社会の皆様への約束とお願い
「最後の砦」。この言葉は私たちの中に根付いています。
警察、検察、裁判所・・・刑事司法手続の最後に私たちはいます。
およそ20年前。犯罪が大きく増え、私たちが働く刑務所や拘置所、少年院、少年鑑別所はパンク状態でした。
でも、私たちが守るんだ。最後にいる者として。
「最後の砦」は、こうした中から生まれました。
「最後の砦」。この言葉に私たちの葛藤が含まれます。
誰もが更生できると信じ、その人と向き合う。
しかし、更生に向けた変化は小さく、社会からも意識されない、答えが見えない毎日。
でも、私たちが守るんだ。最後にいる者だから。
「最後の砦」は、こうした中から生まれます。
私たちは、どこを目指すべきなのだろうか。
犯罪や非行をした人は、あまりに複雑な過去や難しい問題をたくさん抱えた状態で施設に収容されます。
そして私たちは、どのような人も必ず受け入れ、向き合います。社会を守るために。
「罪と向き合い、更生していくためにどうすればいいか」
私たちは、この問いに100年以上、向き合ってきました。
ただ、この問いに向かうとき、「最後の砦」であるために、私たちだけで守ろうと、自ら孤立を深めてはいなかっただろうか。
「罪と向き合い、更生していくためにどうすればいいか」
私たちは、「その人自身が『より良く生きたい』と思うことから始まる」と、これまでの実践から考えます。
脅かされることのない安全な環境が保たれて初めて、自身に目が向き、罪に向き合えるようになる。
「人や社会とのつながり」から、より良く生きたいという思いは生まれる。
その人は、犯罪や非行をした人であると同時に、再び社会の一員となる人だから。
これから私たちが目指すのは、社会を守ろうと孤立する「最後の砦」ではなく、「罪と向き合い、社会とつながる場所」。
これは、そのための社会の皆様への約束とお願いです。