法制審議会戸籍法部会 第2回会議 議事録 第1 日 時  平成29年12月1日(金)   自 午後 1時30分                         至 午後 5時20分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  戸籍事務へのマイナンバー制度導入のための検討事項(各論)について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○窪田部会長 それでは,予定した時刻がまいりましたので,法制審議会戸籍法部会の第2回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中,御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。   本日ですが,磯谷委員,阿部幹事,岡田幹事が御欠席と伺っております。また,木村幹事が遅れて参加されるということでございます。   それでは,本日の会議の配布資料の確認をさせていただきます。事務当局からお願いをいたします。 ○渡邊幹事 お手元に配布資料目録,議事次第,委員等名簿を配布させていただいております。   また,事前に部会資料2及び参考資料の5から10までをお送りさせていただいておりますので,それはお手元に置いていただいて御議論をお願いいたします。   さらに,本日の席上配布資料といたしまして,安達委員から御提出の資料1「戸籍情報連携システム(仮称)のシステム構成(イメージ)」及び資料2「システムの在り方と構築について」というものがありますでしょうか。また,さらに新谷委員からの提出資料といたしまして,「戸籍に記載する氏又は名の文字の取扱いについての説明資料」と題したものをお配りさせていただいているかと思います。さらに,事務当局からの説明資料を補足するものといたしまして,「文化審議会国語分科会「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」」というものがありますでしょうか。   お手元の資料につきまして,不足等がございましたら事務当局までお申し付けを頂きたいと思います。   配布資料の御説明は以上でございます。 ○窪田部会長 ただ今配布資料の御説明を頂きましたが,不足等はございませんでしょうか。   ありがとうございました。   それでは,審議に入りたいと思います。   本日は,戸籍事務のマイナンバー制度導入のための検討事項の各論について御議論を頂きます。   まず,部会資料2の(前注)について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○渡邊幹事 お手元に戸籍法部会資料2を御用意ください。   まず,(前注)のところについて御説明を申し上げます。   第1回の戸籍法部会におきまして,磯谷委員などから,将来的な課題として法定相続人が一度に分かるような,そういったことが実現するとよいという御指摘があった際に,戸籍事務内では親子関係等の情報を積み重ねていき,いずれは可能になるものと想定しておりますという御説明を申し上げました。ここで,その際に出てきました戸籍事務内での話と,それから旅券申請等の際に戸籍謄本等の添付を省略することができる,そういった他の行政事務との連携,これはネットワーク連携といいますけれども,この二つの概念について,最初に御説明を差し上げたいと思います。   この(前注)に記載しましたとおり,ネットワーク連携は戸籍情報を必要とする戸籍事務以外の事務を所管する行政機関に対する情報提供のことでありまして,他の行政事務に対する情報提供については,マイナンバー法上,原則として情報提供ネットワークシステムを通じて行うこととされております。そして,情報提供ネットワークシステムの運用ポリシーとしては,万一,データが漏えいしても,特定個人と結び付けられることがないように,個人を特定する情報,例えば氏名,住所,性別,生年月日,そういったもののやり取りは行わないということとされておりまして,照会を受けた特定個人について記号化した情報を提供することとされています。   戸籍制度に関する研究会や戸籍システム検討ワーキンググループでは,現在の戸籍情報にはこういった親子関係,あるいは夫婦関係などの二者の関係に関するデータそのものが設定はされていないという,そういう現状を踏まえまして,ネットワーク連携を可能にするために親子間係等のデータを更に付け加えていく必要があるという指摘がなされたところです。   他方,下の段落の戸籍事務内連携についてでございますけれども,これは現に戸籍事務を行っている全国の市区町村1,896ございますが,この市区町村と,更に全国の法務局,そういった戸籍事務を扱っている部署で戸籍情報を互いに参照できるようにするなどの連携をするというものでございます。この場合,個人を特定する情報,例えば氏名,住所,性別等を含めた戸籍証明書と同一の情報の授受が行われることが前提として想定されているところです。   このように,ネットワーク連携と戸籍事務内連携は関わる機関,主体が異なる概念でございまして,御議論に当たりまして区別をお願いしたいと思います。そして,法制審議会は法務省の所管する基本法令について御審議を頂く場でございますので,基本的に御議論を頂くのは,この戸籍事務内においてのことということで想定をしております。ネットワーク連携につきましては,内閣官房が所管されております番号法の世界の話になりまして,内閣官房あるいはその具体的な手続に関する連携先との協議,こういったことを別途していく,そういった事柄であると理解しております。   最後の部分でございますけれども,戸籍事務内の最後の行につきまして,「戸籍事務内部で管理する番号を用いて事務を処理する。」という記載がございます。現時点において,戸籍事務内において検索する際のキーとしては,戸籍事務内で独自に振った内部番号を用いることを想定しております。他の行政事務に戸籍情報を提供するネットワーク連携につきましては,当然マイナンバーを利用するということが想定されているわけでございまして,戸籍制度に関する研究会でも,戸籍事務内でも,そのマイナンバーを用いて情報の検索をするということも想定され,実際に議論がなされてきたところですが,第1回の戸籍法部会におきまして,磯谷委員から,戸籍事務内でマイナンバーを使うことのリスクといった御指摘もございましたし,また国税ですとか,あるいは年金,そういった事務におきまして,マイナンバーそのものではなくて内部管理番号を使って事務を処理をしているという例があると承知しておりまして,そういったことも踏まえまして,戸籍事務内においては,戸籍事務内で独自に振った内部管理番号を使って,互いに情報の授受を行うということを現時点では想定をしております。   ネットワーク連携,戸籍事務内連携,これらは互いに密接に関連しているものでございまして,ネットワーク連携を実現するためには,親子関係等の情報をデータとして積み重ねていかなければなりませんし,その結果,戸籍事務内においてもデータ的につながった情報が構築されるということになると想定しておりまして,このネットワーク連携,戸籍事務内連携の実現を総称しまして戸籍事務へのマイナンバー制度の導入と呼ばせていただきたいと思います。これによりまして,行政運営の効率,あるいは国民の利便性の向上が期待されると考えております。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   ただ今,(前注)について事務当局から御説明を頂きましたが,この点について御質問等ございましたら,御発言をお願いいたします。 ○安達委員 ただ今事務局から御説明があり,正にそのとおりでございますが,私,今まで戸籍システム検討ワーキンググループで,この方向に至るまでいろいろ検討に加わっておりました。別途,2枚の図の資料を用意いたしましたので,ここで少し時間を頂いて,その経緯も含めまして御説明させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。 ○窪田部会長 どうぞ,よろしくお願いいたします。 ○安達委員 資料右方に1と書いたものと2と書いた2枚のものがございますが,まず資料の1の方,「システム構成(イメージ)」と書いてありますが,この左側の図,「システムの現状と課題」と書いてありますのが現在の姿です。この図では市区町村が複数のベンダーで戸籍情報システムを使って業務を行っており,個別に正本を管理しているわけです。そのために,ネットワーク化されておりません。当然,文字も統一されていないため,連携システムを作ったとしても外字など,そのままでは表示できないという状況になっております。   一方,この左側の枠の中の一番上の「法務省」と記した枠に「副本情報を保管」と書いてありますが,大規模災害のときなどに備えたバックアップとして,法務省が戸籍副本データ管理システムを作りまして管理している,これが現状でございます。   戸籍システム検討ワーキンググループにおいては,マイナンバーを使ってネットワーク連携を行うための情報提供ネットワークシステムを利用して,行政機関等に対して戸籍情報をどのようにうまく提供するかについて検討してきました。私も最初聞いたときちょっと当惑したのですが,「情報提供ネットワーク」と一般の名詞のように使いますが,実はマイナンバーを通信するための専用のネットワークの名称が「情報提供ネットワーク」ということだそうです。ですから,これは一般のネットワークのことを言っているのではないと御理解ください。   大きく分けますと,私どもは三つのやり方を検討しました。   まず,先ほどお示ししたように,各市区町村で分散して行っている現状をそのままシステム化するという分散システム,これをA案としました。対極にありますのがC案でして,全国一元的な集中システムを作ろうというものです。前提条件なしに考えれば非常に合理的な形でもあるわけです。その間の折衷案としましてB案というものを作りまして,先ほどの図にありますように市区町村で管理する正本データは,それはそれで維持しておいて,国が管理している副本データを連携情報として活用するという案です。この三つを考えまして検討してまいりました。   まず,分散管理,各市区町村でばらばらに管理するという案では,市区町村をわたって複数の戸籍に記録されている情報の統合が非常に難しいということがあります。また,1か所に集中させるというシステムを考えた場合,現在,国の省庁間でいろいろなデータを標準的に持つ際の仕様が定められており,システム作りを合理的に進めるという基本方針があるのですが,戸籍に含まれる情報にはそこで定められてない情報が多く,それらのデータの扱いがなかなか難しいということ,さらに複数のベンダーが関係していますので,システムの切替えなど,移行の負荷が随分大きいというようなことが考えられました。   そこで,資料の2の上に黄色い枠がございますが,そこに赤字で書いてあるのが戸籍システム検討ワーキンググループでの結論であります。これは既存の市区町村のシステムや正本を維持するとともに,戸籍副本データ管理システムの仕組みを利用して,国においてネットワーク連携用のシステムを構築するというB案でいこうというものです。   資料2の真ん中の辺りに図がありますが,この左側に市区町村と書いてございまして,その右隣にLGWANと書いてあります。これが地方自治体と中央官庁を結ぶ閉ざされたネットワークで,ここを通じて法務省の戸籍副本データ管理システムにつながるというのが,現状の形であります。これを右側の図にありますように,「情報の整備」と書きました枠の中のように今後整備を進めていく必要があるということを描いたものです。   まず,マイナンバー連携をするためには,戸籍の電子化が必要になります。古い戸籍については画像データを電子化,テキスト化することが必要になるわけですが,それには膨大なコストを要することから,まず,既に電算化された戸籍を対象とすべきという方向を考えました。そして,まだ仮称でありますが,一番右の「戸籍情報連携システム(仮称)」と記したシステムを構築し,そこに「連携情報」と記した新たな情報を整備する必要があることを説明しております。これは親子関係などの情報を新たにまとめて用意するということを想定しております。   この戸籍副本データ管理システムでは,先ほど申し上げたとおり文字コードが統一されていないことから,これを統一する文字整備の作業が必要となります。さらに先ほど事務局から御説明もあったとおり,マイナンバーの情報提供ネットワークシステムでは,個人を特定する4情報は,直接やり取りしないポリシーになっております。このことから,親族的身分関係情報,つまり親子などの情報を作成してそれをそのまま流すということはできないことになります。すなわち,基本4情報を除き,記号化された情報を流すという方策を採らなければならないということになります。この資料2の真ん中に書きましたとおり,戸籍情報連携システムを作るに当たっては文字コード統一,そして基本4情報以外の必要な連携情報を整備するという,この二つが必須の整備作業となってきます。   資料1に戻って御覧になっていただきたいと思います。この図の右側が今後マイナンバーに使う戸籍情報提供の仕組みを書いたものです。戸籍情報システムの外にある,他省庁や自治体のサービスで戸籍情報を使うというときの仕組みを示しております。それがこの図の一番右側のところに図示した流れでして,右側の上に「戸籍情報連携システム(仮称)を構築」と書いてありますが,その下に中間サーバというのがございます。ここから下に続くネットワークのところに四角い枠で「情報提供ネットワークシステム」と書いてありますが,これが他省庁等にマイナンバーを使って情報を提供するネットワークであります。この一番下にある関係機関が,具体的には年金や旅券に関する業務を行う機関でありまして,そこに戸籍に関する情報を提供して合理的に行うというものであります。   一方,その関係機関の左に市区町村の例としてA市と書いてありますが,ここに「戸籍情報システム」というのがあります。ここにある戸籍の正本は,上の方にネットワークでつながっていきまして,「戸籍情報連携システム」につながっています。こちらは一番右にありますマイナンバーの情報提供ネットワークシステムとは異なりますから,基本4情報を流せないという制約には捕らわれず,法務省内の内部のシステムとして,先ほど御説明もありましたとおり戸籍システム内部で使っている記号やIDを使って,今まで以上のサービスを提供する可能性が出てまいります。   このように,マイナンバーの関わるシステム部分と法務省内の戸籍情報連携システムとの間で,マイナンバーの扱いが変わってきますので,戸籍に関するサービスが,法務省関連の戸籍業務と他省庁の戸籍を利用した別の業務という対象により違いが出てくるということになります。   以上,このようなことがワーキンググループで検討してきた内容でして,私どもとしては,ここで御説明したネットワーク連携というものが最も適当ではないかと御提案している次第です。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   大変詳しい御説明を頂きましたが,ただ今の事務当局からの(前注)の部分についての御説明,それから安達委員からの御説明を踏まえて,何か御質問等ございますでしょうか。 ○石井幹事 御説明いただきましてありがとうございました。   2点ほど教えていただきたいことがあります。   1点目ですけれども,今,安達先生から御説明がありました提出資料1で示されているシステムの関係と,部会資料の2の(前注)の中のネットワーク連携と戸籍事務内連携の事務の関係性を確認させていただきたいというのが一つです。   もう一つは,特定個人情報の定義のところで,「マイナンバーと紐付けた個人の夫婦関係や親子関係といった情報であって」というように書いてある部分について,マイナンバーと裏番号を含む,つまり個人番号と裏番号を内容に含む個人情報というように定義されていると思うのですが,特定個人情報の括弧の中の書き方は,これで正しいのでしょうかというのが2点目です。 ○窪田部会長 事務当局から御説明いただくということでよろしいでしょうか。   1点目は,ここでネットワーク連携というのと戸籍事務内連携という形で二つ示されているけれども,これは提出資料の1の方でどの部分がどれに当たるのかという御質問として理解してよろしいでしょうか。 ○石井幹事 戸籍副本データ管理システムとネットワークでつながっていくシステムの,そのどこからどこまでの流れが戸籍事務内連携で,どこからどこまでの流れがネットワーク連携になっていくのかというところで,戸籍副本データ管理システムを中心に事務内連携とネットワーク連携に流れていくという理解で良いかを教えていただきたいと思います。 ○渡邊幹事 お答えをいたします。   安達委員御提出の資料に基づきまして御説明をしたいと思いますが,戸籍事務をしているというところは,まず,この対策と書かれてあるところの市区町村という日本地図が書かれている部分があろうかと思います。この日本地図の各市区町村にコンピュータシステムがあるわけですが,そこの部分と,更に戸籍副本データ管理システムとして法務局の方で副本を管理している,その辺りが戸籍事務になります。   一方で,ネットワーク連携の方につきましては,中間サーバ,一番右側の縦の列を御覧いただきたいと思いますが,中間サーバから情報提供ネットワークシステムを介して他の行政機関に情報を提供するという部分になります。ただ,事務と事務を切り分ける形で書いておりませんので,少しそういった意味では分かりづらいかとは思いますが,いずれの事務につきましても,私どもで構築することを想定している戸籍情報連携システムを使うことにはなります。同じそのシステムを使うのですが,左側の列,日本地図と法務局を含めた左側の列につきましては,戸籍情報をそのままやり取りする,そういったイメージでございまして,右側の列,他の行政機関との連携につきましては,記号化した形で厳しい運用ポリシーのある情報提供ネットワークシステムを使うという形になります。 ○石井幹事 ありがとうございます。   もう一点教えていただきたいのですが,連携情報を取り扱う場合,その連携情報は特定個人情報を含む,という理解で間違っていないでしょうかという確認です。 ○渡邊幹事 まず,連携情報というのはネットワーク連携ができるような形,例えば親子関係を情報として設定するというような,そういった作業の部分になりまして,必ずしもマイナンバーを含んでいるか,含んでいないかということは必然的ではなくて,御指摘の特定個人情報,つまりマイナンバーを含む個人情報の部分につきましては中間サーバの方に置かせていただいて,他の行政機関から照会があったときに自動にお返しするということを想定しております。 ○石井幹事 分かりました。   特定個人情報に含まれる個人番号というのは,個人番号だけでなく,個人番号に対応した他の符号なども含むというようになっていると思いますが,そういうものは必ずしも含むわけではないと,連携情報の中に含めるわけではないというように考えてよろしいですか。 ○北村幹事 その点はそうでして,特定個人情報として今考えているものは,正に機関別符号と結び付いた形で,この中間サーバに入れる,ネットワーク連携を行うために,必要な連携情報から抽出してネットワーク連携ができるようにした情報という形で考えてございます。内部の番号については,正にこの戸籍事務内で使うということで考えているということになります。 ○石井幹事 分かりました。   特定個人情報が含まれるのは情報提供で,中間サーバに集約する形で特定個人情報を取り扱うという理解でよろしいということですね。ありがとうございます。 ○手塚委員 1点よろしいですか。   今のところ,中間サーバのところで,結局内部管理番号とマイナンバーの変換のところをどこでやるかというのが一番これは大きなポイントになると思うので,それがどこかというと,やはりそれは中間サーバのところでやるということで,ここで集約していると。それで,ここがやはり責任分界点として完全に戸籍の方の事務のものと,それと今度はマイナンバーとの連携という,そういう整理になるのかなと思っていますけれども。 ○窪田部会長 石井幹事もよろしゅうございますか。 ○石井幹事 ありがとうございます。   先ほど御質問させていただきました資料2の(前注)の特定個人情報の書き振りは,これで大丈夫ですかということですが。マイナンバーだけではないと思いますので,マイナンバーと対応したほかの。 ○窪田部会長 「特定個人情報(マイナンバーと紐付けた」という部分の,その括弧内の書き方が適切かどうかということですね。 ○石井幹事 はい,そうです。 ○三橋幹事 これは法律上の厳密な定義ということよりは,かみ砕いた表現としてこうしているので,マイナンバーのみならずということだったと思います。要するに,マイナンバーやマイナンバーに対応する符号と結び付いたもの,これは特定個人情報になりますが,これを厳密に書き切ろうとしているのではなくて,この導入部分として整理した表現,かみ砕いた表現にしているだけと理解をしております。 ○窪田部会長 事務当局もよろしいですか。   それでは,それ以外にいかがでしょうか。   先ほど石井幹事からの御質問で,それに対するお答えの中で出ていたことだとは思うのですが,ちょっと確認だけをさせていただきたい点として,安達委員から頂戴しました資料の1の方で,右側の上,法務省の「戸籍情報連携システム(仮称)」ということで,これが法務省の作業としてあるということではございましたけれども,戸籍事務内連携のイメージというのは,例えば下の方から,市区町村から上に上がってきて,戸籍副本データ連携情報という形で整備されたものを,もう一度今度はまた左側で,例えばB市であるとか,そういったところに提供するというイメージ,「連携情報」までのところで止めてということでよろしいでしょうか。   それに対して,ネットワーク連携というのは,むしろそのデータを基にして情報提供データベース,中間サーバというところから,その下の方につなげていくルートの作業だというふうな理解でよろしいでしょうか。   ありがとうございました。   ほか,御質問はございますでしょうか。 ○大橋委員 現行法ですと,戸籍副本データ管理システムというのがあるだけで,それを基礎に今回の戸籍情報連携システムを作るというお話なんですけれども,では,晴れてこの新しいシステムができたときに,戸籍副本データ管理システムという概念は残るのでしょうか。それとも,これは連携情報がある程度進んだらそちらに集約されて消えていくようなものなのか,ちょっとこの言葉というか用語はどんな形になるのでしょうか。 ○渡邊幹事 後ほどバックアップデータについてというところで御議論いただきたいと思っておりますけれども,連携用にデータベースを作るということに加えまして,やはり戸籍正本情報のバックアップデータを確保しておくということは,戸籍情報が非常に個人情報として重要なものであるということに鑑みますと,必要であるというふうに考えておりまして,連携情報以外に副本情報も残しておく必要があるというのが私どもの現時点の考え方でございます。後ほど改めまして御説明を申し上げます。 ○窪田部会長 多分,副本という概念にも関わる部分だろうと思いますけれども,後ほど扱うということでございましたので,大橋委員,それでよろしいでしょうか。 ○大橋委員 はい。 ○窪田部会長 ほかはいかがでしょうか。 ○浦郷委員 確認をしたいのですが,一般の国民が,この戸籍謄本を必要とするときというのが,戸籍を届出するとき,あと年金とか旅券とか相続のときというのが最初に出てきました。この情報提供ネットワークシステムを使うのは,例えば旅券とか年金とか相続とかということになると,一定の確認だけなので,例えば旅券の場合は日本国籍があるかどうかの確認ということになるので,記号化で大丈夫だという理解で私はいたのですが,そういうことでよろしいのでしょうか。あと戸籍の届出ということで出生とか婚姻とか,そういうのはこの連携情報システムの方に構築されて,それが今,別の本籍地でないところで届出をすると,やり取りを電話なり郵送なりでやっているのを,この連携情報を使うと市区町村同士がじかにできるということで,安達委員の出した資料1の右側の図のところでは,市区町村と連携情報もつながるということでいいのでしょうか。それとも,戸籍副本の方を通るということなのでしょうか。そこをもう一度御説明いただきたいと思います。 ○窪田部会長 事務当局からお願いします。 ○渡邊幹事 お答えをいたします。   相続というお話がございましたが,相続であるにしても,戸籍情報を利用する行政機関がどこかということは必ずしも限定されていない御質問かと思います。例えば旅券ですとか年金ですとか,そういった他の行政事務との連携につきましては,それぞれの連携先と,例えば旅券であれば,戸籍情報のどういった部分を確認すれば足りるのかということを現在協議中でございます。元よりネットワーク連携を行うということですので,記号化できるということが必要になりますので,記号化できる範囲でどういった情報が必要かということを連携先と,正に今具体的に協議をさせていただいているところでございます。   戸籍の届出の方につきましては,正におっしゃったとおりでございまして,市区町村から連携情報を,これはちょっと線が,戸籍情報連携システム全体に向かって市区町村からネットワークの線が出ておりますけれども,実際には市区町村は連携情報の方を参照するということが想定されております。その連携情報を参照することによって,戸籍謄本等を付けていただかなくても戸籍届出の受理を審査することはできるということを,私どもとしては想定をしておるところです。 ○浦郷委員 ありがとうございました。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   ほかに,御質問はありますでしょうか。   よろしいようでしたら,次に部会資料2の第1の1について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○渡邊幹事 御説明いたします。   「電算化を原則とする規定振りへの変更について」でございます。   御案内のように,戸籍法は,「戸籍は,これをつづって帳簿とする」ですとか,あるいは除籍となったときにはわざわざその戸籍簿から,その部分を別につづって除籍簿として別に保管するですとか,基本的に戸籍は紙であるという前提で法律の条文が構成されております。施行規則などでも,例えば美濃紙を使うとか,正に紙であることが前提となった制度設計になっております。   一方で,電算化された戸籍事務につきましては,法の118条,(注)の方に条文を抜き出して引用させていただきましたので,後で御覧いただければと思いますけれども,法の118条という戸籍法全体の後ろの方に特例として規定されているにとどまります。この電子情報処理組織というのは法令用語でございまして,簡単に申し上げればコンピュータシステムということでございます。   このコンピュータシステムで行う戸籍事務でございますけれども,現時点で全国1,896市区町村のうち,4市区町村を除いては全て電算化が完了しております。また,電算化が可能になったのは平成6年でございまして,以来23年,時間が経過しております。社会の情勢を見ましても,重要な情報処理,事務処理に関しましては,コンピュータシステムを用いて行っているのが通例というのが現状であるかと思いまして,規定振りを実態に合わせて,電算化戸籍を原則とするという規定を整備したいと考えております。それに当たりましては,戸籍法全体の体系を見直すと,原則と例外を入れ替えるということになりますので,体系そのものを見直すということになります。   また,付随的にではございますけれども,そういった電算化が原則だとしたとしても,後ほど出てまいります電算化に必ずしも応じない,そういった戸籍情報もありますので,そういった紙戸籍の処理についても例外的にはこれを行うことができるといった規定も残したいというふうに考えております。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   ただ今事務当局から御説明を頂いた部分について,何か御質問,あるいは御意見等はございますでしょうか。   これについては,基本的な方針ということにも関わりますけれども,よろしゅうございますでしょうか。   それでは,続きまして,部会資料の第1の2及び3について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 それでは,ここの「2 国が連携情報を管理することの根拠規定等の整備について」というものと,「3 バックアップデータについて」について,併せて御説明をさせていただきたいと思います。   まず,2のところでございます。   こちらは,先ほど安達委員から御提供いただきました提出資料1でも御説明ございました,現行の戸籍法につきましては,市区町村長を戸籍事務管掌者と定める規定と,国の一定の関与を定める規定がございますけれども,提出資料の1の上の右側の上,戸籍情報連携システムというものを用いて,ネットワーク連携及び戸籍事務内連携を行うということを考えているところです。   このような情報連携を行う場合には,現在の市区町村長を戸籍事務管掌者とするその規定,正本については維持をするという方向ですので,そちらについては維持をする。他方,戸籍情報連携システムにつきましては,従来の国の関与の在り方だけでは不十分とも考えられますので,責任を持って国の方で管理をしていく,そのための根拠規定が必要でないかということを考えているところです。   そこで,国及び市区町村がネットワーク連携や戸籍事務内連携を行うための連携情報を整備して,管理するための根拠等の規定を設けるということが必要ではないかと考えておるところです。   続きまして,3の「バックアップデータについて」というところについて御説明をさせていただきたいと思います。   先ほど,大橋委員から御質問のあったところと関連いたしますけれども,まず,今の正本と副本というものがどういうものかというところから少し御説明をさせていただきたいと思います。戸籍法部会参考資料の5もお手元に置いてお聞きいただければと思います。   まず,参考資料の5,「現状の副本制度」と記載しております。こちらはコンピュータ化をした市区町村における現状の副本の取扱いですが,その前提といたしまして,紙の時代の戸籍につきましてどうなっていたかから少しお話をさせていただければと思います。戸籍は,現在も紙で行っているところもありますが,元々紙に記載して作っています。したがいまして,新しく戸籍が作られますと,それが正本となりますけれども,併せて同じものを副本という形でもう一部作りまして,市区町村からそれを法務局の方に送り,法務局という別の機関で保管をする。そして戸籍の届出,出生届が出される,あるいは死亡届が出されるということになりますと,正本の方にはその届出があった事項について記載をされていきますけれども,法務局にある副本に市区町村が同じように書いていくわけにはまいりません。後ほどの届書のところでも御説明しますけれども,届出がされますと,その届書について法務局の方で保管いたします。そうしますと,最初に作られた戸籍の正本と同じ内容の副本が法務局にございます。それと併せて,届書が法務局に送られるということになりますので,市区町村で保管しております戸籍の正本がなくなってしまった場合には,その副本と,届出があったその届書とを照らし合わせますと現在の戸籍の状況が分かりますので,それを元に戸籍の正本を再製することになります。   このように,副本というものは正本がもし滅失してしまった場合に再製するための資料として主に用いられてきたというものです。   平成6年以降,コンピュータ化をしてまいりました。参考資料の5の上のところを見ていただければと思いますけれども,市区町村でコンピュータ化いたしますと,正本の右側に同一の記録と記載しています。コンピュータシステムを用意しますと,通常,システムに何かあった場合には,障害発生に備えて常にシステム全体の機能を維持できるようにバックアップをとっておく,そういったものを冗長化などと言っていますけれども,システムの通例といたしまして市区町村の戸籍事務処理システムでも同一の記録というものをとっています。こちらは市区町村の方でシステム等に何かあった場合には,この同一の記録を用いて戸籍の正本を回復するということを念頭に置いていまして,規則上,この同一の記録を用意する必要があります。   他方,先ほども申し上げましたように,副本というものは戸籍を再製するための資料として用意しておりますので,そこは市区町村の方でも同一の記録ということでバックアップはとっておりますけれども,法務局という別の機関でバックアップをとるのが適当であるということで,その副本の機能というものはそのまま維持をしてまいりました。そして,それが戸籍副本データ管理システムというものができた時点で,それぞれ東日本の市区町村の戸籍の情報の副本につきましては西日本で,西日本の市区町村の戸籍の情報の副本は東日本でという形で,全国2か所に集約した形で保管しておるというものです。   ただ,これは管轄法務局において副本を備えるという規定になっておりますので,戸籍副本データ管理システムにおいては,各法務局において,その管轄の市区町村の分のデータのみ確認できるというような仕様になっております。これが現状の副本制度です。   先ほど来,御説明しておりますように,今後,国において連携情報というものを整備した場合に,この副本あるいは国で管理している情報がどのようになっていくのか,どう想定しているのかについて御説明させていただくのがその下の図ということになります。市区町村においては,正本はそのまま維持をするということですので,市区町村の部分は変わりません。同じように,やはりシステムである以上,同一の記録ということでバックアップはとることが必要になります。   そして,連携情報というものを整備する必要がありますけれども,こちらは先ほど安達委員の方からも御説明ございました,各市区町村でそれぞれ持っておるデータにつきましては文字のコード等も異なってまいりますので,それらの情報を連携して用いるということになりますと,この文字がそれぞれの市区町村にある文字と同じ文字かどうかということ,これは同定作業と言っておりますけれども,この同定作業を行って情報をつないでいく,連携情報というものを作っていくという必要があります。これが上の黄色い部分ということになります。そして,この黄色い部分の中のオレンジ色の部分,親族的身分関係情報というものを国において調製するという形を予定しておりまして,市区町村の戸籍事務内連携においては,この親族的身分関係情報を確認していただく,参照して事務を行っていただく,ここまでが戸籍事務内連携だというふうに考えてございます。そしてその中から,ネットワーク連携を行うために必要な情報というものを設定いたしまして,中間サーバに置いたもの,こちらを用いてネットワーク連携を行うということを予定しております。   このようにすれば,もうこれで国の方の情報は足りるのかというところですけれども,先ほど申しましたように連携情報を作るために,文字については同定作業等を行います。そうしますと,上の方の黄色い部分については,文字については若干,同定作業の結果,デザイン等が変わっているということになってまいります。そうしますと,そのまま市区町村に戻した場合には,戸籍を再製することはできない可能性があります。先ほども申しましたように,戸籍というものは非常に大切な個人情報ということになりますので,市区町村で何かあった場合,正本が滅失した場合には,確実に再製できる必要があろうと考えております。そのために,現在も用意しております市区町村の戸籍正本の滅失に備え保存しております副本,こちらについては維持をする,この機能についても維持をする必要があろうと考えております。   したがいまして,現在は単に副本というふうに呼んでおりますけれども,今後この副本の部分と連携情報という部分,それぞれを国において管理する必要があろうということを考えております。こちらが「3 バックアップデータについて」というところでございます。   具体的に,3ページの下の方でございます。戸籍事務へのマイナンバー制度導入のために,国において連携情報を整備,管理するに至った後も,国において副本を保管するということで,この水色の部分はなお保管する必要があると考えてございますが,この点どのようにお考えいただけますでしょうかというところが,今回の問題提起でございます。   また,今後国の方で管理をするとなった場合に,現行の戸籍法8条2項は管轄法務局に副本を備え置くということにしていますので,管轄法務局,この法律の規定に合わせるという形で,副本情報を国で管理はしておりますけれども,管轄法務局のみがその管轄内の市区町村の情報を確認できるとなっております。ただ,実際には国で管理をしておるということでございますので,そこの実態に合わせて国の方で情報を管理するという形で規定を変えさせていただきたいということを提案するものです。   3ページまでは以上でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   先ほども出た点に関わる部分ですが,いかがでしょうか。   大橋委員,何かございますでしょうか。どうぞ。 ○大橋委員 この資料を読ませていただいたときに,戸籍副本データをベースにしながら,新しい戸籍情報連携システムができるということは分かったんですけれども,どうやらこの二つの仕組みは併存という形でできるんだなというように理解したものですから,先ほどの安達委員のペーパーですと,戸籍情報連携システムという大きな仕組み下のところに副本システムも入るような位置付けになっていた点について,ちょっとそこを確認したいと思った趣旨です。こういうような形で今日の資料5のように示していただきますと,戸籍情報連携システムというのはやはり新しいものだということは非常に明確に分かって,今までになかった連携情報の機能を持ったり,マイナンバー対応のものを持ったりというような機能を新しく持つものを新設するということですので,そうだとすると,そのようなものを新しく作るということで,しかも,この中身がかなり機能的に複雑で,それを明示する必要もあるでしょうから,そういうことを総合して考えると,今日の論点の2のところで,これについて条文で明示するというのはそれなりの合理性はあることなのかなというような感想を持ちました。   あと,国-地方関係ということで,法定受託事務というところについての若干の手直しになりますので,そういう方面からも法律規定が必要だという議論は一方であるかなというようなことも併せて感じました。   以上,感想です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ほかはいかがでしょうか。 ○大野幹事 一つ確認なのですけれども,2ページ目の方で,今のお話にもありましたけれども,市区町村長の戸籍事務管掌者の規定はそのままにした上で,戸籍情報連携のシステムを国が連携システムを作るので法整備をしますということなんですが,そのイメージとしては,今,例えば住民票の方でいきますと,それぞれの市区町村が住民票のシステムを持って,それぞれの自治体の行政を行っているわけですけれども,このマイナンバーが始まる以前から,住民票のネットワークシステムということで国が住民基本台帳の連携システムを作って,そこの整備は国が行っていたわけです。今回,戸籍の方も全国連携のネットワークを結ぶというイメージですから,それぞれの市区町村ごとの戸籍情報システムは独立したものとして市区町村長が責任を持って事務管掌者としてやっていくけれども,全体的な連携は,戸籍情報連携システムと,連携とは微妙に違うとは思いますけれども副本システムとを併せて国が責任を持って整備するという規定にするという理解でよろしいのでしょうか。 ○渡邊幹事 正におっしゃるとおりでございまして,先ほど大橋委員から,市区町村における戸籍事務は法定受託事務であって,その一部を国に戻すというようなものであるというような御指摘を頂いたところです。正に戸籍事務というのは,市区町村ごとにおやりいただいておりまして,しかもそれぞれが独立して行っているのが現状でございます。   一方で,社会的な要請から他の行政事務等に対し,全体の情報から必要な情報を取り出して提供する必要がある。ある意味,そういったデータをまとめて持つことによって連携が初めて可能になるといったところがございますので,そういった部分で連携にどうしても必要な部分は国で行うという,そういった御理解で結構かと思います。   御参考になりますが,外国人登録制度というものがかつてございまして,市区町村ごとにそれは法定受託事務として行われておったわけでございますけれども,平成24年に全国一元的にそういった外国人登録と,それから外国人の在留制度,在留管理を行う必要があるということで,法務省の方で法定受託事務におろしていたものの一部を,必要だということで国がやるようになったという,そういった例もあるということを御紹介させていただければと思います。 ○大野幹事 ありがとうございます。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   ほかはいかがでしょうか。 ○鷲﨑幹事 そうしますと,こちらの資料の5ですと,割と戸籍情報連携システムと戸籍副本データ管理システムは基本的にはほぼ一体と見なせるという理解でよろしいのですか。 ○渡邊幹事 そうですね。戸籍情報連携システムという外枠を戸籍副本データ管理システムまで含むものとするか,それとも私どもで用意した参考資料5のように,戸籍情報連携システムと,それから戸籍副本データ管理システムが二つあってくっ付いているというふうに考えるか,二つあり得ると思うんですが,まだその辺は制度設計そのものと申しますか,あるいは名称の付け方と申しますか,そういったところもあろうかと思いまして,いずれにしましても,二つのシステムが一緒にいるような,しかし,内部では機能は切り分けられているというようなことでよろしいかと思います。 ○鷲﨑幹事 分かりました。   その点は今後整理されていくということですね。ありがとうございました。 ○須藤委員 今のお二方の御意見だと,ほとんど同じ中身だという御理解だと思うのですけれども,それで確認をとれたらと思うのですけれども,上の連携システムの場合は縮退文字で文字コードを限っていて,副本の方は自治体が持っている文字コードをそのまま保存しているだけですから,違う内容であると言わざるを得ないですよね。その点は確認しておく必要があります。なぜ縮退文字を使うかというと,ほかのアプリケーションソフトに載ったときに全部きちんと動かすことが,データを使ってアプリケーションソフトが動くようになります。下の副本だと,そこの自治体が持っているシステムは動くけれども,ほかの自治体へ行ったときは動かなくなるんですよね。だから,その違いは大きいということで,バックアップをとっているのと本当に連携して使うというのでは,違う機能を持っているということになります。 ○鷲﨑幹事 ありがとうございます。   すみません,せっかくですので,それにちょっと絡むかもしれないんですけれども,そうすると,この戸籍更新情報をどこから取るのかということはあると思うのですけれども,これは各市区町村において抽出の上,管理するという仕組みですけれども,そうではなくて,戸籍情報連携システムと戸籍副本データ管理システムが連携して取るという設計もあり得たということですか。 ○北村幹事 幾つか考え方はあるのかなとは思っています。現在も上の副本ということになりますと,市区町村の方で副本の情報というものを抽出して,市区町村の専用装置を通じて送ってもらっている,恐らくそういう形になろうかなとは思っていまして,市区町村から送られてくるもの,その中で必要な,上の方に流れるもの,下の方に流れるものということはあるのかなとは考えてございます。今後,そこはシステムの要件定義等をする中で細かなところは決めていくのかなとは思っております。 ○鷲﨑幹事 分かりました。ありがとうございます。 ○窪田部会長 恐らく今の点は,今の御質問は,ある意味で副本データが送られてきて,副本データを基にして加工するのであれば,それが副本と言えるのかどうかということ自体が問題となると思いますが,もし最初から,送信の段階で上のルートと下のルートが分かれるんだったら,もう完全な副本という話と,そうではない連携の話に分かれるという,多分そういう御質問だったのだろうと思います。その意味でも多分副本という言葉が残るのかどうなのかの検討が必要なのかもしれません。   ほかにはいかがでしょうか。 ○石井幹事 2ページ目なんですけれども,今日は法務大臣が連携情報を整備して管理システムの根拠等の規定を設けるという御提案ですが,今後は安全保護に関する規定の整備なども併せて検討していく必要はあるかと思いますけれども,特定個人情報保護評価を行うのは,中間サーバで管理している特定個人情報ファイルについて行うと。でも,それ以外についても,恐らく戸籍情報となりますと機密性が高い情報を扱うという面が出てくるかと思いますので,検討していく必要はあると思うんですけれども,ちょっと今後の予定について教えていただけますでしょうか。 ○窪田部会長 今の点についてはいかがでしょうか。 ○北村幹事 個人情報保護の関係で,特に戸籍事務内連携を行うに当たって,どのような整備を行うのかということについては,今回も少し参照範囲のところでは出させていただいているところではありますけれども,やはり,特定個人情報についてマイナンバー法に基づく形での個人情報保護だけではなくて,戸籍事務内においてもどのようなものが必要なのかということは,是非御議論を頂きたいとは思っておりまして,時期を見て,この部会の中でも御議論いただきたいと思っているところでございます。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   ほかはいかがでしょうか。 ○大橋委員 すみません,本当に細かいことですけれども,先ほど,外国人登録の制度との比較というお話が出ましたけれども,あの場合は市町村がやっていた登録事務と国がやっている許可事務という二つの事務があって,結局地方の登録事務はやめて国の方に一元化したということで,非常にドラスティックな一元化だと思うんです。これに対し,今回は市町村に正本事務を残した上ですから,見方によっては国の方がこういうシステムを作って,それを補完してあげるとでも整理できるくらいの仕組みなので,今回の方が相当マイルドなので,外国人登録はこういう例があったという参照にはなると思うんですけれども,同じというレベルとは少し違うかなという気がいたしましたので,その点だけ。 ○渡邊幹事 ありがとうございます。おっしゃるとおりかと思います。   外国人登録の場合は,登録そのものを国の方が吸い上げて,窓口事務だけを市区町村に残したというドラスティックな変化でありまして,私ども,今回御提案しているのは,そもそも戸籍事務そのものは,事務管掌者は市区町村長のままで,しかしながら,国でなければできない部分,どうしてもできない部分だけを国がお預かりするというようなことを考えております。   ありがとうございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ほかに,御質問,御意見等ございますでしょうか。   今扱った部分については,最終的にどういうふうなシステムを考えるかということとの関係でも,正本,副本という言葉の使い分け,もう少しまだ検討の余地があるということでよろしいのかと思います。   それでは,続きまして,資料の4の部分ですね。第1の4(1)について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 文字の取扱いについてということで,まず,これまでの経緯について,少しお時間を頂きまして御説明をさせていただきたいと思います。   戸籍に記載する文字につきましては,子供の名前,子の名に用いることができる文字についてですけれども,常用平易な文字を用いなければならない,そしてその文字の範囲は法務省令で定めるということで戸籍法50条で規定されてございまして,法務省令において具体的な字種及び字体が示されているところでございます。   規則60条を見ていただきますと,戸籍六法の272ページと思います。常用平易な文字の範囲ということで,常用漢字表に掲げる漢字,別表第2に掲げる漢字,片仮名又は平仮名というふうにされておりまして,別表第2というものが291ページ以降に記載されております。これが,いわゆる子の名に使える文字ということでされておりますけれども,そのほか戸籍に記載する文字については規則31条1項で,略字や符号を用いず字画を明らかにしなければならないとされておりますけれども,文字の字種や字体及び字形については法令に特段の定めがないところでございます。ですので,出生届の際にお子さんの名前に付けていただくものについては,こういう形で文字の範囲は決めていますけれども,実際に戸籍に記載する文字につきましては字種,字体,字形について特段の定めがないところです。   ここで,この字種,字体,字形というものについてはどういうものなのかということについては,(注4)でお示しをさせていただいております。   まず,字種というものですけれども,こちらは原則として,同じ音訓を持って語や文章を書き表す際に文脈や用途によっては相互に入替え可能なものとして用いられていた漢字の集合体としてのまとまりというふうにされております。例として,「学」という漢字の現在使われている文字といわゆる旧字体のようなものを例として挙げさせていただいております。「桜」,「竜」も同様です。こちらについては同じ種類,同じ字種の漢字として一つにまとめることができる,これを字種というふうに言っております。   字体とは何かというと,これは文字の骨組みのことだと言われております。   (1)に挙げました字種の例,それぞれ同一の字種ではありますが,別の字体,骨組みがやはり違ってまいりますので,別の字体だというふうにされておるところです。   字形というものは,個々の印刷の形状のように,短い,長いとか,方向とか,付けるか,離すか,払うか,止めるか,跳ねるかといった細かな違いまで様々なレベルでの違いがございますけれども,これを字形の違い又はデザインの違いと呼んでおります。   ここで,席上配布資料で,「常用漢字表の字体・字形に関する指針」の一部を席上に置かせていただいております。これを見ていただくと少しイメージが湧くのではないかと思いまして,見ていただければと思います。   まず,席上配布資料の下の方にページ数を振っております一番最初の26ページのところ,これはへんとつくり等の組合せ方でも,大小,高低などに関する例ということで,まずこの「硬」という字を見ていただければ,どちらもよく見掛けるものかなと思うところでございます。いしへんのところが大きいか,小さいか,そういう違いがございます。ただ,これは同じ字体というふうに整理をされておりまして,字形,デザインが違うのみというふうにされているところでございます。「吸」という字も同じでございます。また,離れているか,接触しているかというところ,もう分かりやすいところだと「異」という字などが,上の部分と下の部分が,ちょっと分かりにくいですかね,くっ付いているか,離れているかという違いがありますけれども,これをどなたも違う字だというふうにされることはないと思います。これはもう正にデザイン差だとされるところでございます。   1枚めくっていただいて,この長短に関する例とか,付けるか,離すかに関する例なども見ていただければそれぞれ,例えばこの「雪」なども,いろいろな印刷物ではそれぞれこの三つぐらいはよく見掛けるのかなと思いますけれども,これが違う字だとおっしゃる方は多分いらっしゃらないのかなと思います。飽くまでもこれはデザイン差の中に入れられるもの。この付けるか,離すかも,「発」のところもそうですし,接触の位置に関するということで,分かりやすいもので言えば,③の部分は「家」などを見ていただければ,どこにくっ付いているかというところが違っていますけれども,これも違う字だと言われる方は,普通の印刷物に関してはないのかなと,こういうものはデザイン差だというふうにされております。   同じような形でいろいろ記載がされておりまして,28ページの⑥のところ,例えば「耳」とか「邦」というもの,こういったものを「耳」なども,止めているのか,抜くのかという違いがあったり,この「邦」のような字,こちらの止めているものか,抜いているものかという違いはございます。こういったものがいわゆるデザイン差というふうに整理をしてきておるものでございます。そういった違いをいろいろずらずらっと書いておりまして,全てそういったもの,いずれもこれらはデザイン差と整理されているものだということで御覧いただければと思います。これがまず前提の説明となります。   それで,このように文字の中には字種,字体,字形,それぞれの違いというものがございます。公簿である戸籍については正字,これは正字を記載すべきであるけれども,従来,戸籍に記載されている氏又は名の漢字には,かなりの数の誤字,俗字が存在していたとされております。ここでまた正字,誤字,俗字というものは何かということです。前回,川島委員からも御質問があったところではございますが,(注5)の中で御説明をさせていただいております。   正字というものは何かと申しますと,社会一般において正しいと認められている字であって,基本的に辞書に正しいとされているもの,康熙字典というふうに書いています,これは古い中国の清の時代に編纂された辞典ということですけれども,これを基に今の漢字辞典は整備されているということですので,これらに当たって,正字とされている,正しい文字というものにされているものは正しいというふうに扱っております。   誤字というものについては,文字の骨組みに誤りのあるものということで,漢字辞典等にも誤字などというふうに記載がされております。   俗字とは,正字の字体の通俗の字体ということになっておりまして,一般的に流通しているものを俗字などというふうに呼んでございます。   そして,これは戸籍の中でどう使い分けているかですけれども,誤字俗字一覧表というものがあります。戸籍六法だと1,537ページ以降に常用漢字に関するものということで,誤字俗字・正字一覧表というものを挙げております。一番最初の字を見ていただければ,「愛」という文字がございますけれども,戸籍に記載されている文字には下のような「アイ」もあったりします。こちらについては誤字だということになっております。例えば,黒い三角がついているものは俗字だということ,漢和辞典に俗字として登録されている文字ということで,これらについては戸籍に記載をしているということになります。これが誤字俗字・正字の違いということになります。   平成2年に法務大臣の諮問機関であります民事行政審議会において,「戸籍に氏又は名が誤字又は俗字によって記載されている場合は,これをできる限り解消すべきである」という答申がされました。その答申につきましては,(注6)で記載をさせていただいておるところです。   5ページの下の方の結論の1に,「戸籍に氏又は名が誤字又は俗字によって記載されている場合は,これをできる限り解消すべきである。」という答申を頂いております。それを受けまして,平成2年10月20日付け法務省民二第5200号民事局長通達ということで,今後5200号通達というふうに呼んでまいりたいと思いますけれども,これを発出して誤字の解消に努めてきたところでございます。こちらにつきましては,1,363ページ以降に現在も生きている形のものが掲載されております。戸籍六法の1,363ページ,「氏又は名の記載に用いる文字の取り扱いに関する通達等の整理について」という5200号通達が発出されております。ちなみにこれは,5200号通達ということで,ゴジナシ通達などとも言ったりしてございます。その辺りの経緯は,また,今日,新谷委員に資料等御準備していただいていますので,お話いただければと思います。   そういう経過を踏まえまして,平成6年の戸籍のコンピュータ化に向けて準備をして,法改正等を行ってまいりました。その中で,(注8),(注9)にも記載をしておりますけれども,戸籍に記載されているこの字が俗字,あるいは誤字であっても,既に戸籍に記載されている氏名の文字に対する愛着という国民感情を行政上も配慮すべきという指摘がされたところです。ですので,俗字につきましては電算化戸籍においてもそのまま記載し,誤字については対応する正字に引き直して記載する。この場合は事前に本人に通知し,本人から正字による入力を欲しない旨の申出がある場合には,戸籍を紙のまま取り扱うとされたところです。   ちなみに,この場合の本人に通知する方法ですけれども,戸籍六法の1,368ページを御覧ください。   こちらも平成2年10月20日に出された法務省民二第5202号依命通知になりますけれども,こちらにお知らせという記載があります。後ほどまたこちらを見ていただこうかと思いますけれども,新たに戸籍を作ることになりましたけれども,記載する文字は下記のようになりますという形で,このような形で通知を行いました。それに対してそのままの文字を使ってほしいという申出があった場合には,紙のまま取り扱うこととした経緯があります。   戸籍情報システムの技術的な基準につきましては,文字の部分については,そのコードであるとか字形については特段の規定をしておりません。また,戸籍事務へのオンライン制度導入に当たりまして,そのオンラインシステムに使用する文字ということで平成16年に戸籍統一文字を定めましたけれども,こちらは市区町村の戸籍情報システムに直接用いる文字のコードであるとか字形を定めるものではありません。このような形で戸籍の文字というものは扱われてまいりました。そして,市区町村ごとにシステムを導入いたしましたので,そのコードがそれぞれ異なっている,あるいはデザインの差があるということもございます。また従来,誤字あるいは俗字で記載されていたという場合であっても,俗字の場合にはコンピュータ化に当たってそのまま記載することにした誤字についても,正字に変えるのが嫌だという申出がされた場合には,それに応じて紙のまま戸籍を作ってきたという経緯があるというところです。   戸籍の文字の今までの経緯については以上です。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   ただ今事務当局から,これまでの経緯について御説明を頂きましたが,これに関連して,これまでの経過等に関して資料の御提出を頂いております新谷委員から御発言をお願いいたします。   民事局長通達が出された際に,民事局の担当課で御担当されていたとのお話も伺っておりますので,関連するエピソード等ございましたら,それも含めて御発言いただければと思います。 ○新谷委員 今,指名のありました新谷でございます。   今日の席上の配布資料の中に,私の説明資料というのが一枚ペーパー,裏表であると思いますので,それを御覧になっていただいて,説明をさせていただきたいと思います。   四つに分けていますが,一つは明朝体活字体と筆写の楷書文字の違いということを一つ挙げてあります。   これは,先ほど説明がありました文化審議会国語文科会,これも一つ参考にしていただければと思いますが,これは具体的には私は先ほどの5200号通達の作成作業に当たりまして,当時の文化庁国語課といろいろ意見交換をいたしました。そのときに,どういう文字を俗字で残すのかどうかといういろいろなところがありまして,その辺に関して文化庁の国語課の御意見を伺いに行ったと,その席上で出てきたお話のところ一つございます。それが1番目の問題です。   いろいろお話をする中で,明朝体活字体と筆写の楷書体,いわゆる手書き文字との違いがあるのですよというふうな指摘がされました。それが一覧表の中の一つの文字でございましたけれども,例えば「廣」という,これは活字体,私が使っているパソコンの活字体をここに挙げていますが,これは筆写文字で書くと1画少なくなるというのは一般的ですよと,こういう話だったんですね。なるほど,そうだと。でも,これは活字はこうだと,手で書くのはこういう文字なんだよという話がありました。ですから,1点多くなったり,1点は1画と言いますね,1画多くなったり少なくなったりするということがありますよというふうに言われました。   二つ目の「濱」という字ですけれども,これは全部で17画ですかね。これは書くと1画多くなると,こういうような話もありました。これは旧字体,いわゆる康熙字典体といいます,旧字体ですけれども,この「濱」という字が,筆写文字で書くと1画多くなる。これは,子の名に用いる文字のところもそうなんですけれども,これはさんずいをなくすと迎賓館の「賓」という字ですね,これは14画になると思います。これは当用漢字,つまり常用漢字の場合,当用漢字表が定められたときの賓という字が,確か14画で示されていると思いますが,それが昭和24年の当用漢字字体表に示された文字,これは今,人名用文字としてももちろん常用漢字表の字体ということですので,当用漢字表の字体表がそのまま常用漢字表に移っていますので,それが1画多くなっているんですね。だから,手で書くとそうなるのではないかな,これは私の個人的な考えですけれども,そういうようなことがある。   ですから,このような形で,いわゆる活字体と筆写の文字は違うんだよということになれば,当然デザイン上の差でもありますので,正字で書けば問題ないのではないかなというふうに感じたところです。   それから,2番目のよく目にする文字の例ということで,先ほど5200号通達の中の,六法でいきますと1,363ページ以降ですか,その中の「氏又は名の記載に用いる文字の取り扱いに関する通達等の整理について」というところの次のページの第1の1の俗字等の取扱いの(2)というところがありますけれども,しめすへん,二点しんにょう,しょくへん又は,これは「靑」という字は,えんあおと我々は言っています。えんあおを構成部分に持つ正字の当該部分が,それぞれねへん,一点しんにょう,それからしょくへん又はつきあおですね。「青」が「月」になっています,つくりが,へんの部分が。つきあおと記載されている文字は戸籍に記載することはできますよと,こういう形です。   ①の俗字等の字体ということは,これがねへんに豊という字ですけれども,これは康熙字典体ですとしめすへんに豊ですが,一般的に結構ねへんの豊という字をお使いになっているお名前の方,分かりやすく言うと「禮(ネ+豊)」子さんなら「禮(ネ+豊)」子さんという方はいらっしゃいます。これはこのまま使ってできますよということで,これは平成6年のときにこのような形で追加されて,要するに俗字等で記載できるよとなりました。それから,渡邊さんの「邊」という字も,一点しんにょうと二点しんにょうの違いで,本来でしたら右側にある康熙字典体の方が正字という話ですけれども,一点しんにょうが主流になると。その一点しんにょうになったのは,基本的には当用漢字表なり当用漢字字体表ができたとき,それから最近の中では平成22年の常用漢字表の追加があったと思いますが,それは追加された文字は恐らく二点しんにょうが全部そのまま追加されているという経過もありますが,一点しんにょうでも使えますよということです。   それから,③と④の「静」という文字ですけれども,これもえんあおとつきあお,最初の③の方はつきあおで書いていますので,つくりが「争」という字は旧字体で,これは戸籍に通用字体と書いていますけれども,本来記載するとあおへんの「靜(青+爭)」という字。④の方はいわゆる旧字体ですから,えんあおですと,えんあおに争が旧字体となるということからすれば,これはどちらでも通用字体として使えますよという話。それで俗字等の⑤の方は,しょくへんの文字もこういう形になります。パソコンでこれはできると,こういう形でできるわけですけれども,こういう文字が結構戸籍には多うございましたので,それは最終的には,先ほど説明がありましたように国民感情を考え,考慮するという衆参それぞれの附帯決議がありましたので,こういう形で記載をするというふうに残した文字でございます。俗字として戸籍に記載できるという文字です。   それから,3は市町村長の処分に対する申立て事件ということで,氏の文字を挙げてあります。これは戸籍のコンピュータ化に当たったりしたときもこういう形になりますけれども,これは婚姻届に当たって,これは恐らく「ハタ」さんと読むのかというふうな形だと思いますけれども,上がちょんちょんと書いた形を右側の新戸籍の記載にやったときに,この文字で作ったときに,この文字を元に戻したいという戸籍訂正の申立て事件があって,それについて裁判所が判断したときにおいて,この字を認めなかったという,こういう字体です。それはどういうことかというと,いわゆる右側の字体,この正字,新戸籍の記載の字体を訂正して,記載前の文字に訂正することを求めるということは,誤った文字にするということだと,戸籍の取扱いで認められないということで,戸籍法113条に規定する違法とは認められないという内容で,具体的な文字として挙げたということです。   最後になりますけれども,4の具体的な相談事例というのがあります。これは管外転籍,A市からB市への転籍を管外転籍といいますけれども,管外転籍になりますと新しい戸籍を作るという,こういうときに,筆頭者の文字の取扱いということで御相談がありました。   ①の文字ですけれども,これはいわゆる「劍(「口口」が「日」を90度回転したもの)」という字ですね。この文字が戸籍に記載されていると。それが転籍すると,窓口で話をしたところ,②の字体になりますよと,こういう話があったということで,それは困るんだと。では,そのまま残してほしいのかどうかという通知の,要するに改製不適合ではないですけれども,そのまま使ってほしいと,こういう話かといったら,そうではないんだというんですね。具体的には,③の文字を普段使っていると,そのお客様は言うわけです。そうすると,この文字を使えないんだと。この文字だったら転籍するのに問題ない,この文字を使わせてくれという話だったんです。もちろんこれは,細かい話をしますと,これはそのまま戸籍に記載をできるわけです。なぜかといいますと,①の文字は誤字になりますけれども,②が正字ですね。それで,①に対する②が正字です。②に対する③はいわゆる通用字体となりますので,それに戸籍は更正ができるという,こういう取扱いがあるものですから,普通の「剣」という字で新戸籍を編製したということで,ある意味では非常に喜ばれたという,こういうふうになります。   したがって,難しく考えずに,みんな自分の字は通常から誤字で書かれている方は余りいらっしゃらないのではないかと思いますので,今後こういうコンピュータ化で不適合戸籍,後でやると思いますけれども,そのとき機会があれば又発言したいと思いますのが,こういう正しい文字で戸籍の記載をすることは問題ないというふうに理解をしたというところでございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   字の問題,大変難しいところが一杯ありますけれども,大変に分かりやすく御説明を頂き御礼を申し上げます。   それでは,これまで御説明を頂いたところについて,御質問等はございませんでしょうか。   よろしいでしょうか。字の問題は続けて扱ったところで,また最初のこれまでの経緯に遡って御発言を頂くこともできますし。   それでは,続きまして,資料第1の4の「(2)連携情報で使用する文字」と「(3)戸籍正本で使用する文字」について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 (2)について御説明をさせていただきます。   先ほど来,申し上げていますように,今後行政機関等に提供する戸籍情報として,連携情報というものを整備するということを考えますと,現在の戸籍の情報は市区町村ごとにございます。市区町村をまたいだ形で存在している個人の情報をつないでいかないと,親子関係があるのかどうかであるとか,そのような親族的な身分関係というものが作っていけないということになります。他方,戸籍の中には,先ほど来申し上げていますように,それぞれ文字の問題があります。コンピュータ化したとしても,微妙なデザインの差があったり,それぞれの文字コードも異なっているということもありますので,個人をつないでいく作業をするためには,その文字情報を現在のままとした場合には,統合というものが非常に難しくなってくるというふうに考えられるところです。   参考資料の6を御覧ください。   その一番左上の方を御覧いただければと思いますけれども,調査をしたところ,現在,戸籍に記載されている文字としては約122万字あるというふうに推計をしております。そのうち外字が作られているものが約102万字あるという推計をしておるところです。これが一番外側の赤い文字集合,赤い線のところの文字集合ということになっています。ただ,先ほどから申し上げていますように,このままでは個人の情報を作っていくことができないということになりますので,今後,市区町村の文字の情報それぞれを全て収集した上で,同じ文字と異なる文字,これを区別する,文字の同定作業というものを行っていきたいと。そして,国の方で管理しております連携情報につきましては,文字の同一化,同定作業をして,先ほど縮退というお話もございましたけれども,できるだけ,この文字とこの文字は同じ文字だというふうに判別できる場合には,一つの文字に集約していくという作業を行っていきたいということを考えております。   具体的にはどういうことをするのかですけれども,まず,赤い外枠が戸籍に記載されている文字ですが,実際にそれ以外にある文字としては,真ん中のところにはJISということで1万50字ございます。オンラインのために法務省の方で用意いたしました戸籍統一文字というものも5万5,000字,青いところでございます。他方,住基ネット統一文字というものも1万9,000字以上ございます。これらを含むものとして,IPA,独立行政法人情報処理機構というところで整備をされています文字情報基盤というものがありまして,これが緑色の枠ということになります。   今回,戸籍に,市区町村で現在使われております文字を収集いたしまして,できるだけ緑の枠の中に集約したいということを考えております。それを文字整備作業ということで,今後進めさせていただければと考えております。   実際にはどうなっていくのかということですけれども,文字を集めまして,例えば右側の包摂先の文字の特定できる事例ということで,「花」という文字を見ていただければと思います。「花」の点線が付いている部分,集めた文字を見ますと,ちょっと出ている。でも,これは通常,一般的に使われる「花」,片仮名の「ヒ」のような形で出ていない文字に包摂できる,すなわち,こちらと同じですねと,この2つはデザインの違いですねということであれば,一般的なものに包摂しましょうということで,対応する統一文字はこの文字ですと,一般的に用いられる文字はこれですということで,収集した文字,この文字ではあっても同じコードを振りましょうということをやっていきたいというふうに考えておるところです。   ただ,戸籍の中には様々な文字がございます。包摂先の文字が特定できない事例として,例えばということで下の方に挙げさせていただきました,この「中」の右下に点が付いておるもの,こういった文字も戸籍の中にあるというふうに聞いております。これは何かと。昔は戸籍を筆で書いてございました。ですので,戸籍を作成する際に墨が落ちたものではないか,墨がぽとっと落ちたということでこんな文字ができてしまったけれども,代々こういったものをお使いになっているであるとか,あるいは本家だけが正しい字を使って,分家は1本少ない文字を使えということで,分家はある地域ではそういうことをされてきたということで,お墓にもそういう文字が使われてきた,戸籍にもそういう字を反映されてずっと使われてきたなどということも聞いたことがございます。そういった文字について,これらを全て包摂できるのかどうかというのは議論になろうかと思っております。   この作業についてですけれども,この法制審議会で一つ一つ文字を見ていただくということは難しいと思っておりまして,文字の専門家の先生に御協力いただきまして,戸籍に使われている文字全てを集めた上で,その同定作業というものを行っていく,そういう文字整備委員会というものを作らせていただいて,そちらの方でさせていただきたい。それで御質問等あれば,適宜この法制審議会の中でも御報告するという形で,専門家の先生方に御協力いただきながらやっていきたいというふうに考えておるところです。   本日は,このような形で文字の連携情報で使用する文字については同定作業を行っていくということで,皆様方の御了解を頂ければと思っておる次第です。この点につきまして,御議論を頂ければと思います。   まず(2)まで,よろしいでしょうか。 ○窪田部会長 では,ここまでで切りましょうか。   それでは,今までの部分に関して,御質問等ございませんでしょうか。 ○安達委員 最後に言われた文字の同定作業というのは大変な作業かと思うのですが,これは一回頑張ってやればおしまいになる作業なのか,あるいは新しい戸籍のシステムが動き出してしばらくの間,それを行う組織を運用をしなければならないのではないかと思いもいたします。この点も含めて,メンテナンスをするような体制をお考えなのでしょうか。 ○窪田部会長 いかがでしょうか。 ○渡邊幹事 正にそれが次の論点,戸籍正本で使用する文字につきまして,どのような規制をするかということを追って御議論いただきたいと考えておるんですが,仮に(3)のところで非常に強い規制を掛けまして,新しい文字は一切使ってはいけないと,私どもが用意した文字の同定作業をした結果,できた文字の一覧表の文字集合の中から使っていただくということになりますと,今回,全国の戸籍情報の文字を集めて同定作業をするということで,一応は足りるのかなというふうに考えられると思います。   一方で,別の考え方を採りますと,また今後,戸籍情報連携システムにおける文字も増えていきかねないということがありますので,フォローアップの作業が必要になるということもあろうかと思います。 ○窪田部会長 いかがでしょう。(3)も併せて御説明いただいたほうが,多分議論しやすいのではないかと思いますので,(3)も併せてお願いできますでしょうか。 ○北村幹事 それでは,ただ今安達委員の方からも御指摘ございました,今後,それでは仮に国の方で行う連携情報,国の方で整備する連携情報については,この文字整備作業を行うとしたとしても,市区町村で正本に用いる文字というものについてはどうするのかというところも併せて御議論いただければと思います。   (2)で御説明いたしましたように,国の方で用います連携情報について文字整備作業を行ったとしても,各市区町村において新たな文字が今後も作成されていくということであれば,現在と同様に,文字の字形とかコードとかが統一されていかない新たな文字というのも作られていくのではないかということは考えられるところでございます。   御参考までにですけれども,(注10)のところです。全国で毎年約1,700字の字が新たに登録されているというふうに推定されているところでございます。そういたしますと,今後,各市区町村で管理していただいている戸籍の正本の文字について,どのように取り扱っていくべきかということについて御議論いただきたいということで,今回は三つの案をお示しさせていただきました。   まず,甲案としては,先ほど子供の名前に使える文字ということで見ていただきました戸籍法50条を参考に,戸籍の正本に記録する文字の範囲というものを法務省令,あるいは法務大臣告示のような形でかちっと定めてしまって,その枠組みでしか使えないということにするものでございます。   他方,戸籍のコンピュータ化,こちらも(1)で見ていただきました経緯等がございます。コンピュータ化の法改正の審議の中でも,長年にわたって記載されてきた文字に愛着を感ずる国民感情を考慮に入れなどとの御指摘もあったところでございますので,戸籍の正本については何らの規制をしないということも,従来どおり取り扱うということも考えられるところでございます。これが丙案ということでございます。   乙案についてはこれらの中庸,真ん中辺りの考え方かなとは思っておりまして,甲案のように,もう一切使えませんよということにするのはなかなか難しいのかもしれないということで,国の方で整備した同定基準というものを公表して,事実上,この範囲でお願いをするという形を考えるというものが乙案でございます。   参考資料の7を御覧ください。   今後行います文字の整備作業につきましては,このようなものが成果物としてできないかということを考えております。戸籍の各ベンダーから集めた文字,あるいは各市区町村で作っている外字というものを全て収集した上で,一つの文字に同定作業を行っていく。   例えば,この一番上の赤い点々で囲っている「久」という字ですけれども,各市区町村で使っている戸籍システムの中にはAからE社というふうに今回挙げてありますけれども,微妙なデザインの差がございます。更に外字として,恐らく,例えばA社のシステムを使っているんだけれども,自分たちの久しいという字は上にくっ付いているからこの字ではないなどと言われて,各市区町村で外字を作って,では,あなたの久しいという字は,この上から出ているやつですねということで外字を作ったということがあり得て,そのために外字ができているということは考えられます。こういったものが集められてきますけれども,これらについては,一番左端の「久」という文字と同じですねということ,こういったマッピング作業を行っていってこれを公表する,各市区町村の窓口でもまたこれを使っていただくということで,いや,あなたの字はこうなんだけれども,これは全部一緒の字ですよという形で説得する材料に使っていただけないかということ,これが乙案ということになります。   これらについて,今回は(2)では,国の方で今後はその文字の同定作業を行って,最終的には参考資料7のような形で同定作業を行うということについての御意見を賜るとともに,市区町村で管理をしていただく戸籍の正本の文字についても,今後どのように扱っていくべきかということについて,各委員,幹事の御意見を賜りたいというものでございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   ただ今(2),(3)について御説明を頂きましたが,(2)は基本的には連携情報で扱う文字ということになりますので,同定作業を行ったとしても,御本人に直接影響あるということではないのですが,他方で(3)の方は戸籍正本で使用する文字ということになりますので,御本人も見える形での文字の問題ということになろうかと思います。   特に(3)については,具体的な方向性というのも甲案,乙案,丙案ということで出していただいておりますので,御質問以外にも,御意見も含めてお伺いできればと思います。いかがでしょうか。 ○須藤委員 甲案から丙案まで,これから委員の皆様に御検討いただく前に,今,内閣官房で検討していることを予備知識としてお伝えしておきます。   私はその内閣官房電子行政分科会規制制度改革ワーキングチームの一員で,共通語彙基盤というものの運用について検討しております。それで,この共通語彙基盤をベースにして,現在,本日出ている6ページの連携情報にて使用する文字というのは,戸籍統一文字であろうとしているんですね,IPA基盤ではないんですね。 ○窪田部会長 IPA基盤の方に寄せていこうということですね。 ○須藤委員 寄せていこうとしているんですね。   この表では,資料6の文字集合と収録文字数というのが書いてありますけれども,IPA文字情報基盤の文字数は書いてありませんけれども,私はこのIPAの委員長なものですから,この文字数は合計で5万8,814文字でございます。したがって,戸籍統一文字より若干多い。これは住基の文字にかぶっていない,集合になっていないところを数えると大体このぐらい,もう一回言います,5万8,814文字になっているというものです。これで行政文書は政府全体,それから政府の外郭機関は,このIPA文字情報基盤で公文書は作成しようということで,現在,官房の方で検討を進めています。   これは昨年成立した官民データ連携に関する法律があって,オープンデータで積極的に官民でデータ交換しようというときに,官の方で発出するデータで漢字を使わなきゃいけませんけれども,その漢字はここにあるIPA文字情報基盤に準拠して発出すると。これをベースにして,2020年から2025年までの間に全省庁及び全自治体で使う文字はこの基盤の上で動かしていただいて,民間への情報を発出すると。同時に,これは官邸の考え方ですけれども,全て人工知能にデータを載せて,予測等ができるような高度なパブリックサービスを展開したいというのは,これは官房ではなくて官邸の方の御意見で,人工知能の検討会が行われている会議での構想です。   したがって,いろいろなプロジェクトとか法規とか,このIPA文字情報基盤をベースにして動いているということをまず念頭に置いていただきたいと思います。自治体もこれは,これから官房の方では自治体に御協力を願って,IPA文字情報基盤をベースにして公文書の作成をお願いしたいと。民間もいたしますので,民間もそれをベースにして動くことになりますので,そういう動きがあるということを念頭に置いていただければと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   私もIPA文字情報基盤が何文字あるのかなというのはちょっと気になっておりましたが,戸籍統一文字の文字数とそれほど大きな開きがあるわけではなくて,3,000字ぐらい多いという程度ということですね。どうもありがとうございました。 ○川島委員 1点だけ確認させてください。   参考資料7の一番上の「久」という字,IPAの字形とそれぞれの各社,システム業者での文字の例があるんですけれども,例えば本人が届け出たときに,IPAの字体で届け出た場合に,それを受け付ける自治体がB社の文字しか持っていなかったといった場合には,このIPAの字形というのは,B社の場合には外字ということで扱われているのかどうなのか。非常にそれというのは不合理というんですかね,おかしなことだなと思ったののですけれども,そこの点だけ確認させてください。 ○北村幹事 基本的には,このB社の字しかなかった場合には,同じ字だというときには,その文字を作るのが通例,この「久」の上がくっ付いているもので対応しているところだと思いますが,ただ,自分の字が真ん中から出ているということで,これは違うんだというふうに言われた場合には外字を作っている。   分かりやすいのが,4番の「松」の字を見ていただければと思います。この押さえの部分,「八」の字が違うものが一つ,真ん中のC社があろうかと思います。この「八」の字が,C社の場合に筆押さえがあるような字形しか持っていないような場合には,基本的には皆さん,この普通の「八」,筆押さえがない「八」で届けられても,筆押さえのある「八」で戸籍には記載されています。ただ,それは違うんだと,絶対違うというふうに言われた場合には,また各自治体の御判断によってこの筆押さえのないものをお作りになる例が今まであったということでございます。 ○川島委員 ありがとうございます。 ○窪田部会長 今の川島委員からの御質問は,自分の文字が特殊な場合に関して作ってもらうというのではなくて,むしろ本来,標準的な字で届け出ると,外字で対応せざるを得ないという,ある種,奇妙の状況があるかということだったかと思いますけれども,この点について何か補足はありますか。 ○渡邊幹事 今の御疑問は,標準的な字体,このIPAで言いますと標準字形で仮に届出人が届けて,しかしながら,市区町村の方に,例えば筆押さえのある「八」のような,こういった字体しかないケースがあるのかというお問い合わせでしょうか。 ○川島委員 はい。もう一度申し上げますと,順番の1番の「久」という字体で,IPAの「久」の右側の線が途中から出ている文字で届け出た場合に,ただ,それを取り扱う自治体がB社のシステムを使っていて,真ん中から棒が出る字がないといったときに,このIPAの字体というものを,そうしたB社のシステムを使っている自治体では外字という形で新たに作って,今のような申出に対して対応している実態があるのかどうなのかということについてです。 ○渡邊幹事 ベンダーは各社ございますので,確実なことは申せませんけれども,基本的に戸籍統一文字でお示ししているようなものについては,ベンダー各社はシステムの内字又は外字として既に持っているものと思いますので,今おっしゃったような標準的な字形で届け出たのに,それが登録されないというようなケースはほぼないと言ってよろしいのではないかというふうに考えます。 ○川島委員 分かりました。 ○窪田部会長 では,ここに挙がっている例の例えばB社のような,これしかないというのは実際にはないだろうということでよろしいですか。 ○渡邊幹事 そうですね。極端な例としてお示しをした形でございます。 ○窪田部会長 分かりました。 ○須藤委員 これは要求があったから外字で作ったんですよね。 ○渡邊幹事 むしろですね,はい。 ○須藤委員 だから,標準的なものはもう内部に,コンピュータの中にフォントを持っているということで。 ○大野幹事 一つ質問なんですけれども,今,当然,氏名の文字としてどういう文字にするかということで議論をされていて,氏名については誤字をなくして正字へという方向性ということで御説明があったわけなんですが,戸籍をシステム化していない,いわゆる改製不適合戸籍としての対象は,氏名以外に,年月日ですとか本籍地の地名や字名の地名の部分の漢字が対応できないのでというお話があると思うんですけれども,そこの部分の地名の文字の扱いというのは,逆に氏名の方がそういう形で整理されたとしても,結局地名の部分が残ってしまうのであれば,全部整理し切れないと思うんですが,その辺はどのような方向にあるのでしょうか。 ○渡邊幹事 年月日,例えば閏(うるう)年でないのに2月29日が生年月日になっているですとか,あるいは地名に誤字があってデータ化されていないというものに関しては,後ほどの改製不適合戸籍の5番,次の部会資料の8ページの5番になりますけれども,そういった形で改製不適合の扱いの中で御議論いただくということになるかと思います。 ○北村幹事 あと,地名誤字の関係で言いますと,基本的には今ある戸籍統一文字でかなりの部分,対応できているのかなと思っておりまして,今後それを持っていただいて改製していただくかどうかというのは,また各自治体と御相談なのかなとは思っているところです。 ○大野幹事 地名についても正しい字へというような通達ですか,そのような何かあるのでしょうか。 ○北村幹事 地名誤字の部分についても,戸籍統一文字,オンラインで使う文字を整備したときには,その中にある程度は含まれているという理解をしておるところではございます。ただ実際には,その文字を全て各市区町村でお持ちになっていない関係で,改製ができていないというのがあるというふうには聞いてはいるところではございますけれども。 ○大野幹事 現在の住所,土地の表記として,古い戸籍の部分の表記の問題ではなく,現在の地名でもそういう状態であるという理解でいいのでしょうか。 ○渡邊幹事 そういった地名誤字については,実際に正字か誤字かという意味では誤字に分類されるんだけれども,使われているケースもあると聞いてはおります。しかし,実際にどんな例があって,地名ですから,氏名と違って汎用されて広く多く使われている可能性もありますので,その場合に,直ちに正字にすればよいかどうかということは,個別具体的な事例を踏まえて検討いたしませんと,適切な結論が導けないと考えておりまして,まずは個別具体的な事例を踏まえたいというふうに考えています。具体例として全ての例を今もう採集済みということではございませんで,今後見ていくということでございます。 ○大野幹事 分かりました。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   ほかはいかがでございますでしょうか。 ○鷲﨑幹事 先ほど冒頭で,連携情報の統一文字というのは国民の目に触れることはないということでしたけれども,ネットワーク連携をした相手先,それは例えばパスポートであったり年金であったりということだと思うんですが,その先は,飽くまでもそこを所管する組織の文字が用いられるということで,正本は関係ないということでよろしいんですか。 ○渡邊幹事 例えば,パスポートに戸籍と同じ字が書かれるのか,書かれないのかということでございましょうか。それは,連携先の機関においてどのように判断されるかによると思います。と申しますのは,私どもが提供するのは,マイナンバーによって特定される個人の方の戸籍情報でございまして,それを参照いただくということでございます。例えば,日本国民であることを確認する必要がある行政機関がありましたならば,そのことをお返しするということでございますので,実際に連携先の行政機関がどのような文字をお使いになるかということは,それぞれの行政機関のお考えかなと思います。 ○鷲﨑幹事 ここでは関知しないということでございますね。又は,先ほどのお話ですと,割とIPA文字で…… ○渡邊幹事 広くそのように広がっていくということではないかとは思います。 ○須藤委員 したがって,これは法務省が言うことではなくて内閣官房の方で,IPA文字情報基盤で処理をしていただきたいというのを各行政機関にお願いするということでございます。 ○鷲﨑幹事 どうしても国民の立場として,こちらから来る文書とそれぞれやはり字が違うということだと,多少違和感といいますか,あると思ったものですから。最初からもしそろえられるのであれば,そろえる方向の方が望ましいと思いました次第です。 ○窪田部会長 恐らく今御発言いただいている部分は,(2)だけではなくて(3)についてどういう対応をしていくのかという点にも関わっていくのだろうと思います。その点も含めて,いかがでしょうか。 ○大橋委員 今日は考えられる案をお示しいただいて,甲案は現行法の50条に従うのであれば義務付けというような形で,他方でリストを示すという,そういうもので,丙案というのは何もしないというもので,両案の間のところで乙案が出ているんですけれども,これは,結局は事実行為として粛々と要請していくという,そういうやり方だろうと思うんです。けれども,甲案と丙案の間にもう少しバリエーションはないのかなというようなことを思いました。例えば法令で定めてそういう要請ないしお願いをするとか,原則としてこれでやりますという形で義務付けまではいかないけれども,方向性は法令で示して,それに従って窓口でやっていただくというようなやり方もあるのかなという気がしたものですから,ここの間はもう少しバリエーションがあるようなちょっと印象を持ったんで,この点はお伝えしておきたいと思います。 ○須藤委員 それに関連して,僕も大橋先生の御意見に全く賛成です。甲案にすると,今,内閣が官民データ連携促進の法規が作られて施行されていますけれども,47都道府県はその法に基づいてデータ標準化を義務付けられていますけれども,市町村については努力目標で,法規で規制されていません。したがって自由度があって,判断は自治体に任せるということになります。ただ,運用環境としては,できるだけIPAの文字基盤に寄せてほしいという形で,恐らく内閣官房の方は各省庁,特に総務省の自治行政にお願いして,総務省と全国の自治体で調整していただきたいという形になると思います。   そうすると,甲案は強すぎるし,乙案はちょっと何か現場が苦労しそうだなということになりますので,やはりその間ぐらいが。それで,丙案はあり得ないと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   今の,具体的に一定の御意見も伺えているところですが,特に,今,大橋委員からお話があった点については事務当局の方から何かございますか。 ○渡邊幹事 御議論いただければと存じます。 ○三橋幹事 先ほど部会長さんが言われましたように,(2)と(3)というのはかなり性質の違う議論だということで区分けをしておかなきゃいけないと思いますので,確認します。   (2)は飽くまでも今回作ろうとしている戸籍情報連携システム内で,この人とこの人が同じなのかということを判断するためにどの程度の文字の差を認めましょうかということで,それは国民には見えない作業の話ですね。ですから,内部管理番号というのが冒頭出ていましたけれども,それでこの人とこの人は違う自治体で正本があったとしても,同じ人の情報であることが把握されることと関連するのが(2)であると思います。   (3)は恐らく,正に世の中にこの人の名前の字は何なのかという,国民感情というのはこういったことも含めて考えなきゃいけない話なので,恐らく時間的な整理が,あるいは対応策というのが少しずれる可能性も出てくるというような理解でもよろしいんですか。   逆を言えば(2)は割り切って,この人とこの人が同じ人だというように認定できれば,別にどんな範囲で文字を拾おうが,使用に足る,親族的身分関係情報のデータベースを作るに足る基準を作ればいいのであって,(3)の方は,国民感情に配慮しながら,あるいは世の中のいろいろな文字の統一という動きを考えながら対応していくということで,分けて考えるということでよろしいのかどうか確認したいんですけれども。 ○窪田部会長 そこの部分に関しては,仮にそういうふうに分けて考えられるという考え方を採るのか,そうではなくて,やはり先ほど,今後もこの同定作業を延々と続けていくのかということがございましたけれども,それとの関係で,やはり将来的には戸籍正本で使用する文字についても一定の限定を掛けていくというのかという点も問題かと思います。   両方ともの問題は,必ず不可避的に連携する問題ではないんだろうと思いますが,完全に切り分けられるのか,そうではないのか,両方ともについて御意見があるのかなとは思います。   その点も含めて,いかがでしょうか。ちょっとここは,是非自由に議論していただけたら有り難いかなというふうに思いますので。 ○安達委員 先ほど御説明いただいた参考資料5では,新しいシステムでは文字の同定という仕事は法務省において行う作業とされていまして,いずれにせよ,もし外字が発生するという状態がまだしばらく続くということでありますと,従来は市区町村で外字を作っていたと思いますが,その扱いが国に送られるというような影響が出てくるのでしょうか。つまりこの方針ですと,市区町村で新しく外字を作ろうとして登録し,それが法務省のシステムまで送られてくると,外字の同定作業が発生するわけですね。そうしますと,そのような作業のやり方や運用の方法も考慮しておかないと,現時点では外字は各市区町村で発生して,そこで作業が終わるものが,そうではなくなり,ネットワーク全体に面倒な作業が分散し,そしてその運用の仕方にも影響が出てくる可能性が考えられます。そこをどううまくやるか,あるいはそれを避けるためには,外字が発生しないようにするしかないのでしょうが,それはなかなか難しいと思いまして,以上のことが気になりました。 ○窪田部会長 この点は,多分具体的な作業のイメージで,最初に扱った議論にも関わるのだろうと思います。送られてきたデータに対してどう対応するかということですが,何か事務当局からございますでしょうか。 ○北村幹事 まずは,一旦この同定作業をするということでの御了解を頂ければ,文字を各ベンダーから収集することを考えております。   今お話ありましたように,今後更にまた外字ができていくと,そのたびに同定作業を行っていくのかどうかということを確認しなければならないということで,その作業はなかなか大変だなということは正直考えているところです。 ○窪田部会長 ちょっと私からも質問してよろしいでしょうか。   毎年1,700字が新たに登録されているということでしたが,名の方と違って氏の方ですから,基本的には全く新しい氏が出てくるというわけではないだろうと思います。そうだとすると,なぜ1,700字が新たに登録されているのかなと少し考えてみたのですが,A市ではちょっと字がずれているので外字で登録してもらった。ところが,その同じ人が今度はB市で婚姻届を出して新しく戸籍を作るということになったら,B市ではその字を持っていないので,やはり外字として新しい,また多分違う番号での外字として登録したというようなことが考えられるのかと思いました。   そうすると,ちょっと二つお聞きしたいなと思ったのは,その理解が仮に正しいとした場合には,その場合にはもう既にA市のところで,その外字については同定作業をやっていますので,同定作業の手間というのは,ある意味で,もう既にある実績に基づいてできるのかなという感じがするのですね。ですから,同定作業が今後も1,700字に関して全くさらの形で出てくるのかというと,恐らくそうではないだろうということです。   ただ一方で,そうは言いつつ,そのやり方を認めていますと,同じ字体の外字がもうそこら中で,その人が移動するたびにどんどん,どんどん作られていって果てしなく増えていく。それが多分最終的にある状態からも望ましいのかどうなのかという,何か多分,二つの問題があるのかなと思って伺っていたのですが,この点は,そもそも私の理解は,前提として正しいのでしょうか。 ○北村幹事 部会長のおっしゃるとおりかなとは思っていまして,基本的には一回同定作業をしていますので,このようなデザインのものはこの字体に包摂されるということは一度はやっているものですので,一番最初にやる作業と同じ労力が掛かるのかというと,そこはちょっと違うのかなとは思っています。   他方,ただ,そういう形で放置をしていきますと,今,部会長がおっしゃられたように,別の市に転籍をした場合には同じまた外字ができてしまう可能性があって,その度ごとにまたその字はこれですよということを何かひも付ける作業が必要になってくるのかなとは思います。 ○窪田部会長 分かりました。 ○須藤委員 その観点,問題に対しても,ちょっとこれは参考情報ですけれども,私は大橋先生と同様で,乙案ではなくて甲案でもなくて,その間のところを検討すべきということで,またそれに関係して申し上げますけれども,11月の上旬に総務省の山﨑局長と一緒に地方自治法制定,これは手塚先生もそうなんですけれども,70周年記念で京都でパネルディスカッションをやってきたんですけれども,現在,総務省の方では,山﨑局長が中心になって2040年問題というのをかなりお考えになっています。これはベビーブーマーの子供たちがかなり人口がいらっしゃって,この方々は現在40代の半ばになっています。その方々のお子さんは,ベビーブームで子供がたくさんできることが期待されていたけれども,できなかったんですね。ということは,どういうことが近い将来考えられるかというと,今の自治体がそのまま自立的に存続するかということが極めて困難になりつつある状況であるということを総務省自治行政局関係では御検討になっている。これは大臣の下でお考えになっている。   そうすると,システムの連携あるいは統合が必要になります。それでクラウド化が前提になる。そうすると,クラウドにデータを寄せようと思うと,今のようなばらばらなデータを管理することは極めて困難です。できるだけ共通化しないと,もう運用ができなくなるということが十数年後には,20年後ぐらいには待ち構えていると。その前に,今,共同化,クラウド化を総務省自治行政ではお考えで,いろいろ施策を展開中なんですね。   その実際の業務,自治体と総務省の動きを考えると,やはり三橋幹事がおっしゃったように住民の方々の個人の意見を尊重するということは最大限しなきゃいけないけれども,しかし,実運用で考えると,やはり甲案と乙案の間辺りでやらないと,実際にはもうほとんど困難な状況にあるということは考えるべきだと思います。 ○窪田部会長 大橋委員からの先ほどの御意見について,ちょっと確認させていただきたいのですが,文字の同定基準を確定,公表した上で,原則としてこれによるものとし,ただし本人から異議があった場合には別途扱うと,そういうイメージでよろしいですか。 ○大橋委員 はい。甲案が一番厳しい義務付けだとすると,それに準ずるような形で,少なくとも国がこちらの方針でいきますという原則を法令で出すというような形でするというようなものもあるのかなという気がしたものですから,中間案をもう少し考えてみる提案です。それとあと一つ懸念したのは,乙案とか丙案のような形で事実行為でやるというのが,今までの日本社会では,それで窓口がうまくやれたらいいんですけれども,何を根拠にそういうことを市役所では言うんですかというようなことを今後言われたときに,担当者は困るだろうというのもちょっと実感として思ったので,やはりそれにはきちんと法令上に足場を与えてあげるということが,執行面を考えたらあり得るのかなという,その両面を考えて,少し中間で刻むような案もあり得るのかなということでちょっと申し上げた次第です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ほかは特に甲案,乙案,あるいは今大橋委員から頂いたのは,甲案,乙案の中間案ぐらいかと思いますが,それから丙案も含めて,何か御意見等ございますでしょうか。 ○鷲﨑幹事 少し思いましたのは,中間のような形ですと,結局法令ではないということで,そうすると少し,基準はあるけれども,窓口ですとか自治体によって解釈が異なってくるということは……。 ○窪田部会長 乙案がですか。 ○鷲﨑幹事 乙案もそうですし,甲案と乙案の何か間のようなものを設けるですとか。 ○窪田部会長 甲案と乙案の間を設ける場合には,何か法令上の根拠をもってという形になりますよね。 ○大橋委員 法令で,やはり原則的なことは書いてやるという,そういう趣旨です。 ○窪田部会長 むしろ事実行為としては扱わないという趣旨だったと思いますので。 ○鷲﨑幹事 であれば,私は基礎的なところに関して法令で定めるということは,賛成です。といいますか,恐らく今ここでそういうことをしておかないと,また同じことが延々と繰り返されるというような印象を受けましたので,むしろここがチャンスという印象を受けました。 ○手塚委員 私も今のお話を聞いていて,元々戸籍法については電子化戸籍を原則とするという規定に持ってきているというところは非常に大きな意味があるかなと思っています。やはり今までは紙の文化でやっていて,ヒューマンリーダブルといいますか,視認によって見ていくという,そういう基準でものを見てきたところを今度は電子の立場で見ていくということは,基本的にはコード化ということで,それらにおいて,人間の目で見て違いというのが,コード上でどういうふうに展開していくかというところにつながっていくと。そのときに,なるべくコードは,共通なものは共通に丸めていくというところをどういうふうに固めていくかということがポイントで,この場合,(2)の方は,これは正にヒューマンリーダブルではなくてマシンリーダブルの世界をきっちりやっていこうという,要するに機械化ですよね,電子化。ここが一番やはり今後の最大のポイントになるかなと思っています。   ですから,それをまず前提に置いて,甲乙案の私も真ん中ぐらいがやはり妥当かなと思うのですが,そういう考え方が大きく変わってきたんだという,そこをポイントに,この辺は今後は御議論していくべきだと。やはり人間が見ていくというのは,やはり画像イメージですから,どちらかというとコードではなくて,そういう画像処理的な発想になりますので,それらを画像データをという位置付けで感じというものを,字というものを見ていくというような考え方の部分をどうやって今回反映していくかという,そういう捉え方も一つあるのではないかなという気もしています。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。 ○大野幹事 簡単に一言だけ。   私も今までの大橋委員などからの御意見に全く賛成で,自治体の窓口で説明する場合には,必ず法令の根拠があるとすごく説明がしやすいわけなので,通知,通達レベルではなくて,法令で根拠規定を設けていただいてというところに賛成です。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   本来,3時半ぐらいに休憩をとらせていただこうかなと思ったのですが,大変に活発に議論いただきましてどうもありがとうございました。   ここでちょっと休憩を挟ませていただいて,4時から再開ということにさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。           (休     憩) ○窪田部会長 それでは,時間になりましたので,法制審議会を再開させていただきたいと思います。   それでは,続きまして,資料2の「5 改製不適合戸籍の取扱いについて」,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 5の改製不適合戸籍の取扱いについて御説明をさせていただきたいと思います。  先ほども文字のところで若干御議論を頂いたところでございますけれども,コンピュータによる取扱いに適合しない戸籍というものがございまして,そういったものにつきましてはコンピュータ化をせず,紙の戸籍のままとなっております。このようなものを改製不適合戸籍ということで呼んでおります。   具体的にはどういったものかということで,先ほど来文字の話をさせていただきましたけれども,典型例としては,戸籍の氏又は名の文字が元々誤字と評価されるもので記載されていたその方が対応する正字に引き直してコンピュータ化の戸籍に記載されることを欲しないということで,そのような申出がされた場合には従前どおりの文字を用いるということで,紙のまま戸籍を取り扱っているということになります。   (注12)のところを見ていただければと思いますけれども,調査結果によりますと,改製不適合戸籍,全国で約1万4,000戸籍程度存在しているというふうに判明してございます。うち文字,こちらは誤字が原因となっておりますけれども,その文字が原因で改製不適合ということで紙の戸籍になっているものが約1万2,000戸籍あると推定しております。   なお,それ以外に,文字の関係以外で改製不適合戸籍が生じる事例としては,複本籍と申しまして,典型的なのは婚姻等あるいは転籍等で除籍をしないといけないのですけれども,その除籍の作業をしないままA市からB市へ戸籍が移っている場合に,A市の戸籍がそのまま生き続けて,B市でも新しい戸籍が生き続けていて,それぞれの市区町村で同一人物について生きている戸籍が存在しているなどということで,そういったことで改製ができていないものであるとか,あと日付の論理矛盾ということで,実在しない日付の生年月日が既に書かれているということで,ここでは例えば閏(うるう)年でない年の2月29日が生年月日になっているということで,そのままコンピュータ化しようとしてもできていない。あるいは生年月日よりもずっと前に出生届が出されている,出生届の日付よりもずっと後の誕生日になっていても明らかにおかしいんですけれども,そういった事情によってコンピュータ化するときに完全にエラーが出てしまって,紙の戸籍のまま取り扱っている。そういったものは何分古い戸籍に多うございまして,実際の届書等もない状態で,何が正しいのかということがもう判明できないという事情等もございまして,改製不適合戸籍としてなお残っているというふうに聞いております。   このような改製不適合戸籍でございますけれども,このまま紙,あるいは画像データとして保存して使っている場合もございますけれども,今後,先ほど来申し上げていますように戸籍情報連携システムを構築していくに当たっても,なかなかそのままではネットワーク連携を行うことは難しい,連携情報を整備することは難しゅうございますし,戸籍事務内においてもそのまま用いることも難しい,あるいは電算化戸籍を前提としているコンビニ交付等も今ございますけれども,そういったサービスもなかなか対応することが難しいということになります。戸籍事務内について見ましても,このような紙あるいは画像になっているものにつきましては別の事務取扱いをしなければならないということになってまいります。そうしますとやはり改製不適合戸籍というものはできるだけ解消していくことが望ましいと考えられるところです。   この法制審議会に先立つ研究会の中でも御議論いただいたところでございますし,第1回の部会でも新谷委員からも御発言がございました,文字の関係につきましては,平成6年当時とやはり現在では国民の感情というものも大分変わっているのではないかという御意見等も頂いているところです。   他方,今までの経緯というものもやはり大切に,それらを踏まえながら検討もしていく必要がありますので,ここでは,これらの改製不適合戸籍のうち,戸籍の氏又は名の文字が誤字で記載されているものに対しては,改めて対応する正字で記載する旨の告知というのを行うということをしてはどうかということを御提案するものでございます。   先ほど見ていただきましたけれども,戸籍六法の1,368ページに告知の別紙という形で,実際にする場合のひな形を御用意しておりますけれども,このような形で改めて改製不適合戸籍ということで,紙のままになっている方については,コンピュータ化するということで正字に置き換えますよという通知をさせていただきたい。是非実際の事務が生じる市町村の方の御意見であるとか,これらの取扱いをすることについての皆様方の御意見を伺って,御了解を得たならば,こちらについては法律事項とかそういう話ではないかと存じますので,この場で一定の御方針が出たならば,我々としてもいずれにせよ,改製不適合戸籍については解消するのが望ましいとは思ってございますので,一定の方向が出た段階で作業のほうをしていただければとお願いをしたいというふうに考えているところでございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   具体的な方向も示していただいた上での御説明でしたが,それについて御意見等伺えますでしょうか。 ○大野幹事 市区町村側からの意見もということでしたので,発言させていただきますが,改製不適合戸籍がありますと,今の御説明にもありましたけれども,システムでの大部分の管理のところと少数の紙の管理というところで,二重管理というところで事務の手間も発生していますし,証明書を発行する際には,窓口で証明書を発行するまでにお待たせしたり,コンビニ交付にも対応できませんから,サービス面の不十分というところもありますので,正字に直すということの改めての告知をした上で,なるべく少なくしていく必要があると思いますので,今の御提案に賛成です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ほかいかがでしょうか。 ○久保野幹事 すみません,久保野でございます。   ちょっと質問なんですけれども,誤字と,あと字形の差というのが,すみません,最初に丁寧に教えていただきましたのにやや混乱していまして,それに基づくちょっと間違った疑問かもしれないのですけれども,誤字のままA市で戸籍がされていて,その方が6ページのところで問題にしたような本籍地の変更を伴う戸籍の移動をしてB市に移ったという場合に,B市では,やはり本人がその誤字の文字にこだわると紙で作るということになるのか,それともB市での新戸籍の編製は正字で行われるということになるのかということを確認させていただきたいのですけれども,先ほどの参考資料のところで,そういう誤字での編製は認められないのでと御説明もあったような気もしまして,それとの関係を確認したいというのが一つと,あと,それによって先ほどの(3)の論点で何が規制されるのかというところがちょっと変わるような気がするものですから,その観点からの質問です。 ○北村幹事 お答えします。   改製不適合戸籍,改製と申しますのは,戸籍の様式が変わり,それに伴い戸籍を書き替えるということでございます。ですので,元々戸籍はコンピュータ化前は紙でしたので,コンピュータ化するときに改製という作業を行いました。そのときに正字に置き換える,ただし,正字に置き換えるのを拒まれた方については改製ができず,紙で残っているという形になります。   その方が仮に誤字であるということで,そこの市では改製不適合戸籍として紙の戸籍であった場合に,転籍をされて別の市に行かれた場合には,そこで新本籍を作るということになります。そちらの市区町村のほうでコンピュータ化しているということであれば,対応する正字で記載していただくというのが原則でございます。ただ,そうではなくて,いや,この文字なんだということがこだわられたら,現場で外字をお作りになって対応したりしているということもございます。   ここでの改製不適合戸籍というものは,コンピュータ化をする際に,紙の戸籍であった方がコンピュータ化を拒まれた方々が一定数いらっしゃる。その方々についてどう対応していけばよいでしょうかという御提案でございます。 ○窪田部会長 久保野幹事,どうでしょうか。 ○久保野幹事 ありがとうございました。今のお答えを前提にしますと,そうするとB市に移った場合に必ず正字でしか登録されてないということではないので,B市でも誤字というか,当事者がこだわる誤字の字形のまま紙で作成されることがあり得るということで,そうすると……,違うのですか,紙ではないのですか,あ,外字か。 ○北村幹事 外字を登録した上で電算化戸籍。 ○久保野幹事 でしたね,紙ではないですね,ごめんなさい,失礼しました。外字で作られることがあり得る。ということですと,単なる確認なのですが,(3)の問題で仮に甲案のような規制をした場合というのは誤字は使えないということと,あと統合された字形にまとめるということと,2種類の整理というか,規制,制限の目的が含まれているということと理解いたしました。 ○窪田部会長 B市で外字で登録されるということが今まであったとしても,7ページの甲案を前提とすれば,そこに定められているもの以外は登録できないので,新しく戸籍を作る場合にはその範囲内でということになるのかという御質問でよろしいですか。 ○久保野幹事 はい,もし質問であれば,そうです。 ○北村幹事 甲案を使って制限をすると,もうその範囲で作るということになろうかと思います。 ○久保野幹事 ありがとうございました。 ○窪田部会長 恐らく先ほどの甲´か,乙´かを前提とすると,その場合になお外字を使うという可能性は残るということなのかと思います。   久保野幹事からも御発言がありましたけれども,恐らく電子データ化されたものの中にも外字の中に誤字と評価されるものはたくさん入っているのだろうと思いますが,その問題とはまた切り離して,改製不適合戸籍という紙ベースで残っているものについてどうしたらよいのかというのがまずここでの検討課題ということになろうかと思います。   いかがでしょうか。 ○鷲﨑幹事 念のため確認ですが,これはつまり告知ということは依然として強制力がないということで,したがって,依然として従わない人もあり得るという理解でよろしかったですね。 ○渡邊幹事 おっしゃるとおりです。まだこれは法律を作る以前の事実上の措置としてかつてやったことと同じことをこの機にやるということでございますので,強制力はないというものでございます。 ○鷲﨑幹事 そうしますと,国民感情が少し変化をしつつも,依然として態度を変えないという人は変えないでしょうから,やはり改製した場合に,当人にとってどういう利益があって,逆にいうと改製しないと当人,国としてというより,業務効率云々というよりは,当人にとってどういう不利益があるのかということを明確にお伝えできると,多少は改製率が上がるだろうというふうにちょっと推測いたしました。 ○窪田部会長 その前に,先ほど手を挙げられた方がおられましたので,川島委員,大橋委員,久保野幹事の順番で。 ○川島委員 今の御発言と関連してですので,確かに強制力がないので,100%対応いただけるということはないと思うんですね。したがって,今のメリット,デメリットの御説明をされるということもあると思いますし,何かほかの二の手,三の手というのですか,例えば前回やったときを教訓にして,何か断られた場合のその先の対策についてもちょっと気が早いかもしれませんけれども,検討しておく必要もあるのではないのかというように思います。もし今の時点でそういった点について事務局のほうでお考えがあれば教えていただけたらと思います。 ○窪田部会長 何か具体的にありますでしょうか。 ○渡邊幹事 率直に申し上げて断られた場合に何か更に二の矢という具体的なアイデアがあるわけではございません。これはやはり御自身の氏名ということで非常に強い愛着を持っておられる国民がおられるということですので,説得の仕方については鷲﨑幹事からお話がありましたように,これまで使用していたお知らせ文書は極めて事務的なものでございまして,なぜそういう必要があるのか。あるいはこれに応じればどういったメリットがあるのか,あるいは応じないとどういうデメリットがあるのか,そういったところについては全く言及していないものでしたので,説得の方法を考えるというのは重要な課題かと考えておりますけれども,その説得に対して,更に断った場合に次のアイデアというのはなかなか難しいところかなと思っております。 ○川島委員 ありがとうございました。 ○窪田部会長 大橋委員,どうでしょうか。 ○大橋委員 私も全く同じ意見を持っていまして,前回と同じように告知をするとしても,今回このシステムを使うとこれだけ利便性が上がるということを目指してやっているわけですから,そこは正直に,これにのっていただけないと実際こういう不利益が及ぶことになりますということはきちんとお伝えして,実質的なインセンティブとして誘導するような形で進めることも市町村の方と相談してされるべきかなと思いました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   久保野幹事,どうぞ。 ○久保野幹事 話を戻すようで申し訳ないのと,あと(3)の問題と(5)の問題が全然別だというのは理解した上でなんですけれども,先ほどの,私の質問の背景には4の(3)で新たに義務付けをするとすれば,何をどう義務付けているのだろうかという疑問があったのですけれども,今,5でやっているお話との関係で,誤字の字形にこだわりのある方について,最終的に義務付けまではしないのだとしますと,(4)の甲案でしている議論というのは,コンピュータに記録される戸籍の正本についてはという義務付けをしようとしているということになるのかと思いましたので,それをどうすべきだという意見ではないのですけれども,関係性としてそのようにあるということは気付いたので,今のうちに発言だけさせていただきました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   恐らく,特に甲案を作った場合に,他方で5の問題で告知だけして,事実上の扱いとしてというのは多分本当に整合するのだろうかという,改製不適合戸籍の場合には全部許されてという点ではどの立場を採るのかとの関係というのは問題になるだろうとは思います。   ほかいかがでしょうか。 ○浦郷委員 これだけ戸籍の方はコンピュータ化されて,また更に新しい段階に進もうとしているところですので,改製不適合戸籍というのはなるべく少なくしていくべきだと思います。   そして前回の告知からもう20年以上たっていますので,やはりここでもう一度改めて誤字を使っている方に正字での記載をお願いする,その旨を告知するのはやるべきかと思います。   それで一つお伺いしたいのは,前回,平成6年のときに引き直しを拒んだ人というのは,誤字で記載されている方が1万2,000ということなんですけれども,この方たちは普段お使いになっているときもその誤字のまま使っているのか。ただ,戸籍上の文字だからすごくこだわっているのか。一番最初の新谷委員のところで,誤字だったのが,本人が通常用いている文字に変えてもらってよかったというのもありますので,ちょっとそこら辺をお聞きしたいと思います。 ○窪田部会長 いかがでしょうか。分かる範囲で,何かございますでしょうか。 ○新谷委員 恐らく改製不適合戸籍になっている誤字の文字で,かなりこだわりがある方が多いと思うんですね。基本的には氏と名を分けますと,名の文字については恐らくほとんど解消されているのではないか。なぜかといいますと,名の文字については昭和23年1月1日以降,いわゆる現在の戸籍法が施行された以降は,50条,規則60条で,文字の字体が基本的には制限されると理解すればいいので,それはない。たまたま,中にはさっき「静」という字なんかがあったり,先ほど示された,衣編なのか,ネ編なのかの谷という字もありますけれども,氏の文字はかなりこだわりのある方はいらっしゃると思います。特に地区によって,同じ地区の中でも応じている人もいますし,応じていない人も実際問題いらっしゃるんですね。私が見ているのも,先ほど例に出た「はま」という字なんかも同じ親族なんですけれども,3軒とも違う「はま」を使っているんですね。一番新しい「浜」を使っている場合がありますし,先ほど示した「濱」の俗字を使っている方もいらっしゃる。それから,本当に誤字を使っている方もいる。それだけあるので,その方の考え方ですけれども,もうそれからコンピュータ化されまして,今はスマートフォンだ,コンピュータだとかいろいろと使っていますし,機器も新しくなっていますので,再度,告知という言い方がいいのかどうかは別なんですけれども,もう一度,文章を変えるなりして,あなたの戸籍はいまだに紙戸籍ですけれども,こういう文字でコンピュータにしたいというようなことで,各自治体,一つの自治体で何千も残っているところは恐らくないと思いますので,幾つかですから,1,800くらいの自治体があったとしても,その中でやっていただいて,自治体の方に御苦労があるかも分かりませんけれども,個別面接ではないですけれども,そういうような形で行ってお話をすれば,かなり理解は得られてくるのではないかと思います。   よくあるのは,では家の墓石はどうするんだとか,家の墓石はこういう文字を使っているけれども,戸籍が変わるとそれを直さなければいけないのではないか。そういうことはありません。表札はどうするんだとか,名刺はどうするんだ。いろいろな話があるのですが,それはこれは前から説明していますけれども,普段お使いになっているやつはそのままお使いできるんです。ただ,戸籍は公文書ですので,いろいろな面で,いろいろな形で作りますから,この文字で作られたらいかがでしょうか。これは同じ意味合いの,字体が変わりますけれども,字種は一緒なんですよという説明をしてあげられれば,理解されていく方が多いのではないかという,私はこれからもう20年以上たつ手続ですけれども,今思っているというところでございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   本日ですが,幾つかどうしても取り上げておきたい論点というのがございまして,特に6の連携情報の参照については少しきちんと御説明を頂いた上でいろいろ御意見を伺いたいと思いますので,また改めて5についても扱う機会はあると思いますので,続きまして,6について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○櫻庭関係官 それでは,9ページの「6 戸籍事務における連携情報の参照について」,御説明したいと思います。   「(1)現状の実務と連携情報の参照について」です。   現状,受理の判断に必要がある場合には,届出人に戸籍謄本を添付するよう求めているほか,必要に応じて電話照会や公用請求によって情報を取得し,事務処理をしております。   今回御用意しました戸籍法部会参考資料8「戸籍事務の新旧フロー図」を御覧いただけますでしょうか。   こちらは,現在の戸籍情報参照の流れということで,非本籍地,つまり本籍地でないところに婚姻届が出されたという事案でございます。   婚姻届の提出があった市区町村が本籍地でない場合には,夫となるべき者と妻となるべき者のいずれの戸籍情報も保有していないことから,婚姻届を提出した男女が独身であるか等法律上婚姻することができるかを判断することができません。そのため,通常,届出を受け付けた市区町村におきましては,届出人に対して自らの戸籍証明書の提出を求め,これに基づき届出人が独身であるか,あるいは届出書に記載された本籍や父母の氏名などが正しいかなどを確認しているところでございます。   フロー図の右の下を見ていただきますと,妻と夫が戸籍の証明書の請求をしているという絵になっておりますけれども,こちらは婚姻の届出を本籍地でないところに届け出るということになりますと,あらかじめ戸籍の証明書を請求するということで,妻の本籍地とか,あるいは夫の本籍地に対して証明書の交付請求をする。絵でいいますと1-1,1-2ということで,例えば妻の本籍地のほうに照会がありますと,1-1で本籍人を検索いたしまして,それで問題がなければ,1-2で戸籍証明書の交付をするという,こういう図になってございます。   婚姻届を提出するという場合でも,例えば以前婚姻したことがある女性が新たに婚姻しようとするときには,婚姻が解消した日から100日経過した後でなければ再婚することができないという民法の規定があるところです。提出された戸籍証明書から戸籍届出の提出があった日が離婚後100日を経過しているかを判断できない場合には,届出人に対して,さらに以前在籍していた戸籍証明書を追加で提出するというようなことは求めずに,その場合は,届出を受け付けた市区町村から,女性の本籍地の市区町村に電話により照会し,離婚後100日が経過しているかどうかを確認しているというのが実情でございます。   また,不受理申出制度という制度がございまして,本人が知らない間に勝手に婚姻届やあるいは離婚届などが提出され,届出が受理されるということを防ぐために,市区町村の窓口で本人確認ができない場合には届出を受理しないように,本籍地の市区町村に申し出ることができる制度がございます。届出を受けた市区町村が本籍地や住所地でない場合には,届出人が本籍地の市区町村に対し,事前に不受理申出の提出があったかどうか,そういったものを確認する必要がございます。   その他,婚姻によりまして新たに戸籍を作る場合には,新しく本籍を定めることになりますけれども,(注13)の方に書いてございますように,本籍の表示は地番号又は街区符号のいずれを用いても差し支えないものとされているという,この民事局長通達がございますので,実際は本籍が実在するのかどうかということを確認する必要があります。この場合,届出を受け付けた市区町村以外のところに新しい本籍地を定めるということになりますと,その土地が実際実在しているかどうかということは届出を受け付けた市区町村については分かりませんので,新たな本籍地として届書に記載されている市区町村に対しまして,その土地が本当に実在するのかどうかというのを電話で確認している実情がございます。   また,届書には当事者の住所を記載するという記載欄がございますけれども,戸籍窓口においては市区町村の住民以外の住所というのは分からないために,届書に記載された住所が合っているかどうかを確認するために,住所として記載されている市区町村に対して,住所について電話照会をしているというところがございます。   今申し上げた本籍地への照会が図でいいますと2-1ということで,本籍地に確認と記した部分になります。   また,妻の本籍地及び夫の本籍地につきましては,届出地からの電話照会があった場合,図でいいますと2-2ということになりますけれども,戸籍情報システムで該当者の戸籍情報を検索しまして,2-3で届出市区町村に対して回答するといった流れになってございます。   届出地におきましては,届出人から提出を受けた戸籍証明書や本籍地に対する電話照会の結果を踏まえまして,図でいいますと3-1というところ,一番上のところにあります戸籍情報システムを利用するというところでございますけれども,3-1で戸籍情報システムに届出情報を入力いたしまして,3-2で受理するか,そうでないかという処分決定をするということになります。   この場合,電話による照会のみでは足りないということになりますと,4-1のとおり,必要な戸籍を公用請求するというふうな形で対応しているということでございます。   その場合,本籍地におきましては,その請求に基づきまして,4-2というのがございますけれども,そこで該当者の戸籍情報を検索して,4-3で戸籍証明書を発行して,届出人の市区町村に対して戸籍証明書を返送するということになるということでございます。   今回は,業務の効率化,届出の負担の軽減という観点から,9ページのゴジック体の方で書いている話ですけれども,届出人の受理の審査に当たって戸籍情報を確認する必要がある場合には,届出人に戸籍謄本等の提出を求めることをせず,国で構築する戸籍情報連携システムによって参照審査できるようにしてはどうかというふうな意見を挙げさせていただいております。   新旧のフロー図,1枚めくっていただきまして,裏の方が新しい戸籍情報取得の流れということになっております。こちらについても御説明したいと思います。   この新しい戸籍情報取得のフローにつきましては,同じく婚姻しようとする男女がお互い本籍地ではない市区町村に婚姻届を提出しているという例になります。   現在,男女それぞれの戸籍証明書を添付するという必要がありますけれども,新たな制度を導入した場合には,届出を受付した市区町村につきましては,戸籍情報システムで届出人の情報を検索しますと,図の右側の方に国で管理する「戸籍情報連携システム(仮称)」というのがございますけれども,そこで確認しますと,妻の戸籍情報や夫の戸籍情報を確認することができるようになります。   ここで言葉の整理ですけれども,「戸籍情報システム」と書いているのが,今市区町村で管理しているシステムのことで,「戸籍情報連携システム(仮称)」と書いたのは,国で管理する新しく構築するシステムということになります。   これによりまして,本籍地市区町村で電話等で照会するということもなく,届出人の戸籍情報を確認することができるようになりまして,届出を受けた市区町村限りで届出を受理するかどうかというような判断もできるようになるということが考えられます。   また,新しい制度を導入した場合の後も,本籍地の市区町村において戸籍の正本を管理することになります。図の真ん中の方で本籍地から右側に矢印が出ておりますけれども,戸籍の異動があった場合には,本籍地の市区町村から国が管理する戸籍情報連携システムに情報を送信するといったことを考えている次第でございます。   続きまして,(2)の「参照範囲について」について御説明したいと思います。   仮に今御説明しましたように戸籍情報を確認する必要がある場合に届出人に添付書面を提出させずに,新しくできます戸籍情報連携システムによって確認するといったときに,それではどの範囲の戸籍情報を参照可能とするのかという点が問題になります。この点,戸籍制度に関する研究会における議論では,多くの場合,除籍謄本等の情報まで参照しなくても受理,不受理の判断は可能ではないかということもありますし,また,プライバシー保護の観点から,参照範囲については現在戸籍と同様の範囲の情報のみとするのがよいではないかというような意見も出されたところでございます。   もっとも届出の受理の審査に当たりましては,再婚禁止期間内になるかどうかなど過去の戸籍まで遡って確認する場面もございますので,参照範囲をこの現在戸籍に限ってしまうということになりますと,これまでどおり直接本籍地の戸籍窓口に電話等で照会する事務が残ってしまうということにもなりかねません。このため実際の事務におきましてどの程度戸籍に記載されている情報を確認する必要があるのかというのを踏まえて参照できる範囲を定めてはどうかとされたところでございます。   また,こうした実態調査の必要性につきましては,前回の戸籍法部会で久保野委員や窪田部会長の方からも御指摘があったというふうに認識してございます。   そこで,今回,全連の御協力を得まして,協力いただける9市区町村に対して,ほかの市区町村の戸籍情報を参照する頻度等について調査を実施いたしましたので,その結果について御報告いたしたいと思います。   資料につきましては,戸籍法部会参考資料の9という資料の方を御覧いただきたいと思います。   こちらは「(参考資料1)届書別従前戸籍の確認事項」と書いてございます。これにつきましては,主な届出につきまして,死亡とか出生,婚姻,離婚になりますけれども,主な届書について,現在戸籍だけではなくて,従前戸籍まで遡って確認する必要がある場合に,どういうことを確認しているのかということを記載した資料になってございます。   死亡届の例でいいますと,右側の赤い四角囲いのところに従前戸籍の主な確認理由が書いてございますが,死亡者の婚姻歴,配偶者がいない場合には未婚,死別,離別の確認をしているということが記載されております。これは主に人口動態調査のためということでございます。   ここで人口動態調査といいますのは,我が国の公衆衛生の施策に資するため,人口の動向を恒常的に調査するものでございます。ある一時点の人口につきましては国勢調査で調査されておりますけれども,ある一定期間の人口の動きにつきましては人口動態調査において調査されているということでございます。   調査の方法としましては出生,死亡,死産,婚姻,離婚の届出があった場合に,その届出の内容について市区町村から保健所に通知しているというものでございます。この情報を厚生労働省におきまして集計し,例えば一定期間における子の出生数や死亡した者の死因別の数などが統計として公表されております。先に申し上げた死亡届書における死亡者の婚姻歴の記載につきましては,戸籍事務において利用するものではございませんが,この人口動態調査事務に必要であるということから,法務省令である戸籍法施行規則において,届書に記載すべき事項として規定されているということでございます。   この死亡届書のサンプルを見ていただきますと,死亡した人の夫又は妻の欄というのが左の方に書いてあります。そこに配偶者がいる場合はその年齢,いない場合には,未婚,死別,離別の別をチェックさせる方式になっておりますので,市区町村の窓口の方でもこれに従って従前戸籍を確認しているということでございます。   従前戸籍をどうして確認する必要があるかという説明でございますが,例えば新しく戸籍を作る場合には,現に婚姻関係が継続している場合には,新たな戸籍にも記載する一方,既に解消した婚姻につきましては,新たな戸籍には記載をしないという扱いになっておりますので,かつて婚姻歴があるかどうか,離婚して新たに単独の戸籍を作ったかどうか,遡って確認をする必要があるということでございます。   同じように右の赤の枠囲いの方の従前の戸籍の主な確認理由の下のポツとして,届出人の資格や本人を確認しているということが記載されております。こちらも対応するように左側の届書の方に届出人欄というのがございまして,ここに親族,同居の親族とか同居していない親族というチェック欄がございます。同居か同居してないかの違いはありますけれども,親族かどうかというのをチェックをしたり,あるいは届出人の本籍地を記載する欄がありますので,これに対応して本籍地を確認する必要があって,そこで場合によっては従前戸籍まで必要になってくるということでございます。   例えば親族関係を確認するという場合ですと,それが夫婦関係であれば,同じ戸籍に入っているということですので,現在戸籍を確認すれば夫婦関係の存在を確認するということができるわけですけれども,親子関係の場合には,子は婚姻したときに別戸籍を作るというふうなことになっておりまして,これは戸籍法17条の規律でございますけれども,婚姻を理由に親の戸籍から除籍となった後に戸籍事務のコンピュータ化が行われた市区町村におきましては,親の戸籍は既に子が在籍しない状態で情報が管理されているということになりますので,遡って紙の改製原戸籍を確認する必要があるということになります。また,兄弟関係の確認ということで,兄弟関係になりますと親の代から遡って確認する必要があるということでございますので,戸籍も更に遡って確認する必要があるという場合もあるということでございます。   1ページおめくりいただきまして,今度は出生届について簡単に御説明したいと思います。   出生届出につきましては,左側の届書の方に四角で囲いましたように,父母との続柄として嫡出子と嫡出でない子の別というのを記載するようになっておりますし,また,長男か長女かといった男女,長幼の別を記載することになっております。これに対応する形で右の方に赤い四角囲いを書いてございますが,従前戸籍の主な確認理由というのを記載してございます。   ポツの一つ目ですけれども,婚姻後200日以内に出生した子である場合に,ほかの男性の嫡出推定が及んでいないかどうかということを確認するということが挙げられております。当該夫婦の嫡出子であるというためには,母に前婚があった場合にはその前婚の子ではないということが必要になってきますので,母の婚姻,離婚という履歴の確認が必要になってきます。   例えば戸籍事務をコンピュータ化した時点で,紙の戸籍上婚姻関係が解消されているという場合には,コンピュータの情報としては引き継がれておりませんので,コンピュータ化された現在戸籍の編製日が比較的新しい場合には,遡って紙の改製原戸籍という従前戸籍の確認まで必要になるということがございます。   また,ポツの二つ目ですけれども,こちらの待婚期間の経過の確認ということが挙がっております。民法上,女性の場合には,前婚の解消又は取消しの日から起算しまして100日でなければ再婚することができないという,いわゆる再婚禁止期間があることから,嫡出子であることの確認に当たりまして,適法な婚姻関係があるのかどうかということの確認が必要になってまいります。   これもコンピュータ化の時期によりましては現在戸籍のみを見てもそれ以前の婚姻関係の有無が確認できるとは限らないことから,婚姻や離婚の履歴を確認するために従前戸籍まで確認する必要があるということでございます。   また,更にポツの三つ目で嫡出でない子の続柄の確認という点が挙がってございます。これは嫡出でない子の続柄につきましては,父の認知の有無にかかわらず,母との関係のみにより認定し,母が分娩した嫡出でない子の出生の順により続柄を記載するというふうな取扱いがされているところでございます。このため婚姻関係にない状態でほかに子がいないかどうかを確認する上で,従前戸籍まで確認する場合があるということでございます。   また,ポツの四つ目になりますけれども,婚姻歴の確認ということで,「母につき新戸籍を編製」と記載されてございます。これは生まれた子の父母の氏名につきましては,父欄に記載がなく,また,嫡出でない子として届出がされた場合には,先ほど言いました戸籍法17条による三代戸籍禁止の原則ということで,子を出生した母はその親の戸籍から抜けまして,新戸籍を作る必要があります。このため出生届がされた時点で母が未婚なのかどうか,それまで親の戸籍に入っていたのかどうかというのを確認する必要があるということで,従前戸籍の確認の例として挙げられているということでございます。   更に1ページめくっていただきまして,今度は婚姻届について御説明申し上げます。   左側の婚姻届には,夫,妻になる人につき,それぞれ父母の氏名と父母の続柄を記載するというほか,初婚,再婚の別を記載することになっております。これに対応する形で,左側の方には従前戸籍の主な確認理由を掲げております。   一つ目のポツにつきましては,父母の氏の確認ということが挙がっておりますが,父母がなお同じ氏であるかどうか,婚姻関係の継続等を確認しているということでございます。   二つ目のポツで,初婚,再婚の別,あるいは再婚の場合は死別又は離別年月日の確認ということが挙がっておりますけれども,これは前述の死亡届の場合と同様に,人口動態調査のために確認が必要になってくるというものでございます。   三つ目のポツにつきましては,妻の前婚解消日の確認ということで,前述の出生届の確認と同様,待婚期間が終了して婚姻届出が受理できる状態になっているかどうかの確認のために必要になるということになっております。   また,更に1ページおめくりいただきまして,離婚届についてでございます。   離婚届につきましては,婚姻届と同じように,また,夫,妻であった人につき,それぞれ父母の氏名と続柄を記載するほか,婚姻前の氏に戻る者の本籍について記載しております。   これに対応する形で従前戸籍の主な確認理由を掲げておりますけれども,一つ目のポツにつきましては,父母の氏の確認ということで,父母がなお同じ氏であるかどうか,婚姻関係の継続等を確認しているということでございます。   二つ目,三つ目のポツにつきましては,復籍するということで,その戻る戸籍はどこか,戻る氏は何かを確認しているということでございます。   続きまして,この資料の最後,「(参考資料2)届出事件数の割合と現在戸籍確認によるカバー率」という資料を御覧いただきたいと思います。   こちらは真ん中に紫色で届出事件数割合という円グラフがございますが,これは平成24年から28年度の5か年の日本全体の届出事件数の平均について,届出事件別の数や割合を示したものになっております。   届出事件全体の数としては400万件を超える事件数がありますが,そのうち死亡届出に係るものが一番多いということで,130万件で31%,続いて出生が100万件ちょっとで24%,婚姻が66万件程度で16%というように,死亡,出生,婚姻で約60%超を占めるというのが実態になっております。   真ん中の紫色の円グラフの周りに死亡届など青色の円グラフが配置されておりますが,これは今回のサンプル調査によって,現在戸籍のみの確認で足りたのか,それとも従前戸籍まで遡って確認をしたのか,また,何回遡ったら確認ができたのかということを表してございます。   死亡届の例でお話いたしますと,濃い青色になりますけれども,現在戸籍のみで確認が終了したものが78%,それより薄い色になっておりますけれども,従前戸籍を一つ遡って確認が終了したものが11%,更に薄い色で同じく二つ遡って終了したものが11%ということを示しております。   死亡届出のほか,出生届,婚姻届,離婚届等につきましても,青の円グラフが記載されておりますけれども,こうした死亡届,出生届,婚姻届出といった全体の60%を超える主な届出につきましても,現在戸籍のみの確認で対応する部分が相当程度あるものの,それのみでは審査が終了しない場合も一定数があるということ,他方,従前戸籍を2回程度遡れば審査が可能であるということが分かった次第でございます。   以上の結果を踏まえまして,部会資料の本体の10ページの真ん中になりますけれども,現在戸籍で対応できる部分が相当数あるということに鑑みて,現在戸籍のみ参照することができるという甲案と,市区町村の戸籍事務の効率化という観点から,より十分な不正参照防止対策を講じた上で,現在戸籍のみではなく,従前戸籍も参照できるという乙案を記載させていただいております。   なお,この場合の従前戸籍の参照範囲につきましては,引き続き検討させていただくということとしておりますので,この点につきましては,実際に事務をされています市区町村の御意見を是非伺いたいというふうに思っております。   続いて,「(3)不正な情報参照を防止する策について」について御説明申し上げます。   従前戸籍を参照するということは,届出が受理できるかどうかということを審査するためのものでありまして,業務上必要なものでございますが,参照範囲が広くなった場合には,業務と直接関係ない情報を参照するおそれも広がるとの懸念もあるところでございます。このため,プライバシー保護の観点から,業務と無関係な情報参照を防止するための対応策の案ということで三つほど挙げさせていただいております。   一つ目は,届出を契機に情報参照した場合に,業務処理を終了する前には当該届出事件を受理するのか,あるいは不受理とするのか,いずれかの処分決定を行うというのが通常の取扱いですけれども,情報を参照しただけで,届出事件の処分決定をすることなく業務処理の終了ボタンを押した場合には,事件と関係なく情報を不正に参照したという可能性があることから,コンピュータ処理画面に警告メッセージを表示するということが考えられます。また,警告メッセージが表示されたにもかかわらず,処分決定することなく業務終了したものにつきましては,管轄法務局に自動的に通知するなどして,具体的な監督処分を受ける端緒を与える案ということで示しております。   もう一つは,誰が,いつ,どのような戸籍情報を参照したかという証跡ログを残すということとともに,年に1回以上,管轄法務局等による監査を実施するという案を掲げております。   さらに,悪質な不正参照に対応するために罰則を設けてはどうかというのが三つ目の案でございます。この辺りの対策につきましては,システム関係やプライバシー関係に詳しい委員,幹事の方々から御意見を頂ければと考えております。   本件についての事務局からの説明は以上でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   今御説明頂いたところに関して御質問あるいは御意見はございますでしょうか。久保野幹事,どうぞ。 ○久保野幹事 久保野でございます。   (2)の参照範囲のところの御説明のところで,質問です。   全てを理解しているわけではありませんで申し訳ございませんが,1か所,改製原戸籍にのみ離婚の情報あるいは子供がいたという情報が載っていることがあり,それを参照する必要がある,例えば届出人が本当に子供かとか,待婚期間を経過しているかというようなことを見るのに,そのような情報を見る必要があると御説明があったように伺ったのですが,そのお話というのは電子化する前の戸籍を見ないと分からないので,仮に離婚をしたのが電子化された後であれば,現在戸籍にも載っていて,古い方に遡る必要はないんだけれども,電子化前にそういう事情が生じていると古いのに遡らなくてはならない,そういう場合もあるという御説明として伺ってよいでしょうか。   仮にそれでよい場合には,この調査の中で過去のものに遡らなくてはならない理由というのは,調べなくてはならない事柄が電子化前だったから遡らなければならないという場合と,電子化後を前提としても,事の性質上,現在戸籍には載っていないので,どうしても過去のものを見なくてはならないときと2種類の場合が含まれているということでよろしいですかというのが二つ目で,もし2種類の場合が含まれているのだとすると,電子化前の情報に遡らなくてはならないときというのは,今回の戸籍情報連携システムを作った場合にシステムの中で参照ができるのかというところと,お願いできたらと思います。 ○窪田部会長 今の点は,事務局から御説明いただけますか。 ○櫻庭関係官 1点目の点につきましては久保野委員の御指摘のとおりです。基本的にはコンピュータ化される際に,現に効力を生じている情報ですとか重要な身分事項を移記するということになっておりますので,その段階で,解消されている情報であれば,それがコンピュータの情報に載ってこないということになります。したがいまして,1点目につきましてはコンピュータの戸籍を見るだけでは分からないということがあるということでございます。   あと2点目につきまして,コンピュータ化を基準にして,コンピュータ化される前に解消されたこともあるので,それが載ってこないというふうなものと,もう一つの類型として,コンピュータ化されたという原因以外にも過去の身分事項を確認できないことがあるかということだと思うんですけれども,この点につきましては全連の方が詳しいと思いますけれども,転籍した場合など,そういうものもあります。   最後,システムによる参照の関係ですけれども,今回の戸籍情報連携システムにつきましては,電算化された情報を基に作るということになっておりますので,電算化されてない情報であれば確認することができません。したがいまして,遡って参照できるところも基本的には最大電算化された情報があるところまでということになると思いますが,そこら辺はまた議論があるところかもしれません。 ○北村幹事 何点か頂いて,幾つかあるのですけれども,改製されコンピュータ化されたときにコンピュータ化前のものに遡らないといけない場合があるというのはそのとおりですし,また,コンピュータ化された後の話であっても,例えば離婚のような場合には,離婚をされました,ただ,その後新たに新本籍を作られたような場合には,戸籍法の施行規則39条のように何を移記するかということも決まってございます。現に婚姻事項を継続していないということであれば,新たに新本籍を作られたときには,前の離婚事項を移記されてないということになりますので,そうすると電算化されている場合であっても,前の本籍の除籍になっている部分を確認しないといけない場面というのが出てくるというのが現状でございます。その上でそういう実態があるということ,さらに最後の,今櫻庭の方から申し上げましたけれども,どこまでの範囲を見るのかということにつきましては,また今後更に今回お出ししました調査結果を踏まえて御議論を頂ければと考えているところでございます。 ○渡邊幹事 お手元の戸籍六法の260ページになります。戸籍法施行規則39条というものがございまして,既に戸籍があって,新戸籍を編製する際にどういう事項を書き移すか,これを移記と申します。離婚につきましては,移記事項ではないというふうに施行規則上なっております。 ○久保野幹事 すみません,ありがとうございます。正に,ちょっとそこ辺りが気になっていての質問でして,待婚期間を確認するときに,AさんがBさんと離婚して,いわゆる実家の本籍に戻るのではなくて,新たな本籍で,Aさんが独身になっての戸籍が作られるときというのは,そのAさんの新たな戸籍にはBさんと何年何月何日に離婚しましたということは書かれていないという御説明だと理解していいということなんですか。 ○渡邊幹事 その方についての婚姻ということ,婚姻の効力が離婚によって失われているわけになるわけです。そうしますと,その方について身分行為として現に効力を有する事項ではないという,そういう理解の下,離婚したという事実は新戸籍には移記される事項ではないという規定になっております。 ○北村幹事 補足ですが,離婚後,新本籍の方には離婚日は記載されるんですけれども,そこから新たに転籍をされると,そちらの方には離婚日は移記されず載らないということになりますので。 ○久保野幹事 そこから新たに転籍するとということですね。   それによって待婚期間を例えば確認しなくてはいけないときに,古い戸籍に遡らなくてはならないケースの量というか,それが異なると思ったものですから,ちょっとそこの事実が,ごめんなさい,そのケースにだけこだわって議論すべきだと考えているわけではございませんけれども,現在戸籍で分からないことの範囲についてのイメージとして確認させていただきました。ありがとうございました。 ○窪田部会長 どうぞ新谷委員。 ○新谷委員 今お答えしたとおりで,規則39条の重要な身分事項の移記というところで,夫婦については婚姻事項を移記しなさい。離婚については何もないです。だから移記しなくていい,こういう話なんですが,今日配られた参考資料の9のところの離婚というところを見ていただければお分かりになると思いますけれども,ここに先ほど櫻庭関係官の方から説明がありました,婚姻前の氏に戻る者の本籍ということで,この場合は,妻は元の戸籍に戻ると書いています。それから,もう一つは新しい戸籍を作る,この二通りあるわけですね。二通りの中で,一つは,元の戸籍に戻るとなると,親元の戸籍に戻ります。そこに移記されるのは例えば出生事項と離婚事項ですね,誰それと離婚して,どこどこ戸籍から入籍しましたよと書いています。するとその戸籍を見れば離婚したことは分かるわけですね。それから,もう一つは,戻った方が新たに親元から分かれて自分の戸籍を新しく作るという,分籍の届出というのがあります。分籍の届出があると,当然離婚事項は移記されない。だから離婚したかどうか分からない。ただ,待婚期間が100日ですから,その戸籍がいつできたかというのは,分籍した日がいつかということですので,分籍した日を見れば,そこから100日を経過していれば,今の戸籍だけ見ればいいという,そういう取扱いです。   同じように新しく戸籍を作って,新本籍を作って転籍をした場合についても,いつ転籍をしたか,それは待婚期間から見れば100日前に転籍ということが分かれば,前の戸籍を見なければいけない。昨日転籍したばかりで,今日届出があったとなると,転籍前の戸籍を見ないと待婚期間が出てこない。だからケース・バイ・ケースで考えるということになろうかなと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   久保野幹事,よろしいでしょうか。   石井幹事,どうぞ。 ○石井幹事 今の件ではないのですが。 ○窪田部会長 はい,結構です。 ○石井幹事 先ほどプライバシーの観点から意見をというお話でしたので,申し上げたいと思います。   9ページからの参照範囲から文章が続いていまして,10ページの中の,考えられる案で甲案と乙案が記載されている部分についてです。私の理解が正しければ,甲案で現在戸籍のみ参照することができるという案は,これは本人から出してもらっていたものをオンライン上で行うという話ですので,今までの実務と変わることはないだろうと理解しております。   乙案の方は,これも公用請求できる範囲がどこまでかというところも確認は要るかと思いますが,公用請求できていたものを同じように取れるようになるという違いにすぎないのであれば,これもやはり従前の実務と変わらないと思います。   プライバシーについて申し上げますと,届出の受理をしてほしいと求めてくる人がいたときに,必要事項の照会をかけることについては,少なくとも黙示的な承諾があるだろうと思われます。ただ,社会的な身分に含まれる情報として,例えば被差別部落出身者であるなど,そうした情報が推測できるような可能性が出てくれば,要配慮個人情報へ配慮も必要になると考えております。ただ,黙示的な承諾の範囲で,方法を変えるという考え方を採るのであれば,さほど大きなプライバシー上のリスクは生じないように思っているところです。   (3)に関しましては,今の理解を前提として,ということになりますが,特段のリスクが発生しないであろうというふうに考えた場合には,次に,目的外で取得したり,情報を使ったりする部分についての制約が必要になってくる。一つの方法としては罰則を付けることになろうかと思いますが,それについては,関連する法制度,例えば住民基本台帳法ですとか,マイナンバー法などから,参考にできそうな規定を出していただいて,御提案を頂くのがよろしいかと思います。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   非常に大事な御指摘を頂いたのかなと思います。仮に甲案を採ったとしても,公用請求という形で今までどおりにやるのだったら,同じ問題はプライバシーに関してあるのだろうという点も含んでいたのだろうと思いますが,これについては何か事務局からありますか。 ○渡邊幹事 正に御指摘のとおりだと考えておりまして,元々戸籍事務において必要な戸籍情報の量は従前と,今後考えている新しい枠組みでも変わらないわけでございます。公用請求として実際に郵送で請求書を出して回答を得るというようなことは可能な範囲であると考えられます。したがって,そしておっしゃるように実際に届出を出しているということからすれば,その審査に必要な戸籍情報を使用することについては,その人の部分に関しては少なくとも承諾があるということも黙示的に見てとることはできると思います。   ただ,同時に届出人以外の,ほかの方の戸籍情報を見る必要があるという場面もあろうかと思いますが,それも現在の公用請求の中で整理はし得ることかと思います。ただ,実際にそれを参照することがシステム的に容易になるということでございます。 ○窪田部会長 ほか御意見はございますでしょうか。 ○川島委員 ありがとうございます。2点質問も含めてなんですけれども,今回参照範囲を考える際に,甲案,乙案というように分かれているのですけれども,私が最初に不正参照というのを見たときにイメージしたのが,例えば有名人の戸籍情報を仕事の合間に見るだとかといった場合です。仮に今回新しくできる戸籍情報連携システムによって従来以上にそういった可能性が高まるという場合にあっては,現在戸籍のみ参照する場合であっても,十分な不正参照防止対策というのは必要ではないかと思うんです。そうしますと,甲案,乙案に加えて,今申し上げたのを丙案として考えて,現在戸籍のみ参照する場合であっても十分な不正参照防止対策を講じるということも論点として議論する必要があるのではないかと考えました。   今申し上げた不正参照の対象範囲といいますか,例示したようなこともあるのかないのかという点も併せて確認させていただけたらと思います。   二つ目が(3)の不正な情報参照を防止する策についてなんですけれども,ここで例示されているような対策以外に,戸籍事務ごとに参照できる戸籍情報の範囲を設定する。例を挙げますと,先ほどの資料の9にありましたように,それぞれの事務ごとに赤い枠で囲われていた,どこを参照するのかというのはある程度定められると思いますので,今申し上げたようなそれぞれの戸籍事務に関係のない情報に触れることができないようなシステム上の工夫も必要ではないかと考えました。   以上,2点申し上げます。 ○渡邊幹事 まず,不正参照の危険性は甲案でもあるのではないかという御指摘については御指摘のとおりだと考えます。ただ,現在戸籍しか見ることができないということになりますと,不正に参照しようとする範囲が過去の歴史的な人物まで見ることはないとか,そういう意味で物理的な量が減るということはあろうかと思いますが,いずれにしましても,現在戸籍だけ見るというのは量的な問題であって,質的な問題ではございませんので,依然として不正参照防止の措置が必要だということは御指摘のとおりかと思います。   2点目でございますけれども,死亡届,あるいは出生届,届出ごとに参照事項を限定するという御提案ですけれども,今回,私ども全国連合戸籍住民基本台帳事務協議会を通じて調査をさせていただいたところですけれども,この事項だけ以外は見ていないというふうに言えるかどうかというと,そういったところまでの調査ではないと考えられまして,届出の種類ごととはいえ参照事項を常に一定の範囲に限定することが可能かどうか,検討してまいりたいと考えます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   最初の御提案は甲案,乙案,丙案ということでございましたけれども,むしろ甲案,乙案というのとは別の軸として(3)で不正な情報参照を防止する対策についてどのように考えるのかという部分で検討するという趣旨かなというふうに理解させていただきました。   ほか,今の点も含めてで結構ですが,それでは,大野幹事,石井幹事ということでお願いします。 ○大野幹事 では私から,参照範囲と不正防止の関係なんですけれども,まず,不正防止の部分では,先ほど石井幹事からもお話がありましたが,現在実際に戸籍の事務で必要な事項は,本当に必要最小限の範囲で電話照会するなり,公用請求をして行っているところです。それをシステム的にできるようになると,事務の効率も上がりますし,時間的にも短縮しますから,サービス向上になります。そういう部分では適正に対応するのは当然として,不正防止策,個人情報の保護という観点からの,例えば住民票のネットワークシステムで全国の住民票データをそれぞれの市区町村では見ることはできるんですが,それを検索する,参照する際には必ずどういう法令上の根拠があって,何ゆえ使うかという理由も含めてシステムに入力した上で順番に進んでいきます。当然そこで参照範囲を絞られますから,そういう防止策,システム上の手続やテクニック的なところも含めて,いろいろな参考情報も集めた上で対応すればいいのかなというふうに考えるところです。   そういう不正防止策も十分担保した上で,参照範囲につきましては,先ほどの資料9で実際のカバー率として現在戸籍だけですと確かに大部分ではあるのですけれども,従前戸籍についても二つまでとするとほぼ100%,調査件数は少ないところではありますし,実際に従前戸籍で見た部分が電算化されているものか,紙戸籍かそこは分からないわけですけれども,少なくとも二つくらいまでは,せっかくシステム化している戸籍であれば複数,待婚期間などの部分のチェックをするために見られるようにしていただきたいかなというふうに考えます。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   石井幹事,どうぞ。 ○石井幹事 先ほど少しお伺いしたのですが,戸籍の方を参照することによって,社会的身分に含まれる事項を推測することができるのかどうか,それは要配慮個人情報の問題が出てくると思いますので,その点について1点お伺いしたいと思います。   また,不正な情報参照を防止する策として,法文上,目的外の取得や利用禁止を付けて,不正参照行為に罰則を付けるということについては,住民基本台帳ネットワークに関する最高裁判決も,目的外で本人確認情報を使ったり,秘密の漏えい等をする行為については懲戒処分や罰則で禁止されていることが判断基準になっていますので,そうした辺りも参考になると思いました。 ○渡邊幹事 ありがとうございます。まず,一つ目の御質問の方ですけれども,戸籍情報を見ることによって,親族的身分関係以外の身分的な事項が分かる場合があるのかということのお尋ねであったかと思います。本籍地の記載を戸籍情報は含んでおりまして,本籍地をずっと置いたままにしている場合には,一定の地域と重なるということで推測されるということがないというわけではないと考えます。そういったことも含めて,戸籍情報はプライバシー性の高い情報であるというふうに認識しております。   もう1点につきましては,罰則,非常に参考になりました。御意見を頂いて,検討してまいりたいと考えております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   鷲﨑幹事,どうぞ。 ○鷲﨑幹事 参照範囲を広げるということについては,効率化の観点から賛成なんですけれども,その際に当然アクセスが容易になるということで必要な対策が必要であるということで,今挙げられている対策は私はよいと思うのですけれども,非常に理想論を言えば,加えて,それぞれ各当人が自身の戸籍情報に対してどのようなアクセスがあったのかということが,もし自身で参照できる,知ることができるということが本来は望ましいと思いました。例えばマイナンバーでしたら,マイナポータルでマイナンバーのアクセス履歴を確か参照できたと思いますけれども,そういう形が本来は望ましいと思いました。ただ,当然費用ですとか,現実的なところはあるとは思います。 ○窪田部会長 今の御提案についても検討していただければと思います。   ほか,いかがでございますでしょうか。 ○畑委員 私も不正防止策が実効的に構築できるのであれば,一つ,二つくらい遡るということはよいかなと思います。ただ,そのための説明の仕方ですが,先ほどの久保野幹事の御発言に関係して,遡る必要性が,紙に遡る必要があるからだとすれば,それには,ネットワークのシステム上で幾ら参照範囲を広げても対応できないですよね。ですから,この参考資料9の統計をそのまま根拠として用いることはできないのではないかという問題提起を久保野幹事の発言は含んでいたように理解しました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。そのように理解されるものだと思いますが,特によろしいですか。   ほか,いかがでございますでしょうか。 ○安達委員 今回は例えば親が死亡したときの遺産の相続人の範囲などを提供することはマイナンバーの制約のために,国税庁などがそのような情報を入手するというのは当面実現できないということで進んできたわけですが,戸籍事務を扱う担当部署へ行って,例えば自分の親が亡くなった際に,相続に必要な戸籍を全部欲しいというお願いをできるようにするのでしょうか。親の戸籍がいろいろ移っていたとしても,全部電算化されている場合は,ワンストップで全部の戸籍謄本を出せるというようなところまでスコープに入れて窓口業務を考えているのでしょうか。あるいはそこまではせず,一つ一つ謄本を見て次のものを請求するということを必要なだけ繰り返すようなことをお考えなのか,どの程度までスコープに入れているのか,教えていただければと思いましてお尋ねする次第です。 ○窪田部会長 多分,それは戸籍連携事務の任務にも関わると思うのですが,その点事務当局からお願いできますでしょうか。 ○渡邊幹事 おっしゃる戸籍謄本が一手に手に入る,そういった場面というのは広域的に戸籍謄本が,あるいは戸籍証明書が交付される,そういったことについてのお尋ねかと存じます。今回,御説明しております,私どもが構築しようとしている戸籍情報連携システムでございますけれども,かねて御説明しているように文字の同定作業を行うということを想定しております。これはネットワーク連携を行うためには不可避な部分かと考えておりまして,そうしますと,市区町村にあります戸籍の正本情報と私どもが持っておりますデータベース内で扱う字が実際には微妙にずれている形になろうかと思います。市区町村の正本情報の方は御案内のように各市区町村ごとにスタンドアローンである状態ですので,広域的に証明書を出すということは難しいわけでございまして,出すとするならば,戸籍情報連携システムの方からということになろうと思いますが,そういった文字の問題がまずはあろうかというところでございます。 ○窪田部会長 今の点は本籍地以外のところで自由に戸籍謄本を取れるのかという点とかにも関わるのだろうと思うのですが,今お話を頂いたのは,もちろん完全にデータがオンライン化されていれば,比較的簡単にできるのかもしれませんけれども,戸籍連携事務の範囲内でやはり同定化されたデータというのを基にしているという状況の中で,証明書に当たるものが複数,あるいは別の場所で出せるのかということについて,まだ当然には解決されてない問題があるという御指摘だったかと思います。差し当たりはここで扱っている戸籍連携事務というのは,戸籍に関わる事務について,他の戸籍データを見ることができるという範囲に多分絞って検討しているということなのだろうと思いますが,それでよろしいですか。   今,安達委員から御指摘があった点については今後の検討課題としてはなお残っているという理解でよろしいですか。そうではないという理解になりますでしょうか。 ○渡邊幹事 本日御意見を賜りましたので,検討課題としてまいりたいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。 ○須藤委員 今の点に関連しますけれども,安達委員がおっしゃった点は極めて実際の生活上重要になってきていて,今日出された例はほとんど公的分野での例なんですけれども,私の例で言うと,もう父は死んでいまして,母が亡くなって,島根にいて,僕は本籍は東京に移して,僕の戸籍と母の戸籍を取って,金融機関は母が亡くなったときに口座が凍結されますから,誰も操作できなくなっているわけですね。僕が正当な口座を管理できる権利を主張するためには,あなたの戸籍とお母さんの戸籍とお母さんの原戸籍を持ってこいと言われて,行ったり来たりで大変だったんですけれども,そういうものをネットワークで簡便にやれるようにするというのは極めて重要になると思うんです。   そのときにどういう,今言ったように一つ前まで,従前戸籍まで遡っているわけですけれども,そういうことをかなりデジタルで容易にするようにすれば,遠隔な間でもかなり楽に金融機関とやり取りができるということで,そういう金融機関は極めて重要になるので,生保とかも含めて,そこら辺の事例もちょっと検討していただければと思います。 ○窪田部会長 オンライン化の話など,出発点の一つには入っていた問題ではございましたので,ちょっと事務局の方でも今後の議論の中での課題として含むかどうかを含めて検討していただければと思います。   ほか,いかがでございますでしょうか。   まだ7というのが残っているのですが,もう時間的にも無理だと思いますので,7については積み残しということで次回に扱わせていただきたいと思います。私のほうの要領が大変に悪くて積み残しが生じてしまいましたけれども,大変に活発な御意見を頂きましてありがとうございました。   それでは,最後に,次回の議事日程等について事務当局から御説明をお願いいたします。 ○渡邊幹事 次回会議でございますけれども,来年1月19日金曜日になりますが,時間は本日と同じ午後1時30分から午後5時30分までの予定です。開催場所は追ってメール等によって御連絡を差し上げます。   本日は熱心な御議論,大変ありがとうございました。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。次回は1月ということでございますので,よいお年をということで,ちょっと早いですが,では,どうもありがとうございました。 ―了―