日本司法支援センター評価委員会 第43回会議 議事録 第1 日 時  平成27年7月7日(火)    自 午後 3時00分                         至 午後 6時00分 第2 場 所  法務総合研究所第5教室(中央合同庁舎6号館赤れんが棟3階) 第3 議 事  (1) 日本司法支援センターの平成26年度に係る業務実績評価について  (2) 法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見について  (3) 今後のスケジュール 議        事 伊藤委員長 定刻でございますので,ただいまから日本司法支援センター評価委員会第43回会議を開催いたしたいと存じます。   皆様方におかれましては,御多忙のところをお集まりいただきまして,ありがとうございます。   最初に,本日は佐藤委員が少し遅れて御出席ということを承っておりますが,ただいま9名の委員の御出席をいただいておりますので,総合法律支援法施行令第7条第1項に規定する定足数でございます過半数の出席要件は満たしていることを確認いたしたいと存じます。   次に,議事に入る前に,当評価委員会の委員に変更がございましたので,御報告いたします。   本年5月11日付けで山中昭栄委員を,6月15日付けで栃木力委員を,新たに当評価委員会にお迎えいたしました。新任の委員のお二人から一言御挨拶をお願いしたいと存じますので,最初に山中委員,お願いいたします。 山中委員 軽装で失礼いたします。法律の専門家ではございませんが,役人を辞めて,かれこれ10年で,久々に難しいことを多少皆さんと一緒に考えるという立場になりました。法テラスのより充実した業務運営にいささかでもお役に立てればと思っておりますので,どうぞよろしくお願いを致します。 伊藤委員長 次に,栃木委員,お願いいたします。 栃木委員 栃木でございます。村瀬さんの後を引き継いで評価委員になることになりました。現在,東京高等裁判所の第11刑事部の部総括判事を務めております。私は初めての経験で,まだよく分からないところがありますので,これから勉強しながら,誠意を尽くして務めたいと思いますので,よろしくお願いします。 伊藤委員長 ありがとうございました。どうぞ,よろしくお願い申し上げます。   それでは,議事に入りたいと存じます。   本日の議題の主なものといたしましては,お手元の議事次第にありますとおり,「日本司法支援センターの平成26年度に係る業務実績評価について」及び「法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見について」,大きく分けますと,この二つでございます。   各議題につきまして,事務局から説明をお願いいたします。 松本参事官 それでは,事務局の方から議題について御説明いたします。   まず,議題の一つ目,(1)でございますが,「日本司法支援センターの平成26年度に係る業務実績評価について」ですが,資料2として,業務実績について支援センターが自己評価とその理由を記しました項目別評定調書を御用意しております。   本日は,支援センターから,これらの資料についての御説明と各委員の御質問に対する回答をいただく予定でございます。   それを踏まえまして,次回の会議で各委員に御議論をいただき,業務実績評価についての結論をいただきたいと考えております。   また,本年度の業務実績評価に当たりましては,評価項目のうち特に重要度の高い項目,難易度の高い項目を設定する必要がございます。こちらにつきましては,今回初めて業務実績評価に加わっていただく委員もおられることから,支援センターからの業務実績の説明及び質疑応答が終了しました後に,各委員に御議論いただきまして,いずれの項目を重要度又は難易度の高い項目とするかを決定していただきたいと考えております。   議事の二つ目,(2)「法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見について」でございますが,総合法律支援法上,支援センターは財務諸表を作成し,法務大臣の承認を受けなければならないとされ,法務大臣がその承認をしようとするときには,あらかじめ評価委員会の意見を聞かなければならないとされております。   その関係で,例年同様,法務大臣から支援センターの平成26年度の財務諸表を承認するに当たっての意見を求められているところでございます。   そこで,こちらの議題につきまして,本日,支援センターから資料の説明などをしていただきました上で,次回の評価委員会で各委員に御議論いただき,当評価委員会としての意見の取りまとめをしていただきたいと考えているところでございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいま説明がございました順序で議事を進めたいと存じますが,議事進行につきまして,委員の皆様から何か御意見がございますか。よろしいでしょうか。        (各委員了承)   それでは,ただいま説明のような順序で進めたいと存じます。   なお,本日の会議は18時までを予定しておりますので,大変恐縮でございますけれども,進行につきまして,委員の皆様方の御協力,御配慮をお願いしたいと存じます。   なお,池田委員が御都合により途中で退席されると伺っております。お時間になりましたら,どうぞ適宜退出していただければと存じます。   引き続きまして,本日の配布資料について,事務局から説明をお願いいたします。 松本参事官 それでは,お手元にございます資料を御覧いただきまして,配布資料目録のとおりそろっているかどうかの御確認をお願いいたします。   まず,議事次第,出席者名簿,配席図を配布してございます。   それから,黒ひもでつづられたものに移りますが,配布資料目録を一番上につづらせていただいております。青いタグの資料1は,本年6月15日以降の当評価委員会の委員名簿となっております。   次に,水色の紙ファイルにつづらせていただいておりますのが資料2でして,これは支援センターの平成26年度の業務実績評価に関する項目別評定調書でございます。   表紙を開いていただきますと,1枚目に支援センターの自己評価の評定部分だけを抜き出してまとめましたものを付けさせていただいております。各項目別評定調書に記載されました実績や自己評価とその理由につきましては,後ほど支援センターから説明していただく予定にしております。   黒ひものつづりに戻らせていただきまして,青いタグが付いている資料3でございますが,こちらは平成26年度の業務実績報告書でございます。   それに引き続きまして,資料4−1から4−5でございますが,これらはそれぞれ平成26年度の支援センターの財務諸表,事業報告書,決算報告書,監事監査の結果,独立監査人の監査報告書となってございます。これらにつきましても,後ほど支援センターから説明をしていただく予定にしております。   資料5でございますが,支援センターにおける契約の点検結果を記載しました監事の意見書となっております。   次に,同じつづりの赤いタグを付けております机上配布資料について,御説明いたします。   資料A−1が「日本司法支援センターの業務実績評価に係る基本方針」でございまして,前回3月の会議で御検討いただきまして,本年4月1日付けで改訂されたものでございます。   資料A−2「独立行政法人の評価に関する指針」,続いて資料A−3「『独立行政法人の評価に関する指針』のQ&A」,これらは総務省から発出されたもので,先ほど御説明いたしました資料A−1の基本方針がこのA−2,A−3を受けて改訂されたものであることから,参考でお付けさせていただいております。   次に,資料Bに移りますが,こちらが「平成25年度における日本司法支援センターの業務の実績に関する評価の結果等についての意見について」でございます。   こちらは,今年になりまして政策評価・独立行政法人評価委員会から新たに送付されたもので,平成25年度の実績評価についての意見が述べられてございます。今般の評価に当たって特に留意するべき事項についても,幾つか記載されてございます。   続きまして,資料Cは,重要度・難易度の高い項目についての事務局案でございます。   最後に資料Dでございますが,こちらが民事法律扶助業務における立替金の年度別償還状況を記した資料でございます。中央にございます大きな表の上段に緑色に色を付けました1列がございます。こちらが,支援センターが法律扶助協会より引き継ぎました立替金債権についての平成18年度以降の償還額と考えられるものです。なお,こちらの債権につきましては,支援センター自身が立て替えたものではございませんため,概算の把握となっておりますので,この点は御留意をいただければと思います。   その下の黄色に着色いたしました各列につきましては,業務開始以降,支援センターにおいて立て替えた債権についての各年度の償還額や免除,償却の金額となってございます。   資料の説明は以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   お手元に資料は揃っておりますでしょうか。   本日は支援センターの業務実績報告や財務諸表の承認につきまして,委員会として理解を深めるために,毎年のことではございますけれども,支援センターから宮﨑理事長を始めとする皆様方に御出席いただいて,説明をお願いしたいと考えておりますが,これもそのようにさせていただいてよろしゅうございますか。        (各委員了承)   それでは,議事を進めたいと存じます。各議題についての議事でございますが,それぞれに関連する資料につきまして支援センターから説明をお願いするとともに,各委員から御質問等をいただいて,8月に開催予定の会議の場での議論につなげていきたいと考えております。   そこで初めに,資料2の項目別自己評価及びその理由,次に資料3から資料5までの業務実績報告書等の資料につきまして,支援センターから説明をしていただきたいと思います。議題の(1)日本司法支援センターの平成26年度に係る業務実績評価につきましては,まず26年度業績評価を前半と後半の2ブロックに分けて説明をお願いし,その合間に質疑応答の時間を設けたいと存じます。   続いて重要度や難易度の高い項目につきまして,議論の上,決定したいと思います。   また,本日は支援センターの藤原監事,山下監事にも御出席いただいておりますので,合間に御意見をいただきたいと存じます。   本年は評価項目につきまして重要度・難易度の決定も行わなくてはならず,やや時間的に厳しい状況でございます。先ほどにも触れましたが,支援センターからの説明も含めまして,時間配分に御配慮いただければ幸いと存じます。   それでは,支援センターから説明をよろしくお願い申し上げます。 宮﨑理事長 日本司法支援センター理事長の宮﨑誠でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。   お忙しいところ,当センターの業務実績評価のため御出席賜り,誠にありがとうございます。   この4月に,当センターでは本部事務局の交替がございましたので,簡単に御紹介させていただきます。新しく就任した者に限りますが,まず本部事務局長の鈴木啓文でございます。 鈴木事務局長 よろしくお願いいたします。 宮﨑理事長 それから,総務部長の河原誉子でございます。 河原部長 よろしくお願いいたします。 宮﨑理事長 第一事業部長の菅沼友子でございます。 菅沼部長 よろしくお願いいたします。 宮﨑理事長 また,課室長も複数交替し,新たな体制となりましたが,これまで以上に当センターが国民から頼りがいのある存在となるよう,役職員一丸となって努力してまいりたいと考えております。   さて,御承知のとおり,平成26年度は第3期中期目標期間の初年度でございました。昨年度,平成26年度におきましては,司法ソーシャルワークに係る事業計画や具体的目標を策定したところでございまして,今年度,平成27年度は,この計画に基づく本格的な取組を全国で開始したところであります。   また,震災特例法が平成30年3月末まで延長されたことによりまして,岩手,宮城,福島に設置している7か所の被災地出張所等を中心とした被災者に対する援助事業を,第2期に引き続き今期も実施することになりました。被災地の復旧,復興に当たっての様々な法的問題の解決に,関係機関などとも連携し,被災者支援に引き続き全力で取り組んでいく所存でございます。   本日は長時間にわたり御審議いただく会議となりますが,委員の皆様方の忌憚のない御意見,御指導を賜り,更なる業務改善に取り組んでいきたいと考えておりますので,どうかよろしくお願い申し上げます。 伊藤委員長 宮﨑理事長,ありがとうございました。   それでは,引き続き,支援センターからの説明をお願いいたします。 河原部長 それでは,総務部長の河原の方から,業務実績につきまして,御報告させていただきます。   資料は青ファイルでとじられた横置きのものを御覧いただきながら,お聞きいただければと思います。なお,時間の関係上,これからの説明に当たりましては,比較的重要度が高いと思われるものについて少し時間を頂いて説明をする一方で,各項目の様々な取組につきましては,ポイントを絞って説明をさせていただきたいと思います。また,御案内のとおり,評定区分につきましては今年度から3段階から5段階になりまして,Bというのが中期計画における所期の目標を達していると認められるもの,Aはそれを上回る成果が得られていると認められるもの,逆にCはその目標を下回っているものということであるということでございますので,これからの自己評価の評定に関する説明も,そのようなものとしてお聞きいただければと思います。   それでは早速ですが,一つ目の総合法律支援の充実のための措置に関する事項,項目1−1から14までについて御説明したいと思います。   まず項目1−1は,震災法律援助事業に関するものであります。震災法律援助事業による援助の充実のため,震災法律相談援助によって,被災者のニーズがどの程度満たされているのかを分析した上で,いわゆる原発弁護団との連携を通じて,震災代理援助や震災書類作成援助の利用を促進いたしました。また,震災巡回相談を1,078件,震災出張相談を136件実施したり,全被災地出張所で夜間相談を61件,休日相談を337件実施したり,福島の地方事務所双葉出張所で,テレビ電話相談を26件実施したりしました。   以上のことから,年度計画で求められている被災者の司法アクセスの充実は達成できたものと考えまして,自己評価はBといたしました。   続いて項目1−2ですが,震災法律援助事業以外の手法による援助の充実に関するものであります。震災特例法に基づく震災法律援助事業を適正迅速に遂行するとともに,各種専門家によるワンストップの相談会や,震災法テラスダイヤル,女性の悩み事相談などを実施いたしました。また,震災法律援助事業による被災者支援が行えない場合にも,巡回相談や出張相談等の民事法律扶助の制度を積極的に活用いたしました。   以上のとおり,被災者の多様なニーズに応じて,きめ細かく対応することで年度計画で求められております目標は達成できたものと考え,自己評価はBといたしました。   次に項目1−3ですが,これは高齢者・障害者に対する援助の充実に関するものであります。   まず,司法ソーシャルワークに関してですが,本部では地方事務所等の実情を踏まえて,司法ソーシャルワークの取組における具体的目標等を定めた事業計画を策定いたしました。一方,地方事務所では,この事業計画の策定作業と並行して,様々な取組を実施いたしました。   具体的には,41の地方事務所等で合計52回,司法ソーシャルワークや高齢者・障害者等に対する法的支援をテーマにした地方協議会を実施いたしました。また,常勤弁護士や職員は,個別に福祉機関を訪問して意見交換等を実施していたのですが,本部で把握している範囲でも,地域包括支援センター,福祉事務所,社会福祉協議会の三つの福祉機関を対象にした意見交換会等を合計429件実施し,福祉機関との連携強化を図りました。   次に,高齢者・障害者に対する接遇スキルの向上等についてですが,本部で,職員研修において精神科医による講義を実施したり,地方事務所において,福祉の専門家をお招きして高齢者の接遇に係る疑似体験学習を実施したりいたしました。   こういった取組によりまして,年度計画で求められている高齢者・障害者に対する援助の充実は図られたものと考え,自己評価はBといたしました。   続きまして,項目1−4ですが,これは職員の採用及び配置に関するものであります。   職員の採用につきましては,本部の事務局長から係長,主任に至るまで,幅広い職員を面接員に任命いたしました。そして,面接を複数回実施しまして,多角的に適性を判断し,多様な人材を確保できるよう努めました。職員の配置につきましては,各地方事務所の規模,取扱い事件数等を勘案し,業務の平準化及び事務の効率,合理化の観点も十分に踏まえて行いました。   常勤弁護士の採用につきましては,就職説明会の開催や選択型実務修習の受入れ等を行うとともに,関係機関と連携して,ホームページ等を利用した情報提供を行うなど,広く常勤弁護士への応募を促しました。こういったことにより,既に弁護士として活動していた者3名を含む37名の常勤弁護士を採用することができました。常勤弁護士の配置につきましては,秋田県鹿角市に新設された司法過疎地域事務所への新規配置1名を含め,昨年度より6名多い252名を配置することができました。常勤弁護士の役割や配置の必要性等については,内部での検討調査に加え,日本弁護士連合会等との協力による検討を継続しており,常勤弁護士の事件受任による財政的効果の把握についても,新しい取組を導入して,その把握に努めたりしました。   以上述べました実績を踏まえますと,常勤弁護士の配置やその役割及び配置の必要性に関する検討,財政的効果の把握については年度計画で求められている目標にまでは達しておらず,全体として見ると自己評価はCとせざるを得ないと考えました。   次に,項目1−5ですが,これは職員の能力の向上に関するものです。   当センターにおける中・長期的な人材育成プログラムを構築するために,新しい研修制度の在り方についての方針をまとめ,研修の抜本的な改変等の検討を行いました。また,当センターの多様な業務に対応できる職員を育成するため,職員の階層別に計画的に研修を実施し,実務能力や専門性の向上を図りました。常勤弁護士につきましても,裁判員裁判弁護技術研究室及び常勤弁護士業務支援室を活用しながら様々な研修を実施し,その能力の向上を図りました。   こういったことから,年度計画で求められている目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   続いて項目1−6ですが,これは一般契約弁護士,司法書士の確保に関するものです。   民事法律扶助契約弁護士,司法書士,国選弁護人契約弁護士及び国選付添人弁護士,それから被害者参加弁護士契約弁護士,いずれにつきましても日本弁護士連合会,各都道府県弁護士会,司法書士会と連携し,多数回の説明会や協議会を実施したり,説明資料を配布したりして,契約弁護士ないし契約司法書士の確保に努めました。その結果,民事法律扶助契約弁護士,司法書士の人数は2万7,073人,国選弁護人契約弁護士の人数は2万5,218人,国選付添人契約弁護士の人数は1万2,512人,被害者参加弁護士契約弁護士の人数は4,122人となり,いずれにつきましても前年度以上を達成いたしました。   以上のように,契約弁護士,司法書士の人数を前年度以上とすることができましたので,自己評価はBといたしました。   次に項目1−7ですが,ガバナンスの強化に関するものであります。   まず,本部における組織運営等についてですが,本部において毎月2回程度,合計25回,執行部会を開催いたしました。また,全国地方事務所の所長会議及び事務局長会議を各1回,ブロック別協議会を各1回で合計8回開催しまして,本部と地方事務所との間で問題意識の共有を図りました。一方,地方事務所におきましても,執行部会議を随時開催いたしまして,本部が決定した業務運営方針の周知徹底を職員に図るなどいたしました。更に,例えば常勤弁護士を地方事務所の執行部会に出席させたり,本部主催の研修において中期計画等に関する講義を実施するなどして,常勤弁護士が当センターの役割や業務運営方針を理解し,その実現のため,意欲的に業務に取り組むよう努めました。   以上のことから,年度計画で求められているガバナンスの強化に向けた取組は十分に実施できたものと考え,自己評価はBといたしました。   次に項目1−8ですが,これは監査の充実・強化に関するものです。   監事監査については本部ほか6地方事務所で,内部監査は本部ほか51地方事務所,地域事務所等で,情報セキュリティ監査は6地方事務所において,それぞれ実施いたしました。特に内部監査におきましては,リスク存否の観点から重点監査項目を設定し,事前の予備調査を行った上で,各項目の監査を行いました。監査の結果については,理事長に報告するとともに,監査の実施された事務所へ通知するなどし,業務改善に活用いたしました。また,支援センターの監事及び監査室と会計監査人との情報共有の場を二度設け,会計監査人監査との連携の強化も図りました。   以上のことから,年度計画で求められている監査の充実・強化に向けた取組を十分に実施できたものと考え,自己評価はBといたしました。   続きまして項目1−9,コンプライアンスの強化に関するものです。   コンプライアンスに対する職員の意識の向上を図るため,コンプライアンス・マニュアルを用いた事例検討会や,チェックシートを用いたコンプライアンス・マニュアル理解度テストを全職員を対象に実施いたしました。この理解度テストにつきましては,職員に結果を報告させ,コンプライアンスの重要性に対する理解の促進を図りました。また,職員の階層別研修に,それぞれコンプライアンスの講義の時間を設けるなどいたしました。   こういった各種取組により,コンプライアンスの一層の推進を図ることができたと考え,自己評価はBといたしました。   次に項目1−10,情報セキュリティ対策に関するものであります。   平成26年度は,情報セキュリティ関連規程について政府の方針に準じて検討を進め,新たな情報セキュリティ上の脅威に備えるために,情報セキュリティ対策基準及び情報取扱要領の改訂を行いました。また,職員の情報セキュリティに対する意識の向上を図るため,本部における合計7回の職員研修において,情報セキュリティ対策等に関する講義を行いました。   ところで,当センターでは,個人情報を含む多くの重要情報を取り扱っているため,システム上も多層防御と呼ばれる階層の異なる複数のセキュリティ対策により,セキュリティを確保しております。しかしながら,最近見られた高度な標的型攻撃による情報流出事件の例を見ますと,現状のシステムの仕組みでは必ずしも万全な対策とはなっていない側面があることも事実であります。当センターでは現在,平成28年度から3か年にわたるシステムの改修作業を進めておりまして,今後の政府の方針等も踏まえて,重要情報を適正に管理し,情報流出の起こらないような情報セキュリティ体制の構築を進めていきたいと考えております。   以上述べましたとおり,情報セキュリティ対策につきましては,今後も不断に検討を行い対応を行っていく予定ですが,年度計画で求められている目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   続きまして,項目1−11は,効果的な連携方策の策定です。   まず,地方協議会について,全国50の地方事務所において合計99回開催しました。うち29の地方事務所では複数回,開催しております。また地方公共団体やその他関係機関・団体に対する業務説明や意見交換等を前年度を上回る2,753回実施し,関係機関等との連携の維持,強化を図りました。   以上のことから,年度計画で求められている取組は十分実施できたものと考え,自己評価はBといたしました。   続きまして,項目の1−12,連携強化のための体制構築に関するものであります。   関係機関・団体との密接な連携体制を構築するため,地方事務所の執行部に地方自治体,福祉関係等の知識経験を有する人材を起用することを検討し,平成26年度は,函館地方事務所において,市役所の職員であった方を副所長として起用することができました。また,三つの地方事務所において次年度の起用に向けた調整を行い,多様性のある執行部体制の構築を着実に進めました。   以上のことから,年度計画で求められている目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   次に,項目1−13ですが,これは報酬・費用の立替・算定基準に関するものであります。   民事法律扶助業務に関しては,民事法律扶助審査基準運用検討プロジェクトチームによる検討を継続するなど,現行基準の下での運用の適正化,平準化の取組を進めました。また,国選弁護等関連業務に関しては,最高裁判所,法務省及び日本弁護士連合会との間で,被疑者国選弁護制度の報酬算定の在り方について,集中的に協議を行いました。   こういった取組により,年度計画で求められている報酬・費用の立替・算定基準について,多角的な視点から検討を行うための準備を行ったものと考え,自己評価はBといたしました。   次に,大きなⅠの最後ですが,項目1−14,自然災害等に関するリスクへの対応の構築に関するものです。   まずリスク災害発生時における業務継続計画策定に必要な情報の収集と分析を行い,業務継続計画の骨子を作成いたしました。また,業務継続計画の一部となる情報システム運用継続計画を策定いたしました。こういった取組により,年度計画で求められている取組は十分実施したものと考え,自己評価はBといたしました。   続きまして,大きなⅡ,業務運営の効率化に関する事項,これは項目の15から20になりますが,これについて御説明いたします。   まず項目の2−15についてですが,これは一般管理費及び事業費の効率化に関するものであります。   人件費につきましては,業務の内容に応じて,常勤職員,パートタイム,フルタイムの非常勤職員を柔軟に配置し,給与体系についても国の制度に準じた内容の給与規程を維持するなどして,人件費の合理化,効率化を図りました。   人件費及び公租公課を除く一般管理費に関しましては,消耗品,備品等の節約や新宿出張所の統廃合,リース物品の再リースや契約の見直し等により,前年度比4億1,439万円,率にして18.1%の削減を達成いたしました。また新規追加,拡充分を除いた事業費に関しましては,印刷物の節減やコールセンター品質評価委託契約の調達内容の見直し,ネットワーク回線の見直し等により前年度比1億2,599万2,000円,率にして13.7%の削減を達成いたしました。   契約手続につきましては,性質上やむを得ないものや少額随意契約に該当するものを除いて,一般競争入札及び総合評価方式等の競争的手法を活用して,契約を行っております。競争性が十分確保されるような取組といたしまして,当センターのホームページで公表している「一者応札応募に係る改善方策について」に従って,入札参加が見込まれる業者に対して積極的に入札情報のPRを行うとともに,入札に関する情報として,広告分に加えて入札説明書及び仕様書等をホームページに掲示する措置などを講じております。   このような取組を進めまして,この項目につきましては,全体として経費の合理化,効率化を十分に図ることができたと考え,自己評価はAといたしました。   続いて項目2−16,事務所の業務実施体制の見直しに関するものであります。   被災地出張所につきましては,被災地地方自治体におけるニーズを踏まえ,その設置期間を平成30年3月末まで延長し,被災者の法的支援体制の一層の充実を図りました。出張所に関しては,地方事務所の移転に伴い,平成26年6月,新宿出張所を廃止いたしました。加えて,司法過疎地域事務所に関しましては,設置基準や地域のニーズを踏まえ,法務省や日本弁護士連合会の意見を聴取した上で,新たに秋田県鹿角市に地域事務所を1か所設置し,その際,事務所の無償貸与を実現いたしました。   しかしながら,既存の司法過疎地域事務所の存置の必要性や常勤弁護士,職員の配置人数については,業務量等の基礎情報の把握分析を進めつつ不断に検討を行っているものの,いまだ見直しを行うまでには至っておりません。こういったことを考えまして,年度計画の目標を達成するには至っていないと考えまして,自己評価はCといたしました。   次に,項目2−17ですが,これは情報提供業務に関するものです。   ホームページやパンフレット,関係機関との会議などを通じて,地方事務所,コールセンターへの案内に係る取扱いについて周知を行うとともに,地方事務所からコールセンターへの内線転送の利用を更に進め,コールセンターをより活用するための取組を実施いたしました。コールセンターのオペレーターにつきましては,受電傾向を分析の上,平日昼間の人員を増加し,夜間,土曜日の人員を減少させるなど,効率的な人員配置を行い,応答率95.9%を達成し,放棄呼が極めて少ない状態を維持しました。またメールによる情報提供件数の増加や,資力要件確認サービスの対象事務所拡大など,コールセンターにおける業務量が増大する中でも,ワンコール当たりの運営経費は平成25年度631.3円であったものが,平成26年度では629.8円となり,前年度と同一の水準を維持することができました。   以上のことから,年度計画で求められている目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   続きまして,項目の2−18ですが,これは民事法律扶助業務に関するものです。   この項目につきましては,簡易な案件について単独審査の積極的活用を進めた結果,単独審査を実施する地方事務所の数は前年度より3事務所増えまして,43地方事務所となりました。また,事件の類型別に必要書類を設定し,全地方事務所における援助申込者からの審査提出書類の統一化を図りました。常勤弁護士の共同受任については,共同受任マニュアルを作成,発出いたしました。   以上のことから,年度計画で求められている目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   続きまして項目の2−19は,国選弁護等関連業務に関するものであります。   報酬算定に対する不服申し立てについて,地方事務所限りでの処理を可能とする制度を引き続き運用し,463件の不服申し立てのうち82件,率にして約17.7%を,この制度の下で処理いたしました。本部及び地方事務所の双方で事務手続を軽減させるこの制度の運用は,相当程度定着してきたものと考えております。   また,一括国選弁護人契約を締結している弁護士数も,平成26年4月1日時点では8,748名であったのが,平成27年4月1日時点では9,402名と,着実に増加しております。   以上のことから,年度計画で求められている目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   最後に2−20の項目は,司法過疎対策業務に関するものであります。   この項目につきましては,司法過疎地域事務所の設置だけでなく,司法過疎対策に携わる一般の弁護士に対して,例えば,法律相談や打合せの場として地方事務所の施設を貸し出すなど,既存のインフラの利用を認めることにより,司法過疎対策業務の担い手を確保することができないかなど模索いたしました。しかしながら,既存のインフラ利用に対するニーズの有無や利用する際の管理方法など検討すべき課題は多く,いまだ検討途上であります。   こういったことから,年度計画で求められている目標を達成したものとは言い難いと考えまして,自己評価はCといたしました。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいま説明がございました項目1−1から2−20までの内容につきまして,委員の方々から御質問がございましたら,お願いいたします。 黒田委員 気がついたところを,断片的になるかもしれませんけれども,お尋ね申し上げます。   2−15の一般管理及び事業費の効率化というところですけれども,人件費もしかり,その他の経費についても相当な削減が図られているようでございますけれど,A評価にする場合には定量的な基準があったような気がするんですけれども,その定量的な指標に対して,これを超えているのでAにしたという,そういう根拠というのはございますか。 河原部長 定量的なところにつきましては,基本指針によりますと,120%以上ということがございました。詳細な達成割合の数字は今持ち合わせておりませんが,かなり削減が金額としてもできたということで,Aという自己評価にさせていただきました。 黒田委員 100から120%までがB評価ということでしたよね。120%を超えるとA評価と。そうすると,これは削減率で見ますとどういうふうに算定するか必ずしもよく分からないんですけれども,120%は超えてないような気はするんですけれども,そことの関係はどういうふうになるんでしょうか。 河原部長 中期・年度計画自体は前年度比3%減とか1%減となっておりまして,定量的指標として120%以上というのを,どう評価するのかというところになるのかと思うのですが,私どもといたしましては,削減というのがかなり難しい中で,今年度については頑張ったと言えるのではないかと評価いたしまして,またその頑張りということの定性的な部分も含めまして,Aということでさせていただいた次第であります。 黒田委員 ありがとうございます。年度計画を見ますと,前年度比3%削減するということですよね。これは,全体でですかね。それをはるかに上回っているから。削減率は実績としては2割を超えるという計算になるんでしょうかね。 河原部長 はい。 黒田委員 分かりました。 伊藤委員長 ありがとうございました。   それでは,どうぞ他の委員の方でも,御質問がありましたら。 高部委員 1−4の職員(常勤弁護士を含む)の採用及び配置等ということについて御質問をさせていただきたいと思うんですが,私はロースクールでも教鞭をとっているのですが,その関係で,当初,法テラスに常勤弁護士として勤務することに関しては,残念ながら必ずしも人気が高くなかったと承知しているのですが,ここ2,3年,修習生の間で,法テラスでの勤務ということが自分たちのキャリアアップにつながるという,そういう非常に肯定的な評価を受けられるようになってきているという認識を有しております。   今回の評定に至った理由のところを見ますと,職員に関しては,資質のある人間,適性のある方を選んで採用していますということが明確に記載されているのですが,常勤弁護士についても,やはり多くの候補者の中から公益性のある法テラスでの勤務に適性のある方々を採用していらっしゃるのではないかという認識を持っているところです。   ついては,これはお願いでもあるのですが,法テラスの常勤弁護士として働きたいと申し出ている人,もちろん法テラスが採用を検討する前提として,日弁連からの推薦を受けた方であるということは承知しているところですが,法テラスに採用を願い出ている者の数字等を教えていただきたい。  そして,私としては,この評定に至った理由の中に,近年の法テラスの常勤弁護士に対する修習生の間での評価が高まっていて,その結果として有為な人材を確保するに至っているといった趣旨のことも,付け加えていただいてしかるべきなのではないかと思っておりますので,自分の意見も含め,合わせてそういう採用の現状について,お尋ねをしたいと思っております。 伊藤委員長 ただいまの,希望者,出願者の状況と,それから選考,採用の状況について,何か法テラスから御説明いただくことはございますか。 宮木課長 常勤弁護士総合企画課長の宮木でございます。   去年度の67期の常勤弁護士の採用の関係になりますけれども,数字面で申し上げますと,まず応募者数が161名でございます。高部委員御指摘のとおり,日弁連の選考を経まして,その後,法テラスにおける面接をという仕組みになっておりますところ,そのうちの法テラスの面接の受験者という者が68名になります。そして,最終的に,法テラスの面接を受けて,内定を出して,採用に至った者の数が34名ということになりますので,全応募者のうち,おおむね20%前後の者が採用に至っているという,そのような数字になっております。 高部委員 ありがとうございました。 山中委員 法務省の方からいろいろと説明をお伺いをしたり,私なりに法テラスの白書を拝見をして,若干の事前の勉強をしたんですが,若干事実認識がずれている点があるかもしれませんが,二つ,三つ,意見か質問かちょっとあれですが,発言させていただきます。   一つは今の常勤弁護士に関する点にも関係するんですが,平成21年度に200人で,25年度が246人配置した,白書にそう書いてあるわけですが,取り分け19年度から,日弁連の協力を得て,司法修習を終わった新人弁護士を採用する制度を導入したと。それで採用したのがここ5年で延べ200名だということになっているんですが,そうすると結局,常勤弁護士のほとんどが言わば新人弁護士になる,先ほどの部長の御説明で,既に弁護士経験がある方3人を含めてというふうな御説明もありましたが,新人弁護士を採用することが法テラスの採用方針ではないはずで,できれば経験者,弁護士経験の豊富な方を採用した方が,より業務遂行にとってはいいのかなという気もするんです。弁護士サイドからすると,なかなかその報酬面で魅力がないとか,いろいろな問題があったりするのかもしれませんが。   常勤弁護士の確保そのものは大事なことですが,それの相当部分を司法修習が終わったばかりの新人弁護士によらざるを得ないと,それはやむを得なくてそうしているのか,何とかそういう事態を打開をしていかなければいけないという問題意識みたいなものをお持ちなのか,それをちょっとお伺いしたいのが1点と,ついでにほかの点もよろしいですか。 伊藤委員長 何点ございますか。 山中委員 あと二つ。 伊藤委員長 それでは,続けてお願いいたします。 山中委員 地方協議会の件で,先ほど延べ100回で,複数回開催している協議会が二十幾つだと御説明がありました。これも白書を拝見しますと,各地方事務所で年間の開催件数が,別に多いからいいというわけではもちろんないんですが,まちまちなんですよね。例えば,千葉県なんかは1回,隣の茨城県は年6回,協議会を開催している。四国の愛媛とか徳島は1回で,ところが高知は年間5回です。全国の会議で,地方のいろいろな地方自治体を含めた関係機関の協力を得ながら,いろいろな活動を展開していくというのが非常に大事なことなわけで,その開催回数にそれぞれの地方事務所における地域の取組の熱意がそのまま反映されているとは思いませんが,やはりこれだけのばらつきがあるというのは,オールジャパンで見たときに,本部としてどういうふうに評価されているのか,それをお伺いをしたい,これは2点目です。   もう1点は,Cの自己評価が付いている司法過疎の問題で,こういう言い方はちょっといかがとは思いますが,恐らくこの問題は毎年毎年Cが付いていくのではないかという気がするんです。需要と供給でもありませんけれども,やはり弁護士さんがいないところは,なぜいないのか,儲からないからなのか,そもそもそういう民事,刑事を問わず法的な紛争の発生頻度が低いからなのか,それも山間僻地とか離島とか,単なる地理的条件だけで,そういう需要供給みたいなものが否定されるのか,あるいはほかのいろいろな要因が働いているのか,その辺りをきちんと分析しないと,法テラスとしてどういう取組をしていいのか分からない,計画にきちんと書いたりできないと思うんですよね。   これはCというのは,ある意味では大変お気の毒な立場に置かれているとも言えるわけで,そういう取組もしなければいけないという状況に置かれているというのは,よく理解できるんですが,司法過疎の問題というのは,じっくりやっていくしかないのかなというのが私の率直な感想なんですが,もしそういう感想に対して御見解があれば,お伺いをしたいと思います。   すみません,よろしく。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいま,常勤弁護士の確保に関する問題と,地方協議会の開催のばらつきの問題と,それから最後に司法過疎対策業務についての御質問がございましたが,センターの方から3点について,それぞれ御説明いただけますでしょうか。 田中理事 常務理事の田中でございます。私の方から御説明をさせていただきたいと思います。   まず,1点目のスタッフ弁護士の年次の構成の点でございますけれども,法テラスにおきましては,できれば弁護士経験の豊富な方をスタッフ弁護士として迎えたいということは,業務開始の当初から思っておりまして,その考えは今でも変わっておりません。取り分け第1期中期計画の初年度,2年度,そのぐらいの時期は,経験者しかその供給源がなかったものですから,そういう形でのスタッフ弁護士の採用を試みていたわけですが,思いの外,その人数が確保できませんで,十分な配置ができないというような状況が続いたものですから,日弁連と協議をしまして,司法修習生からすぐの段階の方から養成という形でまずスタッフ弁護士に採用し,1年間の教育をした上で全国に配置をするというシステムを導入するに至りました。   確かにそういう司法修習生からの採用が非常に多くなったわけでありますけれども,今でも経験者の採用については意識をしておりまして,日弁連と協力しまして,スタッフ弁護士への応募の意向をお持ちの方については,幅広くアンテナを立てて,その情報を集めているというところでございます。   また1回スタッフ弁護士を任期満了で退任した方の中から,もう一度スタッフ弁護士になって仕事をしたいという方も,ちらほら出てきているところがございますので,新しく経験者を採用するというほかに,スタッフ弁護士のOB,OGについても,これを採用するということも選択肢として考えておりまして,できるだけ経験者を豊富にしたいということを本部の方針として考えているところでございます。   続きまして,地方協議会の開催の地域的なばらつきの御指摘でございますが,確かに御指摘のとおり,年間に1回の開催のところから,かなり大きな回数のところまで,全国ばらつきがございます。法テラスの開業当初の頃は,確か全国的にどこも1回の開催ぐらいだったと思いますが,年を重ねるにしたがって,例えば,県域が横長で,3分割して3か所でやる方が非常に話も深いものになっていいんだというようなことになってくると,それぞれの地域で1回ずつやりましょうということで,3回の開催になる地域があったり,あるいは,御指摘のように5回,6回と,その開催の頻度が上がってくるという地域もあるわけでございます。   毎年,全国の所長会議あるいは事務局長会議ということで,そういった地方での開催の様子についての情報も伺うわけですけれども,複数回開催しているところは,どこも開催の地域を限って開催することでより中身が深まったという感想を異口同音に伝えていますので,本部としても,それの方が好ましいと思いまして,地方事務所には,できるだけ地域を分けるなどして複数回の開催をお願いしたいと伝えているところでございます。   地域ごとに関係機関との連携の程度も違いますので,全て全国にわたって複数回の開催というわけにはいっていないのが現状でございますが,できれば複数回の開催を実現するように,これからも引き続き地方事務所に働きかけをしていきたいと思っているところでございます。   最後に,司法過疎の関係の御指摘ですが,御指摘のとおり非常に難しい問題でございまして,なかなか思うように対策が十分取れていないという現状があるところではございますけれども,最近では,自治体の側から法テラスの活用ができないかというような申入れも受けることができるようになってまいりました。   今までは本部と日弁連で協力して,あるいは日司連の御協力も得ながら,対策が可能な地域を探したり,あるいはその対策の方法についても,いろいろと工夫をしていたわけですが,どうしても十分な情報が得られないというところがあったわけですけれど,法テラスの司法過疎対策のメニューがどこかのチャンネルで耳に入って,こういう形が取れませんかと自治体の側からお声掛けいただけるということが,ここ数年でちらほらと出てきております。   実際,そういう情報をお伝えいただいた場所については,司法過疎事務所を設置するなど,幾つかの対策を現に講じておりますので,私どもの認知度がまだまだ十分でないことが原因かもしれませんが,地方事務所に私どもの活動について御理解いただきながら,できるだけ広く司法過疎対策を講じていきたいと考えているところでございます。 山中委員 分かりました。 伊藤委員長 いかがでしょうか。 池田委員 1−10について,情報セキュリティに関しまして,若干お尋ねをさせていただけたらと思います。   至近で起きました年金機構での情報漏洩の例を見ましても,また,法テラスで取り扱っていらっしゃる情報の内容を考えましても,セキュリティ対策が重要であるということ,ますます重要になっているということに関しましては,どなたも御異論のないところかなと思います。   恐らく,大きく言って二つ,システム面での対応を強化することと,それから人的な部分,中で働いていらっしゃる皆様の情報セキュリティに関する意識を上げていくこと,この両面での対策が必要なんだろうと思います。   その中で,2番に書かれております研修なんですけれども,合計7回ということで,五つの種類の研修が書かれておりますけれども,これが各々本部,地方事務所,どちらで実施されたものであり,どういった方が対象となっていらっしゃるのか,あるいは,おおむねで結構なんですけれども,対象となっていらっしゃる人数等々,お分かりになる範囲で教えていただけたらと思います。 伊藤委員長 ただいまの池田委員の情報セキュリティの研修の内容に関する御質問に関しては,いかがでしょうか。 阿部課長 情報システム管理課長の阿部と申します。   今,委員からの御質問の研修についてでございますが,項目別評定調書の業務実績欄に書かれております。ここに書かれているものは,本部で実施している研修でございます。初任者研修については,対象者は新規採用になった者でございます。毎年20名前後採用していると承知しておりますので,毎年これについては必ず情報セキュリティの研修が行われているというものでございます。   ブラッシュアップ研修につきましては,おおむね3年目か4年目ぐらいに行うものでございますので,こちらについても,毎年2回に分かれて,ほぼ20名から30名程度を対象に行っております。   マネジメント基礎研修につきましては,多くの場合は新たに地方の事務局長となる管理者のための研修ということでございまして,こちらについても毎年20名から25名程度を対象として行っているところでございます。   あとは総務部門研修ということで,こちらは各地方事務所・支部の総務担当者六十数名を対象に行っておりまして,総務部門研修については,地方に戻ってから,情報セキュリティだけでなくて,この研修の中身全体を各地にフィードバックしてもらうというような形をとっているところでございます。 伊藤委員長 よろしいでしょうか。 池田委員 ありがとうございます。地方でのフィードバックがあるというお話でございますけれども,常勤の職員の方だけでも1,000名近くの方々がいらっしゃるのかという理解をさせていただいておりますが,その方々が,1年に1回ぐらいは何らかの形で,情報セキュリティについてその重要性,それから取扱いの重要な部分についてリマインドされるような機会があってしかるべきかなと思っております。   その辺り,また機会があれば,ちょっとお聞かせいただけたらなと思うところです。一応,これで結構でございます。 伊藤委員長 分かりました。   それでは,まだ御質問があるかと思いますが。 知久委員 1−3で司法ソーシャルワークということで積極的に事業展開されてございますけれども,特に意見交換会ということで429件にわたる取組を実施したというような御報告がございますが,そのネットワークの構築といいますか,実質的なその進捗状況,福祉事務所,地方包括支援センター,社会福祉協議会と法テラスのネットワークというか,その辺はどの程度進んでいらっしゃるのか,説明しただけで終わっているのか,次年度のこの事業計画に一歩前進したとか二歩前進したかとか,その辺りがもし感触が分かれば教えていただければと思うんですけれども。 伊藤委員長 いかがでしょうか。429件の取組をした結果,一体どのようなその後の進捗があったかどうか,そういった辺りについて。 大畑課長 総務第二課長の大畑と申します。司法ソーシャルワークに関しましては,法テラス全体として取り組むのは本年度からということでありまして,取組が比較的進んでいるところと,これから正に一からスタートするというところと,地域ごとにばらつきがあるというのが現状でございます。   これまでの429回の意見交換会,その他の機会も含めて,いろいろやっていますが,進んでいるところでは,かなり具体的なスキームとして福祉機関との連携を図っているところもありますが,これらの意見交換会を踏まえて,弁護士会,司法書士会と具体的な協議を始めさせていただいたという地方もまだ多くあるというような現状でございます。 知久委員 それでは,地方協議会の方ではいかがでしたか,これまでのところで。 大畑課長 昨年度は,全国で41か所,計52回にわたって,司法ソーシャルワークに関連する地方協議会を開催しております。地方協議会では,関係機関が一堂に会した場で司法ソーシャルワークについて説明させていただいておりまして,関係機関に非常に好意的に受け止められたという報告が上がっていると承知しております。   司法ソーシャルワークの取組を具体的に進めるためには,個々の関係機関と顔の見える連携関係を構築することが重要だということが指摘されておりますので,地方協議会等をきっかけにできたネットワークをより深めるということが,今年度の課題であろうと考えているところでございます。 知久委員 関連で申し訳ないんですが,1−11の地方協議会等の開催というところで,関連機関との連携強化というのがございまして,アンケートを実施して先進事例を御紹介をしたということがありますが,実際に具体的な改善例というものはどのようなものであったのか,後で教えていただければと思いますが。 伊藤委員長 いかがでしょうか。 河原部長 後日,調べまして御回答したいと思います。 知久委員 もう一点なんですけれども,カウンセリングという形で入ってくるのが精神保健福祉士さんというのはよく分かるんですけれども,その横に産業カウンセラーの同席というのがあるんですが,これは初めて出てくる名称ですが,どういった感じで同席されているんでしょうか。静岡地方事務所の取組ですけれども。 伊藤委員長 産業カウンセラーについての関与の仕方といいますか。 河原部長 この点につきましても,後日お調べして御回答したいと思います。 伊藤委員長 よろしいですか。 知久委員 はい。 伊藤委員長 それでは,恐縮ですが,ただいまの知久委員の御質問に対する回答も含めまして,委員からの追加的な質問につきましては,事務局を通じてセンターに質問をしていただいて,それに対する回答を委員全員で共有するという形にしたいと思います。   そこで,後半の部分について支援センターからの説明をお願いできますでしょうか。 河原部長 それでは,引き続き総務部長の河原の方から御説明いたします。   次は,大きい三つ目,提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項ということで,項目で言いますと,3−21から28ということでございます。   まず,3−21ですが,情報提供業務の質の向上に関するものであります。   コールセンター及び地方事務所の電話による情報提供につきまして,いわゆるミステリーコールや音声ログ調査を実施し,これら第三者による客観的評価を踏まえて,電話応対等に関する対処方法についてフィードバックを行いました。特に音声ログを活用した具体的な研修を実施することにより,研修の実効性を持たせるとともに,多くの地方事務所で客観的評価を踏まえた研修を実施し,応対の質の向上に向けた取組を実施いたしました。また,電話による多言語情報提供サービスを実施し,外国人のニーズにも適切に対応した情報提供を行いました。更にFAQの更新や社会情勢の変化に対応した情報を関係機関から入手し,利用者にとって有益な情報提供を行うことができるよう,データベースの追加修正も行いました。   満足度調査につきましては,5段階評価のアンケートで,コールセンターは4.7,地方事務所は4.5と,いずれも高水準を達成しまして,全体平均でも4以上の評価を得ることができました。   以上のことから,年度計画で求められている目標を達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   次に項目3−22ですが,法教育に資する情報の提供等に関するものでございます。   具体的な取組について御説明いたしますが,本部においては,司法ソーシャルワークをテーマとして,法テラスシンポジウム「福祉と司法が連携する社会」を開催いたしました。常勤弁護士・新宿区職員による実践の報告,パネルディスカッションなどを行ったのですが,参加者は社会福祉士,精神保健福祉士等の福祉関係者,弁護士等法曹関係者,一般の市民の方々等でありまして,約250名の方々に御参加いただきました。   シンポジウム後に行ったアンケートでは,司法ソーシャルワークの必要性を理解できたという回答割合が約85%,これはよく理解できたが48.7%で,ある程度理解できたが36.0%でありまして,こういったところまで達しているということで,実施の効果は十分にあったものと考えております。   そのほか,シンポジウム実施後に,その内容を冊子にまとめまして,東京都内の地区地域包括支援センター,市区町村高齢者福祉課等に送付し,活動の周知を図りました。   地方事務所におきましては,社会人向け講演会等の実施,社会人一般市民向けの講演会,意見交換会,学校における出前授業,センターの業務内容説明等の紛争の未然防止に資する情報の普及に取り組みました。これらの取組は50の全地方事務所で行われ,その数は前年度を上回る1,935回に及んでおります。   以上のとおり,この項目につきましては,本部及び地方事務所ともに,法教育に資する情報の普及に十分な成果を上げることができたと考えまして,自己評価はAといたしました。   続きまして,項目3−23ですが,これは民事法律扶助に関するものであります。   まず,利用者の利便性を向上させるため,書面審査,単独審査の活用,審査必要書類の特定による審査の標準化,効率化を進め,9割の地方事務所で代理書類作成の援助申し込みから14日以内に援助開始決定を行うことができました。   次に,利用者に対する適切な援助を実施するため,家庭裁判所に加えまして,地方裁判所,簡易裁判所に対しても,期日呼び出し状送達事務を当センターに案内いただくことなどを,全国の地方事務所から申し入れました。また,弁護士会,司法書士会と連携協力しつつ,専門相談の実施拡充に努めまして,七つの地方事務所,三つの支部,二つの出張所におきまして,DV,労働,女性,消費者,医療,外国人等の問題に関する専門相談を実施いたしました。   こういった取組によりまして,年度計画で求められている目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   次に,項目の3−24,迅速かつ確実な選任・選定態勢の確保に関するものであります。   この項目につきまして,まず支部を含む全ての地方事務所におきまして,関係機関との間で年度内に1回以上,国選弁護人及び国選付添人の迅速かつ確実な選任態勢についての協議の場を設けました。その数は延べで248回に及んでおります。   また支部を含めて全ての地方事務所において,裁判所,弁護士会と協議の上,裁判所から国選弁護人等候補者指名通知請求を受けてから,実際に指名通知を行うまでの目標時間を設定しております。特に被疑者国選弁護事件につきましては,全地方事務所において,休日を含め原則として数時間以内,遅くとも24時間以内との目標を定めております。全事件の99.7%で,24時間以内の指名通知が行われています。   こういったことから,年度計画で求められている目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   続きまして,項目3−25,裁判員裁判対象事件への対応態勢の強化・充実に関するものであります。   支部を含む全地方事務所におきまして,年度内に1回以上,裁判員裁判用名簿の作成や,この名簿登載者の質の確保等について,関係機関と協議を実施いたしました。その結果,裁判員裁判用名簿が作成された地方事務所,支部の数は,前年度より増加しましたし,複数の地方事務所において,名簿の登載要件あるいは更新要件として,弁護士会における研修等が義務付けられるようになりました。   また,裁判員裁判に関する知識,経験が多くの契約弁護士に共有されるよう,21の地方事務所,支部において,裁判員裁判に関する研修を実施しました。   常勤弁護士につきましては,常勤弁護士が担当した裁判員裁判事件を題材とする事例研修を2回,主として裁判員裁判事件に関するディスカッション等を行う少人数制の専門研修を2回,それぞれ実施いたしました。   以上のとおり,裁判員裁判に対応できる国選弁護人の選任態勢は強化されつつあり,年度計画で求められる目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   次に,項目3−26ですが,これは契約弁護士のサービスの質の向上に資する取組に関するものであります。   支部を含む全地方事務所において,説明会を実施したり,国選弁護業務の解説,国選付添業務の解説等の説明資料を配布し,契約弁護士に対する情報の周知に努めました。また,支部を含む52の地方事務所で延べ122回,弁護士会との共催,又は地方事務所の主催で,弁護活動の質の向上を目的とした研修を実施いたしました。   以上から,年度計画で求められている取組は十分に実施できたものと考え,自己評価はBといたしました。   続きまして,項目の3−27ですが,犯罪被害者支援業務の質の向上に関するものであります。   まず利用者のニーズの把握と関係機関との連携を図るため,全地方事務所において,被害者支援連絡協議会へ参加し,また合計1,196の関係機関,団体から,法テラスに対する意見等を聴取しました。   犯罪被害者支援に係る職員の質の向上を図る取組といたしましては,本部コールセンターに寄せられた利用者からの意見を,本部関係課・室,コールセンター及び地方事務所において調査共有し,職員の応対の改善に役立てました。   精通弁護士紹介態勢の整備につきましては,犯罪被害者支援に精通している女性弁護士を697名確保しました。これは,前年度より78名増加しております。それから犯罪被害者支援に精通している弁護士を3,008名確保,これも前年度より増加で,303名の増加であります。   こういったことから,年度計画で求められている目標は達成したものと考えまして,自己評価はBといたしました。   次に,項目の3−28ですが,これは被害者参加旅費等支給業務の適切な実施に関するものであります。   被害者参加旅費等の支給につきましては,裁判所,法務省と情報を共有し,恒常的に裁判所と連携を図りながら適切な支給に取り組むとともに,マニュアルの整備,充実化により,その効率化にも取り組みました。その結果,裁判所等との協議を要するなど,特段の事情のある請求を除くと,請求のうち99.2%につきまして,受理から2週間以内に支給を行うことができました。   以上のことから,年度計画で求められている目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   次に大きなⅣ,財務内容の改善に関する事項でありますが,これは項目の29から34までであります。   まず4−29ですが,これは自己収入の獲得に関するものであります。   寄附金収入獲得への取組につきましては,当センターのホームページにおける寄付金案内コーナーをトップページに持ってきたり,契約弁護士用のチラシを作成配布して,贖罪寄附制度を周知したりしました。また,より簡便な寄附金の受入れ方法について検討を開始しましたが,この取組は緒に就いたばかりでありまして,寄附金収入の増加には至りませんでした。   有償受任等による自己収入の確保につきましては,研修等において自己収入の確保の必要性や重要性につき常勤弁護士に改めて認識させ,各地域の事情に応じた自己収入の確保に努めましたが,債務整理案件の減少に伴い有償事件数が減少し,事業収益は昨年度に引き続き減少しました。   地方公共団体からの財政的支援の獲得につきましては,過去に無償提供を受けていた事務所を維持することができたことに加えまして,新たに設置した秋田県鹿角市の地域事務所につきましては,無償提供を実現することができました。   これらの実績を踏まえますと,全体としては年度計画で求められている目標には達していないと言わざるを得ないと考えまして,自己評価はCといたしました。   次に,4−30ですが,これは効率的かつ効果的な立替金債権等の管理・回収方法の工夫に関するものであります。   この項目につきましては,年度計画で定められた七つの各種取組を通じまして,効率的,効果的な立替金債権の管理・回収を図りました。その結果,本部における立替金回収の施策と地方事務所における活動の相乗効果により,新規立替金額が減少する一方で,平成23年度以来3年ぶりに償還金額が100億円を超えまして,101億2,200万円を回収いたしました。また,償還免除及びみなし消滅の金額も約47億8,000万円となり,債権管理コストの削減を図ることができました。   以上のことから,年度評価で求められている目標は達成できたものと考え,自己評価はBといたしました。   次に,項目4−31ですが,これは償還率の向上に関するものであります。   立替金回収に関する各種の取組によりまして,償還率は平成25年度の76.6%から81.4%に向上いたしました。   ただ,自己評価につきましては,中期計画における初期の目標を上回る成果が得られたというところまでには至らないのではないかと考えまして,Bとしたところでございます。   次に,項目4−32ですが,これは立替金債権等の管理・回収状況の開示に関するものです。   平成26年度業務実績報告書におきまして,法テラス設立以降の発生年度ごとの立替金額や償還額など,立替金債権の管理・回収に関する基本的なデータを一覧表にして,明らかにいたしました。   以上のことから,年度計画で求められている取組を十分に実施できたものと考え,自己評価はBといたしました。   次に4−33ですが,これは立替金等の悪質な償還滞納者への対応の構築に関するものです。   悪質な償還滞納者等への対応につきましては,本部で検討作業に着手いたしまして,統一的な対応方針として,法律相談時に氏名,生年月日,資力などについて虚偽申告をした者,過去に法テラスや受任者等に対し暴行,脅迫等の業務妨害行為を行ったことがある者,及び正当な理由なく償還を一定期間以上滞納している者に対しましては,原則として,新たな援助は行わないとの方針を策定して地方事務所等に事務連絡を発出いたしました。   以上のことから,年度計画で求められている取組は十分に実施できたものと考え,自己評価はBとしました。   次に,項目の4−34ですが,これは財務内容の公表に関するものです。   事業報告書におきましては,従来の貸借対照表,損益計算書,キャッシュフロー計算書に加えまして,行政サービス実施コスト計算書についても,区分経理によるセグメント情報を開示するとともに,各データの経年比較をグラフ化することなどで,財務諸表における会計状況を視覚的に読み取りやすくするよう工夫いたしました。また,財務データと業務実績を関連付けた情報として,各業務における主な収入及び支出に関する経年比較も記載することで,充実した情報開示を行いました。   以上のことから,年度計画で求められている取組は十分に実施できたをものと考え,自己評価はBといたしました。   続きまして大きなⅤ,その他業務運営に関する重要事項ということで,これは項目の35と36であります。   まず項目5−35ですが,これは認知度の向上に向けた取組に関するものです。   効果の高い広報活動を実施するという観点から,パソコン版,携帯電話版及びスマートフォン版のホームページを改修いたしまして,スマートフォン版ではワンタップでコールセンターへの電話発信ができるようにしました。また,震災法律援助事業利用促進のためのテレビ,新聞を活用した広報と,インターネットリスティング広告,ホームページ及びツイッターによる広告,これを連動させたりしました。   関係機関との連携を通じた広報活動につきましては,金融庁,日本弁護士連合会及び日本司法書士会連合会と連携し,多重債務者キャンペーン2014を実施し,関係機関等へポスターの掲示等を依頼しました。   認知度調査につきましては,平成27年2月に,調査方法を昨年度までの電話による調査からインターネット調査に変更して実施いたしまして,認知度55.8%という結果を得ました。調査方法の変更ですが,これは携帯電話の普及により,固定電話を持たない世帯が増えたことですとか,電話を利用したオレオレ詐欺等の犯罪が横行していることが影響しているのでしょうか,電話調査の依頼をしても回答が得られにくいという状況があることから,踏み切ったものであります。   このインターネット調査では,サンプル数はそれまでの1,100から4,700に増やしました。また人口構成比は,20代,30代,40代,50代,60代以上の各世代から,男女各10ということで変わりはないのですが,調査対象地域につきましては,それまで全国11ブロックであったのを47都道府県とし,全国をカバーできております。   なお,調査方法が異なりますので,昨年度の結果と単純比較はできませんが,一応前年度調査では認知度47.3%であったのが,平成26年度の調査では55.8%と上がっております。   以上のことから,年度計画で求められている取組を十分に実施できたものと考えまして,自己評価はBといたしました。   最後に,項目5−36ですが,これは業務運営の体制維持に関するものです。   職員数又は業務量の変動に応じ,備品整備,設備・施設の見直しを行うとともに,人的態勢の確保のため,業務量の変動を適切に捉えた上での人員配置,能力主義に基づく若手職員の積極的な登用を実施いたしました。   以上のことから,年度計画で求められている取組は十分に実施できたものと考え,自己評価はBといたしました。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいまの説明に関して,委員の方々からの御質問をお願いいたします。 高部委員 契約弁護士のサービスの質の向上に資する取組に関する取組状況という3−26との関係でお尋ねをしたいのですが,先年来,国選弁護人の接見の回数等に対する虚偽報告とか,そういった問題が法テラスにとって極めて喫緊の課題になったという認識を持っております。しかるところ,これがサービスの向上の問題なのか,それともコンプライアンスの問題なのか,その辺のところの仕分けがよく分からないのですが,1−9のコンプライアンスの強化というところについて,先ほど来御説明を受けている話は,法テラスの内部についてのコンプライアンスの向上ということについての御説明に終始されていて,契約弁護士との関係についてのコンプライアンスをどう対応するのかということについては,全部きっちり精読できているわけではないのですが,その項目が見当たらないような気がしております。   しかるところ,コンプライアンスの強化のところの中期目標に記載されている内容は,支援センターが業務を行うに当たって法令や諸規程が遵守される体制を確立強化するとともに,不祥事や過誤の発生を防止するための具体的措置を検討実施するという記載になっておりまして,そうすると,コンプライアンスの強化の中で,契約弁護士との関係についての対応等に関する記載がなされるか,もしそうでなかったとしても,この契約弁護士のサービスの質の向上の関係について,法テラスとしては,こういう形で二度とこういう過誤が生じないように対応しておりますというコメントがあってしかるべきではないか,その辺りのところについての記載が欠落しているのではないかと,今ざっと御報告を受けた中で思っているところです。   もしかしたら私は勘違いしているかもしれないので,その点についてちょっと教えていただけたら有り難いなと思います。 伊藤委員長 ただいまの高部委員からの契約弁護士に関するコンプライアンスの問題については,支援センターの側では,どの項目の中で,どのような評価をしておられるのかという辺りは,いかがでしょうか。 新部部長 高部委員の御指摘のあった契約弁護士のコンプライアンスの問題ですが,確かに記載が漏れております。実際には具体的措置を実施しておりまして,例えば,接見回数については,接見資料を拘置所及び警察署から交付するようお願いしておりまして,それによって確認をしております。これにより虚偽の接見報告は今はありません。公判回数についても,裁判所から公判時間連絡メモをいただいておりまして,これによって公判回数及び公判時間の内容を確認しております。   実際には,これらによってコンプライアンスを確保しておりますが,前回と比べまして,項目が変わっており,どこに書いたらいいのか分からなかったものですから落としてしまいました。追加したいと思います。 高部委員 多分,世間というか,それなりに認識のある方々は,この問題に対する対処がどうなっているのか,もっと言えば,契約弁護士に対する関係で法や規則遵守の意識の向上策といった辺りのところがどこか適切な箇所に記載されていないとちょっと不安があるので,その点についての追加の記載等について,是非よろしくお願いしたいと思います。 伊藤委員長 では,そこは実態を踏まえた記載と説明をお願いしたいと存じます。 吉成委員 今の点なんですが,私も重要な項目であろうとは思うんですが,法テラスの業務実績という観点からの評価ということになりますと,ちょっと極端に言えば,例えば契約弁護士が報告書をなかなか出してこないとか,あるいは報告書の内容に虚偽があったとか,仕事になかなか取りかからないとかというようなことに対して,法テラスとしては,もちろん注意なり督促等もありますけれども,措置ということもするわけですね。その弁護士には何か月あるいは何年間依頼しないとか,場合によっては契約を解除するとか,そういう措置を法テラスが行うということは,ある意味ではコンプライアンスを遵守して,コンプライアンスに努めているというふうな評価もできるわけですね。何か悪いことがあれば,それを処罰するというのは,正しくコンプライアンスの中核になるわけです。   ですから,そういう意味では,コンプライアンスの遵守という点で評価ができるという見方ができると同時に,契約弁護士サイドで問題が多々あるということは,契約弁護士サイドにコンプライアンス上問題があるともいえる。それを法テラスの問題として,法テラスのコンプライアンスとしてプラス評価するあるいはマイナス評価するというのは,なかなか難しいのではないかなと私は思うものですから,そこのところは十分に法テラスとしても検討していっていただきたいですけれども,私どもなり法務省としても考えていかなければならない点ではないかなと思いますが。 高部委員 余り逆らいたくはないんですが,今のおっしゃっていることについては,いささか異論がございます。   私の方で申し上げていることは,コンプライアンスの強化の中で,不祥事や過誤の発生を防止するための具体的措置を検討実施するという記載が1−9にあるにもかかわらず,その点についての記載が一切漏れているのはいかがなものかと申し上げているわけで,それ自体が評価としてプラスに働くのかマイナスに働くのかということ自体を私自身が問題として問題提起をしているわけではないということが1点と,それから,契約弁護士の問題と法テラスの問題は違うと言われても,法テラスは契約弁護士に関する契約の一方当事者でありまして,しかも公的な性格を有しているわけですから,当然のことながら,公的性格を有している以上,その契約上の義務が遵守されるように対応すべき義務を負っていることは当然だと思います。   ですから,どちらか一方という話ではなく,双方がその問題に対して積極的に取り組む姿勢を示すべきではないかということも含めて,申し上げている趣旨です。 伊藤委員長 はい,分かりました。当委員会としての評価の問題は,これはまた別でございますので,先ほどお答えがありましたように,実態がどうなっているのか,それについて法テラスとしてどういう評価をしているのか,それを示していただいて,その上で当委員会としては,また委員の間で意見の交換と最終的な評価をしたいと思います。   ほかにいかがでしょうか。 黒田委員 確認なんですが,4−29の寄附金の受入れのところなんですけれども,取組は緒に就いたばかりというのは,まだそういうシステマティックな寄附の仕組みがまだ構築できていないということなんでしょうか。議論が始まった段階ということなんでしょうか。 河原部長 検討を開始したというところで,まだとどまっているということでございます。 黒田委員 分かりました。   それからもう1点,4−30のところなんですけれども,ちょっと表現が気になるんですが,私は,冒頭の債務免除及びみなし消滅がこういうふうになって債権管理コストの削減を図ることができたという部分で,債務免除とか,みなし消滅というのは立替金の債権放棄ですね,これは一定の要件を満たせば出てくるんだろうと思うんですけれども,条件を満たせばこの仕組みとして放棄せざるを得ないわけですから,結果として管理すべき債権が減りますから関連するコストは減るんでしょうけれども,これでコストの削減を図ることができたというのとはちょっとニュアンスが違うように思うんですね。図ることができたというのは,やはり何かプランをして努力をした結果,費用が減ったということなんだろうと思うんですけれども,結果として自動的にコストが減少するのは当たり前の話なんで,努力の成果とはちょっと違うのかなと思いますので,図ることができたというのが,ちょっと表現として気になるんですけれども,もし何かお考えがあれば教えてください。 伊藤委員長 その点について,何か補足的に説明していただくことはございますか。 権田課長 民事法律扶助第二課の権田でございます。   こちらにお示ししておりますコストの削減というのは,経費という意味での管理コストそのものでございますので,御指摘のありましたようないわゆる償却について残高が減るというようなことをイメージしているものではございませんで,いわゆる不良債権のようなものでも,例えば,ずっと督促をし続けるとかということになれば,それだけ経費としてのコストが掛かるわけでして,そういうものについては積極的に対応して,いわゆる残高を管理する事務処理としてのコストの削減につなげましたという意味でございまして,何かもう少しよい表現があるかどうか検討いたします。ありがとうございます。 伊藤委員長 よろしゅうございますか。趣旨はそういうことだということですが。 黒田委員 一言申し上げますと,私の感覚から申しますと,債務免除にしてもみなし消滅にしても,一定の外観というか,条件を満たせば自動的に債権を放棄せざるを得ない状況になるわけですね。そうしますと結果として管理対象の債権から外れるわけですから,そのことによって管理コストが減るのは当然の結果ということであって,主体的な努力の結果とは,ちょっと異質なものではないかなという認識です。 伊藤委員長 それではどうぞ,ほかにいかがでしょうか。 池田委員 3−21のサービス品質のところだったと思いますが,アンケート調査の結果が6のところで記載されております。コールセンターにしましても地方事務所につきましても,前年を上回る満足度を得られていること自体は大変喜ばしいことかなと思いますが,(1)に書かれておりますホームページにおけるアンケートについては,満足度指標がほかの二つに比べるとかなり低めになっております。これにつきましては,調査件数も記載がされていないようなんですけれども,何か後ろの二つと異なる面があるのかどうか,ちょっとお伺いしたいと思いまして,御質問させていただきました。 伊藤委員長 池田委員御指摘の箇所は,お分かりになりますか。 土田課長 情報提供課長の土田と申します。申し訳ございません,今手元に資料がございませんで,持ち帰って調査した件数をお示しいたします。 池田委員 それから,評価がかなり離れていることに関する法テラスとしての評価というか,お考えも合わせてお知らせいただければ有り難いと思います。 伊藤委員長 それでは,御質問を踏まえて,次回に御説明いただければと思います。 増田委員 3−22の法教育に関する情報の提供等という部分なんですけれども,地方事務所で総数1,935回実施されているという中で,社会人向け,一般向け,いろいろやっていただいているということで御努力がうかがわれるところでございます。学校における出前教育というのが,今後については非常に重要だと考えておりますが,各弁護士会の方でも実施していると聞いておりまして,その辺との関係もあろうかと思うんですが,弁護士会の方では地域によってその取組方に差があるのではないかと推察しているところです。   そういう意味で言うと,法テラスの方で積極的に学校教育の方にもしていただきたいと希望しておりますが,この内訳というか,どの程度,学校教育の方で実施されているのかということはお分かりでしょうか。 伊藤委員長 学校における出前教育などに関して,お答えはいかがですか。 鈴木事務局長 事務局長の鈴木でございます。法テラスは,本部としましては,法教育についての取組を,大人向け法教育ということにややシフトをしておりまして,学校向けというのから少し離れているところがございます。しかしながら,各地方事務所あるいはスタッフ弁護士は,地元の弁護士会とも協力しながら,そこの取組と一緒になって,あるいは地方事務所に要望してくる教育機関からの要請に応えて,出前の授業等を行っているところでございます。   詳細につきましては,法教育についての資料が,業務実績報告書の資料3にとじられてございます。この中にそのようなものが散見されるところでございまして,数的なものは追って御報告させていただきたいと思っております。 伊藤委員長 その点も補足いただけるということで,よろしゅうございますね。 鈴木事務局長 今資料で確認しまして,回数は,前年度が86回だったところ,学校における出前授業は69回行っているということです。今年度は69回です。 伊藤委員長 記載がございますか。 鈴木事務局長 業務実績報告書の46ページ,法教育に関する情報提供のところの2の(2)のところに,地方事務所における取組の中に記載がございます。 伊藤委員長 山中委員,法教育に関して何か。 山中委員 ちょっと細かいところを1点だけ,3−28ですが,経済的な理由で弁護士の援助が受けられないというのは好ましくないというので,その支援業務に関する制度ができたというのは理解できるんですが,この旅費等支給業務もおととしの暮れからですよね。しかも,これは資力に関わらず支給すると。   計算したら,単価5,000円ぐらいなんですよね。実際にその業務に携わっている方がどのくらいおられるか分かりませんが,これは業務実績の評価という視点からちょっと外れるかもしれませんが,正直申し上げて,そこまでやる必要があるのかなという気がしているんです。これは政策の当否の話ですから,意見だけにしてもいいんですが。   もう1点は,法教育で講習会等2,000件近くおやりになっている。参加した人たちのいろいろアンケート調査なんかを見ると好評だということでAの評価が付いているわけですが,これは参加する人というのは,そういうことに興味のある人たちなんですよね。   先ほど学校教育に関しての御質問がありましたけれども,これは文科省と法務省がどうタイアップしてやっていくかということかもしれませんが,こと社会教育の分野で,元々法律でいろいろな諍いとか争い事を解決しようという国民性そのものが,日本というのは割合と薄い国で,こんな決め付けはよくないかもしれませんが,少なくともアメリカのようないわゆる訴訟社会ではない。家族とか友人とか職場とか,いろいろな人間関係のしがらみで規制される部分がかなりあって,むしろ弁護士に頼んだり裁判所に持ち込んだりするということが水くさいとか,あいつは変わったやつだという目でまだ見られることがなきにしもあらずで,そういう国民性といいますか,社会の雰囲気がある中で,どう法的な素養とか法律的なものの考え方とかを身に付けて自分の権利なり義務を自覚をしていくか,それが法教育だと思うんですが,これは計画を見ると,連携を図りながらということですよね。国全体で法教育にどう取り組んでいくかということの中で,法テラスはどういう具体的な役割を担うのか,こういう地方協議会単位で講習会等を精力的に実施するということに加えて何かあるのか,その辺をお聞かせいただければと思います。 伊藤委員長 法教育に関する具体的な取組の状況と,それに対する自己評価は,ここに御説明いただいたとおりですが,山中委員からは,それに加えて大局的な視点での法教育の在り方のようなものについて,現在の時点でセンターとして何かお考えがあればという質問かと思いますが。 鈴木事務局長 法教育については,法務省の方でも取り組まれておられるところで,私自身も推進協議会の方のメンバーに加えていただいております。また,他方では弁護士会あるいは裁判所,文部科学省,教育関係者等も参加しておられまして,そこでの議論を見守りつつ,法テラスとして果たすべき役割は何なのかということを考えながら,現在のところ本部としては,大人向けのところで何らかお手伝いできればと考えております。他方で,地方事務所等については,弁護士会と協力する,あるいは地元の自治体等の要請を受けながら,法教育に資する試みにチャレンジしていくというようなところで捉えておりまして,大局的にこれが法教育として在るべきものだというようなものを,法テラスとして今何らか打ち出しているものではございません。 伊藤委員長 この点もいろいろ議論があるかと思いますけれども,とりあえず今お話しいただいたようなことで,追加の御質問があると思いますが,これも先ほど同様に,委員から事務局にお伝えいただいて,その結果を共有するという形でできればと存じます。 山中委員 私もよく法教育というのをどのように考えたらいいのか分からないので,また折々に私も勉強させていただいて,こういう機会なり,あるいはメールで事務局の方に何か考え方をお送りするなりして,また御議論する機会があればと考えておりますので,よろしくお願いしたいと思います。 伊藤委員長 山中委員の御関心と,それに対する議論は,私ども委員会の委員全員で共有したいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。   それでは,引き続きまして,今までセンターから御説明いただいた26年度業務実績評価につきまして,監事からの御意見を承りたいと存じます。よろしくお願いいたします。 藤原監事 監事の藤原から申し上げたいと思います。   まず法テラスの業務全体についての監事の意見でございますが,法テラスの業務は全般的に適正に運営されていると認められます。   ただ,幾つかの事項に関しまして御留意をお願いしたい点がありますので,若干申し上げたいと思います。   まず第1に,項目番号1−3,高齢者・障害者等への支援の充実という項目でございますが,この中の司法ソーシャルワークについて申し上げます。   司法ソーシャルワークについての事業計画が平成26年度に策定されまして,この27年度から全国的に実施される運びになったということは,高齢者・障害者等の方々が法テラスへのアクセス障害を解決する上で極めて重要な取組でありまして,今後の順調な展開が期待されるところであります。その実施に当たっては,司法ソーシャルワークの中での常勤弁護士の位置付けとか,また各地の弁護士会が以前から行っております高齢者・障害者に対する取組,こういうものとの関係など,幾つかの課題があるように思われますけれども,今年度から初めて全国的に実施をしようとする事業でありまして,やってみないと分からないというところも多々あるかと思いますので,今後事業を実施していく中で,それらの点がうまく解決されていくことが期待されると考えております。   次は項目1−4の常勤弁護士を含む職員の採用,配置等についての中で,常勤弁護士について若干申し上げたいと思います。   常勤弁護士は,各地の弁護士会からも受け入れられまして,既に十分に定着しておりまして,日々熱心に活動しているということが認められます。ただ,全国50か所の地方事務所の中で,11か所の地方事務所では本所に常勤弁護士の配置ができないままであるということ,またいわゆるセンター相談等についても,常勤弁護士が一般契約弁護士に比べて不利な取扱いをされている地方も幾つか存在するという状況がございます。   また民事法律扶助に関しましては,常勤弁護士は関係機関とか団体との連携活動によりまして,独自に事件を掘り起こしつつも,基本的には一般契約弁護士と同様に,センター相談における法律相談,そしてその相談から発展する訴訟事件,こういうものを取り扱っているという状況でございます。   一方,これは十分に知れ渡っていることかとは思いますけれども,全国の弁護士数は,法テラスが業務を開始した平成18年当時は約2万5,000人だった。それに対して平成26年は3万5,000人を超えるというふうに至っておりまして,今後はペースダウンする可能性はあるとは思われますが,絶対数そのものは更に増加していくのではないかと見込まれます。このような状況におきまして,中期計画とか年度計画において述べられておりますが,常勤弁護士が担う役割,配置の必要性について十分な説明責任を果たすということが,法テラスの業務開始後8年以上経過しておりますが,なお必要とされているところでありますけれども,そのような複雑な役割について直ちに説得力のある説明をするということは,それほどに難しい課題であるということも言えると思います。   今年度から全国的に実施される司法ソーシャルワークが,今後の常勤弁護士の役割を示唆する大きな取組ではないかと思われますけれども,今後も引き続きこの役割について深く検討し,十分な説明責任を果たすことが期待されると考えております。   3番目は,項目の1−7,ガバナンスの強化に関してですが,ガバナンスの具体的な取組状況につきましては,執行部の報告のとおりでありまして,ガバナンスは全体として徹底されていると思われます。   4番目は,項目4−30,効率的かつ効果的な立替金債権等の管理・回収方法の工夫,もう一つ,その次の償還率の向上ということに関連しまして申し上げたいと思います。   償還督促とか支払督促など,立替金の債権回収の取組が積極的に行われておりまして,従前以上の成果を上げているということが認められます。ただ,例えばでありますけれども,平成26年度中に援助を開始した案件,これに限って,その26年度中の償還予定金額に対する償還実績の割合はどうかという見方が一つあるかと思いますけれども,この数値は平成26年度は全国平均で約79%でありました。援助開始後1年以下しか経過していない,援助開始1年目の数字でありますけれども,それでも20%程度の償還金が予定どおりに支払われていないというような状況があります。また,これを地方事務所別に見ますと,低いところは約70%,高いところは約90%ということで,かなりの開きがありまして,地方事務所間のばらつきが明瞭だということで,これは地方事務所の取組の差によるものではないかと考えられます。   年度計画で述べられましたように,償還率の高い地方事務所における取組を分析して,そのノウハウを共有することによって償還率を向上させるという,この方針が更に徹底される必要があるのではないかと考えております。   最後は,項目の5−35,認知度の向上に向けた取組の充実ということに関して申し上げます。   法テラスの認知度の向上に向けた取組は,昨年度も本部及び各地の地方事務所によって,様々な形で積極的に行われてきました。ただ,26年度の認知度調査では,法テラスの名称についての認知度は55.8%でありまして,半数を超えたわけですけれども,法テラスの業務内容についての認知度,これは13.3%,前年度の11.11%より増加しているものの,いまだかなり低いレベルにとどまっているのではないかと考えます。   法テラスは,あまねく全国において法的サービスの提供を受けられる社会を目指すということが法律にもよりまして基本理念とされておりますが,法テラスの事業が基本的に国費によって運営される公的な事業であるというこの性格から考えますと,法テラスの法的サービスの提供を受ける機会というのは,これを必要とする全ての国民にできるだけ速やかに均等に与えられるべきものではないかと思われます。   その目標を実現することは,容易なことではないかと思います。これまで8年以上たって,まだ13点幾らにとどまっているということで,努力はしているんですけれども,なかなか大きな伸びが見られないというところで,容易なことではなさそうでありますけれども,法テラスの業務についての認知度を,できるだけ早めに大幅に向上させるための効果的な方策を更に検討されまして,実施されることが強く望まれるというように考えております。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいまの監事の御意見につきまして,何か委員の方から御質問などございますでしょうか。   よろしいですか。   それでは,ここで10分程度休憩を取りまして,再開後に評価項目に対する重要度・難易度の設定につきまして事務局から説明を受けたいと思います。           (休     憩) 伊藤委員長 それでは,再開いたします。   続きまして,事務局から評価項目に対する重要度・難易度の設定についての説明をお願いいたします。 松本参事官 それでは,事務局の方から御説明をさせていただきます。   黒ひもでつづられております机上配布資料のCを御覧いただければと思います。   こちらは重要度・難易度の高い評価項目についての最終的な事務局案でございます。上段の1の枠に並べておりますのが重要度が高いと思われる項目,下段の2の枠が難易度が高いと思われる項目となっております。それぞれの枠には,左から,項目別評定調書上の項目番号,項目名を並べております。その右の,重要度が高いとする理由又は難易度が高いとする理由の欄には,各委員からメールや事前説明にて承りました御意見を踏まえまして,最終的な理由案を記載させていただいております。   緑色に塗られております項目につきましては,当初の事務局案では掲げておりませんでしたが,各委員から重要度「高」又は難易度「高」とすべきとの御意見がございました項目でして,理由案につきましては,各御意見の趣旨を踏まえまして,新たに事務局にて作成をさせていただいております。   各委員におかれましては,これらの項目について御議論の上,重要度「高」とすべきもの,難易度「高」とすべきものを御決定いただければと考えております。 伊藤委員長 ありがとうございました。   それでは,まず重要度の高い項目について議論いただきたいと思いますが,初めに項目番号1−3「高齢者・障害者等に対する援助の充実」につきましてはいかがでしょうか。事務局で整理してもらったとおりに重要度の高い項目として位置付けてよろしゅうございますか。 吉成委員 多分これがこれからの法テラスの目玉,重要な目玉になると思いますし,またそれを目指していると思いますので,重要度「高」としていいのではないかと思うんですが。 伊藤委員長 他の委員の方も,御異論ございませんか。       (各委員了承)   それでは,1−3につきましては,重要度の高い項目と決定いたします。   次に,項目1−10につきましては,いかがでしょうか。こちらの項目につきましては,黒田委員から,そのようにすべきであるという御意見があったように承っておりますが,黒田委員,いかがでしょうか。 黒田委員 最近こういった類いの情報管理の問題が非常に大きな課題になってきておりますので,政府機関あるいは関係機関へのサイバー攻撃が非常に多いという,現に今も起きていると伺っておりますので,是非これは重要な項目としてテーマに掲げるべきではないかと考えております。 伊藤委員長 他の委員の方は,御意見いかがでしょうか。よろしゅうございますか。       (各委員了承)   それでは,これも重要度の高い項目とさせていただきます。   続きまして,項目2−15「一般管理費及び事業費の効率化」についてでございますが,これに関してはいかがでしょう。   重要度の高い項目としてよろしゅうございますか。       (各委員了承)   それでは,そのように決定いたします。   それから次に,項目4−31,償還率の向上に関しては,いかがでしょう。   これもそのように設定をしてよろしゅうございますか。       (各委員了承)   次に,項目5−35につきまして,認知度の向上に向けた取組の充実でございますが,これについては,池田委員,御意見ございましたら,お願いいたします。 池田委員 他の項目とやや性格が異なる面があるかと思いますが,重要であるということについては特に異論がございませんので,結構でございます。 伊藤委員長 他の委員の方々も,よろしゅうございますか。       (各委員了承)   それでは,5−35につきましても,重要度が高い項目と設定したいと存じます。   重要度「高」とする評価項目につきましては,以上のようなことでよろしゅうございましょうか。   続きまして,難易度の高い項目についての議論をお願いしたいと存じます。   まず,事務局案でございますと1−4「常勤弁護士を含む職員の採用及び配置」につきまして,難易度の高い項目となっておりますが,これに関しては,いかがでしょう。   そのような設定でよろしゅうございますか。       (各委員了承)   それでは,そのようにいたします。   次に,2−16「事務所の業務実施体制の見直し」につきまして,これも難易度の高い項目としてよろしゅうございますか。       (各委員了承)   それでは,そのようにいたします。   それから,次に項目番号4−29「自己収入の獲得等」でございますが,これも難易度の高い項目としてよろしいでしょうか。       (各委員了承)   引き続きまして,4−31「償還率の向上」でございますが,これも難易度の高い項目ということで整理をしてもらっておりますが,知久委員から御意見があったように承っておりますので,お願いいたします。 知久委員 先ほど重要度が「高」ということで賛成させていただいたんですけれども,その反面,やはりこれは相手があることでございますので,大変御尽力いただいて,初期から長期それから期間限定などいろいろな督促をして,また免除をしたりとか,更にどうするかというような生活面の状況も考えながらやるということで,法テラスだけではこれをできない,それもまた部数的にもかなり多い人数の方が利用されているわけですので,そうなるとやはり重要でありながら難易度も「高」というように思いましたので,両方に並べるというのが果たしていいかどうかというのが,非常に疑問ではありましたが,あえて難易度のところにも「高」として挙げたいということで,意見を出させていただきました。 伊藤委員長 分かりました。   重要度も高くかつ難易度も高いという点についての補足的な御説明がございましたが,他の委員の方はいかがでしょうか。 吉成委員 私も両方,重要だけれども,かつ難しいということで,両方に掲げるということはむしろバランスがとれるのではないかなと思いますので,両方に掲げていいのではないかと思いますが。 伊藤委員長 分かりました。他の委員の方はいかがですか。 佐藤委員 初歩的な質問になるかと思うんですけれども,私は去年からこの委員をやらせてもらって,よく分からない面も多いんですけれども,難易度の方は評価に関しては難易度が高いと1段階上げてもいいというようなことが出ていますけれども,それに対して重要度の方は何も出てないように思うんですけれども,これは評価との関連では,どういうふうな位置付けになるんでしょうか。 松本参事官 事務局の方から御説明をさせていただきます。   まず,今御指摘のございました難易度につきましては,御発言ございましたとおり,次回の8月の会議で最終的に評定をお決めいただきますが,その際にこの難易度に鑑みて1段階引き上げて評価するのが適切であると委員会の方で御判断いただきました場合には,一つ上げた評定にすることができるということでございます。   これに対しまして,重要度につきましては,ただいま御覧いただいております机上配布資料Cの1の表の上のところに,小さな米印で書かせていただいてございますが,総合評定において十分に考慮すべき項目ということでございまして,評定を1ランク上げる,下げるといったことではございません。委員会としてお決めいただきました項目別評定を更に総合して決めていただく総合評定というのが,またS,A,B,C,Dとありまして,そちらについて理由も決めていただくわけでございますが,その理由を評定調書に記載する際に,この重要度「高」となりました項目については,どのように達成されているかというところに言及していただくというようなことが予定をされております。したがいまして,最終的な評定をお決めいただく際にも,この点に御留意をいただくということが予定をされているということでございます。 伊藤委員長 佐藤委員,よろしゅうございますか。 佐藤委員 はい。それは年度別評価に関して言うならば,7ページの(2)の「総合評定」のⅰのアの最初の項目ということですね。「項目別評定のうち重要な項目の実績及び評価の概要」とあります。ですから,要するに,重要な項目とされたものは,総合評価する場合の重み付けが多少違うんだということで,よろしいわけですね。 松本参事官 委員の方で御指摘いただきましたのは,「日本司法支援センターの業務実績評価に係る基本方針」の内容かと存じますが,今の御指摘のとおりでございます。 伊藤委員長 よろしいですか。 佐藤委員 はい,分かりました。 伊藤委員長 それでは,ただいま決定いただきましたように,机上配布資料Cに記載のとおりの重要度「高」とする評価項目,難易度「高」とする評価項目について,それぞれの設定をする旨決定したいと存じますが,よろしいでしょうか。       (各委員了承)   では,そのように決定をした上で,ただ,重要度・難易度それぞれの項目につきまして,理由の部分の表現に関して若干の修正はあり得るかと思いますが,その点は私と事務局に御一任いただけますでしょうか。   以上のような重要度・難易度の設定を踏まえまして,8月の会議で本委員会としての議論をお願いしたいと存じます。   以上で,議題(1)は終了になります。   引き続きまして,議題(2)「法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見について」に入りたいと思います。   支援センターから,財務諸表等についての説明をお願いいたします。 林田課長 会計課長の林田でございます。平成26年事業年度財務諸表等につきまして,御説明させていただきます。   資料といたしましては,資料4−1から4−3までとなります。   資料4−1の財務諸表は,法人全体の状況を表示しております法人単位財務諸表と,それから一般勘定及び国選勘定の勘定別財務諸表の3種類により構成されております。   資料4−2の事業報告書は,主要な損益の発生要因を明らかにするなど,法テラスの運営状況等につきまして,国民に分かりやすい形での情報開示を行ったものでございます。   資料4−3の決算報告書は,年度計画などで定められました予算の区分に従いまして,年度決算の状況を表示したものでございます。財務諸表と同様,法人単位及び勘定別決算報告書により構成されております。   財務諸表の概要説明に当たりましては,この法人単位財務諸表を前提といたしまして,御説明させていただきます。   財務諸表の1ページから4ページとなります。また,主要な財務データの経年比較に関しましては,資料4−2の事業報告書17ページ以下に記載されておりますので,こちらの方も合わせて参考に御覧ください。   なお,これらの平成26年事業年度財務諸表等は,資料4−4の監事による監査結果報告書におきまして,会計処理は適正に行われているとの評価,それからまた資料4−5の独立監査人の監査報告書におきましても,無限定適正意見を頂いておりますことを御報告させていただきます。   それでは,貸借対照表について御説明いたします。1ページでございます。   貸借対照表は,資産と負債及び純資産の合計額がバランスしているものでございまして,期末時点における法テラスの財政状態を明らかにしたものでございます。   平成26年度末における資産合計は175億2,600万円でありまして,前年度末との比較では,30億3,600万円減少しております。これは現金及び預金が23億5,900万円減少したことなどが主な要因でございます。   次に,この資産に対応いたします負債合計が171億6,000万円であり,前年度末との比較では,7,500万円増加しております。これは運営費交付金債務などの流動負債が2億8,400万円増加した一方で,長期リース債務などの固定負債が2億900万円減少したことなどが主な要因でございます。   続きまして,2ページ,損益計算書について御説明いたします。   損益計算書は,1会計期間における法テラスの運営状況を明らかにしたものでございます。   まず,経常費用は346億3,100万円,前年度との比較では13億3,400万円増加しております。これは,契約弁護士報酬が7億7,400万円増加したことなどが主な要因でございます。一方,この経常費用に対応いたします経常収益は,345億600万円であり,前年度との比較では19億4,700万円減少しております。これは,運営費交付金収益が27億7,500万円減少したことなどが主な要因でございます。   このような損益計算の結果,当期総損失としては,2,000万円を計上しておりますが,これはファイナンス取引,資産除去債務及び為替変動の影響額によるものでございます。   続きまして3ページ,キャッシュフロー計算書について御説明いたます。   まず,業務活動によるキャッシュフローはマイナス21億500万円であり,前年度との比較では8億5,600万円減少しております。これは人件費支出の増加ですとか国庫納付のため29億8,600万円の支出などが主な要因でございます。   投資活動によるキャッシュフローは,マイナス3億2,000万円,前年度との比較では1億7,000万円の減少となっております。これは無形固定資産の取得による支出が,2億6,600万円増加したことなどが主な要因でございます。   財務活動によるキャッシュフローでございますが,こちらの方はマイナス1億3,400万円であり,前年度との比較では700万円増加しております。これはリース債務の返済による支出が減少したことが原因でございます。   これらのキャッシュフローにより,資産期末残高は72億7,000万円となっておりまして,前年度末との比較では25億6,000万円減少しております。   最後に,4ページの行政サービス実施コスト計算書について御説明いたします。   同じく資料4−2の事業報告書の24ページも御覧ください。   行政サービス実施コスト計算書は,納税者である国民の立場から,法テラスの業務運営に関し,損益計算書上の費用だけでは把握できないコストも含め表示しているものでございます。まず,損益計算書の経常費用346億3,100万円から,自己収入である民事法律扶助事業収益,それから有償受任事業収益など193億8,700万円を差し引きますと,国民負担となる業務費用といたしましては,152億4,300万円が計上されることになります。   この金額に,将来の運営費交付金を財源とするため貸借対照表上は,引当金計上する必要がないものとされております引当外賞与見積額1,600万円及び同様に引当金計上のない引当外退職給付増加見積額2億1,800万円並びに機会費用100万円を合計いたしまして,最終的に国民負担となるコストは154億7,900万円となります。前年度末との比較では,6億1,300万円増加しておりますが,これは業務費用が6億1,400万円増加したことなどが主な要因でございます。   財務諸表に関する説明は,以上でございます。 伊藤委員長 それでは,ただいまの報告内容を踏まえまして,監事からの御意見をお願いいたします。 山下監事 御報告させていただきます。先ほど林田課長から御報告があったところと重なる部分が多いかと思いますけれども,御報告させていただきます。   財務諸表のうち,貸借対照表については,平成26年度は平成25年度と比較して資産が30億円の減少,利益剰余金が31億円の減少となっています。これは,平成25年度が第2期中期目標期間の最終事業年度であったことから,運営費交付金の未執行額について,全額収益化し,積立金として整理した31億円のうち,法務大臣に繰越承認された貯蔵品等1億円を除いて,30億円を国庫納付した結果です。   また,損益計算書については,経常収益では平成26年度は平成25年度と比較して,政府受託収益が11億円の増加,運営費交付金収益が28億円の減少となっております。運営費交付金収益の減少理由は,先ほど述べた理由と同じなんですけれども,平成25年度が第2期中期目標期間の最終事業年度であることから,運営費交付金の未執行額31億円について全額収益化した一方,平成26年度においては,通常の事業年度であることから,運営費交付金の未執行額を収益化するという処理をしなかった結果です。   政府受託収益の増加理由は,国選勘定での契約弁護士報酬の増加9億円,国選勘定での人件費の増加2億円に対応した結果です。   経常費用では,平成26年度は平成25年度と比較して,契約弁護士報酬が8億円の増加となっております。これは先ほど述べた理由と同様,国選勘定での契約弁護士報酬が9億円増加した結果です。   この結果,平成26年度は平成25年度と比較して,当期純利益が33億円減少しております。これは,繰り返しになりますけれども,平成25年度が第2期中期目標期間の最終事業年度であることから,運営費交付金の未執行額31億円について全額収益化した一方,平成26年度においては,通常の事業年度であることから,運営費交付金の未執行額を収益化するという処理をしなかった結果です。   これを受けまして,平成26年度に係る財務諸表,決算報告書は,会計監査人有限責任あずさ監査法人の監査を経ており,監事の監査報告の中で会計監査人有限責任あずさ監査法人の監査の方法及び結果は相当であると認めるとしております。 伊藤委員長 ありがとうござしました。   ただいまの御説明に関しまして,委員の方々から何か御質問がございましたらお願いいたします。 黒田委員 この中身につきましては,会計監査人からも監事さんからも御意見がクリーンオピニオンになっておりますので,特段に意見はないんですけれども,ちょっと不明なところを理解させてください。   一つは26年度の決算の予想ですね。あるいは予算といいますか,元々赤字の予算だったんでしょうかどうかということ。それからもう一つは,頂戴いたしました資料の一番最後に,立替金の机上配布資料Dがございますね。今度はこれを見ますと,未償還残高が,これはいつ現在のものかよく分からないんですけれども,これは約360億円となっておりまして,決算書を見ますと,民事法律扶助立替金約270億円と,それから破産更生債権等約112億円との合計の約383億円になりますけれども,これがほぼ対応するものだろうと思うんですが,ぴったり金額が合ってはいないんですけれども,これは調整して整合性のとれるようなデータになるんでしょうかということです。   それから,もう1点が,決算とは直接余り関係ないのかもしれませんけれども,この机上配布資料Dの扶助協会分というのは,多分これはセンターの管理監督外の債権なんだろうと思うんですけれども,これは一体どこへ行っているんでしょうか。未償還部分ですね。これが特定できずと書いてあって,この未償還残は多分センターとは関係ないのかなと思うんですけれども,それはどこかで管理しているんでしょうか。もしお分かりになれば御参考までに教えていただければと思います。 伊藤委員長 ただいまの黒田委員からの3点の御質問については,どうでしょうか。 田中理事 まず1番目の御質問は,昨年度の予算が元々赤字予算だったのかというような趣旨のことと理解しましたが,全体としてうまくその予算の執行ができ,私どもの業務が遂行できるような予算を付けていただいたと思っているところでありますが,なかなかその達成が困難な目標なども幾つかありましたけれど,それなりにいろいろやりくりをしながら,結果として赤字にはならずに済んだというのが実情でございまして,一生懸命頑張った成果と考えているところでございます。   それから,3点目の法律扶助協会の関係ですが,実は法テラスが設立される前,民事法律扶助の業務は,財団法人法律扶助協会というところがやっておりまして,法テラスが設立すると同時に,その法律扶助協会が持っていた資産も全部法テラスが承継するという形になりました。既にその段階で,償還金の中には非常に回収の困難な債権もかなりの量が含まれていたわけでありますが,それもそっくりそのまま法テラスの方で承継しまして,約10年近くにわたって,その回収について努めてきたというところでございます。   もう既に10年近くの期間がたちましたので,それなりには減っていますが,なかなかその回収が難しい債権が少なくありませんので,いまだにそれが私どもの資産として未償還金として残っている,そういう状況があるというところでございます。   なかなかその表記のことだけでは御理解いただくことが難しいかもしれませんが,経過としては,そのような事情がございます。 林田課長 質問の2番目でございますけれども,正確を期する意味で,また調べまして御報告させていただきます。 黒田委員 1点だけ関連で質問ですが,先ほどの御説明で,扶助協会の分は全部財団から法テラスが資産,負債を継承したということは,扶助協会分は180億円ぐらいの立替総額があって,9年目までの累計で大体100億円の償還があるんですね。残りあと80億円ぐらいの債権がありますね。これは償却なり,あるいは免除なり,いろいろあるかと思いますけれども,その額というのは,今の決算書にはもうゼロで継承しているということですか。もちろん債権金額はあるんでしょうけれども,会計的な受入れはゼロで受入れをしているということですか,そうではないんでしょうか。 大石室長 ゼロです。 黒田委員 分かりました。それでは,この資料のDと決算書と整合性が分かるような資料がおできになりましたら,それでまた御説明を頂戴できればと思います。 田中理事 かしこまりました。 松本参事官 資料につきまして,事務局の方から1点補足をさせていただきたいと存じます。   机上配布資料Dにつきましては,法テラスから頂きました情報を基に,事務局の方で委員に分かりやすく御理解いただけるようにという観点から作らせていただいたものでございますので,補足の御説明をさせていただければと思います。   法テラスの立替金債権の管理につきましては,歴史的な経過といいますか,多少の推移がございます。まず,扶助協会時代の債権管理,つまり平成18年度までに扶助協会におきまして立て替えました債権でございますが,こちらにつきましては,言わば残高のみを法テラスの方において引き継いだということでございまして,個別の債権として法テラスにおいては管理がなかなかできないというような状況であったものですから,資料Dの緑の色を付けました数字につきましては,各年度,法テラスが償還を受けました全体の総額から,平成18年度の業務開始以降法テラスが立て替えたお金のうち償還されたもの,これを除外したものが扶助協会で立て替えた分の償還金であろうという理解の下で,総額の引き算から出させていただいた数字でございます。   そして,その中で免除や償却に当たるみなし消滅となったものがどれだけあったかというところがすぐには切り分けられないといったような事情もございまして,資料Dでは特定できずという記載にさせていただいたということでございます。   その後,平成18年度の業務開始から平成23年度末までの時期が一区切りでして,平成24年度からは,債権管理システムというコンピューターシステムを法テラスが導入しまして,そうなりましてから,より正確に債権や償還金が管理できるようになったという事情がございます。   平成23年度末までの債権管理につきましては,個別の債権について,滞納月数などの把握はできたということでございますが,全体につきまして,各年度でどのぐらい返ってくるべきもので,そのうちどのぐらいが返ってきたのかといった総計の把握というのが,システムがまだ拙かったということでございましょうが,システムの都合上難しかったということでございました。ですので,24年度からは,数字の把握の仕方が少し変わってございます。   資料Dでございますが,委員の中から,扶助協会時代の償還金債権についてどのぐらい残っているのかということについて見当を付けたいというような御指摘がございましたものですから,その点を明らかにする観点から作らせていただき,業務の開始後の推移も併せて比べていただくために階段式の表で付けさせていただいております。  先ほど御説明いたしましたように,業務開始から23年度末までにつきましては,返ってくる予定の金額というのが全体として把握できなかった関係で,立て替えた金額と実際にその年度に返ってきた金額のみの比較により,償還率を言わば暫定的に出させていただいております。24年度からは債権管理システムが稼働いたしましたので,こちらはより正確な数字が決算報告書などには反映されているということになりますが,表の都合上,24年度以降はいきなり数字が変わってしまうというわけにもまいりませんでしたので,先ほど御説明いたしましたように,立替金額の中から,その年度に返ってきた金額を記載させていただいておりますため,正確な決算報告書とはちょっと数字がずれてまいるといったような事情でございます。   ややこしい説明で申し訳ございませんが,以上でございます。 大石室長 たまたま私は,法律扶助協会から法テラスにこの債権を移行させるときの扶助協会側の責任者だったものですから,御説明申し上げますけれども,平成18年10月2日に法テラスの方に立替金債権を全て引き継いだわけですが,これにつきましては個々の依頼者の細目にわたるまで確認をいたしまして引き継いでおります。   したがって,決算書上は,法律扶助協会のいわゆる平成18年度の前期分の確定額がそのまま引き継がれているということでございまして,個々の依頼者の分につきましても,細目につきましても,そのまま引き継いでいるということで,その後の法テラスにおける管理も,従来からの扶助協会の立替金をそのまま引き継ぐという形でなされております。   大体7,8年たちますと,立替金の合計の大体8割ぐらい償還されておるわけでございますけれども,この傾向も法律扶助協会のときと基本的に変わらないと御理解いただいてよいと思います。 伊藤委員長 特定できないということの趣旨の説明がありましたが,それと今の大石さんの御発言というのは,どういう関係になりますか。 松本参事官 恐らく扶助協会から引き継いだときには,もちろん個々の債権の集合体ということで引き継いでいたかと思うのですが,法テラスでいわゆる業務システムに入力して管理をしていくというレベルの問題では,まとまった形になったのではないかと存じますけれど,詳細については,また確認の上で御報告申し上げます。 吉成委員 扶助協会の時代の立替金というのは,現在の貸借対照表にも,その残高がそのまま残っているということですか。 大石室長 そのまま引き継がれているんです。 吉成委員 この資料にある平成27年3月31日の貸借対照表には入っているんですか。 大石室長 処分されたものを除いては,入っております。 吉成委員 それは民事法律扶助立替金に,約270億円の中に含まれているということですか。 大石室長 恐らくさようでございます。 伊藤委員長 後でもう少し説明をしていただいた方がいいようなところもございますので,そこはよろしくお願いいたします。 松本参事官 はい,準備いたします。 伊藤委員長 ほかに何か追加で御意見,御質問がございましたら,先ほどと同様に事務局に寄せていただきましたら,事務局からセンターに問い合わせて回答をいただくということにしたいと思いますので,委員各位におかれましては,そのようにお願いいたします。   他に特段の御発言がございませんようでしたら,本日の予定した審議は以上で終了したいと存じます。皆様方の御協力に感謝申し上げます。   最後に事務局から,今後のスケジュールについての説明をお願いいたします。 松本参事官 では,御説明をさせていただきます。   まず,本日の議事録の作成についてでございます。従前,事務局におきまして原案を作成した後,御出席の委員の皆様に内容を御確認いただきまして,最後に委員長に全体を御確認いただきましてから公表するという手順で行っておりますので,本会議におきましても同様の手順で行いたいと考えておりますが,よろしいでしょうか。       (各委員了承) 松本参事官 それでは,そのように進めさせていただきます。   次に,次回の会議の予定でございますが,第44回評価委員会を8月4日火曜日15時から18時までで予定させていただいております。その際に業務実績評価,財務諸表の承認の件について御検討いただきまして,当委員会としての意見を取りまとめていただきたいと思っております。   それから,本日,いろいろと御質問をいただきましたが,更に御質問等がございます場合には,事務局の方にお知らせを願えればと存じます。 伊藤委員長 それでは,以上をもちまして本日の評価委員会を終了といたします。   ありがとうございました。 −了−