法制審議会           第154回会議 議事録 第1 日 時  平成19年11月29日(木)   自 午後1時27分                          至 午後2時11分 第2 場 所  東京高等検察庁第2会議室 第3 議 題  少年審判における犯罪被害者等の権利利益の一層の保護等を図るための法整備について 第4 議 事 (次のとおり)                 議        事 (開会宣言の後,法務大臣から次のようにあいさつがあった。) ● 法制審議会第154回会議の開催に当たり,一言ごあいさつ申し上げます。   委員及び幹事の皆様方におかれましては,公私ともに御多用中のところ御出席をいただき,誠にありがとうございます。また,この機会に,皆様方の日ごろの御尽力に対し,厚く御礼を申し上げます。   さて,本日は,新たな課題として,少年審判における犯罪被害者等の権利利益の一層の保護等を図るための法整備に関する諮問第83号について御審議をお願いしたいと存じます。   平成16年に成立した犯罪被害者等基本法は,犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目的とし,その基本理念として,「すべて犯罪被害者等は,個人の尊厳が重んぜられ,その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する」ことを掲げています。また,これを受け,平成17年12月に策定された犯罪被害者等基本計画においては,法務省において,少年審判の傍聴の可否を含め,犯罪被害者等の意見・要望を踏まえた検討を行い,その結論に従った施策を実施することとされております。   そこで,被害者の方々を始めとする関係各方面の御意見や御要望をも踏まえて慎重に検討した結果,少年審判における犯罪被害者等の権利利益の一層の保護等を図るため,早急に法整備を行う必要があると思われますので,そのための法制審議会の御審議をお願いするものでございます。   それでは,御審議をよろしくお願いいたします。 (法務大臣の退席後,委員及び幹事の異動紹介があり,引き続き,本日の議題につき次のように審議が進められた。) ● それでは,議事に入らせていただきます。   先ほどの法務大臣のごあいさつにもございましたように,本日の議題は,「少年審判における犯罪被害者等の権利利益の一層の保護等を図るための法整備について」でございます。   まず初めに,事務当局に諮問事項の朗読をお願いいたします。 ● それでは,諮問事項を朗読させていただきます。   諮問第83号 犯罪被害者等基本法の趣旨及び目的等にかんがみ,少年審判における犯罪被害者等の権利利益の一層の保護等を図るため,早急に法整備を行う必要があると思われるので,別紙要綱(骨子)について御意見を承りたい。   別紙 要綱(骨子)   第一 被害者等による少年審判の傍聴   一 家庭裁判所は,少年法第3条第1項第1号に掲げる少年に係る事件であって次に掲げる罪のもの又は同項第2号に掲げる少年に係る事件であって次に掲げる罪に係る刑罰法令に触れるもの(いずれも被害者を傷害した場合にあっては,これにより生命に重大な危険を生じさせたときに限る。)の被害者等(被害者又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者,直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。第二において同じ。)から,審判期日における審判の傍聴の申出がある場合において,少年の年齢及び心身の状態,事件の性質,審判の状況その他の事情を考慮して相当と認めるときは,その申出をした者に対し,これを傍聴することを許すことができるものとすること。   1 故意の犯罪行為により被害者を死傷させた罪   2 刑法第211条(業務上過失致死傷等)の罪   二 家庭裁判所は,一により審判の傍聴を許す場合において,傍聴する者の年齢,心身の状態その他の事情を考慮し,その者が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは,その不安又は緊張を緩和するのに適当であり,かつ,審判を妨げ,又はこれに不当な影響を与えるおそれがないと認める者を,傍聴する者に付き添わせることができるものとすること。   三 一により審判を傍聴した者又は二によりこの者に付き添った者は,正当な理由がないのに傍聴により知り得た少年の氏名その他少年の身上に関する事項を漏らしてはならず,かつ,傍聴により知り得た事項をみだりに用いて,少年の健全な育成を妨げ,関係人の名誉若しくは生活の平穏を害し,又は調査若しくは審判に支障を生じさせる行為をしてはならないものとすること。   第二 被害者等による記録の閲覧及び謄写の範囲の拡大   裁判所は,少年法第3条第1項第1号又は第2号に掲げる少年に係る保護事件について,同法第21条の決定があった後,当該保護事件の被害者等又は被害者等から委託を受けた弁護士から,その保管する当該保護事件の記録(家庭裁判所が専ら当該少年の保護の必要性を判断するために収集したもの及び家庭裁判所調査官が家庭裁判所による当該少年の保護の必要性の判断に資するよう作成し又は収集したものを除く。)の閲覧又は謄写の申出があるときは,閲覧又は謄写を求める理由が正当でないと認める場合及び少年の健全な育成に対する影響,事件の性質,調査又は審判の状況その他の事情を考慮して閲覧又は謄写をさせることが相当でないと認める場合を除き,申出をした者にその閲覧又は謄写をさせるものとすること。   第三 被害者等の申出による意見の聴取の対象者の拡大   少年法第9条の2に規定された被害者等の申出による意見の聴取の対象者に,被害者の心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者,直系の親族又は兄弟姉妹を加えるものとすること。   第四 成人の刑事事件の管轄の移管等   一 少年法第37条第1項に掲げる罪に係る訴訟の第一審についての裁判権を,家庭裁判所の権限から除き,地方裁判所又は簡易裁判所の権限とするものとすること。   二 同法第38条を削除するものとすること。   以上です。 ● 続きまして,この諮問の内容,諮問に至る経緯及びその理由等につきまして,事務当局から御説明をお願いいたします。 ● それでは,提案に至りました経緯,それから諮問の内容等について御説明申し上げます。着席のまま御説明することをお許しいただきたいと思います。   少年審判手続において,被害者やその遺族の方々への配慮を充実させることは極めて重要であると考えられ,平成12年には少年法の改正により,少年保護事件の被害者等による記録の閲覧・謄写,被害者等の申出による意見聴取,審判結果等の通知の各制度が導入されるなど,少年審判手続における被害者の方々に対する配慮の充実が図られました。   しかしながら,多くの犯罪被害者等にとって,その被害から回復して平穏な生活に戻るためには依然としてさまざまな困難があることが指摘されています。このような状況から,平成16年12月には,犯罪被害者等基本法が成立し,その基本理念として,「すべて犯罪被害者等は,個人の尊厳が重んぜられ,その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する」ことが規定されています。また,この基本法を受け,平成17年12月に策定された犯罪被害者等基本計画においては,「法務省において,平成12年の少年法等の一部を改正する法律附則第3条により,同法施行後5年を経過した場合に行う検討において,少年審判の傍聴の可否を含め,犯罪被害者等の意見・要望を踏まえた検討を行い,その結論に従った施策を実施する」こととされておりますが,この少年法改正法は平成13年4月から施行されておりますので,平成18年3月で,この5年が経過したことになります。   法務省においては,こうした基本法や基本計画の趣旨,あるいは被害者の方々を始めとする関係各方面の御意見や御要望をも踏まえ,少年法の見直しの必要性等について慎重に検討を行ってきたところですが,その結果,少年審判における犯罪被害者等の権利利益の一層の保護等を図るため,早急に法整備をする必要があると考えたことから,本日,法務大臣から法制審議会に対し諮問を行うこととしたものです。   次に,諮問の内容について御説明いたします。   はじめに,要綱(骨子)第一の「被害者等による少年審判の傍聴」についてであります。   現行法において少年審判は非公開とされ,事件の被害者等であってもその傍聴は認められておりませんが,特に,少年が被害者を死亡させたり,その生命に重大な危険を生じさせたような重大事件においては,被害者やその御遺族から審判におけるやり取りを含む具体的な状況について十分な情報を得たいとの強い要望が示されております。   このような被害者等が,審判の具体的な状況について重大な関心を持つことは当然のことであり,その心情は犯罪被害者等基本法の趣旨等にかんがみると,十分尊重されるべきものと考えられます。被害者等に少年審判の傍聴を認めることは,被害者等の立ち直りにも資するものと考えられる上,少年審判に対する被害者等を始めとする国民の信頼を一層確保することにもつながることになると考えられます。また,裁判所が,少年の年齢や心身の状態等を考慮し,きめ細かくその相当性を判断した上で,被害者等の傍聴を許可するものであれば,適正な処遇選択や少年の内省の深化を妨げられることなく審判を行うことができると思われますし,少年の側からしても,被害者等が傍聴をしている場所でその立場や心情にも思いをいたしながら審判を受けることにより,自らの非行の重大性を認識し,内省を深めることに資する場合もあると考えられます。   そこで,家庭裁判所は,故意の犯罪行為により被害者を死傷させた罪及び業務上過失致死傷等の罪,このうち被害者を傷害した場合にあっては,これにより生命に重大な危険を生じさせたときに限りますが,このような罪の被害者等から,審判期日における審判の傍聴の申出がある場合において,少年の年齢及び心身の状態,事件の性質,審判の状況その他の事情を考慮して相当と認めるときは,その申出をした者に,これを傍聴することを許すことができるものとするなど,所要の規定を整備することとするものです。   次に,要綱(骨子)第二の「被害者等による記録の閲覧及び謄写の範囲の拡大」についてであります。   少年保護事件の記録の閲覧・謄写につきましては,平成12年の少年法改正により,被害者等から申出があるときは,裁判所が,当該被害者等の損害賠償請求権の行使のために必要があると認める場合その他正当な理由がある場合であって,かつ,少年の健全な育成に対する影響等を考慮して相当と認めるときに,当該保護事件の非行事実に係る部分の閲覧・謄写をさせることができることとされました。   この記録の閲覧・謄写に関しましては,例えば,単に事件の内容を知りたいとの理由であっても閲覧・謄写を認めるべきではないか,あるいは,閲覧・謄写の対象については非行事実に係る部分だけでなく,少年の身上・経歴等に関する記録についてもこれを認めるべきではないかとの御意見も示されております。   被害者の方々が,事件の内容を知りたいという心情から,少年保護事件の記録の閲覧・謄写を望むことは当然のことであり,法律上も十分尊重すべきものと考えられます。また,同様の趣旨から,先の通常国会において成立した「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」により,一般の刑事事件の公判記録の閲覧・謄写について,被害者等には原則としてこれを認めることができるよう,その要件が緩和されたところです。   そこで,少年法の要件を改め,まず,被害者等については,原則として記録の閲覧・謄写を認め,例外的に,閲覧・謄写を求める理由が正当でないと認める場合,又は少年の健全な育成に対する影響,事件の性質,調査又は審判の状況その他の事情を考慮して相当でないと認める場合に限り,閲覧・謄写を認めないこととするとともに,正当な理由の例示として規定されている「損害賠償請求権の行使のための必要性」という文言を削除することにより,正当な理由が認められる範囲を拡大することとするものです。   また,少年の身上・経歴等に関する記録についても,閲覧・謄写したいという被害者等の心情についても,犯罪被害者等基本法の趣旨等からすると,十分に尊重されるべきものと考えられることから,少年や関係者の名誉やプライバシーに相当深くかかわる内容が含まれるいわゆる「社会記録」を除き,非行事実に係る部分以外の記録も閲覧・謄写の対象とすることとするものです。   次に,要綱(骨子)第三の「被害者等の申出による意見聴取の対象者の拡大」についてであります。   平成12年の少年法改正により,家庭裁判所は,少年保護事件の被害者やその法定代理人のほか,被害者が死亡した場合におけるその配偶者,直系の親族又は兄弟姉妹から,被害に関する心情その他の事件に関する意見の陳述の申出があるときは,自らこれを聴取し,又は家庭裁判所調査官に命じてこれを聴取させることとされておりますが,被害者の心身に重大な故障がある場合における配偶者等は,その対象とされておりません。被害者の心身に重大な故障がある場合も,被害者本人が意見を陳述することが困難な場合があると考えられる上,刑事訴訟法における被害者等の意見の陳述や少年法における被害者等による記録の閲覧・謄写の制度等においては,このような被害者の配偶者等もその対象とされていることから,これらの者についても,意見聴取の対象者とすることとするものです。   最後に,要綱(骨子)第四の「成人の刑事事件の管轄の移管等」についてであります。   まず,一についてですが,現行の少年法においては,第37条第1項に掲げる少年の福祉を害する成人の刑事事件については,家庭裁判所が管轄権を有するものとされています。   この点については,これらの事件とそれ以外の事件とが併合罪の関係に立つ場合,家庭裁判所と地方裁判所等に別々に公訴が提起されることとなり,その結果,審理期間が長くなったり,併合審理がなされた場合とは異なる刑が言い渡される場合があるなどの不都合が生じる場合があること等の指摘があり,このような成人の刑事事件については,他の事件と同様に地方裁判所等で取り扱うこととするのが適当と考えられることから,その管轄を,家庭裁判所から地方裁判所又は簡易裁判所に移管することとするものです。   次に,二についてですが,少年法第38条において,家庭裁判所は,少年に対する保護事件の調査又は審判により,同法第37条第1項に掲げる事件を発見したときは,これを検察官等に通知しなければならないものとされております。この規定は,家庭裁判所における調査・審判の過程において同項に掲げられた事件を発見することが多いことを考慮して,現行少年法制定時に設けられたものですが,現在の少年非行を取り巻く状況等にかんがみると,少年の福祉を害する成人の刑事事件は同項に掲げられたもの以外についてもさまざまなものが考えられる上,刑事訴訟法には,公務員の告発義務の規定もあることなどから,現在,この規定の有する意義は乏しいものと考えられ,第37条第1項に掲げる事件の管轄移管と合わせ,第38条の規定を削除することとするものです。   提案に至りました経緯及び諮問の内容等については,以上のとおりです。   十分御議論の上,御意見を賜りますよう,お願いいたします。   以上です。 ● それでは,配布資料の説明をお願いいたします。 ● 引き続きまして,配布資料の説明をさせていただきます。   まず,番号1は,先ほど朗読いたしました諮問第83号です。   番号2は,内閣府において作成された資料であり,「犯罪被害者等基本法の概要」をまとめたものでございます。   番号3は,「犯罪被害者等基本法」の条文でございます。   番号4は,番号2と同じく内閣府において作成された資料であり,「犯罪被害者等基本計画の概要」をまとめたものでございます。   番号5は,「犯罪被害者等基本計画」の抜粋であり,この基本計画のうち,少年法に関連する部分を抜き出したものです。   番号6は,諮問事項第二から第四までに係る統計資料であり,平成13年から平成18年までの,被害者等による記録の閲覧及び謄写の実施数等,被害者等の申出による意見の聴取の実施数等,成人刑事事件の第一審終局人員についてまとめたものです。   番号7は,諮問第83号に関連する少年法及び犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律等の条文の抜粋です。   以上,簡単でございますが,配布資料の説明をさせていただきました。 ● それでは,御説明いただきました諮問の内容,諮問に至る経緯あるいは諮問の理由等,それから,続いて御説明いただきましたこれらの配布資料等につきまして,まず,御質問があれば,承りたいと思います。   どうぞ,○○委員。 ● 要綱の別紙の内容についてでも構いませんか。 ● はい。結構でございます。どうぞ。 ● 第一の被害者等による少年審判の傍聴のところなのですが,家庭裁判所は認めることができるとなっているんですけれども,この判断,許可するまでの判断にかかわる人というのはどういう人なのか,つまり,少年の法定代理人とかそういう方もかかわるのかどうなのか,大変初歩的な質問で申し訳ないのですが,教えていただきたいと思います。 ● 少年審判では家庭裁判所がいわゆる職権主義ということで,いろいろな手続について,自ら権限を行使して,必要な判断あるいは必要な手続を進めることとされていますので,この傍聴を認めるかどうかということにつきましても,基本的には被害者等から申出があった場合に,それについて裁判所が判断をするというものと考えているところでございます。   少年審判では,その対象となる少年について,付添人ということで弁護士が付くということがあるわけですけれども,少年審判における裁判所の職権行使に対して,付添人が意見を申し述べるということは実際にはあるわけですが,制度の仕組みとして付添人が何か申し立てるとか,あるいは意見を述べることを条文上規定するという形にはなっておりませんので,この傍聴の判断についても同様のものというふうに考えております。 ● ありがとうございました。 ● よろしゅうございますか。 ● はい。 ● ほかに御質問ございますでしょうか。  どうぞ。 ● 話に直接かかわるわけではないのですけれども,私はいろいろな点で政治のいろいろな制度について,国民がどう見ているかについて非常に興味があって,いろいろな国の世論調査の結果を見ますと,一つ非常にはっきりしているのが,どの国でもほとんど同じなんですけれども,民主的に選ばれたというか,選挙とかそういうもので選ばれた議会とか政党に対する有権者の,市民の信頼度というのは,どういうわけか低めなんですよね。   ところが,専門的な基準によってつくられている法廷だとか,警察だとか,軍隊もそうなんでしょうけれども,そういうものに対する国民の信頼は,ほとんど,日本,ヨーロッパ,アメリカも含めてちょっと高いんですね。   それで,私の質問したいことは,裁判に対する国民の参加というか,聞いたりあるいは裁判の過程にかかわるということがどういう影響を持つと考えられておるのかということを聞きたいと思っているんです。面倒な質問ですけれども。 ● 大変に大きな問題でございまして,特に,今,刑事裁判の方では裁判員制度を導入するということで,いろいろな準備をしているところでありますけれども,国民の方々に裁判に直接関与していただくということの趣旨として,刑事裁判に対する国民の理解とか,あるいは信頼というものを一層高めるものであるという位置付けがあるのだろうというふうに思っております。   御指摘のように,確かにこれまでの裁判制度もそれ自体非常に信頼度の高いものであったというふうには考えておりますけれども,国民の関与を広げることによって,その信頼がより一層高められるのだろうというふうに思っております。   今回の問題はそういう意味でいいますと,国民一般がこの少年審判にかかわるという話ではございませんので,そういった裁判員などとは同列に論じられるものではないわけでありますけれども,被害者の方々の御意見は,やはり少年審判で何がどういうふうに行われているかというのが見えない,よく分からないということであり,そういうものを傍聴したいという要望が強くありますので,傍聴を認めることで,被害者,御遺族の要望にこたえるとともに,そういう被害者の方々の信頼の高まり,あるいはそれがひいては国民の信頼につながるということではないかというふうに思っております。 ● よろしゅうございますか。 ● 結局,エンピリカルスピーキングだと,私自身はもっと参加してトランスペアレンスします,そういうようなものは全部賛成なんですけれども,エンピリカルに見てみると,結局それをどういうふうに判断するかは私もちょっと分からないですし,法務省がどういうふうに考えるかも分からないんですけれども,結局,裁判公開なんかをすると,端っこの方に座っている裁判官だか裁判補助みたいな人がちょっとうたた寝をしてしまったのも映って見えるとか,あるいは裁判公開されている部分で傍聴の人が見て,何かちょっと問題だなみたいな場面が出ると,結局,関与する人,普通のやり方でやると必ずしもよく見えないんですけれども,不満な人もいっぱいいるんですけれども,具体的に分からないのですが,テレビで全部分かるのと,ものすごい数の人にとってある程度まずいところだけ世に印象的になっていくんです。だから,そこのところをどういうふうに考えるか。私は原理としてはもっとトランスペアレンス,もっとパーティシペーションがあった方が良いと常々考えておるんですが,普通というか実証的にこのデータを集めてみると,開かれている組織ほど自分に近く感ずるのか,必ずしもおそれを持って見るという感じではなくて,俺たちと同じようなのがいて,またまずいことをやっているかなという感じのインプレッションが強くなっているみたいな,世論調査はいろいろなところでやっているものですから,いろいろな国で,民主主義の国で。   だから,そういうところを開くということはある程度世論調査なんかやって信頼度が落ちることもあるのだから,それをバックアップというかそういうふうにならないようにする措置はどんなことをお考えかということを知りたいんです。ツーステップもスリーステップもあって誠に申し訳ないんですけれども。 ● 確かに裁判員裁判もそうでしょうが,国民が広く手続に関与するということになって,これまで行われてきた手続の在りようというものについて,国民の目から見ると,ここは感覚と違うとか,ここはこうではないかとか,いろいろなことを感じたり,意見として抱かれることがあるだろうと思います。それは,我々が当然と思ってやっていたことが,国民の目から見ると必ずしも適当ではないのではないかというふうに思われることもあるのではないかというふうに思います。それは,そういうことをオープンにしていくことの良い面でもあり,悪い面でもあるのかもしれませんが,そういうずれがあったとしても,結局それをどういうふうに是正したり,修正していくのかというと,専門家,法律家の側からも,参加する国民の側からも意見を出していただいて,それが一種のキャッチボールのようにして,より良いもの,国民の信頼に足るものになっていくということであり,そのプロセスとして意味があるのではないかという感じがしております。 ● ありがとうございました。 ● ほかに何か御質問ございますでしょうか。   なければ,この諮問83号の内容を含め,審議の進め方も含め,何か御意見があれば承りたいと思いますが,いかがでございますでしょうか。   ○○委員,どうぞ。 ● この諮問83号につきましては,先ほど○○幹事から御説明いただいて,内容は一応理解したのですが,やはり,この被害者等に係る少年審判の傍聴等を含むこの諮問は専門的・技術的な側面も含んでいると思いますので,専門の部会を設けて,そこで十分調査,審議していただいた後に,その答申を受けて改めてこの総会で審議するということにしてはいかがかと思いますが,いかがでしょうか。 ● ただいま,○○委員から審議の進め方につきまして,部会を設置して審議を進め,さらにこの総会にそれを報告していただいた方が良いのではないかという具体的な御提案がございましたけれども,ほかにこれについて御意見ございますでしょうか。   今のような具体的な審議の進め方ということでよろしゅうございますでしょうか。   それでは,特に御異論がないようでございますので,諮問83号につきましては,新たに部会を設けまして,そこで審議することに決定いたします。   そういたしますと,新たに設置する部会にだれがこの総会委員から属するのか,あるいは臨時委員あるいは幹事をどなたにお願いするかということが問題になるわけでございますが,これにつきましては,私,会長に御一任いただけますでしょうか。 (異議なしの声あり) ● ありがとうございました。   それでは,その点は今のように御一任をお願いすることにいたしまして,ここで部会の名称をお諮りしたいと思います。この諮問事項との関連から申しますと,この諮問第83号を審議する部会につきましては,「少年法(犯罪被害者関係)部会」という名称にしたいと思いますが,それでよろしゅうございますでしょうか。 (異議なしの声あり) ● 特に御異論がないようでございますので,そのようにさせていただきます。   審議の進め方については,今,決めていただきましたけれども,この諮問事項の中身や内容につきまして,特に御意見があれば承りたいと思いますが,いかがでございますでしょうか。   どうぞ,○○委員。 ● 第一の三のところなのですが,ちょっと気になっているのは,傍聴,秘密保持を義務付けておりますけれども,それをどういうふうに担保するかというのは,これは難しいことで,罰則を設けるとジャーナリストに対する罰則を設けていないこととの均衡で恐らくこちらを付けてしまうと均衡を欠くというようなこともあって難しいのかもしれませんが,部会では是非この第一の三のところ,このところはどのようにして担保するかというようなことも議論を深めていただきたいという気がいたします。罰則を設けなければ,結局は民事訴訟でいくのかなということですけれども,そうするとまたややこしく,訴訟が増えるだけのことで,それで良いのかなという気もしています。そのような感じがしていますので,よろしくお願いしたいということです。 ● これは部会で議論すべきことですが,何か当局の方でお考えがあれば,今の点についてお願いいたします。 ● 今,御指摘をいただいた点につきましては,私どもとしては,これにもちろん罰則を付けるということを考えているわけではございませんが,その場合に,どのようにしてこういった問題が生じないようにするかという担保の仕方については,部会でも御審議いただきたいというふうに考えております。 ● ほかに何かこの中身や内容について御意見あるいは今のような御要望がございましたら承りたいと思いますが,いかがでございますでしょうか。   どうぞ,○○委員。 ● 少年審判の傍聴に関してなのですけれども,刑事法廷と違って審判廷というのは,御存じのとおり狭いんですよね。法廷から見れば4分の1なり6分の1くらいの狭いところでやるものですから,この傍聴の機会を広げるというような方向で決めるとすれば,そういう傍聴の在り方,実態を背景にして,どう考えていったら良いのだろうかということを相当真剣に御議論いただければ幸いだと,このように思っています。特に注意的に意見を述べておきます。 ● これはお答えいただかなくてよろしゅうございますか。 ● 結構です。伝えていただきたいと思っています。 ● ほかに何か御意見ございますでしょうか,御要望でも結構でございますが。   よろしゅうございますか。   それでは,諮問第83号につきましては,部会で御審議いただくことといたしまして,部会での審議に基づいて,また,この総会において,さらに御審議をお願いすることにいたします。   これで本日の審議は終了いたしました。   ほかに,この機会に何か御発言いただけることがございましたら,お願いいたします。特に本日の議題以外のことでも法制審議会に関することであれば何でも結構でございますが,何か御意見があれば承りたいと思います。--よろしゅうございますでしょうか。   それでは,以上をもちまして本日の予定は終了となりますが,今後の会議開催の予定につきまして,事務当局からあらかじめの,おおよその御案内がもしありましたら,お願いしたいと思います。 ● 法制審議会の庶務を担当しております○○でございます。   次回の総会の予定でございますが,来年の2月の前半を予定しております。まだ確定した日を申し上げることができなくて誠に申し訳ございませんが,調整が付き次第,はっきりした日取りを委員の皆様に御連絡したいと思いますので,次回もどうかよろしくお願い申し上げます。 ● それでは,以上で本日の予定はすべて終了いたしました。   本日はお忙しい中お集まりいただき,熱心に議論いただきましてありがとうございました。これにて本日の会議は終了いたします。 -了-