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ここでは改善策を項目に分けて列挙して記述しているが,このように列挙することにより,どの項目が重要度が高いのかということが分かりづらくなってしまう問題があると考える。 |
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第4の改善策は,第3(登記識別情報の問題点について)で提示された問題点にそれぞれ個々に対応したものであるが,これらの改善策を全て実施したら,登記識別情報がオンラインの利用促進に馴染むのかというのがポイントになると思われる。研究会として,改善策のうち,いくつかのものを実施すればオンラインのシステムとして十分使えるかという検証までして報告書にまとめるのか,それとも,ただ単に個々のものを並べたという形でまとめるのかにより,第5(今後の方向性について)の記述の仕方も変わると思われる。少なくとも,ただ単に個々の問題点について個々の改善策を並べたという形では,第三者が報告書をみたとき,これらの改善策を研究会として推奨しているようにミスリードされるおそれがある。 |
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オンラインの利用が進まないのは,大きく分けて3つの原因がある。(1)公的個人認証の普及の問題,(2)添付書面の電子化の問題,(3)登記識別情報の使い勝手の問題である。この研究会は,(3)の登記識別情報に限って議論する場である。登記識別情報の問題点をクリアしたとしても,それだけでオンライン申請が促進されるのかという問題がある。しかし,現行の登記識別情報に使い勝手が悪い点がある訳であり,それは改善すべきである。その改善策の優先順位であるが,まず,資格者代理人が関与する場合の問題点を改善すべきであり,そうすることにより,当面のオンラインの利用促進には繋がるのではないかと考える。 |
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登記識別情報の有効証明請求手続の簡素化を実現するため,資格者代理人による職務上請求制度の創設を特に要望する。 |
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失効申出を,有効証明請求後一定期間,制限する措置の早期実施のための検討を望む。 |
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登記識別情報の内容については,現行の12桁の英数字よりも登記識別情報の果たそうとする役割をより十全に担い得る手段が現在でもあると思われる。 |
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登記識別情報が12桁の英数字の組合せでなければならないと不動産登記法上規定されているわけではないから,より適切な内容のものに変えていくことも念頭に置きつつ改善を検討することは有用である。 |
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登記識別情報は,オンライン申請を可能とするために登記済証に代えて導入された制度であるから,登記識別情報の改善を検討する上では,申請手続の簡素化に係る改善策を重視すべきである。 |
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改善を行う上では,コストに見合った効果があるかという点についても十分検討すべきである。 |
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そもそもオンライン申請は国策ということで無理矢理導入されたものであるので,オンライン申請自体を止めてしまい,登記済証に戻すべきだ。 |
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90%を超える申請が資格者代理人によって行われているような現状であるが,制度としては本人申請を前提として制度設計をせざるを得ない訳であり,そのような中でオンライン申請を行うためには,登記識別情報を使わざるを得ないのではないのか。そうすると,登記識別情報を前提として制度の改善を考えるしかないと思われる。 |
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本人申請の場合には,現行法上も事前通知と公証人の認証の方法があり,そもそも最初から不通知の選択が可能であるので,登記識別情報は必ずしも必須ではない。 |
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報告書のとりまとめとして,複数の意見を併記することで結構であるが,登記識別情報制度の速やかな廃止を前提とした法改正を行うとともに,その間の当面の改善は必要最小限のものに留めるべきと考える。登記識別情報の制度を存続させることは,登記所窓口の事務量の増大を招き,簡素で効率的な政府を実現するという電子政府構想に逆行するものである。 |
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改善後の登記識別情報制度の方が資格者代理人による本人確認よりもメリットがあるのであれば,改善措置をすればよいであろう。しかし,改善後の登記識別情報制度にメリットがあるという要素はないように考える。 |
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登記識別情報の機能は,申請者側からみれば,書面であれば印鑑証明書,オンラインであれば電子署名,これとあいまって登記識別情報が提供されれば,これをもって本人確認が完結し,迅速な本人確認が可能になる。事前通知であれば,相当程度の期間がかかる。本人確認情報を提供する場合についても迅速な本人確認が可能になるが,この場合,登記識別情報の管理コストと資格者代理人に支払う報酬とを対査することになるのであろう。登記識別情報の通知を希望する者は,きちんと管理することができるから通知を希望しているのであり,通知を希望する者にとっては,簡易迅速・低コストで次の登記申請を可能とするものとして,不動産登記法上,位置づけられている。取引社会において本人確認手段として機能していないという意見があるが,登記識別情報は,もともと不動産登記法上の本人確認手段としての機能を有するものであり,そこまでの役割は担っていないものである。登記識別情報制度を廃止した場合の本人確認制度として,取引決済現場における資格者代理人の本人確認が代替するという意見があるが,そのように機能するのであれば,現行制度下においても,取引決済現場における資格者代理人の厳格な本人確認が行われているはずである。そうであれば,登記識別情報があることが取引決済の支障になるということはないはずである。なお,資格者が代理して登記の申請をした場合において,登記識別情報を提供したものの,当該登記識別情報が失効していることが申請後に判明したときであっても,当該登記の申請を取り下げるまでもなく当該資格者代理人が作成した本人確認情報を補完すればよいことになっている。このように,提供した登記識別情報が失効していたということの一事をもって直ちに当該登記申請が却下されるわけではないのであるから,なおさらである。また,一方で,登記所における本人確認として有効に機能しているという意見もあったが,これは不動産登記法がまさに予定しているものであり,そのような機能を有効に発揮している以上,これを廃止するという法改正を行うための立法事実を見出すのは難しいであろう。 |
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登記識別情報は本人確認のためだけではなく,登記の受理の有効要件を確認するためにも必要である。親族や知り合いのように本人であることが確実であっても,登記の受理要件として立会い時に登記識別情報の有効性確認ができないのであれば,決済取引の支障になる。 |
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金融機関としては,立会い取引の時点で登記に必要なすべての要件が完備し,すべての取引決済を当日に終わらせる必要があり,あとで本人確認情報を補完できるからよいということにはならない。 |
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登記識別情報の存廃については,紙ベースでの安全な管理が大変という問題があるものの,これを廃止すると何が残るかというと,資格者代理人による本人確認と事前通知しかないので,やはりそれだけでは不安である。これまでの議論を無駄にしないためにも,このまま漫然と現状のまま登記識別情報を存続することには反対であるが,費用対効果を考えて,どちらがベターであるか検証すべきではないか。 |
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権利に関する登記の申請に際し,申請人とりわけ登記義務者の本人性及び登記申請意思の確認が適切になされなければ,国民の権利保全に仕える不動産登記制度の使命を達することはできない。その上で,どのような本人確認の仕組みを構築するのかという問題が問われるが,それは,基幹的には,資格者代理人による本人確認制度を中核として構築されるべきであると考える。その理由は,第一に,不動産という重要な財貨に関わる権利の保全には,専門家の関与が一般的に要請されること,第二に,実態として,権利に関する登記申請の圧倒的大部分が資格者代理人の関与により行われていること,そして第三に,資格者代理人が不動産取引の場面における適切な本人確認に努めてきたという実績があることにある。しかし,このように資格者代理人の本人確認制度に重要な位置を与えて本人確認制度を構築すべきということは,それを唯一の手段とする本人確認制度を考えるということは意味しない。むしろ,資格者代理人の本人確認制度を補完する周辺制度が適切に配置されることで,有機的に機能するのではないかと考える。登記官の事前通知,公証人の本人確認認証のいずれも,普遍的な有用性を確保していないことを考慮すると,登記識別情報制度の導入は誤りではなかったものと考える。今般の議論を顧みると,本研究会の多くの委員の真摯な議論などの一方で,登記識別情報の制度が持つ目前の不具合に対する感情的な反発から,将来的な本人確認制度の構築についての明確なビジョンがないまま性急な廃止論が説かれる場面も見られたことは,残念である。 |
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これまでは,登記済証があれば円滑に登記手続に入ることができたが,登記識別情報では,事前に有効性を確認する必要があり,また有効性を確認した後でも失効される不安があることが,取引の現場では問題となっている。この点を考慮して制度改善を検討するべきであり,有効証明請求制度の改善,失効申出制度の改善については,早急に検討すべきである。また,保管管理に際しては適正に行うよう努めていると承知しており,盗み見られるという意味での危険性はさほど重視していない。本人確認の方法は,登記識別情報と司法書士によるダブルチェックがいいと思うので,登記識別情報は必要な改善をした上で残せばいいと考える。 |
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これまでの議論を踏まえると,登記識別情報制度を存続させるのであれば,改善策は必要であろう。しかし,どのような改善策が導入されるのか分からない限り,登記識別情報の存続について評価することはできない。その意味では,現時点では,存廃については,廃止と言わざるを得ない。 |
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登記識別情報制度は,存続させるべきと考える。改善すべきものは改善すべきである。オンライン申請を可能とするために導入された制度であり,オンラインの利用促進という点では,使い勝手のよいものにすべきである。 |
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基本的には存続させるべきと考える。事前通知制度,資格者代理人による本人確認制度及び登記識別情報制度が互いに補完することによって本人確認制度を構築するのが適当である。登記識別情報が12桁の英数字とされていることについては,技術的な革新を踏まえて改善していく必要があり,12桁の英数字自体に固執する必要はないと考える。 |
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登記識別情報の存廃については,現時点では結論は出せない。改善策として列挙しているものを実施すれば,現行の問題点をクリアすることはできるであろう。しかし,どれとどれを改善すれば,オンラインの利用促進の観点から有益なものとなるのか検証すべきである。 |
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登記識別情報制度の現在の問題点を,不動産登記法の改正に立ち入らずにクリアできるか否か検討の余地があると考える。 |
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現在の登記識別情報制度では,通知書に,「パスワード」が印刷されていることが問題であり,技術的に検討することはあると思う。その他の実態としては使い勝手が改善されればよいと考える。 |