CPのペーパーレス化に関する研究会(大蔵省と共催)(第4回)議事概要
平成11年9月27日
担当:法務省民事局
担当:法務省民事局
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1 日 時 平成11年9月27日(月) 14:00~16:40 2 場 所 大蔵省会議室 3 議 題 (1)今後の主な検討事項 (2)主要国におけるCPの取扱い (3) ペーパーレス化されたCPの法的論点 4 議事内容 (1) 今後の主な検討事項 ○ 現行CPの商品性を変更すると,社債との仕切り等検討を要する点が多く,時間がかかってしまう。 ○ ペーパーレス化されたCPの導入に伴い,あえて現行のCPを廃止する理由はなく,併存させて市場の判断に委ねればよい。 ○ 証券決済システム全般の改革が金融審議会で議論されることになっているが,ペーパーレス化されたCPの決済のあり方についても,そこでの議論と整合的なものであるべき。 (2) 主要国におけるCPの取扱いについて ○ 米国のCPは,国債以外のその他の有価証券と同様,DTC (Depository Trust Company)の振替決済システムで取り扱われている。資金決済は,他の取引に係る資金の受払いと併せてネッティングされFEDWIREにおけるDTC口座を通じた振替で行われる。 ○ フランスのCPは,国債を含むその他の有価証券と同様,SICOVAMの振替決済システムで取り扱われている。資金決済は,フランス中央銀行に清算銀行が開設する資金口座の専用サブアカウント間における振替により,RTGSベースで行われる。 ○ ドイツのCPは,国債を含むその他の有価証券と同様,DBC(Deutsche Borse Clearing)の振替決済システムで取り扱われている。資金決済は,他の取引に係る資金の受け払いと併せてネッティングされ,ドイツ連銀における清算銀行口座間の振替により行われる。 (3) ペーパーレス化されたCPの法的論点について ○ 大別すれば個々の電子的な記録を権利関係の基礎とするか(電子証券方式),集中的な電子登録債権管理機関における登録を権利関係の基礎とするか(ブック・エントリー方式)という2つの考え方があろう。 ○ 電子証券方式は,一見分かりやすいが,電子署名や二重譲渡に備えた情報の集中等が必要となる。それなら始めから「集中型」のブック・エントリー方式の方が効率的。 ○ 電子証券方式でも,電子認証制度を使えば二度手間にはならない。 ○ ブック・エントリー方式では,多くを新法で厳重に定めることになる。電子証券方式はルーズで,民商法の基本原則を多く借用することになる。 ○ 電子認証の利用が浸透すればともかく,現状ではブック・エントリー方式の方に現実味がある。 ○ 株券を扱う保振と比較して,ペーパーレス化されたCPのブック・エントリーシステムは株主総会のために実質株主を確定する等の共益権の問題がなく,よりシンプル。 ○ ブック・エントリー方式の場合,債権譲渡登記制度での経験から見て,個々の債権を記番号で特定するより,口座間における金額の振替を記録する方が使いやすい。 ○ ブック・エントリー方式において階層構造をとった場合,両ファイル間の不整合等の問題が発生し得る。 ○ 階層構造によるファイルの不整合等の問題には,実例として保振法があり,立法対応可能。 ○ ペーパークライシスへの対応には,階層構造がよいと理解されてきたのではないか。 ○ 現在のCP市場はほとんどインターバンク市場であり,階層構造にしても参加者にぶら下がる顧客がどれくらいいるかは疑問。 ○ 新しいCPのシステムがコストは低くデリバリーは安心となれば,今後もインターバンク取引が主流でありつづけるかは疑問。 ○ 投資家もブック・エントリーシステムに直接参加できる方が便利。 ○ 階層構造をとった場合,純粋な一私人である参加者が作成する帳簿である顧客口座ファイルに強い法的効力を持たせることになるが,それには既に商法上の株主名簿や保振法上の顧客口座簿等の例がある。 ○ 善意取得的な制度を導入するとしても,その他の抗弁全般をどうするのか。必ずしも,券面の存在を前提とする有価証券法理の全てをそのまま採用しなくてもよいのではないか。 ○ 権利救済手続について言えば,例えばアメリカに除権判決に相当するものはなく,ペーパーレス化されたCPについてどう仕組むかは論点となる。 ○ CPの現状をみるに発行体側では期末時点の融資の代替という程度の認識が多い。どれくらい大きなシステムにするか考えるべき。 ○ ペーパーレス化されたCPがいい商品に仕上がれば,市場規模は拡大するはず。 ○ 日銀当預を持たない機関投資家は,どこかの銀行にぶら下がって決済を行わざるを得ず,その場合,資金とモノの決済がバラバラの方が,自由が利いて良い。