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行刑改革会議第3分科会 第3回会議議事概要

1 日時

平成15年9月29日(月)14時から16時40分

2 場所

法務省第1会議室(20階)

3 出席者

(委員等,敬称略)
 (会長)高久史麿(自治医科大学学長)
 (委員)江川紹子(ジャーナリスト),野﨑幸雄(弁護士・元名古屋高等裁判所長官),広瀬道貞(全国朝日放送(株)(テレビ朝日)社長),宮澤弘(元法務大臣)(委員・50音順)

4 議題

(1) 被収容者の死亡時の対応について(矯正局説明)
(2) 議論 医療体制の在り方
(3) その他

5 会議経過

(1) 事務局から配布資料(別紙1【PDF】,別紙2【PDF】及び別紙3【PDF】)について説明があった後,矯正局保安課長澤田健一から,別紙4【PDF】に基づき被収容者の死亡時の対応について説明がなされた。主な質疑応答は以下のとおり。
・ 常態的に部長に検死を代行させているのは法令違反ではないか。
(回答:常にということであれば,不適切な運用であると言わざるを得ない。)
・ 代行検死の常態化は改善されたか。
(回答:今後新たに通達を発出する予定であるが,本年7月に,検死はやむを得ない事情がない限り所長が行うよう指示を出しており,改善されていると考えている。)
・ 代行した場合の理由を書面に残すようにしているか。
(回答:新たに発出する通達では,代行することになったやむを得ない理由を記録することとしている。)
・ やむを得ない事情とはどのようなことを指すのか。世間の常識と施設の常識とにずれがあると感じないか。
(回答:所長が在所していないなど,通達中にやむを得ない事情を例示する予定であり,それほどずれが生じないのではないかと考えている。)
・ 死亡帳は上部機関に送られるのか。
(回答:死亡帳そのものは施設で保管するが,上部機関には別途報告がされる。)
・ 年間にどのくらい施設で死んでいるのか。
(回答:府中刑務所では,10年間に93人死んでいる。)
・ 法医学者が全件検死するとすれば,現行法で可能なのか。また,それに対する見解は。
(回答:司法検死については検察官の判断なので,当局としてはなんとも言いかねる。)

(2) 医療体制の在り方に関する各論点について議論を行った。主な発言は以下のとおり。
ア 被収容者の死因確定手続
・ 刑務所での死亡を全件司法解剖するのは実際には無理ではないか。地方では今でも司法解剖がなかなかできないところがある。
・ 司法解剖を増やすよりも,死亡者についての記録の整備の方が重要ではないか。
・ 死亡の場合にどれだけ外の目を触れさせるか。「変死」の範囲が大切である。絞り込みすぎるのは問題である。「変死」の基準をはっきりさせなければならない。
・ 病死の場合であっても治療が適切であったかどうかが問題になることもある。第三者の目が触れる機会を増やすにはどうするべきか。
・ 全件解剖は無理でも,全件通報はできるのではないか。
・ 検察官は法務省の一部なので,身内でかばっていると思われる。別組織の警察に通報したほうがいいのでないか。
・ 自然死を検察官や警察に送っても,調べるとは思えない。
・ 自然死かどうかを検察官や警察に判断させることはできないか。件数的に可能ではないか。
・ 現実的には,通報する変死の範囲を広げることが妥当ではないか。
・ 何か隠しているのではないかという不信感から様々な議論がなされているので,外から見て分かりやすい形式作りも大切ではないか。
イ 医師の確保について
・ 兼業の容認,平均レベルの医療機器の整備は必要である。
・ 厚生労働省への移管は検討課題だと思うが,移管すればよいという簡単な問題ではなく,やるのであれば様々な観点から考え,必ずうまくいくようにしなければならない。
・ 刑務所に来ると技術が落ちるというのが問題である。
・ ドクタープールは将来の課題ではないか。
・ ドクタープールは,厚生労働省に移管しなくても,人事交流でもできるのではないか。
・ 医師を集めるために医療機器を充実させるというのは本末転倒である。医療機器の充実は医療水準の問題である。
・ 刑務所で技術を上げようというのがそもそも無理で,技術は研修日を利用して上げればよい。
・ 医師の技術も大切だが,看護師のスキルアップも重要である。全体として医療を行いやすい環境を整備することが大切である。
・ カルテを開示するとなると,今まで以上にしっかりカルテを書かなければならない。そうすると,診察できる人数が減る恐れがある。
・ 医療関係職員を大幅に増やさなければならない。
・ 准看護師や薬剤師は,定員を増やせばいいのではないか。
・ 医師の増員とその他の医療関係職員の増員は,性格が異なる。
・ 刑務所に医師を呼べる客観的な環境を作りたい。
・ 複数の医師がいる施設では,1人は精神科にすべきである。
・ 医師の数は増えているが,科目に偏りが出てきている。また,大都市に集中する傾向がある。
ウ 保安からの独立性確保,透明性確保
・ 診察に関して医師が独立して判断をするというのは当然だが,完全な分離は無理だろう。
・ 記録はしっかり取り,カルテを原則として開示するということはできるか。
・ 厚生労働省の基準に準じてやるべきではないか。
・ 開示の基準,審査機関についてどうするか。
・ 苦情の申立機関をどこに作るか。医師会に持っていくのはよくない。
・ 第2分科会で検討している苦情処理の第三者機関に医療部門を作ればいいのではないか。いずれにしても,医療のチェック機関を作る必要がある。
エ 健康保険
・ レセプトの審査は過剰診療のチェックのためにするので,健康保険の適用と医療水準の確保は結びつかない。
オ 薬物中毒者等への対応
・ 覚せい剤中毒者等については,専門の施設で厳しい対応をする必要があるのではないか。懲罰的に独居に入れておくのは意味がない。
・ 薬物既往歴のある者はとても多い。医療刑務所で全部対応できるか。
・ 人格障害の者をどう処遇するか。これから増えてくると思われるので,対策を考えなければならない。
・ 人格障害の治療方法はなく,対応が難しい。
・ 薬物中毒者には,身体的な治療とカウンセリングを組み合わせた処遇を行うセンターが必要ではないか。
・ 覚せい剤は,やめた後も後遺症が長く残る。人格障害との区別はとても難しい。人格障害と薬物中毒者を区別して処遇するべきかどうか。
・ 薬物中毒者に対して,医療刑務所か保護房かという現状は選択肢が少なすぎる。
・ 医療刑務所に中毒センターを併設すべきである。
・ 薬物の後遺症はとても長く続く。出所後の治療との連携はとても大切。出所後もダルクの力を借りるなどしてカウンセリングを継続することはできないか。
カ 医療費の一部負担について
・ 金のある受刑者に自費で高度な医療を付与するとの意味での自費治療は相当でない。
・ 詐病の防止には効果的だが,金のない被収容者が医療を受けられない事態が考えられ,必要な医療は国が行うという原則がある以上,治療費を一部自己負担させるということは難しいのではないか。
キ その他
・ 作業時間の短縮による空き時間に医療を行うということにすれば,作業嫌いからくる詐病は減るのではないか。
・ 刑務所医療は特殊なので,医師の教育を更に充実させるべきである。
・ 歯科の充実についても盛りこむべきである。

6 今後の日程等

・ 次回は,10月6日(月曜日)午後2時開催。
・ 次回は,職員の採用,異動,昇進,待遇といった人事制度,PFI等について議論を行う予定。
(文責行刑改革会議事務局)
-速報のため,事後修正の可能性あり-

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