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文書提出命令制度小委員会(第2回)議事要旨

平成9年3月7日
担当:法務省民事局

1 日時   平成9年3月7日(金)13:30~14:50
2 場所   法務省第1会議室
3 議題   研究会成果の中間報告について
4 会議経過
 (1)  事務当局から,文書提出命令制度研究会(第1回から第3回まで)における検討の状況及び本年7月までの同研究会の予定について説明がされた後,意見交換がされたが,その内容は,おおむね次のとおりであった。
   ・  小委員会と研究会との役割分担については前回の小委員会で議論された点であるが,実質審議は小委員会で行う予定であり,研究会はそのための準備として基礎資料の収集をすることを主な目的とするものである。小委員会と研究会という重層構造にはなるが,この問題の性質に鑑みると,民事訴訟法の専門家だけでなく,国民各界の意見を聞いて,幅広い見地から検討するのが適当であると考えられるし,昨年の国会審議や参議院法務委員会の附帯決議においても,その旨の指摘がされたところであるから,このような立法府からの要請に応えるためにも,民事訴訟法の専門家以外の学識経験者の参加を得て研究会を組織するとともに,この研究会で関係各方面からのヒアリング等を行うこととしたものである。
   ・  研究会におけるヒアリング先として経済団体,労働団体,消費者団体及びマスコミ団体を予定しているという説明であったが,これらの団体は,文書提出命令の発令を求める側の人々の意見を代表する立場にあるということができるのではないか。文書の提出を命じられる側,すなわち行政庁側の意見を聞くことも有益と考えるが,いかがか。
   ・  行政庁に対する意見照会が有益であることは理解することができるが,意見照会をする場合には,具体的な制度の在り方をある程度まとめた上で,それを示して意見を聞く必要があるのではないか。民事訴訟法は法務省の所管法律であるから,具体的な案を提示しないで意見を聞いても,他の省庁としては答えようがないと思われる。したがって,行政庁に対する意見照会の時期,方法等については,今後,実質審議を進めていく中で,改めて検討することとしてはどうか。
   ・  文書提出命令を利用する側の人々からヒアリングを行った場合には,できるだけ提出命令の対象となる行政文書の範囲を拡大すべきであるという意見が出されることが予想される。しかし,文書の提出を求められる側の人々から見て,どの程度までであれば許容範囲であるかについても,十分に意見を聞いておく必要があろう。法制審議会の審議の在り方については,先般の民事訴訟法改正の際に,世論の動向に対する認識が不十分である等の批判がされたところであり,再び同じような批判を受けないためにも,ヒアリングの対象者を選定するに当たっては,様々な立場の意見を吸い上げることができるように配慮する必要があろう。
   ・  ヒアリングの対象者を選定する方法としては,様々な利益代表的な団体に推薦依頼をすることを考えている。しかし,その際に団体としての公式見解の表明を要請すると,見解の取りまとめに長期間を要するとか,適任者がいない等の理由で推薦を辞退され,ヒアリングの対象者の選定に行き詰まってしまう可能性が高い。したがって,推薦団体の公式見解をヒアリングすることは難しい思われるが,それぞれの立場を反映した意見を聞くことは,十分にできると考えている。
   ・  民事訴訟法改正の際には弁護士会を中心に修正運動が起きたが,これは,理論的な問題意識から起きたものというよりは,むしろ実務上の問題意識から起きたものということができる。ヒアリングを実施するに当たっては,いわゆる消費者訴訟等において,実際に行政文書の提出命令手続を経験したことがある者に,その体験談を語ってもらうことも,役に立つのではないか。
   ・  情報公開法要綱案と文書提出命令制度との関係について,いくつか指摘をしておきたい。まず,情報公開法は,広く何人にも目的の如何を問わずに開示請求権を与えるものであるのに対し,文書提出命令は,裁判という公益実現(真実発見)のために特別に提出を求めるものであるから,後者の対象は前者の対象よりも広くなければならないと考える。また,情報公開法要綱案は開示を原則とし,例外的に不開示とする情報を具体的に列挙しているが,この構造は,原則として提出義務を認め,例外的に提出を拒絶することができるものとする新民事訴訟法の一般義務規定と同じであるから,情報公開法の不開示情報の規定振りを踏まえて,文書提出命令の提出拒絶事由をどのように規定するかを検討する必要があると思われる。裁判所の判断権について,情報公開法要綱案は,基本的に不開示情報に該当するかどうかの実質的な判断権を裁判所に与えつつ,国の安全情報等についてのみ,他の不開示情報と異なる規定の仕方を採用しているから,文書提出義務の存否の判断権についても,これらを踏まえた検討が必要になろう。インカメラ審理については,情報公開法要綱案が,すべての文書を不服審査会によるインカメラ審理の対象とし,インカメラ審理を行うかどうかの判断を不服審査会に委ねている点も参考になると思われる。
 (2)  小委員会における審議の経過を広く国民に開示するため,委員の氏名及び議事要旨を公表するものとすることが了承された。