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行刑改革会議第4回会議議事概要

1 日時

平成15年7月14日(月)14時から17時05分

2 場所

法務省第1会議室(20階)

3 出席者

(委員等,敬称略)
 (相談役)後藤田正晴(元副総理),(座長代理)成田豊((株)電通会長)
(委員)井嶋一友(弁護士・元最高裁判所判事),江川紹子(ジャーナリスト),大平光代(弁護士),菊田幸一(明治大学法学部教授),久保井一匡(弁護士・前日本弁護士連合会会長),瀬川晃(同志社大学法学部長),高久史麿(自治医科大学学長),滝鼻卓雄((株)読売新聞東京本社取締役副社長・編集主幹),野﨑幸雄(弁護士・元名古屋高等裁判所長官),南博方(一橋大学名誉教授),宮澤浩一(慶応義塾大学名誉教授)(委員・50音順)
(法務省)
森山眞弓法務大臣,増田敏男法務副大臣,中野清法務大臣政務官
(事務局)
但木敬一事務局長,倉吉敬事務局長代理,杉山治樹事務局次長

4 議題

(1) 行刑施設における医療について(法務省矯正局の説明)
(2) 革手錠の代替品等について(法務省矯正局の説明)
(3) 行刑の基本的な理念・ビジョン及び論点整理について
(4) その他

5 会議経過

(1) 矯正局大橋秀夫医療分類課長から,行刑施設における医療について,別紙1【PDF】のとおり説明がなされた。主な質疑応答は以下のとおり。
・ 高価な治療等について,国民感情から考えて限界があるという説明はいかがなものか。
(回答:国民感情を考慮に入れるべきかを検討すべきという趣旨であって,これを理由に治療を制限するという趣旨ではない。必要な医療については現在も行っている。)
・ 医師が少ないように思うが,どのくらい必要だと考えているか。
(回答:少なくとも一つの施設に医師が一人いるかどうかが重要だと思う。)
・ カウンセリング等,外部の方と提携を進めることについて,医療の立場からどう思うか。
(回答:少年院で民間人にカウンセリングを依頼している例があり,行刑施設でも可能だと思う。)
・ 病院移送の際に,刑務官が受刑者を連行しているとのことだが,これまで逃走事故はあったか。
(回答:逃走事故が起きないように留意しているが,過去に数件起きている。)
・ 病院移送の際に,刑務官3人がかりで受刑者を連行する必要があることで,病院移送を抑えようという感じにはならないか。
(回答:人員を配置するために時間がかかる場合があるが,必要な措置は講じている。)
・ 過疎地の刑務所等に医師が来やすいように,余計に謝金を出すなどしているか。
(回答:現在の制度ではできないのでやっていない。)
・ 医務部門を厚生労働省へ移管すべきではないか。
(回答:移管すれば医師の確保等の問題が解決できるかは不明であり,検討課題であると考えている。)
・ 診療すべき事案を見逃さないようにするため,医務部門を保安部門から独立させる必要があるのではないか。
(回答:医務部門をどういう形で置くとしても,最初にケースを見つけるのは保安部門の刑務官であり,御指摘の点は医務部門が保安部門から独立しているかとは関係ないと思われる。)
・ 矯正医療センターは,八王子等の医療刑務所を拡大したものを考えているのか。
(回答:場所はともかく,医療刑務所を中心に,医療少年院を合築していくという構想である。)

(2) 矯正局小林信紀警備企画官から,革手錠の代替品等について,別紙2【PDF】のとおり説明がなされた。また,関連して,保護房に収容された者が自殺を企図して壁に頭を打ち付けるなどの行為を撮影したビデオが放映された。主な質疑応答は以下のとおり。
・ 上記ビデオを見ると,医師が対応すべきではないかと思うが,なぜしなかったのか。
(回答:上記ビデオには,拘置所の状況を撮影したものもあり,拘置所に収容されている未決囚については医療刑務所に移送できず,また,常勤の精神科医がいない場合もあるので,即座に対応できなかったものと思う。)
・ 上記ビデオを見ると,普通に処遇できないような人を別に処遇する必要があるのではないか。
(回答:現在,精神科専門の施設のベット数は限られている。余裕があれば,精神病質の人を集めることも可能であろうが,困難な処遇を迫られることになると思われる。)

(3) 行刑の基本的な理念及び取り上げるべき論点に関して,委員から寄せられた意見を整理した結果について,別紙3【PDF】のとおり事務局より説明した。
 その後,行刑の基本的理念及び取り上げるべき論点について,議論が行われ,成田座長代理より別紙4【PDF】のとおり,井嶋委員より別紙5【PDF】のとおり,江川委員より別紙6【PDF】のとおり,菊田委員より別紙7【PDF】のとおり,久保井委員より別紙8【PDF】のとおり,滝鼻委員より別紙9【PDF】のとおり,野﨑委員より別紙10【PDF】のとおり,南委員より別紙11【PDF】のとおり,それぞれ意見が述べられたほか,その他の委員より以下のとおり意見が述べられた。
・ 応報より贖罪という発想を取り入れるべきであり,自由を剥奪するということについては純化して考えるべきである。
・ 受刑者は,罪の償いをするために刑務所にいるという大前提があり,これを棚に上げて考えることには危惧を覚える。
 情報を公開することが重要である。
 処遇に当たっては,一般の受刑者と,外国人,薬物受刑者を分けるべきである。
・ 犯罪者の社会復帰の名の下に人権侵害が起こり得ることに留意すべきである。
 行刑は,社会内処遇(保護観察)との連携を図りながらやっていく必要がある。
 交通刑務所のように,薬物中毒者に特化した刑務所や精神医療に特化した刑務所を作るべきである。
 受刑者の処遇について,被害者の視点を入れるべきである。
・ 外国人受刑者については,本来なら本国に送還され,本国で刑を受けるべきである。
 大都市を除き,医師が不足している現状にあり,厚生労働省に移管したからといって医師が確保できるわけではないと思う。
・ 国際的な批判を受けることのない行刑を目指すべきである。
 女子受刑者固有の問題も検討すべきである。

(4) その他
 上記別紙3記載の論点について,次回以降,3つの分科会に分けて議論を深めることとなった。分科会については,第一分科会(処遇の在り方等),第二分科会(透明性の確保等),第三分科会(医療・職務体制等)を設置すること,分科会の公開については,議事録(顕名)及び議事概要によることとし,リアルタイム公開は行わないことに,それぞれ決定され,そのメンバー構成については,各委員の希望等を考慮した上で座長及び座長代理に一任とされた。
 なお,分科会に特別委嘱委員を置くべきとの意見が述べられたが,専門的知識が必要な場合には,各分科会において,ヒアリング等を適宜実施することとされた。

6 今後の日程等

・ 次回は,9月8日(月曜日)午後2時開催。
・ 次回は,アンケートの結果報告等を行い,引き続き分科会を開催する予定。
(文責行刑改革会議事務局)
-速報のため、事後修正の可能性あり-

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