法制審議会 商法(運送・海商関係)部会 旅客運送分科会 第6回会議 議事録 第1 日 時  平成27年10月28日(水) 自 午後1時30分                        至 午後2時32分 第2 場 所  東京地方検察庁 15階 総務部会議室 第3 議 題  商法(旅客運送関係)の改正に関する要綱案のたたき台         第1 旅客運送についての総則的規律 1 総論 2 旅客運送契約 3 旅客に関する運送人の責任 4 旅客の携帯手荷物に関する運送人の責任         第2 海上旅客運送 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○山下分科会長 それでは,定刻でございますので,法制審議会商法(運送・海商関係)部会旅客運送分科会の第6回会議を開会いたします。   本日も御多忙の中を御出席いただきまして,誠にありがとうございます。   本日は石原委員,清水幹事が御欠席と伺っております。また,藤田幹事,松井秀征幹事が遅参されるとのことでございます。   では,本日の会議の配布資料の確認をさせていただきます。事務当局からお願いします。 ○松井(信)幹事 お手元の資料について御確認いただきたいと思います。事前送付としまして,分科会資料7「商法(旅客運送関係)の改正に関する要綱案のたたき台」がございますけれども,お手元にございますでしょうか。 ○山下分科会長 それでは,本日の審議に入りたいと思います。   本日は分科会資料7について御審議いただく予定でございますが,途中休憩を入れることなく最後まで御審議いただきたいと思います。   まず,「第1 旅客運送についての総則的規律」の「3 旅客に関する運送人の責任」のうち,(1)の片面的強行規定について御審議いただきたいと思います。まず,事務当局から説明してもらいます。 ○山下関係官 それでは,第1の「3 旅客に関する運送人の責任」のうち,(1)の片面的強行規定について御説明いたします。   前回会議では,特に運送により生命又は身体が危険にさらされる重病者等を運送する場合について,現在でも運送事業者の運送引受義務が免除されていることを前提に,本文(1)アの片面的強行規定のみを設けた場合には,運送の引受けが拒絶される可能性が高く,へき地で医療を必要とする重病者など,真に運送サービスを必要とする者が運送されなくなるおそれがある旨の御意見がございました。   この点に関し,このような片面的強行規定の新設を提案する趣旨は,旅客の生命又は身体という法益が特に重要であることによるものでございますが,運送事業者の運送の引受義務が免除されているような場合についてまで画一的に片面的強行規定を及ぼすことにより,へき地で医療を必要とする重病者など,真に運送サービスを必要とする者がかえって運送されなくなり,その者の生命又は身体の保護に欠けるところとなることは,適当でないと考えられます。   そこで,この片面的強行規定の例外として,本文(1)イ(ア)及び(イ)の場合を掲げることを提案しております。   特に(イ)のような場合には,運送事業者から重病者等の旅客に対し,運送に伴うリスク,公共交通機関としての性格,運送人として対処可能な範囲などにつき十分な説明がされることが重要でありますので,商法上は,このように一律に無効とすることはしないと整理するとしても,運送人と旅客の間の特約については,個別事案に応じて,消費者契約法又は民法90条によりその有効性が判断されることになります。   関連して,前回会議では,運送人の過失に関する立証責任を旅客に負わせる特約についても,これを無効とすべきではないかという観点から御議論がございました。   この点につきまして,一般論としては,旅客の保護という観点から重要な御指摘であるとは思いますが,これまでの分科会の審議及びパブリック・コメントでは,片面的強行規定の適用範囲を明確にすべきであるという御意見が多かったこと,旅客の利益を害する条項としては様々なものが一応は考えられますが,現時点では,運送人の損害賠償責任を減免する条項以外の条項について直ちに立法事実が認められるというわけではないこと,本文(1)アの規律の新設に伴い,これを潜脱するような条項については民法90条などによる対処も可能であることなどを踏まえ,本文(1)アの規律を維持することとしております。   以上の点につきまして,御審議をお願いいたします。 ○山下分科会長 それでは,ただいま説明のありました部分について,御自由に御発言をお願いいたします。 ○河野参考人 これまで5回,御審議いただいてきました。ここに至ったことに関しまして,私は利用者の立場から,590条1項の規律を維持することについては,高度の技術化と分業化の進んだ運送業務において,顧客が運送事業者の責任を明らかにすることが極めて困難であること,また人身に関する法益というのはかけがえのない重大なものであるということを考慮すれば妥当であり,その上で,商法590条1項に関する特約で,旅客に不利なものを無効とする規律を是非置いていただきたいと申してまいりました。幸いなことに,原則として片面的強行規定が置かれることとなりまして,消費者契約法8条,10条の規律や,それから民法90条があるからそれほど心配はしなくてもいいよというようなことにならなかったので,私自身は少し安心しております。   ただ,一方,事業者の皆様からの御懸念を引き受ける形で,例外が幾つか置かれることとなりました。こうした例外については,その条項の意図するところを様々な解説等で丁寧に御説明していただくことで,590条1項の規律が真に意図するところを無意味にするような約款が横行しないように,是非御配慮いただきたいと思っています。   それで,ちょっと繰り返しになるかもしれませんが,本日の御提案を大前提に考えるということで,3点質問をさせていただきたいと思います。事務局の方から御説明いただければと思っています。   1点目は,運送の遅延を原因とする人身損害を除外することについてなのですが,免責条項は一律無効とした上で,その損害の有無や額,それから因果関係等については,個別事案に照らして不法行為や債務不履行が成立するかどうかで争うことが適当ではないかと,前回意見を申し上げたところなのですけれども,例えば,幾つかの個社においては,営業規則を拝見すると,遅延の場合に,例えば運賃返還は規定しているものの,それ以外は一切免責となっている例も見受けられます。遅延が原因であっても,人身損害の免責を規定した条項が有効とされるのは問題ではないかとは思っていますけれども,そういった点と今回の御提案との関係をどういうふうに理解すればいいのかというのを教えていただければと思います。   それから,2点目ですけれども,災害が発生し又は発生するおそれの強い地域での運送について例外とすることに対して,前回の検討の際は,私たちは,その利用客からすると,災害が発生するおそれがある地域における運送を適用除外とするのでは,例えば,災害が発生するおそれはあるけれども通常どおり運行している交通機関において事故が発生した場合,事業者が気象状況等をどう把握し,その運行の判断をしたかどうかが実際は問われるべきであり,このまま発生するおそれがある地域とされますと,その範囲が広すぎるのではないかという意見を申し上げました。今回,災害のおそれがある地域での運送については,免責条項があっても直ちに無効というわけではないが,その免責の範囲などの定め方によっては,民法90条,それから消費者契約法8条,10条で無効となる場合もあると先ほども御説明がありましたが,再確認ですが,そういうことでいいのかどうかということと,原則として590条1項に反する特約は無効なのだから,この適用除外に従って免責条項を定める場合も,おのずと限定した内容になるのかどうかという辺りを確認したいと思います。   それから,3点目の質問ですけれども,今回,例外として新たに追加されました,運送により生命又は身体に重大な危険が及ぶおそれがある者を運送する場合についてですけれども,前回,国交省さんから,仮に第1項の片面的強行規定を設けることとした場合において,運送人に対して重病人等の運送の依頼があったときは,誓約書等を取得しない限り,その運送の引受けを拒絶する事業者が相当数いるという意見が出されたことも伺いました。現行の標準約款による実務では,修正案のイの(イ)に掲げてくださっているような場合には運送拒絶が可能となっていて,今回の商法改正によって実際に運送拒絶される重病人等が出てくるようでは真に旅客の保護にはつながらないという趣旨で,これが追加されたと理解しています。   確かに重病人の場合は,運送人から運送に伴うリスク,それから運送人として対処可能な範囲について十分な説明がなされることを前提とするとしていますし,そのような説明を受けて,私たち旅客,利用者がなお運送を望むという場合には,自己決定として尊重すべきであるとは思いますので,そういう人の運送を受け入れること自体に過失があることにはならないと思います。   ただ,その場合でも,やはりその運送中は運送人としての注意義務があるのではないかと考えました。それは,お医者さんが患者に対してその手術のリスクを説明して同意を得ていても,医師としての注意義務を減免されることがないのと同じであり,お医者さんは患者さんから何があっても責任を免除しますという書面を取っていても,その書面は無効になるということと同じではないかと思ったところです。モントリオール条約でも,災害時や重病人運送時といった免責の規定は特段置かれていないと理解しています。ですから,生命・身体という法益というのは,これはすごく難しいと思ったのですけれども,その人の同意があるといえども放棄できるものなのだろうか,利用者の利便性を損なうということだけで例外とし,そのリスクを利用者に負わせるということでよいのかというところに,この御提案では疑問が残ったところです。   ただし,今の御説明を伺いますと,先ほどの上のアの災害の発生時と同様に,重病人の方を引き受ける場合も,その免責条項があっても直ちに無効というわけではないけれども,その免責の範囲などの定め方によっては,民法90条,それから消費者契約法8条,10条で無効とされる場合もあると考えてもいいのかどうかという辺りを,もう一度,私たちが安心して利用するということを前提に考えたときに,御説明いただければと思っております。お願いします。 ○山下関係官 御意見ありがとうございます。御質問について,聞き漏らしているかもしれませんが,一つ一つお答えしたいと思います。   まず,一つ目が,遅延について,河野参考人が御覧になられた個社の免責についての約款の条項の中で,遅延については一切免責するとか,若しくは,特急料金の払戻しだけに限って,それ以外については免責するとか,そういう約款を御覧になられたということ,それと今回の提案との関係という御質問だったと理解しております。   その点につきましては,今回の御提案の趣旨としては,生命・身体の侵害に限りながらも,その遅延を原因とするものを除いておりますので,確かにこの一律無効の網には,遅延を原因とする約款が入らず,このアの規定によって,その約款が一律に無効となることはないと思っております。   ただ,先ほど来御説明させていただいているとおり,消費者契約法や民法の規定がございますので,その約款の適用の在り方によっては,例えば,本当に重大なミスによってその運送事業者の方が遅延を招いてしまって,それによって旅客の生命とか身体に重大な損害が生じてしまったという場合については,個別の判断の中で,民法や消費者契約法によって無効になる余地は十分にあると思いますし,恐らく運送事業者の方も,これまでの分科会でも意見がありましたけれども,あらゆる場合についてその営業規則を盾に免責されるという主張はしないとおっしゃっていたところもあるかと思いますので,場合によって適切に民法や消費者契約法で無効とされる,若しくは,そもそもそういう場合には適用しないようにするなどの運用によって,十分に旅客の保護にかなった運用がされていくものと思っております。   二つ目,災害のおそれがある地域が,まずそもそも広すぎるのではないかというところがございまして,御指摘も,ごもっともなところもあるかと思います。ただ,一方で,今回の提案の背景には,運送引受けを拒絶される場合の旅客の保護というのがあるところ,標準約款等を見ますと,やはり災害のおそれがある地域の運送は,運送引受けの義務が免除されてしまうというところもありますので,そこと平仄を合わせるべきではないかということが考えられます。他方で,やはり,その場合に本当にどんな些細なおそれでもいいのかとか,その場合にどんな免責特約を設けてもいいのか等について,それをイエスというつもりはなくて,そういった場合にも,やはり災害の程度に応じて,最低限合理的と言える範囲の約款でない限りは,商法ではなくて,おっしゃっていただいたとおり,民法や消費者契約法で限定されるといいますか,そこの範囲を超えるものについて無効になると考えます。その判断の中では,当然,今回,商法では,アの規定で,原則として一律無効にするという規定を置いていますので,これは裁判所の判断になりますけれども,そういった規律を置いたという趣旨は十分にしんしゃくされて,結論が出されるものと思います。   3点目につきまして,(イ)のところについての御指摘で,そもそもその対応義務というか,そういう生命・身体に重大な侵害のおそれがある者を運送した場合に,その方がリスクを引き受けた上で運送してくださいとお願いして誓約書若しくは確認書を申し受けた場合について,それでもなお対応義務があるのではないかという御指摘だったと記憶しておりますが,おっしゃるとおりで,そういう誓約書を申し受けて乗ったからといって,運送人の最低限行わないといけない,特に一番分かりやすいのは,通常の旅客の方と同程度の注意義務がある,これは間違いないと思いますので,まずそこの注意義務違反があれば当然に責任は問われるべきかと思いますし,仮にそのようなものまで免責しているのであれば,それは商法の枠には掛からないですけれども,民法若しくは消費者契約法で無効になってくると考えております。 ○山下分科会長 河野参考人,いかがでしょうか。 ○河野参考人 どうもありがとうございました。今回のこの改正に伴って,当然のことながら,旅客の保護ということをしっかりと考えてくださっているとは理解しておりますし,できれば消費者保護につながるように,拡大解釈のないように,今後の運用をお願いいたします。ありがとうございました。 ○道垣内委員 細かい話で恐縮なんですが,山下関係官が3番目におっしゃった事柄について,1点だけ意見を申します。   民法及び消費者契約法によって無効とされることがあると,それはそのとおりなのですが,この商法の規定において,生命又は身体に重大な危険が及ぶおそれがある者を運送する場合にはその免責ないしは責任制限を認めるのはなぜなのかということから考えると,その人が持っているそういうリスク,ほかの人とは異なるリスクが発現をした場合に,それについては制限や免除が掛かるという,そういう趣旨ですので,仮に通常の運送に必要な注意を欠いたことによって通常の人もけがをした,その人もけがをしたという場合には,そもそも免責条項の対象ではないんだろうと思うのです。したがって,民法90条や消費者契約法を発動するまでもなく,商法の規定の解釈によって,それは制約されるのだろうと思います。一言だけ確認的に述べておきます。 ○田中参考人 今のやつで,例えば,生命に危険があるかどうかという問題ですけれども,最近では,生命に危険はないけれども特殊な,例えば妊婦さんだとか,そういう方々を対象に,これは別に料金を取っているわけではなくて,その中で妊婦さんたちに優遇的に配車を回すという意味で,妊婦サポートとかそういうものがどんどん流行ってきているんですね。これは,この妊婦サポートをやる前から妊婦さんは運んでいますし,ただ,そういう方々のために,会社によっては助産師だとか産婦人科の研修を受けて,そういう方々の旅客の扱い方というか,対応の仕方を覚えた上でやっているということなので,また,タクシー会社とかバス会社であれば当然,そういうときに,今先生がおっしゃったように,何か事故が起きたりした場合はきちんと補償しているということだと思います。これに関してはそのままで,本当にありがとうございました。   それと,もう一つ,最近,もう先週の話なんですけれども,国土交通省を飛び越しまして,内閣の方から,山間地若しくは過疎地で白タクを,二種免許を持たない道路運送事業者ではない人たちにタクシー行為をさせるという特区を認めるというようなお話が出ました。   これに関して,実質一番大きいのは,私どもの地元である福岡でもあったんですけれども,ウーバーという外国の会社が出てまいりまして,これは道路運送事業者ではなくて,免許的には旅行代理店の扱いになっているんですけれども,そこが学生や主婦,それから,果てはお米屋さんのトラックまで使って,それをサイトに登録をして,今度は旅客というか,運んでもらいたい人たちも登録をして,マッチングをした中で目的地まで輸送するというようなものなんですが,ウーバーは旅行代理店業者なので,約款を見てみても,最高500ユーロ,7万5000円までしか損害の賠償はしないと書いてあるわけですね。ただし,それを超える範囲に関しては当人同士で処理をしてくれというようなものが今,流行ってきて,これは実は新経済連の方からも,シェアリングエコノミーと称して,余っている時間,物を有効に使うことによって,いろいろな業種に参入できて経済の活性化ができるというようなことが今,出てきているんですけれども,これで白タクが認められるとなると,タクシー会社とかバス会社であれば任意保険だとか自賠責保険とかいろいろあるんですけれども,それが,例えば地方に行くと,個人の自家用車若しくは営業車でできるとなりますと,個人の自家用車だと任意保険に入っていない人がかなりいらっしゃるわけですね。こういうものに関して,ここで議論になるのかどうか分かりませんけれども,こういうような業種も,規制緩和という名の下にどんどん便利さというものが出てきて,道路運送事業者以外がこういうものに参入するということに対して,要は利用者に対してのそういう不利益が出るということが,今後往々にしてあると思うんですね。こういうものに関して,これはどこでどういうふうにその判断をされるべきなのかというのをちょっと知りたいなと思いまして,お聞きいたしました。 ○山下関係官 御意見ありがとうございます。基本的には,商法の中の規定でございますので,その規制の対象というのは,運送の引受けを業として行っている者が旅客運送契約を結ぶ場合であると思います。ですので,直接的には,例えば,先ほどおっしゃったような例で,単発的にちょっと時間が空いたから今運送しましょうか,ではお願いしますという契約が成立したような場合についてまで,商法の規定が直接適用されるものではないと思います。ただ,場合によっては,裁判所が類推適用等によって旅客を保護することはあり得るかとは思います。御指摘のような業法規制の緩和については,それが運送が必要な地域の運送の確保という観点からされているものと理解はしているのですけれども,その具体的な在り方については,この旅客運送分科会の場というよりは,関係機関において,今後調整がされていくものと考えております。 ○田中参考人 その次があるんですけれども,実は個人は危ないので,個人をまとめて会社組織にして,運送事業者という登録をせずにやろうという動きもあるんですね。要は,派遣事業みたいな形で。そうした場合には,白タクをする個人を集めた派遣事業者が運送をする可能性もあるということで,今すぐにはそういう会社があるわけではないので,あれだと思いますが,運送の種類にはどんどんいろいろなものが出てきていますので,それに,できれば対応できるような,何か文言でも入れておいていただくと有り難いなということです。これに関しましては,国土交通省は,はっきりと白タク行為は違法だからやめなさいと言っているんですが,特区だったらいいだろうということで,内閣府の方でそれを進めようとされている部分がありますので,是非その辺のところを御配慮いただきたいなと思います。 ○塚越参考人 ここまでいろいろな意見をまとめていただいて,どうもありがとうございました。私からはちょっと確認というか,要綱の本文自体については特に大きな異論はないんですが,3点ほど申し上げたいと思います。   1点目は,前回の分科会でもお話ししたように,鉄道の場合,その運送の遅延の場合を細分化してというか,列車の運休とか,あるいは車両故障で列車の両数が減ってしまったような場合,それで乗れなくなったり,後の電車に乗ったような場合についても,特急料金の払戻し以外については責任は負わないという特約があって,一応,一定限度でそれが普及というか,御理解を頂いていると理解しておりますので,そういうものがこれによって直ちに無効になるものではないということを,できれば解説等で明らかにしていただければいいかなと思っております。   それから,2点目なんですけれども,この要綱案の3(1)イの例外について,趣旨としては,運送の引受義務がない場合を救済するためにこういう例外を設けたということについては理解したんですが,必ずしも,その引受義務が免除されているか否かと,この特約が無効になるかどうかという議論が直結するものではないと私の方は理解しておりまして,現に鉄道については,伝染病とか,あるいは付添人のない病人の場合は引受義務を免除されているんですが,それ以外の普通の病人の方の場合は引受義務があるというふうなことになっていますので,必ずしもその引受義務の有無と,このイの例外の適用の有無が直結するものではないということをちょっと確認させていただきたいと思います。   それから,三つ目,最後なんですけれども,これも前回の分科会でお話ししたことなんですけれども,基本的に,先ほど議論になったように,幾ら病人の方と免責条項を結んだような場合も,一般の,例えば鉄道とか,大量の旅客の方を運ぶモードにおいては,一般のお客様に対しても駄目なようなというか,危険なような運送をした場合は免責にはならないということは十分理解しておりまして,逆に言えば,病人の方を引き受けたような場合,これは特約があってもなくてもなんですけれども,基本的には一般のお客様に対して安全な運送を提供していれば,そのことによって結果としてその病人の方に損害が及んだとしても,そもそもそれは債務不履行ではなくて,運送事業者としては一般のお客様に対して安全な運送を提供すれば,それで債務の履行になっていると私の方は理解しておりまして,そのことも,できれば解説等で明らかにしていただければいいかなと思っております。 ○山下関係官 ありがとうございます。1点目につきましては,列車の運行不能の場合などが今回の遅延に当たるということを解説等で明らかにされたいという御指摘だと思いますので,それは可能な範囲で留意していきたいと思っております。   2点目につきましては,引受義務が免除される場合と,今回の片面的強行規定を適用除外する場合,これが直結していないということの確認ということでしたが,我々事務当局としても,それが100%イコールだとは思ってはおりません。今回,特にイの(ア)と(イ)をあえてここを設けている,逆に言うと,伝染病の場合とかをあえて書いていないという理由につきましては,その引受拒絶ができる場合といっても,むしろ引受拒絶をしなければならないような場合というのも恐らくあると思います。先ほど塚越参考人がおっしゃったような伝染病の場合というのは,むしろ,その伝染病に掛かっている方がリスクをとるからと言って乗ったとしても,それはほかのお客さんに迷惑が掛かるので,標準約款では拒絶することができると書いていますけれども,むしろそれは引受拒絶しなければいけない場合ではないかなと考えますので,そういった場合については,リスクをとるからといって特約無効の網には掛けないという措置というのは不合理であるということで,今回それは列挙しておりません。   先ほど,普通の病気の方が旅客として申し込まれたときは,これは引受義務があると塚越参考人がおっしゃったと思いますけれども,それは正におっしゃるとおり義務はあると思います。今回の御提案でも書いておりますのは,運送によって生命又は身体に「重大な」危険が及ぶおそれがある者ですので,普通の病気の方,例えばちょっと風邪をこじらせている方とか,ちょっと腕を骨折してしまったとか,そういった普通の病気等の方というのは今回の適用除外には入ってきません。したがいまして,そういった方から誓約書をもらうというのは,アの規律によって無効になると考えております。ですので,塚越参考人がおっしゃったとおり,引受義務があって,商法の世界では,それは今回の適用除外としても認めていないということでございます。   最後に,重病な方を引き受けた場合などについても,一般的な旅客の方と同じような注意義務が生じるものであって,むしろ,公共交通機関が,その方が病気を持っていることを分かった上で引き受けたんだからそれで注意義務が上がるということがないというのは,ごもっともな御指摘かと思います。それは,裏を返せば,一般の健常な方が電車に乗られて,それが急に突然発作が起きたりとかした場合には,恐らく運送事業者の側も一定程度の対応はされると思いますし,それが一定の範囲内では義務になるとは思いますので,その範囲,その場でできる範囲の対応義務というのは,それもまた同じく一般の旅客,重病者である旅客それぞれについて同様に課されているのかなと理解しております。 ○山下分科会長 よろしいでしょうか。 ○菅原委員 本日は,おそらく旅客に関する要綱案策定に向けて大詰めの分科会と心得ておりますので,従前の発言と重複する場面もございますけれども,意見を申し上げることをお許しください。   第1の3(1)の部分でございますが,2点申し上げたいと思います。  一つは,片面的強行規定を導入する場合,その適用範囲の明確化が重要だという点です。おそらくその視点から,中間試案で記述されていた「旅客に不利なもの」との表現を,「責任を免除し,又は軽減する」という文言に御変更いただいたのではないかと考えております。当局にて趣旨説明の機会があれば,その辺りを丁寧に御紹介いただきたいというのがお願いでございます。   2点目は,多少細かい話なんですが,3(1)アの括弧内の「旅客の生命又は身体の侵害」という文言表現について,少し意見を申し上げたいと思います。   この点,モントリオール条約17条では「旅客の死亡又は身体の傷害」と規定されています。これを「旅客の生命又は身体の侵害」と表現した場合,例えば,健康の毀損レベルに到底達しないような純粋な精神的損害も含まれるという解釈の余地が残るのではないかと思っております。実は従前より御説明しておりますとおり,国際航空旅客運送の実務におきましても,また,我が国の航空を除く判例等をみましても,おそらくそうしたものまでは取り込まないのだろうと。こうした国際実務や我が国判例の立場と整合性が保てるのかという点については,少し疑問がございます。   ついては,「旅客の生命又は身体の侵害」との表現を,「旅客の死亡又は身体の傷害」というような表現に変更ができるものかどうかについて,少し御意見を申し上げたいと思います。細かい点でございますが,以上です。 ○山下分科会長 事務当局から何かありますか。 ○菅原委員 私の申し上げた趣旨は,「身体の侵害」という文言表現だと,民法710条もございますから,純粋な精神傷害は損害賠償に含まないという解釈は難しいんだと思うのですよ。ピュア・メンタル・インジュリーを商法の条文から排除しろとまで申し上げるつもりはありません。しかし,「死亡又は身体の傷害」であれば,健康の毀損レベルにおよそ至らないような精神的損害といったものについては,損害の範囲から外れるのだということがより明確になるのではないかという意見でございます。あくまで文言表現の細かい話でございますが。 ○松井(信)幹事 条約の表現と解釈については,御指摘のとおりと思います。他方,我が国の法律レベルの表現については,全法令を見ながら法制的な整理が必要になりまして,この点は御理解いただきたいと思います。身体の侵害には当たらないけれども慰謝料だけが発生するという事態が,具体的にどのような場合かにもよるのかもしれません。例えば,慰謝料が生ずるほどのPTSDに陥った事案などは,身体の侵害といえるようにも思いますが,そうではなく,本当に純粋な精神的損害の事案については,その内容も踏まえ,この規定を解釈することになろうと思います。この規定では,片面的強行規定の対象となる運送人の責任について,旅客の生命身体の侵害によるものに限っており,運送の遅延は軽微な場合もあり得ることから外しております。具体的な事案の内容とこの規定の趣旨を総合して解釈をしていくことが適切なのではないかと考えております。 ○菅原委員 繰り返しになりますけれども,精神的損害を,例えば,身体傷害を前提とした精神的損害を損害賠償の範囲から全て排除することは,民法上,あり得ないことを十分承知している上での,飽くまで御意見です。松井幹事のご説明は,よく分かりました。 ○松井委員 今,菅原委員がおっしゃったように,本件について,片面的強行法規というのは画期的な法制だと思う反面,適用範囲の明確化ということが大事だということを繰り返しお話しさせていただいたところです。塚越参考人の言われた運休等というお話で,遅延とか運休というのは別に運送事業者の方が積極的に何か加害をしたとか,そういうものではないので除かれるという結論自身は特に違和感はないのですけれども,先ほど御説明があった,遅延の中に運休を読み込めるというのは,法律上,本当に入るのでしょうか。私が商法の条文にこれまで悩まれてきた経験から行くと,こういう条文で,後ほどこの遅延というところに運休が入るという解釈,拡大解釈は可能なのかどうか,ちょっとそのお考えをもう1回確認させていただきたいのですけれども,よろしくお願いします。 ○山下関係官 恐らく,実際に運休になった場合には,例えば,次の列車に乗ったり,若しくは,場合によっては代替輸送なども考えられると思いますので,そういった形で,運ぶこと自体は完了したと,ただ,それがやはり予定よりは大幅に遅れて,法律上の遅延に当たるという場合がかなりの場合を占めるのではないかなということで,そういった場合には遅延に当たるという説明をしておりました。 ○松井委員 頭の体操のようで申し訳ないのですけれども,その時間に乗らないともう意味がなくて,乗らなかったという人の場合はどうなるのでしょう。例えば,本件の場合ですと,病気なりけがなりということで,もう行っても意味がないとか,もしかしたらお亡くなりになってしまったというような場合も,やはり遅延という中に読み込めるとお考えでしょうか。よろしくお願いします。 ○山下関係官 そういった場合は,そもそも運送事業者の注意義務違反と結果との間の相当因果関係がないということも考えられ,特に損害賠償責任は発生しないのではないかなと思っております。 ○松井委員 そうすると,先ほどの約款等,特急料金の払戻しとか,そういう金銭的なもの,一部賠償だけをする約款自身は有効であるというのは変わらないわけですね。それは,金額の制限,そもそも生命,身体に対しての制約ということにはならないと読むのですか。そこがだんだんよく分からなくなってきたのですが,申し訳ないのですけれども,質問になっていなくて。 ○山下関係官 遅延によって体調がすごく悪くなったとか,そういった場合については,それは生命・身体の侵害によるものというのには当たるとは思います。遅延によって遅れて財産的な損害が生じた場合というのと,先ほど申しましたように体調が悪くなったという場合,2種類のパターンがあると思いまして,先ほどの鉄道業者の約款等には,その両方の場合を含めて規定されているものと思います。これらについては,今回は遅延を原因とするものを除いていますので,商法上は無効にはならないという整理になると思います。そして,運休も,大きな意味では遅延に当たり得るものと考えます。 ○山下分科会長 よろしいでしょうか。ほかに,いかがでしょうか。 ○福島関係官 重病人などの運送における免責について1点,質問させていただければと思います。前回の分科会で,国土交通省の方から,誓約書等が一律に無効とされた場合には,事業者が重病人などの運送の引受けをちゅうちょする可能性があるという御指摘があって,それを踏まえて今回の御提案になったと理解しております。ただ,それに対しては,前回の分科会では,本当にそういう実態があるのかという御指摘もあったかのように記憶しているところです。この点について何か検討なさったところとか,もしございましたら,教えていただければと思います。よろしくお願いします。 ○山下関係官 前回会議の中でそういう御指摘があって,そういう実態があるのかどうか,引受拒絶が認められる場合に誓約書を取ることで実際に運送しているという実態があるのかどうかということについて,まず,国交省経由で事業者の方に確認していただいたところ,そういう事業者の方は相当数いると,この限られた時間の中でも二十数社はそういう業者があるということは確認いたしました。その上で,更にその業者に対して聞いていただいたのが,仮に今回のアのような片面的強行規定で一律無効になった場合には,そういった方は誓約書を取ることができなくなって,その結果,運送拒絶する,若しくは運送することにちゅうちょを覚えるのかという質問をその業者にしたところ,その二十数社のうちの大半,8割,9割程度の方が,やはり運送拒絶する可能性があると回答されたということを聞いております。 ○山下分科会長 ほかにございませんか。 ○髙桒関係官 田中参考人の発言に対して,山下関係官の方から商法の適用について先ほど御説明がありました。その内容について,非常に軽微な点ですが,1点だけ補足をさせていただきます。商法の規定の適用の判断として,運送行為の反復継続性について触れられたかと思います。ただ,個別事業法の世界の話を申しますと,1回の運送であっても,他人を事業意思を持って有償で運送した場合に違反行為となるような場合もあります。この判断と,商法上の商行為性の判断とは,当然別々のものになるかとは思いますが,念のため触れさせていただきます。 ○山下分科会長 ほかに,ございませんか。   もしないようでしたら,(1)の片面的強行規定につきましては,3の(1)のような提案で,分科会としても御了承いただけるということでよろしゅうございましょうか。ありがとうございます。   それでは,次に進みまして,今度は旅客運送関係全体について一括して御審議いただきたいと思います。この点につきましては事務当局からは特段の説明はないとのことですので,全体について,どの点からでも御自由に御発言いただければと思います。 ○塚越参考人 ちょっとこの場で言うのが適当ではないかもしれませんけれども,パブリック・コメントで鉄道事業者というかJRの各社から出した一つの意見として,ここでいうと第1の2の旅客運送契約の定義のところで,これも何度も言っているんですけれども,旅客運送契約は,運送人が旅客を運送することを約束して,旅客の側が運送賃を支払うことを約することによってその効力を生ずるという定義をしていただいているんですが,基本的な理解としては,この規定自体は任意規定というか,その効力が発生する時期を強行規定的に規定するものではないと理解していますし,旅客運送契約の権利義務のいろいろな要素があるんですけれども,その全ての権利義務が運送賃を支払うことをトリガーとして発生するものではないと理解はしているんです。一般的に鉄道事業者の安全配慮義務みたいなものは,切符を買ったときというよりは,改札を入ったときとか列車に乗っていただいたときから発生すると理解しておりますので,一般的な規定としては理解するんですが,個別の権利義務については,必ずしも運送賃の支払を約することがトリガーではないということを何らかの形で明らかにしていただきたいなというふうな気持ちがあります。   それから,これも何度も言っているんですが,不正乗車ですね。そもそも運送賃を支払う気がないというような場合も,例えば,この要綱案でいう4の携帯手荷物に関する運送人の責任の減免に関する規定の準用とか,そういうような規定が,旅客とも言えないんでしょうけれども,そういう方に対しても適用なり準用されるというようなことを,できればどこかで明らかにしていただければいいかなと思っております。 ○山下関係官 まず,1点目の御意見につきましては,今回の旅客運送契約についての冒頭規定,第1の2のところですけれども,任意規定ではなくて冒頭規定であるということなので,ここに該当するかどうかで,この旅客運送契約に当たるかどうか,そして,その後の関連する条文が適用されるかというのが決まってくるかと思いますが,ここには,旅客を運送することを約することだけしか書いておらず,いつから運送するかというのは何も規定していませんので,塚越参考人がおっしゃったとおり,その運送の開始時点を改札通過時と見るか乗車した時と見るか,どこと見るかというのは,恐らく事実認定の問題で,様々な場合があるかと思います。ただ,少なくとも,例えば1か月後の切符を今買ったから,それが予約ではなくて,今買ってお金も払ったから,今この買った時点で運送人の安全配慮義務が発生するとか,そういったことではなくて,やはりそれは運送の開始の時点から安全配慮義務が始まるということで理解することができますので,結論としては塚越参考人がおっしゃったとおりになるかなと思います。   あと,2点目については,不正乗車については,そもそも運送契約が成立しているかという問題になってきまして,例えば,ただ飛び乗ったら,それが運送契約が成立するのかどうか,何か運送契約の成立を拒絶するようなことを表明していれば運送契約は成立しないのかどうかという問題かと思います。運送契約が成立していると事実認定できるのであれば,それについては,例えば,先ほどの手荷物についての減免規定の適用等もあるかと思います。 ○山下分科会長 よろしいでしょうか。 ○田中参考人 手荷物についてなんですけれども,最初のここでも言ったと思うんですが,トランクに入れる場合と,それと,要は車内の助手席に置く場合の,その減免の差というのがどの辺にあるのかなと。要は,トランクに入れたら預かって入れたから責任があるのか,助手席若しくは隣の席に置いたらどうなのかというので,結構トラブルになることもあるんですね。   最近では悪い人たちが携帯電話を忘れたと,携帯電話に自分の顧客のデータが何百件も入っているのに,その携帯電話の中身,忘れたのに対しての損害賠償をしろというようなことが個人タクシーに対してかなり,そういう悪い人たちが詐欺のような行為をしているときに,結構,泣き寝入りをしている人たちが多いんですね。訴えればいいんでしょうけれども。そういうときに何かその辺の手荷物だとかそういうものに関する,通常の荷物というのは,東京であれば近代化センターだとかそれぞれの会社が預かっていて,ある一定の期間をあった後に保管場所を決めてやるというのを当然しているんですけれども,そういう手荷物をトランクに入れるのかどうなのかということと,これから多分タクシーもワンボックス型のトランクのない,全部車内みたいな車が出てくると思うんですよ。そうしたときに,その区別というのはどういうふうになるのかなという,ここで聞いていいのかどうか分かりませんけれども,そういう部分もちょっと教えていただきたいなと思いまして。 ○山下関係官 現行法の商法の中では,手荷物について運送人に対して引渡しがあったか,引渡しがなかったかというので区別しております。引渡しがあった手荷物については,これは基本的には注意義務違反がなかったことを運送人の側が立証しないといけないということになって,現行法の下では物品運送人と同様の責任を負うと,つまり,その物自体の価格賠償であったりとか,高価品については引渡しに際して申告しないと免責されてしまうとか,そういった規律が及びます。   逆に,現行法の下の引渡しがなかった手荷物,携帯手荷物につきましては,これは基本的には旅客の側の管理下にあるということなので,旅客の側がその運送人の故意若しくは過失があったということを立証しないといけないという規定になっております。そして,その引渡しがあったかどうかによって法的な効果,運送人の責任が減免されるかどうかという規定が異なるというのはアンバランスであるということから,今回の改正の提案として,引渡しを受けない手荷物,携帯手荷物についても基本的には同じように責任が減免される規定が適用される,ただ,その性質上,携帯手荷物については,引渡しという場面がなく,高価品の種類及び価額を通知するという場面がないことから,高価品の特則は準用から除いているという提案をしております。   先ほどおっしゃった,トランクに入れた場合というのは,裁判例のレベルでは,それは受託手荷物なので,運送人の側が過失がなかったことを立証しないといけないと整理はされておりますけれども,これは一つ裁判例というレベルで,最高裁で決めたことではないということと,もう一つは,実態の問題として,その引渡しがあったかどうかという基準は,結局は運送人と旅客のどちらの支配下にあるかどうかという問題が一番実質の部分を占めていると思いますので,ワンボックスカーであればどうかとなると,それは,実際に引渡しがあった,つまりは運送人の支配領域に入っているのか,若しくはまだやはり旅客の側の支配領域にあるのかということが鍵になって,その適用結果が分かれてくることになるかと思います。ただ,定額賠償等の減免規定については,両方とも今回の改正によって適用されますので,そういった意味の効果については同じかと思います。 ○山下分科会長 よろしいでしょうか。   ほかに,いかがでしょうか。ございませんか。   もしないようでしたら,全体として御了承を実質的に頂いていると判断させていただきます。   それでは,本日の審議はこの程度にさせていただきたいと思います。   最後に,今後につきまして事務当局から説明してもらいます。 ○松井(信)幹事 本日も,ありがとうございました。今回までの議論で,特に旅客の生命・身体に対する運送人の責任に関して非常に重要な規律を設けることについて,皆様の御理解を頂いたということ,担当者として非常にうれしく考えております。特に,この分科会の議論の中で,小規模の航空運送事業者の約款の話も取り上げられ,国土交通省の御指導などもあって,責任限度額の定めが撤廃されたということも,大きな成果の一つなのではないかと考えております。皆様の熱心な御議論について,心から御礼を申し上げたいと思います。   今後につきましては,本日の審議のほか,物品運送に関する商法部会の審議結果を踏まえて,来年1月13日の分科会の会議において全体版をお示しして,要綱案の原案を御議論いただきたいと思っております。可能であれば1月13日の分科会で結論を出したいと,万が一難しければ2月10日に予備日も予定はしておりますが,もし御意見があれば事前にお寄せいただいて,1月13日に取りまとめができればと考えておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。   次回の日程は,今申し上げました1月13日水曜日午後1時半からの予定でございます。場所は未定でございますので,また追って御連絡を差し上げたいと思います。   私からは以上でございます。 ○山下分科会長 それでは,本日の審議はこれで終了といたします。熱心な御議論をありがとうございました。 -了-