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第5回行刑改革会議法務大臣あいさつ

平成15年9月8日
1 本日は,御多忙中のところ,行刑改革会議に御出席いただき,誠にありがとうございます。
 行刑改革会議も,本日で第5回を迎えました。委員の皆様方には,これまでの4回の会議で熱心に御議論をいただいたほか,名古屋刑務所を始めとした各地の刑務所の視察や,受刑者や刑務官のアンケートを実施されるなど,積極的に御審議いただいてまいりましたことに,深く御礼を申し上げます。
 本日は,全体会議の終了後,三つの分科会が開催され,今後,各分科会において,これまでの調査結果等を踏まえながら,いよいよ本格的な御検討に入るとお聞きしております。
 発足の際にお話ししたとおり,行刑の改革に当たっての私自身の思いは,「国民に理解され,支えられる刑務所を作ること」にあり,皆様には,行刑改革のために必要不可欠であるとお考えになられる問題を一切の聖域なしに御議論御提言いただければと思っております。
2 そのような皆様の御検討の一助になればという思いで,先般私が米国の行刑施設を視察して参りました結果について御報告申し上げます。
 私は,8月3日から9日までアメリカ合衆国を訪問し,日米刑事共助条約に署名し,アシュクロフト司法長官と会談したほか,行刑施設等を視察してまいりました。
 今回の訪米では,ワシントンDC郊外にありますPFI手法による男女混合の中警備民営刑務所と,長期受刑者や処遇が困難な受刑者を収容するカリフォルニア州立サクラメント重警備刑務所という二つの異なるタイプの刑務所を視察してまいりました。そのほか,カリフォルニア州青少年・成人矯正庁のロバート・プレスリー長官と会談するとともに,行刑実務に精通した方々からいろいろ説明をうかがいました。
 こうした視察や会談を通じまして,PFI手法による民営刑務所の実情や,精神障害等のために処遇が困難な受刑者に対する米国の取組みなどを知ることができまして,行刑改革を考える上で大変有益であったと思います。
 私が視察した民営刑務所はとても明るい雰囲気で,教育プログラムも充実しており,好印象を受けました。かつて公立刑務所の刑務官として勤務した経験もある民営刑務所のある職員は,「民営刑務所の方が公立刑務所よりも良質のサービスを提供できるし,警備も万全である。」と自信を持って答えておりました。しかし,こうした意見がある一方で,カリフォルニア州の矯正当局では,「民営刑務所は,低コストで,かつ,質の高いサービスを行うことが期待されているが,必ずしも現状の運営には満足していない。」という話もうかがいまして,PFI手法による刑務所運営にもそれなりの問題があり必ずしも万能ではないと感じた次第です。
 また,いずれの刑務所でも,麻薬中毒者や精神障害を有する受刑者の処遇に問題を抱え,また,医療費が多額にのぼる一方で,受刑者に対する医療サービスの水準をどこまでにすべきかということに悩んでおり,米国においても,処遇困難者の問題や刑務所医療の問題が,行刑行政の最大課題の一つであることが分かりました。
3 今回の視察の結果につきましては,報告書をまとめておりますので,視察に随行した林矯正局総務課長から報告させることといたします。