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要綱骨子事務局試案

担当:法務省刑事局

 参考(これまでに少年法部会で提示された要綱骨子事務局試案を以下に掲げる。)

要綱骨子事務局試案

第1  裁定合議制度の導入
 1  家庭裁判所は,少年法による審判又は裁判を行うときは,2の場合を除いて,1人の裁判官でその事件を取り扱うものとすること。
 2  次の事件は,裁判官の合議体でこれを取り扱うものとすること。ただし,審判の終局裁判並びに法廷ですべき審理及び裁判を除いて,その他の事項につき他の法律に特別の定めがあるときは,その定めに従うものとすること。
  (1)  合議体で取り扱う旨の決定を合議体でした事件
  (2)  その他他の法律において合議体で取り扱うべきものと定められた事件
 3  2の合議体の裁判官の員数は,3人とし,そのうち1人を裁判長とするものとすること。
 
第2  検察官及び弁護士たる付添人が関与した審理の導入
 1  検察官の関与
  (1)  家庭裁判所は,第3条第1項第1号に掲げる少年に係る死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪の保護事件において,その非行事実(当該犯罪に密接に関連する重要な事実を含む。以下同じ。)を認定するための審判の手続に検察官が関与する必要があると認めるときは,決定をもって,審判に検察官を出席させることができるものとすること。
  (2)  家庭裁判所は,(1)の保護事件において,その罪が被害者の死亡の結果を含む場合で,検察官の申出があるときは,明らかにその必要がないと認める場合を除き,(1)の決定をするものとすること。
  (3)  家庭裁判所は,(1)の決定をするには,検察官の申出があった場合を除き,あらかじめ,検察官の意見を聴くものとすること。
  (4)  (1)の決定があった事件において,検察官は,その非行事実の認定に資するため必要な限度において,最高裁判所規則の定めるところにより,事件の記録・証拠物を閲覧・謄写し,審判の手続に立ち会い,少年,証人その他の関係人に発問し,及び意見を述べることができるものとすること。
 2  弁護士たる付添人の関与
  (1)  検察官が審判の手続に関与する事件において,少年に弁護士である付添人がないときは,家庭裁判所は,職権で弁護士である付添人を付さなければならないものとすること。
  (2)  (1)により家庭裁判所が付すべき付添人は,最高裁判所規則の定めるところにより,選任するものとすること。
  (3)  (2)により選任された付添人は,旅費,日当,宿泊料及び報酬を請求することができるものとすること。
  (4)  家庭裁判所が(2)により選任された付添人に支給する旅費,日当,宿泊料及び報酬の額については,刑事訴訟法第38条第2項の規定により弁護人に支給すべき旅費,日当,宿泊料及び報酬の例によるものとすること。
  (5)  家庭裁判所は,少年又はこれを扶養する義務がある者から(2)により選任された付添人に支給した旅費,日当,宿泊料及び報酬の全部又は一部を徴収することができるものとすること。
  (6)  (2)により選任された付添人については,第45条第6号の規定の適用がないものとすること。
 
第3  観護措置期間の延長
 1  観護措置期間の延長
  (1)  第3条第1項第1号に掲げる少年に係る死刑,懲役又は禁錮に当たる罪の保護事件で非行事実の認定に関し証人尋問,鑑定又は検証をする旨の決定のあったものについて,少年を収容しなければ審判に著しい支障が生じるおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合には,第17条第1項第2号の措置による収容の期間の更新は,5回を限度として,行うことができるものとすること。
  (2)  第17条第1項第2号の措置による収容の期間は,通じて12週間を超えることはできないものとすること。ただし,その収容の期間が通じて4週間を超える場合においては,(1)の事由がなければならないものとすること。
 2  不服申立て
  (1)  少年,その法定代理人又は付添人は,第17条第1項第2号の措置をとる決定及びその期間を更新する決定に対して,異議の申立てをすることができるものとすること。ただし,付添人は,選任者である保護者の明示した意思に反して,異議の申立てをすることはできないものとすること。
  (2)  (1)の異議の申立ては,審判に付すべき事由がないことを理由としてすることはできないものとすること。
  (3)  (1)の異議の申立てを受けた家庭裁判所は,合議体で決定をしなければならないものとすること。この場合において,その決定には,原決定に関与した裁判官は,関与することはできないものとすること。
  (4)  現行の第33条から第35条までの規定は,(1)の異議の申立てがあった場合について準用するものとすること。この場合において,第33条第2項中「取り消して,事件を原裁判所に差し戻し,又は他の家庭裁判所に移送しなければならない」とあるのは「取り消し,必要があるときは,更に裁判をしなければならない」と,第35条中「2週間」とあるのは「5日」と,それぞれ読み替えるものとすること。
 
第4  検察官に対する事実認定及び法令の適用に関する抗告権の付与
 1  検察官は,検察官が審判の手続に関与した事件に係る保護処分に付さない決定又は保護処分の決定に対し,当該事件の非行事実の認定に関し,決定に影響を及ぼす法令の違反又は重大な事実の誤認があることを理由とするときに限り,2週間以内に,抗告をすることができるものとすること。
 2  抗告裁判所は,抗告の趣意に含まれている事項に限り,調査をするものとすること。
 3  抗告裁判所は,抗告の趣意に含まれていない事項であっても,抗告の事由に関しては,職権で調査をすることができるものとすること。
 4  抗告裁判所は,決定をするについて必要があるときは,事実の取調べをすることができるものとすること。
 5  4の取調べは,合議体の構成員にさせ,又は家庭裁判所の裁判官に嘱託することができるものとすること。
 6  検察官から抗告がされた場合において少年に弁護士である付添人がないときは,抗告裁判所は,職権で弁護士である付添人を付さなければならないものとすること。
 7  2から6までに定めるもののほか,抗告審の審理については,その性質に反しない限り,家庭裁判所の審判に関する規定を準用するものとすること。
 8  検察官は,検察官が審判の手続に関与した事件(検察官が抗告審の手続に関与した事件を含む。)に係る抗告裁判所の決定に対し,当該事件の非行事実の認定に関する判断について,憲法に違反し,若しくは憲法の解釈に誤りがあること,又は最高裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例と相反する判断をしたことを理由とする場合に限り,最高裁判所に対し,2週間以内に,特に抗告をすることができるものとすること。
 9  抗告審に関する規定は,最高裁判所に対する抗告がなされた場合に,これを準用するものとすること。この場合において,第33条第2項中「取り消して,事件を原裁判所に差し戻し,又は他の家庭裁判所に移送しなければならない」とあるのは「取り消さなければならない。この場合には,家庭裁判所の決定を取り消して,事件を家庭裁判所へ差し戻し,又は他の家庭裁判所に移送することができる」と読み替えるものとすること。
 
第5  保護処分終了後における救済手続の整備
 1  保護処分が終了した後5年を経過するまでの間においても,第3条第1項各号に掲げる審判に付すべき少年に該当する事由の存在が認められないにもかかわらず保護処分をしたことを認め得る明らかな資料を新たに発見したときは,保護処分をした家庭裁判所は,決定をもって,その保護処分を取り消さなければならないものとすること。
 2  保護処分が終了した後5年を経過するまでの間に,本人又はその法定代理人から,1の資料を新たに発見したことを理由として保護処分の取消しの申立てがされたときは,その期間経過後も,1の決定をすることができるものとすること。
 3  保護処分の取消しの事件の手続は,その性質に反しない限り,保護事件の例によるものとすること。