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少年矯正を考える有識者会議 第3回議事概要

1 日時:平成22年3月18日(木)午後1時30分から午後5時00分まで

 

2 場所:法務省大会議室

 

3 出席者

(座  長)岩井宜子(専修大学法科大学院副院長・教授)

(座長代理)広田照幸(日本大学文理学部教授)

(委  員)石附 敦(京都光華女子大学大学院人間関係学研究科長・教授)

 影山秀人(弁護士)

 川﨑道子(元中央更生保護審査会委員)

 津富 宏(静岡県立大学国際関係学部准教授)

 徳地昭男(元武蔵野学院長)

 廣瀬健二(立教大学大学院法務研究科教授)

 本田恵子(早稲田大学教育・総合科学学術院教授)

 毛利甚八(作家)

                      (敬称略,委員は五十音順)

 

法務省) 尾﨑道明矯正局長,澤田健一官房審議官(矯正局担当)ほか

 

4 議題 

(1)配布資料説明

(2)意見交換(今後の検討事項等について)

(3)少年院出院者からのヒアリング

(4)少年矯正・保護実務家からのヒアリング

 

5 会議経過

(1)事務局から配布資料について説明を行った。

(2)岩井座長から今後の検討事項の予定について説明がなされ,各委員の了承を得た。

(3)少年院出院者3名からヒアリングを行った。主な質疑応答は,以下のとおりであった(順不同)。

 (問)少年院での生活で役に立ったことは何か。

(答)初めて信頼できる大人(教官)と出会えた。

(答)基本的な生活習慣を身に付けることができた。

  (答)内省の時間で,将来のことを考えられるようになった。

(答)勉強することの楽しさや意義を認識することができた。

 (問)少年院の生活ルールで疑問に思ったことは何か。

  (答)何でも教官の許可を得なければならないことに違和感があり,慣れるまでに時間が掛かった。

  (答)集団室での在院者同士の会話が制限されていたのが厳しいと感じた。

  (答)髪型を自分の好きにできないことがつらかった。

 (問)出院後に苦労した点は何か。

  (答)それまでの交友関係を断絶したことで,孤独に陥った。

(答)不良交友を断ち切ることに苦労した。暴力団からの離脱に苦しんでいる者も多くいる。不良交友の断絶について,もっと支援してほしい。

(答)出院後であっても,孤独なときや悩んでいるとき,少年院の教官に相談にのってほしい。

 (問)法務教官との関係はどのようなものであったか。

  (答)個別担任の教官は,年齢が近かったこともあり,私と近い感覚で接してくれて信頼関係を築けた。

  (答)個別担任の教官は,ちょっとしたことにも気を配ってくれ,初めて大人の人を好きになれた。

  (答)事務的な教官は嫌だった。

(答)上からの目線でものを言ったり,押さえつけるようなやり方の教官は苦手だった。

 (問)職業訓練,教科教育は社会で役に立ったのか。

(答)少年院で取得した資格は,今の仕事では使っていない。土木系だけでなく,もっと幅広い職業訓練の機会を設けてほしい。

(答)少年院で受けた小型建設機械の訓練が,現在の仕事に役立っている。

  (答)教科教育では,勉強の仕方からもっと指導してほしい。

 (問)少年院で無意味と思ったことはあるか。

  (答)無意味と思う人には,すべてが無意味に感じられると思う。自分の場合,厳しい体育などがつらかったが,やり遂げたことで自信につながった。今,仕事がつらくても,その経験に比べたら耐えることができる。

(4)次に,近藤日出夫千葉少年鑑別所長から,少年鑑別所から見た非行少年の質的変化について,東京都在住の保護司(女性1名)から,保護司としての経験から見た最近の非行少年を取り巻く環境等について,ヒアリングを行った。主な意見として,「虐待被害への着目,発達障害への理解の深まりにより,非行の見え方が変化している」,「不適応感が内面に蓄積する『内在化タイプ』が増えている」,「携帯電話の普及により,親が子どもの行動をチェックできない。少年たちの交友範囲も広がっている」,「母子家庭が増え,母親が引受人となるケースが増えている」等が挙げられた。

   主な質疑応答は,以下のとおりであった(順不同)。

 (問)保護司として生活環境調整を進めるポイントは何か。

  (答)例えば交友関係や暴力の問題など,それぞれの少年の非行原因を踏まえ,改善のための見立てを考えるようにしている。

(問)少年院の処遇と保護観察とのつながりについてどう考えるか。

  (答)保護司としては,担当の少年が少年院でどのような教育を受けてきたのか等について,より詳しい情報がいただければありがたい。

 (問)被虐待経験や発達障害のある少年は,特定の施設に集めて処遇すべきか。

  (答)対人スキルを身に付けさせ,様々な人との人間関係を構築させることが大切なので,教官による個別的な配慮を前提に,一般少年院で集団生活を送れるようにすることも目標の一つになると考えている。

 (問)少年鑑別所で実施される心理テストは少年にフィードバックされるのか。

  (答)必要に応じて,適宜な方法でフィードバックしている。

 

6 今後の日程

次回は,4月21日(水)開催予定とし,少年院における矯正教育及び処遇体制の在り方について議論することとされた。

 

                                         ―速報のため,事後修正の可能性あり―  

(文責 事務局)