日本司法支援センター評価委員会 第48回会議 議事録 第1 日 時  平成28年7月5日(火)    自 午後 1時00分                         至 午後 3時50分 第2 場 所  東京地方検察庁教養課教場(中央合同庁舎6号館A棟15階1501号室) 第3 議 事  (1) 日本司法支援センターの平成27年度に係る業務実績評価について  (2) 法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見について  (3) 今後のスケジュール 議        事 伊藤委員長 定刻になりましたので,ただいまから日本司法支援センター評価委員会第48回会議を開催いたしたいと存じます。   皆様におかれましては,御多忙のところをお集まりいただきまして,御礼申し上げます。   最初に,本日は佐藤委員が遅れて出席される旨を承っておりますけれども,現時点で9名の委員の御出席を頂いておりますので,総合法律支援法施行令第7条第1項に規定する定足数でございます,過半数の出席要件は満たしていることを確認いたしたいと存じます。   次に,議事に入る前に,当評価委員会の委員に変更がございましたので,御報告申し上げます。   昨年10月30日付けで池亀由紀江委員を新たに当評価委員会にお迎えいたしました。   池亀委員から一言,御挨拶をお願いしたいと存じます。 池亀委員 ただいま御紹介いただきました司法書士の池亀由紀江と申します。よろしくお願いいたします。  10年お務めになられました知久委員の後任として選任をしていただきました。司法書士会の中で法テラスに関与していない者ということが条件だということをお聞きいたしまして,そういった意味におきまして何も分からない勉強不足の状況でございますが,これから勉強させていただきまして,誠実に務めさせていただきたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願い申し上げます。 伊藤委員長 ありがとうございました。こちらこそ,どうぞよろしくお願い申し上げます。   早速でございますが,議事に入りたいと存じます。   本日の議題の主なものといたしましては,お手元の議事次第にありますとおり,「日本司法支援センターの平成27年度に係る業務実績評価について」及び「法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見について」,大きく分けますと,この2つでございます。   各議題につきまして,事務局から説明をお願いいたします。 松本参事官 それでは,事務局の方から議題について御説明をさせていただきます。   まず,議題の1つ目,議事の(1)「日本司法支援センターの平成27年度に係る業務実績評価について」でございますが,お手元に資料2といたしまして,業務実績について支援センターが自己評価とその理由を記しました項目別評定調書を御用意しております。   本日は,支援センターから,これらの資料についての御説明と,各委員の御質問に対する御回答を頂く予定でございます。   それを踏まえまして,次回,8月の会議で各委員に議論していただき,業務実績評価についての結論を頂きたいと考えております。   次に,議題の2つ目,議事(2)「法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見について」でございますが,総合法律支援法上,支援センターは財務諸表を作成し法務大臣の承認を受けなければならないとされ,法務大臣がその承認をしようとするときには,あらかじめ評価委員会の意見を聞かなければならないとされております。   その関係で,例年同様,法務大臣より支援センターの平成27年度の財務諸表を承認するに当たっての意見を求められているところでございます。   そこで,こちらの議題につきまして,本日,支援センターから資料の御説明などをしていただきました上で,次回の評価委員会で各委員に議論していただき,当評価委員会としての意見の取りまとめをしていただきたいと考えているところでございます。   議題についての説明は以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいま説明がございました順番で議事を進めたいと思いますが,議事進行につきまして,何か委員の皆様方から御意見はございますでしょうか。   よろしいでしょうか。 (各委員了承)   それでは,説明のような順序で議事を進めたいと思います。   引き続きまして,本日の配布資料につきまして,事務局から説明をお願いいたします。 松本参事官 それでは,お手元にございます資料を御覧いただきまして,配布資料目録のとおりそろっているかの御確認の方をお願いいたします。   簡単に御説明を差し上げます。まず,議事次第,出席者名簿,配席図を配布させていただいております。   それから,黒ひもでつづられたものが2つございますが,まず青い色のタグを付けておりますのが,配布資料となっているものでございます。赤いタグを付けておりますのが,机上配布資料ということでつづらせていただいております。2つとも資料目録を一番上につづらせていただいておりますが,まず青いタグを付けております配布資料の方について御説明をさせていただきます。   冒頭の資料1でございますが,こちらが本年4月7日以降の当評価委員会の委員名簿となっております。   次に,水色の紙ファイルにつづらせていただいておりますもの,こちらが資料2でございます。こちらが支援センターの平成27年度の業務実績評価に関する項目別評定調書をまとめたものでございます。   表紙を開いていただきますと,1枚目に評定部分だけを抜き出しましてまとめましたものを付けさせていただいております。こちらを御覧いただければと思いますが,この一覧表の中で,平成26年度の評定につきましては,昨年度,当評価委員会で決定をいたしましたもの,平成27年度の評定につきましては,今回,支援センターより自己評価として提出されたものを記載してございます。   各項目別評定調書に記載されました実績や自己評価とその理由につきましては,後ほど支援センターから説明をしていただく予定にしております。   次に,もう1つのピンク色の紙ファイルにつづらせていただいておりますものを御覧いただければと思います。   こちらが資料3でございまして,平成27年度の業務実績報告書でございます。   次に,黒ひものつづりに戻らせていただきたいと思いますが,青いタグが付いているつづり,資料4-1から4-5までございます。こちらにつきましては,平成27年度の支援センターの財務諸表,事業報告書,決算報告書,監事監査の結果,独立監査人の監査報告書について,それぞれ番号を付けさせていただいております。これらにつきましても,後ほど支援センターから説明していただく予定にしております。   また,資料5でございますが,こちらは支援センターにおける契約の点検結果を記載しました監事の意見書となっております。   続きまして,赤いタグを付けております机上配布資料について,御説明をさせていただきます。   資料A,こちらが「日本司法支援センターの業務実績評価に係る基本方針」でございまして,本年度も引き続き,この方針に則って評価を行っていただくことになります。   続きまして資料B,こちらが「独立行政法人の評価に関する指針」,続いて資料C「『独立行政法人の評価に関する指針』のQ&A」でございますが,これはそれぞれ総務省から発出されたものでございまして,資料Aの基本方針はこれらを受けて,当評価委員会にて策定をされておりますので,参考に付けさせていただいております。   最後に,配布資料などの目録に記載がございませんが,お手元にございますカラーの2枚紙のものについて御説明をさせていただきます。   こちらは,先般,法務大臣より意見を求められ,委員の皆様に御協力いただきまして当評価委員会において審査の上,意見を述べました支援センターの業務方法書などの変更につきまして,無事に手続が完了し,7月1日から熊本地震の被災者の方々に対する無料法律相談が開始されましたので,御報告を兼ねまして,業務開始に関する支援センターからのプレスリリースと,それに関連いたしまして,改正されました総合法律支援法の施行日に関する政令,改正法を熊本地震に適用するための政令につきましての法務省からの報道発表資料を配布させていただいております。   資料の説明は以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいま事務局から説明がございました資料は皆様方のお手元にございますか。   それと,本日は支援センターの業務実績報告や財務諸表の承認につきまして,委員会としての理解を深めるために,毎年のことではございますが,支援センターから宮﨑理事長を始めとする皆様方の御出席を頂いて,説明をお願いしたいと考えておりますが,委員の皆様,これもそのようなことでよろしゅうございましょうか。 (各委員了承)   それでは,議事を進めたいと思います。  各議題についての議事でございますが,それぞれに関連する資料につきまして支援センターから説明を頂くとともに,各委員から御質問などを頂戴して,8月に開催予定の会議の場での議論につなげていきたいと考えているところでございます。   そこで,初めに資料2の項目別自己評価及びその理由,次に資料3から資料5までの業務実績報告書等の資料につきまして,支援センターから説明をお願いしたいと存じます。   議題(1)の日本司法支援センターの平成27年度に係る業務実績評価につきましては,まず,平成27年度業績評価を前半と後半の2つのブロックに分けて説明を頂きまして,その合間に質疑応答の時間を設けたいと存じます。   また,本日は,支援センターの山下監事,津熊監事にも御出席いただいておりますので,後ほど御意見を頂きたいと存じます。   それでは,宮﨑理事長からの御挨拶を頂いた上で,支援センターから説明をよろしくお願いいたします。 宮﨑理事長 日本司法支援センター理事長の宮﨑でございます。   評価委員の皆様におかれましては,大変お忙しい中,当センターの業務実績を評価していただくために御参集いただきまして,誠にありがとうございます。   さて,御承知のとおり,平成27年度は当センターの第3期中期目標期間の2年度目でございました。  当センターでは,司法ソーシャルワークの取組を第3期中期目標における重要な事業目標の1つとして掲げておりますところ,平成27年度におきましては,司法ソーシャルワーク事業計画に基づき,本格的な取組を全国で開始したところであります。   また,当センターでは,コールセンターや地方事務所において,法的問題の解決に役立つ情報を無料で提供しておりますが,本年,平成28年2月にはコールセンターにおける情報提供の累計件数が300万件に達しました。   今後も,国民の皆様に対してより良い情報を提供し,身近な相談窓口として更に御利用いただけるよう努力してまいりたいと考えております。   さらに,さきの通常国会において,総合法律支援法が改正され,新たに,認知機能が十分でない方に対する資力を問わない法律相談など,大規模災害の被災者に対する無料法律相談,ストーカー・DV等の被害者に対する資力を問わない法律相談を実施できるようになりました。   このうち,被災者に対する無料法律相談につきましては,先ほど説明がありましたように,本年7月1日に施行され,早速,平成28年熊本地震の被災者の方々に対する無料法律相談を実施しております。   このように,法テラスの業務は年々拡大しておりますが,職員一丸となってこれらの業務に取り組むことで,国民の皆様の御期待に応えてまいりたいと考えております。   当センターは,平成28年度で設立10周年を迎えました。この間,評価委員会の委員の皆様から様々な御指導を頂きましたことで,当センターの各業務は着実に前進したものと考えております。   他方,業務開始後10年近くが経過し,様々な課題が生じていることも自覚しております。これらの課題に誠実に向かい合い,一つ一つ解決することによって,当センターの業務をますます発展させ,より質の高いサービスを御提供できるよう努めてまいる所存でございます。   本日は,委員の皆様方から忌憚のない御意見,御指摘を頂きまして,業務の改善につなげていきたいと考えておりますので,どうかよろしくお願い申し上げます。  ありがとうございます。 伊藤委員長 宮﨑理事長,ありがとうございました。   引き続きまして,支援センターからの説明をお願いしたいと存じます。 河原部長 それでは,総務部長の河原でございますが,平成27年度の業務実績について御説明させていただきます。   項目は全部で36項目ありまして,前半につきまして20項目,まず御説明いたします。全て御説明いたしますが,時間の関係もございますので,若干濃淡を付けさせていただければと思います。   それでは,まずⅠからでございます。   項目1-1は,震災法律援助事業に関するものであります。  震災法律相談援助によって,被災者のニーズがどの程度満たされているかということをここでは分析いたしまして,いわゆる原発弁護団との連携を通じての震災代理援助や震災書類作成援助の利用促進に引き続き努めました。   また,震災巡回相談を2,455件,震災出張相談を169件実施したり,全被災地出張所で夜間相談を56件,休日相談を61件実施したり,被災地出張所法テラスふたばで電話相談を11件実施したりいたしました。   以上のことから,所期の目標は達成できたものと考え,自己評価はBといたしました。   続きまして項目1-2ですが,これは震災法律援助事業以外の手法による援助の充実に関するものです。  この項目では,各種専門家によるワンストップ相談会や,震災法テラスダイヤル,女性の悩み事相談などを実施し,また,震災法律援助事業による被災者支援が行えない場合にも,巡回相談や出張相談等の民事法律扶助の制度を積極的に活用いたしました。   このように,被災者の多様なニーズに応じてきめ細かく対応し,所期の目標は達成できたものと考えまして,自己評価はBといたしました。   引き続きまして項目1-3,これは高齢者・障害者等に対する援助の充実に関するものです。この項目は司法ソーシャルワークの項目でありまして,27年度は,先ほど理事長の御挨拶にもありましたが,司法ソーシャルワーク事業計画に基づいて各種の取組を実施する最初の年度となりましたので,少しお時間を頂きまして御説明させていただきたいと思います。   司法ソーシャルワークの具体的な取組ですが,まず,地方事務所等におきまして,連携の対象となる福祉機関・団体をリストアップした上で,このリストを踏まえて4,948の福祉機関・団体に対して,本部から司法ソーシャルワークの説明資料を発送いたしました。   これと並行いたしまして,司法ソーシャルワークの担い手を確保するために,地方事務所等において,弁護士会,司法書士会と協議をして,出張相談担当者名簿を整えるなどして,司法ソーシャルワークを推進する上での体制整備を図りました。   このように,司法ソーシャルワークにおいては,常勤弁護士と一般契約弁護士とが協働しながら,潜在する出張相談等のニーズに広く応えていくことを目指しております。  特に,常勤弁護士につきましては,困難事例や司法過疎地域の事例など,一般契約弁護士ではなかなか手の届きにくい事案についても,福祉機関・団体との間で築いた顔の見える関係を生かしながら,アウトリーチによる支援を行っている点に特徴があります。   例えば,これまでに常勤弁護士が携わったケースといたしまして,親族から財産搾取を受け,公共料金や食費さえ捻出できなくなった認知症高齢者の成年後見申立て事案,それから,訪問詐欺の被害に遭い,ついの住みかを差し押さえられそうになった身寄りのない高齢者の消費者被害の事案など,法的問題以外にも複雑な問題をはらんだ事案を,福祉機関・団体と連携して解決した様々なケースが報告されております。   また,事業計画では,福祉機関・団体と弁護士との顔の見える関係を醸成するとともに,高齢者・障害者に対するワンストップの支援を実現するために,福祉機関・団体の施設を民事法律扶助の指定相談場所とすることを推進することとしております。   これまでの取組の結果,福祉機関・団体を指定相談場所として指定した数は,26年度から48か所増加いたしまして85か所となるほか,福祉機関・団体を巡回して実施する法律相談の件数も,26年度から169件増加して488件に達しました。そのほか,事業計画上の他の成果指標についても,少なくとも前年度実績との比較が可能な範囲では,前年度比増加という目標を達成しております。   さらに,関係機関との連携の強化という点では,地方事務所等では司法ソーシャルワーク又は高齢者・障害者支援をテーマとした地方協議会を,26年度を上回る65回にわたって開催いたしました。それに加えまして,特に事業計画におきまして重要な連携先の機関とされております,地域包括支援センター,社会福祉協議会に対しては,各地方事務所等において重点的に業務説明等を実施いたしました。   次に,高齢者・障害者に対する接遇スキルの向上等についてですが,本部において28年4月施行の「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」に対応するため規程を制定し,全地方事務所に周知したほか,本部担当職員2名がサービス介助士の資格を取得いたしました。   また,地方事務所におきましては,福祉機関から専門家をお招きするなどして,高齢者の接遇に係る疑似体験学習を実施したりしました。   さらに,高齢者向けパンフレットや障害者向けパンフレットは一部改訂を行い,地方事務所に配備したり,関係機関へ配布したりもいたしました。   司法ソーシャルワークにつきましては,事業計画に沿って種々の取組を着実に遂行しておりますこと,また,新たな法律に向けた体制整備と併せ,接遇スキル向上に取り組んだことから,所期の目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   続いて項目1-4は,職員の採用及び配置に関するものであります。   職員の採用と配置につきましては,前年度同様の取組を行いました。  常勤弁護士の採用につきましては,就職説明会の開催や選択型実務修習の受入れなどを行うとともに,関係機関と連携して,ホームページなどを利用した情報提供を行うなど,広く常勤弁護士への応募を促すことによりまして,法曹経験者2名を含む30名の常勤弁護士を採用することができました。  常勤弁護士の配置についてですが,青森県西津軽郡鰺ヶ沢町に新設した司法過疎地域事務所への新規配置1名を含めまして,250名を配置することができました。   常勤弁護士の役割や配置の必要性等につきましては,内部での検討調査に加え,日本弁護士連合会等と協力して検討を続けておりまして,また,常勤弁護士の事件受任による財政的効果の把握につきましても,連携活動をより正確に把握するため,報告内容の見直しを行うなどし,その把握に努めました。   コールセンターでは,入電件数と業務量増加のバランスを図りまして,シフト配置の見直しを行い,これまで一定の退職,これは雇用期間満了を含みますが,その見込みに基づいて毎年行っておりました新規雇用を取りやめるなど,効率的な運営を行いました。   以上のとおり,各種取組を実施したものの,常勤弁護士の事件受任により生じる財政的効果の分析,これがまだ途上にあるということから,全体として見ると自己評価はCとせざるを得ないと考えました。   次に項目1-5ですが,これは職員の能力の向上に関するものです。   支援センターの研修制度の中核を成しております階層別研修,これを大幅に改訂いたしまして,研修要綱を策定いたしますとともに,業務研修の整理・統合に関する方針を確定させまして一部先行して実施し,併せて管理職及び指導担当職員向けにOJTのハンドブックを作成・配布するなどいたしまして,職員育成に関する体制の整備を図りました。   常勤弁護士につきましても,裁判員裁判弁護技術研究室及び常勤弁護士業務支援室を活用しながら様々な研修を実施し,その能力の向上を図りました。   こうしたことから,所期の目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   次に項目1-6ですが,これは一般契約弁護士・司法書士の確保に関するものであります。   関係機関と連携いたしまして,多数回の説明会・協議会を実施したり,説明資料を配付したりして,契約弁護士ないし契約司法書士の確保に努めました結果,民事法律扶助契約弁護士・司法書士の人数は2万8,161人,国選弁護人契約弁護士の人数は2万6,370人,国選付添人契約弁護士の人数は1万3,409人,被害者参加弁護士契約弁護士の人数は4,449人となりまして,いずれにつきましても前年度以上を達成いたしました。   以上のことから,自己評価はBといたしました。   次に項目1-7は,ガバナンスの強化に関するものです。   まず,本部における組織運営等についてですが,執行部会,全国地方事務所の所長会議,事務局長会議やブロック別協議会を開催いたしまして,支援センターが抱える課題やこれへの対応方針などについて協議したり,これを踏まえた理事長指示の周知徹底を図るなどいたしました。   常勤弁護士につきましては,例えば,地方事務所の執行部会に常勤弁護士が出席したり,逆に常勤弁護士が主催する勉強会に地方事務所長等が出席するなどして,常勤弁護士が当センターの役割や業務運営方針を理解し,その実現のために意欲的に取り組むように努めました。   以上のことから,所期の目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   次に項目1-8ですが,監査の充実・強化というところでございます。   監事監査は本部ほか5地方事務所で,内部監査は本部ほか40地方事務所・地域事務所等で,情報セキュリティ監査は6地方事務所において,それぞれ実施いたしました。いずれにつきましても,事前の予備調査を充実させ,適切にリスク評価を行い,監査全体の質的向上を図ることができました。  また,会計監査人監査との連携を図り,監査全体を効率的,効果的に実施することもできました。   以上のことから,所期の目標は達成したものと考え,自己評価はBとしました。   次に項目1-9は,コンプライアンスの強化に関するものであります。   業務方法書の改正に伴いまして,ガバナンス推進委員会から内部統制推進委員会に組織再編を行いまして,内部統制の基盤を強化いたしました。  また,コンプライアンスに対する職員の意識の向上を図るため,全職員を対象とした事例検討会の実施や,コンプライアンス・マニュアル関する標語の募集,職員の階層別研修にそれぞれコンプライアンスの講義時間を設けるなどいたしました。   こういった各種取組によりまして,コンプライアンスの一層の推進を図ることができたと考えまして,自己評価はBといたしました。   次に項目1-10ですが,これは情報セキュリティ対策に関するものであります。   まず,規程の関係ですが,政府の方針に準じまして,情報セキュリティ関連規程を改定又は新設いたしました。  次に,対策の実施ですが,各種研修における講義の1つとして,情報セキュリティ対策をテーマとした研修を実施したり,標的型攻撃の対象として狙われることの多い外部にメールアドレスを公開している部署の担当者を対象にしまして,標的型攻撃対策研修を実施したりしました。   また,情報セキュリティ教育を,全職員を対象に実施し,チェックシートを利用した自己点検を行わせ,結果について本部で取りまとめ,情報セキュリティに関する意識向上の充実を図りました。なお,支援センターでは,本年度から3か年にわたるシステムの改修作業を進めておりまして,今後の政府の方針なども踏まえて,重要情報を適正に管理し,情報流出の起こらないような情報セキュリティ対策の構築を進めていきたいと考えております。   以上のことから,所期の目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   次に項目1-11ですが,これは効果的な連携方策の策定に関するものであります。   地方協議会につきましては,全国50の地方事務所において合計97回開催いたしまして,うち31の地方事務所において複数回開催いたしました。  また,地方公共団体やその他関係機関・団体に対する業務説明や意見交換等を,前年度を上回る2,754回実施いたしまして,関係機関等との連携の維持・強化を図りました。   以上のことから,自己評価はBといたしました。   次に項目の1-12ですが,これは連携強化のための体制の構築に関するものであります。   27年度は,東京地方事務所ほか4地方事務所におきまして,自治体職員及び福祉関係者等を副所長として起用することができました。また,その他1地方事務所においても次年度の起用に向けた調整を行いまして,多様性のある執行部体制の構築を着実に進めました。   以上のことから,所期の目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   次に項目1-13,これは報酬・費用の立替・算定基準に関するものであります。   民事法律扶助業務に関しましては,民事法律扶助業務運営細則の改定を行いまして,現行基準の下での運用の適正化・標準化の取組を進めました。  国選弁護等関連業務に関しましては,現行基準に対する契約弁護士の不服申立てを分析しまして,適切な国費支出の観点も踏まえて基準の改正案を作成し,関係機関と協議を行うなどいたしました。   以上のことから,所期の目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   次に項目1-14ですが,これは自然災害等に関するリスクへの対応の構築に関するものであります。   まず,リスク災害発生時における業務継続計画策定に必要な情報収集及び分析を行いまして,災害発生時に継続すべき優先業務の整理を行った上で業務継続計画案を作成するなど,業務継続計画策定に向けた取組を進展させました。  また,新システム構築の検討に当たり,災害発生時のバックアップ及び業務継続に向けたシステムの検討を行いました。   以上のことから,所期の目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   次に,Ⅱに移ります。   項目2-15は,一般管理費及び事業費の効率化に関するものであります。   人件費につきましては,業務の内容に応じて,常勤職員,パートタイム,フルタイム非常勤職員,これを柔軟に配置いたしまして,給与体系についても国の制度に準じた内容の給与規程を維持するなどして,人件費の合理化・効率化を図りました。   経費の節減に関してですが,いずれも新規分・拡充分は除外されていますが,一般管理費,これは人件費・公租公課を除きますが,これにつきましては,借上げ宿舎規程の改正や判例検索ソフトの利用契約の見直しなどによりまして,26年度比7,680万6,000円,率にして4.1%の削減を達成いたしました。   また,事業費,これは立替金債権管理事務処理費以外の民事法律扶助事業経費を除くものですが,これに関しましては,ネットワーク回線の見直しやコールセンター品質評価委託契約の調達内容の見直しなどによりまして,26年度比879万9,000円,率にして1.1%の削減を達成いたしました。   これらの取組の結果,27年度における削減目標6,435万円,一般管理費でいいますと5,642万1,000円,事業費でいいますと792万9,000円ですが,これを上回る8,560万5,000円,対目標比でいいますと133%の削減を達成いたしました。   次に,契約手続についてですが,前年度同様,競争性,透明性,公正性を確保する方策を講じました。その結果,一者応札について,26年度においては5件,率にして全体の14.7%であったのですが,27年度においては2件,率にして7.1%と大幅に減少いたしました。   以上のとおり,全体として効率化に努めまして,所期の目標を上回る成果を上げたことから,自己評価はAといたしました。   次に項目2-16ですが,これは事務所の業務実施体制の見直しに関するものであります。   出張所に関しましては,出張所が設置されている地方事務所及び同支部の執行部と協議を重ねるなどして,業務実施体制の見直しの検討を進めました。  司法過疎地域事務所に関しましては,設置基準や地域のニーズを踏まえ,法務省や日本弁護士連合会の意見を聴取した上で,新たに青森県西津軽郡鰺ヶ沢町に地域事務所を1か所設置し,その際,事務所の無償貸与を実現いたしました。  しかしながら,既存の司法過疎地域事務所の存置の必要性や常勤弁護士,職員の配置人数については,業務量等の基礎情報の把握分析を進めつつ,検討を進めてはいるものの,いまだ見直しを行うまでには至っておりません。   以上のことから,所期の目標を達成するには至っていないと考えまして,自己評価はCといたしました。   次に項目2-17ですが,これは情報提供業務に関するものです。   27年度は,地方事務所・支部が話し中で応答できない電話と着信から10秒以内に応答できない電話,これをコールセンターに自動転送するという新たな取組を開始いたしました。また,地方事務所からコールセンターへの内線転送を促進するなどし,コールセンターをより活用するための取組を実施いたしました。  コールセンターのオペレーターにつきましては,受電傾向をより詳細に分析いたしまして,平日昼間の人員を増やし,夜間,土曜日の人員を減らすなど,効率的な人員配置を行いまして,応答率98.5%を達成し,放棄呼が極めて少ない状態を維持いたしました。   1コール当たりの運営経費につきましては,考え方について評価委員からの御指摘を受け,27年度以降のコールセンター運営経費は,コールセンターに係る全ての人件費とし,固定経費となる賃料を除くことといたしました。なお,指標には1コール当たりの運営経費について,新しい考え方によるものと,昨年度の考え方によるものと両方を記載しております。1コール当たりの運営経費は,26年度919.7円であったものが,27年度では941.2円となり,前年度よりも上回りました。  これは,26年度の対応件数と業務量の増加を踏まえ,27年度において目標とする応答率90%以上を達成するために27年度当初においてオペレーターの人員増加を図ったことが原因です。入電状況と業務範囲拡大とのバランスを図りながら,その後予定していた新規オペレーターの採用を取りやめるなど,コールセンターに係る人件費を26年度より削減する運営努力はしたものの,結果として対応件数が26年度より減少したことから,1コール当たりの運営経費は26年度を上回りました。なお,25年度の1コール当たりの運営経費と比較しますと,これを下回りました。   以上のことから,所期の目標を達成するには至っていないと考え,自己評価はCといたしました。   次に項目の2-18ですが,これは民事法律扶助業務に関するものです。   簡易な案件につきまして,単独審査の積極的活用を進めた結果,単独審査を実施する地方事務所の数は,前年度より3か所増えまして46地方事務所となりました。  また,「民事法律扶助業務にかかる暫定標準モデル案」というものを策定いたしまして,一部地方事務所でパイロット試行を行いました。  常勤弁護士同士の共同受任については,共同受任マニュアルに基づきまして取組を推進しました。   以上のことから,所期の目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   次に項目2-19ですが,これは国選弁護等関連業務に関するものです。   報酬算定に関する不服申立てにつきまして,地方事務所限りでの処理を可能とする制度を引き続き運用いたしまして,376件の不服申立てのうち45件,率にして12.0%をこの制度の下で処理いたしました。  また,一括国選弁護人契約を締結している弁護士数も,27年4月1日時点では9,402名であったのが,28年4月1日時点では9,967名と着実に増加しています。   以上のことから,自己評価はBとしました。   次に項目2-20ですが,これは司法過疎対策業務に関するものです。   この項目につきましては,司法過疎地域事務所の設置だけでなく,司法過疎対策に携わる一般の弁護士に対して,司法過疎地域事務所の相談室利用を認めることの有用性を検討いたしますとともに,新たな地域において巡回法律相談を実施したほか,司法過疎地域の公設系法律事務所に派遣予定の一般契約弁護士について,支援センターが行う研修への参加を認めるなど,より効率的かつ効果的な形での司法過疎地域における法律サービスの提供を検討・実施いたしました。   以上のことから,所期の目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   以上で前半を終了いたします。 伊藤委員長 ありがとうございました。   多くの項目にわたりまして説明を頂戴いたしましたけれども,どの項目からでも結構でございますので,委員の方からの御質問をお願いいたします。 増田委員 御説明ありがとうございました。   特に反対するということではないのですけれども,例えば1-4とか2-16辺りに関係することでありますが,弁護士さんの業務内容についての評価というのは,非常に難しいことだというふうに感じておりまして,相談業務はどこも共通することだとは思いますけれども,件数とか,それから金額,かかった時間とか,そういう数値によって必ずしも評価ができるものではないというふうに,私自身の業務からもいつも感じているところです。   特に,高齢者・障害者などに丁寧に対応するということが,今,求められている状況からすれば,聞き取り時間,あるいは多方面との連携,御本人の主訴とか真意を確認するということなど,大変時間の掛かることがたくさんあるというふうに思いますので,その評価の仕方については,数値だけではなく,どういうことが一番正しく評価できるのかということも,今後,御検討いただくようにした方が良いのではないかと思っております。 伊藤委員長 ただいまの増田委員からの御指摘につきまして,何かセンターの方で御説明いただくことがあればお願いいたします。 河原部長 委員に御指摘いただきましたとおり,現場でやっている弁護士たち,常勤弁護士につきましても,話を聞いていると,必ずしも数値的なところだけで計れないところもあるという声も聞いておりまして,ただ,他方で,何か自分たちのその仕事を数値で説明していくということも,必要であるということも感じているところで,その辺り,今悩みながらいろいろと考えながら業務をやっているというところでございます。 伊藤委員長 問題意識をお持ちになりながら検討されているということですが,増田委員,よろしゅうございますか。 増田委員 はい。 伊藤委員長 他の委員の方,いかがでしょうか。 黒田委員 司法過疎地域のことを教えていただきたいのですけれども,多分,数量的な,量的な何か基準があるのではないかなと思いますが,いわゆる日本の司法過疎地域というのはどれぐらいあって,それから,それに対する法テラスの対応実現状況というのでしょうか,その充足度というのでしょうか,何かその辺りの資料的なものが分かると有り難いんですけれども。 宮木課長 常勤弁護士総合企画課長の宮木でございます。   司法過疎地域というものの定義がいろいろあるところではあるのですけれども,法テラスとして,司法過疎地域事務所が必要と考えている地域について,基準を設けているのですが,その基準に当てはまるのだけれどもまだ作れていないという場所については,おおむね40か所ぐらいまだ残っているというのが現状でございます。 黒田委員 その40か所の地域に対する今までの取組,あるいは今後の取組というのは,具体的な作業スケジュール,あるいはアクションプランとか,既に決まっているのでしょうか。 宮木課長 平成27年度も1か所,司法過疎地域事務所を設置したところではありますけれども,実際に設置するに当たっては,地元の単位弁護士会との協議,あるいは日弁連との協議,地元自治体との協議,こういったものを踏まえてやっていくことにはなっていくと思います。  今残っている司法過疎地域事務所の中で,優先順位はどこなのか,そしてどういったところから進めていくべきなのかということは,一つ一つ,今検討しているところではございます。 黒田委員 予算も必要でしょうし,また,いろんな人的資源も必要でしょうし,いろんな条件を満たす必要があろうかと思うのですけれども,やはり法テラスの使命から言ったら,速やかにそういった司法過疎地域を解消していくというのが,非常に大事な使命ではないかと思いますので,できるだけアクションプランをきちんと,予算の兼ね合いもあるのでしょうけれども,具体的なスケジュールを是非とも進捗させていただきたいというふうに思います。   ありがとうございました。 伊藤委員長 他の委員の方,いかがでしょう。   吉成委員,お願いします。 吉成委員 2-17の情報提供業務についてですが,確かに1コール当たりの経費というのが増大したということですが,これは恐らく全体のコール件数が減少した,あるいは予想よりも増えなかったということが主因ではないかと思うのですが,それはそれとして,そもそも1コール当たりではなくて,このコールセンターにかかる運営経費全体,とは言っても基本的には人件費でしょうけれども,その全体額が前年度に比してどの程度増えたのか,増えてないのか,その辺りを教えていただければと思うのですが。 伊藤委員長 コールセンターの運営経費の額の増減に関して,御説明をお願いいたします。 土田課長 情報提供課の土田と申します。   コールセンターの人件費は,去年まではオペレーターのみの人件費で計算しておりました。けれども,今年度からは池田委員の指摘も踏まえまして,全職員,オペレーターのみならずスーパーバイザー,それから法律アドバイザーという弁護士,コールセンター長とか一般の職員,この全部の職員の総人件費で考えることとし,これが平成26年度は3億2,289万8,541円でございました。それで,平成27年度はこれを多少圧縮できまして3億2,042万177円。これが総額になっておりまして,これを基本としまして,対応数,これは係数を掛けさせていただいておりますけれども,これで割ったものが941.2円,昨年度は919.7円ということで,多少経費が上がってしまったという状況でございます。 吉成委員 ありがとうございました。 伊藤委員長 ほかに御質問はございますでしょうか。   髙部委員,お願いします。 髙部委員 1-3の高齢者・障害者等に対する援助の充実の件でお尋ねしたいと思います。  司法ソーシャルワークですが,この点については,先ほど河原総務部長の方から常勤弁護士がどういう形で活躍をしているのかについて,具体的な例を2つほどお挙げいただいて御説明いただいたのですが,もう少し詳しく教えていただきたいというのが私の気持ちでございます。   もともと司法ソーシャルワークというのは,非常に私ども委員も期待をしているところでございまして,一般の弁護士であればコスト的な観点からなかなか対応できない高齢者や認知症の方々に対して,適切なリーガルサービスを行う上で,常勤弁護士の存在が不可欠である,より常勤弁護士の必要性を裏付ける,そういう取組であるという認識であるところ,当方としてお尋ねしたいのは,常勤弁護士でなければ,こういう形の局面において,司法ソーシャルワークとしての機能を果たすことができないのだよといったようなところを,幾つか御説明いただけると有り難いなと思うので,よろしくお願いいたします。 伊藤委員長 司法ソーシャルワークにおける常勤弁護士ならではの活動状況などについて,具体例がございましたら,それも含めまして御説明いただければ有り難いと思いますが,いかがでしょうか。 森室長 司法ソーシャルワーク推進室の森と申します。よろしくお願いいたします。   この間,各地の常勤弁護士の取組事案について,報告を受けているところでございます。その1つを御紹介させていただきたいと思います。   これは,外出が困難なだけではなくて,耳が遠く,理解力の衰えも見受けられるという70代の高齢者の債務整理事件の事案でございます。  この事案では,そもそも高齢者本人が債務整理の必要性をすぐに理解することができなかったということがあったため,常勤弁護士が福祉の専門職と何回も打合せを重ねて,計3回もの出張相談を行ったというような事案でした。出張相談も30分で終わるものではなく,1回当たり1時間を超えるということもしばしばあったというふうに聞いております。   その上で,ようやく理解をしていただいて,債務整理の手続を進めることになったのですが,御本人の強い意向があって,自己破産ではなくて任意整理で進めることになり,自宅の不動産を売却して弁済に充てるという手続が必要になってきました。当然,自宅を売却することになりますので,新しい生活環境も整えなければならないというような事案でございました。   そこで,常勤弁護士は,福祉専門職者を含む様々な関係者と打合せを繰り返して連携を図りながら,親族の近くに住居を確保したり,介護認定の手続を進めて適正な年金受給につなげたり,あるいは,社会福祉協議会の日常生活の自立支援事業を利用して,家計管理も開始するといった種々の調整を行ったということでございました。   この事案は,今御説明したとおり,本人だけではなくて複数の関係者とのやりとりを重ねて,膨大な手間と時間というものを要しているという点で,一般契約弁護士ではなかなか対応がし難いものである上,そもそも常勤弁護士が日頃から様々な関係機関の職員を訪問して法テラスの業務説明をしたりというふうに,顔の見える関係を地道に作っていたというところでも特徴がございます。そういった意味で,今申し上げたような事案というのは,常勤弁護士ならではのある種のフットワークの軽さ,これを生かした取組であるというふうに考えているところでございます。 髙部委員 ありがとうございました。 伊藤委員長 ほかにいかがでしょうか。 山中委員 去年も申し上げたのですが,2-15の一般管理費の話で,3%を上回って4.1%ですよね。3年やったら1割ですよね。  別に意地悪く内容をお聞きするわけではないですが,その削減の主な内容というのを拝見すると,削減分全体の7,600万の中でどのくらいになるのですかね。合計すると2,500から2,600万ですかね,ここに書かれているのが。そのほかにタマがいろいろあるということでしょうけれども,来年度,再来年度,同じ調子でA評価を続けていこうとすればタマ切れになる可能性があって,要するに,支援センターに限らず,財政当局から,あるいは法務省から,一般行政経費の削減のノルマをかけられているというような事情がおありなのかもしれませんが,本当にこういうことをいつまでも一生懸命やっていって,業務運営に支障がないのかどうかですね。工夫にもやっぱり限界があるのじゃないかという気もいたしまして。   いや,これは中期計画なり年度計画に書いてあるから,何とかその達成に向けてやっていかなきゃいかんのだという事情はよく分かるんです。また,無駄な経費は削減していかなきゃいかんということは一般的にも当たり前のことではあるのですが,去年,下田の事務所を拝見して,常勤弁護士さん,非常に一生懸命おやりになって,恐らく無駄なお金なんか全然使ってないと思うんです。裁判所まで非常に距離があって,いろんな事案が発生する度にマイカーを運転して,ガソリン代は事務所が負担してくれるようですけれども。  そうすると,別に下田に限らず,地方事務所あるいは地域事務所,出張所,相当その現場で一生懸命おやりになっているわけですよね。こういう姿勢でどんどんやっていって,本当にそういうところに,つまり日常業務の運営に,支障が及ばなければ,それに越したことはないのですが,本当にこんな調子でノルマかけて,やっていっていいものかどうかというふうに,私は半分首をかしげております。   予算って一体何なんだと。これは去年も申し上げましたけれども,本来,適正に予算を組んでいるはずなので,そのとおり適正に執行していけばいいじゃないかという気もいたします。   お答えしづらいと思いますので,あえてお答えは結構ですけれども,そういう声もあるということを御承知おきいただいて,やっていっていただければという点が1点です。もう1つ,2つよろしいですか,委員長。 伊藤委員長 どうぞ,お願いします。 山中委員 1-3の事業計画上の指標の数値が随分上がっておりますが,評価はBということで若干控え目な態度だという気もしますけれども,これは,全体として数値の目安を立てておやりになっているのか,あるいは,地方事務所ごとに事情がまちまちでしょうから,実際にどの程度取り組んでいくのかは各事務所の自主性に委ねているということなのか,その辺りをお伺いしたい。  それと,その次の1-4で,実際上財政的効果の把握というのは難しいことで,算出する方法を検討とありますが,これは,特別な体制を組んで検討しても,なかなかすぐ一定の方向性なんか出てくる話ではないような気がいたしておりまして,何か検討というのは申し訳程度にお書きになっているのかなという気もしますが,これは本当に検討の成果が出てくるような期待感を持って検討されているということなのでしょうか,ちょっとその辺りをお聞きできれば。 伊藤委員長 第1点の経費の削減に関しましては,山中委員からの御発言にも留意されてセンターの業務内容に支障が生じないことを重視しながらお考えいただければと思います。   そのほかの1-3,1-4の関係ではセンターからいかがでしょうか。 森室長 1-3について,数値目標ですが,先ほど委員から御指摘のありましたとおり,司法ソーシャルワークの活動が始まったばかりということもあって,各地で様々な取組又は地域ごとに様々な要請があるという意味で濃淡がございます。そういった意味でも,明確な数値目標を何かの基準に基づいて設定するというよりは,各地,各地で前年度の実績を上回るということで,目標というものを組み立てている状況でございます。   ただ一方で,各地の取組の自主性に全て委ねるというわけではなくて,各地でかなり先進的な取組を行っている事務所もございますので,そういった事務所のこれまで蓄えてきたノウハウ,そういったものをきちんと本部として整理した上で,そのノウハウを各地に還元していきたいということで,今現在,研修等々の計画を進めているところでございます。 伊藤委員長 それでは1-4の関係については,どなたか御説明いただけますか。 宮木課長 1-4での御指摘の点でございますけれども,常勤弁護士の事件受任により生じる財政的効果の把握という部分については,検討の成果を出す方向で検討している最中でございます。  ただ一方で,先ほど来,御指摘のとおり,どういったものを評価としていくのかというのは非常に難しいところでございまして,試行錯誤をしながらやっているところでございます。   いずれにしても,できる限り彼らの活動を正しく反映できるようなものを考えていきたいと思っております。 伊藤委員長 山中委員,最後の辺りについては,まだ検討中というようなことですが。 山中委員 結構です。 伊藤委員長 ほかにいかがでしょうか。   どうぞ,黒田委員。 黒田委員 1-13の契約弁護士に対する報酬・費用の立替のところですけれども,不服申立てがどれぐらい現実的にあるものかということをお尋ねしたいのと,標準報酬規程というのはもはやないとは思うのですけれども,往々にしてパブリックのところでの専門家のサービスというのは,税金が原資になるわけですから,結構安く抑えられるという傾向に普通はあるように思っておりますけれども,本件の場合はどういうようなレベル感なのか。世間一般的な相場なのか,それよりも安く,公共サービスの入札的な感覚でできるだけ安く抑えるような方向でいっているのか,その辺りの現状をちょっと教えていただきたいのですけれども。 伊藤委員長 契約弁護士の費用・報酬に関する不服申立ての状況,その基礎になる費用・報酬の基準と申しますか,そういった辺りについての御説明があればお願いいたします。 杉岡課長 まず一番初めの不服申立て件数ですけれども,民事法律扶助につきましては,平成26年度には新規申立て件数が全国で791件でございまして,件数としては決して少なくはない件数でございます。その不服申立ての理由は様々でして,その中で弁護士費用に関するものについては,今,数字は持ち合わせておりません。一般的な弁護士の報酬と比べて,法テラスの立替基準の金額がどうなのかという点につきましては,弁護士のアンケートのようなもので日弁連の方がやっているものがあるのですけれども,私の感覚も含めましても,それに比べるとやはり利用者からみて比較的使いやすい,低廉な金額に抑えているというところでございます。   また,業務実績報告書にも書かせていただいたのですけれども,例えば債務整理などについて,債権者が1件などの場合はやはり10件の場合と比べて労力も比較的少なく済みますので,そういった場合にはきめ細やかに金額を設定させていただいて,より使いやすいという方向にさせていただいております。 伊藤委員長 どうぞ,では引き続き。 新部部長 第二事業部長の新部と申します。国選の報酬の方について御説明いたします。   国選の報酬の不服申立ては,年間大体400件ぐらいでございます。  報酬のレベルの問題ですが,日弁連で統計をとっておりまして,発表している数値と比べますと,やはり私選の刑事弁護の報酬と比べれば,国選の弁護の報酬はかなりの程度低いと思います。現在の数値を今日持ってきておりませんので御説明をうまくできません。これは後日,補完したいと思います。 伊藤委員長 黒田委員,いかがでしょう。 黒田委員 ある意味,契約弁護士さんに対する業務の依頼というのは,アウトソーシングということでありますから,法テラスの業務の効率化という観点もありますし,また,人的資源として非常に貴重なソースとなりますから,やはりできるだけ適正な料金を目標にして,協議をされるのがよろしいのじゃないかというふうには思います。 伊藤委員長 ありがとうございました。   それでは,まだ委員の方で追加の御質問があるいはおありになるかと思いますが,事務局を通じてセンターに質問を寄せていただくということができますし,また,各委員の御質問やそれに対するセンターからの回答につきましては,委員全員で共有できる形にしたいと考えておりますので,本日のところはこの程度でよろしゅうございましょうか。 (各委員了承)   それでは,引き続きまして,後半部分についてセンターからの説明をお願いいたします。 河原部長 それでは,今度はⅢのところから御説明させていただきます。   項目3-21になりますが,これは情報提供業務の質の向上に関するものであります。   コールセンターと地方事務所で,いわゆるミステリーコールや音声ログ調査を実施いたしまして,これを踏まえた電話応対等についてフィードバックを行いました。  また,電話による多言語情報提供サービスを実施したり,FAQを更新したり,社会情勢の変化に対応させてデータベースを追加修正したりしました。   満足度調査につきましては,5段階評価のアンケートで,コールセンターは4.7,地方事務所は4.5と,いずれも高水準を達成いたしまして,全体平均でも4以上の評価を得ることができました。   以上のことから,所期の目標は達成したものと考えまして,自己評価はBといたしました。   次に項目3-22ですが,これは法教育に資する情報の提供等に関するものであります。   本部におきましては,「子どもの貧困から考える生活困窮者の自立支援と司法」をテーマといたしまして,法テラスシンポジウム「支え合う社会へ」を開催いたしまして,社会福祉学者による基調講演,常勤弁護士・生活困窮者自立相談支援員による実践報告,パネルディスカッションを行いました。  参加者は一般の市民が約150名,そのほかに福祉関係者,弁護士等法曹関係者等であり,全体で約240名の方々に参加いただきました。   シンポジウム後に行ったアンケートでは,基調講演,実践報告について分かりやすかったという回答の割合が約85%,これは分かりやすかったが55%で,おおむね分かりやすかったが30.7%ですが,そういう評価を得ておりまして実施の効果は十分にあったものと考えております。   さらに,報道機関,NHKですが,取材を受けまして,開催日当日のニュースとして取り上げられることによって,広く社会人・一般市民に向け,シンポジウムの目的を周知することができました。   地方事務所におきましては,社会人向け講演会等の実施,社会人・一般市民向けの講演会,意見交換会,学校における出前授業,センターの業務内容説明等の紛争の未然防止に資する情報の普及に取り組みました。これらの取組は50の全地方事務所で行われまして,その数は前年度を上回る1,941回に及んでいます。  参加者100名以上の主な実施例を見てみますと,札幌地方事務所の演劇を交えた法的トラブルへの対処能力を身につけるためのイベント,大阪・福井地方事務所における落語を題材とした法律に関するトークイベント,青森地方事務所における大学生に対する「法と学生生活の関わり」をテーマとした法律講座などがあります。   以上のとおり,この項目につきましては,本部及び地方事務所ともに,法教育に資する情報の普及に十分な成果を上げることができたと考えまして,自己評価はAといたしました。   次に項目3-23ですが,これは民事法律扶助に関するものです。   まず,利用者の利便性を向上させるため,前年度同様の取組を行いまして,前年度より3事務所多い48の地方事務所で,代理・書類作成の援助申込みから14日以内に援助開始決定を行うことができました。   次に,利用者に対する適切な援助を実施するため,前年度同様の取組を行い,前年度より多い15の事務所で,DV,労働,女性,消費者,医療,外国人等の問題に関する専門相談を実施いたしました。   以上のことから,所期の目標は達成したものと考えまして,自己評価はBといたしました。   次に項目の3-24ですが,これは迅速かつ確実な選任・選定態勢の確保に関するものであります。   まず,支部を含む全ての地方事務所におきまして,関係機関との間で,年度内に1回以上,国選弁護人及び国選付添人の迅速かつ確実な選任態勢についての協議の場を設けました。その数は延べで467回に及んでおります。   被疑者国選弁護事件につきましては,全地方事務所において,裁判所・弁護士会と協議の上,休日を含め原則として24時間以内に指名通知を行うという目標を定めております。この24時間というのは,裁判所から国選弁護人等候補者指名通知請求を受けてからということですが,この目標について,全事件の99.8%で24時間以内の指名通知が行われたということで目標を達成しております。  以上のことから,自己評価はBといたしました。   次に項目3-25ですが,これは裁判員裁判対象事件への対応態勢の強化・充実に関するものであります。   支部を含む全地方事務所におきまして,年度内に1回以上,裁判員裁判用名簿の作成やこの名簿登載者の質の確保などについて,関係機関と協議を実施いたしました。裁判員裁判用の名簿が作成された地方事務所・支部の数は,前年度より増加いたしまして28事務所になりました。また,36の地方事務所・支部において,裁判員裁判に関する研修を実施いたしました。   常勤弁護士につきましては,常勤弁護士が実際に取り扱った裁判員裁判事件を基に主張の在り方などを議論する事例研修を2回,裁判員裁判事件を多く取り扱う常勤弁護士を対象として,少人数で行う専門研修を2回,それぞれ実施いたしました。   以上のことから,所期の目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   次に項目3-26ですが,これは契約弁護士のサービスの質の向上に資する取組に関するものです。   前年度同様,契約弁護士に対しまして,業務に関する情報の周知に努めたほか,支部を含む55の地方事務所で延べ194回,弁護士会との共催又は地方事務所の主催で,弁護活動の質の向上を目的とした研修を実施いたしました。   以上のことから,所期の目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   次に項目3-27ですが,これは犯罪被害者支援業務の質の向上に関するものです。   前年度同様,利用者のニーズの把握と関係機関との連携を図るための取組ですとか,犯罪被害者支援に係る職員の質の向上を図る取組を実施いたしました。例えば,地方事務所において,前年度より多い合計1,342の関係機関・団体から,法テラスに対する意見などを聴取しました。また,本部において,日本弁護士連合会と連携しながら,犯罪被害者支援に携わる弁護士に関する利用者の意見というものをアンケートにより聴取いたしまして,ニーズをくみ上げ,業務の改善に役立てました。また,二次的被害の防止を目的とした講義を積極的に実施いたしました。   犯罪被害者支援に精通している弁護士を紹介する,この精通弁護士紹介体制の整備につきましては,女性弁護士792名,前年度よりも95名増加しております。この女性弁護士792名を含む犯罪被害者支援に精通している弁護士を3,441名確保いたしました。前年度より433名増加しております。   以上のことから,自己評価はBといたしました。   次に項目3-28ですが,これは被害者参加旅費等支給業務の適切な実施に関するものであります。   被害者参加旅費等の支給につきましては,裁判所,法務省と情報を共有いたしまして,恒常的に裁判所と連携を図りながら制度の周知を行い,適切な支給に取り組むとともに,マニュアルの充実化により,その効率化にも取り組みました。その結果,裁判所等との協議を要するなど,特段の事情のある請求を除いて,請求のうち99.9%について,受理から2週間以内に支給を行うことができました。   以上のことから,自己評価はBといたしました。   次にⅣに入ります。   まず項目4-29ですが,これは自己収入の獲得に関するものであります。   寄附金収入獲得への取組につきましては,ツイッター等の新たな通信手段を用いた寄附の呼び掛けを開始するとともに,地方事務所や支部において,事務所内にしょく罪寄附制度の活用に関するポスターを掲示しまして,契約弁護士宛てにチラシを配布するということもいたしまして,その周知を徹底させることで増額につなげました。   常勤弁護士の有償受任等による自己収入の確保につきましては,研修等において自己収入の確保の必要性や重要性について改めて認識させ,各地域の事情に応じた自己収入の確保に努めたところ,事業収益自体は昨年度に引き続き減少したものの,受任の件数は増加いたしました。   地方公共団体等からの財政的支援の獲得につきましては,過去に無償提供を受けていた事務所を維持することができたことに加え,新たに設置した青森県西津軽郡鰺ヶ沢町の地域事務所については,無償提供を実現することができました。   以上から,自己評価はBといたしました。   次に項目4-30です。これは効率的かつ効果的な立替金債権の管理・回収方法の工夫に関するものであります。   この項目につきましては,まず,滞納を発生させないよう,確実に口座から引き落とすべく,生活用口座からの引落しを推進いたしました。それとともに,滞納を早い段階で解消させるべく,口座引落し不能者に対し,コンビニエンスストアでの支払いを可能とした督促ですとか,これに合わせた電話による督促を組み合わせて実施いたしました。   また,前年度からの各種施策に加えまして,27年度の新規施策でありますが,引落し停止督促などのきめ細やかな対応,それからボーナス支給月に合わせた督促など,集中的な督促を実施いたしました。   こういった取組が功を奏しまして,立替金の償還の実績は,26年度比102.9%の104億1,716万円となりまして,回収に大きな成果を上げることができました。  また,償還免除及びみなし消滅の金額も一斉償却などの施策により,前年並みの約47億円を確保することができました。   以上のことから,所期の目標を上回る成果を達成できたものと考え,自己評価はAといたしました。   次に項目4-31ですが,これは償還率の向上に関するものであります。   立替金回収に関する,先ほど申し上げました各種の取組によりまして,償還率は平成26年度の81.4%から84.6%に向上いたしました。   以上から,自己評価はBといたしました。   次に項目4-32ですが,これは立替金債権等の管理・回収状況の開示に関するものです。   27年度業務実績報告書におきまして,支援センター設立以降の発生年度ごとの立替金額や償還額など,立替金債権の管理・回収に関する基本的なデータを一覧表にして,明らかにいたしました。   以上のことから,所期の目標は達成したと考え,自己評価はBといたしました。   次に項目4-33ですが,これは立替金等の悪質な償還滞納者への対応の構築に関するものであります。   悪質な償還滞納者等への対応につきましては,昨年度,地方事務所等に周知を行った方針に加えまして,過去の滞納があり,かつ,自己破産があるなどの援助申込みをする者についても,原則として新たな援助を行わないという方針を新たに策定いたしまして,地方事務所などに事務連絡を発出いたしました。   以上のことから,所期の目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   次に項目4-34ですが,これは財務内容の公表に関するものです。   まず,業務実績報告書に掲載している業務別セグメント情報についてですが,経常費用,それから経常収益及び総資産,この各内訳を追加し,財務諸表との結び付きをより明らかにするとともに,次に2つ目として,人件費を業務ごとに配賦する基準を定めることによりまして,法人共通欄にまとめて計上されていた職員人件費などを各業務に配賦して開示し,26年度よりも充実した業務別セグメント情報の開示を行いました。   次に,事業報告書において,26年度に引き続き,貸借対照表,損益計算書,キャッシュフロー計算書及び行政サービス実施コスト計算書の区分経理によるセグメント情報の開示,各データの経年比較のグラフ化,各業務における主な収入及び支出に関する経年比較の記載等により,充実した情報開示となるよう従来からの取組を継続いたしました。   さらに,財務諸表中の重要な会計方針や注記等の説明文について,会計基準において示された専門的な例文をそのまま踏襲するのではなく,より分かりやすい説明となるような表現を工夫・調整いたしました。   以上のことから,所期の目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。   次にⅤになります。  まず項目5-35は,認知度の向上に向けた取組の充実に関してです。   後に述べますとおり,27年度の認知度調査では,名称認知度が前年度より下がってしまいましたので,この項目につきましても,少しお時間を頂いて御説明させていただきます。   広報活動につきましては,本部と地方事務所の活動を可能な限り連動させ,効率的かつ効果的に実施いたしました。   関係機関との連携を通じた広報活動につきましては,昨年度同様,金融庁,日本弁護士連合会及び日本司法書士会連合会と連携して,多重債務者相談キャンペーン2015を実施して,関係機関にポスター等の掲示をしていただいたほか,法務省保護局の協力を得まして,支援センターが提供するサービスへのニーズが高いと思われる保護観察対象者への保護観察を実施している保護司さん,この保護司の組織の幹部の方々に対して,会員保護司たちへ周知,あるいは利用促進していただくよう依頼いたしまして,保護観察所及び保護司組織との連携を通じた広報活動のための環境を整えました。   認知度向上の取組につきましては,支援センターの広報は,ここ数年,業務認知度を上げることに軸足を移してきておりまして,27年度も,テレビ広報,これは被災地を対象としたものですが,これを含め業務認知度を上げることに重点を置いた広報活動を行いました。   具体的には,初めての取組として,業務内容を具体的にイメージできるよう,30分番組をケーブルテレビで放映したり,BS放送で放映したりしました。また,従前行っていたテレビCMも時間を15秒から30秒に拡大いたしまして,業務内容が分かるものといたしました。   認知度調査につきましては,前年度同様,各都道府県100サンプル,これは20代,30代,40代,50代,60代以上という5つの年齢層で,男女各10ずつのサンプルで,1つの都道府県100サンプルということでありますが,それで合計4,700サンプルでインターネットによるアンケート調査を実施いたしました。   なお,27年度からは認知度の実態をより反映できるよう,専門家の助言も得まして,設問に工夫を加えました。具体的には,「法テラスを知っているか」という質問に,「名前は知っている・聞いたことがある」と回答した者に対して,「法テラスが提供している次のサービスの中で知っているものを全て選んでください」という記憶喚起の手掛かりとなる更問を設けまして,業務内容を具体的に列挙する選択肢を示しました。   その結果ですが,ちょっと数字の羅列になりますので,業務実績のところの4の(3)を御覧いただければと思いますが,そこに記載いたしましたとおり,まず㋐名称認知度は50.6%で,26年度比マイナス5.2ポイント,㋑業務認知度ですが14.6%で,26年度比プラス1.3ポイント,㋑’記憶喚起の手掛かりを得た者も含む業務認知者の割合は35.3%,それから㋒名称認知者に占める業務認知者の割合は28.9%で,26年度比でプラス5.1ポイント,㋒’記憶喚起の手掛かりを得た者も含む場合の割合は69.8%になりました。   以上のこの結果をどう評価するかということなのですが,確かに名称認知度は誤差の範囲を超えて下がってしまいました。その理由につきまして,確たることまでは分からないのですが,27年度は先ほど御説明したテレビ広報活動の変更に伴いまして,認知媒体として大きな比重を占めているテレビCMの延べ視聴率が前年度からかなり下がりましたので,こういったことが理由の1つとして挙げられるのではないかと考えております。   しかしながら,支援センターの利用促進のため,ここ数年,業務認知度を上げる広報活動に軸足を移す中,わずかではありますが,業務認知度は前年度から上がり,業務実績の4の(3)で先ほど御説明いたしましたとおり,㋑’になりますが,記憶喚起の手掛かりを得た者も含む業務認知者の割合は35.3%と3割を超えていること,それから㋒’ですが,名称認知者に占める業務認知者の割合は,記憶喚起の手掛かりを得た者も含めますと,69.8%と約7割に達していることなどに照らしますと,全体として所期の目標は達成しているのではないかと考えます。   以上のことから,自己評価はBといたしました。   最後になりますが,項目5-36です。これは業務運営の体制維持に関するものです。   職員数又は業務量の変動に応じ,備品整備,設備・施設の見直しを行うとともに,人的体制の確保のため,業務量の変動を適切に捉えた上での人員配置,能力主義に基づく若手職員の積極的な登用を実施いたしました。   施設・設備に関しましては,職員や業務量に合わせた備品の整備を行うとともに,事務スペースの拡張又は書棚の増設等が必要となる場合には,レイアウト変更を行うなどして必要面積を確保いたしました。それによっても対応できない事務所又は耐震性等に疑義がある事務所につきましては,移転を実施するなど適切な整備を行いました。具体的には,耐震基準を満たさず,かつ,津波の浸水想定区域に立地していた安芸地域事務所の移転などを行いました。   以上のことから,所期の目標は達成しているものと考え,自己評価はBといたしました。   私からは以上です。 伊藤委員長 ありがとうございました。   それでは,前半部分と同様に,どの項目についてでも結構ですので,各委員からの御質問をお願いいたします。   どうぞ,増田委員。 増田委員 2点お伺いしたいのですが,まず1点は3-22です。法教育の部分でございます。   小さなことをお伺いするのですけれども,地方事務所にて講演会等の実施を1,941回やったということで,大変,数も多いですし,全国的に展開するという意味では非常に効果のある活動をされているというふうに思っております。これを実際に行ってらっしゃる方というのは,弁護士さんとか事務所の職員さんたちがおやりになっているのか。  それから,こういう消費者向けの講座というのは,私どもも何十年も展開しているところでございますけれども,今,消費者教育始め,法教育というものが非常に重要視されていて,というのは,これから成年年齢引き下げへの対応が必要になったり,これまで法教育,消費者教育などを受けてこなかったから今のいろいろなトラブルなどへの自己解決力がないとか,そういう事情があるのだろうというふうに現場の人間としては思っているところでございます。今の若い方たちが将来高齢者になったときに,今と同じ状況にならないためにも,是非これは推進していただきたいのと同時に,自身が加害者にならないように,例えば,簡単にもうけようということで加害者になるような方向にいってしまう若い方たちもいらっしゃいますので,そういうことも含めて,法教育というのは大変重要なことだと認識しております。   そういうことで,是非今後も力を入れていただきたいのですが,この講演会等について,いろいろな工夫などが必要だと思います。そういう意味でのレベルアップとか工夫とか,そういうことをされているのかについてお伺いしたいと思います。 伊藤委員長 ただいまの法教育に関する講演会等の具体的な内容,あるいは改善すべき点として認識されているようなことがございましたらお願いいたします。 土田課長 まず,法教育を担っている者ですけれども,主にスタッフ弁護士と,あとは職員,事務局長,加えて,管理職になっておりますけれども,所長,副所長と,法テラスの職員が主になっております。   場合によっては,セミナーなんかを,弁護士会とか司法書士会でものすごく精通している方がいる場合には,そういう方にお願いして講師になっていただいて,法テラスも一緒に説明し,法テラスのことは法テラスの職員が,消費生活に関しては弁護士にというような,そういう役割分担でやっている場合もありますが,ほとんどの場合は,法テラスの職員,スタッフ弁護士が中心になってやっているということでございます。   次に,工夫ですけれども,やはり関係機関と連携してやるということが一番効果的なものですから,司法ソーシャルワークで築けた関係を基に,どんどんそれを発展させていくというような形。それから,一般の方向けには図書館と連携して,ふだん法律は余り興味ないというような方に向けても,法教育セミナーというような形で,そういう公共の場でどんどんやろうということで取り組んでまいっております。   問題点としては,より市民向けの,法律に興味のない方,昨年度も山中委員より指摘されておりますけれども,そういう一般の方向けに,どう,より広げていくかというところで,そうなりますと,単にセミナーということであると,ちょっと敷居が高いということで,落語とか映画とか演劇とか,そういうものを交ぜて一般の方が来やすく,参加しやすいものをより目指していこうという取組を今行っているところでございます。 伊藤委員長 増田委員,いかがでしょう。よろしいですか。 増田委員 はい,結構です。 伊藤委員長 では,池田委員からお願いします。 池田委員 御説明ありがとうございました。   まず1点目,4-29について若干お伺いできればと思います。   寄附を集めること自体は,大変難しいことだというふうに認識をしておりますけれども,27年度におきましては,一般の寄附収入について非常に大きく26年度に比べて伸びているというのを拝見をしております。大口の寄附があったということが記載をされておりますけれども,ここから何か,これが単に偶発的な27年度だけに起きたことなのか,あるいは今後も一般寄附を増やしていくために,何らかの工夫の余地があるというふうにお考えなのか,その辺りの状況をお聞かせいただけたらなというのが,まず1点目でございます。 伊藤委員長 それでは,1つずつお願いすることにして,一般寄附の増額自体は大変喜ばしいことでございますが,それを今後のこの種の活動の材料として生かすためには,どういうことが考えられるか。そういった辺りについて,御説明をお願いしたいと思います。 大畑課長 総務課長の大畑でございます。   一般寄附につきまして,記載しましたとおり,昨年度は大口の寄附を頂くことができたということがございました。この内容につきましては,身寄りのないお年寄りに役立ててほしいという形で,使途を特定した寄附という形で頂いたものでございます。  法テラスが司法ソーシャルワークの取組を全国的に展開しているということを知ってくださっていた遺言執行人の方が,遺言の執行という形でしてくださった寄附だったのですけれども,法テラスにぴったり合うのではないかということで,御寄附いただけたということでございます。   そのような寄附の受入れをしましたことから,過去の10年間の寄附の動向を改めて調べてみましたところ,やはり一般寄附で比較的大きく額が上がっているところにつきましては,今申し上げたような使途を特定した寄附というものが多いという傾向が分かりました。   1万円,2万円の一般的な寄附ではなくて,使途を定めた寄附というのが増額に結び付くということが分かりつつありましたし,一方で,この使途を特定した寄附を法テラスが受け入れることができるということが,余りこれまで広報されてなかったのかなということも改めて気付きましたので,今年度の取組ということになりますけれども,今年度は使途を定めた寄附を受け入れることができるということについて,遺言の執行という形でもできますし,その点であれば弁護士さんが関わる点も多いことだろうというふうに思いますので,その辺りの広報を,少し力を入れてやりたいというようなことを考えているところでございます。 伊藤委員長 1点目はよろしゅうございますか。 池田委員 はい,ありがとうございます。本当に広報活動と密接なところが非常に大きいのだろうと思いますので,是非,広報活動にお力を入れていただくことが,こういったことにもつながるのだと思います。ありがとうございました。   2点目は,その広報活動に関するもので,5-35のところなのですけれども,先ほど御説明を丁寧に頂いたとおり,それから事務局から追加の資料も本日,頂戴をいたしましたけれども,若干拝見をしていると,テレビCM自体が圧縮されているとか,業務内容の広報活動にどちらかというと軸足を移されたという状況は理解できるとはいうものの,やっぱり認知そのものが主要な経年データの指標として採用されている状態で5%以上落ちてしまっていること自体は,やはり非常に気に掛かるなというふうに思っております。   したがって,まず1つは,特に調査の仕方等々には変化がなかったというふうにはお伺いをしているのですけれども,改めてこの5%以上落ちてしまったところに関して,法テラスとしては,どのようなふうにお捉えになってらっしゃるのかということと,業務内容の認知に軸足を移すとはいうものの,では主要な経年データとしてとっていくもの自体は,今後変更なさるおつもりなのか,あるいはそうではないのか辺りについては,どのようなお考えをお持ちかというところを聞かせていただけたらと思います。 伊藤委員長 それでは,お願いいたします。 河原部長 広報・調査室長の河原でございます。その立場でお話をさせていただきます。   まず,名称認知度が5%落ちてしまったということにつきまして,一生懸命頑張ってきたのだけれども落ちてしまったということは,やはり客観的な数字で表れていることなので,きちんと受け止めなければならないなというふうに思っているところであります。  名称認知度を業務認知度の方に軸足を移したということで,業務認知度を見るということを考えてはいるものの,他方で,やはり存在ですとか名称,これを知ってもらうということも,まず1つ最初にあることだと思いますので,その辺りは両方きちんと見ていかなければいけないなというふうに思っています。   そういう中で,指標として今後何をどういうふうにとっていくのかというところにつきましては,下がったというのは27年度が初めてでございまして,これをどのように受け止めて,今後どういうふうにしていけばいいのだろうかというのは,正直に申し上げますと,かなりまだ私ども担当者たちの間で混乱もあり,その中で徐々に整理されながら今いるというところでございますので,これからの指標ということにつきましては,また考えていきたいと思っております。   ただ,担当者たちでよく話していることは,広報は何のためにやるのか,誰に向かってやるのか,そしてどういう経過を経て名称認知度や業務認知度につながっていくのか,その辺りのことをよく勉強して把握して,効果的にやっていくことを考えよう,そしてその結果が出たときは,それについて十分に検討してまた考えよう,後ろ向きにならずに前向きにやっていこうということでは考えておりまして,余り御回答にはなっていないのですが,現時点ではそのように考えております。 伊藤委員長 池田委員,御質問からすると十分な説明があったかどうかは,なお問題があるかと思いますが,現状そういうことだと御理解ください。 池田委員 ありがとうございました。 伊藤委員長 では,黒田委員,お願いいたします。 黒田委員 私も4-29の自己収入のところをお尋ねしたかったのですけれども,地方自治体でも身寄りのない方が全部寄附をするというのは結構ございまして,やはりこの法テラスの認知度を高めて,有力な寄附先の1つだという広報をやるというのは大変いいことだと思います。   それと,この事業収益のところ,御説明で受任件数は増えたというふうに先ほどお聞きしたのですけれども,ただ単価が下がって全体としては減少になっている,こういうことでしたけれども,受任件数は数値的にどれぐらい伸びていったのかということと,それから,1件当たりの金額がかなり下がっているのかどうか,件数の増減割合にもよるのですけれども,それがどういう事情なのかということが,もしお分かりになれば教えていただきたいということ。   それからもう1つは,地方自治体等からの財政支援等ですね。これが実際問題,27年度にあったのかなかったのか。もしあれば,例えば財務諸表上でどういうような会計処理になっているのか。何もしないでオフバランスなのか,受けた経済的利益の部分が会計処理されるのか,その状況を教えていただけますでしょうか。 伊藤委員長 この点は,第1点と第2点,両方ございますが,どなたに説明をお願いできますか。 宮木課長 有償事件の事件数が増加している一方,金額が下がっている部分について説明させていただきます。   事件数についてでございますが,26年度の有償事件の件数につきましては727件,これに対して27年度の件数は761件ということで,少しではありますけれども増加している状況がございます。   一方,事件数が増えているにもかかわらず,事業収入としては減っている理由ですが,先ほど黒田委員からも御指摘があったとおり,単価が下がっているというところがございます。   その理由でございますが,恐らく,従前たくさんありました過払い事件ですと,やはり有償の収益額としては大きかったのですが,それが終息してしまって,現在は少なくなってきている,一方で家事事件などが増えてきている,家事事件ですと,有償事件としてもそれほど多くの報酬を取れるわけではないということもありますので,そういった事情が背景としてあること,それから弁護士数が増えたこともありまして,今までは,有償事件の中でも比較的高額のものについて,常勤弁護士が扱うということもままあったのですけれども,そういったものについて,一般の弁護士さんが受任するということが増えてきて,比較的,有償事件の中でも単価の低いもの,しかし救わなければいけないもの,こういったものに常勤弁護士が注力をしているという現状があると思っております。 伊藤委員長 第2点の財政支援の会計処理に関して,説明をお願いいたします。 澁谷課長 財務会計課長の澁谷と申します。よろしくお願いいたします。   まず,地方自治体からの寄附金等の話でございますが,多摩地区の方から補助金という形で70万円ほど頂いているというのがございます。その70万円,現に支払っていただいたものについては,損益計算書上,寄附金収益という中で処理させていただいております。 黒田委員 ありがとうございます。では,賃料無償にするとか低額にするとかという,そういう形での財政支援というのはないわけですね。 宮木課長 地域事務所においては,自治体の方から無償で事務所を貸していただいている例というのがありまして,27年度に設置した鰺ヶ沢地域事務所,あるいは26年度に設置した鹿角地域事務所,こういったものについては無償で提供していただいているという状況がございます。 伊藤委員長 どうぞ,黒田委員。 黒田委員 そうすると,今のような無償でオフィスを借りているという場合は,1つはそういった経済的利益があるわけですね。それは,その経済的利益を会計的に認識するかどうか議論があるかと思うのですけれども,分かりやすくすると,そういった経済的利益がある,それからコストが発生する,もちろん差額はないわけですけれども,それは会計的に認識をしてないということでよろしいのでしょうか。オフバランスになっているということですね。 北郷補佐 財務会計課より,お答えいたします。   その鰺ヶ沢地域事務所などを無償で使用させていただいている関係について,損益計算書に直接数値が出てくるものではございません。   無償で使用させていただいている関係は,行政サービス実施コスト計算書という書類の中の機会費用というところに表示するかどうかという問題になります。確かに無償にて使用させていただいているところではございますが,年額としては大きな規模の金額にはならないため,財務諸表に表示を要するほどの重要性という観点からは,表示をしないこととしておりまして,結論としまして財務諸表上にその数値の表現はない状況となっております。 黒田委員 ありがとうございます。   事業実績のところでは,中期計画とか年度計画でも,いろんな努力目標,あるいは計画も入っているわけですが,それに対する財務諸表上の記述としては全く何もないのですけれども,現実にはあるわけですね。ウエイトはまだ小さいという現状ですね。どの程度,小さいのですか。年間でどれぐらいの経済的利益を受けているのですか。 北郷補佐 鰺ヶ沢地域事務所であれば,その事務所を有償で賃借した場合にかかるであろう賃料の年額分という計算になりますけれども,申し訳ありません,今手元に実額がございませんので,直ちにはお答えできません。 黒田委員 ありがとうございました。重要性には乏しいというのは,私も十分に推定できるところです。ありがとうございます。 伊藤委員長 そこは,もし調査すればしかるべく数字が出るというのであれば,後日補充していただけますか。 北郷補佐 承知しました。 伊藤委員長 どうぞ,髙部委員。 髙部委員 同じく4-29の関係でのお話なのですが,この4-29の2「有償受任等による自己収入」の(1)のところなのですが,「司法過疎地域事務所における27年度受任事件数の内訳」ということで,その司法過疎地域事務所という縛りが掛かっています。ということは,司法過疎地域以外の場所については,常勤弁護士は民事法律扶助も国選弁護も有償事件もやらないという趣旨なのか,それとも,やっている中身については,この件数の中に含めない何か合理的な理由があるのか。   つまり何が言いたいかというと,これは弁護士会との関係があろうかと思うのですが,司法過疎地域で,常勤弁護士がそういう形で事件を担当することはより促進されるべきだというのがあるのかもしれませんが,司法過疎地域以外の場所で,そういう形で常勤弁護士が法律扶助に関わるような業務を行うことは,前はおやりになっていたと思うので,今はやられていないという御趣旨なのか,その辺りのところについての認識が,ちょっと私誤解しているのかもしれないので,教えていただきたいものですから,よろしくお願いいたします。 伊藤委員長 これは,宮木課長からお願いできますか。 宮木課長 項目別評定調書については,司法過疎地域事務所に限定して書いておりますが,本所併設型あるいは支部の法律事務所における常勤弁護士において,基本的に,民事法律扶助,それから国選弁護事件をやっているのは御指摘のとおりでございます。   ただ,有償事件に関しては,基本的には司法過疎地域事務所に所属する弁護士が行うというのが原則でございます。ただ一部,例えば成年後見の事件ですとか,なかなか担い手が本所併設型の事務所でも少ない場合というのがございますので,そういった場合には,例外的に有償事件を受任する場合もございます。ただ,それは例外でございますので,有償の自己収入という意味では,原則である司法過疎地域事務所を前提に書かせていただいているというところでございます。 伊藤委員長 髙部委員,どうぞ。 髙部委員 若干,その説明はまたかえって混乱するのですけど,なぜ司法過疎地域事務所における民事法律扶助の件数と国選弁護の件数が挙がっていて,全体の件数が挙がっていないのでしょう。   常勤弁護士は,当然のことながら,法律扶助でやったとしても,その関係についてお金もらうわけではないけれども,その分についてはしっかり常勤弁護士が行うことによって節約しているわけでしょう。そうしたら,言わば自己収入に替わるようなものを挙げて,支出が生じなかったという趣旨でプラスに判断することができるのだったら,それを付け加えてたら良いのではないか,そういうふうにやっていただいて,ここの金額が膨れ上がれば,それはそれでBではなくてAになるのではないでしょうかということを申し上げたかった。 伊藤委員長 ただいまの髙部委員の御質問,問題意識,御理解いただいていますでしょうか。  司法過疎地域でない地域における,ここに挙がっているような項目に対比するようなものとしてどういうものがあって,それが数字としてどうなのかということを,もう少し委員の我々に分かりやすく説明していただくような資料及び説明を補充していただければと思います。 松本参事官 事務局の方からよろしいでしょうか。 伊藤委員長 どうぞ。 松本参事官 事務局から少し補足をさせていただきます。   今,髙部委員の方から御指摘がございました,業務実績の部分に記載されております民事法律扶助,国選弁護・付添事件について,これがなぜ司法過疎地域事務所だけかというところでございます。  中期計画の方を御覧いただければと思うのですけれども,(2)といたしまして,有償受任等による自己収入に焦点が当たっておりますが,「司法過疎地域に設置した事務所において,民事法律扶助事件,国選弁護等関連事件に適切に対応した上で,有償事件の受任等により」と書いてあるものですから,その前提として扶助や国選の事件に適切に対応しているというところを法テラスとしても実績で書く必要があることから,事件数といたしましては扶助と国選についても書かれているのでございますが,他方で事業収益といたしましては,焦点が有償受任ということでございますので,こちらに扶助と国選は含まれてはおりません。   ただ,委員御指摘のように,スタッフ弁護士の実績の全体ということで見ますと,当然,扶助や国選をスタッフ弁護士がこなしました場合には,報酬が発生するというのではございませんが,仮想の収益にはカウントし得るということにはなるのですけれども,他方で,ここの項目からしますとちょっとずれてまいるというわけでございます。 髙部委員 それなりに合点がいきました。ありがとうございました。 吉成委員 今の司法過疎地域事務所以外の収入を補足というようなことで,後で説明はしてもらうのですよね。 伊藤委員長 それでお願いします。今の事務局からの説明で概要は分かりましたが,支援センターとしてより分かりやすく,ここにある記述の意味を説明するとすればこういうことですという,そういう趣旨の説明をお願いできれば,それでよろしいかと思いますが。 髙部委員 いや,今の吉成委員の言葉も含めて言うと,要するに全国規模でスタ弁と言いますか常勤弁護士がどれぐらい法律扶助とかやっているのかというところが,全体の資料を見たのですけれどもよく分からなかったのですよ。だから,その辺りのところの数字をちょっと教えていただけたらなというふうに思っているわけです。 伊藤委員長 そうですね。   もし,私どもの問題意識と言いますか,何を御説明いただきたいのかということについて,なお調整の必要があれば,私どもあるいは事務局と支援センターの担当者の方で少しその辺りを工夫していただいて,ここにある数字がどういう意味であるのかということがより明確になるようにしていただければと思います。   それでは,増田委員,どうぞ。 増田委員 認知度に関してですけれども,認知度の向上の取組ということで,いろいろと工夫が必要だろうということも1つあります。  それと,アンケートの取り方によって大分数値が変わってくるということも実際にはあるだろうと思います。インターネットだけでアンケートを取るのか,インターネットを利用しない人に対してのアンケートをどうするのかとか,いろいろあるかと思いますので,その辺りのところも検討の余地があるのかなというのがあります。   消費者庁が出している消費者意識基本調査というのがございますけれども,そちらの方では,法テラスを知っている,若しくは信頼している,その両方のパーセンテージが29.7%と出ているのですけれども,調査の手法が違うということは承知していますけれども,今こちらの方で取られている数値と違いますので,その辺りのところをどういうふうにお考えなのかということをお伺いしたいと思います。 伊藤委員長 ただいまの点は,どうでしょうか。 河原部長 今,御指摘を頂きました,その消費者意識基本調査というものにつきまして,私どもちょっと勉強不足で前々から分かっていたというわけではないのですが,これがどういったものなのかというところを見まして,委員御指摘のとおり,私どもがやっておりますのはインターネットの調査ですが,消費者意識基本調査というのは標本数も大変多くございまして,調査票を国勢調査みたいに置いてきて,書いてもらって,それを後日回収するという方法であるということで理解しております。一般的に言えばそういった留め置きと言うのでしょうか,置いてきて回収するという方法,これが信頼性の高い方法だというふうに認識しておるところでございまして,そういったところで名称認知度に匹敵するような,法テラスを知っている,あるいは信頼している,この合計パーセンテージが3割にちょっと満たないぐらいのところなものですから,私どもの調査の数よりも更に低いというところでありまして,ちょっと厳しい数だなというふうに思ったところでございます。   私どもといたしましては,こういった大規模な消費者庁がやっているような調査,数も1万サンプルということのようで大変多くございますので,なかなかそこに踏み切るのは難しいなというふうに思っておるところでもありますけれども,やはりまずは客観的な認知度,取り組んだことの成果が表れると思われる客観的な数値を何かとっていく必要はあると思っておりまして,それを経年で見ていかなければいけないということで,従前からやっているところの調査を今やっているというところであります。   ただ他方で,調査方法が違うけれども,方法が違うとこんな数値の結果もあるということがこういった形で分かりましたので,そういったところは,業務認知度がこういうふうに考えると高くなっているということだけで満足することなく,こういう少し厳しい数につきましても,きちんと受け止めて考えなければなと思っているところでして,まだこの調査につきまして少し勉強が不十分なところはありますので,もう少しいろいろと見ながら,これからの広報活動に生かしていきたいなと思っているところでございます。 伊藤委員長 どうぞ,事務局から。 松本参事官 今,河原部長の方から言及があり,また最初に増田委員の方から触れていただきました消費者の意識調査の件でございますが,事務局の方で若干の資料を御用意させていただいておりますので,今配布をさせていただきます。 伊藤委員長 お願いします。 松本参事官 こちらは,消費者庁のホームページの方から抜粋をさせていただいたものでございます。本年の6月9日に消費者庁から公表されたもので,平成27年度消費者意識基本調査の結果ということで公表されてございます。   法テラスに関する部分だけを抜粋させていただいておりますが,グラフが載っておりますページを御覧を頂きますと,ちょうど中ほど,図3-3に(ア)から(ス)まで横のグラフがある中の上から3番目,(ウ)のところに法テラスということで,相談機関・窓口として法テラスが1つに挙がっており,信頼しているか,あるいは知っているかといった回答について集計結果が数字で出されております。 伊藤委員長 なるほど。いろいろ感じさせるところがある資料ですね。   そういうことも参考にしながら名称認知度の低下の原因だとか,あるいは認知度全般の向上等について,御検討いただければと思います。   どうぞ,池亀委員,お願いします。 池亀委員 私からは質問というより意見と言うか,先ほどの法教育のところについてです。3-22でございますが,今年度の法テラスのシンポジウムにつきましては,「子どもの貧困から考える生活困窮者の自立支援と司法」ということで開催されたということでございますが,昨今,子どもの貧困というのは非常に重要な課題だというふうに報道などでも認識しているところですけれども,この子どもの貧困の原因というのは様々なものがあるだろうなというふうに感じていまして,学校内の中でトラブルがあると,それを解決する力がなくて不登校になり,ひいてはひきこもりになり,その後日本をしょって立っていく若い人たちの力が外に出てこないという形になる,非常にゆゆしき問題だなという認識をしています。   一方,法教育と言いますと,やはり先ほどの消費者庁の関係もあって,消費者教育あるいは悪質商法,トラブルに巻き込まれない,高齢者を対象とした振込詐欺に遭わないとか,そういったことに重点が置かれがちのような気がしておりますが,地方事務所において取組をなさっておられます学校における出前授業というものも,我々司法書士会も同じように,どうしても今申し上げた消費者教育としての法教育に引きずられているような印象を持っております。   先ほどから,認知度アップということが話題になっていますけれども,この学校において取組が進んでいくことで非常に認知度が上がっていくものだというふうに思っておりまして,先ほど河原部長からも御指摘のあったとおり,どこにどのように効果的に広報を行うのか,広報というものだけを取り上げて議論をするということではなくて,やはりこういう活動を通して広報,認知度を上げていくということも,一方で有用なのではないかというふうに思っている次第です。   そこで,子どもの貧困ということをせっかく取り上げていただいたところですので,この法教育というところでもって,消費者問題等のように今までやってこられた手法の課題テーマとは別個に,子どもたちが解決能力をどういうふうに醸成していくのか,本来であれば家庭の中で,例えば,兄弟が2人,3人いるなら,兄弟げんかの中でトラブルを解決していくということが望まれた,そういう家庭環境が今は相当壊れているというような統計もあるところでございますので,そういった子ども同士のトラブルを解決する力を養うような,そういった教育を学校の中で行っていくというのも1つよいのではないかということを考えております。   NHKでも報道特集で報道されたような事例もあるように聞いておりますので,従来型というのが良い表現なのかどうかはちょっと分かりませんけれども,悪質商法に遭わないように,キャッチセールスに遭わないように,そういった取組は,司法書士会でも,恐らく弁護士会でもやっておられて,ずっと継続して20年以上取り組まれていることだろうと思います。契約というのは非常に重要なのだというような点を含めてのものかと思っておりますが,少し視点を変えて,そういったような取組もしていっていただく中でやはり子どもを対象にしていきますと,成長していきますので,子どものときに法テラスを知って,そしてその子どもたちが大人になっていけば,当然のことながら認知度は広がるものと思いますし,やはりシンポジウムで240名呼ぶというよりも学校に何度も出掛けていくことによって,学校というのはたくさん子どもがいますので,認知度の向上にも広がるのではないかというふうな認識を持っております。   是非ともそのような取組を,従来の消費者,契約に特化したものではない形の工夫をしていただいて,学校での子どもの貧困解消に向けてという部分も含めまして,法教育に力を注いでいただければというふうに考えておりますので,是非よろしくお願いいたしたいと思います。 伊藤委員長 法教育あるいは認知度向上についての,新しい視点からの御指摘かと思いますので,是非,センターにおかれましても御検討いただければと思います。   そろそろ予定の時間ですが,本日の時点でセンターに質問をされたいということがございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。   どうぞ,佐藤委員。お願いします。 佐藤委員 遅れてきて,もう既に説明されているのかもしれませんので,もしかすると重複になるかと思いますが,その点,御容赦いただきたいと思います。まず,1-4の職員の採用及び配置等に関する項目ですが,自己評価のところの評定がCで,最後のところに「以上のとおり」ということで書いてあって,常勤弁護士の事件により生じる財政的効果の分析がいまだ途上にあることからC評価としたというふうなことが書いてあり,これは具体的にどういったことをやるのかということが,その左側の方の(3)のところに財政的効果の把握等ということで書いてあって,いろんなことが書いてあるのですけれども,3番目に報告内容の見直しとかというようなことが書いてありますが,具体的にはこれはまだまだ手探り状態で全く分からないというふうなことなのでしょうか。それとも,具体的にはこんなことを考えているけれども,いまだ途中なのだというようなことなのでしょうか。   伊藤委員長 ただいまの御指摘の点,これで申しますと財政的効果の把握等の中の,活動を把握するための報告内容の見直しというのは,具体的にどういうことをお考えなのか,これについて説明ございましたらお願いいたします。 宮木課長 報告書の見直しにつきましては,27年度に既に行っているところでございます。   今までも,受任の前にいろいろな情報提供をしたりする活動というものが,どれほどの財政的な効果があるのかといった,事件の処理件数には必ずしも直結しないものについて,それ自体は常勤弁護士にそれぞれ報告書を上げさせてはいたのですが,実際にどこからつながってきて,それについてどういう対応をして,それが受任につながったのか,あるいは受任につながらないけれどもどういうところにつなげて終わったのかとか,そういった入りから出までの報告をとれるような形の報告書に変えております。   そういった中で,どういうことが見えてくるのかというのを,今,調査をしているという状況でございます。 佐藤委員 分かりました。ありがとうございました。   それと,2-17の情報提供業務に関してなんですが,電話での応対について1件当たり幾らぐらい掛かったかという数字が出ていますけれど,これの経費としては賃料等の固定費は除いた人件費を充てているというようなことを書いてあります。   この場合の人件費というのは,オペレーターだけじゃなくて,スーパーバイザーとか管理職の方の給料も入っていると思いますが,その内訳というか,オペレーターと管理職との給料の内訳というのはどの程度のものなのでしょうか。 伊藤委員長 先ほど関連する質疑がございました先の話なのですが,スーパーバイザー等の人件費も含まれているということですが,その内訳ということになりますと,何か具体的な数字は,御用意はありますか。 土田課長 平成27年度ですけれども,総額は先ほどお伝えしました3億2,042万177円ですが,そのうちのオペレーターの人件費は,社会保険料等を全部含んだものですけれども1億9,471万5,718円,つまり約2億円弱ですので,ざっくり言いますと3億円のうちの2億円程度というような形になっております。 佐藤委員 そうですか。そうすると,管理職の費用が多いのかどうかというのが,若干問題になるというような印象は受けておりますけれども,その点についてはどうお考えでしょうか。 土田課長 いわゆる一般職員については,コールセンター長以下,1億385万8,757円,つまり1億強でございます。 佐藤委員 大体3分の1が管理職で,3分の2がオペレーターということですね。オペレーターの数は80人から100人ぐらいだというようにお聞きしましたが,管理職の数はどれくらいなのですか。 土田課長 毎月動いていますので,27年4月1日現在でお答えいたしますと,オペレーターの数,これは100人ちょうどでございました。登用スーパーバイザー,つまり非常勤のスーパーバイザーが3名,常勤の一般職員のスーパーバイザーが7名,一般職員である管理スタッフ4名,それから総務の職員が7名でございます。 佐藤委員 分かりました。これは適切な配置なのかどうかというのは,個人的にはちょっとよく分からない点ですけれども,これについてはそちらでは適切だというようにお考えなわけですね。 土田課長 電話が伸びなかったということで年度の途中で採用を控えたりしまして,オペレーターの数は今年度の28年4月1日現在では88名まで削減しております。   ただ,急激に一気に落とすとか,そういうことができないもので。 佐藤委員 管理職というか,スーパーバイザーの役目をする方はそんなに増減しているわけじゃないわけですね。 土田課長 スーパーバイザーの方は総数では10名と変わらないですけれども,オペレーターから登用になったスーパーバイザーを2名増やしまして,一般職員のスーパーバイザーを2名減らしております。 佐藤委員 それと,結果的に1コール当たり九百幾らということになっていますが,これは高いのでしょうか,安いのでしょうか。 土田課長 他に比べるコールセンターがないものですから,できるだけこちらの方では費用を合理化して落とす努力をしておりますので,高いのか低いのかと言われるとちょっとお答えしようがないのですけれども,こちらとしては適正だと思っています。更に削れるところは削ってというふうな努力を惜しまないようにしようと頑張っております。 佐藤委員 世の中には,ほかにコールセンターがいっぱいありますけれど,いろんな事業のコールセンターがあったりとか,事業自体が違うので必ずしも比較はできないと思いますが,全然そちらの方とは比較したり,参考に調べたりもしたことはないということですね。 土田課長 今現在ということではなくて,コールセンター立ち上げ時などにはきちんと調査しましたけれども,やはり正確な1コール単価というのが分からない状態ではございます。 伊藤委員長 それでは,予定の時間も限られておりますので,佐藤委員含めまして,他の委員の方も追加の御質問があれば事務局にお寄せいただいて,またそれに対する回答内容を共有するという形にしたいと存じます。   引き続きまして,今まで支援センターから御説明いただきました27年度業務実績評価につきまして,監事からの御意見を承りたいと存じます。   どうぞよろしくお願いいたします。 津熊監事 監事の津熊から申し上げます。   まず,法テラスの業務全体についての意見でございますが,法テラスの業務は全般的に適正に運営されていると認められます。   次に,個別事項3点につきまして,若干の意見を申し上げます。   まず第1に,項目番号1-3「高齢者・障害者等に対する援助の充実」中の司法ソーシャルワークについて申し上げます。   国民の4人に1人が65歳以上となる超高齢化を迎えるとともに,障害者に対する差別の解消を目指す今日の社会にとりまして,平成26年度から始まりましたこの取組は,法テラス運営理念の行動指針に正に合致するものであると考えております。すなわち,行動指針の1つである,人間性豊かで質の高いサービスの提供と多様化する社会のニーズへ的確に対応するものと言えますし,同じく行動指針の関係機関,地域社会と連携し,法律家等の援助によって誰もが安心して暮らしていける社会作りに貢献するものと認められるものであります。   この司法ソーシャルワークの取組は,緒についたばかりではありますが,法テラスの行う事業として大きな期待を抱かせる取組でございます。   27年度におきましては,業務実績の報告にございましたように,連携対象となる福祉機関や福祉団体のリストアップ,担い手となる弁護士の名簿整備など実施体制の整備を進め,具体的な連携スキームの構築も広がりを見せているだけでなく,実際の法的支援を実現するための活動として,連携を契機とした巡回相談件数や,連携を契機とした出張相談件数も着実に増加しております。   このような取組は,今後も更なる全国的な展開が望まれるところでございますが,いまだ草創期であるとは言え,関係機関との連携強化のための活動が重要な時期であると言わざるを得ないと思います。そして,その活動は事の性質上,多くの手間暇を要するものでありますけれども,必要不可欠のものでありますので,それ自体に価値が認められるべきであると思われます。  したがいまして,その活動自体の価値を適正に評価して,数値化されることを期待したいと考えております。   次は,「Ⅱ.業務運営の効率化に関する事項」の項目番号2-17「情報提供業務」についてであります。   業務実績の報告にございましたように,コールセンターにおける1コール当たりの運営経費は26年度の数値をやや上回りました。しかし,情報提供件数に占めるコールセンターでの対応件数割合は6割を超えておりまして,コールセンターは情報提供業務において重要な役割を果たしている実情にございます。   さらに,法テラスではコールセンターの業務範囲を拡大する工夫を施しております。すなわち,民事法律扶助業務に含まれる資力要件確認サービスの実施を拡大させておりますほか,27年度からの新たな試みとして,地方事務所・支部にかかってくる話中電話や無応答電話をコールセンターに自動転送することにより,コールセンターで対応するという取組を開始し,その取組の対象事務所数も転送件数も徐々に増加しております。地方事務所とコールセンターの間で役割分担を明確にし,かつ組織全体の人員の再配置を推し進めるという観点からは,コールセンターの取り扱う業務の重要度は今後ますます大きくなっていくものと思われます。   最後に,項目番号4-30「効率的かつ効果的な立替金債権等の管理・回収方法の工夫」についてでございます。   業務実績の報告にございましたように,生活用口座からの引落しを推進し,口座引落しが不能な方に対してコンビニでの支払いを督促することを始めとして,そのほかにもきめ細やかな督促体制を整備することなどにより,償還実績額が大きく増加いたしました。これらの施策は,法テラスを利用される方々の利便性に着目した工夫を行ったことによりまして,業務実績を大きく向上させたものであると認められるのであります。   他方で,免除対象となる立替金の処理を進め,回収見込みのない債権を償却したことも適切な取組であると認められます。法テラスの事業が,基本的に国費で運営される公的事業であるとの観点に立ちまして,今後もより一層,新たな工夫と粘り強い努力によりまして,適切な債権管理を行うことが望まれます。   監事の意見は以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいま,司法ソーシャルワーク,情報提供業務,そして立替金債権の回収の3点を中心にいたしまして監事からの御意見を頂戴いたしましたが,委員の方々から御質問ございますでしょうか。   よろしいでしょうか。 (各委員了承)   それでは,議題(2)法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見について入りたいと思いますが,まずセンターから財務諸表等についての説明をお願いいたします。 澁谷課長 財務会計課の澁谷から説明させていただきます。   お手元の資料の4-1から4-3までとなります。これに基づいて進めさせていただきます。   資料4-1の財務諸表は,法人全体の状況を表示する法人単位財務諸表と,一般勘定及び国選勘定の勘定別財務諸表の計3種類により構成されております。   資料4-2の事業報告書は,主要な損益の発生要因を明らかにするなど,法テラスの運営状況につきまして,国民に分かりやすい形での情報開示を行ったものでございます。   資料4-3の決算報告書は,年度計画において定めました予算の区分に従い,決算の状況を表示したものでございます。財務諸表と同様,法人単位及び勘定別決算報告書により構成されております。   財務諸表の概要につきましては,法人単位の財務諸表により御説明させていただきます。   まず,財務諸表の1ページから4ページとなります。また,主要な財務データの経年比較に関しまして,資料4-2の事業報告書17ページに記載されておりますので,こちらも合わせて参考に御覧ください。   なお,これら平成27事業年度財務諸表等につきましては,監事による監査結果報告書におきまして,会計処理は適正に行われているとの評価,また独立監査人の監査報告書におきましても,無限定適正意見を受けておりますことを御報告いたします。   それでは,まず貸借対照表について御説明いたします。   貸借対照表は,期末時点における法人の資産,負債及び純資産の状態を示すものでございます。   平成27年度末における資産合計は185億5,100万円であり,前年度末との比較では,10億2,500万円増加,5.8%増をしております。これは未収金が10億1,900万円増加,195.2%増したことなどが主な要因でございます。   次に,この資産に対応する負債の合計は182億円でございまして,前年度末との比較では,10億3,900万円増加,6.1%増しております。これは未払金が9億3,800万円増加,16.4%増,退職給付引当金が1億6,000万円増加,26.3%増したことなどが主な要因でございます。   続きまして,損益計算書について御説明いたします。   損益計算書は,法人の運営状況を明らかにするため,1会計期間に属する全ての費用と,これに対応する全ての収益を記載したものでございます。   まず,経常費用につきましては,344億8,400万円であり,前年度との比較では7,700万円増加,0.2%増をしております。これは,貸倒損失が1億5,000万円増加,22.9%増,人件費が1億2,700万円増加,1.6%増したことなどが主な要因でございます。   一方,この経常費用に対応する経常収益の方でございますが,344億7,000万円であり,前年度との比較では1億8,700万円増加,0.5%増しております。これは,日弁連受託事業収益が2億4,100万円減少,12.0%減した一方で,政府受託事業収益が3億4,900万円増加,2.2%増したことなどが主な要因でございます。   このような損益計算の結果,当期総損失として,1,400万円を計上しておりますが,これらはファイナンスリース取引,資産除去債務及び為替変動の会計処理の影響によるものでございます。これらの影響額を除いた当期総損益はゼロ円であります。   続きまして,キャッシュフロー計算書について御説明いたします。   キャッシュフロー計算書は,発生主義を除く損益計算書とは異なり,法人の1会計期間における資金の動きを示す財務書類です。   まず,業務活動によるキャッシュフローはプラス4億1,600万円であり,前年度との比較では25億2,200万円増加,119.8%増しております。これは国庫納付金の支払額29億8,600万円の減少が主な要因でございます。   投資活動によるキャッシュフローは,マイナス3,900万円であり,前年度との比較では2億8,100万円増加,87.7%増しております。これは無形固定資産の取得による支出が2億6,800万円減少,87.9%減したことが主な要因でございます。   財務活動によるキャッシュフローは,マイナス1億3,200万円であり,前年度との比較では200万円増加,1.6%増しております。これはリース債務の返済による支出が減少したことが原因でございます。   これらのキャッシュフローにより,資金期末残高は75億1,400万円となっており,前年度末との比較では2億4,400万円増加,3.3%増しております。   最後に,行政サービス実施コスト計算書について御説明いたします。併せて事業報告書の24ページの方も御覧ください。   行政サービス実施コスト計算書は,納税者である国民の観点から,法テラスの業務運営に関し,損益計算書上の費用だけでは把握できないコストも含めて表示しているものでございます。   まず,損益計算書の費用344億8,400万円から,民事法律扶助事業収益や有償受任事業収益などの自己収益192億1,000万円を差し引きまして,国民負担となる業務費用が152億7,400万円となります。   この金額に,将来交付される運営費交付金によって賄えるために,貸借対照表上に引当金を計上する必要がないとされております引当外賞与見積額900万円,及び同様に引当金計上のない引当外退職給付増加見積額2億1,200万円,並びに機会費用を合計しまして,国民負担となるコストは,計154億9,600万円となります。前年度との比較では1,700万円増加,0.1%増しておりますが,これは政府受託収益が3億4,900万円増加,2.2%増して減少要因となっている一方で,業務費用が2億7,000万円増加,0.9%増,日弁連受託事業収益が2億4,100万円減少,12.0%減したことが主な要因でございます。   財務諸表に関する説明は以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいまの点につきまして,監事から御意見をお願いしたいと存じます。 山下監事 御報告させていただきます。先ほど,澁谷課長から御報告があったところと重なる部分が多いかと思いますけれども,御報告させていただきます。   財務諸表のうち,貸借対照表については,平成27年度は平成26年度と比較して,資産が10億円の増加,負債が10億円の増加となっています。これは,国選委託費の対象期間について,報酬の算定の確定時期を基準にした予算上の考え方と,役務提供完了すなわち報告書の提出時期を基準にした会計上の考え方の相違から,会計上は報告書提出があった時点で未払金を計上するものの,当事業年度の委託費には手当てされない部分が生じます。この部分について,翌事業年度の予算委託費から手当てされるということから,その部分を当事業年度の未収金に計上しております。   当事業年度において,以上のような考え方を再整理し,新たに未収金を計上した結果として,資産が10億円増加しています。一方の負債10億円の増加は,国及び日弁連への委託費,清算返還の未払金が前事業年度よりも大きくなったことなどによるものです。   また,損益計算書については,経常収益では,平成27年度は平成26年度と比較して,政府受託収益が3億5,000万円の増加,日弁連受託事業収益が2億円の減少となっております。政府受託収益の増加理由は,国選勘定での契約弁護士報酬の増加3億円,国選勘定での人件費の増加5,000万円に対応した結果です。日弁連受託事業収益の減少理由は,実績の減少によるものです。   経常費用では,平成27年度は平成26年度と比較して,契約弁護士報酬が1億円の増加,人件費が1億円の増加,貸倒損失が1億5,000万円の増加となっています。契約弁護士報酬の増加は,先ほど述べた理由と同様,国選勘定での契約弁護士報酬が3億円増加した一方,一般勘定での契約弁護士報酬は2億円減少した結果です。また,人件費の増加は,人事院勧告に基づき給与を決定した結果です。貸倒損失は,適時かつ適正に免除処理を進めた結果です。   これを除いた業務費,一般管理費は3億円の減少となっており,経費削減の効果が数値に表れた結果と言えるかと思います。   また,平成27年度は平成26年度と比較して,当期純利益が1億円増加しております。これは,平成25年度が第2期中期目標期間の最終事業年度であり,貯蔵品等,翌年度に繰越しが認められた経費について,平成26年度において目的積立金取崩し額として処理した結果であり,当期総利益においては昨年度と同水準となっております。   これを受けまして,平成27年度に係る財務諸表,決算報告書は,会計監査人有限責任あずさ監査法人の監査を受けており,監事の監査報告の中で,会計監査人有限責任あずさ監査法人の監査の方法及び結果は相当であると認めているとしております。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいまのセンターからの報告及び監事からの御意見について,何か御質問はございますでしょうか。   どうぞ,黒田委員。 黒田委員 全体として監事及び会計監査人のクリーンオピニオン,それぞれ頂いておりますので特にはないのですけれども,最近の金融の関係からいきますと,いわゆるマイナス金利という,こういう状況でございますので,財務諸表の項目の中にもそういった金利を用いて評価をしている項目がありますが,当センターにおきましては,マイナス金利についての項目についてはどのようなお考えで決算されているのか,それだけアウトラインを教えていただければと思います。 伊藤委員長 では,お願いします。 澁谷課長 先ほど話に出ました機会費用の点で,その点について検討したものがございます。具体的には,いわゆるマイナス金利が導入されたことに伴いまして,政府機会費用をどのように計算すべきかというところで検討をしております。   これにつきましては,政府出資金の額に,期末日における10年物の国債利率を乗じて算出するというふうにされておりまして,平成27年度末における同利率がマイナスとなったことから,マイナスの金額を表示するかというところがございますが,総務省等から出されている指針に従いまして,利率ゼロ%として計算して,機会費用についてゼロ円という表示にしております。 伊藤委員長 よろしゅうございますか。 黒田委員 はい。ありがとうございました。 伊藤委員長 ほかには,よろしゅうございましょうか。   どうぞ,吉成委員。 吉成委員 資料4-1の2ページの損益計算書ですけれども,この中の下の方に,経常収益というところに日弁連受託事業収益として17億があるのですけれども,これに対応する費用というのはどこに該当するのでしょうか。 伊藤委員長 いかがでしょうか。 澁谷課長 損益計算書の経常費用の業務費のうちの,契約弁護士報酬と人件費の中に,これに対応する費用が含まれているということになっております。 吉成委員 分かりました。ありがとうございました。 伊藤委員長 よろしいでしょうか。 (各委員了承)   そういたしましたら,先ほども申しましたが,追加で御質問等がございましたら,全体を含めまして適宜の方法で事務局にお伝えいただければと存じます。その点,改めてよろしくお願いいたします。   以上,特段,御発言ございませんようでしたら,本日の審議の議題につきましては終了といたしたいと思います。   最後に事務局から,今後のスケジュールについての説明をお願いいたします。 松本参事官 事務局から御説明させていただきます。   まず,本日の議事録の作成についてでございます。従前,事務局におきまして原案を作成しました後,御出席の委員の皆様に内容を御確認いただきまして,最後に委員長に全体を御確認いただきましてから公表するという手順で行っておりますので,本会議におきましても同様の手順で行わせていただきたいと考えておりますが,よろしいでしょうか。 伊藤委員長 皆さん,よろしゅうございますか。 (各委員了承)   それでは,そのようにお願いします。 松本参事官 ありがとうございます。それでは,そのように進めさせていただきます。   次に,次回の会議の予定でございますが,第49回評価委員会を8月3日水曜日,15時から18時までの間で予定をさせていただいております。その際に業務実績評価,財務諸表の承認の件について御検討いただきまして,当委員会としての意見を取りまとめていただきたいと思っております。   それから,本日,資料の内容に関しましていろいろな御質問を頂きましたが,更に御質問などがございました場合,遠慮なく事務局の方にお申し付けいただければと思います。     以上でございます。 伊藤委員長 次回期日までに委員の方々にお願いする事項が多々ございまして,時間的に窮屈で申し訳ございませんけれども,よろしく御協力お願いいたしたいと存じます。   以上をもちまして本日の評価委員会を終了といたします。   ありがとうございました。 -了- - 39 -