法制審議会被収容人員適正化方策に関する部会 第26回会議 議事録 第1 日 時  平成21年12月22日(火)  自 午後4時30分                         至 午後4時53分 第2 場 所  東京高等検察庁第2会議室 第3 議 題  被収容人員の適正化を図るとともに,犯罪者の再犯防止・社会復帰を促進するという観点から,刑事施設に収容しないで行う処遇等の在り方等について 第4 議 事 (次のとおり)                議          事 ● 大変お待たせいたしました。   予定の時刻となりましたので,ただいまから法制審議会被収容人員適正化方策に関する部会の第26回会議を開催いたします。      (委員の異動紹介につき省略) ● それでは,本日の議事に入りたいと思います。   前回の第25回会議におきましては,これまでの当部会における御議論の状況を踏まえ,配布資料45として要綱(骨子)案が事務当局から提出されました。   そして,この要綱(骨子)案について,ひとわたり御議論いただきましたが,この案に反対の御意見はなかったものと承知いたしております。また,前回の会議において,私の方から,もしこの要綱(骨子)案について修正意見等があれば,あらかじめ御提出いただきたい旨お願いいたしましたが,これまでに修正意見等の提出はないと事務当局から報告を受けております。   そこで,本日は,この要綱(骨子)案全体につきまして,これまでの御議論に加えて更に御意見等があれば,それを伺った上で,当部会としての意見の取りまとめに移りたいと存じます。   それでは,要綱(骨子)案の全体について,御意見等があれば,よろしくお願いいたします。   いかがでしょうか。   特にございませんようですので,部会としての意見の取りまとめに移りたいと存じますが,その前に是非とも発言しておきたいというようなことがございましたら,今,御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ● この要綱案について異議はございません。取りまとめがなされるに当たって,要望的な話を1点だけ申し上げておきたいと思います。   この制度が円滑に実施されるために,保護観察体制,それから中身の拡充というのでしょうか,これが望まれます。私どもが携わる治安の観点から申し上げますと,そういうことを是非お願いしておきたいと思います。現在でも保護観察中の者による凶悪な事件というのが全くないわけではありませんが,恐らくこれからこの保護観察制度が今よりも多用されることになると思われますので,それに対応し得る体制,中身を是非御検討していただきたいと思う次第でございます。 ● ただいま更生保護に対するいわば励ましのお言葉をいただきまして,誠にありがとうございます。   保護観察の一層の充実,それにはこちらで議論されました社会貢献活動も含んでいると考えておりますけれども,一層の充実を図るために,実施体制の整備はもちろんのこと,更生保護法の改正等も含めて制度設計について十分検討いたしまして,本部会でいろいろお聞かせいただきました協議の結果の趣旨をきちんと生かせるように努力してまいりたいと思います。 ● それでよろしいでしょうか。   ほかにいかがでしょうか。何か御意見等ございましたらお願いいたします。 ● 今の要望と関連するかと思いますが,実際にこの制度を作った場合,施行がいつぐらいになって,場合によっては保護観察官なりの増員といったような,役人の増員が非常に難しい時期にございますので,この諮問をする上ではそれもセットでという形で意見として述べられればいいなと思っているのですが。 ● この要綱(骨子)に沿って法整備をするのが相当であるということで法制審議会の答申をいただきましたら,法制的な検討を更に進めていくことになり,そこで施行の時期についても検討することになるものと承知しております。   それで,その施行の時期でございますが,今回の法整備の内容につきましては,判決の選択肢を増やす,あるいは処遇の選択肢を増やすというものであり,それに伴って更に検討が必要かもしれませんけれども,例えば,法令上の手当てとか,あるいは体制面の手当てなどが必要になってくるのではなかろうかと思われます。そういたしますと,その内容いかんというところがあろうかと思いますけれども,どのぐらいの準備が必要かということを勘案して,施行時期を定めることになろうかと承知しております。   したがいまして,今の段階で施行の時期を具体的に申し上げるのはちょっと難しいのではないかと考えております。 ● ○○委員,よろしいでしょうか。 ● はい。 ● ほかにいかがでしょうか。   特にございませんようですので,次に移らせていただきます。   それでは,部会としての意見を取りまとめたいと存じます。   諮問第77号は「被収容人員の適正化を図るとともに,犯罪者の再犯防止及び社会復帰を促進するという観点から,社会奉仕を義務付ける制度の導入の当否,中間処遇の在り方及び保釈の在り方など刑事施設に収容しないで行う処遇等の在り方等について御意見を承りたい。」というものであり,これを受け,当部会で審議を重ねた結果,配布資料45の要綱(骨子)案が作成されたところであります。   そこで,この諮問に対する部会としての意見につきましては,この要綱(骨子)案のように法整備を行うことが相当であるとすることでよろしいかどうかを皆さんにお伺いしたいと存じます。   その方法といたしましては,挙手による採決という方法もあり得るところではございますが,これまでの御議論等を踏まえますと,特段の御要望がなければ,あえて挙手によって採決するのではなく,皆さん全員がこのような法整備を行うことが相当であるとすることに賛成したという形でまとめさせていただくのが望ましいのではないかと考えております。そういう線でいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   どうもありがとうございます。   特に御異議はございませんようですので,そのようにさせていただきます。   それでは,全会一致をもって,当部会の意見として,諮問第77号については,配布資料45の要綱(骨子)案のように法整備を行うことが相当であるとの意見を総会に報告することにさせていただきます。   なお,本日御欠席されている○○委員も,要綱(骨子)案のように法整備を行うことについて賛成との御意見である旨,事務当局を通じ,伺っておりますので,皆さんにお知らせいたします。   この審議結果につきましては,部会長から総会に報告いたしますが,部会長報告については,慣例として,部会長に一任願うということでよろしいでしょうか。   特に御異議ございませんようですので,そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。   そのほかに,この際,特に発言しておきたいということがある方がいらっしゃいましたら,どうぞ御発言をお願いいたします。 ● この部会で3年以上にわたっていろいろな議論をさせていただきましたけれども,昨年5月23日の第15回会議において,保釈・勾留の在り方ということでの議論をさせていただいております。その段階では日弁連は未決勾留の代替制度というものを抽象的な形で提案差し上げて御議論に供させていただいたという経過がございます。その後,日弁連で今年の7月に,この未決勾留の代替制度について,名称を「出頭等確保措置導入についての提言」という形で改めて提言させていただいております。それについて一言御紹介申し上げて,今後の議論に供していただければと思って御提案するものであります。   お手元に,前回お配りしました「出頭等確保措置導入についての提言」というものがございますが,既にお読みいただいているかと思いますので,簡略にお話ししたいと思います。   この制度は,昨年,日弁連で韓国や台湾を視察し,あるいはフランスの司法統制処分といった制度等についても勉強会等を重ねて,勾留の制度とは違った一つの未決の被疑者の在り方について議論した結果,いわば勾留か在宅かという二者択一のところにもう一つの要素として出頭等確保措置の導入を提言するものであります。   この提言は,いろいろ書いてございますが,後ろの方の13ページ,これが日弁連で作りました出頭等確保措置に関する要綱案です。   この第1のところにございますように,「被告人の出頭等確保措置」ということで,出頭等確保措置についての要件を三つ並べております。これは,「裁判所は,被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で,次の各号のいずれかに該当するときは,出頭等確保措置に付することができるものとすること。」という形になっております。一つ目は「被告人が定まった住居を有しないとき」,これは勾留の要件と全く同じであります。二つ目が「被告人が自らの有罪証拠を隠滅すると推定するに十分な理由があることが具体的な資料によって認められるとき」,三つ目が「被告人が逃亡し又は逃亡すると推定するに十分な理由があることが具体的な資料によって認められるとき」という要件で,これは勾留よりは若干表現が厳しい条件になっております。   こういう要件のあるときに,次の2に記載されているような形で,出頭等確保措置を保証金の納付と絡めて,あるいは絡めることなく,この①から⑦の条件を遵守することを命じるというものの提案であります。この①から⑦までのうち④から⑦は現行で行われている保釈条件とは違った視点での規定でございますので,この④から⑦については保証金を命じた場合には条件を定めることができないという形の規定にしております。   この出頭等確保措置の期間ですが,現行の勾留の期間,刑事訴訟法60条2項と同一の期間という形の扱いということで考えております。   四つ目として,出頭等確保措置に付随する裁判ということで,保証金の納付を命じて出頭等確保措置に付する場合において,併せて指定した期限までに保証金が納付されない場合には勾留する旨の裁判もすることができるという形で,いわば停止条件付勾留決定という形のもの,二度手間にならないような形の制度を入れております。   そのほか,5から8は出頭等確保措置の取消しのこととか,条件変更あるいは条件違反の場合についての条件等の変更,若しくは,もう違反ということで勾留にするというような措置についてのものです。   それから,第2として「被告人の勾留」という項目を設けておりまして,これは刑事訴訟法第1編第8章の被告人の勾留について以下のような改正・新設をするということでありまして,勾留については補充性の要件を加える,すなわち,「裁判所は,出頭等確保措置ではその目的を達成できない場合に限って,被告人を勾留することができるものとすること。」というものであります。   勾留の要件ですが,これについては現行の勾留の要件ではなく,先ほど申し述べましたような形の出頭等確保措置の要件と同一とすることとしてあります。   さらに,勾留についての比例原則として,一つ目としては「勾留することが法定刑及び想定される刑罰に比して不均衡である事件」,二つ目は,現行にありますが,「30万円以下の罰金,拘留又は科料に当たる事件」ということについて,その規定を設けることで比例原則を明確にするものであります。   さらに,勾留する旨の裁判をする場合において,併せて出頭等確保措置,これは保証金の納付を命ずる場合に限りますが,そのような場合についての裁判をなすことができるとし,保証金を納付した場合には勾留が失効するものということで,ここでも手続的なことで二度手間をなくすという意味で,ここでは解除条件付勾留決定という形のものを考えております。   五つ目は,勾留の取消の規定であります。これは,勾留そのものを取り消して在宅にするという場合もありましょうけれども,それは現行に規定がありますけれども,出頭等確保措置によって目的が達成できる場合はその範囲で勾留を取り消して,そちらの方に切り替えるというものであります。   第3として,「被疑者」についての問題でありますが,これについては,刑事訴訟法第2編第1章についての,いわゆる司法警察員,検察官,あるいは一連の逮捕状と勾留状の関係の部分について,いずれも間に出頭等確保措置という制度があることを明記する形でワンクッション置いた形の規定振りを15ページ,16ページに記載しております。   この出頭等確保措置の被疑者の問題については,特にこちらの方で考えたものとしては,16ページの7項目,「被疑者を出頭等確保措置に付した事件につき,出頭等確保措置の請求をした日から60日以内に公訴を提起しないときは,出頭等確保措置は失効するものとすること。」,すなわち,現行よりも長期間,出頭等確保措置状態を続けられるという趣旨であります。これは,捜査をする上で,現行の短い期間と同じ形にしたのでは,恐らく捜査の目的を達することができないだろうということで,60日を一つの区切りとし,やむを得ない場合については30日間だけに限り延長できるというような考え方をしております。   最後に第4として,これらの出頭等確保措置についての抗告・準抗告,いわゆる不服申立手続についての規定を考えるものであります。   いずれも前回は非常に簡単な形で議論させていただきましたけれども,これについては,恐らくいろいろな御異論もあろうかと思いますので,今後,我々のこの考え方について御批判を仰ぐとともに,来るべき時期に再びこのような問題を審議会で議論するような場合にあっては,改めてこういった問題についても提起したいと考えている次第であります。   以上でございます。 ● どうもありがとうございました。   この資料につきましては,ただいま○○委員から御説明がございましたように,将来における参考資料として御提供いただいたものと理解させていただきます。   ほかに御発言はございませんでしょうか。   特にございませんようですので,引き続き事務当局からどうぞお願いします。 ● 事務当局を代表いたしまして一言御礼のごあいさつを申し上げたいと存じます。   委員,幹事,関係官の皆様方には,御多忙のところにもかかわらず,今回の諮問につきまして,毎回大変熱心な御審議をいただき,厚く御礼を申し上げます。また,部会長には,議事の進行,意見の取りまとめに,格段の御尽力を賜り,誠にありがとうございました。   本部会においては,刑事施設のいわゆる過剰収容問題を契機として,犯罪者の再犯防止及び社会復帰促進のための方策を,3年以上の長期にわたり,かつ,26回という多数回の会議を重ねながら,誠に多面的に御議論いただくという,大変長丁場の御審議をいただくこととなり,皆様方には大変な御負担であったものと承知しております。   そのような皆様方の御尽力により,このように成果が得られたものであり,皆様方の長期にわたる熱意と御苦労に改めて感謝の意を表したいと存じます。   皆様御案内のとおり,一般刑法犯の検挙人員中に占める再犯者の割合は平成8年以降増加し続けてきておりまして,犯罪者の再犯防止対策は,近時一層重要となっているところでございます。このような現状を踏まえますと,本部会において取りまとめていただいた御意見に沿って,刑の一部の執行猶予制度を導入するとともに,保護観察の特別遵守事項に社会貢献活動を加える法整備を行うことは正に重要な課題でありまして,法整備に向けた準備作業に努めてまいりたいと考えているところでございます。   今後のスケジュールでございますが,本日の部会における諮問第77号に関する御決定は,法制審議会の総会に部会長から御報告いただきまして,答申をちょうだいいたしました上で,所要の作業を進めてまいりたいと考えておりますので,委員,幹事,関係官の皆様方には,今後とも引き続き御指導・御協力のほどよろしくお願い申し上げます。本当にどうもありがとうございました。 ● どうもありがとうございました。   皆様の御協力によりまして,意見の取りまとめに至ることができました。本当にありがとうございました。私からも御礼申し上げます。   それでは,以上をもちまして散会とさせていただきます。誠にありがとうございました。 -了-