法制審議会保険法部会 第13回会議 議事録 第1 日 時  平成19年7月25日(水) 自 午後1時30分                       至 午後5時17分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題  保険法の見直しに関する中間試案の取りまとめに向けた議論について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ● それでは,定刻でございますので,法制審議会保険法部会の第13回会議を開催させていただきたいと思います。   (幹事の異動紹介省略) ● それでは,最初に配布資料の説明を事務当局からお願いいたします。 ● 今回の配布資料は,事前に送付いたしました保険法部会資料14の1点のみでございます。   資料の説明と併せて若干付言させていただきたいと思いますが,本日の会議と次回,8月8日の会議の2回で,中間試案の取りまとめをお願いしたいというふうに考えております。この中間試案ですが,その名のとおり,部会における審議の中間段階において途中経過を公表し,関係各界のみならず広く一般から意見を募集して,審議の参考に供するための手段として取りまとめるものでございます。当然のことながら,これで方向性を固めるということではなく,これに対して寄せられる意見をも踏まえて,引き続き部会としての最終的な意見の集約,すなわち要綱案の策定ということになりますけれども,それに向けた審議を行うことを前提としているものでございます。   なお,次回の会議で中間試案の公表につきまして部会の御了承を得られました暁には,事務当局である法務省民事局参事官室の責任において中間試案の内容の理解に資するため,中間試案の各項目の趣旨等を補足的に説明する参考資料,我々は俗に補足説明と称しておりますけれども,補足説明という参考資料を作成いたしまして,これを中間試案と併せて公表することを考えておりますので,付け加えさせていただきます。   以上でございます。 ● それでは,具体的な審議に移りたいと思います。   まず,本日の会議の進め方でございますが,本日と次回の2回の会議で中間試案の取りまとめを行うということになりますと,本日の会議で保険法部会資料14「保険法の見直しに関する中間試案(担当者素案)」について,通しで御審議いただくのがよろしいかと思いますので,適宜大きな項目ごとに区切りながら順番に御審議いただく形で進めたいと思いますが,よろしゅうございましょうか。--ありがとうございます。   また,審議に当たってのお願いでございますが,本日は中間試案の取りまとめのための会議でございますので,基本的にはどのような形で意見照会に付すべきかという観点から御審議いただければというふうに思っております。したがいまして,前回までにしてきたような個々の論点についての実質的な議論につきましては,本日のところは中間試案の取りまとめ方を考えるに当たりまして必要な範囲で,適宜御発言をお願いできればと思っております。この点もどうかよろしくお願いいたします。   それでは,まず1頁の「第1 保険法の適用範囲」と二つある前注につきまして,御審議いただくことにしたいと思います。   まず,事務当局から御説明をお願いいたします。 ● それでは,御説明いたします。   本日は,第二読会の資料からの変更点で,かつ,特に説明をしておいた方がよいと思われる箇所に絞って御説明いたします。   まず,第1の(注1)でございますけれども,ここでは保険法にいうところの「保険」の意義,定義について記載しております。前回の資料と比べますと,終わりの方に「危険への備えを実現する」という文言が付加されており,表現はちょっとこなれていないようにも思われますが,これは前回の部会で給付をすることによって損失を補てんするというニュアンスが出た方がよいのではないかという御指摘をいただきましたことを受けたものでございます。   その後の1頁の下の方の前注のところでは,強行規定の問題について記載しております。海上保険契約や再保険契約のような企業保険においては,強行規定の対象から外すべきであるとの考え方について,ここで記載しております。   なお,ここで海上保険契約を挙げましたのは,海上保険契約も損害保険契約として第2の各規律が適用されることから,これらについて強行規定の対象から外すかどうかが問題となるということを記載したものでございます。   なお,第2以下の各項目では,規律ごとに規律の性質,すなわち強行規定か任意規定かについて方向性を明記しておりますが,これらについては,次回までにその注の書き振りを含めて,なお検討していきたいと思っているところでございます。   以上です。 ● それでは,ただいま御説明のあった箇所について御意見をいただければと思いますが,いかがでしょうか。   ○○委員。 ● (注2)のところなのですけれども,これは前回,私,効果が明確でないという理由等を含めまして基本的に反対だと申し上げたのですが,そのときに,具体的な内容としては,契約者側にいろいろな義務を課するという形だったこともあったのですが,ただ,この文章が前回の文章と大分違うわけです。これは資料13の11頁にあるものと大分変わっておりまして,前回,私は最後完全に反対することは難しいのかなという気持ちもあったわけなのです。   理由は,前回の文章ですと「保険契約の締結から終了に至るまで,……信義に従って誠実に行動し」という文章で,見方によっては「行動し」というところの中に説明義務とか助言義務とかそういうことも含むという考え方であれば,それはまたもう少し効果の点も含めて考えて,これから秋以降に詳しく議論するというのは意味があると思うのですが,そのいいところが全部消えてしまっておりまして,その文章が抜けた形で(注2)に書いてあるわけです。   ですから,これは前回,議論が分かれたと思いますので,前回検討した資料13の11頁にある文章をそのままここに残していただいて,中間試案として持ち越すという形にしていただかないといけないのではないかなと。そうしていただきたいというふうにお願いしたいと思います。   以上です。 ● 前回の御意見を踏まえて,こちらとしましては中間試案として出すのに少しでもふさわしい文章にしたつもりなのですが,そうなっていないとすれば,まさに改めて考えるべきことで,確かに「保険契約の締結から終了に至るまで」という言葉があった方がより明確になるのではないかということもあろうかと思いますので,前回に戻すというよりは,今いただいた意見をも踏まえて,より適切な表現にしたいと思います。   少なくとも御了解いただければと思いますのは,前回の表現ですと,「互いに」というのが後ろの方にあって,「互いに」ということが読みにくいというのは,どうもあるのかなと思ったものですから,決して保険契約者サイドだけにこういうことを求めるわけではなくて,保険者サイドも含めて「互いに」という言葉を強調する意味で前に出した方がいいかなとはなお思うのですけれども,いかがでしょうか。 ● それは前回も今回もよく伝わっていると,個人的には思っているのです。   ただ,この前ある保険会社の尊敬するOBの方と話したのですが,まだ少数意見ではありますが,業界の中でも最初から最後まで説明義務を負わせた方がいいとか,何らかの助言義務を,こういう事態だから負わせた方がいいという議論は,まだここには挙がってきていないと思います。少数意見ではあると思いますし,またそれはこれから考えなければいけないことですので,保険契約の締結から終了に至るまで,誠実に行動するという文言はとても重要だと思いますので,お願いできればと思います。 ● 今の点も含めて,更によりよい表現を工夫したいと思います。 ● 御趣旨は分かりました。   ○○委員。 ● 「保険」の意義についても(注1)に記載しておりますけれども,基本的にはこれでいいと思っているのですが,例えば,企業とか組合がやっている見舞金程度の弔慰金みたいなものも,パブリック・コメントに出したときに,そういうのも入ってしまうのではないかというような誤解がないようにしておいた方がよいのではないかなというふうに思います。 ● 今の点は,問題意識は恐らく○○委員のみならず,事務当局あるいはここのメンバー皆さん共通だと思いますので,それが(注1)の最後のところにあります「保険法の適用範囲を明確にするという観点から」という言葉だけでは必ずしも伝わりにくいということがあるのであれば,今の御指摘を踏まえて,今すぐ代案が浮かびませんけれども,今の御趣旨を反映させるような工夫ができるようであれば,そこも,なお考えてみたいと思います。 ● その点も御検討いただくことにして,○○委員。 ● 先ほどの○○委員の関連なのですが,(注2)の書き方というのは「検討する」という表現になっているのですが,パブリック・コメントに付すというのは,全くゼロから検討するのではなくて,賛否がここで議論されたわけですから,賛成の方の立場と反対の立場を書き分けた方が,聞かれた方ははっきりするのではないかという気がいたします。できたら創設的な規律の案もあった方が,パブリック・コメントを読んだ側としては非常に分かりやすいような気がしますので,そこまでしてもらうと非常にありがたいかなと。 ● すみません。もう一度確認させていただきたいのですが,賛否があったこともこの文章に表すという。 ● そういうことではなくて,(注1)の保険の意義というのは,まさに最終的にも検討のままで終わって,条文の形にはなりにくい話かもしれませんけれども,(注2)は入れるのだったら条文の形になるのではないですか。そういうイメージが中間試案ということであればそういうものを提示していただいて,これに対して入れる考え方と,入れない考え方というふうに対比していただいた方がよろしいのではないかと思うのですが,そこまでいかないということなのかどうか。 ● 先ほど○○委員から御指摘がありましたとおり,まさに賛否両論分かれているところでして,両論を掲げるべき項目であればそうすべきというか,両論を掲げるべき項目もあろうかと思うのですけれども,ここはまだそこまで至っていなくて,そうすることの適否も含めてなお検討という段階なのかなというこちらとしての受け止め方で,こういう提示の仕方をさせていただいたところでして,冒頭に申し上げましたとおり,補足説明の中では,この審議の中でまさに意見が分かれたということを書くことを考えておりますし,ほかの項目も,すべからくそういう意味では賛否両論分かれているところがあるわけですが,そこをすべて両論併記的にするのが適当かと言うと,それはそれで非常に大げさといいますか,非常に大部なものになってしまうということもございますので,両論併記にするかどうかは,この後全体を御覧いただいたところで,全体の項目のバランスも考えながら改めて検討させていただければと思います。 ● 賛成の意見もあったにせよ,どういう意味で賛成かというのもいろいろな意見があったように思いますので,現段階ではこのぐらいかなと。あとは,補足説明の方でそのあたりのことを解説していただくということで進めさせていただきたいと思います。   ○○委員。 ● 1頁目の下の方にあります前注につきまして,強行規定性の適用を除外する件につきまして,補足の意見を申し上げたいと思います。   資料では,海上保険契約や再保険契約その他〔一定の契約〕については,といった並列的な表現で記載されておりますが,強行規定性をどこまで適用するか,どこまでを任意にするかということを考える場合には,保険種類の特性によるものと,事業活動に密接に関連する特性によるものという二つのタイプに分かれるのではないかなというふうに考えておりますので,御説明させていただきたいと思います。   資料に記載のあります海上保険契約や再保険契約のほかにも,航空保険契約や海外のPL保険契約など国際的な事業活動にかかわる損害を補償する契約などがございますが,こういう国際的な取引を行う保険契約につきましては,約款が日本の保険法の強行法規に拘束されますと,国際的な慣習に従った実務に支障を来すということが非常に懸念されます。   また,信用保険というか保証保険という保険がございまして,こういった保険は日本のオリジナルの保険ではなく欧米から輸入した保険でございまして,国際的な再保険ネットを前提としまして初めて引受けができると,こういうようなクレジットリスク特有の商品でございます。これらの国際的な再保険ネットは欧米仕様の保険商品に準拠してできておりますので,日本の国内でこれらの保険が日本の強行規定の下に置かれますと,海外の再保険が利用できなくなるおそれがございますので,もともと強行規定にはなじまないのではないかなというふうに考えております。また,これらの信用保険,保証保険は債務の保証機能を持っておりますが,日本国内で類似の仕組み,つまり一般の保証とか銀行保証などと競合しておりますので,保険だけ制約を設けますと,保証を行うほかの業態との関係で問題が生じるということも御理解いただきたいと思います。   したがいまして,これらの保険につきましては,保険の種類に特性があるものとして強行規定の適用を除外していただきたいというふうに考えています。   もう一つ,資料の「企業保険契約」という表現につきまして,船舶・貨物保険といった保険の種類ではなくて,むしろ事業に関するリスクという観点で強行法規の適用除外を論議すべきではないかなというふうに考えています。   事業に関するリスクにつきましては,前々から申し上げておりますとおり,新しいリスクを引き受けるために海外の再保険手配をする必要があるという,したがって,できるだけ制約のないような状況に置くということが,そういう仕組みが望ましいという点に加えまして,さらにリスクの性格から契約者側にリスクに関する情報が遍在しておりますので,保険者としては十分な情報が得にくい状況の中で保険の提供をせざるを得ないと。   したがいまして,こういう特殊性から,一律に強行規定の下に置かれますと,保険者側がせっかく苦労して再保険を使いながら,あるいはいろいろ工夫をしながら提供する保険というのがなかなか提供しにくくなるとか,あるいは安全率を高めに設定して保険を提供せざるを得ないことから保険料が割高になってしまうということで,結果的にはユーザーの事業活動の支障となるおそれがあるのではないかなというふうに考えられます。   以上をまとめますと,保険の種類の特性というものと事業活動に密接に関連する特性といった二つの観点から,この問題を議論する必要があるのではないかなということを申し上げたいと思っております。   以上でございます。 ● 今の点は,確かに1頁の下の方の(前注)1のところ,並列的な記載になっておりまして,今御意見いただいた視点というのが,このままの並列の記載だと,ある意味伝わらないのではないかというような気もいたしますので,この記載は今の御意見を踏まえて,大きく分けて二つの視点あるいはそれ以上の視点もあるのかもしれませんが,そういう視点から検討すべきであるということがもう少しうかがえるような表現に改める方向で考えてみたいと思います。 ● 少し御検討いただくことにして。   ○○委員。 ● 今の(前注)1のところですけれども,補足説明のときに,もし御賛同いただければ,そういう観点を入れていただければと思うのですが,ここの規定というのは保険事業,生保,損保というと,どちらかというと損保が中心になるかもしれませんが,国際的な競争力の足を引っ張らないような規定で,特に最先端のリスクを受けるところは自由にやるべきだと思いますし,再保険なんかはその例に入ると思います。それから,企業同士は基本的には交渉してやってもらうと。   もう一つ,再保険の問題があって,御存じのように,スイス再保険とかミュンヘン再保険という巨大な再保険会社があって,日本のような資源のないところでは,本当はこういうところで,もうちょっと日本人は勝負したらいいのではないかと思いますけれども,そういう再保険,生保もそういうところに再保険をお出しになっておられて,生保にも関係するものと思いますけれども,そういう産業政策というと大げさなのですが,基本法で基本的にこういう強行規定を適用するかしないかということが,産業の大きな基礎になるという部分,ほかは余りそういうところがないのですけれども,そういう部分だということは大事な観点ではないかと思いますので,そういう点,もし可能な範囲で取り入れていただければという要望です。 ● ○○幹事。 ● (注1)の保険の意義のところなのですけれども,たたき台のときの表現と比べると,たたき台では,前回の部会資料13の11頁なのですけれども,括弧書きで,保険法において保険の定義規定を設けるかどうかについては,別途検討する必要があるというふうに書かれていまして,それと比較すると,今回の中間試案素案ではその文章がなくなっているものですから,その二つを比べると,定義規定を置くという方向に一歩踏み出しているかのように読まれるおそれもあると思うのです。   恐らくは,この中間試案の「保険法の適用範囲を明確にするという観点から,なお検討する」というところで,そこには定義規定を置くかどうかも含めてというところが入っているのだろうと思うのですが,たたき台と比べると,何か置くという方向に進んでいるのかなという印象を与えかねないと思いますので,私は定義規定を置くことについては慎重に考えた方がいいのではないかなというふうに思っております。ですから,定義規定を置くかどうかという点も含めて,なお検討するという形にしていただければありがたいなというふうに思います。 ● ○○幹事。 ● 私どもも,保険業法というのが,保険の定義が仮に保険法で定められますと,引きずられてしまうという可能性が,もちろん厳密には切り離し可能だという御議論もあることはお聞きしておりますが,引きずられてしまうということについて,前任者からそういう法的な定義を定めた場合の懸念については申し上げましたので,今日は差し控えたいと思いますが,今,○○幹事がおっしゃられたように,定義を置くことについて今回の試案では一歩前に出た感じがしていることについて同様な懸念を持っていたところでございますので,今の意見に賛同いたしたいと思っております。 ● ○○幹事,この定義のあたりに関係しますか。 ● そうです。 ● はい,どうぞ。 ● 中間試案にどういうふうに提示するかという見地から言いますと,前回個人的には定義規定があった方がいいと申しましたが,その後,いろいろな先生方の御意見をお聞きしまして,それが逆に適用されるべき保険を取り逃してしまうこともあるということであれば,それは定義として設けるのではなくて,解釈の基準としてどこかに書いてあればいいのではないかなと思いましたので,「なお検討する」というような書き振りに賛成します。   それからもう一つ,今回,前回の意義と表現が変わった後半のところなのですけれども,ここのところについて,この文章のままでいくのであれば,補足説明のところでその意義をというか,どのような説明になるのか教えていただきたいのです。と申しますのは,この意義のところの括弧から始まって3行目のところの「多数の者がその危険に応じて保険料を拠出し」というところが,いわゆる給付反対給付均等原則というところが表れているのではないかなと思うのです。   そうだとすると,その次のところから保険の意義の中の5要件の4番目の収支相等原則という,拠出を受けた金銭とそのプールとして危険が生じたときに支払う金銭とが一致するように運営されていなければいけないという,そこを表すのかどうか,そこがちょっと読み取れなかったので,というのは,「危険への備えを実現することを内容とする仕組み」というところを一緒に読んだときに,もしかしてこれは受領した側が保険金の受取人が自分の危険が生じたから,それに使わなければいけないですよという不正な保険金請求権を防止することを目的とした表現なのかなと,一瞬そのように読んでしまったので,そうなのかどうか,保険者として一対一の契約関係だけれども,一対一にもらったお金と支払う金銭が対応しているわけではなくて,プールとして大数の法則とかに従ってプールの中の危険の発生に備えるものですというような趣旨なのかどうかということを御説明いただければ。   それが説明されると,前回ちょっと申しましたが,保険というものの中で保険数理というのが重要な意義を占めると思うのですが,それが表れるような御説明がいただけるのかなと思いまして,御質問させていただきました。 ● ほかにこの定義のあたりで御意見ありますか。   ○○委員。 ● 素直にここに書かれている中身で既に何回かお願い申し上げたことだろうというふうに思いますので,御意見をお聞きしますと,入れる必要はないという,定義をする必要はないという御意見が多いようですけれども,私たちのお願いは定義をきちっとしていただきたい。共済についても併せて定義をお願いしたいというふうに追加して言わせていただきます。 ● 今,何点か御指摘いただきましたけれども,1頁の(注1),指摘を受けるまで気が付きませんでしたが,確かに資料13と比べるとそういう読まれ方もされるのかなと改めて思いましたが,決して一歩進んだかというと,我々のポジションは変わっていません。   あと,その場合にどう表現するかですが,先ほどの(注2)に関する○○委員からの御指摘とも関係しますけれども,御趣旨はよく分かるのですが,それを仮に全部中間試案の本体に入れ込んでいくと,この後も多分そういう御指摘が出るであろう項目がたくさんあるのですけれども,全部はめ込んでいくと,中間試案本体そのものが膨大なものになってしまいまして,この見やすさを阻害するといいますか,読もうという意欲を阻害するといいますか,ということもありまして,基本的に今回の担当者素案では,そこは置く置かないも含め,あるいはいろいろな観点があるということも,全部観点を書き出すと切りがないということがありますので,そこは基本的になお検討するということですべて統一した上で,先ほど申し上げた補足説明で,可能な限り議論の状況は紹介させていただこうという整理をしてございます。   ただ,そうは言いましても,先ほどの企業保険のところで,ただ並列されるとそういった観点が文章自体に表れないというか,埋没してしまうとかいった点もあろうかと思いますので,今日いただいた御指摘あるいはこの後いただく御指摘もそのあたりを踏まえて,改めてどういう形で統一するのが,中間試案としての分かりやすさを維持しつつ,かつ,御意見を反映できるかというところで全体をもう一度見直してみたいというふうに思っております。 ● ということで,ただいま出たさまざまな御意見もなお検討していただいて,次回の審議でなお御検討いただきたいと思います。   ほかにこのパートでございませんでしょうか。   それでは,次のパートへ進ませていただきます。   今度は2頁の「第2 損害保険契約に関する事項」でございまして,そのうちの(損害保険契約に関する事項関係前注)と「1 損害保険契約の成立」の部分について御審議いただきたいと思います。   まず,事務当局から御説明をお願いいたします。 ● 御説明いたします。   まず,(3)のアの本文の文言でございますけれども,「事実の告知をしなかった」という文言が3行目にございます。この文言はいわゆる不実告知の場合を含むものでございまして,不実のことを告知した場合には,その結果,真の事実が隠されており,結局事実の告知をしなかったと言えるのではないかという考えに基づくものでございまして,この部分に関して現行商法の実質的な規律を変更するという意図はございません。   また,3頁のイの②でございますけれども,これにつきましては,(注1)に書きましたように,要件設定についてなお検討していく必要があると思われますが,本文の〔保険者の使用人〕という文言の部分につきましても,これと併せてその範囲について検討していく必要があると考えております。   なお,イの②と①の関係についても整理する必要があると思われますが,例えば,従来①の「過失」の解釈でいわれてきたことを②で明確にするという整理も一つあり得ると思われ,これを含めてなお検討していく必要があると考えております。   次に,5頁の(5)の遡及保険でございますけれども,これについては,資料発送後,既に分かりにくいという御指摘を複数いただいておりまして,更に分かりやすくする方向で再度検討してみたいと考えております。   さらに,6頁の(7)では,名称を保険証券としております。   最後に,同じ頁の後注では,第二読会で御審議いただきました保険の募集に関する規律のほか,被保険者証のような被保険者に対する情報提供の問題についても併せて問題提起をしているということでございます。   以上です。 ● それでは,ここの部分につきまして御意見をいただきたいと思います。   ○○委員。 ● (3)のところなのですけれども,私,読み返しまして,一つ重要なことが議論されていなかったのではないかと思うのです。それは,告知義務者は知っていることすべてだけ告知すればいいのか,それ以上の探知義務があるかというところが議論されていなかったのではないかと思うのです。   ですから,御提案の仕方としては,一つは(3)のアの最初の文章ですけれども,「保険者が保険契約の締結に際し,保険契約者又は被保険者に対して,保険契約者又は被保険者が知っている危険に関する重要な事実の告知を求めた場合」と,こういうふうにしていただくというのが一つの案ではないかと思うのです。   これは簡単にいたしますが,第1回のときに○○幹事と○○委員と私の間で告知義務の重過失というのが普通の重過失とちょっと違うと。これはまず,告知義務者が重要な事実の存在を知っていると。次に,その重要な事実が告知すべき事項に該当することを知っていると。次に,重要な事実を告知しなかったことを知っていると。この三つの行為についてそれぞれ重過失が問題になるという点で,このうちの2番目の告知すべき重要な事項に該当するかどうかというのは,求めた場合ということで質問応答義務に変えました。ここは保険募集に当たる方はきちっと理解してもらって告知してもらえば,2番目のところは余り問題がなくなったと。最初の重要な事実の存在を知っているというところで,昔からの議論は調べる義務もあるということですが,今,損保の約款は知っている事実だけでいいし,生保は約款上はそうなっていませんが,学説上も有力な教科書なんかには,告知義務者に事実の探知義務まで課すのは行き過ぎだからという理由によって,重過失によって重要な事項の存在を知らなかったために告知しなかった場合には,告知義務違反は成立しない,これは通説だと書いておられるものがありまして,余り異論はないと思いますので,もし異論がなければ,1行目ですが,「保険契約者又は被保険者が知っている」という文章を入れていただくか,もしそれに御異論があるのであれば,知っている事項に告知の対象を,重要な事実の存在については知っている事項に限るかどうかについては,なお検討すると,こういう形で中間試案の中に盛り込んでいただきたいと思います。 ● 今の点は,事務当局の方の前提はどういうことですか。 ● 現行法でいうと,故意ではなくて悪意かもしれませんが,悪意の対象といいますか,内容をどのように考えるかというのは,現行法の下でも解釈問題としてあるところでして,ですから,その解釈に異論がないので明確にするという意見も恐らくあろうかと思いますし,あるいは異論があるからこそ明確にすべきという意見もあろうかとは思います。   ただそこは,まさに今御指摘いただいたとおり,これまで余り議論されていないところでして,議論されていないのは解釈に引き続きゆだねてもいいというようにも思われますので,そこはこのままの形で中間試案としては意見を募集する形にしても,それについて今申し上げたとおり,解釈にゆだねるのではなく,より明確化すべきである,あるいはそれが質問応答義務に変えたことに伴って,こういうように考えるべきであるといった意見の受け皿には十分なるのではないかと思いますので,あえてここで中間試案の表現振りを修正すべきかと言われると,そこまでの必要はないのではないかなというふうに,今伺いながら思いました。 ● そういう趣旨であれば,少なくともそういう論点があるということで,そういう点についてはなお議論するという項目には挙げていただきたいと思うのです。理由は,プロ・ラタの問題とかいろいろな問題があって,重過失のところは非常にすっきりさせることができれば,すっきりさせておいた方がいい問題だと思うのです。先ほど言ったように三つレベルがあるものですから,第1回のときに○○幹事がおっしゃったように,故意に近付けて考えられないかとか,そんな議論ともなかなか従来はなかったわけですけれども,少なくとも通説的なもの,ほぼ異論がないものについては,すっきりした形にしておくということが大事なことだと思いますので,本文に入れるのではなくて,告知の対象について重要な事実の存在については,知っている事項に限るか限らないかについては,なお検討するという項目を一つ起こしていただきたいというふうに,私はお願いできればと思います。 ● 今の点について,どなたか御意見ございますか。   ○○幹事。 ● 同じような問題なのですが,(3)のアの本文で,危険に関する重要な事実の告知を求めた場合において,これを告知しなかったときというのは,質問応答義務の規定に読めるかどうかというのは,少し疑問が残るのではないかなと思われます。重要な事実の告知を求めた場合というのは,告知の対象が重要な事実であるというふうに読めるわけで,そうすると,重要な事実の中で質問したものに限るということは,当然この文章から読めない,重要な事実について告知義務が生ずるということだけしかここからは読めないので,重要な事実の告知を求めた場合で,その「求めた」の対象が重要な事実の告知を求めたというふうに読むと,現在のルールと変わらないというような読み方が文法的にも成り立ち得るのではないかと思われます。   これは,特に危険の増加の規定の文言と対比してみると,危険の増加の場合には,「重要な事実のうち,保険者から通知を求められたものについて危険が増加したとき」とこういう表現になっています。ここでは明らかに重要な事実というのがまずあって,その中で通知を求めた事項について通知義務が生ずるということが文法上も明らかなのですが,告知義務の方の表現ですと,重要な事項についてはすべて告知義務が発生すると。告知を求めた場合というのは,告知義務の履行を求めているという意味に読んでしまうと,質的に違ったルールを定めているように読めてしまうのではないかという懸念を少ししておりまして,ここはもう少し表現を工夫していただければありがたいと思っております。 ● ○○委員。 ● 3頁のエのところに関しましてですけれども,この項目を議論されたときに,損害保険についても基本的にはB案には反対ですと,少なくともB案のプロ・ラタ主義の削減払を一律に強行規定性を持たせて導入することには反対ですというふうに申し上げて,そこのところについて,それ自体を反対というような意見は余りなかったような気がするのですが,この提案ですと,プロ・ラタ案でかつ強行規定もどうですかという書き振りにもなっているように読めるのですが,その辺はいかがですか。 ● まず,強行規定性の問題は,冒頭の事務当局説明で申し上げましたとおり,全体として今の書き振りのままで正確に伝わるかという問題意識は事務当局サイドも持っておりまして,そこは全体の見直しの中でまた検討したいと思います。   あともう一点,その前提として御指摘のありましたB案自体の位置付けの問題は,先ほどの,どこまで両論併記するかという問題とも関係しますが,ここは,例えば両論併記にした上でB案を採るとしても,それは限定すべき場面だとか,それは恐らくいろいろ考え方があるのではないかと思いますが,掲げ方としてはこの方がむしろB案にいろいろ限定を付すよりも,意見照会の対象としてはこういう形で両論併記していくことの方が見る側からすると分かりやすいのではないかなという考えの下にこういうように整理をして提示してございますが,もしこれだと部会の議論をきちっと反映した両論併記になっていないということであれば,そこはまた考えたいと思います。 ● この点はいかがでしょうか。   ○○委員。 ● 意見照会に付すべきかという観点からお話をします。あえてお話がありましたので,その点だけ中に突っ込まないでお話を申し上げれば,2頁目の損害保険契約の意義というところで,「当事者の一方が」とか「相手方」という言い方をしております。「約することによって」という言い方もそうなのですが,定義規定が置かれないという前提でこう書いてあるのかもしれませんけれども,よく分からないのですけれども,ほかのところでは「保険者」「保険契約者」という言い方なので,これがそういうものに取って代わられるものであれば,「当事者の一方が」「相手方」というのは,法律家にとってはごく当たり前の文言の使い方なのでしょうが,一般の消費者にとっては大変遠うございますので,「当事者の一方が」を「保険者が」,「相手方」を「保険契約者」という形で読替えができるのであればそうしていただきたいということと,それから「約することによって」というのであっては,口語化というのに反するでしょう。「約する」というと,どうも普通の人はもっとショートカットするみたいなそういう感じがイメージとしてありますので,何か違う文言,例えば「約束」という言葉がいいのかどうかも分かりませんけれども,そういう平易な文言で書くことによって,意義のところ,損害保険だけではなくて生命保険のところも傷害・疾病のところもみんな同じですが,そこのところだけ触らずにいますので,そこをぜひやっていただきたいというのが一つでございます。その方がパブリック・コメントを書くときに分かりますので,そうしていただければというのが一つございます。   それから,多分,本文と注ではパブリック・コメントに書かれたときの見る方の受け止め方が随分違うだろうと実は思っておりまして,イの②が本文になったのはとてもうれしいと思っているのですけれども,それはそれとしまして,6頁目の(損害保険契約の成立関係後注)というところがございまして,このところに,できましたら入れていただきたい文言がございます。これでパブリック・コメントをとるのだということになるのだと,先ほど被保険者証というお話がございましたが,例えば,括弧書きの中に「例えば,保険契約の締結時又は締結後の情報提供に関する規律等」という書き方をしていて,これだけでは通常の人がなかなか分かりません。分からないので,例えば情報提供の義務違反に関する規律を設けるとか,情報提供の義務違反に対する効果ということで,できましたらそこに括弧を付けて「損害賠償の特則など」というのを入れていただくととてもうれしいのですけれども,「義務違反に関する規律及び効果(損害賠償の特則など)」みたいにしていただいて,これを設けることについてどうかというような書き振りにしていただくと,論点としてこういうものについてなかなかきっかけがないと,それについて,何もないところからゼロベースから出発して何か言うというのはとても難しいものですから,きっかけの提供を是非していただけないかなというふうに思っておりまして,お願いでございます。 ● その点は御検討いただくことにして,戻って,○○委員の御意見は,B案の強行規定性を外すという考え方もあるのではないかということをメンションすべきであるというのは,そういうことだったのでしょうか。 ● 強行規定のあるプロ・ラタを入れるということを支持するような意見はなかったように…… ● ○○委員。 ● 私はそのつもりで,強行規定だという前提で議論させていただいたつもりです。 ● ○○委員。 ● そういう意味ではA案,B案のどちらかというのはちょっと置きまして,プロ・ラタになったときに,それが強行規定かどうかというのは,余りここできちっと議論はされていないような気が正直しています。   どちらがいいかというのは置きまして,そういう意味でいくとできるだけ規定の位置付けということで,任意規定なのか強行規定なのかというのをお書きになりたいという趣旨で書かれているというのは分かるのですけれども,ここまで書くことがこの部会のコンセンサスかどうかということについては,少し疑問かなという感じはしているのです。 ● 選択肢ということもあったので,一応現在の書き方になっているのですが,今の御意見があるので,そこはまたさらに選択肢の中で強行規定性について意見があるという,そういうことが何か分かるような御検討をいただきましょう。   ○○幹事。 ● 3頁のイの②についてよろしいでしょうか。   ここのところの議論で,はっきりそういう意見を述べたかちょっと自信はないのですが,②の(注1)のところで,一定の場合について検討するというのを,②自身を設けるかどうかを検討するというようなことにはならないでしょうか。と申しますのは,告知受領権を有しない者が妨害をしたなど一定の場合というのが,最判昭和39年5月23日は,傍論で,使用人の知不知についても民法第715条が準用されるというような趣旨を言っていると思うので,もしそちらでいったら,多分②を設けると,最判で言っていることよりも狭めてしまうのではないかなというのがあるので,民法の解釈で解除ができない場合よりも狭めてしまうことにならないか,民法の解釈でいけるのであれば②は不要なのではないかという考え方が,少なくとも私としてはそう思っているのですが,そのような見解として中間試案に問うことが可能であればお願いしたいと思うのですが。 ● ○○幹事,関連あるようなら。 ● 関連ですが,今御指摘の点は,結局不法行為の第715条の解釈論と告知義務における解除権が阻却される事由としての加害者側というか使用者側の知不知の範囲の問題なので,一応分野としては別分野なので,その最判の射程がここまで来ているという解釈は当然には出てこないのではないかと思われるのですが,それはさておき,(3)のイの②につきましては,かなりいろいろな議論をした結果,これだけをパブリック・コメントに付すのかなというのが正直な印象でございまして,先ほど「使用人」という言葉については要検討ということをおっしゃいましたけれども,使用人だということになると契約形態によっては募集人であっても外れてくるというようなことはあり得て,これはさすがに具合が悪かろうというふうに思われます。   結局,ここは保険者の過失がある場合には解除権が行使できないという,この部分はこの部分でオール・オア・ナッシングの世界が残る部分ですので,保険者側の過失にも段階があって,割合的な評価ができるというか,そういうことについてもかなり議論をしまして,プロ・ラタよりもそちらの方がいいのではないかという議論もかなりここではあったのではないかと思っていたのですが,それが全くこの資料から落ちてしまって,プロ・ラタだけが残っているというのはこの資料だけからは分かりにくいので,その経緯を少し御説明いただければありがたいというふうに思っております。 ● 今御指摘いただきました3頁のイの②は,まさに初めて本文に挙げたものでして,そういう意味でこちらとしては異例の長さで亀甲括弧を付けて,かつ,(注1)を付して,この亀甲括弧を付した要件設定そのものが問題であるということ,そしてその要件設定をする際には,(注1)に書きましたとおり,保険契約者又は被保険者サイドの対応なども十分考慮しなければいけないと,そういう指摘が現に部会でもございましたので,その点を明記することにしておけば,こういう形で本文に掲げて意見を募集する方が,むしろ意見としてはしかるべき意見が出てくるかなという思いでこういうふうにしてみましたが,ここはまさに初めてこういう形で提示させていただいたものですから,今御指摘いただきましたような観点から,まだそこはさまざまな意見があるところで,こういう形である一定の方向性で本文に掲げる段階には至っていないという御指摘が多ければ,②と(注1)をある意味,注の形で,そこはまさになお検討する問題点だという出し方の方が相当だということかもしれません。ですから,そこは御意見をいただければと思います。 ● ○○委員。 ● 今の②のことですけれども,第715条との関係は○○幹事がおっしゃったとおりで,私の感覚ではもうちょっと具体的なところまで議論していたような気もするのですけれども,いろいろ御見解はあると思いますので,私は本文の形で残していただくというところがちょうど折り合いのいいところではないかと。括弧がありますので,そこで反対の方も少し飲み込んでいただくということで,私はこのままにしていただきたいというふうに申し上げたいと思います。   ただ一点,先ほど○○関係官がおっしゃったところですけれども,使用人のところはよく分かるのですが,ちょっと日本語としては読めないと私は思うのです。なぜかというと,資料2の9頁では「使用人等」となっていたのですね。資料9の5頁では「保険募集人」となっていたのです。私は何回か申し上げましたけれども,実は紹介代理店ですごい紹介手数料をもらっている人がいらっしゃいます。しかもそういう方は立派な方で,そういう方の指示で初めは動機付けがあって入っていると。そこを全部外れてしまうというのはやはりちょっと問題なので,ここは「使用人等」としていただくか「保険募集人等」としていただくか,お気持ちはよく分かるのですけれども,日本語としてはやや無理があるかなと。だから,思うところは同じですので,そういう表現にしていただければと思います。   あと,先ほど○○委員がおっしゃった後注のところは全く賛成で,そのように私もしていただければと思います。   以上です。 ● ○○幹事。 ● 重ねて恐縮ですが,今の②のところですけれども,一定の場合の具体的内容について,その行為の態様等を考慮するということですと,それがどういう法律効果で受けているかというと,やはりそれは解除ができないというオール・オア・ナッシングでしか受けていないわけですから,これをこのまま読みますと,被保険者の行為の際の告知の行為態様を考慮すれば,なお募集人側にかなり悪質な対応があっても,解除権を行使できない場合があるというルールを考えているとしか読めないのではないかと思われますので,この表現は我々が議論していたものとは少し違うのではないかと思っております。 ● いろいろな意見がありまして,どれかに集約するというのは難しいところがありますが。   ○○幹事。 ● 今の○○幹事のおっしゃったことは,恐らくイの②の(注1)の「保険契約者又は被保険者の告知の際の行為の態様等を考慮することを含め」というところに,以前の部会資料9で御提示いただいた(問題点)のところにある,裁判所はこれを考慮しててん補すべき損害の額を定めることができるという,あそこで相当議論がありましたので,そのニュアンスがもう少しここに出るように文言を付け加えていただければ,一般の方も分かりやすいという御趣旨ではないかと思いますし,議論もしやすくなるのではないかということかと思います。   もう一点,私の方が関心を持っておりましたのは,損害保険契約の意義のところの,損害保険契約は当事者の一方が一定の偶然の事故によって云々という「偶然の」という言葉について,注で結構ですから,これは別に外してもよいのではないかというのを,補足説明でやっていただいても結構かとは思うのですけれども,一般的にこの条文を読む限りでは,別に「偶然の」という言葉はなくても,常識的にといいますか,一般の方が読めば結論は余り変わらない結果になると思いますし,理論的に解釈上も何ら結論が異ならないことになるのに,あえて「偶然」という言葉をここへ入れていると。諸外国の例でもこういうのは余りありませんので,日本だけ,なぜこれを入れるのかというのがちょっと浮き上がるという面がございますので,それは注の中で1行ほど指摘いただくか,あるいは補足説明の中でその趣旨,意味を御説明いただければ私はそれで結構なのですけれども,パブリック・コメントでその点はお聞きいただきたいなと思います。 ● ○○委員。 ● ちょっと論点が変わるのですけれども,5頁の(5)の遡及保険のところなのですけれども,先ほど事務当局の方からもちょっと分かりにくいのでという御説明があったのですけれども,生命保険のところは損保をそのまま準用になっているのですけれども,多分使われ方が大分生保と損保は違うと思いますので,直されるときにそのまま生保に持ってきたらいいのであれば別に構わないのですけれども,書き分けた方がいいということであれば,書き分けていただくというのも一つの選択肢ではないかなというふうに思いますので,今のままだと「保険事故による損害をてん補する」というのはそのまま生保でも読めないですし,いずれにしてもかなり修文が要ると思いますので,そういうのも含めて御検討いただければと思います。 ● ほかにこのあたり。   ○○幹事。 ● 細かい話で恐縮なのですけれども,4頁の(注3)なのですけれども,自動車保険契約における免許証の色については,因果関係の有無を問題にできないのではないかということで,これを読むと,免許証の色と事故との間には因果関係がないということは通説であるから,少なくともこの保険法部会では意見がこういうことで固まっているというふうに読めてしまうと思うのですが,私は個人的にはむしろ因果関係があるのではないかと思っております。ですから,ここは問題にすることが相当でないというふうに言い切ってしまうのではなくて,「有無について議論があり得るような事実」というふうにちょっとぼかして書いていただければというふうに思います。 ● 今の点はこちらも改めて資料を送付した後,読み直しながら再検討している中で,同じような,これはミスリードだなという思いがございまして,次の修正の際に今の御指摘も踏まえて改めたいと思います。 ● いろいろな意見をいただきまして,中間試案にどう書くかという観点からなお事務当局の方で御検討いただいて,次回また修正するところがあれば,それを御提示いただくということにしたいと思います。   ほかにこのあたりございますか。○○委員。 ● 手短にいたしますが,5頁の(6)のところですけれども,ここの議論をちょっと振り返ってみますと,一つしっかり議論されているのは,この条文の仕方が,この案ですと返還する義務を負わないと。従来の場合は,全額もしくは一部を返還すると。消費者側に全部返るという場合があるときちんと規定されていたのですが,これは前回議論されたように,新しい未経過保険料相当額を返さなくていいのかどうかという問題がありまして,この部分を保険料不可分原則と同じように全部返せというふうに先に決めてしまって,理論的にはちょっと余分にもらっておく。しかし,実際には保険料は上がらないと思いますけれども,そういう形にすれば,そういう議論をしないで,つまり,未経過保険料相当額を返さなくていいかどうかという議論をしないで,返すときには全部返すという議論もできると思うのです。ですから,返還する場合に全額返還するか否かの規律というものについては,なお検討するというようなことを,つまり,規定を裏返しにしたために契約者が全部返してもらえるという規定が消えてしまっているわけで,そのあたり御検討いただけないかと思うのです。それは補足説明の方でそういうことについても,なお検討するというのでも結構ですけれども。 ● ちょっとそこは検討していただきまして。   ほかにございますか。   それでは,なお御検討いただくことにして,先に進みたいと思います。   今度は6頁の「2 損害保険契約の変動」の部分でございます。   まず,事務当局から説明をお願いいたします。 ● 御説明いたします。   まず,(1)のイの①から③まででは,保険者から契約内容の変更の提案をして,これを受けて契約内容が変更されるというスキームを提案しております。   また,保険契約者又は被保険者の意思による危険の増加に関する規律の在り方については,アとイの(注1)で,それぞれなお検討することとしております。   さらに,8頁の「(3) 超過保険」の関係でございますけれども,これは本文で将来に向かっての保険料等の減額請求について記載し,保険契約の成立時に既に保険金額が保険価額を超えていた場合における超過部分の保険料の返還に関する規律の在り方については,なお検討すべき点があるため,注で記載することとしております。   以上です。 ● それでは,ただいまの部分について御意見をお願いいたします。   ○○委員。 ● まず,7頁の(注1)に関しまして,意見の表明みたいになって恐縮なのですが,自ら意図して危険を増加させたにもかかわらず通知をしなかった場合は,危険の増加時から免責を主張,あるいは免責に相当するような通知を促すインセンティブを設けていただくことが通知制度の維持,ひいては保険の母集団の維持のため必要だと考えております。ただし,帰責事由がない場合やあるいは軽過失の場合,引き受けられる範囲内であれば,免責ではなくて保険料追加,追徴ということで対応できると考えております。   なお,7頁,イに関してなのですけれども,保険契約者は請求に応じない場合は任意解除が可能となる前提ということであれば,催告をして承諾というようなことを細かく規定しなくてもいいのではと思います。確か保険法部会の資料9にあったと思うのですけれども,18頁にこのような項目が議論されたときに,保険者は保険契約者に対し,契約内容の合理的な変更を請求することができるというような規定振りで,これでいいのではないかと思います。申し上げたいのは,ここに書いてある細かい説明自体は説明するという意味では分かるのですけれども,これは逆に補足説明とかそういう形でやられて,法文にするのであれば短くて構わないのではないかと,そういう意味なのですけれども。 ● すみません。今,どこの点のことをおっしゃっているのか,私すっかり聞きそびれてしまったのですけれども,今おっしゃったのは,イの①のところのことをおっしゃったということでよろしいのでしょうか。それともイの(注1)のことですか。 ● 最後に申し上げた後半の方ですね。 ● 後半の方ですね。イの①の書き振りというか実質の話…… ● 催告をして云々という,②とか。 ● ここの点については第二読会でお示ししたのですけれども,今,○○委員の方から御指摘があったように,保険料の増額あるいは合理的な契約内容の変更を請求することができるという規律になってございました。そのときの「請求することができる」というのが形成権というかなり強い形で規定しておって,保険者側からの一方的な意思表示でもって,法的な保険料の増額あるいは契約内容の変更というのが当然に生ずるということになっていたのは,少し強過ぎるのではないかということで,むしろ実務の実態は,恐らくは保険者の方から危険の増加の通知があれば,そのときに保険者の方で何らかのオファーをして,保険契約者の方にも納得してもらった上で,保険料をアップするなり,あるいは担保範囲を限定するなりされていると思いますので,むしろそれに合ったような形で変えたつもりでございます。   したがって,増額を請求することができるというふうに書いてしまいますと,分かりやすいのですけれども,実質が今の案とは違って,保険者の一方的な意思表示でもって当然に変わってしまうということで,少し効果が強過ぎるのではないかなということを考えて,こういった書き振りにしているものでございます。 ● 強過ぎるというところは緩めていただいて構わないので,そういうことであれば,ちょっと細か過ぎるかなと思っただけということになります。 ● 催告というのが何か強過ぎるというニュアンスなのですか。 ● わざわざ…… ● かみ砕いていけば,こういうことになるのではないのかなということだろうと思うのですけれども。 ● このままだと条文になるということですか。 ● まだ,そこまではいっていません。第二読会のときの資料の説明の際にも申し上げたと思いますが,「合理的な変更」と言っても何を言っているか分からないというのは,○○幹事からも御指摘があり,そういったことも踏まえ,あのままパブリック・コメントに付すよりは,具体的にここで考えているのは,何らかの形での保険料の増額,あるいはそれのみならず契約内容の変更を含めた形での危険の増加に対する対処ということをより明確に伝えた方がよいのではないかという形で提示させていただいたものでございます。 ● 前の方の(注1)についての前半の御指摘は…… ● 書き方をどうしろということではないです。 ● 一応こういうことで記載よろしいでしょうかね。   ○○幹事。 ● 今議論がありましたイの①の催告のところですが,これは「相当の期間」というのが今回出てきたわけですが,具体的にはどれぐらいの期間を念頭に置いているのかというのを少しお教えいただきまして,できれば2週間なり1か月なりということではないかと思うのですが,はっきりとした期間を定める方向でお考えいただいた方がいいのではないかと思っておりますが,いかがでしょうか。 ● ○○委員。 ● 今のもそうなのですけれども,7頁の一番上に「遅滞なく」という表現になっております。これも議論がこれまでされてきたと思いますけれども,パブリック・コメントに出すに当たって,何らかの目安みたいなものが必要ではないかなと。例えば1週間とか,そうしないと意味が分からないと,見た方がよく分からないのではないかなと。   それから,8頁の危険の減少のところでも「将来に向かって」,あるいは超過保険のところでも,2行目に「保険者に対し,将来に向かって」ということですが,この「将来に向かって」というのがどこまでを指しているのかというのは,未来永ごうずっとみたいな,そんなふうに誤解されないだろうかと,私だけが心配しているのかもしれませんけれども,そこら辺何かもう少し分かりやすいような表現はないのかなというふうに思いました。後者は若干感想めいたところです。 ● 「遅滞なく」とか「相当の期間」というのはまだ議論がそんなにないわけで,余り明確なことは現段階では書けないと思いますが,どうですか。 ● いずれの指摘もある意味ごもっともではあるのですが,他方で「遅滞なく」という言葉あるいは8頁の「将来に向かって」という言葉,あるいは先ほど指摘がありました7頁のイの①から③まで,このあたりはある意味法律用語としてこういう言葉を使う場面で使っているということでして,例えばイの①から③までもこういうパッケージみたいな形がありまして,相当の期間を定めて催告し,その返事がどうだったかに応じて法律関係にけじめを付けるという仕組みがあるものをある意味持ってきて当てはめたという場面です。「遅滞なく」あるいは「将来に向かって」という言葉もそうですが,それを一つずつ全部説明し出すと,それは法律用語辞典を別途書くみたいなことになってしまいますので,そのあたりはどこまで分かりやすさを追求するかということがある反面,法律の改正に向けた中間試案ということで,そこはある程度は所与の前提とせざるを得ないところもあると思いますので,まず全体の分かりやすさで,なお工夫の余地があれば,先ほどの○○委員の例の「当事者の一方」「相手方」もまた同じことなのですが,工夫の余地があるところは直したいと思いますが,あるところは所与の前提とせざるを得ないというところもまた御理解いただければというふうに思います。 ● ○○委員。 ● 分かりやすさの話なのですが,6頁目に危険の増加のところに各契約共通事項ということで危険の増加をテーマにしております。ずっと今までもそうやって審議をしてきましたから,今さらここで何を言うかという話になるかと思うのですけれども,基本的には,例えば生保を当然想定していないわけで,私,医療保険にも生命保険にも入っていますけれども,危険はずっと増加しつつあるのだけれどもという話になってしまうので,例えばこれをこのまま出しますと,当然のことながら,普通の消費者はこれを見ると,保険に入っていても,おれはずっと危険が増加しているではないかという話になってしまうのですね。そういう意味では,誤解を招く,見え見えの誤解ですので,そういうのは先に各契約共通事項ではなくて,これに限定しているものですよという形でその範囲をきちんと明瞭にして,その上で選択をしていただくという方向に行くのではないのかなというふうに実は思っていますので,そこをちょっと御検討いただけないかと。   それから,先ほど本文と注は違うと申し上げたのですけれども,9頁の超過保険のところの(注3)に書かれていることは,第二読会のときは本文でございましたが,さんざん審議をしたあげく,(注3)に落ちてしまったという,これはこれからあれすればいいのですが,そういう意味ではここのところの部分について,(注3)に落とすべきものだという判断をなさったその辺をちょっとお聞かせいただいて,どうして本文ではなくて(注3)に落ちたのかというところをぜひ教えていただきたいなと思うのですが,いかがでしょうか。 ● 今の最後の点,9頁の(注3)ですが,ここはまさに,るる議論があり得るところで,ただどうしても事務当局として検討していて,民法の一般の錯誤を初めとする規律にゆだねることで,何が足りなくて,あるいは置くことによってそれが一般則から導かれるものと何が異なるかということを整理し切れていないような気がしたものですから,本文に掲げて説明を付すのが難しいのかなということで注にとどめさせていただいたということでございまして,これも今日ここでの御意見が,第二読会と同様に,むしろ本文に掲げて意見を求めるべきだということであれば,それはそういう方向でもちろん考えたいと思います。 ● では,そのとおりでございます。   中身の話は余りしないようにしますが,基本的にこの保険法を変えて,例えば,10年たって自分が入っている保険がこの保険法に書いてある保険だというふうにしてほしいという感じがすごくありまして,そういう意味では余り現実と保険法が,正直に申し上げるとかい離をしていないように,ぴったりマッチングしていってほしいという部分があっていろいろ議論をさせていただいていたという部分があると,(注3)の部分は,今,現実の問題を考えますと,どうしても本文の方に是非お取り上げいただきたいと思っております。 ● このあたり御意見いかがでしょうか。   ○○幹事。 ● 私も(注3)の位置付けについては同様に考えていまして,と申しますのは,もしここのところで,超過保険について保険料の返還に特別の規律を仮に設けなかったとしたら,超過保険のところの意義というのが,保険契約者は保険金額と保険料の減額を請求することができるというのは,超過保険に限らないことなのではないかなと思えてしまうのです。   というのは,別途保険契約者は任意に保険契約を解除できるというところで,その場合に一定の解約返戻金が払われると思うのです。そうすると,一部解除ということをした場合に保険金額が減額されて,保険料も将来分については減額されるのではないかなと。それは従前の保険料について返還ということがないと,この規定は超過保険に限らなくなってしまうのではないかなと思うので,超過保険について何らかの規定を設けるとすると,(注3)とセットになるのではないかと思います。 ● ○○委員。 ● 一つ本当に素人的なことで確認させていただきたいのは,今の超過保険のところなのですが,将来に向かってということは,例えば,もうそろそろ更新だか更改の時期に来ているとか,その時期まではいいのか,それを越えてしまって契約関係がなくなってしまった場合は,なくなってから気が付いたとか,そうした場合は駄目なのかというのがちょっと分からなかったのが一つと,あと最近,私,受けたのが,消費者が超過保険だということを分からないで来ているというのが多いのではないかというのがありまして,気が付いて保険会社に連絡したら,返しますよと言われたということで,では返してもらえるのだと喜んだら,結局プラマイ30%どうのこうのとなったということで相談を受けたことがあるのですけれども,やはり条文で分かるような形でやっていただかないと,保険会社に聞いて初めて分かるというのでは,救済されない消費者がとても多いというふうに思いますので,是非とも(注3)の部分は○○委員が言っているように,もっと明確に本文の中へ入れていただきたいというふうに思います。   あと,質問のところはちょっと教えてください。 ● すみません,ちょっと頭の中が整理できていませんが,仮に契約関係がなくなっていたとした場合には,当然のことながら8頁の(3)のところに書いてある「将来に向かって」というのは働きようがないということになるわけですよね。ですから,あとは今,複数御意見いただきましたとおり,9頁の(注3)の問題になって,もともと認識がなく超えている部分が無効だという契約であれば,その部分の返還を求めることはできる,ただ,それが無効かどうかは認識していたかどうか,その他の事情にかかわってくるということですので,あとはそこを一般則にゆだねるか,保険法で特別の規定を設けるかという問題が,今幾つか御意見をいただいているところだというふうに理解しております。 ● そうすると,更改のところでもう継続しませんとなってしまえば,超過部分に関してもう返還請求はできないとなってしまうわけですか。 ● 超過部分が当初から有効であれば,返還請求はできない,有効か無効かにかかってくるということだと考えております。 ● ○○幹事。 ● 8頁の(危険の増加関係後注)2というところなのですけれども,保険の目的物の譲渡によって危険が増加した場合も,ア及びイの規律によることになると。これは現行商法第650条第2項を削除する関係でこういうことになっていると思います。このこと自体はそれでいいと思うのですが,ただ,現在の約款では,目的物譲渡の際に,例えば用途が変更したというのではなくて,目的物が譲渡された,つまり所有者が変わるということ自体を解除権の発生事由として定めているのですね。目的物譲渡によって解除権が発生するということについては,今回は特に規定を置かないということになったと思うのですけれども,この(危険の増加関係後注)2だけを読むと,何か所有者の変更についてのルールも,ア及びイの規律によるということになるというふうに読まれるおそれがあるのではないかと。   ところが,所有者の変更というのはそのこと自体で危険が増加するというのは,普通は立証は難しいと思うのですよね。モラルリスクが増加するということは実際あり得るし,そのような場合には保険者としては契約を解除すると思うのですが,しかし,その場合にア,イの規律がそのまま適用されるとすると,多分これが機能しなくなってしまうと思うので,つまり現在の約款のような規定がアやイの強行規定が適用されるとすると,現在の約款で危険が増加したかどうかにかかわらず,ともかく所有者が変更すれば保険者としては解除できるのだというその規定が実際に適用できなくなってしまうのではないかと思います。   ですから,目的物譲渡によって危険が増加した場合というのは,まさに目的物の譲渡の際に何か用途の変更等があったという場合に限られるのだと。単に所有者が変更したことによって,保険者に解除権が発生するというのは,現在の約款規定そのものを規律するルールではないのだということをどこかに書いていただいた方がいいのではないかと。   書き振りは難しいと思うのですけれども,ただ,私,最初ぱっと読んだとき,現在の約款規定はまさに目的物譲渡と危険の増加というのを完全に同じスキームで規定していますから,そうすると,これを読むと,目的物譲渡もアとイでいくのかなというふうに思っていたのですね。でも,それはおかしいだろうと思ってもう一回読み直すと,多分これはそういうことではないのだろうと思ったのですけれども,ですから,ちょっと分かりにくいということで,誤解を招くおそれがあるのではないかということでございます。 ● 危険の増加に関する規定を適用しない方がいいということですかね。 ● 適用してしまうと,保険者としては危険が増加したということを立証しないと通知義務違反を問えないと思うのですね。ところが,所有者がAさんからBさんに変わったと。これはBさんというのは放火しそうな人だということを立証しないと,危険が増加したと言えないとなると,世間での約款規定というのは恐らくもう使えなくなってしまうと。ですから,やはりそこのルールは適用されないという,現在のような約款規定が有効かどうかというのは,まさに今後の解釈にゆだねられるということだと思うのですね。 ● この試案では譲渡のことについては何も規定がないという言い方をした方が誤解がない…… ● 第一読会ではそういう理解であったので,ともかく規定は置かないということで,それを危険の増加の規定で対応するということ,そういう合意はここでは少なくともなかったと思うのですね。 ● ○○幹事。 ● 私は少し違う理解をしておりまして,以前の事務当局の御説明では,第650条第1項を廃止することによって,保険の目的物が譲渡されたときには保険関係は当然には譲受人に移転しないのだから,もともとの譲渡人が付けていた保険というのは,被保険利益を欠くことになって無効になるということが前提なので,所有権が完全に移転してしまう場合には危険の増加を論ずるまでもなく,その契約自体が終わってしまうのだという御説明だったので,多分その問題にはならないと思うのですね。そういう文脈で,私は以前に譲渡担保の場合には引き続き被保険利益が残りますから,その場合をどう考えるのでしょうかという趣旨の御質問をしましたら,それは少し法文に書くには細か過ぎるからというような御議論だったと思うのです。   ですから,私の理解は,第650条を第1項も第2項も削除して,危険の増加で保険の目的物の譲渡を規律するとなりますと,保険の目的物の譲渡について通知義務を課して,その通知義務の違反があったということだけで解除して免責という運用の仕方は,多分危険の増加のルールの片面的強行法規に抵触することになって,それはできない,そういう意味ではないかというふうに理解しています。つまり,保険の目的物の譲渡の場合には被保険利益が取れますから,譲渡担保などでなされた場合も,現在の解釈では保険の目的物の譲渡担保も目的物の譲渡に当たるという解釈でありまして,その場合にも通知義務違反があれば解除ができるし,免責もできるといろいろありましたけれども,その場合に危険の増加の立証がなければ,この規定よりも広い範囲で通知義務を課していて,広い範囲で免責と解除を認めている,定めた約款規定ということになりますから,その部分はここの片面的強行規定に反して約款自体が無効になると,そういう理解をしているのですが,そういう解釈で正しいでしょうか。 ● いずれにしましても,お二人がそれぞれ全く違う読み方をしているということ自体,この後注2が適切な表現ではなかったということは明らかだと思いますので,改めて考えて,次は修正したもので改めてお諮りしたいと思います。 ● では,そうしていただいて。 ● ここで書いた実質について改めて御説明いたしますと,ここの後注2の意味しているところは○○幹事のおっしゃったとおりのことを書いているつもりでございまして,まさに目的物の譲渡だけでアあるいはイの規律がかかってくるということではなくて,譲渡に伴って用途が変更したりして危険が増加した場合に,ア,イが働くと。したがって,現行商法第650条第2項については確認的な規定だというふうにいわれてございますけれども,その実質を変えるつもりは全くなかったということでして,それがちょっと書き振りに表れておらず,かつ,変動関係の9頁の後注のところと分断されてしまった結果,更に分かりにくくなっているというところはあるかと思うのですけれども,そこら辺,実質としては,まさに先ほど○○幹事がおっしゃったとおりで,目的物の譲渡だけでア,イの規律を働かせるという意図は全くありませんで,そういう意味で第二読会あるいは第一読会の方向性とここは変えているつもりはなかったという点は御理解いただいた上で,なお,書き振りは考えさせていただきたいなと思っております。 ● 9頁の(注3)をどうするかという,今のところ本文に戻すべきだという御意見,戻すのはいいのだけれども,単に(注3)の文章のままではなかなか戻せないと思うのですね。どういう要件の下に戻すべきかと。今,社会的に問題となっているのはかなり特殊な,特殊というと余りにも多過ぎる事例ではないかと言われるかもしれませんが,どうも問題のある引き受け方をしていたということに伴う是正問題なのであって,契約成立時から超過保険だった場合を一律に保険料の返還の対象とするというのはどう見ても広過ぎるだろうと,何らかの限定は要るだろうという気がするのですが,なかなかそこらあたり,表現振りが難しいのかなという気もしていまして,御意見ございませんか。   ○○委員。 ● その点について,私も確かに今のは問題あると思いますが,ただ,ここですごくはっきりしていることは,契約者の権利を明確に規定したことというのは非常にはっきり現行のもので出ています。ただ,その権利はあるけれども,実際にはこれを行使する上で情報の非対称性とかいろいろなことがあって,なかなかうまくいかない面があると。そこに権利を明確に規定した上で,更にそこに規律を置くかどうかというのは考えどころだと思います。   私の考えですと,ここのところは実態に合った監督なり行政にゆだねるべきではないかなという,現時点での私の意見はそういう意見であります。 ● 自分の意見がどうのというお話を横に置かせていただいて,前回第二読会のときに,文章としては契約当初から保険契約者サイドがそれを知っていたかどうかという部分の留保条件付きの本文だったと思っています。そこのときにその留保条件が大変厳しいのではないかというようなことを私がちょっと申し上げたのですけれども,今あれを撤回させていただいて,留保条件付きでよろしいというか,保険契約者がそれを知っていたのだということになれば,その証明をどちらがするか,保険会社がなさるのでしょうけれども,知っていたのだということになれば,それは確かに今おっしゃっているように,本文に掲げるようなものかという話になるかと思いますけれども,知らなかったという現実が,今回のケースが多々イレギュラーなのではなくて,ずっと超過保険は多分あったのだろうというふうに,すみません,中身に入ってしまうと余りしゃべりたくないのですけれど,要するに消費者が代理店の言うがままにずっと火災保険を,火災保険ではなくても保険を付けてきたという現実があって,それがたまたま今回のような形で噴出したということなので,そういう意味であれば,契約当初から知らないうちに保険が超過保険になっているということが多々あると。ある部分について,今のやり方だと今の本文で有効にして,それを合意がないから無効にして,それをさらにお金を返す方向に持っていくためのやり方としては,この間の第二読会のやり方ぐらいしか多分ないのかなというふうに思っておりまして,そういう意味では無効にして,その無効を消費者側が立証するということはとても大変なことなので,是非,本文に掲げてみんなに広く意見を聞いていただきたいというふうに思っております。 ● ○○委員。 ● 基本的な認識は○○委員と共通する部分が多いのですけれども,まず手当てとしては相当理論的に難しいということは分かるのですが,やはり本文に戻す方向で,かぎ括弧をいっぱい使っていただいてもいいので,何か,ここに今,○○委員がおっしゃったことがそうだと思うのですけれども,「善意の」という言葉が前から抜けているわけですよね。それで,私がこの点について一番印象に残っているのは○○幹事の御発言で,今の規定があれば,少なくともいざというときに使えるわけですよね。それがなくなってしまって,これもなくなってしまうとどうなるのかと。理論的には確かに難しいということなので,御無理を言っていることはある程度承知しているのですけれども,かぎ括弧を使っていただいて,とりあえず,まず従来の理論がどこまで来ていたかというのは本文ということで来ていたと思うので,やはりそれでも難しいということであれば,それはまたあれですが,そういうふうにトライしていただけないかというのがお願いです。 ● ほかにございますか。   ○○委員。 ● 余り超過保険のところで話されていないのですけれども,もともと超過保険が起きないような仕組みをまず設けることが必要ではないかというふうに思うのですよね。確かに漏れるケースはあると思うのですけれども,告知なり通知なりを含めてそこで超過保険が起きないような仕組みをつくることによってこういう問題というのがかなり解消されるのではないかというふうに基本的に思っているものですから,何で超過保険が有効なのかと,今までの仕事の関係だとよく理解できないのですけれども,そういう仕組みのところも考える必要があるのではないかというふうに思うのです。 ● ほかにこのパートでございませんか。   ○○委員。 ● この問題につきまして,特に企業保険につきまして影響があると思いますので,契約成立時に遡及して,保険金額が契約成立時の保険価額を超える分につきまして保険金額及び保険料の減額請求を認めると,こういう件につきまして,ある程度要件が要るのではないかなと思っておりまして,一つは保険金額が契約成立時の保険価額を上回ることにつきまして,保険契約者及び被保険者に故意又は重大な過失がないことと,もう一つは,その保険期間を通じまして保険価額が契約成立時の保険価額を一度も超えなかったことと,途中でどんどん変動するわけでございますので,特に長期の契約を結んだ場合,そういうことがないと,利益を得ているときだけは黙っているけれども,途中から超過保険になった場合だけさかのぼって保険料を返戻するということになると,保険の実務にはちょっと合わないということがございますので,ある程度の条件付けが必要かというふうに考えております。 ● それでは,いろいろ出た御意見を基に,少し,なお検討していただきたいと思います。   それでは,ここで休憩にしたいと思います。           (休     憩) ● それでは,再開させていただきたいと思います。   大分先がまだありますので,効率的な運営に御協力いただければと思います。   それでは次は,9頁の「3 保険事故の発生による保険給付」の部分について御審議いただきたいと思います。   まず,事務当局より御説明をお願いいたします。 ● 御説明いたします。   まず,(1)では保険者の損害てん補責任に関する項目を掲げております。これは,保険期間中に保険事故が発生すれば,その期間後に生じた損害についてもてん補責任を負うことや,保険金額が損害てん補の上限であること,損害てん補の方法には金銭の支払以外の方法が含まれることを定めるものであり,これらは解釈上当然であるといわれておりますが,このような基本的な事項を明確にすることによって,損害保険契約の規律全体が分かりやすくなると考え,新たに項目を掲げた次第でございます。   次に,10頁の(4)のイについてですが,①のただし書は,現行商法と同様に,てん補額の減額請求の形に改めることとしております。②では,新たに保険料の返還に関する規律を設けておりますが,括弧内の「被保険者が現に損害保険契約の利益を受けた部分を除く」との文言は,協定保険価額が著しく過大でなかった期間に相当する保険料を返還請求の対象から除くことを意図しております。   また,11頁の(7)についてですが,部会での議論を踏まえて一部表現を改めております。   まず,①の「保険事故の発生並びに損害の有無及び額の確認」は,第二読会の資料の「損害の確認」という文言を明確にしたものでございます。ただ,その後の「通常必要な期間」を「必要な期間」に改めており,これは部会での指摘を踏まえ,その契約類型において一般的に必要な期間ではなく,個々の契約ごとにその必要性を判断することを前提としております。   続きまして,12頁の②ですが,「保険金の支払に当たり確認が必要な事項に照らして相当な期間」につきましては,第二読会の資料の「合理的な期間」に相当するものでございます。これについては,従前と同様にその契約類型において相当かどうかという一般的な基準で判断することを前提としております。   ③は,部会での指摘を踏まえて,①の場合には①における必要な確認,②の場合には②における必要な確認について,それぞれ妨害等があった場合を前提としております。   さらに,13頁の(12)の②についてですが,これは実質的な規律の内容を書いてみたものでございまして,③は現行商法の実質的な規律を維持することから,現行商法と同じ書き振りにしております。   なお,14頁の上から3行目の(注1)の「第662条第2項」という部分につきましては,第1項を殊更に除外する必要はないことから,第2項という部分を削除させていただければと考えております。   以上でございます。 ● それでは,ただいまの部分についての御意見をいただきたいと思います。   ○○委員。 ● 保険金の支払の規定につきまして,(注1)と(注2)の間に次のようなものの記載を追加していただければとお願いしたいと思います。それは,保険金請求妨害の規定,保険金請求時の説明等の義務について規定を置くべきか否かについては,なお検討する。私が二回に渡って機会をいただきまして説明させていただいた案というのは,あくまでもたたき台でありまして,このような保険金請求妨害と説明等の義務について規定を置く必要性は大きいと考えております。   簡単に申しますと,保険金請求妨害について,今年の5月30日の東京高裁の判決で判例時報,判例タイムズなどにももうすぐ出るということで私はいただいたのですが,これなんかですと,ある保険会社が請求書を渡さないでおいて,数か月後にもう払わないよという正式な通知を常にしていたと,そういう運用をずっとしていたという認定をしているのですね。こういうことがありますと,5日間で払うと言っても全部しり抜けになってしまいますので,請求妨害について何らかの規定を置く必要というのがあって,これから不払に関する判決がいろいろ出てまいりますので,そこでいろいろな,これはある意味では想像が付かないような運用なのですけれども,そういうものが出てまいりますので,それを見て考える必要もあると思います。   説明義務につきましては,最初の1頁のところの議論にも関係いたしますが,信認義務ですとケース・バイ・ケース,こういう形にすると常に説明義務があるという形になりますし,御存じのように消費者契約法のときにも説明義務という形での行動義務を事業者の方はできるだけ勘弁してほしいと。ここで,私は遅延損害金という小さな効果のところではあるけれども,こういう形ではまず一歩認めていただきたい,こんな観点があったと思うのです。   この点について,私と生保の委員の方は発言しておられますが,ほかの方はまだ発言しておられないように思いますし,もし御賛同を得られるのであれば,今のような形で,保険金請求妨害の規定,保険金請求時の説明等の義務の規定について規定を置くべきか否かについては,なお検討するという文章を追加して記載していただければとお願いしたい。よろしくお願いします。 ● ただいまの御意見について,どなたか関連の御意見ございませんでしょうか。   ○○委員。 ● 我々のスタンスは前回から申し上げているとおりで,妨害といってもいろいろなパターンがあるということで,条文にするのはなかなか難しいのではないかということと,説明義務となりますと,被保険者と受取人とかいろいろなパターンがあります。あと,プライバシーとか個人情報の関係でどこまでどうするのかといった問題もあるということで,なかなか難しいのではないかというのは以前から申し上げているとおりでございます。 ● 何か○○委員の御提案を盛り込んだ方がいいのではないかという御意見ございますか。   ちょっと今のところ意見がございませんようですが,なおどうするか検討させていただきたいということにしたいと思います。   ほかの点,いかがでしょうか。   ○○委員。 ● 10頁の一部保険につきまして,本日は内容について賛否議論する場ではございませんが,一応こういう背景を御説明したいと思うのですが,A案の規定は根本原則として非常に大事だと思いますし,今後とも維持されるべきであると考えております。任意規定なので,実損てん補が法律で規律されたとしても,比例てん補も認められるからいいのではないかという考え方もあるかもしれませんが,実務面を考えますと,お客様に不自由な事態が生じかねないというふうに懸念しております。   なぜならば,まず企業の火災保険を中心としまして,いわゆる財物の損害に関する保険につきましては,今日でも比例てん補約款を規定した商品がスタンダードでありまして,比例てん補は確かに分かりにくいという面もございますが,極めて合理的な面も持っておりまして,全損時にはあらかじめ決められた金額が必ず払われるということでございまして,お客様にとっては,最も安い保険料で最大の損害が起こったときに補償が得られるという保険でございますので,一部損害が起こったときには確かに修理費全額は払えませんけれども,そこを承知の上で最大の損害が起こったときに備えるという意味では非常に合理的だということで,かなり広く使われております。   特に企業分野を中心にして使われておるのですが,一方,実損てん補を原則にいたしますと,どうしても現行料率体系を見直ししまして保険料の引き上げ,つまり,実損でも一部損害でも払えるような実損体系にしますと,保険料の引き上げということが行われますので,従来の比例てん補でいいということで御選択される業者に対しても,結果的には割高の保険料を案内するケースが増えてしまうということになってしまうと思います。   一方,個人向けの商品につきましては,価額協定保険を付けました保険が一般的でございますけれども,これにつきましても保険価額を不当に低く申告された場合には,比例てん補を適用するという条文が入っておりまして,基本的には比例てん補の考え方というのは原則として入っているということでございます。   いずれにしましても,パブリック・コメントに付す場合には,中間試案の補足資料にはこうした問題があるという点を是非付け加えていただきたいなというふうに思っております。   以上でございます。 ● ○○幹事。 ● 今のところで,私も補足説明のところで説明していただければと思っております。   というのは,私も意見として,初めぱっと目で,一部の損害の場合には保険金の限度に応じて全部てん補するのが合理的なのではないかというふうに,普通の比例的な,比例というか,直線の比例というようなイメージでいたのですけれども,確率として一部の損害が多いので,このような一部保険の場合に一部の損害を全部てん補していたのだと,確率的に合理性がないというようなことが,もし公正な保険数理の考え方としてそういう考え方が言葉で説明できるのであれば補足説明にしていただいた方が,それを知らずに期待とかということで意見がたくさん出てくるということを,知らないで意見してしまうということがある程度防げるのではないかなと思いますので,お願いします。 ● ほかの点はいかがでしょうか。   ○○幹事。 ● 先ほどの○○委員の御提案についてですが,私は3の頭というふうに前注というような形でという御提案だったかと思いますが,むしろ(7)の保険金の支払時期の中で遅滞責任を負う負わないという問題として少し意見照会という可能性を考えていただければなというふうに思っております。   (7)の③のところでは,これはかなり保険契約者又は被保険者の性悪説に立ったような規定に,かなりはっきりと条文に表れているのですが,保険者側は性善説に立っている,そういう態度であるかのように思われかねないわけでありまして,中間試案の冒頭で相互に協力義務があるということを検討するのであれば,やはり片方を性悪説的に見るのであれば,もう片方についてもそういう可能性があるということは,どこかに意識があるのだということは資料から表れている方が,資料の在り方として望ましいのではないかという気がいたします。 ● ほかにございますか。   ○○委員。 ● 保険金の支払時期のところなのですが,11頁から12頁にかけてのところなのですが,①,②とございますが,②を通常の消費者が読みますと,すごい雑ぱくな言い方をすると,長い期間を短くするという認識でおつくりになっているのだと思うのですけれども,なかなかそういうふうに素直に読めないというところがございまして,逆に期間が決まっているのに,それを延長した場合にその部分をというように読めてしまう。逆に,本当は長いものを短くするというものについて決めていらっしゃる規定だろうというふうに読むのだろうと思うのですけれども,そういうふうに読めない部分がございまして,そこの部分についてもう少しおつくりになった方の意図が鮮明に読む人間に分かるような,そういう文言にしていただけないかなというふうに思っています。 ● どういう部分が一番分かりにくいのですかね。 ● すーっと読んでいくと,こちらが色眼鏡で見ているせいがあるのかもしれませんけれども,例えば,5日とか30日と決まっていて,それを調査に必要なときに延ばしますよと,そういう延ばしますよという規定について相当の期間を超えるときはというふうに読めてしまうという部分がありまして,きちんと読むとそういうふうに読まないのだけれども,そういうふうに読めてしまう部分がありますので,そこら辺をどういうふうにすればいいのだという話になってしまうのですけれども,どうすればいいのかは法文のつくり方がよく分かりませんので,そこら辺をちょっと御検討いただければなというふうに思います。 ● 御趣旨が生かせるかどうかちょっと分かりませんが,検討はしてもらいましょう。   ○○幹事。 ● 内容の話になってしまうのですけれども,法文のつくり込みということで○○委員が今御指摘であったので,こういうことがあり得るかもしれないと思ったところを申し上げたいのです。どういうことかと言うと,①と②で,②は今回大分表現を割と①に近く寄せた感じになったかなと思っているのですけれども,そうやって読んでみると,もしかして①について初めの「保険金の支払について期限の定めがないときは」というところを仮に削除して,保険者は確認のため必要な期間が経過するまでは遅滞の責任を負わないものとするという一つの規定を置いて,この規定が「片面的強行規定とする」というふうにすると,②が読めてしまうのではないかなと思ったのです。   短い期間の合意をすることは構わないけれども,その必要な期間を上回るような長期の期限を定めた場合には,それは無効ですよということをもし②で言っているとしたら,①プラス片面的強行規定とするということで足りるということがあるかどうかを御検討いただければと思います。 ● 今の○○幹事の御指摘ですけれども,①は出だしが「保険金の支払について期限の定めがないとき」ですので,それをやめて「強行規定」にしても②まで含むことにはならないと思います。②は期限の定めをしている場合ですので,そのことは①では全く触れられていないということになると思います。 ● ①の「期限の定めがないとき」というところを削除して,一般論として相当な期間が経過した以降,遅滞の責めを負うということを一つ規定を設けられて,それが片面的な強行規定だというふうにした場合には,短い期限を定めたらそれは有効だけれどもという②が読めて,短い期限は有効で,長い期限は無効だという②が読めるように思ったのです。もし勘違いでしたら撤回いたします。 ● 今のようなお考えはあり得る考え方ではあると思いますけれども,これまでの議論では,期限の定めがあるときは基本的にはその期限を尊重すると。けれども,その期限が不当に長いときだけはそうは問屋が卸しませんよということにしようということですので,その思想が変わってしまうのではないでしょうか。 ● かなり今までの議論を根っこから崩すというようなことになると思うので,それはちょっと難しいのかなという感じがします。   ○○委員。 ● 理論的には○○幹事がおっしゃったとおりなのですけれども,多分○○委員の感じていることをおっしゃっていただいたようなところもあるのではないか。要するに,法律に親しんでいない人が読むと,一定の最低限というのが決まっていて,それをまた契約で延ばしたときにはどうかと,そういう理解でこういうのを見てしまいがちだという話なのかなと思って受け取ったのですけれど違うのですか。 ● ○○幹事がおっしゃったみたいに,「期限の定めがある場合において」と,第二読会のときもそういう形できちんと書いてありましたので,それはそうなのだと,その原理は変わらないのだと。ただ,どうしても任意に保険会社が延ばせるでしょうという部分のそういう色眼鏡が私の心の目にあるものだから,そういうつもりで普通の消費者が見るとすると,ここの文章が本来第二読会で書いてあったような文章に読めないのではないのですかということを申し上げたいのです。   だから,先ほど長いのを短くすると言いましたけれども,本当はこういうふうに期間の定めがあるのに,本当はもっと前に払えるのに払わないのは不相当だよと,こういうふうに言いたい,②はそういうふうにおっしゃっているのだと思うのだけれども,そういうふうなのが読んでいる人に伝わってきませんよということ申し上げたかっただけでございます。   どう書いたらいいかという御質問だったのですけれども,どう書いたらいいかがなかなか分からない。何か点を入れたり,むしろ第二読会のときの書き方の方がいいのかもしれないですね。これだけぱっと見たら,あれ変わったのかなと一瞬思ってしまった。そういうふうに読めましたということです。 ● その点も前に出てきたどこかのところと同じなのですが,例の契約内容の「合理的な変更」というのを,幾ら何でもあのまま出すのはというのと同じで,ここも第二読会で「合理的な期間」としながら,「合理的な期間」とそのまま出すと,合理的な期間とは何だと聞かれるのが目に見えているものですから,少しそれをきちっと説明を試みた上で,説明調ではありますが,説明したもので意見を募集した方がいいのではないかという意図ではあったのですが,それが長くなった分,読みにくくなり意図も伝わりにくくなったと言われると,また考えなければいけないなとは思いますので,法律用語を使いながらどこまで分かりやすくできるかというほかと共通の問題がございますが,御指摘を踏まえて考えてみたいと思います。 ● 御検討ということにしたいと。   ○○委員。 ● まず一点,9頁,損害発生の通知のところですけれども,この部分,実は○○幹事が第3回議事録の34頁で少し疑問を呈されまして,この本文の案ですとこれで決まってしまいそうに読めるのですけれども,ここをよくよく考えますと,御存じのように損保の傷害保険なんかでは,通知されなかった場合の効果は,保険金を払わないと。   これは最高裁判所の昭和62年2月20日の判決で縮小解釈をしているにもかかわらず,業界の方は約款を変えておられないわけですね。そうしますと,現在は「通知ヲ発スルコトヲ要ス」ということで,第658条は発信主義になっていますけれども,到達主義にして,実はここだけ見ていると問題ないが,その先が約款だけ突きつけられるとすごい効果になっていると。   ここは,○○幹事がコミュニケーション手段が変わったということ自体はリスクの配分を変える根拠にはならないのではないかということをおっしゃって,今日はいらっしゃらないので,ここはここまでそういう実態を見ますとちょっときついので,もう少し発信主義,到達主義については更に検討すると。頁も本当にわずかなのですね,議論しているのは。そういうふうにちょっとお考えいただけないかと。   それから次に,簡単に済ませますが,12頁の「(9) 保険者の免責」のアの重大な過失のところです。実はここも議事録でいいますと,第3回の議事録の23頁で,余り議論なしに終わっているところで,私は現行法の解釈では重大な過失というのは注意義務の欠けつが相当ひどい場合ということで結構なのですが,この資料のどこかにも出てきたと思いますが,大審院の海上保険の判例では,約款の規定ですけれども,重過失を故意に準ずる場合に限定しておりまして,学説の有力説にもそういう考え方があると。   私は現行法の解釈としてはそう考えなくてもいいと思うのですが,新しい立法をやった場合に,有力説は契約者のために,デフォルトルールとしては,重過失というのは故意に準ずべき場合にするという選択肢も私はあり得ると思うのですけれども,そのあたり,実はここは本当に何も議論していないで通ったところですので,ここも私は項目に起こしてほしいとまでは申し上げませんが,何か補足説明の中で,そういう説があって,しかも大審院の判例があることは間違いないので,それからあと下級審もございますね,そう言っていますのが。だから,私は現行法の解釈としてそれを採るべきだということではなくて,新しい法律をやったときに,しかも消費者保険に対して重過失のデフォルトルールは故意に準ずるべきものだというのは,十分あり得ていい一つの案ではないかと思いますので,そこを御配慮いただけないかと。   三点,これも簡単にいたしますが,14頁の後注の2の先取特権のところですが,挙げていただいて本当にありがたく思っておるのですけれども,ただ,御存じのように,資料10の14頁ではほぼ全否定で非常に否定的な見解なのですが,私もちょっと不勉強で,その後勉強しましたら,いろいろな法改正は専業の方に向かっていて,専業の会社,共済に限定して先取特権を付与すべきという議論はあり得ると思うのですね。ただ,金融庁の方の問題とか,業界の異論はありますけれども,私自身は,パブリック・コメントを御覧になった方は,これは先取特権を認める可能性があるのかと強く期待されると,それはちょっと誤解ですよと。ここまでの論調ではそうではなかったと。だから,そこはトーンが,私は認めていただきたいともちろん思いますし,説を修正して専業に限ってやるという手段もあり得るではないかと,そういうことを申し上げたいのですが,資料10の14頁の記述が余りにも全面否定に近いものですから,そこは記述を何か入れていただいて,要するに世の中には入れてほしいという方もたくさんいらっしゃると私は思っておりますので,その方たちが意見を出さなければいけないなと思うような形にしていただきたいと思います。   以上です。 ● 「なお検討する」にもいろいろなニュアンスがあると思うので,どうするか今の御意見を踏まえて御検討いただきたいと思います。 ● 最後に御指摘いただいた点は,冒頭にも御指摘がありましたが,「なお検討する」だけで本当にいいのかどうかというのは,全体をまた見渡して,次回一定の整理の下でまたお示ししたいと思います。   ちなみに○○委員がおっしゃったのは,もっぱらの専業のことですか。 ● そうです。専業主義の。それから,法改正いろいろ行われていますね,共済関係とかが。 ● それと免責のところで御指摘いただきました重過失の点は,これはまた告知義務の故意・重過失の内容で御指摘いただいたことともちろん関連しますので,その解釈として分かれているところを全部書き出すと切りがないということになりますので…… ● ちょっと告知義務とは全然別の議論として整理していただきたいのですけれども。 ● もちろんそうなのですが,要するに解釈が分かれている問題について,それはどこまでなお検討するという注を立てるかというような形で,そこはまた何らかの形で整理をしてみたいと思います。 ● 一回議論して,その後終始が付かなかったために一度も議論されないままで来たわけですね。よろしくお願いいたします。 ● とりあえず通知の到達主義の点は,事務当局としましても改めて全体を合体して並べてみますと,確かにそこが本当にこれまで余り議論がないまま来ている,○○幹事の御指摘はありますが,余り議論もないまま来ている感じはしているのですが,改めて考えてみますと,そこも現行法の発信主義を改める合理性があるのかという疑問は同じように抱いているところがございまして,また次回までに検討してその結果をお諮りしたいと思っております。 ● お願いいたします。 ● ○○委員。 ● 10頁の一部保険の書き振りについて一言意見を申し上げたいと思うのですけれども,これは任意規定なので問題はないとする考え方もあると思うのですけれども,保険理論によっては結構重要な問題で,B案を選択するということは,基本ルールとして比例てん補という合理的な考え方を捨てるということだと思うのですね。そういう意味で,ここのところがうまく読み手に伝わっているかどうかということが問題だと思うのです。   恐らく,なぜ合理的かと言いますと,例えばB案でいきますと,他の条件を一定にした場合には,必ず一部保険の方が有利に決まっているわけです。他の条件というのは保険料が変わるということなのですけれども,保険料が現行の体系のままだったら,一部保険を促進するという,こういう案なので,実際に実務上はそういうことはできませんので,一部保険にはそれなりのプラスアルファの保険料が賦課されると,そういう形になると思うのですけれども,そうした場合,そういった他の条件は一定でということがA案,B案では隠されて見えないものですから,Bの方が当然いいに決まっているというふうに見えるのが,ちょっと書き振り的には工夫の余地があるかなということを感じます。   では代案は何かということですが,先ほど○○幹事がおっしゃったように,もし注あたりで図を入れていいのだったら図を入れるとか,ちょっと私は法律のルールを知りませんので,そういうことをしないのかも分かりませんけれども,何らかの形で,分かった上で選択していただくという工夫をしていただければと思います。 ● 先ほどの○○委員の御発言を聞きながら思ったことですが,ここはA案,B案を裸で両論併記するのが適当かという気が若干してきておりまして,そこは今の御指摘も踏まえて検討してみたいと思います。 ● ほかにいかがでしょうか。もうよろしいでしょうか。   それでは,次へ進ませていただきまして,14頁の「4 損害保険契約の終了」から18頁の「第3 生命保険契約に関する事項」とありますその上のところまで一括して御審議いただきたいと思います。   まず,説明をお願いいたします。 ● 御説明いたします。   4では,(1)で契約の終了事由について記載している点が第二読会との大きな変更点でございまして,これは契約の終了の項目の最初で終了事由をまとめた方が分かりやすいのではないかという趣旨ですが,改めて検討いたしますと,(ア)の内容が不明確ではないか,また(ア)と(イ),(ウ),(エ)との関係が不明確でないかといった問題があり,なお整理する必要があると考えられることから,現時点では中間試案には掲げない方向でどうかと考えております。   続きまして,17頁の6(1)ですが,ここでは一定の場合に被害者が保険金から優先的に被害の回復を受けることができるものとし,その「一定の場合」について(注1)と(注2)で問題提起をすることとしております。ただ,(注1)から(注6)までの整理の仕方では,問題の所在が伝わりにくいのではないかとの懸念もございますことから,この点につきましては,より分かりやすい記載になるように更に工夫したいと考えております。   続いて,18頁の後注1ですが,ここでは物保険や責任保険以外の規律の在り方について記載しておりまして,3では,中間試案では掲げられていない損害保険契約に関するその他の意見の受け皿となる項目を設けております。   以上でございます。 ● それでは,ただいまのところについての御意見をお願いいたします。   ○○幹事。 ● 質問なのですけれども,4(1)の損害保険契約の終了事由については中間試案には掲げないということですが,(注2)の保険料不可分原則の問題はどうされるということなのでしょうか。 ● (1)の本文の部分を仮に掲げるのがこの段階で適当でないとして落とした場合には,(注1),(注2)はどこか損害保険契約の終了のところに注の形ではめ込むということを考えております。 ● そうだとすると,保険料不可分原則を画一的に採用することはしないものとするとあるのですが,これは現行商法第655条の規定を反対解釈すると,不可分原則を採用しているという一つの根拠規定とされているのですが,これを削除するということは(注1)で書いてあるわけで,削除するから(注2)の不可分原則を画一的に採用することにはならないのだという趣旨なのか,それとも別途規定は置くと,つまり可分原則になるような,3行目にある「保険者は,原則として,未経過の期間に相当する保険料を返還する責任を負うこととなる」ということをはっきりさせるような規定を置くということなのか,それとも何も置かずに第655条だけを削除すればそういうことになるのか。それは二つ考え方があるのではないかと思うのですよね。   確かに,不可分原則を裏側から書いている規定を削除したら,削除するということは可分原則を採ったのだというふうにもとれますけれども,しかし何も規定がない状態でどちらとも分からないのだと。そうすると,これはまさに保険理論の自然法からすると,やはり不可分原則はあるのだという解釈もあり得ると思うので,これは(注2)の書き方だけを読むと,一体どういう答えなのかというのが多分いろいろな人,非常に分かりにくいのではないかと思うのですね。ですから,もし何か意見を問うとすれば,その規定を置くべきなのかどうなのかと,不可分原則を画一的に採用することにしないとすると,そのためには何か規定を置くべきなのかどうなのか,なお検討の必要があるとか,そういう書き方の方がいいのではないかという気がしました。 ● ○○委員。今の点に関連しますか。 ● 私も最終的なイメージがよく分かりませんが,本文なしで(注1),(注2)だけ残すという,それであれば,項目として何か残すというのであればよろしいわけですかね。 ● それとして残すとしても,(注2)のような…… ● (注1)と(注2),ワンセットで残すならいいと。 ● (注1)と(注2)を合わせても,(注2)がやはり趣旨がよく分からない。(注1)の結果,そういうことになるのだと,しかしそうだとしても,当然にそうなるのかというのは,まだ第一読会,第二読会の議論でそこまで一般的な合意があったようには思えないのですね。少なくとも○○委員は自然法として不可分原則があるのではないかというような御主張をされた記憶があるのです。 ● でも,消費者保険について緩和することは大賛成しますと。結論は変わらないと思います。 ● 今,○○幹事御指摘のとおり,多分いろいろな考え方があるのだろうと思います。   (注1)と(注2)をリンクさせて考えていたかというと,こちらは,むしろそこは切り離して,第655条が裏から言っているかどうかも恐らくいろいろな読み方があるのでしょうから,まず第655条はその規律そのものとして引き継がないのが適当だろうということで削除,それとは別に不可分原則についてどうするかというと,不可分原則を採用するという規定,あるいはそれを採用したことを前提とする規定は置かないということまでを言っていまして,逆に可分原則という言葉があるのかどうか知りませんが,そういうことを何らかの形で明文の規定でうたうことまでを考えていたかというと,そこは現時点では考えておりませんでした。   ただ,逆に,むしろそちらにかじを切ったのだということで,それを表明すべきという御意見なのであれば考えなければいけないとは思いますが,逆にそういう意見も余りなかったのかなというふうに思っています。 ● 従来の前提は,規定を置かなければ可分になるのだろうということ,解釈論でそうなるのだろうということかなと思っていたのですが。 ● ただ,未経過の期間に相当する保険料を返還するというのは,まさに日割りで計算して返還すると,当然にそういうことになるのかというのは,本当にそうなのかなという,ちょっと自信がないのですけれども。 ● なかなかこれはあれですよね。不可分原則は無効とするとか,規定なら一条ぽんと置けばそれで済むのですが,何か返すものを書き出すと,終了ごとに全部何か書いていかなくてはいけないようなことになって,大変なことになるような気はするのですが。   ○○委員。 ● そういう意味で,第二読会のときに生命保険の実務を御説明したと思うのですけれども,生命保険でいきますと,年払でお支払いただいたと。そのときに途中で解約になった場合は,保険料は返さないのですけれども,年払の保険料が払い込まれたということで解約返戻金の金額が計算されて,ある意味本当に保険料の返還ではないですけれども,それが払い込まれた前提で解約返戻金が計算されていますから,実質的にはその保険料も反映されたものが返されていると。そういう意味でいくと,可分,不可分ともちょっと違う感じにもなっていますので,そういうことも含めてこのあたりを御議論いただけるとありがたいなと思っておりますし,そういう意味でまだ余りぎちぎち詰まっているわけではないかなという感じで理解しているのですけれども。 ● いずれにしても,ほかに何か規定を置かないとどうなるのかというのは一応整理しておいた方がいいようには思いますので,そこは御検討いただく方向かと思います。   ほかに。○○委員。 ● たびたび大変くどいようでございますが,前々から申し上げておりますように,損害保険の中には期間に対応しないような特殊な保険もございますので,その辺につきましても保険料不可分の原則自体を契約によっては必要とされるというものもございますので,その点をぜひどこか注書きをしていただければなと思っております。 ● ○○委員。 ● 不可分原則以外のことでもよろしいですか。 ● どうぞ。 ● 簡単に申し上げます。これは資料2の10頁のところで議論になりまして,第2回会議の議事録の23頁で○○委員が御発言になった問題なのですけれども,要するに解除で無催告解除が保険料を払われないときに行われてしまう。私は現状追認で,現状でしようがないかなという意見を申し上げたのですが,その後いろいろな御批判があって,最後に○○委員がとどめを刺すように発言されて,議事録の記載では,○○委員は今日のところは催告というものをもう一度考えた方がいいのではないかという御意見という形で集約しておられて,私ちょっと調べましたら,どうもこの問題は失効の場合も同じですけれども,無催告解除,失効になって,返すお金が5千円,1万円,2万円,3万円とあって,それが眠ったままになっていると。でも,今は特に生保の方は地域別にそれを洗い出して,募集人の方が訪問して請求をしなさいと,そういうことも立派だと思いますが,やっておられて,でも実態を見ると,これは契約の方でも手当てしておいて,銀行なんかは休眠口座みたいな形にならないような形で催告のことを真剣に考えていった方がよろしいのではないかと。だからちょっと意見を変えまして,解除の場合に催告を,又は失効の場合に催告的なものを逆に求めるかという必要があるか否かについてはなお検討すると。部会の集約からいいましても,そういう形の継続審議ということで,しかもこれは意外に重要な問題だと思いますので,そういう項目を追加していただければと。何かこういう終了事由はあった方が,パブリック・コメントには分かりやすいかなと思うのですけれども,かぎ括弧でもいいから何かあった方が読む方は分かりやすいと思いますので,そういう形で何か催告については是非入れていただきたいなというふうにお願いしたいと思います。 ● 2回目以降の審議の状況を踏まえて,今のところ議論を記載されていないのだろうと思いますが,そういうことなのですかね。 ● 解除と催告の問題は実は迷ったところがございまして,また御指摘いただきましたので考えてみたいと思います。 ● でも,実態はここのところ,いろいろなことをやっておられて,それが議論に反映されていないような気がいたしましたので,お願いいたします。 ● では,御検討をお願いします。   ほかに。○○委員。 ● 賠償保険の直接請求権のところで意見を申し上げたいと思います。   17頁,保険金からの優先的な被害の回復というところでございますが,賠償保険の性格につきましては,加害者の賠償資力を確保とし,結果的に被害者の救済を図ると,そういう位置付けの保険であるというふうに考えておりますけれども,被害者のための補償の仕組みが明らかであるような賠償保険,つまり法律上,加入が強制されているような保険につきましては,被害者の直接の求めに応じて保険会社が保険金を支払うという仕組みを設けることが被害者救済のために必要であるというふうに考えます。   ドイツが来年1月に契約法の改正をするということで,3月に向こうに行ってまいりまして,6年間ぐらいずっとそれを担当した有名な弁護士にもいろいろ意見を聞いたのですが,ドイツでも賠償責任保険,当初は幅広く直接請求的なものを入れようという議論があったらしいのですが,やはりそれはドイツでも無理だということになりまして,最終的には強制保険に限定して直接請求権というものを導入しようというふうになったという経緯だそうなのですが,私どもも保険会社が賠償事故に関しまして,紛争の本来的な当事者ではございませんし,事故の解決に向けての主導的な役割を果たすとか,原因究明のために被保険者を調査したりとか,被保険者の企業の行為と損害の因果関係の有無も積極的に立証したりすると,そういう手段というかノウハウが残念ながらございませんので,被害者から直接的な請求を受けた場合には,それにこたえるということが非常に難しいと。これが今,保険会社の実情でございます。   したがいまして,こういう問題を議論された当初,当時の部会の資料では,被保険者が破産,倒産した場合に限って,責任保険契約の保険金から優先的に損害賠償金の支払を受けることができるようにする方策を設ける,こういう方向性だったために,これであれば保険会社でもこの議論に参画していろいろできるのではないかなというふうに思って御説明をしてきたのですけれども,今回直接請求権の導入ということ,この趣旨,必要性はよく理解しておりますけれども,もう一度大変恐縮ではございますが,今の損害保険会社の保険の実務の立場を是非,御理解いただきまして,そういうものを前提とした上で制度を導入しないと,制度が導入されて全部に適用されるということになって,実際にはできなくなるというようなことになりますと被害者に大変御迷惑を掛けますので,まず被害者が保険金から優先的な被害回復を受けるための前提として,幾つかの点の御留意をお願いしたいと思います。   第一点は,被保険者が破産手続とか再生手続とか更生手続とかそういう開始の決定を受けたことが前提になるということをもう一度明らかにする必要があると。   二番目は,紛争の本来的な当事者でない保険者が直接債務者となることの問題点があるということが解消されたことを条件とすると,そういう趣旨を加えていただきたいと。   三番目には,保険契約には免責条件とか支払限度額というものがございますので,こうした保険契約に基づいて保険者が加害者に対抗できる要件につきましては,被害者に対しても対抗可能であると。つまり,本来保険契約で払えないものを被害者が来たからといって払うとか,あるいは限度額が決まっていますので,限度額を超えて払うとかというようなことがないように,これは当然のことだと思いますが,是非,御留意いただきたいと思います。   それから,被害者が複数人いる場合がございますので,複数人いる場合に実際どうやって優先的に迅速に払っていくのかと。特に大規模な医療事故とか医薬品事故とか広域な事故が起こりますと,複数といっても数百人,数千人になる可能性がございますので,そうした場合も考えますと,どんどん被害者が発生した場合に,一体保険会社としてどういう順番に払っていくのか,その優先順位,配分の問題も十分に御留意いただきたいと思います。   最後に,迅速な対応をするためには,いろいろな損害がございますけれども,間接損害とか財物損害とかいろいろな幅広い損害はとりあえず対象としないで,やはり人身損害,人の命とか,けが,こちらに集中した形の人身損害に限って,こういう制度が導入されるというのが現実的ではないかなと思っております。   なお,これまで議論を十分尽くしてはおりませんが,先取特権につきましては,これまで申しましたような問題を解決するための有力な選択肢であるというふうに思われますので,この点につきましても引き続き比較,検討をお願いしたいと思っております。   以上でございます。 ● 今の点,被害者が複数の場合その他注で受け止められているものもあれば,あるいは,例えば保険契約の範囲内であることというのは当たり前のことだけれどという御指摘などは,本文の3行目の「保険金から」というこの言葉だけで本当に読み取れるのかとかありますので,何でもかんでも注に落としてしまったために,逆に本文が一体どういうシチュエーションを念頭に置いていて,どういう形で働くのかが読みにくくなっているかなという思いもあり,作成した事務当局としても,じくじたるところがございまして,そこはなお今の御指摘も踏まえまして,そのあたりが読み手により伝わりやすいように,次回に向けて工夫してみたいと思います。 ● ○○委員の御指摘になった諸問題というのは,皆さん大体は御認識のことだろうと思います。そのことを踏まえて17頁にまとめてあるのですが,ただそう大きな違いのあることを言っているわけではないと思います。なお表現振りについて,一つ御検討いただければと思います。 ● せっかくこういう制度が法律の中に入るということであれば,我々実務の中でうまくこれが適用されて,被害者救済になるような形で機能できるような形で是非よろしくお願いしたいと思います。 ● ○○委員。 ● ○○委員がおっしゃったのは,倒産の場合に限ってかつ人身損害ということですか。そういう二重の限定がかかっているわけですか。   私は今日,これは発言しないでおこうと思ったのですけれども,ちょっと今伺ったので,一言だけ。○○関係官がおっしゃったように,方向性が分かるようにというのは十分認識しておりますけれども,そのときに議事録では○○委員が,①の案は割といい案ではないかと,①の案というときには別に倒産に限ったということではなかったとは思うのですけれども,どちらかというと,私の印象は直接請求の方が割合いい案で,ただ議事録にもありますけれども,複数請求の場合はどうもちょっと難しいところがあると。そのときは先取特権の方がいいかなという,力点は直接請求にあって,その問題点を担うと。そのときに,私は倒産に限ってやればいいではないかということを申し上げたのですが,そのとき○○幹事は人身損害と,多分人身損害に限って直接請求というか,人身損害のときも直接請求という説だったと思いますけれども,私もちょっと○○幹事の説に近寄りまして,二段ロケット説といいますか,倒産したときはやはり認めようと,法人,個人。それだけではなくて,人身損害のところもきちんと要保護性ということを,皆さんもそれに共感されている方が多いように私は認識しましたので,ちょっと議論を訂正して,今の訂正は含めていただかなくても結構ですが,そういう方向で議論の方が進んでいるということがパブリック・コメントで分かるような形で書いていただければという…… ● そこはいろいろな意見があるというのは注の中でも書いてあると思うので,一応指摘はしてあるのかなという気がします。 ● 分かりました。お任せします。 ● ○○委員。 ● 保険金からの優先的な被害の回復で,一点,質問がございます。(注6)の片面的強行規定の意味なのですけれども,これは当然,保険契約者に有利なときはオーケーだけれども,不利なときはバツと読むべきなのか,あるいは直接請求者に有利なときがオーケー,当然前者と考えてよろしいのですか。 ● そこはまさに冒頭に申し上げた整理しなければいけないなと思っているところでして,ここはある意味,考え方によっては,被害者のためにこういう仕組みを設けるのであれば,被害者中心に考えるということもあり得るかなと実は思っていまして,その意味でも,この書き振りではそこが全く隠れてしまっていますので,整理しなければいけないと思っております。その実質としてどちらがよいのかというのは,よく分からないところでして…… ● 本来的には,素直に考えたら保険契約ですから,契約者の片面的ですけれども,もしそれをやると,多分直接請求権自体が死んでしまうのではないかと。具体的に言いますと,被保険者にとって有利な変更というのは,多分直接請求権を制約するような契約になります。なぜかと言うと,コストが安いので保険料が安いからという,ちょっとそういう矛盾があるので,その辺どうお考えなのでしょうか。 ● そうですね。ここはあるいは,そもそもこういう規定というのは絶対的な強行規定かもしれない,そういうあたりも含めて一度検討してもらえればと思います。   ほかにいかがでしょうか。   とりあえず,この部分はそういうことでよろしいでしょうか。   それでは,次に進みまして,18頁の「1 生命保険契約の成立」と21頁の下の方にある「2 生命保険契約の変動」の部分,二つまとめて御説明をお願いいたします。 ● 御説明いたします。   まず,19頁の(2)のアやイでは,未成年者を被保険者とする死亡保険契約の点を含め,第二読会でいただいた指摘を踏まえて記載しております。   なお,(2)のアの(注3)で記載しました点につきましては,第二読会においてさまざまな御指摘をいただきましたが,問題の所在や第二読会の議論の状況等の詳細については,補足説明で触れることとしてはどうかと考えており,意見照会に対して寄せられた意見も踏まえて,秋以降,更に御議論をお願いしたいと考えております。   また,20頁の(3)以下では,損害保険契約の項目を引用している部分がございますが,これらは各項目の後注の部分も含めて,こちらで同じことが問題となるということを表しております。   次に,(5)の③では保険金受取人が被保険者の相続人である場合の権利の割合について記載しており,具体的な内容については(注1)で,なお検討することとしております。   さらに,(6)につきましては,先ほど○○委員からも御指摘がございました点でございますが,損害保険契約の項目の記載をここで引用しておりますが,損害をてん補するという損害保険契約の方の記載振りは書き換える必要がございますし,また,問題の所在も損害保険契約とは異なることから,ここで書き下すということも含めて考えてまいりたいと思っております。   次に,2の生命保険契約の変動の点でございます。   まず,(1)の②では,いただきました御指摘を踏まえ,保険契約者の変更の場合には,被保険者の同意が必要であることを明記しております。   また,22頁の(2)では,まずアのところで通則を書きまして,その後イ以下で個別の事項を書くという形で整理をしております。   23頁のウの②では,遺言による保険金受取人の変更の場合の対抗要件の具備の方法について明記しております。   さらに,エの②や③では,任意規定であるということを前提といたしまして,保険金受取人の相続人又はその順次の相続人の権利の割合を第二読会の議論の方向に沿って明記しております。   これに関連して,24頁の(注2)や(注3)では今後の検討課題を明記しております。   最後に(5)では,保険金受取人等の意思による生命保険契約の存続について,本文では制度の骨格部分を書きつつ,今後の検討課題などについて注で触れるという形で記載しております。   以上でございます。 ● それでは,かなり幅広いですが,今,御説明のあった部分について御意見をお願いします。   ○○委員。 ● 19頁の(2)アで,特に(注3)で,先ほどちょっと御説明もあったのですけれども,これに関連して傷害保険でですけれども,生計を一にする親族を保険契約者,加入者とともに被保険者とする場合についても,例外措置を要望いたします。   家族の傷害保険の多くは,企業の福利厚生として従業員の方が任意で加入される団体契約となっており,加入しやすく便利な保険としてお客様から評価していただいているため,同意が漏れることによって保険金が支払われないケースや,この保険の加入の利便性につきましても考慮していただきたい。すなわち,実質的に保険の利用機会を狭め,保険の社会的機能を果たしにくくしないよう,あるいは保険に入っていれば助かっていたのにと思われる方がいつの間にか増えてしまっていたということにならないように,御検討いただきたいと思います。   ということで,本文はこのままで結構ですし,先ほど御説明がありましたように,補足のところでこういうことにも触れていただければと思います。よろしくお願いします。 ● ○○委員。 ● 18頁のところで(注1)なのですけれども,私,議事録を読み返してみたのですけれども,現物給付を入れるかどうか,まだ多寡を,賛成の方が多いかどうかきちっと問うていないのではないかと思うのです。   私は,基本的には○○委員が最初の方におっしゃった,私の表現で言うと,金銭的な価値が給付時点で明示できる,できれば,消費者にとってはお金と給付とを選択できる,将来のことで分かりませんので,そういうふうに仮に認めるとしても,それは認めないのと同じことかもしれないのですが,どうも議事録を何度読み返しましても,この点については皆さんの意見がきちっと確認されていないと思いますので,「その他の給付」のところを注の方に下ろしていただいて,また改めてしっかり検討するというふうにしていただけないかと思います。 ● ただいまの御意見についていかがでしょうか。   ○○幹事。 ● 私もこの定義をそのまま採用すると,およそ金銭,例えば生存保険で老人ホームの入居権を給付目的にするという,保険金をおよそ支払わずに,20年後に老人ホームに入れますよと,その権利だけを与えるというような保険契約も生命保険契約として認められることになってしまうのですね。   今,○○委員がおっしゃったように,保険金の支払と老人ホームの入居権と,20年後に好きな方を選んでくださいと,こういうものであれば,私もニーズもあるかもしれないし,認めてもいいかもしれない。しかし,それは現行商法第673条でも,保険金の支払を約しているわけですから認められるような気はするのですね。ところがこの定義になると,まさに保険金の支払をおよそ約束せずに現物給付だけを約束すると。これは保険契約者の立場からすると,リスクが高いと。20年後どうなっているものか分からないようなものの給付を約束されて,それのために20年間保険料を支払ったのだけれども,20年後には老人ホームの入居権のコストというのは非常に下がっているかもしれない。20年間払い込んだのに,得られるものは実はそんな大したものではないかもしれないということが起こり得るわけで,この定義をそのまま採用すると,そういう保険も認められることになってしまうので,今,○○委員がおっしゃったように,「その他の給付」というこういう定義を採用するかどうかということ自体を検討対象としていただくという方が,私もよいというふうに思います。 ● ○○委員。 ● これはむしろ○○幹事の方から御指摘いただいた方がいい問題かもしれませんけれども,今の現物給付の問題というのは保険業法的にも非常に大きい問題をはらんでおりまして,保険会社の業務範囲とか健全な経営の観点からも十分検討する必要のある問題で,こちらの方で保険契約の方の定義で所与のものとして入れますと,それがそちらの方の問題にもはね返ってくる点があります。慎重な検討が必要だと思いますので,私もできれば今のお二人の御意見のような形にしていただければありがたいと思います。 ● ○○委員。 ● 我々が主張していますのは将来の商品の設計であり得るだろうということと,それが出てきたときに無名契約にする方がいいのか,典型契約として契約法で規律した方がいいのかという視点で主張しているので,そういうことを踏まえて御議論いただければありがたいなと思います。 ● 御指摘を踏まえてなお検討したいと思いますが,確かに今の書き振りで,一定額というのは,あたかも「その他の給付」にかかっていないような書き振りになっておりますので,より疑義が大きいと思いますが,一定額というのは,(注1)にありますように,「その他の給付」であっても,それは定額の給付と言えるものでなければいけないということは,当然生命保険契約の意義として考えているところでございまして,そこはまた表現振りとして,なお考えたいと思います。   ただ,全体としてそこを注に落とすかというところにつきましては,これまでの検討の中でも,仮に現物給付を許容する場合には,るる検討する問題があるのではないかという御指摘をいただいているところでございますし,業法として直ちに受け止められるかどうかというのもさまざまな検討が必要だというのは十分理解しているつもりですが,他方で,契約法の世界で,そこは駄目よということなのかなという思いもございまして,ちょっとそこが悩ましいかなというふうに思っておりまして,どういう形で中間試案として整理するのがいいのかは,今の御指摘を踏まえてなお検討してみたいと思います。 ● ○○委員。 ● まさにそういうお考え方はあると思うのですけれども,そこについてきちっと意見の分散を確かめていないというところが重要なので,やはり項目は落としていただいて,しかし,否定的なものではなくて今の方向でも結構ですし,考えると。ただ,今おっしゃったようなことを発言された方もいらっしゃいますが,でも,その方が必ずしもそういう方向だったかどうかは分からないわけで,項目に落とす形でお願いしたいと思います。 ● ○○委員。 ● さまざま議論があることは承知していますけれども,研究会の時代からこの話というのはあったと思うのですね。新しい法律をつくるという中で,将来的にはこの種の仕組みというのは必要になってくるだろうというふうに私個人も思っておりますし,特に全体の保障制度との兼ね合いで見ました場合に,当然私ども監督官庁が違うからどういう判断をされるか分かりませんけれども,いずれにしても監督法の中でどうするかという問題点があるというふうに思いますけれども,保険契約法の中では入れておくべきだろうというふうに私は判断します。 ● 御意見が両方出ておりますが,いずれにしても,検討すべき課題がたくさんあるということは間違いないことなので,少なくともそこらあたり,いろいろいただいた御意見をうまく反映したものにしていただくということで,なお次回に備えて御検討いただきたいと思います。   ほかの点はいかがでしょうか。   ○○委員。 ● 24頁の保険金受取人等の意思による生命保険契約の存続,いわゆる介入権のところなのですけれども,2行目の〔一定の者〕なのですけれども,これまでの部会での議論でいきますと,最低限受取人であるということは,何かコンセンサスがあったような気がしますので,この意図が分かるという意味も含めて「保険金受取人のうち一定の者」というふうにしていただいた方がパブリック・コメントとしても分かりやすいのではないかなという感じがしているのですけれども。 ● 25頁の(注2)で「一定の者」の範囲については云々と少し説明してありますが…… ● これは例えばなので,受取人に限るというふうには読めないかなという気はしたのですけれども。そういう趣旨です。 ● 分かりました。 ● ここの部会の議論では,まずは受取人でしょうと。受取人以外の人を認めることはないでしょうという議論だったというふうに私は理解をしていますので,そこは限定した方がいいのではないかなと。 ● では,ちょっと御検討いただいて。   ○○委員。 ● 私が勉強していないのかもしれませんが,親族にしないと機能しないでしょうと言ったときに,受取人に限定するという意識がなかったと思うのですが,そういうふうにしないと助ける人が現れないので,私は親族ということを申し上げたような気がするのですが,そのときに保険金受取人でなければならないというと,それは相当限定されますよね。この制度自体が使え…… ● そういう意味では,部会の中では受取人のうちどこまで絞るのかという議論はあったと思うのですけれども,受取人以外の人で関係ない人で認めるという議論はなかったと思うのです。 ● 私はそういうつもりで申し上げたのですが,ちょっと今,予期せぬあれだったので,ここは当然……   これは受取人の間だと生計をともにする家族ですから,お金を払う能力に非常に限界がある場合があると。だから,私はおじさん,おばさん,親しい信頼できる人がやってきて助けてあげると。何千万もあげられなくて100万とか200万だったら助けてあげられるという形でやらないと実質的に機能しないという趣旨で申し上げたように思ったのです。ですから,ちょっとそういう理解だった,少なくとも私がどこか大きな間違いがあるかもしれませんが,保険金受取人に限定しないで親族にしないと,この制度は機能しないのではないかと,議事録ではそう申し上げたつもりなのですが。 ● 今の点は,○○委員がおっしゃったような御意見もあるかと思いますが,○○委員から御指摘いただきましたとおり,ベースになるのは受取人だろうという発想も他方ではあったと思いますので,あとは中間試案の出し方としまして,先ほどの責任保険のところでも若干申し上げましたが,余りにも本文を丸め過ぎて注に落とし過ぎたことによって,本文が一番典型的にはどういうシチュエーションを念頭に置いて,どういう働き方をするのかというのが若干見にくくなっているかなという気も事務当局としてもしております。   そこを明らかにする過程の中で,例えばこの亀甲括弧もただ裸で「一定の者」というと,(注2)を読めば分かるといえば分かるのですが,本文だけを見たときに,一体どういう場面を典型的に念頭に置いてこれを働かせようとしているのかが読みにくいという面もあろうかと思いますので,そこは仮に「受取人のうち一定の者」みたいな出し方にしても,全体に亀甲括弧を付けて注を付せば,それは受取人に限定せず,むしろ親族とすべきだという意見の受け皿にもなると思いますので,分かりやすさとの兼ね合いでどうするかを事務当局として改めて考えてみたいと思います。 ● ○○幹事。 ● 同じ(5)の問題なのですが,②でただし書があって,「保険者がこれについて反対の意思を表示した場合は,この限りでないものとする」ということは,保険者が反対すると,保険契約者は①の手続が行われた後も,なお保険契約者であり続けると。しかし,そうすると,保険契約者が保険金受取人の変更や保険契約を解除してしまっては元も子もないので,そうできないような規律を設けるというのが(注5)なのですが,ただ,保険契約者が保険料の支払を滞って,支払をしなくなってしまうと保険契約は失効してしまって,この場合も結局役に立たない,せっかく①の手続をしても,保険金受取人としては契約失効してしまってパアになってしまうのではないかという気がするのですが,これは②のただし書を付けてしまうと,もうそれは仕方がないことなのか,あるいは②のただし書を付けること自体が問題なので,ただし書を削除すべきなのか,保険料を払わなければ失効してしまうという問題がありますから,(注5)のこの対処だけではどうしようもないケースがあると思うということをちょっと御指摘しておきたいと思います。 ● ただいま御指摘の点は,第二読会でもう少し具体的な案を提示したときから認識している問題でして,ただ,②にただし書を付けないという選択肢があるかと言われますと,基本的に契約者が変わるのに契約の相手方当事者の了解もないままというのは,なかなか一般的な理論と相容れないのではないかということがありまして,ただし書を付けるのだろうと。   他方で,その場合に契約者の地位が移らないことによって,保険料支払義務者が元の契約者に残って,その人が不払になってしまえば失効するのではないかという問題が残るわけですが,その点はもともと①の仕組み自体が契約者の意思に反して解除がされてしまうのを防いで契約を存続させようというところに発想がありまして,その場合に契約者としては続けたい,だけれども,その意思に反して解除されるのを防ごうということで基本的に考えていますので,①の2行目にありますとおり,契約者の同意を得た上でという要件をかませていて,①が働くのは,すなわち契約者が了解している,同意している場面ですから,あと保険料の支払というのは,同意をしている契約者と手を差し伸べる一定の者との間でしかるべき調整をすべきもので,その調整が図られずに不払で失効した場合はやむを得ないのではないかというように一応整理をしております。その点は補足説明で記載したいと思っております。 ● そうだとすると,(注5)で手当てをすべきなのは,保険契約の解除だけ,つまり,保険契約者の意思によらずに,その背後にいる債権者が解除をするというそれだけを防いでおけばいいのかなと。つまり,背後にいる債権者が保険金受取人の変更までは,多分それは恐らくできないと思うので,解除だけを防いでおけばそれで足りるのかなという気はするのですが。 ● 今の保険料の点について若干補足させていただきますと,一つは(注7)のところに現行商法第652条を引用してございますけれども,保険契約者が破産した場合には,保険金受取人が保険者に対して保険料を払えるというか,規定振りは保険者が請求できるという書き振りになっておりますが,(注7)をこの項目で掲げておりますのは,そういった保険料の手当てについても,少なくとも第652条との関係は整理する必要があろうと思っております。   また,民法第474条の第三者弁済の規定等との関係で,保険契約者でない者が,すなわち,ここで言う一定の者が第三者弁済することができるのか,あるいはした場合にどういう法律関係が生ずるのかという形で,なお保険料の点については,第二読会の資料にも書きましたように,整理をしていかなければいけない問題だと思っておりまして,そこが現在の注で書き切れているのか,あるいはそこは補足ベースで書くのかどうかを含めて検討してみたいと思っております。 ● なお文章説明が十分となるように御検討いただきたいと思います。   また,新しい制度ですので,まだいろいろな見えていない論点があるかもしれませんので,何かお気付きの点がありましたら,事務当局へでも御連絡いただければと思います。   ほかの点はいかがでしょうか。   ○○幹事。 ● ここのところで一応申したつもりだったのですけれども,またコンセンサスでないということになってしまうかも分からないのですが,一定の金額を解除しようとする者に対して支払ってという要件のところに,保険契約者の同意を得た上でということと,②の方で,ただし書で,保険者が反対の意思を表示したら元も子もなくなるというところがありますので,要件の方でも,保険者の同意を得て,効果としては保険契約者の地位が移転するという,そちらでというスキームもあり得るのかなと思ったのです。   解除だけを防いで,結局,保険契約者が破綻しているときですので,保険料を支払えなくて,また同じようなことが起こってしまうというのを防ぐのを②でするのではなくて,要件としてまず保険契約者と保険者の同意を得て,保険契約者の地位を移転して存続させるというような考えもあるのではないかなという意見を述べたつもりでおりましたので,(注5)のような趣旨で御提案いただければと思います。 ● そのような考え方も当然あり得るだろうとは思っておりますが,そういう形にしてしまいますと,言ってみれば保険契約者と保険者の同意でやるというと,三者の合意でやれることになってしまって,法律で仕組むものには逆にならなくなって,合意ベースで受け止められるものということになってしまうかなという思いがございまして,第二読会のときもそうなのですが,①,②の大枠を出して意見照会をさせていただいたらどうかなという考え方でございます。 ● ほかにいかがでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,先へ進みまして,25頁,「3 保険事故の発生による保険給付」の部分と,27頁からの「4 生命保険契約の終了」の2つのパートをまとめて御説明をお願いいたします。 ● 25頁の「(2) 保険金の支払時期」では,部会での議論を踏まえまして一部表現を改めておりますが,その趣旨につきましては,先ほど損害保険契約について御説明したとおりでございます。   続きまして,28頁の(6)では,保険料積立金等を支払う必要があることについて本文で記載し,その額については契約の終了事由ごとに,なお詰めていく必要があるということを(注1)で記載する形にしております。   御説明は以上でございます。 ● それでは,ただいまの部分について,どの点でも結構ですから御意見をお願いいたします。   ○○委員。 ● 26頁の保険者の免責の(イ)の自殺の項ですけれども,これは一種のかぎ括弧で「一定期間経過後の自殺によって死亡した場合」という形にしていただいた方がいいのではないかなと思っているのです。国民的な法観念に合わせた規定にとりあえずデフォルトルールとして,もちろん任意規定で構わないと。   正確に言うと,ここは先ほどと同じように,議事録を見ますと,多寡ははっきり分からないと思うのです。どういう議論が優勢だったかということですので,ただ,国民的な法観念に合わせた規定にする必要があるのではないかという点でちょっと御検討いただければと思います。 ● 今の御意見についていかがでしょうか。 ● 精神障害は除くというのはどこかに書いてありましたですかね。精神疾患をお持ちの場合は,自殺免責から外れるというのが。 ● これまでの検討でそのような実務の取扱いだという御紹介はいただいておりまして,第二読会の資料ではその点,補足の中で書いておりまして,また同じように実務の紹介は補足説明ですることを考えております。 ● ありがとうございました。 ● 免責期間の点はどうでしょうか。ちょっと御意見を。   ○○幹事。 ● 自殺のところですけれども,(注2)で「免責の範囲を一定の期間内の自殺に限定することに」と書いてありますので,一定の範囲内という,具体例は恐らく補足説明で書かれるのかと思うのですけれども,これをぱっと見た段階でちょっと分かりにくい面があるかもしれません。例えば3年とかという数字を入れていただいた方が,より一層意味が分かりやすいというふうに思いますので,お願いできればと思います。 ● (注2)でいいという,そういう御意見。 ● そういうことです。 ● ほかの皆さん。   ○○委員。 ● 素朴な質問なのですけれども,私の考えが間違っているかも分かりませんけれども,(イ)の自殺と(注1)で削った「決闘其他ノ犯罪」というのは,自殺の代替物ではないかなと思うのです。つまり,自殺の仕方はいろいろあって,自ら服毒する方法もあるし,もっと社会的に悪い方に向かって,自殺の代替物としてこういった犯罪,死刑に至るということももしあるとしたら,これを落として自殺が入っているというのは,どういう理由なのかなという。ちょっと私の極端な解釈かも分かりませんけれども,いかがでしょうか。 ● 一応これは別物の免責事由という理解ではあったのですよね。 ● 自殺願望なので,むちゃくちゃに犯罪を犯してしまったというのは,自殺とは違うと。 ● それは自殺に該当する場合もないとは言い切れないと思うし,一応(注1)で出ている犯罪その他の免責というのは,それとは趣旨が違って公益に反するみたいなところがあるのだけれども,他方,読みようによって非常に幅広くなるということですよね。かつ保険会社も,いまだにこういう免責事由を置いている会社もあるけれども,そうでない会社の方が増えてきておるということを踏まえて,(注1)のようなことになっているということかなと思います。   免責期間の点は,御意見いかがでしょうか。 ● 先ほど○○幹事から御指摘があったように,例えば,注のまま残して年数を入れるかというときに,例えばの後が3年ということで,逆に部会の皆さんの御了解を得られるのかといったあたりがよく分からないところでして,そういう悩みもあって,亀甲括弧を付けるにしても,本文の中には掲げにくいかなという思いと,併せて,極端な受け止め方かもしれませんが,その年数を過ぎたら自殺してもというと,今一方で自殺対策というのが叫ばれている中で,そういう,うがった受け止め方をされることもちょっとどうかなといういろいろな思いがありまして,年数を掲げるのはちょっとというのが担当者素案の趣旨でございます。 ● 一応そういうことで。   ○○委員。 ● 議論していないので下に落とすのが筋ということであれば,まさにそのとおりなのですけれども,歴史的に一点だけ申し上げますと,明治に保険契約法をつくったときは自殺は免責と。その後保険業法をつくって,相互会社ができて,○○○○さんが○○生命で保険を始めたときに初めて自殺を担保されて,そのときに他社が一斉に追随して,そこから一定期間は経過しなければいけないと,その後保険は自殺は担保するという観念がほぼ確実だったと思うのですね。だからお願いしたわけですが,これ以上はこだわりません。ありがとうございました。 ● ○○幹事。 ● 28頁の「(6) 保険料積立金等の支払」の点ですけれども,本文自体は恐らく余り異論がないところだろうと思うのですけれども,これが実務でうまく機能するかというところこそが問題だろうと思うのですね。   ですから,以前の資料12などで基本的な計算方法についてのお考えが述べられて御説明があったかと思いますけれども,今度のこの試案からは落ちているということになりますと,一体この意見照会でどこに問題意識を持っていただいて聞いて答えてもらったらいいのかというところがちょっとはっきりしなくなるのではないかという気がします。ですから,例えば,具体的な計算方法とか,あるいは計算方法についての基本的な考え方とか,もし何らか一つの例示でもあれば,そういうことを掲げられれば,具体的なイメージを持って検討できるのではないかと。そういう計算方法をとった場合に実務的に機能するのか,保険契約者側がそういう資料を集めて請求していくというようなことが訴訟などで実際に可能なのかというあたりを,より具体的にイメージして検討してもらえると思いますので,そういうことを御検討いただけないかというふうに思います。 ● (注1)の最初のあたりで抽象的には考え方を書いてあるので,なお工夫をしていただくようにしていきたいと思います。   ○○幹事。 ● ここのところで,前回から申していて保険数理というものが普通に,法律をやっていても分からないですし,一般の消費者の人にも分かりづらいのではないかと思いますので,ここのところで終了した場面のところだけを言うというよりは,前提として保険者というのが一般に公正妥当と認められる保険数理に基づいて保険料を拠出した基金を運用しなければならないとか,そんな前提が,法文に書けるかどうか分からないですけれども,それがあって終了した場合の一定の返還金額が算定されるという規定にされるべきではないかなと思うのです。 それから,補足説明の方で説明していただきたいと思いますのは,これは保険業法の範囲になってしまうとは思うのですけれども,保険会社というのが保険数理というのをアクチュアリー会とかそこの正会員の人がなれる保険計理人という人の意見を得たり,それが行政側に提出されたりしているという実態があってのことなので,それに一般の消費者がアクセスできるような形になるのが仮に理想だとして,そういう実態があってのこういう提案ですというのが分かるような何らかの情報が提供できるような説明をしていただければと思います。 ● 全く○○幹事と同じ意見でございまして,このまま出されますと,(注1)が余りに抽象的なものですから,何が書いてあるかがなかなか分からないということで,賛成も反対もそれ以前という状況になりますので,是非その部分で具体的なイメージが結べるような文言にしていただきたいと思います。 ● ○○委員。 ● 今の(6)の点に関して,私も○○幹事がおっしゃった方向で御検討いただきたいと思いますが,あと一点,各契約共通事項というふうにしていただくわけにはいかないのでしょうか。損保の払戻積立金等についても,もちろん全部同じではありませんが,その点についてもし議論がないなら,項目として損保の払戻積立金等についても同様の規定を置くか否かは,なお検討するという項目を入れていただきたいと。これだけだと生保だけになってしまいますので,議論をされていない…… ● 生保でよく分からないところを損保の方へいきなりいっても,また余計混乱するおそれがあって,今のところは余り触れていないのかなという気がして見ていたのですが,どうなのですかね。 ● 確かに御指摘のとおり,第二読会の資料では補足で損保にも同じ問題があるのでということを注記していたところ,この担当者素案では本体から落ちていますので,それを入れるのが適当なのか,ただ入れると,分からないものが拡大再生産するという気もしないではありませんので,どう受け止めるのが適当か検討させていただければと思います。 ● いずれにしても,そういう問題があるのははっきりしているわけで,これはまた…… ● 補足説明でももちろん結構ですけれども,なしというのはないのではないか。 ● 秋以降,本格的に検討して詰めていく必要がある項目だと思います。 ● お願いいたします。 ● ほかにございませんか。   ○○委員。 ● 今の解約返戻金の箇所なのですけれども,確かに終了のところで消費者にとって一番問題になると思うのですけれども,一方で転換等を考えますと,終了のときだけではなくて,保険商品に対応して保険数理的に公正なキャッシュバリューがあるということが重要で,それに伴って解約した場合には解約控除は保険数理的に妥当なものであるということが保障されればいいので,その辺,終了だけですとどうも解約だけに問題がという気がしないでもないのですけれども,いかがでしょうか。 ● 確かにそういう問題はあることはあるのですけれども,ここのところがはっきりすれば,法文にはなくても基本的な考え方が一致すれば,あとはかなり理論的に一定の結果が得られるかなという感じはいたします。 ● 他の項目でもよろしいですか。一つ重要な問題があると思うものですから,それは27頁の重大事由による解除のところですけれども,①の(ア)のところの規律を見ますと,自殺であっても保険金取得目的の場合は解除できるというふうにも読めるわけですね。つまり,一番シンプルな例は,保険契約者,受取人,被保険者を全部一人で自分でやっているというような場合ですけれども,この資料の33頁の(3)の(注)を見ますと,「傷害・疾病の死亡給付に関する契約については,被保険者の故意(自殺)を解除事由の例示には掲げないものとする」として,第3の4(3)のここが引用してあって,もとはここに自殺か何か入れておられたのでしょうか。ちょっとその趣旨が分からないのですが。   私が誤解しておらなければ,最高裁判所の判例があって,領得の意思があっても,自殺というのは1年とか2年経過後は約款上の免責にならないのだと,平成16年3月25日。これを実質的に変更してしまっているような,つまり最高裁の判例によれば,仮に領得の意思があるというような場合であっても,それは保険金を払わなければいけないのだと言っていまして,これだとさかのぼって解除して払わなくて済んでしまいますので,これは重大な問題ですので,それと同じように自殺未遂の問題もございます。   ですから,(ア)については,自殺,自殺未遂をここに含むか否かについてはなお検討すると。これは全く議論されていない問題で,そういうふうに入れていただきたいと思います。 ● 私,自殺は含まないかなと思っていたのですが,そうではないのですか。 ● 両方とも含まない。 ● 資料では,今,○○委員がおっしゃったとおりの実質を書いているつもりでございます。ただ,ほかのところともかかわりますけれども,全体的に保険契約者と被保険者と受取人が別人であることを前提としたような書き振りになっていて,例えば,保険契約者と被保険者を兼ねた場合に,どちらの文言でどれを読むのかとかというのが,正直現行商法も整理されていないところがあって,恐らくはそういった問題なのだろうと思っております。被保険者の自殺の場合を例示として掲げないというのは,まさに○○委員のおっしゃるとおりの実質を込めていまして,それがちょっと33頁の方で表われているということです。 ● 要するに日本語として27頁の(3)の①の(ア)は,これは私が私を死亡するに至らせた場合を当然含むと読めてしまうものですから。 ● 大変重要な御指摘かと思うので,ちょっと御検討いただきたいと思います。 ● 二重の誤解をしておったわけですね。そのようによろしくお願いいたします。 ● ○○幹事。 ● 今の同じ重大事由解除の文言の点でありますが,①の(ア)のところは「保険金を取得させる目的で」という文言になっておりますが,現在の約款は保険金を詐取する目的となっておりまして,詐取と取得では随分意味が違うのだろうと思いますし,先ほど○○委員が御指摘になった最高裁判例のようなものまで,この文言だと入ってしまうようになっていて,それがもともとの問題ではないかと。つまり,被保険者が経済的に行き詰まって,自殺せざるを得ない状況に追い込まれて自殺をしている。そのときに,もちろん遺族の生活のためには保険金がある。だから,自殺によって負債関係を解消すると,そういう意図を持って自殺をしている場合には,詐取の意図はないのですが,取得させる意図はある。それは経済状況から見て取得の意図があるという認定は多分できると思うので,その場合に借金があって,多額の借金があって遺族に保険金を取得させる意思を持って自殺した場合には,重大事由で解除ですというのは,そういうことは多分想定してこなかったのではないかなと思うのですが,この文言でそういうことにならないのかどうか,事務当局の考えをお聞かせいただければと思います。 ● ここは詐取ではなくて取得させる目的とされたのは,何か理由があったのでしたか。 ● もともと,これこれの目的でというのを加えましたのは,ただ死亡するに至らせ云々というのでは,保険金と全然離れたところも入り込んでしまうことから,これを避けようという意図で付けたものですが,ただ,そのときに詐取に限定すべきかどうかというのは確かに明確に認識していなかったのかなと思いますので,ここはもしそこまで狭めるべしということなのであればそうなのですけれども,それだとまた逆に狭過ぎるかなと。 ● 自殺を含まないという前提だと広過ぎるわけでもないような気もするのですが,どうですかね。あるいはほかの御意見もあろうか思いますが,いかがでしょうか。   殺害する場合ですから,そこは保険金取得目的というのが効いてきてもそうおかしくはないような気もするのですが。   いずれにしても,なお検討していただくということで,ほかの点はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,先へ進みまして,最後に29頁の「第4 傷害・疾病保険契約に関する事項」の全体をまず御説明いただきたいと思います。 ● 第4では,基本的に損害保険契約や生命保険契約の項目を適宜引用しつつ,これらとは異なる点や,傷害・疾病保険契約に固有の事項について記載しております。   第二読会での審議を踏まえて記載いたしましたけれども,記載の誤りあるいは漏れている点等ございましたら,御指摘いただければと思います。   以上です。 ● それでは,この部分について御意見ございませんでしょうか。   ○○幹事。 ● 31頁の真ん中ちょっと上,(傷害・疾病保険契約の成立関係後注)2の契約前発病不担保ルールのところですが,この書き振りですと,何を質問されているのかちょっと分かりにくい面がありますので,契約法上の規律を設けることについては,告知義務やあるいは保険者の保障範囲との関係を含めて,なお検討するぐらいに問題の所在を明らかにしていただければと思います。 ● ○○委員。 ● 今の御意見に賛成で,もっと具体的に,まだ前回の議事録はできていないのかもしれませんが,募集人に告知したけれども,会社に告知が届いていなかった場合を一つ検討しなさいと。もう一つが,会社の審査まで全部受けていたけれども,この条項を使われた場合というのを検討しなさいと。こういう論点等があると,そんな書き振りにしていただくと,はっきりするのではないかと。 ● 本文で,ここの後注でどこまで書いて,補足説明をどう書くかというあたり,そこら辺検討していただこうかと思います。   ○○委員。 ● 補足説明の問題かもしれませんが,一言お願いを発言させていただきたいと思います。   第4の傷害・疾病保険の保険契約の位置付けなのですが,確かに今日のものも細かく読んでいくと第4の(傷害・疾病保険契約に関する事項関係前注)1のところで,第1パラグラフが「一定額の保険金」としっかり書いてありますし,同じ29頁ですが,1(1)の(注3)のところで,損害てん補方式は損害保険契約であると書かれています。関心を持ちましたので損害保険のところも見ますと,18頁のところに,物保険,責任保険契約以外の損害保険の一例として損害てん補方式の傷害・疾病保険契約に言及されております。したがって,行き届いているとも言えるのですが,どうも傷害・疾病保険について社会生活上の観念から入っていくと二つに分けられていて,その一方が第4に取り上げられているというところが分かりにくいように思います。   したがって,そこ自体も保険法部会の一つのかなり重要な提案であろうかと思いますので,私はそのことに賛成ではあるのですが,そこについて,こういうふうに考えているというのをもう少しはっきり示せるようになるといいのではないかと思います。   それから,あともう一つは自信がないのですが,今の話の続きですが,損害てん補方式の傷害・疾病保険で,損害保険に位置付けられるものについて,人保険であることを通して,第4に書かれていることが反映していくべきものがあるのではないかなという意見を私は持っています。 しかし,それはこの保険法部会できちんと議論されたかどうか,ここは自信がありませんので,中間試案に書いてほしいと言えるものなのかどうかが分からないのですが,しかし,問題としてはあるかなと思いますので,できればそこについても考えなければならないところがあるがどうかみたいな形で,中間試案のどこか適当なところにさりげなくかもしれませんが書いていただけると,場合によっては秋以降の議論に役に立つのではないかと思います。ただ二番目の点の方は,これまでの議論を基にして中間試案をつくるという立場からすると,やや飛躍があるかもしれませんので,余り自信のないところですが,以上でございます。 ● どちらとも,誠にごもっともだというふうに思っておりまして,素案を作成した担当者自身も読み直してみて分かりにくいなと思っておりまして,御指摘の点は,今,御指摘いただいたような整理で第2以下,第2の損保,第3の生保,第4の傷害・疾病をこの後仕組んでいますというのをもっと頭の方にきちんと整理して説明する形に仕組み直したいなと考えてございますので,また次回,そういう発想で修正したものをお諮りしたいと思います。 ● 人保険であることで,何か適用したらいいような例というのは考えられますか。 ● そうすると実質の話になってしまうのですが,何を基にして被保険者同意を求めるかという議論になってくるのだと思うのですが,そもそも自分の傷害とか疾病あるいは身体の完全性が被保険利益になっていること自体は,自己決定権の問題なのだという立場をとると,恐らく損害てん補方式においても問題となってくるのだろうと思うのです。   ただ,モラルハザードとかから考えていくと,その人が保険金をもらうのだから大丈夫なのではないかということで出てこないのかなという気もして,実質についても私,意見をまだ形成しておりませんので,あいまいなことに終始して申し訳ありませんが,議論としてはあるかなという感じがしております。 ● 従来,これまで余り議論がなかったので,これで,なお次のステップのときに頭の中には置いておいていただけるかなと思います。   ○○幹事。 ● 今の点に関連してなのですけれども,私も実損てん補方式の傷害・疾病保険を損害保険契約というふうに位置付けて,傷害保険,疾病保険の規定は適用しないとした場合に,具体的に何か問題が出てくるのかどうかというのをいろいろ考えてはきたのですが,一つこれは違いがあるのかなというのは,32頁の「(5) 保険金受取人等の意思による傷害・疾病保険契約の存続」,これが生命保険と同じように,つまり介入権を傷害・疾病保険にも同じように適用すると。   ところが,損害てん補方式の傷害・疾病保険は損害保険契約ですから,このルールは恐らく適用されないはずですよね。損害てん補方式の傷害・疾病保険契約については,余り解約返戻金が多額になるということは考えにくいのだろうとは思うのですが,しかし非常に期間の長い疾病保険契約であれば,解約返戻金がある程度積み上がる契約というのはあり得るわけで,それに対して債権者が解除権を解約してくるという可能性はあると思うのですね。それは損害保険契約だから仕方がないというふうに割り切ってしまうのか,しかし,なぜ損害てん補だったら保護を受けられないのかというのは,私は,むしろ後の方の気持ちが強いものですから,損害てん補方式だと傷害保険,疾病保険の規定が適用されないということで本当によいのかというのは,私はこの点は気になっております。   第二読会の時点では,まだ(5)のルールを傷害・疾病保険契約に適用するかどうかというのは検討するということで確かなっていたと思うのですが,ここでは同じとあって,生命保険と同じように適用するとなっていますので,この中間試案の段階ではこれは少なくとも違いとして出てくると思います。 ● ただいま御指摘の点は,担当者の頭の中では25頁の(5)の(注1)のところで,まさに御指摘の存続させるかどうかという規律は,「その適用範囲(どのような契約を適用対象とするか等)」で,頭の中にはあったのですが,確かにこの仕組み方ですと,他方で損害てん補の損保のところには,あたかも初めからあれは外しているようにも読めてしまいますので,もう少しそこも工夫してみたいと思います。 ● なお御検討いただきたいと思います。   ○○委員。 ● 29頁の(傷害・疾病保険契約に関する事項関係前注)のところでございますけれども,傷害・疾病の死亡給付に関する契約については,基本的に以下と同様の規律を設けることを前提としているけれども,括弧の中にこれを生命保険契約とするのか,傷害・疾病保険契約とするのかについてなお検討を要するというふうに書いてございますが,この辺につきましては,このままだと傷害の死亡給付というのが一体どう違うのかというのが,生命保険との差異が余りよく分からないかもしれませんので,例えば,傷害による死亡につきましては,もともと死亡を保険事故としている生命保険と傷害保険の場合はけがが保険事故でございますので,けがとか傷害によって,その結果として,例えば入院をするとか通院をするとか後遺障害が発生するとかあるいは死ぬとかということがありますので,死亡はあくまでも結果にすぎないという,例えばそういう特質とか,あるいはまた傷害保険は死亡だけではなくて後遺障害とセットで同じ保険金額で通常販売しておりますので,死亡だけを念頭に置いた生命保険とはおのずと商品が違うということでございまして,お客様の方も傷害保険に期待するのは,けががあった場合の一般的な給付である入院とか通院をメインに購入されるという特質。 あるいは,三つ目として,傷害保険は歴史的にも1911年から販売しておりまして,損害保険としてずっとこれまで販売し今日まで至っておりまして,そして死亡保険金受取人を指定するというような生命保険とは異なりまして,基本的には保険者は保険金を被保険者に払うという形でこれまでもずっとなっておりますので,こういうおのずと違う形の歴史があるということ。   それから,最後に急激,偶然,外来ということを要件にしているために,年齢も病歴も健康状態の告知も一切要らないで保険に加入できると,こういうようなおのずと違った特質がございますので,こういう点につきましても補足説明という形でどこかに書いていただければというふうに思っております。 ● ○○委員。 ● 今の観点に関連して,大分観点は違うのですけれども,資料13の3頁に,見ていただく必要はありませんが,要するに,生保が売っておられる傷害保険も何か死亡保険であるかのような記載があって,私はそのときに大分ショックを受けたのですけれども,確かに○○委員がおっしゃったように,疾病死亡というのは常識的には生命保険の死亡に近いようなというのはよく分かりますが,伝統的には保険事故が傷害か疾病か死亡かということで分けてきたと。   私が一番不思議に思うのは,今業法で生,損保が売れる商品がはっきり決まっていて,こういう規定を入れても入れなくても建前を生,損保ともに親会社でやって,子会社で損保に参入する,損保は親会社でやって,子会社で生保に参入する。損得ないはずなのに,なぜこういう敷居を変えようとされるかというところが一番よく分からなくて,あえて申し上げると,何か生保の方でこうやってやると,うまみでもあるのか,何かそういう分野がきちっと決まっているときに,契約法のところであえてなぜそれを変更しなければいけないのかと,これが一番の疑問でして,余り波風を立てないで従来どおりおやりになった方がいいのではないかと,そんなような感じがいたします。   以上です。 ● 今の点,傷害・疾病保険の死亡給付をどう位置付けるかという問題は,保険業法上の議論に何か影響させようという意図は全くございませんので,その点もし誤解があるとすれば一点補足させていただきたいなと思っておりますのと,あとは,この点をどう位置付けるかというのは,まさに個別の規律が生命保険契約とどこまで同じでどこからが違うのか,まず法制的な観点を含めて,どう整理していくか,あるいは最終的には分かりやすさということも非常に重要になってくると思いますので,そこら辺含めて検討していく重要な課題だと認識しております。 ● 全くそのとおりで,影響を与えないのに生保の委員が頑張られたので,それはちょっといぶかしいなと思っただけで,その点をコメントさせていただいただけです。 ● 要するに,事務当局のスタンスとしては,もっぱら法文作成の技術的な観点からこういう立場に立たれて…… ● それは分かっているのですけれども,ただ,生保の方が発言されていたということで。 ● 先ほどの現物給付のときもそうなのですけれども,確かに理屈としては事務当局がおっしゃるとおりなのですけれども,業法の方の規定は一応私法の生保なり損保なり,あるいは保険という概念を前提に条文ができていますので,事実上影響を与えざるを得ないところは否定できないものですから,ですから,別にこちらの方でそういう作業をされるのはいいのですけれども,十分その点金融庁の方と協議をした上で作業を進めていただきたいということだけ申し上げておきます。 ● 御指摘のとおりかと思います。   ほかにございませんか。   もし,これ以上ございませんようでしたら,本日の予定の検討事項について全体的に御意見をいただけたと思いますので,審議の方はこれで終了したいと思います。   事務当局から次回の予定について御説明をお願いいたします。 ● 次回,第14回会議は8月8日水曜日,午後1時30分から法務省第1会議室,今日と同じ20階の会議室での開催を予定しております。次回は中間試案の取りまとめをお願いしたいと思っておりますので,引き続き,どうぞよろしくお願いいたします。 ● それでは,以上をもちまして第13回の会議を終了いたします。   本日は大変長時間,御熱心に議論いただきまして,ありがとうございました。 -了-