日本司法支援センター評価委員会 第44回会議 議事録 第1 日 時  平成27年8月4日(火)    自 午後 3時01分                         至 午後 5時35分 第2 場 所  東京地方検察庁第一共用会議室(中央合同庁舎6号館A棟11階) 第3 議 事  (1) 日本司法支援センターの平成26年度に係る業務実績評価について  (2) 法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見について 議        事 伊藤委員長 それでは,定刻でございますので,ただいまから日本司法支援センター評価委員会第44回会議を開催したいと存じます。   皆様方におかれましては,御多忙,また暑さの中,お集まりいただきまして,ありがとうございます。   最初に,本日は池田委員,吉成委員が御欠席でございまして,増田委員が若干遅れて御出席と承っておりますが,ただいま7名の委員の御出席をいただいておりますので,総合法律支援法施行令第7条第1項に規定する定足数でございます過半数の出席要件を満たしていることを確認いたします。   そこで,早速でございますけれども,議事に入らせていただきます。お手元の議事次第にございますとおり,主な議題は2つでございます。1つ目は,支援センターの平成26年度に係る業務実績評価についてでございます。2つ目は,法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見についてでございます。各議題につきまして,事務局から説明をお願いいたします。 松本参事官 それでは,事務局の方から議題について御説明をさせていただきます。   まず,第1の議題,日本司法支援センターの平成26年度に係る業務実績評価につきましては,前回の評価委員会会議において支援センターから説明がありました業務実績について,本日御議論いただき,評価の結論をいただくものでございます。   次に,第2の議題,法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見についてでございますが,こちらは総合法律支援法上,法務大臣が支援センターの財務諸表を承認しようとするときには,あらかじめ評価委員会の意見を聴かなければならないとされております関係で,法務大臣から支援センターの平成26年度の財務諸表を承認するに当たっての意見を求められており,例年御議論いただいているものでございます。   各議題の詳細につきましては,また後ほど御説明をさせていただきます。 伊藤委員長 それでは,ただいま事務局から説明があったとおりの順番で議事を進めたいと存じますが,議事進行につきまして何か皆様方から御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。        (各委員了承)  それでは,ただいま説明のあったとおりに議事を進めたいと存じます。   なお,本日の会議は18時までを予定しておりますので,恐縮でございますけれども,議事進行につきまして皆様方の御協力,御配慮をお願いできればと存じます。   続きまして,本日の配布資料につきまして事務局から説明をお願いいたします。 松本参事官 それでは,お手元にあります資料を御覧いただきまして,御確認をお願いいたします。   まず,ばらでお配りをしているものでございますが,議事次第,出席者名簿,配席図とございまして,配布資料目録と続いております。次に,黄色のファイルにつづっておりますもの,こちらが資料1から3で,それぞれタグを付けさせていただいておりますが,平成26年度業務実績評価の評価表の取りまとめ案になります。まず,資料1でございますが,こちらが項目別評定調書の最終的な事務局案,資料2となっておりますのが,業務実績の総合評定の案でございまして,資料3が評価の概要の案となってございます。   次に,机上配布となっております資料,アルファベットのタグが付きましたものについて御説明をさせていただきます。まず1つ目が資料Aでございますが,こちらは業務実績評価分布表となっておりまして,各委員にお付けいただきました項目別評定の分布を集計いたしまして,一覧表にまとめさせていただいたものでございます。一緒につづられております資料Bでございますが,こちらは前回も配布をさせていただいたものでございますが,業務実績評価に係る基本方針について,再度お配りをさせていただいております。   なお,業務実績報告書及び財務諸表関連の資料につきましては,大部であり,かつ前回お配りしておりますため,今回,再配布はいたしておりませんけれども,議論の過程で必要となりました際には,事務局において何部か御用意して,おっしゃっていただければ参照できるようにさせていただいております。   このほか,特に資料番号を振らずに,机の上に参考ということで置かせていただきましたものが複数ございますので,こちらについて御説明をさせていただきます。まず1つ目が,先ほど資料Aとして御説明をいたしました評定分布表の詳細版になっております。2つ目が,これまで各委員から承りました御質問と,それに対する回答について,一つにまとめたもので,質問,回答と資料をまとめて一つづりにさせていただいております。3つ目が,前回の会議で机上配布資料Dとしてお配りをいたしました資料の差し替え版でございまして,支援センターが法律扶助協会から引き継いだ立替金債権について,免除,みなし消滅の欄の記載が付け加わりましたほか,誤記の修正をさせていただいております。   こうした資料を適宜御参照いただければと思います。 伊藤委員長 ありがとうございました。ただいま説明がございました資料は,皆様方のお手元にそろっておりますでしょうか。   それでは,各議題の議事を進めたいと存じますが,その前に,前回の会議で各委員から御指摘のありました点について,事務局及び支援センターからの説明をいただけるとのことでございますので,お願いしたいと存じます。 松本参事官 それでは,まず事務局の方から説明をさせていただきます。   まず,支援センターに承継されました法律扶助協会の立替金債権の管理状況や財務諸表との関係に関してでございますが,前回の会議では説明が少々不十分な点がございました。法律扶助協会から承継されました立替金債権についても,個別的には支援センター固有の立替金債権と同様に管理をされており,財務諸表においては,その承継債権も含め,支援センターが有する債権について会計処理上の区分に従って反映をされております。   ただ,先ほど御説明いたしました資料Dに記載されてございます立替金債権等の集計の方法が財務諸表のそれとは若干異なっておりました関係で,金額に差異が生じていたというものでございます。   続きまして,もう一点,法教育の点についてでございますが,まず,法務省の方から,官房付の中島より,法務省における法教育の取組について御説明をさせていただきたいと存じます。 中島官房付 それでは,法務省における法教育の取組につきまして,御説明を申し上げます。   法務省におきましては,司法制度改革以降,法教育の普及推進に向けた取組を続けております。平成13年の司法制度改革審議会の意見書におきまして,司法制度改革の柱の一つであります国民の司法参加の拡充のために,司法の仕組みや働きに関する国民の学習機会の充実を図ることが望まれる,また,教育関係者のみならず法曹関係者も積極的な役割を果たすことが求められるとされております。   これを受けまして,法務省におきましては,法律専門家ではない一般の方々が法や司法制度,あるいはこれらの基礎になっている価値を理解し,法的な物の考え方を身に付けるための法教育を推進してまいりました。   法教育に関する法務省の最近の主な取組を御紹介しますと,まず,平成17年に設立しました法教育推進協議会というものがございます。この協議会は,司法及び法に関する学習機会を充実させるため,法教育に関する情報交換や法教育の在り方に関する検討を行い,我が国における法教育を推進することを目的とするものでございまして,法務省が事務局を務め,年に数回開催しております。協議会の構成員には,法曹三者のほか,教育関係者,教育あるいは法学の研究者,マスコミ関係者,司法書士といった方々に入っていただいておりまして,日本司法支援センターからも鈴木事務局長に委員を務めていただいております。これまでにこの協議会の場で,関係機関等による法教育の取組についても紹介をされておりまして,各関係機関がテーマや対象者を適宜選定した上で,それぞれの特徴を生かした法教育の取組を行っておられると承知しております。   また,法務省の職員による法教育の取組としましては,法務省の地方部局の職員が地元の学校などの要請を受けまして,裁判員制度や契約,あるいはいじめなどといったテーマについて出前授業を行っております。   さらに法務省では,とかく難しいですとか固いといったイメージを持たれがちな法や司法に関する教育をより身近なものに感じてもらうことを目的としまして,昨年,法教育のマスコットキャラクターの「ホウリス君」というものを公募により選定いたしました。   法教育の充実につきましては,今国会の衆参両院における上川法務大臣の所信表明演説の中でも,法や司法制度が国民にとって身近なものとなるよう法教育の充実に努めていくと述べられておりまして,法務省としましても,引き続き法教育の充実に取り組んでまいりたいと考えております。また,法教育の充実のためには,日本司法支援センターを含めまして,担い手となる関係各機関が情報共有を図るとともに,それぞれの特徴を生かしつつ,相互に連携補完して法教育を実践していくことが重要でございまして,法務省としましては,法教育推進協議会におきまして,引き続きこのような情報共有や連携を進めてまいりたいと考えております。   以上,簡単ではございますが,法務省で行っております法教育の取組について御説明いたしました。 伊藤委員長 続きまして,本日は支援センターの鈴木事務局長にお越しいただいておりますので,鈴木事務局長から支援センターの法教育についてのお考えを承りたいと存じます。 鈴木事務局長 支援センターにおきましては,第2期の中期目標期間である平成23年度から25年度にかけまして,年2,3回,各地で法務省,日弁連,地元弁護士会等と共催で,学校教育段階を中心とした法教育シンポジウムを実施しておりましたところ,各地で先行して法教育を実施している関係機関が学校教育段階を中心に活動している中で,適切な役割分担という視点を持って,法教育における支援センターの役割というものを改めて検討しておりました。その結果としまして,支援センターとしては第3期中期目標期間においては,社会生活において法的紛争に巻き込まれる可能性が高い一般市民,社会人を主な対象として,法制度,法的問題解決に関する情報を発信して普及させる活動を行うことといたしました。   もっとも,支援センターとしましては,学校教育段階での法教育も重要であることは認識しております。実際に平成26年度におきましても,全国各地で学校における出前授業等を69件実施いたしております。   現在,支援センターとしては,社会人,一般市民向け,これは大学生以上と考えておりますが,の活動に重きを置くべきと認識しておりますけれども,法務省主催の,先ほど出ておりました法教育推進協議会において関係機関との意思疎通を図りつつ,地域の実情に合わせて適宜,学校教育段階での法教育の取り組みも継続していきたいと考えております。   さらに,支援センター若しくは法教育に興味のない方にも目を向けていただけるよう,具体的方策については更なる検討を行ってまいりたいと考えておりますので,御理解いただきますようお願いいたします。 伊藤委員長 これまでの説明に関しまして,何か御質問や御意見がありましたら,お願いいたします。   よろしゅうございますか。それでは,支援センターの方は御苦労さまでございました。ここで御退席いただきますけれども,本日は支援センターの方に別室での待機をお願いしておりまして,議論の途中で質問がある場合には来ていただくことが可能な態勢をとっておりますので,その旨,御承知おきください。       (支援センター退席)   そこで,本日第1の議題でございます業務実績評価につきまして,項目別評価及び評価理由の議事を進めたいと存じます。   最初に,評価の全体的な討議の進め方についてお諮りいたします。まず,項目別評定調書の討議の進め方でございますけれども,机上に各委員の意見を明らかにした業務実績評価分布表という一枚紙があることは先ほど説明があったとおりですので,御覧いただきたいと存じます。   大きな項目として5つに分かれておりますので,この5つを順番に御討議いただきたいと思いますが,36にわたる小さい項目の中で,左端に赤い丸印の付いている項目がございます。これは,評価に2名以上の少数意見がある場合には二重丸が,少数意見が1名にとどまるものについては丸が付されております。二重丸又は丸が付いている項目は,現時点で委員の間で意見が分かれている項目ということになりますので,これについては個別に御討議をいただきたいと存じます。二重丸又は丸印が付いていない項目につきましては,委員の意見が一致している項目でございますので,各委員から特段の御異論がない限りは一括して事務局作成に係る原案の取りまとめをさせていただきたいと存じます。   もちろん丸印の付いていない項目につきましても,何か御意見があれば積極的に御発言いただいて,実質的な討議に入っていただくことは全く差し支えございませんが,基本的な進め方といたしましては,ただいま申し上げましたような形にさせていただきたいと存じます。そして,項目別評定の全項目について討議をしていただいた後に,総合評定と評価の概要についての討議をお願いしたいと思いますが,ただいま申し上げましたような形でよろしいでしょうか。        (各委員了承)   それでは,そのような形で進めてまいりたいと存じます。   そこで,まず,大きな項目のⅠ「総合法律支援の充実のための措置に関する事項」,項目別評定調書の項目番号で申しますと1−1から1−14までについて,取りまとめをしたいと存じます。   まず,資料Aの分布表のとおり,項目1−3の高齢者・障害者に対する援助の充実につきましては,9名の委員がB評定でございますが,増田委員がA評定を付けておられます。増田委員は遅れて御出席のために,事前にこの項目につきましての御意見をいただいております。そこで,私から増田委員の御意見をこの場で披露させていただきます。   以下,増田委員の御意見でございます。「高齢者・障害者等に対する援助のために,多方面との連携がなされ,接遇スキル等の研修に工夫が見られる。今後更に進めるべきことはあるが,初年度としてはA評価でもよいのではないか。」とのことでございます。   ただいまの増田委員からの御意見も踏まえまして,他の委員の方で,この項目につきまして御意見を承りたいと存じます。いかがでございましょうか。   増田委員の御意見も,今後更に進めるべきことはあるがという留保が付されておりますので,どうしてもAでなければいけないという御趣旨のようには承りませんので,もしよろしければ,皆様方の多数の御意見でございますBとして取りまとめたいと存じますが,いかがでしょうか。        (各委員了承)   それでは,項目1−3の評価は,原案どおりBということで取りまとめたいと存じます。   次に議論を要する項目は,項目1−4,職員の採用及び配置等に関する項目でございます。この項目につきましては,9名の委員がC評定でございますけれども,佐藤委員からB評定が付けられております。そこで,佐藤委員,この点についての御意見がございましたら,承りたいと存じます。 佐藤委員 私の意見というほどではないんですけれども,この法テラスの活動自体に余り詳しくないですし,まして,それが評価AになるかBになるかCになるかという,要するに,よくやったと言えるのか,あるいは,この程度でまあまあかなとかいう判断というのは,なかなか難しい面があるんですよね。   それで,自己評価とか,事務局の評価案とか,そういったものを参考にして見てみました。  基本的にどういうふうに評価したらいいのかということについては,支援センターの業務実績評価に係る基本方針を見ると,中期計画の所期の目的が達成されているか,あるいは年度計画が達成されているかというふうな観点から見ることが中心になっているように,私には理解できたので,では,実際どんなことが中期目標,中期計画,あるいは年度計画で書かれているかということを見て,それで,先ほどの自己評価とかそういった評価について眺めてみると,まあ足りない部分が多いということは分かるわけですね。   ただ,これは難易度が高いものだと設定されております。そうすると,これも基本方針を見てみると,難易度が高いからといって必ずしも1段階上げなければならないというわけではなさそうなんですけれども,難易度が高いものについては1段階上げることができると書いてありますので,そういったことも考えると,難しい中でやってきて,不十分な点はあるんだけれども,これは困難性が高いので,C評価から1段階上げてBにしていいのではないかと,ここまでやっているから確かにBだという実質的な判断というのはなかなかしづらいんですけれども,そうではなくて形式的になるかもしれませんけれども,そう考えた次第です。 伊藤委員長 分かりました。   他の委員の方々はCということで,目標の水準にはいまだ至っていないという評価でございますが,何か御意見ございますでしょうか。 知久委員 職員については,皆さんもかなり評価をしていると思うんですけれども,常勤弁護士の人数確保というところになりますと,昨年度より6名しか多くなかったというところが,予定数にまだ達していないという見解を,法テラス自身もそういう評価をしておりますので,Bというのはある程度もう達成したというところになると思いますので,非常に悩んだんですけれども,やはりCどまりかなとは思いましたね。 伊藤委員長 そうですね。 山中委員 私は事務局案に全て賛同したわけですが,評価に当たってAかBかCか,結局,数値化できない話なので,何か客観的な物差しで一定の結論が出てくるという性質のものではなく,どうしても評価者がどういう視点から見ているか,特定の実績を重視したり,逆に,目標や計画に照らし合わせて,ある程度の乖離があると,そこを厳しく見れば,なかなかBがつかないということで,相当程度の主観的な要素による評価の違いというのは避けられないわけです。ですから,どうしても最後のところは印象になってしまうんですが,ぎりぎり詰めて考えると,この項目1−4は,この間の委員会でもちょっと申し上げましたが,とりわけ常勤弁護士については,数の上での確保は進んでいる,ただ,司法修習を終わった,言わば経験年数のそれほど深くない人がほとんどで,10年,20年,実務経験を積んだ弁護士さんを常勤で採用するという観点から見ると,まだまだ努力が必要ではないかということでして,そういう御認識を支援センターなり事務局もお持ちで,Cということですので,私もCでいいのではという考え方でCを付けました。 伊藤委員長 分かりました。基本的認識においては違いが少ないように思いますが,佐藤委員,先ほど御発言のように,この項目は難易度が高いという,その性質を勘案すればということかと存じますが,他の委員の方はいかがでしょうか。 黒田委員 私もこの常勤弁護士の採用という面では,実績で37名というのは,これはかなり評価されるべき事柄ではないかなと,しかも,大変難易度の高い課題であるにもかかわらず,実績として37名の常勤弁護士が採用できたということは評価するに値するということで,一瞬,Bではないかなとは考えたのでございますけれども,やはりその構成でございますね,実務経験という観点から,もちろん修習の中でもいろいろなトレーニングをされておりますので,実践的な対応も可能ではないかなと思いますけれども,構成としていささか,本来ターゲットとしているところとはちょっと違うのではないかなという感じがいたしましたので,Cでやむを得ないかなと,こういう印象を持ちましたので,Cとさせていただきました。 伊藤委員長 そういたしましたら,佐藤委員,確かに難易度が高いという項目の性質がございますが,支援センターにもうひと頑張りしてほしいという意味で,皆さんの御意見がCということのようですので,御了解いただけますでしょうか。 佐藤委員 はい。 伊藤委員長 それでは,項目1−4につきましては,評価はCといたしまして,評価の理由も原案の記載のとおりというのを評価委員会の意見として取りまとめたいと存じます。        (各委員了承)   次に,項目1−7,ガバナンスの強化に移りたいと存じますが,これにつきましては9名の委員がB評価でございますところ,髙部委員がCの評価を付されておりますので,御意見がございましたらお願いいたします。 髙部委員 今御指摘のあったこととも絡むんですけれども,この黄色いファイルを開いていただいて項目1−7のところを見ていただきたいんですけれども,年度計画の大きなイのところに「常勤弁護士は,個別の法律事務について独立してその職務を行うものであるが,支援センターの業務が公共性を有していることに鑑み,支援センターの業務運営方針を理解した上,その実現のために意欲的に業務に取り組み,国民等の期待に応えるように努める。」ということが書いてありまして,実際の実務実績に関しては,1ページめくっていただきますと,取組例の中で,「常勤弁護士が地方事務所の執行部会へ出席」,「地方事務所の執行部と常勤弁護士との意見交換会,勉強会等を実施」と記載がなされております。   しかるところ,先ほども御指摘がありましたように,大半の常勤弁護士というのは司法修習生からそのまま弁護士になった人たちでありまして,およそ事務所運営の経験はない,それから,司法ソーシャルワークと,それから,従来からあった契約弁護士にはなかなか受けてもらえないような非常に採算性の悪い民事事件等についての取組,そういったことが本来,常勤弁護士に期待されているとは思うのですが,まだまだ未経験の,そういう全体像の仕事が分かっていない方々に対して,率直に申し上げて,意見交換会や勉強会等でガバナンスを確立することが可能なんだろうかという少なからざる疑問を私は抱いておりまして,いろいろ工夫をしてもらわないと,つまり,常勤弁護士に法テラスの公益性について更に理解を深めてもらうためには,種々の方策を更に講じてもらう必要があるのではないかといった私なりの気持ちがありましたので,これはまだBには達しておらず,Cという評価もあり得るのではないかというのが私の個人的な意見です。   ただ,私自身が何が何でもCでなければ嫌だと思っているわけでは毛頭ありませんで,皆さんの大勢の御意見には当然,従わせていただきます。 伊藤委員長 分かりました。ただいまの髙部委員の御意見を踏まえまして,他の委員の方,いかがでしょうか。 黒田委員 常勤の弁護士さんというのは全国で何名いらっしゃるんでしょうか。 伊藤委員長 これは,事務局から。 松本参事官   事務局の方から回答させていただきます。スタッフ弁護士の人数というのは,1年間の中でも時期によりまして変動するというところは御了承いただきたいと思うのでございますが,本年の平成27年4月1日現在ですと,249名ということになってございます。 黒田委員 ありがとうございました。そうしますと,平成26年度の常勤弁護士37名のうち,34名が司法修習を終えられた先生方だということかと思いますけれども,大体250名のうちの2割までは行かないですよね,十数パーセント,2割弱ですから,髙部先生の御指摘も十分よく理解できるのでございますけれども,全体としての取組としては,それなりに評価をして差し上げてもよろしいのではないかと思います。 伊藤委員長 確かに,髙部委員御指摘の点があって,そこに着目すると,もう少し頑張ってほしいというように言えますが,ただいまの黒田委員の御発言を総合いたしますと,より一層の努力を要するかもしれないけれども,一応の,ここで課題として掲げられている点については水準に達しているという意味で,B評価ということでいかがでしょうか。よろしゅうございますか。 山中委員 これは,公表はされるわけですよね。 BはB,CはCというだけではなくて,コメントが付くわけですよね。 松本参事官 はい,今御審議をいただいております項目別評定調書,それから総合評定,評価の概要,いずれにつきましても,委員会で御決定いただいたものを公表いたしますので,評価とともに理由も全て公表になるということになります。 山中委員 ですから,BかCかが表向きそれほど意味があるものではなくて,今の常勤弁護士の問題も,Bはついているけれども,やはりそういう問題は課題としてきちんとあるということがはっきりしていれば,それはBでいいわけでして,その点は事務局の方で今の髙部委員の御発言の趣旨に沿った留意事項というのを記載してもらえば,Bの内容も,BはBだけれどもというところがはっきり分かるのではないでしょうか。BとかCがひとり歩きするわけではないわけですので。 伊藤委員長 そうですね。Bというのは,基準としては目標の水準を満たしているという評価で,その理由としてはここに記載があるとおりですが,それに関連して,ただいまのような髙部委員,黒田委員の御発言があって,それを経て最終的にBという評価で委員会として一致したということが議事録に残り,それも最終的には公にされることになりますね。ですから,それを見ていただければ,なぜ委員会がこういう結論に達したのかについても,言わば議論の過程や内容も,外部の方から御理解がいただけるのではないかと思いますが,いかがでしょうか。 山中委員 ガバナンスの強化という項目全体としてはBだけれども,常勤弁護士の業務に着目してみると,若干というか,留意事項もあるということが全体として分かるようなまとめ方をされたら,それでいいのではないかと思うんですけれども。 松本参事官 今,山中委員からおっしゃっていただいたようなお考えを実現する方法としては幾つかあろうかと存じます。   まず一つは,委員長の方からも御指摘がございましたように,ここで御議論いただきました議事録が公表されますので,それを御覧いただくという形,それからもう一つは,それぞれ評定に至った理由というのを御議論いただきまして,今お示ししております理由案に修文などを加えるということも例年あることでございます。  直接的なB,Cという評定につながる御判断に加えまして,なおということで,今後こういった点を期待するといったような付言,場合によれば来年の評価にもつながるような文言を加えていただくといったようなことも,例年を拝見しますと,ございます。評定書の欄でいきますと,評価委員会による評価,「評定」としてA,B,C,Dのアルファベットがございますが,その下の「評定に至った理由」という部分で,評価の理由についての記載の後,例えば,先ほど申し上げましたなお書きですとか,「さらに」として,今後こういった点について,といったようなことをお書き添えいただく,あるいは,最後の総合評定等で付言をいただくといったような形があろうかと思います。  また,法テラスあるいは評価委員会外の方へのメッセージというよりは,法テラスに対する期待とメッセージという側面を強く捉えるということでございますと,こちらで議事として話題になりましたものについては,私ども事務局から法テラスの本部の方にはお伝えをさせていただきますので,評定書で公表するという形ではなく,それを事務局から法テラスにお伝えをするといったようなことにとどめるといったような場合もあろうかと存じます。 伊藤委員長 分かりました。山中委員の御発言の趣旨をいかすとすれば,今,松本さんがおっしゃったような,評定に至った理由に付言して,なお,常勤弁護士の執行部会や意見交換会に参加することによるガバナンスの実を挙げるようなことが期待されるとか,そのようなことを付言することになりましょうか。   そのあたりの表現は微妙なものですから,もし実質においてお差し支えなければ,事務局と私に表現に関してはお任せいただければと思いますが,よろしゅうございますか。        (各委員了承)   それでは,この点に関してはB評価で,理由についても,基本的には原案のとおりで,若干それに先ほど口頭で申しましたような趣旨のことを付言する,そのように取りまとめをしたいと思います。   大項目Ⅰのその他の項目につきましては,委員の皆様方の評価が一致しておりますので,特に御意見がないようでしたら,事務局案のとおりといたしたいと思いますが,いかがでしょうか。        (各委員了承)   次に,大きな項目のⅡ「業務運営の効率化に関する事項」,項目番号で申しますと2−15から2−20までについての取りまとめをお願いしたいと思いますが,こちらは全ての項目につきまして委員の評価が一致しておりますので,特に御異論がなければ,事務局案のとおりとして取りまとめをしたいと思いますが,皆様方の御意見を承る前に,本日御欠席の池田委員から項目2−17の情報提供業務に係る御意見をいただいておりますので,披露させていただきたいと思います。   池田委員からの御意見は以下のとおりです。「現在報告を受けているコールセンター運営経費にはスーパーバイザーの人件費が含まれていないが,スーパーバイザーの人件費も直接的な経費であり,今後はスーパーバイザーの人件費もベースに含めるべきである。」ということでございました。この御意見につきましては,既に事務局を通じて支援センターに伝えられておりまして,現在,支援センターにおきまして,コールセンター運営経費の在り方について検討中というように承っております。   それでは,ただいま池田委員の御意見を御紹介申し上げましたが,他に御意見がございましたらお願いいたします。 山中委員 評価のAについて異論があるわけではないんですが,これは中期計画とか年度計画で一般管理費が3%,事業費を1%削減,実績が平成26年度,前年度の特殊要因を除いてみると15.2%,6.4%の削減だと。計画から見ると相当大幅な効率化が図られているということで,効率化のために相当,身を切って骨を削ったと,そういう努力をしたということだと思いますけれども,翻って考えてみますと,そうすると法テラスの予算というのは一体何だったのかと感じます。   役所勤めをした身から言いますと,大体,予算要求,ある程度,査定の切りしろを付けたりして要求して,相当厳しく査定をされて,その上でなお執行の段階で一定の留保をかけられたり,節約をノルマとしてかけられたり,それは役所の予算にはよくあって,5%とか何%とかは予算で計上した額から更に執行の段階で削られると,それはそれでよくあることなんですが,ただ,3%と15%,1%と6%というのは,やはり予算と執行との間の乖離としては相当大きいですよね。その乖離がどこから生じているのか。   これだけ節約しても全体の事業執行に支障が生じなかったと,そうすると,結局は予算が甘かったのかということにもなりかねないので,何らかの特別な事情があって,特定の事業で,事業そのものの執行を取りやめたとかいうことで,これだけ大きな削減がされたのかというと,どうもそうではないようなんですね。一応,予算というのは適正に組まれている,一方で,契約なり調達で,予算執行の段階で相当効率化のための努力はする,したがって予算と予算の執行結果との間に一定の乖離が生ずる,これはある意味,当然のことなんですが,ちょっと常識的に考えて,十数%というのは余りにも大きな数字ではないかと。良し悪しを申し上げるわけではないんですが,何か評価とは別にですね,釈然としないものが残るということを申し上げておきたいと思います。 伊藤委員長 ただいまの山中委員の御発言,評価に直接関係をするわけではないかと思いますが,事務局から説明いただくことがありましょうか。 松本参事官 支援センターの予算要求につきましては,法務省の予算の一環として要求がされるということでございまして,私ども司法法制部の方で予算要求を担当いたしております。今の山中委員からの御指摘につきましては,やはり肝に銘じなければいけないなと強く思った次第でございます。   他方で,支援センターの中期目標,中期計画に効率化あるいは経費の削減というのが書かれておりますのは,平成26年度というのは第3期中期目標期間でございますが,その前の第2期中期目標期間における中期計画でも,効率化率というのを挙げて目標化されていまして,支援センターに限らず独立行政法人横並びで目標として掲げるべしということで,財務当局などからの強い要請もありまして,書かれているということでございます。   そのような目標があることに加え,法務省予算の中では支援センターの予算は大変大きゅうございますので,支援センターとしては,非常に執行を謙抑的にやっていただくというところはあって,それがこのような成果につながったのかなと思うところでございます。   なお,それぞれの評定項目に関して,今御議論いただいている2−15に必ずしも限りませんが,いろいろな支援センターにおいての効率化の取組というのは,業務実績として各委員に御覧をいただいたところでございます。そこが,特に平成26年度は,それぞれ具体的に目標を掲げ,努力をして,幾つかのものがかなり飛躍的に進捗したのかなと,事務局から拝見いたしましても考えられましたところで,それが今回,パーセンテージが大きいというところにつながったのかなというところはあるところでして,ここが同じようなパーセンテージで平成27年度以降も進んでいけるのかどうかというのは,今後,見てまいらなければいけないとは思います。  いずれにしましても,予算の執行につきましては,余りにも謙抑的にやり過ぎて業務の質を落とすことになってもいけませんし,他方で,効率化の要請についても真摯に受け止めて,国民の皆様から御覧いただいたときに,支援センターが無駄遣いをしているではないかというように言われないように執行を努めていただくというのも,また一つ,大切なことかなと思っているところでございます。   私どもといたしましても,今後の予算要求作業について,今,山中委員から御指摘をいただいたところについて肝に銘じますとともに,法テラスの予算執行をしていただく部局にも,ただ今の御意見については,事務局からきちんとお伝えさせていただきたいと思うところでございます。 伊藤委員長 それでは,ただいまの山中委員からの御指摘,予算の立案とその執行についての考え方そのものは,まことにごもっともだと思いますので,ただいま松本さんから発言がございましたように,センターにもその旨,留意するよう伝えていただきたいと存じます。   ほかに御発言がなければ,大きな項目のⅡについてはよろしゅうございますか。        (各委員了承)   続きまして,大きな項目のⅢ提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項,項目番号で申しますと3−21から28の取りまとめに入りたいと思います。   まず,項目3−21,情報提供業務の質の向上につきましては,大方の委員がBの評価でございますが,恐縮でございますが,私がAを付けておりますので,一言その趣旨を申し上げたいと存じます。   この点に関して申しますと,様々な取組がなされたわけでございますけれども,特に,多言語情報提供サービスの提供で,5か国語による情報提供サービスを実施したことなど,特徴ある取組を行ったことや,アンケート調査の実施でも,例えば,コールセンターにおけるアンケートだとか,地方事務所におけるアンケートでは,満足度5段階評価を基準といたしまして4.7とか4.5という,昨年度,前年度に比べましても更に向上しているということで,5段階評価で4.7というのは実質的にはほとんど満点に近いようなものではないかと考えまして,あえてA評価を付けた次第でございます。   しかし,先ほど来の御議論にもありましたが,これは一つの見方ということは自覚しておりますので,私といたしましては,皆様方がBということであれば,それにあえて異を唱えるというつもりはございませんので,もしほかに御意見がございませんようでしたら,3−21の項目につきましては,Bということで,評価理由も含めまして,取りまとめたいと存じますが,いかがでしょうか。        (各委員了承)   よろしゅうございますか。それでは,そのようにまとめたいと存じます。   次に,項目3−26,契約弁護士のサービスの質の向上に資する取組に移りたいと存じます。   この点につきましては,髙部委員がC評定を付けておられますので,髙部委員,御発言ございましたら,お願いいたします。 髙部委員 その理由について申し上げさせていただきます。   契約弁護士,要するに支援センターの業務の公共性に鑑みますと,法テラスがいかに国民の目から見て公正な業務が行われているかということが確保できるシステムを作ることこそが,まさに契約弁護士のサービスの質の向上につながるというのが私の基本的な考え方でございます。   どちらかというと,非常にショッキングな出来事が6,7年前にありまして,その流れの中で,契約弁護士の一部の人が,故意か過失か分かりませんけれども,要は,接見時間等に関する関係で誤った記載を行ったという問題がありまして,この問題に関しては,法テラスだけでなく評価委員会等においても,非常に強く真摯に受け止める必要のある話だろうというのが私の基本的な考え方でした。   しかるところ,いささか旧聞に属する話になってしまっていまして,前回の会議のときにも,御案内のとおり,この関係についての記載が欠落しておりましたので,そういう意味では,私としては評価委員の立場,特に,弁護士でもある私の立場からすれば,警鐘を鳴らしておく必要があるということで,あえて発言をさせていただきました。   そこで,今回の案の評価委員会における評価の欄を見ますと,「さらに,規程等を含む業務解説をホームページで紹介するほか」,その後ですが,「接見資料等の客観的資料に基づく報酬算定を行っていることは,過誤を防止し,契約弁護士の質,ひいてはコンプライアンスを向上させるものであり,評価できる。」ということで,まさにこの問題に関しても言及をしていただくことができたということでありまして,弁護士の一人として申し上げると,法テラス,それから関係機関の協力によって,この問題が再発する可能性というのが極めて低いという状況に,今なっているのかなとは思ってございます。   こういう問題は非常に重要な話ですので,やはり法テラスとして常にこういう問題に関して真正面から取り組んでほしいというメッセージは,もう既に十分に伝わったと考えておりますので,私としては皆様方の御意見に従うことについて異議はございません。 伊藤委員長 分かりました。   ということで,接見についての客観的資料の裏付けについて留意するということを含めまして,評価の理由が記載されており,それに基づいて,評価としてはB評価ということにつきまして,他の委員の方も御異論はございませんでしょうか。   よろしければ,項目3−26の評価はBで,理由も原案の記載のとおり取りまとめたいと思います。        (各委員了承)   そのほか,大項目Ⅲに含まれる評価項目につきましては,委員の評価が一致しておりますので,他に特段の御意見がございませんでしたら,事務局案のように取りまとめたいと思いますが,いかがでしょうか。 山中委員 前回の委員会でもちょっとこだわって申し上げたんですが,法教育,これはAですよね。私は気持ちはAダッシュぐらい,ダッシュがないのでAでいいんですが,先ほど,官房付の中島さんと法テラスの事務局長さんの法教育についての御説明は,国会答弁としては百点でいいと思うんですが,どうもなかなかそこから先,具体的な知恵が難しくて,出ないのかなというのが率直な気持ちでして,この間,中島さんにわざわざ説明をいただいて,法教育推進協議会ですか,10年ほど前に設置されて,その前の年に研究会の報告が出たと伺いました。   私もそれを拝見して,諸外国の取組の実例なども記載されているんですが,全般が学校教育中心なんですね。小さいうちから法律的な物の考え方とか法的な素養を,単なる知識としてではなくて,身に付けさせるという意味で,学校教育というのはかなり大事なことだと思うんですが,他方でやはり社会教育の必要性も劣らない。これは,先ほど法テラスからの説明で,その研究会の報告を横にらみしておっしゃったのかどうか分かりませんが,学校教育の分野でもできることは協力はしていくと,ただ,社会的な紛争なんかに巻き込まれる可能性のあるのは一般社会人なので,いわゆる社会教育の分野で,情報提供その他でできるだけ法教育に取り組んでいくということでした。私は基本的な方向としてはそれで正しいだろうと思うんです。   ただ,実際の法テラスの活動内容を見ると,平成26年度が地方協議会中心に1,935回ですか,講習会その他をおやりになって,前回も申し上げたように,そういうところに参加される人というのはそもそも関心を持った人なので,当然その講習会等の内容が好評を博すというのはある程度予想がつくことなんですね。認知度の問題とも関わってきますけれども,そうではない一般の,名前は聞いたことがあるけれども何をやっているかは知らないというような人がほとんどの中で,どう法教育を推進していくか。これは,全体としてどういう取組をしていくかという中で,法テラスの役割分担といいますか,そういうものが位置付けられることだろうと思いますが,ここから先は要望ですが,どうかひとつA評価に満足することなく,やはりもっと具体の施策といいますか,それを法務省ともども不断に考えていっていただきたいと思いますので,口はばったいようですが,申し上げさせていただきます。 伊藤委員長 ありがとうございました。是非,ただいまの山中委員の御指摘は,支援センターの方にもその御趣旨をお伝えいただけるようにお願いいたします。   ほかにいかがでしょうか。 知久委員 項目3−23の民事法律扶助業務でございますけれども,意見の中で加筆させていただいたのが「評価委員会による評価」欄の一番下のところに入っておりますけれども,この民事法律扶助の中では,代理援助と書類作成援助ということが2つあるわけですが,なかなか書類作成援助についての説明は,相談してこれから依頼する人に対して,どうも上手に効率的にできていないということがありまして,これは検討,実施するという言葉がずっと続いていますが,いまだにこれが明確化されておりません。   制度としてある以上,やはりきちんと利用者に御説明をいただけるように早くしていただきたいと思いまして,評価的にはBで変わりませんが,一応,意見の最後に書かせていただきました。やはり立替金として,お借りするわけですので,代理と書類作成では返済する額も違いますから,利用者にきちんと御説明をするということもやはり大変大切なことでございますので,是非早い時期にこれができるように,法テラスとして努力していただきたいと思いますので,お伝えいただければと思います。よろしくお願いします。 伊藤委員長 この点も,理由の中にも記載がございますけれども,併せて知久委員のただいまの御発言の趣旨を法テラスにお伝えいただければと存じます。 松本参事官 承知いたしました。 伊藤委員長 そのほか,大項目のⅢに関して何か御発言ございますか。   よろしいでしょうか。それでは,ここに記載のとおりで評価委員会としての意見の取りまとめをしたいと存じます。        (各委員了承)   少し早いですが,休憩をとりましょうか。4時30分に再開したいと存じます。           (休     憩) 伊藤委員長 議事を再開いたします。   大きな項目のⅣ「財務内容の改善に関する事項」,項目4−29から4−34の取りまとめに入りたいと存じます。   まず項目4−29,自己収入の獲得等につきましては,池田委員のみC評定を付けておられますので,池田委員からの御意見を披露申し上げたいと存じます。   以下,池田委員の御意見でございます。「諸環境の影響が大きいことは事務局案のとおり理解できるが,景気も必ずしも悪いばかりではない中で,前年よりも大きく収入を減らしており,これでBとすると,今後,この項目についてはよほどのことがない限り,最低評価がBとなってしまうので,悩ましいがCとした。但し,このC評価に固執するものではなく,多数意見に従う。」以上が池田委員の御意見でございました。   C評価とされた御趣旨はただいま御紹介申し上げたとおりでございますが,他の委員の方,御意見ございましたら,お願いいたします。 知久委員 池田委員の御指摘もそうかなと同意できるところもありますが,寄附金収入獲得と有償受任等による収入以外に財政的支援の獲得という項目もございまして,こちらについては,これで金額が幾らということは算出はできないとは思いますが,事務所敷地の無償貸与,あるいは建物の無償貸与,それから新規の無償貸与ということで,かなりの数で援助を受けており,無償で貸与を受けているということはやはり評価できるところでもございますので,この辺りを評価することでB評価としてもよろしいのではないかと思います。 伊藤委員長 他の委員の方はいかがでしょうか。 増田委員 公益活動をしております私どもでも,規模は全く小さいですけれども,やはり日本の国での寄附行為というのがなかなか根付いていないという状況がありまして,そこのところの努力が欠けているというところまでは言い難いのではないかと感じているところでございます。 伊藤委員長 ほかにいかがでしょうか。   そういたしますと,確かに池田委員の御指摘の点はございますけれども,知久委員御発言のように無償で貸与を受けていることなどを総合的に考慮をいたしまして,また,池田委員御自身も必ずしもCでなければならないというわけではなく,ただ,そのことで今後判断の基準が緩んでしまうようでは困るという趣旨の御指摘でございますので,皆様方の御意見がBでよろしいということでございましたら,評価Bで理由の記載もここに書いてあるとおりということにしたいと思いますが,よろしゅうございますか。        (各委員了承)   はい,ありがとうございます。   次に項目4−31,償還率の向上についての審議をお願いいたします。こちらは9名の委員がB評定で,佐藤委員がA評定を付けておられます。そこで佐藤委員から御意見がございましたらお願いいたします。 佐藤委員 この点も実質的な判断というよりは,やや形式的な判断になってしまうんですけれども,私の個人的な感想としては,困難性がそれ自体ある,内在している。それに応じて難易度も高いとされているということがまず前提としてあります。   そういう状況の中で,償還率を設定し,いろいろな施策を講じたことにより,結局は結果として昨年度を上回る償還率を実現しているということであると,所期の目標は達成したということは言えるので,だとすると所期の目的が達成していること,プラス先ほどの困難性が内在していて,かつ難易度も高くしたということを考慮すると,これはAでいいのではないかなと私は思った次第です。 伊藤委員長 分かりました。他の委員の方はいかがでしょうか。 黒田委員 確かに,償還率が昨年度,25年度が76.6%に対して,平成26年度は81.4%に向上しておりますので,それなりの努力に対しては評価されるべきものとは考えますけれども,この中期目標自体が償還率の向上に取り組むと,こういうふうに目標を掲げておりますので,特に定量的な目標がないので,120%以上の貢献といいますか,実績が実現されたかどうかというのは難しいんですが,概ね中期目標に従った年度目標は達成されたという観点から,Aというまでには至らないのではないかと私は考えております。 伊藤委員長 いかがでしょう,ほかの委員の方。 山中委員 こういう債権というのは,発生年度が新しければ新しいほど,償還率というのは上がるわけですよね。過去に遡れば遡るほど回収が難しくなると。したがって,発生年度別にどのくらいの債権残高の状況になっているか見て,26年度の80%ちょっと超える償還というものが債権の発生年度によってどういうふうになっているか,厳密に分析しないと何とも評価できないのかもしれませんが,感覚的に90%を超えればAでという気が私はしていましたので,確かに前年度を上回って努力はされているというところは見られますけれども,80%ちょっと超えたぐらいでは,よくはおやりになっている,だけど,十全な回収努力になっているかというと,まだまだその努力の余地はあるのかなと。回収の難しさは難しさとして分かりますけれども,感覚的にBが穏当なところではないかと私は考えておりました。 伊藤委員長 いかがでしょう。佐藤委員。御趣旨はよく分かります。困難度が高いという項目であることも皆さん理解していらっしゃるんですが,端的にいうと,向上はしている,80%を超えているということで,その数値を見ますと,Aまではまだ難しいのではないかという判断かと思いますが。 佐藤委員 一段階上げることができるといっても必ず上げろというわけではありませんので,上げるについても形式的に上げるということではなくて,実質的な内容を見て上げるということだと思いますので,通常の評価だとBだけれども,難易度が高いからAだという,自動的にそうなるものでないということを理解すれば,皆さんの御意見も,それはそれで納得できるのではないかと思っております。 伊藤委員長 ありがとうございます。   それでは,そのような議論を経た上で,項目4−31につきましては,評価としてはBで,理由も原案記載のとおりと,こういうことで取りまとめたいと存じます。        (各委員了承)   次に項目4−32,立替金債権等の管理・回収状況の開示についての討議をお願いしたいと存じます。こちらは髙部委員がC評定,その他の委員はB評定を付けておられますので,髙部委員から御意見をお願いいたします。 髙部委員 そもそもこの法テラス,日本司法支援センターというのは,これは司法制度改革の一環として位置付けられて,言わば法制度を変更し,法改正を行って設立されたものであります。法テラスについては,当然のことながら,法律扶助協会を前提として,それを言わば新しい形で国民の期待に応えられるようなそういうセンターにし,司法支援を行っていくということであったと承知しております。   したがいまして,法テラスは法律扶助協会の積極的な資産とともに,負の資産もこれを承継し,負の資産に関し,適切な対応を行うことが本来的に期待されていた組織だという認識を持ってございます。   しかるところ,昨年頃までは,特に法律扶助協会時代の滞納の償還金に関する関係についてのデータは,要は十分把握ができていないということで繰り返し法テラスの方からお話がありましたところ,最近,徐々にではありますが,その改善が認められることを私自身は否定するものではありません。しかしながら,それはまだ道半ばと言わざるを得ないと思ってございます。   先ほども山中委員から御指摘がありましたように,特に法律扶助協会時代の滞納償還金,未償還金に関しては,その償還が非常に期間が経過していること等から回収が大変な状況にあることは明らかでありまして,そういう意味では法テラスにおかれては,もっと積極的に法律扶助協会時代の未償還金問題に関して取り組んでほしい。それを一日も早くこの問題を解消して,法テラスとしてひとり立ちをしてほしい。私は評価委員会の委員の一人として,そういう強い期待,希望を持っております。   その観点からしますと,B評価はいささか評価をし過ぎではないか。もう少し工夫をし,データを詳細化して,法律扶助協会時代の関係についての償還金の問題に関して,より詳細を把握できるような,そういう苦労をやはりせざるを得ない時期にもう来ているのではないかというのが私自身の基本的な考え方でございますので,私はC評価とさせていただきました。 伊藤委員長 髙部委員からC評価という判断をされた理由についての御説明がございましたが,いかがでしょうか。 知久委員 先ほど,差替えがありました資料D,この表がありますよね。私も髙部委員と同じような疑問がずっとありまして,扶助協会時代の立替金が一体どの程度,償還されているか,その後,どうなっているかというのが非常に疑問でありまして,出てこないかなと実は思ったんですけれども,この表が出てきまして,扶助協会時代の分について償還金ないし免除,みなし消滅も含めて,残りが17.2%ということで,かなり進んだのではないかなという認識を持ちました。   それから,年度ごとに,システムができるまでのものについてはなかなか進んでいなかったということもありましたが,ここに至ってはかなりのものが把握できているような印象も受けましたので,希望的にはやはり引き継いだ分については早急にゼロになるのが望ましいとは思いますが,ある一定のところまでは進んだようにも感じましたので,Cという御意見もあるかと思いますが,ここはBでもよろしいのではないかと思い,発言させていただきました。 伊藤委員長 ただいまの知久委員の御発言は,扶助協会時代の未償還の立替金についての取組は着実に前進している,それについての客観的な数字の裏付けも示されていると,こういう認識でBという評価になってと,そういう趣旨でございますし,また,その点は多くの委員が共有されているところと存じますが,髙部委員,いかがでしょう。 髙部委員 この項目というのは,例えば中期目標を見ますと,発生年度ごとの立替金債権等の管理・回収状況や立替金債権等の償還総額に関する情報データを業務実績報告書で開示するという形になってございます。だから,元々,償還率の向上等といったことは別の項目で議論がされるべきことで,私が言っている趣旨は,飽くまで情報開示の問題について議論をさせていただいております。   しかるところ,お配りいただいている一連の資料の中の,各委員からの質問と回答をまとめたものの別添3を見ていただきたいのですが,これは私の理解が不十分なのかどうか分からないんだけれども,注1を見ていただきたいんですが「貸借対照表における『民事法律扶助立替金』等の区分は上記のとおりであり,法律扶助協会から承継した債権か否かでは区別していない。」ということがまず記載がありまして,注3を見ていただくと,「アとイの差額である」というところから読んだ方がいいのかもしれませんが,数字が入っていて「貸借対照表と資料Dの内訳区分の差異や,債権の認識時点等の差異に起因する」と書いてあって,括弧書きで「なお,内訳区分については上記以上の区分が困難であり,認識時点をそろえた形で金額を引き直すことも困難である。」という記載がありまして,貸借対照表と資料Dとの関係についての差異に関する説明にとどまっているような気もしないでもないのですが,要するに法律扶助協会時代の情報がそもそも非常に不足しているのではないかという疑問を禁じ得ないと思っているからです。   この問題に関しては,償還の問題というのは,私は先ほどの償還率の向上の関係の問題について特段発言しませんでしたが,やはり法テラスにとっての非常に重要な課題の一つであって,それは本当によく一生懸命やられているとは思うのですが,どうも見ていると,自分たちがやったことに対しては一生懸命やるよ,だけど,法律扶助協会時代の話については,これは私たちの時代のことではないですというのが,発言等を聞いているとちらちらと見えると。それが私はいささか不満でありまして,あなたたちは負の遺産も引き継いでいるのよ,そこも一生懸命やらなければというのを,励ましの言葉も含めて言いたいというのが,私の個人的な気持ちです。 伊藤委員長 分かりました。 黒田委員 今の御指摘もよく分かるんですが,今の別添3の資料については過日,御説明を頂戴したんですけれども,当然のことながら,貸借対照表に計上されております債権については,債務者ごとに全部管理されているのが当然のことであって,現実にそれは必然的に内訳書も個別に全部あると伺っております。  ただ,この差替えになった資料Dとの整合性がとれないということの一つの理由は,ここは震災法律扶助の関係の債権,それから未収金勘定で処理している関係のものが資料Dには入っていないようなんですね。それと同時に,貸借対照表の収益認識と債権の認識の基準と,資料Dの上での債権の発生と回収,後者はどうも勘定会計のキャッシュベースで行われているように,私は今理解しておりまして,貸借対照表の方は独法も発生主義会計でやっておりますので,当然のことながら差異が生ずると。この差異の原因がこういう内数という記載で説明されているのでございますけれども,本当は全ての債権について勘定会計のキャッシュフローと会計上の発生主義とがきちんと整合性がとれるように全ての債務者のコーディングを本当はきちっと全部やっておかなければいけなかったんだろうと私は思うんですが,それが十分にできていないということですね。  これを今からやるとなると,相当なシステム投資でお金が掛かると私は直感的に感じておりまして,償還率の向上,促進という観点から,勘定関係ベースのキャッシュフロー,例えば着手金は貸借対照表では扱いが別ですけれども,この表では償還の金額の中に入ってしまっているようなんですね,そういうギャップがありますので,償還促進のためにこういった管理と,それからもう一つは個別の会計管理としての債務者ごとの台帳,これはきちんとあるようでございまして,その不整合な部分がどうもシステムの差で,今からシステム投資をすると相当な金が掛かると理解しております。その意味では,全体として,そういうギャップが残って,改めて詳細なデータをとるということについては,膨大な予算が僕は掛かると思いますから,そういう状況を考えますと,それなりに前進もあり,改善はされてきているのではないかなと思っておりますので,事務局案の評価でよろしいのかなと考えております。 伊藤委員長 いかがでしょうか。 髙部委員 黒田委員のお話も承って,私としては,ただし,この点だけは言っておきたいことでございますので,それもあって申し上げていると御理解いただければいいと思いますので,大勢の御意見に従わせていただくことはもとよりでございます。 伊藤委員長 分かりました。   御意見の趣旨につきましては,然るべき形でセンターにも伝わるようにお願いいたします。   それでは,この点につきましてはBということで,評価理由も原案に記載のとおりといたしたいと存じます。        (各委員了承)   次に項目4−33,立替金等の悪質な償還滞納者等への対応の構築につきましての審議をお願いいたします。この項目につきましては佐藤委員がA評価,他の委員がB評定を付けておられますので,佐藤委員から御意見をお願いいたします。 佐藤委員 この項目については,中期目標が統一的な対応方針を策定し,周知徹底を図るとともに公表するというふうなことが書いてある。中期計画も同じようなことが書いてあります。そして年度計画を見てみると,統一的な対応方針策定に向け,本部での検討作業に着手するというふうなことが書いてあります。   そうすると,この年度では着手が行われていれば,そこで十分というふうに読めるわけですね。では実際,どんなことをやったかというと,悪質な償還滞納者等への統一的な対応方針を作成したと。ですから着手だけではなくて,策定まで行っているということになると,これは十分に年度の目標というのは達成されているわけなので,着手で達成されているわけですね。さらに,それにとどまらずに完了までしてしまっているので,これはBではなくて,Aではないかなと思った次第です。 伊藤委員長 ほかの委員の方の御意見,いかがでしょうか。   確かに着手ないし策定までしているということは御指摘のとおりですが,これが目標の水準を満たしているというBを超えて,更に難易度を高く設定した項目についてうんぬんという趣旨でのAまで付けられるかということが,大方の委員がBとした理由かと思いますが。 山中委員 評価項目,字義どおりに解釈すれば,対応の構築ですから対応方針を策定したとか,やることはやりましたということなんでしょうが,問題はそのことによって実際に悪質な償還滞納者が新たに発生しなかったり,あるいは滞納の償還の効果が上がったとか,やはり策定された方針を実際に運用していく中で,その方針が適切だったかどうかの効果測定を見極めないと,いきなりAでもないのではないかということで,私はBでいいのではないかと思ったんです。 伊藤委員長 いかがでしょうか。 増田委員 私も同じ意見なんですけれども,そもそもあってはならないことだと思いまして,もっと早く着手してもよかったのではないかという,一般感覚からするとそういうところもありまして,運用をきちんとしていただき,公表するべきところは公表していただき,抑止効果などにつなげていただくようなことが実績として上がってくることを期待したいと思います。B評価でよろしいのかなと思いました。 伊藤委員長 どうぞ,知久委員,お願いします。 知久委員 今年度から評価の区分が変わりましたので,非常に悩ましいところなんですけれども,やはりA評価というのは定量的以外の場合には所期の目標を上回る成果が得られていると認められるということなので,とりあえず今回は策定されたということで,それがどう効果があるか,先ほどの山中委員の御意見ですけれども,やはりそれによって次の段階で判断をすることかなと考えています。 伊藤委員長 いかがでしょうか。   確かに佐藤委員がおっしゃるように着手という目標との関係でいうと,策定までしたのは十分やったと,こういう評価になるという御意見もうなずけますけれども,他方,何人かの委員がおっしゃったような事情を総合的に勘案しますと,やはりAは難しいかという気がいたしますけれども,佐藤委員,御了解いただけませんでしょうか。 佐藤委員 私は別にそれほど固執するわけではありませんが,ただ,言っておきたいことは,これは対応の構築となっていますね,項目自体は。だから,悪質な償還滞納者への対応というだけならば,そういうふうな実際に対応できているのかという,そこまで含めてよろしいのではないかと思うんですけれども,この項目はそうではなくて,構築となっているので,要するに対応策の制度的なところを整えていけばいいわけですよね。ですから,この項目自体がちょっとおかしいのかなという気もしないではないです。   それと,本年度は着手だけでよいとしていたのは,これは難しいから,方針策定までは今年度は難しくてできないのではないかということが多分あったと思うんですけれども,そういうことであるならば,またもう少し説明として,非常に難しい面はあったんだけれども,着手ないし着手し,かつ完了することには非常に困難性があったけれども,できたというふうな理由があれば,Aになるのかなという気もしています。それがない状況では皆さん言っているように,元々,項目の立て方自体がよくないという面もあるんですけれども,全体として見ると,字句に拘泥しないで,要するに悪質な滞納者への対応を意味しているんだと考えるのが皆さんの意見で,Bでよろしいかと思っております。 伊藤委員長 確かに対応の構築はできているにしても,構築した以上,それに基づく対応をすることは想定されているので,そこまで含めると,まだ現時点でAとまで評価するのはやや難しいということで御理解いただけますでしょうか。        (各委員了承)   それでは,この点,項目4−33につきましても評価はBとして,評価理由も原案記載のとおりとして取りまとめたいと存じます。   次に項目4−34,財務内容の公表についての議論をお願いいたします。項目4−34は御覧いただければお分かりになりますように,意見が分かれているところでございまして,7名の委員がC評定を,そして3名の委員がB評定になっておられます。B評定を付けておられるのは池田委員,黒田委員,吉成委員でございますが,池田委員と吉成委員は欠席でございますので,まず,お二人の御意見を私から披露させていただきたいと思います。   まず,池田委員からは以下のとおりでございます。「改善の余地があるのは確かだが,従前に比べればよくなっており,業務横断的な費用の配分や運営費交付金の分かりやすい整理については今後の検討の推進に期待し,Bとした。ただし,B評価に固執するものではなく,多数意見に従う。」,以上のような御意見でございました。吉成委員からは,「国民に分かりやすくするといっても限界があるところ,できる限りは分かりやすくしており,目標を達成していると言えるのではないか。」という御意見が寄せられております。   お二人の委員からの御意見は以上のとおりでございますが,黒田委員もB評定を付けておられますので,黒田委員からの御意見をお願いいたします。 黒田委員 年度計画を見ますと,セグメント情報に結構重きを置いているような感じがございます。それで,頂戴いたしました資料の中で,セグメント情報がどの程度ボリュームがあるかということをみると,業務実績報告書の資料57のところに1ページございます。それから,事業報告書にもいろいろな分析の資料が出ておりますけれども,29ページからの「財務データ及び業務実績報告書と関連付けた事業説明」というところにも事業の種類ごとに収支の状況が開示されておりまして,この部分だけでも4ページございます。ですから,セグメント情報の表と合わせて5ページ費やしてあるんですが,事業会社のセグメント情報というのは,通常は財務諸表の一部の中に組み込まれて会計監査の対象になっているんですけれども,今の仕組みでは対象外のデータになっています。   そもそもセグメントというのは,製品別とか,あるいはそれをグルーピングするとか,地域別とか,言わば事業の種類ごとにパフォーマンスを測定して,投下資本の状況を確認するという情報開示が狙いでございます。法テラスでどこまでセグメントが必要なのかというと,余り僕自身は必要性は感じないんですけれども,国費を投入している非常にパブリックな仕事ですから,できるだけ透明性を高めて,事業の種類ごとにどういうところに税金が投入されているかということを見ようという趣旨なんだろうと思うんですね。   本来のセグメントというのはパフォーマンスの測定というのが主眼ですから,それとは異質なんですが,全部で六つのセグメントとそれから法人共通という,言わば合計七つのセグメントで開示されておりますけれども,ここまでなされておれば,まあまあ年度目標は達成されているのではないかと,費やしたページ数からいきましても,それなりの開示がされているからよろしいんではないかと思って,私はB評価にしております。   ただ,本来のセグメントと趣旨は違うんですけれども,事業の種類別の収支状況という観点からいきますと,費用と収益は1行ずつの記載ですから,全く無味乾燥で,事業の種類に幾ら総額で税金が投入されたかということは理解できるんですけれども,その内訳がどういうものなのかというのが余り分からないので,改善の余地はあるだろうとは思うんです。事業報告書の方は記述式で,それなりの説明が行われておりますから,それで年度目標としてはクリアできているのかなと思っていますが。   これからの課題としての改善の余地は,セグメント上だけではなくて,財務諸表全体にもあるかなと思います。どちらかというと,財務諸表の注記の部分は,説明のワーディングが難し過ぎてしまって,もちろんそれなりに情報を収集すれば理解できると思うんですけれども,ちょっと分かりづらい決算書だなという印象を受けますので,もうちょっと表現等に工夫をすべき部分はあるかなとは思っております。   そういう意味で,全体としての開示状況で,特にCと言うには私は至らないと思いますのでBにさせていただきましたが,執着するものではありません。 伊藤委員長 御専門の黒田委員にそういうふうに説明されますと,なるほどと思ってしまうんですけれども,いかがでしょうか。   黒田委員,事務局案では,C評価としている,なお改善すべき余地があるという点についての指摘がございますよね。ここはいかがでしょうか。 黒田委員 具体的にどういったところか,具体的なお話で伺わさせていただければ,なお有り難いんですけれども。どっちかというとセグメント中心に僕は見ていたものですから,セグメントという観点でいくなら,そう不足はないのではないかなという印象を持ったものですから。 伊藤委員長 ここはどうでしょう。補足して事務局案の説明をしていただけますか。 毛利司法法制部付 事務局の方から御説明を差し上げたいと思います。   なお改善の余地があると記載した趣旨でございますが,先ほど,黒田委員からも御指摘があったとおり,セグメント情報そのものは,業務実績報告書の方に記載がありまして,業務実績報告書というのは会計監査,財務諸表の附属書類ではございませんので,会計監査の対象となっているというわけではございません。   やはり会計監査ということになりますと,業務実績報告書と比べますと,更に厳密に区分される必要がありまして,現時点で,例えば法令に違反しているとかそういうことではないので,現時点での財務諸表ないし附属書類では足りないというわけではないんですが,セグメント情報をどこまで開示するのか,開示を更にどこまで精度を高めてやっていくのかといったときに,少なくとも現時点では財務諸表の附属書類として,それも含めて会計の監査を受けているわけではないという状況にありますので,そういうところも踏まえて,なお改善の余地があると整理させていただいたという次第でございます。 伊藤委員長 黒田委員,いかがでしょうか。 黒田委員 御趣旨はよく分かりますし,確かに資料の57番で出ておりますセグメント情報を見ても,ある意味,無味乾燥な,何をどう理解していいか分からないような資料でもあるんです。  特に支出ですね。多分,例えば,情報提供の収益というのも,運営費交付金で全部カバーされるということで総損益はゼロということになるわけですよね。だから,そういう意味で支出の内容が非常に大事なんだろうと思います。その辺に工夫をしていくということと,それから法人共通という項目が全体の50%を占めておりますので,法人全体として把握されておりますものが本当にそうなのか,セグメンテーションの基準,これをきちんと確立した方がいいと思うんですね。セグメント情報の作成基準は,どういうふうにやっておられるのか状況は分からないんですが,多分,固有のものはきちんと把握はできるんでしょうけれども,共通に発生するとなると,人的資源の投入割合とかいろいろな配賦基準で分解していかなければいけなくなりますので,そういう基準がきちんと継続的に確立されたものがあるのかどうか。私はまだ十分理解がないんですけれども,何となく印象から見ますと,その辺の基準が必ずしも統一的な物差しが確立していないのではないかなという感じがいたしますので,そういったことも課題に含めて,事務局が更に叱咤激励して審議するということにつきましては,十分に理解をいたします。 伊藤委員長 ただいま黒田委員からの補足的な御説明がありました,セグメンテーションそのものについて,基準と申しますか,そういったことについてもなお検討の余地があるということも含めまして,少し厳しいかとは思いますが,この項目につきましてはCということで,より一層の努力をしてもらうと,このようなことでいかがでしょうか。よろしゅうございますか。        (各委員了承)   それでは,項目4−34につきましてはCで,評価理由も先ほど補足的な趣旨の説明をいただきましたが,原案のとおりにしたいと思います。   大きな項目のⅣにつきましては,残りの項目4−30がございます。効率的かつ効果的な立替金債権等の管理・回収方法の工夫でございますが,委員の評価が一致しておりますので,特に御意見がなければ,このとおりにしたいと思います。        (各委員了承)   最後の大きな項目Ⅴ,その他業務運営に関する重要事項,項目番号は5−35,36でございますが,こちらにつきましては委員の意見が一致しておりますので,よろしければ評価及び評価理由については原案のとおりとさせていただきたいと思いますが,よろしゅうございますか。        (各委員了承)   以上で項目別評定の意見の取りまとめは終了になります。本日,それぞれの項目についていろいろ御意見をいただきまして,なお書きを付するという項目もございましたが,それを含めまして,表現の問題につきましては事務局と私に御一任いただければ有り難いと存じます。そのように御了解ください。   そして,次に総合評定でございますけれども,資料2の総合評定案につきまして,各委員の御意見を頂戴したいと思いますが,何か御意見がある委員の方はおいでになりますでしょうか。 佐藤委員 1の全体の評定と2の支援センター全体に対する評価というのがありますが,2の方は項目別評定のうち,重要な事項について記載するということになっております。それで中身を見てみますと,これは特に大した意見ではないんですが,表現上の問題なんですけれども,重要な項目が五つありますけれども,1−3と1−10と2−15と4−31と5−35,それで見てみますと,全体の評価の中の真ん中あたりの行のところで「情報セキュリティ対策業務については」と書いてあって,これは項目1−10のことを指しているのだなということは分かります。それと次に「一般管理費及び事業費については」ということで,これは項目2−15ですね。それから「立替金の償還率向上に対する取組」,その次の行ですけれども,書いてあることは,これは項目4−31について言っているわけですね。「支援センターの認知度」,これは項目5−35を言っているんですけれども,最初の頃に出てくる「今期中期目標期間から本格実施する司法ソーシャルワークについては」といきなり出てきているんですよね。これはどの項目について言っているのかなというのが,ちょっと見る人にとって分かりづらいのではないかなという気がしたんです。   ですから,これは項目1−3の高齢者・障害者等に対する援助の充実というところに関わるものだということを表現の上で入れた方がいいのではないかと。表現上の問題にすぎないんですけれども,提案したいと思います。 伊藤委員長 分かりました。この点について,事務局から何か補足的な説明はありますか。 松本参事官 今の御指摘をいただきましたのは,総合評定様式の2となっている表の2段目といいますか,2行目の支援センター全体の評価の欄の記載のうち,2文目の「今期中期目標期間から本格実施する司法ソーシャルワークについては」うんぬんというところの御指摘であると存じますが,こちらにつきましては,御指摘のとおり,項目では1−3で御評価をいただきましたもの,これが重要度が高いということで前回の会議で決定をいただきました部分でございましたので,ここに当たる評価を書かせていただいたものですが,確かに,突然司法ソーシャルワークというのが登場しておりまして,1−3の項目そのものにつきましては,「高齢者・障害者等に対する援助の充実」という項目でございますので,文章の冒頭に,高齢者・障害者等に対する援助の充実に関するものであるというところが分かるような表記を追加していただければ,より分かりやすくなるのかなというところでございますが,いかがでございましょうか。 伊藤委員長 佐藤委員,ありがとうございました。趣旨をより明確にするよう,今,事務局から提案があったようなことを実質にして,表現を工夫してみたいと思います。   それでは,総合評定については今のような点を若干付加するということを前提に御了解いただけますでしょうか。        (各委員了承)   次に,資料3の評価の概要でございますが,この点につきまして何か御意見がおありの方はおいでになりますでしょうか。        (各委員了承)   よろしいでしょうか。それでは,評価の概要につきましては,資料3のとおり決定することにいたします。   以上で平成26年度の業務実績評価は終了でございます。ありがとうございました。   そこで,本日取りまとめました平成26年度業務実績評価の今後の取扱いについて,事務局から説明をお願いいたします。 松本参事官 御説明いたします。   本日の御討議を踏まえまして,事務局にて資料1から3に本日の御議論の趣旨を踏まえた修正を加えさせていただきます。その後,8月10日までに各委員にその内容の確認依頼をさせていただく予定にしてございます。依頼をさせていただくときには改めてお伝えいたしますが,その締切りにつきましては,恐縮ですが,取りまとめの都合上,8月20日頃とさせていただく予定でございますので,お忙しいところ大変恐縮でございますけれども,どうぞよろしくお願いいたします。   その後,各委員から頂戴いたしました御意見を取りまとめまして,伊藤委員長に最終確認をいただき,内容を確定いたします。確定いたしました平成26年度業務実績評価につきましては,その後,公表手続を行うとともに,本月末までに総務省の独立行政法人評価制度委員会の方に通知をさせていただくこととなっております。 伊藤委員長 ただいま事務局から説明がありましたような手順で,最終的な当委員会としての評価を取りまとめて,お伝えしたいと思いますので,よろしく御協力賜ればと存じます。   次に,第2の議題でございます法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見に入ります。こちらも本日お諮りして,議論していただくことを予定しておりましたが,事務局から説明があるということですので,その説明をお願いいたします。 松本参事官 それでは,事務局の方から若干の御説明をさせていただきます。   こちらの議題におきまして御議論いただく予定であります財務諸表でございますが,直前になりまして,支援センターの方から,委託費に関する金額に誤りがあると思われることから,現在,支援センターにおいて会計監査法人と協議をしながら確認作業を行っているという旨の報告がございました。そのため,急なことで大変恐縮でございますが,本日は意見の取りまとめを一度見送らせていただきまして,別の機会に改めて御意見をお諮りさせていただければと考えております。   詳細につきましては,支援センターにおいて現在精査中でございますので,確認作業等が完了いたしました段階で御連絡をさせていただき,改めて各委員に御説明の上,お諮りをして,意見の取りまとめをお願いしたいと思っております。   改めての御意見の照会につきましては,ちょうど夏休みの期間でもございまして,また,財務諸表については,例年は御異論なく了承いただいている案件でもございますので,できる限り,委員の皆様の御負担が少なくなりますよう,検討させていただいているところでございます。   急遽の変更で大変申し訳ございませんが,よろしくお願いいたします。 伊藤委員長 ただいまの説明のとおりで,こういった事情がございますので,本日の当委員会としての議論及び意見の取りまとめは見送ることといたしまして,確認作業等の完了後に事務局から連絡をしていただいて,改めて説明を受けて,意見を取りまとめてはということでございますが,そのような取扱いでよろしゅうございましょうか。        (各委員了承)   ありがとうございます。   それでは,申し上げましたような形で別の機会に意見を取りまとめることとさせていただくことにいたします。   以上をもちまして,本日の議題は全て終了になります。委員の皆様方の御協力によりまして,予定していた時間の範囲内で会議を終えることができました。事務局から何かございましたら,お願いいたします。 松本参事官 本日の議事録について,御説明いたします。従前どおり,事務局におきまして原案を作成しました後,御出席の委員の皆様に内容を御確認いただきまして,最後に委員長に全体を御確認いただいてから公表するという手順とさせていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。 伊藤委員長 以上をもちまして評価委員会の第44回会議を終了とさせていただきます。   本日はありがとうございました。                                   −了−