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行刑改革会議 第2分科会 第8回会議

日時: 平成15年12月2日(火)
14時05分~15時40分
場所: 矯正局会議室(14階)


14時05分 開会

開会

○南会長 それでは,おそろいになりましたので,ただいまから第2分科会第8回会議を開催いたします。
 本日は,まず第1に不服申立制度,第2が外部交通の在り方について,私案をお出しいたしますので,各私案をもとに御議論をいただきたいと思います。さらに,前回の全体会で,視察委員会,内部監査,情報公開等に関する当分科会の検討状況について報告をいたしましたが,その報告について,当分科会以外の委員から意見をいただいておりますので,これらを踏まえまして,さらに御意見があればお伺いしたいと思っております。

1.透明性の確保(不服申立制度)について

○南会長 それでは,まず,「不服申立制度」について私案を作成いたしましたので,お手元の「不服申立制度等に関する私案(骨子)」と題する資料を御覧ください。まず,私が全文を読み上げます。

1 公平かつ公正な救済

 刑事施設における被収容者の人権侵害に対し,公平かつ公正な救済を図るためには,人権擁護法案における人権委員会が可及的速やかに設置されるべきである。他方,被収容者の人権侵害に対する救済制度の整備は,喫緊の課題であるので,人権委員会が設置されるまでの間,次の暫定的かつ事実上の措置として,法務大臣が情願又は2の再審査の申立て(仮称)の処理を行うに当たり,刑事施設不服審査会(仮称)(以下「審査会」という)の議に付し,その公平かつ公正な処理を期するものとする。
 この表題でございますが,ここの公平とは,両当事者から等距離にある,そういう独立の組織だという意味であります。それから,公正の方は手続の公正性,つまり当事者双方に,自己に有利な主張の機会を与えるという意味での公正でございます。
 なお,この私案の刑事施設不服審査会の要点説明の前に,人権擁護法案による人権委員会が可及的速やかに設置されるべきであるということ,それから,ここに定める措置というのは,その人権委員会が設置されるまでの間の暫定的事実上の措置であること。その暫定的事実上の措置としては,刑事施設不服審査会というのを設けまして,法務大臣が情願又は2の再審査の申立てを処理するに当たっては,この審査会の議に付するということにいたしました。
 この刑事施設不服審査会の要点は三つございまして,一つは,矯正行政の組織から,組織上及び職務上の独立性を持っていること。第2は,被収容者の不服審査について調査審理を行うことができること。すなわち,単に意見を述べるというだけの機関ではなくて,調査審理を行う権限があるということ。第3に,法務大臣に対しまして,単に意見を述べるというだけではなくて,勧告権を有するということにいたしました。この3点が刑事施設不服審査会の要点でございます。
 以下,読み上げます。
 【目的】
 この措置は,刑事施設の長その他の職員による違法又は不当な処分等に係る被収容者の不服を調査審理し,被収容者の人権侵害に対する救済をより適正に図ることを目的とする。
(注) 上記「処分等」については,具体的に列挙する。
 ここの処分等の内容につきましては,これは普通の処分のほかに,有形力の行使によるところの事実行為をも含むという趣旨でございます。そこで,「処分等」としたわけです。したがいまして,それは刑事施設の長だけではなくて,その職員による事実行為についても,これに関する不服を調査審理して,そして適正な救済を図るということを目的としています。
 【組織】
 審査会は,法務省に置くこととするが,矯正事務を担当する部局等から独立した組織とする。
 これは,組織上の独立性を定めたわけです。
 【委員】
 委員は,法務大臣が,法律,矯正行政,医療等に関する優れた識見を有する者のうちから選任する。人選に当たっては,公正を期するものとする。法務省の職員は,委員になることはできない。
 これは,刑事施設視察委員会とは違いまして,刑事施設不服審査会については職能的専門家を主体として構成するということを定めたわけでございます。
 【審理】
 法務大臣は,被収容者の不服が理由がないと判断しようとするときは,審査会の議に付するものとする。
 理由があると判断する場合には,これは審査会の議にかかりませんが,要するに法務大臣が棄却の判断をしようとするときには,審査会の議に付するものとする。そして,審査会において,これは調査審理することとした上で,調査審理は公平かつ公正に行うと,こういたしました。
 【勧告】
 審査会は,被収容者の不服が理由があると認めるときは,法務大臣に対し,理由を付して,是正措置を執るべき旨の勧告をすることができる。
 是正措置というのは非常に広い考え方で,処分ですと,例えば取消しだとか変更が可能と思いますが,有形力の行使というのは事実行為,例えば収容であるとか,あるいは留め置き,留置であるとか制止というようなものになりますと,これは過去の歴史的事実であって,取消しがきかないわけですので,さかのぼって取り消すことはできないわけですから,撤廃だとか,その他いろいろな是正措置が考えられるだろうということで,ここは,是正措置を執るべき旨の勧告をすることができるとし,単に意見を述べるだけではなく,勧告権を持つということにいたしました。
 【守秘義務】
 委員は,職務上知ることができた秘密をみだりに漏らしてはならない。

2 不服申立制度等の整備等

 被収容者の人権侵害に対する救済を適正かつ迅速に図る必要があることから,監獄法の改正により,以下のとおり,現行の情願制度及び所長面接制度に代えて,不服申立制度等を整備すべきである。
 なお,情願の適正かつ迅速な処理を確保することは喫緊の課題であるので,監獄法等との整合性に留意しつつ,実施可能な事項については,監獄法の改正をまつまでもなく実施するものとする。
 監獄法の改正に当たりましては,現行の情願制度,それから所長面接制度に代えまして不服申立制度を整備すべきものであるとしました。そして,監獄法改正の基本方針としては,不服申立制度に関する監獄法改正の基本方針というものを,以下において示しました。なお,情願については,現行法の制度でありますので,監獄法との整合に留意しつつ,運用上実施可能なものについては適正かつ迅速な処理を確保するように,目的達成のために実施するということにしたわけです。
 【矯正管区長に対する審査の申立て(仮称)】
 これは全く新しい制度でございます。
 ・ 被収容者は,刑事施設の長その他の職員による自己に対する違法又は不当な処分等に対し不服があるときは,矯正管区長に対し,所定の書面により,審査の申立て(仮称)をすることができる。
(注)上記「処分等」については,具体的に列挙する。
 ・ 矯正管区長は,審査の申立て(仮称)が理由があると認めるときは,刑事施設の長に対し,決定で,是正措置を執るべき旨を命ずることができる。決定で,申立人の不利益に当該申立てに係る処分等を変更すべきことを命ずることはできない。
 ・ 決定は,申立人に通知するものとする。
 この矯正管区長に対する審査の申立てというのは,一つの考え方としては,刑務所長に対する異議申立てという考え方もあるのですが,処分を行った者に異議を申し立てても,公正性についての疑いというものは払拭し切れませんので,刑務所長よりは第三者的な機関である矯正管区長に対する審査の申立てというものを設けました。
 【法務大臣に対する再審査の申立て(仮称)】
 ・ 被収容者は,矯正管区長の審査決定に対し,不服があるときは,所定の書面により,法務大臣に対して,再審査の申立て(仮称)をすることができる。
 ・ 法務大臣は,再審査の申立て(仮称)が理由があると認めるときは,刑事施設の長に対し,裁決で,是正措置を執るべき旨を命ずることができる。裁決で,申立人の不利益に当該申立てに係る処分等を変更すべきことを命ずることはできない。
 これは不利益変更の禁止。
 ・ 裁決は,申立人に通知するものとする。
 【苦情の申立て】
 ・ 被収容者は,刑事施設の長その他の職員による自己に対する処遇について,刑事施設の長又は巡閲官に対し,口頭又は書面で,苦情の申立て(仮称)を行うことができる。
 ・ 被収容者は,刑事施設の長その他の職員による自己に対する処遇(審査の申立て(仮称)の対象となるものを除く。)について,法務大臣に対し,書面で,苦情の申立て(仮称)を行うことができる。
 ・ 刑事施設の長及び巡閲官は,苦情について速やかに処理し,その結果を通知する。
 ・ 法務大臣は,苦情について速やかに処理する。
 これは,情願制度というものを苦情申立てという形にかえまして,そして,手続の整備を図ったものであります。
 【申立期間等】
 不服の申立期間及び標準的な処理期間を定めるなど,迅速な処理を確保するために必要な手続を整備する。
 【申立ての秘密取扱い】
 被収容者は,刑事施設の職員に,その内容を知られることなく,申立てをすることができる。
(注)刑事施設の長に対する苦情の申立てを除く。
 【不利益取扱いの禁止】
 刑事施設の職員は,被収容者が申立てを行ったことを理由としてその者に対し不利益な取扱いをしてはならない。
 以上が,苦情申立制度であります。

3 情願又は不服申立て等の処理を担当する職員の体制の整備

 矯正管区及び法務省において,情願又は不服申立て等を処理する職員の体制を整備,充実する。
 私の説明は以上でございます。
 ほぼここで出ました皆様の御意見を取り入れて案を作成したものと理解しておりますが,皆様の御意見を承りたいと思います。
○久保井委員 本来なら人権擁護委員会は,この人権擁護法案を待つまでもなく,この問題に特化したものをつくっていただきたいとは思いますけれども,いろいろな事情で暫定的にこういう措置を設けるということで,いろいろ会長に御苦労いただきましたので,結構だと思いました。
○南会長 ありがとうございます。
 事実上のものですけれども,このままで実施するということでございますので,ひとつ御了解をいただきたいと思います。
 ただ,なお,この私案が全体会の提言の中にどのような形で盛り込まれるかということは少し問題です。かなりこれは監獄法の改正を実は視野に入れまして,条文のような形で,そのときの便宜に供するためにしたわけなのです。恐らく余り細かいことは入らないと思うのです。だけど,どうしても,とにかく抜けては困るというものがあると思いますので。
○瀬川委員 確かに今のこういう案で,いろいろな現実性という点で考えて,この案でいいと思います。理想的に考えれば,もっと幾らでも考えることはできるのですけれども,現実の今回の緊急に変革するということを考えますと,早くやった方がいいと思うので,私はこの段階では早く,このように可及的速やかにやる方がいいと思います。
 ただ,批判といいますか,そういう文書も幾つか出ているのですけれども,それも取り入れながらというか,議論していくべきだと思います。
 それから,ほかの分科会との関連というのですか,その点も……。
○南会長 そうですね。
○瀬川委員 だから,我々としては,これがもう100%理想的にいい案だとは思っていないわけで,非常にある種妥協の産物でもあると思うのですけれども,これ以上は譲らないでほしいというのが我々の希望であるということです。
○南会長 私もその方針でございます。これ以上はやはり譲れないと。
 ありがとうございました。
○曾野委員 素人は,法律上のこういう文言を正確に読み取らせていただくことは通常できないものでございますけれども,概要を何となく推察することは,同じ日本語ですから可能というわけですが,この2ページ目の真ん中辺の,法務大臣に対する再審査の申立てのところのポツの二つ目の2行目,「裁決で,申立人の不利益に当該申立てに係る処分等を変更すべきことを命ずることはできない」,これはどういうことなのでしょうか。
○南会長 これは,いわゆる不利益変更の禁止といいまして,不服申立てが出てきますね。そして,法務大臣が調査審理をして,例えば懲罰について不服申立てが出てきますね。そして,不服審理をしまして,その原処分といいますか,刑務所長がした懲罰よりも重い処分をすることはできない。不利益に変更してはならないということなのです。不利益になるというのは,不服申立ては権利救済の制度ですから,権利救済を求めたのに原処分より,もとの処分よりもかえって重くなるというのでは,みんな萎縮して出さなくなります。
○曾野委員 この位置を少し変えるといけないのでしょうか。日本語が分からないです。
○久保井委員 分かりにくいですか。
○曾野委員 はい。
○久保井委員 変更の前に持ってきたらどうですか。
○曾野委員 どこかを入れかえていただくと分かるのではないかという気がしたのですが。
○久保井委員 裁決で,当該申立てに係る処分等を不利益に変更することはできないと。
○曾野委員 それでしたらわかります。
○南会長 これは,実はほかの法律を見ますと,みんなこの書き方をしているのです。確かにおっしゃるとおり,後に「不利益」を持ってきた方が,不利益変更禁止の趣旨がよく出てくるのですが,どういうわけか,ほかの法律を見ますと,すべてこういう文言になっているのです。
○久保井委員 これは分かりにくいですね。これはへそ曲がりな解釈をしたら,「申立人の不利益に,当該申立てに」と。
○曾野委員 「に」と「に」が重なっていますね。
○久保井委員 これは法文ではないから,答申案だからいいのではないですか。
○南会長 答申案だからいいのです。法文は,確かにそうなっているのですが,「申立てに係る処分等を不利益に」としたらいいわけですね。
○久保井委員 そうですね。
○南会長 「申立人の不利益に」と。分かりました。よろしいですか。
○久保井委員 はい。
○瀬川委員 情願との関係というのですか,これは,この骨子ではどういうふうに考えるというか。
○南会長 そこが一番難しいところで,いろいろ議論をしたところなのですけれど,判例によりますと,現行の情願というのは全く請願と同じ一種の苦情処理的なものと考えているのですが,必ずしもそうとも言えないわけなのです。要するに不服申立て的なものも入っているし,現に情願の内容を見ますと,やはり処分の取消しだとか何とかを求めていますので,そういう不服申立て的な要素も入っているのです。
 それで,そういうことから,大臣情願が認められているので,その不服申立ての面だけを取り上げまして,再審査の請求ができるだろうというふうに考えたのです。
○瀬川委員 そうすると,重なる部分が現実にはあり得るということですか。
○南会長 それで,この区分けが非常に難しくなりますね。不服申立てができる処分というものをきちんと列挙した方が,申立人の側にとっても,それから事務処理をする側にとっても,便宜ではないかということで,はっきり分けたのです。だから,その段階でまた,どういうふうに……。
○瀬川委員 今のところは並存しているのだけれども,よりすみ分けを……。
○南会長 そうです。よりはっきりさせていこうと。
○瀬川委員 そうしていこうということが考えであるということですね。
○南会長 はい。だから,情願をもうはっきりと苦情の処理というふうに変えてしまうということです。
○瀬川委員 それから,恐らくこれを見て議論になるのは,独立性という問題だと思うのですけれども,「矯正事務を担当する部局等から独立」という文言が入ったことは非常に画期的だと思うのですけれども,いや,もっと進んだ書き方もあるよという批判があると思うのです。
○南会長 私としても,これがぎりぎりのように思います。「矯正行政から独立した組織とする」というのが原案なのですけれども,そうすると,行政ということになりますと,作用的にとらえる人もあるので,そういう作用からの組織的独立というのはおかしいではないかという議論も一方には出てくるわけです。ただ,私は,行政の意味には作用的な意味も組織的な意味もあるわけですから,矯正行政の中に組織も入っているのだという考えで,少しあいまいな表現ですが,矯正行政から独立した組織とすると,このように私は理解してもらえないかという考えだったのですけれども。部局等というふうに「等」とつけましたので,単に部局だけではない。だから,矯正行政を担当する部局等といいますと,やはりそれを指揮監督するというようなものも私は入ってくるのではないかというふうに考えていますが,だけど,理論は絶対ではあるが,立法は妥協だということもありますので,この辺はこのあたりの表現にしていただければと思うのですが。
○瀬川委員 その保障という観点から,これはぎりぎりの表現だということですね。
○南会長 もうぎりぎりの表現だと思います。
○瀬川委員 それから,勧告ということですけれども,勧告ということについて,先ほどの説明でも,意見を述べると,意見を聞くという表現よりも少し,勧告というのは踏み込んでいるという理解だと。
○南会長 はい。もともとこれは,私は単なる諮問機関ではないという考えなのです。調査審理機関なのだと。諮問機関というのは,大体裁決権者の方においてある程度調査審理をして,そして,それについていかがですか,よろしいですかといって意見を聞くというのが諮問です。そのような意見を聞くのではなくて,独自の調査審理権限を持った機関だという考えなのです。そういう意味で,本当は裁決権まで持たせればいいのかもわかりませんが,ここでは法務大臣が裁決権を持っているということにしていますので,そうすると,それに対する関係では勧告権というのが一番強い権限ではないかと。勧告は一種の決定だというような考えもあるぐらいですので。人権委員会も勧告権ですね。それから,最近では,情報公開審査会も勧告権,個人情報審査会も勧告権ということになっていまして,そういうものとの関係から見まして,ぎりぎりのところだろうと思いますが。
○瀬川委員 それから,法務大臣から申立人に通知するときですけれども,これは,もし申立人の意に添わないようなことについても,裁決になった場合,理由を付すというか,その点はどうですか。
○南会長 はい,そうです。
○瀬川委員 彼にとって不利益なときでもですか。
○南会長 棄却する場合ですね。
○瀬川委員 そうです。理由を示すということの理解でよろしいですか。
○南会長 はい。
 実は,もうそこまで初めは書こうかと思ったのですが,非常に細かくなってしまいますのと,それから,不服審査の一般理論として,もう当然のことなのです。相手方に不利益なことをするという場合には,もう必ず理由を付すというのが一般法理として確立しておりますので。
○瀬川委員 そう考えていますので,よろしくお願いいたします。
○南会長 もし何でしたら,「理由を付して通知する」としたらいいですね。
○瀬川委員 はい。できれば,その方がありがたいです。
○南会長 わかりました。それは,私はもう当然のことだと,一般法理だと思って,書かなかったのです。決定の方もそうですね。
○瀬川委員 はい。
 それから,もう少し細かい点ですが,期間ですが,「速やかに処理する」という表現があるのですけれど,この点については今後ある程度標準的な期間を定めるという趣旨なのか,速やかにということでとどめているのか,精神的に速やかにやってくださいと言っているのか,大体この程度の期間にやるべきだというふうに将来的には考えるべきなのか。
○南会長 それは処理の期間ですね。
○瀬川委員 そうです。
○南会長 これは,標準的な処理期間を定めなさいということにしているのです。
○瀬川委員 将来的に標準的な,例えば何か月とかいう形で定めていくと。
○南会長 例えば事案の難易,それから人員の問題等がありまして,一概には定められない。ただし,大体普通の平均的な処理期間というものは定められるだろうということで,ここで「標準的な処理期間を定めるなど」というようにしてあるわけです。ですから,これが過ぎますと,不服申立人としては,不作為に対する異議申立てもできるわけです。あるいは,裁判所に対して不作為の違法確認訴訟も提起できるのです。
○大平委員 一つだけよろしいですか。1枚目なのですけれども,組織を法務省から外すことができないというのはよく分かっていますので,その場合に,やはり重要なのは委員の構成だと思うのです。この中に「人選に当たっては公正を期するものとする」と書かれていますけれども,その中身なのですけれども,例えば委員の中で弁護士とか医師とかが入るにしましても,法務省側が弁護士を独断で人選をいたしますと,幾ら公正にと言われましても,やはり法務省側に有利な人間を人選しているのではないかという,そういういわゆる疑いみたいなものを持たれるのではないかとか思いますので,この人選というのは,その支持団体の推薦ということで了解してよろしいのでしょうか。
○南会長 支持団体の推薦だけではないと思いますが。
○大平委員 では,それ以外にどういうことを想定されて,公正ということを。
○南会長 こういう関係の中で,例えば法律なら法律関係の方で推薦方をお願いするということもあるでしょう。しかし,例えば推薦母体がないものもあります。例えば学会などは,ないわけです。そうすると,法務大臣が委嘱するというような形になると思うのです。そこは,どういう方法で選任するかというのは法務大臣の一種の裁量といいますか,そうなるのではないでしょうか。
○大平委員 支持団体とか,そういう母体がないところは,それでよく分かるのです。ただ,母体があるところについても,裁量ということで人選される場合には,どの委員会でもそうだと思うのですけれども,やはり有利な人選をしているのではないかと,どうしてもそういう疑いを持ってしまいます。だから,その構成というのはよほど公正にしていただかなければ,やはり矯正事務を担当する部局から独立したといいましても,その疑念というのが出てくるわけですから,そのあたりのところを何とか……。
○南会長 人選に当たっては,いろいろ人物的にも,それから手続的にも,公正を期さなければいけない。一応の裁量があるとしても,裁量権の濫用だとか,不公正な裁量があってはいけません。だから,人選に当たっては公正を期するものとするというふうに抑えたのです。
 初めは,実を言うと,そのような選任のための委員会を設けるとか考えてみたのですけれども,あまり屋上屋を架すことになりますので,この程度で抑えようと。
○大平委員 分かりました。
○瀬川委員 骨子ですから,この程度にとどめるのはいいのですけれども,大平先生がおつしゃっているように,結果として,例えば委員長もそうなのですけれども,海外では,外国の方は委員長を非常にインディペンダントな人というか,非常に印象としても,なるほど公平にやっておられるということが一つのアピールになりますので,実際に結果として,そういう人選をぜひしてもらいたいなというのは,我々の希望として残しておいたらどうですか。
○南会長 だけど,最近は大分役所の方も考え方が変わってきたのではないでしょうか。この行刑改革会議の委員の人選を見ましても,今までは考えられないことですし,特に私あたりが委員に入っているということは……。
○大平委員 ここの委員会は,そう思いますね。
○南会長 だから,同じように,皆さんのだれが見ても,これは公正だというふうに疑いを差し挟まれないような人選をしてくださいという趣旨なのです。だから,そのためには,やはりおっしゃるようにいろいろな手続だとか,それから推薦母体とか,そういうものをもっと細かく示さなければいけないかと思いますけれども,ここに書くのはこの程度で,そのかわり議事録には先生のお考えを記載することにいたします。
 それでは,字句の修正等はもう一度こちらの方でいたしますが,どうもありがとうございました。御意見も出尽くしたようでございますので,この程度とさせていただきます。細かい字句の修正はともかくとして,ほぼ皆様の御賛同をいただいたようですので,これを当分科会におきまして,おおむね議論が集約したもの,いわば議論の整理として全体会に報告したいと思います。よろしゅうございますか。
○瀬川委員 最後に,先ほど言いましたが,この会としても,非常に妥協の産物的なところがありますので,先生もそうですし,久保井先生もそうですし,我々もそうなのですけれども,これがミニマムというか,これ以上発展させてもらうのはいいのですけれども,これを骨抜きにするとか,そういうふうにされませんように,我々も全体会議では頑張りますけれども。
○南会長 分かりました。それでは,そのようにさせていただきます。

2.外部交通の在り方について

○南会長 次に,「外部交通の在り方」でございます。
 前回御議論いただきました外部交通の在り方につきまして「受刑者の外部交通に関する私案(骨子)」と題する資料を作成いたしましたので,御覧いただきたいと思います。
 それでは,これを読み上げまして,私の方からまた説明をさせていただきます。

 自由刑は,受刑者を一定の場所に拘禁して社会から隔離し,その自由をはく奪するとともに,その改善更生及び円滑な社会復帰を図ることを目的とするものである。このことから,受刑者の外部交通には自ずから一定の制限があるが,社会との良好な関係を維持することは,受刑者の改善更生や円滑な社会復帰に寄与するものと考えられる。そして,近時のすう勢に照らせば,親族のみならず,友人,知人との関係も,上に述べた社会との良好な関係の維持に必要なものと考えられる。
 さらに,法律上の重大な利益に係る用務の処理のためや人権救済等を求めるための外部交通にも配慮すべきである。
 これらの点にかんがみ,以下の措置を執るものとする。
 ここまでの点についてコメントいたしますと,外部交通については,最高裁の判例,昭和60年12月13日におきまして,「懲役刑は,受刑者を一定の場所に拘禁して社会から隔離し,その自由をはく奪するとともに,その改善,更生を図ることを目的とするものであって,受刑者と外部との交通は一般的に禁止されている」とされております。やはり外部から隔離して改善更生等を期するという行刑の基本理念に照らせば,外部交通に制限があるということは当然でありまして,まず,その点を踏まえるということにいたしました。
 しかし,一方で,受刑者のほとんどが,いずれ社会に戻ってくることを考えますと,社会とのかかわりを完全に絶つのではなく,社会との良好な関係を維持させ,改善更生とともに円滑な社会復帰が促進されるようにする必要があることは言うまでもありません。
 そして,社会との良好な関係を維持するという観点からは,親族中心の人間関係が築かれていたであろう監獄法制定時,明治41年とは異なり,今日では友人,知人との関係も,社会との良好な関係の維持に必要なものと考えられます。また,法律の重大な利益に係る用務の処理のためや人権救済等を求めるための外部交通も重要ですので,それらの点を総論的に明らかにいたしました。
 それで,まず,第1の
 受刑者の親族との面会について,良好な関係の維持に必要と認められる場合は,面会の回数及び時間を増やし,面会場所及び面会方法に対する配慮を行うこと。
 これについてコメントいたしますと,現行法上,親族は受刑者の更生改善等に有益な者として面会を認められておりますが,まさにその改善更生等の礎ともなるべき存在ですので,親族との良好な関係の維持に必要と認められる場合には,通常認められている以上に面会の回数をふやし又は時間を延長すること,それから,仕切りのない面会場所を用いたり,立会を緩和するなどの配慮をすることは必要だと考えました。
 それから,その次は,
 受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を促進するために有益な場合は,現状の運用を改め,知人,友人との外部交通を積極的に認めること。
 コメントいたします。現在,親族外との特別面会の運用については,身元引受人,保護司,在社会時の雇用主,財産上の用務がある場合の知人等について認められており,単なる友人,知人についてはほとんど認められていません。しかし,さきに述べましたように監獄法制定時とは異なり,今日の状況に照らせば,知人,友人との関係も社会との良好な関係の維持に必要なものと考えられますので,現状の運用を改め,受刑者の改善更生,社会復帰に有益な場合は,積極的に知人,友人との面会を認めていくべきだと考えました。
 その次は電話です。
 電話による通信については,その相手方を確認することが困難であるなどの問題はあるものの,試行的に,受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を促進するために有益な場合は,一定の基準の下,受刑者がこれを行えるよう検討すること。
 コメントいたします。電話については,面会等と同様,対象が一定の者に限定されるべきだと思われますが,前回,曾野委員から御指摘がありましたように,電話という通信手段の性質上,対象を限定しても,その確認が困難であるという問題点があります。そこで,電話につきましては,試行的に,受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を促進するために有益な場合は,一定の基準の下,受刑者が電話を利用できるように検討することと考えました。なお,試行的にとはいえ,電話を外部交通の手段とするには,監獄法の改正が必要であるということであります。
 次に,
 受刑者と面会等をしようとする者が,円滑にこれをできるよう,適宜の方法により,外部交通の取扱いの要領等を公表すること。
 前回,信書の発受等について,一般の人が,その取扱いの要領を知らなかったため困惑したとの御指摘があり,イギリスにおいても,外部交通の取扱いをホームページで公表されていることから,このように考えました。
 その次は,
 訴訟等法律上の重大な利益に係る用務の処理のために必要な場合は,受刑者と弁護士との面会を認めるものとし,その用務に応じて必要と認める場合は,面会方法について配慮するものとすること。
 コメントいたします。訴訟等の法律上の重要な利益に係る用務の処理は,親族や友人,知人を介しては,必ずしも迅速,適切な処理が期しがたいこともあると考え,このような用務の処理のためには弁護士との面会を認めることが相当であると考えました。
 その次は,
 受刑者が,a人権救済等を求めるため,b裁判所,検察庁,法務局,弁護士会又は弁護士に信書を発信することを求める場合は,a及びbのことを確認するに止め,特段の事情がない限り,その発信を認めることとすること(上記「特段の事情」とは,その発信によって,刑罰法令に触れる結果が生ずるおそれがある場合,又は,逃走等施設の規律秩序を著しく害する結果を生ずるおそれがある場合に限る)。
 コメントいたしますと,受刑者が萎縮することなく人権救済等を求めることができるよう,人権救済等を求めるため,裁判所,検察庁,法務局,弁護士会及び弁護士に信書を発信することを求める場合には,そのことを確認するにとどめるべきだと考えました。もっとも,bの信書を用いた不正連絡事案も,ときに見られることであり,a,bのことを確認する過程で,刑罰法令に触れる結果が生ずるおそれ又は逃走等施設の規律秩序を著しく害する結果を生ずるおそれがあると認める場合は,そのまま信書の発信を認めるわけにはまいりませんので,この限りではないと考えました。
 なお,受刑者としてメールボックスに投書することにより,視察委員会に申し出ることもできますが,これについては検査はしないということを想定しておりますので,受刑者が萎縮してどこにも申し出られないという事態は生じないのではないかと考えております。
 以上,受刑者の外部交通に関する私案について説明を申し上げました。皆様の御意見をお伺いしたいと思います。
○大平委員 これは今言うべき問題かわからないのですけれど,懲罰を受けている場合は,面会はできないのですね。現在は面会できないのですね。その場合に,面会ができる親族には,連絡はしていないのですね,現在。ということは,その懲罰を受けていることを親族が知らずに刑務所に行って,それで,実際,面会できないというケースが多々あると聞いています。
 実はフランスを視察に行きましたときに,同じことを伺いまして,懲罰中は面会は確かにできないのです。ただ,刑務所側から親族に連絡が行っていないと,懲罰を受けて,その連絡が親族に届かなかった場合に親族が来たときは,例外的に面会をさせているということなのです。それは,やはり親族というのは遠くから来る親族もいますので,懲罰だからといって完全に会わせないというのは,家族関係を築くこととか,そういう面でやはりマイナス面が大きいからという判断だと思うのです。
 懲罰の間,面会をするかどうかというのはまだまだ議論があるところかもしれませんが,たとえ現在,面会できない状況におきましても,親族に連絡が行っていない間のことに関しては,やはり面会をさせるべきではないかなと,私はそう思うのです。
 この外部交通の中の問題なのか,それとも,それは懲罰自体の問題なのか,それはわかりませんので,これはここで述べるべきなのか。
○南会長 懲罰を受けた場合には,その親族等への連絡がないわけですか。
○大平委員 ないのです。全くしていないですね。
○澤田保安課長 しておりません。
○大平委員 だから,知らずに年老いた親御さんが……。
○南会長 そのために,知らずに来るということもありますね。
○大平委員 わざわざ遠いところを丸一日かけて来られて,結局自分の子供がしたことだといってあきらめて帰られるのですけれども,余りに冷たいというか。
○南会長 これは懲罰関係のこととかかわりますが,一応こちらでも議論をしまして,することはいいことだと思いますが,問題は……。
○大平委員 もちろん懲罰の間に面会権まで奪うかどうかという大きな問題はあるのですけれども,だから,その議論を今ここでは多分できないと思うのです。
○南会長 懲罰中は面会を許さないというのは,どこかにあるわけですか。
○澤田保安課長 明文の規定はございませんが,監獄法の軽屏禁の解釈として,「接見,信書の発受は,その間は禁止される」と解されております。
○南会長 解釈としてですね。
○大平委員 その辺はものすごく大きな問題なのですけれども,たとえ懲罰中に面会とかできないにしましても,そうやって親族に連絡が行っていない間に親族が来た場合は,せめてその回だけでも面会を認めるべきだと思うのです。
○瀬川委員 実情がよくわからないのですけれども,親族が面会をする場合,事前に刑務所側に連絡は全くないのですか。
○大平委員 面会は,連絡なしです。
○瀬川委員 連絡なしで,スッと行くのですか。
○大平委員 家族はそうです。4級でしたら,1か月に1回の面会でしたら,家族はその1か月の中でいつ行っても面会できますので。
○南会長 そういう例は多いわけですか。
○大平委員 いや,それは普通です。
○南会長 いや,面会に行ったところが,懲罰で面会ができなくて追い返されたという例が結構あるわけですか。
○大平委員 はい。
○南会長 考えようによっては,懲罰の意味なのですが,懲罰というのはそこまで,面会まで拒絶するという意味の懲罰なのか,むしろ懲罰なるがゆえに面会を認めた方がいいというのか,改善ということになるのか,そこは大きな問題になってきますね。
○大平委員 その辺は大きな問題なのです。
○南会長 だから,それはここだけでは決められないと思いますが。
○大平委員 そうですね。
○南会長 しかし,そういうこともひとつ,監獄法の改正だとか何かに当たっては考えていただくように,こちらの議事録にとどめておくということで。
 どうぞ。
○曾野委員 私がしゃべるといつも外れてしまうのでお許しいただきたいのでございますけれども,人生において,その人にとって何が大事かということでございます。だれの何を守らなければならないのかということ。私は今,連想いたしましたのは,カトリックの神父というのは,修道女もそうですが,全く自発的に結婚ということをしないという契約をするわけです。ただし,人間は弱いものですから,その中間に,結婚しないで修道者としての生活を送りますといっても,これはしまったと思うかもしれないから,まず,1年間,普通だと1年目に練習期間があって,修道院というのはどういうものかとやってみて,ここでやめる人もいる。その次に3年,5年とあって,会によって違うのですけれど,一生そういう生活をしますという本当の約束をするまでに10年ぐらいかかるところはざらなのだそうです。
 それにもかかわらず,女性関係ができて,子供が生まれるという場合があるわけです。それは結構あるわけです。そのときに,これは信仰外の方から見るとおかしいことかもしれませんけれど,神との約束というのが一番優先するように思うわけです。ですから,その人は約束を破ったのだから,それはもう女の人も追い出せばいいし,子供もそれはもう別なのかというと,絶対に子供は優先するのです。教会は絶対に父親を取り上げない。どんなに人間の約束を,神とのと言ってもいいのですけれども,あるいは修道会との約束を侵した者であろうとも,子供から父親を取り上げるということは最大に防がねばならない。ゆえに子供に父親を与えるために,教会は結婚生活を許すわけです。
 そういうことというのは,私は割と大事なことだと思うのです。人間を何によって生かすかという,その大事なことのプライオリティというのが多分あるのではないかと。だから,それは法令とか,今までこうだったからというのではなくて,何か常に新しくお考えになっていただいてもいいことかなというふうに思いました。
○瀬川委員 外部交通の議論のときに私はいなかったので,蒸し返すことになるかもわかりませんが,面会の回数,時間を増やすというのは,これで結構なのですが,その場合に曜日という点は,恐らく今現在は月から金だと思うのですけれども,土曜日あるいは日曜日というか,家族との関係というものを考えて,改善更生を考えるという趣旨に立てば,土日というのは今後検討課題ではないかというふうに思われるのです。だから,回数とか時間を増やすのは,それでいいのですけれど,曜日についても配慮するというか,それをぜひお願いしたいところです。
○南会長 その方がよろしいでしょうね。曜日で何か問題はございませんか。
○澤田保安課長 これは,ほとんどひとえに職員の配置という,施設の管理運営能力から,現在は基本的には先ほど先生がおっしゃったように月曜日から金曜日の平日の通常の執務時間内にということで運用しておりまして,ただ,例外的には,特別な事情がある場合は休日にも,例えばごく限られた施設ではありますが,平日,外部通勤という外部の作業所に働きに行っていたりする施設がございますので,そういうところでは,平日の昼間に来ていただいても面会ができませんので,土曜,日曜日に,どちらかに限りまして,週末の時間でも面会できるという例外的な取扱いをしているところはございます。
 ただ,原則としては,やはり通常の施設では,平日の執務時間内に面会に来ていただくと,そういう運用が今の実情でございます。
○瀬川委員 家族との接触というか,交流を深めるという点では,月曜から金曜というのは,働きに行っている人,特に共稼ぎというのは多いわけですし,当然やはりこの点は配慮すべきだと思います。
○久保井委員 面会の回数,時間の次に,面会できるその意味を取り込めるような,そういう運用ができるような言葉を,直接曜日と書かなくても,何か……。面会の回数,時間及び……。
○瀬川委員 それから,電話のことは,大変私はこれはいいと思いますし,試行的ということが書いてあるのですけれども,ぜひスムーズにいって,原則化してほしいなというところなのです。
 それで,「一定の基準の下」というのはやはり少し議論があると思いますし,それから,もう一つは,傍受するかどうか,モニタリングするかどうかです。この点はどうでしょうか。
○南会長 今,一定の基準の下に。
○瀬川委員 受刑者がこれを行えるように検討するということです。まず,一定の基準とは一体何なのかということの議論です。それと,もう一つはモニタリングするというか,モニターするかどうかです。傍受するかどうかです。
○南会長 傍受の点ですね。傍受を含めまして「一定の基準の下に」というふうに理解してはいるのですが。
○瀬川委員 そうすると,傍受を適当な方法によってやるということが前提だと。
○南会長 一応そういうふうに考えておりますけれども。
○久保井委員 今回の改革の目玉商品は,やはり知人,友人に広げたことと,それから,電話を認めるということだと思います。この部分については,これは非常に私は結構だと思いますが,できればあらかじめリストを,友人のリスト,知人のリストを出して,施設の方で差し支えないという判断をされたら,回数制限はやむを得ないかもしれませんが,かなりかけられるようにするとか,そういう方向で,あるいは知人,友人との面会についても,今の社会構造が親族中心の社会構造から大分変わってきていますから,だから,入所前の人間関係をやはり,入所したことによって切断されないように,そして,出た後にまた円滑に社会復帰を,自信を持ってみんなに守られながら社会復帰できるようにするためには,やはり友人,知人との面会を,現状の運用を改めて積極的に認めると書いていただきましたから,そういう意味でしょうけれど,ここは非常に期待したいところです。
○瀬川委員 だから,トラブルなく原則化してほしいという気がします。
○久保井委員 そうですね。今,親族というのは,ほとんど実態が,生活実態としては,嫁さんと子供というのはもちろんありますけれども,それ以外の親族というのは,冠婚葬祭のときに突然あらわれてくるのが精いっぱいで,ほとんどありませんから,だから,やはり本当にその人にとって大事な友人とか大事な知人を,親族よりもやはり大事ですから,だから,私は,表現としてはこれで仕方がないかもわからないけれど,試行的にやって,うまくいけば広げていくという,そういう方向でやってほしいと思います。
○南会長 そうですね。
○瀬川委員 傍受の方法はどうですか。
○久保井委員 傍受は,私は必要性があれば仕方がないと思いますけれども,つまり,全部頭から傍受するというのは……。
○瀬川委員 ずっと傍受するというのはしんどいことですね,全件を。件数によるでしょうけれども。
○澤田保安課長 傍受の具体的な方法は,まだ考えているわけではないのですが,「試行的に」ということですので,とりあえず最初はそのような傍受をしないような,しなくても済むような人に限って始めてみるとか,そのような運用も考えられるかなというふうには思っておりますが,具体的にどのような運用になるかというところまではまだ考えてはおりません。
○瀬川委員 トラブルがないように,ないようにと考え過ぎて,試行的に考え過ぎると,電話によることが余り意味がなくなってしまうことがあるので,だから,電話によるというのは非常に画期的なことなので,外国でもかなりやられているわけで,できれば積極的にというか,確かに事故を恐れられる気持ちはわかりますけれども,ぜひ積極的にやってほしい部分だと。
○久保井委員 そうですね。この電話のところは二重にカバーしてあって,試行的と一定の基準と,非常に慎重に慎重に書いておられるわけだけれど,もう少し積極的であってほしいとは思いますけれどね。
○瀬川委員 それを要望しておきたいと思います。
○久保井委員 私も,今の瀬川先生と同じ意見です。
○瀬川委員 それと,先ほどのところで南先生がメールボックスのことを言われて,これは文書にあらわれていないですね。
○南会長 ないです。
 この「試行的に」というところですが,「試行的に」といっても,監獄法の改正が必要だということですが,それはやはり必要なのでしょうか。
○久保井委員 要るでしょうね,やはり。
○澤田保安課長 その辺の解釈については,現在の監獄法は御存知のとおり古いものですから,外部交通の方法として接見と信書の発受というふうに二つの方法を法律で書き切っておりますので,現在の監獄法令の解釈からしますと,外部交通の方法として,ここに書いていないところの,接見,信書の発受以外の手段による外部交通というのは考えられていないのではないかと,そのようにこれまでずっと解釈してきております。
○久保井委員 だから,今みたいにおっしゃるのは,法律に書くとしたら「試行的に」ということは書きにくいのではないかという趣旨ですね。
○南会長 「試行的に」というのは,監獄法の改正を待つまでもなく試行的というふうに解しますね。
○澤田保安課長 そうでございますね。
○瀬川委員 ここでの「試行的に」という意味は確認しておかないと。
○南会長 確認しておきたいのです。どういうふうにお考えなのか。監獄法の改正が必要だとおっしゃっているのだけれど,私の理解としては,文字どおり読めば,監獄法の改正を待つまでもなく試行的に行うという意味なのか。
○澤田保安課長 私どもの理解としては,やはり電話を許可するには監獄法の改正は必要であろうというふうに解釈をしておりました。ですから,「試行的に」という意味は,監獄法の改正を踏まえて,しかも,その導入の仕方についても,法律の運用としては種々の対応があると思いますので,新しく法改正後の運用として,導入の仕方として試行的ということがあるかなと,そういう理解を,こちらはしておりましたが。
○久保井委員 そうしたら,法律としては試行的にやれとは書けないでしょう。書けるのですか。
○澤田保安課長 分かりませんけれど,余りない表現かなと思います。
○南局付 監獄法で定めましても,その運用を見まして見直しを行うという意味で試行的だということで考えております。
○瀬川委員 そういう意味で私はとらえました。
○南局付 そういった理解でございます。
○南会長 そういう意味ならよくわかります。
○曾野委員 相手をだれかということの認識というのは,今はできないでしょうけれど,間もなくできるのではないですか。自動的に声紋が同じであるとか,そうすると非常に簡単なのではないでしょうか。
○青山補佐官 技術的なことは,現段階では,検討がされていないので分からないですけれども。
○久保井委員 名前と電話番号を届けさせて,刑務所がチェックして,この人間は大丈夫,これはだめというような形でやっていくような感じでしょう。
○南局付 確かにナンバーディスプレイですとか,そういった技術的な,あるいはテレビ電話ですとか,そういったものもいろいろあるかと思いますけれども,ただ,技術的な側面について検討は進んでおりませんで,今後,正に相手方を技術的に確認していく方法が刑務所で予算的な意味でも可能な範囲でできるのかどうか,そういった検討が必要だと考えております。
○久保井委員 今度の監獄法で電話を認めたけれども,何年かたって,これはやはりやり過ぎだったと監獄法を改正して,また元に戻すというようなことは,それはあり得るかもわからないけれど,実際にはそういうことは難しいでしょうから。だから,そういう意味では「試行的に」というのは果たして要るのかどうかと思いますけれどもね。「一定の基準の下」というのが入っているから,「試行的に」というのを取ってもいいのではないかという気がするけれども,どうですか,矯正のお考えは。ここはすごく慎重な感じがするから。
○南会長 確かに慎重にされているのだと思います。だから,これも全部一挙にやるというのではなくて,先ほどおっしゃったように,これは認めていいようなものからやっていくとか,あるいはある刑務所だけこのようなことをやってみると。試行的というか,実験的なような感じだと思うのです。そして,どの程度リスクがあるかどうかということを見ながら考えていくという御趣旨だろうと思うのですが,そうですね。
○澤田保安課長 そのような趣旨で理解しております。
○南会長 だから,まず,どこかでやってみるという。
○久保井委員 いろいろな国際水準,今度の改正はやはり国際化というか,国際水準に合わせるための改正というのがありますから,韓国とかそういうところでもやっているでしょう。そうすると,なかなか,それは一たん認めたものをやめるというわけにはいかないと思います。
○瀬川委員 慎重になられるのはよく分かるのですけれども,ここで「試行的に」という言葉が本当にいいのかどうか。
○久保井委員 いいのかどうかね。「一定の基準の下」というのがありますから,「試行的に」というのがなくてもカバーできるのではないかと思うけれども。
○瀬川委員 特にここは,非常に慎重にというか,コーシャスになられているのはよくわかりますけれども,「試行的に」という言葉があるために,何か電話による通信については非常に先細りみたいな印象があるので,これは国際的な基準から見て,電話による通信というのはもう現在は,100年前の時代ならともかくとしても,今の時代であれば通常のコミュニケーションの手段なので。100年前の監獄法の外部交通で電話というのはイメージがなかったと思いますけれども,今は外部交通というのはやはり電話とかメールだと思うのです。だから,そういう点では,ここは余り慎重になり過ぎてもどうかというふうに思います。
○久保井委員 そうですね。
○瀬川委員 だから,「試行的に」というのは取って,「一定の基準の下」でもいいのではないかと。
○久保井委員 そういう感じがしますけれどね。
○瀬川委員 「試行的に」とあることによって,何か後でカバーされるかというと,そうでもないのではないかと。
○南会長 ある意味では少し疑義を招くおそれもありますね。だから,検討することになっているわけですから,そこは検討するとは書いていないのですね。
○澤田保安課長 それで,現在での解釈では,私どもは対外的に監獄法の改正がないと電話はだめだと言っておりますので,その辺は御理解をいただいて,それで「一定の基準の下に」ということでよろしいかと思いますが。
○瀬川委員 かえって電話によることで,確かにトラブルが,いろいろなことが想定されると思いますし,外国でも全くトラブルなしでやっているかというと,そうではないと思うのです。トラブルはいっぱいあると思うのです。
○曾野委員 「試行的に」というのはこちらの手の内ですね,つまり。そういう感じがいたします。
○久保井委員 もう一度,検討していただいて,できればこれを。
○南会長 そこのところは私に御一任いただけますか。
○久保井委員 会長に。
○南会長 それでは,御一任いただいて,私,またいろいろ検討して……。
○澤田保安課長 南会長,申し訳ありませんが,先ほどの面会の曜日のところで,私の説明が不十分なところもあったかなと思いますので,実情を説明させていただきますと,やはり土曜日,日曜日の面会をそれほど一般的にやるとなりますと,極めて人の体制が,これはもう,およそ問題は,人が十分に配置できれば,週末もあけて運用できるという,挙げて人の体制を含んで施設の管理能力の問題でございますので。ただ,一般的には,面会を土曜日,日曜日の職員配置の少ないところでやりますと,面会をするのに中から被収容者を連れ出したりする場合も,非常に人が少ないところで人を連れ出さないといけない,場合によっては一人の職員で複数の被収容者を連れ出したりしますので,そうなりますと,その施設の保安上の問題もございますので,それほど一般的にはできないかと思うのですが,例外的に,先ほど言いましたように平日の執務時間になかなか会えないような被収容者とか,特に土日に遠方から親族が来られた場合には,特別に許可するということも,あらかじめ予約等をしていただければ,できないことではないかというふうに考えますが,そういう意味から,率直なところを言わせていただければ,職員の配置とか,そういう特に人的な体制のところの整備が必要だというところを御理解いただければということでございます。先ほどは少し言葉足らずだったかなと思いますので,御説明をさせていただきました。どうも申し訳ございません。
○瀬川委員 配置というふうに謙抑的に言われたのですが,我々としてはやはり増員ですね。やはり増員を前提にということを委員としては強く言うべきだと思うのです。だから,刑務所が本当に家族との交流とか,円滑な社会復帰と改善更生を図るためには,もっとやはり職員が要るということを強くこの委員会としても言うことが必要だと。
 だから,単に土日を開けろというだけでは済まないので,そのためには,今,配置というように謙抑的におっしゃったけれど,本当は増員を前提として適正な配置ができるようなということが大事だと思います。
○曾野委員 それから,大変日本的な道徳観から外れますけれど,これは,刑務所も外国と考えたら私は分からないのでございますけれども,土日には面会者が特別な面会料を払うということにしたらいいのではないですか。そういう発想は全くしてはいけないのでございますか。私だったら取ると思います。増員しなければいけないのだから,1人1件幾らと,特別権利を買うのです。そして,土日にしかどうしても会えない人は,それをやったらいかがでしょうか。一つだけ,これは雑音としてお聞きください。
○瀬川委員 そうですね。
○曾野委員 当然でございます,そういうことは。何もかもが平等というのが日本の悪い,頭のコチコチのところで,もう少し柔軟に考えてもよろしいと思います。
○久保井委員 面会を,日曜日,土曜日にするのに,お金の払える人だけというのも,少し気になるけれど,私服などは全部禁止しているでしょう,制服にしているでしょう。その理由は,やはり金持ちはいい服を着て,金のない人は貧しい服を着るのはいけないということで,ああいう形になっているのでしょうけれど,そういうところは,先生がおっしゃったように自分の持っている服ぐらい着ていてもいいのではないかという感じはしますけれども,でも,今のところは,お金を払ったら面会できるようにするのは,少しやり過ぎではないかと思いますけれども。
○曾野委員 そうおっしゃると思いますけれども,それは,私はもう少し柔軟にしても,世界的にはもっと柔軟な考え方をしていると思いますので。
○久保井委員 そうですね。平等主義が日本の刑務所のいいところでもあるし,また,いき過ぎて悪いところでもあると思いますけれども,それは第1分科会の重要なテーマで,自分の手持ち金の中で,所持金の範囲内でいろいろなものを購入して食べたりするのも,全部世界的にはかなり自由になってきているのでしょう。
○大平委員 まず,部屋の構造ですが,日本はどうしても雑居房に何人もいますから,いろいろな問題があると思うのです。海外は単独房ですから,その部屋の中で何をしようが……。だから,それがもう大前提として違うと思うのです。
○久保井委員 そこは違いますね。だから,やはり予算を大幅に増やして……。
○大平委員 独居房をつくると。
○久保井委員 個室原則にしなければいけない。
○大平委員 はい。
○久保井委員 だけど,ここだけ,日曜日の面会,土曜日の面会のところだけ職員を増やせと書くわけにはいかないでしょう。それは,その部分だけに職員が要るのではなくて,全体の改善のためにはどこの部分でも職員の増員が要るから,だから,やはりここは,できたらやはり瀬川先生がおっしゃるように,「回数及び時間など」とでも入れて,「など」でも入れて運用に任せると。それで,日曜日,土曜日にも広げる方向で,予算措置とかそういうものがあるでしょうから,「回数,時間を増やすなど」,あるいは「時間などを増やし」とするか,ごまかしですけれど,そういう方向を少しでも入れたらどうでしょうか。「回数及び時間などを増やし」と。「など」は,土曜,日曜日に便宜を図る回数を増やすと。一般的に土曜,日曜日でも自由にというわけにはいかないにしても,その頻度を増やすとか。
○南局付 体制が整うことを前提として,土曜,日曜の面会についても実施できるよう配慮していくこととか,そういったような表現ぶりでもよろしゅうございましょうか。
○久保井委員 それでもいいと思います,そういう体制という抽象的な表現なら。
○瀬川委員 警察庁というのはすごく予算の取り方がうまくて,法務省は特に余りうまくないというか,しかも,矯正と保護というのは特にすごく予算を抑えられてきていますので,何かやはりセールスポイントを出して,こうするのだというポイントを出して,それで,こうするためには必要だということをやはりどんどんどんどん要求を,今後要求していった方がいいのではないかと思うのです。
○久保井委員 私も賛成です。だから,面会の回数と固定してしまったらいけないから,ここはそういうふうに,土曜,日曜の面会なども体制を整備して努力するような方向に。
○瀬川委員 そのためには人員の増員が絶対的に必要だということでしょうね。
○久保井委員 予算ができないといったら,全部もうできなくなるのです。
○瀬川委員 そうですね。
○南会長 ただ,土日になると,かなりの刑務官の人がお休みになるわけですか。
○澤田保安課長 そうです。
○久保井委員 でも,やはり面会する嫁さんが働いていったりもするし,嫁さんは働いている人が多いと思うから,だから,土日でないと来られない,会社を休めないということがあると思うから……,会長にお任せします。
○南会長 そこのところの文言ですが,私に御一任していただいて。
 それでは,皆様に,この案についてもほぼ御賛同いただきましたようですので,これを当分科会の議論の整理として全体会に報告したいと思います。なお,先ほど出ました御議論については私に御一任していただきたいと,よろしゅうございますか。
○久保井委員 よろしくお願いします。
○瀬川委員 あるいは,口頭でも結構ですが,こういう改革をするためには職員の増員というか,何かそういうことを最後に先生から,口頭でも結構ですから,一言言われるのもいいかと思います。
○南会長 わかりました。

3.その他

○南会長 それでは,最後になりますが,視察委員会,内部監査,情報公開等について検討したいと思います。
 11月の全体会において,当分科会はこれらのテーマについて当分科会の議論の整理を報告いたしました。この報告に対しては……。
○久保井委員 それは,ペーパーはありますか。
○南会長 ペーパーはございませんか。
○南局付 前回の全体会の御報告のペーパーはございませんが,それについての菊田委員の意見書と,それから,日弁連の意見書がございます。
○南会長 これは議論するわけではなくて,一部の委員から事務局に対しまして,全国の刑事施設に視察委員会を設けることが実際にできるのか,それだけの数の委員を確保できるのか,それから,イギリスでもドイツでも委員になり手がなくて困っているというような質問があったとお聞きしております。
 それで,私としましては,必ずしもこの質問は,視察委員会の設置そのものに反対されているという趣旨ではないと理解しているわけなのですけれども,確かに刑事施設につきましては,規模だけではなくて,立地条件だとか,非常に遠隔の地にあって人を得がたいというような面もあるのかなとは思いますけれども,そういうことから,確定的な人数は,この前は5名から13名というふうに確定的人数を入れたのですが,確定的なそういう人数については,これはその人数を満たさないと,例えば定員割れになるとかというような問題も出てきますので,これは,全体会の提言では,触れないでもよろしいのではないかと,人数については,そう思っているのですが,いかがでしょうか。大平先生,いかがですか。
○大平委員 実際大変だと思うのです。あれだけ進んでいるイギリスですら定員割れ,200名から250名足りないということですので,果たして日本でどれだけ一般の方々が関心を持って入っていただけるかというのは大変難しいと思うのです。ですから,大分前にも申し上げましたけれども,そういう協力団体から,そういうところで出していただくということももちろん必要だと思います。
 ただ,日本の場合,人数を決めてしまいますと,どうしてもそれを集めなければならないという,そちらばかりになってしまいますので,だから,この提言のときには人数の記載は,私はなくてもいいと思います。
○南会長 この前も大体の目安として掲げただけなのですけれど,この程度でいかがかということで,では,あえて人数については触れないということにさせていただきたいと思いますが,よろしゅうございますね。
 それから,菊田委員から「『行刑改革会議』分科会報告(11月17日)に対する意見書」と題する,第2分科会のテーマに関する意見を含めた意見書が提出されております。これはお手元にお配りしております。菊田委員からです。
 それで,当分科会に対する意見としまして,視察委員会が設けられる以上,機能していない情願制度を廃止すべきだとの御指摘がありました。これは,少し誤解があるのではないかと思います。視察委員会の目的というのは,刑事施設を視察して,そして,被収容者と面接をし,また,被収容者の意見を聞くということにあるのであって,確かにその段階で苦情の申立てを受け付ける,あるいは聞く,あるいは内覧するということはあるかもわかりませんが,処理までするというようなものではなくて,処理するべき責任というのは,これは専ら刑事施設の長がすべきことであると私は思います。
 むしろ視察委員会の存在そのものが,かえって情願制度の機能の活性化に役に立つのではないかと思っておりますので,監獄法の改正により情願制度を廃止して,確かにもっと有効な不服申立てを設けることは必要ですけれども,監獄法の改正までは現行法の情願制度というものは存続しておいて,その運用の改善に努めればよろしいのではないかと考えております。よろしゅうございますね。
 それでは,その方向で全体会で説明をしたいと思います。
 なお,提言におきましては,視察委員会の性格として,そもそも行政施設の運営全般の向上を目指すものであり,個別事案の救済を目的とするものではないということがよくわかるような形にしたいと思っております。
 そのほか,日弁連からも,「行刑改革会議分科会の取りまとめに当たっての日弁連の意見」と題する意見書が提出されておりますので,御覧いただきたいと思います。日弁連や菊田委員等の御意見を踏まえまして,当分科会のテーマに関する御意見がございましたら,どうぞよろしくお願いいたします。
 大体これは,当分科会に与えられましたテーマとしては御議論を尽くすことができたのではないかと考えているのですが。
○曾野委員 菊田さんの中に,「土曜,日曜の面会を許可し,月曜を面会のない日に置きかえる」というのは,いいアイディアですね,これは。博物館みたいですけれど,休みをずらして,その間にお休みをお取りになるという,何か1日ぐらいそれをやってもよさそうですね。
○青山補佐官 一つのアイディアなのですけれど,ただ,月曜日は受刑者が作業もすると,通常どおり刑務所を運営するということになれば,すべての受刑者が出ている状況で職員配置もしますから,そこに面会の取扱いをやめても,職員はそれほど減らないです。だから,土曜日,日曜日は,極端な話として受刑者はもう出さない,部屋の中から出さないということで少ない職員配置をもって運営できているので,もし月曜日を面会をしない日にするのだったら,もう作業も全部,刑務所は休みという運用が必要になると思いますし,例えば東京拘置所にもかなり受刑者がいるのですけれども,そうなると,月曜日に面会所を閉めてしまうと困るのは弁護士の先生方だと思いますので,多分それもできないのではないかというふうに個人的には思っておりますけれども。
○曾野委員 素人の考えですけれど,定年で刑務官をおやめになって,もう昨日まで刑務官でいらした方がいらっしゃるわけです。そういう方は大体どういうことをなさるのですか。つまりもう完全に慣れていらっしゃるわけです。そういう方を,OBを面会のときだけ使うなどということはできないのですか。
○南会長 OBの再就職というのですか,そういう問題ですね。
○澤田保安課長 刑務官の再就職は,制度的には何もございませんで,一般の他省庁にあるような天下りといった話も全くございません。それぞれで何らかの道を切り開いていくか,あるいは最近は再任用制度というのができておりまして,60が定年ではございますが,希望する人で,それで選ばれれば,だんだん延びてくるのですけれども,今は1年間に限って,もう1年勤務をさせてもらえると。ただ,現職のときよりは,お給料が大分下がるのですけれど。そういうものがありますので,それを希望される人もかなり出てきておりまして,ほかの省庁に比べて再任用制度が活発に活用されているのは刑務官で,やはり再就職が余りシステム的にありませんので,そういうことにはなっているかと思います。
 あと,矯正のOBの方を採用するという制度も全くなくはないのですが,最近の民間委託の制度は,どちらかといいますと,そういう個別の人をピックアップする制度ではなくて,派遣業のようなところに競争させて,そこと契約して民間委託しなさいということでございますので,だから,そこの中に矯正OBが派遣業者のようなところに入っていかないと,なかなか難しいということもございます。
○曾野委員 そうすると,62歳からの方は,1年なさって62になられるわけですが,そうすると,次もやはり同じです。つい昨日かおとといまで,慣れていらっしゃるわけです。そういう方たちが,お給料はだんだん下がるかもしれませんけれど,例えば土日の面会のときに使うような,そういうことというのはできそうに思いますけれども。
 これから世の中は刑務官だけでなくて,いかに健康なOBを,60代を適材適所で使うかということに,私は日本の未来はかかっていると思うのでございます。今,私は日本財団というところで働いているのでございますけれど,その面をどう開拓していくかということだろうと思うのです。ですから,土日の問題なども,それは全面的に経済的なことがそれによって解決するとは思いませんけれども,ある程度は可能ではないかというふうに外部からは見えるのです。
○澤田保安課長 そういう刑務官のOBのような人を広く数多く活用できる制度があればいいなという意見は,部内にはあることはありますが,なかなか現実にはそれほど認めていただけないというのが現実でございまして,先ほど申し上げました再任用制度というのも,あれは定員が増える制度ではなくて,その人が1年残ることによって新しく人を採用できないという制度で,現職のポストを食って自分が1年なり2年なり残らなければいけないという制度ですので,そういうジレンマもございまして。今のところはそれほど大量に刑務官のOBを雇い上げるという仕組みはできてはおりません。
○南会長 今の曾野先生のはなかなかいいアイディアだと私は思うのですが,何か特別そのような組織もないわけだし,再就職のためのそういう組織もないわけで,個人個人でなさっているわけでしょう,見つけてきてと。どういうところが大体多いのですか。分かりませんか。
○青山補佐官 ほとんど役所の関係の再就職はないと思います。
○澤田保安課長 名誉的なものであれば,選ばれて保護司さんあたりになって,犯罪者処遇に関する仕事に,これは経済的な助けにはほとんどなりませんけれども,そういう仕事をという方はおられます。これは全部がそうなるわけにはいきませんけれど。あるいは更生保護施設,施設内処遇を長く刑務官は経験していますので,更生保護施設の補導の,主幹までいかなくても,そういうところで面倒を見る仕事に就く人もおられます。
○南会長 ひとつそういうことも含めて,よろしく御検討ください。
 それでは,どうもありがとうございました。
 ほかに何か御意見はございませんか。
 当分科会が検討してまいりましたテーマについては,おおむね御意見を伺うことができたようでございます。本日は,この程度にさせていただきたいと思います。
 まず,不服申立制度及び外部交通の在り方につきましては,私の方で本日の御議論を踏まえまして,当分科会の議論の整理を作成しまして,12月8日に開催予定の第8回全体会議において報告をさせていただきたいと考えております。
 また,その際,視察委員会,内部監査,情報公開等に関する本日の議論についても報告をさせていただきたいと思っております。
 第8回全体会議におきまして,当分科会の議論の整理を報告いたしました際,他の委員から御意見が出れば,引き続いて分科会を開催して,議論の仕上げをし,当分科会としての検討を終えることにしたいと思っております。
 それでは,次回の全体会議は12月8日,午後2時から,法務省20階の第1会議室,そして,必要があれば分科会を開きまして,引き続き法務省17階の会計課会議室となっておりますので,どうぞよろしくお願いをいたします。
 本日はこれをもって閉会とさせていただきます。ありがとうございました。


午後3時40分 閉会