法制審議会 第177回会議 議事録 第1 日 時  平成28年9月12日(月)   自 午後2時01分                         至 午後4時01分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題   1 性犯罪に対処するための刑法の一部改正に関する諮問第101号について   2 民事執行法の改正に関する諮問について 第4 報告事項   1 民法(相続関係)部会における審議経過に関する報告について   2 信託法部会における審議経過に関する報告について 第5 議 事 (次のとおり) 議        事 ○佐伯司法法制課長 では,ただいまから法制審議会第177回会議を開催いたします。   本日は,委員20名全員に御出席いただいておりますので,法制審議会令第7条に定められた定足数を満たしていることを御報告申し上げます。   初めに,法務大臣挨拶がございます。 ○金田法務大臣 ただいま御指名賜りました法務大臣の金田勝年と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。   法制審議会第177回会議の開催に当たりまして,一言御挨拶を申し上げます。   委員及び幹事の皆様方におかれましては,御多用中のところ本会議に御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。また,この機会に,法制審議会の運営に関する皆様方の日頃の御協力に対しまして,厚く御礼を申し上げます。   さて,本日は,御審議をお願いする議題が二つ,部会からの報告事項が二つございます。まず,議題の一つ目は,「性犯罪に対処するための刑法の一部改正に関する諮問第101号」についてでございます。この諮問については,昨年10月の諮問以後,刑事法(性犯罪関係)部会において調査審議が続けられ,本日,山口部会長からその結果が報告されるものと承知しております。性犯罪の罰則につきましては,その被害の実態や事案に即した対処をするため,早急に整備を行う必要があると考えておりますので,できる限り速やかに御答申を頂けますようお願いを申し上げます。   議題の二つ目は,新たに御審議をお願いするもので,「民事執行法制の見直しに関する諮問第102号」についてでございます。民事執行法は昭和54年に制定された後,社会経済情勢の変化への対応と権利実現の実効性を高めるという観点などから,平成15年と平成16年に所要の改正が行われました。その後,近時,手続の更なる改善に向けて幾つかの個別的な検討課題が指摘されております。具体的には,債務者財産の開示制度の実効性の向上,不動産競売における暴力団員の買受けの防止,子の引渡しの強制執行に関する規律の明確化などの課題があり,これらについて早急に検討する必要がございます。そこで,このような民事執行手続をめぐる諸事情に鑑み,民事執行法制の見直しについて御検討をお願いするものでございます。   最後に,部会からの報告事項は,民法(相続関係)部会及び信託法部会における部会審議の途中経過でございます。民法(相続関係)部会におきましては,平成27年2月の諮問以降,精力的に調査審議が行われ,本年6月に中間試案が取りまとめられました。同中間試案は,7月12日から今月末までの間,パブリックコメントに付され,これに寄せられた意見を踏まえて10月以降に審議が再開される予定と伺っております。本日は,これまでの審議の経過について,同部会の窪田部会長代理から報告がされるものと承知しておりますので,これに関しましても,委員の皆様方から御意見をお伺いしたいと存じます。   また,信託法部会におきましては,平成16年9月の諮問以降,調査審議がされ,平成18年2月の総会において私益信託に関する制度の部分につき,「信託法改正要綱」が答申されました。他方,公益信託に関する制度の部分につきましては,公益法人法制の改正動向を踏まえ,引き続き検討するものとされましたため,信託法部会は終了せず,休会となっておりました。今般,公益信託法制の見直しに関して検討するため,本年6月から信託法部会の審議が再開され,精力的に調査審議が進められていると伺っております。本日は,これまでの審議の経過につきまして,同部会の中田部会長から報告がされるものと承知しておりますので,これに関しましても委員の皆様方から御意見をお伺いしたいと存じます。   それでは,これらの議題等につきましての御審議,御議論をよろしくお願い申し上げる次第であります。 ○佐伯司法法制課長 誠に恐縮ではございますが,大臣は公務のため,ここで退席させていただきます。 ○金田法務大臣 どうぞよろしくお願いいたします。           (金田法務大臣退席) ○佐伯司法法制課長 ここで報道関係者が退室しますので,しばらくお待ちください。           (報道関係者退室) ○佐伯司法法制課長 では,高橋会長,お願いいたします。 ○高橋会長 高橋でございます。本日もよろしくお願い申し上げます。   初めに,本年2月12日に開催した前回第176回会議以降,本日までの間における委員の異動につきまして御報告申し上げます。異動内容の詳細につきましては,お手元にございます人事異動表のとおりでございますが,新たに就任されました委員の方々が本日御出席でございますので,御紹介申し上げます。   東京高等裁判所長官の戸倉三郎氏が委員に御就任になりました。どうぞよろしくお願いいたします。 ○戸倉委員 戸倉でございます。よろしくどうぞお願いいたします。 ○高橋会長 最高検察庁次長検事の八木宏幸氏が委員に御就任になりました。 ○八木委員 八木でございます。よろしくお願いいたします。 ○高橋会長 本日の審議に入ります。   先ほどの法務大臣挨拶にございましたように,本日の審議事項は二つでございます。まず,第1の議題である,「性犯罪に対処するための刑法の一部改正に関する諮問第101号」について御審議をお願いいたします。   では,刑事法(性犯罪関係)部会における審議の経過及び結果につきまして,同部会の部会長を務められました山口厚委員から御報告を頂きたいと存じます。   では,山口部会長,お願いいたします。 ○山口部会長 刑事法(性犯罪関係)部会長の山口でございます。私から,当部会における調査審議の経過及び結果を御報告申し上げます。   諮問第101号は,「近年における性犯罪の実情等に鑑み,事案の実態に即した対処をするための罰則の整備を早急に行う必要があると思われるので,別紙要綱(骨子)について御意見を賜りたい。」というものでした。   本諮問につきましては,平成27年10月9日開催の第175回会議で,まず部会において調査審議すべきである旨が決定され,刑事法(性犯罪関係)部会が設けられました。そして,部会において,同年11月2日から本年6月16日までの間,合計7回にわたって調査審議を行いました。   なお,諮問に先立って法務省で開催されていた「性犯罪の罰則に関する検討会」において実施されたヒアリングを補充する観点から,部会においても,性犯罪被害の当事者等のヒアリングを更に実施し,そこで示された御意見をも踏まえて審議を行いました。   それらの調査審議の結果,諮問に係る要綱(骨子)について一部修正の上,賛成多数により,本日配布資料刑1としてお手元に配布いたしました要綱(骨子)のとおり法整備をすることが相当であるとの結論に達したものです。   部会における審議の概要につき,資料刑1に沿って御説明いたします。要綱(骨子)は,第一から第七までの構成としており,これは,おおむね刑法における条文の順序に対応する形で配列したものですが,ここでは,部会における審議の順序に従い,まず,要綱(骨子)第四について御説明し,さらに,相互に関係が深いと考えられる項目について,適宜まとめて御説明いたします。   まず,要綱(骨子)2ページ目に記載しております「第四 強姦の罪等の非親告罪化」を御覧ください。要綱(骨子)第四の一及び二は,現行法で親告罪とされている強姦罪等について,非親告罪化することとするものです。この点につきましては,第175回会議において,総会委員の皆様から,被害者の心情への配慮の必要性等についての御意見を頂いておりましたことから,部会では,これらの御意見をも踏まえて,調査審議を進めました。   部会においては,強姦罪等を非親告罪化することについて,被害者の利益を守るためにその意思を尊重することとしてきた制度を廃止することには疑問があるなどとして,非親告罪化に反対する意見もありましたが,ヒアリング等の結果により,被害者にとって告訴するか否かの判断を迫られることが心理的な負担になっているという実態があることがよく理解できたなどとして,性犯罪が親告罪であることがかえって被害者の負担となっている場合があるとの理解が多数を占めました。   加えて,現在では,刑事訴訟法の改正等により被害者のプライバシー保護が図られるなどしており,親告罪であることとプライバシー保護等との関連性は既に薄れているなどの意見があり,部会の議論においては,非親告罪化することに賛成する意見が多数となりました。   なお,先の総会でも御指摘がありました刑事手続における被害者の心情への配慮については,検察官である委員から,現行法で非親告罪とされている強姦致傷等の罪についても,起訴するか否かの判断に当たって被害者の意思を丁寧に確認しており,強姦罪等を非親告罪化した場合にも,被害者の意思を最大限尊重することになると考えているとの発言があり,部会としても,実務での運用によって適切に対応ができるとの意見が多数でした。   次に,要綱(骨子)第四の三は,第四の一及び二の時的な適用範囲に関するものであり,諮問に係る要綱(骨子)には示されていなかったものですが,部会においては,強姦罪等が非親告罪化された場合,改正法施行前に行われた行為について,施行後は非親告罪として取り扱うべきかどうかの点も議論を行い,要綱(骨子)第四の三に記載した結論に至りました。   この点については,過去に刑法上の犯罪につき非親告罪化された際と同様に,その効果は改正後の行為にのみ及ぶこととすべきであるとして,施行前に行われた行為を非親告罪化することに反対する意見もありましたが,親告罪の規定は訴訟手続に関するものであり,手続の改正については進行中の手続にも新法を適用するのが原則である,被害者の負担を軽減するという非親告罪化の趣旨に鑑みると,改正法施行前の行為も非親告罪として取り扱うのが適当である,改正法施行の時点において,将来的に告訴がされる可能性がある事件については,これを非親告罪化したとしても,その被疑者の法律上の地位を著しく不安定にするものとは言えないなどとして,改正法施行前の行為についても新法を適用し,非親告罪として取り扱うこととするのが適切であるとの意見が多数を占めました。   もっとも,改正法施行前に,既に法律上告訴がされる可能性がなくなっている場合については,一旦起訴される可能性がなくなった被疑者の地位の安定を考慮する必要があることから,そのようなものについては新法を適用しないこととして,要綱(骨子)第四の三のとおりとすることとしたものです。   そして,この点は,いわゆる経過措置に関するものではありますが,その内容が関係者の権利利益にとって重要なものであると考えられたことから,要綱(骨子)に明記することとしたものです。   次に,要綱(骨子)第一,第二及び第六についてです。このうち,要綱(骨子)第一は刑法第177条の強姦罪の改正に関するものであり,「女子」に対する「姦淫」のみを対象として,強制わいせつ罪よりも重く処罰するものとしている現行法の強姦罪について,その構成要件を見直し,重い処罰の対象となる行為の範囲を拡張するとともに,法定刑の下限を懲役3年から懲役5年に引き上げることとするものです。   要綱(骨子)第二は,刑法第178条第2項の準強姦罪の改正に関するものであり,要綱(骨子)第一と併せて,処罰対象となる行為の範囲を拡張するとともに,法定刑の下限を引き上げることとするものです。   3ページ目の要綱(骨子)第六は,強姦等致死傷の罪の改正に関するものであり,基本犯である強姦罪等の法定刑の下限を引き上げることに伴い,その結果的加重犯とされる強姦等致死傷の罪の法定刑の下限も懲役5年から懲役6年に引き上げることとするものです。   まず,諮問に係る要綱(骨子)を修正した点について申し上げますと,その第一においては,処罰対象となる行為について,「性交等」と表現した上で,括弧書を用いてその内容を詳細に定義しておりましたが,構成要件の明確性の要請を踏まえつつ,同じ内容をより適切な用語で表現するという観点から検討した結果,お手元の要綱(骨子)第一のとおり,「性交,肛門性交又は口腔性交」という表現を用いることとしたものです。したがいまして,この修正は,諮問に係る要綱(骨子)の意味内容を変更する趣旨ではありません。   次に,要綱(骨子)の内容について審議の経過を御説明いたしますと,重い処罰の対象となる行為として,口腔性交をも含めることに反対する意見もありましたが,被害の重大さという点では,口腔性交も,膣性交や肛門性交と異なるところはなく,区別することに合理性は乏しい,体内への陰茎の挿入を伴う行為は,濃厚な性的経験の共有を強いられるという意味で,重く処罰されるべきものであるなどとして,性交,肛門性交のほか,口腔性交をも含めることに賛成する意見が多数を占めました。   また,法定刑の下限を引き上げる点については,その理由が乏しいとしてこれに反対する意見もありましたが,強姦罪の量刑傾向を見ても法定刑の下限が懲役5年である現住建造物等放火罪や強盗罪と比して軽い処罰がなされているとは言えず,そのような評価を法定刑にも反映すべきである,法定刑は,実際に科すことのできる刑の幅を決めているだけでなく,それぞれの犯罪あるいは被害法益に対する評価を示すという意義があり,強姦罪等の法定刑の下限を引き上げることには理由があるなどとして,法定刑の下限を要綱(骨子)のとおり引き上げることに賛成する意見が多数でした。   次に,要綱(骨子)第五は,要綱(骨子)第一,第二及び第六による法定刑の引上げに伴い,集団強姦等の罪を廃止することとするものです。部会においては,集団強姦等の罪を廃止することに慎重な意見もありましたが,強姦罪,準強姦罪及び強姦等致死傷罪の法定刑を引き上げれば,これらの罪とは別に集団強姦等の罪を存置しておかなくても,適切な量刑ができるとして,要綱(骨子)第五に賛成する意見が多数を占めました。   続いて,要綱(骨子)第三は,監護者であることによる影響力があることに乗じたわいせつ行為又は性交等に関する罪を新設するものです。   まず,諮問に係る要綱(骨子)から表現を修正した点について申し上げます。諮問に係る要綱(骨子)では,処罰の対象となる行為について,監護者がその「影響力を利用して」性交等をしたという表現を用いていましたが,審議の結果,お手元の要綱(骨子)第三のとおり,「影響力があることに乗じて」という表現を用いることとしたものです。この「影響力を利用して」という文言は,「18歳未満の者に対する監護者の影響力が一般的に存在し,かつ,その影響力が遮断されていない状況で」性交等を行ったという意味で用いられていたものですが,「影響力を利用して」という表現では,被害者に向けられた具体的な利用行為が必要とされているようにも解され得ることから,より適切な表現に改めたものです。   したがいまして,この修正につきましても,諮問に係る要綱(骨子)の意味内容を変更するものではありません。   次に,要綱(骨子)第三の内容に関する審議経過を御説明します。被害者に対する行為者の影響力があることに乗じて性交等をした場合の処罰規定を新設する必要性について最初に議論を行い,現行法の準強姦罪等で対処することができると考えられることなどを理由に新設に反対する意見もありましたが,行為者との日常生活の中で性的関係が常態化している事案などは,行為者による明確な暴行や脅迫はなく,かつ,個別の性交等について抗拒不能にも該当しない場合が多く,刑法の性犯罪として処罰されていないが,強姦罪,準強姦罪等と同様に性的自由を侵害していることから,このような行為を性犯罪として刑法に規定し,重く処罰する必要があるなどといった意見があり,このような処罰規定を設けることに賛成する意見が多数を占めました。   また,要綱(骨子)第三の罪の主体の範囲について検討が行われ,行為主体をより広げるべきであるとの立場から,監護者のほかにも,監護者以外の親族や教師,スポーツの指導者もこの罪の主体に含めるべきであるとの意見がありましたが,新設の罰則は暴行・脅迫や抗拒不能がなくとも,強姦罪,準強姦罪等と同様に性的自由を侵害する行為について,それらの罪と同等に処罰するものであり,この観点からは,被害者が精神的・経済的に全面的に依存しており,その影響力が類型的に強いと評価できる監護者に限定するのが適切であるなどとする意見等があり,本罪の主体を「18歳未満の者を現に監護する者」に限定することに賛成する意見が多数を占めました。   最後に,要綱(骨子)第七は,強姦と強盗とを同一機会に行った場合の罰則の整備に関するものです。部会においては,主として,このような罰則の整備の必要性について議論が行われ,法定刑の引上げ等に消極的な観点から,新たな罰則の整備に慎重な意見もありましたが,現行法の強盗強姦罪が重く処罰されているのは,強盗犯人が同じ機会に更に強姦に及んだという悪質性に基づくものであるところ,強姦犯人が強盗に及んだ場合でも,その悪質性は同様であることから,強盗強姦罪と同等に重く処罰すべきであるなどとして,要綱(骨子)第七のとおりとすることに賛成の意見が多数を占めました。   修正後の要綱(骨子)について,一括して採決に付したところ,部会長である私を除く出席委員15名のうち,賛成14名,反対1名の賛成多数により,修正後の要綱(骨子)のとおりの法改正を行うべきであるとの結論に至りました。   以上のような調査審議に基づき,諮問第101号については,配布資料刑1のように法整備を行うことが相当である旨が決定されました。   以上で,当部会における調査審議の経過及び結果の御報告を終わります。 ○高橋会長 御報告ありがとうございました。   では,ただいまの御報告及び要綱案の全般的な点につきまして御質問及び御意見を承りたいと存じます。御質問と御意見を分けまして,まず御質問がございましたらいかがでしょうか。   それでは,御意見の方を承りたいと存じます。 ○神津委員 今回の改正の方向性については,おおむね賛成できるものと考えております。その上で,連合として従来から政策全般の中で持っている考え方に照らしながら若干の意見を申し述べさせていただきたいと思います。   今回の改正に関する議論の途上では,配偶者間の強姦罪の明文化や,暴行・脅迫要件の緩和などが議題となりつつも要綱には入らなかったわけであります。配偶者間の強姦や暴力が暴行・脅迫要件によって訴えが退けられてしまう例が多いことは引き続き課題であると考えます。特に暴行・脅迫要件については,被害者の抵抗の有無に立証の焦点が当たり,抵抗するのもままならない状況,あるいは教師やクラブコーチなどの立場を利用した場合などが看過されているとともに,立証過程そのものが様々な意味での二次的被害を引き起こす側面があることも忘れてはならないのではないかと思います。   今回の改正自体が1907年に作られた刑法の抜本改正になると聞いておりますが,こうした課題が残る中で,次の改正が100年後といったことにならないよう,改正案成立の際には,施行後の現場の実態を多方面からよく注視し,被害者の声が十分に反映される形で見直しを図るようお願いをしたいと思います。   また,改正案要綱に関連して,性暴力被害者のプライバシーの保護の観点から,捜査公判過程や被害者の権利としてのレイプシールドの必要性など十分な関連法制度の検討が望まれると思います。   また,性暴力を根絶するために,性暴力被害者の相談支援体制を充実させ,暴力を許さない社会の形成,あらゆる性暴力は犯罪であるという社会認識の徹底,法曹三者を含めた意識啓発や情報の周知についても一層取り組むべきであると考えております。 ○高橋会長 事務当局からお答えいただけますか。 ○加藤関係官 ただいまの神津委員からの御意見・御指摘は,御指摘のあったとおり,部会あるいはそれ以前の性犯罪の罰則に関する検討会で取り上げられた事項でございます。委員の御指摘につきましては御意見として承り,事務当局として承知させていただきます。 ○小杉委員 私は研究者として若い女性の貧困問題などにも最近関わっておりまして,その中でやはり貧困女性というのは性暴力被害に遭うことが度々あるというようなことが分かってきました。中には性暴力被害に遭ったことがトラウマになって,男性のいる職場では働けなくなったりとか,そういったことも起こっておりますので,今回の非親告罪化されたり,あるいはその監護者であることの影響力がきちんと条文化されるというのは大変好ましいことと言いますか,こうした問題に対しても少しプラスの影響を与えるのではないかなと大変期待しているところです。   その上で一つ,今,神津委員の方からありましたことの中の一つなのですけれども,是非もう少し踏み込んでほしいなと思ったところが1点ございます。これは感想ということでお話しさせていただきたいのですが,強姦罪の暴行又は脅迫を用いてという文言についてです。暴行又は脅迫と言われても,一般にはその程度がどんなものかよく分からない,この条文からでは普通は分からないと思います。暴行罪における暴行とかあるいは強姦罪における暴行・脅迫と同じような言葉を使われておりますけれども,実態と言いますかその行動態様というのは多分違いがあるのだろうと思うのですね。ところが,私たち一般にはその言葉の違いというのがどの程度違うのかというのがよく分かっていません。   できれば,その暴行・脅迫の例示的な形で,威嚇とか強制とかあるいは威力によってとか何かその程度がある程度分かるような文言が入っていれば暴行罪の暴行とは違うのだなとか,そのレベルが一般にも分かるような文言が入っていれば分かりやすくなるのではないでしょうか。分かりやすくなるということは犯罪の抑止にもつながると思うので,できれば先ほど神津委員の方から,今後実態に即してもう一度考えてほしいという,その辺を検討してほしいというお話がございましたけれども,是非今後その辺りについても考えていただければと思います。 ○高橋会長 御意見伺いました。   ほかに御意見いかがでしょうか。 ○井上委員 部会の方で非常に精力的に調査審議を重ね,意見をまとめていただいたことに感謝申し上げます。山口部会長の方から御報告がありました趣旨,内容とも,全体として賛意を表させていただきたいと思います。   1点だけ,性犯罪を非親告罪化するということについて,若干コメントさせていただきますと,先ほど山口部会長が言われたように,従来,この制度は被害者の保護のための制度であると言われてきましたし,私も長年,大学で何の疑問も持たずにそういうふうに教えてきました。けれども,ここ十数年,犯罪被害者等基本法等ができる前後からこういう問題にも関わって,被害者の方や支援団体の方の御意見を伺ったりして,実態はちょっと違うということに気付きました。先ほど御報告があったように,性犯罪の被害を受けてその後も非常に苦しんでおられる,つらい状況にある被害者の方々が,刑事事件として取り上げてもらえるかどうかは,自分たちが決めなければいけない。そういう選択を迫られることがまた苦痛を増加させるのだという声を随分伺いました。   同時に,被害者の方たちは,自分たちが特に申し出ない限り取り上げてもらえないというのは,社会から見放され,社会は,大したことではないと見ているのではないか。そのような感を非常に強く持たれるということを知りました。   そういうことで,制度が設けられた当時の状況がどうであったかは別として,少なくとも今日の時点では,どうも,従来,立法趣旨とされてきたことは,立法関係者ないし法律関係者のやや一方的な思い込み,あるいは思い過ぎになってしまっているのではないかと反省させられたわけです。その意味で,今回の非親告罪化の方向性には賛成する次第です。   ただ,従来,立法趣旨として言われてきたような,被害者の方の意向にかかわらず事件として取り上げ,公の裁判の対象とすると,被害者の名誉やプライバシーを一層傷つけることになってしまうという懸念が全く理由のないものになったというわけでもないわけで,実際,被害者の方々の中でもそういう心配をされる方もおられるわけですから,やはり配慮を欠くような捜査や公訴権の行使は極力避けなければならないことに変わりはありません。非親告罪化するとしても,その面の配慮は尽くしていただかなければいけないと思います。   部会長の報告の中で触れられましたように,昔に比べ今では,被害者の方々に対する配慮あるいはバックアップの体制というのは制度的にも運用上もかなり進んできたことは確かですし,また検察当局の方からも,十分配慮した運用をするという表明があったということで,そのとおりやっていただけると思うのですが,問題は,親告罪でなくなってしまってかなり時間が経つと,こういう経緯が忘れられてしまい,たくさんの方が捜査や訴追の現場で働いておられますので,ややもすれば配慮を欠くような扱いが出てくるというおそれもなしとしないように思います。ですから,警察や検察当局におかれては,教育とか運用上この点について,常に周知を図るという態勢を継続してとっていただきたい。そのことをお願いしておきたいと思います。 ○加藤関係官 御意見ありがとうございました。今回の法改正がこの部会の要綱(骨子)に沿ってなされた場合には,その趣旨につきましては御指摘のあったような周知に努めるようにいたしたいと存じます。 ○引頭委員 先ほど山口部会長からお話がありましたが,7回の審議のうち1回はヒアリングをしていただいたということで,実態に即した要綱案となったのではないかと思っております。その上で,2点意見を述べさせていただきます。   まず,要綱案の第一の強姦罪に関してなのですが,諮問の際にも申し上げましたが,従来強姦罪の被害者というのは女性の性のみであったわけですが,今回の改正で男性あるいはLGBTの方々を含む全ての方々が被害者として認められるということで,現代の社会情勢と合致しており,性犯罪に関する法整備において,大きな前進になったのではないかと思っております。これが1点目です。   2点目ですが,要綱第三の監護者であることによる影響力に乗じて性交渉した場合に関する罰則の新設についてですが,これまで表面化してこなかった事案,また必ずしも実態と合致しているとは言えなかった量刑,こうしたものが整理されたのではと思っておりまして,非常に意義が大きいものと思います。ただ,一般庶民的な感覚から申し上げますと,この要綱第三の題名と言いますか,罪の名前ですが,少し表現が固く,一般の人には少し言いづらいですし,また,分かりづらいという印象を持っております。今後新設された後には社会に実装していくということになるかと思いますので,直観的にこういう犯罪なのだということが一般の国民の方々に分かりやすいような表現,少し不謹慎な言い方をしますとキャッチフレーズと言いますか,そういうようなものを少しお考えいただければ,広く世の中に認識されて,法意,法の意図が,社会に実装されていくのではないかと思いました。 ○加藤関係官 御指摘ありがとうございました。要綱(骨子)第三の罪の呼び名等についてですが,もちろん要綱(骨子)に書いてあるとおりの文言が,そのまま法律を作った際の見出しとなるわけではございません。したがいまして,立案に際しまして御指摘も踏まえ,法律の見出しとしてどのようなものが適切であるか,あるいは一般的な呼称としてどのようなものが適切であるかについても検討させていただきます。 ○大塚委員 私も今回の内容は全体的には賛成であります。その上で,皆さんもおっしゃっていましたけれども,非親告罪化の部分で1点だけ意見を述べたいと思います。   諮問のときにも申し上げましたけれども,非親告罪化にするということはいわゆる逃げ得を許さないという観点からは非常に妥当な措置だとは思います。ただ,皆さんおっしゃっていたのに加えて一つ,特に懸念しているのは,被害者に対する二次被害の部分であります。公判を通じて思い出したくもない記憶がよみがえざるを得ないという状況が生じるかと思います。その被害者の心情,これに十分に配慮していただいて,運用に当たっては警察,検察の方はもちろんですけれども,裁判所の訴訟運営においても被害者の心情に留意していただくことをお願いしたいと思います。 ○八木委員 ただいまの刑事手続における被害者の二次被害の御心配に関しまして,現状の運用について御説明申し上げます。大塚委員のおっしゃるとおり,性犯罪が被害者の方にとりまして,身体のみならず,多くの場合は精神的に長期にわたる傷跡を残す重大な犯罪であることを捜査・公判に携わる者の皆が認識しております。そのような被害を受けた被害者の方のプライバシーの保護や負担軽減は言うまでもなく重要であると認識しております。   ただ,性犯罪は犯罪事実を特定して立証するためにはどうしても被害状況に関する被害者の詳細な供述を得ることが不可欠である場合が多く,特に被告人が犯行を否認している場合には,その弁解状況によっては事情聴取を再度行う必要も出てくることもありますし,被害者の方に公判廷で証言をしていただく必要が生じることもあります。このことは今回のような非親告罪化によっても変わるところはないところだと思っております。   その上でではございますが,検察官・検察事務官としましては,被害に遭われたことで既に重大な精神的苦痛を感じておられている被害者の方がこれらの手続において感じる負担をできる限り軽減するため,様々な配慮を現に行っており,強姦罪等が非親告罪化された場合においても,被害者保護のための制度を適切に活用するなどして,できる限り被害者の方の負担を軽減するようより一層の配慮をしてまいりたいと思っております。   現在の運用につきまして若干申し上げますと,平成26年10月に最高検から通達を発出しておりまして,その通達の中で検察官等に対し,被害者等から事情聴取するに当たっては被害者等が受けた身体的,精神的被害等に十分に配慮しつつ,被害者等との間のコミュニケーションをより一層充実させ,その声に真摯に耳を傾けるように努められたいということを注意喚起しているところでございます。これは被害者等が捜査等の過程で配慮に欠けた対応をされることによって,今委員おっしゃられましたように二次被害を受けることがあり得ることに鑑みまして,検察官等においてこのことをよく理解した上で,被害者等の受けた被害の内容を的確に把握し,その心情等に十分配慮した対応をとる必要があるという趣旨で注意喚起しているところでございます。   その配慮の在り方について,具体的に御説明いたしますと,現に捜査段階での事情聴取におきましては検察官が事情聴取をする場合には必要に応じて女性検察官をこれに当て,あるいは,女性立会事務官を立ち会わせる等の工夫をしております。また,取調室は往々にして非常に無味乾燥なところであることもございまして,非常に精神的に苦痛を与えかねないところでございますので,被害者専用に設けた部屋や,被害者等の心情の状況によっては被害者等の自宅に伺って事情聴取させていただく場合もございます。また,発問の順序や方法を工夫するなどするように教育しているところでございます。   また,公判段階での工夫としましては,公開の法廷における被害者特定事項の秘匿をできる限り行うとともに,書類に記載されている被害者特定事項につきまして,証拠開示の際に弁護人に対しまして被告人には知らせないように配慮をお願いしたり,あるいはマスキングした上で証拠を請求する等の工夫もしております。   さらに,被害者特定事項につきましては,起訴状に名前を記載することによって,訴因を特定するという効果があるものですから記載をせざるを得ないときもあるのですが,事案によっては特定事項の記載を別な方法による,例えば旧姓や通称名を記載する,あるいはカタカナ表記にしてみたりする,また親権者の氏名とその続柄を記載することによってできる限り特定するという方法を試みたりしているところでございます。   そして,公判における証言の際や意見陳述を行う際の配慮の方法としましては,ビデオリンク方式による証人尋問や,遮断の措置,付添人を付けるといった制度を適切に利用しているところでございまして,これらは裁判所の訴訟指揮を受けながらでございますが,裁判所に働きかける側としてできる限りの配慮を現に行っているところでございます。 ○木村委員 ただいまの非親告罪化及びその遡及適用という点についてもう十分な御報告いただきましたし,内容的には十分理解できたところではありますが,これだけ被害者の心情に対する懸念を持っている意見が多いということを改めて十分考慮していただいて今後の運用に活かしていただきたいということを述べさせていただきます。 ○高橋会長 ほかに御意見いかがでしょうか。   では,原案につきまして採決に移ってもよろしいでしょうか。   それでは,諮問第101号につきまして,刑事法(性犯罪関係)部会から報告されました要綱案のとおり答申することに賛成の方は挙手をお願いいたします。 (賛成者挙手) ○高橋会長 では,事務当局において票読みをお願いいたします。 ○佐伯司法法制課長 それでは,採決の結果を御報告申し上げます。   議長及び部会長を除くただいまの出席委員数は18名でございますところ,全ての委員が御賛成ということでございました。 ○高橋会長 採決の結果,全員賛成でございましたので,刑事法(性犯罪関係)部会から報告されました要綱案は,原案のとおり採決されましたことを確認いたします。なお,採択されました要綱案につきましては,会議終了後,法務大臣に対して答申することといたします。   山口部会長におかれましては,約半年の間多岐にわたる論点につきまして調査審議をしていただきました。誠にありがとうございました。   続きまして,審議事項の2番目でございます,「民事執行法の改正に関する諮問第102号」について御審議をお願いいたします。   初めに,事務当局に諮問事項の朗読をお願いいたします。 ○筒井民事法制管理官 民事法制管理官の筒井でございます。   諮問を朗読させていただきます。   民事執行手続をめぐる諸事情に鑑み,債務者財産の開示制度の実効性を向上させ,不動産競売における暴力団員の買受けを防止し,子の引渡しの強制執行に関する規律を明確化するなど,民事執行法制の見直しを行う必要があると思われるので,その要綱を示されたい。 ○高橋会長 続きまして,この諮問の内容,諮問に至る経緯及びその理由につきまして,事務当局から説明をお願いいたします。 ○小川幹事 それでは,民事執行法制の見直しに関する諮問第102号につきまして,提案に至りました経緯及び諮問の趣旨などを御説明申し上げたいと思います。   民事執行法は昭和54年に制定された後,社会経済情勢の変化への対応と権利実現の実効性を高めるという観点などから,平成15年と平成16年に所要の改正が行われたところですが,その後も手続の更なる改善に向けて幾つかの個別的な検討課題が指摘されております。   第1に,債務者財産の開示制度の実効性を向上させる必要があるという指摘がございます。勝訴判決などを得た債権者のために,債務者財産に関する情報開示を行う制度としては,平成15年の改正で新たに財産開示手続が創設されておりますが,その後の運用状況を見ますと,情報開示としての実効性が必ずしも十分でなく,利用件数もそれほど多いとは言えない実情にあるとして,この制度の在り方を見直す必要があるとの指摘がされております。   また,この制度に関しては,養育費の支払を怠っている債務者に対する強制執行の実効性確保といった観点からも制度の拡充が強く求められているところです。   第2に,不動産競売における暴力団員の買受けを防止する必要があるという指摘がございます。近時,公共事業や企業活動などからの暴力団排除の取組が官民を挙げて行われていますが,民事執行法による不動産競売では暴力団員であることのみを理由としてその買受けを制限する規律が設けられておりません。このため,暴力団員が不動産競売で買い受けた建物を暴力団事務所として利用する事例などがあるとされており,対策を講ずることが求められております。   第3に,子の引渡しの強制執行に関する規律を明確化する必要があるという指摘がございます。現在の民事執行法にはこの点に関する明文の規定が設けられていないことから,子の引渡しを命ずる裁判の実効性を確保するとともに,子の福祉に十分な配慮をするなどの観点から明確な規律を整備すべきであるとの指摘がされております。   平成25年にはいわゆるハーグ条約実施法によって国際的な子の返還に関する強制執行の規定が整備されたことから,国内における子の引渡しの強制執行についても明確な規律を整備する必要性がより強く意識されるようになっているところです。   そこで,以上のような民事執行手続をめぐる諸事情に鑑み,債務者財産の開示制度の実効性を向上させ,不動産競売における暴力団員の買受けを防止し,子の引渡しの強制執行に関する規律を明確化するなど,民事執行法制の見直しを行うことについて,法制審議会の御意見を求めるものでございます。   なお,三つの検討課題を具体的に列挙しておりますのは,それ以外の課題について御検討いただくことを排除する趣旨ではございません。もっとも,具体的に列挙しました三つの課題はいずれも早急に検討する必要があると考えられるものですので,他の課題も取り上げるに当たっては,これら三つの課題と同程度のスピード感で成案を得られる見込みがあるかどうかを一つの目安としていただきたいと考えております。   諮問第102号についての御説明は以上のとおりでございます。 ○高橋会長 ありがとうございました。   ただいま説明のありました諮問第102号につきまして,また御質問と御意見を分けてでございますが,御質問がございましたらお伺いいたしますが,いかがでしょうか。   では,御意見を伺いたいと存じますが,いかがでしょうか。 ○引頭委員 ありがとうございます。三つの具体的な検討内容のうち,1番目の債務者財産の開示制度の実効性向上について意見を述べさせていただきます。   今回の御説明で,債権者の方が債務者の財産の実情を把握できずに債権が回収できないということが実際多く存在するということが分かりました。その債権者の方々とはどのような方々かと考えますと,大企業というよりも,一般の市民の方,先ほど養育費の話が出ていたと思いますが,そういう方々,あるいは零細企業の方々といったいわゆる情報収集力において劣位にあるような方々が中心なのではないかと推察しております。   そうした中で,言葉を選ばずに申し上げますと,債務者の方が債務を踏み倒しやすい状況であるというのは大きな社会問題の一つではないかと思っておりまして,これからの検討を通じて,債務者財産の開示制度の実効性が高まるのであれば,これは非常に社会にとってプラスだと思いますし,着実に進めるべきことだと思います。   その中で,では具体的にどうやってやるのかと考えた場合に,例えば銀行とか金融機関からの情報の御提供というのもあるかもしれません。それに加えて,現実にできるかどうかは分からないのですが,例えば行政情報をもう少し活用するということもあるのではないでしょうか。具体的には,不動産登記の情報であるとか税務情報といったものが候補になるのかもしれないと思っております。もちろん,そうした情報を活用するといっても,とてもハードルが高いことはよく理解しておりますが,せっかくの機会ですので,情報開示の手段について幅広に御検討いただければと思います。 ○高橋会長 小川幹事,何かございますか。 ○小川幹事 今御指摘いただきましたように,債務者の財産の開示の手法はいろいろあろうかと思っております。特に行政情報をどう利用するかというのも一つのテーマだと思っておりますが,行政情報の中にも不動産登記のように一般公開されているものなどもありますし,類型として個人のプライバシーなどに関わるものとして一定の規制がかかるものなどありますので,そういった類型に応じて検討していくことが必要ではないかと考えているところでございます。 ○高橋会長 ほかに御意見いかがでしょうか。 ○能見委員 暴力団員の買受けを禁止することについては,その基本的な方向はどなたも反対されないことで結構なことだと思うのですけれども,暴力団員というのは何なのか,範囲の決め方が難しいところがあります。指定暴力団というのは明確化していると思いますけれども,その周辺の者と言うのでしょうか,その関係者とかは,意外と範囲が広いと思いますので,これらがどう扱われるのかという点が気になっています。   それから,直接の買主は問題がなくてもある種のわら人形を使っていて,実質で見ると暴力団が買っているというようなタイプもあると思います。これは関係者とは別な概念だと思います。このような意味で,禁止の対象となる範囲が難しそうで,基本的な方向はいいのですけれども,行き過ぎると,変な言い方ですけれども,暴力団関係者といえども契約の自由というのでしょうか,契約主体となる資格というのでしょうか,取引上制約されすぎてはいけないところもあるので,何かそこら辺についてお考えがあるのであれば伺いたいと思います。 ○高橋会長 その辺りが正に審議していただくところですが,例えばということで,小川幹事,何かこの段階でございますか。 ○小川幹事 様々な,例えば国や自治体が暴力団排除する上での法規の類いなどございますが,基本的にはやはり暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第32条第1項各号に掲げるものがベースでございます。今回の諮問の前に研究会でもこのテーマについて議論がなされておりますが,やはりどの範囲まで広げるか,あるいは家族をどうするのかといった点が大きなテーマの一つでございましたので,今後の調査審議でその辺りについて十分御審議いただきたいと考えます。 ○佐久間委員 ただいまの不動産競売における暴力団員の買受け防止なのですけれども,今御議論を拝聴致しましたけれども,これは正に民間企業であれば既に日々の取引関係において一番意を用いているところであり,正に何が問題となる暴力団,反社であるかというところは頭を悩ませていますが,これは当然やらなければいけないということで一生懸命やっています。   一方,国の制度である不動産競売において,そういう制度が不十分だったということはある意味民間から見ると驚きであります。ですから是非この点は早急に検討を進めていって十分な制度を整えていただきたいと思います。 ○早川委員 3番目の子の引渡しの強制執行に関する規律の明確化について意見を申し上げたいと思います。   この点につきましては,裁判所が子の引渡しを命じてもこれが最終的に実行・実現されないということが以前から問題になってきております。最近はかなり執行もされるようにはなってきていますが,しかし全体としては裁判所の判断が最終的には余り尊重されないという状況が生じていて,大変に問題だと考えております。今回,こういう諮問が出されまして,子の引渡しの強制執行について規律が明確化されるのはとても有意義なことだと思います。   法整備の方向といたしましては,裁判所の命令は,あまねく実行・実現されるということになるように,是非とも御努力いただければと考えております。 ○白田委員 1番目の債務者財産の開示制度の実効性の向上について意見を述べさせていただきたいと思います。   前回の民法改定の審議の際に,取引における売掛金の時効が,2年から5年へ延長されるという審議がされたかと思います。一般の商取引におきましては,実質的に売掛金の回収期間が2年を超えることは余り現実的ではないのかもしれません。ただし,民法上,時効期間が延長されることによって,債権者側は,もし売掛先の支払が滞れば5年間は待たなければならない,そういう立場に置かれると思います。それに鑑みて,この財産開示手続が創設されるということは非常に意味があることになろうと,実効性を期待したいところです。   売掛金債権についても,債務者側は,例えば不出頭とか本人が拒否をするとか,その期間に所有財産を他人,家族名義に変更するであるとか,そういうようなことが考えられるのではないかなと。前回の民法改定における時効の長期化,時効の変更を補完する上でもこういった手続が更に実効性を持って活用されることを強く期待しております。 ○高橋会長 諮問第102号につきまして,大きな方向性としてはこのような方向で検討すべきであるという御意見が多数でございましたが,審議の進め方についても御意見がありましたらお願いいたします。 ○岩原委員 ただいま多くの委員からの御指摘にもございましたように,諮問第102号につきましては専門的,技術的問題が相当含まれておりますので,通例に倣い新たに部会を設置して調査審議をし,その結果を受けて更に総会で審議するということにしてはいかがかと存じます。 ○高橋会長 岩原委員から,部会設置の御提案がございましたが,皆様いかがでしょうか。   御賛成のようでございますので,諮問第102号,民事執行法の改正につきましては新たに部会を設けて調査審議するということでよろしいでしょうか。           (「異議なし」の声あり) ○高橋会長 ありがとうございます。   新たに設置する部会に属すべき総会委員,臨時委員及び幹事に関してでございますが,これらにつきましては慣例により会長,私に御一任いただきたいのでございますが,よろしいでしょうか。           (「異議なし」の声あり) ○高橋会長 ありがとうございます。   部会の名称でございますが,諮問事項との関連から,「民事執行法部会」,繰り返しますが,「民事執行法部会」という名称にしてはいかがかと思いますが,いかがでしょうか。           (「異議なし」の声あり) ○高橋会長 よろしゅうございましょうか。   そのほか部会における審議の在り方につきまして御意見がございましたらお願いいたします。   では,諮問第102号につきましては民事執行法部会で御審議していただき,部会での審議に基づきましてこの総会におきまして更に御審議願うということにいたします。   本日の審議事項は以上でございますが,引き続き現在調査審議中の部会からその審議状況等について報告をしていただきたいと存じます。   大臣の御挨拶にもございましたが,2件ありまして,民法(相続関係)部会の部会長代理である窪田充見臨時委員にお越しいただいているほか,信託法部会の部会長である中田裕康臨時委員も御出席いただいておりますので,この二つの部会における審議状況等を報告していただき,御報告後,委員の皆様から御意見を伺いたいと存じます。   ではまず,窪田部会長代理,報告者席の方にお願いいたします。   では,お願いいたします。 ○窪田部会長代理 民法(相続関係)部会の部会長代理を務めております神戸大学の窪田でございます。本日は,大村部会長が所用のため出席できないため,私の方から相続関係部会における調査審議の状況につきまして御報告をさせていただきます。   相続法制の見直しにつきましては,相続関係部会において平成27年4月から本年6月までの間おおむね月1回程度,合計13回にわたって調査審議を行い,本年6月21日に「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」を取りまとめました。   これを受けて,本年7月12日に中間試案とともに事務当局の責任において作成した補足説明を公表し,本年9月末までの予定で意見公募の手続を実施し,広く国民の皆様からの意見募集を行っているところです。   それでは,中間試案の概要について御説明をさせていただきます。資料民2の最初にございますA4のポンチ絵を御覧になりながらお聞きいただければと存じます。   中間試案は,このポンチ絵にあるとおり,大きく分けると第1から第5までで構成されております。それでは,第1から順に御説明をいたします。   まず,第1の配偶者の居住権を保護するための方策につきましては,遺産分割が終了するまでの間といった比較的短期間に限り,それまで居住していた建物を使用することができるようにする短期居住権に関する方策と,ある程度長期間について配偶者がその居住建物を使用することができるようにする長期居住権に関する方策とに分かれております。いずれの方策も近時の高齢化社会の進展に伴い,相続開始の時点で被相続人の配偶者が相当高齢となっているという場合が増えており,配偶者の居住権を保護する必要性が高まっていること等を踏まえたものですが,その適用場面は異なっております。   短期居住権は,配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合に,配偶者の短期的な居住の利益を保護するため,遺産分割が終了するまでの間,無償でその建物に住み続けることができるようにするとともに,また,配偶者の居住建物が第三者に遺贈された場合のように遺産分割をする必要がない事案につきましても,一定期間,例えばこの期間については6か月程度とすることが考えられますが,こうした期間内は無償で居住することを認めるとするものです。   これに対し,長期居住権は,配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として,配偶者が終身又は一定期間その建物を使用することができる法定の権利を創設し,遺産分割における選択肢の一つとして配偶者に長期居住権を取得させ,あるいは被相続人が遺言によって配偶者に長期居住権を取得させることができるようにするというものです。   これにより,配偶者は事案によっては遺産分割において,その居住建物の所有権を取得するよりも低廉な価格で長期居住権を取得することが可能となるものと考えらます。   また,例えばそれぞれ子どもがある高齢者同士が結婚した場合において,自宅建物を所有する者は,遺言によってその配偶者に長期居住権を取得させて,その居住権を確保しつつ,自宅建物の所有権を自らの子どもに取得させるといったことが可能となります。   次に,第2の遺産分割に関する見直しについて御説明をいたします。遺産分割については,「1 配偶者の相続分の見直し」と,「2 その他の論点」として可分債権の遺産分割における取扱いの見直し等について検討いたしております。   配偶者の相続分の見直しは,遺産の維持又は増加に対する配偶者の貢献が類型的に大きいと考えられる場合について,配偶者の相続分を増やすことを意図したものです。これは,現行制度の下では配偶者の法定相続分は一律に定められており,実際には遺産の維持又は増加に対する配偶者の貢献の程度は,婚姻期間の長さ等,個別あるいは具体的な事情によって大きく異なるにもかかわらず,そうした実態に即して婚姻中に形成された財産を清算することができないとの指摘があること等を踏まえて検討を行ってきたものです。   このうち,甲案は被相続人の財産が婚姻後に一定の割合以上増加した場合に,その割合に応じて配偶者の具体的相続分を増やすという考え方です。例えば,婚姻後に増加した財産の割合が遺産全体の過半数に達しているといった場合には,配偶者の取り分を現行よりも大きくするということを念頭に置いたものです。   これに対し,乙案は婚姻成立後,相当長期間が経過した場合について,当該夫婦の届出を要件とするなどの一定の要件の下で,あるいは一定の期間の経過によって当然に,法定相続分を増やすという考え方です。この期間については,例えば20年や30年といった期間を設けることが考えられます。   次に,その他の論点に挙げておりますところですが,ここでは可分債権の遺産分割における取扱いについて御説明をいたします。これは預貯金債権等の可分債権についても遺産分割の対象に含めるというものです。現在の判例においては,原則として可分債権は,遺産分割の対象とせず,当然に分割承継されるとされております。しかし,こうした取扱いについては,遺産に占める可分債権の割合が大きい場合には特別受益や寄与分を適切に考慮することができず,相続人間の実質的な公平を図ることができないという問題点が指摘されております。   中間試案ではこうした指摘を踏まえ,預貯金債権等の可分債権を遺産分割の対象に含めることとしています。遺産分割が終了するまでの間について,各相続人に権利行使を認めるかどうかについては,遺産分割までの間に法定相続分の範囲内で権利行使を認め,過不足分は遺産分割手続で調整するという考え方と,もう一つ,遺産分割が終了するまでの間は原則として可分債権の行使を禁止するという考え方を提示しております。   このほかにも,中間試案では,一部分割の要件及び残余の遺産分割における規律の明確化等について一定の考え方を提示しているところでございます。   次に,ポンチ絵の第3の遺言制度に関する見直しについて御説明をいたします。遺言制度に関する見直しについては,「1 自筆証書遺言の方式緩和」と,「2 自筆証書遺言の保管制度の創設」について検討しております。   まず,自筆証書遺言の方式緩和ですが,これは,現在,自筆証書遺言については全文自書が要求されておりますが,こうした現行の規律を見直して,財産の特定に関する事項,例えば土地であれば地番や地籍,あるいは預貯金債権であれば金融機関や口座番号がこれに当たると考えられますが,こうした事項については例えばパソコン等によって作成してもよいとするものです。これは,遺産である不動産が多数ある場合など,高齢者にとって全てを自書することはそれ自体としてかなりの労力を伴うものであり,これが自筆証書遺言の利用を妨げる要因となっているとの指摘があること等を踏まえて検討してきたものです。   また,もう一つの自筆証書遺言の保管制度の創設でございますが,現行制度の下では自筆証書遺言については公正証書遺言とは異なり,これを保管する制度がなく,紛失や相続人による隠匿又は変造のリスクがあるなどの問題点が指摘されていること等を踏まえ,自筆証書遺言を作成した者が一定の公的機関に遺言書の原本の保管を委ねることができる制度を創設し,相続開始後に相続人等が遺言書の保管の有無の確認及び遺言書原本の閲覧等を行うことができることとするものです。   このほか,この概要の資料には挙げておりませんが,遺言事項及び遺言の効力等に関する見直しとしまして,遺言によって相続分の指定や遺産分割方法の指定がなされた場合,あるいは遺贈がされた場合の効果を明確化するという観点から一定の考え方を示しております。   例えば特定の財産について,遺贈や遺産分割方法の指定があった場合,判例によれば,相続させる旨の遺言は原則として遺産分割方法の指定だとされているわけですが,こうした遺言があった場合に,その財産を取得した相続人が登記なくしてこれを第三者に対抗することができるのか等については学説上争いがございます。この点について中間試案では遺言の有無及び内容を知り得ない第三者の取引の安全を図るという趣旨から,遺贈及び遺産分割方法の指定のいずれにおいても,法定相続分に相当する割合を超える部分の取得については,登記,登録その他の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないとしております。   また,これも資料には書かれておりませんが,遺言執行者についても権限の内容を明確化するなど,一定の見直しをする考え方を提示しております。   次に,第4の遺留分制度に関する見直しについて御説明をいたします。遺留分制度に関する見直しについては,資料では遺留分減殺請求権の効力及び法的性質を見直し,遺留分権利者の権利行使により,原則として金銭債権が発生するという考え方を掲げております。現行の規律では遺留分権利者の権利行使によって当然に物権的効果が生ずるとされていますが,今回の提案はこうした現行の規律を見直し,減殺請求によって原則として金銭債権が発生することとするものです。   現行制度の下では,減殺請求の結果,遺贈又は贈与の目的物について共有状態が生ずることが多くなります。このために円滑な事業承継が困難になり,あるいは共有関係の解消それ自体を巡って新たな紛争を生じさせるということになるといった指摘がされております。こうした指摘を踏まえて検討したものです。   他方,減殺請求がされた場合に,受遺者又は受贈者が常に金銭の支払に応じなければならないとすると,これらの者が不測の損害を受けるおそれもあります。そうした点を考慮し,受遺者又は受贈者は金銭の支払に代えて遺贈又は贈与の目的財産の返還をすることができる,返還を認めるというふうにしております。   遺留分制度に関する見直しについては,資料には記載しておりませんが,このほかにも遺留分の算定方法の見直しとして,例えば遺留分算定の基礎となる財産の範囲を見直し,相続人に対する生前贈与については相続開始前の一定の期間,この期間としては例えば5年間程度が考えられますが,こうした期間内にされたものに限って遺留分算定の基礎となる財産に含めることとするなどの方策を提示しております。   最後に,第5の相続人以外の者の貢献を考慮するための方策について御説明をさせていただきます。この方策は相続人以外の者が被相続人の療養看護等を行った場合には,一定の要件のもとで,相続人に対して金銭請求をすることができるとするものです。なお,この方策は飽くまで相続人に対する金銭の請求を認めるものであって,当該相続人以外の者を遺産分割の当事者とするものではございません。   これは,現行制度の下では相続人ではない者,例えば相続人の配偶者が典型として考えられますが,そうした相続人以外の者が被相続人の療養看護等の貢献を行った場合については,遺言や契約が存在しない限り,被相続人の財産を取得することはできないため,被相続人の療養看護等に務めた者が不公平に感じることが多いとの指摘があることを踏まえて検討したものです。   もっとも,このような制度を設けると,相続をめぐる紛争がより一層複雑化,長期化するおそれがありますので,これを認める場合の要件を限定する必要があるとの指摘がなされています。   中間試案ではこうした指摘を踏まえた上で請求権者の範囲を二親等内の親族に限定するという考え方,それと貢献の対象となる行為を無償の労務の提供に限定するという考え方を提示しております。   最後に,今後の予定でございますが,冒頭述べましたとおり,中間試案についての意見募集の期間は本年9月30日までとされております。本部会ではパブリックコメントの結果を踏まえ,10月18日から審議を再開し,引き続き要綱案を策定するため,調査審議を精力的に行うことを予定しております。   相続法制の見直しは国民生活に与える影響も大きいことから,今後もパブリックコメントの結果を踏まえ,慎重に調査審議を進めていく必要があるものと考えております。   私からの御説明は以上でございます。 ○高橋会長 ありがとうございました。   では,ただいまの窪田部会長代理からの審議経過報告につきまして,この点は質問も意見も分けませんので,御質問又は御意見がございましたら承りたいと存じます。いかがでしょうか。 ○岩間委員 非常にこれは複雑な問題で,家族の在り方が多様化しておりますので,一律に法制度を作ることの困難さが出ている面が多々あると思います。   全体に対するコメントを一つ述べますと,恐らく配偶者というのは専業主婦であり,専業主婦が夫のケアを長年した結果,夫が亡くなった後どうなるかという想定がされているのだろうと思いますが,現実には,家族関係は多様化しているので,本当にそうなのかなという気がいたします。   それでは,順番にコメントしていきます。   まず,短期居住権の新設については,趣旨は理解できるのですが,長期居住権の新設がよく分かりませんので,長期居住権の内容について伺います。この方策は,配偶者が死んだ場合,特に夫が死んだ場合に収入のない妻が居住する家ということを考えていらっしゃるのだと思います。ただこの場合も妻の場合は,遺族年金等,既にいろいろ優遇されていますので,本当に必要なのかなと思わない点がないではないのですけれども,これを新設するとして,長期居住権を譲渡するというのはどういう場合を想定されているのか教えていただけますでしょうか。このような権利を譲渡する必要があるのか,配偶者が居住しなくなればこれは当然消滅させていいのではないかと思うのですが,その辺りはどういう御議論があったのか教えていただけますでしょうか。   あと,子がある者同士が結婚した場合にというようなことをちょっとおっしゃったのですが,これがケースとして何を想定されているのか理解できなかったので,教えていただきたいのですけれども。 ○窪田部会長代理 これは具体例の一つとして挙げたということだけですが,夫婦の双方に自分自身の子どもがいるというパターンです。配偶者には長期居住権を与えるけれども,不動産の所有権は自分の子どもに与えたいという例としてお話をしたということです。別に双方に子どもがいないとできないとかそういう趣旨ではございません。そういう場面で考えられる一つの例という趣旨で御説明をしたということです。 ○岩間委員 非常に分かりにくいので,もう一度そこのところを,なぜ子の存在がここで問題になってくるのかということを教えていただければと思います。   どういう場合に消滅させるかというのは,不動産,現実には空家等が高齢化した配偶者が施設に行ってしまった場合に,廃屋化して問題になるということも考えられますので,どういう状況になったときに長期居住権を消滅させるのか,その部分も考えていく必要があるのではないかなと思います。   それから,第2の1の甲案,相続人の財産が婚姻後に増加した場合,その割合に応じて具体的相続分を増やす,これも夫のみが財産を増やし,妻は家の中でそれに貢献したという前提があるように思われるのですが,現実には夫婦それぞれに仕事を持つというライフスタイルを政権自体も今推進しているところでありまして,過度に計算が複雑になるような法制度というのは,私は望ましくないのではないかと思います。   あと,第5の部分ですが,具体的には子の配偶者が想定されているとおっしゃったのですが,そうしますとこれは例えば息子がいた場合に息子のお嫁さんが親のケアをしたというような想定だと思うのですが,息子の相続分とは別に息子のお嫁さんの金銭要求権というものを認めるのでしょうか。   現実には全ての子が等しく看護するというのはほとんど起こらないのであって,誰か一人が重点的に親のケアをするということはよく起こると思うのですよね。その場合のケアした人の権利というのは遺産分割に対して現実にはどのように法制上配慮されている,もしくはいないのでしょうかというのも質問でございます。 ○窪田部会長代理 まだ現在審議の途中でございますので,確定的な御説明もできないかもしれませんし,また私の理解している範囲で御説明をするということにさせていただけたらと思います。   まず,長期居住権なのですが,全体として夫の世話をした専業主婦にこうしたものを認めるというのは一例としては考えられるのかもしれませんが,私自身の理解として,この長期居住権で前提とされていたのは,世話をしたから長期居住権を与えるということでは必ずしもないと思っています。夫婦の双方が非常に高齢化しているという中で財産として何かを受け取るかというより,むしろ今住んでいるところに死ぬまで住んでいたいという希望があるのではないかということです。もっと若い人だって,このような長期居住権を認めてもいいのですが,若い人に長期居住権を認めますと,恐らくこの長期居住権の価値は,非常に高いものとなると思います。ですから,ここで典型的に機能すると考えられる長期居住権というのは,やはり一定以上の高齢になった場合ということになるのではないでしょうか。これは別に若いときは専業主婦であったということを前提としているわけではなく,仕事を持ち収入があったとしてもやはり一定年齢になったとすると別に仕事を持っていない,これは夫,妻両方ともあり得ると思うわけですが,そうした場面に対応するものとして,遺産分割までの期間に限定された短期居住権とは別に,終身の利用権を認めるというタイプのものを考えるということではないかと思っています。   なお,先ほど申し上げた例についても,双方に子どもがあるというのが多分分かりにくかったと思うのですが,実際にはどういう場面を考えるかというと,これは双方である必要はなく,被相続人となる夫婦の一方は,子どもの一人にこの不動産を相続させたいと考えている。しかし,今の法制度で,遺贈や相続させる旨の遺言によると,その不動産の所有権が移ってしまう。そのときに使用貸借させろとかいろいろな形の負担付きの形で承継させるということはあるのかもしれませんが,所有権はその子に移転するけれども,しかし終身の利用権をその妻に認めるというタイプのものを認めることによって,遺産分割のやり方がより多様化できるのではないかということです。こうしなさいということではなくて,オプションの一つとして考えられるのではないかということだと考えています。御質問に対する十分な御説明となっているかどうか分かりませんが。   あと,長期居住権に関して消滅の問題等ございましたけれども,この点についてはかなりまだ議論が錯綜している段階ですので,ただいま伺った点も含めて今後の検討課題とさせていただければと考えております。   2番目に,第2の1の甲案ということで,ライフスタイルが非常に多様化している中で,過度に計算が複雑化するのではないかということでございました。もちろん恐らくこの種のものを考えるという場合には,非常に単純な例として,一方のみが収入があって一方は収入がないというケースがかつては多分想定されていたと思うのですが,現在では,双方が仕事を持って収入を有しているということを前提としつつ考えるということになるのだろうと思います。   ただ,それは夫が死亡した場合の相続という,夫の財産の中で妻の貢献がどれだけあるのか。妻は妻で収入を持っていて十分な収入もある。しかし,その死亡したときにその妻の収入の中に夫の貢献はどれだけあるのかというように考えるのであれば,私自身は必ずしも専業主婦型のものではない,夫婦共働きの夫婦が増えてきたということによってこの問題が生じない,あるいは重要性が薄れるということには当然にはならないのではないかと感じております。   ただ,第2の1に関しては,もう御指摘もありましたように,かなり複雑な計算になることは確かで,その点をめぐって随分議論がなされてきたところです。実は先行する研究会では更に三つの計算方法があったのですが,だんだん簡単な方向になっていって,そして最終的にはここでは甲案のみが残って,そして乙案という全く別のタイプの期間の経過によって処理をするという案が出てきたということですので,その点も御意見を踏まえた上で検討させていただければと考えております。   それから,最後の5番目の点です。相続人ではない者の貢献を考慮するという問題ですが,典型的な例として,息子の嫁の貢献というのが考えられるというのは御指摘のとおりです。実際にこの種の問題というのが過去の裁判例でも扱われてきております。御指摘の中では,その息子の寄与分とは別にそうしたものを認めるのかということなのですが,私の理解では,現在の判例では,妻が貢献した,例えば療養看護以外にも農業などの経営において妻がものすごく一生懸命貢献したという場面において,息子自身は農業については貢献していないという場面において,嫁の貢献というのを息子の寄与分としてカウントするという形で処理をしています。恐らく,これは嫁の貢献というのを何も考慮しないよりはまだよりよい解決だということになるのだろうと思いますが,しかし考えてみますと,これは飽くまでお嫁さんの貢献であって,息子の貢献ではありません。そうだとすると,本来,息子の寄与分という形で処理をすべきものではなく,お嫁さんにいくべきものであったとすると,その点をもう少し明確に処理できないのかというのが,ここでのコンセプトになっています。   他方,ケアをするものとしては,例えば息子や娘が何人かいる,その子どものうちの一人が貢献した場合,そうした問題はどうなるのかということになるわけですが,これは基本的には直系卑属,子どもですから第一順位の血族相続になりますので,常に相続人になります。相続人であれば,現行制度でも寄与分という形で考慮することができるわけです。もちろん寄与分をそうした療養看護に関してどの程度考慮するのかという点については,それ自体が問題となっており,法制審議会でも検討の対象にはなっていますが,枠組みとしては現行法でも一定の手当をすることが可能であり,そうした仕組みは一応用意されているのだろうと思います。それに対して相続人である息子の嫁ということに関しては,相続人ではなく,現行法上は全く手当するものがないというのが出発点になっているということでございます。   適切にお答えできているかどうか分からないですが,私の認識を前提として御説明させていただきました。 ○白田委員 長期居住権の内容についてお尋ねしたいと思います。例えば相続した者たちが相続する財産として,配偶者が一緒に住んでいた,この居住していた建物以外に預貯金であるとか,その他相続するものがなかった場合のケースです。例えば,この長期居住権を遺産分割協議で配偶者が居住してもいいですよという合意に至った場合,実質的に唯一の相続財産である建物に対する相続税の支払については,どのような取扱いになるのか,この件について何か議論がされたのかどうかを是非伺わせていただきたいと思います。 ○窪田部会長代理 長期居住権に関しましては,とりわけ相続税あるいはその他の税金の扱いということとの関係で考えるべき点があるのではないかという指摘は審議会の中でもありまして,そうした租税法上の扱いと平仄がとれるような形での仕組みを考える必要がある。特に長期居住権を幾らと換算するのかといったような場面でもそうした問題が出てくるのですが,そうした問題は十分に認識して議論されている状況です。   ただ,ちょっとまだ議論の経過途中ということで,最終的にどのような形になるのかという点についてはまだ十分にまだ決まっていないという段階であると認識しております。 ○白田委員 分かりました。ありがとうございます。 ○能見委員 ただいまの質問とも関係するのですけれども,この長期居住権の選択肢というのは,遺産分割の枠組みの中でだけ考えているということでしょうか。何を言いたいかというと,例えば,数人の相続人がいて,相続分自体について配偶者により多く与えるということについては合意はしていない,自分たちは相続分に相当する財産は欲しいと考えているようなときには,この長期居住権の評価額が配偶者の相続分の範囲を超えるような価格になると,遺産分割の範囲内の中では配偶者に長期居住権を与えることはできないですよね。そういう意味で,この長期居住権には制約があると思います。ここの考え方は基本的に遺産分割の枠内でできる選択肢の一つとしての長期居住権というものを位置付けるのであって,これ自体をより強い配偶者の権利にまで格上げするというものではないのですね。 ○窪田部会長代理 はい,御指摘のとおりだというふうに認識しております。基本的には遺産分割の枠組みの中で,そして,長期居住権についても無償で当然に取得できるものではなくて,一定の金銭的な価値のあるものとして評価されてそれを受け取ることになります。特に相続分の指定がない場面においては,法定相続分なりの枠組みの中でしか遺産分割はできないということになりますので,もしそれをどうしても取得したいのであれば,金銭的な対価を支払うとかそうしたことをしなければいけないということで,かなり限定的なものということになるだろうと思います。   ただ,被相続人が相続分の指定をしたり,相続分の指定を伴う分割方法の指定がなされた場合については,その限りで,若干の例外が考えられるかもしれません。 ○木村委員 中間報告ということですし,今いろいろな意見を一つ一つ述べるつもりはありませんが,1点,例えば配偶者の法定相続分について現行法規でこれが不十分であるとか不都合であるといった立法事実は果たしてあるのだろうかというような点についてはとても大きな違和感を感じています,率直に申し上げて。   そういう点もともかく今回のパブリックコメント等で多くの意見が寄せられると思いますし,日弁連としても9月に正式な意見を集約して表明することになると思いますので,これらの意見について十分勘案した部会の議論を深めていただきたい,こういうふうに思います。 ○山根委員 部会で熱心な議論をされているというふうに伺っています。社会や時代の変化に即した望ましい改正となることに期待はしていますが,やはりとても難しいだろうなというふうにも感じています。   この件で意見交換をしますと実に様々な意見が上がってきます。個別事例と言いますか,うちはこうだったとか,知り合いはこんな苦労があったとか本当にいろいろな課題というか事例も挙がってきて,なかなか大変な改正の議論だろうというのは分かるのですけれども,今の御意見にもありましたように,今の法律で本当に困っているとか,不当な扱いを受けたようなそういう事例の数とか割合もきちんと確認をして進めていただきたいということと,あとは,パブコメでも様々な意見が寄せられると思いますので,十分に酌み取って,余り細かいところをギチギチ詰めるというよりは,様々な事例に対応可能となるようなものになるよう留意をして議論を進めていただければと思います。 ○高橋会長 ほかに御質問あるいは御意見いかがでしょうか。   では,窪田部会長代理,どうもありがとうございました。引き続き部会での御審議をよろしくお願いいたします。   報告案件の2件目,信託法部会における審議経過に関する御報告でございますが,中田部会長,報告者席までお願いいたします。   では,お願いいたします。 ○中田部会長 信託法部会の部会長の中田でございます。信託法部会におけるこれまでの審議状況などについて御報告いたします。   関連資料はお手元の配布資料民3,信託法部会の調査審議の現状でございます。   旧信託法に関する規定の見直しについては,平成16年9月,法制審議会第143回総会において,法務大臣による諮問第70号が行われました。諮問事項は,「現代社会に広く定着しつつある信託について,社会・経済情勢の変化に的確に対応する観点から,受託者の負う忠実義務等の内容を適切な要件の下で緩和し,受益者が多数に上る信託に対応した意思決定のルール等を定め,受益権の有価証券化を認めるなど,信託法の現代化を図る必要があると思われるので,その要綱を示されたい。」というものでございます。   これを受け,法制審議会信託法部会が設置され,能見善久前部会長の下で,平成16年10月から平成18年1月まで合計30回にわたる調査審議を行い,平成18年2月の法制審議会第148回総会において信託法改正要綱を決定していただいたところです。   もっとも,当時,公益信託と社会的に同様な機能を営む公益法人制度の全面的な見直しが行われていたことから,このときの信託法改正要綱では,私益信託に関する制度の部分に限定した取りまとめがされました。そして,信託法部会は将来公益信託制度について調査審議を行うために残され,それまでの間は休会するとの取扱いがされました。   この信託法改正要綱に基づき,平成18年12月に新信託法が制定されたわけですが,その際,旧信託法のうち公益信託に関する部分については実質的な改正は行われず,旧信託法の法律名のみを「公益信託ニ関スル法律」として,そこに公益信託に関する規定を置く改正が行われました。   このように,公益信託については平成18年の新信託法制定のときから将来の改正が予定されていたものです。新信託法の制定時における衆参両院の附帯決議においても,公益信託制度について,公益法人制度改革の趣旨を踏まえつつ,遅滞なく所要の見直しを行うこととされています。   続きまして,現在までの状況について申し上げます。平成25年11月をもって旧民法法人から公益社団・財団法人に移行するための5年間の期間が満了しました。その後,平成27年4月から民間事業者の主催による「公益信託法改正研究会」が開催され,民法,信託法等の研究者,実務家のほか,法務省等の関係省庁が参加して,公益信託制度の見直しに向けた論点の整理がされました。その結果は,平成27年12月に公益信託法改正研究会報告書として取りまとめられています。   このような経緯で信託法部会が休会から約10年半ぶりとなる本年6月に再開され,新たなメンバーを含めて公益信託法制に関する調査審議を行っております。部会の再開に際しましては,能見前部会長がその御意向により退かれ,私が新たに部会長に選任されました。現在まで6月に第31回会議,7月に第32回会議,この9月6日に第33回会議と計3回の会議が開催されたところでございます。   最後に,部会再開後の主な検討課題について申し上げます。公益信託制度の見直しについては,その設定から終了までの各段階において様々な検討課題がありますが,ここでは二つほど例を挙げさせていただきます。   まず1点目は,主務官庁による公益信託の許可・監督制度の廃止です。現在は,公益信託法第2条及び第3条により,公益信託の設定には主務官庁の許可が必要とされ,設定後は主務官庁の監督に服することとされています。これを公益法人制度と同様に廃止し,統一的な行政機関による公益認定制度を採用するか,それとも別の認定・監督制度を構築するかが論点となっております。   2点目は,公益信託の信託事務及び信託財産の範囲についてです。現在の公益信託の引受許可の審査実務において,公益信託の信託事務は,信託財産とされた金銭から奨学金等の給付を行うような,いわゆる助成型のものに限定されています。公益信託の利用促進の観点から,このような事実上の制限が緩和される制度を構想するか否かが論点となっております。   今後の予定につきましては,平成29年1月をめどにいわゆる第一読会を終えることが予定されております。その後は,第二読会等を経て,中間試案を取りまとめ,パブリックコメントの手続に付していくことになろうかと存じます。このように,相当程度の期間部会における調査審議が続くことになると思われますので,またしかるべき時期に途中経過を報告させていただき,皆様の御意見をお伺いしたいと存じます。 ○高橋会長 どうもありがとうございます。   ただいまの中田部会長からの審議経過報告につきまして,これも御質問・御意見分けませんが,御質問・御意見がございましたら発言をお願いいたします。 ○高山委員 公益信託ということで,民間の公益活動を促進するという点から非常に今後とも期待をしたいところなのですが,現状のデータを見ますと,2001年,2年頃をピークに利用件数,金額ともに減少していっているという現状があると聞いております。その背景としては,やはり認知度の問題と,それから制度自体が使いにくいといった問題があるということで,今見直しを進められていると聞いているのですが,単にその問題だけなのかどうかというところを実は懸念しております。つまり,個人や企業等々利用者の社会活動,公益活動に対する意識あるいはニーズといったものとの間で何らかのミスマッチが起きていないだろうかということです。   私自身民間企業の中でこういう社会活動に携わってまいりましたけれども,今企業等でもこういう活動に対してはむしろ顔の見える関係としてのNPOとの協力,協働,あるいはそこへの社員参画といった方向,そうでなければ,むしろ企業なりの独自性を出せる財団の設立というどちらかの方向に動いておりまして,実は公益信託という立派な仕組みがありながら,そこは余り検討の俎上に上がってきていないというような現状もあると認識しております。   また,個人の場合も,こちらの部会の資料をちょっと拝見しましたけれども,特定のところには助成できないというような問題等もあって,やはりそういったニーズとのミスマッチが起きていないかどうかということも是非検討いただいてはと思っております。   今こちらの例に挙がっていますような信託事務や信託財産の範囲の拡大,制限の緩和ということが個別に検討されているようですけれども,もっと,よりこれが社会に根差した本当に利用される仕組みになるように,トータルな視点から検討いただきたいと思っております。   その意味でも,いろいろな実態に即したケーススタディとかいろいろな事例を土台として,単なる法律論だけにとどまらず,実態に即した議論が部会で検討されることを今後期待したいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○高橋会長 ただいまの御意見については,事務当局からお答えいただけますか。 ○小川幹事 事務当局側から申し上げたいと思います。   今御指摘いただきました点,ありがとうございます。既に3回,再開後部会での議論がされ,私も参加しておりますが,かなり実務を把握しておらないとなかなか突っ込んだ議論ができません。そういう意味では参加していただいているメンバーもいわゆる実務家と言われる方が多うございまして,今後,高山委員から御指摘いただいた点を十分踏まえた上で審議を進めていきたいと考えております。 ○高橋会長 ほかにいかがでしょうか。   では,引き続き信託法部会で御審議をお願いするということにいたしまして,中田部会長,どうもありがとうございました。   本日予定いたしました事項は以上でございますが,せっかくお集まりいただいた機会でございますので,この際何か法制審議会全般について,どのような事項でも結構でございますが,御発言を頂けることがございましたらお願いいたします。 ○八丁地委員 今回の法制審議会で検討されるテーマが,日本の成長戦略,基本計画に位置付けられているとの説明が法務省の方々からありました。   例えば,今日のテーマで申し上げますと,性犯罪罰則の改正は,第3次男女共同参画基本計画に基づいて検討されているとのことでした。また,債務者財産開示制度の実効性向上は,第4次男女共同参画基本計画に基づいて,養育費の履行確保に役立つとの観点からも制度の充実を求める意見があると。それから,不動産競売に関する買受けを防止する見直しは,「世界一安全な日本」創造戦略に基づいてなされているとのことでした。   法の改正,見直し,定着などをそのように整理し,説明されることは,国民にも分かりやすいのではないかと思いました。   今後も法の具体的な見直しを進めていただくと同時に,その見直しが日本の成長戦略や基本計画に位置付けられ,計画の推進につながるとの視点を引き続き持たれるようお願いいたします。 ○高橋会長 お伺いいたしました。ありがとうございます。   ほかに御発言いただけますでしょうか。   では,最後になりますが,議事録の公開方法についてお諮りいたします。本日の審議の内容等に鑑みまして,会長の私といたしましては議事録の発言者名を全て明らかにした上で公開することでよろしいのではないかと思っておりますが,いかがでしょうか。           (「異議なし」の声あり)   それでは,本日の会議における議事録につきましては,議事録の発言者名を全て明らかにした上で公開することといたします。   その前提でございますが,本日の会議の内容につきましては,後日,御発言を頂いた委員等の皆様には議事録案をメール等にて送付させていただきます。御発言の内容を確認していただいた上で,法務省のウェブサイトに公開したいと考えております。   では,最後に,事務当局から事務連絡をお願いいたします。 ○小山関係官 次回の会議の開催予定について御案内申し上げます。   法制審議会は2月と9月に開催するのが通例となっておりまして,次回の総会の開催日程につきましても,現在のところ例年どおり来年2月に御審議をお願いする予定でございます。 具体的な日程につきましては,後日改めて御相談させていただきたいと存じます。   委員・幹事の皆様方におかれましては,御多忙とは存じますが,今後の御予定につき御配慮いただきますようお願い申し上げます。 ○高橋会長 それでは,これをもちまして本日の会議を終了いたします。   本日はお忙しいところお集まりいただきました上,熱心な御議論を頂き,誠にありがとうございました。 -了-