法制審議会会社法制部会           第23回会議議事録 第1 日 時  平成24年7月18日(水)  自 午後1時30分                        至 午後2時57分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  会社法制の見直しについて 第4 議 事 (次のとおり)           議        事 ○岩原部会長 それでは,時間でございますので,法制審議会会社法制部会第23回会議を開会いたします。本日も,お忙しく,かつ,大変暑い中,御出席いただきまして,誠にありがとうございます。   まず,事務当局から,配布資料の説明をお願いいたします。 ○坂本幹事 それでは,御説明いたします。配布資料目録と部会資料26を事前にお配りしております。部会資料の内容につきましては後ほど御説明いたします。 ○岩原部会長 どうもありがとうございます。それでは,本日の御議論をお願いしたいと存じます。まず,部会資料26について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○坂本幹事 それでは,御説明いたします。部会資料26の要綱案の第1次案でございますけれども,これは,前回及び前々回の御審議を踏まえまして,「要綱案の作成に向けた検討」という表題を付けていた部会資料24及び25を修正して作成したものでございます。本日は,主に,この修正箇所のうち,内容を実質的に変更するなどした箇所を中心として御審議をお願いできればと思います。字句の修正などの形式的な修正も多数ございますけれども,そのような部分につきましては,御説明を省略させていただきます。 ○岩原部会長 どうもありがとうございます。よろしゅうございましょうか。   それでは,部会資料26の「第1 取締役会の監督機能」から始めたいと思います。まず,(前注)について,事務当局から説明をお願いいたします。 ○塚本関係官 それでは,「第1部 企業統治の在り方」の「第1 取締役会の監督機能」の(前注)について御説明いたします。社外取締役に関する規律については,これまで,一定の株式会社に一人以上の社外取締役の選任を義務付けることを御議論いただいてきましたが,部会資料26では,当部会における議論を踏まえ,事業報告における社外取締役に関する情報の開示の充実という観点から,公開会社であり,かつ,大会社である監査役会設置会社のうち,金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を提出しなければならない株式会社において,社外取締役が存しない場合には,社外取締役を置くことが相当でない理由を事業報告の内容とするものとしています。   さらに,上場会社については,不特定多数の株主が存在し,社外取締役による監督の必要性がより高くなり得ることを踏まえ,現時点においては,会社法施行規則において,(前注)のような規律を設けることに加え,上場規則において,上場会社は取締役である独立役員を一人以上確保するよう努める旨の規律を設けることが考えられます。 ○岩原部会長 どうもありがとうございました。この(前注)は,これまで,「第1 取締役会の監督機能」の1として,社外取締役の選任の義務付けとして取り上げていた論点でございます。部会資料26では,社外取締役が存しない一定の会社において,社外取締役を置くことが相当でない理由を開示するものとしております。また,これに加えて,上場規則において,上場会社を対象として,取締役である独立役員を一人以上確保することについての努力義務を定めることが提案されております。この点について御議論をお願いしたいと存じます。いかがでございましょうか。 ○静委員 この部会では,何度も,この点については発言をさせていただきましたけれども,上場会社に社外取締役の選任を義務付けるべきだという考えは変わりませんし,また,パブリック・コメントで寄せられた意見を拝見しましても,あるいは,部会の委員・幹事の皆様の御意見を伺っていても,大変多くの御賛同を頂いたことに心から感謝をしております。   しかしながら,議論を尽くしたものの,いまだに部会全体として義務付けについての合意が得られなかったということであれば,大変残念ではございますけれども,その事実を受け入れざるを得ないと考えております。部会資料26のほうでは,その代わりということで,上場ルールの手当てを提案されております。中身からいうと,独立性の高い社外取締役の確保に努めることを上場会社に義務付けるという案だと理解しておりますけれども,この案そのものは,そういう努力をすることが上場会社の当然の責務だということにつきまして,部会全体として合意が得られたということだと思いますので,部会での議論の重要な成果として,私としては,前向きに受け止めたいと思います。   その上で,一つだけ申し上げておきたいと思いますけれども,前回の部会で,神作幹事から,ドイツの取組ということで,まずは,ベストプラクティスを示して自主的な改善に委ね,それでも改善しなければ義務化をするという手法で,自主的な取組を効果的にしているんだという御紹介があったと思います。それと比べますと,日本は,やっとこれでスタートラインに立ったということだと思いますし,あえて言えば,今後の事態次第では次の手を打つという課題も併せて負ったということだと思いますので,このことを忘れてはいけないと私は思います。   最後に,お願いでございますけれども,今後,上場ルールによるこの仕組みの実現を進めるということであれば,要綱案自体でなくても構いませんので,何らかの部会の成果物の中に明文で要請していただけるようにお願いをしたいと思います。 ○前田委員 社外取締役の選任については,私も,静委員と同様,元々,選任を義務付ける案を支持しておりましたので,開示規制だけになってしまったのは残念ではあるのですけれども,ただ,開示規制でありましても,開示すべき内容次第では社外取締役選任に向けた方向付けになると思いますし,特に,今回の案では,開示すべき内容が,単に社外取締役を「置かない理由」ではなくて,「置くことが相当でない理由」とされておりまして,この文言は,合理的理由がなければ置かなければならないことを示す表現であると読むことができるように思いますので,社外取締役選任への方向付けに意義のある規律になるのではないかと思います。 ○三原幹事 今回までの検討結果は,この(前注)の形になったと理解しておりますが,元々,中間試案が公表されたときに,その補足説明の2ページ目に,社外取締役の選任の義務付けの根拠として,経営全般の監督機能及び利益相反の監督機能という,二つの機能が掲げられていました。特に,前者―経営全般の監督機能―については,議決権のある社外取締役の場合であるなら,経営評価機能もあるという評価があったわけでございます。そして,このような二つの機能があれば,経営者が監督を受ける立場になるという分析がありまして,そうして,経営者が監督を受ける立場になるということを誰が規律するのか,その機能をどう活用するのか,こういう分析があったわけでございます。そこで,確認でございますが,この経営監督機能,あるいは利益相反の監督機能ということにつきましては,今回の要綱案の変更によっても,これは否定されたわけではないということ,つまり,その機能の活用を,法律での社外取締役の義務付けではなくて株主監視の形で設定するという位置付けになったわけであって,監督機能自体が否定されたわけではないということを,ここで御確認を頂きたいと思い,発言させていただきました。 ○坂本幹事 今,三原幹事が御指摘になったとおりでございまして,社外取締役の機能というものを何も否定するものではございません。そういう機能があるということは,部会でも御議論いただいて,おおむね御異論がなかったところかなと理解しております。 ○三原幹事 その上で,でございますが,そういう監督機能を踏まえた場合,現在では(前注)とされている記述でありますが,これは,そもそも,法律で義務化をする範囲をどうするのかという中で,いわゆる始めの一歩論として対象を絞ってきたわけであって,そこでこの(前注)にある範囲を,監査役会設置会社のうちの公開会社,大会社かつ金商法24条1項の株式についての有報提出会社ということで絞ってきたわけですが,さて,その監督機能があるという前提に立ちますと,法律で義務化をするわけではないわけでございますから,例えば,大会社でない会社であっても,つまり,いわゆる新興市場で上場している会社であっても,こういった株主の監視を通じた社外取締役を置くことが相当でない理由を事業報告に書かせるかどうかということの範囲を広げるという可能性はあるように思うのですが,いかがでしょうか。それとも,ここはもう,この範囲になるということで確定しているわけでしょうか。ここについては,comply or explainであるという整理からすれば,広げる余地があるということは御議論させていただくということは可能なのでしょうか。 ○坂本幹事 もちろん,部会で御議論いただきたいということで,今回こういう開示規制を取り上げさせていただいているところでございますが,こうさせていただいているのは,社外取締役の義務付けが求められる会社こそが,むしろなぜ置かないのかということを説明することが求められる会社ではなかろうかということから,この範囲に限って示させていただいたということでございます。 ○安達委員 ベンチャー産業,ベンチャー業界を預かっている身の一人として,一言意見を申し上げます。今回のこの要綱案の第1次案を,まず評価したいと思います。先ほど静委員もおっしゃっているように,今後仮に要網案どおりに進むとしますと,取引所の規則,上場ルール等で更にいろいろな手当てがされると思いますが,あえてそれを先取りして,私の意見を述べたいと思います。前回,部会資料24で,B案の(注)にもあったと思いますが,例えば,株式会社の規模,上場後の経過年数,上場区分等に応じて対象を更に限定することについてというものだったと思います。正しくこれを上場ルール,上場規則で御議論いただければと期待します。ベンチャー企業にとって,成長段階に応じた規律が大切です。先に成立しました米国のJOBS法というのがございます。これは,SOX法及び証取法の一部緩和をする画期的な法律です。これを持ち出すまでもなく,新興企業の株式市場に対する非常にネガティブな意見も数々聞いております。これは,この数年間,結果としてベンチャー企業の海外取引所上場への動き,これを第1ラウンドとしますと,数々のトライ&エラーが起こってしまったことにも理由があります。今後,その動きが本格化する第2ラウンドが起きることが容易に予想されます。日本市場の相対的魅力の低下とか,コスト増とかという問題があって,こういうことが起こっているわけですが,日本のベンチャー業界における日本空洞化ということを防ぐためにも,是非,成長段階に応じた規律を御検討いただければと思っています。ありがとうございました。 ○上村委員 私も,前から,これは法律で義務付けるべきであるということを申し上げておりましたので,その立場からすれば遺憾だという感じであります。ただ,この案は,かなりくせ球という感じがしておりまして,要するに,今までですと,ただ,社外取締役を置きませんでしたで済むわけですけれども,努力義務があるにもかかわらず,社外取締役を置かないことが正しいんだということを天下に向かって堂々と発言するということですから,恐らく,多くのマスコミ等に一覧表なぞが掲げられて,議論の対象になると思います。恐らく,この間のリコール問題のトヨタのように,アメリカの連邦議会に呼ばれたりしますと,こんなことを言っているけれどもどういうことなのかということになりますと,恐らく大変なことになると思うんですね。私は,こんなことをしてまで社外取締役1名の強制に反対するのが経済界の強い意向だとしますと,それは,現在の状況あるいは世論に背を向けた態度だと思いますが,しかし,こういう形で世論の評価にさらされるプロセスが日本には必要だったのかなと思って,この後の推移を見ていきたいと思います。   それから,具体的な問題では,これも,前に申しましたけれども,取締役である独立役員を確保する努力規定,これは,有報提出会社で非上場会社の場合には,これは,上場規程ですから,努力義務がないということになりますけれども,有報提出会社と上場会社との違いは,タイムリー・ディスクロージャーがあるかないかぐらいの違いで,情報開示という点ではほぼ同じであります。意図的に開示を遅らせれば,これは,不法行為とか金商法の包括規定の適用もあり得るわけですから,したがって,本当を言いますと,非上場会社は努力義務があるけれども,有報提出会社には努力義務がないという辺りの矛盾はあろうかと思います。しかし,これも一歩踏み出したということかと思います。全体に余り積極的というわけではありませんけれども,こうしたやり方によって恐らく世論がいろいろな形で反応すると思いますし,それから,国会も,本当にこれで済むのか,自民党は,二人以上,複数選任せよと言っているわけですから,自民党が選任せよと言っているときに,民主党がしませんと本当に議会で言えるのか,そういう疑問もないではないですけれども,取りあえず,この時点では,岩原部会長の努力を多として了承したいと思っております。 ○岩原部会長 どうもありがとうございます。ほかに御意見等ございますでしょうか。 ○杉村委員 まず,(前注)にあります社外取締役を義務付けないということにつきましては,経済界として適切であると考えております。これまで申し上げてきましたとおり,これによりまして,引き続き,各社各様に,創意工夫の下に適正な実効性あるガバナンス体制を構築する努力を進めることができると思います。   ただ,開示に関しまして,社外取締役を置くことが相当でない理由を事業報告に記載するということは,実務を考えますと,どのように記載するのか,結構悩ましいところがあります。なかなか簡単ではないと思います。同じことか違うことか分かりませんが,むしろ社外取締役を置かないことが相当である理由を記載するほうが,素直であると考えております。   いずれにいたしましても,今回,部会資料26を頂戴してから検討する時間が余りなかったため,補足説明にあります,上場規則で取締役である独立役員を一人以上確保するよう努める旨の規律を設けるということも含めまして,部会資料26でまとめていただいた内容につきましては,改めて詳細に考えさせていただきたいと思っております。 ○伊藤委員 以前から申し上げているとおり,社外取締役の選任は,コーポレート・ガバナンス強化の一手段にすぎない,各企業が自社に最適な制度を構築する中で,自主的に採用してこそ意味があると考えております。今回の要綱案の第1次案では,社外取締役の法律での義務付けを行わないということについては,前進したものと考えております。一方で,今回の提案の中で,社外取締役を置くことが相当でない理由を開示することになっているが,私も,杉村委員と同様の懸念を持っているということを申し上げます。 ○岩原部会長 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,ただいま,かなりの委員・幹事の方から御発言いただきまして,いろいろ評価も頂き,格別の強い御異論はなかったかと思いますが,何人かの委員の方がおっしゃいましたように,もう少し検討してほしいというお話もございましたので,最終的な結論は,次回の部会で取りまとめさせていただくということにさせていただきたいと思いますが,よろしゅうございましょうか。   それでは,そのように取り扱わせていただきます。なお,上場規則において努力義務を定めることについて,事務当局から御説明があります。よろしくお願いいたします。 ○坂本幹事 先ほど御説明させていただきましたとおり,部会資料26では,社外取締役に関する規律について,会社法施行規則で開示を充実するとともに,上場規則において取締役である独立役員を確保することの努力義務を設けることを提案させていただいております。仮に最終的にこのような努力義務ということでお取りまとめいただいた場合,上場規則に関することでございますので,これを要綱案に記載するということは相当ではないと考えてございます。これにつきましては,先ほど静委員からも御指摘いただいたところでございますけれども,部会の皆様に御了承いただけましたら,部会における御議論の結果として,その内容を附帯決議という形で取りまとめさせていただければと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。仮に,このような内容で御了承いただいた場合の附帯決議の案につきましては,本日の御議論も踏まえまして速やかに作成させていただいた上で,できれば次回の部会の前に皆様にお示ししたいと思っております。 ○岩原部会長 ありがとうございます。以上,御説明いただきましたような形をとらせていただきたいと考えておりますが,よろしゅうございましょうか。   それでは,そのように扱わせていただきます。   次に,第1の「1 監査・監督委員会設置会社制度(仮称)」に移らせていただきます。(1)から(7)までを一括して,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○塚本関係官 それでは,「1 監査・監督委員会設置会社(仮称)」について御説明いたします。変更点につきまして,まず,「(3) 監査・監督委員会の構成」の末尾に記載しておりました,常勤の監査・監督委員の有無等に関する情報開示を内容とする(注)を削除しております。これは,そのような情報開示に関する規律を設けるということには変更ございませんが,会社法ではなく会社法施行規則に定める規律であり,法務省令に定める事項は,原則として要綱案には載せない予定でございますため,削除したものでございます。   次に,「(6) 監査・監督委員会設置会社の取締役会の権限」の③におきまして,代表取締役として選定されるべき取締役から監査・監督委員である取締役を除く旨の括弧書きを新たに付しております。これは,「(3) 監査・監督委員会の構成」の③におきまして,監査・監督委員が監査・監督委員会設置会社の代表取締役―この③では,業務執行取締役と記載しております―を兼ねることを禁止しておりますが,監査・監督委員である取締役を代表取締役に選定することができないという点も規定上明らかにする趣旨のものであり,規律の実質を変更するものではございません。   そのほか,「(7) 監査・監督委員会設置会社の登記」の④などにおきまして,技術的事項などについて若干の修正をしております。   なお,この新しい機関設計の呼称につきましては,引き続き検討中でございます。 ○岩原部会長 どうもありがとうございます。前回の会議では,幾つかの御意見を頂きましたが,基本的な方向性としては,部会資料26にある内容を支持される御意見が多かったと理解しております。変更点は形式的なものでございますが,(1)から(7)までを一括して,何か御意見等ございますでしょうか。 ○三原幹事 先ほど事務当局から常勤に関する(注)についての御説明がありました。これが削除された理由を御説明いただきまして,ありがとうございました。我々も,そういう御対応ということであれば,特に削除について異論を申し上げるつもりはございません。ただ,常勤の監査の点につきまして何度か議論させていただいた中でよく分かったことは,これは,人が監査をしていくシステムではなくて,監査する役よりは監査させる役という御説明があったとおり,内部統制システムを通じた組織的な監査が前提になっている制度であると承りましたし,したがって,常勤者は要らないということでございました。それを踏まえますと,この制度が構築されるということは,決まったわけでございますが,この名称はまだ1回も議論がなされていないわけでございますので,是非,仮称ではなくて,具体的な名称を,これは,蛮勇を振るってあえて御叱責と御批判を受けることを覚悟した上で私の個人的な案を申し上げることをお許しいただけるのであれば,例えば,「内部統制委員会」というような形のものを考えるということもあるのではないかと思いました。なぜこう申し上げたかというと,これは,新しい制度でございますので,アナウンスメント効果がございます。監査・監督委員会というものが仮称なのは,監督委員という用語が会社法の清算についての527条以下にあります。それから,監査委員というのも委員会設置会社にありますので,実際にこれらの用語は既に概念と定義を持って存在しているわけでございますので,恐らく,このまま,監査委員も監督委員も用語としては重複して使えないと思われます。では,監査・監督委員会というふうな名前のままなるのかというと,これもよく分からないことでございますけれども,根幹に当たるのは,恐らく,内部統制システムを使った組織的なシステム監査ないしモニタリング制度という御説明でしたので,それならば,名は体を表すと言うような形で,つまり,この新しい制度に意義を付与するという意味で,例えば,私が勝手に申し上げましたけれども,内部統制委員会という,英文であれば,インターナル・コントロール・コミッティーということで考えることも,例えばですが,あり得るかと考えた次第です。もちろん,これは,それに決めるということではなくて,議論の出発点として申し上げたまでであり,これもまた,始めの一歩でございます。こういう御議論は,恐らく,ここで,まず,ある程度御意見を頂いた上で,その上でしかるべく法務省の皆様方にお考えいただくというのがよろしいのかなということで,あえて御批判を受ける覚悟で勝手な意見を申し上げました。すみません,よろしくお願いします。 ○太田委員 先ほど,常勤の(注)が削除されたことについては,御説明があったとおりですし,今,三原幹事からもあったとおりですが,この項目に実は限らないと思いますが,中間試案に記載され,あるいはこれまでに,この部会で事務当局等から提案をされまして,部会において,施行規則で取り扱うというコンセンサスが得られているのではないかと思われるような事項があって,なおかつ,それが要綱案には必ずしも記載されていないというような項目が幾つかあると思います。例えば,株式会社の業務の適正を確保するために必要な体制について,その運用状況の概要等,事業報告の内容に追加する,あるいは,監査を支える体制,監査役による使用人からの情報収集に関する体制に係る規定の充実具体化,これらは,いずれも,中間試案に記載されていたものです。また,大規模第三者割当てによる募集株式等発行に関しての株主への通知に監査役等への意見を含めること,これも,中間試案に書かれているものです。こういった個別の項目について,今回の要綱案に記載されていないのは,先ほど御説明があったように,それは,施行規則で取り扱うという前提で書かれていると,こういうふうに理解しておりますが,それでよろしいんでしょうかという確認をしておきたいと思います。 ○坂本幹事 この部会におきまして,これは規則で規定してはどうかということを挙げさせていただいて,部会でも御異論なく,そういう方向で構わないという御了解を頂いたものにつきましては,全て規則で定めさせていただくという前提でお考えいただいて結構かと思っております。 ○岩原部会長 よろしいでしょうか。ほかに何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。   それでは,この第1の1につきましては,特段の御異論がないと理解させていただき,部会におきまして,御了承いただいたと扱わせていただきたいと存じます。   それでは,第1の「2 社外取締役及び社外監査役に関する規律」について,(1)から(3)までを一括して,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○宮崎関係官 それでは,「2 社外取締役及び社外監査役に関する規律」について御説明いたします。まず,「(1) 社外取締役等の要件における親会社等の関係者等の取扱い」でございますが,親会社等の関係者でないこと及び兄弟会社の関係者でないことを社外取締役等の要件に加えることについては,御異論もございましたが,部会資料26では,そのような見直しをするものとしています。「① 親会社等の関係者の取扱い」については,親会社等の定義に関する(注)を加えたほかは,形式的な修正のみでございます。「② 兄弟会社の関係者の取扱い」については,子会社等の定義に関する(注)を加えた上で,親会社等の子会社等の関係者でないことを社外取締役等の要件に追加するものとしております。そのほかは,形式的な修正でございます。「③ 株式会社の関係者の近親者の取扱い」については,重要な使用人の近親者でないことを社外取締役等の要件に追加するものとしているほかは,形式的な修正のみでございます。以上のほか,部会資料24では,重要な取引先の関係者の取扱いを取り上げておりましたが,仮に,社外取締役等の要件に株式会社の重要な取引先の関係者でないことを追加するものとする場合には,重要性の基準につき明確なものとする必要があるところ,様々な株式会社に一律に適用される,そのような形式的基準を会社法上設定するのは困難でありましたことなどから,(1)におきましては,社外取締役等の要件に重要な取引先の関係者でないことを追加するものとはしておりません。   「(2) 社外取締役等の要件に係る対象期間の限定」及び「(3) 取締役及び監査役の責任の一部免除」につきましては,形式的な修正のみでございます。 ○岩原部会長 どうもありがとうございます。この点は,(1)に関し,特に,社外取締役等の要件における重要な取引先の関係者の取扱いについて,大きく御意見が分かれておりましたが,ただいまの事務当局からの御説明にありましたような経緯で,この点は,見直しはしないものとしているのがこの部会資料26でございます。また,(2)及び(3)は,おおむね御異論がございませんでしたので,部会資料26のような方向で,要綱案の内容とさせていただきたいと存じております。この点いかがでございましょうか。 ○静委員 何度も申し上げているのでしつこいかもしれませんけれども,重要な取引先を社外役員から除外するのは世界共通の常識なので,今回それができないということについては大変残念です。ただ,最近の様子を見ておりますと,仮にこれを会社法を改正してまでやらなくても,少なくとも,上場会社については,近いような効果が得られるのではないかという,そういう動きが出ているとも思います。二つほど申し上げますと,一つは,まず,以前御紹介しましたけれども,直近の私どもの制度改正で,上場会社は,社外役員との取引関係について,仔細なものであってもあるかないかという有無と,その概要を開示していただくということにしてありますし,それから,どうも,今朝の新聞によりますと,上場会社の4割が既に取引関係の情報を,取引所を通じて開示するだけではなくて,株主総会用の参考書類にも記載して議決権行使に使いやすいように工夫しているという記事が出ております。二つ目の理由として,機関投資家も,オリンパス事件で取引先出身者の社外役員の独立性が大分注目されたことを受けまして,かなり厳しい目で議決権行使をするようになっているということが度々報道されております。この後者について,特に,この部会でいろいろな議論をしていたことが少なからず影響を与えていると思います。会社法での手当てができないのが残念ではありますけれども,あるいは,それが全くできないとすれば,そういう実態は残念を通り越してちょっと恥ずかしいぐらいだと思いますけれども,そうは言いましても,この部会での議論が一役買うといった形で事態の改善が期待できるようになったとは思いますので,今回は,形よりも実を取ったと考えて,私は,この結論を受け入れたいと思います。 ○前田委員 社外性の要件として,重要な取引先という要素を法定の要件に盛り込むことは困難だと思いますので,私はこの案に賛成なのですけれども,それに対する手当ての一つとして,例えば,冒頭のところで,事業報告で開示を充実するという提案がされ,そして,社外取締役を選任しない場合は置くことが相当でない理由を開示させることになっていますけれども,それに加えて,選任する場合について,社外取締役の独立性に関する基準又は方針の内容があれば,それを開示させるということは考えられるのではないでしょうか。個々の社外取締役の独立性については,既に事業報告で相当詳しい開示が要求されているところですけれども,今回,社外取締役の設置・不設置に関する開示の充実の一つとして,独立性に関する会社の一般的な基準あるいは方針を開示させることには意味があるのではないかと思います。有価証券報告書等では,既に,独立性に関する基準又は方針の内容を開示すべきことになりましたけれども,これを直接開示の対象にしてはどうかということです。開示すべき具体的な内容は,あるいは施行規則のほうで定めることになって,現段階では詰めて考えるべきことではないのかもしれませんけれども,少し御検討を頂ければと思います。 ○坂本幹事 御意見ありがとうございます。独立性の基準ということではございますが,会社法では,社外取締役ということで規定しており,社外取締役の要件としては,今回一定の方向で要件を厳しくするということにさせていただいているということでございますが,更に,独立性の基準の開示を施行規則で定めるとなると,それが会社法の規律になじむのかという問題もあるのかなと思います。 ○伊藤委員 「① 親会社等の関係者の取扱い」について,申し上げます。私も,何度も申し上げているんですけれども,親会社の関係者は,子会社の価値を向上させる知識もインセンティブも有しており,一律に社外役員に就任できないという規律を設けるべきではないと考えております。特に,前回申し上げたとおり,社外監査役の要件に,親会社等の監査役でないことを付け加えるということは,企業実務への影響が大きく,これは,反対させていただきます。 ○荒谷委員 重要な取引先の関係者を除外したことは,大変遺憾に思っておりますが,これまでの部会での議論の経緯等を考えると仕方がないのかなと思います。   1点確認をさせていただきたいのですが,「(3) 取締役及び監査役の責任の一部免除」のところですが,内容自体は,問題ないと思いますけれども,(1)と(2)では社外取締役等の要件について書いてありますが,(3)になりますと,社外取締役か否かに関係なく,会社は取締役等との間で責任免除契約を締結することができることになっております。確か,部会では,社外取締役を選任している会社に限って,この要件が当てはまるという議論をしてきたと認識しているのですが,そうではなくて,社外取締役を置いていない場合についても,取締役等の責任の一部免除の規定を盛り込むという趣旨なのか,その点について確認させていただければと思います。 ○坂本幹事 今となっては,この(3)がここにあることが果たして論理的にどうだろうかという御指摘はあり得るかなというところがありますが,あえて改めて御説明するまでもないかとは存じますけれども,部会での御議論の経緯として,元々は,社外性の要件を厳しくすることに伴い,例えば,今まで責任限定契約を締結できた人ができなくなってくると,それでいいのというところから御議論がされてきたところでございますので,その名残と申しましょうか,そういう関係でここになお位置付けられているというところでございます。 ○荒谷委員 名残というのは,社外取締役を置いた場合という意味なのか,それとも社外取締役を置くか否かに関係なく責任免除の規定が適用になるのか,その点について確認したいのですが。 ○坂本幹事 そこは,社外取締役を置くか置かないかということとは関係なく,ここに書いてあるような要件を満たすようなものであるかどうかということだけで決まるということでございます。 ○荒谷委員 では,リンクしていないと理解してよろしいわけですね。 ○坂本幹事 はい。 ○太田委員 今ほど伊藤委員から御指摘のあったとおり,私ども監査役協会としても,主張は,これまで何度も繰り返したとおりですので繰り返しませんが,ただ,今回の要綱案の第1次案のようにまとまるということだといたしますと,やはり,社外監査役の選任については,実務上非常に大きな影響があると思います。そういった意味で,一定の経過措置あるいはその施行の時期等々について,協会員にも適切に発信していく必要があるかなと思いますので,お伺いしたいと思います。 ○坂本幹事 まだ詳細を詰め切っているわけではございませんけれども,部会で要綱案を取りまとめいただいて,それが法律として成立する―もちろん,国会で可決していただければということですが―,それまでにはそれなりの時間があります。また,法律ができた後,施行までの間も,当然のことながら相当の時間があるということですので,その間に周知を図っていくということがまずあろうかと思います。その上で,経過措置ということでございますけれども,詳細はまだと申し上げましたが,大まかな方向性としては,施行の時点で即,社外監査役であった人が社外監査役でなくなるというようなことは考えておらずに,例えばということで申し上げさせていただきますけれども,施行後のしかるべき時期に,そのときから入れ替わるという発想もあり得るのかなということで考えております。これは,今後ちょっと検討させていただければと思っております。 ○岩原部会長 ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。   (2)及び(3)は,御了解いただいたということでよいと思いますが,(1)の問題に関しましては,ただいまの御意見等にございましたように,なお若干の御異論等もございますので,(1)については,最終的には,次回の8月1日の部会において決定させていただくということにさせていただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。   それでは,そのように扱わせていただきます。   次に,「第2 会計監査人の選解任等に関する議案の内容の決定」に移らせていただきたいと思います。こちらは,基本的な内容は変わっておりませんので,事務当局からの説明は省略させていただきたいと思います。いかがでございましょうか。 ○栗田幹事 この点については,さんざん議論をさせていただきましたので,今更この要綱案の第1次案に異論は申し上げませんけれども,2,3点だけ言及をさせていただきたいと存じます。   一つ目は,議論の過程でありました,報酬等の決定権をどうするかという話でございます。この点につきましては,前々回のこの会議でも議論があったかと存じますけれども,今回改正される会社法の運用状況などを見極めつつ,将来的には引き続き検討していくべき課題なんだということであったかと思いますので,その点についてもう一度確認をさせていただきたいということでございます。   それから,2点目は,会計監査人の選解任についての議案の決定権,それから報酬に関する同意権と,監査役がそのような権限を行使する状況につきまして,具体的にどんな理由でその選解任等の議案を決定したのか,あるいは報酬に同意したのかと,そういうようなことを,監査報告とか,あるいは事業報告において開示していただくということにしていただくと,監査役によるこういう権限の行使に関する実効性が高まると考えられます。この点につきましては,監査報告なり事業報告において開示するということを会社法施行規則の改正により手当てすることになると思いますけれども,是非検討をお願いしたいと考えております。   それから,もう1点,これは,この場で議論する内容ではないのかもしれませんけれども,監査役が実際にこのような同意権とか決定権を適切に行使していくということを考えますと,その監査役が実際によって立つべき実務指針といいますか,あるいはチェックポイントというようなものをあらかじめ作っておいたほうがいいのではないかと考えられます。この点につきましては,こういう場ではなくて,監査役とかあるいは会計監査人の方々,あるいは関係者の方々がどこかで集まって議論をしていただいて,そういう実務指針のようなものを検討していただけると有り難いと考えております。 ○太田委員 今,栗田幹事がおっしゃったことに全面的に賛成です。過去の主張は繰り返さないとは言いながら,一言だけ追加的に申し上げますが,選解任と報酬というのは一体もので初めて効果があるのではないかと,前回,田中幹事からの御指摘もあったというふうにも理解しております。やはり,当時で言えばA案でしょうか,これに相変わらずスティックしたいと思いますけれども,前回申し上げましたように,半歩なりあるいは一歩前進,これでいくということについては同意をしたいと思います。ただ,栗田幹事がおっしゃったように,まず,事業報告に書かれていないものを監査報告に書くということは,なかなか実務上これはできないことでありますので,まずは,事業報告にその報酬に係る同意権の行使の状況について,執行と監査役等々がどんなふうな論議をきちんとしてきたのかということを,表現ぶりはなかなか難しいと思いますけれども,そういう報告をし,それに沿う形で,監査報告等々の中にどう表現していくというステップを是非踏んでいくべきではないかなという意味で,今の御提案に賛成したいと思います。   それともう1点,この場の議論ではなじまないかもしれないとおっしゃった点ですが,実質的にこの種の議論を意味あるものにするためには,関係先,例えば,今御指摘の金融庁であったり,東証であったり,むろん法務省の方々も入り,場合によったら公認会計士協会,あるいは監査役協会,こういった関係先が,一つの行動ガイドライン又は規範みたいなものもやはりオフラインで作っていくべきだと思います。そういう作業の御提案がありますので,私どもとしては,全面的にこれに賛同して協力は惜しまない,こういうことで意見を申し上げておきたいと思います。 ○岩原部会長 ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,この問題につきましては,ただいまの御発言にございましたように,部会資料26のような案の内容については御了承いただくという御意見でございましたので,このような内容でもって部会の案とさせていただきたいと存じます。よろしいでしょうか。   なお,今も御発言がございましたけれども,会計監査人の選解任の議案の決定権を監査役に付与するという今回の改正後における監査役の同意権の運用状況について,私どもとしてもそれを注意して見ていく必要があると思っております。今,栗田幹事,それから太田委員から御指摘のございましたようなことについて,法務省や我々としても,それを重視して今回の改正案を実現していきたいと思っております。 ○坂本幹事 栗田幹事や太田委員のほうから,どんな理由で議案を決定して,方針に同意したのかということの開示ということを検討すべきではないかということでございました。御指摘ありがとうございます。今後,施行規則を検討していくに当たって,御指摘を踏まえながら検討してまいりたいと思っております。 ○岩原部会長 よろしゅうございましょうか。   それでは,以上のようなことで,部会資料26のこの第2の問題については,御了承いただいたと扱わせていただきます。   次に,第3の「1 支配株主の異動を伴う募集株式の発行等」についてでございます。これは,(1)と(2)を一括して事務当局から御説明を頂きたいと思います。 ○内田関係官 それでは,第3の「1 支配株主の移動を伴う募集株式の発行等」について,部会資料24からの変更点を御説明します。まず,表題ですが,当部会での御議論を踏まえ,公募における引受証券会社に対する募集株式の割当て等も,この規律の適用対象から除外しないこととする関係で,「第三者割当てによる」という表現を削除することとしております。   また,(1)の④については,部会資料24では,A案とB案の2案を併記しておりましたが,当部会の御議論においてA案によるべきとの御意見が強かったことを踏まえ,A案を採ることとしております。(2)の⑤についても同様でございます。 ○岩原部会長 どうもありがとうございます。募集株式の発行等について株主総会の決議を必要とする場合に関し,部会資料26では,部会資料24のA案を採用しております。この点について,いかがでございましょうか。 ○伊藤委員 ④に書かれているように,総会決議の義務付けに関する規定を置く際には,中小企業やベンチャー企業の資金調達に及ぼす影響を最小化するような配慮が必要であると考えております。議決権の10分の1以上を有する株主が反対した場合に,株主総会の開催を義務付けるということは,少数株主による濫用のおそれが大きいと考えるため,この割合は,少なくとも4分の1程度に引き上げるべきだと考えております。また,ただし書の趣旨は,とてもよく理解できます。しかし,実際にこのように条文に書かれてしまうと,倒産の危機に瀕していて資金調達の必要が極めて大きな企業であっても,利用することが難しいのではないのかと思います。企業がただし書の利用について過度に委縮することがないように,ただし書のうち,「著しく」とか「緊急の」という表現は削除すべきであると考えております。 ○岩原部会長 ほかに御意見ございましょうか。   それではこの問題につきましても,8月1日の部会において最終的な決定をさせていただくということでよろしゅうございましょうか。   それでは,先に進ませていただきたいと思います。第3の「2 仮装払込みによる募集株式の発行等」に移らせていただきます。まず,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○内田関係官 それでは,「2 仮装払込みによる募集株式の発行等」について,部会資料24からの変更点を御説明します。まず,②と③の順序を入れ替えております。部会資料24の③は,①の募集株式の引受人の義務に関するものであり,①の直後に入れたほうが分かりやすいように思われましたので,これを②に繰り上げたものでございます。   また,部会資料24の④では,引受人又は取締役がその責任を果たした場合には,引受人は失権しなかったものとみなすこととしていましたが,部会資料26では,これを削除しています。これは,そのような規定があると,その裏返しで,責任が果たされるまでの間は引受人が失権している旨が明文化されることになり,募集株式の発行の有効性に関する解釈論に無用な影響を及ぼしかねないと考えられことによるものです。部会資料24の④は,取締役が責任を果たした場合であっても,その取締役が株式を取得するわけではないことを明らかにするという意図によるものでしたが,これを削除したからといって,その点の解釈が変更されるものではなく,取締役が責任を果たした場合であっても,株式を取得するのは,飽くまでも,その募集株式の引受人ということになると考えております。部会資料26の④の主語を「募集株式の引受人」としているのも,それを前提とするものです。 ○岩原部会長 どうもありがとうございます。今の御説明にございましたように,部会資料24から一部削除された箇所がございますが,いかがでございましょうか。   特に御意見はございませんでしょうか。   それでは,特に御異論もございませんようですので,部会資料26の方向で要綱案として取りまとめをさせていただきたいと思います。   次に,第3の「3 新株予約権無償割当てに関する割当通知」でございますが,これに関しましては,従来,特段の御異論がございませんでしたので,部会資料26のような方向で要綱案を作成させていただければと考えております。よろしゅうございましょうか。   それでは,そのように扱わせていただきます。   次に,第2部に入らせていただきまして,「第2部 親子会社に関する規律」の「第1 親会社株主の保護」の「1 多重代表訴訟」につきまして,事務当局から説明を頂きます。 ○塚本関係官 それでは,「第2部 親子会社に関する規律」の「第1 親会社株主の保護」の「1 多重代表訴訟」について御説明いたします。親会社株主の保護に関しては,今月4日の会議で御議論いただきました部会資料25では,多重代表訴訟の制度を創設するものとするというA案と,株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正の確保を取締役会の職務とすることなどを内容とするB案の,いずれかの案とする形で掲げていました。B案に関しては,このような明文の規定を設けることについて,「業務の監督」という言葉又は「業務の適正の確保」という文言のいずれにしても,職務の範囲が明確でなく,親会社取締役会が現行法の解釈で認められている以上の職務を負うことになるおそれがあるとの御意見を頂いていたところでございました。   そこで,部会資料26では,多重代表訴訟の制度を創設するものとするというA案を採用することを御提案しております。多重代表訴訟の制度の具体的な内容を記載していた部会資料23の第1の3から変更している点は,①で付していたブラケットを外し,多重代表訴訟の提起権を1%の少数株主権としている点です。これは,完全子会社とその完全親会社の株主との関係は,当該完全親会社を通じた間接的なものであることからいたしますと,多重代表訴訟については,現行の株主代表訴訟とは異なり,少数株主権とすることにも理由があると思われることによるものです。   このほか,1の末尾に,(後注)を付し,今月4日の会議におきまして口頭で御説明いたしましたとおり,株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の内容に,当該株式会社及びその子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制が含まれる旨を会社法に定めるものとしております。 ○岩原部会長 どうもありがとうございます。この点は,大きく御意見が分かれていた問題でございますが,部会資料26では,多重代表訴訟について,提訴権を少数株主権とした上でこれを導入するものとしております。この点いかがでございましょうか。 ○伊藤委員 中小企業の立場から,本制度について意見を申し上げさせていただきます。繰り返し申し上げているんですけれども,全国に250万社超あると言われている中小企業―これは,法人形態を採っているものの数なんですけれども―,これは,多種多様あって,これらの中には,多重代表訴訟の対象になり得る企業がかなりあることが想定されると考えております。株主代表訴訟は,中小企業の取締役にとっても,非常に大きな応訴の負担を伴います。多重代表訴訟のような制度が導入されることは,中小企業の経営者に大きな影響を与えることが懸念されます。こういう懸念は,少数株主権等では払拭できないものがあるため,要綱案への記載は,中小企業に与える影響が少なくなるように十分留意すべきではないかなと考えております。 ○杉村委員 この点につきましては,従来から何度も発言した内容ですので,今回も少し発言させていただきます。まず,多重代表訴訟が少数株主権とされたことは妥当だと考えております。これにより,繰り返し述べてまいりました導入に伴う濫訴の懸念が多少は減じるという効果があると考えています。   それから,従来,B案となっておりました,親会社取締役会が企業集団の業務の適正確保を行う,あるいは,監督を行うという,そのような明文規定は設けないということも,適切であろうと考えております。これによりまして,グループ経営に対する無用の萎縮効果が回避されることになると思います。改めて付言いたしますと,企業としましては,こういった明文規定がないから何もしないということを言っているわけではありません。従来の部会でも,そのような趣旨で発言しているわけではございません。現行のグループの内部統制の規定などに従いまして,どの企業も,引き続き適正な方法でグループのガバナンスの向上に努めていくことになると思っております。   なお,この論点につきましても,非常に大きな論点でありますので,先ほど同様,この部会資料26を頂戴して全体を眺める時間との関係から,改めて少しお時間を頂いて,詳細な検討をさせていただいきたいと思っております。 ○岩原部会長 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。   それでは,この問題につきましても,最終的な結論は8月1日の部会で決定させていただきたいと存じます。   次に,第1の「2 株式会社が株式交換等をした場合における株主代表訴訟」について,事務当局から説明をお願いいたします。 ○塚本関係官 それでは,「2 株式会社が株式交換等をした場合における株主代表訴訟」について御説明いたします。変更点は,⑤及び⑥を加え,また,⑦において,完全親会社が補助参加をすることができる旨を加えた点でございます。⑤は,提訴請求の日から60日以内に責任追及等の訴えが提起されない場合は,提訴請求をした①の株主は,代表訴訟を提起することができるものとするというものであり,現行法の代表訴訟と同じ規律を設けることを確認的に記載したものでございます。⑥及び⑦は,今月4日の会議におきまして口頭で御説明し,御異論なく御了承いただいたものと同じものでございます。 ○岩原部会長 どうもありがとうございます。変更点は,前回の会議におきまして,事務当局から口頭で説明を頂きましたものを,今回の部会資料26に盛り込んだというものでございます。内容自体は,今,御説明にございましたように,前回御異論なく御了承いただいたものでございますが,このようなことでよろしゅうございましょうか。   どうもありがとうございます。それでは,これで御了承いただいたと扱わせていただきます。   次の論点に移らせていただきます。次の第1の「3 親会社による子会社の株式等の譲渡」につきまして,前回の会議におきまして,おおむね御異論がございませんでしたので,部会資料26のような方向で要綱案を作成させていただきたいと存じます。よろしゅうございましょうか。   それでは,そのようにさせていただきたいと思います。   次に,「第2 子会社少数株主の保護」に移らせていただきます。事務当局から説明をお願いいたします。 ○内田関係官 それでは,「第2 子会社少数株主の保護」について御説明します。この点に関し,当部会では,親会社等との利益相反取引がされる場面を念頭に,親会社等の責任に関する明文の規定を置くことや,親会社等の不法行為責任を株主代表訴訟の対象とすることを御議論いただいてまいりました。しかし,親会社等の責任に関する明文の規定を置くことについては,株式会社がその親会社等から享受している利益を計数化することが困難であることなどを理由に,親子会社間の合理的な取引まで阻害されてしまうのではないかといった懸念が示されました。また,株主代表訴訟による責任追及を可能とすることについても,濫訴の危険があるとの御意見が少なからず見られました。他方で,何らかの規制を設けるべきであるとの御意見も多く,その内容等について様々な角度から御議論いただいてきましたが,残念ながら,この部会では意見の一致に至らず,今回の要綱案に具体的な案を盛り込むことは断念せざるを得ないというところかと存じます。   他方で,子会社少数株主の保護の観点から,親会社等との利益相反取引に関する情報開示の充実を図ることについては,当部会において,その方向性につき異論がなかったところです。具体的には,部会資料18に記載しておりましたような情報開示に関する規律を法務省令において定めることが考えられますので,この点を補足説明に記載しております。このような情報開示の充実によって,不当な条件による利益相反取引が行われることに対する抑止効果を期待するとともに,監査役や監査委員等,中でも,今回の改正により,親会社等の関係者でないことを要する者とされることが今検討されております社外監査役や社外取締役に,親会社等との利益相反取引をチェックする役割を担っていただくということになろうかと存じます。 ○岩原部会長 どうもありがとうございます。この点は,大変大きく御意見が分かれていたところでございますが,部会資料26におきましては,親会社の子会社に対する責任に関する規律を設けるということは,このような非常に厳しい意見の対立の状況を考えますと断念せざるを得ないということで,情報開示を充実させるという案を提案させていただいております。いかがでございましょうか。 ○野村幹事 ただいま御説明がありましたことを伺いますと,ここでかなり一生懸命議論してきたことが最終的には取り入れられなかったという点で,私自身はちょっと残念に思っているところがあります。と申しますのは,御案内のとおり,親子上場が現に我が国の市場の中には多数存在している中にあって,子会社少数株主という形で,投資家として保護に値する方々がたくさんおられるという状況の中で,親子会社間取引についての適正化を図ることの必要性は,やはり十分検討に値するものだと考えてきたからであります。   しかし,今回この審議を通じて私自身がよかったなと思っておりますところは,従来,どちらかといいますと,独立当事者間取引基準というものを漠然と議論の対象にして,そのうちどれが本当にその損害賠償を求めるような行為なのかということについて議論が突き詰められないまま,学界等でも賛否が分かれていたところだったと思いますけれども,今回この法制審議会の中での議論を通じて,具体的にこのような形であればやはり損害賠償を求めるような対象になり得るだろうと思われる事例がやや明確になったことは,今回での議論の成果ではないかと考えているところでございます。そのようになりますと,この開示等の規制を通じながら,やはり,悪質な行為というのでしょうか,損害賠償の対象となるべきような行為につきましては,当然のことながら,不法行為,あるいは,理論的にはまだ十分煮詰まっておりませんけれども,例えば,429条の類推適用といったようなこと等々を通じて損害賠償を求めていくという余地が残っているということ,あるいは,逆に言いますと,不法行為等に基づく損害賠償請求というものの可能性ということがこの審議を通じてある程度明確になったということであるのであれば,やや残念ではありますけれども,私自身はこの案で了解したいと考えているところでございます。 ○上村委員 私も,何らかの明文規定が必要だったと思っていますが,これは,今,野村幹事がおっしゃいましたように,これからの判例法理形成のための一つの重要な拠り所となる情報開示であることが必要だろうと思います。したがって,現在ですと,関連当事者取引ということで,金商法違反つまりは有価証券報告書虚偽記載の罪になれば,懲役10年といった問題であります。しかし,会社法違反になりますと,過料50万円だったのではなかったかと思います。ですから,実質的には,それだけの重みを持つ問題にふさわしい刑事制裁が課される必要があるように思います。つまり,金商法と重複するような問題について,金商法のほうの運用も当然なされるべきは当然でありますけれども,その場合には,会社法としても,何らかの整合性のある罰則というものを今後は考える必要があると思います。 ○杉村委員 この論点につきましては,新たな規律を設けないということで,この提案を評価したいと考えております。これによりまして,今の日本の企業が有しておりますグループとしての競争力を維持することができると思います。親子会社間取引を含めたグループ内の活発な活動を通じて世界の中で競争力を高めていくという方向に整合的な内容であると思います。是非このような方向で取りまとめをお願いしたいと思っております。 ○岩原部会長 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。   この問題については,非常に重要な問題でもあり,ほかの問題とも関連いたしますので,最終的な決定は,次回の部会において行うということにさせていただきたいと思いますが,それでよろしゅうございましょうか。   それでは,そのように取り扱わせていただきます。   次に,「第3 キャッシュ・アウト」に移らせていただきます。1から4までを一括して,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○内田関係官 それでは,「第3 キャッシュ・アウト」について,1から4までを一括して御説明します。   まず,「1 特別支配株主の株式等売渡請求」については,細かい表現の変更がほとんどです。1点だけ,(2)の④におきまして,「(公告をしたときは売渡新株予約権者)」という括弧書きを削除していますが,これは,売渡株主に対する通知を公告によって代えることができないにもかかわらず公告のみを行ったというような場合には,売渡新株予約権者についてのみ売渡請求が行われたものとするよりも,株式等売渡請求の全体が行われなかったものとするほうが相当であると考えたことによるものです。括弧書きがあると,新株予約権売渡請求のみが行われるかのようにも見えかねないことから,これを削除することとしております。削除した場合に,この③の「通知又は公告をしたとき」という文言は,③で必要とされる通知・公告が全て適法に遺漏なく行われた場合を意味しますので,例えば,先ほどの事例のように,売渡株主に対する通知が必要であるにもかかわらず公告だけが行われたといった事例では,株式等売渡請求の全体について,このみなし規定は適用されないということになります。   その他,第3につきましては,1から4までを通して細かい表現の変更が幾つかあるのみですので,御説明は割愛させていただきます。 ○岩原部会長 どうもありがとうございます。いずれも,前回の会議では,特段の御異論はなかったところでございまして,修正点も形式的なものでございますので,部会資料26のような方向で要綱案を作成させていただきたいと存じておりますが,よろしゅうございましょうか。   それでは,そのように扱わせていただきます。   それでは,次の論点に移らせていただきます。次の「第4 組織再編における株式買取請求等」及び「第5 組織再編等の差止請求」につきましては,前回の会議におきまして,特段の御異論がございませんでしたので,部会資料26のような方向で要綱案を作成させていただきたいと存じております。よろしゅうございましょうか。   それでは,そのようにさせていただきます。   それでは,「第6 会社分割等における債権者の保護」に移らせていただきます。1と2を一括して,事務当局から説明をお願いいたします。 ○宮崎関係官 それでは,「1 詐害的な会社分割等における債権者の保護」及び「2 分割会社に知れていない債権者の保護」について,一括して御説明いたします。   まず,1の本文に掲げております内容は,部会資料25に記載していたものと同じでございます。当部会では,残存債権者が①の請求権を行使することができる場合において,分割会社について破産手続開始等の決定がされたときは,債権者間の平等弁済に配慮した調整規定を設けるべきであるとの御指摘がございました。そこで,(注1)では,①の請求権は,分割会社について破産手続開始の決定,再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定がされたときは,行使することはできないものとしております。また,商人間で詐害的な営業譲渡が行われた場合においても残存債権者を保護する必要があることは,詐害的な会社分割又は詐害的な事業譲渡が行われた場合と同様であることから,(注2)では,事業譲渡のみならず,営業譲渡についても,①及び②と同様の規律を設けるものとしております。   2につきましては,掲げております内容は,今月4日の会議におきまして御異論なく御了承いただいたものと同じでございます。 ○岩原部会長 どうもありがとうございます。「1 詐害的な会社分割等における債権者の保護」については,前回の御議論を踏まえまして,破産手続等との調整規定を設ける旨の(注1)が加えられております。「2 分割会社に知れていない債権者の保護」につきましては,前回の会議におきまして,特段の御異論がなかったところでございますので,部会資料26のような方向で要綱案とさせていただきたいと存じます。   まず,「2 分割会社に知れていない債権者の保護」について,部会資料26のような方向で要綱案を作成するということは,よろしゅうございましょうか。   それでは,こちらのほうは,そのようにさせていただきたいと思います。   それでは,「1 詐害的な会社分割等における債権者の保護」について,何か御意見等ございますでしょうか。 ○鹿子木委員 前回,意見を申し上げたところを踏まえまして,この(注1)を入れていただきました。誠にありがとうございました。それを前提に,確認をさせていただきたい点がございます。それは,承継会社が残存債権者に対する弁済を行った場合におけるその弁済と破産管財人による否認権の行使との関係の問題です。具体的には,分割会社の破産管財人が会社分割につきまして否認権を行使して,承継した財産の返還を請求した場合に,既に承継会社が残存債権者に対して承継した財産の価額の範囲で弁済をしていたときには,破産管財人の請求は,承継会社が残存債権者に対する弁済を行ったことによって,請求が認められないことになるのか,すなわち,承継会社の残存債権者に対する弁済は,破産管財人の請求に対する抗弁となるのかという点を確認させていただきたいと思います。 ○坂本幹事 そこのところは,何も規定を設けていないということになりますので,基本的には,解釈論の話かなと思っております。そこの解釈はどうなのかというところですが,私どもでここで解釈論を縛るということはなかなかいたしかねるところではございますけれども,これが債権者保護のために新たに規定を設けるという規定でございまして,責任財産の保全のための規定ではございませんので,こういう規定が設けられたからといって,論理必然的に否認が制限されることになるということではないだろうとは考えております。 ○岩原部会長 よろしゅうございましょうか。   それでは,それ以外の点,何かございますか。 ○三原幹事 同じく(注1)について教えていただきたいということでございますが,①の請求権,つまり,残存債権者の請求権というのは,分割会社について破産手続等が開始されると行使できなくなるとあります。そうすると,そのまま誰も行使ができないということになるのか,そして行使できない結果はどうなるのかが分かりません。恐らく,この記載の言外に含まれている意図は,分割会社の管財人が何か請求ができるかという,鹿子木委員の前回の御議論を踏まえて黙示的に示されているのかもしれませんが,この点,行使ができないとは,誰もできなくなってしまうことなのでしょうか。例えば,破産法45条の規定を考えますと,破産法45条1項の規定では,債権者代位権と詐害行為取消権が提起された後に当該会社が破産すると,その手続は,一旦,訴訟手続が中断しますとあり,中断したらどうするかという規定が2項にありまして,その場合には,訴訟手続を管財人が受継できるということになっていますから,一旦手続を止めるということと,それを管財人が受継できるということまで書いてあるのですが,これに対して,この(注1)では,行使できないという形だけで止まっていますから,その後は,誰も何もできないのか,それとも,できないことによって,後は,破産管財人がその履行請求ができるというような形を想定されているのか,それとも,単純に,誰もできなくなってしまうとなって終わるのか,この(注1)の言っている意味ないし実務的な影響を,どうお考えなのでしょうか。これは債権が消滅してしまうということまで意味しているのか,そこを教えていただければと思います。 ○坂本幹事 まず,管財人がこれを行使できるのかということでございますけれども,先ほども御説明させていただいたとおり,これは,責任財産の保全のための制度というものではございませんので,管財人がこれを行使できることになるということは想定してございません。破産手続が開始した場合に行使できないこととしたのは,後は,破産手続において,今現在管財人が持っている様々な権限を行使することに委ねる,破産手続のほうに委ねるという趣旨でございますので,この請求権が管財人に移転して行使できるようになるというものではないということでございます。 ○三原幹事 その結果,例えば,破産手続が開始しまして,破産手続が異時廃止等でなくなったとして,その場合に,破産手続開始による会社法上の請求権の存否との関係がよく分かりません。単に,行使ができないということで,権利が止まるだけなのか,それとも,それは,消滅してしまうのか,ここで行使ができないと書いてある御趣旨がよく分からなかったのですが,それは,単純に手続上止まっているだけという御趣旨なのでしょうか,その点についても教えていただけませんでしょうか。 ○坂本幹事 正に,行使することができない。破産の世界では,破産債権は手続外で行使することができないという規定等もございますけれども,正に,行使することができないという言葉どおりの意味だと思っております。 ○岩原部会長 よろしいでしょうか。ほかに特にございませんでしょうか。   それでは,この点につきましても,特に御異論はないと理解させていただきまして,部会資料26のような形で要綱案を作成させていただきたいと存じます。よろしゅうございましょうか。   それでは,「第3部 その他」に移らせていただきます。まず,「第1 金融商品取引法上の規制に違反した者による議決権行使の差止請求」について,事務当局から御説明を頂きたいと存じます。 ○本條関係官 それでは,第3部の「第1 金融商品取引法上の規制に違反した者による議決権行使の差止請求」について,部会資料25からの変更点を御説明いたします。①のアについて,いわゆる3分の1ルールを定める金融商品取引法の規定の引用方法を改めております。これは,金融商品取引法第27条の2第1項第6号が,第1号から第5号に準ずるものとして政令で定めるものという規定となっており,第1号に準ずる買付け等も全て含まれる余地があることから,これを差止請求の対象に含めないことを明確にする趣旨のものでございます。この点につきましては,第1号と他の号との関係の整理を含めて引き続き検討中であり,要綱案や改正法案の作成過程で,3分の1ルールを定める規定の引用方法を更に変更させていただくこともあり得ますので,念のため申し添えます。 ○岩原部会長 どうもありがとうございます。形式的な修正でございますが,いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。   それでは,部会資料26のような方向にて要綱案を取りまとめさせていただきたいと存じます。   最後に,「第2 株主名簿等の閲覧等の請求の拒絶事由」及び「第3 その他」につきましては,前回の会議において御異論がございませんでしたので,部会資料26のような方向で要綱案を作成させていただきたいと存じます。よろしゅうございましょうか。   それでは,そのようにさせていただきます。   以上をもちまして,全ての論点について御議論を頂きました。御協力,誠にありがとうございます。本日,大部分の論点につきましては,要綱案の内容を決定させていただくことができました。この点,皆様に厚く御礼を申し上げます。しかし,先ほど申しましたように,なお幾つかの論点につきましては,最終的な決定は,8月1日の部会でということになっております。本日の部会資料26の作成に当たりましては,私としては,いろいろ万感の思いがあるのでございますが,とにかく,要綱案を取りまとめて,一歩でも会社法の内容をよくしたいということで努力してきたわけでございまして,8月1日に最終決定を委ねました問題につきましても,関係各位において努力をしていただきまして,何とか,8月1日には最終決定ができるように皆様の御協力を心からお願い申し上げる次第であります。   それでは,本日の部会の終了の前に,次回の部会の予定について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○坂本幹事 次回は,8月1日水曜日午後1時30分から午後5時半まででございます。場所は,本日と同じ法務省地下1階の大会議室でございます。   次回は,本日の御議論を踏まえまして,要綱案の案をお示しさせていただきたいと思っております。ただいま岩原部会長からお話がございましたように,可能でございましたら,次回の部会で要綱案をお取りまとめいただければと思っておりますので,是非よろしくお願い申し上げます。 ○岩原部会長 どうもありがとうございました。それでは,法制審議会会社法制部会第23回会議を閉会いたします。本日も,大変熱心な御審議を賜りまして,誠にありがとうございました。 -了-