日本司法支援センター評価委員会 第3回会議 議事録 第1 日 時  平成18年5月19日(金)  自 午前10時07分                        至 午前11時55分 第2 場 所  東京地方検察庁共用会議室(11階) 第3 議 題  (1) 出席者紹介  (2) 日本司法支援センターにおける業務方法書・法律事務取扱規程・国選弁護人の事務に関する契約約款について  (3) 日本司法支援センターの役員報酬規程・役員退職手当規程について  (4) 今後の予定について  議 事  山本委員長 ただいまから第3回日本司法支援センター評価委員会を開催したいと思います。   委員の皆様におかれましては,本日は御多忙のところを御参集いただきまして,誠にありがとうございます。   それでは,本日御出席の方々を御紹介させていただきます。まず委員につきましては,8名の御出席です。岡田委員,吉永委員が御都合により御欠席ということです。定足数である過半数という出席要件を満たしていることを,まず確認させていただきたいと思います。   続きまして,本日は前回に引き続きまして,日本司法支援センターから理事長,常務理事などの皆様にお越しをいただいております。   本日は,主たる議題として,業務方法書,法律事務取扱規程,国選弁護人の事務に関する契約約款等についてでありますので,この点についてはセンターの方から直接御説明をいただきたいというふうに考えておりますが,委員の皆様,そういうことでよろしゅうございましょうか。   それではそういうことにさせていただきたいと思います。なお,御出席いただいているセンターの方々,お手元の出席者名簿のとおりです。どうぞよろしくお願いいたします。   それでは,まず初めに,お手元の資料の確認をさせていただきたいと存じます。事務局の方から配付資料についての御説明をお願いいたします。 井上課長 それでは,資料の確認をさせていただきます。 (配付資料が,順次確認された。)   以上でございますが,そろっておりますでしょうか。 山本委員長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。   それでは,議題の方に入らせていただきます。本日の議題は,主に日本司法支援センターの業務方法書,国選弁護人の事務に関する契約約款,そして法律事務取扱規程についてとなっております。本日と,それから,来週火曜日に予定されております次回の会議との関係でありますが,本日は,まずこれらの支援センターの諸規則につきまして,事務局及び支援センターの方から御説明をいただきまして,その後,委員の方々から御質問をいただくことにしたいと思います。その諸規則に対する皆様の御意見につきましては,基本的には次回,来週の第4回の会議でいただくと。本日は,御説明と御質問という点を中心にさせていただきたいというふうに思います。かなりの御質問があるのではないかというふうに想定されますので,そのような形で進めさせていただいてよろしいでしょうか。   それでは,そういうことで,まず,これら諸規則の認可手続の流れにつきまして,事務局の方から御説明をちょうだいしたいと思います。 井上課長 資料1を御覧いただきたいと存じます。業務方法書等の認可手続の流れと題するチャート図がございます。本日,皆様方に御審議をいただきますものが,この業務方法書,法律事務取扱規程,国選弁護人の事務に関する契約約款,これらの認可申請に対する意見を伺うというための手続でございます。これら三つの書類は,後ほど詳しい説明があると存じますが,支援センターの業務についての基本的な取扱いにつきましての書類でございまして,それぞれ法律によって認可の対象になっておることが規定されておるわけでございます。   これら三つの規程類につきましては,支援センターの方で作成されまして,そのうちの法律事務取扱規程につきましては,その内容の特質にかんがみまして,センターに設けられた審査委員会というところで,既に検討,議決がなされたものでございます。これらにつきまして,5月17日付けで支援センターから法務大臣に対する認可申請がなされております。   そして,現在は,下から2つ目の枠の中にある位置でございまして,法務大臣から評価委員会に意見聴取の手続が行われておるというところでございます。なお,最高裁判所からの意見聴取と,契約約款につきましての財務大臣との協議,これは同時並行的に現在進められておるというところでございまして,これらの手続を経まして,法務大臣の認可,最高裁への通知,公表ということに進んでいくと,このような流れになるわけでございます。   以上です。 山本委員長 ただいまの御説明に関しまして,何か御質問等ございましょうか。手続的な点ですが,よろしゅうございましょうか。   それでは,中身の方の審議に入っていきたいと思いますが,まず,業務方法書,法律事務取扱規程,それから国選弁護人の事務に関する契約約款の内容全般につきまして,まとめた形で支援センターの方から,寺井常務理事に全体の御説明をお願いしたいと思います。   寺井常務理事,よろしくお願いいたします。 寺井理事 寺井でございます。日本司法支援センターの業務方法書,法律事務取扱規程,国選弁護人の事務に関する契約約款について,当評価委員会において御審議いただくに当たり,提出いたしました諸規則の案について,御説明申し上げたいと思います。   まず,本日はセンターからの説明に用いる資料といたしまして,幾つかの資料を配付しております。今,井上課長から一部御説明ありましたけれども,お諮りする規則が3種類あることに加えまして,規則の位置付けについても御理解をいただく必要があることから,資料が多くなってしまい,誠に恐縮でございますが,説明の折に適宜参照していただきたいと思います。若干,時間をいただくことになって恐縮でございますが,どうかお許しくださるようお願いいたします。   それでは,まず御審議いただきます諸規則の全体構造について,資料2の諸規則の全体構造と題した一枚紙の資料を利用しながら御説明申し上げます。今回,御審議いただく諸規則は,この資料のサブタイトルにありますとおり,業務方法書,法律事務取扱規程,国選弁護人の事務に関する契約約款の三つでございます。   この三つの諸規則は,いずれもセンターにおける業務の基本的な在り方を規定する重要な規則ですが,それぞれ規則としての位置付けや対象範囲が異なりますので,それぞれの規則の位置付けや相互の関係につきまして,御説明申し上げます。   まず最初の業務方法書は,独立行政法人などの法人において定められる業務の具体的な方法の要領を記載した書類のことで,法人が担う職務の公共的性格にかんがみ,業務の具体的方法について一定程度主務大臣の関与に係らしめる必要があることから,法人に作成が義務付けられるとともに,主務大臣の認可が求められているものであります。   こうした業務方法書の位置付けは,独立行政法人の枠組みに基づいて設立された法人であるセンターにおいても同様でありまして,センターは業務開始に当たり,業務方法書の作成を義務付けられるとともに,主務大臣による認可を受けなければならないとされております。業務方法書は,センターにおける業務の基本的な遂行内容を規定するものですので,センターが行う業務全般が規程の対象となります。   次に,法律事務取扱規程についての御説明ですが,業務方法書がすべての独立行政法人に共通する規則であるのに対しまして,法律事務取扱規程は,センターの業務内容の特殊性に根拠を持つセンター固有の制度であります。また,法律事務取扱規程について御理解いただくためには,これもセンター固有の制度である審査委員会制度について,御説明する必要がありますので,審査委員会につきましてもあわせて御説明させていただきます。   審査委員会についてでございますが,支援センターにおいてはほかの独立行政法人と異なり,弁護士や司法書士という法律の専門家と契約して,法律事務を取り扱わせるという特殊な業務を行いますので,その業務の遂行の上で,そうした法律の専門家の職務の独立性を確保しなければならないという特別な課題が課せられております。そこで,総合法律支援法は法定の内部組織として,契約した法律の専門家の職務の特性に配慮して判断すべき事項について,その職務の独立性を確保するとともに,判断の客観性を担保するため,第三者機関として審査委員会を設置し,支援センターが契約した法律の専門家に対して,契約上の措置をとる場合には,審査委員会の議決を経なければならないこととしました。支援法29条8項第1号であります。弁護士や司法書士が契約に違反した場合の契約上の措置は,本来であれば支援センターが契約当事者として判断すべき事項ではありますが,他方において弁護士等の職務の独立性にも深くかかわる問題でありますことから,この点に配慮し,他の独立行政法人などに例を見ない審査委員会という独自の組織制度を設けたものであります。   次に,法律事務取扱規程そのものについてですが,支援法は契約弁護士等による法律事務の取扱いの基準に関する事項や,契約に違反した場合の措置に関する事項などを定めるための規定として,法律事務取扱規程というものを設け,その作成及び変更に審査委員会の議決を経るべきことといたしました。いわば,契約上の措置をとる場合の実体的要件や,措置の具体的内容においても,審査委員会による公正かつ中立的な判断を経させることとしたわけであります。これによりセンターが弁護士等の法律専門職者と締結する契約において,遵守すべき法律事務取扱いの基準を設けたり,契約に違反した場合の措置について規定する場合には,法律事務取扱規程の定めるところによらなければならないことになります。   法律事務取扱規程は,弁護士等の職務の独立性に配慮して規定されるものですので,国選弁護だけではなく,民事・刑事を問わず,弁護士等の法律専門職者がセンターと契約して,法律事務を取り扱う場合全般が対象になります。   なお,本日お諮りしている法律事務取扱規程は,先日の審査委員会において全員一致をもって議決をいただいたものであります。   最後に,国選弁護人の事務に関する契約約款について御説明いたします。先ほども説明しましたが,センターはその業務として弁護士や司法書士などの法律専門職者と契約を締結し,一定の法律事務を取り扱わせることを予定しています。そしてこの際に締結する契約は,本来であればセンターがその業務運営指針等に基づいて策定すべきものであります。ところが,国選弁護人に支給すべき報酬・費用は,憲法等に基づく国民の権利を保障するための義務的な経費ですので,予算不足を理由に支出を拒むことができません。このため,センターが独自の判断で国選弁護事務の取扱いに関する契約を締結できるとなりますと,国はセンターが独自に決定した契約に基づいて支払う報酬・費用を義務的な経費として支払わざるを得ないということになります。そこで支援法は,必要な財政措置を確保しつつ,財政規律を維持するために,センターに報酬及び費用が事件に対応して定められる契約については,報酬・費用の算定の基準を含む契約約款を策定させ,法務大臣が財務大臣と協議の上で,これを認可することといたしました。こうすることで,一般の弁護士に支払われる報酬・費用が約款に定められた一定の基準に基づいて支出されるという仕組みを確保することができるからであります。   国選弁護人の事務に関する契約約款は,以上のような趣旨に基づくものですので,国選弁護以外の法律事務に関する契約,例えば民事事件に関する契約や,刑事事件でも,私選弁護に関する契約は対象にはなりませんし,国選弁護事務の取扱いに関する契約でも,スタッフ弁護士の契約のように,給与の支払いという方法によって法律事務の取扱いに対する対価が支払われる契約も,この契約の対象にはなりません。   なお,国選弁護人の事務に関する契約約款において定めるべき事項は,先に述べた趣旨からしますと,国選弁護人に支給すべき報酬・費用の算定基準が最も重要な事項ということになりますが,それ以外の事由,例えば契約の締結に関する事項や国選弁護人候補の指名・通知に関する事項,また契約に違反した場合の措置に関する事項も,契約約款に定めるべき事項となります。そして,これらの点については,センターにおける業務の基本的な遂行方法を規定する業務方法書の規定や,契約違反に対する措置等を規定する法律事務取扱規程の規定に基づいて,その内容が規定されることになります。   以上のような三つの規則の関係を図示した資料が,お手元の資料2であります。なお,同資料におきましては,これら規則の全体構造に加え,約款について契約を締結してから個別事件に関する具体的な権利義務関係が発生するまでの流れを図示しております。この図にありますとおり,契約締結から個別事件に関する権利義務関係の発生に至るメカニズムにつきましては,契約を基本契約と位置付け,これに基づく指名・通知によって個別事件に関する権利義務関係が発生するという法的構成を採用しております。これは基本契約の締結によって,国選弁護人を確保するとともに,個別事件については,迅速な手続によって権利義務を発生させる必要があるためです。   以上,諸規則全体の構造を説明させていただきましたが,続けて各規則の案としてお諮りしている内容について,順次説明させていただきます。   まず,業務方法書につきまして,その概要を業務方法書について資料3-1でございますけれども,1枚紙の説明資料にまとめておりますので,これに基づいて説明をいたします。   業務方法書に記載すべき事項については,まず支援法の34条が民事法律扶助業務,国選弁護関連業務及び第30条2項に基づく業務に関し,具体的事項を規定しているほか,法務省令において法定の記載事項のほか,他の業務に関する事項についても業務方法書に記載すべき旨が定められております。   また,独立行政法人において一般に規定されている事項については,センターについても規定する必要があります。そこでお手元に配付した案においては,情報提供業務,民事法律扶助業務,国選弁護関連業務,司法過疎地等における業務,犯罪被害者支援業務,受託業務につき,各業務ごとに業務の基本的な遂行方法を規定したほか,規定を要する業務委託の基準や競争入札に関する事項についても,所要の事項を規定いたしました。   もっとも,センターが予定している業務には,民事法律扶助業務のように,財団法人法律扶助協会による長年にわたる経験と実績の積み上げがある業務もあれば,情報提供業務のように,これまでに例がない新規の業務もございます。また,支援法においても,民事法律扶助業務や国選弁護関連業務については,業務方法書に記載すべき事項を具体的に規定する一方で,情報提供業務や司法過疎地等における業務,犯罪被害者支援業務については,そうした規定を置いておりません。   本日,御審議をいただく業務方法書案の規程ぶりにばらつきがあり,業務によって規定の細かさに大きな差があるのは,そのような事情を反映したものであることにつきまして,御理解をいただきたく思います。   次に,審査委員会において,議決をいただきました法律事務取扱規程につきまして,その概要を資料4-1,法律事務取扱規程の概要という一枚紙の資料に基づいて説明いたします。   法律事務取扱規程の記載事項につきましては,支援法第35条第2項が,1「契約弁護士等による法律事務の取扱いの基準に関する事項」,2「契約弁護士等がその契約に違反した場合の措置に関する事項」,3「その他法務省令で定める事項」を記載すべき旨を定め,さらに3について法務省令が,「審査委員会による調査に関する事項」,「審査委員会による審議の手続に関する事項」,「その他契約弁護士等に取り扱わせる法律事務の処理に関し必要な事項」を記載事項と定めております。   そこで,評価委員会に御審議をお願いしました案では,これら記載事項を中心にして章立てを行い,それぞれの事項について規定をいたしております。このうち,規程の中心となる「法律事務の取扱いの基準」第2章につきましては,弁護士業務に関する弁護士職務基本規程,司法書士業務に関する司法書士倫理が,それぞれの業務の規律に関する規範として定められていますことから,これらの規範,特に弁護士職務基本規程をベースとして,ここから一般的な倫理規定や受任に関する規定など,契約弁護士等に対する適用になじまないものを除外いたしまして,お手元の原案にあるような基準を策定いたしました。   基準の具体的内容につきまして説明いたします。   まず,第4条1号におきましては,契約弁護士等が基盤とすべき独立性の保持について定めております。   第2号から第5号までは,依頼者や被疑者・被告人との信頼関係の維持に関する基準を定めています。   第6号から第13号までは,事件処理への早期着手,なすべき調査,依頼者等への助言,預かった金員や物品の保管の在り方など,事件処理に関する基本的な責務を定めております。   第14号から第17号におきましては,特に国選弁護人の責務といたしまして,最善の弁護活動をなすべきことなどを定めております。   第18号から第20号においては,事件処理に伴う交渉の在り方などについて定めています。   そして第21号から第23号では,適正手続の実現,偽証等の禁止,訴訟遅延の禁止など,訴訟における基本的な規範を定めています。   次に,措置に関する手続ですが,第5章の審議の手続に関する事項におきましては,措置に関する手続の過程で,弁護士会,司法書士会といった法律専門職者団体に対し,措置手続に関する通知を行う旨が定められております。これは次のような理由に基づくものです。   審査委員会に付議される問題は,弁護士等の不祥事に関する問題ですので,日弁連等の法律専門職者団体においても,懲戒処分等の可能性を含め,対応について検討しなければならない問題と言えます。また,そうした法律専門職者団体における対応や検討の在り方は,審査委員会においてこの問題を審議する上でも,参考にすべき資料の一つと思われます。そこで,法律専門職者団体との連携の一環として,法律専門職者の規律維持に協力するとともに,審査委員会における議論を充実あらしめるために,このような仕組みを設けることといたしました。   このような通知は,措置の対象となる弁護士等にとっては,不利益な情報を他の機関に開示されることを意味します。そこで,この点に関する紛議を事前に回避するために,契約約款などの中に,こうした通知に異議を述べない旨の規定を設けています。   さらに,契約に違反した場合の措置については,一般の契約弁護士等の場合とセンターに勤務する弁護士の場合とに分けて規定し,いずれの場合についても,違反の程度と措置の程度が対応するように要件を書き分けております。   なお,法律事務取扱規程は,民事・刑事を問わず,法律事務取扱規程に関する契約全般が対象となりますし,国選弁護に限らず,センターのスタッフ弁護士が司法過疎地域において私選の刑事弁護事件を担当する場合なども対象となることを申し添えておきます。   最後に,国選弁護人の事務に関する契約約款案について説明いたします。約款の基本構造につきましては,先ほど御説明いたしましたとおり,約款に基づく契約を基本契約と位置付け,センターの指名・通知に基づいて国選弁護人に選任されることで,個別事件に関する具体的な権利義務関係が発生するという基本構造を考えております。   さらに,その具体的内容につきましては,資料5-1「国選弁護人の事務に関する契約約款の概要」でございますが,この1枚紙の資料で説明するほか,約款においては,特に報酬基準が重要でありますから,この点について別途「国選弁護人に対する報酬基準の概要」という資料で,御説明を申し上げたいと思います。   まず,約款において規定する契約の種類としては,1,事件ごとに報酬・費用が定まる普通契約,2,複数の即決被告事件について,一括して報酬・費用が定まる一括契約という2種類の契約類型を設けました。1の普通契約が,通常想定される契約類型ですが,即決被告事件につきましては,手続も簡易かつ類型的でありますことから,一括して処理することで効率化を図る余地があるものと考え,一括契約という契約類型を設けた次第です。   次に,報酬の支払方法につきましては,弁護士からの報告に基づいて算定し,不服があれば再算定を行いますが,金額はその段階で確定させるという方法をとっております。また,報酬基準については,できるだけ客観的な指標に基づいて報酬・費用を算定するよう基準を策定しております。報酬基準や支払方法をこのような方式にしましたのは,国選弁護人に支払われる報酬・費用は訴訟費用の一部をなすこととなるため,手続上,早期の確定が必要となるからです。そうしないと,訴訟費用の負担を命ずる裁判は確定したのに,執行しようとしても,その具体的金額がなかなか決まらないという事態を招いてしまうことになります。   なお,センターは弁護士からの報告に基づいて報酬・費用を算定しますが,その報告の真実性を担保するため,約款においてセンターに調査権が,また弁護士に調査に対する協力義務が定められております。   事件の終了から報酬・費用の支払いまでの流れを簡単に説明しますと,まず弁護士は事件終了から14日以内に報告書を提出して,報酬・費用を請求しなければなりません。報告書の提出がありますと,センターは5日以内に報酬・費用を算定して,弁護士に通知します。通知を受けた弁護士は,7日以内に不服の申立てができます。不服申立てを受けたセンターは,再度算定を行って,5日以内にその結果を通知します。これで支払うべき金額は確定し,弁護士は再度にわたって不服の申立てをすることはできません。   他方,センターは事件終了から報告書提出期限までの間に,報告書の提出を促す連絡を弁護士に行う予定でありますが,それでも報告書の提出が期間内に行われない場合には,当該弁護士及び弁護士会に期間が経過した旨を通知します。それを受けた弁護士がやむを得ない理由によって,期間内に請求できなかったという場合であれば,通知を受けてから7日以内に,その理由を疎明する資料を添えて,センターに報酬・費用の請求をすることができます。この場合に,期間内に請求できなかったやむを得ない理由があれば,この請求は通常の請求と同様に扱われ,算定の結果に対して不服を申し立てることもできます。   ところが,期間内に請求がなく,しかも期間経過の通知から7日たっても請求がない場合や,請求が遅れたことにやむを得ない理由が認められない場合,こうした場合には請求がないものとして取り扱い,報酬基準において最低限の報酬を算定すべきもの,あるいは報酬をゼロと算定すべきものとして定めています。   ただし,期間経過の通知を受けた弁護士会が当該弁護士に連絡を取ったところ,事件終了直後に急病に倒れ,あるいは事故にあって,到底請求手続をとれるような状態になかったということが明らかになったという場合には,センターは弁護士会からの資料に基づいて,その点を確認し,センターが調査したところに基づいて,報酬・費用を算定することになります。   なお,請求がなかった場合や,センターが調査して算定する場合には,不服の申立てをすることはできません。   続いて,報酬基準について御説明いたします。報酬基準につきましては,資料5-2の第1にありますとおり,1,弁護人の労力を反映させた客観的基準,2,手続の類型に応じた基準設定,3,費用の明確化という以上3点を軸に具体的基準を策定いたしました。その概要は,資料5-2の「第2具体的内容」にあるとおりです。   まず,労力の目安とすべき基本的な指標としましては,被疑者国選においては接見を,被告人弁護においては公判期日を用いました。これは,被疑者弁護においては被疑者との接見が,また被告人弁護においては公判における活動が弁護活動の中心になるからであります。こうした考え方に基づき,被疑者国選弁護については,報酬が接見の回数に応じて決定される算定基準を設定いたしました。また,被告人国選弁護におきましては,公判期日の回数に応じて,報酬が決定されますが,整理手続に付されない事件,つまり争いのない事件では,公判期日が3回までの事件については,それぞれの回数に応じた定額の報酬を定めております。これは,事件のほとんどは,3回以内の公判回数で手続が終了することから,計算の便宜のために回数ごとの定額という方式を用いたものです。もっとも,こうした事件でも4回目以降の公判期日については,公判期日ごとにその立会時間に応じて,報酬が加算されます。   これに対し,争いのある事件として整理手続に付された場合には,あらかじめ争点を整理し,第1回公判期日から充実した審理を行うことが予想されていることから,1回目の公判に対応した基礎報酬は設定しますものの,2回目以降の公判期日から立会時間に応じて報酬を加算することにいたしております。   次に,手続の類型に応じた基準設定ですが,類型分けの方法としては,罪の軽重,つまり事件の重大性,整理手続に付されたかどうか,事案の困難性という2つの要素に基づいて場合分けをしております。   まず,罪の軽重による分類としましては,即決事件,簡裁事件,地裁単独事件,地裁通常合議事件,そしていずれ裁判員対象事件となる事件でございます地裁重大合議事件という5つの類型分けをしています。   また,即決事件を除く他の事件については,整理手続に付された事件かどうかで類型を分けています。   こうした事件類型ごとに設定された基準の詳細につきましては,大判の資料になりますが,報酬基準の早見表として,資料5-3というA3版の資料を配付しておりますので,そちらを御参照ください。   最後に,費用の点につきましては,これまで様々な形で支払われた費用について,基準等を明確化してお支払することを考えております。   以上,御紹介した報酬基準を具体的な事件に当てはめたのが,資料5-2の裏にあります計算例でございます。   以上,お諮りをいたしました3点の規則について,その規則としての位置付けや,案の内容について,御説明させていただきました。よろしく御審議のほどお願いいたしたいと思います。ありがとうございました。 山本委員長 寺井常務理事ありがとうございました。   それでは,ただいまの御説明がございました3点の規則について,御質問をいただきたいと思います。一応,3点ございますので,業務方法書から順次御質問をいただければと思いますが,3点相互に密接にもちろん関連している部分もございますので,厳密にということではなくて,おおむねということですが,まず業務方法書につきまして,何か御質問ございますでしょうか。   吉川委員どうぞ。 吉川委員 業務方法書について,数点御質問をさせていただきます。   まず最初,やや形式的なことでございますけれども,9条3号に民事法律扶助の趣旨に適することというのが,扶助の要件として挙がっておりますけれども,これは具体的にどういう意味なのか伺いたいと思います。   それから第2点,これも形式的なことでございますが,審査委員があちこちでこれに関与することになっておりますが,審査委員は有給なのかどうかでございます。   それから第3点でございますが,民事法律扶助事件の申込みが非常に多数になって,当該年度の予算範囲を超えるような状況が発生したときは,どのように対応されるのか。この点について,業務方法書の第34条2項が規定しているように思うのですけれども,そこには基準という言葉が使われておりますが,これは大まかに言ってどのような基準でその援助の不開始決定をするのか。この点について伺いたいと思います。   それから第4点目,業務方法書の第71条4号と5号に,国選弁護関連業務について,勤務弁護士についての規定がございます。ところが,民事法律扶助関連業務については,勤務弁護士に関する規定がないように思うのですが,勤務弁護士は民事法律扶助の業務は担当しないんでしょうか。もし担当するとすれば,この点について業務方法書のどの規定でカバーされているのか。これについて,御教示いただきたいと思います。   それから5点目,この司法過疎地についての法律業務の規定が業務方法書にございますが,この司法過疎地の問題というのは,従来から非常に大きな問題になっておりまして,御承知のように日弁連が全国に確か61ぐらいの公設法律事務所を作っております。センターが開業した後,この日弁連の公設法律事務所との連携,あるいは業務の分担の仕方等については,どのように考えておられるのか。   それからこの79条3項で,過疎地における法律業務の対価の基準というようなものが出ておりますけれども,この公設法律扶助とセンターとの間で,この対価の基準を決めるについては,例えば日弁連と協議するような措置をとられる御予定があるのかどうか。その点について伺いたいと思います。   それから業務方法書について,これが最後でございますが,第6点目といたしまして従来法律扶助協会がいわゆる自主事業ということで,幾つかの業務を行っておりますが,この中には今回このセンターの本来業務の中に入らなかった業務がございます。例えば,被疑者国選については,一部は今度の被疑者国選の中でセンターの本来業務の中に入りましたけれども,それに入っていない部分がございます。また少年事件についても本来業務の中に入っていないものがございます。これらについて,例えば日弁連等から受託事業としてセンターにやってほしいという申出があったような場合には,これをセンターで引き受ける用意がおありかどうか。これらの業務というのは,従来,扶助協会がやっておりまして,もしこれがセンターによって引き継がれないというような事態が生じた場合には,扶助事業全体のレベルの低下ということにつながりかねないと考えますので,できれば前向きに受託事業として扱うように御検討いただきたいと思いますが,どのようにお考えなのか。   以上について,伺いたいと思います。ありがとうございました。 山本委員長 ありがとうございました。それではセンターの方から。 寺井理事 委員長,最初の1点から4点目までは民事法律扶助に関する御質問ですので,担当の佐川事務局次長を同席させておりますので,答えさせていただきます。5点目のひまわり公設との関係,自主事業の問題については田中事務局次長の方から御回答させていただきます。   それでは佐川さんからお願いいたします。 佐川次長 佐川でございます。私の方から業務方法書の民事に関連する御質問の1番目から4番目までにつき御説明したいと思います。   1番目は,業務方法書案第9条3号の援助要件のうち,民事法律扶助の趣旨に適することとは,具体的にどういう意味なのかという御質問だったと存じます。民事法律扶助の趣旨とは,資力の乏しい者の権利の実現を公的資金により援助していくという,民事法律扶助の目的やねらいのことでございまして,これに適することを援助要件の第3号に加えましたのは,他の援助要件,すなわち資力要件であるとか,勝訴の見込みに関する要件を満たしているにもかかわらず,援助しないことが正当とされる場合があることを想定しているためでございます。   具体的には,訴訟の目的が法律上・経済上の利益にあるのではなく,単に相手方への嫌がらせや自己宣伝,あるいは報復感情を満たすためだけにある場合,又は,例えば権利濫用的な訴訟など,社会正義や法に照らし扶助をするのが相当でない場合,さらに立替基準表が全く予定していない多額な費用を要するとき,又は費用対効果の観点から,扶助の実益がない場合,例えば極端な少額訴訟の場合などが該当すると,こういうことになろうかと思います。   2番目の御質問は,審査委員は有給かと,こういう御質問だったと承知しております。有給とする方向でございます。現在,支払方式,審査案件1件ごととする。あるいは審査1回ごとにお支払いするという支払方式,あるいは支払額をどの程度のものにするかなどを検討中でございます。   問い3は,民事法律扶助案件の申込みが非常に多数に上ったときの対応に関連する御質問だったと存じます。民事法律扶助は,運営費交付金による予算の範囲での執行が求められております。そこで社会情勢の変化などにより,当初の予測を相当数上回る申込みがあり,民事法律扶助の予算範囲を超え,財務状況がひっ迫することも想定されます。そういう場合に対応するために,理事長が定めた基準により不開始決定をすることができるとする業務方法書案第34条第2項を置いたものでございます。   なお,これと同趣旨の規定は,現在,民事法律扶助業務を担当しております法律扶助協会の業務規程にも置かれておりまして,破産申込みが急増した平成14年1月から,平成16年3月までの間に,基準を定めて援助の件数制限がなされたことがあります。この第34条第2項の具体的な基準としましては,資力基準を厳格なものとする。例えば一定期間援助対象者を生活保護を現に受けている方に限定するとか,あるいは援助対象を緊急性のある案件に限定するとかなどが想定されると思います。   問い4は,民事法律扶助関連業務では勤務弁護士による担当を予定しているのか否か,あるいはこの点に関する規定についての御質問だったと思います。勤務弁護士も民事法律扶助関連業務を担当いたします。民事法律扶助の場合,勤務弁護士は一般の弁護士と同様,支援センターと相談登録弁護士契約,並びに受任予定者契約などを締結し,法律相談援助あるいは民事法律扶助事件の代理など,民事法律扶助関連業務を行うことを予定しております。   審査の結果,援助開始決定がなされますと,被援助者,受任弁護士,支援センター間で三者契約を締結することになります。受任弁護士が勤務弁護士の場合,被援助者は立替金の償還に代えて,代理援助負担金又は書類作成援助負担金を支援センターに支払うことになります。このほかは,一般の弁護士が受任した場合と同じ内容になります。そこで,業務方法書案では,第5条第1号イ並びに第2号イにおきまして,立替えに代えて,代理援助負担金又は書類作成援助負担金を支払うことを約した者,すなわち被援助者のために,契約弁護士等,すなわち勤務弁護士により代理援助又は書類作成援助が行われることを規定しております。   また,第13条では,代理援助負担金及び書類作成援助負担金に係る決定,支払及び免除につきましては,代理援助及び書類作成援助に係る報酬及び実費の立替えの決定,立替金の償還及び免除に関する規定を準用するとの規定を置いております。   これが民事法律扶助業務に関連する勤務弁護士に係る規定でございます。   以上でございます。 寺井理事 その他の質問については,田中次長の方から答えさせていただきます。 山本委員長 よろしくお願いいたします。 田中次長 事務局次長の田中でございます。司法過疎対策業務,それと受託事業に関します御質問については,私の方から御説明をさせていただきます。   まず,司法過疎地におけるひまわり公設事務所との連携,業務の分担などについての御質問でございますが,日本弁護士連合会によるひまわり基金法律事務所の設置は,弁護士過疎・偏在を解消するために,弁護士から徴収した特別会費を財源としまして,平成12年から行っている事業でございます。弁護士過疎・偏在地域における法的ニーズに対応することを目的とする点で,この公設事務所の設置は,あまねく全国において法による紛争の解決に必要なサービスの提供が受けられるようにするための司法支援センターの司法過疎対策業務の趣旨と同じものでございます。   そこで支援センターの司法過疎対策業務を実施するに当たりましては,日弁連等による公設事務所の開設状況及び開設予定との関係を十分に検討し,地域的な重複を避けながら支援センターの業務の補充性を念頭に置いて,スタッフ弁護士の配置を効率的に行いたいと考えております。   なお,業務の分担につきましては,現状では特に検討しておりませんが,日弁連等による公設事務所と支援センターのスタッフ弁護士とが,それぞれ依頼のあった事件の処理に力を尽くすことによって,地域の法的ニーズに対応することになるものと想定しております。   また,これに関連しまして,司法過疎地におきますいわゆる有償業務の基準につきましての御質問にお答えをいたします。   支援法第30条第4項に定められる司法過疎地における有償業務に関する相当な対価の基準を決定するに当たりましては,日弁連等を通じて当該地域に比較的近い地域における弁護士等の報酬の実情を把握し,所要の検討を進める予定でございます。   続きまして,いわゆる受託事業に関連する御質問にお答えをいたします。支援法第30条第2項が規定しておりますいわゆる受託事業につきましては,委託者側から委託を予定する事業の内容や方法を具体的に御提案をいただいた上で,センターとして受託するかどうかを検討することになるものと思われます。   現在,日弁連あるいは法律扶助協会におきまして,従来,法律扶助協会が実施していた自主事業,約30種類あると伺っておりますけれども,それらをこの支援センターに委託し,この支援センターで受託することについて御検討いただいていると聞いておりますが,まだ本日現在のところでは,その委託,センターとしては受託になりますが,この点についての具体的な御提案をいただいているという段階には至っておりません。したがいまして,御指摘のありました被疑者弁護援助,あるいは少年事件に関する自主事業につきましても,今後具体的な御提案をいただいた段階で所要の検討を行うことになります。   なお,先ほど寺井理事から御紹介のありました法務省令によりますと,第1条第8項に,受託業務に関する規定が置かれておりまして,受託業務につきましては業務の名称,目的,実施方法,実施予定期間,実施地域,委託者から提供される経費等を業務方法書に記載すべき事項として定められました。そのため,今後センターにおきまして受託業務に関して具体的な検討が進んだ場合には,所要の手続を踏まえて業務方法書を改訂し,法務大臣の認可をいただくことになります。   以上でございます。 山本委員長 ありがとうございました。吉川委員,よろしゅうございましょうか。 吉川委員 一点だけ,先ほどの勤務弁護士との関係でございますけれども,特に民事法律扶助事件については,一般の弁護士に扶助事件として担当してもらうものと,それから勤務弁護士が担当するものとをどのように振り分けられるのか。この点について何か既にわかっていることがありましたら,お教えいただければと思います。すべてこれからの検討事項ということでございましょうか。 佐川次長 勤務弁護士の配置がどのようになされるのか,全体として数が当初の段階でどのようなものとして確保できるかなども,まだ確定的なものはございませんので,これからご指摘の点も含め検討させていただきたいと考えております。 山本委員長 よろしゅうございましょうか。それでは,ほかの委員の方,業務方法書について御質問があれば。   どうぞ,小林委員。 小林委員 今のお答えに関連してお聞きしたい点がございます。業務方法書の9条の3号について,いろいろ御説明をいただきましたけれども,民事法律扶助の趣旨に適することについて,どのようなものかということで,適しないものについての例をいただきまして,これについてはなかなか重要なことだと思いますけれども,後にどこかで書面の形で明らかにしていくという御予定でございますか。 佐川委員 この業務方法書に基づきまして,審査に関する細則であるとか,あるいは業務マニュアルであるとか,そういう形のものを策定する予定でございます。そういうものの中に例示としてこういう場合があるということで書き込むことも検討しております。 小林委員 ありがとうございました。 山本委員長 それではほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。またもちろん戻っていただいても結構ですが。   どうぞ,知久委員。 知久委員 72条の3項のところで,地方事務所において当該地方事務所の所在地にある弁護士会の所属弁護士から,申込みを受けるとここに明記されておりますが,弁護士偏在ということもございまして,その地方事務所所在地には少ないけれども,隣の地方事務所所在地には大勢いらっしゃる場合には,近隣からも申込みができるというような条項がなくて大丈夫なのでしょうか。 山本委員長 いかがでしょうか。 寺井理事 では石井課長。 石井課長 支援センター国選弁護課長の石井でございます。私からこの点につきましては回答をさせていただきたいと思います。   まず御指摘のございました業務方法書72条3項,こちらは契約を締結する際の手続に関する規定でございます。したがいまして,まず契約締結をするときに,どこに申込書を持っていくのかと,こういうことを整理したものでございます。御指摘の御懸念は,恐らく具体的な業務が始まって,国選弁護人の確保という段階でどのような形で選任がなされるのかという御指摘かと思いますが,当初の段階ではこのような形で地方事務所と所属弁護士会という対応関係で契約締結は行われますが,具体的にある事件について,どの範囲の所属弁護士に国選弁護事件をお願いをするかというのは,また別の話ということになります。   現在,最高裁において刑事訴訟規則の改正作業が行われているところでございますが,現在の規定を前提といたしましても,例えばある地域について国選弁護人が確保できないといった場合には,隣接するところから弁護士さんを確保するといったことが可能な規定になっております。したがいまして,契約締結段階ではこのような形で整理をいたしますが,具体的な国選弁護人の候補の指名に当たっては,そのような形が頻繁に起こるとは思いませんけれども,ある地域でなかなか確保することが困難であるということになれば,当然ほかのところから応援を呼んで,例えば隣接する弁護士会の所属の弁護士に事件をお願いをするということも想定をしております。   以上でございます。 山本委員長 知久委員,よろしいでしょうか。 知久委員 はい。 山本委員長 ほかに。嶋津委員どうぞ。 嶋津委員 業務方法書と直接関係あることではございませんが,先ほど予算の制約により法律扶助なり,あるいは法律相談援助等が制限されることがあり得るというお話もございましたけれども,私,全く素人として思うには,この司法支援センターをやることによって,法律扶助業務なり,あるいは法律相談業務をいわば充実させていこうというのが法律の趣旨だと思うんですね。したがって,そういうことは極力なくならないといけないのではないかという感じがします。   先ほどの法律扶助の趣旨に反するものをやっていただくということはないのですけれども,具体的に先ほど説明があったように,生活保護を受けている人ではないと法律扶助を受けることができないというような制約まで格好をつけることがあるとするならば,それはやはりそういうことが再発しないような予算的な措置もとっていただきたいと思います。現に今後の予算措置として,民事法律扶助あるいは司法法律相談援助の枠取りは,従来よりも相当充実されたものになっているのかどうか,そこを御説明をいただきたいと思います。 山本委員長 小山参事官どうぞ。 小山参事官 推進室の担当の参事官の小山でございます。予算の点につきましては,これまで法律扶助の予算につきまして,財団法人法律扶助協会に対する補助金額が逐次増加しております。それで,前年通年で45億円ぐらいの予算がございましたけれども,最終的にこの18年度の予算につきましても,前半の法律扶助協会の部分の予算で既に24億円の補助金を確保いたしまして,後半の10月以降の司法支援センターが業務を開始した後につきましても,それに対応する件数が実施できる運営費交付金予算を確保しております。   19年度以降になりますと,これはもう見積りの話になりますけれども,実際に支援センターが業務を開始いたしまして,その運用実績が出てくるということになりましたら,その運用実績を踏まえて,必要な予算を確保していくということになります。 山本委員長 よろしゅうございましょうか。 嶋津委員 法律相談援助もそうですか。 小山参事官 法律相談援助につきましても,同じ全体の枠の中でございます。これまで補助金額が増額されてきたのも法律相談援助に関するものを含むものでございます。 山本委員長 よろしゅうございましょうか。それでは引き続きまして,法律事務取扱規程の点でありますけれども,この点について御質問いただきたいと思います。   いかがでしょうか。吉川委員どうぞ。 吉川委員 一点だけ伺います。第3章の規定によって,契約弁護士等に対してとられた措置について,その当該弁護士等が不服申立てをする方法があるのか,ないしは救済を求める方法があるのか。この点について伺いたいと思います。 山本委員長 いかがでしょうか。 田中次長 支援センターの田中からお答えをいたします。   審査委員会の議決に基づきまして決定された契約上の措置は,支援センターにおける最終決定でありまして,これに対して不服を申し立てることはできません。法律事務取扱規程に基づく契約上の措置の対象となった弁護士が,その結果についてどうしても不服があるという場合には,その解決のために民事訴訟等の手続の利用を御検討いただくことになろうかと存じます。   支援法では,弁護士等の職務の独立性を確保するとともに,その判断の客観性を確保するために,第三者機関として審査委員会を設置し,支援センターが契約弁護士等に対して契約上の措置をとる場合には,日本弁護士連合会の会長推薦に係る弁護士委員2名を含む,計9名の委員をもって構成される審査委員会の議決を経なければならないこととされております。   このような慎重な制度設計に加えて,さらに不服申立ての制度を設けることは,法の予定するところではないと考えております。   以上でございます。 山本委員長 吉川委員いかかでしょうか。よろしいでしょうか。   ほかに,この法律事務取扱規程につきまして,御質問はいかがでしょうか。よろしゅうございますか。   それでは,この点もまたもちろん戻っていただいて結構ですが,それでは最後の点でありますけれども,国選弁護人の事務に関する契約約款でございますが,これについて御質問をいただきたいと思います。いかがでしょうか。   では,吉川委員。 吉川委員 一点だけ伺います。この国選弁護人のこの報酬算定基準については,非常にいろいろ御苦労をされた跡が見えるわけでございますけれども,将来,実際これを実施してみて,この基準に不合理な点が出てきた場合,あるいは物価水準等に照らして,この報酬の水準自体が不適当になったような場合には,当然この基準を見直すということがあるのだろうと想像いたしますけれども,この点についてちょっと確認をさせていただきたいと思います。 山本委員長 それでは,嶋津委員どうぞ。 嶋津委員 私も今の点について疑問を持っていた吉川委員のおっしゃるのと,全く同じ疑問を持っているのと,もう一つは国選弁護を行うという仕事というのは,大変な仕事だと思いますし,準公務みたいなものだと思うんです。公務員の給与ということについて考えると,全国地域によって相当な差を,特に昨年の人事院勧告では更に見直しをして,東京とその他の地域における公務員の給与について,差を設けているわけですね。一方,国選弁護の報酬というのは,全国一律でどんなところでも全く同じということでいいのかどうか。関係者の方の今の感じも含めて,お考えをお聞きしたいと思うんですけれども。 山本委員長 それでは,センターの方から。 寺井理事 田中次長から。 田中次長 支援センターの田中でございます。私の方から御説明をさせていただきます。   まず,従来の国選弁護に関する報酬の見直し,これまでの経過について若干先に説明をさせていただきたいと思いますが,今御指摘のありました人事院勧告なども参考にしながら,徐々に改訂を繰り返してきた経過であるというふうに承知しております。ほぼ毎年のように,日弁連から増額に関する要望が出され,国におきまして様々な情勢を検討され,据置き,あるいは若干減額という年もあったかと思いますけれども,長い年月の中で全体とすると徐々に増加する方向で見直しがされてきました。ほぼ毎年のように少しずつ増加するような傾向での見直しがされてきたと承知しているところであります。   今後,センターに国選弁護に関する運営主体が移行することになりますが,今後,予算との兼ね合いで様々な見直しの機会があろうかと思いますが,様々な関係機関と協議をさせていただきながら,必要な見直しをしていくものと考えているところでございます。 石井課長 センター本部の石井から補足して,特に人事院勧告,地域別の格差の設定に関連いたしまして,考え方を申し述べます。   まず,現在の国選弁護報酬がどのような形で支給されているのかという点について御紹介をいたしますと,現在は刑事訴訟法及び刑事訴訟費用等に関する法律に基づきまして,裁判官が相当と認めるところを判断をいたしまして,これに基づいて国選弁護人の報酬が決定されております。   その決定の指針としては,現在,最高裁の事務総局から一定の目安が示されておるところでございます。この目安につきましては,一律というか,一定の金額が全国に示されております。裁判事項でございますので,すべての統計をとったわけではございませんが,多くの場合,各地における差というのはそれ程ないというのが実務の経験でございます。そういたしますと,今時点ではそうした地域における格差というものは設定されていないというのが一つでございます。   もう一つ,弁護報酬につきましても,これも各弁護士がそれぞれ決定をいたしますので,正確な資料というものがあるわけではございませんが,先般廃止されたものではございますけれども,全国一律のような形で報酬に関する目安というものが定められておりました。   そうしたものを踏まえて,現在の報酬の在り方から引き続き,この基準を策定をするといった段階におきましては,現状を踏まえて各地における差というものを前提としない形で策定をしたわけでございます。御指摘のような形で動きがある,あるいは考え方があるということは承知をしておりますので,今後において何らかの考え方の見直すということが必要になった段階においては,御指摘のような点についても配慮をして,所要の検討を行っていかなければならないというふうに考えております。 山本委員長 どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 大体,お考えはわかりましたけれども,もう一つ加えて私の意見を言うとするならば,今回,今までは国選弁護人と今言ったように,国が決めていたと。国はある意味で,判断をする自由を持っているわけです。だけれども今度,支援センターがこれを決めるとなると,法務省や財務省からがんじがらめに縛られたような形で決めていくことになるわけですよね。   そういうことも含めて,業務方法書なり,そういうところにいわゆる国家公務員法の給与の規定に関して,あるいは地方公務員法にもありますけれども,経済情勢とか物価とか,その他の情勢に対応して,要するに情勢適応の原則といいますか,そういうものを業務方法書に定めておくべきではないでしょうか。それによってセンター自体が発意をするような形で見直しをしなければいけないとか,そういう規定を業務方法書,あるいは報酬基準の原則のところか,どこかにそういうものを書いておく必要がある。そうすることによって,この司法支援業務というのが将来円滑に行われるための一つの保障になるのではないかと思います。 山本委員長 いかがでしょうか。 寺井理事 その点に関しては,予算の性質の問題もありますので,大塲次長の方から考え方を説明していただけますでしょうか。 山本委員長 では大塲次長。 大塲次長 御指摘の御意見,ああそうかと目を開かされたようなところもあるわけでありますが,当初,我々が考えているものにつきまして御説明いたしますと,国選弁護人の関係では,まさにこの国選弁護人の事務に関する契約はセンターが国からの委託に基づいて行う業務であります。報酬の基準につきましても,こういった業務の枠組みを前提にいたしまして,法務大臣が財務大臣と協議の上で認可するという手続がとられています。もちろんこういった約款の変更の場合も同様の認可手続を要するというものでございます。   そうしますと,こういった基準につきましては,支援センター限りで何か基準の内容を変更するということはできない仕組みになっておりますので,この見直しを行いますよということを約款に書き込んで,契約した弁護士に対する契約上の責務とするというのはなかなか難しいのではないかと考えていたところでございます。   また,業務方法書につきましても,同じく法務大臣の認可を得ることとされておりまして,業務の具体的な執行方法を規定するものであるという理解のもとに,そういった見直していくと書くのはいかがかなと思ったのでございます。もちろん先ほどからありますような諸情勢,社会の諸情勢の変化に応じて,こういった報酬基準というのを見直していくということにつきましては,国選弁護人の確保あるいは国選弁護人の確保というものの責任主体である支援センターとしては,当然見直しというのは必要に応じてやっていくべきことでありますけれども,こういった規程類に書くことについてはどうかなということで書いていないと,こういう趣旨でございます。 山本委員長 いかがでしょうか。規則に書くのはなかなか難しいという御趣旨ですが。   どうぞ田中委員。 田中委員 具体的に言いますと,例えば,重大な事件あるいは特別案件と言われているような困難な事件などにおいては,やはり経験と力量,そういうものを備えたふさわしい方に密度の濃い弁護活動をしていただくことが望ましいわけですが,そういうような場合には,担当された方にそれ相応の報酬が支払われる必要があります。一方,ケースによっては,その経験ないし力量というものが不足しているためか,弁護活動が不活発であるといった事情があるために,減額を考えざるを得ないという場合もありますし,そういう場合であれば,それ相応の控え目な報酬を差し上げるのが相当であるということもあるかと思います。そういうふうに見てまいりますと,どうしても裁量というようなものが働かなければならない余地もあろうかと思います。   今回の規定ですと,弁護人の労力,手続の類型,費用の明確化を軸に据えた一律定額算定方式というような形になっておりますけれども,先ほど述べたような事情もありますので,これで全部処理していけるのかという点については,疑問がないわけではありません。かといって,実際に弁護活動を見ていない支援センターが,その裁量でどうやって適正な報酬を決められるのかという難しい問題もあろうかと思います。そういった問題がありますものですから,今後の報酬算定の運用面について,若干不安がないわけではありません。そこで,将来的にはこのような方向性も考えているというあたりをお示しいただければ,それはそれで得心がいくと,こういうふうに今のところは思っているわけでございます。 山本委員長 いかがでしょうか。 寺井理事 今,嶋津先生と田中先生が御指摘された点につきましては,センター側としても十分認識をしておりまして,これまで戦後長い間にわたって最高裁判所の管轄におかれ,各裁判官の裁量によって判断されてきた報酬の算定の仕方を,今度抜本的に改めるということになりましたものですから,一定期間これで実施してみまして,その結果を客観的に検証しなければならない時期が来るものと考えております。   ただ,先ほどから,大塲次長も申し上げておりますように,予算が法務省予算ということになっております関係と,業務方法書ないしは契約約款が大臣の認可にかかわる問題だということもありますので,センター自身が業務方法書や契約約款にそのことをあらかじめ書く性質のものかどうかということも考慮して,現在の段階ではこういう形にしております。一定期間過ぎた段階で,先ほど申し上げた検証をいたしまして,評価委員会の先生方の御意見を伺う機会をつくりたいと考えておりますので,よろしく御了承のほどお願いしたいと思います。 山本委員長 どうぞ,田中委員。 田中委員 今の点に関連して,業務方法書の規定に戻ることになって恐縮ですが,「国選弁護人の候補の指名及び裁判所に対する通知に関する事項」というのが第3款にありまして,その73条に,「センターは,裁判所等から,国選弁護人の候補を指名して通知するよう要請があったときは,遅滞なく,国選弁護人契約弁護士の中から,国選弁護人の候補を指名し,裁判所等に通知するための体制を整備する。」という基本規定がございます。この規定によって,当該事件を担当するにふさわしい経験と力量を有する人が,きちんと指名・通知されるという形で,刑事裁判が運営されていくのが非常に望ましいわけであります。それが今の報酬の関係にも若干つながってくるわけでございますけれども,この指名・通知の運用がしっかりと行われる枠組みが作られることが基本的には大変重要なことでありまして,そういう枠組みを作るために,センターの施策としてどういうことを考えておられ,あるいはどういうことを考えていくおつもりか,お聞かせいただければと思います。 寺井理事 現在の段階で考えていることについて,石井課長の方からお願いいたします。 石井課長 センター本部の石井からお答えをいたします。ただいま御指摘いただいた事項は,誠にセンターに課せられた大変重い責務であると考えております。この責務を果たすためには,センターがその持てる能力を最大限発揮をするということはもちろんでございますが,やはり日弁連,あるいは弁護士会からの御協力というものを,いかに得るかということもあわせて考えなければならないと思います。   この点につきましては,この業務方法書の中では,弁護士会の申出に基づいて様々な協力をいただいて,連携をきちんと確保しながら指名・通知業務の円滑化を図るということを想定しておるわけでございます。   具体的に申し上げますと,この業務の中核を成しますのが,一つは契約弁護士の確保でございます。ともかく数を確保する必要があるだろうということで,この契約の締結に当たっては,弁護士会の取りまとめをお願いをいたしまして,幅広く契約弁護士を確保する。これが第一の方策でございます。   続きまして,個別事件について円滑な指名・通知を行うための工夫として考えておりますのが,こちらの指名・通知用の名簿の作成でございます。これはあらかじめどのような事件が来ても,その受皿となる弁護士の態勢が,受ける弁護士がある程度確保されているという状況をつくるための工夫でございます。例えば被疑者国選弁護事件であれば,直ちに接見に赴いていただくということになりますので,これは各地において協議をし,決定いただくことではございますが,イメージとして申しますと,日ごとに担当する弁護士を決めておいて,その日に事件の通知があったものについては,受任をいただいて直ちに接見に赴いていただく。   また,特別に困難な事件が要請が来た場合には,経験のある,能力というと失礼ですけれども,知識・経験のある弁護士さんをプールした名簿を設けて,その中からしかるべき方を選出するとそういった手続をして参りたい。その核となるのは,この指名・通知用の名簿でございます。   今後,この具体的な契約の締結,それから指名・通知用名簿の編成等につきましては,各地の実情を踏まえつつ,適切なものを作成していくための具体的な準備にかかっていくというスケジュールを考えておりまして,その段階で個々の裁判官,裁判所等ときちんと協議をしながら,また弁護士会においても御協力をいただきながら,円滑な,しかも確実な業務が遂行できるように工夫を重ねて参りたいと考えております。   以上でございます。 山本委員長 よろしゅうございましょうか。 田中委員 はい。 山本委員長 それでは,田島委員お待たせしました。 田島委員 国選弁護の報酬基準の考え方について,質問させていただきたいと思います。私選弁護の場合には弁護の結果というもの,つまりこの判決内容というものが報酬を決定する基準として大きく影響しているわけですけれども,この国選弁護については,それが全く考慮されないのがなぜなのかということをお聞きしたいと思います。 山本委員長 いかがでしょうか。 田中次長 支援センターの田中でございます。国選弁護人に対する報酬に関しましては,様々な考え方があり得ると考えておりますけれども,今回の基準におきましては国選弁護人の活動,労力を算定の基本に置きまして,これに一部ではありますけれども,成果報酬的な報酬を付加するという基準を作成しております。これは法的な位置付けとなる国選弁護人には,結果を出してもらうこともさることながら,弁護人としてなすべき活動をきちんとしていただき,これを報酬面でも評価しようという発想に基づいております。そして,示談成立に関しましては1件当たり3万円,準抗告による勾留決定の取消しの場合について1件当たり5万円というように,接見回数や公判回数,時間といった指標では,必ずしも十分にその活動内容を評価できない特別成果があった事案については,報酬を加算するという基準にいたしました。   もっとも,この報酬基準を策定する過程におきましては,その基本的な考え方につきまして,日弁連と意見交換を行い,その中で日弁連からは示談成立,あるいは勾留決定の取消しによる釈放といったもの以外に,無罪の判決が出された事案について,特別成果加算を求める要望が強く寄せられておりました。そこでこの点につきましては,時間をかけて慎重に検討したところであります。   検討内容の概要を御説明いたしますが,先ほど申し上げましたとおり,公判前の整理手続につきましては,これは争いのある事件ということになりますけれども,第2回の公判期日から公判回数と時間に応じた公判加算がされますので,充実した弁護活動がなされた,それによって無罪の判決に至ったという事案につきましては,相応の報酬が算定できるのではないかと考えております。   また,結果として無罪となった事件におきましても,極めて例外的なことではありますけれども,必ずしも弁護人の活動によらない事由によって無罪となったケースも実際にあり得るため,無罪判決が下されたという一事をもって,特に評価すべき弁護活動がなされたというふうに,一律的に判断するということにもちゅうちょを覚えざるを得ないところであります。かといって,無罪の判断に弁護活動がどの程度寄与したのか,その点を評価して報酬を算定するということになりますと,その評価をだれがどのような枠組みで行うのかといった整理を要する様々な論点が浮かび上がってまいります。   こうしたことから,日弁連から大変強い御要望のあったところではありますけれども,無罪判決が下されたことを理由として特別成果加算をすることについては,なお慎重に検討するということにいたしまして,今回の基準においては,これを採用することは見送ったという次第でございます。   以上でございます。 山本委員長 田島委員,いかがですか。 田島委員 私は無罪の場合のみならず,実刑になるべきものが執行猶予になった場合など,弁護人の弁護活動は,要するに被告人にとってより有利な判決結果を得るというところに大きな主眼があるように思いますので,その辺のその成果についても反映できるような報酬の体系を整備していくべきではないかと考えておりますし,よい結果が出るためには,それなりの弁護活動があったであろうということが言えるかもしれませんが,能力のある弁護士が活動すれば,そのように手間をかけなくてもよい結果に結びつくということもありますので,優れた能力のある弁護士に国選弁護を引き受けてもらうようにするためにも,やはりそういう成果報酬的な考え方も取り入れるべきではないかと私は考えておりました。 山本委員長 この点はまた次回にも御議論いただくということになろうかと思いますが,ほかの委員の方,御質問ございますでしょうか。宮野委員,どうぞ。 宮野委員 区分経理のことについてお聞きします。   業務方法書で申しますと78条でありますが,ここで記載してあることは,本法の第43条と同じように,それぞれ勘定を分けて整理しなければならないと,同じような論調であります。どのようにしてこの区分経理するかというその方法論というのを,業務方法書では定められることがないのでしょうか。   例えば,区分経理については,別途規定を設けてやるとか,そういう経理規定集はあるのであろうと思いますけれども,そういう方法書ですから何かあってもよろしいのかなと思っております。 山本委員長 いかがでしょうか。区分経理について。 石井課長 センター本部の石井からお答えをいたします。   区分経理の点につきましては,こちらの業務方法書のほかに,本日配付をされております総合法律支援法施行規則,こちらは法務省令でございますが,その中に規定がございます。具体的には,こちらは15条共通経費の配付基準でございますが,ここに区分経理に関する配付基準が設けられておりまして,先ほどの業務方法書で区分経理をします。またその名称はこのような形で整理します。   それから法務省令の方では,このような形で区分経理に当たっての配付基準が設けられており,さらに,具体的な経理については,経理規定を設けて,その中で細かいものを規定していくというような構想で考えておるところでございます。   以上でございます。 山本委員長 よろしいでしょうか。 宮野委員 結構でございます。 山本委員長 ほかにいかがでしょうか。小林委員。 小林委員 先ほどから国選弁護人の報酬について皆様からも御質問が出ていますけれども,私も例えば資料5-2の2枚目ですけれども,現実にこのぐらいの金額になるというような事例が示されております。この金額で実際に国選弁護人になっていただきたい方が引き受けてくださるかどうかというところが,結局のところ問題になるかと思います。   現在,日弁連さんなどでいろいろ募集をかけていらっしゃるようですけれども,その集まり方などにかんがみて,果たしてこれでとりあえずは何とかいくかどうかという判断の材料が今どのようになっているか教えていただけますか。 山本委員長 いかがでしょうか。 田中次長 支援センターの田中からお答えをいたします。   国選の報酬基準のその水準の問題かというふうに考えますが,今回の報酬基準を算定する過程におきましては,この基本的な考え方,労力を反映した客観的な基準という考え方で整理したわけですけれども,この考え方をとるに当たりましては,日弁連との間で何度か意見交換をさせていただきました。その過程で細かい基準の金額について,逐一,御意見をいただいたというわけではございませんが,全体の予算規模に大きな限界がございますので,その限界の中で様々な工夫をしていく必要があるという考え方について何度か御説明をし,その考え方の根幹の部分については御理解をいただいているものと考えております。   また,最終的に作られた基準は,日弁連から御要望の強かった労力に応じた客観的基準という考え方を尊重して策定いたしておりますので,その点についても御理解をいただけるものと考えております。   なお,この金額,水準が,今回これから国選弁護人との基本契約を締結していただくに当たって,どういう見通しかという非常に厳しい御質問なわけでございますが,精一杯この趣旨を御説明をさせていただきまして,御理解を得たいと考えているところでございます。   以上でございます。 山本委員長 どうぞ,小林委員。 小林委員 今,どういう形か正確には承知しておりませんけれども,成り手を集めているところだと思うんですけれども,集まり方を御覧になって,あるいは承知していらっしゃるかどうかもわかりませんけれども,この金額が十分なものかどうかということをどのように評価していらっしゃるかをお聞きしたかったんですけれども。 山本委員長 どうでしょうか。 田中次長 実のところ,まだこの金額については今回この評価委員会で御検討いただくために細かいところまで御説明させていただく,これが初めての機会でございます。まだ対外的に詳細にわたって御説明をしたという段階には至っていないものですから,この受け取られ方ということもまだ十分に見通しが立っているということではございません。   ただ,全体のイメージで申し上げますと,即決裁判に代表されるように,新しい制度の導入によって従来とはやや違った手続になるという部分について,従来の事件類型に当てはめると,金額が少し下がるという部分がございます。   しかし,反面におきまして,かなりの程度の弁護活動,公判回数がかさんだ,あるいは長時間の期間を要した弁護活動が行われた事件について,従前,支払われていた国選弁護人の報酬よりも少し高めの報酬になるのではないかというシミュレーションをしておりまして,また示談が成立した場合について,3万円の成果加算ということをさせていただきますが,これについても従来では余り明確な形では反映されてこなかった新しいものでございます。   そうしたこの報酬基準の全体像を御説明していくことによって,一定の理解を得ることはできるのではないかなと感じているところでございます。   以上でございます。 山本委員長 よろしいでしょうか。それでは,よろしければ時間も迫ってきておりますので,最初に申し上げましたとおり,次回,来週の火曜日ですが,もちろんさらに引き続き御質問があれば,御質問をいただくということがあり,また委員の方々から御意見をちょうだいした上で,この三つの点についてのこの委員会としての意見というのを決定してまいりたいというふうに思います。   なお,次回御出席いただけない委員の方がいらっしゃるというふうに伺っておりますが,もしこの機会に何か御発言があれば,どうぞいただきたいと思いますが。吉川委員,どうぞ。 吉川委員 誠に申し訳ございませんが,次回23日は別の公務というようなもので,どうしても欠席ということになってしまいましたので,一言だけ発言させていただきます。   私は今日,質問の対象になった三つの諸規則については,これを承認することに賛成いたします。したがいまして,次回ではそのような意見を述べたということで扱っていただければと思います。   それと同時に,これは若干希望というか要望でございますけれども,問題はこういう諸規則がどのような書きぶりになっているかということよりも,むしろ今後これらがどのように運用されていくかというのが,非常に大きな問題だろうと思います。これは第1回のこの委員会のときに,私が申し上げましたけれども,恐らく今後,当センターが直面する大きな問題は,効率化ということと,質の確保ということとのバランスをどうとっていくかという問題ではないかと思います。今,この法律扶助,国選について,世界的にまさに効率化という観点からのいろいろな見直しがなされておりまして,特に法律扶助の先進国であるイギリス,年間4,000億ぐらいの国家資金が投じられていると聞いておりますけれども,そのイギリスでサッチャー政権以来,効率化,効率化ということで,今現在も含めて非常に大きな見直しがなされておりまして,これがいろいろなマイナスの副作用のようなものも生んでいるというふうに聞いております。   恐らく今後,当センターの中心になってやっていただく方々が法務省を通じてなると思いますが,財務当局と予算の折衝等をなさるんだろうと思いますが,その際,財務当局から当然効率化というものを求められると思いますけれども,その際,是非質の確保ということも強力に主張していただいて,そのバランスをしっかりとっていただくように御努力いただければと思います。   特に,刑事弁護は今後裁判員制度も発足して,本当に質のいい弁護活動がなされないと,この日本の司法制度全体にかかわってくる問題が生じかねないわけでございますので,このセンターがその大きな一翼を担うということを頭に置いていただいて,是非頑張っていただきたいというふうに思います。   これは蛇足でございますけれども,一言発言させていただきました。 山本委員長 ありがとうございました。大変重要な御指摘をいただいたかと思います。   それでは,本日議題として予定しておりました役員報酬規程,退職規程につきましては,時間の関係もございますので,これは次回に持ち越しといたしたいと思いますが,よろしゅうございましょうか。   それでは,これはまた次回に御審議をいただきたいと思います。   それでは,これで本日の第3回の評価委員会につきましては,この程度にさせていただきたいと思いますが,次回の評価委員会につきまして,事務局の方から御説明をいただきます。 井上課長 次回の委員会につきましては,既に本日の委員会と同じ機会に御案内をしてございますが,来週23日の火曜日,午前10時から12時までということで予定しております。場所は東京区検の5階ということで,ちょっと場所が変わりますけれども,本日と同じような入門証が必要になりますので,その御案内につきましても,前に書面でお知らせしてあるとおりでございます。   次回につきましては,委員長から先ほど整理していただきましたように,議題といたしましては,業務方法書等につきましての御意見を伺って,本委員会の意見を取りまとめていただきたいということと,次回に持ち越しました役員報酬規程等につきまして,意見を付するかどうかという点を御検討いただきたいということでございます。   また,議事録の作成につきましては,前回と同様,本日の審議内容につきまして,同じように作成して,最終的に御確認をいただいた上で公表していくという手順でやりたいと思いますので,よろしくお願いいたします。   以上です。 山本委員長 ありがとうございました。   それでは,以上をもちまして第3回日本司法支援センター評価委員会を終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。 -了-