法制審議会 民法(相続関係)部会 第25回会議 議事録 第1 日 時  平成29年12月19日(火)自 午後1時29分                       至 午後2時55分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題  民法(相続関係)の改正について 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○大村部会長 それでは,定刻になりましたので,法制審議会民法(相続関係)部会の第25回会議を開催いたします。   初めに,配布資料等の説明を事務当局の方からお願いいたします。 ○倉重関係官 それでは,配布資料について説明させていただきます。   部会資料25-1及び25-2に加え,以下の2点を配布しております。   1点目が,「「中間試案後に追加された民法(相続関係)等の改正に関する試案(追加試案)」に対して寄せられた意見の概要(詳細版)」です。追加試案に対するパブリックコメント結果の詳細版となります。   2点目は,遺言書のサンプルです。第3の1「自筆証書遺言の方式緩和」によって新たに可能となる遺言書の例を事務当局において作成しましたので,参考に配布しております。 ○大村部会長 ありがとうございました。   本日は,今御説明を頂きました部会資料の25-1,「要綱案のたたき台(4)」に基づきまして御審議を賜りたく存じます。   資料は,第1の「配偶者の居住権を保護するための方策」から始まりまして,従来と同様,第6の「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策」まで,6項目に分かれております。   まず,第1,第2につきまして審議をいたしまして,それが終わった辺りで休息を挟ませていただき,後半で第3から第6までを検討するということを予定しております。   以上のような順序で進めさせていただきたいと存じます。   まず,第1の「配偶者の居住権を保護するための方策」について事務当局の方から御説明を頂きます。 ○倉重関係官 それでは,関係官の倉重から,第1について説明させていただきます。   まず,短期居住権について御説明いたします。   1点目は,配偶者が相続放棄をした場合の取扱いについてです。前回の部会資料では,配偶者が相続放棄をした場合であっても,居住建物について他の共同相続人間で遺産分割が行われる場合には,(1)の遺産分割終了時までという規律に服させることを提案しておりました。しかしながら,前回の議論を踏まえて改めて検討しましたところ,配偶者が遺産分割に関与することができない場合に,遺産分割終了時までとすると,配偶者は住居を突然失うことになりかねず,相当でないと考えるに至りました。このように,配偶者がいつ明渡義務を負うことになるかを予測することができないという点では,(2)の場合と類似であるというふうに考えられましたことから,居住建物について遺産分割がされる場合であっても,配偶者が居住建物についての遺産分割手続に関与しない場合には,(2)と同様,短期居住権は,相続により居住建物を取得した者から短期居住権の消滅の申入れを受けてから6か月を経過する日まで存続することといたしました。   2点目は,(1)の規律に6か月間の最低の期間保証を設けたことです。これまで(1)の規律においては,配偶者が遺産分割協議に関与することで自ら成立時期を左右できますことから,最低保証期間のようなものを設ける必要はないと考えておりました。しかしながら,例えば遺産分割の内容自体は合意に至っているにもかかわらず,配偶者が急に転居することができないといったことのみを理由に遺産分割が先延ばしにされるといった事態が生じてしまうおそれがありますことから,そのような場合には先に遺産分割協議を成立させてもらうべく,最低6か月間は短期居住権が存在することとしたというものでございます。   3点目は,居住建物が修繕を要する場合の通知義務についてです。前回部会での議論を受けまして,居住建物が修繕を要する場合であっても,配偶者が自ら修繕した場合にはもはや通知させる必要がないと思われますことから,そのような場合には通知義務を負わないということにいたしました。   4点目は,配偶者が居住建物について共有持分を有している場合に,短期居住権が消滅した場合の規律です。この場合,配偶者は短期居住権が消滅したときでも,なお自己の共有持分に基づいて居住建物を使用することができますことから,短期居住権の消滅を理由とする返還義務は負わせないことといたしました。なお,その後の法律関係については,共有の法理に委ねることとしております。   5点目は,やや形式的な点にはなりますが,従前(2)の規律におきまして,短期居住権の消滅の申入れ権限を明確に規定しておりませんでしたことから,これを明確に規定したものでございます。   次に,長期居住権について御説明いたします。   1点目は,配偶者が居住建物の共有持分を有している場合又は居住建物の共有持分を取得した場合の長期居住権に関する規律でございます。   配偶者が居住建物について共有持分を有していたとしても長期居住権を取得することは妨げられないということ,それから,長期居住権を有する配偶者が居住建物の共有持分を取得しても長期居住権は消滅しないということを新たに規律することとしたものでございます。   まず,長期居住権の取得時の規律としましては,配偶者が居住建物について共有持分を有する場合であっても長期居住権を取得することができることとしますとともに,相続人及び配偶者を除く第三者が共有持分を有している場合には長期居住権は成立しないこととしております。配偶者が居住建物の共有持分を有している場合には,配偶者は自己の共有持分に基づいて居住建物を使用収益することができます。しかしながら,他の共有者から使用料相当額の不当利得返還請求や共有物分割請求をされますと,配偶者としては退去を余儀なくされるということになります。したがいまして,配偶者が共有持分を有している場合であっても,長期居住権を取得させる必要があることから,このような規律としました。他方で,被相続人及び配偶者を除く第三者が居住建物の共有持分を有している場合には,当該第三者の共有持分による権利が,被相続人の遺言や遺産分割によって制限されることを正当化することはできませんので,長期居住権は成立し得ないということにしました。したがいまして,長期居住権については,居住建物が元々被相続人の単独所有に属していた場合又は居住建物が被相続人及び配偶者の共有に属していた場合という2パターンの場合にのみ成立すると整理させていただきました。   次に,消滅時の規律ですが,長期居住権の発生後に配偶者が居住建物の共有持分を取得した場合について,配偶者が元々共有持分を有している場合と別に扱う必要はないことから,他に居住建物の共有持分を有している者がいるときは,配偶者が居住建物の共有持分を取得したことによって長期居住権が消滅することはないと規律しました。   2点目は,第三者が適法に居住建物を使用又は収益する場合の法律関係について,賃貸借について適法な転貸がされた場合の規律と同様の規律を設けたものです。   最後になりますが,居住建物が修繕を要する場合の通知義務,それから,長期居住権が消滅した場合に配偶者が共有持分を有していた場合の規律について,短期居住権と同様の規律を設けさせていただきました。   説明は以上となります。御審議をどうぞお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。   短期居住権の問題と長期居住権の問題がございますけれども,まず,短期居住権につきましては,配偶者が相続を放棄した場合について,分割終了時からということであると,それがいつになるか分からないということで,申入れから6か月という規律を採用したいという御提案であったかと思います。   それから,分割に関与している場合についても,最低の期間の保証を認めたいということで,これについても6か月という期間が設けられるということだったかと思います。これはかなり実質的な内容にわたる点かと思います。   それから,修繕の話等ございましたけれども,共有持分を有する場合についてどうするかということにつきまして,短期居住権の場合の取扱いと,長期居住権の場合の取扱いにつき,異なる御提案があったと理解しております。長期につきましては,配偶者の場合と第三者の場合も違う考え方で規律するという御説明であったかと思います。その他の点も含めまして,御意見等がありましたら是非御発言を頂きたいと思います。いかがでございましょうか。   御発言はございませんでしょうか。 ○中田委員 御発言がないようですので,余り実質的なことではないのですが,2点御確認をお願いします。   一つは,他の使用権限との関係です。今回共有についての規律が整理されて,法律関係が非常に明確になったと思います。新たな居住権と配偶者の共有持分に基づく使用収益との関係が明らかになったということだと思います。   そうしますと,被相続人と配偶者が生前に使用貸借契約などを結んでいた場合の使用権限も,依然として新たな居住権と並行する形で存在するのではないかと理解いたします。そうしますと,例えば,短期居住権が認められない場合や,あるいは期間経過後も約定使用権があれば引き続き居住できるという理解になろうかと思うのですが,そのような理解でよろしいでしょうか。確認でございますが。 ○堂薗幹事 そこはそういう理解でよろしいかと思います。こちらもそういう考えで整理しているところでございます。 ○中田委員 現実に紛争が起きたときには,多分その点も出てくるかと思います。   それから,もう一点はもっと形式的な確認事項なのですけれども,1ページ,第1の1の(1),ア,(ア)の中に,短期居住権について,「居住建物の一部のみを無償で使用していた場合」についての規律がございます。ここで,居住建物の全部と一部という概念が登場するわけですが,2ページ以降,配偶者の使用や修繕,あるいは費用負担に関しては,単に居住建物とだけ書かれていますので,それが一部についてのものなのか,全部についてのものなのかが若干分かりにくいかもしれません。そこを明確にしておいていただけたらと思います。 ○堂薗幹事 特に条文化する場合等には,そこがはっきりするように注意したいと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかの点はいかがでございましょうか。 ○垣内幹事 簡単な確認を1点だけさせていただければと思いまして,本日の資料の2ページから3ページにかけまして,短期居住権が消滅した際の返還義務についての定めがございますけれども,ここで,今回入った点として,共有持分を有する場合を除くという規律になっております。この規律の理解に関してなのですが,例えば,短期居住権ではなくて使用貸借の成立が認められるというような場合についてで,その使用貸借が終了した場合には使用貸借関係の終了に伴う返還義務というのが生ずるというのが通常の理解であるかと思われますけれども,その場合でも共有持分を当該使用借人が持っていた場合には同じ規律になるということで,ここでもこういう規律になっているのか,それとも,使用貸借の場合とは異なることをここで定めているという御趣旨であるのか,その点だけ確認させていただければと思います。 ○堂薗幹事 基本的には使用貸借とは別で,短期居住権の場面では,元々共有持分を持っていた場合については,配偶者が短期居住権終了の場合に負う義務として,ここでいう返還義務ですとか,原状回復義務というものを設ける必要はないのではないかという趣旨です。その点については,通常の共有法理に委ねることでいいのではないかという前提で,このような規律にさせていただいたということでございます。 ○大村部会長 よろしいでしょうか。 ○垣内幹事 ありがとうございます。 ○大村部会長 そのほかにいかがでございましょうか。 ○西幹事 感想と確認の間ぐらいのことを3点よろしいでしょうか。   1点目は,1ページの1の(1)のアの(イ),今回訂正で入ったところで,「遺産分割の手続に関与しないときは」というこの表現です。今御説明を伺いましたのでよく分かったのですけれども,この表現だけですと,関与しないということになると,主観的な,例えば行かなかったとか,そういうのも入ると読めてしまうような気がしますので,表現が適切なのかなと思いました。   2点目は,本当に確認ですけれども,3ページの(2)のアの部分の3行目で,「所有権を相続又は遺贈により」と書かれています。ここは死因贈与が入っていないのですけれども,恐らく趣旨としては入るということだと思います。ただ,4ページ目の方の長期居住権の方では,2の(1)のアですけれども,ここでは死因贈与と遺贈が分けて書かれていますので,ここで入っていないということになると,あえて死因贈与を除く趣旨なのかなとも思いましたので,確認させていただきたいと思います。   最後は,3ページの(2)のタイトルが「配偶者以外の者が無償で配偶者の居住建物を取得した場合」というふうになっておりまして,今までは,遺産分割による場合の方は最低保証期間が入っていませんでしたので,非常に区分けが分かりやすかったのですけれども,今回,遺産分割が行われる場合についても最低保証期間が入ったということで,(1)と(2)の違いがよく分からなくなったというか,まとめ直してもいいような感じもします。この(2)のタイトルだけですと,本当は遺産分割によらずに取得した場合ということだと思うのですけれども,概念的には(1)を包含してしまうような表現のようにも感じましたので,私だけの感覚かもしれませんけれども,このタイトルがこれでいいのかどうなのか,御検討いただけないでしょうか。 ○堂薗幹事 まず,1ページの「遺産分割の手続に関与しないときは」の表現振りにつきましては,御指摘を踏まえて検討したいと思います。特に条文化する場合には,そういった誤解が生じないように工夫したいと考えているところでございます。 ○笹井幹事 二つ目の「相続又は遺贈により」という部分についての御質問ですが,趣旨としては死因贈与を含むという趣旨でございます。   3点目に,(1)と(2)の実質が同じようになってきたのではないかという御指摘もございましたけれども,(1)は最低限の期間として6か月を保証するという規定を設けたところではございますが,これは飽くまで遺産分割が早く終わってしまった場合の備えでございまして,基本的には遺産分割が終期となりますので,そういった点で(1)と(2)は一応区別されるのではないかとは考えております。 ○堂薗幹事 見出しも含めて次回の部会資料のときには整理をしたいというふうに考えております。 ○大村部会長 表現の点は御検討いただくということにしたいと思います。   その他いかがでしょうか。   特に実質にわたる点につきまして,何か御意見がございましたら是非伺いたいと思いますが,いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。   それでは,第1の「配偶者の居住権を保護するための方策」につきましては,先ほど来御意見を頂いております点につきまして,紛れのないような表現を工夫していただくということにさせていただきたいと思います。   それと,最初に御説明の中にありました資料の訂正の点は,訂正した形のものが出ているという扱いをさせていただくということで,よろしゅうございますね。その上で第1につきましては,頂いた御意見に基づいて字句等の修正を図るということにさせていただきたいと思います。   それでは,続きまして,第2の「遺産分割に関する見直し等」の部分に進ませていただきます。資料で申しますと,9ページになりますけれども,事務当局からの御説明をお願いいたします。 ○神吉関係官 それでは,「第2 遺産分割に関する見直し等」につきまして,関係官の神吉の方から御説明させていただきます。   まず,1の「配偶者保護のための方策」につきましては,字句等の修正を除きまして,特段の変更点はございません。   次に,2の「仮払い制度等の創設・要件明確化」につきましては,(1)の「家事事件手続法の保全処分の要件を緩和する方策」につきましては,特段の変更点はございません。   また,(2)の「家庭裁判所の判断を経ないで,預貯金の払戻しを認める方策」についてですが,前段部分は特段の変更点はありませんが,後段の規律につきましては,補足説明の9ページに記載のとおり,若干の変更を加えております。   少し敷衍して御説明させていただきますと,これまで部会資料24までは亀甲括弧を付すとともに,「当該権利行使した預貯金債権については,遺産の分割の時において遺産としてなお存在するものとみなす。」という規律を設けておりましたところ,後ほど御説明するとおり,第2の4についての規律を修正した結果,遺産の分割における精算の対象にならない場合が生じ得ることになったことに伴いまして,本方策につきましては,これとは別に精算の規律を設けることが必要になるものと考えられます。   そして,(2)で権利行使された預貯金債権の額等につきましては,誰がこれを払い戻したのかということは客観的に明らかであり,また,当該権利行使された預貯金債権を当該権利行使をした相続人以外の者に遺産分割において帰属させる必要性もないことから,本部会資料におきましては,「当該権利の行使をした預貯金債権については,当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす」こととしております。   なお,前回の部会におきまして,委員等から(2)の方策に係る払戻し請求権は,それ自体で譲渡,差押え,相殺することが可能な債権かどうか御指摘がありましたが,この点についての考え方を補足説明の10ページにおいて記載しております。   続きまして,3の「一部分割」についてでございますが,こちらにつきましては特段の変更点はございません。   また,4の「遺産分割前に遺産に属する財産を処分した場合の遺産の範囲」に関する規律でございますが,前回の部会におきましては,部会資料24-3においてお示しした別案を支持する意見が多数示されたことから,今回の部会資料におきましては,別案をベースに提案として掲げております。   なお,別案のうち,代償財産についても規律の対象とするなどとしていた点につきましては,前回の部会における議論を踏まえまして,今回の提案には含めないこととしております。   そのほか,前回の部会における指摘事項,本方策に係る要件事実の整理,また,確認訴訟及びその主文の具体例,そして,本方策の同意の対象等につきましては,補足説明の11ページから13ページに記載のとおりでございます。   なお,補足説明13ページの(注2)につきまして,若干敷衍して御説明させていただきます。   共同相続人の一人に被保佐人が含まれていた場合におきまして,当該被保佐人が本方策の同意をすることについて,保佐人の同意を要求すべきかどうかという問題であります。この点,本方策の同意をすることは,特別受益を考慮した遺産分割をすることができ,基本的には同意をする被保佐人の利益に資する行為であることや,また,平成11年民法改正の趣旨,ノーマライゼーションの促進や,成年後見制度利用促進計画におきまして,成年後見人等の権利制限に関する措置の見直しが掲げられていることなどを踏まえますと,現時点でむやみに被保佐人の権利を制限するような規定を拡張すべきではないことなどからいたしますと,本方策の同意につきましては,被保佐人の同意を要すべき行為ではないと整理すべきと考えられるかと思います。   もっとも本方策の同意をすることにつきましては,常に被保佐人の利益になるかといいますと,被保佐人に多額の特別受益があるようなケースにつきましては必ずしもそうではなく,そういった難しい判断を被保佐人にさせることが相当ではないといった立場に立てば,本方策の同意をすることについて保佐人の同意を要求すべきという考え方もあり得るように思います。この場合,解釈論といたしましては,民法第13条第1項第3号又は第6号の行為に該当するとして処理をすることになるかと思われます。   いずれにしても,この点につきましては,解釈論に委ねることでよいのではないかと事務当局としては考えているところでございます。   以上,第2につきまして簡単に御説明させていただきました。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。   第2の「遺産分割に関する見直し等」につきましては,4項目ございますけれども,4の「遺産の分割前に遺産に属する財産を処分した場合の遺産の範囲」につきまして,前回別案を支持する御意見が多かったということで,今回はそちらを本案として掲げているということでございました。それを受けた形で,2の(2)につきまして修正を加えているというのが大筋であったかと思います。そのほか,委員,幹事から御指摘があった問題点につきましては,補足説明の方で一定の対応をしていただいているということかと思います。   以上につきまして,御意見,御質問等ございましたら承りたいと思います。 ○藤原委員 すみません,そうしましたら,第2の2の(2)の家庭裁判所の判断を経ない仮払いのところと,それから,次のページの4のところ,両方にわたる問題で,確認をさせていただきたい事項が何点かございまして,まず,仮払いの方ですけれども,この仮払いは,相続開始時の債権額をベースに各相続人が行使できる金額を算定することになっております。ただ,実際には4で想定されているように,相続人が銀行に預金者の死亡を告げる前にATM等でお金を下ろしてしまうということが想定されまして,そうすると,実際に仮払いが請求されたときには,相続開始時よりも残高が減っているということが想定されます。このような場合ですけれども,銀行はあくまで仮払いをするときには,相続開始時の残高をベースに計算をせざるを得ませんので,そうすると,その相続開始後に減った金額の多寡によっては,全ての相続人の仮払いに対応できるだけの残高がもう残っていないということが生じます。そうすると,事実上仮払いに先に来た相続人の早い者勝ちになってしまうということが想定されるのですけれども,これはこういったケースだけではなく,既に特別受益を受けた相続人が仮払いに来たような場合にも同様なことが生じますので,これは今回やむを得ないということで制度設計をされているという理解でよろしいのでしょうかというのがまず1点目でございます。   2点目ですけれども,同じような問題なのですが,被相続人が死亡した後,相続人が銀行に死亡を届け出る前にATMで下ろしてしまうことを勝手払いと呼ばせていただきますと,勝手払いをした相続人が銀行に死亡を届け出た後,更に仮払いを請求してくるということも考えられるわけですけれども,この場合,銀行は特にATMで下ろされてしまうと,誰が下ろしたかというのは確認が困難でございますので,そこまで銀行が確認せずとも仮払いを行ってしまって,銀行が責任を負うことがないか,ほかの相続人から何か言われた場合に,責任を負うところがないかというところを確認させていただきたい。そういった確認義務はなく,ほかの相続人から責任追及をされたときも責任を負うことはないという認識ですけれども,事務局としてもそういう理解でよろしいでしょうかというのが2点目でございます。   3番目,最後でございますが,これはそもそも第2の2(2)の仮払いと第2の4の,いわゆる勝手払いをどこで区分するのかということに起因する問題のようにも思われますが,今回の提案では,仮払いの方は,その分は遺産として取り扱われる一方で,勝手払いの方は必ずしも遺産として取り扱われるとは限らないということでございますので,勝手払いと仮払いの区分をどこで付けるのかというところをどのような形でお考えになっているのかお伺いさせていただきます。   一応,金融機関の側といたしましては,先ほどのように勝手払いをしたのが誰かというのを確定するのは非常に困難でございますので,金融機関が死亡の届出を受けた後に,相続人がこれは仮払いの請求ですと言ってきた分については仮払いとして認め,そうでない,銀行が届出を受ける前に下ろしたものが4の対象となる勝手払いであると,こういう認識でいるのですが,これでよろしいでしょうかという確認でございます。 ○神吉関係官 それでは,事務当局の方から御説明させていただきます。   まず1点目の御質問ですが,御指摘のとおり,相続開始時の債権額というのが基準値でございますので,基本的には被相続人が亡くなった時点の債権額をベースに計算をしていただければ足りるという形になるかと思います。   相続開始後に3分の2以上が誰かによって引き出されてしまった場合には,3分の1以下しか預金が存在しないわけですので,そういった場合には十分な分配ができなくなるということは御指摘のとおりかと思います。   それから,2点目,3点目の御質問ですが,まず3点目,第2の4と第2の2の(2)の規律の関係についてから御説明させていただきます。第2の2の(2)の規律につきましては,共同相続人はその権利を行使をすることができるとしておりますので,その文言からいたしますと,遺産に属する預金債権そのものではなく,相続人として有する準共有持分を行使したことが必要であって,その規律の適用におきましては,相続人が相続開始によって準共有となった預金債権について,自らの準共有持分に係る部分について払戻しの請求をし,その部分について弁済を受けたということが必要なのではないかと考えております。   また,第2の4につきましては,共同相続人による相続開始後の処分をされた場合一般に関する規律であるのに対しまして,第2の2(2)の後段につきましては,そのうちの遺産に属する預貯金債権について,第2の2(2)前段の定める相続人としての権利行使がされた場合に関する特則を定めたものと理解することができるかと思います。したがいまして,第2の2(2)の後段が適用されなければ,第2の4の規律が適用されると,そういった関係にあります。   もう少し具体的な事実レベルの話で申し上げますと,第2の2(2)後段の規律を適用するためには,共同相続人が債務者である金融機関に対しまして,自らが被相続人の相続人であるということを主張してその履行を求めることが必要であると考えられます。そうではなくて,共同相続人の一人が被相続人名義のキャッシュカードを用いてATMから勝手に預金を引き出したりとか,被相続人の名義を冒用して,自らが被相続人であると称して銀行窓口で支払を求めたりする,そういった行為につきましては,被相続人名義の預金債権そのものの行使を求めているということからすると,第2の2(2)の適用範囲に該当せず,第2の4の規律によって処理がされると,このように整理できるのかなと思っているところでございます。   引き続きまして,2点目の御質問ですが,共同相続人の一人がATMでの引出しをし,更に第2の2(2)の支払を求めることができるのかと,そういった御質問であったかと思います。先ほど御説明いたしましたとおり,ATMでの引出しにつきましては,第2の4の規律の対象となる財産処分でありまして,規律の文言上はATMでの引出しをした後に第2の2(2)の規律による預貯金の支払を求めるということは必ずしも否定されないと考えられます。したがいまして,ATMでの引出しを行った相続人に対し,金融機関が第2の2(2)の規律による支払を行ったとしても,それは適法な有効な弁済であると言えるかと思います。   また,第2の2(2)の預貯金の払戻しを求められた金融機関といたしましては,相続開始後に残高が減っていると,そういったことが確認できたといたしましても,それが誰による払戻しなのかということを調査する義務までは負わないというふうに考えているところでございます。   そのように考えないと,簡易迅速に預貯金の支払を行って遺産分割前の資金需要に応えるというそういった制度趣旨に反するのではないかというふうに考えているところでございます。もっとも,この点については最終的には裁判所が御判断されることですので,どうなるのか確たることは申し上げられません。   なお,相続開始後に共同相続人の一人が他の共同相続人に無断でATMから引出しをするという行為につきましては,本来は禁止されている違法な行為であり,場合によっては刑事罰の対象となり得る行為と言えるかと思いますので,そのような者が,更に第2の2(2)の規律によって預貯金の支払を求めるということは,事後的に精算が予定されているとはいっても適切な行為であるとは言い難いかと思います。したがいまして,第2の2(2)の規律による預貯金の払戻しを求められた金融機関において,当該払戻しを求めた者が相続開始後にATMで引出しをしていたということが明らかな場合,例えば,金融機関の窓口で私は引き出しましたと,余り言わないのかもしれませんが,自認をしているような場合につきましては,その払戻しの請求については,権利の濫用に当たるとして拒むことということもできるのではないかと考えているところでございます。   そして,権利の濫用に当たるような場合につきましては,払戻し請求を拒んでも金融機関は履行遅滞責任までは問われないのではないかと考えているところでございます。   以上,各点について御説明させていただきました。 ○大村部会長 藤原委員,よろしいですか。 ○藤原委員 はい,ありがとうございました。 ○大村部会長 そのほかいかがでございましょうか。 ○潮見委員 結論に異論があるとか,そういうわけではありませんが,御説明を伺って,1点だけお願いがあります。   先ほどの預貯金の仮払いのところで,これは準共有持分の行使だ,あるいは準共有持分に基づく主張だというような趣旨で御回答があったと思います。準共有持分という言葉をお使いになられていたのですが,この問題というのは最高裁の例の大法廷決定が出た後,預貯金債権についての権利主張なのか,それとも準共有持分についての権利主張なのかというところに関して,差押えとか,相殺とか,それ以外も含めてかなりデリケートな議論がされております。この席上配布資料等では,必ずしも準共有という部分は表に出ずに,むしろ預貯金債権の一部についての仮払いというような枠組みでずっと整理がされてきたのではないかと思いますし,それはそれでいいと思いますので,御説明の中で,これから先のことにもなりますが,準共有持分に基づく主張なのか,預貯金債権としての権利主張なのかというところは,少し慎重に対応をしていただくということをお願いしたいなと思います。 ○大村部会長 説明につきましては,十分な注意を払って準備をしていただきたいと考えます。   そのほかいかがでございましょうか。 ○増田委員 4について若干の確認をしたいと思います。   1点目は,全員の同意により遺産の分割時に遺産として存在するものとみなす対象は,共同相続人が処分した財産のみならず,他の第三者が処分したものも含むのかどうかという点です。   もう1点は,処分というのは法律上の処分に限るのか,物理的な毀損や滅失行為を含むのかどうかというところです。お願いします。 ○神吉関係官 まず,1点目の御質問でございますが,4の(1)の規律につきましては,共同相続人が処分をしたのか否かということは特に限定しておりませんので,(1)につきましては,第三者による処分も含むと整理しております。一方で,(2)につきましては,共同相続人の一人又は数人が処分をしたということにしておりますので,(2)の規律が働く場合には共同相続人が処分した場合に限るということとなっております。   第三者の処分を含めるのが相当かどうかということにつきまして,若干御議論があるのかもしれませんが,(1)につきましては,全員の同意により遺産に組み入れるもので,いずれにしても同意で処理されるものですので,特段問題がないのではないかと考えているところでございます。   それから,処分の概念につきましては,物理的に毀損がされた場合ということも含み得ると考えているところでございます。ただ,例えば預金の引出しをして現金で持っていると,そういった行為までも処分に当たるのかどうかといったことについては恐らく議論があり得るところだと思います。その点については,預金を引き出して単に現金として保管をしているにすぎないといったケースまでここの処分に当たるということを言えるかどうかは,遺産から当該財産が逸失をしたと言えるかどうかというところがポイントかなというふうに考えているところであり,遺産から逸失をしたと言えるのであればここでの処分に当たりますし,そうでなければここでの処分には当たらないと考えているところでございます。 ○大村部会長 増田委員,よろしいですか。 ○増田委員 結局はそこのところは解釈に委ねるということになるのですね。 ○神吉関係官 何が処分かということは最終的には解釈だとは思いますが,毀損とか滅失をさせたということについては,そこは含み得るということでよろしいのではないかなと思います。 ○増田委員 毀損とか滅失は処分者自身に帰責性がある場合と,不可抗力による場合とがあって,例えば津波で家が流されたといった場合には,それはどうなるのですか。 ○神吉関係官 (2)の共同相続人の処分ではありませんので,(1)の規律を働かせることができるかどうかという御質問かと思います。(1)の規律を働かせる意味としては,恐らく津波で家が流されて,その保険金を遺産として入れるかどうかとか,そういった話だ思いますが,通常はここの(1)の規律で処理をするのではなくて,直接代償財産を遺産として入れるという合意をする,ここの規律の対象外の同意の問題として普通は処理されるのではないかなと思います。 ○増田委員 確認的な話なのですが,処分された財産を遺産として存在するものとみなすことについての同意についてここでは規律されており,代償財産については現行法と同様に手続上の合意で遺産分割の対象に含めるか含めないかを決めることができるという理解でいいということですか。 ○神吉関係官 御指摘のとおりです。 ○大村部会長 それでは,そのほかいかがでしょうか。 ○山本幹事 同じく第2の4について,1点確認というか,質問をさせていただきたいのですけれども,部会資料25-2の12ページの2段落目を見ますと,内容としては,共同相続人の同意又は遺産確認の訴えによって遺産に属するとされた財産について,遺産分割の審判の中で処分者が誰であったかの認定が仮に間違っていたとしても,そこは遺産分割審判の効力には影響がない,事後的に覆るおそれはないんだというような御説明がされているかと思います。この点は,遺産の範囲の問題ではないということで,審判が覆ることはないというのはそのとおりではないかなと思っているところでありますけれども,以前事務当局からは,このような場合には不当利得等によって,事後的な調整というものを考える余地もあるのではないかというような御説明を頂いたように記憶しているところですが,この点は,何がどういう不当利得になるとお考えなのかというところについて,1点お聞かせいただければと思っております。 ○神吉関係官 御説明させていただきます。   この点,遺産分割の遡及効をどのように考えるのかということにもよるのかもしれませんが,一つの考え方といたしましては,処分財産を遺産分割により取得することとされた真の処分者ではない相続人が遺産分割の遡及効によって相続開始時に処分財産に係る権利を取得する,そして,その処分財産に係る権利を相続開始後に処分者によって処分され,実際にはその権利を取得することができなくなったとして,実際に処分を行った者に対して不当利得返還請求又は不法行為に基づく損害賠償請求をすることができると,そのように考えることができるのではないか,ということを以前御説明したかと思います。   少し分かりにくいので,具体例で御説明させていただきますと,例えば,相続人A,Bがおりその法定相続分は2分の1ずつである,500万円分の動産が遺産分割前に処分をされ,第三者がそれを即時取得をした,残りの遺産は預金100万円のみである,このようなケースを想定いたします。そして,相続人A,Bは,処分された動産がみなし遺産として扱われ,遺産分割の対象となることには同意をするのだけれども,Aが処分をしたのか,Bが処分をしたのかということについては争いがあると,そういった事例を想定いたします。そして,家庭裁判所がこの第2の4(1)の規律に従いまして,遺産として含めて遺産分割することとし,処分された動産についてはAが処分したものと認定して,既に処分された動産はAに取得をさせるという審判をしたとします。相続財産は全部で600万円ですので,各自の具体的相続分は300万円ずつとなりますので,当該動産をAに取得をさせると,200万円超過してしまいますので,Aに対し,AはBに対して代償金200万円を支払えと命じることになります。また,Bは預金の残りの100万円を取得させると,そういった審判をし確定をしたものといたします。   この場合におきまして,Aは本当はこの動産はBが処分をしたのだとして,Bに対して不当利得返還請求できるのかどうかと,そういった問題であります。一つの考え方としましては,Aが処分をしたという家庭裁判所の認定には既判力はないので,遺産分割によって遡及的に帰属したこの動産をBが処分したのだとして,Bに対して不当利得返還請求,500万円分の不当利得返還請求をするということもできるのではないかと思っているところでございます。 ○山本幹事 ありがとうございました。   今伺ったところからしますと,いわゆる損害ないし損失として考えられているのは,具体的相続分でもう一回計算し直すとか,そういう発想ではなくて,正に遺産分割の審判で取得させられたけれども,別の人が取得していたものの額だと,こういう理解かと思います。その点は一応理解できるのですけれども,そもそも今のような場合に,不当利得なり,不法行為になるのかという部分については,今おっしゃっていただいたとおり,正に解釈の問題でありまして,ここで議論して決める話ではないということは承知はしておりますけれども,そもそも家裁の審判によって取得した財産ということですので,法律上の原因があるのではないかといったような議論もあり得るところでありまして,一つの考え方としては,特別受益の認定が違ったという場合と同じく,家裁の判断がファイナルなんだというふうに考える余地もあるのではないかなと思っております。この点は一応留保ということで申し上げておきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。   そのほかにいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。   それでは,第2につきましては,御意見を賜りましたけれども,基本的にはこのままで維持するということで,先に進ませていただきたいと思います。   ここで休むと申し上げたのですが,予想以上に早いペースできておりますので,勝手ながら第3まで進ませていただいて,その後に休息するということに改めてさせていただきたいと思います。   そこで,第3の「遺言制度に関する見直し」ですが,資料25-1の11ページ以下になりますけれども,これにつきまして,事務当局の方から御説明を頂きたいと思います。 ○倉重関係官 それでは,まず第3の1及び2について関係官の倉重より説明させていただきます。   1の「自筆証書遺言の方式緩和」につきまして,(2)の規律を新たに設け,今回の改正によって添付することができるようになる目録中の記載について変更をする場合にも,現行の民法第968条第2項の方式による必要があることを明確に規律することにいたしました。   次に,机上配布している遺言書のサンプルについてです。こちらは,方式緩和後に新たに作成が可能となる自筆証書遺言の例として,事務当局において作成したものでございます。本文部分,行書体で書かれているところは手書きで書かれたということを意味しておりまして,それから,ゴシック体で書かれたところについてはパソコン等で印字されたものであることを意味しております。事務当局において,こういった目録が考えられるのではないかという目録のサンプルを添付してみました。御検討の資料にしていただければ幸いでございます。   次に,2の「自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度の創設」につきましてですが,こちらについては,前回資料から特段変更点はございません。 ○満田関係官 それでは,第3の3及び4については,関係官の満田の方から簡単に説明させていただきます。   まず,第3の3「遺贈の担保責任等」については,字句等の修正を施したほかは特段の変更点はございません。   4の「遺言執行者の権限の明確化等」につきまして説明させていただきます。   この点につきましては,前回の部会では特段の御意見はございませんでしたが,(1)のイについて,「遺言執行者であることを示して」という文言を今回の部会資料においては付すことといたしました。この趣旨でございますが,現行の第1015条を改正し,遺言執行者の行為の効果は相続人に帰属するという規律を設ける場合には,民法第99条と同様,その顕名に相当する要件についても定める必要があると考えたためです。   そこで,この顕名に相当する要件として,「遺言執行者であることを示して」との要件を定めることといたしました。   また,(2)のアにつきましても,一部表現方法を修正しておりますけれども,その趣旨につきましては,部会資料の補足説明に記載しているとおりとなっております。 ○大村部会長 ありがとうございました。   第3につきましては,1から4までございますけれども,1の(2)「自筆証書中の加除その他の変更」については,この変更の対象に(1)の目録を含むということを明記したということがまず第1点としてございます。   それから,第2点は,4につきまして,(1)のイに「遺言執行者であることを示して」という文言を付け加えたほか,若干の字句の修正が加えられているということかと思います。   参考資料として配布されました遺言書のサンプルも含めまして,御意見あるいは御質問等ございましたら頂きたいと思います。いかがでございましょうか。 ○藤原委員 そうしましたら,ちょっと後ろの方ですけれども,13ページの4の遺言執行者の権限のところで,今回字句が少し変わったところで,一つ御確認したい点がございます。   13ページの(2)のアの「特定遺贈がされた場合」のところで,今回昭和43年の最高裁の判例の趣旨の明確化ということで,語尾が「遺贈の履行は,遺言執行者のみが行うことができる」というこの「のみが行うことができる」というところについて,1点,御確認でございます。   ここで,この場合,相続預金の払戻しの際に,遺贈の履行というのが何を意味するのかというところなのですけれども,現行法上の金融機関の実務では,預金について遺贈が行われた場合には,特定遺贈のうち特定物遺贈の場合には物権的効力があることから,遺言執行者がいる場合でも遺言の執行の余地がないということで,受贈者の方を相手にしまして,直接遺言執行者を通さずに払戻しを行っていると,こういう金融機関もあるわけでございます。この場合,対抗要件としては銀行が承諾を行うということで備えさせると,こういう実務が行われているわけですけれども,特段この実務に影響を与えるものではないというふうに解釈しておりますが,それでよろしいでしょうかという確認でございます。 ○堂薗幹事 ただ今の点は基本的にはそういう理解でおりまして,基本的にはここは遺贈の義務の履行をするのが遺言執行者なのか,相続人なのかという点でいうと,遺言執行者がいれば遺言執行者だけで,相続人にはそういう請求はできないということを明らかにする趣旨でございます。したがいまして,預貯金債権について遺贈がされた場合に,債務者の方が自ら承諾をして払うということについては何ら問題ないのではないかと考えているところでございます。遺贈に限らず,例えばですけれども,売買で債権譲渡がされた場合につきましても,基本的には売主というのは対抗要件を具備させる義務は負うのだとは思うのですけれども,その場合も,別に債務者の方で承諾をして譲受人に対して支払うことは問題ないというのと同じように考えられるのではないかというふうに考えているところでございます。 ○藤原委員 ありがとうございます。 ○大村部会長 そのほかいかがでございましょうか。 ○潮見委員 答えを頂いているのではないかとは思うのですが,先ほどのイの(ア)ですけれども,これまでの案では,「遺言者が遺言で別の意思を表示したときはその意思に従う」,それが付いていたと思うのですが,今回の案では特定遺贈のところだけ落としているのですよね。これは何かの判断があって落としたと理解してよろしいですよね。 ○満田関係官 基本的には,遺言執行者の権限について,特定遺贈をした場合に対象財産が二つあったときに,一つについては遺言執行者の権限とするけれども,もう一つについては遺言執行者の権限としないという形で遺言者の意思を反映させることはできます。しかし,遺贈について遺言執行者を選任した上で,その遺言執行者の権限を更に遺言者が定めることができるかという点については説明が難しいのではないかというふうに考えておりますので,今回はこのような形にしているということになっております。 ○潮見委員 特定財産承継遺言と違っても構わないということですか。 ○満田関係官 特定財産承継遺言については,相続人のほか遺言執行者が対抗要件を具備させる権限はありますけれども,その点については,遺贈と特定財産承継遺言で若干違いが出てくるかとは思いますけれども,それはそれで相続なのか,遺贈なのかという点に基づいて,違いが出ざるを得ない部分はあるかなとは思いますけれども,何か問題がもしあれば,御指摘を頂ければと思います。 ○潮見委員 あえて別に分ける必要があるのかなということを思っただけなのです。なぜ別段の意思を,遺贈の場合に表示しておれば,その意思を無視してよいのか。この部分が理屈の上で説明がつくのかというところが正直言って分かりませんでした。   実際の処理については,今おっしゃっていただいたので理解はできましたけれども,理論的に説明がつかないなという感じがしたというそれだけのことです。 ○満田関係官 基本的にここで(2)のイの(ウ)の方で,「(ア)及び(イ)の規律にかかわらず」というふうに規定しておりますけれども,特に問題になるのは,(イ)の場面かとは思いますけれども,そこでの払戻し等についてどこまでの権限を与えるかという点については,これは遺言者において遺言執行者の権限の範囲を定める必要はあるかというふうには思っております。   その前段の(ア)の方でございますけれども,この点について遺贈の場合とどの程度違える理由があるかという点については,若干検討させていただければと思います。 ○藤原委員 今の点に関連して,現行の実務では遺贈と特定財産承継遺言の区別なく,遺言執行者に預貯金の払戻し権限や金融商品の解約権限を与えるという遺言はかなり多くございまして,その場合にどこまで遺言者が遺言執行者に権限を与えることができるのかという議論は現在でもあるのでしょうけれども,実務上はそういう遺言は実際にありまして,その場合,金融機関の対応としては,もうそう書いてあるのだからそのとおり遺言執行者が来たら遺言執行者に払うという実務をやっておりますので,今回ここでア,イで対応を分けるということになって,それが解釈としても分けて書いてあるのだからこれは違う解釈をすべきだということになりますと,現在の実務からすると若干混乱すると思われます。 ○大村部会長 今の点につきましては,整理をしていただくということでお願いをいたします。 ○藤原委員 よろしくお願いいたします。 ○堂薗幹事 次回までに整理をして,こちらの考えをもう一度御説明したいと思います。 ○大村部会長 ほかにいかがでございましょうか。 ○中田委員 4以外でもよろしいですか。 ○大村部会長 4以外でも結構です。 ○中田委員 1の「自筆証書遺言の方式緩和」の(2)ですけれども,本日配布していただきました参考資料の2ページを拝見しますと,目録の加除,変更についての記載の仕方ですが,ここに書いてある「霞が関」という言葉なのですけれども,これは別にワープロでなくても手書きでもよろしいのでしょうね。その手書きは,この遺言者以外の人の手書きでもよいということだと理解しますが,それでよろしいでしょうか。 ○堂薗幹事 基本的には,目録の訂正については,目録自体は手書きでなくていいというふうにしているので,ここでも手書きでなくてもいいということを示すために,一応こういう形で,手書きではない形で書いておりますが,当然手書きでもよいことになりますし,手書きの場合には,遺言者でなくて第三者の手書きも許されるということになります。基本的には本文については手書きでなければいけないので,加除訂正もそういう形になりますが,目録については,自書性の要件を緩和していますので,その訂正についても自書でなくてよいという理解をしているということでございます。 ○中田委員 ありがとうございました。   そうしますと,今のページについて言うと,行書体で書いてある部分は遺言者本人の自書である必要があるけれども,ゴシックで書いている「霞が関」の部分については,他の者の手書きでもよいということになろうかと思います。ただ,その点が必ずしもすぐには分からないかもしれませんので,そこが混乱の生じないように,解説などで示していただければと思います。   もう1点よろしいでしょうか。   これは形式的なことなのですけれども,3の「遺贈の担保責任等」の(2)で,「詐欺又は強迫」を「錯誤,詐欺又は強迫」に改めるということで,これは以前から出ていて,これでよろしいと思うのですけれども,親族法,相続法の中で「詐欺又は強迫」という文言が出てくる規定が幾つかあると思います。あるいは詐欺又は強迫とも書いていなくて,単に取り消すことができるという規定もあると思います。それらの規定に今回のこの改正が影響しないであろうということは既に確認していただいているとは思いますけれども,念のために確認しておいてくださればと思います。 ○堂薗幹事 その点は当然確認すべきことだと思いますので,もう一度注意して精査したいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかいかがでございましょうか。御発言はございませんでしょうか。   それでは,4の(2)のア,イの問題につきましては,再度御検討を頂くということにいたしまして,この点を留保して,その他につきましては御意見を伺ったということで,先に進ませていただきたいと思います。   さて,どうしましょう。だんだん欲が出てきましたが,いいですか。 ○潮見委員 やりましょう。 ○大村部会長 やりましょうという声を掛けていただきましたので,休まずに先に進ませていただきたいと思います。   3時ぐらいまで終えられるところまでは終えたいと思います。すみませんが,よろしくお願いいたします。   次に進みますが,第4の「遺留分制度に関する見直し」ということで,資料の15ページ以下ということになりますが,事務当局の方から御説明を頂きます。 ○神吉関係官 それでは,第4の「遺留分制度に関する見直し」につきまして御説明させていただきます。   第4の「遺留分制度に関する見直し」につきましては,字句等の修正を施した点以外につきましては,実質的な変更点はございません。   なお,前回の部会におきまして,委員から御指摘いただいた点についての事務当局における検討結果を補足説明の16ページ,17ページの(注)において記載しております。簡単に御説明させていただきますと,まず16ページの(注)についてでございますが,「死因贈与がされた場合における負担及び現物給付の順序に関する規律について」でございます。   前回の部会におきまして,委員から死因贈与がされた場合における負担及び現物給付の順序に関する規律,具体的に言いますと,第4の1の(2)のウ,それから(3)のアのただし書の規律について,これを明確化すべきではないかとの御指摘があったかと思います。この点,死因贈与の減殺の順序に関するリーディングケースとしてしばしば取り上げられます東京高裁の平成12年3月8日の判示によりますと,遺贈,それから死因贈与,それからその他の生前贈与(新しいものから古いもの)といった規律を設けることが考えられるかと思います。しかしながら,最高裁の判例が存在するわけでもなく,また,死因贈与につきましては遺贈と同順位で位置付けるべきであると,そういった有力な見解もあるところでございます。   また,贈与に準じて考えるとしても様々な見解がありまして,いずれの説を採用するかについては慎重な検討を要するのではないか,この段階で法文化するのは困難ではないかと事務当局としては考えているところでございます。   また,17ページの(注)についてでございますが,こちらは少し細かい論点でございますが,こちらも,前回の部会におきまして,委員から御指摘があった点でございます。   この点につきましては,なかなか難しいところで,個別事案ごとの裁判所の判断に委ねるべきではないかというふうに考えているところでございますが,一つの解釈論といたしましては,破産法第72条第1項の規定の適用又は類推適用によって,本件請求権の行使は許されないと考えるのではないかと考えているところでございます。   すなわち破産法第72条第1項第2号から第4号までの規定は,破産者に対して債務を負っていた者が支払不能等の危機時期以降に破産債権を取得した場合に,その破産債権を自働債権とする相殺を認めると,債権額の価値を有しないその破産債権について全額の満足を得させることになりまして,相続債権者間の公平を害することに鑑みて相殺を禁止したものでございますが,本方策のうち,受遺者等が遺留分権利者の債務を弁済したことによって,遺留分侵害額請求権の一部について消滅請求を認める場合につきましては,自働債権に相当する求償権の弁済期が到来していなくても,相殺的処理を認めるということにその存在意義がありますので,破産財団との関係では,相殺を認めたのとほぼ同様の効果は生ずるということを重視すれば,相殺禁止規定の類推適用を認める余地があるのではないかというふうに考えているところでございます。   他方,難しいのが免責的債務引受をしたことによって遺留分侵害額請求権の一部について消滅請求を認める場合についてでございますが,受遺者等につきましては,求償権をこの場合は取得することができないということで,その債権の対立自体が観念することができないという点を重視いたしますと,相殺禁止規定を類推適用する必要がないようにも思われますが,この場合につきましても,破産債権を消滅させることに伴いまして,破産財団に属する財産が減少するという関係にあることには変わりないことに照らしますと,本件請求権の行使について相殺禁止規定を類推適用する余地があるのではないかと考えているところでございます。   以上,細かい点ではございますが,部会資料につきまして御説明させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。   第4につきましては,特に修正はないということでございますけれども,前回より明確化を図ることが考えられないかという御指摘があった点につきまして,補足説明という形でお答えを頂いたところでございます。   これらの点につきまして何かありましたら御意見を賜りたいと思います。   いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,やや難しい問題がございますけれども,それらについては一定の説明がされておりますが,最終的には解釈論に委ねるということで処理をするということにさせていただきたいと思います。   次に進みますけれども,第5の「相続の効力等(権利及び義務の承継等)に関する見直し」というところでございます。   この部分につきまして,事務当局の方から御説明を頂きます。 ○満田関係官 第5の「相続の効力等(権利及び義務の承継等)に関する見直し」に関して簡単に説明させていただきます。   まず1について,実質的な内容の変更はございませんが,変更点につきまして若干補足をして説明をさせていただきます。   これから説明する部分については,補足説明の資料には記載されておりませんところでございますけれども,最終的には,ホームページにアップする際には記載する形で対応させていただければと思っております。   それでは,説明させていただきます。   従前の案では,1の(2)におきまして,受益相続人による単独通知の効果について,債務者,その他の第三者に対抗することができるというふうにしておりましたけれども,このような規定によりますと,不動産の賃貸借のような登記等を対抗要件とする債権につきましても,受益相続人による承継の通知によって第三者対抗要件を具備し得るかのような誤解を招くおそれがあるものと考えられました。   そこで,受益相続人による単独通知によって対抗要件の具備が認められる債権の範囲を,譲渡人による通知を債権譲渡の対抗要件としている債権に限ることを明らかにするために,今回の(2)におきましては,その末尾について,「共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして,(1)の規律を適用する」という表現に変更することといたしました。   また,従前の案では,(3)として,債務者以外の第三者対抗要件の具備方法について,確定日付ある証書による通知が必要であるということを明示しておりましたけれども,今回の案では,(2)の規律において,(1)の規律を適用するということを明記することといたしましたので,それに伴って,債務者以外の第三者対抗要件として確定日付ある証書による通知若しくは承諾が必要であることは,(1)の規律によって明示されることになりましたので,従前の案の(3)の規律については重複することとなりましたので,これを削除することとしております。   実質的には,従前の案と変更点はございませんが,若干説明が不足していたので,今その補足説明を付け加えさせていただきました。   2番については,特段変更点はございません。   3番についてでございますけれども,3番の「遺言執行者がある場合における相続人の行為の効力等」の記載について御説明いたします。   若干の字句等の修正をしましたが,実質的な内容についての変更はございません。   なお,前回の部会におきまして,相続人の債権者が行使可能な権利の内容について明確にすべきであるという指摘がございましたので,今回この点については,部会資料の補足説明の方に記載しております。   以上の点について御審議いただければと存じます。 ○大村部会長 ありがとうございます。   第5の1につきましては,明確化のために文言を修正している。それに伴って(3)は不要になったという御説明でありました。   3につきましては,補足説明で前回の御指摘についての対応をしているということでございました。   これらにつきましてはいかがでございましょうか。   御発言はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,第5につきましては,特段の御意見がなかったということで,先に進ませていただきたいと存じます。   休憩せずに,6までいけそうな気がしてまいりました。これだけ残して休息というのもいかがかと思いますので,6を議論いたしまして,休憩なしで本日は終わらせるということにさせていただければ幸いでございます。   最後の項目になりますが,第6の「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策」という点につきまして,事務当局より御説明を頂きます。 ○秋田関係官 第6の「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策」についてですが,字句を一部修正したほか,請求権者の範囲について,新たに被相続人の親族とする考え方を提案させていただきました。   前回の部会資料では,請求権者を「被相続人の直系血族及びその配偶者,被相続人の兄弟姉妹及びその配偶者並びに被相続人の兄弟姉妹の子及びその配偶者」と限定する案を提示しておりましたが,部会における議論の中で,いわゆる連れ子も請求権者に加えることが相当であるとして,これに「被相続人の配偶者の直系血族」を加えるなどの考え方が提案されました。   頂いた御指摘を踏まえて,改めて検討しましたところ,前回の提案の考え方に加えまして,「被相続人の配偶者の直系血族」を請求権者に含めますと,もはや請求権者の範囲について統一的,合理的な説明をすることは極めて困難であるように思われました。他方で,いわゆる連れ子のように,被相続人と身分関係を有するものの,相続人にはなり得ない者を一律に請求権者から排除することは,被相続人と近い関係にあるために有償契約の締結などの生前の対応が類型的に困難である者を救済するというこの方策の制度趣旨に照らして,必ずしも相当でないように思われました。   以上の点を考慮しまして,今回の資料では,新たに「被相続人の親族」を請求権者とする考え方を提案しております。この考え方は,相続財産の分配は,相続人が不存在の場合を除き,被相続人と一定の身分関係がある者の間で行うという限度で,現行法の規律との連続性を維持するものでして,また,被相続人と何ら身分関係がない者を請求権者に加えることは,紛争の複雑化,長期化などの観点から相当でないという考え方を前提とするものです。そして,「被相続人の親族」の中で何らかの基準で請求権者の範囲を更に限定することは非常に困難であることを踏まえたものでございます。   また,「被相続人の親族」は,扶養義務や協力扶助義務を負う者の範囲とは異なりますので,この方策が親族間で何らかの義務を負っていることを前提とする制度ではなく,療養看護等の負担義務について一定のメッセージ性を持つものでもないという説明ができるのではないかと考えております。   御説明は以上ですので,御審議いただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   第6につきましては,御説明がありました範囲の問題につき,今回は「被相続人の親族」という形で提案がされておりますけれども,この問題につきまして,これまでも様々な御意見を頂いたところでございます。考慮すべき事柄は多々ありまして,今,事務当局の方から御説明がありました。これを積極的に説明するのはなかなか難しいところがございますけれども,この考え方であれば,現行法の中に整合的に収めることができるのではないかという御説明であったと理解いたしました。   これにつきまして,御意見等ございましたら伺いたいと思います。いかがでございましょうか。 ○金澄幹事 私の方からは,被相続人の療養看護に努めた被相続人と近しい関係にある者を救済するというこの制度の趣旨から,請求者を限定すべきではないという意見を従来申し上げてきました。また,従前,請求権者の範囲について,二親等,三親等,そして,身分関係の列挙と,いろいろ変遷はございましたけれども,いつでもそれらの関係にある者を請求権者に限るということで,何らかの扶養義務とか,介護の義務を負っているかのようなメッセージ性を帯びるのではないかという懸念も申し上げてきたところです。   事務当局の方からも御説明がありましたとおり,今回の御提案は請求権者を親族に限るという点で,いまだ救われない近しい関係の者はおりますけれども,事実上の養子を救済することができるという点,また,扶養の範囲とは完全に異なる範囲の者を請求権者としているということで,好ましくないメッセージ性は,ほぼ排除できているのではないかというようには思っております。   今後,本制度の制度趣旨について,恐らく法務省の方では立案解説などをお書きになると思いますけれども,本制度の目的について,親族に何らかの義務を課したものではないという点とか,介護の社会化に水を差すものではないという点についてはきちんと適切に解説をしていただければというように思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。   御懸念につきましては,これまでもしばしば御指摘を頂いたところかと思います。金澄幹事以外の委員,幹事からも同様の御指摘のあったところだと了解しております。   事務当局としては,そのようなメッセージが生ずることがないように配慮をして,このような提案をしているということかと思いますけれども,更に説明等で注意をしていただきたいという御要望だったかと思います。その点につきましては事務当局の方にはお願いをしておきたいと思います。   そのほかこの点につきましての御発言はいかがでございましょうか。   特にございませんでしょうか。 ○八木委員 ということは,御提案は,この亀甲括弧を取る,括弧部分を取るということでよろしいのでしょうか。 ○堂薗幹事 特別の寄与をした「被相続人の親族」という形にさせていただければというふうに考えているところでございます。 ○八木委員 私も異論はございません。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかいかがでございましょうか。   様々な案を検討しましたけれども,範囲について一定の線を引くというのは,理由付けはなかなか難しいところがございますし,あり得る理由付けを想定して,その考え方に従って線引きをしても,それが必ずしも分かりやすいものでもないということもあろうかと思います。更に御意見等あろうとは思いますけれども,この案は,内容はシンプルな案になっているかと思います。分かりやすい立法であるということも一つの長所であろうと思いますけれども,いかがでございましょうか。   よろしいでしょうか。   それでは,この点につきましては,この原案について特に御異論はなかったということで取りまとめをさせていただきたいと存じます。   幾つか御検討を頂く点が残りましたけれども,おおむね本日でこの案につきまして,意見を頂き,取りまとめをすることができたかと思います。なお残っている問題がございますので,今後の予定等につきまして,事務当局の方から御説明を頂きたいと思います。 ○堂薗幹事 次回は,要綱案の取りまとめをしていただければというように考えているところでございますが,御案内のとおり,平成30年1月16日火曜日を予定しており,また,場所については,法務省地下1階の大会議室ということになりますので,お間違えのないようよろしくお願いいたします。なお,同日の開始時間についてはおって御連絡させていただきます。   どうもありがとうございました。   ○大村部会長 ありがとうございます。   それでは,来年1月16日に要綱案の取りまとめを行うということで,御予定いただきたいと存じます。     それでは,本日はこれで閉会させていただきたいと存じます。   本日も熱心な御審議を頂きまして,ありがとうございました。   閉会いたします。 -了-