法制審議会 新時代の刑事司法制度特別部会 第2作業分科会(第9回) 第1 日 時  平成25年12月10日(火)   自午前10時00分                          至午後 0時18分 第2 場 所  東京地方検察庁総務部会議室 第3 議 題  時代に即した新たな刑事司法制度の在り方について 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○保坂幹事 それでは,ただいまから法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会第2作業分科会の第9回会議を開催いたします。 ○川端分科会長 御多用中のところ御参集いただきましてありがとうございます。御案内のとおり作業分科会においては各検討事項の残された課題について検討を行い,制度設計に関する「たたき台」を策定して,次回の部会で報告することとなっております。そこで,当分科会では,本日と次回の会議で各検討事項について詰めの議論を行うこととしますので,皆さんには,「たたき台」の策定に向けて,引き続き,積極的な御議論をお願いいたします。   本日は,お手元の議事次第のとおり,配布資料の説明の後,「被疑者国選弁護制度の拡充」,「証拠開示制度」及び「自白事件を簡易迅速に処理するための手続の在り方」について順次議論を行いたいと思います。   このうち,「証拠開示制度」については,三つの検討項目がありますが,時間配分の都合上,本日は,特に優先して検討すべきと思われる「証拠の一覧表の交付」についての議論を行うことといたします。   なお,本日はあらかじめお申出がありましたので,全体を通して,神幹事に代わって小野委員に,また「証拠開示制度」及び「自白事件を簡易迅速に処理するための手続の在り方」の議論について,坂口幹事に代わって露木幹事に,御参加いただきます。  それでは,本日の配布資料について事務当局から説明していただきます。よろしくお願いいたします。 ○保坂幹事 御説明いたします。   配布資料は,「作業分科会における検討(2)」というもので,特別部会で配布をした資料63から,本日議論が予定されている「被疑者国選弁護制度の拡充」,「証拠開示制度」及び「自白事件を簡易迅速に処理するための手続の在り方」の各検討事項を抜粋したものをお配りしております。そのほか参考資料として,「被疑者国選弁護制度の拡充」について小野委員から提出のあった資料4点,「証拠開示制度」について同じく小野委員から提出のあった資料1点を,各検討事項に関する参照条文とともに参考資料としてお配りしているほか,当分科会の第2回会議で小野委員から提出のあった証拠開示制度に関する資料を再配布しております。   資料の御説明は以上です。 ○川端分科会長 それでは,まず「被疑者国選弁護制度の拡充」について議論を行います。   この検討事項に関しては,配布資料に記載の検討課題の「1 弁護士の対応態勢」について,当分科会の第8回会議でのヒアリングを踏まえ,日本弁護士連合会において改めて検討が行われたとのことですので,まずはその結果について小野委員から御発言をお願いいたします。 ○小野委員 参考資料1枚目,本日付けの「被疑者国選弁護に関する地裁支部別シミュレーション」という表がありますが,これまでスタッフ弁護士による対応見込み件数として,1人30件という見込みでシミュレーションをしたものをお出ししておりましたが,先日の司法法制課長の御説明などを参考にして,予算としてはスタッフ1人16件の予算組みをしているということも踏まえて,1人15件対応するということで,シミュレーションをしてみました。そこは,上の青いところの右から3番目にスタッフ弁護士による対応見込み件数として「⑦×15」としてあるところです。   これからも分かりますけれども,スタッフ弁護士の合計数⑦は193人ということで計算しておりますので,30件を15件に減らすとそこで余ってくる件数は3,000件未満ということになります。3,000件未満ということで,⑨のスタッフ対応数を除いた想定事件数がここでは10万件となっておりますけれども,従来の9万8,000何件が10万件にちょっと増える,2,3%増えるということに過ぎませんので,各支部でのいわゆる契約弁護士による対応はそれほど大きな変化が生じるわけではありません。一応,念のために件数を右側の⑩の欄で出してみました。それで,その上の薄緑色で記載してあるところの1番左のところは30件対応の場合のジュディケア対応件数ですが,その右側⑫の欄では,スタッフ15件で再計算した場合のジュディケアの対応件数を改めて打ち出しました。   それが想定したところでいくとかなり増えるのではないかというのが,支部によって多少あるということで,15件とした結果,ジュディケア対応件数が15件未満であった支部が15件以上になった地域がどれほどあるかということについて,一番右側の⑬のところに,★印でマークをしたということです。その★印でマークした,つまり年間15件を超えることとなった支部について個別に調査をした結果が,その次の資料の「被疑者国選弁護の対応態勢について(追加調査結果)」と記載したリスト,「1/4」と書いてあるところからになりますけれども,これらの支部については,従来15件未満と見ていたところが超えるというところで,個別にここに幾つか挙げてありますけれども,それぞれ例えば15件になったり,16件になったり17件になったり,いろいろあるわけですけれども,埼玉川越の場合は基本的に問題がないということです。それから,岐阜の御嵩についても,この御嵩支部管内の各警察への対応ということについては,支部だけではなくて本庁管内からの対応態勢も準備されているということで,特段問題が生じるわけではない。   それから,次のページで長崎県島原においても同じように,島原,雲仙というところが問題になるわけですけれども,細かなことは記載のとおりで,一応その対応ができるという結果になっております。平戸については佐世保からも車で行けるということで対応が準備できているということになりました。   次のページ,「3/4」の名瀬,これは奄美ですけれども,奄美自体の数字としては,それなりの数字になるわけです。もとの資料のシミュレーション「7/7」を御覧いただくと,鹿児島,名瀬というところで,登録弁護士は3人とか2人とかなっているわけですけれども,ここには鹿児島本庁から行く態勢ができている。ちょっと時間は掛かるわけですけれども,名簿の登載数としては「3/4」の真ん中辺りにも書いてありますけれども,名簿登載者数はスタッフを除いて10名いるということで,それぞれが対応できる。それから,鹿屋についても登載者数がスタッフを除いて40名ということで,これも本庁から鹿屋,志布志の方には行くことができる。   最後の沖縄,これも平良ですけれども,島しょ,島ですけれども,対応できるということで,シミュレーションをスタッフ1人15件としてみた場合でも,対応態勢そのものについては,特段問題が生じないというのが今回の弁護士会における調査の結果ですので,その辺では現状のスタッフ対応と平仄を合わせて対応できるというのが調査の結果です。 ○川端分科会長 では,続きまして,中身の議論に入る前に,これまでの部会や当分科会で御質問がありました被告人による被疑者国選弁護費用の負担状況について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○久田幹事 これまでの部会や作業分科会におきまして公費負担の合理性を検討する上で,被告人による被疑者国選弁護費用負担状況を踏まえるべきであるとの御意見が示されておりますので,この点に関しまして,事務当局において調査した結果を御説明いたします。   まず,刑事訴訟法では裁判によって訴訟手続が終了する場合において,被告人に対して,被疑者国選弁護費用を含め訴訟費用を負担させるときは裁判所は職権で裁判をしなければならないとされております。これは御案内のとおりですが,被疑者国選弁護人が選任された被告人で,平成24年に第1審における判決を受けた者,このうち訴訟費用負担の裁判を受けた者の割合,これは約9.47%でした。   次に,費用の徴収状況についてですが,この点に関しては,被疑者国選弁護費用に限った統計が見当たらないということでしたので,訴訟費用全体について御説明いたします。   まず,件数について御説明しますと,平成24年度において,徴収すべき件数は約1万4,000件ありました。このうち,同年度中に,納付がなされた件数は,全体の約43%に当たる約6,000件でした。また,徴収不能決定,つまり,徴収金について法律上又は事実上執行することが不能な場合に検察官が行う処分ですが,この決定がなされた件数は,全体の約7%に当たる約1,000件でした。未済となった件数は約7,000件でして,全体の約50%に当たる案件の徴収が翌年度に持ち越されました。   次に金額について御説明しますと,平成24年度において,徴収すべき金額は約14億6,800万円ございました。このうち,同年度中に納付がなされた金額は全体の約43%に当たる約6億2,400万円で,徴収不能決定を受けた金額は全体の約6%に当たる約9,200万円でした。未済となった金額は約7億5,200万円で,全体の51%に当たる金額の徴収が翌年度に持ち越されているという結果でありました。 ○川端分科会長 それでは,小野委員の御発言や事務当局からの説明に対する御質問を含め検討課題のいずれについてでも結構ですので,御質問,御意見のある方は御発言をお願いします。 ○高橋幹事 小野委員に質問なのですが,先ほどの追加調査のペーパーの「3/4」のところにも出てくるのですが,名簿登載者についての倍率方式,それから件数方式というのはそれぞれどういう方式なのか教えていただければと思います。 ○小野委員 名瀬のところでしょうか。ちょっと私も具体的に個別のところを把握しているわけではありません。件数方式というのは自分としては「何件希望する」と,ここに書いてある括弧書きにあるように「2件希望します」ということで希望している人がいるということのようですけれども,それ以外の人たちについてちょっと今ここでつまびらかに説明をする知識を持ち合わせておりません。 ○川端分科会長 高橋幹事, よろしいでしょうか。 ○高橋幹事 分かったときにでも教えてください。 ○川端分科会長 ほかにいかがでしょうか。 ○宇藤幹事 小野委員から先ほどシミュレーションを聞かせていただきました。感想めいた話になるのですけれども,ひと言申し上げます。スタッフ弁護士への配点について前回のシミュレーションとは異なって15件とし,それを前提としてどのようになるかというお話をお聞かせいただきました。その点では,前回のシミュレーションに比べると随分説得力があるとの印象を持ちました。ただし,以前にお話を伺ったところですと,スタッフ弁護士への配点の実情というのは,15件ということではなく,それよりはかなり少ないものであったと記憶しております。そうだとすると,確かに理論値としては15件ということで,シミュレーションをするということはより実情に近くなったとは思いますが,もう少し現状に引きつけた試算というものがあってもよかったのではないかと思います。   その一方で,これから15件の方に引きつけて運用するのだということであるとしても,現状がそのようにはなっていないのはどうしてなのか。スタッフ弁護士についてはもう少し中心的に配点するということが現状でもあってもよろしいのではないかとも思います。現在はそうなっていないというところには恐らく何か理由があるのだろうと思われますので,その分析を抜きにして,15件というのはどうなのかなという疑問を抱いております。 ○小野委員 まずは,そもそもスタッフがそれだけこなさなくてはいけないだけの件数がない,つまりスタッフではない契約弁護士がこなしてしまっているというのがあります。その上でスタッフに優先的に配点しているというわけではないわけですから,どちらかというと先日の司法法制課長の御説明でも,地域によってばらつきがあるようですけれども,むしろスタッフへの配点の方が少し劣後しているという傾向があるという御説明もありました。そういうことで考えますと,現状はスタッフにそこまで活躍をしてもらわなくてもいいというのが実情だろうと思います。   今後の在り方として,各単位会とその地域の法テラスとの関係で,その辺りの今後の事件の配点,その他については更に調整していくという方向が必要にはなってくるだろうと考えています。 ○坂口幹事 私も今,宇藤幹事から御指摘のあった点については大変強い違和感を感じておりますし,制度がまだよく理解できませんので説明を求めます。今,小野委員からスタッフへの配点が劣後している現状について,現状がそうであるということについては御説明がありましたが,そのような運用でよろしいのでしょうか。その運用の点についてよく理解ができません。   公費負担を抑制する観点からは当然ジュディケア弁護士よりもスタッフ弁護士をより積極的に活用するべきであると思われますし,そのような運用が可能となるようなルール作りというのが行われなければならないと思います。   前回のヒアリングにおきましても,現状ではスタッフ弁護士がジュディケア弁護士に劣後するような形で被疑者国選弁護対象事件の配点が行われているという現状について,司法法制部から御説明がありましたけれども,この点についてはやはり強い違和感を感じます。弁護士への事件の配点については,個々の単位弁護士会と法テラスの地方事務所との協議により決定され,それぞれ異なっているというのが現状のようですけれども,そもそも本制度については国民の負担で弁護士費用を賄うということをしているわけですから,そのような事件の配点基準やこれまでスタッフ弁護士とジュディケア弁護士がそれぞれ何件程度の配点を受けてきたのかということについて,地方事務所ごとに明らかにするべきであると思いますし,その上で,スタッフ弁護士がより優先して配点を受けることができるような全国統一的なルールを整備するべきではないかと思います。 ○上冨幹事 関連して,教えていただきたい点があります。先ほど庁によってはスタッフ弁護士と契約弁護士を別に区別していないというところもありますという御紹介もあったのですけれども,他方,スタッフ弁護士の方が配点が劣後しているところもあるということですが,その現状について,どういう考えに基づくとそういう運用になるのかというのがもしお分かりであれば教えていただければと思います。 ○川端分科会長 今,上冨幹事からは御質問があり,坂口幹事からは御意見にわたる御発言もありましたので,それぞれについて御説明をお願いします。 ○小野委員 各弁護士会によって,そこのところは統一的に何かができているというわけではなくて,やはり個々の会の実情などに応じて運用がされてきているということだろうと思います。全ての法テラス事務所と各単位弁護士会の間の関係について,私は申し訳ありませんが把握しておりませんけれども,個別の事情を加味して現在は運用されているということだろうと思います。   それから,場所によっては民事事件に重点を置いて行う必要性があるというような地域もあり,そうなると勢い刑事事件の方にはそれだけの時間を割けていないというところもあるのではないかと思われます。劣後しているという,司法法制課長の表現ではあったわけですけれども,要するにそういう運用をしているということなのか。あるいは結果的にそうなっているということなのか。それを個別にきちんと把握する必要があるのかもしれませんが,私はそこまでのところを十分に理解をしているわけではありません。その点はあるいは法テラス側でそれぞれの実情を把握しているのかどうか分かりませんけれども,その辺は少しお尋ねする必要があるのかもしれません。 ○川端分科会長 坂口幹事,以上でよろしいでしょうか。 ○坂口幹事 以前からそうおっしゃるわけですけれども,この場で直ちに説明せよとは申しませんが,是非その辺りについて実態はこうなっていますと,今の小野委員の御説明はそれぞれ事情があるんですから分かってください,ということだけなのですけれども,公費にまつわる話なのですから,もうちょっときちんとした説明があってしかるべきかと思います。 ○小野委員 その辺については私の方も実情を把握するようにしておきたいとは思います。 ○川端分科会長 ほかにいかがでしょうか。特にございませんようですので,今の御説明等については,これで終わりたいと思います。そのほかに何かございますでしょうか。 ○小野委員 この作業分科会での課題ではないというふうには私も理解しているのですが,逮捕段階における弁護態勢について,現在,弁護士会でもいろいろ検討している点がありますので,ここでちょっとその点について御説明をする機会を頂いて,その点に関してこの場で皆さん方の御意見をお聞かせいただければと思いますけれども,よろしいでしょうか。 ○川端分科会長 この点ですが,お申出がありました逮捕段階において弁護人の援助を得る仕組みについては基本構想において,「被疑者国選弁護制度の対象事件の拡大についての具体的な検討結果を踏まえ,必要に応じて更に当部会で検討を加えることとする」とされておりますので,当分科会ではなくて,部会で御発言いただくべきものだと考えております。   ただ,お申出の御趣旨が,当分科会の検討課題としてではなく,部会での御発言に先立って当分科会の構成員から参考として御意見を伺っておきたいというものであり,資料を提出された御趣旨も同様のことだということであれば,御発言いただいても結構だと思います。もとより当分科会としては,部会に報告することはいたしませんが,そのような取扱いでよろしいでしょうか。 ○小野委員 分科会長のおっしゃるとおりの形で皆さん方の御意見を頂く機会があれば是非お願いしたいと思っております。 ○川端分科会長 ただいまの御意見に対して,御質問なり,御意見はございますでしょうか。 ○小野委員 逮捕段階における弁護人といいますか,弁護士の援助ということでいきますと,本来的には逮捕段階から国選弁護人として選任できる態勢が作れることが望ましいだろうと思っております。ただ,勾留前の状況ですので,なかなかそこのところの仕組みは難しいのではないか。ちょっと別の仕組みを考える必要があるのではないかということで,本日,参考資料として「逮捕段階における弁護人(弁護士の援助)の充実化について」という,これは粗々の検討内容なのですけれども,こういう仕組みを今検討しているということで紹介させていただきたいと思います。   まず,刑事訴訟法のどこにそれを設けることがいいのかということなのですけれども,具体的には今検討されている中身の一つとして,刑事訴訟法の203条,これは司法警察員における逮捕,204条は検察官の逮捕なのですが,ここで逮捕された被疑者を受け取ったときは,犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができるという告知が規定されておりますけれども,一つの考え方として,逮捕段階においては弁護人となろうとする者ということで活動し,接見するということにする。弁護人として選任されるというところまでいかないで,言ってみれば当番型のような形で動く,つまり弁護人となろうとする者ということで取りあえず接見に行くこととする。そこに弁護士と相談できる権利という形で一つの新しい規定を設けた上で,逮捕段階でのその権利の告知義務を課すというのはどうだろうかというのが一つの考え方です。他方で,新たな権利の創設ということになると,また大きな問題なのかもしれませんので,その創設とまで行かずとも,B案として書いてありますけれども,告知内容を拡充するというような仕組みはどうだろうか,つまりここにありますように,弁護人を選任することができるという告知に加えて,弁護士と相談できる,知っている弁護士がいなければ弁護士会に弁護士の紹介申出を行うことができる,弁護士と相談する費用を出せないときには接見費用はかからないというような告知義務を課すというような仕組みを作るのはどうだろうかということです。いずれにしても,弁護人となろうとする者として接見をするということで,被疑者が自分で私選を選べるのであれば私選でやればいいわけですけれども,そうでない場合には,接見費用を国費から支出するというような形が考えられているということです。   運営主体は法テラスということになるのだろうと思いますので,併せて総合法律支援法30条に定めている法テラスの業務範囲にも少し手を加える必要があると思います。その業務をどういうふうにするのか,2号業務にするのか3号業務にするのか。3号業務ということになると,委託事業ということになり,委託をする言わば元々の権利がどこかになければいけないということになるので,刑事訴訟法にその権利を定めるのか。あるいは2号業務,これは民事の法律相談というものが中心の業務ですけれども,これが法テラスの本来業務ですが,ここに当番弁護士型の業務を加えていくという仕組みも考えられるのではないかというのが現在検討されているごく大まかな仕組みです。   結局,1回行って接見して,さらにその後,引き続き勾留前に活動するということになると,これは引き続き弁護人となろうとする者での活動もあり得るでしょうし,弁護人として選任された上で,弁護人としての活動をする必要が出てくる場合もあろうかと思いますけれども,そこらはいろいろな在り方が考えられるのではないだろうかと考えています。   ここで弁護士会側の対応ということで考えますと,逮捕時間は短いわけですので,遅くとも24時間以内の接見態勢を組む必要があるだろうと考えております。現在,日弁連では各ブロックで全国その辺の態勢作りを詰めている最中でありまして,実際はもう既に当番として活動しているという実情もあるわけですので,概ねその辺りのところは詰めつつあるということです。   そのための資料といいますか,先ほどの勾留全件弁護のシミュレーションと同じようなシミュレーションを逮捕段階においても行っているということで,前にお出しした資料で実は先ほどのシミュレーション資料にはその辺が潜り込ませてありまして,⑥の欄というのは逮捕人員,具体的には自動車運転過失傷害及び道路交通法違反を除く事件数として総数が約12万7,000件という数字を出している。もちろん逮捕された被疑者全員が請求するということではないと思われますので,この7割,8割という数字が実際の件数になるのだろうと思います。そうなりますと実際の件数としては,勾留全件の予測件数とそれほど大きな差が出ないのかなと思われます。そういうことで対応態勢は基本的には取れている。ただ,問題なのは,24時間以内の接見態勢を取る必要があることを前提に考えますと,その辺で支障が出てくるのは離島,それから冬期の遠隔地,北海道などです。そういうところはなお問題が残るということになろうかと思います。その点については,電話の利用などについても少し検討していただく必要があるのかなと考えているところです。大まかに今,検討している中身,逮捕段階における弁護の充実という内容については概略で恐縮なんですけれども,そのようなところを考えているということでいろいろ御意見をお聞かせいただければと思います。 ○川端分科会長 ただいまの御意見に対して,御質問なり,御意見はございますか。 ○酒巻委員 刑訴法に新たな規定を設ける話であり,しかし,よく分からないのでお尋ねしますが,この弁護人ではなく,弁護士と相談する権利ですけれども,刑訴法の39条1項との関係はどうなっているのか,それから憲法34条に身体拘束された人については弁護人を依頼する権利が書いてあって,それを踏まえて現在逮捕段階で弁護人を選任することができる旨の告知,そういうシステムになっているわけですけれども,まずは刑訴の内部だけでも39条1項との関係が分からないので教えてください。 ○小野委員 弁護人として選任,国選での選任というのはその段階でシステム的になかなか難しいということを考えた上で,弁護人となろうとする者での活動であると考えています。 ○酒巻委員 ですからそれはもう刑訴法39条1項に書いてあるんではないですかということなのです。書いてあるのに,別にこういうのを書くと接見交通権と相談することはどういう関係になるんですかというのがまた分からなくなるので,もうちょっとお考えになった方がいいんではないでしょうか。つまり弁護人に依頼する権利とか弁護人を選任する権利の中身は,私は弁護人ではありませんが,弁護士さんと相談することに決まっているのではないですか。つまり含まれているのではないだろうかと思うのですけれども。 ○小野委員 ごもっともな御意見で,要するにどういう仕組みを作るのがいいかというところで言うと,今,酒巻委員がおっしゃったような基本的な考え方は当然だろうというふうに思っておりますが,なお,そこで今の仕組みの中で逮捕段階において確実に弁護士を呼ぶことができる仕組み作りの前提としてそういう権利を考えることができないわけではないのかもしれない。ただ,それは恐らく酒巻委員がおっしゃるように要らないと,元々あるんだから要らないというのもごもっともな御意見で,そのときに要するに告知内容をもう少し詳しくするというか詰めるというか,そういう逮捕段階における弁護人となろうとする者の活動ができるんだよということを逮捕された被疑者にきちんと告知する。こういう仕組みが多分主要な内容になるのではないかというようなことで,非常に分かりにくい御説明であることは重々承知しておりますけれども,そういうことがちょっと考えられるということでございます。 ○酒巻委員 よく分かりませんでした。 ○上冨幹事 頂いた資料の「逮捕段階における弁護人(弁護士)の援助の充実化について」という資料の「1」の一つ目の「○」のところの記載について幾つか質問させてください。一つは,まず「弁護士費用」と「接見費用」をあえて意識して分けて書かれているようですけれども,その理由を教えてくださいということです。特に,弁護士費用を捻出できない場合に,国費から接見費用を支出するというふうにあえて書かれている点について教えていただければというのが1点目です。   次に,制度の中身の話ですけれども,4行目ですが,被疑者が弁護士費用を捻出できない場合の実際の制度の仕組みのことなのですが,弁護士費用を捻出できない場合,それが要件だとすると,これは資力要件か何かを設けるという前提でお考えなのかということと,その場合の資力要件の審査というのは,この段階でどなたがやられることを想定しておられるのかということです。   逆に,もし資力要件を設けない,あるいは本人が頼めませんと言えば,当然に国費による支弁がなされるという制度だとすると,現行のいろいろな制度との関係を含めて,どういう理由での公費の支出になるのかということを教えていただければと思います。   もう1点ですが,最後の「なお」のところで,接見したが相談だけで終わり,弁護人として選任されない場合ということですが,この場合はやはり資力の問題はどう考えるのかということと,それも含めてどうしてこのときの接見費用は国費で支出するという仕組みになるとすれば,その理由についても,今の段階でのお考えを教えていただければと思います。 ○川端分科会長 今,3点にわたって御質問が出ていますので,順次お願いいたします。 ○小野委員 考え方として,資力要件をこの段階で審査をしないで逮捕段階ではともかく国費によって出してしまうんだと,それについては理屈といいますか根拠というのは簡単ではないことは重々承知の上で申し上げているのですけれども,例えばここに弁護士費用と接見費用を分けているという御指摘もありましたけれども,例えば当番型として一回行く,それについての接見費用として,接見日当と交通費,これをともかく出してしまうという仕組みが一つ考えられないわけではない。それから,もう一つは,引き続き勾留請求されて被疑者国選弁護という形で,そこで資力要件の審査をするわけですから,事後的なチェックになりますけれども,そこで資力要件の審査をするしかないのかもしれません。   そのときには,その部分,つまりそれで資力要件を満たさないというときには,国選にならないわけですから,その逮捕段階でいったものも含めて,国選にならない。資力要件が通るということであれば,逮捕の段階を含めて国選にする。こういう仕組みが幾つか考えられるのではないかと考えているところで,少なくとも逮捕段階で,現状において,ともかく国費で払えというのはなかなか無理な話であるということもあり得るわけですから,そこのところは更にもっと詰めていかなければいけないだろうと考えているところで,まだまだちょっと不十分な検討状況ではありますけれども,そんなところになっております。 ○川端分科会長 ほかに御意見はいかがでしょうか。 ○宇藤幹事 先ほど酒巻委員の方からありましたように,私も,弁護士と相談する権利というのが何を指すのかというのがもう一つよく分かりません。先ほどお話があったところで,そういう意図かなというところも気分としては分かるのですけれども,その内容にはなお疑問があります。   ただ,そのことはそれとして置くとしても,実現可能性がどれくらいあるのか疑問です。   先ほど勾留段階での対応についてのシミュレーションとの関係で難しいのではないかとの感想を申し上げたのですが,今回は,逮捕段階まで対応するのだということですので,本当に大丈夫なのかなというところが率直な印象としてあります。あともう一つ,このシミュレーションの中には恐らく入ってないと思いますけれども,少年事件との関係でも対応が必要であることまで考えますと,かなり難しいところがあるのではないかと思います。 ○酒巻委員 これまでのもう既に存在している公的弁護制度の出発点を勾留段階ではなくて最初に身体を拘束された逮捕段階に前倒しするというのは,実際にできるか,人的なこととか費用のことは置いておいても,法制度としてはそれは非常に自然な感じがするのです。私自身は大昔に,被疑者について公的刑事弁護を導入するのであれば逮捕段階からの方が良いと主張したことがあります。何でそういうふうにしないで,今回述べられたような仕組みを提案するのですか。それはやはり何か事実上難しいと思われたからですか。あるいは法的に何か難しい問題があると思われたからなのですか,そこを知りたいのです。 ○小野委員 今,おっしゃったような形で,できれば,もちろんそれに越したことはないだろうと思います。そうすると,勾留段階での国選選任と違って,逮捕段階で国のどこが選任することになるのかというようなところだと思います。当然,資力要件の問題ももちろんあるんですけれども,裁判官が勾留しますよというときに国選を選任する,逮捕の段階で勾留と同じように裁判官が国選を選任しますよとスッとできる仕組みを作れれば,それに越したことはないかなと思います。当然,そこに資力要件も絡んでくることになると,時間的な問題もあるので,そこの部分の勾留前の段階という作り方がスムースにいくのかどうかというところで非常に難しいのではないだろうかと考えて,苦肉の策のような,こういう形を考えているというのが実情です。 ○酒巻委員 そうすると日本弁護士連合会も逮捕段階からの国選弁護制度はもう難しいと御判断されてしまったのですね。 ○小野委員 いや,判断してしまっているわけではなくて,各会の意見ではもちろん今,酒巻委員がおっしゃったような国選前倒し型でやるのが当然だと,そういうふうにするべきだという意見は当然あるんですけれども,具体的にそこの仕組み作りについての良い知恵がないと言いますか,今のところまだ出てない。その良い知恵が出ればそれに飛びつきたいことになるんだろうと思うのですけれども,現状の運用の中で考えたときに,さてどうしたものかなという,壁がまだ破れてないというのが現状と御理解いただけると有り難いです。 ○高橋幹事 苦肉の策ということなのでしょうが,先ほどから出ている資力要件の審査について,逮捕時に資力要件があったかどうかを事後的に勾留時に裁判所が審査するというような仕組みにするという提案と受け止めたのですが,それでも全てをカバーしきれていないというところにも弱みがあるのかなと思います。被疑者が逮捕されて実際に弁護士が接見しても,その後勾留請求されない場合もありますし,裁判所で勾留却下をする場合もありますし,被疑者国選の請求が被疑者からなされないという場合もあるので,なかなか全てを資力要件の審査に関してカバーしきれていないという問題点も依然としてあるのではないかということを気付きとしてお伝えいたします。 ○上冨幹事 これまでの御説明を伺った上での意見ですが,苦肉の策ということで考えられていて,実際にこのペーパーでも私選弁護人として活動するという位置づけで制度が考えられているという意味では酒巻委員が先ほどおっしゃった現在ある裁判所が選任するという公的弁護士制度とは別の仕組みとして作られるという発想なのだろうと理解しますので,それはもう全く別の仕組みとしての合理性,それを別途考える必要があるのだろうと思います。その上で,現時点でのお考えを前提とした場合,やはり私選の弁護人に対して国費を払うことの当否に加えて,その払うかどうかについての資力の審査が少なくとも支払う段階ではできないという仕組みを前提としなければいけないということからすると,公的負担の合理性というところについてよくよく慎重に考えないと,なかなか合理的な制度として説明しきれないのかなという感じがいたします。 ○川端分科会長 ほかに御意見等がなければ,この問題はこれで終わりにしますが,小野委員,よろしいでしょうか。 ○小野委員 貴重な御意見をいろいろ頂きましてありがとうございます。 ○川端分科会長 時間の関係もありますので,ここで一旦休憩を取りたいと思います。           (休     憩) ○川端分科会長 お揃いのようですので,再開いたします。「証拠開示制度」のうちの,「証拠の一覧表の交付」についての議論に入ります。   この検討項目に関しましては,配布資料の「第1 証拠の一覧表の交付」に記載されている検討課題のうち,特に「3 証拠の一覧表の記載事項」についてどのような記載事項を設けるかの意見が分かれているところですので,この検討課題を中心に「たたき台」の策定に向けて詰めの議論をお願いいたします。   記載事項をどのようなものとするかは,対象事件の範囲,請求・交付の時期,弊害がある場合などの記載の在り方にも関連しますので,これらの点についても御意見のある方は併せて御発言をお願いします。   なお,小野委員から,「証拠リスト案」という資料が提出されておりますので,この点について概略的な御説明をお願いしたいと思います。 ○小野委員 私の方から提出いたしました証拠リスト案は,証拠の内容によって,少し分けてこのような記載方法ではどうかと例示的にお出ししたものです。証拠物,どういう種類であれ,何であれ,毛髪,手帳,包丁,いろいろあると思いますけれども,押収日は客観的に一義的にはっきりしている。どこでこれが押収されたのかということについても一義的にはっきりしているだろうということで,誰それ方の1階洋間であるとか,被告人方であるとか,どこそこ先の路上であるとか,あるいはどこそこ会社のどこそこのキャビネット内であるとかといったような形での特定は容易であり,一義的なのだろうというふうに考えて,「手がかり」という趣旨で言えば,この程度の記載が必要なのかなと考えました。   それから,「検証関係」と次の2ページに書きましたが,標題がどういう標題であれ,それは検証的なものということになるとすると,その作成日のほかにその検証の対象,検証調書であれば誰それ方であるとか,どこそこ先路上であるとか,包丁であるとか,何であるとかというようなことで,この標題がこうでなければいけないということではなくて,こういう類いのものであればこういう検証対象という形で特定することができるし,それは容易だろうと考えています。   それから,鑑定についてももちろん標題は鑑定書という標題もあるでしょうし,ここにあるような例示として,「DNA型検査中間回答聴取報告書」という標題のものもあり得るでしょうけれども,こういう標題でなければいけないということではもちろんなくて,こういう類いのものについては,作成日と何を鑑定し,何をどういう鑑定をしたのか,毛髪のDNA型鑑定であるとか,あるいは血痕様のものの血液型であるとかDNA型であるとかというものが考えられるのではないかということです。   3ページ目,供述録取書については,標題と作成日と供述者の名前があれば足りるだろうと思います。それから,取調べ状況記録書面についても標題と作成日と被取調者の氏名があれば足りるだろうと思われます。   それから,4ページですが,捜査報告書の中で,原供述者の供述が記載されているという捜査官の作成書類については原供述者の氏名,これは複数であれば一番最初に記載されている人の氏名という形で書けるのではないか。その他の作成書類などについては,標題と作成日ということになるのだろうと思います。この標題も現状こういうような標題もあるということで例示的に挙げたわけで,このような例えば括弧書きでなければいけないとかということで申し上げているわけではなくて,現状がこうであればこういうことでいいのだろうかということです。   従来抽象的に申し上げてきたことではありましたけれども,具体的に書き出すとすると,このようなことなのかなということで皆さん方の御意見を頂きたいと思います。 ○川端分科会長 具体的なイメージを示していただきましたので,これについての御質問なり御確認などを通して,議論に結び付けていきたいと思います。 ○上冨幹事 具体的なイメージをお示しいただいてありがとうございます。その上で,まず私自身の意見から申し上げますと,基本的にはいわゆる一件記録の証拠金品総目録や書類目録に書かれている項目と同じ内容を書けば「手がかり」としては足りるのだろうと思っています。   具体的に申し上げますと,まず供述録取書,いわゆる調書については文書の標目と作成年月日と作成者,供述者といったことになると思っております。供述録取書を除く証拠書類については,類型化をするのではなく,全ての証拠書類について文章の標目と作成年月日と作成者を記載すれば十分なのではないかと思っています。それから,証拠物については品名と数量によって特定してリストに記載するということが適切なのではないかと思っています。   その上で,小野委員の御提案に関連して何点か申し上げますが,一つは証拠書類を類型化してそれによって記載内容を変えるというアプローチについては,実際には難しいのだろうと思っています。どういう類型に当たるのかが分けられない書類というのが捜査の実務上はたくさんあって,それをどちらに割り振るか,どの類型に割り振るかによって記載内容が変わってくるという仕組みは制度として非常に取りにくいだろうと思います。   例えば,今の案では供述録取書と鑑定関係,それから原供述者の記載がされている捜査報告書など,それぞれ類型化されているわけですけれども,鑑定をした人から話を聞いた内容をどういう形で証拠化するかといったことは,鑑定書であり,捜査報告書であったり,供述調書であったり,いろいろな形での証拠化が実際には行われているわけで,それを中身の性質によって整理していこうと思っても,現実には難しいことが多いのではないかというのが1点目でございます。   次に,2点目は証拠物については,これは前から申し上げていることですが,押収日とか押収場所といったものは証拠物の情報ではなくて,証拠物に関連する別の書証に書かれている内容であって,言ってみれば仮にそのような事実を書くとすれば,非常に単純な事実認定ではありますけれども,証拠物に関してそういう場所でいつ押収されたという事実をリスト化の段階で認定して,それを記載するという作業になるはずで,それは多分元々持っている証拠リストという考え方とは多分整合しないのだろうと思います。   それから,3点目は,「手がかり」としての有用性という面ではもちろん記載内容が多ければ多いほど有用だという方向に働くのは間違いないと思いますけれども,他方でこの制度は現行の段階的証拠開示の制度との整合性を図りながら考える制度ですし,またその「手がかり」というものとしてのメリットとそれを作るために要する負担,作業量といったもののバランスも図るべきだろうと思います。   例えば,証拠物について押収日や押収場所といったものをリストに記載するというのは,その証拠物に関する捜査の経過そのものを開示することですので,それが果たして現行の証拠開示の仕組みと本当に整合するのか,被告人の主張明示のインセンティブを損なったり,証拠と矛盾しない弁解の作出という弊害が本当にないのかということについては,よく考える必要があるし,書けば書くほどそういう弊害が大きくなるということになるのだろうと思います。その証拠と矛盾しない弁解の作出ということについて言えば,ある程度捜査・公判の実務をしたことのある人間であれば,後の段階であるいは捜査段階も含めて,「名前を知らない外国人からもらいました」とか,あるいは「今は死んでしまった知人の誰々さんに言われました」といった裏の取れないような人が登場するというのは非常にしばしば経験することで,それは証拠が開示されてなくてもあり得るのかもしれませんが,証拠が開示された後であればより具体的な形で裏の取れない弁解をしたくなるというのは当然のことなので,そういう弊害も防ぎながら争点整理をしていくということで組まれている現行制度の基本的な仕組みを損なうようなもの,このリストがそういうものになってはいけないのだろうと思っております。   その意味で,最初に戻りますが,リストに記載する事項としては,最初に申し上げたような各項目があれば,少なくとも証拠開示の請求をするための「手がかり」としては十分に機能するのではないかというのが私の意見です。 ○川端分科会長 基本的な部分に関わる御意見も出たわけですが,ほかに何かございますでしょうか。 ○酒巻委員 個別具体的な点につきましては,ほとんど上冨幹事と同意見です。それでちょっと抽象的な話になってしまいますけれども,資料の22ページに書いてあるように現行の証拠開示制度の枠組みの下で,弁護人側が開示請求をする「手がかり」として開示請求を円滑・迅速ならしめるという目的のリストというのがもしあれば,それは現行法の枠組みの中で何とか位置づけることができるのではないかというのが私の理解でありまして,現行の枠組みはその2番目に書いてある段階的な証拠開示制度,それとの整合性が取れてないといけない。   しかし,このたび提示されたこのリスト案はそれとはやはり整合性が取れないのではないかと思います。理屈の話をすればこのリスト案は単なるリストではなくて,ワークプロダクト的なもの,客観的な資料の存在にとどまらない訴追側当事者の考えている事柄がここから推知できる。それはやはり現行の当事者訴訟における証拠開示制度とは馴染まない一方当事者の訴訟戦術・方針といったインテレクチュアルな部分です。そこまでお示しすることに結局はなるので,それは現行法の基本的な枠組みと到底両立し得るものではないと思います。   それからしつこく言っておりますけれども,現行法にも既にリストの制度はあり,それは正に段階を踏んで弁護人側が主張明示をする,その上で更にそれを裏付ける資料が存在しないかどうかを裁判所にチェックしてもらうために,現行法は316条の27で,何人にもその一覧表の閲覧は許さないという前提で裁判所に対してどのようなものが具体的に存在するかをお示しして,更にそれに基づいて裁判所がその証拠を提示してもらって,その上で開示の重要性,必要性,弊害を判断する。そういうリストはもうあるわけです。   それはその制度趣旨からいって相当詳細なものでなければいけない。しかし,今,設計しようとしているのは,辛うじてぎりぎり,全体の枠組みに矛盾しない形で,そして捜査の実務について極めて精通している有能な弁護人でなくても,現在のそれなりに完備した制度がうまく使えるように,その「手がかり」となるように,どのようなものが存在しているかというものをお示しする。請求権の行使を円滑にするためにお示しするというものですから,そういう趣旨から言えば上冨幹事が先ほど言ったような形のリストで必要かつ十分であろうと思います。それより詳細なリストというのは既に現行法に存在しているので,その場合はそちらを使っていただければいいと,そういう仕分けになるのではないかと思います。 ○露木幹事 私も酒巻委員,あるいは上冨幹事と同じ意見でありますけれども,小野委員の御提示の「証拠リスト案」について,若干のコメントを申し上げます。証拠物については,押収日とか押収場所,これはその証拠物が別の事件の証拠物にもなっているということもありますが,そうした場合に押収場所を開示するというのは捜査に支障を来す恐れもありますので,マスキングをしなければならないという場合も多々出てくるのではないかというふうに思われます。   それから,書類の方ですけれども,この標目ではなくて標題と記載されておられるのは,タイトルをここに記載せよという御趣旨なのだろうと思うのですけれども,そもそも捜査報告書などでは標題のついてないものもありますし,先ほども出ましたけれども,その標題が必ずしも書類の内容を過不足なく表現し尽くしているものではないということがありますので,これは前から申し上げていることですけれども,リストを見た者がかえってミスリードすることになるのではないかということが懸念されます。   例えば,裏付け捜査報告書という類いのものがありますけれども,中にはスーパーの店員さんから凶器の刃物の販売状況を聴取して,その聴取結果を記載すると同時にその販売をしたときの売上伝票の写し,あるいはそのお店に被疑者が入ってきた状況が写っている防犯カメラの映像の写しを提供していただき,それを添付して,その入手の経過も一緒に記載しているというものもありまして,それが裏付け捜査報告書というタイトルで十分表現できているのか,また,ものによっては聴取結果報告書という,聴取の部分だけ書いているものもありますので,この標題の扱いというのは分かりやすいようで難しい問題があるというふうに思います。   それから,捜査報告書の聞込捜査報告書で,対象者が複数の場合には,一番最初に記載されている対象者を記載した上で「等」と付記するというふうに書かれておられますけれども,一番最初に記載されている対象者の方が,その方の名前が公になるとプライバシー侵害の恐れがあるので,その方の氏名をマスキングしなければならないというときには一体どうなるのだろうかという問題もございますし,捜査報告書ですと,伝聞の伝聞のようなものもあるのです。暴力団などですと直接組長の犯行への関与を見たり,聞いたりした者が自分ではしゃべれない,でもその組員が別の組員にそういうことをしゃべったということを,その話を聞いた別の組員から捜査員が聴取をして,捜査報告書を作成する場合がありますけれども,そういう場合の原供述者は一体誰になるのかという問題もあると思います。これもなかなかそこまで記載することとなりますと,扱いが難しいということも実務上出てくると思いますので,先ほど来,出ていますように,リストの標題の記載については,形式的・一義的に割り切れるような記載内容にとどめるべきである。実務上もそう思います。 ○宇藤幹事 この「証拠リスト案」ですけれども,小野委員の御説明からは分からなかったのですが,類型証拠開示の前の段階で出すリストということでよろしいですか。そうであるとすると,先ほどからお話が出ているように,段階的な証拠開示の理念とはやはり整合性の点で難しいのではないかと考えます。   このリストで考えるとしても,類型証拠開示前のものでなくて,せいぜいその後の段階でのお話ということになるのだろうと思います。また,作業量の点でも,恐らくこの案を前提として考えると,類型証拠開示前の段階で全部対応ができない局面も生じるでしょうから,時期の関係等も含めて考える余地もあるのだろうと思います。 ○高橋幹事 弁護人サイドからすると,「手がかり」という意味で,いろいろなことが盛り込まれていれば盛り込まれているほど使いやすいという気持ちになるのは分かるのですけれども,もう皆さんもお話ししていますが,このリストは飽くまでも今の証拠開示制度の枠組みの中での「手がかり」ということですので,このリストの記載内容内容自体に関して捜査側と弁護側との間で疑義が生じてしまって,かえって証拠開示の手続が遅延したり,紛糾したりするというのは,これは絶対に避けるべきだと思います。なるべく客観的な一義的なものに絞れるような形でうまく作った方が良いのかなと,私もそう思います。 ○小野委員 皆さんから御意見を頂きましたが,一つ例えば標題については別にこういう標題であるべきだということを申し上げているわけではなくて,具体的な現に作られている報告書なり何なりの標題ということで考えているにすぎないわけなので,そこのところは何とでもなるかなと思います。それから,マスキングが必要なもの,もちろんあり得ます。それはマスキングをするということになると思います。   例えば,証拠物についてちょっといろいろ御意見もありましたけれども,ある特定の証拠はどこかからか,いつからか押収されているわけで,それ自体として一義的に決まっているのだろうと思いますので,それをリストに書けない理由はちょっとないのではないかなと。   もちろんここで今考えているのは,類型証拠開示請求の前の段階の一覧表を考えているわけですけれども,裁判官の裁定の際におけるリストは,もちろん別のものなのだろうということで,それを求めているわけでは全然ないわけです。先ほどもちょっと御説明をして,ここはもう基本的に意見が相違しているということですが,一義的に書けるものに,私の方としても非常に絞ってここでは掲げたということで,例えば鑑定だか何だか分からないというものが,捜査報告書としてはあり得るかもしれません。それは捜査報告書ということで結局作られることになるわけでしょうから,はっきりしているものははっきりしているように書いていただければいいだけのことではないかなと考えています。   段階的な証拠開示ということで,どこにどう当てはまらないのかちょっとそこのところは私も理解不足なのですけれども,類型請求前の証拠のリストというときに,例えば証拠物で言えば,そもそも類型請求をする必要のあるような物なのかそうでないのかということ,あるいはそもそもそんな証拠物があったかなかったか全く分からない段階での事柄ですから,同じ物があっても,結局標目だけ並んでいるときに,あれもこれもみんな類型請求ということになるのかというと多分そうではないだろうと思います。そんな必要も多分ないのだろうと思うわけで,そういうことで言いますと,必要な類型請求をするという前提で考えたときに,この程度の記載というのがあればかえって適切な類型請求につながるのではないかと考えているところです。   それから,いろいろ弁解を作出するということで言えば,裏の取れない何かを言うことはもちろんリストがあろうとなかろうと,あるいは類型の開示があってもなくても,それは一般的にあり得ることではあろうと思います。そういうことで言うと,こういう類いのリストがあるからといって裏の取れない供述みたいなことが更に言いやすくなるということとは余り関係ないのではないかと考えております。 ○川端分科会長 私の方から確認させていただきます。リスト案として出されているのは,書類の分類という問題も出ましたが,これを区別するという意味ではなくて,例示として挙げたという理解でよろしいのでしょうか。 ○小野委員 そうですね。 ○川端分科会長 明確にこの書類はこれという具合に分類すべきだという御主張ではないわけですね。 ○小野委員 だから分類し難いものも当然あると思います。ですから,捜査報告書ということになるか,あるいは標題がそうでない標題になっていれば,その標題を書いていただくことになるのだろうと思いますけれども。 ○上冨幹事 法律にはどこまで書くというイメージの御意見なのですか。一定の類型化をして,この書類の類型はこういうことを書く,この書類の類型はこういうことを書くということは法律には書かないで,ただ抽象的にリストを作るということだけ書いて,あとは運用だという御趣旨の御意見なのですか。 ○岩尾幹事 もう少し具体的にちょっと確認させていただいた方が良いかなと思うのは,今,制度概要案の「3」の(1)の記述が場合によっては,こういう形で法律になってもいいようなものだとして,イメージしているわけです。つまり,リストを作るときには一定の証拠の区分というものがあらかじめ定められていて,その区分ごとにその記載事項を特定していく。これは法律なのか,下位法令なのか分かりませんが,いろいろなものがあると思うのですけれども,どこかの段階で,どういう区分についてはこういう記載事項が要るのだというところが何か明らかにならないと疑義が生じるのかなというふうに事務当局としては考えていたわけです。そういう意味で,今,上冨幹事からの質問は,そもそも類型分けとか,記載事項を詰め切らなくてもいいという御趣旨なのでしょうかという質問だと理解していただければと思います。 ○小野委員 どこに書くのかということはいろいろあり得るのでしょうけれども,例えば証拠物の押収場所というようなものはどこかに掲げることになるのだろうと思います。趣旨としてはそういうことで,例えば検証の対象とか,そういうことをどこかで掲げていくことになるのかなと考えられます。 ○上冨幹事 その上で,分類できないものというのが存在して,それは何を書けばいいのかということはどこかに書かれるというイメージなのですかね。 ○小野委員 分類できないものもあり得るのだと思います。それについては,結局どういう標題なのかちょっとよく分かりませんけれども,結果的にはいわばこのリスト案で言いますと,一番最後のその他の捜査官の作成書類のような標題と作成日ということに最後はなるのだろうと思いますけれども。 ○上冨幹事 それで現在の制度概要案というのは,そこを多分一応分類した形で,「ア」,「イ」,「ウ」,特に「イ」と「ウ」で,供述録取書とそれ以外の証拠書類という形で,一応分類しきっているのだと思うのですが,先ほど申し上げたことの若干繰り返しになりますが,恐らく御提案のようなことをしていくと,そこがきちんと書き切れないというか,分類し切れない形になって,実質は鑑定なのに別の類型のところに書かれて,その結果としてリストに書かれる内容が鑑定のところに分類するか,それ以外のところに分類するかによって変わってきてしまうというような疑義,あるいは判断の裁量性みたいなものが生じてこざるを得ない仕組みになるのかなというふうに思います。 ○保坂幹事 1点質問です。先ほど証拠物には必ず押収場所があって,それは一義的に決まるものだから,それはリストに書けるはずであるというお話があったので,今,頂いているリスト案を前提に少し質問したいのですが,例えば一番上の方では,「乙野次郎方1階洋間」というのがあって,3番目になると「被告人方」とあって,7番,8番だと「総務部丙野三郎の机上」とか,「引出内」とまであって,要するにどこまでを場所として書くのか,多分被告人方の中でもどこか押収場所というのはポイントがあると思うのですが,それをリストに書くときに,「被告人方」だけというふうに書くのか,それとも被告人方のどの部屋,あるいはそのどの机の上ということまで書くのか,これはどういう基準によって書き分けるという想定をされているのか教えていただければと思います。 ○小野委員 ここでの例示の仕方というのは,区々になっておりますので,こういうことでなければいけないということではなく,例えば「1」の毛髪の押収場所が1階洋間,次郎方ということもあるでしょうし,それは要するに詳しく書く場合もあれば,そうでもない場合もあるということで言うと,基本的には特定できる押収場所ということでいいのだろうと思います。 ○保坂幹事 そうすると,リストを作成する検察官がこれはここまで書こうかなと思えばここまで書くし,例えば,被告人方でいいかなと思えば,被告人方でいいよと,こういう趣旨ですか。 ○小野委員 そういうことになるのだろうと思います。 ○酒巻委員 やはりお話を聞いていると,私は一委員として意見を申しますが,「手がかり」として私の想定していたリストというものとはこれは根源的に異なるリストであるように思われます。したがってこれは基本構想の枠からはずれ,到底認めることはできない。仮に譲歩してリストというものをお示しするという制度を作るのであれば,現在の考えられる制度の概要の「3」の(1)のところまでは詰めてある,こういう形で書ける,できる限り客観的に書ける,そういうものでしか作り得ないというふうに思います。 ○川端分科会長 ほかにいかがでしょうか。 ○宇藤幹事 小野委員からお示しがあったリストの話ではないのですが,よろしいですか。   制度概要の「第1」のところの「3」の(2)のところで,「事項の記載をしないことができるものとする」という文言になっております。ここの内容なのですけれども,恐らくはマスキングをするということでよろしいのだろうと思うのですけれども,その前提はあっておりますか。その上で,ほとんどないだろうとは思うのですけれども,全事項についてマスキングをしなければならないというような場合が出てきたときに,マスキングをした形でそのままリストに残しておくというふうなことであろうと私は理解していたのですけれども,その点について確認なりさせていただければと思います。 ○川端分科会長 今の点について御意見はございませんでしょうか。 ○露木幹事 私の意見としては,基本的には標目の欄の一部分をマスキングするということで足りる場合が一般的だろうと思います。しかしながら,暴力団関係の拳銃,覚醒剤の隠匿場所を突き止める上で,捜査に特別に協力をした組織関係者などが供述をした内容を捜査報告書に記載して,その捜査報告書を証拠に捜索差押えをするなり,立件をするという場合において,その隠し場所を知っているのは,もう特定のその組員しかいないというようなときに,供述調書という標目が出てしまって,その供述調書が唯一の証拠であるというときには組織側から見れば,その者が捜査に協力したんだなということが発覚してしまうということもございますので,そういうものについてたとえ全部の欄が黒くマスキングをしてあったとしても,書類の目録としてそこに何らかの書類があったということが相手方に察知されるようなマスキングの仕方というのは私どもの立場からすると十分ではないということには十分配慮していただきたいと思っております。 ○川端分科会長 そのように確認させていただきます。 ○宇藤幹事 だとすると,ここのところはマスキングの方法をどうするかということで,問題としては残っているということでよろしいのでしょうか。 ○川端分科会長 それは弁護士会側の方からしますと,マスキングの程度の問題などがあり得ると思うのですが,その点はどうなのでしょうか。 ○小野委員 それはケースバイケースとしか言いようがないと思います。マスキングをする場合は,もちろんそれぞれのその事項についてマスキングをする必要があれば,それが適正かどうかは別にしてあり得るのだろうと思いますけれども。 ○上冨幹事 恐らくどこか1か所に弊害があればおよそ証拠があったことまで全部隠してしまうというようなことでないということには特に意見に違いはないのだろうと思います。あとは小野委員がおっしゃったとおり個別具体的な弊害によってどこまでの記載を隠すことが必要なのか,あるいは本当に例外的な場合かもしれませんが,証拠の存在そのものが明らかになること自体で弊害があるという場合にはそこまでマスキングといいますか,リストに載せないという方法も個別の事案の当てはめにおいてはあり得るということではないかと思いますので,その制度の考え方としてはさほど食い違いはないのではないかなと私は理解しております。 ○川端分科会長 この点はそういう形で確認させていただきます。 ○宇藤幹事 ということは,具体的な形としては黒塗りの形ではもはや残らない,全体が黒塗りのかたまりでここにこういうものがあったという形跡すら残らないというリストの形で出てくるということなのでしょうか。 ○上冨幹事 そういう場合でしか弊害を除去できないという例外的な場合が仮にあればそういうこともあり得るでしょうということで,通常はその該当部分が黒塗りになったものだけが出る,そこがマスキングされているなということがリストを見れば分かるし,あるいは1項目全体がマスキングされていたとしても,少なくともそこに何らかの証拠が本来あるのだなということが分かるということなのだろうと思います。その上で,露木幹事がおっしゃったのは,非常に例外的な場合で,何らかの証拠があること自体,あるいは供述調書があること自体で,弊害があるということがもし仮にあれば,その場合にはそこまでリストから外すということも個別の当てはめとしてはあり得るのではないかという御意見ではないかと思います。 ○小野委員 その最後のところですけれども,例えば標題を含めて,番号だけ残って,その標題を含めて全部黒塗りというマスキング,それはケースバイケースであり得ると思うのですが,その番号ごと消えてなくなっちゃうということはちょっとイメージとしては私は考えていないのですけれども。 ○川端分科会長 その存在自体についてという問題のようですけれども,いかがでしょうか。 ○上冨幹事 普通はそういうことはないのだろうと思うのですけれども,露木幹事がおっしゃった御趣旨は多分,一定のリストに載っているもの以外に証拠があるとすれば,この証拠しかないというのが分かってしまうような事案がもしあれば,そのこと自体で弊害が生じるという場合もあり得るのではないかということをおっしゃっているのだろうと思います。   ですので,そういうことが頻繁にあるかと言えば,普通は項目があったからといって,どんな証拠があるのか当然それだけでは分からないのが普通でしょうから,そういう場面が頻繁にというか現実に生じるかというと考えにくいのかもしれませんけれども,理屈というか頭の整理としては,そういうことが当てはめとしてあり得るのではないかということをおっしゃっているのだろうと理解しています。 ○川端分科会長 時間の都合がございますので,この問題は以上で終わらせていただいて,次に,「自白事件を簡易迅速に処理するための手続の在り方」についての議論に入らせていただきたいと思います。   まずは配布資料記載の「第1 自白事件の捜査の簡易迅速化を確保するための措置」について議論を行います。この検討項目については,検討課題についてまとめて議論をしたいと思いますが,特にA案の仕組みだけとするのか,これに加えてB案の仕組みも設けるのか,A案の仕組みとB案の仕組みのそれぞれについて制度概要の内容が適切かについて,詰めの議論をお願いしたいと思います。   それでは,御意見のある方,適宜御発言をお願いいたします。 ○小野委員 以前も申し上げたと思いますけれども,やはりA案に加えてのB案で,同意等の撤回の制限ということは,それ自体撤回をしているのにそれを許さないというのは仕組みとしてはやはり難しいのだろうというふうに思いますので,そもそもこういう仕組みを作ることがいいかは別にして,もし仮に仕組みを作ろうとすれば,B案はなかなか難しいことになるのではないかと今でも考えています。 ○上冨幹事 A案に加えてB案を採ること自体というか,B案そのものがあることによって,早期に応訴態度が特定されて,それによって証拠の散逸の弊害が低減できる,それ自体のメリットはある制度なのだろうと思います。したがって,部会に上げる「たたき台」としては,A案に加えてB案も合わせて部会の御議論に供するという形にしていただく方がいいのではないかと思っております。 ○川端分科会長 今,二つの意見が出ているわけですが,ほかにいかがでしょうか。 ○高橋幹事 これまでも発言しているのですが,A案にしてもB案にしても,実際の必要性とかあるいは有効性がどこまであるのかなという疑問はまだ持ち続けておりますが,これもかねてから指摘されていますが,B案については同意の撤回を制限したところで,被告人が公判で話すこと自体は止められませんので,供述の内容が否認に転じた場合については,ガードしきれてないなという問題点があります。また,B案を採るとしても,例えば勾留を20日間した上で起訴して,このような制度を利用しようとしても,ある程度証拠の散逸とか記憶が薄れたりということの現象はもう起きつつあるということもありますので,なるべく捜査を省力化して早めに起訴するという運用にしないとなかなかワークしないのではないかと,そういう感想を持っています。 ○酒巻委員 私の意見は,まずこの制度を作ることの実効性がどうなるかという御意見はよくあるのですけれども,それは結局やってみないと分からない。しかし,少なくともこれまで考え詰めた結果として,このA案,B案でこれまでのネックの部分を突破できる可能性はあるだろうと思います。ですから,それはやはり検討すべきである,積極的に考えるべきである。そして,そういう観点から言えば,A案とB案の両方をセットにして,これも高橋幹事が言ったようなことはあり得るのですけれども,やはり目標に向けた有効な制度設計としては,A案とB案をセットにするというのが一つの徹底した在り方であろうと思います。それを見たときに,弁護士さんが本当に使うと思うかというようなことはまたあるのですけれども,まずは設計としてはそういう案があり得て,先ほど上冨幹事が言ったように,部会にお諮りするのがよろしいと思います。 ○露木幹事 私も捜査の合理化という観点からはA案に加えて,B案というものも同時に部会に提案をされるべきであろうと思います。そういう意味で,部会でも裁判所関係の委員の方がおっしゃったように思うのですけれども,先ほど高橋幹事もおっしゃった,捜査の合理化を図るためには早めの起訴が必要ではないかというお話なのですが,捜査が省力化された結果,勾留期間が短期間で終わり,早めに起訴がなされるということはあると思うのですけれども,初めにその勾留期間を短縮した上で,捜査の省略化を図ることは,ちょっと主客転倒といいますか,ひっくり返っているような気もしますので,この制度があるからといって,勾留期間を必ず短くしなければならないというような効果を必ず期待するというのはちょっとおかしいのではないかと私は思っております。 ○川端分科会長 ほかにいかがでしょうか。   これは要するに「たたき台」として部会に出すかどうかということでございますので,あえてA案だけに絞るのではなくて,A案に加えてB案という形で部会において御議論いただきたいと考えておりますが,そういうことでよろしいでしょうか。   では,そのようにさせていただきます。   事務当局の方から何かございますか。 ○保坂幹事 B案の各論的・技術的な話ではあるのですが,B案の「2」の(3)ところで,第1回公判期日前の陳述手続をやって,そこで即決裁判手続でやるという決定まで行う,その決定をした事件については,第1回公判期日前の陳述手続を公判手続における冒頭手続とみなすと,このような制度概要になっているのですが,そのみなすこととした結果,第1回公判期日前の陳述手続がどのようなものだったかということを公判期日に顕出するような手続がいるかどうか御意見をいただければと思います。 ○酒巻委員 技術的な話ですけれども,みなすというふうにすると,冒頭手続に当たるものが公判にはもうないということなのですね,それは若干違和感があります。理屈ではないのですけれども,例えば公判前整理手続の結果顕出という手続があるではないですか,公判前に行われた手続をやり直すのではなく,前に実施された事柄を公判というメインの手続に顕出する,それと同じようなアイデアでやはりそういう手続を入れた方が座りがいいような,全然理屈になっていませんが,そういうアイデアもあるのではないかと思います。 ○上冨幹事 私もやはり公判段階で前にこういう認否をしましたということを顕出した上で,公判の資料として扱うという仕組みで特段問題はないと思いますので,その点について,可能であれば,「たたき台」に盛り込んでいただいてもよろしいかと思います。 ○高橋幹事 前提として,この第1回の公判期日前の陳述手続を行うのは,その事件の公判を担当する受訴裁判所ということでよろしいですか。また,この第1回公判前の陳述手続は公開の法廷で行うのか否かという点についてはどうなんでしょうか。 ○保坂幹事 いずれも御議論いただくべき部分かとは思いますけれども,前段の方,受訴裁判所かどうかということで言うと,起訴後に,即決裁判手続による決定をするかどうかというのは,被告人の有罪陳述を前提として審理の在りようを決めるということになりますので,それは受訴裁判所なのだろうと思っております。   公開の法廷でやるかどうかというのは,この陳述手続をどういうタイミングでやるかということとも関連するもので,趣旨からすると,起訴後,間もないほど,早ければ早いほどいいという,機動性が求められることになろうと思われますが,公開の法廷でやるのとそうでないのと,いずれが機動的と言えるのかどうかというところを御議論いただければと思います。 ○川端分科会長 高橋幹事, 今の点はよろしいでしょうか。 ○高橋幹事 2点目についてが仮に非公開だとするのであれば,なおさらみなし規定ではなくて,公開の法廷でこの手続はこういうふうに行うことと判断しておりますというような結果陳述がある方が更にしっくりくるのかなという気がいたします。 ○酒巻委員 同意見ですけれども,少なくともこの陳述手続は憲法上の対審ではないから,それを公開するか非公開にするかは,立法政策であり,機動性という観点から公判期日前に済ませて,そしてそれを今高橋幹事がおっしゃったような趣旨で結果を顕出する。それが一つのきれいな形ではないかと思います。 ○川端分科会長 それでは,「第2 一定範囲の実刑相当事案を簡易迅速に処理するための新たな手続の創設」についての議論に入ることにいたします。この検討項目についても検討課題についてまとめて議論をしたいと思いますが,特に検討課題の「1」,具体的な制度内容に記載されている制度の各論的事項について詰めの議論をお願いしたいと思います。   それでは,御意見のある方,御発言をお願いいたします。 ○上冨幹事 具体的な制度内容のうち,対象事件の範囲についてはこの検討課題のところにも書いてありますが,以前にも申し上げたとおり,法定合議事件を除いた事件を対象とするという案で部会に報告するのがいいのではないかと思います。   それから,二つ目の検察官の申立要件については,前回の分科会でもこの表現を含めてこれで良いのかという御意見もあったところですが,現時点ではなかなか現在の制度概要に書かれているような要件以外に思いつかないところでありますので,現時点での案として「重大でないこと」という要件を申立要件とするという案でよろしいのではないかと思います。   それから,「4」の判決の言渡し時期についてですが,現在,制度概要案で「できる限り5日以内」となっています。これも何日でなければいけないということではないのでしょうけれども,現行の実務を踏まえつつ,より迅速化を図るということであり,他方で実刑であるということも踏まえると,5日以内という辺りがいいところなのかなと思います。実際に,結審後1週間後ぐらいに判決が言い渡されている事件が多いと思いますので,それよりも更に早く迅速に判決を下そうという方向性としてはそのぐらいではないかなと思っています。 ○酒巻委員 全体の構成はこれでいいと思っているのですが,枠の中の「2」で裁判所がこの新手続による決定をすることによって進んでいくのですが,裁判所は決定に先立って被告人がきちんとと分かっているかどうか,様々な説明をして,そういう理解ができているかどうかを確認する形になっています。被告人はどうかというと,その前に検察官に「1」の(2)で,科刑意見の内容も聞いている。前にちょっと話題になった裁判所にその予定科刑意見は伝わった方がいいのか,いけないのか,どっちがいいのかという件に関しては,裁判所がそういう仕事をするわけで,その前提として被告人の方には科刑意見が伝わっているわけですから,自然の流れとしてはその部分も裁判所に伝わっている,伝わる形になるように仕組むのが,全体としてはよろしいのではないかと思っております。 ○川端分科会長 あえてそういう制度にしなくても,自然に分かるだろうという御趣旨でしょうか。 ○酒巻委員 そうなのかもしれませんけれども,決定の前提として,何かお知らせする仕組みにしておいた方がいいのではないかという意見です。 ○川端分科会長 今の点に関して何かございますでしょうか。 ○上冨幹事 今の即決では手続の告知関係の書類を申立書に添付して裁判所にお出しすることになっていますので,この「第2」の制度を作った場合にはその告知の際に予定科刑意見まで伝えた形で告知しているわけですから,例えばそこの書面に告知した科刑意見の内容も書いた上で,申立書,起訴状と一緒に裁判所にお出しするというような仕組みを作れば,自動的に伝わるといいますか,そういう形でやっていけばよろしいように思います。ここで科刑意見を裁判所に伝えたからといって,裁判所に特段の予断を生じるわけではないでしょうし,酒巻委員がおっしゃったとおり,その科刑意見の内容を踏まえて相当性の問題など裁判所の判断がなされるということになるのでしょうから,そのような仕組みを設けるということでいいのではないかなと思います。 ○高橋幹事 今の上冨幹事の御発言は,法的にそういう制度として盛り込むのか,あるいは,運用として科刑意見をあらかじめ告知するということをやってもいいだろうというのか,それはどちらですか。 ○上冨幹事 御議論いただければいいのかもしれませんが,現行法で,手続告知書面の添付は刑訴規則に規定されていますので,そのような現行法をベースにしながら,あとは告知書面にどこまで書き込むかという問題なのかもしれないなと思います。 ○小野委員 この制度の可否をあれこれ言うつもりはもうないですけれども,もし仮にやるときには,被告人・被疑者の立場からすると,検察官の科刑意見は分かりましたと,これは裁判官,この手続は裁判官は分かっているのですかと気になることだろうと当然思いますので,どこに盛り込むかはともかくとして,告知内容,科刑意見というようなことは裁判所の方に伝わる仕組みでないと,もちろんそれで裁判所がどう判断するかというのは確かに別問題になってはいるのだけれども,検察官のこの事件に対する考え方は科刑意見に集約的に表れるとすれば,そこはやはり伝わる仕組みがないと,より一層使い勝手が悪いかなという感じがします。 ○川端分科会長 今の点は書類の記載事項として規則でそれを制定するという御意見になるのでしょうか。 ○上冨幹事 そうですね。法形式はいろいろあるかもしれませんが,現行の制度をベースにすると,規則上求められている書類に書かれればいいのではないかと思っています。 ○川端分科会長 今の点は,そういう運用の問題とも絡んできますので,しかるべく処理させていただきたいと思います。概要に書くかどうかは別として,手続上,明らかになるような観点からの説明を考えさせていただきたいと思います。 ○高橋幹事 今の点ですけれども,前に私が発言したのは,そもそも科刑意見を裁判所があらかじめ知ったとして,何か訴訟指揮とかあるいは手続に影響があるのか,それはないのではないかと思っているということなのですが,今の上冨幹事が言われた相当性の判断の一つの材料にもなり得るのではないかというのは,どういう意味でなり得るということでしょうか。 ○上冨幹事 今の制度概要を前提とすると,「1」の(2)で手続告知をするときには科刑意見を告げなければいけないとなっているわけなので,科刑意見を告げるということは,まずもってこの制度についての許容性の要件になる,告知していなければこの制度はやってはいけないということになるという意味で,まずそのできるか,できないかの段階で裁判所の判断材料になるのだろうと思います。   その上で,その事件について,相当性の判断をする際に,もちろん証拠を見ているわけではありませんけれども,そのような科刑意見を前提として,この手続を取ることが相当なのかどうかというのは,科刑意見だけから直ちに相当性の判断が左右されるわけではないのかもしれませんけれども,判断材料として排除されるものではないのではないかと思っていて,その2つの段階で意味があるのだろうと思っています。 ○川端分科会長 手続を認めるかどうか自体についての判断の材料となり得るという御趣旨でしょうか。 ○上冨幹事 はい。 ○川端分科会長 そういうことでいかがでしょうか。判決とは別問題で,その前の段階ですね。 ○宇藤幹事 「第2」の方ですけれども,制度概要案の「2」のところは,実刑判決を前提に手厚い保障をと考えるならば当然このようになっていくだろうと思います。判決言渡しまでの期間も,概要案で,5日以内となっているのは妥当なところだろうと私も思います。   その上で「第2」の方ではないのですけれども,「第1」の方でお話をさせていただいてよろしいですか。   「第1」の方で,この制度概要案の四角の中に入っているところではなくて,検討課題の方なのですけれども,A案の「○」の三つ目のところ,身柄拘束の処理,棄却された後の身柄拘束の処理をどのようにするのかというところで,現行法下の再逮捕,再勾留の取扱いで対応するのか,それとも特別な規定を設けるのかという項目が立っております。この点について以前にも意見を述べさせていただいたかと思うのですけれども,現時点では,基本的に現行法下の再逮捕,再勾留の取扱いということで対応するのがよろしいのではないかと考えております。   理由は,まず,今回検討する制度に付随して取り上げるだけの特別な理由があるとは思えないからです。以前からお話が出ていたところで,一旦対象者を釈放するということを前提とすることになり,それで良いかという点が問題となりますが,これも含めて,A案のような制度の利用を妨げ,その狙いを損なわせるほどの理由にはならないように思います。   予測の限りですけれども,この制度の効果というのは,このような制度の存在それ自体のアナウンスという点に大方はあるのだろうと理解しております。実際に公訴棄却になって,捜査の段階に戻される事案というのはさほど多くはないだろうと思います。そうであるとすれば,現実に懸念されるほどの深刻な事案が生じることはないかもしれません。また,現状の令状実務を考える限りは,さほどの問題が起こることはないようにも思います。そのこと自体のよしあしはあるでしょうが,ここで考えられるような弊害は,生じない可能性の方が高いのではないでしょうか。   もう一つは,弊害が起こるかどうかとは別に,この問題に対処するために特別な規定を設けることが現時点で妥当かということです。これは基本的には難しいだろうというふうに思います。まずは現行の345条との関係で,どのように取り扱うかを考えなければならないと思います。また,あるいは,簡便な対処として間断なく身柄拘束を続ける目的で,被告人の勾留から被疑者への勾留に切り替える措置という制度も考えられるかもしれませんが,恐らくこういう発想というのは望ましいものではありません。被疑者勾留から被告人勾留への切替えと逆になるわけですけれども,それと同列には考えることができません。被疑者におかれた場面でどういうふうな捜査が行われるのか。少なくとも通説が許容しているようなところを前提とする限りは単なる切替えということでは難しく,そういうことを容認するような規定というのもいかがなものだろうかと考えております。 ○露木幹事 今,宇藤幹事のおっしゃった点ですけれども,これは前から私も申し上げているとおり,再捜査をするために公訴を取り消して,公訴棄却の決定がなされたときに,勾留が効力を失って,被告人が一旦釈放される,形式的にはそういう流れになる。現行法に従う限りはそうなるのでしょうけれども,再捜査の必要があるので,公訴を取り消すという,今回の制度の趣旨からすると,それはちょっとおかしな結果になるのではないか。素朴にそう思います。   現に,被告人の勾留について,勾留の理由・必要性があって,勾留をされている者が,更に再捜査の必要が加わるにもかかわらず,一旦釈放されるという,その制度の矛盾というものは解消されなければならないと思いますし,私はそうではないとは思いますけれども,もしそれが理論上非常に難しいということであれば,この制度はむしろ機能しなくなるのではないかと懸念します。 ○上冨幹事 今の点については,露木幹事のおっしゃった御懸念の点というのは捜査の立場としてあるのだろうと思います。   他方で,仮に何らかの特別の規定を設けるとすると,先ほど宇藤幹事がおっしゃったように,解決すべき点が非常に多いなという感じもしております。現時点で「たたき台」として,何か示せるものがあるかというとなかなかそこまでのことも難しいかなというふうに私自身は感じますので,「たたき台」としては,現在のものを前提としつつ,部会での議論をお願いするということでよろしいのかと思います。 ○川端分科会長 今のような取扱いをしたいと思いますが,よろしいでしょうか。   この「第2」の点の残りの部分について,何か御意見がございましたらお願いいたします。 ○露木幹事 今までも何度か申し上げたことですけれども,対象事件の要件とされている事案の明白性ということの意味ですけれども,現行の即決についても同じことが規定されていると思いますが,複雑な共犯関係がないとか,あるいは余罪多数ではないとか,そういうことを今回も同様に意味しているということであれば,実刑相当事案というものの中にどれぐらいそういうものがあるのかということはやはり慎重に見極めるべきだろうと思います。   仮にこの制度を設けようとすれば,例えば常習窃盗ですとか,覚醒剤の累犯というものがこれに安易に乗ってこないように,やはりその捜査に従事している検察官,警察官がこれまで以上に緊密に連携する必要があるだろうということは,運用の話かもしれませんけれども,申し上げておきたいと思います。 ○川端分科会長 ほかにはいかがでしょうか。   ほかになければ,この問題はこれで終わることにしますが,よろしいでしょうか。   それでは「自白事件を簡易迅速に処理するための手続の在り方」についての議論はこれまでとさせていただきます。   本日予定していた議題は全て終了いたしました。   部会に提出する「たたき台」の内容を具体的にどのようなものとするかについては,次回の会議での議論をも踏まえて検討したいと思います。いずれにいたしましても,次回の会議の後,まずは「たたき台」の案を作成した上で,その案を事前に皆さんに御覧いただき,皆さんから頂いた御意見を踏まえて,更に検討いたしますが,飽くまで部会での議論のためのたたき台であるという資料の性質や次回の会議から部会までに余り時間的余裕もないところでございますので,最終的なとりまとめは,分科会長である私にお任せいただきたいと思います。そういうことでよろしいでしょうか。             (一同了承)     どうもありがとうございます。   次回は,本日議論の対象としなかった検討事項について議論することとしますが,本日取り上げた検討事項について,更に議論すべき点があるか否かについても改めて検討したいと思っております。具体的な議事次第については,事務当局を通じて追って連絡をさせていただきます。   それでは,これにて本日の議事を終了したいと思います。   なお,本日の会議につきましても,特に公表に適さない内容にわたるものはなかったと思われますので,発言者名を明らかにした議事録を公表することとさせていただきます。  また,議事録ができるまでの暫定的なものとして,事務当局において本日の議論の概要をまとめて,全委員・幹事に送付していただくこととします。  次回の日程は,来年1月21日火曜日午前10時から午後0時30分までを予定しております。場所につきましては,追って連絡させていただきます。  それでは,本日はこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。   -了-