法務省

文字の大きさを変更する

拡大する

標準に戻す

色変更・音声読み上げ・ルビ振りを行うアクセシビリティツールを利用するかたはこちら

トップページ > 審議会等 > 検討会等 > 登記識別情報制度についての研究会 > 登記識別情報制度についての研究会(第3回)議事概要

登記識別情報制度についての研究会(第3回)議事概要

【日   時】: 平成18年10月3日(火)10:00〜12:00
【場   所】: 東京地方検察庁会議室
【出 席 者】: 各委員
【議事の概要】
 1  分科会における検討状況の報告
 分科会に属する委員から,分科会における検討状況(検討継続中)につき報告があった。
 2  本研究会の議論の進め方について
  (1 ) 本研究会における登記識別情報制度の存廃に関する議論と現在停止されているオンライン庁の新規指定の再開との関係について,意見交換が行われた。
主な意見内容は次のとおり。
  ・  現在,新規のオンライン庁の指定が凍結されているが,この研究会での登記識別情報制度の存廃の議論とオンライン庁の指定の再開の可否とは,論理的には別の問題である。内閣及び法務省は,不動産登記法附則第6条が予定している指定を進めていくという法律の施行の義務を負っているのであり,これを止めるのはおかしい。
  ・  登記識別情報制度は廃止すべきと考えているが,そのこととオンライン庁の指定の問題とは別である。今の段階ではオンライン庁の指定を進めつつ,登記識別情報制度を廃止することとした場合には,登記識別情報の使用を制限する取扱い(行政指導)にしてはどうか。
  ・  神奈川県の横須賀・平塚両登記所で行われた「オンライン利用促進プロジェクト」の実証実験では,オンライン申請においては,登記識別情報が使われないことが明らかになった。登記識別情報制度は廃止すべきであると考えており,登記識別情報制度の根本をどうするのかという議論なしに,オンライン庁の指定を進めるのはおかしい。登記識別情報制度についての議論を進めないで,オンライン庁の指定を再開するのには,反対である。
  ・  登記識別情報が使われないから,オンライン庁の指定を凍結するというのはおかしいのではないか。登記識別情報のセキュリティ等でトラブルが多数発生しているので,これを凍結するというのなら分かるが。
  ・  システム上の不具合により本来の機能にトラブルが生じているのであれば,早急にシステムの改修を行う必要があり,この改修がされるまではオンライン庁の指定を凍結するのは分かるが,制度のあり方の方向性が決まるまで指定ができないというのでは問題があるのではないか。
  (2 ) 意見交換の結果,座長から,以下のような取りまとめがされ,各委員から了承された。
  ・  登記識別情報の安全性に関わる部分については分科会で検討することなっているが,この研究会で登記識別情報制度の存廃についての議論の結果が出るまではオンライン庁の指定を止めるべきであるとはいえないというのが多数の委員に共通する意見のようであるので,オンライン庁の指定の再開は,登記識別情報制度の存廃についての議論とは切り離し,登記識別情報の安全性に関する分科会の検討結果を踏まえて,法務省において対応すべき事項であるとして取りまとめをしたい。
 3  登記識別情報制度についての各委員の意見の開陳
 前回に引き続き,各委員から,意見の開陳などが行われた。
 主な意見内容は次のとおり。
  ・  前回述べた一般国民の利便性とシステム面のセキュリティの確保という観点に加え,より具体的にオンライン申請を進めるためにどうすべきかという検討の切り口が必要ではないかと考える。不動産登記事務のうち件数が多い類型を中心に「登記所における本人確認」と「不動産取引における本人確認」を併せたフローを整理して,多少の手直しにより登記識別情報を使ったオンライン化が可能かという検討をしてはどうか。
  ・  先ほど述べたように,登記識別情報制度は失敗だと考えており,廃止すべきである。現行の登記識別情報制度を評価すると,登記所にとっては,極めて有用な仕組みであると評価できる。12桁の英数字であることから,形式的に本人確認を行うことができ,また,偽造や変造という問題は性質上あり得ない。一方,不動産取引当事者の視点からいえば,登記識別情報の有効性を登記所しか知らないという仕組みは問題である。有効性の確認のためには,登記識別情報自体を売主等から教えてもらい,また,印鑑証明書も必要になる。しかし,契約を締結する時に,登記名義人が,取引決済前に登記識別情報と必要書類を渡すことはリスクが大きいため,ほとんど行われず,契約締結時の本人確認手段としては全く機能していない。さらに,この有効性確認が迅速に行われない仕組みとなっており,取引決済時における同時履行機能を果たすこともできない。総合的に評価すれば,登記所側には有用な制度であるが,国民側にはデメリットばかりであり,登記制度の目的である取引の安全の向上にはむしろ障害になる。それでは,登記識別情報制度を廃止した場合の本人確認であるが,現状の仕組みである事前通知制度と資格者代理人による本人確認情報の提供制度を活用すればいいと考えている。
  ・  登記識別情報の問題点は,使い勝手の悪さにあるのではないか。登記識別情報による本人確認を第一次的なものとして制度設計していることが問題であるのだから,全面的な廃止ではなく,全ての本人確認手段を並列的に利用できるような制度にすればいいのではないか。申請人の選択できる手段を残すのも一つの考え方である。不動産登記申請は,一生に一度か二度しか利用しないという話であるが,その場面でも登記済証に代わるものが欲しいという要望も踏まえ,登記識別情報制度を導入した経緯もある。使い勝手という問題は,まだ始まったばかりの制度であるということもあり,熟練していけば解消できるのではないか。登記識別情報制度に廃止すべき致命的な欠陥はないと考える。
  ・  「登記識別情報を提供することができない正当な理由」については,不動産登記事務取扱手続準則で限定されているだけであるので,それを見直して,事前通知あるいは資格者代理人による本人確認情報の提供で対応できる場合を広げることで,その要請に応えることができるであろう。
  ・  神奈川県での実証実験では,オンライン申請を利用しやすい手続は何かということを検討して,それに絞ってオンライン申請をやってみたが,申請人自身から,オンラインを利用して登記手続をして欲しいという要望は一件もなかった。公的個人認証制度が普及していない段階では,登録免許税の優遇措置もない中で,登記の申請のために公的個人認証制度に係る電子証明書を取得してもらうのはなかなか難しい。
  ・  登記識別情報の有効性確認は,取引をする前の段階と取引時に行っている。決済が完了する以前に有効性確認のために登記識別情報を義務者から提出してもらうことはなかなか困難である。また,取引時に有効証明を得たとしても,その後に失効される可能性は否定できないから,失効申出の制限が可能になれば取引がやりやすくなると思う。一般の国民は,安心感がほしいためか,登記識別情報の通知を希望する方がほとんどである。
  ・  登記識別情報は使い勝手が悪いから使い勝手をよくすればいいというが,そもそも使い勝手をよくできる性質のものなのか。
  ・  登記識別情報が契約締結時の本人確認機能や取引決済時の同時履行機能を有していない点が問題だという指摘があったが,不動産登記法上は,登記識別情報は,登記申請の際の本人確認手段として設けられたものであり,契約締結時の本人確認機能や取引決済時の同時履行機能を営ませるものとして位置づけられているものではない。旧不動産登記法のもとで必ず登記済証が発行されていたのと異なり,新不動産登記法では,登記識別情報が通知されない場合を制度的に予定しているのであるから,当然,ビジネスモデルとしても,契約締結時の本人確認,取引決済時の同時履行機能につき,登記識別情報の存在を前提としないビジネスモデルが必要となるはずである。オンライン登記制度研究会の最終報告は平成15年3月に出されているので,当然,新しいビジネスモデルの検討も行われているのではないかと思うが,どうか。
  ・  新不動産登記法のもとでの実務面でのビジネスモデルについては,現在,資格者団体の内部で検討している。
  ・  資格者代理人による本人確認情報の提供という話がよく出てくるが,実際は,登記識別情報を提供しない申請の場合,事前通知が約6割を占めている。

 4  次回の予定
 第4回の研究会は,平成18年10月20日(金)午後1時から開催することとし,これまでの意見を踏まえて論点整理を行うこととされた。

ページトップへ