法制審議会保険法部会 第19回会議 議事録 第1 日 時  平成19年11月14日(水) 自 午後1時31分                        至 午後6時05分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題 保険法の見直しについて 第4 議 事 (次のとおり)                   議        事 ● それでは,定刻でございますので,法制審議会保険法部会の第19回会議を始めさせていただきます。   最初に配布資料の説明を事務当局よりお願いいたします。 ● 配布資料は,事前に送付いたしました部会資料20と本日席上で配布いたしました○○委員御作成の意見表明資料の二点でございます。 ● よろしいでしょうか。   それでは,具体的な審議に移りたいと思います。   まず,前回の積み残しからということになりますが,保険法部会資料19「保険法の見直しに関する個別論点の検討(3)」の14頁以下,「第11 片面的強行規定の対象となる保険契約」について御審議をいただくことといたします。   まず,事務当局より御説明をお願いします。 ● 資料19の第11では,片面的強行規定の対象となる保険契約について取り上げております。ここでは,中間試案の(前注)3のうち片面的強行規定の対象から外すべき保険契約の内容について,どのように考えるかを検討事項として掲げております。なお,この問題は,具体的にどの規律を片面的強行規定とするかという問題や,どのような約定が片面的強行規定によって無効となるか,すなわち保険契約者等に不利な約定かどうかは当該約定がされた事項だけを比較して不利かどうかを判断することになるのか,それとも他の契約条件も斟酌して総合的に見て不利かどうかを判断することになるのか等の問題とも関連しておりますが,これらの点は個々の規律ごとに御検討いただくこととし,ここでは基本的にどのような視点で考えるべきかについて御意見をいただきたいと思います   部会資料では,一つの考え方として,保険契約者や被保険者の属性によって区別するのではなく,各保険契約において担保されるリスクの性質に着目して区別するという考え方を掲げております。これは,保険契約に関する基本法である保険法においては,個々の規律は当事者の属性にかかわらずに適用されるのが原則であるものの,リスクの性質によっては,柔軟な約定をすることが許容されなければ,保険契約者側のニーズに応じた保険の引受けをすること自体が困難になる場合があることなどから,リスクの性質に応じて一定の保険契約を片面的強行規定の対象から外すという考え方でございます。   このような考え方に基づき,まず,1つ目の類型として,海上保険契約,航空保険契約,原子力保険契約及び再保険契約については,類型的に特殊なリスクを担保する損害保険契約として,片面的強行規定の対象から外すことを提案しております。このほか,信用保険契約や保証保険契約についても,債務者の信用状態に応じて著しく危険が変動する特殊なリスクを扱うものであり,例えば危険が増加した場合に保険者からの一方的な通知によって保険金額を減額することができるなどの特別な約定をするのが一般的であるといわれていることから,この1つ目の類型として整理することも考えられます。   次に,2つ目の類型として,被保険者の事業活動に伴うリスクを担保する保険契約であって,当該事業活動の特性を考慮してリスクの評価を行うものについても片面的強行規定の対象から外すことを提案しております。これは,被保険者の事業活動に伴うリスクについては,一般に保険契約者及び被保険者がリスクの内容に精通していることや保険者よりも多くの情報を保有していること等にかんがみ,基本的には片面的強行規定の対象から外すことが考えられるものの,例えば会社の営業に使用される普通自動車の保険のように,一般にリスクの評価に当たって被保険者の事業活動の特性が考慮されないような場合には片面的強行規定の対象とすることでよいのではないかという考え方に基づくものでございます。   ただ,この2つ目の類型については,当該事業活動の特性を考慮するかどうかという基準があいまいではないかとの懸念もあることから,単に被保険者の事業活動に関して生じた損害をてん補する保険契約などの基準によって区別することや,被保険者が事業者かどうかによって区別することの当否についても検討の必要があると思われます。   また,保険契約者又は被保険者の規模によって区別するという考え方もございますが,このような考え方に対しては,規模が小さくてもリスクが巨大な場合があることや,保険期間中に規模の変動があり得ることなどの指摘がされているほか,これまでの部会でも反対の意見がございました。   以上の点を踏まえて,片面的強行規定の対象から外すべき保険契約の内容に関し,どのような視点で考えるべきかについて御意見をいただきたいと思います。   以上でございます。 ● それでは,ただいまの点につきまして御意見をいただければと思いますが,いかがでしょうか。   ○○委員。 ● 当該事業活動の特性を考慮してリスクの評価を行うという,こういう定義につきましては,多少まだ解釈の余地があるかと思いますが,各保険契約におきまして,担保されるリスクの性質に着目して整理するという基本的な考え方,方向性につきましては,私どもとしては賛成したいと思っております。   保険契約そのものは,なるべく契約者側に義務が生じない形で契約されるのが望ましいわけですが,やはり保険制度そのものがうまく機能しないということになりますと,そこに一定の契約者側に対する義務が発生すると。   さらに,契約者側がより過大な義務を負担したとしても,なかなか得にくいリスクに対するカバーが欲しいと,こういう場合にはやはりそういう道を残しておくことが必要だろうと。片面的な強行規定の適用外とする必要性は,まさしくそういうところにございまして,お客様にとって特殊なリスク,こういうものの保険手配ができなかったり,簡便な方法で契約ができなかったりとか,あるいは安いコストで保険が提供できないという,こういったデメリットがないような道を残しておく必要があるだろうと思っております。   なお,希望でございますけれども,類型的に適用除外とする保険の範囲に信用保証保険というものを是非入れていただきたいというふうに思っております。先回,外国損害保険協会のアトラディウス社が発表された御意見の中にもございましたが,このような信用保証保険は一般的に債務の保証をやっておりますので,元受保険契約は海外の再保険市場と非常に密接に関係しておりまして,しかもまたほかの保証関係の他業態との競争にもさらされておりますので,特殊なリスクを担保する保険として是非適用除外にしていただきたいというふうに思っております。   なお,前回頂だいしました○○委員の範囲につきましての整理ですけれども,契約者の属性に着目するという考え方については非常に重要な視点だというふうに思っております。この場合には,一般消費者の契約及び小規模事業者でリスクの特殊性のない,そういう普遍的なリスクを引き受ける契約につきましては片面的強行規定の対象になるという,こういうふうな整理だというふうに考えております。   以上でございます。 ● ○○委員。 ● ちょっと手書きの汚いもので誠に申し訳ありませんが,簡単に申し上げますと,この資料を配っていただいた理由は,この会で何度も議論された大企業について適用除外にするかどうかという,とても大事な問題だと思いますので,私は大企業を入れるべきではないという意見に対して正面から反論したいと。その理由付けをどう考えるかというそういう観点で書いたものです。   簡単に申し上げますと,今までやはり交渉力というものの中身がきちんとされていなかった。経済学者の方は交渉力というのは言葉自体は冷ややかに見ているわけですけれども,少なくとも異論がないのは,この情報が偏在していると。今回の場合,Bというところに書きましたように,すべてのものが契約者が不利というわけではなくて,やはり契約者の方が情報優位にあるものもあるわけですから,そういう問題と,情報処理能力の問題,これはどういう事実が法律上大事なのか,又は保険のスキーム上,大事なのかということについての理解力に大きな差があると。   次に,そういう差を埋めるコスト,人を育てたりコンサルティングをしたり,もらったりというそういうコストを負担する能力,コストをサービスに転嫁できるか,価格に転嫁できるかと,こういうような問題だと思うのです。そういう意見を踏まえて私は第8回のときに意見を申し上げたつもりなのですが,もう少し直感的に分かっていただけるように書いたと。一番右下のところに小さく書いてありますが,片面的強行法規を適用するというのは要するに契約者保護で,普通の一般消費者はこの(1),(2),(3)の点で大きな差があると。それで,Aの方,ここが抜けているのではないかと。要するに保険契約者がこういう1,2,3という問題を克服できるような場合,私の理解が正しければEUの基準は小企業は除いて,中規模事業者,大規模事業者らを含めて,これは資産基準,売上基準と従業員250人以上の三つのうちの二つを満たすと適用除外なのですね。後で出てくる助言義務なんかもそうですけれども,新しいドイツの法律では新しいリスクとか大規模リスクは適用除外にするという形ですから。   私が何を申し上げたいかというと,大会社という定義だけでもいいから,ここはやはり適用除外の範囲に入れるべきだと。先ほど○○委員からお話があって,私はここを全部お捨てになるのかと。そこは特に企業物件の多い保険会社にとっては非常に利益の源泉のところだと思うのですね。私は中規模の企業のところは自分たちで,そこから上がる利益はある程度しようがないと思われるのはいいかもしれませんが,しかし,大規模というところはこれはある意味ではこの審議会で一番最初にやりましたように,まさに契約は守らなければいけないと,対等の立場にあるから契約自由でやらなければいけないという自由主義経済の原則みたいなところですので,大規模事業者は外すという考え方はちょっとないのではないかというふうに考えまして,こういうことを申し上げたと。   ただ,あと一点だけ付け加えさせていただければ,団体の大規模といっても,多分,生保の団体契約等,契約者は大企業かもしれませんが,実際は被保険者募集といって普通の消費者ですから,そういうものまで含めるべきでないのではないか,それはやはり消費者契約として考えるべきではないか,こういうことを申し上げたいわけです。   ありがとうございました。 ● 今,○○委員から前回配布していただいた資料の御説明をいただきましたけれども,私どもとして○○委員のペーパーのAにあるのを別に意図的に抜いているというつもりはなく,また,この○○委員のペーパーに抜け落ちていると書かれていますが,抜け落ちてもいないのではないかなと思っております。部会資料19の15頁の二つの丸で,こういう視点で整理することでどうだろうかという御提案をさせていただいておりますが,こういう形で整理することによって,必然的に例えば大企業が事業リスクをカバーするための保険というのは二つ目の丸印,あるいは一つ目の丸印で入ってくるのではないかというように考えておりまして,あえて大企業かどうかといった視点を持ち出すまでもないのではないかというように考えております。 ● 多分,論点になるのは大企業がする火災保険とか自動車保険とか,そのあたりは御説明を伺っていると適用除外にはしないということのように聞こえたのですが。そこが一番の論点で。 ● 部会資料19の15頁の二つの丸で,○○委員の二つの円のすべてと完全にオーバーラップしているかというと,それは完全ではないと思います。ただ,そこで漏れてくる部分について,さらに片面的強行規定の適用対象から外さなければいけないかと逆に問われると,今,○○委員が例に挙げられた火災保険にしても,自動車保険にしても,それはそれで片面的強行規定が適用されても何ら支障がないケースなのではないかなというように思っておりまして,そこであえて契約者が大企業だからということで片面的強行規定を外す必要性は逆にないのではないかなというように感じております。 ● そこがやはり一番の違いで,私はなぜ大企業が普通の消費者と同じような保護を受けなければいけないのかと。大企業は,そういうコストを,保険のこともよく,例えば企業の何とか保険サービスというような会社には保険会社の社員よりも詳しい方だっていらっしゃるわけで,普通の火災保険,自動車保険等のものであっても,それを片面的強行法規の適用対象にするという,こういう根拠付けをする限りは,大企業というか,一定規模以上の企業は入らないのではないかというふうに,理論的にはそう考えないといけないのではないかという意見です。 ● 保険の引受けの実務的な観点からいって,今の大企業が例えば何か大きな工場があって,それに火災保険を付けるなんていうときは,当然事業のリスクとして見ていると思うのですけれども,普通のビルとか自動車をたくさん持っているというのは,これも運送業みたいなものをやっていれば当然事業として,自動車保険ではあるけれども事業として,リスクを評価して保険を引き受けているのではないかと思うのですが,それが例えば普通の事業会社で,でも車もたくさんあるから自動車保険もまとめて大口の契約でやっている,こういうときに15頁でいっているような事業活動に伴うリスクとして見ていくことになるのか,いや,全く私個人が持っている自動車とか建物と同じリスクということになるのかという,そのあたりはどうなのでしょうか。この15頁の提案はそこら辺は企業が持っているものはやはりかなり幅広く,二つ目の丸でカバーできて片面的強行規定から除外されていくのではないかという立場でつくられていると思うのですけれども。 ● 全く認識は同じでリスクは同じものだと思うのですよね。でも,そのときに保険契約をするに当たって,その内容,当事者との交渉力が同じではないかと。同じなときまでに。 ● リスクは同じなのですか。 ● 全部同じとは……。今,言っておられたのは,自動車保険とかそういうもの,営業用自動車の場合ですか,商社が持っている営業用自動車とか。全く同じとは言えないけれども,近い方だと言われればそれはそうかもしれない。でも,そのリスクに着目するのではなくて,私はやはり契約者に着目して見なければいけない部分は抜き難いのではないかなと,ヨーロッパとかそういう法制を見ていますと。   ただ,結果としてほとんど同じになるという,もっと具体的なところを見た段階でまた申し上げるということでももちろん結構ですけれども,要するに意見の違いはそのあたりにあるということは確かだと思うのです。 ● ○○幹事。 ● 今回,事務当局の方から出されてきたこの二つ目の丸の「当該事業活動の特性を考慮してリスクの評価を行うもの」と,これは新基軸というか新しい基準を出されてきて,もしこの基準,メルクマールがうまくいくのであれば大変いいかなと思うのですが,問題はここでいう事業活動の特性を考慮してリスクの評価を行う保険の範囲というのが明確に比較することができるのかというところが気になっておりまして,例えば,当該被保険者,保険契約者の事業の内容について個別に聞いて,そしてこの事業のリスクはこれだからということで,まさに相対で保険料率を定めるようなケースというのはこれに当たるのだろうと思うのですが,そこまで個別に聞くわけではなくて,しかし事業内容は異なるから,こういう事業の場合は保険料率はこれですねと,24時間営業の店についてはこういう危険がありますからこうですねと,しかし24時間営業ではなくて普通の朝10時から夜8時までの営業の店についてはこうですねというふうに。しかし,これも事業活動の特性を考慮してリスクを評価しているのではないかと思うのですが,典型的には店舗総合保険という保険があると思うのですが,これはやはり何を売っているのかとか,あるいはどういう時間帯で営業しているのかとか,そういうことも評価して保険料率を決めているのではないかと思うのですけれども,そういった店舗総合保険というような保険は,ここでいう当該事業活動の特性を考慮してリスクの評価を行うものに当たるのかどうなのか。このあたり,ちょっと感触をお話しいただければと思います。 ● 今,○○幹事から例として出していただいたケースであれば,それはまさに店舗そのものを事業として使っているということになりますので,ここで言う二つ目の丸印の事業活動の特性を考慮して評価する一類型として恐らく含まれることになるだろうというふうに考えておりますが,ただ,まさに御指摘いただきましたとおり,また,先ほど事務当局の説明でも申し上げましたとおり,こういうメルクマールで本当に明確な線引きができるのかという問題意識は私どもも持っておりまして,ですから,この視点で最後まで行けるかどうかというのは若干自信のないところもございます。   ただ,今回こういう視点を提示させていただきましたのは,保険法において片面的強行規定の線引きをどういう視点でするかというと,まず保険である以上,最も保険の特質が現れるリスクの性質というところに着目するのが,言ってみれば正しい攻め方なのかなということで御提示させていただいて,ただ,この二つ目の丸印のメルクマールが明確な基準として確立できるかについては,今日の御意見も踏まえてなお検討したいと考えているところでございます。 ● そうだとしますと,小規模事業者であっても,それこそ町の八百屋さんであっても,その店舗に掛けるのは一般の住宅火災保ではなくて,普通は店舗総合保険かなと思うのですけれども,そういうふうに見ていきますと,事業者が掛ける保険というのはたとえ規模が小さくても,やはり事業活動の内容を見て保険料率が決まってくるような保険だと思いますので,結果的に小規模事業者,零細事業者に片面的強行法規の規定が適用される保険というのは,自動車保険のようなそういうものに限られてしまうのかなと思うのですが,そういうことなのでしょうか。 ● 私の最初の申し上げ方が不正確だったかもしれませんが,一口に店舗と言いましても,例えば八百屋を営むことと火災等が何か結び付いているのかと言われると,例えば先ほど例に出されたコンビニとかですと,中でおでんを売っていたりとかで火気を使うとかいろんな要素が入ってくるかもしれませんけれども,言ってみればここでそういった特性を考慮してリスクを評価するかどうかというメルクマールですので,一口に店舗と言っても,店舗であれば,あるいは店舗として事業を営んでいれば,すべからくこの二つ目の丸印に入るということでもないというふうに思っていまして,その意味ではそこで線引きに自信がないと申し上げたことにつながるのですけれども,そのあたり,まさに事業から来るリスクと結び付く保険かどうかというところかなというふうに考えております。 ● ○○幹事。 ● 今のこの二つ目の丸ですと,事業活動の特性を考慮して保険料の算定などを行うものはすべてあらゆる片面的強行規定の対象から外れてしまうのか,オール・オア・ナッシングで全部外してしまうのか,それともリスクの引受けに関する規律でそういう契約自由を残す必要があるものに限って,個々の条文ごとに特則を置いて外すのか,二つ方法があると思いますし,ドイツの保険契約法,昔の改正前のもので見た記憶では,一番後ろで一括してごそっと適用除外してあるもののほかに,章とか節ごとに,本節の規定の中ではこれとこれとこれが片面的強行規定であると,そういう定め方をしてあったりとか,あるいは個々の条文の中に,一番最後の項に本条の何項の規定は契約者の不利に変更することはできないとか,そういう規定になっているような規律の仕方もあったように思いますので,これをすべて一括して外す,個別の規定については見ないという御趣旨なのかどうかということをお聞かせいただければと思います。 ● 今の点はそういうきめ細かな仕分けができればより理想的なのかもしれませんが,ここでは一括して考えてございます。 ● ○○委員。 ● 今の関係なのですけれども,例えば生命保険の団体生命保険だとか,あるいは年金保険,それについては例えば資料12頁で,いわゆる介入権のところで団体生命保険は規律の対象としないとかありますけれども,この規律については例えば片面的だけれども,これは外しますとか,そういう部分はあり得るという理解を私はしているのですけれども。そういう意味で今回,損保のことしか議論されていないですけれども,いわゆる生命保険の団体保険について言えば,それぞれの規律ごとに,例えば全体としては片面的強行規定だけれども団保は対象外ですよという議論はあり得るという整理で私は理解しておったのですが。 ● 議論としてはあり得ると思っておりますが,ただ,ここまでの検討の過程では,恐らくこれまで検討されてきた個々の規律の内容に照らして,規律ごとに片面的強行規定にしたりしなかったりという仕分けをするまでの必要はないのかなと一応考えております。 ● 結果論としてそれはいいのですけれども,そういうことは検討の考え方としてはあり得るという前提で理解していたので,オール・オア・ナッシングだとされると非常に……。 ● それを否定する意味では全くございません。この15頁の提案で,しかもそれは今御指摘がありましたとおり損害保険を念頭に置いたこの提案について,どういう考え方に立って御提案させていただいているかというと,それは個々の規律ごとではなくて一括で考えているということを申し上げたということでございます。 ● そういう意味では,ここはそうだけれども一つ一つについて除外だとか対象外だとかいう整理は別途あり得ると,そういう理解でよろしいですよね。 ● そういう考え方を否定するものではございません。 ● 片面的強行規定にするかどうかということではなくて,12頁の例のようなものだとそもそも対象外と,そういう検討になると思うのです。   ○○幹事。 ● 先ほどの続きなのですが,リスクの特性,事業活動の特性を考慮してリスクの評価を行うものについて,なぜすべて外れてしまうことが当然の結論になるのかということについては,私は逆に説明が付きづらいと思っておりまして,資料でいただきました片面的強行規定とする方向で検討するとされた項目のうち,そういう観点とは関係なく挙がっているものはあるのではないかというふうに思っております。   例えば,告知の際に質問応答義務であると不都合であるからこれを外すということの必要性はよく分かるのですが,むしろそういう必要性があるものについて,そういう必要性がある条項に限って片面的強行規定を外していくという方が弊害は少ないのではないかと思っています。   店舗総合保険で,中華料理店とかそういったところで火気を使用するから保険料が高いと,これも含まれるとかということになりますと,これはかなり実質的には個人事業者であっても,業種によって保険料が違うというそれだけの理由で全部外れてしまうということになるのは少し抵抗感があります。 ● どの基準をとっても世の中のあらゆる事業者を考えたときに,片面的強行規定にした方がいいものと悪いものというのは,個別にはいろんな保険ごとに,また事業者ごとに考えられると思うのですけれども,それを個々別々の事例ごとにケース・バイ・ケースで判断するわけにはいかないわけで,どこかである程度丸めることは必要かなという気はするのです。その切り口としてどういうものをとるかということであって,単にもう事業者か消費者か,今の消費者契約法と同じように分けるというのが一つで,これもまたいろんな批判があり,ではもうちょっと実質を見ようというような,先ほど○○委員も御指摘になったような実質的な規模で考えるというのも,これもまたしかし,EUはなぜあれでもっているかというと,監督法の適用基準をそのまま契約法で借用しているから実際あれで持っているところがあるわけで,こちらは契約法だけで物事を決めようということで,監督法に今そういうのがあるかというと,これはまたないわけで,そうするとなかなか外国であったり,日本であったりするような基準というのは,なかなか適切なものがないねと。そこで事務当局として考え,今日提案しているのが二つ目の丸ということなのですけれども,これも一つずつ考えていくと,なぜこの基準で分けられるのかというと,なかなか苦しいところはあるかと思うのです。そういう中でどういう選択をするかと。理屈の上で全部きれいに割り切れて,適用もはっきり,事前に予測可能というのがあれば一番理想なのですけれども,そういうあらゆる理想的なことを求められてこれはそれに合致しないと言われても困るなというのが事務当局の感想だろうと思うのです。そういうことを踏まえて御意見をいただきたいと思います。   ○○幹事。 ● 今の○○委員の整理のとおりだと思うのですけれども,どこかである程度の線を引かざるを得ないと,それには過不足があるというのはおっしゃるとおりなのだろうと思います。そのときに,では消費者ということで線を引くのか,それ以外のところで線を引くのかということなのですけれども,消費者契約法の場合もそうですけれども,消費者というところで線を引きましても,今度は消費者性というものが問題になって,小規模事業者のときに消費者契約法でいうところの消費者に当たるのではないかというような議論が日本でもありますし,諸外国で消費者保護法令の適用について必ず議論になるところなのだろうと思います。   それは,小規模の事業者の中には消費者と同様に扱うべきものがあるのではないかという,どこの国にも共通に見られる問題というのが存在するからなのだろうと思いますけれども,先ほど来,○○幹事や○○幹事がおっしゃっているようなコンビニですとか,中華料理店ですとか,個人事業者のようなものについて,果たして強行規定を外していくのが妥当なのかというと,ほとんどの場合には外すまでもなかろうというのがここの共通の理解なのではないかと思います。もし,そこがやはり外す必要があるのだということであれば別ですけれども,仮に原則としては外す必要がないのだというのが価値判断ならば,その多くの場合を取り込めるような基準というものを考える必要があるということなのではないかなというふうに思っております。 ● ○○幹事。 ● ちょっと妙なことを考えているのですが,契約者側が事業者である場合に,先ほど指摘されましたコンビニとかあるいは小規模事業者とこういったときに,消費者契約法等のいわゆる消費者としての保護を受けたいという希望をするような場合と,いや,もうちょっと自由に縛りなく契約の自由を享受したいという場合もリスクの性質によってはあり得ないではない。今,提供されている商品で,例えば自動車保険ですとか火災保険などのような場合ですと,いわゆる消費者型の保護を要する形での契約もできますが,ちょっとそれを外して,自分独自のオーダーメード的な形の契約も事業の性質上あり得るものがあるとすれば,必ず常に片面的強行規定等が適用される契約しかできないのですという形にしておくのもやや窮屈かなというふうに思いまして,その部分について,あくまで重なり合う場合ですが,その危険については場合によったら契約者に選択を求めるようなことも考えられませんかね。すなわち消費者として保護されるような形の契約として,その保険会社と契約をするという場合,通常の普通保険約款等を使ってやるということに多くはなるのだろうと思うのですけれども,それとは違った形でまさに契約自由のタイプで事業保険としてもう少し自由にやりますと。その場合には,片面的強行規定等の方は要りませんというような選択を許すというようなことは考えられないのかなと。ちょっとそのあたりが,もしそれができるのであれば,一般的には片面的強行規定の保護がある契約として何も言わなければその契約は片面的強行規定の適用があるのだと。しかし,当事者がそれを合意して外すというようなことがもしできるのであれば,そちらの方がいいかなというふうにも思ったのですが,ちょっと変なことを言っているのかもしれません。 ● 金融商品取引法のプロ・アマ論のような感じもして,あれだと,ではアマがプロになる,プロがアマになるという大変な規制が,細かい規制が必要なようなので,そういうのがこの世界に持ち込めるのかなという印象が。   他方,法の適用に関する通則法だと,消費者保護の強行規定を消費者が適用してくれと言ったら適用されるみたいなルールがありますよね。だからああいうことに近いのかなという気もしましたけれども,どういうことなのですかね。 ● 今,○○委員から通則法の例,確かに第11条にそういう規定がありますけれども,あれは準拠法だからそういうことができるのかなという気がしますが,片面的とはいえ強行規定であるのにそれを合意で外せるというのは,一体それは何なのだろうかということになります。したがって,それが片面的強行規定であるということは別な合意ができますよということだけであって,合意をしなければその部分は適用されるはずですので,そこはある程度対象者になったとしても柔軟にやり得るのではないかなと思います。 ● ○○委員。 ● 今,○○幹事のお話を実務の面で考えてみますと,実際には本来契約者が過大な責任を負担しても入手したい保険があるとか,安く買えた方がいいとか,便利に買いたいと,こういうニーズがあるものに対して道を開くということだと思うのですね。その意味で実際問題きちっと線が引ければいいのですけれども,なかなか線が引きにくいと,したがって,本来こういうところは一般の消費者と同じように保護すべきところが必ずしも法律的には保護できない世界に入ってしまうかもしれないという御懸念があると思うのですけれども,では実際どうなのかと考えてみますと,それは片面的強行規定の内容を体現したものが約款でございますので,先ほどの店舗総合保険も含めまして,普通の約款では,恐らく,例えば通知義務は遅滞なくとか,いわゆる新しい消費者保護的な規律に従った約款がほとんど使われるだろうと。ただ,ほとんどそういうものにつきましては,恐らく今後間違いなく中小規模の契約者につきましても消費者保護的な考え方に従った規律になりますので,そこは余り御懸念されることはないと思うのですが,ただ仮に中小企業の会社の方が何かより有利な方法とか,自分がより過大な負担をしても構わないから,責任を負担しても構わないから,より便利なもの,あるいは手に入れにくいものを是非手に入れたいというときに,法律で片面的強行規定の対象になってしまうと一切その道が閉ざされてしまいますので,そこを私どもは懸念しているということでございますので,実際問題,消費者とか,小規模な契約者とかが不利益を被るような事態に追い込まれるということはないものというふうに私どもは思っています。 ● ○○委員。 ● 前から申し上げていましたけれども,規模の大小とリスクとはちょっと次元が違うのではないかと。例えば,規模が小さいベンチャービジネスであれば,非常にリスクという意味では大きなリスクをとったり,もしくは柔軟な,チャレンジングなことをされると。それをやって柔軟な契約形態にしたいというニーズは当然ありますので,規模で保険を切るというのはどうも経済の現場にいたものとしてはピンとこないと。   それから,片面的強行規定が外れたら突然保護はないかということは,私はユーザーの立場なのですけれども,結果として,これは保険会社さんと同じ見方であります。市場というものがあるわけですから,もし一方的であればほかの保険会社へ行くだけのことだし,日本の保険会社全体がそういうふうな条件を押し付ければ外国の保険会社から買うだけのことですし,そういうことを言うと基本的にそんなに規模が小さいから保護しなければいけないというのはむしろ逆効果で,逆に企業の方を縛ってしまうというような気もしますので,御提案の事業の性質,特性で事業活動からくる保険に関しては片面的強行規定を外すという,こういう基本的な考え方は全く賛成でございます。確かにこの特性という言葉をどうやって今後定義されるのかと,大変難しい問題があるかなと思います。 ● ○○委員。 ● 先ほど○○委員がおっしゃった全体的な見方というのはそのとおりだと思いますけれども,二つだけ簡単に申し上げさせていただきますが,○○委員,それから○○幹事と○○幹事もおっしゃったことですけれども,やはり実質消費者という人たちに与えられるべき保護が与えられなくなるというのはちょっとまずいので,そういう観点から,先ほどから問題になっています当該事業活動の特性を考慮してリスクを評価すると,やはりリスクが火災とか普通のリスクであれば,それは別に契約者の優位とかそういうことはないので,やはりそういうのはきちんと保護していかないといけないと。   ただ,リスクの中身が問題で,私は図表でBと言ったのは,結局契約者の方が何か優位にあって,保険会社にとってはそれは分からないというような,そういうようなもので初めて適用除外ということなのだと思うのです。   それから,あとEUの規制ですが,不勉強ですから,もし私が間違っていたら正していただければと思いますが,確かに監督法もそうですが,保険以外のところでも適用除外の三つのうちの二つというのは使われておりまして,私はそれは理由があることで,ここで述べたような,結局最終的にいろんな格差をコスト的にカバーできる力があるかどうかというところがポイントなのだというふうに思うのです。ですから,○○委員がおっしゃったことは,小さくても特殊なリスクのあるやつは適用除外しなければいけないし,しかし大規模かどうかというそのことから生まれるのは格差を埋め合わせる力がきちんとあるわけで,そういう点に着目して,適用除外を外すということは十分あり得ることだと思うのです。   ただ,最終的にはもう少し具体的なところへ行って,こういう最終の姿を見ないと本当の議論はできないのかなという感じもちょっと今しております。   以上です。 ● 事業活動に伴うリスクという言葉で,実質判断で分けていこうと。これは言葉の上では個々の保険がどうかというのは,なかなか難しいと思うのですけれども,そこは実際にある保険を,これはどちらに当たるのですかねというふうに考えていけば,それはそこで解釈として決めれば物事は世の中で動いていくような気もするのですが,かといって法文がこれでいいかと言われるとなかなか難しいところもあると。   そこで先ほど,いざとなった場合に事業者かどうかという,○○委員はそう言われるけれども,恐らく規模というふうな面で分けるのは難しいのではないかという判断で,そうなるとあとは事業者かどうかということなのですが,そのあたりの基準になった場合にこれはどうしても不合理だというふうな御意見はございますか。   実態として,これまで何か中小企業も買わなくてはいけなかった保険について,その手の保険は先ほど○○委員が言われたように,約款のつくりというのは消費者向きの保険と大体同じつくりで,そこは何か消費者か事業者かで分けたときに,突然中小企業向けの保険を従来より峻別して,そこへ突然大企業向けの約款,個別の交渉でできるような契約条項を使ったような保険が現れるとは一般的には余り考えられないような気もするのですが,そこはやはり懸念があるという御意見ございませんでしょうか。事業者であると全部片面的強行規定性が及ばないとなると不安があると。   ○○幹事。 ● 確認になるのですが,今,○○委員がおっしゃったように,一般的に普及しているタイプの約款を使った契約をする場合は当然片面的強行規定等の適用がありますと。 ● 消費者向けにつくっている保険と同じようなのを使えばそちらの強行規定というのは制限がおのずから適用されてくるだろうと。 ● 今,御提案になっている事業活動の特性を考慮してのリスクというところで,消費者型の保険契約以外の形で契約をすると。こういう場合は当然外れますよということになるのだとしたら,同じ火災危険だとか自動車保険にかかる危険だとしても,従来型の契約でやりたいとすればそちらの約款を選択すると。ちょっと外そうと思えば,事業で使っているのだから事業の若干の特性を考慮して契約をするのだというので選択をして,契約自由の世界へ入っていくと。こういうことが可能であるというふうに,これは同じリスクについてどちらでも契約できますよというのであれば,私が先ほど言ったことと実態的に何も変わらないので,それでいいかなと思うのですけれども,一方を強制されるというお話になるとちょっとそれは事業者として窮屈な,あるいはしんどいことになりはしないかなと,その懸念だけを私は思った次第です。   要するに,常に片面的強行規定を適用しなければならないリスクというのが固定してしまうというのだと,事業者の保険のところだけを考えるとちょっとしんどいかなというふうに思ったので,今,御提案になっている中身でそれは十分選択可能ですよと,つくり方で,というのであればそんなに実態的には変わらないかなというふうにも考えたのですが,それは違いますか。 ● 片面的強行規定性によって契約の自由が少し狭まることが問題だというふうな観点。 ● それで窮屈になるというのであれば,保険会社としても中身をつくりにくいし,事業者の求めにフィットする保険が手に入りにくいということなのであれば,やりにくいなという話になるのでしょうが,それはここで今,御提案になっているような事業特性のところでカバーをして,そこはこれを選ぶのであれば契約自由の世界でできるのですという切り分けができるのであれば,実害は残らないかなというふうには思ったのですけれども。 ● 先ほどの御説明だと,この事業の特性に応じてというのはかなり,先ほどの店舗総合保険のようなものも入るとすれば,かなりその範囲が広そうではありましたですね。 ● 解釈にかかってしまうのですけれども。 ● ○○委員。 ● 少し伺っていたのですけれども,基本的なことがよく分かっていないかもしれないので質問をさせていただきたいのですけれども,消費者契約法の話からさせていただくと,消費者契約法というのは同じ約款を使っている,例えば電話の契約であっても,使う方が事業者ならば,NTTと事業者の契約であれば消費者契約法が適用されないし,私であれば消費者契約法の適用があるという,そういう仕掛けだと思うのです。   ここでやっている話がそれと同じなのか,違うのかというところがよく分からないのですけれども,何人かの比較的保険の専門家の方々は,商品という概念がそれなりに実体を持っておおむね共通しているのかもしれないのですが,電話の話をすると,多分それは同じ商品なのだと思うのです。同じ商品でも,相手が消費者か事業者かで消費者契約法というルールが使い分けられると。しかし,ここでは商品単位に考えようとしているとすると,消費者契約法とは違うなと思うのです。そうなのか,そうだとすると広い意味での火災というリスクを担保する同じ保険商品でも,一つは消費者向けの火災保険契約があって,もう一つは事業者向け,あるいは事業活動に伴うリスク向けの火災保険契約があって,そして後者の方だと片面的強行規定と違う規定を置いても無効にはならないと。そういうことをされようとしているのかなとも思うのですが,そういう理解でいいのかどうか。   そうだとすると,そのとき事業者は二つ目の保険しか買えないのか,それとも自分にとって不利なことがあるかもしれない,○○委員がおっしゃるような観点からすると,みすみす不利な方を選ぶのかもしれないけれども,しかし安心だということで消費者向けの片面的強行規定で装備されたそれを買うことはオーケーというか,オーケーでないということもなさそうなのですが,そういうのは十分にあり得るというように考えていらっしゃるのか。そして,オーケーだとすると○○幹事がおっしゃった両方できるというような世界になるのかなと思うのですが,その辺がすみません,分からないことが幾つかありますので説明をしていただけるとありがたいです。 ● 今,○○委員がおっしゃった,どちらの見方をしているかというと,消費者契約法はまさに契約主体が消費者か事業者かで分けているということでしょうから,だれがやったかによって決まってしまうということで,資料の15頁の提案は契約主体では見ていませんので,消費者契約法と同じかというと違う見方をしておりまして,まさに契約がここで書いたような視点で締結されるもの,一つ目の丸と二つ目の丸でまた違うというちょっといやらしさがありますけれども,1つ目の丸はもう契約類型だけで,契約の類別というのでしょうか,それだけで見ていますので,だれが契約主体になろうが契約の種類に当たりさえすれば,もうそれだけで外れてしまうと。   ところが,二つ目の丸は主体を問わない形になっている上に,かつ,ひとくちに火災保険あるいは自動車保険といってもそれだけで外れるということではなくて,同じ類型でも契約の仕方によって外れたり外れなかったりするというのが変わってくるということでございます。 ● 同じ約款でも,この丸に当たる場合と当たらない場合がある。そして,人によっては片面的強行規定が働くから,この何条の約款は無効になるけれども,人によっては,あるいは結び方というのでしょうか,今おっしゃった結び方によっては,この人は事業活動のリスクを担保するために結んだのだから,その規定が保険法の規定と違っているけれども,片面的強行規定ではないからオーケーですと,そういうふうになる。 ● 同じ約款でもセーフになることもあれば,その一部がアウトになることもあり得るという。 ● その限りでは消費者契約法と同じですよね。普通は自動車保険を同じ約款を使って売っているけれども,それが消費者にとっては無効に,消費者契約法違反で不当条項で無効になるかもしれないけれども,事業者に対しては無効が及ばないというのと,結果的にはそれと同じになるかと思います。 ● 分かりました。 ● ○○委員。 ● まとめなければいけないのだと思いますけれども,○○委員がこの前に,最後に事業者という点で集約するというのはどうですかと確かおっしゃったわけですよね。それは事業活動の特性を考慮してのリスクの評価というのとは別な意味でおっしゃったわけでしょうか。 ● 実質判断は難しいということになると,形式基準によるしかないと。 ● その場合の御判断は,要するに,確かに小規模のところはあるけれども,事実上そこで悪いことをやろうと思えばできるかもしれないけれども,現状としてそこまで行かないだろうと。そういう意味では大会社という極端ではなくて,事業者で,そういう案であれば私はそれでもいいと。ただ,その理解はここにある事業者であればそういうコストを製品や何かに転嫁もして,それなりに事業者団体で保険のことも相談したいとかいうそういうこともある,とにかく理論的な理屈付けはそういう上ですべてを細かく決めることはできないから,事業者という場合は基本的に事業者に着目して適用除外を外していくと。そういうことであればそれは賛成したいと思います。   あと,○○委員の御質問ですけれども,私の理解は商品で行くものと,だれがやるかというのと,両方どうしても出ざるを得ないと,この再保険と海上保険とかというグループ等,そういう理解です。 ● ○○委員。 ● 議論を聞いているうちにだんだん分からなくなってきたのですけれども,要するに,基本的には零細な,物言わぬ零細事業者さんを何とか守ってあげたいと。そういうところから発してスタートしているのですけれども,同じ約款なのに商品ではなくて契約主体で,その契約主体にどちらかをチョイスさせるのだと。現実にそんなことができるのだろうかというのが,現実に,先ほど何かラーメン屋さんとかそういう話をしていましたけれども,例えば八百屋さんなら八百屋さんが,自分は火災保険を付けますというときに,これは事業者としてやっているのだという強い認識の下にやれば,片面的強行規定を外して,例えば,もっと消費者向けより廉価な保険料で契約ができるのだと。そうではなくて,安心を買いたいから消費者並みにやってということになれば,片面的強行規定がばっちりかかって,消費者並みの保険料になるのだということをおっしゃっているのだろうなと,こういう理解でいいか分からないのですけれども,そういうことだとすれば,それが肝心の零細な事業者さんにきちんと認識でき得るのだろうかと,同じ商品を売って。   例えば,消費者契約法なんかの話でいうと,契約時点の販売方法という問題がまずあるから,そこの部分である意味分けられ,事業者なのに消費者並みの売られ方をしているみたいなところが多分あるのかなと思うのですけれども,今のお話でいうと,肝心の小規模事業者さんにそういうことがきちんと認識し得て,チョイスが本当に可能なのだろうかというところがちょっと分からなくなりまして,どうなのだろうかなとちょっとお聞きしたいなと思って手を挙げました。 ● どの基準に対してそういう御疑問をお持ちになっているのですか。今,何に対して疑問を持たれているのかよく分からなかったので。 ● すみません。同じ約款なのだけれども,その事業者さんが消費者側からアプローチをすればこうで,事業者側からアプローチをすればこうでという,そういうお話ですよね。それでいいのですよね。そのときに肝心の当該事業者さんがそのことをきちんと認識して,そういうチョイスができ得るような,現実に売っている商品がそういうものなのだろうかと。そこが本当にできるのだろうかというのが大変素朴に疑問で,そうすると一番最初のスタートのところに零細な物言わぬ事業者を何とかしなくてはいけないというスタートと,結果としてずれてしまわないかなというのがございまして,○○幹事に聞いているかどうか自分でもよく分からないのですけれども,御質問させていただきました。 ● 今,御指摘の御懸念はある意味でもっともだと思います。先ほど○○幹事からも御指摘がありましたように,ですからそれが常態というとちょっと語弊があるかもしれませんが,多いとすれば,むしろそれを取り込んで保護の対象とするような形で線を引くべきだというのは,私も一つの正論だと思います。   ただ,逆にそこで線を引いてしまったときには,○○幹事から御懸念を示されたとおり,仮に判断能力もあり,あるいはそういう保険を締結をしたいと考えた人が自分の判断でいろいろやろうとしたときにできなくなってしまうというような線引きになってしまうという懸念がありまして,そうであれば,そこはそんな保険者側があくどい売り方はしないだろうということに期待をして,線引きとしては選択したいという人が出てきたときにそれを選択できる,あるいは,選択というとちょっと変ですけれども,どうしても自分としてはこういう形で交渉ベースでリスクをカバーしてもらいたいという人がそういう交渉の余地が残るような線引きをやはり採用する方が適当ではないかなということで,御懸念もっともで,それも正論だと思うのですが,それで線を引いてしまったときにちょっと窮屈なことになりはしないかということで,○○委員から御指摘がありましたように,どこかで線を引かなければいけないとなったときに,どちらを選ぶかと言われると,むしろそれは広めに外して,片面的強行規定の対象からは外しておくべきではないかなというように考えているということでございます。 ● ○○幹事。 ● 私は,先ほど○○委員がされた質問と全く同じ印象を持ちまして,これは保険法の方々と違う前提で考えているからそういうふうに思うのかもしれませんけれども,○○委員も先ほどそういうニュアンスのことをおっしゃったのかなというふうに思って伺ったのですけれども,商品として消費者向けのものの商品であるのならば,15頁の基準との関係でいいますと,二つ目の丸の事業活動に伴うリスクを担保するという形でそのリスクを評価するのではなくて,およそ一般的なリスクを評価するそういう商品を買ったのだと,その場合のリスク評価と個別の事業活動に伴うリスクを評価した場合とで仕分けがされるのだというふうに考えたのですけれども,そうではないというのが先ほどのお答えだったのですけれども,今のように考えることはできないのでしょうか。 ● ○○委員。 ● これはいろんな考え方がもちろんあり得ると思うのですが,実際に保険会社の立場から考えてみますと,例えば火災保険,店舗総合保険,これは小規模な店舗から巨大なデパートまで全部受けられますけれども,こういうものについては恐らく普通のリスクでございますので,しかも消費者保護の流れが当然ありますので,約款上も消費者保護と同じレベルの告知義務とか通知義務が課され,保険金の支払がされると。そういう約款になりますので,その契約をした場合には当然約款に拘束されて保険金を払うと。   ただ,例えばこういうことを考えていただきたい。東京のある地域でテロがこれからものすごく増えましたと。そのときに,その地域で一切テロリスクは保険で引き受けられないというふうに例えば決まりましたと。しかし,それでは余りにも厳しいので海外の再保険者が,では例えば500億円分だけは補償してあげましょうとか,1000億円分だけは補償してあげましょうと。そういうときに,ではそれに入りたい場合には事前に必ず,例えば在庫が増えたら,1億円以上増えたら必ず通知をしてくださいとか,それからこの地域で合計して1000億円を超えた場合には削減して払いますよと,それでもいいですかとか,あるいは保険金を払うときには再保険者が日本に来て,もう一回チェックをした上でしか払いませんから保険金の支払はずっと遅くなりますと,そういう条件でもよければテロの保険だけは払いましょうと,例えばこういう特約ができたとします。それは店舗総合保険に特約で付けられますと。しかし,小規模事業者であろうと大規模事業者であろうと,いわゆる片面的強行規定というものを一律に適用してしまうと,そういうものに入れる道がなくってしまうということで,必ずしも大きいから小さいからという意味ではなくて,そういうこともあり得ますので,基本的にはほとんどのリスクについては新しい消費者を保護する形の基準で約款はつくられますけれども,そういう道というのは必ず今後あり得ますので,その道を残しておいていただきたいというのが私どもの希望だということでございます。 ● ○○幹事。 ● 今,○○委員が出された例のような特約が,現在,片面的強行規定で縛られているような条項によって商品設計ができなくなるとは私は思えないということをまず一点と。   それから,先ほどのそもそもそういう懸念があるのかということについて,既存の国内で現在営業されている保険会社であれば今のところ大丈夫だろうと思うのですが,それでも極端なことを申しますけれども,例えば店舗総合保険というのはこの解釈によると片面的強行法規の適用を受ける必要がないとなると,当面それの対応をしないといけない商品から約款を改正しましょうと。これは間に合わなければ,法改正のときに間に合わなくてもそれはオーケーですと,片面的強行法規の違反にはならないということで新法に合わせた約款改定がされないとか,遅れるとか,そういう可能性は一応あり得るわけですし,それからもう一点は,外国保険会社で本国の商品を日本にできるだけそのまま持っていきたいというような会社の場合には,現実にそういうことは考えられるのではないかというふうに思っております。外国では日本とは随分違った保険の引受けをやっている会社もあると思いますし,契約法のルールも違うわけですから,店舗総合保険で,例えば店舗兼住宅ですと,住宅総合保険に入れなくて店舗総合保険にしか入れない。しかも,それで商品の盗難保険とかそういうものは要りませんということになると,本当に物品販売の店舗でその事業の特性を考慮して保険料を増減したりとか,あるいは特約で,契約法で縛られている部分については新しい特約を入れて,本当に契約自由でやらないといけないようなニーズが本当にあるのかどうかということについて,私はそもそも疑わしいというふうに思っているということであります。 ● 消費者契約法のときの議論で,あれは消費者を保護して事業者は保護対象から外したが,あれは別に事業者を全然保護しないことは意味しないわけで,事業者については民法一般の不当条項規制があるということだったと思うのです。   今,ではこの保険契約法下に消費者か事業者とかで分けたときに,あるいは二つ目の丸のように事業に伴うリスクかどうかで分ける。だけれども,どうも原案のつもりとしてはかなり広い範囲で事業者は強行規定の対象から外されるとした場合に何にもなくなるかと。要するに,消費者だけ保険契約法で強行規定の縛りをかけたら,あとそれから漏れる事業者は何にも保護がないのかというと,決してそうではないと思うので,この保険契約法の規定から,今,○○幹事が言われたように何の合理的な理由もないのに,非常に消費者の場合とがらりと違って不利な条項が置かれるというふうなことになれば,そこは一種の広い意味での不当条項規制が働く余地があるのではないかと。   保険法で強行規定はここだけですよというふうに決めた場合に,その反対解釈であとは何にも縛りがないということにはならないような気はするのですけれども。そこでまた本当に合理的な理由があって,何かこういう条件を付けないと本当にリスクが引き受けてもらえないとか,それから対価の面でそれ相応の対価関係が図られているというようなことがあれば,それをもって形式上,契約条項の内容だけから見れば非常に不利なように見えるけれども,そこは全体を勘案すれば事業者としてもそれは一つの選択肢として,そういう選択肢は与えられてしかるべきではないでしょうかという考え方があるのではないかと。そういうところを中小事業者については一切飛ばすべきだというふうにおっしゃるのでしょうか,○○幹事は。 ● 結局,個別に条件を見ていろいろ設定するということについて,やはりそれなりの実際のニーズがないと,実際は保険会社さんはそれをされないと思うのですが,現在,日本で売られているような,店舗総合保険にこだわって申し訳ありませんけれども,同じような店舗が全国に何千何万とあるようなタイプのものについて,オーダーメード的な保険が提供される可能性がある,それでメリットを受ける可能性があるという,その可能性の評価の問題と,それからそういう規制,こういう片面的強行規定が外れることによって,それを逆手にとった商品を持ってきて,うちは安いですよみたいなことをする保険会社が現れるリスクと,どちらが高いのかなという問題ではないかと思うのですが,私は基本的には後者の方がリスクは高いのではないかと一応思っています。 ● ○○委員。 ● 私は○○委員の心配といいますか,相談現場ではやはり事業者とはいっても中小企業の関係の相談が多いのですね。昔であれば事業者と消費者というのは歴然と商売をやっている,営業をやっているということで,もうこれは消費者ではない,エンドユーザーではないということで対処できたのですが,最近はもうそれができない事例がたくさんあるのです。その結果,消費者契約法の中でも事業者と消費者でその間にいる人は限りなく消費者に近ければ救済しているのですね。特定商取引法なんかは例の事業者の電話のリースなんかもきちんと消費者に入れて,しかも消費者の契約よりもより手厚くしまして,クーリングオフを遡って適用させたりというそういう時代になってきているものですから,多分,今ここで事業者,それから消費者というのを仕分けするというのが大きな企業であればともかく,中小企業に関してはどうなのかなというのが一つ。   あと御商売,例えば中華料理屋さんとか火を扱うところの御商売をやっているというのは明らかにリスクが高いわけですから,そういうところが消費者が契約するような火災保険を契約するということ自体どうなのかなというのもあるものですから,やはり事業者と消費者ということからすると商品も違うのかもしれないし,その事業者のレベル,それも違うのではないかな,考慮してあげなければいけないのではないかなというふうに思うのですけれども,もしここで今議論されているようにどちらでもチョイスできて,片や片面的強行規定で片やそうではないということになると,先ほど○○委員が言いましたように,では中小企業がそこのところをきちんと理解して契約するかというと,やはり保険会社の方の勧誘をうのみにして契約してしまうのではないかなと,そんなこともちょっと考えてしまうのですけれども,今の時点でのことなのですけれども。 ● ○○幹事。 ● 先ほど○○委員が強行規定か任意規定かという二分法ではなくて,仮に任意規定だとしても,その任意規定から不合理な理由で外れているものについてはそれをコントロールする可能性もあるのではないかというお話をされたかと思います。   消費者契約法では第10条の規定が置かれて,任意規定を基準にして契約条項の内容を判断するという仕組みになっておりますけれども,保険契約法の場合に,そういう受け皿なしで任意規定となっているものを標準として使って,不当な条項を形式的に当事者が消費者でない場合にコントロールすることがどのくらいできるのだろうかというのがやや懸念のあるところです。これは理論的な懸念だけなのかもしれません。   反対に,これも○○委員がおっしゃったことの中に含まれていたのかもしれませんが,強行規定ではあるけれども,合理的な理由があればその強行規定から外れるというふうに言っていいのか,あるいは強行規定の適用に際して,当事者がその強行規定にかかわる事柄について行った合意というのを勘案した上で適用するというようなタイプの強行規定を考えることはできないのだろうかというような感じもするのですけれども,実際書くのはかなり難しいのですけれども,民法の世界などで強行規定だとされている事柄について,ある種の合理性があるような特約がされている場合にはどうするのかということが問題になることがございます。典型的な例はサブリースの借地借家法第32条の適用というケースですけれども,合意があるということを勘案しつつ強行規定を適用するというような解決になっているのではないかと思いますけれども,何かそういうような方向というのをとることも考えられないだろうかと思うのですけれども,どういうふうに規定を仕組めばいいかというところまでちょっと考えが及びません。 ● さまざまな御指摘をいただきましたので,その御指摘を踏まえてさらに詰めて検討したいと思いますが,先ほど来申し上げていたことが不正確だったために若干議論を混乱させてしまったのではないかと思いまして,それだけ訂正させていただきたいと思いますが,私自身が申し上げていたことが,資料の15頁の案を前提にしてのことなのか,○○委員がこの15頁の案がメルクマールとして必ずしも明確ではないということで,事業者であるかどうかということで仕切らざるを得なくなるかもしれないという代替案としておっしゃっていたことを前提としてしゃべっているのか,私が明確に区別しないまま申し上げてしまったためにちょっと混乱を与えてしまったと思いますので,そこだけ訂正したいと思うのですが,この15頁の案を前提にすれば○○委員,○○委員のおっしゃっているように,消費者向けの約款で提供されたものを,そういう保険にそのまま入ることもできるでしょうし,いやいや,今回自分が保険を付けてもらいたいと思っているのはこういう事業の特性から出てくるものなので,こういうオーダーメードでお願いしたいということもある意味できる,どちらもできるということになるのだろうと思います。   私が先ほど選択の幅が狭まってしまうのではないかと申し上げたのは,○○委員が代替案としておっしゃった,例えば事業者ということで仕切ってしまった場合には,事業者でも例えば小規模事業者は片面的強行規定の保護を与えると,それ以外のものだけ外すというような線引きを仮にしてしまって,広めに片面的強行規定の保護の対象に含まれるような線引きをしてしまった場合には,その線引きから保護の対象に含まれる側に分類された小規模事業者は,選ぼうと思っても片面的強行規定の保護の対象になってしまっているわけですから,それを外す合意をしたら,それは片面的強行規定に反する合意をしたということになって,そういうことができなくなってしまうと,多分そういう整理になると思いますので,どちらの考え方に立つかによって先ほど来申し上げていたことの結論が変わってくると思いますので,そこだけ今,訂正させていただければと思います。 ● ちょっと今日のところは意見が割れて,なかなか取りまとめができない状態ですが,実質的に個人と変わらないような小規模事業者が適切な保護を奪われるべきではないということについて異論がある人はいないと思うのですね。それを,立法技術的に実現できるような書き方が,規定の仕方ができるかどうかということが一つあって,それができない場合にどうするかというところも考えておかなくてはいけないわけで,そのときにやはり保護すべきものは保護すべきだから,断固それ以外の基準は受け入れられないという姿勢で臨まれると,なかなか最終的な案はまとまりにくいかと思うので,最悪の場合はそういう案もできるかもしれないと。だけど,今日のところはたくさん出た意見をもとにもう一回詰めていく。特に15頁の二つ目の丸をもうちょっと改善して,何か,実際に機能するような基準にできないかどうかと,このあたりも考えてもらおうかなということで。では,この点はそのようなことでなお検討するということで次に進ませていただこうかと思います。   次は部会資料20の方へ移りまして,まず1頁から3頁にかけまして,「第12 保険金の支払時期」についてが出ております。これについて御審議をお願いいたします。   まず,事務当局から御説明をお願いします。 ● それでは,部会資料20の「第12 保険金の支払時期」について説明させていただきます。これについては,1頁から2頁の初めにかけて中間試案を御紹介させていただいて,2頁のところから今回の御提案ということで挙げてございますけれども,その実質的中身につきましては中間試案から変更はございません。その内容につきましては簡単に御説明したいと思いますけれども,(1)が期限の定めがない場合でございまして,この場合には保険事故や損害の発生などの保険契約者側が証明すべき事項を確認するために必要な期間の範囲内で保険者は遅滞に陥らず,免責事由などの確認のために時間が必要であるということを理由としては遅滞の責任を免れることはできないということを挙げてございます。そして,必要な期間かどうかというのは個別の事案に応じまして,保険金請求がされている当該保険事故などの確認のために必要,これは客観的に必要という意味ですけれども,その客観的に必要な期間はどれだけかということで判断してはどうかという御提案をさせていただいてございます。   (2)が期限の定めがある場合でございまして,契約で定めた期限までの期間が,契約で定めている保険事故や免責事由などの内容に照らして,保険者が支払をするために必要な確認をするための期間として不当に長い場合には,合意で定めた期間が到来する前であっても,相当な期間が経過したときから保険者は遅滞に陥るとするものでございます。   期限の定めがある場合には,先ほど御説明させていただきました期限の定めのない場合と異なりまして,免責事由などの保険者側が主張すべき事項も相当性を判断するために考慮すべき事項としておりますし,相当かどうかは先ほど個別の事案というふうに説明しましたけれども,これはそういう個別の事案とは離れて契約内容が相当かどうかということで判断するということとしております。   なお,(2)というのは保険者の方で支払をするための確認をするためにはもっと期間が必要だということをいって,その約定した期限を延ばすということを許容する規定ではないということは当然のことでございます。   また,これまでの部会の御議論やパブコメで出された御意見の中には,相当の期間として具体的な日数を書くべきであるという御意見も少なからずございました。しかしながら,一口に保険金の支払に当たって確認すべき事項と申しましても,保険の種類ごとに異なっておりますし,また同じ種類の保険契約であったとして,何を保険事故としているのか,免責事由や告知事項としてどんなものがあるのかなどによって確認すべき事項というのはさまざまとなってまいりますので,相当な期間というのも契約の内容に応じて異なってき得るものというふうに考えられます。したがいまして,その一定の期間ということを具体的な日数で定めるということは困難であると思いますし,また,かえってそれは相当なものではないというふうに考えられますので,この※2のところでは具体的な日数を規定することはしないことでどうかという形で提案させていただいております。   そして,※3でございますけれども,この相当な期間を超えるということの証明責任は当然合意が前提ですので,合意の効力を否定するサイドである保険金を請求する側にあるのが原則となります。しかしながら,実際の訴訟でどうなるかということを考えますと,何が調査が必要な事項で,それに通常どのぐらいの時間が要るのかということにつきましては,主に保険者側に情報があるというものでございますので,現実の訴訟の場面におきましては,保険者の側で定めていた期間というものが相当なのかどうかというのを示すような資料を提出していく必要があるのではないかというふうに考えてございます。   次に(3)でございますけれども,これは保険事故などについての情報は保険契約者又は被保険者側にあるという保険契約の特殊性に照らしまして,保険契約者や被保険者が,保険者がその確認をするために調査を行う場合にそれを妨げたり,協力をしないという場合には,保険者としても確認して支払いようがないということになってしまいますので,その期間については遅滞に陥らないこととしてはどうかというものでございます。   以上の規律は,主に損害保険について御説明いたしましたけれども,生命保険契約や傷害・疾病保険契約につきましても同様に当てはまるというふうに考えられますので,必要な読替えを行った上で同様の規律を設けるということを御提案させていただいております。 ● ありがとうございます。   それでは,この点は既に大分議論を積み重ねてきたところで,それをまとめるとともに,なお留保されているようなことについて方向性を問い掛けているということかと思います。まず,御意見をいただければと思います。   ○○委員。 ● この本文の整理で特段の異論はございません。   一点確認させていただきたいのですけれども,実際の保険金支払に当たっては,事故あるいは損害の公的証明や診断書,修理見積書などの取り付けに要する期間が必要となります。これらを発行する者の事情で遅延しても遅滞の責めは負わないと考えてよいのではないかと思っているのですけれども,これは(1)の必要な期間や(2)の相当な期間に含まれるということでよいのかどうか事務当局にお伺いしたいと思います。 ● 今,おっしゃった書類というのは,例えば(1)でいいますと,保険事故及び損害の発生並びに損害額の確認をするために必要なものであれば,それはこれに含まれるということになるでしょうし,(2)の場合の相当な期間というのは※2で書きましたとおり,約定の保険事故などの契約の内容に照らして決まるということになりますので,その契約でどのような定めがされているかによると思いますけれども,その契約において取り付けが必須のものとして位置付けられていて,かつ,それを取り付けた上で払いますよということになっていれば,それに必要な期間というのはこの相当な期間で読み込まれることになるというふうに考えております。 ● ○○委員。 ● とても大事な規定なので,簡潔にお配りした意見表明用の資料に基づいてお話ししたいと思うのですが,一番最初に言いたいことは,やはり相当な期間は日数で決める必要があると。30日というのを決めてはどうかということをまず申し上げたいのですけれども,私はドイツ語がそう得意ではありませんから不正確なところがあるかもしれませんが,お配りした資料の4のところにドイツの保険契約法の第14条というのを書きましたが,これですと,確かにこういう履行期の規定にはなっていますけれども,1か月経過するまでに完了していないときには最低支払見込金額を限度として内払を請求できるという形があって,しかもこの期間の進行がとまるのは契約者サイドに責めに帰すべき事由があった場合だと,こういう考え方をしているわけです。   そもそも,この部会で今まで御議論があった中で,調査をした結果,特にやはり保険金を払うべきだったという場合の遅延損害金の問題というのがとても重要で,それが三つちょっと御意見を議事録から転載させていただいたのですが,最初の御意見,これはやはり最終的に保険金支払債務があるということが判明した場合には,民法の原則からすると,一般的な債務の存否,確定の調査というということが抗弁にならないのではないかという点からもう少し慎重にという御意見だったと思います。   それから,Bの方は趣旨は同じですけれども,もう少し厳しく,やはり後で払うべきだというときには,借地借家の例ですと,最初にまで遡るわけですけれども,やはり分けて考えるべきではないかと。   Cは私法学会で○○幹事が述べられた意見ですけれども,支払を受けたときから通常調査に要する必要最小限の一定の期間,30日は支払拒絶可能な期間として,さらに調査を要する正当な理由,これがなかなか問題ですが,それは猶予してもいいでしょうと。しかし,支払義務があるという場合には30日を経過したときから遅延利息を付けると,こういう考え方。私はこれに基本的に賛成したいと思います。   次に,今,用いられている約款がこの新しいルールの下でどうなるのかと。先ほどの御説明では延ばすことを許容するものではないとおっしゃったのですけれども,しかし,やはりそれは必要な,要するに(1),(2)の要件の中に含まれるような要件を満たしている限りは一定の30日という約款であって,それを延長してもそれが損害確定に必要だったら,それは相当延びてしまうのではないかと,そういう疑念があるわけですね。家庭用総合自動車保険普通保険約款第21条というのは,損害保険の損保講座のテキストに載っているものですけれども,30日やりまして,まだ調査もそうですし,保険金の支払に当たって必要な調査,つまり先ほどの(2)にも当たるわけですが,それができないときは30日を120日に延ばせるというものなのです。その間,遅滞の責めを負わないというのはやはりちょっとまずいと思いますので,それと今の関係ではこういう延長すること自体,延長しても(2)の相当な期間に入ってしまう場合があるのではないかと,そういう危惧の念を持っております。   これがこの問題についてのあれですが,あと,遅延損害金の発生を避けるための潜脱行為を防止するための規律というものともやはり一緒に考える必要があると思うのです。この遅延損害金の問題というのは大手の生命保険会社の方に業務改善命令が出たときにあった1人の社員の方がたくさんの不正解除なんかをしておられたケースなんかでも,遅延利息が発生する日付を書き換えたのが3年間で300件以上あったとか,あと不払の問題でも,この遅延利息についての不払というものもあったわけで,遅延利息の問題というのはやはり大事な問題ではないかと思うのです。   それから,これも前に御紹介しましたが,平成19年5月30日の東京高裁の判例のように,請求書を渡さない,遅延利息が発生しないように,発生しないようにというか事実上請求されないように請求書を渡さないとか,そういうことも行われ得るわけですから,やはり30日という日にちを規定すべきではないかと思います。   以上です。 ● ○○委員。 ● 今の日数を法定するかどうかという話なのですけれども,これまでもお話しさせていただきましたけれども,次のような理由から日数を法定することは適当でないと考えております。   一つ目は,保険金の支払の範囲,有・無責も含めて,それと支払額の確定に必要と認められる期間は保険種類や事故,損害の類型によって確定に必要な調査が大きく異なるため,一律の期間の明示は困難であると考えます。   それから二つ目は,期間を明示して保険金支払債務の履行期を厳格にすると,十分な調査がされないままに支払額を確定する必要が出てくるため,かえってお客様の利益を損なうことや,それから不適切な請求が見過ごされてしまうモラル・リスクの問題等のおそれがございます。   それから三番目には,被保険者は損害調査等への協力義務を負うと解するところ,期間を明示して保険金支払債務の履行期を厳格にしてしまいますと,その分,被保険者の協力義務の負担も大きくなってしまい,お客様の利益につながるとは限らないというふうに考えております。   以上,三点でございます。 ● ○○委員。 ● やはり議論を深めないといけないので。   一番の問題は,いろいろやったけれども保険金を払うという場合に,30日くらいのところまで許してあげますけれども,そこからは利息を付けてくださいということはおかしいのです。私は無理して早く支払う必要もないと思いますし,きちんと査定されればいいわけです。しかし,やはりこれは払うべき事案だったというときには,その間中ずっと遅延利息を払わなくてもいいという議論は,これはないのではないかと。やはり最初からとは言いませんけれども,30日ぐらいのところからきちんと払ってくださいと,これはもう譲れないところではないかと。だから,そのあたりまではアウフヘーベンしたいと思っているのですけれども,それはいかがなのですか。それも払いたくないという御趣旨なのでしょうか。それが質問です。 ● ○○委員。 ● 先ほどの○○委員の御意見とほとんど一緒なのですけれども,日数制限ということについて言いますと,損保の約款と実は生保の約款は大分違うので同じような理論なのかどうかは別にして,保険種類,それから支払事由,実際の個別の病状とか病歴だとか成立する事情によって相当やはり事案ごとの調査の内容というのは違うわけでございます。つまり,どこかで一律で切ってしまうということについて言うと,やはり調査が不十分に終わってしまうだとか,モラル・リスクに対するきちんとした対応ができないだとか,いろいろな弊害も出てくるのではないかなというふうに思っていますので,一律でどこかで切るということについては慎重な検討をしていただきたいなというふうに思っております。 ● 同じ質問なのですが,最終的に払うとなったときには,その間中ずっと遅延利息を払わないという,それでいいといういふうにお考えなのでしょうか。そこを両業界に御質問したいのですけれども。 ● ○○委員。 ● そういう意味では調査をして払うということが決まったにもかかわらず延ばしているのであれば,そういう議論というのがあると思うのですけれども,我々は払えるものは払いたいと,だから調査はできるだけ早く終えたいと思ってやっているわけです。当然お客様対応ということも含めて。そういう意味で必要な調査をするまでは支払事由は確定していないわけですから,そういう意味では調査が終わってから遅延利息という。   ただ,我々の場合は5日プラス必要な調査ですから,事務のところの5日というのが延びた場合は当然今も遅延利息を払っているわけですけれども,必要な調査について本当は30日必要なのだけれども,20日を超えたらそこから針が動くというのはちょっとどうかなという気がするのですけれども。30日がいいかどうかはちょっと,日数の問題は置いていますよ。私はそこは何日がいいかよく分からないので。 ● ○○委員。 ● 私は生保の方は短い時間でよくやっておられると思いますので,私は30日という昔のレベルでそんな無理を言うつもりはないのですが,問題は損保の方の場合が一番問題で,やはり120日も付けないというのはちょっと私は……。   もう一歩突っ込んで議論しますと,やはり特に損保の場合,損害額がある程度もうこれは支払が間違いないという部分と,まだ未確定の部分があって,その未確定の部分があるからずっと延ばすというのはやはりそれは問題だと思うのです。ドイツなんかは私はコメンタールをしっかり読んでいませんからあれですが,やはりそういう問題があるので,間違いないというところは1か月たったら内払しなさいという形になっていて非常に合理的なのだと思うのですけれども。   ですから,残っている質問は○○委員もしくは○○委員に,最終的に支払わなければいけないとなったときに120日間も利息を払わないのかと。やはりそれはちょっと行き過ぎなのではないかという御質問ですが。 ● 120日というのは昔からあったのですか。これは新しい規定のような気がする,この○○委員の家庭用総合自動車保険普通保険約款で原則は30日だけれども,なお調査の必要があるときは120日猶予があると。こういうのは昔からはなかったような気がするのですけれども。多分,最高裁の判例で相当の調査の必要があるときは,なお調査の必要がある間は遅延利息を払いませんというような約款について,それは余り不明確だから無効よみたいなことを言われて,多分その対応で最長限度120日というふうに書かれたのではないかと推測していますけれども。   例えば,それは結局,最高裁の判例が30日と確定した猶予期間以上はもう何か具体的に日にちでも書かないと一切,幾ら調査の必要が合理的にあってもやはり30日しか猶予期間がないというふうに言ってしまったのが少し厳し過ぎるといいますか,そういうことで,今日の部会資料の原案というのは保険の特質というか,契約の特質から見れば本当にやはり調査する必要がある場合には,もうちょっとソフトな感じで猶予期間がもうちょっと認められてもいいのではないかというスタンスでつくられていると思うのですが,そこで相当な期間というものを書いた結果,読みようによっては,では今の30日よりもえらい長い期間いつまでも猶予して遅延利息を払わないのではないかなというように受け止められる可能性もあると思いますが,趣旨としてそういうことを含んでいるわけではないと思うのです。一律に何か日にちを書くというのは,これは実際に非常に適切ではないと思うのですけれども,何かこのようなものをつくられているところでイメージとしてどういうぐらいのガイドラインというか,そういうものがあるかぐらいは示していただかないと,やはりこの案を見られた方は微妙に,実際延びていくのではなかろうかというふうな懸念をお持ちなのは,それはもっともだという気もするのです。   少なくとも,今の最高裁の判例で30日しか駄目とか,あるいはあの判例をそのまま応用してしまって,生保だったら5日たったら即利息を払えという下級審の判例があるようで,それはちょっと厳し過ぎるのではないかということについて多くの意見の一致はあると思うのですけれども,そういう現状を多少はもうちょっと本当に合理的な理由があれば延びるけれども,現状そんな抜本的に変えて,例えば殺人か何かの疑問があって捜査がずっと続いている間は1年,2年たっても逮捕されるまで,でも捜査続けていますというふうに警察とか検察が言えばいつまでも遅延利息を払いませんなんていう,そういうことはまさか考えていませんよねということだろうと思います。何かやはりガイドライン的なものを示していただくのがいいのかなという気がしていますけれども,どうですか。 ● まず,今,○○委員から御指摘がありましたとおり,○○委員の一定の日数を補てんするという点については従前から申し上げていますとおりさまざまな保険契約があり,さまざまな保険事故がある中でそれは難しいというように考えております。   ○○委員に御準備いただいたペーパーの2頁の意見B,ちょっとこれは今,議事録が手元になく,かつ,記憶もあいまいなのですが,恐らくこの意見表明者はこの前に同じようなことを確かおっしゃっていて,一定の期間を限るのは難しいと,契約法で何らか書くとすると,この相当な期間的な書き方にならざるを得ないのではないかということも,確か併せておっしゃっていたのではないかなという記憶でして,その意味でもその点は難しいと思っております。そうしたときに現在のこの書き振りだと,あたかもいつまでも結局調査ということで支払わなくてもよくなるのではないかということについては全くそういう趣旨ではございません。そもそも最高裁の判例自体が調査などのために必要な一定の期間内は遅滞の責任を負わないということを約款で定めること自体は合理的だとむしろ述べているわけでして,その趣旨を汲みつつ,ただそれが無制限になることに歯止めをかけるという趣旨が今回の資料,従前からもそうですけれども,今回の資料の(2)の相当な期間でカットするという発想ですので,そこは,まず明確にそういう趣旨のものだということで御理解を是非いただきたいと思っております。   ただ,それについて今,ガイドラインというお話もありましたし,あるいはこの意見Cのように,あるいは○○委員もおっしゃるとおり,一定の日数を切って,その後払わなくてもいいけれども,最終的に払うことになった場合にはその日以後遅延損害金を付けるべきという発想は分かるのですが,他方でそうしてしまうと結局その日数,いろんな契約があり,あるいはいろんな保険事故がある中で一定の日数を切るのは難しいと言いながら,実質それと同じことをしたということになってしまうと思いますので,やはりそこはそもそも判例自体調査に必要な合理的な期間については遅滞の責めを負わないということ自体は許容していると考えられますので,そこはその意味でも一定の日数が過ぎたら,もう調査が必要であっても遅延損害金は付けなさいよということについては,そういう政策判断をするべきではないというふうに思っています。   あと一点,ガイドライン的なものができるかということに関して,なおこちらも相当な期間として一体どういう約定であればどの程度のものが許容されるかということについてはもう少し説明振りを考えなければいけないなというふうに思っております。 ● ○○幹事。 ● (2)につきましては,基本的にこれでもいいのかなと思うのですけれども,この場合にそもそも約定の期限について少なくとも同種の契約,他社の契約と比べて相当長いものについては無効とするとか,そういうタイプの規律があるとか,そういう解釈が成り立つとか,これを不相当なものであることの証明責任は請求者だけれども,実質,現実の証明の必要性は保険者にあるとか,これはやはり証明責任論としてはかなり分かりにくいのかなというふうにまず思います。   それからもう一点,(1)の方についても少し質問があるのですが,(1)の方で必要な期間の証明をするときに,その必要な期間について例えば半年かかりました,1年かかりました,必要ですということを保険会社が一所懸命証明しようとしたと。その証明に失敗して必要な期間とは認められなかったという場合に,ではどこまで遅滞の責任を負うことになるのかというのは,これはどこで線を引くのでしょうかと。客観的に少なくともこの日までに,損害の発生及び損害額を確定するために必要な期間はこの日まででしたよねというようなことは,だれが主張するのか判断するのかということについてお教えいただければと思います。 ● (1)の方は最後は判断するのは裁判所ということになるのだろうと思います。それで,証明に失敗したときにどうなるかの判断も,それは裁判官にかかっているところで,失敗したというのが結局量的に見てゼロだということで,もう請求から遅滞という判断をされることもあるでしょうし,どうしても2週間必要だったから,遅滞に陥っていないという主張に対して,いやどう見ても1週間だということで,結局20日間の主張あるいは2週間の主張,立証は失敗したけれども1週間の立証はあったということで割合的な判断を示されることもあるのではないかというふうに考えております。 ● ○○幹事。 ● 一つ確認なのですが,(1)の期限の定めがない場合の猶予期間というのですか,これは※1のところにありますように,保険金請求権の請求原因事実である本文に掲げた各事項の確認をするために必要な期間に限ると。保険会社の抗弁事由について確認する理由はこれは含まれませんと,こういうことですね。   (2)の期限の定めがある場合については,抗弁事由も含めて精査をするという期間を保険会社として一定期間定めれば,それを含めて考えられると。ですから,逆に言えば(2)のように期限の定めを合理的に保険会社が必要であれば定めた方がいいですよと,こういうことに結果としてはなるように効果として思われるのですが,そういった意図は別にない,むしろ理論的には(1)について当然こういう期限の定めがなければここに縮減されるというのが当たり前だと,こういう理解で,特に,今,私が申し上げたような効果まで考えて,こういう定め方というのですか,この書き振りをされたというわけではないということでしょうか。 ● (1)の※2を書きましたときに,そもそも個別具体的に見ると言って,(2)よりも有利になってしまうようだと,それは余計な定めを置かないで期限の定めを置かない方が有利になってしまうのではないかということは考えました。その意味で(1)はそうはならないように,そもそも確認の対象自体を限定し,かつ,ここで言われるのはあくまで保険の特質から出てくる必要最小限のところに限って認められるもので,決して(2)よりも有利になるものではないということは考えておりまして,その意味では今○○幹事がおっしゃっていただいたような評価をしていただければ,こちらの考えていた意に添うということになります。 ● 私は基本的にこの方向で結構でございます。 ● ○○委員。 ● 私たちからすれば,やはり目安というのは欲しいのですよね。いつ保険金が出るのか分からないというのが一番消費者側からすると不安だし,だから,そういう面で調査とか,調査の内容とかいうのは全部保険会社の方にある情報でこちらには全然ないわけですから,やはりガイドラインは是非考えていただきたいなと。   一般的に消費者関連の法律の中では,そういう相当な期間とか遅滞なくとかいった場合は規則,省令のところでかならず何日ぐらいとかいうのがあるのですよね。ですから,そういうものが決められないわけですから,この法律は。その意味では是非目安は欲しいなと。消費者から分かるような,もし法律に盛り込まれないのであれば,保険会社の方から消費者に事前にあなたの場合はこのぐらいというような情報を提供してもらわないと大変不安だなというふうに思います。 ● ○○委員。 ● その目安の話なのですが,例えば120日というふうに決められたら,120日まで調査と称して引っ張っていいということになりますので,そこら辺については大変,何のためにでは約款で日にちをうたったのかということになるのです。そうすると,やはり相当な期間というのは本来そこも含めて定型的に保険金を支払うのに必要な期間ということを目途として約款期限を決めているのだとすれば,やはり約款期限に戻っていかざる得ないのかなと,そういうふうに一応は思うのです。だから,○○委員がおっしゃったようにガイドライン云々というのは,それは大変よろしいのですが,例えばそこで120日でも180日でもいいのですけれども,そういうふうに決められると,そこまでが必要な期限なのだという,そういうことを言われては虻蜂取らずでございまして,それはそれで大変リスクがあるのかなという気はしております。   それから,証明の話ですが,(2)の※3のところに「もっとも,」以下で書いてあるから,だからいいだろうと言われると大変辛うございまして,相当であることを主張するものが,つまりは被保険者側が主張するのが当たり前でしょうと。当たり前だけど,現実に保険者側に情報があるのだから,事実上はひっくり返るのですよというふうな書き振りなのですけれども,それでは条文として上がったときに本当にその解釈が通っていただけるのかどうかという大変疑義がございまして,そこら辺の部分は最初にお話があったときにも主に保険者側に情報があるべきというのであればそう書くべきではないのかなというふうに思っていますが,いかがでしょうか。 ● 第一点目は全くおっしゃるとおりで,第一点目で懸念されたような趣旨をこの案が含んでいるわけでは全然ないと思うのですけれども,そういう理解でいいですね。だから,実際に約款にどう書いていくのかと,具体的に保険会社の方もいろいろ書きたい案はある。それはどこまで,例えば典型的な生命保険なり火災保険なり考えて,典型的なそういう保険で,ではこういう案を考えたときに,この(2),これが相当な期間というふうに言えるかは,どこまでオーケーなのかということですね。そういうことを少し皆さんの予測が付くような形で少し説明をしないと,ぼけたままで提案されているから非常に疑惑を生みやすいのだろうと。そこら辺ちょっと審議の経過で,もう少し後の回で御検討いただければと思います。   立証責任はどうですか,これは。 ● 余りいい答えではないのですけれども,おっしゃることはごもっともで,そういう問題があるからこそ,なおちょっと文章的に分かりにくいなということを思いながら,この「もっとも,」以下を付けさせていただいたというところでございまして,立証責任の客観的な分配としては,この「もっとも,」以前の保険契約者サイドにあるというふうにやはり言わざるを得ない。合意があるわけですから。その上でまだ現実の証明の必要性という観点でだれが証拠を出していくかというのは,証拠に近い方が出していくというのは通常裁判所はそういう運用をしていると思いますので,そこで適切な運用がされていくことによってその不都合というのは解決していくのではないかと,そうしか申し上げようがないというところがございまして,そこは御理解いただければと思います。 ● ○○委員。 ● 私,最後に立証のことを申し上げましたら,○○委員がおっしゃったように一定の枠を何かはめていただけたら安心できるのではないかなと。この120日というのも,ある意味で私は限度を超えてしまった例なのではないかと,ちょっとここはやり過ぎなのではないかという感じがしておりまして,やはりどこかで妥協しようということであれば,やはり相当な期間というのも無制限ではないのだということを示すような何らかの要件というものを一つ付け加えられないかという点をお願いしたいと思うのですけれども。   それと,立証責任の点は,実際は全部証拠は,証拠との距離からいえば会社にあって,6に挙げました家庭用総合自動車保険普通保険約款の問題点のところにも書いたのですけれども,立証どころか反証があって多分できないから,そう言われたら裁判で争うかどうかは別として,結局ずるずる120日まで行ってしまう可能性は非常に高いと思うのですよね。だからこそ,やはり根っこのところで押さえなければいけないのだと。これは実際訴訟に行くことだってなかなか大変なのにそんな。だから,やはりそこはある程度,だから私,30がちょっと厳し過ぎるというのもそれもおっしゃるとおり。でも,やはり長年,約款で30でやってきたわけですから,そこはある程度覚悟して,それがちょっと許してよというのなら40でもそれは妥協してもいいのですが,120はとてもないと。   生保の方も5日でやっているのは本当に大変だと思いますから,昔に戻って20プラス5日でそれはいいと思うのですよ。しかし,やはり何か常識的なところで30,40あたりでそれ以上はというところはやはりやっていただきたいとお願いしたいと思います。 ● ほかにこの点ございますか。   では,いろいろ詰めるべき問題点など御指摘いただきました。なお,今日の御意見を踏まえて少し検討していただこうかなと思います。   それでは,ここで休憩したいと思います。           (休     憩) ● それでは,再開させていただきます。   次は,部会資料20の3頁から5頁にかけまして,「第13 危険に関する告知」として,いわゆる告知妨害の規律に関して,御審議をお願いします。   まず,事務当局から御説明をお願いします。 ● 御説明いたします。   第13では,危険に関する告知のうち,いわゆる告知妨害に関する規律について取り上げております。この点につきましては,資料の1にありますとおり,第16回の部会において,保険契約者又は被保険者が故意又は重過失によって告知義務に違反した場合であっても,保険者の役員であるとか,保険者に雇用されている者とか,保険者から契約締結の媒介の委託をされている者が,保険契約者又は被保険者に対して,いわゆる告知妨害行為であるとか不告知教唆行為というものをしていた場合には,例外的に,保険者は保険契約の解除をすることができないというものとすると。   ただし,そういう告知妨害行為等と保険契約者又は被保険者による告知義務違反との間に関連性がない場合には,また告知義務違反の原則のルールに戻って保険者が解除することができるものとするという規律とすることで,ほぼ合意が得られたのではないかというふうに認識しております。   そこで,本部会資料の2では,1を踏まえた具体的規律の案についてお示ししております。   具体的には,まず,このルールの適用主体ですけれども,保険者のために保険契約の締結の媒介を行うことができる者というふうに表現をすることで,いわゆる生命保険でいうところの募集人,こういう方々が主体となることを明らかにするとともに,詳しくは※1に書きましたとおり,「保険者のために保険契約の締結の代理を行うことができる者を除く」という注書きのような括弧書きを入れることで,損害保険でいうところの代理店等の場合には,代理権があるわけですから,このルールではなくて,あくまで保険者本人と同じメルクマール,これは冒頭の中間試案でいいますと,イの①というものですけれども,これで判断をするというこれまでの議論を明確にしているものでございます。   それから,この主体のところで,「保険者のために媒介を行うことができる者」としているのは,これは前回の部会で議論いただきましたとおり,このルールの適用対象から保険仲立人を外すということですので,「保険者のために」という言葉を入れることによって,この仲立人を外すということを目的としているものでございます。   なお,これまでの部会資料では,募集人等につきまして,保険者の使用人等であって告知受領権がない者と,そういった書き方で表現してきたところでございますが,主に立法技術上の問題ですけれども,このままの表現ですと,例えば,保険者の使用人のうち,全く募集活動に関与しないような人まで,場合によっては含まれるように読めるですとか,それから,保険契約の締結の代理権があるにもかかわらず,告知受領権は有しない者がいることを前提としているかのように読めるといった誤解を招きかねないことから,表現振りを若干改めまして,募集人であるとかそういう保険募集に関与するけれども契約締結権限はなくて,結局,媒介だけを行うという人を表すために,こういう端的な表現を用いることとしたもので,実質を変更するものではございません。   次に,このルールが適用される行為の要件の方ですけれども,資料では,2の①ですが,保険契約者又は被保険者が告知をすることを妨げたときと,②で,告知すべき事実を知りながら,保険契約者又は被保険者に対して,当該事実の告知をしないことや不実の告知をすることを勧めたときに,保険者が保険契約を解除できないという規律にしてございます。   このうち,①は,いわゆる告知妨害と言われるもので,②は不告知教唆というものを念頭に置いたものですけれども,※2にありますとおり,このうち②の方ですが,募集人等が保険契約者等に不告知を漠然と勧めただけでは,告知義務違反への寄与度が高いとは言えないであろうということから,不告知教唆については,告知すべき事実を知りつつも,告知義務違反を唆したような場合に解除権が阻却されるものとして整理をしています。   最後に,資料では,③として,上記の①や②のような募集人等による行為がなかったとしても,保険契約者又は被保険者が告知義務違反をしたであろうと認められる場合には,保険者は契約の解除をすることができるものとしております。これは※3にありますとおり,第16回部会における関連性がないという概念を明確化したものでして,具体的な事例で申し上げますと,例えば,保険契約者の側が,もともと告知義務に違反した告知書を作成していたと。これを募集人に提出したところ,募集人がこれを偽造して保険者に交付したというような場合には,確かに,偽造という告知妨害行為があるわけですけれども,もともとの告知書の段階で告知義務違反があった以上は,告知妨害がなくても告知義務違反がされたと認められますので,教科書事例的ですけれども,そういうような場合には,保険者は保険契約の解除ができるということになります。   以上のように,こういう要件についても,これまでの部会の議論を具体化したもので,実質の変更点はございませんので,このような規律について御確認いただければと思います。   以上です。 ● ありがとうございます。   これまでのこの問題についての議論を反映して,要綱案の項目のように,最終に近い形でまとめてみたということなのですが,そういう意味で,こういうことでよいかどうかの御確認をこの点は主眼としているのですが,いろいろな意見もあろうかと思います。   もしあれば,お願いいたします。   ○○幹事。 ● 非常に細かい問題で恐縮なのですけれども,1を踏まえた具体的規律の案の1行目のところで,「保険者は,保険者のために保険契約の締結の媒介を行うことができる者」となっていまして,これは次の括弧内の代理を行うことができる者に対応して,媒介を行うことができる者となっているのですが,媒介というのは事実行為なので,行うことができるという必要があるのか,単に締結の媒介を行う者では駄目なのでしょうか。   保険者のために保険契約の締結の媒介を行う者,もちろん保険者との間には,代理店であれば,委託契約,準委任契約があって,使用人であれば雇用契約があって,それに基づいて媒介を行うわけですけれども,そういう委託あるいは指揮・命令に基づいて媒介を行うというか,それが媒介を行うことができるという表現というのは,別にそれが一般的なのかどうなのか,細かいことで恐縮ですが,そのあたりどうなのでしょうか。 ● 表現振り,なお検討しなければいけない点があると思いますが,「保険者のために媒介をする」で,保険者との関係というか,保険者との結び付きまで言えているのであれば,おっしゃるとおり,ここまで言わなくてもいいということだと思うのですが,今回の資料でこういう表現を使いましたのは,行うことができるということによって,保険者との関係でその権限が与えられているといいますか,保険者との結び付きがあることが前提だということを言い表したいということでございまして,趣旨としては,括弧の中と同じように,括弧の中は文字どおり代理権を有するという趣旨でこの言葉を使っていまして,括弧の外も同じ趣旨で使用しているということでございます。 ● 逆に,「媒介を行うことができる」というのではなくて,「媒介をする」ということになりますと,保険者のために勝手に自発的にやるという場合にも,法文上入ってきてしまうかのように読めるのではないかという疑念がありましたので,今,申し上げましたように,権原があるということが規律の上でも明確になっていた方がよろしいかというふうに考えた次第でございます。 ● ○○委員。 ● これは何度考えても私ちょっとよく分からないのですが,問題は,1項,①と②の関係なのですけれども,先ほどの御説明だと,①は告知妨害で,②が不告知教唆ですか。でも,①というのは非常に広い概念で,②も含むようにも思うのですよね。   それで,スイスの告知妨害の規定は,保険者が黙秘又は不告知でも誘引をつくったときという,これは①に対応するのだと思うのですけれども。それに,事実を知りながらという限定をして,つまり,①と②は相互に,排他的に別物で,②の方で限定しているならいいのですけれども,②は①の中に入っていて,そこを限定すると,何か全体がどういうことになるのかなと。   だから,例えば,もっと素朴に考えますと,とにかく何も書かなくていいですよといった場合は,上の方にも当たるようにも思いますが,下の方で言うと,告知すべき事実を知りながらではないから外れてしまうのかと。仕分けが,やはり基本は告知書に書いてあるとおり,質問されたとおり正直に書いてくださいと。細かいことはいいですからねとか,もう私は何も言いませんよとか,そういうことを言ったらいけないわけで。この①と②の関係がどうも私は飲み込めないので,そこはいかがなのでしょうか。 ● こちらの整理としましては,①は,告知義務違反について,告知義務者の意思が介在していない場合であるのに対して,②の方は,不告知教唆があった上で,告知義務違反自体については告知義務者の意思が介在している場合というように,一応は整理してございます。 ● 今の整理と同じなのですけれども,結局,妨げるというのは,告知義務者の意思を抑圧するというか,そういう告知義務者の意思にかかわらず,そういう告知を妨害する行為であるというふうに一応整理できると。   勧めるというのは,あくまで勧めているだけですので,告知義務者が告知義務違反をするという意思が依然として介在していることに変わりはないというふうに思っておりまして,限界事例というか,教唆のようなものは,非常に程度が激しくなりますと,先生がおっしゃるように,妨害というのは非常に近くなって,場合によっては妨害に当たる行為も出てくると思いますけれども,一応の切り分けとして,妨げるということと勧めるということは区別できるのではないかと。それは一般用語としても区別できるのではないかと思いますが,ここでは区別ができると。ただ,教唆が著しくなったような場合には,繰り返しですが,「妨げる」に該当する場合もあり得るというふうには考えております。 ● そうすると,告知しなくても大丈夫です,いいですよといった場合は上に当たるのですか,下に当たるのですか。 ● 事例によりますけれども,下のことが多いと思いますけれども。   そのことだけをもって,この部会でも保険契約者側の事情であるとか保険者側の事情であるとか,そういうものを総合的に考慮して決めなければという意見があったとおり,やらなくていいですよということだけで,ほかの事情を判断しないで,妨げるとか勧めるということを一概に判断するということはちょっと難しいのではないかと思います。 ● 少し考えさせてください。 ● どれがどの場合というのは難しい問題になるかもしれませんが,例えば①だけで書いたときに,しばしば起きる問題に対して,②のようなとりわけ問題ありとされるようなケースについて,①の解釈で全部カバーできるのだということであれば,それでもいいのですけれども,②のようなものは,特に書き分けておくということで,場合によっては,①にも②にも該当するということでも何かそうおかしくないような気もするのですけれどもね。実際にこれを使おうとする契約者側の立場に立ちますと。 ● 一言だけ。要するに,②の解釈が①の解釈を限定しないということであれば,私はいいと思うのですけれども。でも,立法してから取り消せるわけないというお答えになるかもしれませんね。 ● ○○委員。 ● 細かなことで申し訳ありませんが,私は,今のこの案は,やや解除を制約する範囲が狭過ぎるのではないかなというふうに思います。   一つ例を挙げてお話をさせていただきたいのですが,1年前か2年前ぐらいに新聞で報道された例ですけれども,告知義務違反の解除というのは期間制限があるから,それを過ぎてしまったら,保険金は出ますよといって勧誘する。したがって,告知書には全部なしで付けてくださいといって勧誘したというケースだと,勧誘した者が,締結の媒介をした者が,その人に既往症があったということは知らないまま,その後も面倒くさいからそれで契約を取りたいといった場合,これはやはり解除することができないという答えを出すべきだと思うのですね。   しかし,今の案ですと,意思を制圧しているわけではないので,①には当たらないだろうと私は思うのです。②だろうと思うのですが,②は,告知すべき事実を知りながらというので,かなり具体的な要件が必要となっているというふうに読めますので,これではやや狭いかなというふうに思います。 ● 今,御指摘のあった事例は,①でカバーできないという趣旨ですか。 ● それも先ほどと同じで,妨げるという程度に至っていればあれですけれども,例えば,募集人の側が,先生がおっしゃった理由まで全部述べて,これは「なし」で書いておけば,後で除斥期間にかかるから大丈夫だというところまで言えば,それは明らかに妨げていないと思うのです。つまり,全部うそを書いておけばいいというところまで開示して勧めたというような場合,それは実質論かもしれませんが,そもそもそういう場合は,すべて解除ができないということでよろしいのでしょうか。   そこは,理由を何も言わずに,こういうものはもう書かなくていいのだと言った場合と,理由まで全部言って,本当はこういうものは書かなければいけないのだけれども,告知義務違反の解除というのは,除斥期間があると言った場合とでは違いがあるのではないかと。   したがって,今書いて,今こういうふうに出しておけば,何年かすれば保険者は言えなくなるのだから書かなくていいというふうに言った場合で,また違ってくるのではないかというふうに思うのですけれども。それと,保険契約者側の事情も考慮して,最終的に決まることになるのではないかなと思いますが。 ● ○○幹事。 ● 今のケースがどうなるのかちょっとよく分かりませんし,最終的にはケース・バイ・ケースだと言われると,それはそうなのかなと思いますが,○○委員がおっしゃったこととの関連で重要なのは,「妨げたとき」という文言が意思を制圧したというのに限られるかどうかというところなのではないかと思うのですね。   もしそうだとすると,これは①と②と対比することによって,①の適用範囲が狭まっているようなことになると思うのですけれども,「妨げる」がそういう趣旨でないということならば,そこはいろいろ読みようがあるということになるので,そこのところなのではないかというふうに思いました。 ● 今のケースは,①というか,とにかく解除できなくなることについては反対だという方はいらっしゃいますか。解除できてしかるべきであると。   そういう人は余りおられませんか。○○委員が指摘されたケースというのは。   やはり解除できなくすべきであるというふうなことで,皆さんよろしいでしょうか。   ということを踏まえて,そういうお考えとは違っていたわけですか。 ● といいますか,確かにきちんと①,②のどちらかで明確に読めるかということは,なお検討しなければいけないかなというふうに思います。 ● それでは,その点はなお検討してもらうということにします。   その他,何かこの点について,だんだん詰まっていく段階では,そういうその種の問題,これからいろいろあるかと思います。また,この会議の場とか,その他の場でも問題点をお気付きになったら是非お知らせいただければと思います。   とりあえず,この点はこういうことでなお詰めていただくということで,先に進ませていただきたいと思います。   次は,5頁から7頁にかけまして,「第14 金銭以外の方法による保険給付」について御検討いただきます。   まず,事務当局から御説明をお願いします。 ● それでは,御説明いたします。   第14では,生命保険契約や傷害・疾病保険契約について金銭以外の保険給付もあり得ることを前提とした規律とする必要性について問題提起をしております。この問題については,金銭による保険給付だけを想定した規律とすることの当否という観点から,1の※2に書きましたことも踏まえて検討する必要があると考えられるところでございます。   2では,生命保険契約及び傷害・疾病保険契約について金銭以外の保険給付を約定する契約も保険法の適用範囲に含めるものとし,金銭以外の保険給付に契約法上,○のところに書きましたとおりの限定を付すことでどうかという提案をしております。   まず,一つ目の○でございますけれども,ここでは,定額の給付に限ることを記載しており,これは中間試案の「一定の」という文言で言い表していたことでございます。これは損害保険契約との区別を明確にするために,いわゆる定額保険に限るという趣旨であり,保険事故が発生したときの給付の内容が約款等で定められていることを要するという意味でございます。   次に,二つ目の○では,金銭に評価することが可能であることが必要ではないかということを記載しております。これが必要な理由は,※1に書きましたとおりでありまして,保険である以上は,当然に必要とされる要素であるとも考えられるところでございます。   さらに,二つ目の○では,ほかに考慮すべきことはあるかについても問題提起をしております。※2では,保険事故が発生した時に,保険金受取人において,定額の金銭給付と金銭以外の給付とを選択することができるような手当てがされている場合に限ることや,給付を代替性のあるものに限ることなどの必要性あるいは相当性について記載しております。   これは,例えば,保険事故が発生したときに,1000万円の金銭か,1000万円相当の物,あるいは権利,サービスを保険金受取人において選択することができるようにするかなどという問題でございます。確かに,このような限定を付せば,保険金受取人が金銭以外の給付の方の価値が下落することによるリスクを負うこともなく,かつ,保険者が責任準備金を積み立てるに当たっての問題もないものと思われます。   しかし,これについては,例えば,1000万円の範囲内で金銭以外の給付をすると定めることもあり得ると考えられ,先ほどのような限定を付した場合には,このような契約が保険法の直接適用の対象とはならなくなってしまいます。   そこで,金銭給付との選択が可能であることを必須なものとする必要があるのか,典型契約としてどのようなものを念頭に規定を設けるべきかという観点から御議論をお願いできればと思っております。   さらに,※3では,いわゆる療養の給付,医療や治療については,金銭以外の給付の対象とはしないものとしておりますが,これはパブリックコメントであった指摘を受けたものでございます。このような給付を保険契約に基づく給付とするかどうかは,現行の医療制度や公保険の在り方と密接に関連するものでございますので,今回の保険法の改正で,このような給付まで保険契約に基づく保険給付として想定することは適当でないと考えられます。   ※4では,保険法の各規律について,金銭以外の給付である場合の特則を設ける必要性について問題提起をしておりますが,例えば,保険金受取人の指定・変更の規律は,任意規定でございますので,特則を設けなくても個々の契約ごとの約定にゆだねることが可能と考えられます。これ以外に,何か特則が必要かどうかにつきましても,御指摘をいただければと思っております。   以上です。 ● それでは,ただいまの御説明につきまして,御意見をいただければと思います。   ○○幹事。 ● まず,ちょっと確認をさせていただきたいのですが,2の※3,療養の給付については,上記の給付の対象とはしないものとするということでございますが,そうしますと,傷害・疾病保険契約では,現物給付として考えられそうなのは療養給付以外にはないような気がするのですが,療養以外に,傷害・疾病保険契約で現物給付というのは,何か実際にあるのですか。ないとすると,ここで実際に想定して考えるのは,生存保険の老人ホームの入居権のようなものに限って考えればいいということなのか,そのあたりについてはいかがですか。 ● どこまでこの療養の給付ということで指すことになるのか,この分野の言葉遣いにちょっと通じていないものですから,若干不正確かもしれませんが,ここで意図していましたのは,医療行為,医師の治療行為そのもののようなことをイメージしていまして,それ以外の部分は介護サービス的なものは含まれ得るというふうに考えております。   ですから,介護サービスといったときに,その中に医師の治療行為そのものも入るのか入らないのかといったあたりがちょっと認識不足なのですが,医師の治療行為プロパーのものを除いたものは,介護サービス的なもの,ヘルパーの派遣とかそういうものはここでいう金銭以外の保険給付として想定し得るというふうに考えております。 ● これは余り理論的にどうという問題ではなくて,日本の医療制度との関係で,この間の金融審のワーキングでは,生保の代表の方が,病院もうちらはやりますというようなことを言われまして,やはりそこは調整すべきことがいろいろあるので,この保険法の改正でそこまで取り上げるというのは難しいだろうという御判断かと思います。そのあたり,介護のあたりになると,そういう問題がないだろうと,そういうことです。納得いきませんか。 ● 介護が考えられるということであれば,またちょっとそれも含めて。 ● だから傷害・疾病でも全くないわけではない。だから,そこを最後どう書き分けるかは難しい問題があるかと思うのですけれども。ということで,またお考えいただければと思います。   ○○幹事。 ● 今のことでありまして,介護ホームの中に医師や看護師が常駐していますというタイプのものがこれで全部外れてしまうのかなと,今,一瞬思ったものですから,その点を確認したかったということだけです。 ● そういう意味では,こちらとして※3で意図しましたのは,全部ではないということでございます。 ● ○○委員。 ● 消費者がきちんと保険の価値というのを評価できるかというところが,最初から議論になっているわけですけれども,定額の給付に限る,金銭に見積もることが可能であることを必要とするというようにしていただいたのは非常にありがたいと思うのですけれども,ただ,いろいろ問題はあるのですが,やはり選択できるという要件を加えて,それであればいいのではないかなと。本当は,腰が引けているのですけれども,でも,そこまでいったら,それは駄目ですとはなかなか言えないのではないかと。   要するに,金銭評価と現物給付をきちんと選べますと。それを契約者がその時点で選べますと。だから,そういうアウフヘーベンをしようと思えば,それはお願いしたいなという意見を申し上げたいと思います。 ● ○○委員。 ● 今の○○委員の御意見ですけれども,実際の商品開発のときには,そういう考え方というのは十分にあり得ると思うのですけれども,この事務当局の案にも書かれていますけれども,例えば,契約法の対象をそこに限ってしまいますと,併用性でない契約というのが無名契約になって,この契約法の対象から外れるという問題が出てくるのではないかと思うのですね。   そういう意味で,契約法としてどこまでスコープに入れるかという話と,商品としてどういう商品で実際に開発するのか,認可するのかというのは,少し視点が違ってくるのではないかと。   先生が言われている趣旨は十分に分かるのですけれども,そういう意味では,今後の問題を考えれば,併用性でない商品というのも,考え方としてはあり得ると思いますから,契約法としては,そこまでをスコープに入れて,契約法の対象として,いろいろな規整を今考えておるわけですから,そういうのを適用の対象にしていくと。無名契約にしないという意味では,典型契約の中にそういうものも取り入れていくという方がいいのではないかなというふうに私は思いますけれども。 ● ずっと,○○委員の御主張しておられることはよく理解しているのですが,6頁の1の※2の,そのような給付を約定する契約には保険法の適用がなくなってしまうと。本当にそうなのだろうかと。私は,ここは無名契約だから適用がないということではなくて,やはり実質は保険法適用がある,民法の方の御意見を伺いたいと思いますけれども。   それで,選択できるというのを外さないといけないというところを,もしそういう御主張であれば,そこはもう少し御説明をいただかないとなかなか飲み込めないのですが。   だから,もしこの点,直接適用がないことになってしまうというのはそうではないのではないかということについて,もし可能であれば民法の方の御意見をいただきたいのと,選択できることを条件とするということだと本当に困るというのはどういう場合なのかということを教えていただければと思います。 ● ○○委員。 ● 困るということを言っているわけではないのですけれども,商品としては,そういう選択制でないことも考えられるので,そういうことについてふたをしなくていいのではないですかという,逆に言うと,ふたをしてしまったときに,それが無名契約になってしまうのではないかなということを私は申し上げているのであって,商品として具体的にどういう商品になるかというのは,これからいろいろなバリエーションがあるのだろうと思っているのですけれども。 ● ○○幹事。 ● 無名契約になってしまうのかというのは,この保険法が適用されないのかという御趣旨かと思って伺いましたけれども,その前提でなのですけれども,これは現物給付を認めるというこの規定の趣旨にかかわっていると思うのですけれども,この規定が任意規定で,こういうものを置くときには,基本的にはこういうふうになるという趣旨の規定ならば,この規定,ほかのものがあったとしても,それは保険契約として規定が適用されるということになると思いますけれども,これは,強行規定としてこれを置くことだとすると,強行規定から外れた約定がされている場合に,それが無名契約として取り扱われるということの意味がどこにあるのかちょっとよく分からないのですけれども,その前提を確認させていただければと思うのですけれども。 ● 仮に,選択という要素を盛り込むとすると,生命保険契約の定義がありますよね,5頁の一番下の「その他の一定の給付」ということの問題なのですけれども,そこへ選択制みたいな要素が織り込まれるとすると,選択以外のものは保険法の適用がない無名契約になるかと,そういう問題かと思ったのですが,どうなのですか。 ● ○○委員から御指摘がありました6頁の1の※2が本当にそうかなという点は,そう思うからこう書いているわけですが,少なくとも,現行商法と同じように,保険給付として一定の金額を支払うという書き振りを引き続き維持した場合には,保険給付としては,そういうものを想定した契約を念頭に置いた規定ということになるでしょうから,少なくとも直接適用はないということになって,あとは類推適用するかどうかという問題になるのだろうというふうに,1の※2については思います。   ただ,その次に問題提起いただいた,選択制にした場合には,新しい保険法の規定が選択制だけを念頭に置いているとはいっても,場合によっては,それは一定の金額以外の給付も想定しているのだから,選択でないものにも直接適用という考え方も出てくるのかもしれないとは思いますが,他方で,そこはやはり,典型的に想定している保険給付とは違う保険給付を定めた契約だから類推適用だという気もしまして,そこは考え方が分かれ得るところで,例えば,製造物供給契約について,売買契約と請負契約がくっ付いたものだみたいに言われて,そのときに,民法の規定は,直接適用といわれているのか,類推適用といわれているのか,ちょっと不勉強で知らないですけれども,同じように,そこは考え方が分かれ得るのではないかなと思います。   ○○幹事がおっしゃった強行規定として,任意規定としてという点については,そもそも契約として典型的な契約類型としてどのようなものを想定して契約法に規定を置くかということについて,それをもって任意規定,強行規定という考え方は多分ないのかなと,ただ何を想定しているかというだけで,想定していない規定は,あとは契約自由の世界で行われているものという整理になるのかなというふうに考えていたのですけれども。 ● ○○幹事。 ● 今の最後の点なのですけれども,現行法の下で,この手の現物給付を行うような契約が行われた場合にどうなるかということと対比して考える必要があると思うのですね。それはそれで,商法の規律する保険契約とは別の契約であって,それはオーケーなのだということならば,新しい法の世界でも多分オーケーなのでしょうけれども,しかし,現行法で想定している保険というのは現物給付みたいなものではなくて,現物給付みたいなものを行う契約には問題があるということで,その効力を認めないというのが現在の保険法学の考え方なのだとすると,それは同じことが新しい法律の下でも当てはまるのではないでしょうかというのが先ほどの趣旨です。 ● ○○委員。 ● 短く。やっと誤解の原因というか,要するに,5頁の「その他の一定の給付」というのは,私の理解では,一定の金銭の支払という枠の中での話なので,だからこそ定額の給付に限って金銭に評価するという要件が出てくるのだと思うのですよね。   選択できるというのは,それは消費者保護的な観点からということで,ですから,その他の一定の給付というのは,何か枠から外れたものではなくて,やはり定額の金銭的に評価できるものという枠は,保険法的にきちんとかかっていて,そういう意味では,強行的なものなのだというのを私は当然に思い込んでいました。   そういう理解でいましたので,そこで,先ほどちょっとこのことが言えるのかなということで,でも,今の○○幹事の御説明は,そういう枠は,「その他の一定の給付」にはかかっていないという,そういう御理解なのでしょうか。私は,当然それはかかっているという理解なのですが。 ● 5頁の亀甲括弧の中にある「その他の一定の給付」というのは,定額保険における保険給付であるという枠はかかっています,そういう意味では。 ● そういう意味では,何かの潜在的な強行法規性があるわけですね。 ● ですから,それを具体化したといいますか,さらに敷えんして考えると,6頁の2の方向性で出しました二つの○のような整理になるのではないかと。 ● それで納得してはいるのですけれども。 ● その二つの要素に加えて,もう一個,三つ目のメルクマールというか要件をかけるかどうかと,そういう問題ではないかなと。それが定義のところへ入ってしまうと,そこからそれたものは無名の,直接の適用はないということになるのかなという気はしますが。だから,やってはいけないということになるかどうかは別問題。そこは分かりませんか。   ○○委員。 ● 保険法の検討を通じまして,生損保業界がそれぞれの領域におきまして,創意工夫をしまして,新しい時代の消費者ニーズにこたえるということは非常に大事なことだと思っておりますし,新しい商品や仕組みというのはこれからどんどん導入される,そのきっかけとなるという取組みだと思っておりますが,一方で,生命保険と損害保険の境界というのでしょうか,垣根があいまいになるようなものがありますと,これは将来に問題を残すのではないかなと思うのですね。   その辺は,実損てん補の損害保険と定額給付である生命保険との性格を明確にするということが大事だろうと思っておりますので,事務当局案のとおり,定額かつ金銭に評価できるという限定,これは非常に,是非お願いをしたいというふうに思っております。   さらに,こうした前提の下で,具体的にどういう形の定額の現物給付があるのかとか,あるいはその周りに検討すべき問題があるのかということにつきまして,ちょっと考えてみましたので,もし間違っていれば御指摘をいただきたいと思うのですが,まず,保険制度に基づく定額の現物給付でありますので,当然リスク移転のないような現物給付,例えば,60歳になりましたら海外旅行にいけますよというようなものは,これは給付の対象にはならないのだろうなというふうに考えておりますので,当然,例えば,老人ホームとか介護施設,高齢者マンションの入居権,あるいは共益費の支払とか,こういう金銭的なものが前提となるのだろうなというふうに思っております。   その上で,やはりこうしたものを提供する上では,当然,価格が変動するという,価格に幅があって,例えば,老人ホームの入居権というのも,3000万円と決まっているけれども2500万円であったり,4000万円であったり,人によって値引きをしたりとかいろいろな幅があったり,あるいは時間の中で,技術革新とか社会の制度が変わりますので,価格そのものも変わっていくということがありますので,やはり代替性の乏しいものが対象になると非常に難しいということで,今回そこについてはきちんと明示されておりますのでいいと思うのですけれども,一方で,実際に,例えばヘルパーの派遣ということを考えますと,ヘルパーの派遣をする業者が倒産するというような場合も考えられますから,そういう信用リスクへの対処という問題もこの中に含んでいるのではないかなと。   そこで,私ども,一つ考えているのですけれども,例えば,月々の高齢者マンションの共益費というのか,入居費というのでしょうか,中の生活費みたいなものですね。これを例えば1年目から5年目までは,月々例えば5万円の共益費に見合う費用を払いますと。6年目以降から10年目までは,例えば7万円の共益費に見合う費用を保険として払いますと。このキャッシュフロー,お金の流れを現物給付として払うような,そういう定額現物給付というものがあったとします。その場合には,例えば,共益費がインフレによって値上がりすることがある。そうすると,初めは5万円だったのだけれども,そのうち7万円が10万円になったりとか,こういうふうになった場合,その価格の変動,値上がり分につきましても,例えば,10年間はそういう共益費を払うという契約をしているのだから,例えば7万円で想定したもの,あるいは5万円で想定したものが10万円になろうとも,その金額までは払いましょうと,仮にそういうふうなことになりますと,これは共益費の上昇部分も含めて,現実的な損害がてん補されるということになりますので,非常に損害保険的な世界になってしまいますので,これはこの規定,今回の対象外になるのではないかなというふうに考えています。   いずれにしましても,現物給付で,いろいろな変動部分ですね。価格の変動を含めた変動部分をヘッジするような仕組みとなれば,生命保険による定額の給付という領域を越えるのではないかなと。もし超えた部分は契約者が負担するのだということであれば,これは定額的な要素が維持されますので,この範囲に入るのではないかなというふうに思っていますが,その辺につきましても,ちょっと私もまだ理解が十分ではありませんので,また教えていただきたいと思っています。   なお,あわせまして,今回の保険法は,金銭による給付というのを前提にいろいろ規律を決めておりますが,現物給付をした場合,一体,これまで金銭の給付を決めていた規律のどの部分が現物給付に関連した規律として適用され,そして金銭給付ではなく,現物給付であることによって,さらにどういうような規律を設けないと契約者等々の保護に資しないのかとか,その辺につきましても,また,皆さんの御意見を伺いたいと思っています。   以上でございます。 ● ○○委員。 ● まず,商品の仕組み方というのはこれからなのであれだと思うのですけれども,契約締結時に給付内容はいずれにしても定めますから,要は,そういう意味でいくと,実損てん補という形での保険構成ではない商品に生保としてはつくっていくのだろうというふうに思います。   それから,そういう意味でいくと,多分,5万円払うとか7万円払う,それだったら別に,何々相当として言わずに,最初から5万円とか7万円と言えばいいわけであって,それは多分,現物給付と違ってくるのだと思うのですね。そのときは,要はインフラになろうと,例えば我々が負担しますと。多分そういう商品設計になるのだと思うのですけれども,これは商品のつくり方なので,ここで断定的にそうですということをお伝えできる状況ではないと思うのですけれども,一方で,いわゆるインフレとか価格変動リスクを負うような商品を生保が持っていないかというと,実は物価スライド保険だとか最低保障付きの変額年金とかありますから,全くインフレとかそういうものについててん補するような保険というのが定額給付でないかというと,それはちょっと違うのではないかなというふうに思います。   いずれにしても,生保と損保の実損てん補と定額という線引きは当然必要だと思いますけれども,商品のつくり方というのはいろいろなことがあって,要は,実損てん補にならない定額給付の中でのつくり方というのは,いろいろなバリエーションが将来に向けてあるのではないかなというふうに思っております。 ● 何か具体的にこういう商品というのがないところで議論するのは非常に難しいのですけれども,この問題は。   ○○委員。 ● 何かあるサービスの商品がありましたと。満期になりましたと。そうしますと,それは,定額,金銭的価値としては1000万円ですと。評価としても,金銭に評価できますと。もし選択を認めないと,キャッシュをくださいということは言えないと,こういうことになりますよね。   損害てん補の問題は別として,私はまず一つ,そういう商品について,消費者の委員のお二人はどう考えられるかというのをまず,もし○○委員がお許しいただけるのであればお聞きしたいのと,もう一つ,ただ年齢違いとか,保険金で調整しなければいけないときにキャッシュバリューを選択できなくていいのかという,そういう疑問をちょっと感じましたので,もしお許しいただけるのであれば,お二人の意見を伺いたいのですけれども。 ● ○○委員。 ● 余り意見はないのですけれども,実は,現物給付に近いもので言うと,名前を言っていいかどうか分かりませんけれども,無認可共済で老人ホームの入居権というのをうたって,お金を集めるだけ集めて倒産してしまったというお話がありました。そういう話があって,それはそれで,今みたいに少額保険業も何もないときですから,何もかぶらないということがあって,ただの消費者被害だったという話になってしまったのですけれども,それがこういう形で今,無名契約かそれとも典型契約かという仕組みの中で,典型契約に入るのだからいいのだというふうにおっしゃっているのだと多分思うのですけれども,それが本当にそうなるのかどうかというのは,そもそもどんな商品があるのかというのは,私は,現物給付といったときにリスクが移転すると考えなかったので,例えば,そこになったらヘリコプターが1台もらえますみたいな,そんなのでもいいのかしらとか思っていたのですけれども,それは駄目なのだろうと,先ほど○○委員の話を聞いていて分かったのですけれども,そういうことがあるのだけれども,では,実際に具体的にどんなイメージが結べるかというと,ちっとも結べないのです。   結べない中で,考えを聞かせろと言われてもなかなか難しいのですが,一つだけ言えることは,問題が起こったときに,では,そういう法律関係はどうなるのだろうかと。では,老人ホームの入居権,想像力が貧困でそれぐらいしか思い付かないのですけれども,老人ホームの入居権と言われたときに,では,それを選択しました。老人ホームに入りました。2年後に老人ホームが駄目になりました。そのときに,では,それは保険としてどうなるのだろうと。   保険会社はまだきちんとあります,だけれども,商品は,もうサービスは提供できませんといったときに,その法律関係がどうなるのだろうというところが非常に分からなくて,そこがイメージが結べないもので,それなのに枠だけ広げてしまうということを保険法の中でやってもいいのだろうかというところが大変分からないでおります。 ● ○○委員。 ● 大変次元が違うかもしれないのですが,この話を聞きながら,まず頭に浮かんだのが互助会なのですよね。互助会の場合は,何年間,幾らずつ包んで何十万円ということで,それで結婚式とか葬式,この規模のものができますよという契約なのです。それ以上のものをやりたいと思ったら追加するという契約で戦後発生した制度なのですが,最近は余りニーズとしてないのですね。   先ほどの老人ホームとか高齢者マンション,それからヘルパーの制度といっても,やはり老人ホームとかマンションというのであれば,そのときの値段とか何かいろいろなものが契約のときは分からないのではないかと思うのですね。   それから,ヘルパーの派遣といっても,実際にサービスを受ける人の状態によっても違ってくるとか,何かそういうふうに考えますと,果たしてこういう契約が成り立つのかなというのが一つ。でも,○○委員がおっしゃっているように,選択できるというなら,これはいいかなというふうに考えているのです。選択できないということになると,○○委員ではないですけれども,すごくイメージがわかないのです。どうしても互助会になってしまうのですけれども。 ● ○○幹事。 ● 私も今,お二人の消費者委員がおっしゃっていることと近い感覚を持っているのですけれども,と申しますのは,現物給付ができるということであっても,やはり保険というものの意義の枠に収まっていなければいけないのではないかなと思いまして,それが,先ほど○○委員がおっしゃったリスクの移転がある現物給付でなければ駄目だというところが,多数の人から保険料の拠出を受けて,それで特定の,偶然に危険が現実化した人に対するリスク移転となるような給付になっているかという,まず,そこで商品設計をしなければならないと思いますし,それから,一定の額というところが,恐らく多数の人から保険料を徴収して,それでいろいろな計算をされて,発生する確率とかに従って,こういう給付であれば,この保険料で大丈夫でしょうという計算が成り立つというような現物給付でなければ駄目だということだと思うのですけれども,その場合に,皆さんがイメージしやすい,私もそのぐらいしかイメージができない介護とか,それからあとは高齢者マンションとかになりますと,私は,何となく原野商法的なことが思い浮かんで,ちょっと言葉は悪いのですけれども,ですので,業法の規制も恐らくはかなり強く出てくるところかなと思うのですが,数年か,数十年後に給付を受ける者が金銭ではなくてという場合に,だれがその価値の変動のリスクを負うのだろうかと。これは○○委員が先ほどおっしゃっていた,給付をする会社が倒産してしまった場合ということだと思うのですけれども,そうすると,それは保険契約の当事者のリスクを負うのではなくて,さらにその先の保険会社が委託する先のリスクをだれが負うのかということになってしまうと思いますので,やはり保険契約という意義の中に収めるには,規制的な目で見なければならないところが多い契約内容になってしまうのかなと思います。   恐らく,現物給付の場合に,生保さんだから一定額とか,損保の場合には実損てん補とかという,なぜそうでなければいけないのかというところは,その原理原則みたいなものは,さほど表に出てこないのかなと思うのです。原理原則としては,リスクを移転するような現物給付でしょうかというところなのかなと思います。 ● この点は,こういう契約を認めるかどうかで,監督面は前から問題を指摘されているとおりで,その点に関して,○○幹事からお願いします。 ● まず,金融審での検討状況でございますが,来週22日に保険ワーキングを開きまして,この現物給付というものを仮に認めるとした場合の監督法上の問題点について議論をする予定でございます。   その中で,保険金相当額の給付に限ったものにすべきではないかとか,保険金との選択制のものに限るべきではないかとか,給付の代替性があるものに限るべきではないかというのは非常に適切な御指摘だと思っておりますので,そういう意味で,仮にこういうものが認められた場合に,相当制約をかけたものでなければ,保険契約者の保護あるいは保険会社の経営の健全性という観点が非常に問題があるというふうに思っておりまして,現物給付を仮に認める場合であっても,これもワーキングで議論することについて先取りして申し上げるのは不適切かもしれませんが,監督を実際に担当する省庁の者として申し上げれば,相当制約されたものでなければならないのかなというふうに思っているところでございます。   それとの関係で,これまた契約法の議論はここで行われているわけでございますが,こちらが無名,典型ということで少し広めに規定しておく必要があるというお話であり,監督の方に言ってみたら,えらく狭くなっているという建て付けがいいのか,ある程度そろえていく建て付けがいいのかというところについては,今後議論が必要なのかなというふうに思うところでございます。 ● ありがとうございます。   ○○委員。 ● 実損てん補との区分ということでは,混乱が生じないようにということはもちろんお願いしたいのですけれども,あと一点,念のためになのですけれども,本件は,いわゆる典型契約の範囲の拡大の影響の検証というか対策みたいなものが必要ではないかなというのがちょっと気になっておりまして,かといって,実際に難しいのですけれども,ちょっとだけ気になる例,間違っているかもしれませんけれども,今言っていることを説明するために,また間違うといけないのですが,例えば,現在,先ほどの,多くの介護老人ホームでは,入居時に一時金を徴収して,これは実質的に終身の家賃を一括前払という形になっているということなのですけれども,それに対して,生命保険で,保険料を一括払で,年金給付が即時給付開始払の終身年金の年金給付を入居権という形で現物給付をしましたと。これが,もしもですけれども,現物給付の生命保険となるという形になったとしたら,老人ホームが行っている終身入居権の一時払と外見的には同じように見えると。そうすると,これは生命保険契約となって,生命保険契約の規律が及ぶということになってしまわないかなということをちょっと考えているのですけれども。かつ,この事例が正しければなのですけれども,この事例に限れば,先ほど○○委員が述べたように,価格変動リスクをとるということが定額給付の対象外ということであれば,この事例は問題が起きないと思うのですけれども,いずれにしましても,き憂であればいいのですけれども,典型契約の範囲の拡大という観点からの確認はお願いできればと思います。 ● 今,最後に,○○委員から御指摘いただいたこと,あるいは,その前に○○委員から御指摘いただいた保険法の規定のどの部分が現物給付を定めた保険契約でも同じように適用されるのか,あるいはプラスアルファが必要なのかといったところの検証が必要との指摘はおっしゃるとおりだと思いますので,なお検討したいと思っております。   それから,先ほど来,御指摘のあります選択制につきましてどのように考えているかといいますと,こちらとしましては,○○幹事からの御指摘もある中,違うことを申し上げるわけですが,契約法としてどうかと言われれば,そこはまさに契約自由で,売れなければそういう商品は開発されないでしょうし,売っても商売にならないわけですから,そんなものは売られないというだけのことであって,契約法でそういうものしか想定した規定にしておかなければいけないかというと,決してそういうことではないのではないかなと思っております。   先ほど来,例えば,ヘルパーにしても何にしても,業者が倒産したらという話がありましたけれども,商品設計の中で代替性という話も出ましたが,もし代替性のあるものであり,かつ,その商品として代替性のあるものをどこかから調達してきて提供しますよという内容であれば,1社が倒産したからといって,ほかに代替できる業者がいればその業者に頼んで保険給付を履行すればいいだけということにきっとなるでしょうし,もしほかに保険給付できる業者がこの世に存在しなくなってしまえば,それは保険給付の債務不履行ということで処理されるということなのであって,そこは決してどうなるか分からないということではなくて,保険給付の債務不履行ということで処理され,あるいは倒産リスクについて,今の保険について一定の範囲で保障がされていますけれども,当然そちらのルートで手当てされていれば,そちらのルートにも乗ってくるということなのかなというように考えております。 ● ○○幹事。 ● 少なくとも私の理解と少し違っているのですが,まず,老人ホームとかそういう介護施設の入居権が現物給付であるというときに,満期のときに入居権を取得すれば,それで保険会社の給付は終わりというふうに契約的にはなるのではないかと。その後,それが2年後に破綻したときに,引き続き別の業者のところに入居してということは,入居権が給付の目的であるということからは,かなり外れた議論になるのではないかなというふうに思っています。   ですから,死亡するまで介護サービスを提供します。介護サービスそのものが現物ですという契約であれば,もちろん業者が破綻すれば次の業者にということが言えると思うのですけれども,そこは契約の内容次第で,やはりそうなる場合とならない場合があるのではないかというふうに思っております。   それから,今,その関連で,例えば入居権をもらって,それが2年後に破綻したとかという場合に,結局,入居権を取得したときの時価というのは幾らだったのだろうかということがやはり後から問題になるだろうと思いまして,これは5000万円相当の入居権ですよということを言われても,2年後に破綻した場合に,例えば10年ぐらい前から粉飾決算をやっていたという場合に,その入居権の実質的な価値が幾らだったのかということなどはやはり問題になるだろうと思いますので,そうすると,やはり5000万円相当の入居権ということがどこかにあれば,それは債務不履行だと思いますし,それがないとすると,かなりリスクのある商品を売っているということになるのではないかと思うのですが,いかがでしょうか。 ● また前提を若干すっ飛ばしてお話ししてしまいましたけれども,私が申し上げたのは,保険給付の履行時点で予定していた,あるいは,当初第一順位で予定していた業者が破綻していたという前提で申し上げましたので,おっしゃるとおり,入居権というものを保険給付として想定して,履行後に入居権の対象であるホームの運営主体が倒産した場合には,そのリスクは,専ら受け取った保険金受取人の方が負うというのはおっしゃるとおりだと思います。ですから,それはそういうリスクがある商品を買うか買わないかの契約者サイドの判断ということになるかと思います。 ● ○○幹事。 ● すみません,お言葉に合わせるようでございますけれども,そうしたリスク移転の危険性が高い商品が契約自由ということで,契約法では自由に認められるということで,本当にいいのかということについて疑念があると。   つまり,保険契約法を今回お定めになられるときに,1条にその法律の目的なりが恐らくあるはずで,そこには契約者の保護というのも恐らくあるのかなと勝手に想像はしておるところでございますが,そうした観点から契約者の保護のような観点に立って,何らか契約について一定の保険契約の特性に応じた規律を設けるという考え方があってもいいのではないかなというふうに思っているのですが,いかがでございましょうか。 ● おっしゃることを否定するものでは全くありませんが,一方で,例えば生存給付で500万円もらいましたと。500万円で自分でどこかホームを見付けてきて入居料を払って,そのホームが傾けばそのリスクを負うわけで,自分で探してくるのは面倒だし,大変だからお願いしますと,そのセットの商品を希望しますといってセットの商品を保険会社が提供して,そのニーズがあればそれが売れて,それはそれで納得して契約をしているということになるわけですから,それを否定する必要はないのではないかと素朴に考えているということでございます。 ● すみません,質問とちょっと違うかもしれませんが,私が質問したかったのは,先ほど指摘があったのは,保険金相当額の給付とか選択制みたいなもの,いざというときに現物が,もし危険性が,リスク移転の可能性が高ければ,現金給付が選択できるといったような基本的なルールなり,枠組みの設定を契約法の方でもある程度できないのでしょうかということでございます。 ● ○○委員。 ● そういう意味では,現実的に,商品をつくるときに,例えば老人ホームが将来どういうふうに展開されているかだとか,いろいろなことが前提としてどうかというのがあると思うのですけれども,そのときに余りに代替性がないというような条件であれば,当然言われているような,金銭給付との選択制とかそういうことは当然,保険会社として,要は無責任な商品を売るつもりは全然ないですから,それは当然,一定の契約者保護だとか,あるいはきちんと履行できるかどうかというのは,当然商品をつくるときに考えていくということになるとは思うのですね。 ● くどいようで申し訳ございません。規制に立つ者は,ある種,大変申し訳ありませんけれども,性悪説に立った見方も時としてしなければいけない場合がございまして,そういう観点から,その契約において,もう少し基本的なルールの絞り込みが契約法においてもされるといいのではないかなというふうに思って,もちろん監督当局としても,今後,ワーキングでの議論を踏まえながら,どういった規制が必要なのか,契約者保護と保険会社の健全経営という観点から過大なリスク移転が発生するようなものがあってはならないと思っておりますが,重ねて申し上げたいのは,そういう趣旨でございます。 ● ○○幹事。 ● もう随分,議論が尽くされておりますので,私があえて言う必要はないのかもしれませんけれども,やはり選択制でないものというのは,かなりリスクがあるということは,今の御議論でも明らかになったと思うのですね。   現時点で500万円持っていて,そしてその500万円でいい老人ホームを選ぶということであれば,今,財務状態が健全な老人ホームの業者を選ぶことができますけれども,20年前に保険契約を締結して,20年後にどうなるか分からない,そういう契約を締結するという場合はやはり相当リスクは大きくなると思うのですね。   まさに20年後に,業者としてあるかもしれないけれども,それこそ倒産寸前になっているかもしれないということもあり得るわけで,それはやはり正面からそのような選択制ではなくて,もう現物給付しか認めないような,そういう生命保険契約もありですよということを生命保険契約の定義で書いてしまうと,それは,幾ら商品設計としては実際にはなかなか考えられないですよということを言われても,生命保険会社は立派な生命保険会社ばかりではないと思いますし,それこそいろいろな業者がありますから,やはり定義で広げてしまうと,シグナル効果というのですか,こういうのも生命保険契約としてオーケーなのですよという効果というのはかなり大きいと思うのですね。   他方,そういうものを定義に含まなかったとした場合には無名契約となってしまって,保険法の直接適用がないということを強く言われるのですけれども,しかし,仮にそういうものがもし監督法でそういう現物給付だけをするものを認められたとした場合に,直接適用はないかもしれないけれども,類推適用は考えられるので,およそその契約に適用する規律がないということは実際問題としてはないと思うのですね。   ですから,直接適用する法規がないという問題と定義で広げてしまった場合に,そういう契約もありなのですよというシグナル効果が私は危険だと思うのですけれども,どちらの弊害が大きいかと考えると,私はやはり定義を広げてしまうことによる弊害の方が大きいのではないかというふうに考えております。 ● ○○幹事。 ● すみません,私の方も大体皆さんに言い尽くしていただいたところと重なってしまうのですけれども,まず,基本法で,契約自由の原則だというところに関しまして,保険法の場合には,やはり定義には書けなかったけれども,保険とはかくあるべきだというところはしっかりあるのかなと思いまして,先ほど申しました偶然に事故が生じた人の危険の備えを実現するというところと,それから,それをするためには確率的な偶然性があるので,保険給付をする保険者側できちんとした保険の計算ができなければ,保険者としても運営が危うくなるというところがあると思いますので,その場合に,金銭だったら何十年先でも,ある程度かなりしっかりした計算の根拠があると思うのですが,それが,入居権とかマンションとかそういう価値が変動,保険者の業態として,経験がさほど積まれていないであろう分野のところの給付にすると,今度,保険者側の運営としてのリスクが生じてしまうのではないかと思われまして,そこのところは,やはり基本法のところで,多数の人から拠出を受けた金銭の運用的なものが,私は基本法の中である原理だと思いますので,そこを外れてしまう可能性があるということと,その現物給付の場合の保険者にとってのリスクが顕著に現れるというか,又はそれが保険者が負担しないということだとすると,保険契約者の方にリスクがいってしまうことの顕著なことというのが,例えば,老人ホームの入居権を給付しますというときに,先ほど○○幹事がおっしゃったことだと思うのですけれども,5000万円の価値ですといって,実は,2年後に倒産したら,そのときには2000万円の価値もなかったのではないかという,その価値を保険者がいつ調達するのかというのがちょっと想像が付かない。   何歳になりました,では保険給付を行いますといって,自分が保険会社として行っている業種であれば,常にその給付というのは調達できることだと思うのですけれども,ホームに入居するということは,常にホーム側と契約をしているでしょうし,契約にとどまらず,この人に入居権をあげるということになったら,やはりそれは保険会社がホームの側にお金をまず払ってということになるのかなと思うので,先ほどの事例だと,保険会社は幾ら払ってその権利を調達してきて,保険契約者に給付するのかなというふうに,そこのメカニズムがよく分からないと,先ほどちょっと言葉が失当だったかも分からないのですけれども,多少,原野商法に対する規制と同じような規制が必要になってきてしまうのではないかということを思いましたので,ですので,基本法としても,かなり保険契約としての現物給付というのは要件が狭められるのではないかと考えます。 ● ○○幹事。 ● 今,○○幹事が最初におっしゃったこと,それから,○○幹事がおっしゃったことと関連するのですけれども,基本的な考え方なのですけれども,保険契約法というのを法律として定めるというときに,中身が任意規定,強行規定,いろいろあると思いますけれども,保険のあり得る適正なレジームというのはこういうものなのだということを法律に定めるのだろうと思うのですね。   もちろんその中で,さまざまな活動の余地があるので,さまざまな条項が設けられたり,あるいは,ハイリスクのものに対応するということも考えられると思うのですけれども,我々が保険というのはおよそこういうものだというふうに考えるときに,ものすごくリスクが高くて危ないというものを,あらかじめそれを入れておいて,後は監督の方でお願いしますというのは,合理的な契約類型を設定するという観点から考えたときに,必ずしも望ましいことではないのではないかというふうに思うというのが一点です。   ですから,先ほど来,問題になっているリスクが高いと言われるような給付の在り方が許容できるのならば,それは保険法の中に入れればいいでしょうし,やはり危ないというのならば,それは入れないということで考えるというのが筋なのではないかなというふうに思います。   その上で,それは入れないということになったときには,それは保険契約法にいうところの保険契約ではないということになって,無名契約ということになりますが,無名契約の世界は,契約自由の世界かというと,半ばはそうなのですけれども,半ばはそうではないと思うのですね。保険法の規律がかからないから何でもできるのかというと,そうではなくて,保険法の規律のかからないようなものなので,それはあやしいものだと。   保険法の規律の内容は合意的なものとしてセットされて,それを社会的にサポートしているので,その外にあるものについては,これは基本的にはあやしいと。ただし,あやしいものの中に合理性のあるものはあるわけですね。ですから,保険法は定めていないけれども,これは合理的な契約なのだということを積極的に言えるのであれば,それに対して法的な効力を付与するということになると思いますけれども,そうでないものは,幾つかのものが今まで引き合いに出されていますけれども,ある種の危ない商法とむしろ近いものだというふうに当初は扱わざるを得ないということなのではないでしょうか。 ● ほかにこの点ございますか。   大体,意見の分布は,今聞かれたとおりでございまして,余りいけいけどんどんでは少なくともないということを踏まえて,また金融審のワーキンググループの方でも検討しますので,またその結果も踏まえて,なお,もう一回考えていただきたいと思います。   ○○委員,どうぞ。 ● 意見分布と言われると,私は,当然のことながら,市場の規律に任せればいいことであって賛成です。   それから,先ほど,監督業法で性悪説で規律するというお話があったので,是非やっていただきたいと。だから,この民事の基本法である保険法で制約する必要はないと,逆にそういうふうに受け止めます。   それから,リスクが多いということなのですが,結局,リスクの判断をだれがするかということなのですが,例えば,夫婦で両方とも将来要介護状態になって,片方の御主人は先に亡くなって,信頼できる保険会社がきちんと契約している先の介護施設に入るようなアレンジメントをしたいとか,いろいろなニーズがあろうかと思うのですが,契約法で最初からふたをするという発想というのが私はよく理解できないと。   したがって,意見の分布と言えば,この場合も生保会社さんの意見に全く全面賛成です。 ● そういう意見もあるということを踏まえて,なお,検討していただきたいと思います。   それでは,もう少し先に進ませていただきたいと思います。   次は,7頁の「第15 保険契約の募集・締結時の規律,保険金の請求・支払時の規律,契約解除の催告に関する規律及び契約成立(責任開始)前発病不担保条項」,この部分をまとめて,まず,事務当局より御説明をいただこうかと思います。よろしくお願いします。 ● 第15について御説明をいたします。   まず,1の契約の募集・締結時の規律については,例えば,保険者による説明義務に関する規律,損害賠償の特則に関する規律,被保険者に対する情報提供の規律を設けるべきかが検討課題とされております。   まず一つ目の○では,保険者による説明義務等について記載しておりますが,※1に記載したように,説明義務の有無及びその内容について,一般的な規律を保険法で規定することの当否には疑問があると考えられますし,義務違反の効果として,取消権や損害賠償の特則を設けることについては,※2や二つ目の○のように,その当否には問題があると考えられ,これらについては,保険法に規律を設けるのではなく,民法の信義則やその他の法律の規律にゆだねることでどうかという提案をしております。   二つ目の○の損害賠償の規律の特則については,民法等の定める損害賠償責任が生ずるための要件を満たしているかどうかを問わずに,説明義務違反があったということだけから,既存の規律からは導かれない損害賠償を認める旨の規律等を設けることの合理性には,保険契約者間の衡平等という観点からも疑問があると考えられ,このような観点から,保険法において特則を設けることの当否について御議論いただければと思います。   三つ目の○では,被保険者に対する情報提供の規律を設けることについて問題提起をしており,検討すべき点については※に記載したとおりですが,そもそも義務を定めることの当否だけではなく,被保険者への情報提供がされなかった場合の効果をも念頭に置きつつ御議論をいただければと思います。   次に,2では,保険金の請求・支払時の規律について取り上げております。   まず,(1)では,保険契約者等による説明・協力義務を直接定める規律は設けないものとすることでどうかという提案をしております。   ※に記載したとおり,保険契約者等の一般的な義務とするまでの必要性があるのかについては疑問の余地がございますし,先ほど御議論いただいた保険金の支払時期に関する規律とは別に,特別の規律を設ける必要はないのではないかとも考えられます。   次に,(2)では,保険金の請求や支払に関する保険者の責務について,契約法上の規律は設けないものとすることでどうかという提案をしております。   この点に関し,部会でいただいた提案につきましては,※に記載したとおり,保険金の請求時期に関する事実認定の問題でもあると考えられることや,各保険金請求権の間の関連性の程度はさまざまであり,保険者に一律の説明義務を課すことが相当でない場合もあるとの指摘がされていることなどを踏まえると,契約法に特別の規律を設けることはせず,信義則等にゆだねるのが適当ではないかと考えられることから,このような提案をしております。   (3)では,保険金請求権等の差押え禁止及び保険金請求権者等の一般先取特権に関する規律は設けないものとすることでどうかという提案をしております。保険金請求権等の差押え禁止については,※の1に記載したとおりの検討課題がございますし,民事執行法第153条等の規律にゆだねることが事案に応じた適切な解決につながると考えられます。また,保険金請求権者等の一般先取特権については,※2に記載した点について検討する必要があると考えられます。   資料に記載したように,一般先取特権を認める必要があるかの検討に当たっては,保険事業者の倒産時の保険契約者等の保護制度との関係を検討する必要があり,例えば,農業協同組合については,各組合とともに,連合会が連帯して責任を負う旨を定めており,各組合について破産手続開始の決定があったとしても,共済契約者が連合会等から共済金の支払を受けることができるような手当てがされております。   次に,11頁の3では,保険料不払による保険契約の解除に関し,保険契約者に対する催告を不要とする約定を一律に無効とする規律は設けないものとすることでどうかという提案をしております。   この点に関しては,保険料の口座振替に関する特約がある場合に,保険契約者に契約の解除や失効を防ぐための機会を与えるべきであることなどを理由に,催告を不要とする約定を無効とすべきであるとの指摘もございますが,※に記載したとおり,このような約定を保険契約についてだけ一律に無効とすることの合理性には疑問がございますし,また,個々の約款の解釈において合理的な結論を導くことができる場合などもあると考えられます。   そこで,契約法において,当該約定を一律に無効とするのではなく,各保険契約の解釈にゆだねることが適当ではないかと考えられますが,このような考え方について御意見をいただきたいと思います。   続きまして,12頁の4では,契約成立前発病不担保条項について問題提起をしております。   この条項については,規律を設けるべきであるとか,告知との関係を整理すべきであるなどの指摘がされておりますが,○に記載した点について検討する必要があると考えられます。   これについては,※に記載したとおり,契約するかどうか自体が自由である私保険について,法律において担保すべき範囲を定めることは相当とは言えないと考えられるほか,指摘されている問題は,商品性又は契約締結時の説明の問題であって,そのような観点から検討すべきと考えられることを踏まえ,契約法上の規律は設けないものとすることでどうかという提案をしておりますが,これについて御議論をいただければと思います。   以上でございます。 ● 以上,いろいろな問題をまとめて御説明いただきましたが,議論が混乱しないように,順次取り上げてまいりたいと思います。   まず,1の募集・締結時の規律の部分について御議論をお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。   ○○委員。 ● 簡潔に申し述べます。   これは,前から○○委員が説明義務について何とかしていただきたいと。これは部会資料9の13頁のところで御提案になって,いろいろ議論がされたものです。   それから,もう一つ,損害論についても何とかしていただけないかという御主張があって,あと,ヒアリングのときに,○○氏から適合性原則を考えていただけないかという御主張があって,基本的にどう考えるべきかというものを私はうまく書いたものがないかと思って思い出したのが,この注に書いたものですけれども,これは○○幹事が告知妨害のところで,私法上の規定を置くことの意味ということを述べられたところでおっしゃったことなのですけれども,それを要約しますと,上の1(2)のところですけれども,保険業法などの行政的な規制とは別に,行政的な規制ということでも制約があるわけですし,消費者契約法と一般法,つまりオーダーメードではないということから,保険商品のための私法上の基本である契約法に,保険商品のための規律,契約締結過程の適正化のための規律がやはり必要なのではないかと。   現に,ドイツの新しい保険契約法では,助言義務という形で,いろいろなものを包括した形でどうも定めているようですし,私はそういうふうに思うのです。これは確かに難問ですし,しかし,難問だからこそやはり正面から取り組まなければいけないという問題ではないかと。   今回,今日11とか数え方によっては12ぐらいのテーマがありますが,その中で多分一番大きな,本当は本来的に一番大きな問題ではないかと。ただ,私は,この部分に完全に論文を書いたことがあるわけでもなく,ドイツ語ができるわけでもないですが,少なくともこの部会で,○○委員から出た御要望等に最低限お答えするものをまず用意して,何かやはり骨子,たたき台がなくて議論するというのはまずいと思いましたので,最低限のことだけ簡単に御説明させていただきます。   簡単に読みますと,保険者は,保険契約者に対して,保険契約者の知識,経験及び財産の状況,これは金融商品取引法の文言と同じですが,並びに保険契約の内容の理解しやすさの程度,これはドイツ法にあるものですが,これを考慮して,金融商品取引法では「照らして」という文言ですが,保険契約を締結する目的と必要性の程度につき質問した上で,これはドイツ法的な,保険契約締結目的に適合した内容の保険契約の締結について助言しなければならず,また,適合した保険契約の重要な事項について説明しなければいけないということで,この場合において,保険者は保険契約者に対してその適合した保険契約についてされた助言の根拠を説明しなければならない。ドイツ的なものですね。   次の規定も,本項の義務は,保険契約者から質問がある限り及び保険契約者に助言する必要がある限り保険契約締結の後も存続すると。   どうもドイツの最終報告書を見ますと,私のドイツ語の読み方が間違っていなければいいのですが,説明義務というのは助言義務の中に含まれているという理解をしておられる。ただ,ドイツの場合は,これは契約法理の延長で考えておりますが,この案では,2項で,前項の義務に不法行為責任として違反したときは,保険者はこの違反によって保険契約者に生じた損害を賠償する責めに任ずると。   私はコンメンタールは見られなかったのですが,ドイツの法務省のウェブでこの説明がしてありまして,どういう説明があるかというと,例えば,ヨーロッパで車を運転するということで,旅行に出掛けるからということで保険証券をもらったけれども,実際に行くのはヨーロッパ外のところだというような場合には賠償責任があると,こういう規定の説明が,これも私のドイツ語の読み方が正しければですが,あって,そういう考え方で,次が,これは○○委員の損害論を何とかというお話ですが,この場合において,この違反によって保険契約者が保険金の支払を受けることができた保険契約,旧契約を解除し,失効させた場合もありますが,保険金の支払を受けられない保険契約,新契約を締結したときは,旧契約の下で支払われるべき保険金の額を前項の義務に違反したことによって保険契約者に生じた損害額と推定すると。これは,推定規定は置かなくてもこういうふうにできるという説も,私は不勉強でしたが,どうもあると。ただ,これはいろいろな問題があって,山のような議論があるので,まずこういう推定規定を置くという案を一応出したわけです。   いろいろな問題がありますが,最低こういうあたりから一度,ほかの規定とは,法条競合といいますか,請求権競合的なもので,まず考えてみるということが必要ではないかと思います。   それから,もう一点,10頁の被保険者に対する情報提供の規律の問題ですけれども,これは,前回も申し上げましたけれども,これはヒアリングの際に○○氏がおっしゃった,中学生のときに父親が自分を被保険者にして生命保険に入れたと。もちろん現状ですから同意なくして。自分は成人したのだけれども,酔っ払うと,「お前の保険金が入れば」と言うと。保険会社は分かっているのだけれども,自分に幾ら保険金が掛かっているか教えてくれないと。こういうような場合に,被保険者に対して保険の契約内容をやはり知らせなくてはいけないのではないかと。   やはりこれは個人情報保護の方は,私は不案内なので分かりませんが,当然それが認められるのかというのであれば,それはいいのかもしれませんが,なかなかそうはいかないと思いますので,これはまだ具体的なものはありませんが,真剣に手当てを考えないといけないのではないかと,そのように考えます。   以上です。 ● ○○委員。 ● 私どもは,事務当局案に全く賛成でして,やはり一律に規定を設けるというのが,事務当局の御説明がありましたように,個々のいろいろな事情がありますし,その義務,それからその効果を保険について特別に設けなければならない理由というのは,私どもは見出し難いと,そういうふうに考えております。 ● ○○幹事。 ● 時間的に前後してしまうのですけれども,先週,金融庁の金融審の保険ワーキングの方で意見を申し述べましたので,同じことをここでも申し上げたいと思うのですが,まず,保険業法の中の私法的な規律を基本的に契約法に移していただきたいと,これを検討課題としていただきたいと。具体的には,業法の第283条,第294条,第300条第1項第1号から第4号と第7号,それから第309条であります。   そして,それに対する消極的な御意見について少しコメントをさせていただきたいのですけれども,まず,説明義務について,契約者の属性や理解力など,個々に具体的に検討されるべきであるから,一般的な規律として保険法で規律することには疑問があるというのは,これは理由になっているのだろうかというふうに思います。少なくとも一般解釈による補充は必要であるような,抽象的な規律はそもそも契約法とか私法的規律になじまないという一般原則はどこにもないと思っておりまして,その説明をなすべき必要がある状況で説明をしないといけないという規律を置いてなぜいけないのか,それがなぜ法的規律として置くことが不適当なのかということの理由には多分ならないと思っております。   それは,効果との関係で,一般原則でも導けるからということであればということなのですけれども,この資料では,既存の規律から導かれない損害賠償を認める旨の規律は疑問がある,その既存の規律で導けるものであれば既存の規律でよいと,そういうふうに読めるわけでありますが,基本的には説明義務違反の場合の損害賠償については,損害額とか,あるいは損害と加害行為などの因果関係の証明の問題とかがありまして,金融商品販売法の下で,その説明義務違反があれば損害と因果関係については推定をするということ,そういう規律が置かれたところでありまして,これは金融商品販売法であるからこそ,特に,政策的に認められたというよりも,説明義務違反の場合には,説明義務違反がなかったらどういう状況だったかということについては,これはもう仮定的なことでしかないので,どういう説明をしてもらったら,お客さんはどういう判断をしたかということについて立証することはほぼ不可能なので,そういうことからすると,説明をしてもらったらどういう選択をしたかということについて証明できない,そういうことの原因は,説明義務を怠った業者側にあるからこそ,その証明責任がそちらに課されるというふうに諸外国でもそういうふうに考えられておりまして,これは一般論でそれが本当に認められるのであればそれはいいのですけれども,これが一般則として認められるということについて,まだコンセンサスがないと思われますので,金融商品販売法ですとかこういうところで個別にそういう規定を置いていくことによって,それが次第に社会においてコンセンサスが得られると,そういうものではないかというふうに思っております。   それから,情報提供義務と説明義務については,私は分けて考えるべきだと思っておりまして,保険業法第300条の情報提供義務については,これは現在かなり保険業法の側で細かな具体的な規律がありますけれども,それは基本的に消費者がアクセス可能な情報としてここまでの範囲のものを渡しなさいと,そういうものでありますので,これを怠ったときの基本的な救済の方法としては原状回復で,そういう情報提供を受けたのであれば,その契約をしなかったであろう場合に,その契約から離脱できる権利を与えるということは,理論的には正しいのだろうと思っております。   それと,誤った説明をされて,ゆがめられた選択がされたという場合に,いずれにせよ何らかの保険には入ったのだけれども,選択が誤っていたために購入した商品では保障が得られなかったけれども,ほかの商品を選んでいれば保障が得られたであろうという場合には,それは履行利益の賠償を認めるというのが理論的な帰結ではないかと思っております。   それは,結局,因果関係をどういうふうに考えるかというところが問題の焦点だと思われますので,そこについて立法的な解決をするというのは重要なことであると思っております。 ● ○○委員。 ● 事務当局のこの案に賛成です。理由もここに書いてあるとおりで結構でございます。 ● 今回こういう資料をお出しして,ある意味,非常に後ろ向きに映るのではないかというふうに思いますけれども,今,○○委員,○○幹事から御指摘いただきましたように,説明義務といいますか,助言義務といいますか,そういうことの大切さを否定するものでは全くございません。それが大切であることは重々承知しておりますし,強調し過ぎてし過ぎることはないとも思っておりますけれども,やはり契約法でどこまで何が書けるのかと,どうしてもそういう技術的な問題も踏まえて考えてしまうところがございまして,確かに○○幹事がおっしゃるとおり,契約者の属性などにもよるから一般的な規律としては書けないというが,そんな理由はないのではないかと言われれば,何か明文で駄目よと書かれているわけではありませんので,そういう意味では,日本の法体系として,契約法でどこまで何を書くかという,そういう考え方になるのだろうと思いますが,殊に,保険だけ説明をきちんとしなさいよということが書けるかというと,それは言ってみれば保険だけの話ではないわけで,ごくごく単純な売買にしたって,賃貸借にしたって,きちんと説明しなさいよと,賃貸借にしても,売買にしても,目的物件がどういうものであるかきちんと言いなさいよというのは当然あるわけで,それはすべての契約類型について書くというのも一つの在り方だろうとは思います。ただ,今,これは私の理解が間違っているのかもしれませんが,日本の法体系は,少なくともそうはなっていないのではないかという中で,どうしたものかなという思いがあるというのが一つでございます。   それから,先ほど,まさに○○幹事も効果ということをおっしゃいましたけれども,業法であれば,まさに罰則規定ですとか行政命令とかいう裏付けで,その行為規制というか,こういうことをしなさいよということを間接的に強制し,かつ,罰則などの裏付けも設けるということが言えるわけですが,契約法で説明しなかったときに罰則というのは,なかなかやはり結び付かないと思いますし,それでは,何か民事上,説明義務の履行のインセンティブになるような私法上の効果と結び付けられるかと考えましても,なかなかそこがうまく思い浮かばないと。○○委員のペーパーにございましたように,一般論として,損害賠償ということがあるような気はするのですけれども,そこで言う損害賠償というのは何の損害賠償なのかというのがなかなかちょっと説明しにくい。   例に挙げられました金融商品販売法などであれば,投資性の商品について,元本割れのリスクということが割と結び付きやすいというか,例えば,損害とは何かと言われたときにそういうことが申し上げられるわけですが,殊に,ここで説明義務違反がありましたと,それの損害は何だろうといって,ちょっと発想力が乏しいのか,なかなかいい知恵が浮かばないということから,こういう御提案にとどまってしまっているということで御検討いただければというふうに思います。 ● ○○委員。 ● 消費者契約法で情報提供義務というのが第3条にあるのですが,あれは努力義務なのですよね。ですから,私たち消費者からすれば,ものすごく手ぬるいといいますか,不満だったのです。ですが,裁判所が消費者契約法で一番最初に適用したのがあの第3条なのですよ。専門家の考え方はそうなのかなというふうに思ったので,それから,私たちは消費者契約法第3条の努力義務というのにものすごく価値を感じたのです。   今,内閣府の方でも消費者契約法の見直しで,やはり消費者の方から努力義務をどうにかしてくれという声が大きいみたいで,果たしてそれを努力義務からいわゆるそうではない義務に持って行けるかどうか,その部分に関しては,内閣府もちょっとちゅうちょしているみたいなのですが,ただ,あれだけの少ない条文の中で,あそこだけがものすごく,最初に裁判所で目を付けたという部分からすると,是非やはり保険法の中でもそういうのを入れていただきたいなというふうに思うのですけれども,まして民法の特別規定としての消費者契約法があって,また,保険法というのも,そういう意味では,消費者契約法と同じあれかなというふうに考えるものですから,是非それは,ここには入れないのだけれども,消費者契約法とか民法で適用されるよというのではなくて,保険というのは,やはりトラブルのほとんどが,情報が十分に消費者に渡っていないということなのですね。一度契約して,これは思っていたのと違うからやめたいわと言って,またそこで新規の契約をするということは,消費者にとってもとても不利なのです。ですから,普通の契約と違うという部分では,是非情報提供というのが努力義務なのか,それよりもっと強いのか検討していただきたいというふうに思うのですけれども。 ● ○○委員。 ● 今,○○委員がおっしゃいましたけれども,全くそのとおりに思っておりまして,効果のない規定は駄目だというのは,それはそれでよく分かるのですけれども,情報提供義務,特に,保険に限らず,情報提供はみんなどの世界でもあるのだというのは全くそのとおりなのですが,殊に,保険に関して言えば,皆さんお認めになりますように,複雑で大変分かりにくいと。消費者の義務も大変たくさんございますということを考えれば,やはり契約法の中で,情報提供義務というのを別個の規定としてきちんと決めていくというところからスタートをしないといけないのではないかなと思いますし,そういう意味で,もしも努力規定ではなくて,効果のない規定は駄目だとおっしゃるのであれば,やはり私が申し上げたみたいに,例えば明らかに違うことを言って誘導して,何年も掛けていて,そのときになって,最後になって話が違いますよとなったときに,履行利益を損害賠償として認めるというような,かなり大変ラフな,乱暴なと,言っている本人がそう言ってはいけませんけれども,そう思ってはいるのですけれども,そういうことが説明義務をきちんと果たすことへのインセンティブになるのではないかと,そこのところを大変そういうふうに思っていますので,そこの部分で何とかしていただければ,ありがたいなと思っております。 ● ○○委員。 ● 重要事項の説明というか,保険会社の方から告知する義務ですね。それは業法の第300条第1項第1号に規定がありますし,それから,その他説明を講ずべき義務があるということを書いてあるのですけれども,そしてそれを受けて,監督指針等できめ細かく規定があります。   我々は今どういうことをやっているかといいますと,商品のパンフレットでまず商品の概要を説明して,その後,現在,注意喚起情報というのをお渡しして,ここで重要事項をまた説明していると。それから,御契約のしおりも渡していると。それから,適合性原則の流れだと思うのですが,現在,今年度から意向確認書面というのをお客様のニーズとの合致を確認しながら契約をいただくと,そういうことをやっております。ですから,我々としてはやるべきことはやっていると,そういうように考えております。 ● ○○幹事。 ● やるべきことをなさっているのであれば,そういう規律が入っても,実際には,それが請求されることはないわけなので,それほど身構えていただくほどのことでもないのかなというふうに思っておりますし,それから履行利益の賠償は乱暴ではないかという御意見がありましたけれども,これはドイツで,不法行為の線がない法制の下で,契約締結の過失でしか請求ができないような世界でも,保険のこの局面においては,この場合の信頼利益は履行利益に一致するということが,1970年度代でしたか,ブルック・メラーのコンメンタールにも書かれていたことでありまして,それは理論的におかしな話ではないと思っております。   それから,業法に規定があるからよいではないかということなのですけれども,業法に規定があることによって,この規律にゆがみがあるとむしろ私は考えておりまして,刑罰の規定がかかっていると,やはりそれはどうしても厳格な解釈をしなければいけないという要請がどこかに働いて,この条文の解釈によってこの問題を解決しようという方向に対してはブレーキがかかることがまず一点。   それから,業法に規定があります,これは監督法ですということになりますと,やはりそれは,業法に規定があって,これにブレーキがかかるということになりますと,結局,刑罰によって,これを世の常とするのですというのですが,実際には,どれぐらい実際に刑罰が科されているかというと,ほとんど実績はないのだろうと思っておりまして,そうだとすると,これは行政処分だけであると。行政処分の問題だけであるとすると,私法ルールの違反に対しても,やはり監督法上は行政処分の対象にできるはずだと思っておりまして,これが別に業法に規定がないと行政処分が打てないかと,そんなことはないだろうと思っておりますので,私法の性質のものは私法に置いていただきたいと。   それから,もう一点ですが,消費者契約法のところで努力義務になったときの議論のいきさつというのは,事業者にもいろいろな事業者がありますと。消費者契約法の下で考える事業者というのはいろいろなものがあって,およそあらゆる事業者に一律に情報提供義務を課すのは,やや行き過ぎではないかという御議論から努力義務になったという経緯があって,個別の契約類型のところでは,そこでの御判断だというような議論があったというふうに伺っておるのですが,それで今回,保険法でこれを入れないとすると,ましてや,保険法でも入らなかったのだから,ほかの分野でも入れないということを必ずこの後,別の立法をやるたびに言われるのではないかということ,それを一番危惧しておりまして,ほかの分野では入らなくても,保険だけは入れておく必要があるのではないかと,そういうふうに思っております。 ● ○○委員。 ● 手短にいたしますが,やはり議論を深めないといけないと思いますので,○○幹事がおっしゃった二つの点,なぜ保険だけかという問題と,それから効果というようなお話だったと思いますが,というか,保険が一番,多分,消費者契約法の中でやらなければいけないもので,要するに,情報格差,処理能力格差の一番端にあるのが保険なので,だからこそ,いろいろな問題はあっても,ドイツでは助言義務というのを入れたのだと私は思っております。だから,まさに今,○○幹事がおっしゃったように,ここで入れなかったらほかはもういわんやという,そういう関係にあるのだと思います。   それから,効果云々の問題ですけれども,これはほかの民法の方,それから商法の方にも御助言をいただきたいのですが,私は,今回これをつくっているときに思ったのは,やはり不法行為の方が柔軟性があって,いろいろな救済に資するのではないかと。   先ほど,私は,おわびしなければいけないのですが,○○委員がおっしゃった契約切替えのような場合の損害賠償の,これはそういう趣旨を述べた判例もあるのですね。私は不勉強でまだ知りませんでしたが。ですから,推定規定によって言えることは,先ほど○○幹事がおっしゃったようなことですけれども,いろいろな裁判例がやはりあって,ただ,そういう考え方もできる,なかなか一つのルールとして可視的なものにならないものですから,だからそういうものを可視的なものにして裁判官の方も使いやすいものにすると。   だから,契約責任の延長ではなくて,不法行為を中心に,とりあえず最低限,もちろん契約もできればいいですが,最低限まずそういう損害賠償のところで,原状回復的,履行利益的損害賠償というもので組み立てていくべきではないかと。ですから,○○委員が先ほどラフとおっしゃったのは,ラフではないのではないかと。それなりにいろいろ実際には工夫しているのではないかと。   それから,もう一つ,保険会社の方にもお願いしたいのですけれども,ドイツですと,この後,この素案にはなかったのですが,私の読み方が間違えていなければ最終的に成立した法案では,保険料の額,小さい保険料の額にコストをかけて説明しなくてもいいとか,それから助言義務のきちんとコストも考えて,そういうことも考慮してやりなさいということがあって,何も無理なことをお願いしようというわけではないので,そういう点をもちろん入れてもいいですし,この中の本当のエッセンスというのは,やはり適合原則と商品の内容,複雑さを勘案しながら,契約締結に対してある程度適切な質問をしてこういうのはいいですよという,そういう一つの典型的な助言義務というか,そういうものを最低限規定すると。余り時間がない中でやるのは大変ですが,何かエッセンスだけでもまず入れるということをお願いできないかと,そう申し上げたいと思います。 ● ○○委員。 ● ラフといったことをおわびしないといけないと思って。   履行利益というお話を一番最初にやったころに,そういうことを言うかという,新しい損害論みたいなことを申し上げたら,そんなことを言うかみたいな話が大変あったもので,その記憶が一応残っていて,ラフなんて言ってしまったのですけれども,今,二人の先生からそういうふうに言われて大変心強く思っておりまして,本当に先ほどからの繰り返しになりますけれども,保険法の中に,是非情報提供義務,助言義務,説明義務,名前はどうでもいいよと言うとまた怒られてしますますけれども,そうではなくて,保険会社から契約者に対してきちんとした説明をするという基本の部分をきちんと置くということを,まずそこを始めることからいろいろなことが変わってくると思うので,そこの部分を是非規定化していただいてやっていただけないかなと思っております。 ● 今,大体,御意見がかなり一色になりつつあるので。○○委員。 ● 質問は,せっかく御専門の方がいっぱいいらっしゃるのでお聞きしたいのですけれども,消費者契約法というのは,現在でも保険を買う消費者に適用されるというふうに理解してよろしいですか。まず,それが第一点。   第二点は,保険業法の規定を保険法に移すということがどう影響するのか,それは一つの抜本的な保険業法と保険法の仕切りの問題というのは,経団連の意見としても,もっと大きい視点でそういう点を考えるのであれば,それはよく整理してほしいという,そういう質問的な意見を出しています。その問題。もう一つあるのですけれども,とりあえずこの二つの点について教えてください。 ● どこからお答えしたらいいかあれなのですが,契約法と業法との仕切りという点は,将来まで見据えた場合に,それは日本の法体系がどうなるかで,それはまとめて規定するのがより適切だと言われれば,理想的にはそうかなという思いも個人的にはございますけれども,現実問題としては,今回の改正に伴ってできるかというと,そこは難しいであろうということがまず出発点にございまして,その上での仕切りといって,では,どこで線を引いて,今回,御議論をお願いし,立案作業をするかと言われれば,やはりまず,業法における業規制あるいは業者規制というのがある中,それと密接に結び付く形で定められている私法的な効果もそれは業法の方にセットで置いておくべきで,今ある契約法と業法の線引きをいじるべきではないだろうとむしろ思っております。   例えば,保険業法の第283条の募集人が何か行為をした場合の保険会社の損害賠償責任などは,そもそも募集人という概念自体が業法上の概念でございますし,契約法上は,契約締結に当たってどういう人を使って勧誘するか,あるいは,使うに当たってだれでなければいけないかということは全く制約がない世界なわけですから,その世界に業法上の規制である募集人概念を前提とした第283条のようなものを移すというのは,かえって混乱を招くのではないかなというような考え方で,今,私どもは整理をしているつもりでございます。 ● ○○委員。 ● 基本的には,提案の内容でよろしいのではないかというふうに思っております。   業法の関係とかいろいろ出ていますけれども,保険契約法といいますか,そういう中で,共済も含めてということでありますと,保険業法だけ見て議論されても,私たちの立場から見たら困るわけで,各種協同組合の組織法なり,そういうところも見て議論をしていただかないと,非常に片落ちの議論になるのではないかというふうに思っていますので,さらに議論をそういう点も含めてお願いしたいというふうに思います。 ● 事務当局で,今日のようなネガティブな方向性なのですが,これは何も募集について問題がないねとかそういうことを全然言っているわけではなくて,いろいろなまだ従来十分解決されていないような問題があるというのは,もう十分承知の上でのことだと思います。   では,ここの○三つにあるような形の条文が起こせるのかというと,これは事務当局という,これまでの立法経験が豊富な人たちが集まって知恵をめぐらして検討した結果,この内容では無理でしょうと。私もそう思います。このルールの内容で規定をつくれるかというと,これは実現しないと思います,はっきり言って。   そういう意味では,今の不法行為責任あるいは助言義務と言われるようなものも業法の不法行為規定や何かをてこに認めるべきものは認めるというふうなことになっているわけで,この履行利益と言われるものでも,およそ何か説明義務あるいは情報提供義務違反というふうなものがあったら,それでは,全部,○○委員が言われるように,保険料を返して終わりですねということになっているかというと,実際にそうではないわけで,そこは我々学者も,ふさわしい救済というのをどうするかというのは,いろいろ考えれば履行利益が認められる場合というのは随分あるはず,現にあるはずなのですね。   そういうことをお考えになるか,それから,契約法で,それは私法的な救済規定があるというのは,これはこれで美しいことではあるのですが,先ほどから出ていることは民法一般にもかかわることであって,ここで何か突出した規定を設けるかと,まさにそれが立法的に可能かという話で,実際,ドイツでは,今度の新しい助言義務,損害賠償,いろいろな規定を置いているではないかということで,あれはもともと業法でほとんど募集規制がない国の話でそうなっているので,これまでの我が国の営々とした努力を,私も及ばずながら協力しながら今の規制体系をつくって,それが完全だとはもちろん言っていない。いろいろ課題があって,金融庁さんにもなお今後頑張ってもらわないといけないと思っているのですけれども,やはりドイツの例をもとに,契約法がいろいろなことを規定すべき救済ルールあるいは情報提供ルールについて規定すべきだというと,ちょっと世界全体の傾向から言えば,それは一般的なことではないのではないか,やはりイギリス,アメリカ的な監督法上の規制と一体としながら,それでまた,契約法律上のルールだけかというと,イギリスのオンブズマンのような少し法律のルールから外れてでも,先ほどの保険料だけ返せばいいのですかというと,それでは救済にならないでしょうというような,あるいは制裁にもならないでしょうと,そういう法的なルールを少し外れて適切な救済を認めるというのは,そういう全体的なシステムというのを考えていくべきではないかなというふうに思っているので,ここで何かやらないと,何か改善が一切なくなるようなことは余り考えないで,なお,各関係方面ですね,金融庁なり,業界になり,要求していくべきことはすべきだろうと思っているのですけれども。   そんなことで,今日も御意見いろいろ伺いましたので,なお検討してもらおうかと思いますが,事務当局,何かこの時点でありますか。 ● 今,○○委員におまとめいただいたとおりまさに考えておりまして,なかなか効果の方については,9頁の真ん中あたりに書きましたようなこともありまして,義務を守りさえすれば効果は生じないのだからいいではないかと,それはそういう気もするのですけれども,かといってやはり要件と効果のバランスというのがどうしても求められるということもありますので,なかなか効果の方は厳しいかなと。   他方で,やはり保険法では,何といっても保険ならではの点があるのではないかというような認識は持っておりまして,なかなか具体的な効果と結び付けた義務の書き方は難しいという思いがあるのは変わらないのですが,そこを何とかしたいという思いはこちらにもございまして,それゆえ中間試案の前の議論の中で,努力義務ということではないのですけれども,抽象的あるいは理念的なものにとどまってしまうけれども,一般的な保険者サイドの義務あるいは保険契約者サイドの義務みたいなことを定めることは考えられるのではないかという,逆に御提案をさせていただいたつもりでこちらとしてはおりまして,その点について一顧だにせずに論外ですよと申し上げているわけでは決してないということは御理解いただきたいところでして,ただ,あそこで提案させていただいた,せめて保険の特質に照らした保険者サイドの説明義務あるいは契約者サイドもそれなりに果たさなければいけない役割があるといったことを表明するという規定もそもそも置けるのかという高いハードルがありますので,それなら置けるということは申し上げられないのですけれども,こちらとしてはそういうことも何とかしたいという思いがあって,御提案させていただいたものだということをあえて補足させていただければと思います。 ● ○○委員。 ● 一つ確認をさせていただきたいのですが,今,○○委員が集約されたのは……。 ● 私の意見を述べただけで。 ● 集約というかおっしゃったことは,これは要するにあきらめなければいけないのか,それとも少し希望を持っていいのか,どちらなのかがよく分からなかったので,そこはおっしゃりにくいかもしれませんが,ちょっと言っていただいて……。 ● 私の意見としては難しいということです。 ● 難しいと。事務当局の方としても難しいですか。 ● 個別具体的な形で効果に結び付けたものは難しいというふうに考えてございます。 ● 私は,○○委員のおっしゃったことの,おっしゃったとおりのこともあるし,一部そうではなくて,やはりこの機会に最低限の助言,説明義務的なものを置く必要があるのではないかと思いますけれども,○○委員がそう集約されるのであれば……。どういう趣旨かといいますと,ほかの業法の立法でもしっかりやっていただけるということであれば,それではそれには従いたいと思いますけれども,もう少し可能性があるのであれば,もう少し何かちょっと努力義務でも何でもいいですから,何かないので本当にいいのだろうかと。そこはちょっとクモの糸でも一本ぐらいあるといいと思うのですけれども,お願いできないでしょうか。 ● 集約はしたつもりはないので,なお事務当局に御検討をいただくと。   ○○委員。 ● 最後,三つ目の質問を時間の関係で差し控えたのは,○○幹事がおっしゃった三番目の方向はどういう感じでしょうかという質問なのですが,要するに,保険契約上の信義則規定ですか,あれについて保険会社だけではなく,保険契約者にも適用されるというのは,私は個人的に大賛成なのですが,これも立法のハードルが高いというふうには理解していますので,この辺の見通しはいかがでしょうか。 ● そこの見通しが立てば申し上げるのですが,そこはハードルが高いということしか今の段階では申し上げられません。ただ,私としては,そのハードルを乗り越えたいとは思っております。 ● ○○幹事。 ● ちょっとポイントがずれてしまうかも分からないのですけれども,募集時,締結時の規律を基本法に規定するというのは,私も難しいと言われればそのとおりだなという気がするので,あと,○○幹事がおっしゃった,それが難しいので,保険法独自の信義則という規定を設けることという御提案なのですけれども,そうしました場合,締結時の保険者の説明義務というのが難しいのであれば,保険契約関係の期中の説明義務みたいなのは考えられないでしょうかと思っているのですけれども。   以前から保険者というのが,多数の人から保険料を集めて,それを長期にわたって運営して一定の偶然の事故の場合に支払う。また,もし現物給付ということがあったらどういうものを給付するかということで,かなり長期にわたる計算,運用というものが開示されなければならないと思うのですけれども,その場合に,先ほどどなたか委員の方がおっしゃっていた現物給付も,しっかりした保険者であれば,老人ホームの会社が駄目になったら次のところを手当てすることも可能だと,これは○○幹事がおっしゃったのかと思うのですが,その点とかを考えた場合に,かなり信託の受託者に近い信頼のおける人であるということがやはり前提にあるかと思うのです。   そうすると,信託法とかにも規定されている開示,要求された場合には計算の内容を開示するとか,解約返戻金が今どういう計算で幾らになっているとか,入口のところで募集についての説明義務を規定するのが異例になって,落ち着きが現段階ではまずいとしたら,期中の報告義務とか説明義務であれば,他にも例があるのかなと思いまして,この時期なのですが,もし検討できればというか,又は保険法の信義則というのはそういうものだというような御検討というか,御見解をいただければありがたいなと思いました。 ● これは保険契約とはどういう契約かという抜本的な問題に結び付いて,ちょっと答えはそう簡単には出ないと思います。そういう課題があるのはもちろんだと思いますけれども。   ほかに。○○委員。 ● 10頁の2の(1)のところよろしいでしょうか。 ● 今,1のところなのですけれども,1のところは,とりあえずそういう御意見を伺ったということでよろしいでしょうか。 ● 被保険者情報のところは。 ● もしございましたら。 ● 先ほど意見を言いましたけれども,余り賛同いただけないのでしょうか。 ● ということだと私は思いますが,どうですか。何か名案があれば。   それでは,大変恐縮ですが,次の2のところへ行きたいと思います。   一応全体,(1),(2),(3),もしあれば。   ○○委員。 ● 2の(1)のところの保険金の請求に関する保険契約者等による説明・協力義務でございますけれども,実際,今,保険金の支払のときに,モラルリスク的なことが起こりますと,相当調査等々に時間が掛かりまして,審査,実験など多大なコストがかかっておりますので,そういうときには,契約者等による協力・説明義務というのを是非設けていただきたいというふうに思っております。   私どもは,善良な契約者や被保険者に対して迅速に払うということ,先ほど保険金の支払が非常に遅いというお話がありましたけれども,私ども,非常に早く払うということを最優先にやっておりますし,それが結局,トータル的な損害コストの削減につながりますし,保険料の引下げにもなるということから,やはりお客様に説明や協力をいただくということは,非常に全体の保険制度を維持していく上で大事だろうと思っております。   ただ,特に個人情報保護法の施行等によりまして,なかなかお客様の協力を得られないと。保険金の支払に必要な情報が得られないということでございますので,これは大変重要なことだと思っておりますが,しかし,この内容によりますと,なかなか協力義務規定として法定化は難しいということでございますので,そうであれば,包括的な総則的な規定として,保険者と保険契約者,それから被保険者が信義誠実に行動し,協力するような,そういう義務を入れていただきまして,保険制度そのものを保険会社と契約者と,それから被保険者が共に育てていくと,こういうことをどこかで是非規定していただきたいというふうに思っております。   以上でございます。 ● ○○委員。 ● 大きく事務当局案で問題ないというふうに思っております。この調査・協力義務については不可欠な協力はいただきたいと思いますけれども,法定化が難しければ,3頁の例の支払時期のときの確認の妨害又は不協力といったところで遅滞に陥らないということで読めるのであれば,そういう形でいいかなというふうに思っております。   以上でございます。 ● 先ほどの募集上の情報提供義務規定の創設が難しいとなれば,こちらの方を認めるというのはなかなか難しいような気もするのですが。 ● それは分かっておりますので,そういう趣旨で発言させていただいたつもりでございます。 ● ○○幹事。 ● 実際に,現在,特に損保の約款の場合には,事故状況について説明義務とか証拠提出義務とかがありまして,その正当な理由なくそれを怠れば保険者は免責されるという規定があります。実際には,詐欺的で過大な,盗難とかそういう請求に使われて,そういう場面で,この約款は有効であるという判例があるのですけれども,これについて規定を置かないとした場合に,全く契約自由の問題なのか,それとも重大事由解除の規律とかぶっているのではないかと。特に,保険金請求時の詐欺がある場合に限って,重大事由解除ができて,それについて免責されるという,それを例えば片面的強行規定としてしまうと,その要件が当たらないにもかかわらず,詐欺とまで言えないような過大な請求についても,事故状況の説明義務違反で今まで免責になっていたものが,その約款規定が引き続き有効と言えるのかどうかといった検討はされたのかどうかをお聞かせいただければと思います。 ● 前回の積み残しの片面的強行規定の対象とする保険契約の際の事務当局説明の中で申し上げましたが,個々の規律を片面的強行規定とした場合にどのように働くかについて,今,個別に検討しているところでございまして,重大事由解除のところを片面的強行規定とした場合に,それを最も厳しく解釈をすれば,今,○○幹事がおっしゃったような解釈も出てき得るところだろうとは思っております。   その意味では,最も厳しく解して,直ちに約款が無効という解釈もないではないと思いますが,ただ,直ちにそうなるかといいますと,そこまで行くよりは,むしろ限定というか,現在の判例もそうだと思いますけれども,免責という厳しい効果と結び付ける以上は,それなりのひどい行為があった場合に限るような限定的な解釈は現在もされているところだと思いますし,そういう意味では,重大事由解除について片面的強行規定とした場合には,そのような解釈はより鮮明になるといいますか,そういう形にはなるのではないかという検討を今しているところでございます。 ● 一応の整理はできそうな気がしますけれども,なお詰めてもらうことにいたします。   ほかに,(1)から(3)までのところ。   ○○委員。 ● 繰り返して言ってきたことですので,簡潔にいたしますけれども,(2)のところですけれども,遅延不払,今回の不払問題ということだけに限らないで,構造的にそういう遅延利息というものについて,請求妨害というようなものについて,やはり規定を置く必要はあるのではないかと。   それから,保険金請求時の,これは信認義務を取り込んだということで,ちょっと先ほどの助言義務とは違うのではないかということなのですけれども,現実にいろいろな対策もしておられますし,こういうものを置いても,特に,保険金請求時の問題というのは,これはよくよく考えますと,保険種目をまたがっているわけですよね。損害保険であったり,疾病保険であったり,生命保険的なものであったり,それを超えた説明義務というのが必要なのではないかというふうに思います。   それから,差押え禁止のところは,これで事務当局の案に賛成いたしますが,一般先取特権については,これは一度どこかで規定は置かないと本当はいけない問題だと思いますけれども,ただ,立法技術上いろいろおありになるかもしれませんけれども,こういう規定が必要かどうかということの意見の分布ぐらいは,やはり聞いていただければいいかなというのが○○委員にお願いなのですけれども。 ● 今,(2),(3)について御意見ございました。   ○○委員。 ● (3)は,事務当局案でよろしいと思うのですね。保険業法に一般先取特権の規定がありますし。それから,(2)は,先ほどの説明義務と同じなのですけれども,やはり今,監督指針で細かく規定がありまして,御覧いただければ分かりますけれども,それから,このベストプラクティスというものを現在保険会社では向上化すべくやっておりまして,今回の反省を踏まえ,大変な投資をして行っております。   それから,なぜ業法の方がいいかというのは,先ほどの説明義務のところにも関連しますけれども,やはり業法というか,監督でやっていただければ,やはり個別の事案とかその時々の問題について,具体的に早い対応ができるということでも消費者保護につながるのだと,そういう理解をしております。 ● ○○委員。 ● 我々も(2),(3)につきましては,この事務当局案で賛成でございます。 ● 他の方でございますか。   ○○幹事。 ● 監督法でこういう問題を規律するから,それで監督の方でやってくださいというのは何となく奇異な感じがいたしまして,そういうことについてまで金融庁が,従来は比較的私法ルールについての行政処分というのを謙抑的に考えてこられたと思うのですが,ここでの議論を聞いておりますと,どうぞ監督してくださいと,そう言わんばかりのお話がずっと続いておりまして,そうなると,まさにアメリカのSEC型の民事ルールも含めて,すべてのエンフォースメントを統合的に監督する金融庁というイメージで理解しておられるかのように思えるのですけれども,そういうことをここで議論して決めていくことについては,少し私は違和感があるということを申し上げたいと思います。 ● ほかに御意見。   別に,そういう趣旨の議論ではないと思いますけれども。それは余りにも大きい問題で,とてもここで議論できる話ではないと。   ほかにございませんか。   やはり,この(2),(3)はそういうふうな感じではないかというようです。   ○○委員,何か。 ● 一点だけ。   やはり損保の先取特権はいろいろな包括制度がありますからあれですけれども,やはり置かないと,業法でもいざとなればいいのですけれども,特に,置かない,反対する理由が格付が下がるからというようなお話だったので,ある破産法の研究者の方と議論したときに,そうだとすると,これは契約者よりも債権者を優先するのかと,そういうメッセージなのかという話があって,それはいろいろ困難はあると思いますけれども,そこはちょっと課題としてお考えいただければと。○○委員にお願いしたいのですが。 ● この点は金融庁のワーキンググループでも,なお検討することになっておりますので,またそれを踏まえて。   11頁の3の契約解除の催告に関する規律についても,御意見をいただければと思うのですが,いかがでしょうか。   これも催告を保険料不払による解除というか,実務上は失効と言っていますが,これについて催告を強行法的に要求するという規律は難しいのではないかということなのですが,御意見ございますか。   ○○委員。 ● 私は,この部会の最初の方で,現状ではしようがないのではないかと申し上げて,その後,○○委員が御発言されて,それに賛同したわけですけれども,やはり賛同した最大の理由は,この不払問題の関係で,解除をされたままのものとか,それから,失効されたままで返らないお金というのが何十万件とあるわけです。   これは,保険業界,私は最近の数字を知らないのですが,契約継続率とかそれから募集外務員の育成率,3年たつと何分の1になるのか今知りませんけれども,そういうものがすべてそこにあらわれてきていて,だから何か手当てはしなければいけないところで,特に,失効もしくは解除の催告を要求しても,事実上そんなに,そのときに解約してしまったらこれだけ返戻金の手続ができますよとか,こういう復活のためにはこうやって次やりますよとかそういうのを知らせるべきで,そこに請求用紙なんかも本当は入れるべきですよね。ですから,私は,催告不要とするのを強行法的に禁止するということではなくて,本当はやはり契約法上,何か工夫すべきものがあるのではないかと思うのです。   そういう意味で賛成したわけなのですけれども,だから直ちに案があるかと言われれば,項目は今日いっぱいあって,ここまでなかなか実態は調べられませんでしたけれども,でも,やはり当面取り上げないということでは結構ですけれども,少しそういう問題があって,契約者も本当は考えなければいけないのだという点だけは御理解いただきたいなと思っているのですけれども。 ● ○○委員が初めのころの議論で指摘されたように,口座振替で払われるようなときにも,今の実務で完全に問題がないかといったら,やはりもうちょっと考えるべき問題はあるのではなかろうかとか,今の○○委員の,失効した後どういう通知がされているのかとか,いろいろ検討すべき問題があって,これは契約法では無理だからやめましょうかということは,何も問題なくて,現状どおりということを意味するのではなくて,業界の方もそこは十分耳を傾けていただきたい問題が今日はたくさんあったわけでございます。是非よろしくお願いします。   また,金融庁におかれましても,適切な検討をこれからしていただきたいなと。これは,私からのお願いです。   ○○委員。 ● 今,○○委員の言われたとおりなのですけれども,ちょっと実態をお話ししますと,失効をめぐる苦情というのは,昔に比べると格段に減っているのですね。   それはなぜかといいますと,昔は集金契約がほとんどだったのですけれども,現在では,団体扱い,それから最も多いのは銀行口座振替なのですが,それだけで九十数%になっていまして,以前あったような苦情はほとんどないと。訴訟も失効をめぐる訴訟そのものはないのですね。   それから,もう一つ,失効しますよとか振替できませんでしたよとか,そういう通知は,前もお話ししていますけれども,そういう通知も出しています。それから,失効になった後,返還金は幾らありますということも知らせています。それから,さらには,猶予期間という制度があるとか,あるいは復活制度があるとか,非常に,民法でいう催告をしなければならないという,個別の契約と違って大量の契約をやっていますから,そういう一律の取扱いを認めていただいていると,そういうように認識しています。   それから,もう一つは,催告を義務付けるとどういう問題が起きるかというと,これは証明をしなければいけないわけですから,配達証明というものをするわけですね。私どもの会社で試算しますと,これが現在でも数億円かかるのですね,コストとして。それをほとんど問題が起きていないものについて,新たな支出をすべきということになりますと,ほかの契約者に対する負担にもつながると,そういうことでございます。 ● すみません。もう発言するつもりはなかったのですけれども,証明をしなければ本当にいけないかというのは,これは保険法研究会のときにもありましたけれども,もうほとんど到達するのであれば,郵便だけでやって,それ以外のことはまた手当てするという,コストとして考えるという,そういうやり方だってあるわけで,もう少し柔軟に考えていただければと思いますけれども。ただ,実態として,今,大手の会社さんは,地域を決めて,一定の地域に返戻金,失効返戻金幾ら以上の方をやっておられたりしていたわけですよね。ですから,そういう問題意識だけもう少し共有していただけると助かりますというお話です。 ● それでは,今日は,一応,11頁から12頁の3のところまで終わったということで,次回は4から取り上げてまいりたいと思います。   それでは,事務当局から何かありますか。 ● 次回の予定だけ申し上げます。次回,第20回会議になりますけれども,11月28日水曜日,午後1時30分から今日と同じ法務省20階のこの第1会議室での開催になります。   個別論点の検討の5回目,最終回としまして,まだ決着を見ていない被保険者同意の問題,その他,こちらとして要綱案の形でお示しする前に,さらに御審議をお願いしたい項目を取り上げたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。 ● それでは,これで終了いたします。   どうも長時間ありがとうございました。 -了-