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更生保護のあり方を考える有識者会議(第14回)議事概要

1 日時

平成18年5月9日(火)午後2時から午後5時30分まで

2 場所

東京高等検察庁第二会議室

3  出席者

(委員等,敬称略)
(座長)野沢太三(社団法人日中科学技術文化センター会長・元法務大臣),(座長代理)金平輝子(日本更生保護女性連盟会長・元東京都副知事),(委員)清原慶子(三鷹市長),佐伯仁志(東京大学法学部教授),佐藤英彦(前警察庁長官),瀬川晃(同志社大学法学部教授),田中直毅(21世紀政策研究所理事長),堀野紀(弁護士),本江威憙(公証人・元最高検察庁公判部長),桝井成夫(読売新聞東京本社論説委員)(委員・50音順)
(法務省)
 池上政幸官房審議官
(事務局)
 麻生光洋事務局長ほか

4  議題

(1) 執行猶予者保護観察制度のあり方について(取りまとめ)
(2) 保護観察における新たな制度(権限)の導入,仮釈放許可基準等について(意見交換(前回の続き))
(3) 最終提言について(意見交換)

5  会議経過

(1) 第12回会議で意見交換を行った執行猶予者保護観察制度のあり方について,前回の意見を踏まえ,改めて野沢座長から取りまとめ(案)が示されたところ,各委員から意見が述べられたため,引き続き検討することとされた。
(2) 保護観察における新たな制度(権限)の導入,往訪受忍義務の概要について,事務局から説明の後,意見交換が行われ,各委員から次のような意見等が述べられた。
・  パブリックコメント等を通じて保護司等の更生保護関係者から寄せられた意見には,保護観察対象者を更生させたいと思っても自宅に入ることができないというものが多数あった。何らかの方策を考えるべきだろう。
・  全ての保護観察対象者に一般的な往訪受忍義務を課し,理由なく拒否し,更生の余地がない場合には仮出獄取消し等の不良措置を取ればよい。
・  一般的な往訪受忍義務に加えて,更に保護観察官の求めに応じて面接場所以外の居室内に立ち入らせることを義務付けることが必要な事案として,どのようなものが考えられるのか。
・  往訪受忍義務の内容や要件を考える際には,保護観察の目的を達成しうるための手段としてどこまで許されるかということと,プライバシーとの調和をどこで図るかという観点が必要である。
・  家族と同居している場合,本人は別としても,他の家族のプライバシーを不必要に侵すことは出来ないだろう。
・  一般的な往訪受忍義務に加えて,更に保護観察官の求めに応じて面接場所以外の居室内に立ち入らせることを義務付けることとした場合,保護観察官自ら再犯を防ぐために立ち入る必要があるということであれば合理的な理由があると思うが,実態把握のために必要があるということでは,詰めるべき課題が多いと思う。
・  全ての保護観察対象者に一般的な往訪受忍義務を課すことについては,委員の合意が得られているように思う。
・  「往訪受忍」という言葉に戸惑いを感じる。今回の改革は,対象者の更生を促す方向での見直しが重要だと思うので,「往訪受諾」という言葉の方が適切だと思う。
(3) 仮釈放許可の基準について,事務局から,点数化などによる詳細で客観的な許可基準を策定することは困難であること,「悔悟の情」及び「更生の意欲」が認められ,保護観察に付すことが本人の改善更生のために相当であると認められるときは,原則として仮釈放を許可し,「再犯のおそれが高いと認められるとき」又は「社会の感情が仮釈放を是認していないと認められるとき」には,例外的に仮釈放を許可しないことと改めることなどについて説明の後,意見交換が行われ,各委員から次のような意見等が述べられた。
・  仮釈放審理の際,今後は「悔悟の情」及び「更生の意欲」を重視することとした場合,現在よりも主観的な要素を重視するとも受け取れるが,国民に対しては,客観性,透明性の要素も必要であり,客観化に向けた努力をすべきだろう。
・  透明性を確保するという方向での議論は検討に値すると思うが,客観化について,点数化が可能だと考えているとすれば不適切だと思う。
・  「社会の感情」について,一体「社会の感情」とは何なのかというあいまいさが残る上,いくら本人が努力しても「社会の感情」が悪いからという理由で仮釈放にできない事案も想定できる。仮釈放は本人の更生意欲等に重きを置くべきであって,「社会の感情」に大きく左右されるべきではないのではないか。
・  刑法第28条に定める「改悛の状」の中にそもそも「社会の感情」が含まれるのかという議論もあるが,一方で,「社会の感情」を基準から削除することについて,国民が是認するのか疑問である。
・  「悔悟の情」や「更生の意欲」等の基準が何を意味するのかが分かるような運用マニュアルを是非作ってほしい。
・  仮釈放の見直しの方向性として,再犯のおそれがなく,更生意欲が強く認められる者については,現在よりも早期に仮釈放することも入れるべきである。
(4) 前回までの議論をもとに,野沢座長から最終提言の骨子(案)について説明の後,意見交換が行われ,各委員から,以下のような意見が述べられた。
・  我々の社会をよくする,立ち直りが可能な社会にする,そのために更生保護が必要なんだということを書く必要がある。
・  保護司適任者の確保が進まないのは,保護司の負担が非常に大きくなってきていることも大きな理由ではないか。この機会に保護司制度の基盤強化を図らなければ保護司制度が崩壊しかねないという危惧を有している。
・  全国各地で刑務所の増設を行っている以上,出所者を保護する更生保護施設が必要である。やはり公的な更生保護施設を建設する必要があるだろう。
・  更生保護はこれまで民間に大きな負担をかけてきたと認識しており,このまま放置することは許されない。有識者会議の責務として,保護観察官の体制整備を図ることの必要性をしっかり打ち出したい。
・  現在の社会情勢等では,通常の増員要求では認められないと思う。まず,更生保護の業務の中で,この部分は民間にアウトソーシングできるということを示す必要があるのではないか。
・  更生保護は,早くからアウトソーシングしすぎたがために歪みが出ているということではないか。再犯を防止してほしいという国民の要請にこたえるためにも,保護観察官の体制強化は不可欠である。
・  小さな政府というが,国民の安全を守ることは最低限のことであり,金を惜しむことではない。
・  地方公共団体との連携強化について,更生保護は国の仕事だと整理されてしまうが,更生保護は社会内処遇であり地域処遇であることから,地方公共団体と密接にかかわる必要がある。現状では,更生保護の情報が地方公共団体にまで届いていないので,この点を改善しなければならないだろう。
・  現在の保護観察所は,県庁所在地に1か所しかなく,地域性があまりにもなさ過ぎるので,支部等の設置が必要である。
・  地方公共団体との連携について,これほどコストのかかる組織はないというのが一般的な認識である。安易に地方公共団体との連携は打ち出さない方がよいのではないか。
・  まず国として何をするのかを議論し,それから地方との連携を議論すべきではないか。

6  今後の日程等

次回は,平成18年5月19日(金)午後2時から開催する予定。


(文責 更生保護のあり方を考える有識者会議事務局)

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