとうございました。 ● それでは,最後に私からも一言ごあいさつをさせていただきます。  電子債権法あるいは電子登録債権法という名前に変わりましたけれども,そういう新しい法制度の構築に係る部会審議でございましたが,1年という当初予定された期間で要綱案をまとめることができまして,議事の進行役を務めた者として大変うれしく存じております。  全く新しい制度でございまして,しかも民法,商法の中に関連するたくさんの規定があり,それらとの整合性あるいはそれらとの特殊性といいましょうか,そういうものを逐一検討する必要がありまして,また,登録という手続面での整理も必要でありまして,当初は1年,14回ということで予定されておりましたが,議論がまとまるのかなと正直疑問に思っていたところであります。しかし,本日このように決定することができましたのは,○○幹事を中心とする事務局の皆さんの新しい制度をつくろうとする熱意,周到な整理,準備,それを基礎として,委員,幹事の皆さんの非常に熱心な御議論のたまものであると敬意を表しております。  また,この制度は,多様な場面での利用を可能とするというスタンスでつくった関係で,調整が必要である論点も少なくなかったわけでございます。また,最終的にも意見が付された論点もございますが,議論を重ねることでおおむね了解点を見つけることができたと思っております。  先走った話になりますけれども,これがつつがなく立法された後,この制度が普及し,実際に社会で使われることになるかどうか,やはりこの審議にかかわった皆さん,とりわけ実務界の方々の今後の努力に係る面が多かろうと思います。せっかく周到につくり上げた制度でございますので,ぜひとも実用化についても御尽力を賜ればと考えております。  今後のこの法の発展につきましては,この制度の創設にかかわった者の一人として,大いに期待を込めて見守っていきたいと思います。  最後に,委員,幹事,関係官の皆様に重ねて感謝を申し上げますとともに,私のつたない司会のせいもございまして,毎回極めて長時間の審議を強いたことにつきましてはおわびを申し上げたいと思います。  以上,ごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。  それでは,これで当部会の審議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。 -了-