法制審議会刑事法(裁判員制度関係)部会 第3回会議 議事録 第1 日 時  平成19年1月22日(月)  自 午後3時00分                        至 午後3時58分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題  裁判員の参加する刑事裁判の制度の円滑な運用等のための法整備について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ● では,予定の時刻になりましたので,ただいまから法制審議会刑事法(裁判員制度関係)部会の第3回会議を開催いたします。 ● 御多忙中のところ,御参集いただきまして誠にありがとうございます。 (委員の異動紹介省略)  ● それでは,早速議事に入りたいと存じます。   前回まで諮問に付された要綱(骨子)につきまして,さまざまな観点から御議論をいただいたところですが,本日は,これまでの議論を踏まえ,詰めの審議を行った上で,総会に報告すべき答申案を決定したいと思います。   よろしく御協力の程をお願いいたします。   まず,本日は,前回の部会の議論等も踏まえ,事務当局において検討した事項について説明をしていただきます。よろしくお願いします。 ● それでは,前回の部会におきまして,○○関係官から,区分審理決定がされた場合において,刑事訴訟法第339条による公訴棄却の決定があったときの取扱いについて御質問をいただいた点につきまして,事務局として考え方を整理いたしましたので御説明申し上げます。   要綱(骨子)第一の二の1(1)及び(4)に,部分判決でその言い渡しをする場合が挙げられております。   公訴棄却の決定は,管轄違いの判決等の場合と同様,訴訟条件等に関する判断を行うものでありまして,構成裁判官の合議によるところですが,この決定につきましては,要綱(骨子)に掲げておりません。これは,刑事訴訟法第339条第1項により公訴棄却決定がなされる場合というのは,起訴状謄本の不送達により公訴提起が効力を失ったとき,あるいは公訴が取り消されたときなどでありまして,もともと他の事件に関する終局の裁判とともにこれを行うことにより併合の利益が確保される場合ではありませんので,ほかの事件とは別に終局の裁判をしたとしても問題はないと考えたことによるものです。   なお,このことに関連しまして,公訴棄却の決定をするに当たり,弁論の分離をすることとなるのか否かについても御議論がありましたところ,公訴棄却の決定は,口頭弁論を経ないですることができるものであり,弁論の併合決定をしていた場合でありましても,弁論の分離をしないで,公訴棄却の決定をすることができると考えております。   私の方からは以上でございます。 ● ありがとうございました。   事務当局からの御説明は以上のとおりのようです。続きまして,前回の部会で御質問がありました,部分判決後の裁判員に対する裁判結果の通知の件につきまして,最高裁判所の方から御説明をお願いできますでしょうか。 ● 前回の御指摘の点でございますが,裁判員の方から御要望があれば,適宜の方法でお知らせすることになるのではないかと考えてございます。いずれにしても運用の問題と思いますので,制度施行後,裁判員のニーズ等も踏まえながら,適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。 ● どうもありがとうございました。   この段階で,ただいまの事務当局からの御説明と最高裁判所からの御説明に関しまして,御意見,御質問等がございましたら,よろしくお願いいたします。   特にございませんようですので,事務当局と最高裁判所からの御説明につきましての議論はこの程度でとどめさせていただきます。事務当局においてこれまでの議論を踏まえて,要綱(骨子)について修正案を作成しているということですので,その案につきまして事務当局から御説明をお願いします。   その上で,その説明について御質問及び御議論がございましたらそれをお願いして,議論が終局したところで,部会としての意見の取りまとめに移りたいと思います。何とぞ御協力のほどお願い申し上げます。   それでは,事務当局から要綱(骨子)の修正案についての御説明をお願いいたします。 ● それでは,要綱(骨子)修正案について御説明をします。修正案につきましては,お手元の配布資料3―1にございますので適宜御参照ください。   これは,これまでの部会における議論及び本日までに委員,幹事の方から事務当局にお寄せいただいた御意見等を踏まえまして,要綱(骨子)を修正するものですが,修正点は大きく分けまして2点ございます。1点目は,区分審理決定の要件を記載しております要綱(骨子)第一の一の1の部分,2点目は,終局の判決に関する要綱(骨子)第一の二の3の部分です。   まず,要綱(骨子)修正案第一の一の1の部分について御説明いたします。   当初の要綱(骨子)では区分審理決定をするに当たりましては,「一括して審議することによる裁判員の負担を考慮」することとしておりました。ここで記載してあります「裁判員の負担」につきましては,審判に要する期間が長期に及ぶ場合を典型的な事情として想定しておりましたが,その点につき,裁判員の負担として考慮されるのは時間的負担であることを明示するとともに,「裁判員の選任が困難になるためやむを得ない」ことを要件とすべきであるという御意見や,要綱の本文であまりに要件を絞りすぎるとただし書との関係で問題が生じるのではないかとの御意見等をいただいたところでございます。   事務当局といたしましても,裁判員の負担として考慮すべき事情の例を具体的に示すことは,区分審理議決定の要否を決するに当たっての1つの基準を明確にするという意味があると考えましたので,「一括して審判することにより要すると見込まれる審判の期間」を考慮事項の例示として挙げることといたしました。なお,審判の期間のみならず,公判期日の回数の多少等も考慮事項とすべきであることから,「その他の裁判員の負担に関する事情」としております。   続きまして,同じく要綱(骨子)修正案第一の一の1にございますただし書につきましては,当初「犯罪の証明又は被告人の防禦に支障を生ずるおそれがあること」としておりましたが,修正案におきましては「犯罪の証明に支障を生ずるおそれがあるとき,被告人の防禦に不利益を生ずるおそれがあるとき」としております。この点につきましては,現行の刑事訴訟法第295条第2項や同法第312条第4項におきまして,被告人の防禦に関しては「不利益を生ずるおそれ」という文言が用いられているとの御意見がございましたので,これらの用例に従い,被告人の防禦に関しては「不利益」との文言を用いることといたしました。なお,前回の議論におきまして,「不利益」とした方が「支障」とするよりもただし書に該当する場合が広がるといった御意見もございましたが,事務当局としては,元々ただし書の適用を殊更限定する趣旨として「支障」という用語を用いたものではなく,これを「不利益」と言い換えることによって,ただし書の適用範囲に変動が生じるものとは考えておりません。   次に,要綱(骨子)修正案第一の二の3の部分について御説明いたします。   前回までの議論におきまして,被害感情に関する事実も部分判決の任意的記載事項に含まれ,刑事訴訟法第292条の2による被害者の意見陳述も区分審理の段階で行うことを可能とすべきであるとの見解,被害者等の意見陳述は区分審理の段階では許すべきではないとの御意見などが述べられました。また,前回の部会後,さらに事務当局に対しまして,○○,○○両委員から,被害者の意見陳述は区分審理の段階では行わないこととして,要綱案に所要の修正を行うべきであるとの御意見が寄せられております。こうしたことを踏まえまして,事務当局として検討させていただいた結果,この点につきましては,新たに(4)として項目を設けることとしてはどうかと考えたものです。   内容は,「区分事件に含まれる被告事件についての刑事訴訟法第292条の2第1項の規定による陳述又は同条第7項の規定による書面の提出は,(1)の判決のための審理,すなわち,部分判決がすべてなされた後に行われる終局の判決のための併合事件全体についての審理において行うものとすること。ただし,当該審理において行うことが困難であるときその他相当と認めるときは,この限りではないものとすること」というものです。   刑事訴訟法第292条の2による被害者等の意見陳述は,犯罪事実の認定のための証拠とすることはできず,量刑上の資料となるにとどまるとされております。このことからすれば,量刑を行わない区分審理の段階ではなく,量刑判断を行うこととされている終局の判決のための審理の段階で行うことがそもそもの制度趣旨にかなうであろうと思われることや,現行法上の意見陳述も証拠調べが終了した後,公判の最終段階でなされるのが通常であると想定されていることからすれば,量刑を行わない手続段階として新たに区分審理という手続段階を設けるに当たり,意見陳述の制度の趣旨を踏まえてこのような規定を設けることにも合理性があるのではないかと考えたものです。   一方,被害者によっては,終局の判決のための審理段階では出廷することができず,意見陳述を行うことが困難である場合も考えられます。具体的には,遠方から証人尋問のために出廷した高齢の被害者が終局の判決のための審理に再度出廷することが困難な場合などが典型的に想定されます。そのような場合にまで例外なく意見陳述を行うことを制限する結果となるのは,この意見陳述制度を設けることとした趣旨からしても妥当ではないと考えられます。また,区分審理において意見陳述を行うことについて当事者に異論がない場合も考えられ,そのような場合には,区分審理で意見陳述を行えるとすることにも合理性があると考えます。そのようなことから,このようなただし書を設けることとしたものであります。   これらの点については,前回の部会において必ずしも十分な御議論がなされたとは言えない点も含まれていると考えられますので,委員,幹事の皆様にはその点も含めて,本日十分な御審議をお願いしたいと思います。   私の方からは以上でございます。 ● どうもありがとうございました。   ただ今御説明を受けたわけですが,この点に関しまして御質問,御意見がございましたら,どうぞ御発言をお願いいたします。どなたからでも結構でございます。   ○○委員,どうぞお願いいたします。 ● ○○でございますが,要件の方について少し御質問させていただきたいと思います。修正案が出されたわけですが,今回提案されたこの区分審理がなされる場合の要件ですが,前回までの議論でも,この区分審理が用いられるのは例外中の例外であるといことを前提とした制度であると,こういうふうに認識しておりますが,そういう理解でよろしいでしょうか。 ● では,御回答をお願いします。 ● 基本的に同じ被告人につきまして複数の事件が起訴された場合には,できる限り一括した審理を行うことによりまして,事実認定のみならず量刑判断につきましても同一の裁判員が判断することが通常であると考えておりますし,また,一括して審理することが訴訟経済の観点からしても合理的であるのが通常ですから,今回要綱でお示ししております部分判決制度というものは,裁判員の負担を考慮し,特に必要な場合に行う例外的な制度と考えております。 ● その観点で,もうあと一,二点御質問したいのですが,裁判員裁判では補充裁判員を置く場合がありますが,この区分審理決定がなされる場合というのは,この補充裁判員をおいても対応できない場合などを想定しているという理解でよろしいんでしょうか。 ● この部分判決制度の中においても補充裁判員を選ぶということは,当然可能ですから,その意味では,補充裁判員制度と部分判決制度は必ずしも同一の趣旨に基づくものではないので,必ずしも考慮すべき事項が一致するわけではないと思いますけれども,併合事件を一括して審理しても,補充裁判員の円滑な選任に支障がなく,その裁判員が審理の途中に欠けた場合であっても,審理を続けることができるような場合には,あえて部分判決制度によることにはならないと考えております。 ● それから,ここの要件では,審判の期間以外にその他の裁判員の負担に関する事情となっておりまして,その他の裁判員の負担に関する事情という文言が入っておりますが,先ほど少しその他について説明があったと思いますが,もう一度確認したいのです。 ● 区分審理決定を行うこととなるのは,基本的には審判の長期化が見込まれる場合です。しかし,裁判員の負担として考える場合に,中心となるのは審判の期間でしょうけれども,審理期間の長短,公判期日の回数の多寡のほか,審理内容の複雑さ等々の要素もかかわってくると思います。 ● 審理内容の複雑化というのを今おっしゃいましたけれども,審理内容の複雑化だけでこの区分審理がなされると,こういうことではないですね。 ● 今申し上げましたように,まずここでいう負担に関するものとして中心的なものは,やはり審理期間になると思います。これが典型的なものだと思います。それ以外に,今申し上げた事案の内容の複雑さというのが,全くここで関係しないかといわれれば,それはおよそ考慮要素にならないというものではないと考えております。何度も繰り返しますが,区分審理決定を行うというのは,基本的には審判の長期化が見込まれる場合でありますから,例えば審判が短期間で終了するのに,単に審理内容が複雑だというだけで,区分審理決定がなされるということは考えられないと思っております。 ● 私は以上でございます。 ● ○○委員,どうぞお願いします。 ● ○○ですけれども,今の点に関連しますが,私たちの意見はやはり審理が長期化するのが基本的な例外だろうと考えていましたので,今回の修正で審判の期間ということが明示されたことは,非常にうれしく思っています。   それで,ちょっと前々回の審議のときに,その審理期間のことで1週間という話が出たことがあるんですが,1週間というような期間の枠というか,基準というか,そういうことは特に何か御検討されたというわけではないのですね。 ● この制度を考えたときに,1週間を審理期間の基準として考えたということはありません。先ほど申し上げましたように,同じ裁判員の方に全部を一括して審理していただく場合に,その審判の期間が余りにも長すぎるという場合,それは耐えられないのだろうと思います。しかし,審理期間が1週間を超えるか否か自体が基準になるとは特段考えておりません。第1回の部会でも述べましたとおり,併合された事件については,できる限り一括した審判を行うことが望ましいと思っておりますし,先ほども○○委員からの御質問にお答えしましたように,部分判決制度は裁判員の負担を考慮し,やむを得ない場合に行う例外的な制度と考えられます。そのような意味で,要件においても「特に」必要がある場合としているものであります。 ● ほかにいかがでしょうか。どうぞ御自由に御発言をお願いいたします。   修正案として出されている部分だけではなくて,意見陳述の問題等,ほかの点にかかわっても結構ですので,御意見ございましたらお願いします。 ● 第一の二の3の(4)についてお伺いしたいと思います。   現在,別に設けられております法制審の刑事法部会で被害者の問題が審議されております。私もそれにかかわっておりますけれども,それとの関係で今回の修正案の内容が被害者関係の刑事法部会での議論とどういうような関係になっているのかということについて,念のため,お伺いしたいと思います。 ● 本日お示しいたしました被害者の意見陳述に関する要綱案の修正というものは,あくまでも現行の刑事訴訟法第292条の2の規定を前提とするものであります。委員御指摘のとおり,現在,犯罪被害者の訴訟参加等の問題を含む法整備に関する議論が,法制審議会刑事法(犯罪被害者関係)部会において行われているところではありますが,同部会における議論はいまだ結論には至っていないものと承知しておりまして,本日お示しした修正案はそちらの部会における議論とは関連しないものと位置づけております。 ● ○○委員,それでよろしいでしょうか。 ● ありがとうございました。 ● どうぞ,○○委員,お願いします。 ● 今の点ですけれども,関連しないというのは,あちらの方がどうなるかわからないけれども,こちらの部会では現行法を前提にして考えるという趣旨ですね。 ● ええ,そうです。 ● 被害者関係の部会での結論によっては,あるいは調整の必要が出てくるかもしれないし,その必要はないかもしれないけれども,ここで議論するべき問題ではないという位置づけでしょうか。 ● そういう趣旨でございます。 ● ○○委員,以上でよろしいでしょうか。 ● 感想というか,意見ですけれども,さきほどの○○委員の御質問の2番目の補充裁判員との関係ですけれども,補充裁判員もご存じのように,最初から一緒に公判に出ていなければならないわけですから,その負担ということもあるので,補充裁判員がおり,代われるからよいということにはならないと思うのです。補充裁判員がいることにより,少しは間隙があるかもしれませんけれども,補充裁判員であろうとずっと公判に出ていなければならないのですから,補充裁判員がいる場合でもいない場合でも,負担という意味では基本的に異ならないはずです。 ● ○○委員,今の点について何かございますか。 ● ○○ですけれども,確かに間隙はあるかもしれませんけれども,補充裁判員は,最大6人まで置けるので,おそらくその方たちがすべて順次裁判員になり得ることを前提にした制度であって,なおかつ,だめな場合というようなイメージを私の方では想定しております。 ● ○○委員,どうぞ。 ● 補充裁判員によって穴を埋めていくという問題とは違うのではないかという気がするのです。つまり,同じ裁判員がずっと続ける場合と比べても,補充裁判員によって交代する場合も,その補充裁判員にとってやはり耐えられる限度というものがあり,その点では異ならない。後者の場合にも,限度を超えると思われるならば,やはり区分するという話になるのではないかと思うのです。ですから,想定されている場面が違う気がするのです。   補充裁判員というのは,要するに,あくまで裁判員として選ばれた同じ人にずっとやってもらう,したがって,その裁判員の負担の限度内であることを前提にしながら,しかし公判が一定期間続く間に何らかの事情により抜ける可能性もあるので,そういう場合に補充するために補充裁判員を選んでおくというものであり,その元の選ばれた裁判員の負担が限度を超えているので,交代して補充裁判員が入るということではないと思うのですね。 ● ○○です。ですから,すべてがそうだというわけではなくて,例えば補充裁判員である程度対応できるような場合はそれで対応する。それで確認としては,例外中の例外だという制度の趣旨を含めて,私の方で質問させていただいた話ですけれども。 ● 私がさきほど「間隙」といったのは,補充裁判員によって交代できることによって,基本的には同じ構成の裁判体でやることができる場合も多少はあるかもしれない,それを間隙というふうに申し上げたのですけれども。 ● 他にいかがでしょうか。ほかに何か御意見,御質問ございませんでしょうか。   事務当局からの要綱(骨子)修正案につきましての御議論は,一とおり収束したようでございます。修正案に限らず,また,部分判決制度に限らず,その他の点をも含めまして,ほかに修正の御提案等ございませんでしょうか。   新たな修正案の御提案はないということで,進めさせていただきます。   また,部会として意見の集約の前に,どうしても発言しておきたいというようなことがございましたら,これから御発言していただきたいと存じます。 ● よろしいでしょうか。 ● はい,○○委員,どうぞお願いします。 ● 前回,○○委員と私の方で罪責判決制度という制度を提案させていただきました。これについて一言申し上げたいと思います。   私たちも裁判員制度をスムーズにスタートさせ,それを着実に定着させていくということが重要であるということ,裁判員の方の負担も考慮して,併合事件の審理のあり方への対処が必要であるということは考えております。そして,その対処方法として,裁判員が代わるという制度を採用する場合には,裁判員と裁判官の対等性,そして情報格差を避けることを最も重視する必要があると考えており,この観点から,裁判員が代わる場合には,裁判官も代わる制度にすべきであると考えております。罪責判決制度は,このような制度の一つとして提案させていただいたものです。ただ,前回の会合で,この罪責判決制度に対する御意見あるいは御質問がなされました。また,裁判員制度の実施が約2年後に迫っており,それから併合事件の審理のあり方への対処も早急に整備される必要があると,こういう状況もあるかと思います。   そこで,○○委員と私としましては,これらの状況を踏まえて,現時点では罪責判決制度を対案として採決していただくというところまでは求めないということに,今考えている次第です。   その上で,今回提案された修正案について,少し意見を述べさせていただければ,これまでの議論を通じまして,区分審理決定ができるのは例外中の例外であるということが確認されたと認識しております。そして,この要綱案に書かれている記載の文言は,そのような趣旨の文言であるとも理解をしております。そして,これに基づいて,そのような運用になるべきだと考えております。ただ,なお修正案にも残っている「円滑な選任を確保する」というところの文言が適切かどうかということにつきましては,なお疑問の余地が残っていると考えております。   以上です。 ● どうもありがとうございました。   ○○委員,どうぞお願いします。 ● 罪責判決制度を提案した者として,○○委員が言うように,こういう制度が必要だということについては共通の認識で,私たちもいました。裁判員に過大なる負担がかかるということで,実質的にこの制度がつぶれるというようなことになってはいけない。それと同時に,やはり裁判員を司法の主体として迎え入れるというときには,それはやはり裁判官と裁判員が,もちろん訴訟手続とか,そういうところは別にしておいても,可能な限りこれは対等であるということを確保すべきである。司法の民主的基盤ということを目的とするならば,やはり原則は対等である。その対等性をやはり維持するという観点は,極めて重要なのではないかと思います。そういうことから,裁判員の負担を軽くし,かつ,裁判員と裁判官の対等性をどう確保するかという,この2つを考えたときに罪責判決制度という構想を持ったわけです。   ただ,今回及び前回も含めて,さまざまな現行の制度との兼ね合いや,整合性ということを考えれば,一朝一夕にできるという形でもなさそうということなので,やはり裁判員制度が2年後に始まるということを前提にすれば,あえて対案という形で採決をお願いするということはしないと考えました。 ● ありがとうございました。ただいま○○委員と○○委員から十分に理解のある御意見の表明がございましたが,ほかにいかがでしょうか。   この際,どうしても発言しておきたいということがございましたら,どうぞ遠慮なくお願いいたします。   この後,部会としての意見の取りまとめに入りますので,どうぞ御発言がございましたら,お願いしたいと思います。取りまとめに入る段階までに,まだおいでになっていない委員がいらっしゃいますので,それまでどうぞ御意見がございましたら,いろいろ御発言をお願いしたいと思います。   もしなければ,休憩に入って,後で取りまとめの作業に入らせていただきたいと思いますが,そういうことでよろしいでしょうか。   では,休憩に入ります。           (休     憩) ● それでは,再開させていただきます。   ○○委員が御出席されましたので,採決に入る前に,修正案が提示されておりますが,これについて何か御意見ございましたら,よろしくお願いいたします。 ● 訪問先の所用の関係で遅れまして,御迷惑をおかけしました。修正案を本日拝見いたしましたが,説明を聞かずに意見を申し上げるのも何かと思いますけれども,拝見した限りでは,区分審理決定の要件について,これまでの部会の審議を踏まえて,さらに要件が具体化されて整備されたと感じました。   それから,被害者の意見陳述の件ですけれども,これは終局判決をすべき裁判体において行うということのようですが,同時にただし書で相当と認めるときはこの限りではないということで,かなり柔軟な運用が期待されると感じましたので,この点についても特に異論はございません。 ● どうもありがとうございました。   取りまとめに入るということで進めておりますが,それでよろしいでしょうか,○○委員。 ● はい。 ● それでは,これから部会としての意見を取りまとめさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。   諮問第81号は,「裁判員の参加する刑事裁判の制度の円滑な運用等のために,早急に法整備を行う必要があると思われるので,別紙要綱(骨子)について御意見を承りたい。」というものであり,その別紙として要綱(骨子)が付されておりましたが,この要綱(骨子)については,事務当局から修正案が提出されたところであります。   そこで,採決の方法ですが,これまでの部会における議論を踏まえまして,次のようなやり方でいかがと考えておりますので御紹介させていただきます。   要綱(骨子)第一につきましては,御異論もございましたが,第二ないし第四に規定されている制度の具体的な枠組みについては,特段の御異論がなかったようでございます。そこで,配布資料3-1としてお配りしている事務当局による修正後の要綱(骨子)につき,まず第一につき採決した上で,第二ないし第四を一括して採決の対象とさせていただきたいと考えております。このような方法でよろしいでしょうか。   御異議がございませんので,そのようにさせていただきます。   それでは,採決に移ります。   事務当局による修正後の要綱(骨子)第一に賛成の委員の方は挙手をお願いいたします。 (賛成者挙手) ● よろしいですか。はい,結構です。どうもありがとうございました。   反対の委員の方は挙手をお願いします。 (反対者挙手) ● どうもありがとうございました。   それでは,採決の結果を事務当局から御報告していただきます。 ● ただいまの採決の結果を御報告いたします。   賛成の委員の方10名,反対の委員の方0名でした。出席委員総数は,部会長を除きまして12名でした。以上でございます。 ● どうもありがとうございました。   それでは,事務当局作成の修正後の要綱(骨子)第一につきましては,賛成多数で可決と認めます。   次に,事務当局作成の修正後の要綱(骨子)第二ないし第四について,採決に移らせていただきます。事務当局による修正後の要綱(骨子)第二ないし第四に賛成の委員の方は,挙手をお願いいたします。 (賛成者挙手) ● よろしいですか。はい,結構です。どうもありがとうございました。   続きまして,反対の委員の方は挙手をお願いいたします。 (反対者挙手) ● どうもありがとうございました。   では,採決の結果を事務当局から御報告していただきます。 ● ただいまの採決の結果を御報告いたします。   賛成の委員の方が12名,反対の委員の方0名でした。出席委員総数は部会長を除きまして12名でした。 ● どうもありがとうございました。   事務当局作成の修正後の要綱(骨子)第二ないし第四につきましては,挙手された委員の全員賛成で可決と認めます。   採決は以上で終了いたしました。   その結果,諮問第81号につきましては,配布資料3-1としてお手元にお配りしてあります事務当局作成の修正後の要綱(骨子)を部会の意見として,総会に報告することに決しました。   この決定は,部会長から総会に報告いたしますが,部会長報告については,慣例として部会長に一任願うということでよろしいでしょうか。   どうもありがとうございます。では,そのようにさせていただきます。   本日予定しておりました議事は,すべて終了いたしました。この際,特に発言しておきたいということがございましたら,どうぞ御発言をお願いいたします。   特に御発言はないということでよろしいでしょうか。   皆様方の御協力によりまして,採決に至ることができました。どうもありがとうございました。 ● それでは,事務当局を代表いたしまして,一言ごあいさつ申し上げます。   委員,幹事,関係官の皆様方には,御多忙のところにもかかわらず,今回の諮問につきまして充実した御審議を賜りましたことに厚く御礼申し上げます。   また,○○部会長には,議事の進行,意見の取りまとめに,格段の御尽力を賜り,誠にありがとうございました。   本部会の冒頭でも申し上げましたが,裁判員制度の下において,同一被告人に対する複数の事件が係属した場合に,事件の内容等によっては,すべての事件を併せて審理すると裁判員の負担が著しく大きくなることもあり得ることから,このような場合の裁判員の負担を軽減するとともに,充実した評議等を可能とする法整備を行うことは,裁判員制度の円滑な運用等のために重要であると考えております。   今後のスケジュールでございますが,本日の部会における諮問第81号に関する御決定は,来月7日に開催が予定されております法制審議会の総会に部会長から御報告いただき,速やかに答申を頂戴いたしました上,法案の立案作業を進め,関連の法律案をまもなく始まります今期の通常国会に提出いたしたいと考えておりますので,委員,幹事,関係官の皆様方には,今後とも,相変わらずの御支援,御協力の程をお願い申し上げます。   どうもありがとうございました。 ● 皆様方の御協力の下,和気藹々とした中でも忌憚のない意見交換がなされ非常に充実した審議ができ,本日答申を取りまとめることができました。本当にありがとうございました。   これにて散会といたします。 -了-