日本司法支援センター評価委員会 第2回会議 議事録 第1 日 時  平成18年4月18日(火)   自 午前10時01分                         至 午後 0時05分 第2 場 所  東京高等検察庁第2会議室(17階) 第3 議 題  (1) 出席者紹介  (2) 金平輝子日本司法支援センター理事長あいさつ  (3) 中期目標の決定,指示,公表及び最高裁判所への通知について  (4) 中期計画について  (5) 役員報酬規程等について  (6) 今後の予定について  議        事 山本委員長 それでは,定刻でございますので,ただいまから第2回日本司法支援センター評価委員会を開催いたしたいと存じます。  委員の皆様におかれましては,本日,御多忙中のところを御参集いただきまして,まことにありがとうございます。  それではまず,本日,御出席いただきました方々を御紹介させていただきます。  まず,委員の方々につきましては8名の御出席で,本日は嶋津委員及び吉永委員が御都合によりまして欠席をされています。  委員10名のうち8名の御出席をいただいておりますので,総合法律支援法施行令に規定する定足数であります過半数の出席要件を満たしているということを,まず御確認させていただきます。  続きまして,本日の主要な議題であります中期計画を作成し,法務大臣への認可申請をされております日本司法支援センターから,理事長,常務理事などの皆様にお越しをいただいております。  本日は,ごあいさつを後で理事長にいただくということになっておりますが,それだけではなくて,中期計画について直接御説明をいただきたいというふうに思っておりますが,委員の皆様,そういうことでよろしゅうございましょうか。   それでは,そういうことにさせていただきます。   まず,支援センターの側の御出席者について,私の方から御紹介をさせていただきます。 (支援センター側の出席者が,順次紹介された)   なお,本日の出席者につきましては,机上に配付されております出席者名簿をごらんいただければと思います。   前回の本委員会は4月7日でしたけれども,その後,御承知のとおり,4月10日に日本司法支援センターが正式に設立されるに至りました。本日は,先ほど御紹介いたしましたとおり,支援センター理事長ほかの皆様が御出席されておりますので,まず,代表して金平理事長からごあいさつをいただきたいと思います。   理事長,よろしくお願いいたします。 金平理事長 ありがとうございます。   日本司法支援センターの理事長,金平輝子でございます。   日本司法支援センターは,つい先週,4月10日に設立いたしました。設立の登記手続を無事に終えて,設立することができました。   私も,昨年9月に司法センター理事長予定者という御指名をいただいておりましたが,設立と同時にそれが取れまして,理事長に就任いたしました。今後,どうぞよろしくお願いいたします。   設立とともに法務大臣から,日本司法支援センターが達成すべき中期目標の指示を受けました。本日は,中期目標を受けまして,日本司法支援センターにおいて作成いたしました中期計画の御説明にまいりました。御審議のほど,どうぞよろしくお願いいたします。   なお,日本司法支援センターにおきましては,中期目標を達成すべく策定いたしました中期計画の認可を受けまして,これを実行していくべく,まずはあと半年後に迫っております10月のこのセンターの事業開始に向けまして,早急にかつ着実に準備を進めていかなければならないと思っております。   日本司法支援センターは,あまねく全国において国民に身近な司法を実現するために,国民の負託を受けて誕生した国民と司法をつなぐかけ橋となるべき組織でございます。そのために,支援センターの業務の運営に当たりましては,何よりも国民の視点に立って国民の目線で考える,こういう業務運営が大事かと思っております。   私は,日本司法支援センターを,法による助けを必要とする国民にとって真にお役に立つ組織にするために,全力を尽くしたいと思っております。   評価委員の皆様には,どうぞ今後ともよろしく支援センターの御理解,御支援を賜りますように,この席をかりましてお願い申し上げ,私のごあいさつといたします。   なお,本日,中期計画の説明に当たりましては,寺井常務理事から御説明申し上げることをお許しいただきたいと思います。   ありがとうございました。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,まず初めに,お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。事務局から配付資料についての御説明をお願いします。 井上課長 配付資料につきまして御説明をいたします。          (配付資料が,順次確認された。)   以上,不足しているものがございましたらお申し出いただきたいと思いますが,よろしゅうございましょうか。   では,よろしくお願いいたします。 山本委員長 それでは,早速,議事に入りたいと思いますが,まず,中期目標の決定,指示,公表及び最高裁判所への通知についてという議題でありますが,前回の本委員会で御協議をいただきました中期目標案につきまして,本委員会の後,法務大臣によって中期目標の決定等がされておりますので,まず,その内容等について事務局から御報告をお願いいたします。 井上課長 それでは,御報告をさせていただきます。   資料1-1と1-2をごらんください。   資料1-1が,4月10日に法務大臣が定めた中期目標です。   第1回の本委員会での協議結果を踏まえ若干修文をしたものでございまして,その修正の中身につきましては,資料1-2の方の資料をごらんいただきたいと存じますが,読みやすくするため,正確を期するための修正でございます。   まず,一番冒頭のところで,日本司法支援センターにつきましての名称を正確に書くとともに,その略称の説明をしてございます。  それから,2(1)②のところで,地方事務所の意義につきまして括弧書きで説明を入れてございます。   それから,2ページの頭のところですが,民事法律扶助の担い手の関係で,その受け係りが非常におかしいのではないかという御指摘がございましたので,「その受任者の確保態勢の全国的に均質な確保」という形に改めてございます。   それから3ページ目,中ほど4(1)②のところで,「100%」はちょっといかがかということで「すべて」と改めまして,また,それの一番下の行,地域事務所等ということがあったわけでございますが,そこにつきまして意義を明確にするために「司法過疎地域における事務所」と,そのように修文をしたものでございます。   修正の内容は以上でございます。   この中期目標につきましては,資料2の上半分のところを御参照いただきたいと思うのですが,2つ目の四角で,【法務大臣】中期目標の決定[4月10日]となっております。そのとおり決定されまして,その次の行にありますように,司法支援センターに対する中期目標の指示が,同日4月10日に行われてございます。それから,最高裁判所への通知が4月12日に行われまして,現在,中期目標の公表につきましてホームページに掲載する手続を進めておりまして,あと数日でホームページに載るということになろうかと思います。   以上でございます。 山本委員長 今の御報告について,何か御質問等ございますでしょうか。--よろしいでしょうか。   それでは,続きまして,本日の中心的な議題であります中期計画について御審議をいただきたいと思います。   まず,中期計画の制度一般といいますか,その制度の概要につきまして事務局の方から御説明をいただきたいと思います。 井上課長 御説明を申し上げます。   資料2の下段の方をごらんいただきたいと思いますが,中期計画認可の流れというところでございます。   支援センターの方で,中期目標に基づきまして中期計画の作成がなされまして,4月14日に法務大臣に対して認可の申請が行われまして,そして本日,評価委員会からの意見聴取の手続が行われておるというところでございます。同時並行的に裁判所からの意見聴取と,財務大臣との協議が行われておるということでありまして,これらが整いますと,法務大臣の中期計画の認可,通知,公表ということに進んでいくわけであります。これが手続の流れでございます。   さて,中期計画の意義等につきまして,資料3-1をごらんいただきたいと思います。   意義につきましては,そこに記載してございますように,中期計画といいますのは,法務大臣が定めて司法支援センターに指示いたしました中期目標に基づきまして,支援センターの方で当該目標を達成するための計画としてみずから作成し,これに従って業務を遂行するというものでございまして,これは法務大臣の認可が法律上必要とされております。   このような中期計画制度の趣旨につきましては,支援センターの業務が自主的・自律的に行われるようにするために,センターみずからこの計画を策定し,その業務が極めて公共性が高いことから,これを確実に遂行させるために,計画につきましては法務大臣の認可を要することとして,支援センターの自主性・自律性を尊重しつつ,その業務の確実な実施を担保するということにしたものでございます。   中期計画に定めるべき事項といたしましては,法律に規定されてございます。そこに(1)から(8)まで規定されておるようなところでございまして,読み上げは省略させていただきます。   なお,(8)で,その他法務省令で定める事項といたしましては,総合法律支援法施行規則に規定されておりまして,ここも5つほどそこに規定されてございます。掲げたとおりのことが規定されておるわけであります。   最後に,中期計画につきまして評価委員会はどのような関与をするかということにつきましては,中期計画の法務大臣の認可に当たって意見を述べるということでございます。これも,法律41条3項に評価委員会からの意見聴取が義務づけられておるということでございます。   以上です。 山本委員長 以上,御説明をいただきましたが,ただいまの御説明について何か御質問等ございますでしょうか。--よろしゅうございますか。   また,もし何か審議の過程で疑問等の点があれば御遠慮なく御質問をいただければと思いますが,それでは先に進ませていただきます。   次に,本日,審議の対象になるこの中期計画の具体的な内容につきまして,これは中期計画を作成された支援センターの方から,寺井常務理事に御説明をお願いしたいと思います。   寺井常務理事,よろしくお願いいたします。 寺井理事 寺井でございます。それでは,委員の皆様方に中期計画について御協議いただく前提といたしまして,私の方からその概略を説明させていただくことにいたします。   中期計画においては,中期目標で指示された各項目に対して,それぞれ具体的な措置を記載しております。私どもとしましては,できるだけ数値目標を示すなどして計画を具体化したつもりではございますが,何分新設の法人であり,新規業務が多いことから,計画の内容が抽象的にならざるを得ない面もあることを御理解,御了承いただきたいと思っております。   お手元に中期計画のダイジェスト版として,資料3-2,中期計画の概要を配付してございますが,これに沿って説明させていただきます。あわせて中期目標と中期計画の概要の対照表もごらんいただければ幸いでございます。   まず,第1の総合法律支援充実のための措置に関する事項についてであります。   総合法律支援の基本理念について規定する総合法律支援法第2条では,総合法律支援の実施及び体制の整備や,民事,刑事を問わずあまねく全国において法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会を実現することを目指して行うものとされております。   法テラスは,このような理念のもとに総合支援に関する事業を迅速かつ適切に行うことを目的とするものであります。   したがって,法テラスとしましては,中・長期的な観点も踏まえつつ,総合法律支援の充実に向けた様々な措置を計画的に講じていくことが期待されています。ここでは,そうした観点を踏まえつつ,各業務に対応して総合法律支援の充実に向けてとるべき措置を記載しております。   法テラスは,国民に身近で頼りがいのある司法を実現するために,様々な機関と連携をとりつつ,情報提供,民事法律扶助,国選弁護人確保などの各種事業を行う法人でありますので,その業務運営に当たりましては,関係機関,団体や利用者の意見を聴取し,反映していくことが極めて重要となります。   そこで,1にありますように,全国50の地方事務所単位で,毎年1回以上地方協議会を開催することにしたものであります。   また,2にありますように,法テラスの体制整備という観点から,契約弁護士等の確保が重要であることは言うまでもありませんが,常勤弁護士の確保もまた重要でありますので,これを最重要課題と位置づけまして取り組んでまいりたいと考えております。   3は,情報提供業務の関係ですが,地方事務所単位で平均して68機関以上の機関,団体,それらと連携・関係を構築することとし,さらにその連携・関係を強化していく上で,その程度を指数によりはかっていこうと考えています。連携・関係を構築していく機関として具体的にどのようなものがあるかについては,本日の配付資料の1をごらんいただければと思っております。   民事法律扶助につきましては,ニーズを的確に把握するため,利用者等に対するアンケートを実施したいと考えています。   また,民事法律扶助とともに国選弁護人確保にも共通することですが,事件の引き受け手が少ない地域において,常勤弁護士の積極的活用を検討しております。   司法過疎対策につきましては,まずは実質的な意味での弁護士ゼロワン地域を対象として対策を講じていく予定にしております。実質的ゼロワン地域の意味は,中期計画2ページの5にその定義を記載しておりますので,御参照いただきたく思います。   また,犯罪被害者支援の関係につきましては,先ほどの情報提供業務と同様,連携・関係を構築する機関の数値目標を示しており,連携・関係の程度を指数であらわしたいと考えております。   続きまして,2の業務運営の効率化に関する事項について説明申し上げます。後ほど中期計画予算についても触れますが,法テラスは,莫大な公的資金の投入を受けて事業を遂行していくことになりますので,効率的な事業運営を図っていかなければならないのは当然のことであります。法テラスが提供するサービスの質を向上,充実させつつ,効率的な事業運営を実施することは,理事長以下,我々執行部に課せられた重大な責務であると自覚しております。   ただ,この効率化という点で,法テラスは既存の独立行政法人とは異なる面があることも事実であります。といいますのは,法テラスは全く新規に立ち上げられた組織であり,既存の独立行政法人のように,一律毎年の予算に効率化係数を掛けることなどによって予算を削減して事業を効率化していくということには,なじまないのでございます。   1の記載で,設立・業務開始時から,可能な限り効率化を反映させて業務運営体制を整備し,20%程度の費用を削減しているというのは,事業の効率化を図っていく前提事項として,そのような法テラスの特殊性を説明させていただいたものであります。   次に,情報提供業務に関しては,4に記載しておりますコールセンターを設置いたしまして,効率的かつ充実した電話による情報提供を行おうとするものであります。本日,配付している資料には,コールセンターを含めた情報提供業務全体のイメージをあらわしたものであります。コールセンター,地方事務所の窓口対応,インターネットなど通じて,広く多様な形で国民の皆様に有益な情報を提供していこうと考えております。   さらに資料3と4は,コールセンターの制度設計の参考とするため,昨年12月に鳥取県において,そして今年3月には茨城県において,それぞれ電話による情報提供業務を施行した結果を整理したものであります。現在,これらの結果を参考にしつつ,コールセンターの制度設計を精力的に進めているところであります。   また,5及び6にありますように,民事法律扶助や国選弁護人確保,司法過疎対策においても,効率的な事業運営を常に念頭に置いて具体的な措置を講じていくことになります。   第3番目は,提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項についてであります。   まず,情報提供業務の関係についてでありますが,先ほどの資料の2をごらんいただければおわかりいただけますように,情報提供業務の質を向上させていくためには,各種情報のデータベースを充実させていくことが不可欠となりますので,1に記載しておりますように,その情報量を中期計画期間中に20%以上,それ以上に増大させていきたいと考えています。 また,利用者の声を業務運営に的確に反映させるため,アンケートを実施して高い評価が得られるように努めてまいりたいと考えています。   3から6につきましては,民事法律扶助,国選弁護人確保や犯罪被害者支援の関係での業務の質の向上に関する記載であります。例えば,法律専門家としてのサービスを提供する弁護士や司法書士に関する研修の実施を毎年行うことにいたしており,犯罪被害者支援を担当する職員の配置や研修にも十分な配慮をすることにしております。   また,7にありますように,業務の質の向上という観点からも,関係機関との継続的な協議が重要となります。   以上が,法テラスの具体的な業務の執行の在り方に係る各種措置についての事項でございます。   引き続き,4の予算について説明します。中期計画予算・収支計画・資金計画の資料は,中期計画の,これは概要版ではない本文の方の後の方にこれが付されています。   最初の中期計画予算が一番わかりやすいかと思います。実績が全くない段階で,本年度の予算額をベースに平成21年までの間の予算を積算して計上したものであり,中期計画の期間中の大まかな予算総額と内訳を示したものに過ぎませんが,法テラスの事業規模の大よそのイメージはつかんでいただけるものかと思います。総額で1,000億を超える事業規模となっております。   最後でございますが,8に記載していますのは,平成21年における施設・設備及び人的体制の拡充の必要性についてであります。平成21年度には,被疑者段階の国選弁護の対象事件が,窃盗,一般的な薬物事犯などにも広がっていき,事件数が飛躍的に増加いたします。   また,裁判員制度も平成21年から実施されることになっております。法テラスとしては,それらに十分対応できるよう,計画的に人的体制などを整備をしていきたいと考えています。   先ほどの中期計画予算は,こうした平成21年における大幅な国選弁護事件数の増加に伴う業務量の増大をも考慮したものとなっています。   中期計画の概略は以上のとおりです。簡単ではありますが,私からの説明を終わらせていただきますが,本日は,委員の皆様の様々な角度からの質問にお答えできるように,事務局長以下,事務局次長数名のスタッフを同席させておりますので,よろしくお願いいたします。ありがとうございました。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,今,御説明のありました中期計画についての御審議をお願いしたいと思います。先ほどの御説明にありましたように,本委員会の任務は,法務大臣が中期計画を認可するに際して意見を申し上げるということでありますけれども,この審議につきましては,まず,今の御説明についての御質問をいただいて,その後,御意見をちょうだいするという形で進めさせていただきたいと思います。   まず,この中期計画について何か御質問等がございますでしょうか。   どうぞ,吉川委員。 吉川委員 吉川でございます。   まず最初に,これは質問というよりもむしろ要望に近いことでございますが,この中期計画については,法文上,当評価委員会の意見だけでなくて最高裁判所の意見を聞くということになっておりますが,言うまでもないことでありますけれども,支援センターの業務は,現場の弁護士,司法書士等の全面的な協力がなければ成功できないということでありまして,特に常勤弁護士あるいは契約弁護士等の確保については,弁護士あるいは日弁連の協力が不可欠であろうというふうに思うのですが,これは法律の審議過程で,当時の野沢法務大臣もおっしゃっておるんですが,豊富にはないけれども,できるだけ日弁連の意見も聞きながらこれを進めていきたいというような御発言があったかと思うんですけれども,この中期計画についても時間等の関係でどの程度できるのかわかりませんが,可能であれば,日弁連の意見もお聞きになるような運用を心がけていただければというふうに思っております。これは質問というよりもむしろ要望でございます。   質問でございますが,数点ございます。   まず最初が,1(1)③,ここに「支援センターの公正・中立性及び関係機関・団体との連携協力関係の確保の観点から,その人選について特段の配慮をする。」という表現があるのですが,この意味がちょっとわかりにくいのですが,公正・中立性,それから連携協力の確保の観点から特段の配慮をするというのは,具体的にはどういう配慮をされるという意味なのか,お教えいただければと思います。それが第一でございます。   それから第二は,同じく今のところのすぐ下の④でございますが,下の後ろの方に,「支援センターの業務に専従することが支援センターの目的である総合支援の担い手としての法曹の能力の涵養にも資することにかんがみ,その実務経験年数をも考慮する。」というのが,これは読みようによっては,若手の弁護士等を雇用して,いわばそこで教育すると,そういう意味にもとれるような気もするんですが,常勤弁護士あるいは契約弁護士には,いろいろな事件の難しさ等を考慮して,やはり相応の経験年数のある弁護士も必要かと思うんですが,この実務経験年数をも考慮するというのは,具体的にどういうふうに考慮されるという意味なのか,それをお教えいただきたいと思います。   それから3点目,これは3ページの2(1)①の後ろの方でございます。予算のことでございますが,3ページのちょうど真ん中辺よりちょっと上に,「平成18年度における総経費について,上記各取組を行わなかった場合に必要となる総経費に比して20%程度削減する」という表現がございますが,先ほど御説明のありました予算案の数字には,既にこの20%程度の削減が折り込まれているのかどうか,これを確認的な意味でお教えいただければと思います。   それから4点目が,4ページの上から3つ目,「複数事件の包括的な委託の契約締結に努める。」という表現があるのですが,この趣旨は,しかもこれは効率化というところで書かれておるので,イギリスのフランチャイズ制度のような形で,つまり包括的な契約をしてディスカウントさせるというような趣旨での包括的な委託契約という意味なのか,それともそうではないのかについてお教えいただければと思います。   それから,今度は5点目になりますか,4ページの(2)の①の審査の方法でございますが,「合議制方式の審査体制に代えライン決裁方式を活用する」という表現がございますが,このライン決裁方式とは具体的にどういう意味なのか,これをお教えいただきたいと思います。   以上でございます。よろしくお願いいたします。 山本委員長 ありがとうございます。   それでは,御説明をお願いいたします。 寺井理事 吉川先生の冒頭の要望につきましては,趣旨はよく理解できますので,理事長とも相談してその方向で善処させていただきたいと考えております。ありがとうございました。   具体的な5項目の質問につきましては,最初の2点については総括的な面でありますので一木事務局長から,それから予算問題については釜井担当課長から,それから包括的委託の問題について,現在,センターで考えている具体的な構想につきましては田中次長から,法律扶助のライン決裁方式につきましては佐川次長からお答えさせていただきますので,よろしくお願いいたします。 一木事務局長 それでは一木の方から,まず第1点目,第1項の(1)③人選に特段の配慮をするということはどういうことかということについてお答えいたします。   各地におきましていろいろ会合を開催する予定になっております。まず,地方協議会につきましては,様々な関係機関,それからもちろん有識者あるいは報道機関の方々を加えて,相当幅広い範囲の方々に参加いただきたいと思っておるところでございます。   それに加えまして,地方事務所長が現実の実務を行っていくに当たりまして,必要な事項を諮問していろいろお答えいただく,御検討いただくという機関として,運営委員会といいますか運営諮問委員会とか,そういうものを設けたいということで検討をしておるところでございます。それにつきましては,特に委員の方々についてはサービスプロバイダーに偏ることなく,あるいはサービスを受ける方,あるいはいろいろな機関の関係の方も含めて,人選については特段の配慮をいたしていこうという趣旨でございます。   それから,第2点目の経験年数をも考慮するということでございますけれども,常勤弁護士については,私どもといたしましては,全国にあまねく均質にかつ十分に質のよいサービスを提供していくためには,常勤弁護士あるいは我々の用語ではスタッフ弁護士というような言い方もしておりますが,常勤弁護士あるいは場合によっては非常勤の弁護士ということも視野には入れて検討しておりますけれども,一義的には常勤弁護士を考えているところでございます。   そういう方々にたくさん入っていただくにつきまして,必ずしも若手だけで構成するということではございませんで,中堅の方あるいは経験のある方も入っていただいて,今後,拡大されていく被疑者国選あるいは裁判員体制にも対応していくような形で進めてまいりたいと思っています。   ただ,現実のところを見ますと,今,応募を願っている方々は,どうしても若い方が数としては多いという傾向にございます。若い方に入っていただいて弁護士経験を積んでいきつつ,この業務に専念していただきたいという気持ちもございますが,今,言いましたように,それだけで賄い切れる--賄い切れるというのはおかしいですが,それだけでの対応は難しいという点もございます。   そういう意味で,中堅の方以上につきましても,採用は当然検討させていただきたいということを考えておるところでございます。 釜井課長 釜井でございます。   私の方から,2番目の業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置の(1)の①に関する先ほどの御質問に対してお答えします。   この20%につきましては結論を申し上げますと,平成18年度予算にこの20%を折り込み済みのものが,この中期計画予算に計上されております。その点につきましては,中期計画の後ろについております中期計画予算の備考欄といいますか,ここに運営費交付金算定ルールの記載がございまして,その1番目に,「平成18年度は,次の算定ルールによる積み上げ方式とする。」という記載がございます。ここの「運営費交付金=・・・×α1」とありますが,このα1が20%に相当することになります。これは注記の2のところに記載がございます。   そういう意味で,平成18年度,約100億ぐらいの予算がありますが,その予算が既にこのα1が掛けられたもの,すなわち20%が削減されたものと,こういう趣旨でございます。   以上でございます。 田中次長 事務局次長の田中でございます。   私からは,複数事件の包括的な委託の契約締結に努めるという部分について御説明をさせていただきます。   本年10月の業務開始の時点におきまして直ちに実施することを予定しておりますのは,刑事の被告人国選事件のうち即決裁判事件に関して複数の事件を一括する形態だけでございます。それ以外につきましては,民事事件も含めまして複数事件に関して包括して委託する方式の適否につきましては,弁護活動の質の確保の観点から,非常に難しい問題があるという認識でおりまして,今後,弁護士会,司法書士会と協議しながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。   以上でございます。 佐川次長 事務局次長の佐川でございます。   現在の法律扶助協会の審査方式は,いわゆる審査会スタイルでございまして,複数名の審査委員が合議をもって審査を行っております。このため,日程の調整,会場の確保,事前の開催準備などに相当に事務負担と時間を要しております。   このようないわゆる審査会方式ではなく,例えば審査員を担当日制にするなど,審査委員が適宜の方法により,随時,事案の要件に関する審査を行うことが,このライン決裁方式ですと可能となり,申込みから審査決定までの手続あるいは期間の短縮が期待できると,こういうことでございます。   以上です。 山本委員長 どうぞ。 吉川委員 今の最後の点ですが,ということは,基本的に一人で決裁するということでしょうか。 佐川次長 通常の案件につきましては2名,簡単な案件につきましては1名,2名の審査委員の判断が分かれますと,もう一人審査員を追加して,その3名の過半数で決するという方式を採用する予定でございます。 吉川委員 ありがとうございました。 山本委員長 吉川委員,以上でよろしゅうございますか。 吉川委員 はい。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,ほかの点について御質問をお願いいたします。   はい,どうぞ。 田中委員  今の吉川委員に対する回答に関連した質問です。中期計画の1ページの,先ほど吉川委員が質問された「常勤弁護士の採用に当たっては,その実務経験年数をも考慮する」という点です。相応の実務経験を持った方が採用されることになるんだろうと思いますけれども,私どもの認識としては,全国あまねく均質な力量を持った方を配置するというのは,大変困難な難しい仕事だろうと思います。これに取り組まれるセンターの皆様に対しては,本当に大変だなというふうに思っております。   ところで,相応の実務経験年数を備えた担当者を配置するというためには,相応の戦略というものが必要になる,個人の努力というよりは戦略的な面が必要だろうと思うのです。これまでのいろいろな制度改革を見てまいりましても,なかなか人を整えるというのは難しい。特に,相応の経験と力量を備えた弁護士をあまねく配置するということは非常に難しく,単なる努力だけではなかなか達成できないというところがあろうかと思います。   そういう意味では,今から戦略的な考え方を持って取り組んでいかないと,結局は国民,市民のニーズにこたえられないというようなことも起こりかねないと思います。そこで,どのような戦略,戦術--近いところでは戦術ということになるのかもしれませんが,そういうものをお持ちかというところをお聞かせいただきたいと思います。これが第1点でございます。   第2点は,中期計画の5ページ,上から5行目,②というところでございます。「裁判所からの指名通知要請を受けてから裁判所に候補を通知するまでの所要時間の短縮を図る」とあります。これは大変結構なことであろうかと思っております。そのために「地方事務所ごとに事件類型別の目標時間を設定する。」と,こういう記載が次にございますけれども,伺いたいのは,この地方事務所ごとに事件類型別の目標時間を設定するというのは,どういうイメージを想定した措置であるのかという点でございます。事件類型別の目標時間とはどのようなものかということと,それを地方事務所ごとに設定するというのはどういうことかと,その二つの点について質問をさせていただきます。 一木事務局長 一木の方から御回答させていただきます。   この常勤弁護士,先ほど言いましたようにスタッフ弁護士の確保については,非常に私どもも力を入れてまいりたいと思っておるところでございます。現時点におきまして,これまで私どもセンターが立ち上がっていなかったという点もあり,その重要な供給源に最も近いところにおられる各地の弁護士会あるいは日弁連の協力を得て,これまで勧誘活動を行っておるところではございます。   ただ,先ほど申しましたように,採用のしやすさといいますか,まず開始するに当たりましては若い方の応募というのが,中では多い状況になっています。そういう供給源につきましては,研修所を出られて,ある程度の養成期間を経て司法支援センターに入っていただくという形になろうかと思いますので,そのような方々に対する働きかけをまず行ってまいっておるところでございまして,引き続き行っていきたいというふうに思っております。   それから,中堅あるいはそれ以上の方々ということになりますと,やはり事務所を抱えておられる方が事務所を離れて,あるいは事務所を閉じてある程度の期間,来ていただくということについては,それ自体非常に困難を伴うというふうに予想されますし,現実にやはりそういう事態にあるわけでございます。   これにつきましても,そのような希望をより広く情報収集して,また,質のいい方に--質のいい方というのはおかしいですけれども,経験ある十分にこれをこなしていける方々に来ていただけるように,私どもとしましても弁護士会を通じて,あるいは私どもも個別に情報を収集するなどして獲得に努めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。   それから,先ほどちょっと触れましたけれども,ベテランの方で全部事務所を閉じて,あるいは事務所を離れてきていただくという方が難しい状況にあるということでありますれば,非常勤のスタッフで来ていただける方もおられるかもしれない。そういう方が中心になるということではないと思いますけれども,そういう形で関与していただけるようなことも検討してまいりたいというふうには思っております。   いずれにいたしましても,短期間のうちに我々もそういう募集あるいは勧誘を行い,来ていただけるような形で努力をしてまいりたいと思いますので,日弁連や裁判所等にもいろいろな形で御協力いただきつつ,体制を整えてまいりたいと思っているところでございます。 寺井理事 若干,私の方からも補足させていただきますけれども,田中委員が指摘されました戦略的な視点から考えていかないとこのセンター事業が成功しないのではないかという御指摘は,私もそのとおりだと思っております。裁判員制度が3年後に開始されますので,センターがお願いするスタッフ弁護士がそれを担えるのか,どんな形で関与するのかという問題も考えなければなりません。何せ今年の秋から入っていただく方も弁護士2年目でございまして,裁判員制度は,御承知のとおり,大きな事件,重大事件から開始されるものですから,そういう面では,実務経験年数のたけたベテランの弁護士が必要ではないかという要請も強くなされてくると思います。   その意味で,センターが,今後,どのようなスタッフ弁護士,常勤弁護士を確保していくのか,まさしく戦略的な立場から検討していく課題だろうと思っています。この際,御披露させていただければ,理事長の発案によりまして,このセンターは自然発生的に起こってくる問題だけを処理しては駄目であり,中・長期的な課題を持って戦略的に何が必要かを考えなきゃいけないんじゃないかということで,本部の中に事業企画本部というものを設置しました。横断的な課題とか,先ほど申し上げました中・長期的な大きな課題を考えていく部門を理事長直轄のもとに設けた訳でございます。その部門で,今,委員が御指摘になった点を含めながら,早急に検討にとりかかってまいりますので,今後ともよろしく御指導いただきたいと思っております。   それから,先ほど出ました事件類型別の目標時間については,田中次長の方から。 田中次長 事務局次長の田中でございます。   事件類型別の目標時間につきまして,これを具体的にどの程度にするかについては,現在,検討を進めているところでありますが,被疑者国選弁護事件と被告人国選弁護事件では,やや違う時間設定をしてもいいのではないかというような意見も全国の弁護士会からは寄せられているところでありまして,各地の実情に応じまして具体的な目標設定をするということで協議をしているところでございます。   それぞれ弁護士会の陣容も全国で異なるものですから,各地の実情に応じて名簿づくりをどういうふうにするかとか,指名通知の方法を具体的に工夫することによって適切な目標を設定したいということで,協議を進めているところでございます。 山本委員長 どうぞ。 田中委員 ただ,今御説明をいただきましたが,質問の趣旨は,「地方事務所ごとに事件類型別の目標時間を設定する」という点について,具体的にどういうイメージを想定されて効率的かつ迅速な処理を考えておられるのかということをお教えいただきたいと,こういうことでございます。 田中次長 田中でございますが,続けて御説明を差し上げます。   被疑者国選と被告人国選,それぞれ比較的平均的な事件と特異・重大な事件と大きく2類型があるかと思いますけれども,それぞれにつきまして担当日を決める,あるいは重大な事件に対応できる技量を備えた弁護士の名簿をつくるなどして,担当日が決められている場合についてはこの程度の時間で,あるいは名簿という形であれば,このぐらいの時間でというような目標を設定したいというふうに考えているところであります。   とりわけ被疑者国選弁護事件につきましては,活動を直ちに開始するということが期待されるわけですので,より早いタイミングで弁護人の指名通知ができるような目標設定をしたいというふうに考えているところでございます。   先ほど申し上げましたように,弁護士会の体制は全国で様々なものがありますものですから,中央で一律にこのぐらいの時間ということで設定しても,なかなか実現が困難である場合もあるかもしれないということで,全国の実情を細かく意見交換をしながら具体的に,しかも実現可能で適切な目標を設定したいという考えで進めているところでございます。 山本委員長 どうぞ。 田中委員 そうしますと,地方事務所ごとにという意味は,全国の地方事務所では,それぞれ事件数,多い少ないがございますし,様々な地域の実情から,それに対応できる時間についてもおのずから差があるであろうと,大都市周辺と地方とでは違うであろうと,そういう意味で地方事務所ごとにという記載があると,それが1つと。   それから,事件類型別という意味は,法定合議事件とその他の重大事件等と,ある程度軽微な,あるいは一般的な事件等を分けてめりはりをつけて目標時間を設定するといった,そういう意味でございましょうか。 田中次長 田中でございます。   今,2点ほど御指摘がありましたけれども,いずれも御指摘のとおりでございます。 田中委員 どうもありがとうございました。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,ほかの委員の方から御質問を。   吉川委員。 吉川委員 予算についてでございますが,これは今の時点でなかなか算定は難しいのでしょうが,18年度から21年度までの総括的な数字が出ていますが,全く大まかでいいんですけれども,各年度に1年ごとにどういうふうに数字が,多分上がっていくんだろうと思いますし,特に21年度から国選弁護事件が大幅に増えるということも予想される,21年度は相当増えるんでしょうが,このα,β,γという数字が全くわからないので,どういうふうになっているのかこれでは全然わからないので,全く大まかなところで結構ですけれども,大体年度当たりどういうふうに上がっていくのかを御説明いただければ有り難いと思います。 釜井課長 それでは,私の方から御説明します。   中期計画の本文といいますか,概略版ではない方の別紙としてついております中期計画予算の全体の予算,最初の1ページ目のところをごらんいただきたいと思います。先ほど説明にもございましたが,平成18年度から21年度までの間で1,160億というのが事業規模になっております。   これはどういう形で作っておるかといいますと,まず平成18年度の予算につきましては,今年度,予算措置が講じられておりますので,その予算の額がそのまま置かれています。平成18年度は,10月からの事業開始になりますので,ある意味では半年分の予算でございます。その半年分を通念ベースに引き直したものが,19年度の予算になりまして,それをさらに20年と21年に同じように置いていきます。   さらに,21年については,先ほど冒頭の説明にもございましたように,被疑者国選弁護の対象事件が大幅に拡大されます。今年の10月からは殺人ですとか放火ですとか,そういう重大事件に限られているわけですが,平成21年には窃盗事件ですとか簡単な薬物事件,こんなようなものにも対象が拡大されるということで,非常に事件数が増えます。その部分の事件数,業務量の増を見込んだものが,平成21年度予算にはオンされております。もともと粗い積算ではあるんですけれども,おおよその数値ということで言いますと,平成18年が約100億の予算になっておりまして,あと19年,20年が約300億ずつ,21年が約400億ぐらいのイメージとなります。そうすると,大体1,100億になると思います。この中期計画の予算では,おおよそそのような事業規模を想定しています。 山本委員長 よろしいでしょうか。 吉川委員 ありがとうございました。 山本委員長 失礼しました。それでは,小林委員,お願いいたします。 小林委員 小林でございます。2つ質問させていただきます。   1つ目が,ちょっと私が今までお聞きしているところで聞き落としているかもしれませんけれども,結局,常勤弁護士あるいは非常勤弁護士,これが何人必要なのか。例えば経験者として常勤という前提を換算をしますと,結局何人いるといいというふうにお考えになっているのかということと,それから業務管理レポート,これは2つつけていただいておりますが,このような試行をなさったというのは,とてもいいアイデアだと思うんですね。結局ユーザーの立場から見て使い勝手のいいものをつくっていかないと,今,皆様が準備の方,体制の方についていろいろ質問をなさっていますけれども,結局,弱い立場の市民が使いやすいということがとても大事かと思うんです。   ここのレポートの中で,アンケート結果,あるいは利用者の主な意見というようなものも出ておりますけれども,そのようなこの結果を今まで何か生かして,これらの中期計画などに盛り込んでいらっしゃるのか,あるいはそれはこれからの課題というふうにとらえていらっしゃるのか,その辺を教えていただければ有り難いと思います。 一木事務局長 人数の点につきましては,結局,地方事務所へ配置する方々,それからいわゆる地域事務所,過疎地に配置する方々,現在,いろいろな統計なんかを見ながら,順次,検討を進めているところではございます。私ども今の時点で何名というふうにお答えする段階にはまだないとは思いますが,ちなみに御協力いただいていろいろ調査もしておられる日弁連の方では,数字的には300というような数字は出されておられるようですけれども,私どももそういう調査やその結果も参考にしつつ,最終的にどのくらい必要かを確定していきたいと思います。これは数年先,当然4年先というような時期の話でございまして,まず第一段階でどの程度の数が必要であって,第一段階というのは初年度,2年度,3年度ということでございますけれども,それにつきましても具体的な数字は,応募状況も見つつ充足していくことにはなります。4年後については,いろいろな動向を見つつ,数を確定していきたいというふうには思っているところではございます。 大塲次長 情報提供業務の関係について御説明いたしますが,業務管理レポートにありますように,鳥取と茨城でコールセンターの試行,情報提供業務の試行をやっております。ここに利用者の主な意見にもありますように,非常に高く評価してくれるところと,実はここで全部解決してくれると思ったのにそうでもなかったというような意見,いろいろございます。   このアンケートは,いずれも電話が終わった後にこちらの方から,当時は法務省ですけれども,法務省でやっているこの試行でありますけれども,回答する側の方から情報提供して,その後に引き続いてこういった情報提供についてはどういうふうに評価しますか,10点満点で何点ですか,こういうような質問をしているわけです。そうするとなかなか駄目ですという答えはないから,平均点は高くなっているのかもしれませんけれども,ただ,そうは申しましても,例えばこの鳥取で言いますところに,この電話で答えてくれると思ったとか,なかなかつながらなかったとか,フリーダイヤルにしてほしいとかいろいろな意見が出ています。こういった試行を踏まえまして,現在,コールセンターを含めた情報提供業務をどんな形でやっていくのかというのを,まさに検討しているところであります。   その意味で,この中期計画のどこにあらわれているのかと,こう聞かれますと,例えば3ページの(2)のところで,電話による情報提供業務の集中的な遂行,これの具体的な中身を今検討しているということになります。この試行といいますのは,去年の12月と今年の3月,まだ支援センターはありませんでしたので,法務省の総合法律支援準備室が中心となってやったわけですが,支援センターの方も10月の業務開始にいきなりこれをやると,またいろいろなトラブルが出てくるのではないかと,そんなふうに思いますので,その10月の業務開始の前にもある程度地域を区切って試行をやってみて,そのいろいろな試行の結果を踏まえて10月の開業,全国的なレベルでのコールセンターの業務展開,これに備えたいと,そんなふうに考えております。 小林委員 ありがとうございました。 山本委員長 よろしいでしょうか。   それでは,岡田委員,どうぞ。 岡田委員 岡田です。   私の感覚なんですけれども,18年度は予算よりも20%削減というのは,ものすごく意気込みとしては伝わってくるのですが,その20%の根拠というのがわかりませんし,私たち利用する側から見ると,国など公的なところの予算というのは,削減できるにもかかわらず要求しているのかなというふうにも逆にとれるのですが。最初の年というのはどうしてもお金が要るわけで,資本を投下しなきゃいけないと思うんです。初年度20%削減して,やっぱり2年目にこれはまずいといったときに,その分ないしはプラスαをちゃんと手当していただけるのでしょうか。   それから,関係機関についてですが,これをざっと見せていただいたんですが,どうも使えない機関も結構あるように思います。どういう方法で選択されたのでしょうか。公的じゃないにしても,本当に使える機関というのもあります。それをこれからどうやって発掘していくか。今あるこういうのをどうやって切っていくか,そこのところへかかってくるんじゃないかと思います。多分このリストで紹介されると,もう二度と使わない利用者もいるんじゃないかと思うんです。これらは国民生活センターないしは東京都で出している機関名簿に載っているところですが,今後,これをどうやって取捨選択されていくのでしょうか。現場の相談員は知っていますので,このような機関の中で使えないのがどのくらいあるかとカウントさせるのもいいかと思うし,ないしはここに載っていないけれども,使えるよというようなものがあれば上げてもらうとか,そういうことも検討する必要があると思います。   以上です。 釜井課長 釜井でございます。   私の方から,最初の20%の点について御説明させていただきます。   資料3-4で申し上げますと,3ページ目のところにこの記載がございます。3ページの上の1行目からでございます。この20%削減のためにどういう取組を通じて結果的に達成した形になっているかというのが,上の3つの・で示しているようなものがございます。最初のところにありますのは,この支援センターが実施する業務の大きな柱として情報提供業務,民事法律扶助業務,国選弁護人確保業務がありますが,こういうものを一体的に遂行することによって効率化するということです。つまり,別の組織でばらばらにやるとばらばらにお金がかかる,これは飽くまで仮定の話ですけれども,事務所の3つも必要になります。それを一体的に遂行するということによる効率化というものが20%の中にも入っています。例えば,情報提供業務ですが,このような業務のために国がお金を出している機関はございません。民事法律扶助業務については,現在,財団法人の法律扶助協会がやっています。国選弁護人の確保の関係につきましては,裁判所がやっていまして,一部弁護士会がやっている部分もあります。こういったものを支援センターという組織で一体的に遂行することに伴います効率化というのはそれなりに見込まれます。次に,2番目の・にありますような常勤弁護士の制度も導入するですとか,あるいは3番目の・にあります国家公務員の給与構造の改革。これは昨年の秋の国会で成立しましたが,国の方はこれを段階的にやっておりますが,支援センターの方はこのでき上がりの姿を18年度の開業当初から導入します。こういうもろもろのことを踏まえ,昨年の平成18年度の予算の折衝過程などから振り返ってみると,20%程度の削減の効果はあったのではないか,こういう趣旨でございます。この20%を削減したから18年度が立ち行かなくなるというようなことはないと私も思っております。なにぶん初めての組織ですから,どれにどの程度のお金が要るかというのもこれから手さぐりのようなところもございます。必要な経費があればそれは執行の工夫をするのももちろんですが,今後の予算要求の中でもそういったことも要望していくということを支援センターとしても考えていきたいというふうに思っております。   以上でございます。 山本委員長 どうぞ。 大塲次長 岡田委員の後半の質問でございますが,関係機関,団体一覧,資料1をごらんになっていただきますと,多くの団体が書いてございます。その中に使えない団体があると言われてしまいましたけれども,これは2つの方向で連携・協力をしていく関係機関というのを探しているわけであります。1つが各地の取組,もう一つが中央省庁を中心とした取組で,両方からやっているわけです。   1つの地方につきましては,昨年の3月からプレ地方協議会というのを法務省の方でやっておりまして,各地地方裁判所の本庁所在地50のところで関係機関の方に声をかけて集まっていただき,まずもって総合法律支援構想についての理解を深めるといったことをやってまいりました。その2回目につきましても,今年の2月から3月にかけてやってきたわけです。それにあわせて各地に置かれていました地方準備会で,関係機関にそれぞれの機関がどのような相談窓口があるのか,だれが対応するのか,どんな時間帯あるいは場所はどこでというような調査をやってきております。   4月10日に支援センターができましたので,さらにその第3次調査とでもいいましょうか,今度は支援センターの各地方事務所が主体となって,今まで集まっている関係機関の情報について,さらにデータベースに載せるものについてどういったものを載せていいか悪いかといったことについて精査するということになってまいります。   その意味で,そういった調査の過程で,それぞれ今まで挙がっている関係機関の実力の度合いというのも,恐らくわかってくるんじゃないかと思っています。もちろん支援センターが紹介した機関というのが例えばアンダーグラウンドな組織の機関であったりすると,それはよろしくないわけですので,これから各地地方事務所単位でいろいろな調査の過程で,まさにできる機関を選んでいきたいなと思っていますが,その過程で,岡田委員おっしゃるように,各地の消費生活相談員はよく実情を知っておられるということですので,そういった点でもお知恵をかりることができればというふうに思っています。   もう一つ,この資料にあります関係機関,団体一覧ですけれども,内閣官房の司法制度改革推進室といったところで,この中央省庁の関連での地方の相談窓口,こういったものを抽出してもらっております。関係省庁等連絡会議でも,支援センターとどういった役割分担あるいは連携ができるかということについての議論をしておりまして,一定程度のつながり,それほど全部が全部深いつながりを持とうと考えているわけではないようですけれども,ある程度この総合法律支援法の構想に御理解いただいて,これは各地で支援センターと連携をしていかなきゃいけないと,こういう意識は醸成されたのではないかと思います。それを各省で,また各地のここに書いてありますような相談窓口に情報を流してもらっております。その意味で,各地での営みと,中央省庁から各地に連携の在り方について流してもらっている,そういった2方向でこれまでやってまいりましたので,これからは,さらに具体的に各地で準備を進めていきたいというふうに思っております。 岡田委員 多分調査というのが都道府県から消費生活センターに来て,所長とか職員が,自分では連絡したこともない中から,ここは公的だからいいかなどと書いているケースもかなりあるんじゃないかと思います。というのは,本来,相談員に書かせればいいんでしょうけれども,その時間がありません。その意味では,多分こういうものが上がってくるのは十分に想像できますので,是非これをたたき台にしてプラスするなり減らすなりして,法テラスの信用のためにも是非いい連携機関をつくっていただきたいと思います。 山本委員長 よろしいでしょうか,そういう御要望ということで。   それでは,どうぞ,宮野委員。 宮野委員 中期計画の3ページ,やはり20%の件で質問させていただこうと思います。   まず,20%と書くことによる誤解がないかなという気がします。この20%の対象となる,つまり上記各取組を行わなかった場合に必要となる総経費というのは,まだ実績としてないんですね,これ。支援センターは設立年度ですので,比較する対象はない。そして,最初,設立年度の予算,この総経費の見積りは,当然にここの効率化された前提でつくられているものであるから,これと比較されるものはないのではないか。この書き方としますと,取組を行わなかった場合,必要となる総経費はどの程度の内容のものなのか。つまり非常に甘いものなのか,厳しいものなのか,わかりません。   法務省の中でこれと類似の総合法律支援的な事業があって,そこでかかった経費があって,それと対比してというのであればそれを明確にして,それと対比して20%削減しましたよと,こういうふうな書き方にしてもらわないと,この20%というのはだれが正しいと言えるのか,なかなか言いづらいんじゃないか。そういうことで考えておりまして,20%削減じゃなくて,総経費の節減に極力努めるという表現にした方が,無難ではないかと,そんな気がちょっとしております。   そのような考え方でいきますと,中期計画予算の中の運営費交付金算定ルールのところ,α1について注記で書いてある表現を変えなきゃいけないんじゃないか。20%削減と,こう書いてありますけれども。そんなふうなことで,このあたりちょっと気になっているところであります。この件については以上でございます。 山本委員長 どうぞ。 釜井課長 それでは,私の方から御説明いたします。   御指摘のとおり,平成18年度の予算が約100億ちょっとになりますので,20%削減前の数字としますと130億というぐらいの数字になります。先ほどもお答えいたしましたが,厳密に,20%削減の前の姿が,例えば,法務省のこういう取組あるいは法務省のほかの機関の例に従って積算していけばこの数字になりますというものではございません。3ページの一番上のところにありますように,情報提供業務,民事法律扶助業務,国選弁護人確保業務,こういったものをばらばらに行った場合の経費自体も,情報提供という新しい業務もありますので,なかなか数字できちっと示しにくいところもあります。20%という根拠は何かという御指摘,ごもっともな面も確かにあるんですが,これは18年度の予算に関する折衝,具体的には法務省と財務省との間で昨年の早い時期からずっと経過があり,そういう過程で最終的に今年度の政府予算案が昨年12月にできて,そのままそれは認められておりますが,そのおおよその感覚ということになろうかと思います。20%程度と記載した部分の表現もこういう各取組を行わなかった場合にというような,仮定に仮定を積み重ねているところもございます。そのような仮定に基づくおおよその数字として私どもの方は承知しております。また,18年度の予算執行に当たってこの数字で削減していくということではございませんし,19年度以降,この数字が意味を持ってくるということではございません。中期計画予算の備考欄の注記のところに,平成18年度,平成19年度,平成20年度以降の予算の算定ルールがございます。平成20年度以降について,効率化係数のα2というのがあり,2年間で2%という削減がかかっているわけですが,それ以外にこのα1のような20%の効率化がかけられるということではございません。ここの部分の説明は,将来的に効率化を図っていく前提として,何より既存の独立行政法人とは違うというところをできるだけわかりやすく説明をしたいということで,法務省や関係機関とも相談しながら表現を工夫してみたところです。 山本委員長 どうぞ。 宮野委員 20%経費節減するということは非常にいいことなんですけれども,設立初年度ですので,まず,効率化という意味,この効率化の意味は費用対効果というもので考えなきゃいけないと思うんですね。初年度は20%削減したという費用の削減の方に重点を置き過ぎると,十分な総合法律支援の充実化が疑われるんじゃないかと,経費ばっかり節減するという,そこを打ち出すとですね。   ですから,そうじゃなくて,やはり効率化の意味は,費用の無駄な経費を削減するのは当然,だけど支出は増えてもいいんですよ,国民あるいは利用者の満足度が高まる,この制度の趣旨に従って満足度が上がるのであれば,支出は増えてもいいんじゃないかというふうに思います。そういう意味で,こういうのを表に出すと誤解されやしないかという,そういう懸念を持ちます。 小山参事官 認可に当たります法務省の方から御説明申し上げます。   宮野委員の御指摘はもっともでございます。ただ,釜井課長からも御説明がありましたが,独立行政法人の法制自体に一つの隘路というものがありまして,御承知のとおり,既存の独立行政法人,これは国立大学法人も含めまして,まさに宮野先生がおっしゃったような既にあるものを外に出しまして,そこで効率化を掛けてダイエットさせていくという部分がございます。   日本司法支援センターがこの独立行政法人の法制をとりましたのは,もちろんダイエットさせるためではなく,宮野先生がおっしゃったとおり,国民のためになる事業を全国で展開するためでございまして,当初から十分な予算を措置してあるというべきものでございます。   ただ,独立行政法人法制あるいはその前例にのっとった場合に,やはり本来であれば効率化係数を掛けるべきであるという議論は,政府部内であったわけです。要はその法制を利用した以上は毎年厳しくダイエットさせるという前例にのっとるべきではないかという議論が,この予算査定のプロセスの中でもあったわけでございます。   ただ,それは本末転倒というのは宮野先生がおっしゃったとおりでございますし,法務省としても同じ考え方でございます。だとすると,そうした効率化係数によるのではなく,この司法支援センターという法人が,設立当初に既に十分にスマートで効率的な形で世の中に出ているということを,何らかの形で明らかにしなければならないということになりました。 支援センターとしてもそこのところを踏まえて種々工夫した結果,こういう計画を作ってきていただいたと理解しております。ですから,法務省としてもこの部分は,こういう形で公表するのが相当ではないかと考えていることを御理解いただきたいと思っております。 山本委員長 よろしいでしょうか,宮野委員,今の御説明で。 宮野委員 はい,それでよいと思います。 山本委員長 そのような誤解が生じないように,センターとしても御配慮いただければと思います。 宮野委員 補足すればいいのかも,何かね。その辺を強調していただければいいかもしれませんね。 寺井理事 わかりました。 山本委員長 よろしく御配慮お願いいたします。   それでは,ほかに。   どうぞ,知久委員。 知久委員 民事法律扶助のところで少々質問させていただきたいのですけれども,4ページの2の①というところで,先ほどから迅速な援助を提供するという観点から見直しをされるということで御提案いただいておりますけれども,扶助制度は,すべてが代理援助ではなく,書類作成援助という方法もあるのは御存じだと思います。これは扶助制度だけの問題ではないのですけれども,司法書士は地裁事件は代理ができませんので,地方の裁判所では書類作成援助という形で扶助の申請をさせていただいております。ただ,中央におきましては,司法書士の書類作成援助では受け付けていただけないところも実際にございます。   ただ,この扶助制度というのは,そもそも申立人が代理援助・書類作成援助のどちらを選ぶかという視点にあると思います。ですから,その点をよく御検討いただきまして,全国的に同様な扱いをされていくということでありましたら,これは飽くまで償還を伴う制度でございますので,代理援助と書類作成援助ではその利用する方の償還する金額も違ってまいりますので,すべてが代理ということではなくて,そもそもの民事法律扶助の制度というものをきちんと把握していただいて,これが適正に運用されていくべきではないかというように考えております。少々オブラートに包んだような発言をして申し訳ないのですが,実際に司法書士が書類作成援助で破産の申立てをしましても,弁護士代理でなければ受け付けていただけないような実情も実際にはありますし,その反面,地方では司法書士が多数書類作成援助をしているという実情もございます。それは飽くまで申立人サイドにも選択権があるべきものではないかというところも御検討の中に入れていただきたいと,一応要望という形になりますが,御説明をお願いいたします。 佐川次長 現在の民事法律扶助におきましても,援助には代理援助と書類作成援助,それと法律相談援助の3種類があります。代理援助を選ぶか書類作成援助を選ぶかは審査会で決定するということに原則としてなっております。今,書類作成援助として申し込んでも,必ずしも受け付けてもらえない運用が一部で行われているのではないかという御指摘がございました。   私が今の時点で考えられることは,今の御質問に関しては2つございます。   1つは,特に破産の申立てに関連して,かなり各地の裁判所によって取扱いが異なっております。例えば東京地方裁判所では,原則として破産の申立てに関連しては弁護士の代理を求めるということになっております。   一方,東京以外の特に比較的規模の小さい裁判所では,弁護士の数が少ないということもあってか,むしろ司法書士の方の同行,つき添い等を裁判所の方からも要請される,そういう取扱いもあると聞いております。そういう裁判所での取扱いの差が,代理援助を選択させるか,書類作成援助を選択するかに多少反映しているという現実があると思います。   あともう1点は,現在の法律扶助協会の各支部は,大半が弁護士会の中に事務所を置いております。そうなりますと,審査委員の大半も弁護士ですし,司法書士の方が書類作成援助が適当と思われる案件を持ち込む際にも,かなりの心理的あるいは少なくとも自分の事務所からはかなり遠いところに法律扶助協会の支部があるというようなこともありまして,それらがバリアになっているということもあうかとも思います。   2番目の点は,先ほどのライン決裁方式のところで付言するのを失念しましたが,従来,大きな法律扶助協会の支部は,大半が申込者あるいは持ち込む弁護士,司法書士の方を審査会にお呼びして面前の審査をするということが多かったんですね。これは申し込まれる方,あるいは事件を持ち込まれる弁護士,司法書士,特に司法書士の方にとっては,支部が弁護士会の中にあり,そこに出向かなければならないということだと負担であるということも指摘されておりました。支援センターでは大半の支部が弁護士会とは別なところに事務所を設けることが予定されておりますし,書面による審査もかなり大胆に取り入れていくということを予定しておりますので,御指摘の後者の点についても,支援センターのもとでは改善されていくのではないかというふうに思っております。   以上でございます。 山本委員長 よろしいでしょうか。   はい,どうぞ。 宮野委員 中期計画予算のところ,別紙ですけれども,これはα2,α1とありますけれども,これは効率化係数のことだろうと思いますが,このα2の方,20年度以降についてのα2をかける場所が,その他一般管理プラスβ,ここです。つまりその他一般管理費のところにα2があるわけですね。これは事業経費の方にもα2は必要なのではないか,あるいは人件費にもα2が必要なのではないか,こんなふうなことを,ちょっと今,感じたところであります。そしてこのα2という効率化係数の意味について,これは決して先ほど申しましたような経費の節減だけじゃないんだよという,この制度の充実化のために必要なものであれば,プラスもあるんだよという意味での効率化係数の方がいいのではないかな。今,この意味ですと,経費節減だけのために使われているように感じとられるので,これを機に御検討をなさってはどうかなと,こんな気がしておるんですけれども。 山本委員長 どうぞ,釜井課長。 釜井課長 釜井でございます。それでは,私の方から御説明します。   まず,α2,効率化係数がその他一般管理費のみにかかっているという点なんですが,1つは,一般的に独立行政法人などでも効率化係数がかかる場合,もちろん事業にもかけるということもあるんでしょうが,できるだけ事務的な経費部分を対象として節約していくことが求められています。事業自体についても,効率化の努力はしなければいけないんですけれども,ここでのルールとしての計算の仕方としてはこういった例が多いようです。人件費の方にかかっていない点ですが,支援センターが新設の法人であるということがございます。ほかの独立行政法人などでは,現在の人件費,人員なりをスリム化しなければいけないという前提でその部分にも効率化係数がかかっておりますが,支援センターについては,その点が新規設立法人であるということでここは除外されています。これは昨年の12月に,国家公務員ですとか独立行政法人の人件費あるいは定員の5%削減というのが閣議決定されておりますが,その対象に支援センターは入っていないというところが,ここに反映しているというところでございます。   そうは言うものの,計画の中にもございますように,人件費あるいは事業費を効率化しなければいいということではもちろんございません。これはセンターの経営判断として,そういった効率化を図って,その部分を事業費に回すなり,積立金としたり,そこはその経営の努力によって効率化した分を有益に使っていく必要があります。   また,効率化が全面的に出過ぎて,サービスの質,充実の部分,そちらの方に悪影響を及ぼすのではないかという御指摘の点なんですが,そこはこの中期計画の全体として,まず充実のための措置に関する事項あるいは業務の質に関する事項というようなことでいろいろ記載しております。ここは,あくまでこういう運営費交付金算定のルールが,ほかの独法との横並びということもございますので,こういう形を取らざるを得ないというところです。そうはいっても,支援センターについて,これまで申し上げましたような様々な配慮をいただいておりまして,新規に立ち上げる支援センターとして,これから業務を充実させていく上で,こういう算定ルールをとったとしても十分対応できる形にはなっているのではないかというふうに考えております。   以上でございます。 山本委員長 よろしいでしょうか。   それでは,かなり時間も迫ってきましたので,そろそろこの中期計画につきまして御意見がおありであれば御意見をちょうだいしたいと思いますが,いかがでしょうか。   どうぞ,吉川委員。 吉川委員 吉川でございます。   2点ございます。   1つは,この2ページの一番下の方に,2,業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置というのがありますが,その上に(7)として受託事業という項目を設けていただいて,この受託事業についても,委託があった場合には法律の趣旨にのっとって委託に対応できるような体制を整備すべきであるというような表現を入れていただいたらいいかなと思います。   受託事業というのは,本来の支援センターの業務とはされておりませんが,法律の30条2項に,委託があった場合にはこれができるというところで書いてありまして,現在,法律扶助協会におきまして行っているいわゆる自主事業とも言っている事業の中には,できれば支援センターでも引き継いでやっていただきたい,どこかスポンサーがあって,そこから委託があればやっていただきたいなと思われるようなものもございますので,それについての言及があった方がいいのではないかということで提案させていただきたいと思います。   それからもう1点,これは小さな点でございますが,3の提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するため取るべき措置というものの中で,この職員研修というのが,これは(4)の犯罪被害者支援については,①で,職員に対し犯罪被害者支援に関する研修を実施するという表現があるのですが,それ以外の(1),(2),(3)についてはございません。これは当然のこととしてなさるんだろうと思いますが,注意的に(1),(2),(3)についても職員研修を実施するという表現があった方がよいのではないかなと思います。   以上でございます。 山本委員長 ありがとうございました。   そうしますと,今,2点の修文案といいますか御意見がございました。   まず,第1点としては,2ページに(7)受託事業というのを加えるべきではないかということです。申し訳ありません,吉川委員,もう一度その内容について。 吉川委員 特段の腹案はございませんが,例えば司法支援センターが総合法律支援法30条2項の定めるところにより事業を受託した場合には,受託の趣旨を踏まえ利用者の法的ニーズに十分対応するための体制を整備するといったような,これは全く一つの例でございますが,何かそんなような表現で受託事業についての言及を入れていただいたらどうかというふうに考えております。 山本委員長 という修文案の御提示がございました。   どうぞ,事務局。 小山参事官 吉川委員の御発言で,ちょっと委員の方に前提の事実の御理解をいただくべきかなと思いましたので,法務省の小山から御説明申し上げます。   総合法律支援法は,30条に業務の範囲の規定を置いております。参考資料で本日も配付させていただいております。   それで,この30条の1項にございますのが本来的な業務でございます。これは4ページの下からでございます。   5ページの方にまいりまして,5ページの下の方の算用数字の2のところ,ここにありますのが,先ほど吉川委員のおっしゃった受託事業でございます。これはここにありますように,支援センターは全国の業務のほか,これらの業務の遂行に支障のない範囲内で,第34条第1項に規定する業務方法書で定めるところにより,国,地方公共団体,営利を目的としない法人又は国際機関の委託を受けて,被害者等の援助その他に関し,次の業務を行うことができると。その委託に係る法律事務を契約弁護士等に取り扱わせることというものでございます。   したがいまして,総合法律支援法の規定上は,この30条2項の規定に基づきまして,今後,御審議いただく予定にしております業務方法書に定めることによって,この受託事業は行われることになっております。   以上です。 山本委員長 ということで,そうすると業務方法書が次回ぐらいなんでしょうか,質疑の対象になります。そこで多分具体的な受託事業が明らかになるということかと思いますが,吉川委員は,さらにこの中期計画の中にもその点を明確に書き込むべきだという御趣旨というふうに理解してよろしいでしょうか。 吉川委員 私の意図は,今,事務局の方から御説明がありましたように,当然,これは本来の業務ではございませんので,委託がなければもともとあり得ない業務でございますけれども,一応中期計画という中には,そういうものがあった場合も想定した言及があってもいいんじゃないかなということで,この中期計画という文章の意味合いの理解にもかかわってくるのかと思いますけれども,特にそういう言及があっても害はないのではないかというところで申し上げたわけでございます。業務方法書の方でそういうところがきちっと規定されるのであれば,それはそれでもいいかと思いますけれども。 山本委員長 どうぞ。 大塲次長 大塲でございますが,支援センターは,理事長を含めた執行部会でもその点については実は議論いたしました。これまでの法律扶助協会等におけるいわゆる自主事業,これについての重要性というのは非常に大事なものであるから,センターとしてもこの30条2項の枠で,まさに委託があったときにはいろいろ考えていかなきゃいけない,非常に重要なことであるということで一致しましたけれども,他方で法律の30条2項の仕組みからして,まさに吉川委員がおっしゃったように,受託した場合にはというか,そういった一つの前提がついてこそのものでありますので,この中期計画をつくるときにそういった前提つきのもの,あるいは条件つきのものを計画に載せるのはどうかなと,こういう意見も強くございまして,今,法務省の方から説明があったように,これは業務方法書の方で明らかにしていくという筋でもありますので,中期計画には載せない方がいいのではないかと,こんなふうになったのが結論でありまして,執行部会での議論の経過を御紹介させていただきました。   それとあともう1点,犯罪被害者の関係の研修であります。もちろんこの犯罪被害者に携わる職員の研修だけをやるわけではなくて,ほかの業務について携わる職員の研修もやりますが,私どもの頭の中には,御案内のとおり,犯罪被害者等基本法という犯罪被害者をめぐる施策の基本法ができていまして,これを受けて,犯罪被害者基本計画というのが昨年の末に政府で閣議決定をしております。そういったところでもいろいろ触れられているわけですけれども,犯罪被害者に接する人,職員,もちろん警察や検察,裁判所の職員もそうですし,この支援センターでも犯罪被害者支援業務というのがありますので,とりわけ犯罪被害者に接する人たちの研修,これは言わば非常に目立つような形で置いておきたいなと,こんなことがあったものですので,御指摘のとおり,ほかのテーマについての職員ももちろん研修いたしますが,ここは特に挙げさせていただいたと,こういう趣旨でございます。 山本委員長 いかがでしょうか,吉川委員。 吉川委員 そういうことは当然お気づきで御検討いただいているということであるようですので,受託事業については,業務方法書もいずれこの委員会にもかかるかと思いますので,そういうことであればそれで結構だと思います。 山本委員長 職員の研修の点についても,今のような御説明でよろしゅうございましょうか。 吉川委員 今のお答えが議事録にも記載されると思いますので,結構だと思います。 山本委員長 当然,研修はほかの点についてもされるという前提ということで,よろしいでしょうか。   それでは,ほかの点についての御意見がもしあれば伺いたいと思います。いかがでしょうか,よろしゅうございましょうか。   どうぞ。 田中委員 ほかの点について意見がもしないということであれば,前回も協議の最終段階で文章を読みやすく,わかりやすくするための修文に関する意見が出ましたので,措辞に関する瑣末な意見ということにはなりますけれども,若干触れさせていただきます。中期目標から今回の中期計画を定めるに当たって,1ページの総括の(1)の①のところに「国民への周知徹底を図るとともに」という文言が挿入されました。この趣旨は,①の全体を読みますと,それとなくわかるわけなんですけれども,ただ,文章的に見ますと,国民への周知徹底を図る対象は何かという部分が抜けているのかなという感じを受けております。例えば「その業務内容の」国民への周知徹底とか,何かそういう周知徹底の対象が,記載されていないためにややわかりにくくなっているのかなということがございます。この点が1つです。   それから,1ページの1(2)の①のところで,「平均68機関以上の相談窓口を有する機関」という言葉がございます。これは全国に地方事務所が幾つもあるわけですけれども,その地方事務所の中で相談窓口を有している機関というのが,全国的に平均すれば68機関以上ありますよということだろうと思います。ここにいう「平均68機関以上の相談窓口を有する機関」という書きぶりなんですが,「68機関以上の」という部分が一見「相談窓口を有する」というところに係るような表現になっているために,すっと読んだときに頭に入りにくいという感じがいたします。   したがって,私も妙案はございませんけれども,有するという動詞を名詞に変える工夫,例えば「相談窓口設置機関」とか,そういうような何らかの工夫があったらよろしいのではないかということでございます。   それから最後は,この上なく瑣末な指摘なんですが,今回,中期目標の文言で,「100%」を「すべて」というふうに直されたときに,常用漢字表の音訓欄に取り上げられていない漢字を使わないということで平仮名にされたんだろうと思いますし,そうであれば中期計画の方でも,例えば3ページの真ん中のあたりに「全て支援センターの設立業務開始当初から実施すべきものである。」という文章がありますが,この中の「全て」と表記されている部分を平仮名にして,常用漢字表の音訓欄にないものは使わないというふうに整合させておいた方が,最後に残る文章としては望ましいのかなという感想を持ちました。ほかの箇所にも出てまいりますので,しかるべく委員長の方で協議の上,対処していただければというふうに思います。 山本委員長 ありがとうございました。   最後,「全て」はすべてチェックして平仮名で「すべて」にするということだと思いますが,今,田中委員からの御指摘もありました。いずれも修文といいますか文言にかかわることでありますので,これは事務局と,それから支援センターにも御相談をして対処ということでよろしゅうございましょうか。 寺井理事 はい,そうさせていただきます。 山本委員長 それでは,それはそういうような扱いにさせていただきたいと思います。   ほかに御意見はございますでしょうか。--よろしいでしょうか。   それでは,今,最後に田中委員の御指摘があった点につきましては,修文案を考えたいと思いますけれども,内容的な部分については,本委員会としては法務大臣に対して意見はないと,基本的にはこのままで結構であろうという形にさせていただければというふうに思います。よろしゅうございましょうか。   ありがとうございました。   それでは,ここで支援センターの寺井常務理事の方から,委員の皆様にお知らせがあるというふうに伺っておりますので,寺井常務理事からお願いいたします。 寺井理事 本日はお忙しいところ,熱心で貴重な御意見を大変多くちょうだいいたしまして,ありがとうございました。もしよろしければ,委員の皆様に日本司法支援センター,法テラスに関する御理解をさらに深めていただけますように,改めてお時間をちょうだいいたしまして,法テラスの事務所の視察を兼ねまして,国選弁護の現状や法律扶助の現状,各業務に関する検討状況について御説明する機会をさらに持たせていただきたいと思いますが,いかがでございましょうか。もし御異存がないようでございましたら,私どもの方で改めて御連絡をしまして日程調整をさせていただきたいと思いますけれども,よろしく御検討のほどお願いいたします。 山本委員長 ありがとうございました。   大変有り難い申出かと存じますが,そのようなことでよろしいでしょうか。 (「異議なし」の声あり) 山本委員長 それでは,そういう機会を是非設けていただければ。よろしくお願いいたします。   それでは,残された点といたしまして,議題の(5)で,役員報酬規程等についてということですが,この役員報酬規程,退職手当規程について,支援センターから法務大臣に対して届出がされているということですので,その点について事務局の方から御説明をお願いします。 井上課長 役員報酬規程と退職手当規程の関係につきましては,昨日である4月17日付で法務大臣に対する届出がなされてございまして,大臣から本委員会にその旨通知がされたということになるわけでございます。   そこで,役員報酬規程等につきまして,資料4-1をごらんいただきたいと存じますが,この役員報酬規程,退職手当規程につきましては,法律48条が準用しております独立行政法人通則法に基づくものでございます。   この48条というのは,独立行政法人通則法を丸々準用しているものを網羅した条文でございまして,役員の報酬等につきましては丸々これを準用されていると。つまり一般の独立行政法人についての規範が日本司法支援センターにもかかっておるということでございます。   つまり独立行政法人の枠組みに従ってつくった日本司法支援センターでございますけれども,その特殊性があるものにつきましては,総合法律支援法に細かい特別規程が置かれておりまして,一般の独立行政法人の規程は,その他のいわば特殊性のない部分に適用されるわけですが,その中の一つとして,この役員報酬,退職手当があるわけでございます。したがって,そこに準用される通則法の規程をここに書いておいたということでございまして,役員の報酬等は,支援センターの業績が考慮されるものでなければならない等々の規範がございます。   この報酬規程等につきましては,2のところにございますように,その支給基準につきまして法務大臣に届出があったときには,法務大臣は評価委員会に対してその旨を通知いたしまして,評価委員会といたしましては,その報酬等支給基準が社会一般の情勢に適合しているかどうかについて意見を申し出ることができるということになっているところでございます。   そのような位置づけのものといたしまして,資料4-2,4-3にございます役員報酬規程と退職手当規程につきましての御意見の申出の要否につきまして御検討いただきたいところでございますが,何分届出が来たばかりでございまして,本日,その内容を審議するのは適当でないと思いますので,その内容につきましては,次回に御検討いただくことにいたしまして,本日は,この資料を配付するにとどめさせていただきたいと思います。 山本委員長 ということでございますので,この点についてはお読みをいただいて,次回の委員会で御議論をいただければと思います。   それでは,時間がまいりましたので,本日の第2回の評価委員会につきましては,この程度にさせていただきたいと思います。   次回の評価委員会につきまして,事務局の方から御説明をお願いします。 井上課長 次回の評価委員会につきまして,現在,日程を調整させていただいておりますが,おって事務局より連絡をさせていただきます。   次回の主要な議題といたしましては,1つは業務方法書,法律事務取扱規程,国選弁護人契約約款に対する認可についての御意見を伺うということ。   もう一つは,ただいま申し上げました役員報酬規程,退職手当規程につきましての御意見があるかどうかということでございます。   これらの議題についての御検討をお願いする予定でございますので,よろしくお願いいたします。   なお,本日の議事録の作成についてでございますが,前回と同様のやり方で,つまり事務当局におきまして原案を作成した上で,御出席の委員の皆様に内容を御確認いただいて,委員長が最終的に全体を御確認いただいて確定し,公表するという手順でまた作成したいと考えておりますが,よろしければそのように取り扱わせていただきます。   以上でございます。 山本委員長 それでは,以上をもちまして,第2回日本司法支援センター評価委員会を終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。   日本司法支援センターの皆さんもどうもありがとうございました。 -了-