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行刑改革会議第1分科会 第5回会議議事概要

1 日時

平成15年10月30日(木)14時から17時まで

2 場所

矯正局会議室(14階)

3 出席者

(委員等,敬称略)
(会長)宮澤浩一(慶応義塾大学名誉教授),(委員)井嶋一友(弁護士・元最高裁判所判事),菊田幸一(明治大学法学部教授),滝鼻卓雄((株)読売新聞東京本社取締役副社長・編集主幹),成田豊((株)電通会長)(委員・50音順)

4 議題

(1)  次回以降の分科会日程について
(2)  アンケート結果を踏まえての意見交換
(3)  個別論点の検討
ア  被収容者の生活について
イ  担当制について
ウ  刑務作業について
(4)  その他

5 会議経過

(1)  次回以降の分科会日程について,事務局から別紙【PDF】のとおり提案したところ,了承された。
(2)  前回までの分科会において委員から要求があった点について,別添1【PDF】の資料に基づき,矯正局担当者から説明した。
(3)  アンケート結果を踏まえての意見交換
 アンケート結果については,個別の論点における議論の中で触れることを前提として,総括的に意見を求めたところ,下記のような意見が示された。
・  アンケートは客観的なデータを基に集計され,公表してもらったものであり,大変感謝している。アンケートについては信用しないという発言があったが,とんでもないことである。
・  アンケートは画期的なものである。
・  報道では暴力などについてのみ取り上げるものがあり,一面的な印象を受けた。
(4)  被収容者の生活について
ア  被収容者の生活について,矯正局担当者から別添資料2【PDF】に基づき説明したところ,委員と矯正局担当者との間で,以下のとおり質疑がなされた。
・  房内運動とはどのようなことをしているのか。
(回答: ラジオ体操程度の運動である。)
・  自弁を認めているということであるが,お金がない人はどうするのか。
(回答: 領置金もなく,作業賞与金もないということになれば自弁物品を購入することはできない。)
・  自弁物品の価格が高いという意見があるようだが,どのような状況か。
(回答: 定価を超えるということはないが,一般のスーパーのような安売りの価格に比べれば高くなっているかもしれない。自弁物品を扱う業者は信頼できる業者でなければならないが,なかなか引き受けてくれる業者がいないのが実情であり,零細な業者と契約しなければならない実情もある。)
イ  運動の在り方について(意見交換)
・  入浴の日に運動をさせていないという運用は問題がある。
・  運動はストレスの解消にもなるのであるから,30分という運動時間は短いのではないか。
・  運動時間に制限を加えているのは,主として作業時間の確保を前提としているからであろうが,8時間の作業時間を確保するということを前提とすべきではなく,運動を含めてどのようなことをさせるかを考えた上で作業時間を決定すべきである。
・  運動のスペースや刑務官の配置などの問題はあると思うが,1日1時間の運動時間は確保する方向で検討すべきである。
ウ  居房内における物品の所持数制限について(意見交換)
・  房内で各自の所持品を入れておく保管箱に入る限度で,自由に所持数を決めさせてもよいのではないか。
・  雑居房の場合,たくさん持てる人とそうではない人との差があまりに生じるということは感情的な問題が生じるのではないか。極端に差が生じることを認めるのは疑問であり,限度があるのではないか。
エ  就寝時間について(意見交換)
・  9時が就寝時間というのは早すぎる。
・  病院でも食事は早いし,就寝時間も早い。
オ  食事について(意見交換)
・  食事は良くなったと思うが,アンケートの結果では不満が多く,意外な結果である。工夫が必要な点もあるのではないか。
・  収容者を入れて献立委員会を開いている施設もあるというし,受刑者からアンケートで希望を聞いているという。
(3)  担当制について
ア  矯正局担当者から,別添資料3【PDF】に基づき説明したところ,委員と矯正局担当者との間で,以下のとおり質疑がなされた。
・  担当一人当たり何人くらいの受刑者の面倒を見ているのか。
(回答: 工場の規模によって違うが,かつては20から30人,多い工場でせいぜい50人くらいだったと思う。現在では多い場合には80人から100人近い場合もあるのではないか。)
イ  担当制の在り方について(意見交換)
・  工場では全て一人の担当が権限を持っており,担当に嫌われたら受刑者にとっては大変なことになる。
・  何でも一人の担当が責任を持つというやり方では限界があるのではないか。組織的に対応するという矯正局の方針は賛成である。
・  処遇の在り方として厳しく処遇すべき施設と緩やかにすべき施設もあるべきであり,A級施設やPFIでやろうとしているような施設では担当制によって改善更生がうまく図られるだろう。ただ,府中や名古屋のような施設ではこれまでのような担当制を維持することは厳しくなっており,組織的な対応が必要となるのではないか。
・  収容分類を徹底すれば,一つの施設でも,たとえば区画別に担当制の在り方を変えて対応することが可能となるのではないか。
・  担当というのは,受刑者から見れば権力そのものであり,かなりの裁量が認められているのではないか。担当に多くの責任や権限を持たせると,問題が生じても上司が目をつむってしまうということが生じかねない。情の部分も必要と思うが,かと言って,情が権力の拡大につながってはいけない。
・  作業一辺倒ではなく,教育や職業訓練を拡充すれば担当の役割が減るのではないか。
(4)  刑務作業について
ア  矯正局担当者から,別添資料4【PDF】に基づき説明したところ,委員と矯正局担当者との間で,以下のとおり質疑がなされた。
・  職業訓練をしている者は刑務作業をしているのか。
(回答: していない。職業訓練は刑務作業であると考えており,作業賞与金も支給する。)
イ  作業賞与金について(意見交換)
・  アメリカでも作業でもらえる金はそれほど高くない。金額を上げるべきということではないが,名目は賃金とすべきである。
・  ドイツでも建前はかなりの額を払うことになっているが,実際は州の財政の関係で抑えられている。
・  国費で食費や医療費をまかなっている以上,賃金とすることは反対である。
・  作業賞与金の基準額を見直していくべきだと提言すべきではないか。
ウ  職業訓練について(意見交換)
・  取得できる資格や免許が制限されているため,例えば調理師免許の取得のための職業訓練ができないということになっている。資格や免許の制限を撤廃するように意見を出したい。
・  資格制限などはそれぞれの業法で定められているのであり,この会議として提言することはできないのではないか。
・  職業訓練に従事する人の絶対数が少ない。増やすべきである。
エ  刑務作業の在り方について(意見交換)
・  処遇困難者の問題とも関連するが,刑務作業8時間を絶対のものとして維持することは適当ではなく,短縮すべき場合もある。短縮の結果余った時間は治療,カウンセリング,宗教活動,運動などに当てればよい。これによって担当全権主義のようなものも変わるのではないか。
・  治療やカウンセリングをしてくれる人が確保できるかは難しい問題であろう。
・  奉仕作業など社会が求めている作業に従事させてはどうか。
・  作業の多様化は結構なことだと思うが,そのために必要となる職員の確保の問題があろうし,社会が受け入れるかも考えなければならない。

6  今後の日程等

 次回は11月10日(月曜日)午後2時開催とする。

※  別添1中,以下の資料は掲載省略
1  判例時報1729号93ページ~116ページ 「無期懲役囚が刑務所長から長期間の独居拘禁をされたことが違法であるとして求めた国家賠償請求が,刑務所長に裁量権の逸脱はないとして否定された事例」
2  平成11年4月14日福島瑞穂参議院議員提出「無期刑囚の執行期間及び医療体制に関する質問主意書」一(一),一(二),一(三)及び同質問に対する答弁書
3  「過剰収容と行刑運営」(元東京矯正管区長 小野義秀 出典:「法の支配」(2003年7月))
(文責行刑改革会議事務局)
-速報のため,事後修正の可能性あり-
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