法制審議会戸籍法部会 第1回会議 議事録 第1 日 時  平成29年10月20日(金)   自 午後 1時30分                          至 午後 4時25分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題  戸籍事務へのマイナンバー制度の導入に係る戸籍法等の改正について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○渡邊幹事 それでは,予定した時刻が参りましたので,法制審議会戸籍法部会の第1回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中,御出席いただきまして,誠にありがとうございます。私は,法務省民事局で民事第一課長をしております渡邊と申します。部会長の選出があるまで,議事の進行を務めさせていただきます。   議事に入ります前に,この法制審議会及び部会について若干御説明を申し上げます。   法制審議会は,法務大臣の諮問機関でございます。その根拠法令である法制審議会令によれば,法制審議会に部会を置くことができることとなっております。戸籍法部会は,9月19日に開催されました法制審議会第179回会議におきまして,法務大臣から戸籍事務へのマイナンバー制度の導入に係る戸籍法等の改正に関する諮問第105号がなされ,これを受けまして,その調査審議のために設置することが決定されたものであります。   法制審議会に諮問された事項は,「国民の利便性の向上及び行政運営の効率化の観点から,戸籍事務にマイナンバー制度を導入し,国民が行政機関等に対する申請,届出その他の手続を行う際に,戸籍謄本等の添付省略が可能になるようにするとともに,電子情報処理組織を使用して行う戸籍事務を原則とするための規定及び戸籍の記載の正確性を担保するための規定の整備等,戸籍法制の見直しを行う必要があると考えられるので,その要綱を示されたい」というものでございます。   まず,審議に先立ちまして,臨時委員の小野瀬民事局長から一言御挨拶を申し上げます。 ○小野瀬委員 民事局長の小野瀬でございます。事務当局を代表いたしまして,一言御挨拶申し上げます。   皆様には,御多忙の中,法制審議会戸籍法部会の委員及び幹事に御就任いただきまして,誠にありがとうございます。   マイナンバー制度は,複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であるということの確認を行うための基盤であり,国民の利便性の向上や行政運営の効率化を図るため,行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律,いわゆるマイナンバー法に基づき,平成28年1月から運用が開始されております。   このマイナンバー法,平成27年10月から施行されておりますが,この法律の附則第6条におきまして,施行後3年を目途とする見直しを行うこととされておりますところ,各種閣議決定により戸籍事務をマイナンバーの利用範囲とすることについて検討が求められていたところでございます。   これを受けまして,法務省において戸籍制度の在り方を検討する戸籍制度に関する研究会及びシステムの在り方を検討する戸籍システム検討ワーキンググループの二つの有識者会議を設置し,これまで検討を行ってまいりました。それぞれの有識者会議におきまして,本年8月までに検討結果の取りまとめが行われ,その結果,戸籍の正本は引き続き市区町村において管理することとし,現在法務省が戸籍情報のバックアップとして運用管理を行っております戸籍副本データ管理システムの仕組みを利用して,法務省においてマイナンバー連携のためのシステムを構築することが提言されたところでございます。   この提言を踏まえて,更に幾つかの課題を検討する必要がございます。   第1に,国民の利便性の向上や行政運営の効率化の観点から,戸籍事務にマイナンバー制度を導入することにより,国民が行政機関等に対する申請,届出その他の手続を行う際に,戸籍謄本等の添付省略が可能となるよう,戸籍法等の規定を整備する必要がございます。   第2に,戸籍事務は,現在,大半の市区町村で,コンピューターを使用して事務処理が行われておりますところ,現行の戸籍法は紙での処理を原則とした規定となっておりますことから,これをコンピューター処理を原則とする戸籍法の規定を整備する必要がございます。   第3に,マイナンバー制度の導入とは直接は関連いたしませんものの,戸籍の届出に係る審査の在り方や,戸籍訂正制度の見直しといった戸籍の記載の正確性を担保するための規定を整備するなど,戸籍法の規定を見直す必要がございます。   そこで,以上のような戸籍法制の見直しを行う必要があると考えられますところ,その見直しの要否を検討の上,規定の見直しを要する場合には,その要綱を示されるよう,法制審議会において調査審議いただきたく,今回の諮問がされたものでございます。   私ども事務当局といたしましては,戸籍法制の見直しに向けた調査審議が充実したものとなるよう,最大限の努力をする所存でございますので,委員,幹事の皆様には,より適切な戸籍法制の整備のために御尽力を賜りますよう,何とぞお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。  (委員等の自己紹介につき省略) ○渡邊幹事 どうもありがとうございました。   併せまして,この機会に,関係官につきまして補足説明いたします。   法制審議会議事規則によりますと,審議会においては,調査審議に関係があると認めた者につき,これを関係官として参加していただくことができるとされておりますが,この部会におきましても,御意見を伺うべきと考えられましたことから,他の部会と同様に御参加いただいたものでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。   次に,部会長の選任に移りたいと思います。   法制審議会令によりますと,部会長は当該部会に属する委員及び臨時委員の互選に基づきまして,会長が指名をされるということになっております。   部会は,本日が第1回会議でありまして,部会長が指名されていない,そういった状態でございますので,まず,初めの手続としまして,部会長の互選をしていただきたいと思います。   それでは,部会長の御推薦は,ございますでしょうか。 ○安達委員 よろしいでしょうか。私は,戸籍システム検討ワーキンググループに参加させていただいていたのですが,その際に,戸籍制度研究会での御議論を踏まえましていろいろ議論を進めてきたところです。ということで,戸籍制度研究会をお取りまとめになりました窪田委員を御推薦したいと思います。 ○渡邊幹事 ありがとうございます。   ほかに御意見はございますでしょうか。 ○畑委員 私も窪田委員が適任ではないかと考えております。窪田委員は,戸籍に関わりの深い,戸籍の前提となる家族法の分野に深い学識経験をお持ちであります。それからまた,法制審議会のほかの部会において立法の準備作業に関わってきておられると承知しておりますし,他省庁あるいは自治体などにおいても学識経験者として様々な役割を果たしてきておられると承知しております。   以上のようなことから,私としても窪田委員が適任ではないかと考えております。 ○渡邊幹事 どうもありがとうございました。   ただ今,安達委員及び畑委員から,部会長として,窪田委員を推薦するという御発言がございました。   ほかに御意見はございますでしょうか。   ほかに御意見がないようでございますので,部会長には窪田委員が互選されたものと認めます。   その上で,本日は,法制審議会の井上会長に御出席をいただいておりますが,井上会長におかれては,いかがでございましょうか。 ○井上会長 ただ今の皆様の互選の結果に基づきまして,窪田委員を部会長に指名させていただきたいと思います。窪田委員,どうかよろしくお願いします。 ○渡邊幹事 ありがとうございます。   ただ今,井上会長から窪田委員を部会長に御指名いただきましたので,窪田委員には部会長席に移動していただきまして,以後の進行をお願い申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○窪田部会長 ただ今,部会長の御指名にあずかりました窪田でございます。大変に大きな仕事でございますので,緊張しておりますが,委員,幹事の皆様方に助けていただいて,何とか審議の方を進めさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。   先ほど小野瀬局長からもお話がございましたが,戸籍そのものは我々の生活には大変身近なものですが,これを検討するということになりますと,恐らく戸籍それ自体についても専門的な知識を求められますし,あるいはそのシステムを支えるという点で,コンピューターやネットワーク等に関する専門的な知識も求められるということで,大変に難しい部分があると思います。ただ,今回,委員,幹事の皆様方,それぞれの分野において造詣の深い方々に集まっていただきましたので,何とかいい形で検討を進めて,そして役に立つ意味のある方向を得ることができたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。   それでは,早速始めたいと思うのですが,ここで井上会長は御所用のため退席をさせていただきます。どうもありがとうございました。   それでは,審議に入ります前に,当部会における議事録の作成方法のうち発言者名の取扱いについてお諮りをさせていただきたいと思います。   まず,現在の法制審議会の議事録の作成方法につきまして,事務当局から御説明いただきたいと思います。 ○渡邊幹事 法制審議会の部会の議事録における発言者名の取扱いにつきましては,かつては発言者名を明らかにせず,逐語的な議事録を作成していた時期もございました。しかし,平成20年3月に開催されました法制審議会総会におきまして,それぞれの諮問に係る審議事項ごとに部会長において,部会委員の意見を聞いた上で,発言者名を明らかにした議事録を作成することができるという取扱いに改められております。   御参考までに申し上げますと,この総会の決定後に設置されました民事法関係の部会におきましては,いずれも発言者名を明らかにする議事録を作成するものとされております。したがいまして,この部会の議事録につきましても,発言者名を明らかにしたものとするかどうかを御検討いただく必要があるのではないかと存じます。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   それでは,ただ今の渡邊幹事からの御説明を踏まえまして,御質問あるいは御意見がございましたら,御発言をお願いしたいと思います。   よろしいでしょうか。もし特段御意見がないようでしたら,当部会におきましては,その審議事項の内容に鑑みましても,発言者名を明らかにした議事録,発言者名を記した議事録を作成するということにしたいと思いますが,それでよろしいでしょうか。   ありがとうございます。   特に御異論はないようですので,当部会につきましては,発言者名を明らかにした議事録を作成するということにしたいと思います。   それでは,本日の具体的な審議に入りたいと思います。   本日の議事でございますが,第1回目ということもございますので,この部会で今後,御検討いただくべき事柄についてのフリーディスカッションということにさせていただけたらと考えております。   まず,配布資料の確認とともに,お手元の部会資料1につきまして,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○渡邊幹事 それでは,お手元の資料のうち戸籍法部会資料1「戸籍事務へのマイナンバー制度導入のための主な検討事項」と題する資料を御用意ください。   まず第1につきまして,導入部分でございますが,このような検討をするに至った経緯について簡単に御説明を申し上げます。   平成25年5月,いわゆるマイナンバー法が成立し,社会保障・税番号制度が導入されることとなりました。そして,このマイナンバー法は,平成27年10月に施行されまして,28年1月から具体的な運用がされていると承知しております。   このマイナンバー法ですが,その附則におきまして,政府はマイナンバー法の施行後3年を目途として,マイナンバー法の規定について検討を加えるという見直し条項が付いております。   マイナンバー制度導入につきましては,戸籍事務に対しても当初の検討段階から,その利用範囲とすることを検討する,そういった対象になっておりました。しかしながら,当時マイナンバー法の検討が始まりました2010年(平成22年)の段階では,全市区町村の戸籍事務の電算化がいまだ87%と低い割合にとどまっておりましたことなどから,マイナンバー法の成立の際には,その利用範囲に戸籍事務を含むことは見送られたという経緯がございます。   その後,全国知事会から,施行後3年の見直しに合わせまして,戸籍事務を始め,聖域を設けることなく検討を進めるべきであるという要請がなされました。また,官邸の経済政策の政策会議であります日本経済再生本部が所管しております「日本再興戦略2014」等におきまして,戸籍事務をマイナンバーの利用範囲とすることについて検討を行うことなどが盛り込まれました。   さらに,「日本再興戦略2015」等におきまして,戸籍事務を処理するためのシステムの在り方と併せて,必要な論点を洗い出して,2019年の通常国会を目途に,必要な法制上の措置を講ずることも盛り込まれました。   こうしたことを受けまして,法務省民事局におきましては,平成26年10月から戸籍制度に関する研究会を立ち上げまして,戸籍事務にマイナンバー制度を導入した際に,戸籍法にどのような改正が必要かという観点から御議論を頂いてまいりましたし,また,平成27年から法務省が専門業者に調査研究を委託いたしまして,それをフィードバックする形でシステム検討ワーキンググループでの御議論を続けていただきました。   戸籍制度は,多くの場合,システムで処理されているのが現状でございまして,コンピューターで処理する場合の問題点等を洗い出してきていただいたところでございます。   戸籍制度研究会及びシステム検討ワーキンググループは,それぞれ平成29年8月頭までに取りまとめを終えて,法制審への諮問となった経緯でございます。   以上が,これまでマイナンバー制度の戸籍事務への導入につきまして,議論をしてきた概略の経緯ということになります。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   以上,マイナンバー制度の導入に関する手始めになる議論,経緯についての御説明をいただきましたが,次にマイナンバー制度の概要につきまして,内閣官房番号制度推進室から御説明をお願いいたします。 ○三橋幹事 内閣官房番号制度推進室兼内閣府大臣官房番号制度担当室の三橋でございます。   お手元に,戸籍法部会参考資料3という資料があるかと存じます。   マイナンバー制度についての概要を説明していただきたいということでございましたので,私の方から御説明をさせていただく次第でございます。時間は限られておりますので,机上に今日は条文も配布資料の中に入っているようでございますので,制度のポイントとなる点を簡単に御説明させていただきまして,何かもし御不明な点等がありましたら,後ほど質疑等をいただければと思っております。   早速でございますけれども,1ページを御覧いただけますでしょうか。   マイナンバー制度の意義でございますけれども,「行政を効率化し,国民の利便性を高め,公平・公正な社会を実現する社会基盤」という形で書かせていただいております。行政の効率化,後ほどまた制度を見ていきますけれども,行政機関や地方公共団体などでは様々な情報の照会,転記,入力などにいろいろな時間や労力が割かれているわけでございますけれども,それを削減しよう。あるいは複数の業務の間での連携を進めていて,作業の重複であるとかあるいは間違いであるとか,そういうことの無駄を削減しようというのが行政の効率化という点でございます。   それから,国民の利便性の向上というのがございますが,これも後ほどまた説明させていただきますけれども,マイナンバー制度を使いまして,異なる行政機関の間で情報をやり取りいたしまして,今まで国民が行政手続の際にいろいろな書類を持っていかなければいけなかった。例えば課税証明書でありますとか住民票でありますとか,生活保護の証明書でありますとか,いろいろなものがあったわけでございますけれども,そういうものを削減いたしてきまして,国民の負担を軽減しようと。そして行政機関からもいろいろなサービスのお知らせを出せるようにしようというものが,国民の利便性の向上というものでございます。   そして,三つの丸の上の方に行きますけれども,公平・公正な社会の実現という形で,所得や他の行政サービスの受給状況を正確に把握する。あるいはその負担を不当に免れていたり,不正に受給したりということを防止していこうと。そして本当に困っている方にきめ細やかな支援を行っていこうと,こういうものがマイナンバー制度の目指していく理念であって,我々としては,これを社会的な基盤として制度化して運用していこうというところでございます。   2ページ目が,法律成立までの経緯でございます。   2010年から検討を開始をしてきているところでございまして,オレンジ,色がちょっといろいろ分けてございますけれども,一度2012年の2月でございますけれども,番号法の関連3法案ということの閣議決定を1回しております。これは率直にいいまして,民主党政権下でございますけれども,そこで1回作っておりますが,これは衆議院解散で1回廃案となっております。   その後,自公民による修正協議を経まして,改めて番号関連4法案として閣議決定をし,再提出。そして2013年の5月24日に可決成立という形で法律ができたと。今こういう経緯がございます。   基本的なマイナンバー制度の立て付けの部分でございますが,3ページを御覧いただけますでしょうか。   番号を個人に振っていくということでございますけれども,検討過程の中でいろいろな議論をされた中,今まとまっているマイナンバー制度としてここで集約しているわけでございますけれども,一つは個人に番号を付けるという際に,悉皆性と。住民票を有する方全員に,これは番号を付けると。そして唯一無二ということで,一人が一つの番号ですね。これは重複のないように付番をしていく。そして,これも一つの特徴でございます,このマイナンバーの特徴でございますけれども,民・民・官といろいろな手続で民間のいろいろな庶務担当者を経由に際して,税務署に出したりとかといういろいろな手続がございますけれども,その中でも流通させることが可能な,利用可能な視認性を備えるということを,一つの設計思想にしております。そして最新の基本4情報,これを付番する仕組みということを持っているということでございます。   また,法人番号というのもございますけれども,今日はちょっと割愛をさせていただきます。   そして,情報連携ということでございますが,複数の行政機関間で,それぞれの機関ごとに個人番号や,それ以外の番号を付番して管理をしております。例えば年金ですと年金番号でその方の年金情報を管理している。あるいは税でありますと,例えば市町村税でありますと,市町村がそれぞれの自治体で,課税対象者の情報を管理しているということでございますけれども,同一人物の,同一の人の情報をひも付けして,相互に活用する仕組みを作る。これは情報連携というものでございます。   また,後ほども説明いたしますが,連携される個人情報の種別でありますとか,その利用につきましては,この番号法の中で明確化をしておると。また,その連携については何でも連携できるということでなくて,個人情報保護の観点から,情報提供ネットワークシステムを利用することを義務付けているという仕組みでございます。   また,三つ目でございますけれども,特徴として本人確認というものを課しております。これは番号だけで本人を信頼するのではないと。その番号を語っている人は,その本人であるということを認識するのではなくて,個人が自分が自分であることを証明するための仕組みでございますので,個人が自分の個人番号の真正性を証明するという仕組みを設けているというところでございます。これは後ほどまた御説明をさせていただきたいと思っております。   4ページ目でございますけれども,マイナンバー制度の概要,ちょっとこれはやや法律の立て付けというよりは,番号制度で私どもが説明する際に,ポイントをまとめたもので大きく仕組みとして三つあるわけでございますけれども,今,議論になります基本的なものにつきましては,この一つ目の番号利用の仕組みというものでございます。基本的に国内の全住民に12桁のマイナンバーを通知していると。右側の方に通知カードの見本がございます。皆様方もお受け取りされたと思いますけれども,若干緑がかったぺらぺらのといいますか紙のカードでございますけれども,これで12桁の番号を通知されております。そして番号法に,マイナンバー法に定められた社会保障,税,災害対策の分野の事務,この手続において利用する。逆にいうとこの手続に利用範囲を限定しているというものでございます。   利用される事務のことはこの番号法で,個人番号利用事務と呼んでおります。ただ,その利用事務に関しまして,必要な限度で関係者や民間事業者が個人番号を扱う場面が出てまいりますので,これを番号の個人番号関係事務と呼んでいるということでございます。   そうしまして,行政の事務の効率化や行政機関の相互連携ということをやっていこうというものでございます。マイナンバーは本人確認とともに使うという,これが我が国の番号法の一つの特色でございまして,番号だけで本人であることを認識してしまいますと,他人の番号を語っていろいろな手続を進めていったり,あるいは給付をしたりということは,諸外国でも見られたということで,このような事例を踏まえまして,必ずその番号の確認と,その人がその番号の正しい持ち主であるという確認を同時に行うという形で手続を進めていくと設計されております。   そのほかのこの番号の利用,取得,利用,提供,保管,そういうものにつきましてルールがあるということが1点目に書いてあります。また後ほど出てまいります。それから,番号法に定める場合以外のマイナンバーの収集,保管は禁じられているということでございます。   二つ目にマイナンバーカードの話も出てくるわけでございます。資料も後半の方に付けておりますけれども,マイナンバーカードの位置付けでございますけれども,物としては,資料にありますように右側の方に見本が書いてございますが,写真付きのプラスチック製のカードであるということで,皆さん申請していただければ無料で取れるようになっております。   このマイナンバーの番号の緑色の通知カードを通知された後,個人の申請で交付される写真カードですけれども,マイナンバーの確認と身元の確認を同時に行うと。つまり番号を利用する手続におきましては,本人確認をするという前提でございますので,番号を示す書類と,それから本人を確認する,例えば免許証でありますとか,あるいはパスポートでありますとか,そういうものと二つ何か身元確認のものを持っていかなければいけないというのですけれども,それをいちいち手続でやると大変ですので,それを一体的に使えるものとして,この番号が裏面に記載して表面に写真が付いていると,このマイナンバーカードというのが法律に位置付けられているというものでございます。   このマイナンバーカードは,身分証明書としても使えますし,それから電子的な個人を認証する機能,このICチップが登載されておりますので,このICチップを使って様々な用途に利用することが可能でございます。その場合にはマイナンバーそのものを使わずに,いろいろな拡張的な利用ができるということでは,これにつきましてもいろいろな推進をするということでございます。   三つ目の仕組みがマイナポータルというのでございまして,これは個人の自分自身の情報がどのように使われたかということを,自分自身が確認できるための個人用のサイトでございます。これは,マイナンバーカードを取得された方々がアカウントを設定していただければ,自分の情報やあるいは自分の情報がどのように使われたかということを見られるような仕組みを整備しているというところでございます。   5ページを御覧いただきますと,制度概要と書いてございます。ポイントとなるところを今御説明いたしましたので,改めてのおさらい的なものでございますけれども,基本理念,そこに書いてございますとおりでございます。それから個人番号は,住民票コードを変換して得られる番号ということ,それから個人番号の利用範囲を法律に規定しているということ,先ほど御説明したとおりでございます。   また,その番号法に規定する場合を除きまして,他人に番号提供をすることは禁止をされている。それから本人確認を行う必要ということが位置付けられているということでございます。   マイナンバーカードについても省略いたします。   それから,個人情報の保護の点でございます。これにつきましては,マイナンバー付きの情報を,マイナンバーをその内容に含む個人情報を特定個人情報と呼んでおりますけれども,その収集,保管,それから特定個人情報ファイルの作成,これらは番号法の規定によるものにおきましては禁止をされていると。それから特定個人情報の提供は原則禁止となっているというところでございます。また,情報のやりとりは情報提供ネットワークシステムを介して行うという形で,個人情報の一元管理ができない仕組みということを構築しているというところでございます。   6ページは,マイナンバーの利用範囲につきまして,別表で各それぞれの法令で,どのようなものがマイナンバーの利用範囲ですかということを規定しているということでございまして,これを簡単に表を掲載させていただいているというものでございます。   そして,次の7ページが社会保障分野における番号の利用例ということでございますけれども,先ほど申し上げましたように,情報連携をいたしますと,例えば現状の絵を見ていただきますと,本人がいろいろな関係機関から証明書類をもらってきて,取ってきまして,そしていろいろな給付手続などで申請するというものは多うございます。今はその御本人さんが,例えば市役所から課税証明書を発行してもらって,そして年金事務所に提出するとか,住民票を取ってきて,それを添付するとか,いろいろ手続があるわけでございますけれども,これをマイナンバーのシステムを使いまして,バックオフィス間で課税証明書の情報でありますとか住民票に記載されているような情報について確認をし合って,本人は個人番号を記載して申請すれば,その手続が終わるようにしていこうと,これが利用例でございます。所得証明書の添付の省略の例,それから住民票の省略の例,異なる制度間における負担調整,給付併給禁止のようなものがございまして,その給付調整の確実性の向上ということを目指しているというものでございます。   現在,この情報連携というものの試行運用をやっているところでございますけれども,私どもこれは本格運用に移行していくための作業を今ずっと続けておるところでございまして,試行運用は7月からやりまして,大体3か月ぐらいを試行運用をやっていこうということでございまして,どこかで11月にも本格運用ができるように,今その試行運用の結果を取りまとめているという状況でございます。   本格運用をしますと,どのような書類が省略できるようになりますかという手続と省略できる書類の例を8ページにまとめているものでございます。まだ各省といろいろ調整しておりますので,これを未定稿という形で,今日は例示をさせていただいております。   以上のような利便性やそれを目指した仕組みというものを作りましてマイナンバー制度を作ってきたわけでございますが,当然マイナンバー制度で設計あるいは作っていく際には,いろいろな国民の皆さんからの御懸念でありますとか心配というようなものも寄せられてきたわけでございます。   資料としては9ページでございますけれども,例えば番号制度に対しまして,これは作る過程での話でございますけれども,例えば個人情報が漏えいするのではないか,個人情報が悪用されるのではないかというような御懸念,あるいは番号で他人の番号を語ることによって,外国であるような成りすまし犯罪みたいなのが起きはしないか,あるいは国家が一人の個人情報を一元的にいろいろな角度からの情報を把握して管理をしようとしているのではないかとか,あるいはプライバシーを侵害するのではないかというふうないろいろな御懸念もいただいたところでございます。   そこで,私ども制度を作る際には,これらの国民の皆さんからの懸念,それから住民基本台帳ネットワークの際に最高裁の方で合憲判決を頂いておりますので,その際に御指摘いただいたような点というのを十分踏まえまして,制度上の保護措置,それからシステム上の安全措置というものを構築してきたところでございます。   例えば制度上の保護措置でいきますと,これまでも見ましたように番号を使うという範囲,それから情報連携の範囲は明確に法律に規定すると。そして目的外の利用を禁止するというものでございます。仮に新たな利用分野とか利用範囲でありますと,それは法律を改正することが必要になってくるということでございまして,国会の議決が必要だということでございます。   それから,成りすましの防止のために,番号のみでその人だということを信頼しているというのではなくて,必ず本人確認をしていくと。それから番号法が規定していないような個人情報を含むファイルの作成だとかあるいは特定個人情報の収集,保管等を禁止しているということ。また事前に保護評価を実施したり,個人情報保護委員会,第三者委員会を作りまして,そこが監視をするというような仕組みも設けているというところでございます。   この他,システム上の安全措置というのを設けておりまして,一つは,10ページをちょっと御覧いただければと思いますが,よく国民の皆様からも誤解を受けがちなところなのですけれども,マイナンバーでいろいろな機関が持っている情報が一元化されたデータベースというものが作られて,そこでみんな管理されているのではないかというような誤解や心配をいただくことも多いのですけれども,私どもはそういうふうな仕組みを採っておりません。そういうふうなデータベースを作りますと,そこからいろいろな情報が抜かれてしまうとか,あるいは一元管理されてしまうというふうなことの危険性も増してしまいますので,それぞれの機関が持っている情報は,それぞれの機関でしっかり管理をしていただく。そして番号法に定められた特定の事務に関しまして,特定の機関間で照会が可能とするというような仕組みを作りまして,そこで必要に応じて照会し回答を頂くというような仕組みにしております。少なくとも分散管理のもとに情報を管理して,一元化,共通データベースみたいなものを作らないとしているところでございます。   しかも,この機関間の連携をする際に,あえてこのネットワーク間の中で番号,マイナンバーを使わないで,別の符号と呼んでおりますけれども,そういうものへ変換をしたり,それからアクセス制御をしたりという形で,ネットワーク上,いろいろな工夫をしているというものでございます。   それをちょっと端的に示したのが11ページでございまして,これは個人の方が番号を提示しまして,この手続に関しまして,例えば前年度の課税情報を知りたいですと。ただ前年度の課税情報は,例えば引っ越し前にこの自治体にいたので,この自治体の方に課税情報はありますという形で,下の方の箱の地方公共団体の方から課税情報をもらわないといけないということでございますけれども,この黄色い箱に入っております情報提供ネットワークシステム,これはコアシステムということでございますけれども,このネットワークの中で,番号を提示された後,この機関別符号というのをそれぞれの機関にこのコアシステムから発行いたしております。この機関別符号,この個人の方に対する機関別符号Aというものが別の機関が認識しているこの機関別符号Bというものに対応するというのがコアシステムの方で符号を生成してひも付けというものを持っているというところでございます。   したがいまして,このネットワークの中で流通しているのは,飽くまでも機関別にばらばらの符号がやり取りされているということでございまして,例えばそのネットワークの中に仮にマイナンバーを,ある人のマイナンバーを知っている者が侵入したとしても,そのことだけで個人情報というのが抜かれることはないように作っているわけでございます。   また,これはこの場合,赤の線で符号のひも付けで,例えば申請者の課税情報が必要だということになったといたしましても,その機関から,下の地方公共団体から上の地方公共団体に例えば年金機構なら年金機構に返す場合におきましても,コアシステムを経由せずに情報だけが返っていくという形になっておりますので,あえて集約する機関というものを持たないような形のネットワークの設計になっているというものでございます。   そしてまた,そのネットワーク全体を監視しておりますのは,個人情報保護委員会,第三者委員会でございまして,この情報照会や情報提供というものが,法律に定めたとおり行われているかと,あるいは不正なアクセスとか不正な利用はないかということを,ここで監視をしているというところでございます。   12ページでございます。ちょっと長くなって恐縮でございます。マイナンバー制度,システム上,あるいは制度上設計いたしましても,やはり悪意を持っていろいろな情報が抜かれたりするということがあってはいけませんので,マイナンバー法には,罰則も強化をされております。例えばネットワークに従事する職員でありますとか関係者が,職権を濫用したり,あるいは知り得た秘密を漏らしたりというふうなことになりますと,通常の個人情報保護法でありますとか住民基本台帳法よりも重い刑罰が科されるというふうな仕組みになっております。また,公務員以外にも番号を取り扱う方々に対しましても,例えば正当な理由なく業務で取り扱う個人の秘密が記録されたファイルを提供したり,あるいは業務に関して知り得たマイナンバーを,第三者の不正な利益を図る目的で提供したりと,あるいは盗用したりということにつきましても,従来既存の法律よりもさらに重い法定刑を科しているということ。それから詐欺とか暴力とか,そういうものでマイナンバーを取得したり,あるいは個人情報保護委員会の命令に違反したりということに対しましても,罰則が設けられているという形で強化をされているところでございます。   13ページが,個人情報保護委員会の立て付けでございますけれども,これも第三者委員会という形で,法的な位置付けとしては,いわゆる公正取引委員会と同じような非常に強い独立した権限と指導監督の機能,それから苦情受付,あっせん等の機能を持っている機関であるという形でございます。   以下14ページには,マイナンバーカードの御紹介のところでございます。カードにつきましても,いろいろなセキュリティ対策を講じておりますよというところの資料でございます。   それから,17ページは,マイナポータルの画面の例というものでございます。   私ども注意深くマイナンバー制度を設計して,また運用しているわけでございますけれども,18ページにありますように,やはり実際に違憲訴訟を受けて私どもその中で反論をしているというふうな状況でございます。   最後,マイナンバー制度のロードマップという形で,番号の利用は2016年から順次開始しておりまして,この今2017年の秋でございますけれども,情報連携の本格運用というように,いよいよ向けてきまして,制度のメリットあるいは効果であります情報連携というものがいよいよ本格化してくるという段階を迎えているというところでございます。   ちょっと長くなりましたが,以上でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ただ今事務当局及び内閣官房番号制度推進室から御説明をいただきました。冒頭に申し上げたとおり,本日第1回目の審議でございますので,自由に議論をしていただければよろしいかと思います。御質問等ございましたら御発言をお願いいたします。   よろしいでしょうか。あるいは審議を先に進めていった上で,やはり最初の部分に関連する御質問がありましたら,またその際にお願いすることにいたします。   それでは,このまま続けて,部会資料の第2及び第3について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 それでは,私の方から部会資料1の第2と第3について御説明させていただきます。   まず,第2で,現在の戸籍制度の現状あるいは戸籍事務の現状の取扱いというものを,議論の前提として御説明をさせていただきます。   部会資料1の2ページ目を御覧ください。   まず,戸籍制度の意義・機能でございますけれども,御案内のとおり戸籍制度は,人の親族的な身分関係を登録・公証することを目的とする制度でございます。戸籍は日本国民についてのみ編製され,外国人については編製されません。今回お手元の席上に戸籍証明書のサンプルを置かせていただいております。まずは,現在一般的に用いられているコンピューター戸籍のサンプルです。   皆様も戸籍証明書を取得された場合に御覧になることが多いのかなと思いますが,一番上に本籍と筆頭者の氏名が書かれている。そして戸籍に記録されているものとして,名前がそれぞれ書かれていて,夫婦と氏を同じくする子が戸籍の編製単位となっているということになります。   コンピューター化に伴いまして,こちらのように横書きの記載になっております。2枚おめくりいただきますと,改製原戸籍といいますけれども,こちら,その前のコンピューター化する前の戸籍ということになります。こういう形でかつて縦書きのもので戸籍は作られておりましたけれども,コンピューター化に伴いまして,先ほどのように横書きになったというものでございます。   なお,その2枚めくっていただきましたこちらは,旧民法時代の戸籍です。このように戸主を筆頭としまして,戸主の下に各人が記載されている戸籍でございました,というものでございます。   部会資料の方にお戻りいただきまして,お手元に横書きのコンピューター化の戸籍のサンプルも見ながら見ていただければと思いますけれども,戸籍で登録,公証される身分関係の主なものとしては,この先ほど申しました氏名であるとか続柄欄がございます。こちらによって男女の別が分かります。あと出生したこと,出生児,身分事項欄のところに出生と記載してございまして,出生日であるとか出生地と記載されております。また,夫婦関係,婚姻したということであれば,婚姻事項等が記載されるということで,このような形で様々な親族的な身分関係は戸籍に記録されるということになります。   この戸籍でございますけれども,実際にどのような形で,社会で用いられているかということですけれども,各種の公的な手続において提出を求められております。例えば,申請者などの国籍,日本人にのみしか編製されませんので,外国人には編製されません。したがいまして,戸籍があるということは,日本人であることの一つの証明として使われます。また,身分関係の証明にも使われるということになります。   法制審議会に先立ちます戸籍制度に関する研究会,戸籍システム検討ワーキンググループと並行いたしまして,民間事業者に委託しました委託調査研究の中でも,戸籍謄本等の利用目的,どのように使われているのかという調査も行いました。こちらは市区町村に対して調査を行ったところ,相続関係,年金社会保険関係の手続,旅券関係の手続及び戸籍の届出の4種類が多いという結果でございました。こちらは参考資料1の8ページの方に,少し細かく調査の結果は記載させていただいております。   ただ,こちらを見ていただければ分かりますけれども,8ページの下の円グラフのところにその他の欄がございますけれども,戸籍謄本と戸籍証明書を取る場合,本人がお取りになる場合,本人あるいは配偶者,あるいはその直系尊属,直系卑属の戸籍を取る場合,本人等請求と呼んでいますけれども,こちらの請求をする場合には,利用目的を書かなくても取れるということになっていますので,全てにおいて,この順番になっているというわけではないですけれども,一般的に,これらの目的が記載されている請求書が多かったという調査結果でございます。   また,参考資料1の12ページを見ていただければと思いますけれども,同じく委託調査研究におきまして,一般の国民の皆様への意識調査も行ってございます。その中で戸籍謄本等の交付請求をした目的についてお聞きしたところ,旅券の申請のためというものが一番多かった。そのほか,戸籍の届出であるとか年金,社会保障の給付,受給に関する手続のため,相続手続のためという順番であったという結果でございます。   続きまして,戸籍事務に関する機関でございますけれども,戸籍に関する事務,本来国が果たすべき役割に関するものではございますけれども,国民生活と密接な関係があるということで,第一号法定受託事務ということで,市区町村の長が戸籍事務を管掌してございます。   法務省は,市区町村が戸籍事務を処理するに当たり,よるべき処理基準を定め,法務局が戸籍事務の処理に関する助言,指示等を行うという形で,国の関与は定められているところでございます。   したがいまして,市区町村は,法令及び法務省の発出した通達などにのっとりまして,本籍地のある市区町村が戸籍の記載であるとか,戸籍簿,除籍簿の管理保存などの戸籍事務を行うこととなっております。また,法務局は,戸籍事務の処理について市区町村から照会を受け,必要に応じて審査を行い,市区町村に対し,指示又は助言をしているという関係でございます。   3の戸籍事務の処理(1)届書の提出です。一般的に人がお生まれになった場合には出生届,お亡くなりになった場合には死亡届,婚姻の際には婚姻届というように,戸籍の届出を身分事項があるたびにしていただいておりますけれども,戸籍の届出,こちらは届出人の所在地など,届出事件の本人の本籍地以外でも行うことができるということになってございまして,届出全体のうち本籍地でない市区町村への届出というものは,平成28年度において届出全体の26.49%を占めているということになります。   ですので,実際には本籍地でない市区町村,住所地などが多いのでしょうが,そちらに届出がされて,その後本籍地の方で戸籍に記載する事務を行っているということになります。   また,非本籍地の市区町村における分籍及び転籍の届出に際しては,戸籍謄本を届書に添付しなければならないと戸籍法の中に定められておりますし,それ以外の届出の場合であって,必要があるときには戸籍謄本等の提出を求めることができるとされておりまして,特に非本籍地に婚姻であるとか離婚等の届出をする場合には,戸籍謄本等の添付を求めているという取扱いでございます。   (2)ですけれども,今申し上げましたように,非本籍地,本籍地でない市区町村に届出がされることがございます。本籍地でない市区町村で届出がされたものであっても,本籍地でない市区町村において,その届出の受理,不受理を決定するということとされておりますので,審査の過程で必要な戸籍情報を確認する必要がございます。その場合には,先ほど申しましたように,届出の際に戸籍証明書の添付をしていただく。それ以外に,それでは足りない場合,あるいは添付がされていない場合には,その必要な戸籍の情報を公用請求という形で,市区町村間で戸籍を求め,あるいは電話で照会するなどして,実際にその届出が受理できるかどうかを審査しているというのが実情でございます。   さらに,本籍地でない市区町村において届出を受理した場合には,本籍地で戸籍の記載をしなければなりませんので,届出を受理した市区町村が届書の謄本を作成し,本籍地の市区町村に届書を郵送で送っているという関係にございます。   戸籍簿,除籍簿の管理というものですけれども,現在の条文ですと,本籍地の市区町村がこれをつづって戸籍簿及び除籍簿として保存するとされてございます。ただ,後ほど申し上げますけれども,ほとんどの市区町村,電算化されておりますので,その場合には磁気ディスクをもって調製された戸籍及び除籍を蓄積して戸籍簿及び除籍簿としているところでございます。   このように,原則として紙の戸籍を前提とした規定となっており,電算化されている戸籍についての規定は例外とされております。   戸籍は正本と副本を設けるとされておりまして,正本はその市区役所あるいは町村役場に備えるということにされております。戸籍事務が電算化されている場合には,正本は市区町村ごとに構築運用されている戸籍情報システムにより管理されるということになります。さらにバックアップも別に備えると義務付けられているところでございます。   4ページの下から,戸籍の公開につきまして,従来は戸籍は原則として公開という運用でございましたけれども,個人情報保護の観点から,平成19年に戸籍謄本等の請求に関する戸籍法改正が行われ,原則として公開から原則非公開として改正がされているところでございます。   この戸籍謄本等の交付につきましては,本籍地の市区町村のみにおいて行っているところでございます。実際に窓口に行って請求していただく,あるいは郵送によって請求していただくという手続になっております。   なお,コンビニエンスストアに設置されたマルチコピー機を利用して行うコンビニ交付という扱いも,一部の市区町村において開始されているところでございます。   こちらは実際に導入されている数としては,今把握しているものが平成29年10月2日現在で379と聞いております。元々本籍地と住所地が同じ方についてのみのサービスでありましたけれども,現在本籍地と住所地が異なっている場合であっても,コンビニ交付ができるようになっております。本籍地と住所地が異なっている場合であってもコンビニ交付ができる市区町村も徐々に増えていっていると聞いてございます。こちらが注5に記載したところです。   続きまして,6ページの5,届書の保管についてです。届書類は戸籍に記載をいたしますと,基本的には管轄する法務局の方に送付され27年間保管するというものが原則でございます。   ただ,後ほど申し上げます副本データ管理システムというものを用いている場合には,届書の保存期間を5年とされているところでございます。   なお,この届書類は,6ページの上の方に記載しておりますけれども,戸籍が滅失した場合の再製資料として用いられるほか,様々な手続等における証拠として利用される,あるいは戸籍の記載の適否を判断する資料であったり過誤が発見された場合の訂正の根拠資料などとして用いられています。   6ページの6,戸籍の電算化でございます。こちらは平成6年の戸籍法改正により,コンピューター化を進められました。参考資料の4も併せて見ていただければと思います。平成6年からコンピューター化を進めましたけれども,それぞれの市区町村でコンピューター化が進められてまいりました。現在1,896の市区町村のうち1,892の市区町村において電算化が完了しておりますけれども,依然として残り4団体がまだ電算化は完了してございません。   この電算化につきましては,市区町村ごとに段階的に行われたという経緯がございます。参考資料の4を御覧いただければと思いますけれども,それぞれA村,B市,C区と記載しておりますけれども,それぞれ個別のシステムを構築してございまして,それぞれが連携しているというものではございません。したがいまして,先ほど申し上げましたように,届出の受理に際しては,必要な戸籍の情報を確認する必要がある場合には,それぞれの市区町村に電話で確認する,あるいは郵送で取り寄せるという手続を採っているということになります。   副本,こちらは法務局の方で保管しております。主として戸籍が滅失した場合の再製のための資料としての役割を担っているところでございます。こちらは現在ですけれども,戸籍の電算化がされている場合には,法務省によって構築された戸籍副本データ管理システムというもの,こちらは東日本大震災の後に設けさせていただいたものでございます。東日本大震災の際に,ある自治体が被害を受けた際,法務局でバックアップ,副本があったということで戸籍の再製ができました。もっとも,同じ地域でバックアップをとっていると何かあった場合に危険であるということで,現在は東日本の市区町村につきましては西日本で,西日本の市区町村につきましては東日本でという形で,それぞれでバックアップをとるということで,国の方で副本データ管理システムを運用しているところでございます。そちらが,今回の参考資料4の1の上の方に副本管理センターというものが記載されているところでございます。こちらまでが,現在の戸籍の現状ということになります。   続きまして,本法制審議会に先立ちまして行いました戸籍制度に関する研究会あるいは戸籍システム検討ワーキンググループの中で議論された概要につきまして,前提となる部分等もございますので,まずそちらも御説明させていただきたいと思います。   7ページの第3でございます。   まず,第3の1です。先ほども申し上げましたけれども,戸籍情報の利用実態の調査というものもさせていただきました。そういたしますと,市区町村への調査で,相続であるとか年金であるとか,社会保険の関係の手続,旅券の関係の手続であるとか戸籍の届出の手続が約半数ぐらいを占めていたということが確認できたところでございます。   また,実際に行政機関の方へもヒアリング等も行ってございますけれども,その中では,戸籍に記載された内容で,出された申請書の内容が正しいのかどうかを確認している手続,また親族的身分関係にある者の探索等,これらの二つの目的で戸籍を求めていると確認できたところでございます。   こういった調査結果を踏まえまして,戸籍制度に関する研究会におきましても,様々な議論をしてまいりました。この中で,特に他の行政事務に情報の提供をすることによって,行政運営の効率化,行政サービスにおける国民の利便性の向上が期待される。マイナンバーの導入指針にも合致するということで,戸籍事務においてマイナンバーを活用することなどについては,一定のメリットがあるというふうな御意見を頂いたところでございます。   ただ,こちらにつきましては,様々な御意見も頂いてございまして,戸籍事務にマイナンバーを活用するという場合には,セキュリティの観点から,どの範囲で活用するのかの検討が必要であるとの御意見もあったところでございます。また,必ずしもマイナンバーを活用しなくても,市区町村にある戸籍情報システムそのものを一元化することによって,戸籍事務の効率化を実現することが可能ではないかという御意見もあったところでございます。   なお,戸籍情報システム,先ほど見ていただきました参考資料4にあります市区町村,それぞれが導入しているシステムを一元化するということにつきましては,8ページの2のところでも少し御説明いたしますけれども,現時点ではなかなか難しいという御意見があったということでございます。この点につきましては,後ほど御説明をしたいと思います。   なお,戸籍事務におきまして,マイナンバーを活用して他の行政事務に対して特定個人情報を提供するためには,先ほど御説明がありましたマイナンバー法の改正が必要であるとは考えられるところでございます。   また,当然でございますけれども,マイナンバー法に基づくそれぞれの法制上求められる措置が必要になってくるということも記載させていただいているところでございます。   なお,注8でございます。本資料の中で,幾つかの言葉を使わせていただいておりまして,少し注記をさせていただいているところでございます。マイナンバー制度の概要につきましては,先ほど御説明いただいたところではございますけれども,原則として,情報提供については,情報提供ネットワークシステムを利用して行うとされてございます。この資料においては,便宜的にこれをネットワーク連携という形で呼ばせていただいてございます。   なお,このネットワーク連携につきましては,運用上のポリシーとして,この情報提供ネットワークシステムの中間サーバーに,個人を特定する情報を置かないとされております。   また,戸籍事務につきましては,先ほど戸籍事務の現状については御説明させていただきましたけれども,全国の市区町村と法務局で事務を行っております。この資料の中では戸籍事務の中で行う情報のやり取りにつきまして,戸籍事務内連携と呼ばせていただいております。   なお,この手当てにつきましては,マイナンバー法を所管する内閣府等と必要な協議をさせていただいているところでございます。   実際に,ネットワーク連携を利用して他の行政機関へ情報提供を行う,その連携先でございますけれども,現在,協議を行っているところにつきましては,注9のところに記載をさせていただいているところでございます。現在,年金事務,児童扶養手当事務,旅券事務を候補に協議をしているところでございます。   先ほど戸籍事務を一元化するといった話,ただそこは難しいという御説明をさせていただきました。その辺りにつきましては,システムワーキンググループの方で様々な議論をさせていただいたところでございます。なぜ,そのような議論をさせていただいていたかというところでございますけれども,国においてこのマイナンバー制度における情報連携に用いる連携情報を整備するということになりますと,戸籍情報は,一番最初に御説明させていただきましたように,それぞれの市区町村で管理をされています。戸籍には,ある人が出生すると,まず出生届が出されて戸籍に記載する。ただ,その後,転籍等があったり婚姻届が出されて別の戸籍が作られる,そういった場合に別の本籍地を定められると,そちらの方に戸籍情報が移っていきます。   そういった形で,本籍地が変わっていくということがございます。また,その本籍地というものは,住所地と必ずしも一致していないという現状がございます。戸籍につきましては,現在記載されている情報だけではなく,過去の情報も確認しながら親族的な身分関係を確認する必要があります。また,住所地と本籍地が異なっている場合があります。調査の結果でも約半数の方が住所地の本籍地を置かれていないという現状が分かりました。そういたしますと,仮にネットワーク連携をするということになりますと,どこの市区町村にある情報に聞きに行けばいいのか分からないということにもなります。   そうしたこともありまして,一定程度戸籍情報については集約化していないと,なかなかこのネットワーク連携に対応できないのではないかということで,一元化ということも議論させていただいていたところでございます。   ただ,参考資料4に記載をさせていただいておりますように,一番分かりやすいものとして,文字を挙げさせていただきました。参考資料の4の1のところを見てください。齋藤さんの「齋」というものを記載しております。A村とC区の左側の差異につきましては,見た目全く変わりませんけれども,それぞれ文字コード,導入しているシステムベンダーが異なりますと文字コードが異なっているという現状にございます。紙に打ち出してみれば,これは同じ字だと分かりますけれども,コンピューター上でこのお二方を同一人物かどうか判別しようと思いますと,文字コードが異なっているということもございまして,これはなかなか難しいという現状があります。さらに同じ齋藤さんのように見えても微妙にデザインが異なっているという場合も多数ございます。さらにC区の横に齋藤さんの「齋」ですけれども,下の部分が「火」になっています。こういった字も作られていたりとかいたしまして,個別に外字を作成されている,約102万文字の外字が作成されているというふうな調査結果が出ております。日本人,非常にお名前,字体,字形にこだわりをお持ちの方も多いということもございます。そういったこともありまして,全てのデータを一気に一元化することができるのかということもございました。さらにそれぞれの市区町村で持っているデータの持ち方もそれぞれやはりベンダーごとに違っていたということもありますし,それぞれ自治体の実情に応じましてオプションを付けられていて,業務の中でお使いになっている。そういった中でそれを全て一元化していくのは,なかなか難しいのではないかなどといった御意見等も頂きました。   何せ,戸籍という非常に大切な情報ですので,それを一気に一元化,市区町村から国の方に一気に一元化するのは難しいであろうという御意見を,いろいろ頂いたところでございます。そういたしまして,できることということで様々議論させていただきました。ここにも先ほど御説明いたしました戸籍副本データ管理システムを導入した経緯について記載をさせていただいておりますけれども,法務省の方でコンピューター化されている戸籍につきましてはバックアップをとっており,国の方に戸籍副本の情報が集まっているという実情がございます。そこでこのシステムを利用することで,既存の市区町村の戸籍情報システムは維持しつつ,国において戸籍情報連携システムというものを作って,戸籍事務内で活用する。あるいは他の行政事務に提供するための連携情報を保有することが相当ではないかという議論がされたところでございます。   ですので,参考資料4の一番下のシステムの構築についてというところでございますが,戸籍副本データ管理システムの情報を整備し,マイナンバーを用いたネットワーク連携を行うためのシステムを整備していくのが相当ではないかという議論がされたというところでございます。その場合に,個人の情報を統合し,どのような情報を整備するのかについても,システムワーキンググループ等でも御議論いただいたところでございます。   戸籍証明書のサンプルというものを見ていただければと思いますけれども,旧民法時代の戸籍については画像データになっております。電算化前の改製原戸籍につきましても,こちらはきれいなタイプで打っているものも画像データとして保管しております。コンピューター化されて横書きになっているものにつきましては,テキストデータになっております。   古い戸籍を見ていただきますと手書きでございます。こういった画像データのものについて,記載されている個人と個人が同じ方かどうか機械的に判別できるのかどうかということも調査の中で行いました。見ていただきますと分かりますように,読むのもなかなか難しいということで,いろいろな検討も行って,調査も行ってもらいましたけれども,やはり判別することが難しいという結果が出ております。   また,画像データの戸籍につきましては,お亡くなりになっている方の戸籍であることも非常に多うございますけれども,マイナンバー法が施行された平成27年の10月以前に亡くなられた方につきましては,そもそも番号も付いていないということもございます。過去の全ての紙戸籍を統合するといったことが費用対効果の面でそもそも必要なのかという御議論も頂いたところでございます。   ただ,そうしますと,この電算化の部分だけで足りるのかという議論もございました。そこで,いろいろ検討してまいりました。過去の戸籍が必要なもののうち,相続手続を除いた年金であるとか社会保険関係の手続のうちの一定の範囲につきましては,現在戸籍あるいはその電算化された戸籍で,相当程度対応できるというふうな調査の結果も出ておるところでございます。   そういったことを踏まえまして,複数の戸籍,除籍等に記録されている個人を名寄せしてマイナンバーを用いた情報連携に用いるということにつきましては,市区町村において既に電算化されている戸籍及び除籍ということで,画像データを除いたものを対象とすることが相当だという御議論がされたところでございます。   最後1点ですけれども,マイナンバーのひも付けをどうするのかということもございました。戸籍については,現在,マイナンバーがひも付いてませんので,マイナンバーをひも付けるためにはどうするのか。マイナンバーは住民票コードを基に作られるということもございます。制度上,戸籍の附票というものがございまして,本籍地に戸籍の附票というものが付けられております。住所地が変われば住所地の市区町村から,本籍地の市区町村に通知がされ,戸籍の附票に住所の履歴が記載されているということで,戸籍と住民票をつなぐものになってございます。この仕組みを利用して,マイナンバーを戸籍にひも付けるということが一番正確にできるのではないかという議論がされたところでございます。   第2,第3につきましては以上でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   第2として現在の戸籍制度,それから戸籍事務についての現状について御説明をいただき,また第3において,マイナンバーの活用等を可能とするためのシステム形態について,研究会及びシステムワーキンググループにおける検討結果の御紹介をいただきました。   以上に関して御質問等はございませんでしょうか。 ○磯谷委員 磯谷です。一つは,副本管理,戸籍副本データ管理システムについてですけれども,参考資料の4を拝見すると,まずは一つは,外字が非常にたくさんあると,102万字ということでございます。ただ,戸籍副本データ管理システムの方は,外字は表示不可と書かれている。そうすると例えば,この齋藤さんの「齋」の下が「火」になっているものが仮に外字だとしますと,こういう情報が戸籍副本データ管理センターに行ったときには,どういうふうな扱いになっているのか。ここのところをちょっとお尋ねしたいのが1点です。   それからもう1点は,戸籍情報のマイナンバーのひも付けのための方法,一番最後に今お話いただいたところですけれども,若干具体的にどういうふうにひも付けするのかというのは,ちょっとすみません,なかなかイメージがしにくいところがございますので,もしよろしければ,もう少し具体的に教えていただければ,可能な範囲で結構ですけれども,有り難いなと思います。   一つ問題意識としましては,戸籍の正本データの方に,つまりこの正本というのはそれぞれの自治体が持っているということになっていると思いますけれども,そこにダイレクトにマイナンバーがリンクされるのか,仮にそうだとすると,マイナンバーとそれからその戸籍情報というのが,それぞれの自治体においてリンクすることになりますので,そこの情報の漏えい対策というのが非常に重要になってくるのかなと。そういう問題意識もありまして,ちょっともう少し詳しくお尋ねしたいなと思った次第です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   2点御質問いただきました。戸籍副本データ管理システムに関しての御質問と,それと附票を用いたひも付けについて,具体的なイメージを示してほしいということで,御質問の背景についても御説明いただきましたけれども,これについて事務当局からお答えいただくということでよろしいでしょうか。 ○渡邊幹事 戸籍副本データ管理システムの外字の点について,まずお答えをいたします。   今現状,戸籍副本データ管理システムの運用につきましては,各市区町村のデータの形式は異なる形になっておりまして,市区町村専用装置という変換装置を置いて標準化して送るというような,そういう方式を採っております。   しかしながら,正に御指摘の外字でございますけれども,これは標準化のしようがないわけでございまして,現状戸籍副本データ管理システムで外字部分を見ようとすると,その部分は黒く塗りつぶされて表示されるというような形になっております。   そういった観点から,私どもとしましても,戸籍副本データ管理システムで全ての文字が見えるようにするということが必要であると考えておりますし,それは目で見ることができればよいのではなくて,コンピューターシステムがテキストデータとして読み取れる必要があると考えております。そうした観点から,壮大な計画ではございますけれども,この外字も含めて全市区町村の文字データを集めまして,その文字の同定作業をしていこうと考えております。   そうしますと,例えば齋藤の「齋」であれば,もう何十種類もあるというような,そういう現状でございますけれども,それをできるだけ少ない数にまとめまして,文字コードをその少ない数の文字コードとして特定していくというようなことで,文字の同定作業をすることによって,戸籍副本データ管理システムでは,正本とはやや字形が違う,デザインが違うけれども,同じ文字と同定される範囲内の文字として表示されるような,そういったものにしていこうと考えております。   お手元の資料の情報の整備,参考資料の4のポンチ絵でございますけれども,3の「システムの構築について」という部分があろうかと思います。右側下の情報の整備というところに赤字で書いてありますが,まずは文字コードを統一するために作業をしたいと考えております。これは法改正を待っていてはなかなか難しいところですので,できるところから来年度から始めていこうと考えておるところです。 ○北村幹事 あとひも付けの関係でございます。こちらにつきましては,まだ制度を所管している府省と協議をしているところでございます。ただ,今,磯谷委員の御指摘もありましたような懸念もあるというところもございますので,マイナンバーをそのまま用いるというのではない形も含め,様々な観点から検討をしているところでございます。   その上で,附票を通じてマイナンバーをひも付けるために必要な情報ということで,その必要な情報は何があれば正確にひも付けられるのか,戸籍は,住民票と違うところは住所は持っていないというところになりますので,その中で正確に正しくこの方にこのマイナンバーを付けるためにはどうすればよいのかというのは,現在協議はしているところでございますが,頂いた御懸念も踏まえまして検討をしている,協議をしているというところでございます。 ○窪田部会長 磯谷委員からの2番目の御質問については,一定の懸念ということもございましたけれども,それと同時に恐らく附票を用いてひも付けするということが,具体的にどういうイメージなのかという御質問でもあったかと思います。私自身もちょっとまだよく分からないところがございましたので,もし具体的なイメージをもう少し把握できるような形で御説明いただければと思うのですが,どうでしょう。 ○北村幹事 今のイメージといたしましては,住所地の市区町村から本籍地の市区町村へは住所が変われば必要な情報について連絡をするということが,法制度上定められていますので,そのルートを使いまして,必要な情報を附票に記載していただいて,その附票に記載された情報を戸籍の正本がもらい,戸籍副本データ管理システムの方に送る仕組みを使いまして,国の方に送っていただく,その上で正確に付番をするということを今想定しつつ,ただ様々な観点から今協議をさせていただいているというところでございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。磯谷委員,よろしいでしょうか。   それでは,引き続きまして質疑を続けたいと思いますが,いかがでしょうか。   すみません,私からもちょっと1点御質問させていただいてよろしいでしょうか。   私もちょっと副本の位置付けがまだ十分によく理解できていないところがあって,戸籍制度に関する研究会の方ですと,7ページに,正本と副本を設けて,副本というのは基本的にはバックアップとしての性格を持っているのだということで書かれておりました。ただ,今回の資料1の方で4ページを見ると,正本と副本を設けるということと,4の戸籍の公開のすぐ上にある部分ですが,正本である戸籍簿,除籍簿データと同一の事項の記録,副本とは別のバックアップとしてのデータということが書かれており,副本ということとバックアップということが同じなのか違うのかもちょっとよく分からないところがありました。その上で先ほどの磯谷委員からの御質問にも関わるのですが,もし市町村単位で純粋にバックアップをとるのであれば,外字まで含めて単純な形でそのシステムにおけるバックアップというのがあればいいということになると思いますし,一方で,それを全体として管理するという場合,外字がもう100万字を超えるということであれば,統一して処理ができないということも分かります。実際には法務局単位で副本を管理するということにはなっていますけれども,法務局がそれぞれ正本と全く同じ形の外字データも持ったようなバックアップを持っているわけではなくて,全部戸籍副本データ管理システムの中で集約されているという理解でよろしいでしょうか。 ○渡邊幹事 はい,結構です。正本と副本というその戸籍法の概念ですけれども,そもそもは紙を前提としておりました。ですので,戸籍正本は紙で作って帳簿とし,その写しを作って副本とし,写しを法務局に送付するという形を従来とっておりました。そして,平成6年にコンピューター化が可能になりました際に,市区町村におきましては戸籍正本をコンピューター情報システムで作成するということになりますし,その上でバックアップとして市区町村の方も,それを別にもう一つ写しを備えるということになりました。   それとは別に,法務局に対しては磁気データを副本として送付しておったわけですが,平成25年から戸籍副本データ管理システムが運用されまして,自動送信されるという形になったということでございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは,ほかの委員,幹事の方から。 ○磯谷委員 少し夢のある話ではないですけれども,弁護士としては,やはり相続でこの戸籍などを使うという方は非常に多いわけなのですけれども,この話が出てきたときに,その相続について特定の被相続人の相続人が誰なのかということが,このマイナンバーを使ってどんどん探索ができると。これは非常に有用なシステムだなというふうな話もありましたし,私ども弁護士会の中でも特に家族法をやっている弁護士などからは,そういうふうな発言もあったわけです。ただ,今回ひも付けの範囲も電子化されている部分に限るというふうなことになって,これはもう無理もないことだとは思っておりますけれども。   ただ,将来この電算化がどんどん進んでいって,そしてそれがだんだん蓄積をされていけば,どこかの段階ではそういった形で相続の事件などの処理に役に立つのかなということを,弁護士の仲間なんかで話をするのですが,ただ一方で,このマイナンバーのシステムというのは,いわゆる個人情報そのものを情報連携システムの中で流さないというふうな扱いになっている。その結果,探索が基本的には難しいという形にはなっているのですね。   これはあれなのでしょうか。むしろこのマイナンバーを所管しているところにお尋ねするのがいいのかもしれませんけれども,将来的には何かそういうふうな探索のようなところというのは,あり得るのか,今のところ全くそのめどはないということなのか,その辺りも少し教えていただければと思います。 ○三橋幹事 どこまでちょっと答えられるかなんですが,やはり制度を作る際は,かなり慎重に個人情報保護の観点から設計をしております。そして現に訴訟も受けているというところでございまして,マイナンバー法の附則では,今日は冒頭も御説明ございましたけれども,利用範囲の拡大というのは国民の理解を得ながら,また運用状況を見ながらという形で,これは進めていくということでございます。   一方では,やはりマイナンバーというと非常に個人の特定性の高いものであり,行政の効率化や国民の利便性ということの中で,どのようなものができるかという,結局その議論の中になっていくのだろうと思います。基本的には個人の探索という意味がちょっとやや分からないのですが,戸籍の方での話だと戸籍の事務当局に聞いていただいたほうがいいと思うのですけれども,あるマイナンバーを持っている方で,今の情報提供ネットワークシステムは,この手続でこの方の情報として,この番号の方なので,その方の課税情報は何ですかとか,それからこういう資格を持っていますかと,聞きに行くという仕組みなものですから,その方の何かを探索するとか,そういうことは想定をしていないということでございます。 ○渡邊幹事 よろしいでしょうか。今御質問というか,お話があった点というのは,法定相続人の関係がいずれは分かるようになると望ましいのではないかという御指摘であったかと思います。   今回私ども戸籍情報データを作っていくときに,研究会でも御説明をしておったところでございますけれども,AさんとBさんが親子関係にあるといったような,親子関係情報を戸籍情報にデータとして付け加えていこうと考えておりまして,そういった親子関係の情報が積み重なっていきますと,いずれその戸籍事務内で,それは他の行政事務との連携に関しますネットワーク連携ではなくて,戸籍事務の中でそういった法定相続人の関係が分かり得る状態にはなろうかと思います。ただし,その場合に平成19年に法改正がなされました戸籍の公開原則についての物の考え方というものとの整理は,恐らく必要になろうかと思いまして,非常に傍系,傍流の方についてまで戸籍情報として開示できるのかという問題は,別途表れてこようかと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   今,御指摘を頂いた部分は,恐らく今回のこの検討作業の中に,やや性格の異なる問題が入っているということにも関係があるのだろうと思います。異なる省庁間において,情報をどのように連携するのか。そのときのひも付けの問題としてマイナンバーを使うかどうかという問題と,それと磯谷委員から御質問があった点というのは,ただ今,渡邊幹事から御説明があったように,基本的には法務省が管轄する戸籍事務の中でどういうふうにデータがたまっていくのかという点かと思います。ただ,現在は電算化されないデータというのは非常にたくさんあるので,相続の関係を調べようと思うと,これは遡って調べなければいけないわけですけれども,それが使えない。でもある時期からは時間の経過によって使えるデータというのはどんどん増えていって,それが実現可能になるだろう。技術的には実現可能になるだろうということを前提とした上で,しかし,可能となればできるのだろうかという,多分次の問題がまたあるという御指摘だったかと思います。現時点ではそういうふうな理解を共有するということでよろしいかと思います。   ほかはいかがでしょうか。   特にマイナンバー制度のシステムのための形態について,やはり一元化,そう簡単ではないよということについては,戸籍システム検討ワーキンググループでは,非常に細かく検討していただいてきたかと思いますが,安達委員から何か補足していただくようなことはございますでしょうか。 ○安達委員 システムデザインの観点から大変興味深いシステムだと受け止めまして,戸籍システム検討ワーキンググループでいろいろと議論をさせていただきました。基本的にはマイナンバーの制度そのものの制約,つまり,個人情報保護など情報化にまつわる様々な観点から,その使い方が制約されるなどということと,戸籍法に由来する,例えば各市区町村で行っている業務と国の役割など,法律として定まっている制約の二つの観点で種々検討しますと,当初は一元化するというのが一番合理的と思われました。将来のターゲットとして,それに向かってどのように今のやり方を持っていくかという方向性でいろいろ分析し,システムの成長段階を吟味してみますと,制度や法律を完全にそちらの方向に変えてしまえば可能ではありますが,現行の戸籍法ともう一つはマイナンバーの制度設計をうまくすり合わせ,その制約の中の下での実現を重視すれば,先ほど御紹介いただいたような副本を使うという形のものが最も滑らかにつながっていくという判断をしたわけです。実際には三つほどのシステム形態を想定して,いろいろな観点から,費用も含めて検討をいたしました。   その際に,先ほど出ましたような相続の際の情報提供はどうしたらできるのかなども含め,将来の発展と新たなサービスや情報提供を実現していくことを想定しながら検討しました。その過程で,実現のための国民の理解も含めまして,システムの発展段階や成長という観点で最も適切と考えましたのが,先ほど御紹介あった方法だと考えております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   今の点も含めて何か御質問等はございますでしょうか。 ○大野幹事 先ほど渡邊課長から,今後戸籍システムの方で年数がたてば,その相続人と被相続人の関係で,相続人が誰かという答えが出るかもしれないというお話があったかと思うのですけれども,今までの例えばワーキングの方の12ページぐらいのところですと,ある特定の2人が親子なのか夫婦なのかというところは,それぞれ2人の親族関係,親子関係,夫婦関係の番号を教えてくださいということで照会して,その2者間の関係だけが分かるということになっているかと思うので,特に例えば相続人であれば,親子関係であればこの2人に相続関係があるかどうかということでは確認とれるでしょうけれども,亡くなった被相続人だけが分かって,その被相続人が誰かという部分は,親子関係が1代であろうと,そこで複数の親等関係が出てきた場合と,対象の人は特定の誰ですというところまでは来るという想定があるのでしょうか。 ○渡邊幹事 お答えいたします。   親子関係ごとに戸籍事務,戸籍副本データ管理システムの中で,記号を付けていこうと考えております。そのAさんとBさんが親子関係にあって,さらにBさんとCさんが親子関係にあるといった情報が積み重なっていくということが想定されているということです。これは,じかにマイナンバーを用いて照会するということではなくて,AさんとBさん,それからBさんとCさん,それぞれが私どものシステムの中で親子関係にあるということがデータとして付け加えられていきますので,それが積み重なることにより,データとしてはつながりが見える状態になるであろうということです。これはマイナンバーを利用して検索するかどうかという話とは別の問題でございます。 ○大野幹事 誰が相続人かという答えは出るのですか。検索でできるということが可能と…… ○渡邊幹事 データとしては下からつながって,見ていけばつながっていく形になるということが想定されるということですね。 ○大野幹事 分かりました。 ○窪田部会長 情報提供ネットワークシステムを使う場合には,一般的な探索には応じないけれども,この人とこの人について,それぞれのデータから相互には関係あるかとかという,そういう答え方になるということになるのだろうと思いますけれども,法務省内での一つの戸籍事務という観点からいえば,データとしては保有することができるということと,その上で答えるかどうかという二つの問題があると思うのですが,現時点ではただ,要するに電算化されていないデータがたくさんある状態では,本当に誰に親子関係があるのか,あるいはほかにないのかということは正確には答えられないという状況は,将来的には変わっていくということについての御説明だったかと思います。   よろしいでしょうか。   それでは,一旦休憩を頂戴します。           (休     憩) ○窪田部会長 それでは,続きまして,部会資料の第4の部分について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 第4の部分が,今後この法制審議会部会で御議論いただきたいと,事務当局の方で今考えている論点でございます。第4の1,2が特に制度面上の問題点と考えてございます。そして,14ページ以降の3のところが,システム上の検討事項と考えております。1と2,そして3という形で二つに分けさせていただいて,前半部分を私の方から説明をさせていただきたいと思います。   まず,10ページの第4の1でございます。先ほど戸籍制度,戸籍事務の現状について御説明をいたしました。また第3のところで,今後マイナンバー制度を導入し,他の行政機関へ情報提供を行っていくということを考えた場合に,国の方で連携情報,連携システムを構築する必要があるのではないかという戸籍制度に関する研究会での御議論等を御紹介させていただいたところでございます。   そういたしますと,現在の戸籍法は,市区町村長を戸籍事務管掌者と定めている。他方国の戸籍事務への関与につきましては,先ほど御説明したような戸籍法の3条による関与の仕方が定められているということになります。そうすると,今後国の方が責任を持ってそのネットワーク連携,他の行政機関への特定個人情報の提供を行っていく,そういったことをするために,その情報の管理を行うには何らかのやはり権限規定を設けないといけないのではないかと考えるところでございます。   そのため,国,法務大臣がこの連携情報,今後整備していく連携情報を整備して管理するための根拠規定を設けることが必要であると考えられますが,その点についてはどうでしょうかというのが1でございます。   続きまして,2になります。(1)につきましては,「電算化を原則とする規定振りへの変更について」というものを御提案させていただいているものでございます。現在の戸籍法,先ほど申しましたように,これをつづって帳簿とするなどといったように,紙を原則とする規定となってございます。電算化された戸籍事務については,特例ということで法律の後ろの方に記載されているところでございます。   ただ,4市区町村を除く残りの市区町村においては,既に電算化が行われているところでございますので,この機会に合わせて電算化を前提に,電算化戸籍を原則とする規定振りとすることが相当ではないかということを御提案するものでございます。   続きまして,(2)「文字の取扱いについて」ということでございます。こちらは,先ほど見ていただきました参考資料4にもございますように,個々の市区町村で同じデザインと考えられる文字についても,文字のコードが異なっているという現状にございますし,多数の外字を作っているといった現状でございます。そういたしますと,今後個人の情報を統合し,そして,マイナンバーとひも付けていくということも困難になると考えられますので,今後全ての戸籍の文字を収集した上で,同じ文字と異なる文字とを区別して,その同定作業というものを実施していきたいと考えております。   そして,この法務省が管理するこの連携情報においては,可及的に字形の同一化というものを図っていきたいと考えておりますけれども,この点について御意見等ございますでしょうかというところを挙げさせていただいております。   また,このように国の方で連携情報につきましては,文字の同定作業ということで,他の行政機関に提供していくために整備する連携情報につきましては,文字の同定作業を行っていくということは必要だと考えておりますけれども,市区町村に残りますそれぞれの正本の戸籍情報システム,こちらの文字の取扱いについては,今後どうしていくことがよいのかということもまた御議論等をいただきたいということで,論点として挙げさせていただいているところでございます。   参考資料の2,「戸籍システム検討ワーキンググループ最終取りまとめ」の16ページを御覧ください。こちらに今後行っていく作業のイメージというものを記載してございます。参考までに御覧いただければと思います。   参考資料2の16ページの下の方なのですけれども,今後市区町村の文字を集めた上で,一番上の「久」という字であれば,各社が持っている字形のサンプルですと,恐らくこのようなものになって,微妙に違うのがお分かりになるでしょうか。くっついているところが違うであるとか,ちょっとした違いがある。あるいは市区町村独自の外字を設けている場合があるというものがありますけれども,一般的にはこういったもの,デザインの差だということで,同じ文字だと扱ってもよいのではないかと考えられるところでございます。こういった文字について,今後は同じ文字なのかどうなのかということを整理をして,そして同じ文字だと考えられるものについては今回の表のように,同定作業といいますけれども,一番左の標準字形と右側のそれぞれの字体は同じですよという形での作業を行っていきたいと考えております。そして同じですよと考えられる文字については,一番左の方にIPAと記載しておりますけれども,こちらは国際標準の字形,文字コードについてIPAの方で振られているコードを,それぞれの文字にも合わせて持っていただくという形で,同じ文字だと認識できるようにしたいと考えている。それがこの部会資料1の10ページの文字の取扱いについての御説明の部分でございます。   このような形で国の方では整理をしていきたいと考えておりますけれども,このような形での御意見,さらにはこのような形で国の方の情報を整備した場合に,市区町村の文字はどうしていけばよいのかということでの論点提示ということでございます。   なお,注10のところですけれども,こちらの102万字の外字があると申しました。ただ,外字ですけれども,参考資料2の16ページのところを見ていただければ分かりますけれども,市区町村外字というものも,ほかの市区町村では特にシステム内字,外字ではない文字と扱われているようなものもあったりしますので,多くの文字は戸籍統一文字ということで,以前法務省の方でオンライン用に整備した文字がございますけれども,そちらに集約されるということも分かってございます。   そういった観点からこの同定作業というものは,それなりに可能ではないかということを考えておるところではございますけれども,今後文字を集めた上で,どういったものが出てくるのかということは,注視しながらやっていきたいと思います。   続きまして,11ページの(3)「改製不適合戸籍の取扱いについて」というものでございます。改製不適合戸籍とは何かというところでございますけれども,コンピューター化された際に,先ほどサンプルを見ていただきました縦書きの戸籍から,コンピューター化すると横書きのコンピューター化された戸籍に変わります。ただ,お名前,氏の漢字が特殊な文字をお使いになっているであるとか,名の漢字が特殊な漢字をお使いになっている等々,様々な理由でコンピューター化されるのを拒まれたような場合につきましては,現状改製に適さない戸籍ということで,今なお,紙の形での縦書きの戸籍が使われているという現状でございます。それを改製不適合戸籍と申しております。   そのような改製不適合戸籍につきましては,今後ネットワーク連携を行おうと思いますと,縦書きの戸籍で画像データしかないということになりますと,そのままデータ化作業はできないということになりますので,そういったテキストデータ化されていない改製不適合戸籍については,どのように取り扱ったらよいでしょうかということについての論点提示でございます。   改製不適合戸籍につきましては,このまま縦書きのままですと,やはり様々な不都合等も生じますし,行政上の事務の効率化という観点からも適切ではないと考えますので,改めて電算化してはどうでしょうかということでの告知をしてはどうですかという問題提起でございます。さらにそのまま,それでも改製を拒まれた場合,データ化,その場合にはその人用に正本とは別にデータ化するのかどうかということも,なお検討する必要があるということでの論点提示でございます。   (4)につきまして,こちらは戸籍事務内の話ということになりまして,他の行政機関に情報提供する場合とは少し違うということで御理解いただければと思います。戸籍の事務の中には,先ほども申しましたように,戸籍の届出をする際には,戸籍の証明書を付けていただくといったことが多々ございますし,法律で義務付けられている場合もございます。今般整備する連携情報を各市区町村の方で必要な場合に確認していただいて,戸籍の届出の受理,不受理の審査をしてもらうという形にすることも考えているところでございます。   この場合,市区町村の方が戸籍事務内で参照する情報については,当然プライバシーの問題もございます。どの範囲を参照すればよいのかということで,例えばということで,こちらはその方が在籍していらっしゃる現在戸籍のみに限って見るということもどうでしょうかと戸籍制度に関する研究会での検討を踏まえ,御提案をしているところではございます。   今後,プライバシーの観点であるとか,そういった観点からどの範囲を参照できるように,国の情報を市区町村の方で参照できるようにすべきかというものを,御議論いただければと思っているところでございます。   あわせて(5)ですけれども,届書類の電子化保存についてということですが,最初にも申し上げました届書については,受理地,本籍地以外で受理した場合には受理地で審査をし,さらに本籍地の方で戸籍に記載するために郵送で送っているということになりますけれども,その作業をできるだけ省略化するということで,国の方のシステムに電子化したものを送ってもらって,本籍地の方ではその情報を確認していただいて,戸籍に記載してもらうということはどうでしょうかということを考えているところでございます。   その場合には,紙の届書については法務局にわざわざ送っていただく必要がないと考えられるところではございますので,この点どう扱うことがよいのかということも,論点として挙げさせていただいております。   さらに,またここを深く論じる際には見ていただこうとは思いますけれども,現在婚姻届とかでよく用いられております,デザイン婚姻届などといわれるものがございます。様々なデザインが書かれて,絵であるとか写真とかを付けられた婚姻届というものも多数今用いられているところでありますけれども,先ほど申しましたように届書を電子化して,国の方に送るということを考えますと,絵であるとか写真がたくさんあると,書いてある文字が読めないということもございますので,その辺り一定の制限をする必要はないでしょうかということの問題提起でございます。   (6)ですけれども,こちらは届出があった場合,市区町村ではその届出を受理できるかどうかの審査を行います。ただ,そこで受理できるかどうかであるとか,さらに戸籍事務とかに疑義があるような場合には,法務局に照会がされるというのは,先ほど申し上げたとおりです。その場合に法務局でも必要な場合には書類の提出を求めたりであるとか,質問をしたりとかするといったことを行ってございます。   ただ,そのような場合に,現在戸籍法の中に規定がありません。戸籍の記載というものを正確にするために,法務局でもそのような調査を行っておるところではございますけれども,その権限について規定する必要がないかどうかということについて,必要ではないかという御議論をいただいたところですけれども,この点についてはどう考えるのかということでの論点提示でございます。   (7)でございます。こちらも戸籍の一般の話になりますけれども,現在戸籍訂正制度ということで,戸籍の記載に誤りがあったりするような場合,戸籍を直さなければならないといった場合には,原則としては家庭裁判所に戸籍訂正の許可の審判を求め,その上で戸籍訂正の申請をしていただくというのが原則でございます。戸籍訂正の許可の審判というのが113条,114条にございます。あるいは離婚が無効であるとか,そういった人事訴訟に関する確定判決に基づいた戸籍訂正というものが,戸籍法116条で定められているところでございます。   このように,家庭裁判所に行っていただいて戸籍を直すというのが,戸籍法の原則ではございますけれども,ただ間違っているということが分かった場合には,本人に通知をして,ただそれでも戸籍訂正の申請をされないような場合には,一定の場合には法務局長の許可を得て,訂正できるという規定が戸籍法の24条でございます。   このように原則としては,家庭裁判所に行っていただくということにはなってございますけれども,一定の場合には法務局長の許可でもできるともなってございます。家庭裁判所に常に行っていただくのを原則としておりますと,本人が行くのかどうかというのを待たないといけないけれども,いつ行くのかということもございますし,仮に審判が出された場合に,さらに訂正をしないといけないような場合にどう扱うのか,主文に表れていない部分をどうするのかなどの問題点もいろいろ指摘もされるところでございます。この辺りにつきましては,訂正ができるということが明らかなような一定の場合には,家庭裁判所の審判を求めることを原則としない形での職権での戸籍訂正手続を拡大するような戸籍訂正制度というものも考えられないのかということでの論点提示でございます。   さらに,(8)ですけれども,こちらもマイナンバーの関係あるいはそれに伴う電算化の関係とは少し離れますけれども,戸籍の関係での改正の御要望があったものの一例として挙げさせていただいているものでございます。死亡届人の届出資格の拡大についてということで,現在は死亡届出義務者が定められ,さらに届出資格者ということで,同居の親族以外の親族のほか後見人,保佐人,補助人及び任意後見人が定められているところでございます。   ただ,例えば任意後見契約をされ,さらにお亡くなりになった後の死後の事務も委任はされているという契約も,最近は一定数あるとは聞いてございますけれども,任意後見が開始される前にお亡くなりになったような場合,死後事務委任契約をしていたとしても,実際には任意後見が始まっていないということもありますので,死後事務受任者ということで,死亡届が出せないということでトラブルになる例もあるとは聞いております。死亡届は,その後の埋葬の許可あるいは火葬の許可の前提ともなってございますので,死亡届の届出資格者を拡大してほしいという御意見も頂いているところでございます。今回御参加いただいている全国連合戸籍住民基本台帳事務協議会の方からも御要望いただいているところでございますので,併せてこの機会に御議論いただければということで,論点の提示させていただいたところでございます。   事務当局としては,このような点が論点になるとは考えておりますけれども,そのほか制度面でこの辺りを議論すればよいのではないかという点がございましたら,御意見等をいただければと思います。   続きまして,システム上の検討事項については,櫻庭関係官の方から説明してもらいたいと思います。 ○櫻庭関係官 それでは,14ページ下の3番,システム上の検討事項について御説明いたします。   マイナンバーを使って他の行政機関と戸籍情報をやり取りをするといったシステムを構築する。このシステムを仮称で戸籍情報連携システムと呼んでおりますけれども,こういったシステムを構築して運用していくに当たりましては,プライバシー情報の保護と情報セキュリティ上の対策が必要になると考えております。   特に戸籍情報につきましては,現行法上,第三者による戸籍謄本等の請求が限定されているというような形でも見られますように,高度なプライバシー情報として取扱いに十分な程度が必要になると考えております。プライバシー情報の保護という観点からの具体策としましては,行政機関とネットワークを通じて行うネットワーク連携におきまして,連携先との協議によって戸籍情報のうち必要とする事項を従前以上に絞り込み,必要最小限の情報にするといったことや,あるいは戸籍の事務内の連携ということで活用する場合には,例えば特定の事務におけるシステム操作につきましては,参照可能な範囲を現行戸籍の範囲にとどめるといったことも考えられるところでございます。   続きまして,15ページの方でございますけれども,情報セキュリティの観点からの対策ということも必要になってくると思います。情報セキュリティの対策につきましては,注12の方に書いてありますように,機密性,完全性,可用性と,いわゆる情報セキュリティの3要素というのがございますけれども,こうした3要素について,これを欠如させるような危害あるいは脅威から保護する必要があります。このため,考えられる方策としましては,①番として,技術的なセキュリティ対策,②番としましては,物理的なセキュリティ対策,③番としては,人的・組織的なセキュリティ対策,そういったものを講じる必要があるのではないかと考えられるところでございます。   ①番の技術的なセキュリティ対策の観点ということからいたしますと,新しく構築します戸籍情報連携システムにつきましては,政府共通ネットワーク等複数のネットワークと接続することになりますので,不必要なネットワーク間の疎通を防止する仕組みとすることや,あるいはアクセス制御を始めとするセキュリティの技術基盤を活用すること,こういったことが考えられるところでございます。   ②番の物理的なセキュリティ対策を講じるという観点からいいますと,システムを設置する施設の入退館の管理など,物理的なセキュリティ対策を確保するということも考えられるところでございます。   また,③番の人的・組織的なセキュリティ対策というふうな観点からは,セキュリティポリシーを策定したりあるいは組織・体制の整備を行うといったことが考えられるところでございます。   なお,①番の技術的なセキュリティ対策という観点からしますと,行政機関と連携しますネットワーク連携におきましては,中間サーバーに個人を特定する情報を置かずに,マイナンバーを直接用いずに機関別に生成される符号等を用いて,情報提供ネットワークシステムを利用するといった措置が講じられているところでございます。   このように,プライバシー情報の保護及び情報セキュリティ対策は重要と考えられるところですが,特に留意すべき事項について御議論いただきたいと考えております。   なお,具体的な方策につきましては,現在事務局の方でも検討中のところでございまして,後日各論という形にまた深掘りさせていただきたいと思っておりますので,今回は総論的な御意見を頂戴したいと考えております。   続きまして,15ページの(2)「システムの業務継続性の確保について」でございます。   この新しく構築されます戸籍情報連携システムにつきましては,各行政機関に戸籍情報を提供する行政システムの基盤になるということでございます。したがいまして,障害があった場合には,すぐに対応できるような形で最適な継続的なシステム運用を行うということが必要であろうと考えてございますが,その他特に留意すべき事項があれば,また御議論いただきたいと考えております。   (3)番目の「システム全体の運用経費等の削減等について」でございます。   こちらは,部会参考資料の4の2番の「マイナンバー導入のためのシステム」というところに記載があったところでございますが,既存の市町村の戸籍情報システムとか正本の制度を維持すると。そういった前提で考えるに当たりましても,戸籍情報システムのベンダーが6社ほどございますけれども,自治体クラウドの推進といった国や地方公共団体のIT施策を参考にしながら,可能な限りクラウド化を進めるなど,システム全体の運用経費等の削減を図るということが必要ではないかと考えられます。そのほかに特に留意すべき事項等がございましたら,また御意見を頂戴したいと思っております。   そして最後,16ページの方ですけれども,その他ということで,その他,システム面について特に留意すべき事項があれば,また御意見を頂戴したいということでございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは,第4について質疑に移りたいと思いますが,特に第4は,2の戸籍事務に関する制度上の問題,それから3のシステム上の問題ということで,この審議会において扱うべき問題としてどういうことがあるのだろうかという点に関して,事務当局からお示しをいただいたものですが,その点についての質疑でも構いませんし,またさらにこういった点についても検討すべきではないかという点も含めて,委員,幹事の方々の御意見を出していただければと思います。いかがでしょうか。 ○川島委員 ありがとうございます。   まず今日第1回目ということですので,戸籍法部会のメンバーに労働組合を加えていただいたことを,大変有り難く思っております。   私から3点申し上げます。   1点目は,当部会に臨むに当たっての基本的な考え方についてであります。連合は,マイナンバーの利用範囲の拡大については,国民への丁寧な説明と合意形成を図ることを前提に,安全性の確保,行政の効率性の向上及び国民生活の利便性の向上が認められる項目のみを対象とすべきと考えております。特に戸籍には,機密性の高い情報が含まれていることから,慎重な検討が必要であり,戸籍法改正について検討を進めるに当たっては,個人情報保護を最優先する観点から議論を尽くしていく必要があると考えております。そのような認識のもとで国民・生活者の視点から,個人情報がしっかりと保護されるように当部会における検討に臨んでいきたいと考えております。   2点目ですが,検討事項に関して申し上げます。資料1の14ページ目の3の(1)の「プライバシー情報の保護と情報セキュリティ上の対策について」です。この点については,システム上の対策はもとより,戸籍を取り扱う様々な事務の場面において,人的・組織的なセキュリティ対策が講じられることが必要であると考えます。また,法改正だけではカバーできない課題については,ガイドラインなどを併せて整備する必要があると考えております。システムという言葉は幅がある言葉ですので,そのような考えもこの中に盛り込まれているかもしれませんが,念のため申し上げておきたいと思います。   最後3点目は質問で,言葉の意味合いについて確認させていただきたいと思います。ページは戻りますが,11ページ目の(3)の第3段落目,「そこで」というところで文章が始まっているところの1行目のお尻から始まるところで,「俗字等又は誤字で記載されている者に対し,対応する正字で記載する旨の告知を」と書いてありますが,この正字と誤字の関係についてです。これは正に文字どおり正しい文字,誤っている文字ということで使っているのか,そうでなくて便宜上,文字の統一をする,あるいは戸籍に記載する文字を指定するといったことを前提に,それとは異なった字形であるものを誤字ということで使われているのか,その点の確認をさせていただきたいと思います。仮にそれが正しい,誤っているということで使っているということであれば,その根拠となる規定などについて御説明いただきたいと思います。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   2点御意見と1点御質問ということでしたが,これは事務当局からお願いします。 ○渡邊幹事 お答えをいたします。   誤字と正字という表現,インパクトがあるところかと思いますけれども,平成2年に戸籍情報上の字を整理するという観点で通達を出しております。お手元の茶色い戸籍六法というものがあるかと思いますが,それの1,363ページで,字の整理をしようということで通達を出しております。   この正字,誤字というネーミングでございますけれども,正字というのは,世の中に出ております漢和辞典で正字として扱われているもの,また俗字というのは,この漢和辞典に載っているもので,俗字という取扱いがされているものでございます。一方で誤字というのは,これらのその漢和辞典に載っていないものを誤字というような扱いでしておりまして,そういう意味ではカテゴリー分けでございます。そして,それもいみじくもおっしゃいましたように,いずれ文字の同定作業をしていってIPAが作っている文字集合に合わせていきたいと思っておるわけですけれども,その一過程として,こういった概念を用いて整理をしているというところでございます。 ○川島委員 ありがとうございました。 ○窪田部会長 最初の二つの御意見,マイナンバーに対する基本的な姿勢ということで,特に個人情報の保護ということに関して,やはり配慮をしていくということが必要ではないかということ。それから2点目として,システム上のセキュリティ対策ということだけではなくて,人的・組織的な,これは人に関してということなのだろうと思いますけれども,そうしたセキュリティ対策も必要なのではないか。システム上の対策という中に含まれているかもしれないけれどもということの御意見があったかと思います。では,それを踏まえた上で検討させていただきたいということかと思います。   ほか,いかがでしょうか。 ○鷲﨑幹事 今の御指摘の1番目のところに関連して申し上げたいのは,やはり情報の流れ,フローの透明性や透過性であります。つまり幾らセキュリティやプライバシーを確保しましても,結局自身の戸籍の情報が連携先も含めてどのように流れてどのように活用されたのかということがきちんと開示されているということが重要であって,そういう仕組みも戸籍セキュリティプライバシー対策の一環として併せて,外字で片仮名で言えばトランスペアレンシーということになりますけれども,それも含めて検討していくことが必要だと思います。   逆にいうと,そこをきちんと確保できるのであれば,それは国民の利益にかなうのであれば,むしろ積極的に戸籍情報が,こういう用途があって,こういうところに伝わるというのは,それは構わないということが国民においても理解が進むということは,私は十分考えられるのではないかと,それは個人的には思います次第です。つまり余り最初からもうプライバシーを考えて一律に限定すべきだという考え方もありますけれども,一方できちんとこれだけ透明性,透過性を確保されるのであれば,一定の範囲でここまでは拡大できるのだという考え方もあろうかと思いました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   今の点も含めてさらにこの点について検討をするということにしたいと思います。   ほかいかがでしょうか。 ○新谷委員 委員の新谷と申します。   今,渡邊幹事の方から話があり,誤字,俗字の関係について,目で見てもらえば一番分かりやすいのではないかと思いますけれども,今言った六法の1,537ページ以下がございます。これは常用漢字だとか常用漢字以外の文字ということで,一覧表になって上が正字と下が戸籍に記載されている文字という,こういうふうに分けてあると思いますが,現実に戸籍に記載されている文字,これが今まであったということですので,こういう文字が恐らく外字でも具体的に使われているというケースがあると思います。   私は,前任が公証役場で公証人をしていたのですけれども,いろいろ署名だとか戸籍を取り寄せて遺言だとかいろいろな形がありますけれども,その際,どういうわけか,誤字,俗字で戸籍ができている。俗字だったらまだ許せるのですけれども,誤字が結構あって,お客様にお聞きして,「あれ,こんな文字いつも書いているのですか」「いや,僕そんな文字書いたことがないけど,戸籍がその文字だよ」と,こういう方が非常に多いのですね。   ですから,ふだんから正しい文字を自分でお書きになっているんですけれども,親が付けた1点多いとか,1画少ないとかという文字を使われて,愛着があるといいますか,親が付けた名前で,だけど,ふだんは全部正しい文字で書いているということはありますので,恐らくこれからシステムで文字コードを統一するということであれば,そういう形で個人個人にもう一度告知なりお知らせなりしてやれば,かなり改善されるんではないかなと思います。   それともう一つは,102万字だったですかね,文字がある。あれは氏が多いのでしょうか,名の文字が多いのでしょうか。それまでお調べになったことはあるのでしょうか,ちょっとそこが質問でございます。 ○櫻庭関係官 改製不適合戸籍につきましては,そこまで厳密な分析はしておりません。すみません。 ○北村幹事 サンプル調査を行っての推計ということになります。今後戸籍の文字を全て集めるということになりますので,その中でもう少し詳しいものが分かってくるかなと思います。 ○新谷委員 もう1点よろしゅうございますか。   先ほど御質問がありましたけれども,なぜ戸籍には正しい正字で書くのかというところ,これは明治時代からの戸籍法の中では,戸籍には今の規則の31条というのがありますけれども,戸籍には字画を明瞭にして略字又は符号を用いずと書いていますので,略字というのは誤字であろう,俗字であろうということですので,戸籍の分野では正しい文字を書くというのが,昔から。ただ筆記用具の違い等がございますので,恐らく明治の頃は筆で書いたとかいうようなことがあって,達筆の方がいらっしゃる。それをまた転籍の際に,戸籍を作るのに手で書くということで誤字なり俗字なりが増えていったということがありますので,日本人の氏の文字,名の文字についての愛着は確かにありますけれども,今の若い人は恐らくそこまではないのではないかというのが,今までの経験則からです。ちょっと余分なお話しまして申し訳ございません。 ○窪田部会長 ありがとうございました。大変参考になりました。 ○久保野幹事 久保野でございます。今の点に関連してちょっと一つ質問なのですけれども,氏名というものは国が個人を把握するときの個人を特定するための機能を果たしていると理解しているのですけれども,振り仮名というのは国が個人を把握するときには,特に法制上意味を与えられていないのではないかという議論を聞いたことがありまして,そうすると文字,私自身は,すみません,調べてこないで質問させていただいていますが,そうすると文字が重要なのではないかと理解していたのですが,文字が大切だとしますと,その文字を変えるということは,氏名を変えることともいえるので,一定の重い手続に従ってのみできるといったような発想をしていました。そこで質問なのですが,誤字に当たるものが戸籍には載せられているけれども,御本人はもう正しいほうの字で認識していらっしゃるですとか,先ほど来出ているような字の差といったものがあるといったときに,特定のための氏名というものの基準というか,それはどこに置かれているのか。それ以上具体的にするとちょっと私も,それがパスポートなのか何なのか分からないですけれども,個人を特定するための文字は何が基準になるのか,その点について少し,こういうときにはこれが基準になるなどを教えていただければと思います。 ○窪田部会長 あれですね,例えば窪田の「窪」を久保野先生の「久保」に変えるのは,これは明らかに氏を変えることになるので,厳格な手続が必要なのだろうけれども,一方で正字に変えるのは,手続は要らないのだとすると,それとは違いがあるのかどうかという御質問だったのだろうと思います。その境目になるのは一体どうなのかという,これはこれで大変難しい御質問ではないかなと思うのですが,どうでしょう。 ○渡邊幹事 戸籍の訂正ということの前に,個人を特定する情報としてというお話もあったかと存じます。お手元の戸籍のサンプルを御覧いただきたいと思うのですが,オレンジ色の一番後ろに付いておりますけれども,戸籍には戸籍の筆頭者と本籍がまず載っております。そのことによって,かなりその特定というか,当該戸籍が特定されますし,また,決して氏名,氏や名前だけで個人を特定しているのではございませんで,生年月日,性別,そういったものも併せて個人を特定する情報としてあるということでございます。性別というのは,例えば配偶者区分,夫とかそういう表れ方をしておりますけれども,そういったところをもって,個人を特定するということをこれまでやってきておりました。   つまり,名前だけではなく,生年月日,本籍地,それから戸籍筆頭者,そういった情報を併せて検索して,当該戸籍に入って記載されている方を特定するといった形で,戸籍の事務は行われてきたものと思います。   もう一つお話のありました振り仮名についてでございますけれども,お手元の資料の戸籍制度に関する研究会最終取りまとめの34ページを御覧いただきたいと思います。   正に久保野幹事から御指摘ございましたように,戸籍は日本国民の親族的身分関係を登録し公証する制度でございますけれども,氏と名前につきましては,これは公証の対象になっておりますが,振り仮名については公証の対象となっておりません。そして,この振り仮名を公証の対象に更にすべきではないかということが,戸籍制度に関する研究会で議論をしていただいたところでございます。   過去に,この振り仮名を振るということに関しましては,漢字をどのように読むかということに関して統一的な基準がないと。それが音とか訓とか,そういうレベルでは漢和辞典等に記載があるわけですけれども,それがつながって人の名前となったときに,どのように読むかというようなところについては,統一的な基準は示されていないのが現状でございます。   一方で,戸籍の届出は出生届などが出たときには,その届出の記載内容が正しいかどうかを審査して,これを受理するということが行われておりまして,そうだとすると,その出生届に付された振り仮名が正しいのかどうかということを審査すること自体が困難なのではないかといった辺りが問題点として指摘されているところです。   過去に非常に難しい漢字が子供のお名前に使われるといった時代がございました。そういった時代の対策として,一時的に傍訓といって,傍らに訓を振るということも運用としては行われてきたのですが,子供の氏名に使う漢字につきましては,人名漢字表あるいは常用漢字表,これに限定されるということで,戸籍法施行規則50条に定まっておりまして,その必要性もなくなってきたのではないかという指摘もされているところでございます。   そういったところがございまして,個人を特定する情報として,振り仮名というところについて,取扱いをどうするかというところになろうかと思います。個人を特定する情報として,名前,生年月日,これらを用いてどの程度個人が特定されるかということを,調査委託の研究の際にも実施をしてみました。そうしたところ,この氏名と生年月日だけでかなり99%特定されるというような検証結果もあったことをお伝えしておきます。 ○窪田部会長 今,振り仮名に関しては,戸籍制度に関する研究会の取りまとめについて御紹介いただきましたが,ただ,この法制審議会は,それ自体はこうした検討結果を踏まえつつも,ここで改めて検討するということが可能なところなのだろうと思います。   今,渡邊幹事からは,そういった御説明がありましたが,久保野幹事からは,さらにやはり振り仮名も一旦検討しましょうかという御趣旨まで含むというわけではないということでよろしいですか。   その他の点に関しては,今お答えいただいたことでよろしいでしょうか。あるいは更に御質問等あれば。もうよろしいですか。どうもありがとうございました。 ○須藤委員 今の文字で誤字とかのことですけれども,今,文字をコンピューターで認識させて使うためには,コードを振らないといけないのですが,これは御説明にあったとおりですけれども,それを国際標準機関のISOで登録しないと,各コンピューターメーカーにその文字コードをきちんと作ってもらえないのですね。そのために経済産業省が所管しているIPA(情報処理推進機構)というのがあって,そこの文字基盤を作るという委員長も長らくやってきて,今年度でその事業をほぼ完成させることができる。   やはり重要なのは,まず行政からやろうということで,これは法務省とも長い間協議させていただきましたし,総務省の自治行政とも住基文字を縮退する,種類が多いものですから,それを登録できる文字数って限られているものですから,これは中国等の漢字のコードの取り合い等もございます。その中で日本がキープできるというのはどのぐらいあるかというと,また限られたことになるのですけれども,この住基の範囲と,住基文字の統一文字の範囲と戸籍の文字の範囲というのは重なっているところもあるのですけれども,お互いにずれているところもあります。その総合で約6万字なのです,漢字については。   それで,平仮名,変体平仮名については,また別途です。ここで今日の報告がある200万というのは,かなり違うものも一杯入っているのですけれども,漢字は大体いろいろな200万のうちの幾つあるか分からないけれども,漢字が,それを6万字に縮退させるというか,渡邊幹事の「邊」も何十もあるのですけれども,それも使い方はもう何種類かに1桁に限定させていただいて,国際機関で承認を得ようということで,ほぼ今年その事業が完了することになります。と同時に,昨年12月に官民データ活用推進基本法というのが法律が制定されました。   内閣官房において,この行政で使う,特に戸籍とか住基で使っているデータベースを政府の方で用意しておいて,自治体,政府各機関でダウンロードして使っていただくと同時に,民間にも使っていただいて,行政との取引というか,トランザクション,文書のやり取りのときの固有名詞なんかのときも,この文字コードを使って申請したり手続をしていただくようにしようということで,これはG8の決定でオープンデータを推進するということがありますけれども,その中の重要な一環として,現在,これからですけれども,今年度ですけれども,内閣官房の方でその文字データの民間開放も考えようというようなことで検討はなされています。その中に,今この戸籍の文字コードの縮退化というか,限定して使うということも入っているということになります。大体の私が今委員長をやっているところでは,そういうことが今考えられております。   それから,データはどうしてもダウンロードしたいということであれば,IPAの文字情報基盤データベースというのがございますので,そこからダウンロードできます。多くの自治体では既にダウンロードしていただいて,特に住基統一文字なんかは使っていただいているということになっております。 ○窪田部会長 先ほど久保野幹事から出た御質問との関係では,恐らく全く違う漢字に変えるのであれば,それは氏の変更ということになるけれども,むしろ字体は様々であるけれども,これは同一の文字なのだと理解すれば,単に統一文字の問題なのだということになるのだろうと思います。ただ,恐らく一般的にそうするかどうかという問題と,私はそれでは納得しないという,それを周りは誤字だと言っても,これが私の字なのだとおっしゃる方がおられる場合,それについてどのように考えるのかという問題が,正しく検討課題として挙げられていた点なのではないかと思いますし,これについて,今こうなのですよと説明をするというよりは,むしろそれを踏まえて検討していくということになろうかと思います。   ほかにいかがでしょうか。 ○大橋委員 今日いろいろ議論を聞かせていただきまして,やはり中核になるところの副本のシステム,この戸籍副本データ管理システムというものが,今までの取扱いと,今度の法改正の下では,位置付けが随分変わるのだなということの認識を強くしました。つまり,今までは副本は持っていなければいけないという法律規定があって,そのバックアップの仕組みというのを,当座実務上置いておきましたという,それぐらいの位置付けだったものが,これからは,他省庁との間で情報連携をやるので,そうした連携をやるための中核的な仕組みを作りますという,そういう意味合いと,もう一つは,戸籍事務内連携で,いろいろな情報をこれから蓄えて,場合によっては先々,相続との関係で,それを使うという場合の中核的な仕組みを整備するという意味を持つことになります。それがちょうど同じところで作る仕組みの性格から,今の戸籍副本データ管理システムを利用して,発展的に持っていくにしても,かなり位置付けが変わってくるのかなという印象を受けました。例えばこの10ページの第4の1というところの根拠規定ということの意味合いも,今言ったようなシステムの中で置かれる重要性ということを表明するという意味もあるのかなというようなことを,今までも薄々は思っていたのですけれども,今日は更にそれを強く認識いたしました。単なる感想ですけれども,申し上げたいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   今の点,特に1に関して,1に示されたミッションに関しては,さらにもう少しシステムの位置付けも含めてという御意見だったと思います。それを反映させて検討をしていくということにしたいと思います。   ほかいかがでございますでしょうか。 ○久保野幹事 久保野でございます。1点質問で,1点は要望のようなものなのですけれども,質問は,今日の14ページのところで死亡届人の届出人資格の拡大についてという論点がございまして,これはマイナンバーとの連携やネットワークの話とは違うものであるけれども,特に社会的な要請も高いのでということだと伺いましたけれども,具体的に何を思い浮かべてというわけでは,という質問ではないのですけれども,例えばもし他の届についても考えてみたところ,課題がありそうだというようなことが仮にあれば,ここで取り上げるということがあり得るかというようなことについて,ちょっと一般的な質問で恐縮ですけれども,確認させていただければと思います。この会議の射程といいますか,そういうもので。   もう1点はお願いなのですけれども,戸籍事務内での照会についてが入っていますが,戸籍事務内で照会を行ったとき,参照した場合に,参照対象を現在戸籍の情報の範囲にとどめるかどうかといったような論点を11ページから12ページにわたって提示していただいていますけれども,そしてこれとの関連では,4ページのところで現在の扱いがどうかということを教えていただいているわけなんですが,どの範囲が適当かということを考えるに当たって,その照会というものの,全てというと難しいとは思うんですけれども,ここで一つ再婚禁止期間の確認が必要だというような例が挙げられていまして,あと先ほど法定相続人の話も出ましたし,恐らく重婚のチェックなどもいろいろあるのだとは思うのですけれども,ある程度典型的なものといいますか,受理,不受理に当たって,こういうことを照会をする場合があって,その場合に現在だとこういう方法でここまで調べていって,あとは電話でやっているとか,そのような情報をある程度,もし御提供していただけると有り難いと思います。 ○窪田部会長 では,それは事務当局からお願いします。 ○北村幹事 1点目の点につきましては,今回御要望を何年かにわたっていただいているところということで挙げさせていただいたところでございます。更に御要望あるいは取り上げるべきという御意見があれば,そこでまた改正の要否等も含めて,またお諮りするかどうかも含めて検討させていただきたいと思っているところでございます。   2点目の照会する場合にどの範囲を見るのかという点は,正に今後皆様に御議論いただきたいと思っておるところでございます。実際に何もないところで御議論いただくのも難しいと思っておりまして,今回は現在戸籍の範囲でどうかと挙げさせていただいておりますが,実際に市区町村の窓口でどういう事務をされて,どの範囲を見ていらっしゃるのかにつきましても,私どもの方から全連の方にお願いをしたり,それ以外の形でも今調査をしておるところでございます。議論する際にはそれらも踏まえながら,皆様に御議論いただけるように準備をさせていただきたいと思っておるところでございます。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   2番目の点に関しては,私からも希望ということでよろしくお願いしたいと思います。戸籍については,恐らく抽象的に議論するとよく分からないが,具体的なことを前提としてみて初めて分かるというようなところもあると思いますので,今後各論点についてということになりますと,より詳しい形で御説明いただけると思いますが,どうぞ,よろしくお願いいたします。   ほかいかがでございますでしょうか。 ○鷲﨑幹事 戻ってしまって,初回ということで意見として申し上げますが,先ほど文字コードの統一につきまして,戸籍システム検討ワーキンググループでも検討されていたのですが,割と法令的な強制力を持って,先ほどの縮退された文字コードを用いて統一していくのか,若しくは当面はある種移行期間として,論理的には統一をしつつ,複数のこだわりのありそうな,そういう複数の字体,そのビジュアルなところに関しては,やむを得ず残していくのかということは,一応両方は恐らく案として,まずは並行して,両方検討はし得るということだと理解しておりますけれども,ですから,今結論を出すというよりは,多分両案が考えられるということかと思います。 ○窪田部会長 そのような形の理解をしていただくということでよろしいと思います。   ほかにございませんでしょうか。   それでしたら,本日の審議は以上とさせていただきたいと思います。   最後に次回の議事日程等について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○渡邊幹事 次回の会議でございますけれども,本年12月1日金曜日,時間は午後1時30分から,予定としまして午後5時30分までの間,場所は法務省の地下の1階になりますが,大会議室を予定しております。 ○窪田部会長 それでは,本部会の第1回会議はこれにて閉会にさせていただきます。熱心な御審議を賜りまして,本当にありがとうございました。 ―了―