日本司法支援センター評価委員会 第32回会議 議事録 第1 日 時  平成25年3月8日(金)   自 午後 3時27分                        至 午後 4時25分 第2 場 所  訟務部門会議室(中央合同庁舎6号館A棟5階508) 第3 議 事  (1) 業務方法書の変更に関する法務大臣認可に当たっての意見について  (2) その他      (業務実績評価に対する政策評価・独立行政法人評価委員会からの二次評価について,日本司法支援センターにおける震災対応について) 議        事 伊藤委員長 評価委員会の第32回会議を開催いたします。   御多忙のところをお集まりいただきましてありがとうございます。   本日は,市川委員,井野委員,遠藤委員の3名の委員の方が御欠席でございますけれども,委員7名の御出席をいただいておりますので,総合法律支援法施行令に規定する定足数を満たしております。   お配りしている議事次第のとおり,本日審議を予定している議題は1つでございます。また,そのほかに事務局及び支援センターから報告事項があるということでございます。まず,それぞれの内容につきまして,事務局からの説明をお願いいたします。 松井参事官 それでは,事務局から御説明申し上げます。本日の議題は,支援センターの業務方法書の変更に関するものでございます。業務方法書の変更に関しましては,総合法律支援法の規定に基づきまして,大臣が変更を認可するに当たって,当評価委員会としての意見を求められているところでございます。したがって,御審議の上,意見の取りまとめをお願いいたします。   それと,議題とは別に,事務局から,昨年夏に御審議いただきました支援センターの平成23年度業務実績評価に対する政策評価・独立行政法人評価委員会の二次評価結果について御報告させていただきたいと思います。   また,支援センターから,支援センターが力を入れております震災対応の取組について報告してもらうことといたします。   以上でございます。 伊藤委員長 それでは,ただいま説明がございました順番で議事を進めたいと存じますが,よろしゅうございますか。 (各委員了承)   なお,本日の議題の審議につきましては,委員の皆様方の理解を深めていただくために,支援センターの担当者にも出席いただいて説明をお願いしたいと思います。この点も御了解賜れればと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。   まず,事務局から本日の配布資料の説明をお願いいたします。 松井参事官 お手元に資料目録と記載のあります資料の一覧表がございますが,これのとおり資料がそろっているかどうか御確認をお願いしたいと思います。資料1といたしまして業務方法書の変更案でございます。そのほかA-1以下,議題等に関連する参考資料を机上配布させていただいていると思いますが,これらにつきましては,審議の過程で必要に応じて御参照いただきたいと存じます。   資料の説明は以上でございます。 伊藤委員長 それでは,議事に入りまして,議題である業務方法書の変更についての審議をお願いしたいと存じます。皆様方には,資料と,ただいま説明があった机上配布資料Aを御覧いただきながら,業務方法書変更の内容につきまして,支援センターの方から説明をお願いしたいと存じます。 北岡部長 支援センター本部総務部長の北岡でございます。よろしくお願いいたします。恐縮ですが,座って御説明させていただきます。   まず,今回の業務方法書の変更につきましての趣旨の御説明をさせていただきたいと思います。趣旨につきましては,東日本大震災被災者支援措置の継続に対応するための規定の整備を行うこと及び,実務の運用に即した規定の整備,それから規定の順序や表現ぶりの修正等,関連する規定について所要の整備を行うこととしたものであります。改正の概要につきましては,お手元の資料A-1にまとめておりまして,これが一番分かりやすいかと思いますので,こちらに沿って御説明させていただきます。   まず,震災被災者支援措置の継続でございます。これは東日本大震災の被災者に対しての特例措置といたしまして,民事法律扶助について,一定の被災者に対しては,自己破産申立ての際の裁判所への予納金を立て替える措置,また,全ての事件を対象として,立替金の償還を猶予する措置を講じているところでございます。これは,平成23年9月に業務方法書を変更した際に規定した特例措置で,同年10月1日から運用を開始させていただいているものでございます。この特例措置は,各年度末までの時限措置になっておりますので,業務方法書の変更を行わない場合,本年3月末日をもって失効するということになります。そこで,昨年度末同様,特例措置の期限を1年間延長し,平成26年3月末まで特例措置を継続するため,その旨を規定することにさせていただきたいということでございます。   それから,2番目のポイントでございますが,これは運用に則った手続規定の整備についてでございます。これまで業務方法書の規定上必ずしも明確にされていなかった実務の運用というのがございまして,この根拠を規定上整備させていただきたいというものでございます。   例えば,同一申込者に対する法律相談援助は,同一問題につき3回を限度とするということが定められていたわけですけれども,そうであったとしても,この限度を超える申込みがあった場合に,申込みを拒絶することについての規定が,必ずしも明確ではなく,申込者との間で紛議が起こりやすいといった問題がございました。   そこで,同一問題について3回を超える申込みがあった場合に,地方事務所長が拒絶することができることを明らかにいたしました。また,法律相談援助の申込みに対する拒絶につきましては,代理援助や書類作成援助の申込みに対する援助の不開始決定とは大きく性質が異なるものでありまして,不服申立てを認める必要まではないと考えられますことから,拒絶に対しての不服申立ては認めないことといたしまして,そのことを注意的に明らかにする規定を設けることといたしました。   また,現行規定では,援助不開始決定を行った場合についてのみ,申込者に対してその旨を通知する規定が設けられておりますけれども,申込みに対しての援助開始決定の内容は,申込者の利益に大きくかかわるものであるため,援助開始決定についても通知すべきものであると考えられます。実務上も,既に,援助開始決定について通知は行っているのですが,今回,そういった規定について整備することといたしました。   次に,援助開始決定後に,その決定事項の全部又は一部を変更することが相当であると地方事務所長が認めた場合には,地方扶助審査委員の審査に付し,その判断に基づき,これを変更することができる旨の規定はありますけれども,変更の申請を相当と認めない場合については,何ら規定が設けられておりませんでした。このような場合にも,実務上は,変更の申請を相当と認めない旨の決定を行っておりますけれども,地方事務所長の決定は不服申立ての対象となるため,被援助者が申立て手続の機会を失うことがないよう,変更の申請を相当と認めない場合には,地方事務所長がその旨の決定を行うことを明確に規定することといたしました。   次に,民事法律扶助業務の適正化の観点から,運用上必要と考えられる規定を整備することとさせていただきたいということでございます。例えば,辞任や解任等により事件進行中に個別契約が終了した場合には,受任者等に対して既に交付した金銭について返還額等を決定する旨の規定がございますが,事件進行中に援助要件を満たさないことが明らかになったなどの理由により援助開始決定を取り消した場合,受任者等に対して立替金の返還を求める旨の規定がございません。現在の運用上,辞任及び解任の場合に準じて,事件の進行状況等により立替金の全部又は一部の返還を求めておりますけれども,このような手続が正当化される根拠規定がないというのが現状でありましたので,今回,規定を新設させていただきたいということです。   また,受任者等が案件の処理に着手したものの長期間の疾病等により連絡を絶ち,地方事務所長への報告等,契約上の義務を果たせない場合などがございます。このような場合,現行の規定上は,地方事務所長に,その理由を付した文書を提出した上で辞任又は解任手続をとる以外に個別契約の解除を行うことができず,これらの手続に時間を要することによって必要な対応が行われないまま長期間が経過し,被援助者が不利益を被る可能性がございます。そこで規定を新設いたしまして,受任者等が事件について必要な対応を行わなかった場合には,地方扶助審査委員の審査に付し,その判断に基づき,地方事務所長が,個別契約を解除することができることとさせていただきたいということであります。   また,第63条の3により,業務方法書上の報酬基準では,現実に入手した金銭の金額を基準として受任者に支払う報酬を決定することになっております。例えば,受任者等の活動により和解して事件が解決し,相手方が100万円の和解金を支払うといった合意がなされていても,実際には10万円しか支払われなかったという終結の報告がなされた場合,その10万円を基準として報酬を決めた上で終結決定を行うということになります。そこで,終結決定により個別契約が終了するため,終結決定後に残額の90万円が入金されたということが仮にあった場合,現状では特別の規定がないため,支援センターが終結決定を変更して報酬金を再度決定することは,困難であるということになります。   こうなってしまいますと,終結決定後ではあるのかもしれませんが,受任者の方が一生懸命労力をかけて終結決定後に多額のお金を得たという場合に,それが報酬に反映されないということになってしまうわけでございまして,これは不合理であるとの指摘を従前から受けておりました。そこで,終結決定後において,新たに相手方から金銭等を得た場合や,終結決定前に相手方から金銭を得ていたことが発覚した場合には,終結決定を変更して報酬を決定することができるものとさせていただきたいというものでございます。   また一方で,決定に計算間違いや誤記等の明白な誤りがあった場合,これを更正することを可能とする根拠規定がございませんでしたので,この旨の規定も新設することといたしました。   最後から2つ目,運用の流れに即して規定の順序を整理する,あるいは見出しや用語の修正をさせていただきたいということでございます。例えば,援助の申込みの後,審査を経て決定を行う手続の流れでありながら,現行規定上は,申込みに対する決定に関する規定の後に審査の方法が定められるということになっていて,時系列とこの規定の順番が合っていないということからやや分かりにくいということがございます。そこで,全体的に手続の流れに即した規定の順序となるように整理をいたしました。また,終結決定時の手続に関する規定と終結決定後の手続に関する規定を明確に分けて,これに伴う見出しの修正,用語の統一等の整備を図りました。   最後に,民事法律扶助と震災法律援助の平仄を合わせたいということでございまして,以上述べました変更点につきまして震災法律援助業務の規定についても,基本的な必要性は同じと考えられますので,同様の修正を行っているということでございます。   以上でございます。 伊藤委員長 どうもありがとうございました。   規定上の措置の延長ですとか,実務の運用に合わせた規定の整備等々について説明していただきましたが,どの点につきましても御質問あるいは御意見があればお願いいたします。   知久委員,どうぞ。 知久委員 今御説明いただいた運用に沿った手続規定の整備ということで,第16条の御説明をいただきました。これに関しては3回という規定もございますので,不服申立てをすることができないという規定を置かれることについては,これでよろしいかなと思いましたが,いただいた資料の中で,例えば第21条とか,それから第26条にも同様の規定が入っておりますが,例えば第21条の場合に,申込者が第7項の規定による相談日時その他の条件の指定に応じないとき,その他申込者に不適切な行為があるときは,拒絶し又は中止することができるといった場合に,これを不服申立てすることができないとした場合の不都合とか,あるいは第26条の解釈でも,そもそも第15条の各号に掲げる事項に該当しないという判断の中でも,相談援助以外の場合には審査基準とかいろいろございまして,申込みをしても審査されてだめと言われても,不服申立てをし,それでもだめという場合に再審査ができることになっていますよね。それを相談援助の場合のみ一方的にこれで不服申立てをできないとしていくということですが,多分今までの運用とちょっと違うのではないかと思うのですけれども,その辺は運用に沿った手続規定の整備と言いながら,どうなのかなと感じたのですけれども,いかがでしょうか。 伊藤委員長 北岡部長,どうぞ。 北岡部長 まず申込みについての不服の有無でございますけれども,これは,まず法律相談援助をお願いしたいという申込みがあって,それに対して,例えば支援センターがお断りをさせていただいたことに対する不服申立てができるかと,こういう話になるんだと思うのですけれども,支援センターに対しての申込みについて,実際,法律相談援助の部分に関しましては,審査委員が決定をしているということではなくて,センター相談を担当する職員でありましたり,場合によっては持込み案件という形で契約弁護士がそれをセンターに持ってこられるなど,担当者等が判断するという形になっておりますものですから,審査委員の方の議決を得て所長が決定するといったものとは明らかにレベルが違っているということが1つございます。   また,恐縮ですが,こういう場でございますので非常に平たい御説明をさせていただくと,法律相談者の中には極めて暴力的な対応をされるような方であったり,相当理不尽なことをおっしゃってこられる方もごく稀にはおられます。そういった方につきまして,職員がきちっと応対して,そこはやはりお断りをせざるを得ない部分というのがございまして,そういったところで逐一不服申立ての手続を行っているとなかなか業務上も業務量的にも回らず,スムーズな業務運営ができないということがございまして,一線を画させていただいているということでございます。 知久委員 極めて稀なケースというか,そういうことを想定しているのであって,相談援助の場合は割かし申込みについては認められていますけれども,この第21条第1項のフレーズからは誰が判断しているかも分からないけれど,変更後は,その判断に対してクレームがあってもこれで受け付けないということですね。 北岡部長 まさにただいま御指摘がありましたように,非常に稀なケースについての防御をさせていただいているところはございます。実はこの3回を超える法律相談について断れるようにできますということも,考えてみれば割と当たり前みたいなところがあって,わざわざ変更しなくてもいいのではないかというのが第一感だったように思います。   ところが,地方事務所に聞いてみると,ごくごく稀に非常にしつこく4回目がなぜできない,できない根拠を示せと,また,それに対して不服申立てができない根拠は何かと,こういう形になってしまって,その対応でごくわずかな方の執拗ないろいろな御要望に対して職員がかなり時間をとられて,その分ほかの一般の国民の皆様へのサービスが低下してしまっているという状況がございます。そこで根拠を明確にして,お断りしなければいけない方に対しては,迅速にお断りをさせていただくということができるようにしたいというのが,今回の趣旨でございます。 伊藤委員長 よろしゅうございますか。 知久委員 はい,分かりました。 伊藤委員長 ほかにいかがでしょうか。   嶋津委員,どうぞ。 嶋津委員 ポイントの1のところで,震災の措置の継続ですが,平成23年10月から今年度いっぱいといいますか,何件ぐらいあったんですか。 北岡部長 これにつきましては,実はこちらのシステムの問題でもあるのですけれども,完全に正確な形での件数というのを,把握することができておりません。誠に申し訳ございません。   ただ,特例措置の実績について推計として参考にできる資料を見ますと,少なくとも一定数はあるとは思っているんですが,申し訳ございません。きちんとした数字を用意することができておりません。 伊藤委員長 いかがでしょうか。よろしいですか。 嶋津委員 はい。 伊藤委員長 それでは,ほかにいかがでしょうか。   もし特段の御意見がございませんようでしたら,当評価委員会の意見の取りまとめでございますけれども,業務方法書の変更を法務大臣が認可するに当たりまして,当委員会の意見としては,先ほど説明がございましたような内容で認可して差し支えがないということになろうかと思いますが,よろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 伊藤委員長 ありがとうございます。   それでは,そのように取りまとめさせていただきます。なお,業務方法書につきましては,今後も誤字の訂正や文言の修正,つまり実質にわたらないような訂正や修正はあろうかと思いますが,その場合には恐縮ですが,委員長の私と事務局に御一任いただくということでよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 伊藤委員長 ありがとうございます。   それでは,そのようにさせていただきます。 嶋津委員 委員長,いいですか。 伊藤委員長 嶋津委員,どうぞ。 嶋津委員 1点だけ確認させてください。今回は1年間延長するということですね。ただ,今の被災地の実情からいうと,恐らく1年ということで終わるとは限らないわけで,その場合にはまた来年度に延長を考えると,そう理解しておいていいですか。 北岡部長 そのように考えております。 伊藤委員長 それでは,その点につきましては,ただいまのような理解でということでございますが,業務方法書の変更につきましては,先ほど申しましたような形で取り扱わせていただきます。   以上で本日の議題の審議は終了ということになりますけれども,次に,事務局から報告事項がございます。 松井参事官 事務局から,昨年夏に御審議いただきました支援センターの平成23年度の業務実績報告に対する政独委からの意見について御報告を申し上げます。   お配りした机上配布資料のBでございます。これを御覧下さい。この資料は政独委から当評価委員会委員長宛てに送付されたものでございます。支援センターの平成23年度の業務実績評価に関するものは,この資料Bと書かれたものを1枚めくっていただきまして別紙1とございますが,ここにございます「平成23年度における日本司法支援センターの業務の実績に関する評価の結果についての意見」というところにございます。この別紙1の表裏に書かれているものは,支援センターに対する個別の意見ではございませんで,全ての独立行政法人等に対して発された意見でございます。当評価委員会に対する個別意見というものは本年度はございませんでした。   なお,この共通意見のうち括弧が3つございまして,内部統制の充実・強化という点,保有資産の見直しという点,それから評価指標の妥当性という点の3つございますけれども,保有資産の見直しにつきましては,支援センターは,特段指摘される事柄がございませんので,当評価委員会にも関係するものといたしましては,主に括弧の1番目の内部統制の充実・強化,それから評価指標の妥当性ということかと思います。   1つ目の内部統制の充実・強化につきましてですが,監事監査結果を踏まえた評価をすべしという指摘がされております。当評価委員会におきましても,会議において監事監査における指摘項目の報告を受けまして,それを踏まえて評価していただいたところでございますが,政独委の意見としては,直接監事から意見聴取等を行うことが望ましいというものでした。   次に,2つ目の評価指標の妥当性ですけれども,これにつきましては,評価に際し中期目標,中期計画を念頭に置いた年度計画及びその評価指標になっているかについても確認した上で評価を行う必要があるというものでした。   この政独委の意見につきまして,本日御出席いただけませんでしたが,遠藤委員から御意見を伺っておりますので,事務局から御報告させていただきます。遠藤委員の意見は主に3点ございまして,まず,平成26年度中に第2期中期目標期間の評価,それから平成25年度の評価を行うことになりますが,第2期中期目標期間の評価と平成25年度単年度の評価というのは,やはり異なる点が出てくると思うので,支援センターにおいては,その点を十分意識した上でそれぞれの業務実績報告を行っていただきたいと,同じ時期に提出するからといって同じものではなくて,4年の固まりと最後の1年と,こういう部分をきちっと分けてもらいたいとのことでございました。次に,それに先立つ平成24年度業務実績報告,この夏の報告になりますけれども,これについても中期目標を意識した報告をしてもらう必要があると,例えば平成24年度の実績はこうだったので中期目標の達成に向けて順調に業務を行っているであるとか,あるいは中期目標の達成に向けてはやや遅れが出ているとか,そういうような観点から報告願いたいとのことでございました。3点目として平成25年度,来年度になりますけれども,年度計画の作成に当たっては,中期目標期間最後の事業年度ということになりますので,当該年度計画を達成することができれば同時に第2期の中期目標も達成することができるというような,そういう内容の年度計画を作成してもらう必要があると,そういう点を意識して年度計画の作成に当たっていただきたいということでございます。以上の3点が遠藤委員から伺っておりました意見でございます。   以上の政独委及び遠藤委員の意見につきましては,支援センターに対してその趣旨が実現されるよう,業務実績評価を受ける際の資料作り等においても工夫してもらうよう依頼するとともに,事務局といたしましても,業務実績評価作業におきまして,委員の皆様に,政独委意見等を踏まえた評価をしていただけるよう準備をして参りたいと考えている次第でございます。   以上でございます。 伊藤委員長 ただいま説明がございましたように遠藤委員からの御指摘,一言で申しますと,一方で中期目標と,単年度の評価・計画についての区別をし,他方でその両者の関係が十分理解できるような形での評価をお願いしたいと,こういうことかと思いますが,その点も含めまして,ただいまの事務局からの報告につきまして御質問,御意見等をお願いしたいと存じます。いかがでしょうか。どうぞ御遠慮なく,どの点でも結構です。   小林委員,どうぞ。 小林委員 小林でございます。   事前説明においでくださったときに監事監査についての現状をお聞きいたしまして,資料を送っていただいていたということですが,恐れ入りますがこの場で,御説明をいただけるとありがたいんですけれども。 松井参事官 分かりました。日本司法支援センターにおける監事監査の実施状況につきましてですが,平成23年度におきましては,本部と6か所の地方事務所について監事監査を行っていると,それから平成24年度につきましては本部,コールセンター,さらに5か所の地方事務所について監事監査を行っているところでございます。   そのほかに支援センターの監査室が行っている内部監査,これは監事が現場に行っているわけではございませんけれども,内部監査といたしましてはそれぞれ40か所前後,本部,コールセンター,地方事務所等の業務状況等を監査しているとの報告を受けております。 小林委員 ありがとうございます。 伊藤委員長 よろしいですか。 小林委員 はい。 伊藤委員長 ほかには御質問等ございますか。   それでは,当委員会といたしましては,今回の政独委からの指摘を踏まえて今後の業務実績評価に取り組んでいくことにいたしたいと存じます。   それでは,支援センターからも報告があるということですので,支援センターの方からよろしくお願いいたします。 北岡部長 よろしゅうございますでしょうか。大変恐縮でございます。   それでは,冒頭,事務局からも御案内がございましたけれども,支援センターにおいて被災地の関係での活動を継続して行っておりますので,その点につきまして御報告をさせていただきたいということでございます。   資料は机上配布資料のCというもので,「日本司法支援センターにおける震災対応について」というペーパーがございます。このペーパーなんですけれども,内容的には主にプレスリリースをまとめているものでございまして,そのほかは統計資料が少し載っているという形になっています。   まず大きく分けますと,出張所の関係と被災地の自治体にスタッフ弁護士を派遣させていただいたという,この2点についての御報告をさせていただきたいということでございます。   まず出張所の関係なんですけれども,平成24年6月29日付のプレスリリースというのがございまして,法テラス二本松に関するものです。これは福島県内初めての被災地出張所でございまして,この6月29日段階では仮称だったのですが,今はこの仮称が取れまして正式名称は「法テラス二本松」,それから開始時期は平成24年9月30日から開所となっています。   福島県の二本松市は,下のほうに地図を書かせていただいたのですけれども,福島市と会津若松市の真ん中のほうのラインで,いわゆる中通りにあるわけなのですが,弁護士が一人もいなかった地域であり,福島県につきましては皆様も御承知のとおり原発の関係等がございまして,それぞれ法的なトラブルを,潜在的には県民の大多数の方が抱えていると言っていいのではないかと思われる地域でございます。そこに拠点を置かせていただき,実施しているサービスにつきましては,従前の出張所と基本的に同じようなものですが,弁護士や司法書士による無料法律相談であったり,弁護士・司法書士費用の立替え,あるいは移動相談車両の配備といったことをさせていただいております。   ここまでが出張所としてできたものだったのですけれども,次に,11月20日付のもので,「法テラスふたば」についてのプレスリリースを置かせていただいております。これは福島県で2か所目のものでございまして,開所日が平成25年3月17日になっております。こちらにつきましても,双葉郡は,この地図を見ていただければ分かると思うのですけれども,沿岸部でございまして,もともと弁護士が非常に少ない地域でございます。また,県北や会津からも少し遠く,交通の便がよくないところでございます。   場所で言いますと,実際は法テラスふたばというのは広野町というところにございまして,それをあえてふたばという名前を付けさせていただいたんですが,これは広野町だけのものではなくて,双葉郡という広域的なところでより多くのお客様に利用していただきたいということから,あえて町名ではなく広い名称を使わせていただいているということでございます。   この双葉郡なんですけれども,原発の警戒区域に近いところでございまして,今後住民に戻ってきてほしいということで,地方自治体もかなりいろいろ力を入れておるわけでございますので,そこの一助になればありがたいということをこちらとしても考えているということでございます。   次に,岩手県に「法テラス気仙」を設置させていただくという内容のプレスリリースです。法テラス気仙は3月24日に開所ということになります。このふたば及び気仙の開所により従前建てていた出張所と合わせて7か所,もともとの計画が7か所でございましたので,これで出張所としては一区切りになるかなと思っております。いずれにしましても,これは福島県弁護士会と岩手弁護士会それぞれに多大な御協力をいただきながら実施しているものでございます。   続きまして,2つ目のテーマでございますけれども,2月26日付のプレスリリースに,平成25年4月スタートということで,東松島市へスタッフ弁護士を任期付職員として派遣を決定したということがございます。これにつきましては,法務大臣からも定例の記者会見で発表いただき,かなり大きく取り上げていただいた案件でございます。   このスキームなんですけれども,もともとは総務省のスキームでございまして,地方自治体で震災の復興に必要な専門職,これは例えば土木や建築等も含めてなんですが,そういった専門職の方を雇うという場合に,総務省から一定の公金の援助を行うというスキームがございます。地元自治体の要望に応じて,常勤弁護士を派遣し,地元自治体がこのスキームを使って常勤弁護士を職員として雇うというものでございます。   この派遣予定の佐藤弁護士なんですが,もともと法テラス佐渡で,地域との間での連携をかなり密接にやっておられた方で,そういう意味では自治体の方とは非常にうまくやっていけるんではないかと思っております。   期間はこの4月1日から2年間でございますが,これはあくまでも自治体の職員として勤務するということになっております。したがって弁護士としての知識・能力・経験というものは,自治体職員として活かすことになるわけでございまして,実際にどのような分野で働くのかということにつきましては,東松島市といろいろな御相談ということにはなるんでしょうが,条例の問題あるいは高台移転等に伴う権利関係の整理等いろいろな分野で法的知識は必要になっておりますので,一般の弁護士あるいはほかの支援センター等とのつなぎということも含めて,かなり活躍していただけるのではないかと期待しているところでございます。   以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいまの御説明につきまして何か御質問等ございましたら。   髙部委員,どうぞ。 髙部委員 髙部でございます。   2点ございます。まず法テラス二本松のことなんですけれども,二本松市というのは中通りでありまして原発問題との関係からすると少し離れていると思うんですが,仄聞するところによると,浜通りにいた住民の方々が,二本松市に避難されているというような事情もあるように聞いております。そういうことも考慮された上で二本松市に出張所を設けられたのではないかと考えておるんですが,いかがでしょうか。 北岡部長 御指摘のとおりでございます。仮設住宅が今おっしゃられたとおり二本松市にもできているということがございまして,そこのニーズと,弁護士がもともといないというところを総合的に考慮して設置させていただいたということでございます。ありがとうございます。 髙部委員 それから2点目ですが,スタッフ弁護士の任期付職員としての派遣の問題なんですが,これは個人的な意見ですけれども,非常にいい制度であると私は思っております。今後支援センターとして自治体に派遣するにしても,その前提としてのスキルを磨くということは当然大事なことですし,支援センターであればいろいろな経験を積むことができて,自治体の役に立つ人材を養成することが可能だと思うのですが,今後このようなスキームについて積極的に取り組まれる御意思があるかどうかに関して,教えていただきたいと思います。 北岡部長 ありがとうございます。これにつきましても,自治体の要望を受けてできる限りのことはさせていただきたいと思っております。また,スキルの点なんですけれども,これは支援センターだけではなかなか難しいというのが正直ございまして,日弁連とタッグを組んで進めております。日弁連のほうがむしろ被災地の関係であったり,自治体出向についてのノウハウを持っているものですから,このスタッフ弁護士も日弁連の研修をかなりみっちりした形で受けさせていただいているという形で協力をいただいています。   ただ,いかんせんスタッフ弁護士の数がまだなかなか足りないというところがございまして,今いろいろ慌てて緊急募集等をかけております。支援センターの人員の問題というのはもちろんあって,御要望があるところに全て出せるというほどの形にはまだなってはいないのですが,法務省や日弁連とも協議させていただいて,できるだけのことはさせていただきたいと思っております。 髙部委員 ありがとうございました。 松井参事官 すみません,今の補充をさせていただいてよろしいでしょうか。 伊藤委員長 はい。 松井参事官 まず1点目の二本松市の関係につきましては,浪江町の仮役場が,今二本松市内に置かれておりまして,その関係もございまして浪江町の仮設住宅が1,000戸以上二本松市内に設置されているという状況でございます。そのことも踏まえて二本松市に設置したということと承知しております。   2番目の弁護士の自治体派遣関係のスキルですけれども,支援センターからも回答がありましたように,この案件は,日弁連と支援センター,法務省が,一緒になって検討している案件でございまして,日弁連で研修等をされるのはもちろんなんですけれども,支援センターにおきましても今スタッフ弁護士の自治体派遣,具体的に言うと伊豆市にスタッフ弁護士を現に派遣しておりますほか,自治体ではございませんけれども,福祉施設に2か所,長崎県と滋賀県に派遣しております。そういうことを通じてもスキルアップができる状況になっているということだけ合わせて御報告させていただきたいと思います。 髙部委員 ありがとうございました。 嶋津委員 髙部先生と同じ観点なんですけれども,まず法テラス二本松について,私も被災した年の5月ぐらいにお邪魔したんですけれども,二本松市の場所というのは,福島県で言うと中通りから浜通りに行く道というのは限られているんですよね。何本かしかないんで,そのうちの重要な1本が,二本松市を通って南相馬市とかそういうところにつながっているわけです。その間に,今全村避難している有名な飯舘村があるんです。飯舘村は二本松市に行くちょっと手前の福島市飯野町に仮庁舎を作っているんですけれども,飯舘村の人も南相馬市の人もあるいは双葉郡の人も,相当の人が通っていくという経過地点ですから,私は非常にいい場所で,原発の地域は双葉郡に作っていただきましたけれども,1か所だけでは足りないんで,浜通りの位置にあるのと同じような機能を果たしてくれるという意味で期待はできると思います。   それから弁護士の派遣事業,これも私はヒットだと思うんですけれども,なおかつ今後支援センターの出張所の運用等と関連させて,たまたま佐藤さんは東松島市に行かれるんですけれども,我々は去年,東松島市の出張所にお邪魔したんですけれども,支援センターの出張所として開設しようとすると,相当に事務所を作ったりそういうことの対応で御苦労されると思うんです。   そういうことから言いますと,出張所を作る,ただ,これは今7か所で大体計画どおりにやられたと,需要はまたどんどん出てくる。今回の東日本大震災の復興について言うと,我々が当初考えていたように2,3年では到底終わらない。10年もしくは地元の人は20年かかるんじゃないかと思っているぐらいだと思いますんで,そういうことを弁護士の派遣,支援センターだけじゃなくて日弁連の方とも相談されて計画的に充実していくというのは,出張所の機能を補完する意味でも私は非常に重要なんじゃないかなと。もっと言うならば,やはりそういう行かれた人の機能というのが出張所の機能とお互いに補完したり,あるいは出張所の機能と同じような機能を持っていただくということも可能なんじゃないかなと思って,今後計画的にもちろん地元の求めに応じてということですけれども,関係省庁や機関と相談して充実をさせていただいたらいいんじゃないかと思います。 伊藤委員長 ただいまの御指摘に関して何か発言がございましたら。 北岡部長 誠に貴重な御指摘でごもっともだと思います。先ほど法務省からも少しありましたけれども,この事業は支援センター単独ではできないと思っておりまして,法務省と日弁連とかなりの回数の打ち合わせをさせていただいて,現場の自治体にも広くアンケートをとったりして,できるところから進めるという形でやっています。   やはり中に入った人,佐藤弁護士はまだなんですけれども,ほかに自治体に入っておられる弁護士というのが既におられまして,そういう方から聞いてみると,一番最初は弁護士というのが,自治体にとってもどういう使い方をしていいのかよく分からないというところからスタートしているんですが,慣れてきていろいろお話ししてみると,こんなに役に立つものだったのかという感覚を持っていただける,実感を持っていただけるという報告を耳にしております。   被災地では,通常の自治体以上にこのようなニーズというのは恐らくもっとあるのだろうと考えておりまして,今後も同じように日弁連あるいは法務省とよく御相談させていただいて,お役に立てるように少しでも頑張りたいと思っております。 伊藤委員長 分かりました。   ほかには何か御質問等ございますか。   小林委員,どうぞ。 小林委員 小林でございます。   やはり対象となる被災者の方々の状況というのを把握することも大事かと思うんですけれども,これは1つの例かと思いますが,仮設住宅の分布の状況とかあるいは居住者の数とか,震災のころから今までどのような動きを示しているのか,減っているのか増えているのか,途中で頑張って増やして,それから少しは減ってきているとか,そういうことがあるかと思うんですけれども。それとあとは,建物を高台へ移動するときの補助金とかそういうもののための計算で,境界が分からないので結局決められないからということで,そういう手当てが進まないというような問題があるとお聞きしているんですけれども,そのような潜在的な法律的な問題を抱えているようなところというのが何件ぐらいあるものかとか,そういうことを把握,それでどのくらいこちらで用意するかということも必要かなと思いますので,その辺はどのくらい把握なさっているのか教えていただければと思います。 北岡部長 ありがとうございます。   申し訳ございませんが,今,具体的な数字を持ってきていないのですけれども,仮設住宅の分布でありましたり居住者の動きというのは,当初かなり激しかったもので,まずそもそも出張所を置くときにどれぐらい周りに人がいるんだろうかということも,その辺りを見ないと分からなかったということもございまして,自治体にお願いして,それぞれの町民が今どちらにおられるのかということは,お伺いして把握をしておりました。   さらに,例えば,高台移転等へのニーズというのがどういう形であるんだろうかとか,あるいは被災者一般の方々に対してのどういうニーズがあるのかということを,どうやって把握するのかというところがなかなか難しいのですけれども,これにつきましては,今,支援センターで震災のニーズ調査というものを行いまして,宮城県と福島県にそれぞれアンケート用紙を調査員の方に届けてもらって,それを直接回収するという形で,何かお困り事はありましたかと,その困り事の中身は何ですかと,その困り事があったときにどういう形でそれを実際裁判にしたのか,例えばADRに持ち込むことができたのか,弁護士に御相談をすることができたのかといったようなことを,お尋ねするということをさせていただいております。   その結果については現在まとめているところでございまして,近々ホームページ等で発表させていただけるのではないかなと思っておりますので,またそれに応じてこちらとしても施策を考えていきたいと思っております。 伊藤委員長 小林委員,よろしゅうございますか。 小林委員 はい,ありがとうございます。 伊藤委員長 ほかにいかがでしょうか。   村瀬委員,どうぞ。 村瀬委員 1点だけ,福島の関係で深刻ないろいろ難しい問題,法律問題が多々あるんではないかと思っていましたけれども,今回出張所がこれだけ開設されたということは非常にいいことだと思うのですが法テラス二本松等の利用状況,それはどの程度動きがあるのかなと思いまして,もしお分かりでしたら。 北岡部長 まず法テラス二本松について申し上げますと,これは平成24年9月末に開所ということでございますので10月から1月の4か月の統計しかないのですけれども,この4か月間で法律相談が300件を超えておりまして334件という形になっております。   中身を見ますと金銭が107件,家事が117件ということになっておりまして,やはり震災特有の話なのかも分からないんですけれども,家事案件がどうしても多いなという感じはいたします。 鈴木部付 ただいまの法テラス二本松の実績については,資料Cの末尾に統計資料がございます。 北岡部長 資料Cについては,プレスリリースが幾つかあった後,被災地出張所の法律相談の内容という円グラフと,その次に被災地出張所における法律相談という図表が記載されております。 村瀬委員 どうもありがとうございました。 伊藤委員長 御説明があった二本松の関係の資料というのは,これで言うとどの辺ですか。 北岡部長 この被災地出張所における法律相談というA4,1枚の紙がございまして,カラーの円グラフの次の1枚でございますけれども,その一番下のところに「二本松(福島)」と記載されております。そこに,相談の内容と件数が記載されておりますので,こちらを御覧いただければと思います。 伊藤委員長 分かりました。   村瀬委員,いかがでしょうか。よろしゅうございますか。 村瀬委員 はい。 伊藤委員長 ほかにいかがですか。よろしゅうございますか。   それでは,予定していた議事等は以上で全て終了いたしましたので,本日の委員会はこれで終了させていただきます。   事務局から何かございましたらお願いします。 松井参事官 本日はお忙しいところ本当にありがとうございました。   議事録につきましてですが,委員の確認手順等につきましては,従前と同様の段取りとさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。     次の評価委員会の会議日程等につきまして,例年どおり恐らく7月になると思いますけれども,現時点では開催時期は未定でございます。また追って御連絡させていただきます。   来年度につきましては,第2期中期目標期間の最終年度ということになります。したがって,来年度中に新中期目標の策定等をする必要がございまして,その関係でもまた当評価委員会の御協力をいただくことになるということになりますので,今後とも御協力のほどよろしくお願い申し上げます。   事務局からの連絡事項は以上でございます。 伊藤委員長 それでは,第32回会議をこれで終了させていただきます。どうも御苦労さまでございました。 -了-