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更生保護のあり方を考える有識者会議(第4回)議事概要

1 日時

平成17年9月27日(火)午後2時から午後5時30分まで

2 場所

法曹会館「富士の間」

3  出席者

(委員等,敬称略)
 (座長)野沢太三(社団法人日中科学技術文化センター会長・前法務大臣),(座長代理)金平輝子(日本更生保護女性連盟会長・元東京都副知事),(委員)清原慶子(三鷹市長),佐藤英彦(前警察庁長官),瀬川晃(同志社大学法学部教授),田中直毅(21世紀政策研究所理事長),堀野紀(弁護士),本江威憙(公証人・元最高検察庁公判部長),桝井成夫(読売新聞東京本社論説委員)(委員・50音順)
(法務省)
 三ツ林隆志法務大臣政務官ほか
(事務局)
 麻生光洋事務局長ほか

4  議題

(1 ) 有識者会議で取り上げるべき検討事項及び今後の進め方について(意見交換)
(2 ) 諸外国の更生保護制度及び更生保護関係法令の立法経緯等について(事務局説明)
(3 ) 更生保護の理念等について(意見交換)

5  会議経過

(1 ) 本会議で取り上げるべき検討事項について,金平座長代理から別紙1【PDF】により,清原委員から別紙2【PDF】により,佐藤委員から別紙3【PDF】により,瀬川委員から別紙4【PDF】により,田中委員から別紙5【PDF】により,野沢座長から別紙6【PDF】により,堀野委員から別紙7【PDF】により,本江委員から別紙8【PDF】により,桝井委員から別紙9【PDF】により,それぞれ意見が述べられたほか,欠席された佐伯委員の意見について,事務局から別紙10【PDF】により説明した。
 その後,委員の意見を整理した結果について,事務局から別紙11【PDF】のとおり説明し,本会議の検討事項については,概ね別紙11のとおりとすることで了解された。
(2 ) 事務局から,更生保護関係法令の立法経緯等について別紙12【PDF】により,諸外国の更生保護制度について別紙13【PDF】及び別紙14【PDF】により説明を行ったところ,以下のような質問がなされた。
・  保護司は日本に独特の制度で,海外には同様の制度はないのか。
(回答 :アジア諸国,特にシンガポールや韓国等では,日本の保護司制度を参考にしている。また,欧米でも,オランダや北欧には類似の制度があり,イギリスやカナダでも,ボランティアが参加する制度がある。)
(3 ) 各委員から,更生保護の理念等について,以下のような意見が述べられた。
・  再犯防止の問題と同時に,立ち直り可能な社会を構築することも大事である。与党のマニフェストでは5つの柱を掲げているが,その一つが「安心・安全な国づくり」であり,更生保護の問題は大きく関与している。更生保護の仕事は,刑事司法の最後の仕上げとして,もっと多くの国民の関心を得る必要があるし,識者のお知恵を拝借し,予算,人員,資源の配分を考えていく必要がある。
・  更生保護の理念は不明確である。地域からはなぜ加害者である犯罪者を助けるのか,被害者を優先すべきではないかという声があるが,その声にどう答えるのか,こうした点も明確にしたい。「安心・安全な国づくり」のため社会防衛は必要だが,社会防衛ばかりを強調すると,ひとりひとりが大切にされる社会から遠のいてしまう。ひとりひとりが大切にされる社会の実現が更生保護の理念だと思う。
・  まず,現在の更生保護の理念が,改善更生と再犯防止の両方を前提としているのか,それともあくまで改善更生を通じた再犯防止なのか,明確にしたい。
・  正面から再犯防止を更生保護の目的として掲げるのは,荷が重すぎるのではないか。ひとりひとりの改善更生を通じた再犯防止と考えていくべきである。
・  更生保護には,社会復帰の支援と再犯防止の両面があると思う。しかし,具体的な運営がどちらに傾くかは時代等によって異なっているのではないか。日本の更生保護は,民間篤志家によって支えられてきた歴史があるため,支援に重点を置いてきたのだろう。また,体制があまりにも脆弱であったことから,支援中心の意識構造になったのではないか。刑務所を仮出獄してきた人を担当するのだから,再犯防止を担わないのはおかしい。また,被害者支援の観点から,加害者を支援していることの説明をするためにも,再犯防止を正面から掲げる必要がある。社会復帰支援と再犯防止の2つを併記し,両面から掲げた立法が必要であり,再犯防止のために24時間体制の整備が必要だといえる。
・  更生保護の目的が社会復帰の支援だとすると,満期釈放者の問題はどうなるのか。
・  仮出獄者については刑務所に入っている者を仮釈放するのだし,保護観察付執行猶予者については刑務所に入れずに執行猶予に付すのだから,当然,再犯は起こり得る。刑務所に入れておくよりも,社会内で処遇した方が更生のためによいという制度設計なのであり,再犯防止は不可能というところに立脚すべきではないか。ただ,どこまでやれば,「更生保護として,再犯防止の手立ては尽くした」と言えるのかという問題はある。
・  満期釈放者による再犯は社会的リスクだと言い切ってしまうのはいかがか。どういう人が再犯するのか等について,きちんと調べる必要がある。
・  更生保護の理念を突き詰めていくと,更生保護のことだけでなく,矯正,教育,福祉,就労など他の部分にも関係してくる。できるだけ広く意見交換をすることが必要だろう。更生保護が再犯防止にどれだけ役に立ってきたかを確認し,再犯率が高いのであれば減らす方策を考え,その上で矯正などにも問題提起してくことも大事である。焦点を狭めにくい現状があるのかなと感じている。
・  そもそも更生保護の「保護」とは何を意味しているのか。また,犯罪者予防更生法の「予防」とは何を意味しているのか。更生保護の目的を明確にするためにも,犯罪者予防更生法の名称を変えてもよいのではないか。
・  現在の更生保護制度は,改善更生に重きがあり,これを変更すべき事情があるのかどうかを検討することになるのだろう。改善更生を通して再犯防止を図る,更生保護の中核は改善更生だと思う。
・  「更生」と「保護」という言葉は,微妙に意味が違う。「更生」という言葉は可塑性を感じさせるが,「保護」というと既に構築されたものという感じがする。可塑性に富んだ少年からある程度出来上がった成人までを対象にすることから,広い概念で設定する必要があったのではないか。24時間体制の整備も,改善更生の観点から推進していく必要がある。
・  更生保護と再犯防止というのは,矛盾せずに考えられるのではないか。すなわち,更生可能性の高低をしっかり見極めるため,対象者の義務を明確にするとともに官に発見義務を課し,義務違反については確実に取消しを行うという仕組みをつくればよいのではないか。
・  現実に保護司が手に余る対象者を抱えている以上,国が前面に出て再犯防止に乗り出さなければならないのではないか。民間の組織は限界にきている。このまま放置すれば崩壊してしまうかもしれない。改善更生できない人を敏感に察知して対応できるような体制をつくらなければいけない。
・  犯罪加害者と犯罪被害者が,同じ地域社会の中で生き続けられるか。大方の市民にとって,リスクのある人について「更生」という言葉では済まされなくなっている。これまでの保護司主体の仕組みで通用するものと,そうでないものがあるので,そうでない部分については,これまでとは違う仕組みを作る必要があるだろう。
・  そもそもこの会議は,重大再犯事件をきっかけにして立ち上がったものであろうが,決して保護観察全体が失敗して始まったわけではない。改善更生の考え方は間違っていない。しかし,長い歴史の中で再犯防止の部分にほころびが生じ,その部分を直す作業が,この会議に与えられた任務だと思う。改善更生を理念に掲げ,再犯防止については,制度設計の中でその関連を入れていけばよい。刑務所でさえ,改善更生が基本理念である。
・  保護観察官や保護司に届く情報が,非常に粗であるという問題についても検討する必要がある。情報が届いていれば,つなぎを強化することによって,結果が違ってくる。
・  再犯防止も重要だが,犯罪被害者にももっと目を向けるべきだ。

6  今後の日程等

次回は,10月27日(木)午後2時から開催し,仮釈放のあり方等について議論する予定。


(文責 更生保護のあり方を考える有識者会議事務局)

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