法制審議会民事訴訟法部会            第4回会議議事録 第1 日 時  平成19年1月26日(金) 自 午後2時03分                       至 午後3時08分 第2 場 所  法務省第一会議室 第3 議 題  犯罪の被害者等の保護のための民事訴訟法の見直しについて 第4 議 事 (次のとおり)                議        事 ● それでは,民事訴訟法部会第4回会議を開催させていただきます。    (委員,幹事の異動紹介省略)   それでは,本日の議事に入りたいと思います。   本日は,この部会の最終回の予定でございます。事務当局作成の部会資料4,民事訴訟法の改正に関する要綱案(案)によりまして御審議をいただいて,要綱案の取りまとめをお願いしたいと存じます。   そこで,まず配布資料の確認を○○幹事からお願いいたします。 ● 今回の資料でございますけれども,事前送付資料といたしまして,今お話がありました部会資料の4「民事訴訟法の改正に関する要綱案(案)」がございます。本日は,この資料に基づいて御審議いただければと考えております。   それから,もう一つ,席上配布資料でございますけれども,最高裁判所の方から「民事訴訟規則の改正の骨子(案)」というものをいただいております。これにつきましては,後ほど最高裁判所の方から御説明をいただきたいと考えております。   以上でございます。 ● それでは議事に入りますが,順次項目ごとに区切って説明と議論をいただきたいと存じます。   部会資料4に基づきまして,まず最初の第1の1についての説明をお願いいたします。 ● それでは,私の方から,まず第1,証人尋問の1,付添いの点につきまして御説明させていただきます。   まず,今回の資料の全体の話でございますが,全体として,前回までの資料にありましたような注はございません。特に要綱案として説明を付すべきと考えられる事項はないのではないかと思われましたし,また,最高裁判所の規則に委ねるべき事項につきましては,これが法律の改正に関する要綱案であるという性質上,記載しないこととなるということでございます。   次に,第1,証人尋問とございますけれども,今回のこの要綱案の案では,第1,第2とございますように,犯罪の被害者の方などが証人として,あるいは当事者等として尋問を受ける場合について,こういった各措置を設けることとしております。これは,こういったような場面が最も強い措置を認めるニーズが類型的に認められる場合ではないかと考えられたからでございます。   犯罪の被害者の方等が法廷で訴訟活動をする場面といたしましては,ほかに口頭弁論期日で主張しますとか,あるいは原告として証人や被告に質問するといったような場面も考えられるわけでございますが,今回のこの要綱案の案におきましては,それらの場面につきましては規定を設けないということにしております。ただし,今回規定いたします場面以外に,こういった措置がとり得るかどうかという点につきましては,解釈に委ねられるということにしておりますので,そういったような場面でも,これまでの運用によって措置をとるといったような解釈も十分にあり得るものと考えております。   以上が,この要綱案の全体の構造の御説明でございます。   次に,その1の付添いでございますけれども,基本的に前回の資料と異なる点はございません。   まず例示の点でございます。例示につきましては,前回までの部会の御議論で,犯罪被害者であって保護が必要であるというような場合を例示するのが相当ではないかといったような御議論であったと理解しております。ただ,こちらの付添いにつきましては,後ほど申し上げます2種類の遮へいの措置,あるいはビデオリンクの措置と異なりまして例示が入っておりません。   その理由を簡単に申し上げますと,刑事訴訟法でも,この付添いにつきましては,証人の年齢と,それから心身の状態が考慮事情として例示されておるわけでございます。いわば,こういったように証人の現在の状況といったようなものが掲げられているというように理解できます。もちろん,例えば心身の状態を判断する際に,そういった状態をもたらすものとしてどのような事情があったのかということは考慮されるわけでございますし,その典型的なものが,犯罪の被害を受けて精神的に傷ついたためであるということが言えようかと思います。ただ,法律の規定の上では,そのようないわば背景となるような事情は表立って規定されておりません。そうしますと,今の刑事訴訟法と同じような年齢ですとか心身の状態といったような要素と並べて,並列的にその背景となり得るような犯罪被害者であるということを考慮事情として掲げるのは難しいのではないかと考えられたわけでございます。もちろん,先ほど述べましたとおり,この付添いの措置がとられる典型例の一つは,犯罪の被害を受けたことによって心身の状態が不安定になっているという場合であることは間違いないものと思われます。したがいまして,例示がここでは置かれていないというのは,先ほど述べましたような条文の構造によるものでございまして,例示がないからといいまして,犯罪被害者の方がここでの典型例として考えられていないというようなことでは決してございません。このことは,仮にこのような形でもし法律ができた場合でも,十分に周知徹底がされるようにしていきたいと考えておるところでございます。   以上が付添いの例示の点でございます。   続きまして,2点目といたしまして,当事者あるいは証人の意見聴取の問題でございます。   当事者の意見聴取につきましては,これは必要であるとの御議論であったと理解しております。また,証人自身の意見聴取につきましては,前回の部会でもいろいろと御意見が出たところでございます。ただ,この点につきましては,仮に規律を設けるとしても,最高裁判所規則に委ねるのが相当であるというような議論だったと理解しております。そこで,この点につきましては,この要綱案の案には記載されておりません。後ほど最高裁の方から現在の規則に関する検討状況を御説明いただきたいと考えております。   以上が第1の1についての御説明でございます。 ● それでは,ただいま説明がございました付添いにつきまして,御質問,あるいは御意見,御自由にお願いしたいと存じます。いかがでしょうか。   ○○委員,何かございませんか。 ● 今の○○幹事の御説明によりますと,典型が犯罪被害者であることは疑いがない。そのことについては,今後もそういうふうなことであるというような周知をしていっていただけるということだったわけですが,その心身の状態というところの典型例が犯罪被害者と。   それから,並列するのが困難ということだったんですが,大体理解させていただいて,弁護士会でもそういうふうな報告をさせていただいているんですが,もう一度だけ,並列するのが困難というところだけ,もうちょっとだけ御説明いただけるとありがたいんですけれども。ほかは全部例示が入っているものですから,それを私どもの方でうまく説明ができる,ちょっと補充をしていただければ。 ● 刑事訴訟法の方では,例えば被告人との間の遮へいですと,犯罪の性質ですとか,あるいは被告人との関係といったような事情が掲げられている。これは原因事情としてではございますけれども,付添いについてはそういうものが落ちている。ですから,これは意図的に,意識的に落ちていると考えられるわけでございます。そうしますと,その理由としてどのようなことが考えられるのかということになりますと,恐らくそれは証人の年齢,あるいは心身の状態といったような,とにかく現在の状況,現在そういうような状況になっているというところから,第一義的にこういう付添いの措置をとることが相当かどうかを考えるというような構造になっているんではないか。むしろそういった背景となる事情は,そういった心身の状態というものを考慮するものの背景事情になるのではないか。そうしますと,例えば民事の場合でいきますと,今回,遮へいの措置につきましても事案の性質といったようなことが書いてあるわけですが,事案の性質というようなものを入れないで,逆に犯罪被害者であるということだけを入れるというのも,またなかなか制度的には理屈が難しいのではないか。かといって,じゃ,ここにつきましても,事案の性質というものも全部入れて,あるいは犯罪被害者であるということも全部入れるということも理論的には考えられるわけでございますけれども,先ほど申し上げました刑事訴訟法との構造を今度は変えることになる。そうしますと,同じような効果を持つ付添いという措置につきまして,殊さらに刑事訴訟法と構造を変えるということの,また合理的な説明も難しいのではないかということでございまして,刑事訴訟法と同じような構造を仮にとるのであれば,犯罪被害者であるということを入れるというのは難しい面があるのではないかということでございます。 ● わかりました。 ● よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょう。   じゃ,○○幹事,どうぞ。 ● すみません。1点補足説明をさせていただきたいと思いますけれども,この付添いにおいて付き添う人が一体どういうことができるのかという点が問題とはなります。この(2)にありますとおり,どういうことをしてはいけないかということは書いてあるわけですが,この付き添う人は一体どういうことをするのかという点でございます。その点につきましては,特に規定の上では具体的な行為まで書いてあるわけではございません。したがいまして,この付添いの趣旨に照らして,この証人の不安または緊張を緩和するという観点からどのような行為ができるのかということを考えていくということになろうかと思います。   ちなみに,刑事訴訟法の同様の規定におきましてはどういうことが言われているかといいますと,これも刑事訴訟法の規定の解説書でございますが,証人付添人は,証人のそばに着席し,証人の様子を見守ることが想定されております。ただ,証人の体調が悪くなったり,精神的にパニック状態になったりしたときには,証人に対して具合を聞いたり,あるいは裁判官に証人の状況を伝えることは許されると考えられるといったような記載がございます。そのほか,具体的にどのようなことができるのかというのは,個々具体的な事情におきましてケース・バイ・ケースだと思いますけれども,先ほど申し上げましたような趣旨から考えていくのではないかと考えておるところでございます。 ● どうもありがとうございました。   どうぞ,○○幹事。 ● 今から申し上げることは,中身そのものに関係しない,ちょっと形式的なことですし,また,私,刑事訴訟法の方に誤解がある可能性もありますので,それを留保した上ですが,第1の1の(1),(2)の「裁判長若しくは当事者の尋問」という部分です。確かに刑事訴訟法の付添いの規定は,裁判官,当事者の尋問というような順序だと思いますが,民事訴訟法202条で,尋問順序は申出をした当事者,他の当事者,裁判長という順序になっておりまして,刑事訴訟法には尋問順序に関する規定がないというようなこととの関係で,単に並びの問題ですから,まことに形式論で申し訳ないんですが,ちょっと気になったというだけのことです。 ● 条文上どういう並びにするかという問題でございますので,もし実質的にこういうことでよろしいということになりますれば,今後,これに基づいた立案の過程におきまして,今の点も踏まえて検討させていただければと思いますけれども。 ● ありがとうございました。   それでは,先ほど○○幹事から,特に例示に関してはかなり詳しく説明がございまして,しかし,このような形でこれを基礎にして条文ができるとしても,事柄の実質は当然踏まえて運用がされるであろうというようなお話がございましたが,それも含めまして,こういったことでよろしいでしょうか。もしよろしければ,先ほどの○○幹事の御発言に関しましては,条文化に際して,なお検討を事務当局にお願いをすることにいたしまして,この付添いに関しては原案のとおり御了承いただいたということにさせていただきます。   それでは,次に,第1の2,遮へいの措置につきまして,○○幹事から説明をお願いいたします。 ● それでは,第1の2の遮へいの措置でございます。   遮へいの措置の(1)は,当事者等との間の遮へいでございます。これにつきましては,前回までの御議論を踏まえまして,犯罪の被害者であるということを例示として挙げることとしてございます。ただ,現在,刑事訴訟法では,犯罪の性質,証人の年齢等々,その他の事情によりというように,刑事訴訟法では,こういったような事情が,圧迫を受け精神の平穏を著しく害するおそれがあるということの原因となる事情として掲げられておるというものでございます。今回,民事でもこういった遮へいの措置の規定を設けるということになるわけでございますけれども,こういった措置がとられる場面,場合といたしましては,基本的に刑事訴訟と同様にするというのが相当であると考えられます。そうしますと,余り刑事訴訟法と規定の構造自体を大きく変更するというのは相当ではないのではないかと考えられました。   そこで,現在の刑事訴訟法で書かれておりますような原因事情に相当するもの,すなわち事案の性質,あるいは証人の年齢又は心身の状態,それから証人と当事者本人又は法定代理人との関係,こういったようなものも原因事情として残しつつ,その中に犯罪被害者であることも一つの原因事情となるという形で典型例として示すというようなやり方が相当ではないかと考えられたところでございます。   ただ,この場合に,犯罪被害者であることというように言いましても,ここの措置は特定の人との関係で遮へいの措置の必要性が生じるわけでございます。したがいまして,抽象的に犯罪被害者であることといいますと,全くの第三者が加害者であるという場合も含まれることになりますけれども,そうしますと,先ほど申し上げました,この措置の趣旨からしますと,例示としては適当ではないのではないかと考えられるわけでございます。   そこで,やはりここでの例示としては,当事者本人又は法定代理人という遮へいの相手方となる者が犯罪の加害者となっている場合というように,絞った形で例示をするのが相当ではないかと考えられます。そうしますと,そのような形になりますと,それは証人と当事者本人又は法定代理人との関係の中に含まれるということになろうかと思います。そこで,ここの事情に含まれる典型例として規定するのが相当であると考えたものでございます。   なお,ここで「含む」という表現を使ってございますけれども,ここの原案の趣旨としましては,これまでの御議論を踏まえまして,この関係の典型例としてこういうものがあるということを示す趣旨のものであるということを前提としております。確かに「含む」というような概念を用いる場合には,その概念に当たるかどうか微妙なものを含ませるというような趣旨の使用例が多いものと思われます。ただ,ここにありますように「証人と当事者本人又はその法定代理人との関係」という,こういう言葉だけからは,具体的にどのような場面が想定されるのかというのは直接的にはあらわれてこないような気がいたします。その中で,少なくとも犯罪被害者であることが含まれるというように規定しますと,そこは典型例を示すといったような機能が出てくるのではないかと考えておるところでございます。   なお,このように典型的な例を示す趣旨として「含む」という用語を使っている例も,こちらの方で調べましたところ幾つかあるようでございます。今,ちょっとここで条文の資料を配布をしておりませんで大変恐縮でございますけれども,例えば刑事訴訟法の299条の2,これはお礼参りを防止するための規定でございますけれども,証人等の住居の場所等を知られないようにする相手方といたしまして,「関係者(被告人を含む。)」といったような規定がございます。こういったような規定を見ますと,そういったものを知られないようにする相手方としましては,いわばお礼参りをするおそれがあることでございますので,被告人というものも典型例として考えられるものと思われます。そのほか,仲裁法の第30条の第3項第3号という規定がございます。これは,例えば当事者が定めました言語を使用する,その仲裁の手続に関する規定でございますが,「仲裁廷が行う書面による決定(仲裁判断を含む。)」といったようなものもございます。これなども,恐らく仲裁廷が行う決定としては典型的に仲裁判断が考えられるというようなものかと思います。今回のこの「含む」という用例も,これらに倣いまして,やはり典型的なものを示すというようなものというふうに,この要綱案の案では考えておるというものでございます。   次に,2ページの(2)でございますけれども,こちらの方は傍聴人との遮へいでございます。これにつきましても,基本的に刑事訴訟法の規定の構造を変えずに,刑事訴訟法が掲げる考慮事情に相当するものに,さらに典型的な考慮事情として犯罪被害者であることというものを加えているというものでございます。ただし,こちらの方は傍聴人との間の遮へいでございますので,特定の人との関係でこの措置が必要となるというものではございません。むしろ,その人が被った犯罪による害の内容ですとか,あるいは性質,そういったもの自体が問題になると思われます。したがいまして,ここで考慮事情を掲げる際にも,だれが加害者であるかというところまでは書く必要でないのではないかと思われました。そこで,(1)のように当事者等との関係の中に含ませるというよりは,これらと並べて独立の考慮事情として掲げたというものでございます。   あと,(3)の方は,異議を述べたときは,裁判所は,決定で,その異議について裁判をするというものでございまして,従来どおりの従前までの議論を踏まえたものでございます。   以上が第1の2についての説明でございます。 ● それでは,ただいまの説明を踏まえまして,これも御質問でも御意見でも結構でございますので,どなたからでも御自由にお願いいたします。   いかがでしょうか。○○幹事,何か御意見ございませんか。 ● 特にはないのですが,この(1)の今御説明があった括弧の中のあれですけれども,「証人がこれらの者が行った犯罪により害を被った者である」ということなんですが,その訴訟の中で,当然この点自体が争われているということもあろうかと思うわけですね。不法行為の損害賠償をしていて,害をこうむったかどうかということ自体が争点になっているということも,ある種典型的にあろうかと思うんです。そういうような場合というのは,これは例示ですので,そんなに厳密に議論をしてみてもしようがないのかもしれませんが,ちょっと原案のお考えのようなものがもしあれば,御説明いただければと思います。 ● 御指摘のとおり,従来から犯罪というようなことを何らかの形で明確な要件にすると,それ自体について争いが生じるというような議論はございました。確かに例示という形にしましても,恐らくそれは程度の問題として,そういうことはあろうかとは思います。ただ,明確な要件にするということに比べますと問題は少ないということで,このような例示を掲げさせていただいたというものにすぎません。恐らくその点について,一体どこまでの心証といいますか,そういうものが必要なのか。あるいは,例えば管轄原因の問題でも,いろいろな面で同じような議論があろうかと思いますけれども,その点につきましては,この規定の解釈といいますか,そういうようなものに委ねたいと考えております。 ● よろしいですか。どうしても実務運用上は,ある程度の幅のある判断にならざるを得ないかと思いますけれども。   どうぞ,○○幹事。 ● 今回の案は,多分法令用語の非常に技術的な問題で難しく,当局の方で非常に御苦労なさった結果だと考えます。ただ,やはり字づらを考えますと,まず(1)の方の「含む」というのを典型例というふうにすっと読むことができない。日弁連の意見としては,犯罪被害者について遮へいの措置を設けるということを,とにかく典型例として,あとはそのほかの事例もこういう遮へいがあっていいけれども,余りそれは簡単に広げるべきではないという考え方がありましたので,この表現の字づらだけではなお不安が残るということが1点あります。   それから,(1)と(2)との関係なんですが,(2)は傍聴人からの遮へいですので,この方が(1)の当事者からの遮へいよりも広く行われてよいと思われますし,実際もそのようになされているわけですが,この(1)と(2)だけを見ると,(2)の方が狭く読めるんですね。そうすると,今まで(2)の方で犯罪被害者と言えないような事例も傍聴人からの遮へいをしてきた部分は,この条文によるのか,あるいは今までどおり訴訟指揮の一環としてやるのかというところをちょっと確認しておきたいと思います。   そして,その確認した立法当局の御説明として,そこをやはり公刊物で説明をしていただかないと,今後運用で混乱をしたり誤解が生じたりすると思われますので,その点,いかがでしょうか。 ● まず,この(1)と(2)でございますけれども,この(1)の方は,いわば括弧の中に入っていて,基本的な事情の数自体は変わっていない。(2)の方は独立した書き方になっておりますので,考慮事情がふえているということはありますけれども,ただ,基本的な中身といいますか,性質は先ほど来申し上げているとおりでございまして,このように括弧の中に入るのか,あるいは独立した考慮事情になるかというのは,条文の構造上の問題ということで,特にこういう書き方の違いによって(2)の方が厳しくなっているというようなことではないのかなと思っております。   それから,もう一つは,(2)と現在の運用との関係でございますけれども,基本的に今回の各措置の規定といいますものは,現在の運用も取り込んでいて,現在の運用でできているものをできなくする,厳しくするというようなものではないと理解しております。つまり,こちらの方の(2)ということになりますと,同じように,例えば心身の状態とか名誉に対する影響,そういったようなことの場面で,この傍聴人との遮へいをするということになりますと,やはり今回のこの規定でいくということになろうかと思います。ですから,例えばここの(2)の要件には当たらないと,こういうことを考慮して,相当とは認められないけれども,今までの運用によってやるというようなことは,これはやはり認められないのではないかなと考えております。もちろん,(2)が規定している場面とは違う場面であれば,それは従来の運用によってできるかどうかは解釈に委ねられるところでございますけれども,まさに(2)が切り出している場面については,やはりこの(2)の要件に該当することが必要なのではないかと考えています。ただ,それを前提としましても,(2)は現在の運用をさらに厳しくしたものではない。現在の運用でできるものを取り込んだ要件だと立案当局としては考えて,そのことを前提とした案でございます。 ● ○○幹事,いかがでしょうか。 ● その点の説明はわかりました。   それで,やはりここは,字づらから受ける解釈と,今の御説明が必ずしもつながらないので,これは立法当局の説明として,ここで御説明いただいて,ほかにやはり別にお書きいただきたいと考えます。それは要望でございます。 ● その点につきましては,先ほども付添いのところで申し上げましたけれども,もし仮にこのような形で法律になるのであれば,今申し上げました趣旨につきましては周知徹底を図ってまいりたいと考えております。 ● どうぞ,○○委員。 ● 今の点に関して,字づらという話が出て恐縮なんですけれども,(2)の方の御説明抜きでこの条文を見た場合に,「証人が犯罪により害を被った者であること……を考慮し」という場合,そうすると,これが考慮事情の一つではあるけれども,これが例示であるという,括弧でもありませんし,例示と考えることができるのかなというところがあります。端的に申し上げると,犯罪被害者である人について傍聴人からの遮へいは,この条文でいけるんだろうと思うんですが,もし犯罪被害者じゃないけれども傍聴人等の遮へいをやる場合には,この条文では当たらないと考えるのか。いや,それは,証人が犯罪により害を被った者であることというのは,これは例示なんだから,そういう場合もこの条文でいけるんだという解釈が可能かどうかというところなんですけれども,これだけ見ると,何か犯罪被害者であることが前提であって,それを考慮しというような,枠組みとしては犯罪被害者についての条文であるかのようにも見えるのかなと。例示というところが,例えばというのは,もちろん書きぶりの問題もあるんですけれども,これですと非常に御苦労されて,非常に私もよくわかるんですけれども,これが例示として果たして読み込めるのかなというところがあるものですから,もう一度申し上げますと,犯罪被害者の場合でなくても必要性があるという場合には,この条文で,あくまでも「証人が犯罪により害を被った者であること」というのは,これは例示なので,そうでない場合でも,別にこの条文でいくことに支障がないと考えていいのか,それは従前どおりの裁判長の指揮の範囲だと考えるのか。そこのところを御説明いただけるとありがたいんですが。 ● ○○委員がおっしゃったのは,過去に問題になった例として,例えばエイズ訴訟のような,私どもがちょっと頭の中に置けばいいのは,そういうようなものですか。 ● そういう場合には,この条文はあくまでも「証人が犯罪により害を被った者であること」が例示であれば,別にこういうケースでなくても,この条文というのは,これが例示なので,これに当たる場合でも当たらない場合でも例示だからこの条文でいけるんですよという御説明でいいのか,それとも,これはやはり犯罪被害者の場合についての考慮事情として書いてある以上,犯罪被害者の場合を想定しているので,エイズ患者のような場合にはこの条文ではなくて,それは従前の裁量権の範囲でいくんだという,結論的にはどっちも裁判長でできるかなと思うんですけれども,その辺のところもちょっと整理ができていないものですから。 ● まず,ここで考慮事情を書いておりますけれども,これはあくまでも考慮事情の例示でございますので,ここに掲げられているものがすべて考慮事情として上がってくる場合でなければ,この措置がとれないということではないわけでございます。例えば,犯罪の被害者ではないけれども,年齢が非常に幼いですとか,あるいは,犯罪の被害者ではないけれども,心身の状態がそのほかの原因によって,とても傍聴人の前ではしゃべれないような状況になっているというようなことも入り得ますので,必ずしも犯罪被害者でない方につきましても,ここに掲げられたもののどれか一つに当たるとか,あるいは,ここに掲げられていないけれども,これに準ずるような事情があるということであれば,この規定に乗ってくると理解しております。ただ,あとはそれぞれ,これこれの要素に何が当たるのか。例えばHIVのような訴訟が名誉に対する影響に当たるのかどうか。あるいは,仮にそれは名誉に対する影響ではないけれども,これに準ずる事由に当たるのかどうか。それとも,それは準ずる事由にも当たらなくて,やはり運用上の従来のものなのかというのは,これはそれぞれの,いわばこれの各要素の解釈問題になってくるのかなと思っております。 ● よろしいですか。   どうぞ,○○委員。 ● 確認です。○○幹事と同じ疑問かもしれませんが,「犯罪により」とかいうようなことで,別に有罪判決を必要とするわけでも何でもないでしょうということなんですが,そこの「犯罪により」ということで,だれかが主張して言うことになりますね。そこを裁判長が判断して,それを考慮すれば足りるということなんでしょうねということで,「犯罪に」というと,もう既に犯罪が起きて有罪判決を受けてとかいうような話になってしまうんですが,必ずしもそうではないんではないかということを確認しておきたいということなんですが。 ● ここはおっしゃるとおり,必ずしも,例えば起訴されているとか,あるいは有罪判決を受けているとか,あるいは有罪判決が確定しているとか,そういったようなことを必要的なものとしているわけではありません。そういう点では,客観的に犯罪により害をこうむった者であればいいわけでございますが,先ほど申し上げましたとおり,じゃ,一体どこまでの心証をとって,この例示の考慮事情があると考えるかというのは,ケース・バイ・ケースの問題なのかなと考えております。 ● よろしいでしょうか。いろいろ○○幹事から大変丁寧に説明をしていただいたんですが,それにもかかわらず,やはり要綱案の文言だけから見ると,なかなかそこで言わんとしていることが,そう一義的にだれにでもわかるということにはならないような,ちょっと難しい面があるわけですが,そのあたりはまた条文をつくり,さらにそれについてのしかるべき解説等が明らかにされることによって補われると考えますので,一応要綱案の内容としては,こういうことで御了承いただけますか。よろしいでしょうか。それでは,ありがとうございます。   次は,第1の3,ビデオリンク方式による尋問につきまして,○○幹事から資料の説明をお願いいたします。 ● 3のビデオリンク方式による尋問につきましても,基本的に前回の案とは変わっておりません。   まず1点目でございますが,この原因事情の列挙の中で,当事者本人との関係のみならず,今回の案では法定代理人との関係といいますものも入れております。これにつきましては,前回の部会でも,当事者等との遮へいとの間で,そのような差を設ける合理性はないのではないかというような御指摘もございました。確かに,その後検討いたしまして,法定代理人との関係でも,法廷という場においてしゃべるという場合に圧迫を受けることにつながるような事情が生じるということもあり得ると思われます。そこで,やはり特に遮へいの措置との間で規定上差を設けるまでのことはないのではないかと判断したわけでございます。   以上が1点目でございます。   それから2点目,例示の点でございます。ここの要綱案の文書の中には明示的には書かれておりませんけれども,先ほどの1ページの2の(1)当事者等との間の遮へいの措置の括弧の中に「後記3においても同じ」というような文言を入れております。少し技術的な書き方で大変恐縮ではございますけれども,したがいまして,ビデオリンク方式による尋問につきましても例示がされておるという趣旨でございます。   それから,ビデオリンクにつきましては,証人がどこの場所に来て陳述をするのかという,証人が在席する場所が問題になりますけれども,これにつきまして,前回までに実質的な御議論をしていただいたところでございます。ただ,これも,もし規律を設けるといたしますと,最高裁判所の規則の方に設けるべきではないかというように考えられましたものですから,この要綱案から落ちている。また後ほど規則の関係で御説明がいただけるのではないかと考えておるところでございます。   以上でございます。 ● それでは,このビデオリンク方式に関しまして,質問,御意見等,御自由にお願いいたします。ございませんか。   恐縮です。○○委員,いかがでしょうか。 ● 特にありませんが,ただ書き方の問題だけで,「後記3においても同じ」という書き方が何となく違和感が……。素人から見るとわかりにくいのではないかという,別にここにそれを,同じことを書いてもいいのではないかと,それだけ申しておきます。 ● 要綱案のスタイルといいますか,要綱案をどう考えるかということにもよるのかもしれません。御指摘の趣旨は大変よくわかりました。一応この原案は,なるべく将来的にどういう法律の条文になり得るのかといったような,少し法律の条文も意識した上で,改正に関する要綱案ということで,法律の形というものも少し念頭に置きながら書かせていただいたというものでございます。仮にこういう形で法律案をつくるということになりますと,恐らく前のところでこのような表現をさせていただくということになるのかなということを踏まえたものでございます。 ● よろしいですか。   どうぞ,○○委員。 ● すみません。今の○○委員の御指摘のあったところですけれども,条文として最終版もこういう書きぶりになる可能性があるということなんですか。最終的には同じようにビデオリンクの方も括弧して,同じことを書かれるようになるのかなと勝手に思っていたんですけれども,そうではなくて……。 ● そこは,立案のいわば立法技術的なところになるものですが,一般的にこれまでの立案の例などを見ますと,同じものを書くというよりは,もし1カ所にまとめて規定できるものであれば,まとめて規定するというのが,これまでの通常の立法の技術といいますか,書き方ではないかということでございます。 ● ビデオリンクの要件はというと,多分,一般的にはここの条文を直接には最初に見ると思うんですね。遮へいのところに「後記3においても同じ」というところを見つけるためには,全部一応目を通さないと……。すみません。すごく細かいことで恐縮なんですが,これは最終的には遮へいの(1)と同じような括弧書きになるのかなと勝手に思っていたんですけれども,その辺は,こういう書きぶりに……。遮へいの(1)と(2)であれば,1項と2項というのは同じとわかると思うんですけれども,ビデオリンクは一応措置が違うものですから,どうかなという感じはちょっとしますけれども。 ● おっしゃる趣旨は了解いたしました。ただ,前のところを見なければわからないというのは,この括弧でこういう形で,後の方の条文においても同じという規定の仕方について,常に必然的に生ずる問題でございますので,そこのあたりは立案の問題でございますので,お任せいただければとは思っております。 ● そういうことでよろしいでしょうか。私など,年中そういう点を見落として間違えたりするんですけれども。   ほかに御意見,御質問ございませんか。   ○○幹事,何かございませんか。 ● 特にございません。結構かと思います。   今の点ですが,これも純粋に条文の立案の問題だろうと思うんですけれども,この2つの条文の関係と申しますか,位置関係ですが,刑事訴訟法は並んで記述されているという理解ですが,これも近くにあるという理解でよろしゅうございますか。そうしますと,先ほどの問題は最小限に抑えられるんじゃないかなという印象は持たせていただきましたけれども。 ● それも今後の立案の問題でございますけれども,これは,いずれも尋問の方式にかかわる問題でございます。また,既に同じような趣旨の規定としては,民訴の204条に遠隔地のテレビ会議システムの規定があるわけでございます。また,趣旨としましても,犯罪被害者の方などの保護を図る規定であるということになりますと,恐らく204条のあたりにこの3つの措置の規定がまとまって規定されるというように,現在のところでは考えておるところでございます。 ● よろしいでしょうか。   それでは,ただいまいただいた御意見につきましては,事務当局の方で参考にさせていただくということで,要綱案の実質的な内容としては原案のとおり御了承いただくと,これでよろしいでしょうか。ありがとうございます。   それでは最後に,第2の当事者尋問と,第3のその他について,○○幹事から説明をお願いいたします。 ● まず,第2の当事者尋問でございますけれども,こちらの方は前回の案と変更はございません。犯罪の被害者の方などが原告として尋問を受ける場合,あるいはお子さんが被害者で,その法定代理人として尋問を受ける場合等が考えられるところでございます。それらの場合も,証人として尋問を受ける場合と同様に,こういった措置がとり得るということとするものでございます。   それから,第3のその他所要の規定の整備でございますけれども,今後,仮にこの要綱案の案どおりに御決定いただき,またさらにこれが要綱となった場合には,これに基づいて法律案の立案作業に入るわけでございますけれども,技術的な事項でほかの部分に改正を加えるということもあり得ますので,このような抽象的な形のものにしておるというものでございます。   以上でございます。 ● それでは,ただいまの第2及び第3に関しまして,何か御質問,御意見等ございますか。   ○○幹事,何かございますか。 ● 何もないので,ちょっとだけ。これも本当に形式的な話ですし,ちょっと1個戻るんですが,ただの要望ですけれども,ビデオリンク方式による尋問のところです。ここに挙がっている項目見出しというのが,立案に当たって条見出しそのものになるかどうか,ちょっとよくわからないんですけれども,これは本当にもう形式の話,さっきのわかりやすさという話だけですけれども,204条の現在ある条見出しが映像等の送受信による通話の方法による尋問となっていまして,こっちがビデオリンク方式の尋問となると,同じような装置を使ってやるときに,ちょっと混乱が生ずるので,条見出しについてわかりやすさを御留意いただきたいというだけです。 ● 今の点につきましては,これも立案の際にどういうような条文にするのかという立案の問題にもかかわりますので,今の御指摘を踏まえて立案の作業に入りたいと思っております。 ● よろしいでしょうか。   それでは,御意見いただきました部分につきましては十分参考にさせていただくということで,要綱案といたしましては原案のとおり御了承いただいたと,そのような取り扱いにさせていただきます。   それでは,本日の部会資料4につきましてはすべて御審議をいただきましたが,ここで,本日までの部会での議論を踏まえまして,現在,最高裁判所の事務総局において行われております民事訴訟規則の改正に関する検討状況につきまして,○○幹事から説明をお願いいたします。 ● それでは,御説明させていただきます。   本部会におきましても,これまでの議論の中で,最高裁判所規則において定めるべき事項につきましても実質的な点を含めまして多数御意見をいただきまして,私どもとしましても,この部会において皆様方からいただきました意見等を今後の最高裁規則の改正作業に反映させていきたいということで,現在鋭意検討を進めております。もとより最高裁規則,今回は恐らく民事訴訟規則の一部改正という形式をとることになると思われますが,その実際の改正自体は,今回の法制審議会における議論を踏まえた法案が提出されて法律が成立しました後に,実際上は行われることになりますけれども,これまでの部会における御意見を前提としまして,今の段階で私どもの方での検討状況を整理させていただきまして,この場における皆様方の議論のある種お考えを確認的に整理させていただきたいと思いまして,今回,若干お時間をいただきまして,今現在私どもで考えております改正内容の骨子について御説明させていただきたいと思っております。   改正の骨子としましては,今回の法改正によりまして,付添い,遮へい,ビデオリンクという3つの措置が新たに設けられることが予定されていると思われますので,それぞれにつきまして検討しておりますけれども,共通する事項としましては,この3つの措置につきまして,各措置をとるに当たりましては,あらかじめ先立って当事者及び証人の意見を聞かなければならないものとするということを規則に盛り込んではどうかと考えております。当事者の意見を聞くという点につきましては,この部会におきましても尋問の方法そのものにかかわるところであり,やはり一番利害関係を持つであろう当事者の意見を聞いた上で,その措置をとるかどうかの当否について検討すべきではないかというような考え方が提示されていたと思われますので,そのような方向で考えているところであります。   また,尋問の対象となります証人そのものの意見も聞かなければならないものとするという方向で,今後の規則改正,その方向で考えていきたいと今のところ考えております。この部会におきましても,証人そのものの意見を聞く必要があるかどうかというところにつきましては,多少ニュアンスの違う御意見も若干出ておったかと思われます。実際上の実務運用としましては,このような規定を規則に置くまでもなく,実際上,本人の意見を聞いて,本人が必ずしも必要ないというような場合であれば措置をとらないということになろうかと思いますので,その意味では,ある種確認的な規定になるという見方もできるかと思われますけれども,この部会におきましても,最終的にこれらの措置をとるかどうかが,本人の精神状態等をどのようなものとして認定するかというようなことともかかわるというようなことからすると,やはり本人の意見を聞くというのは必要ではないかというような御意見ですとか,あるいは,そうした精神状態にあるというような認定をされるということ自体が,やはり本人にとってある種影響のある部分であって,その点についての本人の意向というのは尊重される必要があるのではないかというような御指摘もございましたので,そういったところも含めまして考えまして,尋問の対象となる証人そのものの意見も聞いた上で,各措置をとるかどうかを裁判所が判断するというような形にしたいという方向で考えております。   また,3つの措置に共通する2番目の規則事項といたしましては,それぞれの措置をとった場合に,その点を調書に記載するというような点が予想されるところでございます。この点につきましては,現在,刑事訴訟規則におきましても,これらの措置,これらの措置に類する措置をとりました場合には調書に記載するということになっておりますので,この刑訴規則を参考といたしまして,調書記載事項として,これらの措置がとられたということを規則上規定するという方向で考えておるところでございます。   また,3番目にビデオリンク方式による尋問固有の問題でございますけれども,このビデオリンク方式による尋問の具体的な仕方としましては,双方当事者につきましては受訴裁判所に出頭していただき,尋問の対象となる証人の方につきましては,次の2つの場所のいずれかに在席して,この尋問を行うということにしたいと考えております。1つ目が受訴裁判所の構内の場所でありまして,それとは別のいわゆる別室で在席してもらうというやり方でございます。また,もう一つが,当該尋問に必要な装置の設置された他の裁判所に出頭いただきまして,その他の裁判所の中の装置の設置された部屋に在席していただくという方式でございます。2つのうちのアが刑事訴訟におけるビデオリンクの尋問の証人の所在場所ということになるわけです。また,イにつきましては,現在の民事訴訟法におけますところのテレビ会議装置による尋問をする場合と同様に,受訴裁判所以外の他の裁判所に出頭していただくというものでございます。   この点につきましては,民事訴訟におきましては,既に遠隔地の証人につきましてはテレビ会議によって尋問が認められているということから,今回の犯罪被害者等の保護のためのビデオリンク方式による尋問につきましても,必ずしも受訴裁判所と同一構内に限る必要はなく,他の裁判所に出頭していただくのでも差し支えないのではないかという御意見が多かったと思われますことから,そのような方向で検討していきたいと考えておるところでございます。   また,今回の措置は,証人尋問のみならず当事者本人尋問,あるいは法定代理人尋問についても同様とするということが予定されておりますので,規則におきましても,こうした当事者本人尋問,法定代理人尋問についても同様の規定を設けるということになろうかと思っております。   最後に,やや形式的な整備にわたるところでございますが,現在民事訴訟規則の121条におきまして,証人が特定の傍聴人の面前において証言するということになりますと,威圧され,十分な陳述をすることができないと認められるような場合が考えられますので,その場合には傍聴人を退廷させることができるという規定が設けられております。この規定におきます表現として「傍聴人の面前」という言葉が用いられておりますが,今回,遮へい措置,あるいはビデオリンク方式による尋問が導入されました場合には,これらの措置がとられた場合も含めて,証人が威圧され,十分な陳述をすることができないという事情が生ずるかどうかということを判断することになりますので,これらの措置がとられた場合も含めまして,必要に応じて傍聴人を退廷させることができるという形に規定の整備を図ることを考えております。同様のことは,刑事訴訟規則等におきましても,これらの措置も含めて退廷をさせることができるとなっておりますので,その規定を参考としながら,最終的には規定の整備を図るという予定であるというのが第3でございます。   以上でございます。 ● どうもありがとうございました。   それでは,ただいまの○○幹事からの御説明に関して,何か御質問等ございましたらお願いいたします。   これまでの当部会での審議における意見を踏まえて,今後の基本的な検討の方向を御説明いただいたということで,特に何か格別の御意見等はございませんか。それでは,よろしく検討をお進めください。   それでは,以上でこの部会におきます審議を終了させていただきたいと存じます。本日の部会資料4につきましては,御了承いただきましたので,この「民事訴訟法の改正に関する要綱案(案)」を民事訴訟法部会の案として御了承いただいたと,こういうことで扱わせていただきます。   それでは,ここで事務当局を代表いたしまして,法務省の○○民事局長から皆様にごあいさつをお願いいたします。 ● 民事局長の○○でございます。   この審議を終えていただきまして,それに際しまして一言だけお礼を申し上げたいと思います。   大変短い期間のうちに4回会議を開いていただきまして,○○部会長はじめ委員の皆様方,非常に中身の濃い議論をしていただきまして,これを本日決定していただくに至りましたこと,大変ありがたく感謝申し上げます。   この問題は,措置としては非常にわかりやすい措置でありますし,既に刑事訴訟法に前例がある部分もございますので,一見易しそうなところでございますけれども,他方,訴訟の手続の規定としては,その訴訟の結果がどうなるかということを中心に,いろいろ訴訟上の効果を束ねてつくったり,訴訟法の中に位置づけるものとしてなかなか難しい面もあるわけでございます。そういった意味で,いろいろ多角的に御議論いただきましたこと,大変ありがたく思うわけでございます。   短い規定でございますけれども,社会的には非常に大きな意味があるわけでございまして,既に並行して行われております刑事関係の犯罪被害者対策のさまざまな措置とあわせまして,この2月7日の法制審議会に諮られるということになろうと思いますが,仮にそれで総会の御承認がいただければ,直ちに今日開会されました通常国会に法案として提出するというつもりで,これから事務当局としては鋭意進めてまいりたいと思います。   委員の皆様方には改めて,この間の御努力に対しまして深く敬意と謝意を表したいと思います。どうもありがとうございました。 ● どうもありがとうございました。   私からも一言だけごあいさつを申し上げたいと存じます。   昨年の10月以来でございますが,私,司会者として大変不慣れではございましたが,委員,幹事の方々の御協力によりまして,4回という短い回数ではございましたが,大変充実した審議を踏まえまして,今回要綱案を取りまとめることができたわけでございます。諮問の趣旨にのっとりまして,犯罪被害者等の権利利益の保護という,現在その必要が強く指摘されている要請に応え,他方,民事訴訟手続の基本原則を踏まえながら要綱案をまとめることができたと感じております。それにつきまして,再度重ねまして皆様方の御協力,御尽力に対してお礼を申し上げたいと存じます。どうもありがとうございました。   それでは,○○幹事から事務連絡等がございます。どうぞお願いいたします。 ● 本日,要綱案をお取りまとめいただきまして,本当にどうもありがとうございました。資料の点ですとか,あるいは御説明の点で不十分な点が多々あったかと思いますけれども,どうぞ御容赦のほどお願い申し上げます。   今後のスケジュールでございますけれども,法制審の総会は2月7日でございます。今日ご決定いただきました要綱案をご審議いただきまして,もし御決定がされますと,これが要綱として答申されるということになります。その後,私どもの方で法律案を立案するという段階でありますけれども,犯罪被害者保護のために今,刑事の方でもいろいろ検討しておりますので,そちらの方の改正事項とあわせた法律案になるというような現在のところの見込みでございます。その上で,今通常国会に法律案提出という予定でございます。   以上が私どもの方から申し上げる事務連絡でございます。本日は休憩もなく御審議をいただきまして,本当にどうもありがとうございました。 ● それでは,これをもちまして民事訴訟法部会を終了することといたします。ありがとうございました。 -了-