日本司法支援センター評価委員会 第37回会議 議事録 第1 日 時  平成26年2月18日(火)   自 午後 2時59分                         至 午後 4時56分 第2 場 所  法務省第1会議室(中央合同庁舎6号館A棟20階) 第3 議 事  (1) 日本司法支援センターの中期目標(案)について  (2) 日本司法支援センターの中期計画(案)について 議        事 伊藤委員長 それでは,定刻になりましたので,ただいまから日本司法支援センター評価委員会第37回会議を開催したいと存じます。   本日も皆様方御多忙のところをお集まりいただきましてありがとうございます。   本日は髙部委員と村瀬委員が御欠席でございますが,8名の委員に御出席いただいております。したがいまして,法施行令第7条第1項に規定する定足数でございます過半数の出席要件が満たされていることを確認させていただきます。   早速でございますが,議事に入りたいと存じます。   お手元の議事次第にございますとおり,本日審議いただく議題は2つでございまして,第1は日本司法支援センターの中期目標(案)についてでございます。第2といたしまして,日本司法支援センターの中期計画(案)についてでございます。それぞれの議題につきまして,事務局から説明をお願いいたします。 松井参事官 年度末の大変お忙しい時期にお集まりいただきまして,大変ありがとうございます。今年度は中期目標,中期計画の策定年度でございまして,通年以上に皆様に大変御足労いただいているところでございます。御協力ありがとうございます。   それでは議題について,事務局から御説明をいたします。   まず第1の議題でございます日本司法支援センターの中期目標(案)についてでございます。御承知のとおり,支援センターの第2期中期目標期間が本年度末に終了いたします。したがって,法務大臣において新たに第3期の中期目標期目標を定める必要がございますが,その決定に当たりましては,当評価委員会から御意見をいただくこととされております。今般,法務大臣から当評価委員会宛てに,支援センターの第3期中期目標案に対する意見を求められております。そこで,本日は第3期中期目標案につきまして,当評価委員会としての御意見をとりまとめていただきたいと考えております。   次に第2の議題でございますが,日本司法支援センターの中期計画案についてでございます。法務大臣が定める第3期中期目標案を基にいたしまして,これを達成するための具体的計画を支援センターが作成することとされております。これの法務大臣宛ての認可申請につきましては,今月末が予定されております。認可に当たっては,法務大臣は当評価委員会から御意見をいただくこととされておりますところ,まだ認可申請前ではございますものの,第3期中期計画案もほぼ固まりつつあるところでございます。そこで,この時点におきまして,あらかじめ当評価委員会において御協議いただければということでございます。   議題につきましては,以上でございます。 伊藤委員長 ただいま説明がございました2つの議題につきまして,順次,審議をいただくことになろうかと思いますが,よろしゅうございますか。           (各委員了承) 伊藤委員長 それでは,そのような順序で進めてまいりたいと存じます。   本日の会議は17時を予定しておりますので,その点御留意の上,審議に御協力・御配慮をいただければと存じます。   続きまして,本日の配付資料につきまして事務局から説明をお願いいたします。 松井参事官 それでは,お手元にございます資料を御覧いただきまして,配付資料目録のとおりそろっているかどうか御確認をお願いいたします。   赤いインデックスの資料1は,法務大臣が策定いたしました支援センターの第3期中期目標(案)でございます。それから,赤インデックスの2番目,資料2は支援センターが策定いたしました支援センターの第3期中期計画(案)でございます。   次に,机上配付資料ということで置かせていただいているものについて御説明をいたします。   まず,資料Aにつきましては,政策評価・独立行政法人評価委員会から通知されました支援センターの主要な事務及び業務の改廃に関する勧告の方向性,それから,法務大臣により決定された支援センターの第2期中期目標期間終了時における組織及び業務全般の見直し決定,それから,第3期中期目標案,第3期中期計画案について,項目ごとに対照させた表でございます。   次にB-1でございますが,これは第2期中期目標と第3期中期目標案との新旧対照表でございます。この中で,第3期中期目標案のところに赤字で記載される部分は,事前にお送りさせていただいた資料と本日までの間に関係機関との協議の中で修正等をした部分の変更点でございます。   次にB-2でございますが,これにつきましては,第2期中期計画と第3期中期計画案との新旧対照表でございます。   それから,資料Cは,中期目標及び中期計画に係る関係法令ということでございまして,御参考までに配付させていただいているところでございます。   資料の説明は以上でございます。 伊藤委員長 お手元に,ただいま説明がございました資料はそろっておりますでしょうか。   なお,本日の第2の議題は,説明がございましたように,支援センターの第3期中期計画に関するものでございますので,審議に当たりまして,支援センターの担当者に出席をいただいて,説明あるいは質疑への対応をお願いしたいと存じますので,この点も御了解いただければと存じます。           (各委員了承) 伊藤委員長 それでは,議事に入りたいと思います。   まず,第1の議題でございます支援センターの中期目標(案)について,議事を進めたいと存じますが,その内容等につきまして,事務局から説明をお願いいたします。 松井参事官 机上配付資料のB-1の新旧対照表を見ながら御説明を聞いていただければと思います。   まずB-1の1ページ目,2ページ目から御説明をいたします。これにつきましては,支援センターの設立経緯と法人との役割をうたいあげた,言わば前文の部分でございます。ここでは,このたび東日本大震災を契機として,支援センターが取り組んでいる東日本大震災援助事業や,今後の大規模災害発生時の被災者援助についての取組を記載しているほか,高齢者・障害者等に対する,その特性を踏まえた援助の取組である司法ソーシャルワークについて,今後特に力を入れていくべき取組として記載しております。   事前に送付させていただいた資料とこの前文の部分の主な変更点につきましては,2ページ目に追記してございますが,効率的・効果的な業務運営の実施のための具体的かつ定量的な目標策定,経営方針の明確化等につきまして,最後から2つ目の段落に明記・追記させていただいた点でございます。   次に,2ページ目の中期目標の期間でございます。これは形式的なものですが,本年4月1日から平成30年3月31日までの4年間と定めております。   次に,2ページ以降の「第2 総合法律支援の充実のための措置に関する事項」においては,「1 業務運営の基本的姿勢」として,先ほど申し上げた東日本大震災の被災者に対する援助の充実等及び高齢者・障害者等に対する援助の充実についても記載しております。   また,「3 組織の適正性堅持」のうち「(1)ガバナンスの強化」,それから,「4 関係機関等との連携強化」のうち「(2)連携強化のための体制構築」,「5 報酬・費用の立替・算定基準」,「6 自然災害等に関するリスクの対応の構築」については,すべての業務に共通する基礎的かつ総合法律支援の充実のために必要な重要事項として,第3期中期目標に新たに記載しているものでございます。   この部分につきまして,事前にお渡しした資料との主な変更点でございますが,「2 組織の基盤整備等」の「(1)ア 職員の採用及び配置等」において,業務量に応じた適切・適正なものとする旨,職員の能力向上等のために実施すべき事項,コールセンターの運営に関しても業務量に応じ職員配置すべき旨などを記載した点でございます。   次に8ページ以降になりますが,「第3 業務運営の効率化に関する事項」についてでございます。この箇所の事前にお渡ししている資料との主な変更点につきましては,「1 支援センターの業務全般に関する効率化」において,「(1)総論」が追加された点,「(2)一般管理費及び事業費の効率化」について,効率化の対象となる一般管理費から除く対象としていた事務所借上げ料の記載が削除された点,「(3)事務所の業務実施体制の見直し」について,出張所と司法過疎地域事務所とで項目を分けまして,それぞれの特性に応じた目標設定を行った点でございます。   次に,11ページ以降,「第4 提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」についてでございますが,業務ごとにその性質に応じて,適宜,利用者のニーズを把握して業務運営に反映させることにより業務の質を向上させるべき旨を記載しているほか,「4 犯罪被害者支援業務」においては,昨年12月1日から廃止した被害者参加旅費等支給業務の適切な実施につき新たな目標として加えているところでございます。   この部分の事前にお渡ししている資料からの主な変更点は,「1 情報提供業務」の「(2)法教育に資する情報の提供等」において法教育への取組体制を明確にしたほか,「2 民事法律扶助業務」においては,その運用に当たって所要の経費の効率化に留意すべき旨,それから,「3 国選弁護等関連業務」の「(2)裁判員裁判対象事件への対応態勢の強化・充実」において,関係機関との連携・協力の上で,国選弁護人の選任態勢を充実・強化する旨を,それぞれ追記した点にございます。   次に,15ページ以降の「第5 財務内容の改善に関する事項」のうち「2 民事法律訴訟における立替金債権等の管理・回収」においては,平成24年度から運用を開始した債権管理システムの導入によって得られたデータの活用を前提とした回収施策の実施や,償還率の定義付け,実績等に関わる情報開示について記載しているほか,「3 立替金の悪質な償還滞納者等への対応の構築」を新たな目標として設置しております。   この箇所につきまして事前にお渡ししている資料との主な変更点は,まず前文を新設いたしまして,運営費交付金等の算定に当たって留意すべき前提事項を記載したほか,「1 自己収入の獲得等」として,司法過疎対策に当たっては,関係機関等からの財政的支援の獲得に努める旨を追記した点でございます。   最後に,16ページ,「第6 その他業務運営に関する重要事項」といたしまして,第2期中期目標においては,「第2 総合法律支援の充実のための措置に関する事項」に置いていた「認知度の向上に向けた取組の充実」に関する記載を,第3期中期目標においては記載することといたしました。   簡単ではございますが,第3期中期目標(案)の説明につきましては以上でございます。 伊藤委員長 事務局から事前にお送りした資料からの変更点を中心に説明がございましたが,御質問,御意見等を承りたいと存じます。   その前に,本日御欠席の村瀬委員からあらかじめ御意見を頂戴しておりますので,御紹介申し上げます。まず,第2の「5 より公正な報酬・費用の立替・算定基準の体系の構築」につきましては,「国選弁護等の報酬・費用の在り方については,公正で合理的なものにすべきである。」という御意見をいただいております。   次に,第4の3「(2)裁判員裁判対象事件への対応態勢の強化・充実」につきましては,「裁判員裁判の問題の一つに,弁護士の中で裁判員裁判の知識,経験,ノウハウが十分に共有・浸透しているとは言い難い点があり,支援センターにおいても,裁判所,単位弁護士会と協力・連携した上で,ノウハウの共有・浸透に向けた取組ができないかと考えている。」という御意見をいただいております。   これら2点につきまして,村瀬委員から御意見が寄せられておりますので,御紹介申し上げました。   それでは,ただいまの点も含め,先ほどの説明を踏まえまして,御質問,御意見をお願いしたいと存じます。どうぞ,小林委員。 小林委員 質問が2点ございます。   1点目は,第3の(2)について,事務所借上げ料というのが除かれている。これが削除された事情を教えていただきたいということ。   2点目は,最後のページ,第5の「4 財務内容の公表」について,これは削除だったのがまた復活ということになっていますが,これについてもその理由なり事情なりを教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 伊藤委員長 ただいまの小林委員から2点の御質問,事務所借上げ料の削除は,財務内容の公表についてでございましょうか。 小林委員 特にセグメント情報のところでございます。 伊藤委員長 これが記載された理由についてそれでは御説明ください。 毛利部付 事務局の部付の毛利でございます。私から,2点について御説明します。   1点目の事務所借上げ料の関係については,いわゆる固定的な経費であるという理由で効率化減の対象から除外したいと財務当局に申し入れたのですが,これを除外しないと効率化の実現が厳しいという状況を数字的に示さないと,これを効率化減の対象から除外するというのは認め難いとの御意見でございました。相当交渉を重ねたのですが,現時点でこの事務所借上げ料を効率化減の対象から除外するのは難しいのかなという判断でございます。   もう1点のセグメント情報については,現状の開示で不十分だという認識の下で目標とされたわけではございませんで,単純に現行で目標とされているものについて削除する理由がないのではないかという理由で記載したというもので,事務局の認識としても,現状で行われているセグメント情報の開示で足りると考えておりまして,逆にこれ以上のセグメント情報の開示は難しいという認識でおりますので,できる範囲でこの目標に取り組んでいくべきだろうと考えております。 伊藤委員長 小林委員,いかがでしょうか。 小林委員 そのような事情について,支援センターの方々にとってそれは納得がいくというか,よく理解できたということなのかどうかお伺いしたいと思います。 伊藤委員長 これは支援センターから説明いただけますか。 鈴木課長 支援センター本部財務課長の鈴木でございます。効率化の対象から事務所借上げ料を除外することについて,今回の中期目標から漏れたという点でございますけれども,先ほど毛利部付からもありましたが,現状においてどこまで努力しているのでしょうかということを財務当局から問われまして,努力している数字は見せたつもりではおりますが,まだ削減できるところがあるのではないかという御指摘でございました。   また,事務所借上げのような賃貸借のような固定経費がある独立行政法人というのは,他の独立行政法人にもございまして,そのような独立行政法人については,このような事務所借上げ料を対象から外しているところばかりではないというか,ほとんど外れていないという実情もございまして,支援センターについて今の時点で特別扱いするわけにはいかず,もっと削減の努力をしなさいというのであれば,その御指摘には引き続き取り組まなければならないかなというところを改めて認識した次第でございます。 相馬課長 支援センター本部総務課長 相馬でございます。セグメント情報の関係につきましては,第2期中期計画でも入っておりまして,いろいろ工夫をさせていただいて開示ができるような形で取り組んできたわけで,これ以上何かいいものをということであるとなかなか難しいところがあるのですけれども,今,法務省の事務局からも御説明ありましたように,現在公表しているセグメント情報について不十分なものではないという認識をお持ちの上で,中期目標から落とすことが難しいという説明がございました。それを踏まえますと,中期計画の中でも第2期に引き続き取り組んでいく内容として盛り込むことについては,やむを得ないのではないかと思っております。 伊藤委員長 小林委員,いかがでしょうか。 小林委員 1点目につきましては,ほかの法人との並びということで支援センターだけ通すのが難しいということでしたけれども,ほかの法人と比べても公益性についてもあまり違いがないという理解になるのでしょうか。 松井参事官 財政面での自助努力と言いますか,効率化の努力というのは公益性があれば免除されるものではございませんので。 小林委員 もちろん免除されることはございませんけれども,どうしても借りなければいけないという事情がどの程度あるかと,そういう比較はされているのでしょうか。 松井参事官 固定資産の関係については他法人と違いがあるところもあると思いますけれども,先ほど鈴木課長からも説明があったとおり,事務所の賃貸等をしている法人も別にございまして,そういうところについて効率化の対象から外れていないものもある中で,現時点で支援センターを特別扱いするわけにはいかないという趣旨かと存じます。   私どもとしても,現状,特に一般的な効率化という形で,全独立行政法人が横並びでやっているものについて,財務当局としても特別扱いするに当たっては,よほどの理由が必要になってくるのかと存じます。 小林委員 2点目につきましては,セグメント情報ですけれども,昨年その情報が追加されたということでどのくらい分かるかということにつきまして,評価委員の方では,あまりよく分からないのではないかというコメントを差し上げた委員もおりました。そういうことも含め,セグメント情報を加えることについて,これで一応ノウハウができたというか,これ以降それほど負担がないということで,それは受け入れても構わないというぐらいの理解でよろしゅうございますか。私どもとしては,あまり役には立たないけれども,負担だけ大きいというのは,できたら避けたいと感じておりますけれども,大きな負担ではないということでよろしゅうございますか。 相馬課長 昨年度の業務実績で御報告させていただいた内容を引き続きやっていくと,報告を続けていくというレベルであれば,維持していただいて差し支えないかと思っております。 小林委員 ありがとうございます。 遠藤委員 相馬課長,このセグメント情報は,決算情報の公表の充実を図るとしていますよね。今は決算情報に入っていないのだけれども,そのところはどういうふうにお考えなのですか。 相馬課長 その関係につきましては,会計監査人とも十分にお話をさせていただいて,決算報告書に入れることができるのかということは,検討させていただきたいと思っております。 遠藤委員 分かりました。 伊藤委員長 小林委員の御質問の1点目は,支援センターに限って事務所の借上げ料に係る特別な取扱いをする理由はないという経緯から,こういうことでやむを得ないということでしょうか。それから,2点目については,今,御質問とお答えがありましたように,現在行われているもの,あるいは,現在の目標を維持して,その具体的な内容についてはしかるべく検討をするということになろうと思いますが,目標自体は維持をするということになるようでございます。   どうぞ,市川委員。 市川委員 一般管理費の削減の点ですけれども,事前にいただいた資料ですと,事務所借上げ料は人件費とともに除いて,その余の経費について毎年3%ずつ減らすという案になっていましたが,今見てみると事務所借上げ賃料が落ちてしまっている。先ほど御説明がありましたけれども,前の書きぶりでも,毎年3%ですから,中期目標は4年間ですので,4年間で12%減らすということですよね。これだけでも相当大変なのではないかと思われます。例えば,経費の積み上げも試算されていると思うのですけれども,試算結果というのは,事務所借上げ賃料を除いてしまったりするとどうなっているのでしょう,きちんとできているのですか。そこをお尋ねしたいのですが。 伊藤委員長 これは支援センターからお願いします。 鈴木課長 第3期中期計画の全体の収支資金計画については,まだ中期目標,中期計画が定まっていないということもあって完成はしておりませんが,現状の既に第2期中期計画の時点でも3%がかけられておりますので,それに基づいた事業計画というか資金計画については試算は進めているところでございます。この事務所借上げ料につきましても,削減の対象から除外していただけると法人としては助かりますが,可能性として確実性はどこまであるのかということを前提に踏まえて検討していたところでございますので,それを踏まえても,資金計画,事業計画として成り立ち得るものとして組んでいるところでございます。   また,対象としまして,毎年3%の対象の中で新規のもの,拡大の対象のものについては除外することとか,民事法律扶助事業の本体,扶助の立替金等につきましては,効率化の対象にはなっていないということもございますので,その前提を踏まえての計画を,現在作っているところでございます。 市川委員 支援センターができると,大丈夫だとおっしゃるのであれば,私が言うこともないのですけれども,今までの経費の削減というのはデフレに負うところが大きかったわけですよね。今,アベノミクスとか言ってデフレはやめてしまおうということで政策が動いているわけです。私は北海道から参りましたけれども,北海道電力は電気量の値上げを申請するということか今日の新聞の1面に出ていました。幾ら上げるのか率までは分かりませんけれども,北海道に限らず,ほかの電力会社なども上げるという動きが出てくるかもしれませんよね。そうすると,電力料金が上がるとその他の諸経費も全部上がってくる。北海道の場合,特に原油が上がっていますので,灯油が上がって,暖房費がすごく上がっています。   そういうような為替の調整がなされているとか,デフレから脱却してインフレ基調になってきているというような,経済の基礎的な所要策が動いているときに,毎年3%ずつ,4年間で12%下げると言い切ってしまっている。「いい」とおっしゃるのならいいのだけれども,書きぶりとしては少しぼかした方がという心配もしたりするのです。支援センター自身が「これでいいのだ」とおっしゃるのであれば,私が言うことはないのだけれども,本当に大丈夫ですか。どうなのですか 鈴木課長 法人として規律がルーズなものであれば,それは法人の経営として余裕があるのは事実だと思いますが,一方で国の財政が厳しい中で,独立行政法人全般に対して運営費交付金が適切に使われているのかという面もある中で,どこまでルーズな運営が許されるのかというところもありますので,それは他の独立行政法人と同様の規律の中で,きちんとできるところは削減していかなければならないというのが執行機関としての意見でございます。   また,御紹介のありました光熱費の値上げ等につきましては,過年度の実績等を踏まえて,上がる部分につきましては,それを反映したものを予算要求して,毎年度認められているところでございますので,理由もなく問答無用的に一方的に削減するのではなく,理由のあるもの,経費が増加するものにつきましては,その都度その都度,法務省を介して財政当局に予算の増額をこれからも求めていくことになろうかと思っているところでございます。 伊藤委員長 いかがでしょうか。 市川委員 そうおっしゃいますので。分かりました,結構です。 鈴木課長 御心配いただきありがとうございます。 伊藤委員長 それでは,他の委員の方。どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 先ほどの村瀬委員の御意見も検討対象になると思うので,非常にごもっともな御意見だと思うのですが,そういうことについてはどのように対応されるのでしょうかというのが第1点。   それから,15ページの自己収入の獲得等のところで,赤字で「また~」という表現を加えられていますけれども,そのときに「司法過疎対策の実施に当たっては」と限定して書いてあるのがどうもギラついてしまっている。司法過疎対策だけではないと思うのですよね。通常の法律相談もあるし,これからやろうとしている司法ソーシャルワークについても,地方団体と協力しながらやっていって,協力というのはそれぞれ役割分担等を踏まえた適切な財政負担のやりとりもあり得るのでしょう。そういうことも含めて,あまり司法過疎対策に限定しているのはよくないと思いますので,「当たっては」というのはとってしまって,「支援センターの業務実施に当たって」という一般的な表現にしておいた方がいいと思うのですね。 伊藤委員長 嶋津委員の第1点目の御指摘は,先ほど御紹介いたしました村瀬委員の御意見のうちの国選弁護等の報酬・費用の在り方について,それを公正かつ合理的なものにすべきであると,こちらについての御意見でございますね。 嶋津委員 2点ございましたね。 伊藤委員長 もう1点は裁判員裁判の点ですが,その双方についてということですね。まず事務局から,御意見に関して何か説明がございましたら,お願いしたいと思います。 松井参事官 村瀬委員の御意見につきましては,現状の中期目標案にも反映しているところでございますが,事務局といたしましても,国選弁護,それから,民事法律扶助も同じでございますけれども,報酬につきましては,支援センター予算の大半を占めるところでございますし,一方でその報酬如何によって,弁護士等の活動の質にも影響するところでございますので,多角的な視点をもちまして公正なものにしていく必要性が高いものと認識しております。今の報酬体系については,多方面から問題点についていろいろ指摘を受けているところでもありますので,私どもも問題意識を持って関係機関,これは支援センターとか日弁連・日司連等いろいろありますが,こういうところと話を続けてまいりたいと思っています。   第2点の裁判員裁判対象事件の対応態勢の強化・充実につきましても,現状の中期目標案にも反映させていただいているつもりでおりますけれども,ごもっともな御意見をいただいておりますので,これも,特に日弁連になると思いますが,また最高裁ともお話をさせていただいて連携・協力関係を強化して対応に当たりたいと考えております。 嶋津委員 特に修文する必要はないのでしょうか。 松井参事官 特に修文をしろという趣旨ではないと伺っております。 伊藤委員長 今の点,村瀬委員からの御意見に関して,今,松井さんから御説明いただいた第1の点は,この資料の8ページの5ですね。それから,2番目は,13ページの上の「(2)裁判員裁判対象事件への対応態勢の強化・充実」,ここに書かれているようなことで,ここでは目標案として記述しておりますので,村瀬委員の問題意識には対応しているという気がいたしますが,いかがでしょうか,嶋津委員。 嶋津委員 村瀬委員もそれで結構ですということだったら,私は結構です。 松井参事官 修文の御意見はございません。最高裁判所からこの部分について修文の御意見がございまして,それも踏まえて村瀬委員に御説明をしておりまして,それを反映したものが現時点の案文として御提示させていただいているものでございます。 嶋津委員 あえて申し上げますと,報酬とか費用の立替・算定基準については,医療費の診療報酬ではないですけれども,もう少し包括的・暫定的な要素を入れていくべきではないかなと,素人なりにそういうふうに思っているのです。村瀬委員の御意見はそういうことも含んでいるのかどうかは分かりませんけれども,余りにも算定基準が煩雑,細かいので,そのことを通じて弁護士などが不便を感じているという感じがあるのかないのか。私は実務は分かりませんので,市川委員などの御意見をお聞きしたほうがいいのではないかと思いますけれども。   医療費もそうですね,今回の診療報酬制度の改正で,かかり付け医さんにかかると,インフルエンザであれば1か月に幾らということで,一回一回の診療ごとに初診料は算定しないという形での算定基準の見直しが行われているのですけれども,そういうような意味で,弁護士さんも便利だし,裁判所にとってもより公正,より妥当な算定方式があるならば,そういう見直しがされていいのではないかと思っているのですけれども,いかがでしょうか。 伊藤委員長 市川委員,どうぞ。 市川委員 お答えできる立場にあるのかどうか,ちょっと心もとないところがありますけれども。以前は裁判所が決めていたわけです。裁判所は法廷の中で弁護人がどんな弁論をするか,あるいは,どういう弁護活動をしたかというのは,御自分の目で御覧になっていますので,評価するための情報を自ら持っておられるという立場にあったわけですね。支援センターの場合は,法廷を見ておりませんので,この弁護士が一体何をどうしたのか,どんな弁護をしたのかというのは,かつてに比べると非常に分かりづらくなってきたというところがございまして,今,嶋津委員御指摘のように非常に煩雑とも言える細かいメルクマールを取り出しまして,構築したというのが今の評価方法になっているわけです。   ある意味では,項目ごとに多大な労力を費やして,これはどう評価するかというような作業を繰り返してきて今の体系があるので,にわかにこれを大きく変えるというのはやや難しい面もあるかもしれません。私自身も,よく言えば精緻というか,悪く言うと煩雑というか,そういうきらいはあるのかなという気はしておりますけれども,御指摘のような点は弁護士会の中でも共感を持つ人がおることはおりますし,日弁連と支援センター等との間でそういう機運が盛り上がってくればまたその点についての改正とか見直しということもあり得るのかなとは思います。 伊藤委員長 ただいま御指摘ありました点も含めて多角的な視点から検討を行って,適切な反映をするという目標が立てられていると理解しております。   よろしければ,嶋津委員の御指摘の2点目,15ページの「1自己収入の獲得等」で,ここでは「司法過疎対策の実施に当たっては」と書いてございますが,そこまで限定する必然性があるのかどうかということでした。この点は事務局から何か説明ございますか。 毛利部付 御指摘はごもっともだと思います。今,即答はできないのですが,今の嶋津委員の御指摘の修文については,基本的に反映させる方向で関係機関と調整したいと思います。 嶋津委員 今のあなたのお答えの仕方に,私は違和感を覚えますね。何のためにこの委員会をやっているのですか。関係機関というのはどこか知らないけれども,そういうところでの答えを待って,この委員会でどうしますということはおかしいのではないですか。委員会の審議の結果を関係機関に伝えればいいのではないですか。 毛利部付 もちろんそういう趣旨でございます。それを踏まえてほかの機関がどう言うかというのはこの場では確認できないもので。ただ,内容的にどこの関係機関からも異論が出るとはとても思えない内容でございますので,この内容を反映させるということで調整をいたします。そういう趣旨でございます。言葉が足りず申し訳ありませんでした。 伊藤委員長 ただいまの嶋津委員の御指摘につきまして,この委員会として多くの委員の方がその趣旨を御理解いただけるという前提で,どのような形で修正ができるかを検討していただきましょう。そういう扱いでよろしければ,そのようにいたしますが。   ほかに御意見,御質問はございますか。どうぞ。池田委員。 池田委員 2ページの前文のところになるかと思うのですが,具体的には「効果的・効率的な業務運営を実施していくに当たって,具体的で定量的な目標を策定するべきである」とか,「定性的なものであっても,第三者が検証可能なものにすべきだ」というような,中身としては大変ごもっともな内容が追記されているかなと思うのですけれども,ここがこのぐらい割と大きなボリュームで追記された背景が特にあるようであればお聞かせいただけたらと思いました。 伊藤委員長 分かりました。では,事務局から説明をお願いいたします。 毛利部付 引き続き私から御説明いたします。ここのボリュームが多くなっているのは,端的に言いますと,関係機関の関心事項がそれぞれの観点で高いということでございます。政独委は適正配置という関係で関心が高いですし,財務省も同様に必要かつ十分な配置という点では関心を持っています。そして,セーフティネットとしての役割を持つということでは,政独委もその役割を担っているのだという前提でいろいろと御意見をおっしゃっております。最高裁も,国選弁護の態勢に関して言うと,常勤弁護士の配置については関心があり,そして,その人材の採用の仕方についても御関心があると。そういった問題意識が多方面から寄せられまして,それぞれの関係機関の御意見を踏まえて整理した結果がこのような形になっているということでございます。 松井参事官 この部分は,先に御協議いただきました「見直し決定」とか「勧告の方向性」にも明記されておりますけれども,私どもは,元々これは中期目標,中期計画の背景にある理念,思想であって,特に明記しなくても,それは背景として厳として存在するのだという御説明をしてきたわけです。   この中期目標というのは,基本的には経営の透明性を基にした効率的で効果的な業務運営をする目的があって作るものという位置付けになりますので,政独委もそうですし,財務当局もそうですが,そういうような観点からこれを明記すべきという御意見が強かったところでございます。私どもとしても,背景にこういう理念があるのは事実でございますので,これを明記すべしと言われたときに強く拒む理由はないのではないかと,そういうことで記載させていただいたという経緯でございます。 池田委員 ありがとうございました。 伊藤委員長 よろしいですか。可能な限り定量的な目標を設定する,しかし,事柄の性質上,定性的な目標にする場合であっても第三者が到達度を検証できるようなものにするということで,そのこと自体はここでも認識として共有されてきたものかと思いますので,そういう趣旨かと思います。   ほかにいかがでしょうか。どうぞ,小林委員。 小林委員 この文章自体に対する意見ということではございませんけれども,この文章を踏まえて,今年度以降活動していく上で希望したいことを申し上げます。   3ページの第2の(3)司法ソーシャルワークの取組についてでございます。ここで「事業計画及び具体的目標を平成26年度中に策定した上で」と書かれておりますが,これが話題になって大分になるかと思いますが,平成26年度全部かかって初めて計画,具体的目標が決まるということですと,せっかく重要な司法ソーシャルワークという取組について意識を持っていただいているのにもかかわらず,具体的な取組が何かのんびりしているように感じるのですね。   ここの文章を変えるということではございませんけれども,これからあと1年かかるということであれば,一体どのような作業をどういうふうに進めていくのでかかるのかということを,どこかで皆さんに分かるように。皆さんというのは,委員ということではなくて,国民に分かるようにした方がいいのではないかなと思うのですね。   あるいは,ここのところをもっと早く進めることができるというのがあれば,ここの文章にとらわれずに,もっと積極的に進めていって,前倒しで実現に向けていっていただきたいなと思うのですね。と申しますのは,皆さんも,これは大事だという認識だと思うのです。大事なものであれば,それはできるだけ早く実現に向けると。そういう取組で行っていただきたいと思います。 伊藤委員長 ただいまの小林委員の,司法ソーシャルワークについての事業計画の策定,それに基づく事業の実施については,ここでの表現はこのままとして,具体的にどういうイメージでそれが進展することを想定しているのか。そういった辺り,現状で何か説明いただけることがあればお願いいたします。 竹中部長 支援センター総務部長の竹中でございます。小林委員の御指摘はごもっともでございます。現在,司法ソーシャルワークに取り組んでいくに当たりましては,これまでの取組の中で,司法にアクセスしてくるのを待っているだけでは足りないという問題点が見えてきて,こちらからアクセスしていく,司法からのアクセスという問題点が見えてきたところでクローズアップして,取組を重点的に始めようとしているところでございます。   そういう中で,果たして司法ソーシャルワークはどういうものなのかという概念自体も,今の時点では定義付けというか,なかなかしっかりしたものが持てていないというのが実情でございます。しかし,そうは言ってもこういった問題意識の下で取組ができていないのかというと,そうではなくて,この度,常勤弁護士にアンケート調査をいたしまして,司法ソーシャルワークとしての取組,どのようなものをやっているのかということについて情報を集めました。具体的には150件以上の件数が集まっております。   内容は様々でございますけれども,その中には,司法ソーシャルワークと言われるアウトリーチ,こちらから出向いていく,あるいは,事件の解決の中でケース会議などに参加するという形で,福祉関係機関と力を合わせながら処理していくという事案がございますが,それが単発の取組のものもあれば,同じような取組をしているけれども,支援センターにこういった事件が来るということがシステムとして形ができてきているものもあります。システムとしてできているものの中には,個人として頑張ってそういうシステムを作っているものが,さらには組織同士としての発展形という形になってきているものも見えてきております。   そういうところから,我々は今後どういう形で司法ソーシャルワークに取り組んでいき,しっかりとした形のものにしていくのかということについて,今進めているところでございます。来年度1年間も重点的に取り組みながら,より分かりやすい形で,かつ効果的・効率的な取組ができるような形を作っていきたいということでございます。 伊藤委員長 小林委員,いかがでしょうか。 小林委員 ありがとうございます。新たな分野ということになるかと思いますので,法テラスのプレゼンスがより強く大きくなる場面だと思いますので,期待しております。   そして,今おっしゃったようなことについて,具体例をもって各事務所単位で新聞なり何かを作って利用者に蒔いておくと,そういうことをやっているのだったら,こういうこともしてほしいというようなニーズを掘り起こすこともできるかもしれませんし,具体例というのは非常に興味を持って読んでいただけると思うのですね。もちろん,マスクした具体例ですけれども。そういった工夫もいろいろ考えていただいて,ニーズを掘り起こしていただきたいと思います。よろしくお願いします。 伊藤委員長 貴重な御意見,ありがとうございました。   どうぞ,坂本委員。 坂本委員 小林委員の意見に賛成です。支援センターの常勤弁護士さんがこれまでやってこられたことや,地方協議会が福祉機関などさまざまな機関と連携をとっているなど,現在行っている事業が実は情報提供が,司法ソーシャルワークの道筋の中にあるのだと思います。司法ソーシャルワークは,支援センターの業務の非常に重要な事業であると思いますので,第3期の中期計画の中できちんと明確化していくことは重要なことだと思います。 伊藤委員長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。どうぞ,市川委員。 市川委員 現行中期目標と次期中期目標の対比表の5ページの上の方に,常勤弁護士の待遇について追記された文章がございますね。読みますと,「常勤弁護士については任期付採用とし,その報酬については実務経験年数において同等の裁判官・検事の給与を参考にする」と。これを新しく入れるに至った事情をまずお伺いしたいということと,この書きぶりは,現状の待遇を何らか変更する余地があるということを意味するものなのかどうなのかについてお伺いしたいと思います。 伊藤委員長 それでは,事務局からお願いします。 毛利部付 事務局の毛利から説明します。結論から申しますと,当該部分は表現ぶりも含めて,現在の中期目標に既に書かれているものです。その意味で,ここに書いてある内容は当然の前提であって定着しているということで,あえてこの度の中期目標に書く必要はなかろうということで記載を外したのですが,これについては引き続き維持していただきたいということで復活したということでございます。   4ページ目の右側の現行の一番下のエで「常勤弁護士については任期付採用とし,その報酬については実務経験年数において同等の裁判官・検事の給与を参考にする」とありまして,その関係で,常勤弁護士の給与体系が現状と変わるという趣旨ではございません。現状維持でございます。 伊藤委員長 よろしいでしょうか。 市川委員 それはどこからの要請ですか。 毛利部付 財務当局です。 松井参事官 終身雇用を懸念されたのではないかと思います。現時点で終身雇用までのプランニングはないと承知していますので,少なくとも現状維持ということであれば,現時点においては特段の不都合はなかろうかと思います。 伊藤委員長 そういう趣旨で現在の中期目標の記述を復活と申しますか,維持したということだそうですが,この委員会で御了解いただければこの記述を採用したいと思いますが,よろしいでしょうか。   それでは,ほかにもし御発言がございましたらどうぞ。 市川委員 もう1点よろしいですか。同じ5ページの下の方の災害があった場合の地方自治体等への法的援助に関する文章です。読みますと,「被災地自治体等への法的援助については,当該災害等発生地域の弁護士会との連携を前提とし」,ここまではいいんですが,そのあと,「必要最小限のものとする」という文言が入ってくるのですが,この意味ですね。地域弁護士会がそれなりの役割を果たすことについては,ある意味当然だとは思いますけれども,支援センターは,極力ここではあまり活動しないようにするという意味合いを含んでいるのでしょうか。この意味合いはどういうふうに理解すればいいのですか。 松井参事官 支援センターの中期計画ではもう少し分かりやすい書きぶりを考えておられると承知しておりますけれども,真に必要な援助をするということで私どもは考えておりますし,そのように受け止めていただければと考えています。 伊藤委員長 「必要最小限」という表現がいかにも後ろ向きという印象を与えるという御指摘かと思いますが,そうではないということですね。 市川委員 おっしゃる趣旨であれば言葉を変えてはいかがでしょう。 嶋津委員 この前もこの議論をしたのですよね。それで表現ぶりが変わっていると思うのですけれども,この前の方は「被災地域への派遣について必要最小限にする」と読めるような表現だったのですね。ですから,支所とか出張所なども含めて。これは,自治体治体のインハウスの法律相談業務みたいなものに常勤弁護士を派遣するという取組みも,数は少ないのですけれども現在行っていて,それを表現しているようなのですね。そういう議論をした末で表現は変わっているのだと思うのです。   今,市川委員がおっしゃったことは私も大賛成なのですけれども,そのような意味で,修文の意見を申し上げた記憶があります。 松井参事官 前回の評価委員会の席で嶋津委員から御指摘がありまして,その際には,被災地への機動的な法的サービスも必要最小限と読める表現になっておりましたので,それは政独委の御指摘を踏まえて趣旨が違うのではないかという御趣旨の御意見でした。今回そこは,政独委の指摘に沿った形で修文をしているところでございます。   ちなみに,これは強い言葉ということは承知しているところなのですが,一つは,実質的には単位弁護士会との御協議を踏まえて,単位弁護士会からはなかなか人出しができないという実情がございます。そういう中で,支援センターが役割を果たしていくことについては,特に障害にはならないといいますか,単位弁護士会とのお話もしないままどんどん人出しをするということは,この案文上できないということになりますけれども,単位弁護士会とお話をさせていただいて,支援センターでやってほしいということであれば,それは必要最小限ということになろうかと思いますので,この点について特に被災地に応援が行かないというようなことを招くとは考えていません。   もう一つは,これも表現の問題なのかもしれませんけれども,被災自治体への支援センターの常勤弁護士の派遣というのは本来的な支援センターの業務なのかという点で,元々これは総務省のお金を使って,支援センターを休職して行ってもらっている案件なので,そういう意味では総合法律支援そのものではないという考え方もできるかと思います。要するに支援センターの常勤弁護士も支援センターの持っている資源であって,一般的な総合法律支援,司法ソーシャルワークとか国選弁護をやる人材なわけですから,単位弁護士会から被災自治体に行ってくださる方がいるのであれば,そういう方に行っていただいて,支援センターとしては,本来的な仕事をしていくというのも,それはそれで一つの役割でもありますので,そういう意味では,「必要最小限」と書かれていますけれども,これは必要最小限ではなくてどんどん前に出て行くのだというには,関係当局からなかなか理解を得づらいところがあろうかと存じます。 伊藤委員長 被災自治体等への法的援助という趣旨でございますので,それは支援センターの本来の業務からみても必要最小限ということになろうかと思います。できましたら,この表現で御了解いただければと思いますが。   ほかにいかがでしょうか。どうぞ,池田委員。 池田委員 これも単なる言葉の問題なのかなという気はしたのですが,ちょっと気になりましたのが5ページの一番下の行でございます。「コールセンターの運営に当たっては,今後も情報提供数の増加が見込めない場合には,業務量に応じて職員配置を見直すものとする」とございまして,書かれていること自体はごもっともなことなのですけれども,当然,情報提供件数が意味のあるもので増加した場合においては,職員配置を逆向きに見直すこともあり得るのだろうと思いますので,一方的に減らす方向にだけの言及がされているのはやや違和感を感じたところがございます。もちろん,ここの部分が元々採用及び配置について過剰なものにならないようにという考え方に基づいて書かれている部分であるということは十分承知しておりますけれども,正直言って中立的な感じがしない文章だなという気がしております。 伊藤委員長 今の点について何か。 毛利部付 おっしゃるとおりではあるのですが,これまでの情報提供件数の推移を踏まえた政独委の指摘でございまして,このままずっと減少していくのであればという留保があるので,そこはやむを得ないなと思っています。あと,業務量に応じてということもございまして,情報提供件数の増減とは別で,コールセンターでの情報提供の在り方として,どこまで情報提供するのか。例えば,資力審査のところまでやるのかどうかというところで,1件当たりの業務量の増減等もございますので,件数と1件当たりの業務量等も考慮して職員の配置を見直と決めるということで,実態に合わなくなるような趣旨の表現ではないと整理できるので,表現ぶりについては政独委の問題意識を反映した形にしたということでございます。 伊藤委員長 よろしいですか。どうぞ,小林委員。 小林委員 先ほどの御質問の意味として,そもそも中立ではないということについて,増加が見込めない場合は業務量に応じてという表現のことなのですけれども,増加した場合は業務量に応じるのか応じないというのか,そもそも増加した場合は考えてないというか,非常に嫌らしい文章だなという気がするんですけれども,そういう御趣旨もあるということですね。 池田委員 元々はそういう趣旨でお願いしました。 嶋津委員 正に正論なのではないかと思いますね。これは書きすぎなのですよ。政独委の御意見が間違っているのだと思いますよ。文章は,「情報提供件数の推移に応じて,業務量については適切に見直すものとする。」という表現で全然問題ないではないですか。国民の期待でどんどん増えるかもしれないでしょう。増えない方がいいと政独委は思っているのですか。文章がおかしいよ。 遠藤委員 要するに,コールセンターの業務量というのは,コールセンターが実際にやる業務によって上下するのは当たり前だと思うのです。それを一時的な現象を見て,増加しない場合には,業務量が減るから人員配置を変えろというのは,ある面からすると一時的・短期的な物の見方をした表現だと思うのです。これは元々4年間の話なので,4年間の目標を立てなくてはいけないわけですから,今,確かに横ばいになっていますが,短期的・一時的な観点から4年間の目標を決めてしまうというのは,表現としてはおかしいと思います。今,嶋津委員がおっしゃったように,推移を見て変えるというのであれば,増えることもあるし減ることもある。なぜ増加が見込めない場合だけを出さなければいけないのかというのがあると思います。 毛利部付 政独委と財務当局に御趣旨を説明して調整させてください。即答できなくて申し訳ございません。 伊藤委員長 関係機関との調整は大変だと思いますが,一応この評価委員会としては,実質から見ても,また内容から見ても,増加が見込めない場合には見直すという表現は,やや問題があるという認識は大方の御意見になっているかと思いますので,そのことを踏まえてどういう修正ができるかを検討していただきましょう。   どうぞ,知久委員。 知久委員 皆様からいろいろな御意見が出ていて,気になっていたところがとてもよく理解できました。ありがとうございました。   9ページの先ほどの「事務所借上げ料」というのが削除されたところの下ですけれども,「事務所の業務実施体制の見直し」のアのところで出張所だけになっているのですね。これまでの体制の見直しというのは,支部,出張所,地方事務所の体制見直しということが入っていたのですけれども,今回は出張所に限定して体制の見直しをするということなのでしょうか。 伊藤委員長 知久委員の御指摘は9ページのところですね。 知久委員 はい。 松井参事官 9ページのアが出張所で,イが司法過疎地域事務所になっている部分でございましょうか。 知久委員 アの方です。これまでは組織の見直しの中で支部,出張所,それから,地方事務所の体制を見直すと入っていたのですけれども,今回の新しい案では出張所に限定しているということは,先ほどの事務所の借上げ料との関係から出張所だけの限定でよろしいのかどうかというのを含めて質問させていただきました。 伊藤委員長 現行のものでいうと,9ページ右側の②ウ「支部,出張所については~」ということと,左側の中期目標案の3「(3)ア出張所」という限定との関係かと思いますが。 松井参事官 組織体制については聖域なく見直すのは当然のことでございまして,出張所につきましても,新宿出張所を廃止いたしますし,人員等についても不断の見直しをするのですが,特に政独委等の問題意識が出張所にあるということでございまして,そういうところでは特に支部とか本所事務所,地方事務所について明記して記載していないということでございます。 伊藤委員長 政独委からの指摘を考慮した結果こういうふうになっているということですか。 松井参事官 はい。地方事務所も支部も業務量の増減に応じて定員の見直しといいますか,人員配置等については不断の見直しを行っております。支援センターに確認しますけれども,例えば人を業務量が少ないところから多忙なところに異動させるというようなことはされていますでしょう。 相馬課長 単純に職員を減らすという意味ではなく,適正配置という意味では,業務量に応じた適正配置は不断にやっております。 知久委員 出張所だけに限定したというところを質問させていただいたのですけれども,この書きぶりだとあえて変えているので,理由があるのかなと。 松井参事官 見直しというと存廃が入るものですから。地方事務所と支部というのは現状廃止を検討すべき対象なのかどうかという観点もあり,出張所とか司法過疎地域事務所は設置や廃止も含めて細かく検討していく対象ということで記載させていただいていると。 伊藤委員長 いかがでしょうか。いろいろな視点から御意見をいただきまして,私が伺っている限りでは,ここでの多くの委員の一致した意見として,1点は,嶋津委員が先ほど指摘されました財務内容の改善に関係して,第5の「1 自己収入の獲得等」の2段落目辺りの記載について,しかるべく表現を改めるべきではないかということ。もう一点は,先ほど池田委員ほかの御意見がございましたように,コールセンターに関する御指摘でございまして,この点もやや表現を改める必要があるのではないかということがここでの大方の御意見であったように承ります。   そこで,本委員会の大方の意見を踏まえて,どのような形での修正ができるかについて検討していただきたいと存じます。そのほか有益な御意見をいただきましたが,それについては支援センターの今後の業務運営に参考としていただくということで,第3期中期目標案自体につきましては,ただいま申しましたような点について留保を付けた上で,ここで御了解いただいたという取扱いでよろしゅうございましょうか。           (各委員了承) 伊藤委員長 それでは,そのようにさせていただきます。   修正等については,ただいま申しましたが,よろしく検討いただければと思います。   次に,第3期中期計画(案)についてでございます。これにつきましては,支援センターからの説明をお願いいたします。 竹中部長 総務部長の竹中から説明をさせていただきます。   資料2が現時点での中期計画(案)でございます。中期目標と同様に,机上配付資料B-2として,現行の中期計画案と次期中期計画案,現在策定中のものを対照させた資料を配らせていただいております。左側の列の次期中期計画案が資料2の中期計画案と同じものでございます。机上配付資料B-2には,事前に説明をさせていただいた内容の変更点を中期目標と同様に記載させていただいておりますので,こちらの対照表を御覧いただきながら,説明をお聞きいただければと思います。   中期計画案の構成,項目立てについてですけれども,これは,先ほど法務省から説明のありました中期目標案に対応する形になっております。   内容につきましては,最初の総論部分,2ページでございますが,新たな取組の柱として,司法ソーシャルワークと東日本大震災の被災者支援について記載をしております。先ほど司法ソーシャルワークの定義について若干説明をさせていただきましたが,司法ソーシャルワークの定義につきまして,2ページの上から3分の1辺りのところに,「法律専門家と福祉専門家の協働により市民の生活向上や幸福追求に貢献するという法律福祉の観点から,地方公共団体,福祉機関・団体や弁護士会,司法書士会等と連携を図り,当該高齢者・障がい者などにアウトリーチするなどして,法的問題を含めて総合的に問題を解決するための取組」という形で定義付けをさせていただきました。   なお,中期計画で用いる用字・用語は,公用文の用字・用語を使用しておりますけれども,「障害者」の「がい」の字につきましては,事前説明時から変更して,平仮名で表記させていただいております。中期計画はホームページにも掲載して公表するものですので,お読みになる方,受け手の方々の受入れやすさを考えて平仮名に修正させていただいたということでございます。   続いて,「Ⅰ 総合法律支援の充実のための措置に関する目標を達成するためにとるべき措置」についてでございます。2ページ以下になります。   「1 業務運営の基本姿勢」では,「(2)東日本大震災の被災者に対する援助の充実」として,更なる援助により法的問題の早期解決に資すると見込まれる被災者について,震災代理援助及び書類作成援助に結び付ける方策を検討・実施することとしております。   支援センターでは,昨年度,被災者支援のためのニーズ調査を実施いたしましたが,今年度はその中から一部の方々に御協力いただいて,直接お会いして詳細な聞き取り調査をさせていただきました。この聞き取り調査の結果も踏まえて,被災者のニーズに応じたより適切な援助の方策を検討・実施していこうと考えております。   「(3)高齢者・障がい者等に対する支援の充実」は,司法ソーシャルワークに関する記載でございます。司法ソーシャルワークの取組につきましては,平成26年度中にその事業計画や具体的目標を策定した上で,平成27年度以降その計画に基づいて実施していこうと考えております。   なお,平成26年度と27年度以降を書き分けた方がよいという御指摘を受けましたので,これを踏まえて事前説明から書きぶりを修正しております。   次に,4ページになりますけれども,「2 組織の基盤整備等」では,常勤弁護士を含む職員の採用及び配置等について記載しております。常勤弁護士の採用及び配置等につきましては,先ほど法務省から説明のあった内容に即した計画内容を記載しております。   6ページになりますが,「イ職員の能力の向上」では,中長期的な人材育成プログラムを構築,実施し,将来,支援センターの中核となって職務を行う人材の育成を図ることとしております。支援センターは,全都道府県に事務所を構え,職員も1,000人を超える規模の法人でございます。国民等への良質なサービスを安定的に提供していくためには,職員の育成は極めて重要であり,そのための研修体制の充実が必要と考えております。   続いて7ページ,「3 組織の適正性堅持」では,先ほど法務省から御説明のありましたガバナンスの強化とともに,監査の充実・強化などについて記載をしております。   なお,「(2)監査の充実・強化」につきましては,業務執行部門から独立した内部監査体制の整備・強化が最も重要であるという御指摘を踏まえまして,事前説明から書きぶりを修正させていただいております。   続いて9ページ,「Ⅱ 業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置」について説明をさせていただきます。   「1 業務全般に関する効率化」の中の10ページになりますが,「(2)事務所の業務実施体制の見直し」についてです。ここでは,政独委などから,特に司法過疎地域事務所について,その設置及び存置等について十分な説明責任を果たすことを求められており,これを実現する内容を記載しております。   政独委からは定量的な目標設定を求められておりまして,そのため,「2 事業の効率化」では,「(2)の民事法律扶助業務」につきまして,援助開始決定時における単独審査の率を毎年,前年度以上にするという内容を盛り込みました。   続いて12ページに移らせていただきます。「Ⅲ 提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置」についてでございます。   新たな取組として,「1 情報提供業務」につきまして,「イ情報提供に係る外国人のニーズへの対応」を記載いたしました。ハーグ条約への対応も踏まえまして,第3期中期計画期間におきましては,外国人のニーズに適切に対応するため,多言語通訳サービスなどを用いて外国語による情報提供の態勢を整備することとしております。   13ページの「2 民事法律扶助業務」につきましては,(1)イの部分につきまして,事前説明から更に具体化した内容に修正しております。すなわち,援助申込みから援助開始決定までの期間の短縮を図るために,標準処理期間といたしまして14日間を設定し,その期間内に全国の8割以上の地方事務所においてその目的を達成すると,そういう処理を行うということとしております。   なお,その下の「(2)代理援助・書類作成援助の活性化」につきましては,14ページのエの部分につきまして,代理援助と書類作成援助を利用者が適切に選択できるという趣旨が分かりにくかったという指摘がありましたので,この御指摘を踏まえて書きぶりを改めさせていただいております。   その下の「3 国選弁護等関連業務」ですが,最高裁の意見を受けた部分でございますが,特に裁判員裁判対象事件について弁護士会との連携の上,地方裁判所の協力を得て裁判員裁判対象事件への対応態勢を充実・強化するという内容を盛り込んでおります。   次に16ページ,「Ⅳ 予算,収支計画及び資金計画」でございます。ここの「2 民事法律扶助における立替金債権等の管理・回収」の趣旨についてでございますが,中期目標の記載に合わせまして,「回収した立替金等が将来の民事法律扶助の被援助者への立替金に充てられるという相互扶助の観点」という表現に修正しております。   また,昨年度に導入された債権管理システムを有効利用し,そのシステムで得られたデータを活用して,立替金債権等の管理・回収を行うことが重要であることから,その旨も柱書き部分に記載しております。   それから,17ページの(2)の償還率の定義につきまして,当該年度に償還されるべき要回収額に対する償還実績額の割合を償還率として定義して,これを前年度以上に向上させることに努めるという形で記載させていただいております。   要旨でございますが,第3期中期計画(案)についての説明は以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   先ほどの中期目標についての御意見,御質問や,それに関する審議と重なる部分もございますけれども,ただいまの中期計画について御質問,御意見等をお願いいたします。 相馬課長 少し補足をさせていただいてよろしいでしょうか。 伊藤委員長 どうぞお願いします。 相馬課長 今,御説明をさせていただきました次期中期計画案でございますけれども,先ほど御審議いただきました中期目標案の中でセグメント情報などが新しく記載されていた部分が幾つかございます。その部分につきましては,現時点での中期計画案ではまだ反映されていない状況であるということを補足で御説明させていただきます。 伊藤委員長 ただいまの御発言は,中期目標で先ほどのセグメント情報などについての記載が盛り込まれることを前提にして,中期計画についてもそれに対応した修正があり得ると,そう承ってよろしいですか。 相馬課長 そうでございます。 伊藤委員長 どなたからでも御質問等お願いいたします。どうぞ,市川委員。 市川委員 13ページの「標準処理期間を14日間として,その期間内に全国8割以上の地方事務所において処理を行う」と追記された箇所について,これは,8割の件数をするという文章の意味ではないですよね。件数でいうと大体どのぐらいの件数を処理するということを念頭に置いておられるのでしょうか。 相馬課長 今ここで念頭に置いていますのは,全国の8割以上の事務所で,援助の申込みから援助開始決定までの平均処理時間を出して,その平均処理時間を14日以内を目指すと。地方事務所は50ありますけれども,そのうちの8割の地方事務所で実現していこうという内容を考えています。 市川委員 ですから,総処理件数でいくと大体どのぐらいの割合が14日以内に終わる,そういう想定は持っておられないのでしょうか。 相馬課長 総処理件数を母数にして,そのうちの何割というのはまだ考えておりませんでしたけれども,今の時点では地方事務所の数で考えた内容を盛り込ませていただいているという状況でございます。 伊藤委員長 いかがですか,市川委員。 市川委員 多くの件数がそれによって標準処理期間内に終わるのは望ましいことだと思うのですけれども,この書きぶりだと,1件でも14日以内にある事務所がすれば,うちの事務所は年間1件だけ14日以内にやったぞと,クリアしてしまうわけですね。ですから,相当部分を14日以内に処理していただくような体制を敷かないと,効果があったという評価はし難いわけですよね。   でも,この書きぶりだと,今,私が言った極論するようなことでも目標は達成したではないかという言い方が可能になってくるのではないかと。だから,相当程度の改善があることを示すためには,私のような見方を封ずるような書き方というかな,すごい効果があるのですよということを分からしめるような書き方にしたほうがいいのではないかなという気がするのですけれども,どうでしょうか。 伊藤委員長 いかがでしょうか。趣旨は共有されていると思うのですけれども。 相馬課長 御指摘の趣旨はよく分かりましたので,その趣旨が分かるように書きぶりについては,少し検討させていただきたいと思います。 伊藤委員長 認識において食い違いは恐らくないと思いますので,今,市川委員が言われた極端な理解がされないようなことで修正があり得るのであれば御検討ください。 相馬課長 承知いたしました。 伊藤委員長 他の委員の方で御発言があればお願いします。どうぞ,池田委員。 池田委員 10ページの2番の事業効率化の「(1)情報提供業務」のところに,「90%の応答率を維持しつつサービスの向上にも努めながら,業務量の変動を踏まえ,サービスに要したコスト構造についての不断の分析・検討を行い,効率的な業務運営方法を検討・実施する」と書かれております。   大枠として書かれていること自体は間違った方向性ではないと思うのですけれども,中期目標の最初のところで,私が先ほど御質問させていただきましたとおり,関係部署からのいろいろな御意向もあって,具体的かつ定量的な目標を策定し,支援センターの経営方針を明確にしてほしい,それから,定性的な目標とせざるを得ない場合には,第三者が到達度の検証可能なものにするようにというような記載があったところから考えますと,ここについては現段階では総論的な表現にとどまっているのかなという印象を持っております。   どういった指標を持っていくのかということに関しましては,新しい業務をコールセンターの 方で引き受けることも御検討なさっていらっしゃるという状況の中では,具体的に何を何パーセントということを書けないというのは十分理解をいたしますけれども,少なくとも当面ウォッチをしていく指標としてお考えいただいているもの等々があるのであれば,もう少し踏み込んだ表現があってもよろしいのかなという印象を,ここの部分については持ちました。 伊藤委員長 ただいまの池田委員御指摘の点について,支援センターから何か御発言がございますか。 鈴木課長 御指摘の趣旨はごもっともでございまして,業務効率化を測る指標といたしまして,明確なものを現時点で打ち出すことは困難であるとは言っても,効率化を進めることはミッションとして課せられるところでございますので,毎年度の業務実績の中で1コール当たりどれだけの費用がかかっているのかというものが出せるかどうかについて,こちらで検討させていただきたいと思います。 伊藤委員長 よろしいでしょうか。   どうぞ,坂本委員。 坂本委員 7ページの組織の適正性のガバナンスの強化のところですが,常勤弁護士について,「支援センターの業務運営方針を理解して意欲的に取り組み,国民の期待に応えるように努める」とありますが,常勤弁護士は,その業務を,指令というか,把握しやすいと思いますが,支援センターのもう一つの担い手である契約弁護士とか契約司法書士は,ガバナンスをきちんと適正化させていくのはなかなか難しいのではないかなと思います。   契約弁護士や契約司法書士の業務を適正に遂行するための明確な目標があってもいいのではないかと感じます。 伊藤委員長 分かりました。坂本委員のただいまの御発言は,常勤弁護士のみならず,契約弁護士・司法書士について適正な業務の遂行を確保するための考え方も含めての御質問ですね。 坂本委員 はい,そうです。 伊藤委員長 その点に関して支援センターから御発言ありましたら,お願いします。 相馬課長 今,坂本委員御指摘の一般契約弁護士とか一般契約司法書士のガバナンスの関係につきましては,趣旨そのものはズバリ書いてございませんけれども,その上の部分の「一般契約弁護士・司法書士の確保」というところにつきまして,一般契約弁護士・司法書士を確保するに当たっては,弁護士会や司法書士会の協力を得ながら,支援センターの民事法律扶助業務,国選弁護業務がどういうものであるかということを説明会や協議会でお伝えして御理解をいただこうということを考えております。   かつ,別の項目で記載させていただいておりますけれども,契約弁護士や契約司法書士に対する利用者からの苦情等の声があった場合は,その声をお伝えしてコンプライアンスにつなげていただくということも考えておりますので,年度計画等におきましてもう少しブレークダウンした形で記載できればと考えております。 伊藤委員長 よろしいですか。ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 新しく入ってきた言葉で,2ページの「ソーシャルワーク」の定義のところです。これで十分分かると思うのですけれども,「高齢者・障がい者等にアウトリーチするなどして」と,「アウトリーチ」という言葉が,「コンプライアンス」,「ガバナンス」という言葉よりもまだ人口に膾炙していないというのか,そういう感じがするのだけれども,これはソーシャルワーク学会の定義か何かにそう書いてあるのかな。 伊藤委員長 では,支援センターからお願いします。 相馬課長 御指摘のアウトリーチにつきましてはいろいろ調べてはみたのですけれども,法曹界,法律家の専門家の中ではまだまだ馴染みが薄いし,国民の中にも馴染みが薄いところもあるのですけれども,福祉に携わる方の中では「リーチアウト」という言語が出発と聞いておりますけれども,「アウトリーチ」という言葉が定着しているような状況でございまして,司法の中でも,徐々ではありますけれども,浸透しつつあるという言葉でございます。   では,どういう形で日本語に置き換えられるのかということで意味を調べてみましたら,「相手のところに赴いていく」とか,「出向いて行く」とか,「出張する」という言葉があったり,「接点を多く持つ」という意味合いがあるわけでございますけれども,ここで記載している「アウトリーチ」というのは,単に事務所から出て行くというだけではなくて,利用者が持っている心の中の壁みたいな障壁なども取り除くという意味で,心理的な面でも接しやすいように持ちかけていくというところも踏まえた意味で,日本語で表すとなかなかものですから,徐々に定着しつつある「アウトリーチ」という言葉を維持させていただきたいなと考えている次第でございます。 伊藤委員長 いかがでしょうか。本当は片仮名ではなくて,分かりやすい日本語で表現するのが一番いいのだと思いますけれども。 嶋津委員 別に全く拘りませんけれども,福祉の関係者は理解する,なおかつ,それにアウトリーチしてくる障がい者・高齢者も理解できるという言葉であれば,それでいいと思うのです。では,どういう言葉が代わりにあるのだと言われると困るのだけれども,言葉の意味でいうと,例えば音楽公演などで,小学校,中学校にプロの音楽家が行って,そこで演奏するというのをアウトリーチ活動と言っていますよね。   どちらかというと福祉サービスを現場に持っていってしまうということですけれども,逆に言うと障がい者・高齢者に来てもらう場合もあるのでしょうね。だから,直接行くという言葉にあまり重みを置く必要はないのだと思うのですね。「ふれあう」とか「見守る」とか,坂本委員は「見守る」と。そういう言葉で置き換えられなければしょうがないですね。これからそういう言葉を普及させていくのだという強い決意があるならば,それはそれで結構だと思いますけれども。 伊藤委員長 いろいろ含みがある言葉のように思われますので。   どうぞ,小林委員。 小林委員 日本語で言うと「心が通う活動」とかいうことになると思うのですね。日本人というのはそういう言葉を使うと照れくさいので,片仮名言葉を使っているという事情もあるという気がしてきました。 伊藤委員長 分かりました。ありがとうございます。そういう議論をここでしていただいたことに意味があるかと思いますので,ここでの表現は一応こういうことで皆さんの御了解が得られたということにいたしましょう。   ほかにいかがでしょうか。   もしよろしければ,第3期中期計画案につきましては,ただいま皆様方からいただきました御意見の趣旨を踏まえまして,適切な形で支援センターにおいて文章を修正して,その上で法務大臣への認可申請を行っていただくということでよろしゅうございますか。           (各委員了承) 伊藤委員長 ありがとうございます。それでは,そのように取り計らうことにいたします。   以上で本日の審議の議題は終了でございます。ほぼ予定の時間で会議を終えることができまして,御協議に感謝いたします。   事務局から今後のスケジュールなどにつきましての説明をお願いいたします。 松井参事官 まず,御協議いただきました第3期中期目標案につきましては,本日,2点御意見をいただきました。これにつきましては,事務局において早急に検討をさせていただきまして,修正案等につきましては,委員の皆様方に適宜の方法で御連絡させていただくようにしたいと思います。   なお,今回御審議いただきました第3期中期目標案につきましては,総合法律支援法の規定に基づきまして,今後,最高裁判所に対する求意見及び財務大臣に対する協議が予定されております。もとよりこれまでも両機関とは協議をしてきたわけですが,今回の委員会で御意見をいただきましたので,そういうことを踏まえて協議する必要がございます。その過程で,今日御協議いただきました案文について修正等がある場合もあり得るかと思います。これが単なる表現面にとどまらずに,内容面に至るようなものであれば,皆様に御報告して御了承を得るという手続をとらせていただきます。   次に,第3期中期計画案につきましては,今月末までに支援センターから法務大臣あてに認可申請がされる予定となっております。3月に開催される第38回評価委員会において,認可申請がされた中期計画案を皆様に御協議いただくということで予定しております。   次回の38回評価委員会は3月7日金曜日の午後3時からの開催を予定しております。今年度は中期目標期間の最終年度ということから,委員の皆様には例年以上の御負担をおかけして申し訳ございませんが,どうぞよろしくお願いいたします。   以上でございます。 伊藤委員長 他に特段の御発言がないようでございましたら,本日の評価委員会をこれで終了いたします。どうもありがとうございました。 -了-