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CPのペーパーレス化に関する研究会(大蔵省と共催)(第7回)議事概要

平成11年12月22日
担当:民事局参事官室

日  時 平成11年12月22日(水) 午後3時から午後5時8分まで
場  所 法務省会議室
議  題 CPのペーパーレス化(実体的権利義務関係部分)についての中間論点整理
議事内容
    まず,座長から,前回までの議論の経過が説明された。
    次に,前回の研究会で事務局から報告のあった実体的権利義務関係以外の部分の中間論点整理に関して,前回欠席の実務家委員から意見が述べられた。
    その後,事務局から実体的権利義務関係部分の中間論点整理に関する説明が行われ,引き続いて議論が行われた。
    最後に,平成11年度中に一応の結論を得ることを目標とするため,次回から取りまとめ作業に入ることが確認された。
メンバー等の主な意見
  (1) 実体的権利義務関係以外の部分に関する中間論点整理について
    商品性に関して,(ア)発行者,金額,期間等は基本的には現行CPに準じることでよい,(イ)外貨建てや利付方式を法的に禁止すべきではない,(ウ)税務上はCP一律の扱いにすべきであり,また,源泉徴収はしないものとしていただきたい,等の意見が述べられた。
    証券取引法上の取扱いに関して,(ア)証券取引法上の有価証券であることが極めて重要である,(イ)市場での開示(自主規制)を充実させながら,短期経常取引に即した新たな私募ルールの規定を望む,等の意見が述べられた。
    現行CPも併存させたうえ,ペーパーレス化されたCPへの早期集約がされるのか,すみ分けが行われるのかについて,市場で判断すべきである旨の意見が述べられた。
    発行,流通,償還システムに関して,(ア)効率性(コスト負担の少ないシステムを実現すべき),決済期間・DVP(T+0やでき得る限りのDVPを実現すべき),安全性(コスト面に配慮しつつ極力安全なものとすべき),柔軟性(通信プロトコルやフォーマットの標準化が有効),他の証券決済との関係(運営の効率性,コスト負担減をいかに行うかという観点から議論されるべき)が評価基準となること,(イ)具体的なあり方として,システム構成は専門家に任せたいが,管理機関や決済機関については公共性が高いため,自主運営するにしても何らかの公的な監視が必要であること(過剰な規制は避けるべき),等の意見が述べられた。
    その他,(ア)法律で定める事項と自主ルールで定める事項との峻別に留意すべきであり,法律は安全性確保の必要最低限の要件を定め,市場参加者の自主的運営を尊重する方向性としてもらいたい,(イ)できるだけ早期の実現を望む,等の意見が述べられた。
  (2) 実体的権利義務関係部分に関する中間論点整理について
    何を権利関係の基礎とするかに関して,個々の電子的な記録を基礎とする電子証券方式と,債務者又は集中的な電子債権登録機関における電子登録を基礎とする電子登録方式(ブックエントリー方式)とに分けることができ,後者は,さらに,電子登録をする電子ファイルの管理を債務者が行う債務者型と,中立的な第三者が行う第三者型とに分けることができる旨が事務局から説明された。
    権利の発生や消滅と金銭の移動の結びつきという観点からみると,電子証券方式と債務者型との実質的な違いは小さく,これらと第三者型の違いがむしろ大きいとの意見が述べられた。
    電子証券方式と債務者型とは,帳簿が対抗要件か効力要件なのかという違いであるが,概念構成的な違いではないかとの意見が述べられた。
    電子登録方式(ブックエントリー方式)における権利の移転の場面に関して,譲渡人からの申出に基づく登録を前提とすると,利害関係を有する譲受人の保護の問題を詰める必要があるとの意見が述べられた。
    実体的権利義務関係部分に関する法律の制定に際して,資金の決済に関する規定を法律上に盛り込むのは困難であり,それはマッチング等の法律外の実務上の運用で対処すべきではないかとの意見が述べられた。
    債務者型に関しては,権利の消滅に関してもっとも強い利害関係を有する債務者が電子ファイルを持つことは危険ではないかとの意見が述べられた。
    電子署名をベースに法律を作り,発行者(債務者)と債権者の署名がついているデータ自体を電子ファイルに書き込んでいけば,債務者型においても,債務者が勝手なことをすることはできないのではないかとの意見が述べられた。
    第三者がいた方が,より流通ないしは発行がスムーズにいき,かつ,DVPやT+0の達成が容易にいくのではないかとの感想を持った旨の意見が述べられた。
    金銭の流れを法律で規定するかどうかはともかくとして,これを想定しつつ,より達成しやすい法律環境をどうするのかを考えるべきではないかとの意見が述べられた。
    安全性についての電子署名の役割については,機関の中立性に加えて安全性を高めるものという観点からプラス要素として考えるべきではないかとの意見が述べられた。
    現在は安全であっても,将来の改ざんのおそれを考えると,データを利害関係の強い債務者に保管させることは問題ではないかとの意見が述べられた。
    第三者型が法律としてつくることが可能であることは疑いがないが,それ以外の方法ではペーパーレス化を認められないのかが問題である旨の意見が述べられた。
    債務者型か第三者型かは,制度のつくり方によっては,非常に接近してくるのではないかとの意見が述べられた。
    電子債権は指名債権譲渡の方式では譲渡ができないというルールを定めた場合は,帳簿の記載が効力要件であるという説明がしやすいし,DVPにつながりやすいのではないかとの意見が述べられた。
    証取法上の有価証券として現在も信頼性の高いものを電子的な仕組みでつくろうとしているのであり,信頼性が維持される法的な枠組みとして第三者型のような枠組みがあった方がよいという感じがするし,より簡便な仕組みでも権利の保護が図られて,かつ,投資者の信頼度が増すということであれば,将来においてまた考えるということもあり得るのではないかとの意見が述べられた。
    安全性の点のほか,債権の譲渡の場面において債務者に重い義務を課すこと自体が問題であり,債務者型よりも第三者型の方が望ましいとの意見が述べられた。