法制審議会会社法(株券の不発行等関係)部会第4回会議議事録 第1 日 時  平成14年12月18日(水)  自 午後1時30分                         至 午後4時25分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題  電子公告制度に関する基本的な検討事項について 第4 議 事 (次のとおり)               議         事 ● 時間になりましたので,法制審議会会社法(株券の不発行等関係)部会の第4回会議を開催させていただきます。   本日の議事では,電子公告制度を創設する上で決めておく必要がある基本的な検討事項を部会資料8に基づきまして御審議いただくことになります。来年2月に開催予定の当部会に事務当局が試案を提出するためには,本日の会議で,この資料に掲げられている多数の考え方の選択肢のうちどれを採用すべきかをできる限り絞り込む必要がありますので,是非御協力をお願いいたします。   それでは,早速,部会資料8についての審議に入ることにいたしたいと思いますが,電子公告制度の導入に当たっての検討課題は,大きく分けますと,株式会社の公告の方法として官報と日刊新聞紙のほかにどのような電子公告を認めるべきかという問題と,電子公告制度の導入により会社が行う公告手段が多様化することに伴って,これまで商法や有限会社法において要求されていた個別催告や個別通知について,その省略をすることができる場合を認めるかどうかという問題に大別することができます。   そこで,まず,前者の問題に関する部分である,「第1 株式会社についての電子公告制度の導入等」につきまして,事務当局から説明を聴取した上で審議をいたしたいと思います。   それでは,よろしくお願いいたします。 ● それでは,部会資料8のうちの「第1 株式会社についての電子公告制度の導入等」の部分について御説明いたします。   その前に,(前注)でございますが,この検討事項は,官報につきまして,第1回の部会で○○関係官から御説明をいただきましたように,近い将来,現在の紙による発行に加えまして,紙と同一の内容のものが,同時に,つまり紙の官報が発行されるのと同時に,印刷局の官報ホームページ上に,公的な真正性の保証を施したものとして掲載されると。この掲載されたものを,この資料では「電子官報」と呼んでおりますけれども,それがまた,法令上も,「官報」の内容が,紙のものと電子官報という二つのもの両方になるということを前提として作っております。したがいまして,この資料に「官報」と書いてありますのは,そういう将来の電子官報も含むものとして書いているということをあらかじめ御留意いただきたいと思います。   なお,この法制面でございますが,第1回の部会の際にも○○関係官から御説明いただきましたように,財務省印刷局さんの方で官報の印刷・発行という作業をしておられるわけですけれども,その法制的な面につきましては,官報を所管するのは内閣府ということになっておりまして,法制的な位置づけについては,今,内閣府の方で既に検討されておられ,また今後も検討を進められると承っておりますので,このとおり全く同じになるのかどうかというのは将来の内閣府の御検討のいかんによっては若干変わることがあろうかと思いますけれども,実質としては,将来は紙のものと電子的なものと両方の形で官報の内容が見られるようにするということはまず間違いないと思われますので,その前提で御審議をいただければということでございます。   それでは,「第1 株式会社についての電子公告制度の導入等」というところに入らせていただきます。   まず,1でございますが,株式会社につきまして,その公告の方法として,現在は,官報又は日刊新聞紙いずれかを定款で定めまして,それを登記し,その定款に定めた官報又は時事に関する日刊新聞紙でもって公告をしなければならないという規制がされているわけでございます。   これにつきまして,官報や日刊新聞紙のほかに,電子公告,この電子公告は,先ほど申しましたように「官報」の中に電子官報が入りますので,電子官報を除きました,いわゆる民間の公告と御理解いただければと思いますが,それによることもできるようにするかどうかということをまず書いてございます。この場合も,株式会社の場合は公告の方法が定款記載事項でございますので,官報や日刊新聞紙を定款に記載して選択するのと同じように,電子公告の場合にも,どういう電子公告にするのかということを定款で定めて,それでもって公告をする,それでまたそれを登記するということになるのではないかというふうに考えているところでございます。   なお,この関係につきまして,本日,席上に参考資料2をお配りしてございますので,それを御覧いただきたいと思います。これは,表紙に書いておりますように,今月12月12日,総合規制改革会議が出されました「規制改革の推進に関する第2次答申」というものでございます。非常に膨大な答申でございますが,その中に,当部会で御審議いただいている事項が二つ取り上げられておりますので,その部分の抜粋を資料としてお配り申し上げているものでございます。   その一つが,「インターネット等による公告制度の創設」という言葉で書かれておりますけれども,正に今御審議いただいている電子公告制度の創設,これを15年中に法案を提出するということで作業を進めろという,そういう答申が出ているわけでございます。恐らく,これに基づきまして,来年の3月には規制改革推進計画の見直しがまた行われると思いますけれども,その中にも具体的な日程が掲げられることになろうかと思います。ですから,第1の1は,「……できるものとすることでよいか」と書いておりますけれども,これは,もう政府全体としてこれで行くのだということで,中身をどういう形にするかということをこれから御審議いただくということになろうかと思います。   そこで中身でございますが,第1の2でございます。電子公告をする場合の電子公告が掲載される媒体の運営主体をどのようにするかということで,ここにAからDまで四つの考え方を掲げております。今回は検討事項でございますので,一応考えられる考え方を一通り挙げてみたものでございまして,私どもとして,例えばAがいいとか,そういうふうに考えているわけではございません。挙げている順番は,一番緩やかに広く認めるものから,中身がだんだん厳しくなるものという順番に並べてございます。   まず,Aの,特段の限定はしないという考え方,つまり自社ホームページによる公告も自由にできるようにするという考え方,これは,前の商法改正の際の法制審議会会社法部会における御審議の中で一部の委員から出された意見でございます。   これにつきましては,まず,株式会社の公告方法が,現在,官報と時事に関する日刊新聞紙に限定されているということとの平仄がとれるのかどうかという理論的な問題があろうかと思います。   それから,より実務的な問題といたしまして,債権者保護手続などの場合には,公告をしたことが登記の申請の際の添付資料になってございます。したがって,今は,官報や日刊新聞紙で公告いたしますと,その公告をした官報・日刊新聞紙の該当ページの写しを登記所に提出することになっているわけですけれども,このAという考え方をとりますとそういう方法がとれないものですから,結局,公告をしたかどうかというのは会社自身による自己証明になってしまいます。したがって,極端なことを言えば,実際は公告していないにもかかわらず公告したという自己証明を出すと,登記官は形式的審査権しかありませんので,登記を受け付けてしまうという問題が起きる。これをどう考えるかということが,Aについての問題であろうかと思います。   その問題を解決しようとして考えたものが,B,C,Dでございます。   このうち,Cが,(注)1に書いておりますように,昨年4月の中間試案でとられていた考え方でございます。当時はこういう書き方ではなくて,法務省令で定める者によって行うことができるという書き方になっておりましたけれども,法務省令にするかどうかは別にいたしまして,何らかの法令によりまして,公告内容に改変が加えられずに継続して電子公告が行われることを確保できる電子公告媒体の運営主体であるということ,それから,電子公告が一定期間確実に保存されるような設備を備えていることを法令上規定いたしまして,それを備えている者を使った電子公告を認めるというのが,Cの考え方です。   この考え方の場合ですと,どういう設備でなければならないかということを法令自体で具体的に書き切らなければなりませんので,それ自体に相当困難があろうかと思いますが,より大きな実務上の問題は,これは第1回の部会でも私の方から御説明させていただきましたけれども,法令上の要件が満たされているのかどうかという判断は,公告を行おうとする会社自身がしなければならなくなる,つまりリスクを会社が負わなければならなくなります。しかも,運営主体の中身の話ですので,外部からはなかなか分からないという問題がございます。しかも,その判断に誤りがありますと,法令の要件を満たしていない媒体を使った電子公告をしたということで,電子公告自体が無効になってしまうという問題がございます。そこで,このCは,Aと並んでいささか問題があるのではないかと考えております。   Cのように法令自体で書き切るということにそのような問題があるといたしますと,それにかわるものとして考えたものが,DとBでございます。   まず,Dを申しますけれども,2ページですけれども,Dは,法令自体に要件を書き切るのではなくて,そういうしっかりした運営主体であるということを主務大臣が認定,あるいは指定とか認可とかいろいろな行き方がありますけれども,電子認証の法律を見ますと認定という方法がとられていますので認定というのを一番最初に出していますが,認定を主務大臣がすることにいたしまして,その認定を受けた者を使った電子公告を認めるという考え方でございます。   ただ,この場合におきましても,法令上の要件,これはCの考え方に比べるとやや抽象的な書き方が許されると思いますけれども,それをどうするかという問題がございます。   更には,そもそも電子公告において問題なのは,個々具体的な1回ごとの公告というものが,公告期間中,途中で改変されたり,あるいは1回掲載されたものが引っ込められたりしないでずっと継続して公告が行われるということと,そういう公告がされたということが後で問題になったときに,きちっと証明できるものであること,官報や日刊新聞紙であれば何らかの形で図書館等で保存されていますので,それを使って,公告に間違いがなかったかどうかということを後で裁判になったときにでも証明できるわけですけれども,そういうことをどうやって確保するかということだろうと思うわけですけれども,そういたしますと,これを達成する手段として,一々主務大臣の認可などを受けた運営主体の電子媒体を利用した電子公告だけに限定するという,そういうDの考え方が,必要性との関係で合理的なのかどうかということがやや気にはなるところでございます。   もう1点,これは実務上の問題ですけれども,企業によっては,ほかのいろいろなお客さん,いわゆる債権者になる人たちのニーズにこたえまして,取引先の情報をいろいろ教えるようなことを業としている企業があるわけですけれども,そういう方々と少しお話をしますと,恐らくは,こういうDのような考え方をとると,登録のための要件がどれだけ厳しくなるかにもよるようですけれども,余り厳しくないということであれば,相当多くの会社がこの登録の申請をすることになるだろうと。場合によっては100,200という数になるかもしれないという話を伺ったわけでございます。そうなりますと,認定する側の認定する判断自体に一つ作業が必要ですけれども,その後も,認定した以上は,それがきちっと守られているかどうかということを毎年立入検査その他をやってチェックをしなければならないわけですけれども,それにかかる人手とかいろいろな経費との兼ね合いで,そこまで厳しい規制を設けなければならないのかどうかということも気になるところでございます。   そこで更に考えましたのが,戻って恐縮ですけれども,Bでございます。つまり,電子公告において大事なことは,その公告がきちっと,公告すべき期間中変更されたり,公告されたものが途中で取り下げられたりということがないように,ずっと継続して公告されていたということと,それから,その公告内容がきちっと保存されていて,後で何か問題が起きたときに公告内容がはっきり分かるという,その2点であると仮にいたしますれば,それを何らかの形で個々の公告ごとにきちっと証明できれば,それでいいのではないかというのが,Bの発想でございます。   そこで,ここで「証明機関」という言葉を書いておりますけれども,何らかの資格者,一番考えられますのは,こういう事実関係の証明ですから,公証人というのが一つ考えられると思います。公証人は公正証書というものを作るわけですけれども,その中に事実実験公正証書というものが今でもございまして,それに相当する証明に当たることになります。ほかにも,例えば弁護士の証明というようなことも,もしもこの考え方をとるのであれば,それが妥当かどうかというようなことも御検討いただくことになると思います。   要するに,この考え方といいますのは,公告をしようとする会社は,あらかじめ公告をする少し前に,証明してくれる人のところに申請をし,どういう内容の公告をどこにするのかということを説明します。それに基づいて,証明する側は,どのぐらいの頻度で行うのかは別にいたしまして,例えば,公告が始まった日から終わる日までの間,毎日1回--同じ時間にしますとインチキが行われる可能性がありますから,時間を適当にずらして,ずっと同じ公告がされているかどうかを毎日チェックすると。そして,ちゃんと公告がされていれば,その公告期間が終わった後で,きちっと公告されていましたという証明書なり,電磁的記録で証明するということもあると思いますけれども,そういうものを出すと。それで,登記する場合には,それを一緒につけて持っていけば登記ができると,こういうようなことが考えられるのではないかというのが,Bの考え方でございます。   この場合には,その証明をした機関は,一定の期間,例えば5年とか10年という期間,その証明をした公告の内容をダウンロードしてとっておけばいいわけですから,それを保存して,何らか問題が起きたときには,自分の証明したとおりに公告がされていた,こういう公告がされていたんですということを証明機関がきちっと証明できるようにするという,そういう考え方が,Bでございます。   以上,A,B,C,D,一通り御説明いたしましたけれども,ここで御議論いただくのは,第2以下の前提として,どのような電子公告が許容できるのかということでございます。   事前に資料とともにお送りさせていただきました,「会社が行う公告の種類・内容」というものの差し替え版でございますが,これを御覧いただければお分かりのように,非常に多くの種類の公告がございます。   その中でも,特に,公告だけをすればいい,個別の催告とか個別の通知をしなくてもいいものというのが3ページ以下にございますが,そういうところで使われる公告が,一番念頭に置いていただかなければならないものであろうということでございます。   もちろん,それが,個別催告で一緒にする場合でも,官報公告が要求されているものは,官報プラスどうするのかという問題は,後で第2で御議論いただきますが,そうでないものについては,同じように,この第1でお決めいただいた公告をした場合に個別催告なり個別通知なりをどう取り扱うのかという問題として,更に御議論をいただくことになるわけでございます。   以上が,私からの,事務当局としての冒頭の御説明でございます。   なお,今日,実は○○委員が御欠席でございまして,事前に御意見をメールでちょうだいいたしましたので,その要旨をあわせて御説明させていただいて,更に御議論いただければと思います。   ○○委員は,先ほど私が申しましたような理由で,AとCはまずいであろうと。したがって,採用するとすればBかDのいずれかであろう,Bも考えられるし,Dも考えられるのではないかという,そういう御意見をいただいております。 ● 以上のようなことでありまして,現在は官報及び日刊新聞紙に限られている公告の方法として電子公告というものを認めるというのは,もう既に政府で決定していることのようでありまして,電子公告としてどのようなものを認めるかということを御議論いただきたいということであります。株主のお立場,あるいは公告をする会社側の立場,それぞれ御意見があると思いますので,お願いいたします。   それで,どういう場合に使われるかと。これは,今の事務当局の方から送られた資料の差し替えの資料の3ページに出ているようなもの,これが公告だけをする場合だということでありましたけれども,もちろん,公告がないと知り得ない人というのはここに挙がっている以外にあるわけですね。例えば名義書換えしてくださいという公告,そういう場合もこの問題になるというふうにお考えいただければ幸いであります。   それでは,どうぞ。 ● 日刊新聞紙でも,例えば,「朝日新聞」というのは決まっているわけですよね。電子公告の場合は,一番最初の取っかかりはどういうふうに行くんですかね。   つまり,お考えになっているのは,例えば甲株式会社であれば甲株式会社というのを引けば当然に出てくるのか,どこかEDINETのような,EDINETというところに入ればそれが出てくると考えたらいいのか。つまり,アクセスする側は何を頼りに電子公告に行けばいいのかというのは,そんな100もあったのでは分からないんじゃないかなと思うのですけれども,その辺はどうなんでしょうか。 ● ですから,第1の1に書いておりますように,「電子公告による旨を定款で定める」と。この定款で定めるのは,どういう電子公告媒体を使うのかと。例えば,先ほどDの考えについて触れましたけれども,Dで登録を受けた会社が100社あるとすると,そのうちのどれか1社を甲会社は選んでいただいて,この会社のものでうちはやりますと。つまり,「朝日新聞」と選ぶのと同じように,どの電子公告によりますということを選んでいただくということになりまして,それは登記されることになりますので,登記簿はだれでも見れますから,一般の方々は,登記簿を見れば,この会社はどういう公告をするのかというのが分かりますので,仮に電子公告を選んでいれば,どういう電子公告,URLも出ると思いますので,それで調べていただくと,こういうことになろうかと思います。 ● そういうふうにはなると思うのですが,債権者とかもあるわけですよね。そうすると,「朝日新聞」とかやったら,みんな見ているんですよね,大体は,そういう意味では。だから,どういうふうな機関になるのか知りませんが,その機関は,大変世間で認知されておるというようなものであれば,おっしゃる趣旨でいいのかなと思うのですが,100という数が何を想像させるかというと,浮き沈みがあったり,変動もあるんじゃないかとか,知名度が足りないんじゃないかとか,そういうことがありますので,一般のアクセスができるのかなというような不安も若干あるのですが,それは,ちょっと私,電子の技術はよく分からないのですが,名前を入れたら間違いなく出てくるとか,そういうようなものになっているのか。その辺はどうなんでしょうね。 ● とりあえず私から御説明させていただきますが,インターネットに加入いたしますと,そこに検索機能というのがついていまして,いちばん簡単な検索は,登記されているURL,いわゆるアドレスでございますが,アドレスを入れれば,どんな会社であろうが個人であろうが,そのホームページにぽんと飛んで,画面があらわれるということになっています。また,登記簿を見ていないと番号まで分からないということが多いですから,何らかの言葉を入れれば,その言葉に関する関係のホームページの一覧表がずらっと出て,それを順次見ていくというようなこともできるということになってございます。ただ,先ほど申しましたように,仮に電子公告をする場合には,その会社は,登記をする際に,自社の公告の方法はこの会社のこのアドレスでやりますということを登記いたしますので,その登記簿を見れば,そのアドレスを入力すればそのホームページに必ずたどり着けるということになります。   それから,100出てくるのかどうか,やってみなければ分かりませんので,10しか出ないかもしれないのですけれども,仮に登録という方法をとる場合には,明日つぶれるかもしれないような会社だとまずいだろうということで,そういうことも登録の要件みたいなものとして規定しなければいけなくなるのかもしれないと思います。 ● BとC,Dの違いについて質問させていただきたいのですが。   Bの方は,過去そういう公告が掲出されたという事実を証明するという,証明対象は正にその事実だと思うのですが,C,Dですと,システムとか制度的にそういうことをする運営主体ということになっていますね。そうしますと,実際,そういうふうに認可しても,何かのトラブルで公告が掲出されないということが起こり得ると。そうなった場合に,認可されている機関であっても,事実として公告が掲出されなければ,やはり当該会社の公告はなかったということになるのでしょうか。そう理解してよろしいわけですか。そうなってきますと,Aとの違いというのは,一応ある程度,制度的に,ここだったら安心できるだろうという違いしかないのかなというふうに思うものですから。 ● おっしゃるとおりだと思います。   つまり,先ほど○○委員がおっしゃられましたように,仮に登録制度をとっても,登録を受けた会社が倒産したりするということもあり得るわけで,そうするともうそのホームページに掲載することはできなくなりますから,仮に定款でその公告方法によるのだというふうに定めていると,定款変更しないと公告できないということになろうかと思います。   むしろ,そういう意味では,AとかBですと自社ホームページという方法もできますから,自社がつぶれない限りは自分のところで公告はできるということになると思います。 ● 第1の1に関連してでございますけれども,既に決算公告につきましては認められて,登記されているわけでございますが,それとこの電子公告との関連性ということと,それから,認定制度をとらなかった場合に定款にどういうふうに定めるのかなという疑問があるのですが,その辺のところはいかがでしょうか。 ● まず,平成13年の秋の改正で導入されました決算公告の電子的な公開の制度と,今回の制度との関連でございますが,平成13年に,決算公告についてだけ,それにかわるものとしての電子的な公開制度というのが導入されましたのは,決算公告というのは,単に事実を,貸借対照表が確定したことを公告するだけで,その公告をしたことに伴う法的効果というものがないわけでございます。そこで,それだけはとりあえず自社ホームページでも何でもやってもいいだろうということに当時なったわけでございますが,今,御審議いただいています電子公告の対象は,先ほど見ていただきました「会社が行う公告の種類・内容」に掲げられているいろいろな公告でございまして,いずれも何らかの法的効果がその公告に伴って生ずるものでございます。そこで,これについては更に検討する必要があるだろうということで,前の会社法部会の答申からは外されまして,この部会で更に御審議をいただいている関係になっているわけでございます。ですから,法的な意味づけが違うので,決算公告よりは,今ここで御審議いただいているようないろいろな種類の公告についてはより厳密に考える必要があるだろうというふうに当時は考えられておりました。   仮に,Dを採用しない,例えばBを採用した場合にどうなるかということですけれども,Bであっても,自社のホームページにでもよろしいですし,ほかのどこか別の機関,例えば○○委員のところでもホームページに決算公告を載せるということをもう既にやっておられますけれども,そういうほかの機関のホームページを使うということでももちろん構わないわけですけれども,定款で,どういう電子公告をうちの会社はやるのかということをお決めいただくということになります。そこは全く同じで,Dとの違いは,Dですと定款で決める電子公告媒体は登録を受けた者に限られる,そういう限定はAとBにはないという,そういう違いと御理解いただければと思います。 ● 今,私どもでも,電子認証をやろうというので,国の方から予算をいただいていろいろやっているのですが,実は電子認証は非常に難しい問題でございまして,私も含めおとしめるわけではないのですが,どうも必ずしも議論するにふさわしいメンバーがここに全部集まっているかどうかはいろいろ疑問があるのかもしれませんが,まずは,特にB,C,Dのやり方について,少し詳細をプロから御説明していただかないと,非常に分かりにくいのではないかと思うのです。   私どもが,今,全然違うところで電子認証の勉強をしておりますのは,まずこういうケースなんでございますが,BtoBビジネス,企業と企業が取引をする場合に,電子的に契約を申し込んだり,合意をしたりする,その申し込んだ,あるいは合意をしたということが本当に本人によって行われたかどうかという証明と,それがどういう中身であったのかという証明と,それが一体いつ行われたのかという証明と。   今回の場合にはもっと難しいのは,365日の中で1秒あるいは0.1秒たりとも切れずにずっと公告されているということも証明しなければいけないということになるので,非常に難しい証明になってくるんだと思います。   そのときに,御案内のとおり,世の中には調査機関みたいなところでもうこのビジネスを既に始めているところがありますし,アメリカにもそういう機関がたくさん出てきていると。非常にお金がかかる,手間もかかるということもまず御承知をいただけなければいけないなと,こう思っております。   ですから,幾つか問題点を整理して申し上げますと,まず,あるところに公告をされているということを第三者が外からずっと証明をするためには,四六時中,継続的に公告が続いているということをずっとウォッチしていなければいけないので,それ自体は相当難しいことではないかと思います。先ほど御説明があった,1日1回,時間を変えてチェックをするということでは足らないと言われる可能性もあるかもしれません。そういたしますと,その裏返しを申し上げれば,特定の機関が,私がずっと公告をしていましたと。信頼できる者が,ずっとしていたということをむしろ自分で言うと。それに足るだけの能力があるという人を認定するなり何なり指定するという,こういうやり方になるのかもしれません。   二つ目のポイントは,公告をお願いする会社,あるいは自分がやってももちろんいいわけでございますが,その費用が非常に多大なものに上る可能性があるのではないかと。これを私ども中小企業の方は非常に心配しておりまして,第1の1のところで,「……できるものとすることでよいか」ということについてはもうもろ手を上げて賛成でありますが,なるべくお金のかからない,フリーなものにしていただきたい。一方,先ほどの証明の問題でいけば非常に難しいので,そこの規制があるわけですが,お金がかからなくて簡便にできるものにしていただきたいなと。   それから,先ほど,主体が100とか200になるかもしれない云々ということがありましたが,この世界ではちょっと分かりませんが,今は要するにみんなが競い合ってビジネスをやる時代でございますから,余り数を制限した方がいいという頭を皆さんがお持ちになるのは,ちょっと世の中の流れからいくと逆なのではないかと心配いたしております。   それで,私は結論は全然ないわけでございますが,特に,B,C,Dの内容が非常に分かりにくいというか,不明でございまして,具体的に,例えばモデルとしてこういうやり方があるよと,あるいはこうなったらこうなるよと--そのバリエーションは実はたくさんあるんですよ。私も一応おさらいをしたのですが。それを一度きっちり専門の方に御紹介していただかないと,ここで議論していて,先ほど出た質問にもありましたが,どうやってそこへ到達すればいいんだろうと。こんなものは,例えばサインをつけておけばいいわけでして,こういうものの公告というのはこのページに入ればそこから全部リンクになっているということで,そこから検索エンジンでやるという方法もあるし,そこは電子的には工夫はもう幾らでもある。そこはそんなに問題ないと思うのですが。問題はその先の証明の問題。いずれにせよ,ここで法律に詳しいメンバーが議論して詰まるのかどうか,ちょっと不安だなというのが私の心配事でございまして,事務局の方が非常にあれしていただければいいのですが,一度御説明をしていただいたらと思います。 ● 今日結論が出せるかどうか分かりませんが,後の議論にも,例えば,この電子公告をした場合には個別催告を省略できるかというような論点もありますので,ある程度は議論を絞っていただきませんと,後の議論もできないということになります。   それから,今,○○委員がおっしゃったことに関しては,それは確かに,1か月間--公告期間であれば普通1か月間--途切れなくなっていたかどうかというのは,これは実体問題でありまして,先ほど,1日1回チェックするとか言われたのは,これは恐らく登記要件との関係で言われたのだろうと。そういうある程度のチェックがなされていれば登記は受け付けますということであって,しかし,それは,一応登記は通ったけれども,非常に問題があったということが後で立証されて,瑕疵があったということになるかもしれない。それはまた別問題ということだと思います。 ● 私は条文を読むよりもホームページを作る方が好きなのかもしれないので,ちょっと発言させていただきたいと思いますが,今も○○委員の方から御指摘がありましたけれども,今の電子のホームページの作りを考えますと,自分のページが全部自分のサーバに入っているわけではもちろんないわけでありまして,表から見ると全部一つのページにあるように見えますけれども,ほとんど外に置いてあると。例えば,電子の掲示板なんか最近多いですけれども,あれはみんな無料でレンタルしていて外のサーバに置いてあるというのが一般的だと思いますので,そういう点で考えますと,このAというのと,BやDというのは必ずしも矛盾するものではなく,Aというもので自社ホームページとのリンクを強制しておきながら,他方において,外部でその公告内容を置いている媒体自体が安定的に常にそれを提供しているという状態ができれば,仮に媒体が100あっても200あっても,アクセスは自分の関連を持っている会社から必ず到達できるというような形になるのではないかと思いますので,そういう点では,自社ホームページとのリンクを強制した上で,外部の安定的提供のできる媒体に,いわゆるBという案になるのでしょうか,そういうところに継続的にデータを置いておくということを要求すれば,比較的問題は解決するのではないだろうかというように私自身は思うところであります。   技術的なことは本当は余りよく分からないのですけれども,何となくそんなような感じがしましたので,一応発言させていただきました。 ● ちょっと繰り返しになるかもしれませんが,発行会社としてどんなふうに考えているかということなんですけれども,基本的な考え方として,選択肢が幾つかあってもいいというこの趣旨については大賛成でございまして,その場合にも,Aということであればもちろんいいのですけれども,いろいろ問題が,リスキーな面があるとすれば,BとかCとかDということにはおのずとなるのかなと。ただ,この一番お勧めのBなんですけれども,私ども発行会社からいたしますと,今もお話が出ましたけれども,やはり手続とコストとの見合いということになりますので,この二つの要件は十分充足した制度の枠組みとしていただきたいなと,そういうふうに思っている次第でございます。   今,○○幹事の方からお話がございました,例えば公証人あるいは弁護士の方が1日に1回と。これもちょっと,現実性を考えますと,例えば人気者の先生のところに1,000社も2,000社もから来て,幾ら今日バーチャルの時代とはいっても,忙しい先生方が,フットワークも動かさないで,1日1回画面を見ているというのも,ちょっと非現実的な,のどかな感じが予想されますので,初めと終わりだけとか,そこら辺はいかようにも,更に制度のブラッシュアップをお願いしたいなというふうに考えておりまして,Bもまんざら,結構Aにかわり得るのだとすれば,現実的なものとしては受け入れられるかなと。また,CとかDも,更に磨き込んだものであれば,これもまたいいのかなということで,いずれにしましても,繰り返しになりますが,手続とコスト論,これを是非基本に置いて御審議いただければと,こんなふうに考えております。 ● ○○委員,○○委員,発行会社側からの御意見だったと思いますが,Cも支障ないという御意見ですか。Cは,先ほどの事務局の説明では,法律上の要件を満たしているかどうかを発行会社が判断しなければいけないのでリスクがあるのではないかという問題点の指摘もありますが。 ● Dの方がCよりもベターなのかなという感じは,勝手な読込みかもしれませんが,私どもはそういうふうに受けとめております。優劣をつけるとすれば,D,そしてCであろうなと。 ● BとDですけれども,例えば,先ほどもお話がございましたように,Bだとしましても,倒産しそうな怪しげな会社が簡単になるというのではまずいでしょうし,途中で経営状態が非常に悪くなったような場合に何かほかのシステムにトランスファーできるようなことがなければいけないかもしれませんし,それから,余りハードルを高くはできないのでしょうけれども,どこかにハードルはあるんじゃないかなという気はします。そうすると,登録制とか認可制というのは中身次第,要件次第なのですけれども,果たしてBは登録がないと言えるのかどうか。つまり,機関として認定されるについて何らかの要件はあるのではなかろうかというのが一つと,それから,Dの場合,もちろんこれは登録ということですが,それも登録の要件次第ですから。つまり,Dは登録だけれどもBは限定しないから何もないということには,実際やり出すと,ならないんじゃないかなという感じもしまして,その辺,システムがちょっとおかしくなったり揺らいできたときにスムーズにほかのシステムに代替できるような--証券会社倒産なんかですと,トランスファーとか,そういう制度がありますけれども,そういうことも考えていくことになると,BとDの差はそんなに大きいのかなというのが,まず一つであります。   それから,証明ですけれども,例えば監査の場合でも,内部統制がしっかりしていれば,一応きちっとした記録はなされているということを前提にして,示唆だけをしますけれども,ですから,そういう意味では,もとのシステムがある程度信頼性があってしっかりしていれば,そこでは相当な合理性のあることもやられていると推定されるといいましょうか,それが強まってくるのではないかと。ところが,それがないとすると,正に精査といいましょうか,四六時中見ているという世界になるのではないかと,そういう感じもいたします。   結局何が言いたいかといいますと,皆さんがDがいいというふうになったときに,法務省は業者規制官庁みたいなものになってやるぞという,そういう覚悟といいましょうか,それはもうあるという前提で議論してしまっていいのかどうかですね。ちょっと聞きづらいことを聞きますけれども。 ● 幾人かの方から御意見をちょうだいしましたので,全部にお答えすることになるのかどうか分かりませんけれども,私どもが今考えていることを多少補足的に申し上げたいと思います。   DとBの違いは,Dは,登録なり認可なり何らかをすることによって,その後はもう,そういう認可された電子公告媒体の運営主体にすべてお任せするという考え方でございます。   それに対して,Bは,運営主体の方は何ら限定しないで,どれを使うか各会社に自由に選んでいただく。自社ホームページでもいいし,よそのものでもいいと。しかし,証明機関は,一定の資格のある者,それは法律自体で定めることになろうかと思いますけれども,そういう者に証明させるということでございます。   先ほど,○○委員から,1日1回では不十分なんじゃないかというお話をいただいて,なるほどそうかもしれないわけですけれども,ここは,○○委員からお話がありましたコストの問題が当然つきまとうわけで,ずっと掲載されていたかどうかを電子的に自動的に判断できればいいのですけれども,どうもそれは無理なんだそうでして,1回ごとにチェックしなければだめだということらしいです。そうすると,チェックするためにコストがかかりますので,チェックの回数を多くすれば多くするほど発行会社の負担が多くなるという問題が出てまいります。   Dのような登録制度にするとなると,ウイルスが入り込まないような設備とか,いろいろなことを要求することになりますので,先ほど○○委員がおっしゃられたように,電子認証の場合は非常に厳しい設備が要求されていて,それに物すごいお金がかかると。そこが参入の障害にもなっているというようなことも漏れ聞いておりますので,これはそこまでしなければいけないのかどうかというのも一つの問題ですけれども,会社にしてみれば,計算書類の公告と違いまして,毎年やらなければいけないというようなものではなくて,アドホックなものですので,とにもかくにもその1回だけが公告期間中やれればそれでいいんじゃないかというふうに考えると,Bという考え方が出てくるのかなと思っていた次第でございます。   ですから,仮にBをとる場合に,証明する機関がどの程度チェックするのかというのは,コストとの兼ね合いもあわせて,更に試案の段階,あるいは要綱を作る段階で御審議をいただきたいというふうに思っていたところでございます。 ● 必ずしもこのA,B,C,Dという切り口に沿った意見を申し述べることになるのかどうか分からないのですけれども,公開上場会社というよりは,実際には有報提出会社ということになろうかと思いますけれども,先ほど○○委員が言われたように,EDINETというのは非常にワークしております。したがって,一つの考え方とは思いますけれども,有報提出会社はEDINTEのみをもって公告として,あとは自社のホームページにリンクを張るでもいいし,同じファイルを掲げるでもいいと思うのですけれども,そういうような運用ができれば,先ほどのB,C,Dのほぼすべてを満たしたような形でワークするのではないかなというのが,手前どもの中で検討した意見です。   ただ,それ以外の会社について同等の方法がとれるかどうかという問題がありまして,それについて全体の答えになっているかどうかは必ずしもよく分からないのですけれども,少なくとも有報提出会社についてはそれで十分ワークするのではないかなと。実際に発行会社にとっての費用,あるいは,それを見る方にとっての利便性,あるいは,同じ書類が継続して掲示されていたということに対する証明等すべてを満たすことが,一番合理的に,あるいは効率的に可能ではないかなというふうに考えております。 ● 個別催告をどうするかという問題を除いて,ただ単純に官報と日刊紙と電子的媒体という選択肢を広げるのであれば,Bだけでいいと思うのです。というのは,ただ単に選択肢が広がるだけだと考えれば,別に日刊新聞に掲載するのと同等に,例えば,asahi.comのどこかが出てきて,そこに載せるという手段を選べばいいわけですので,さほどクオリティーみたいなことを心配しなくても同等のことができるのではないかと思うのです。   ただ,問題になるのは,個別催告をする,しないの問題ですね。これは私どもの会社でも経験があって,知れたる債権者は一体だれなんだということになって,金融機関は預金者もいらっしゃるわけで,かなり細かな議論もしたわけですけれども,できれば個別催告を省略する何かいい媒体ないかというようなことも議論はしたのですけれども,なかなか難しいようでございますので,もしもそこを省略するというような議論になるのであれば,何かそれを担保する手段をきちっと,世の中の人とかは,法律的に言うと,多分欲しくなってしまうので,Bでは足らんのではないかなという議論になるのではないかと思うのです。そこをよく議論しておかないと……。 ● 今,○○委員がおっしゃられた意味がよく分からないのですけれども,Bは,ある特定の,例えば合併なら合併の公告をするときに,その公告をした日から,公告期間,例えば1か月なら1か月の期間ずっと公告がちゃんと載せられていましたということを証明するわけですね,別の人が。ちゃんとした資格のある人がですね。ですから,その人がどのぐらいの頻度で見るのかはまた議論していただかなければなりませんけれども,仮に毎日1回アトランダムでチェックするのだといたしますと,少なくともそのチェックしたときは毎回ちゃんと公告が載っていたということはきちっと証明されますので,それでずっと公告がされていれば,別に何らかの,特別のどこか,先ほど○○委員が言われた,EDINETでなければだめだということにはならないのではないでしょうか。 ● もっと単純なことを言っているわけでして,個別催告のものを省略するかどうかという議論を一緒にすべきではないのかということを申し上げているのです。要するに,単純なことだけで選択肢が広がるということであれば,Bで,コストの観点も含めて十分だと思うのですけれども,個別催告の手続を省略するというようなことになってくると,皆さんの持っていらっしゃるイメージががらっと変わるのではないでしょうか。そこは皆さん,フェーズが合っているのでしょうかということです。 ● ○○委員は,個別催告と言われる場合,会社側から送るということを前提にお話しですか。 ● まだそこまで議論しているわけではないですけれども,送るにしてもですね。 ● 送るとしたら,それは相当……。それはまた別個の話として出てきますけれども,もし送ることを前提にしておられるのだったら,ちょっとここでいう公告の話とは違うのではないかという気がいたします。 ● 先ほど○○委員がおっしゃったように,専門家の知恵をかりるというのは必要じゃないかなとは思うのですが,ただ,Bなんて,証明というのは人間が見て一々チェックする必要は全然ないはずで,あらかじめアドレスと具体的なファイル名まで指定してもらえば,ソフトで,一定期間にランダムに選んでそのファイルをダウンロードして,ファイルとファイルの比較という,そんなものは幾らでもありますから,例えばそれを毎日1回やって,この期間毎日やりましたという証明,全部それは自動的にできるんじゃないかと思いますけれどね。だから,そんなに複雑なものではないのではないかとは思うのですけれども。 ● おっしゃることはそのとおりだと思うのです。   我々が電子証明について割とリジッドなことも考えなければいけないと思っているのは,やはり外からだれかが入ってきていろいろいじくったというときに,分かるか,分からないか。あるいは,ちょっと極端ですけれども,今日の午後1時から午後2時まで変えておいて,またもとに戻しておいて,ほうらだまされただろうというのが愉快犯としてたくさんいるわけでして,そういうことが起こることまで頭に入れないと,実はリジッドな電子証明というのはできない。   それで,もうお話はお聞きになられたと思いますが,帝国データバンクとかベリサインとか,いろいろなところがそれぞれ物すごいシステムを作っていて,先ほど,ほかの,こういうネットワークだけにしたらいいんじゃないかという御意見もありましたが,ここはビジネス分野としては非常に有望な分野なんですね。ですから,ここで特定のもの,ちょっと言葉は悪いですけれども,法務局的なところしかできないとか,これは税務署しかできないとか,そういうことになると,やや--今日は通産省の人がいませんからあれですけれども,少しそういう自由度も頭に入れないと。   それで,先ほど御質問があった,法務省さんは業規制までする気があるんですか,ないんですかという御質問が,ある意味で真ん中を突いているところがあるかもしれませんが,そこまで考えておかないと,またいろいろ外から意見が出てくる可能性があるだろうと,そういうことをちょっと申し上げたいわけです。 ● 今おっしゃられた,間がというのはおっしゃるとおりなのですが,それは民法の世界でも,占有だって中は推定するわけですから,それと同じような形で,当面,例えば登記をする際の証明手段としてはそういった形だと思います。具体的に,それが途中で改変されているということが立証された場合にその効力をどうするかというのは,それは具体的事件の中での判断ということになると思うのです。   それと,逆に,そういうことで言えば,B以外の,CとかDをとって設備等で認可したとしても,その公告がきちんとされていたかどうかということについて本当に訴訟で争われたときに,その会社が何らかの形で証明する手段,担保手段を用意しておいていただかないといけないことには多分なり得るので,そういう意味で言うと,この証明というのは,そもそもそういう証明を満たしているということをCとDの方の要件に入れるのかどうかというようなことも含めて,専門家の意見を聞かないといけないだろうなとは思います。 ● よい御意見をいただいたのですが,今までの御議論では,一つは信頼性の問題,それからコストの問題というのは,発行会社からの御懸念という問題ですね。他方,利用者側からしますと,提供主体を絞るのであればともかく,そうでなければ,100社以上できるのであれば,これはもうBでもDでも余り変わらないんじゃないかと,そういうことであったのではないかと聞きましたが。 ● ただいま整理していただいたのはあれなんですが,○○委員から有報提出会社のお話が出ていましたけれども,この公告というのは,それ以外の中小も--なぜ電子化というのが出てきたのか,やはり一つはコストの問題があって,従前ですと,官報公告等が要件になっていても,事実上されていないと。それを容易に公告する方法を法律の方で提供しようという発想があるのだと思うのです。そうしますと,対象を限定して考えるのではなくて,すべての株式会社というか,会社の方が容易に使える方法で,なおかつ,通常の決算公告ではなくて,権利に影響する登記の申請書類で添付しやすい方法ということをまず前提でお考えいただかないといけないのではないかと。   それと,証明ということになりますとどうしても第三者性というのが必要になるだろうと。であるならば,その証明主体の方に何か資格を課すかどうかは別にいたしまして,第三者の証明を添付すれば容易に登記ができるという方法,私自身は,もうBが一番いいんじゃないかなと思いますので,一言つけ加えさせていただきます。 ● 機械のことは全く分からないで,抽象的に考えますと,今まで官報又は日刊新聞紙による公告を認めていたというのは,やはりそれ自体非常に信頼性の高い機関であるということで,一般的な公告を見る側の人々の信頼があったと思うのです。それにかわるものをつけ加えようというわけですから,やはり個別の公告に証明があるというのも,それは一つの信頼性の確保の方法かもしれませんけれども,一般的な信頼,ここを見ておけば安心したシステムで情報が得られるだろうというふうな信頼を確保しておくことが,かえってコストを全体的には安くするのではないかなという気もするわけで,そういう観点からいくと,CとかDで,Cは恐らく問題が大きいでしょうから,Dの方が,従来の官報と日刊新聞紙による公告を認めてきたという考え方にはより近いのかなという気がいたします。ただ,これも全部技術の問題ですから,それほど確信があるわけではございません。 ● いろいろ御議論いただきましたが,BとDにつきましては,信頼性の問題あるいはコストの問題等,今日はちょっとデータ不足で,なお結論が出せないという面はあるのではないかと。   しかし,AとCにつきましては,Aは全く第三者の証明がないということを前提にした話ですし,Cも発行企業にとってちょっと法的安定性に欠ける面があるということは否定できないだろうと。恐らく,AとCについては積極的な御支持はなかったというふうに理解していいのではないかと思います。   そして,BとDにつきましては,そのような発行会社の側の利害からすると先ほど申しましたような点でありますし,利用者側からすればそんなに違いはないようだということでありますので,一応,本日は,なおBとDを残して,これを今後詰めると。恐らく,そこまで詰まっていれば,後の第2以下の議論にそう影響はしないのではないかと思いますので,そのような整理にさせていただきたいと思います。本日のところはそれでよろしいでしょうか。   それでは,先に進ませていただきまして,次に,「第2 株式会社における個別催告等の省略」及び「第3 有限会社における個別催告等の省略」について,これを一緒に事務局から御説明いただきます。 ● それでは,第2と第3につきまして,冒頭にまとめて御説明させていただきます。これは,先ほど御審議いただいた第1のB又はDのような形で電子公告制度というものを導入することによりまして,会社が行う公告手段が多様化すると。それに伴いまして,これまで商法や有限会社法において要求されてきた個別催告あるいは個別通知について,その省略をすることができる場合を認めるのか,認めないのか,認めるとすればどういう形で認めるのかという問題で,株式会社と有限会社という違いはありますけれども,出しております案はどちらもほとんど同じでございますので,まとめて御説明をさせていただきます。   第2を御覧いただきますと,更に三つに分けてございます。   一つが,合併の公告と吸収分割における承継会社がする公告という,官報と日刊新聞紙の二重の公告をすれば個別催告の省略を認めているもの,これを今後どういうふうに取り扱うかというのが,第2の1でございます。   第2の2は,個別催告の省略が認められていない対債権者公告,つまり,債権者保護手続のうちの個別催告の省略が今は一切認められていないものをどのように取り扱うかというものでございます。   3が,株主や社債権者--社債権者といいますのは記名社債権者でございます。無記名社債権者の場合は公告だけすればいいということになっていますので。そういう株主,記名社債権者の社債権者集会の関係の個別通知,これは省略が認められていないわけですけれども,これの省略を認める場合を用意するのかどうかというのが,3でございます。   同じように有限会社の方も三つに分けて,債権者の関係で,既に個別催告の省略が認められている合併と,省略が認められていない減資のようなもの,それから,対社員に対する個別通知が必要な公告という三つに分けて整理しているわけでございます。   まず,第2の1,2ページでございますが,官報に加えまして日刊新聞紙にも公告することによりまして,知れたる債権者に対する個別催告の省略が認められている合併の公告と吸収分割における承継会社がする公告,この二つをどうするかということでございます。   イ,これはもっともドラスチックな考え方ですけれども,冒頭申しました(前注)に書いておりますように,官報公告が紙のものと電子のものと二本立てになるということになりますので,日刊新聞紙にもあわせて公告するということをもうしないで,官報公告のみを行えばよいということで,個別催告をしなければならないという規定はもう削除するという,そういう考え方が,イでございます。   それに対するものが,一つ飛んでハを御覧いただきたいのですけれども,官報公告に加えまして,定款に定めた電子公告,これは先ほどの第1で御議論いただいたBかDの公告ですけれども,そのいずれか--いずれになるかまだ決まっていませんけれども,BならB,DならDを行った場合には個別催告の省略を認めると。それとともに,官報と日刊新聞紙の双方で公告した場合にも個別催告の省略をするという現行制度はそのまま維持するというのが,ハでございます。   その中間,と申すのがいいのかどうか分かりませんけれども,中間的なものが,ロでございます。これは,ハですと官報自体も電子のものができますので,電子の公告を二つするということになるわけですけれども,先ほど○○委員の御質問にお答えさせていただいたときに申しましたように,検索する場合はまとめて検索できますので,同じ内容のものを二つ載せていても余り意味がない。インターネットの世界では両方ともたどり着けますので,二つやるのにどれほど意味があるのかという問題があろうかと思いまして……。それを突き進めますとイになってしまうわけですけれども,イはちょっとドラスチックに過ぎるというふうにもしお考えであるとすると,ハは行き過ぎだとすれば,間をとればロということがあるいは考えられるのかもしれないということで一応書いてみたもので,要するに,官報と日刊新聞紙の二重公告をすれば個別催告を省略するという現行制度はそのまま維持して,それとは別に,官報と会社があらかじめ登記した電子媒体,これは必ずしも先ほどの第1のBとかDの要件を満たしている必要はない,自社ホームページでもいい,証明もなくてもいい前提ですが,それに掲載すれば個別催告をすることを要しないとしてはどうかというのが,ロでございます。   参考資料1をあわせて事前送付させていただいておりますけれども,比喩的に分かりやすいように整理してみたのが,参考資料1の,各考え方のポイントというペーパーですが,要するに,イというのは,官報は紙と電子と二本立てになりますから,紙1+電子1の公告で省略を認めるということになります。それに対して,ロというのは,官報公告がされますので,官報が紙1+電子1で,それに,第1で御議論いただいたBとかDのようなきちっとした電子公告ではないけれども,電子的な検索ができるような形にするということで,1.5というふうに書いているのが,ロでございます。それから,ハは,紙1+電子2ということになります。   現行の個別催告を省略できる場合というのは,官報と日刊新聞紙の双方に公告をした場合ですので,今は紙2ですけれども,電子官報制度ができますと,官報自体が紙1+電子1ということになりますから,合わせると紙2+電子1ということになって,現行制度をそのまま残しておくと,合併の場合は紙2+電子1で個別催告が省略できると。それと,電子2も同じだとすれば,紙1+電子2になるというのが,ハの考え方でございます。ただ,電子2というのが余り意味がないのではないか,逆に言えば紙2にも余り意味がないのではないかというふうに考えますと,紙1,電子1でイになる。その中間をとればロになるということでございます。   これが合併の場合でございます。   次に,3ページでございますが,2番目の,現在個別催告の省略が認められていない事項をどう考えるかということでございます。これは,資本減少,法定準備金減少,会社分割につきまして分割会社がするものなど,いろいろございます。それは,「会社が行う公告の種類・内容」という一覧表の1ページから2ページにかけて,個別催告の省略が認められていないものとしてイからリまで掲げておりますが,それらでございます。   これについても,甲というのが,先ほどの1のイと同じもので,乙の①がロと同じもので,乙の②がハと同じものでございます。それにプラスして丙という考え方を掲げておりますが,この丙という考え方は,参考資料1の方を見ていただきますと,「アドレス登録方式」と書いておりまして,ほかの考え方とやや発想が違うわけですけれども,会社がアドレス登録欄というものを例えば自社ホームページに設けておいて,そこにアドレス登録をした債権者に対しては個別に催告をすると。これは,もちろん自分のメールアドレスを登録することになりますので,電子的な催告をするということになるわけですけれども,ほかの,甲と乙①②というのは催告自体をしないというものですので,そこが丙と甲・乙の違うところでございます。   これを2の方にだけ掲げていますのは,1の方は既に現行法で,紙2の公告で個別催告は省略されていますので,アドレス登録方式というのを認めるということは,現行法よりもより厳しくなるといいますか,合併しようとする会社にとっては厳しくなるということになりますので,それはまずいだろうということで,丙に相当する考え方は掲げていないわけでございます   なお,では丙と甲・乙の違いがどの程度あるかということですけれども,先ほど○○委員からも,帝国データバンクとか,そういういろいろな業者の話が出ましたけれども,恐らく,そういう情報提供を業とする会社は,仮に丙のような制度が導入されないで,甲とか乙という制度になった場合には,あらかじめ自分の依頼者から依頼を受けていれば,調査先の会社について何らかの公告が行われた場合には,こういう公告がされましたよということをタイムリーにお客さんに通知するということを業として行うのだろうと思われます。したがいまして,丙と甲・乙の違いというのは,通知をする費用をどちらが持つのか。つまり,帝国データバンクに頼めば,その分お金を払わなければいけないわけですが,丙の制度を採用すれば,お金を払わなくても,登録しておけば会社側から通知が来るという,その違いということでございます。   ここで御議論いただかなければならない事項かなと思っておりますことを若干申し上げておきますと,現行法は,合併と減資では債権者が受ける不利益の程度が違うという前提で,合併については二重の公告をすれば個別催告は省略できるけれども,減資の方はだめだという考え方をとっているわけですけれども,そういう,差が違うという考え方を維持するのかどうかと。維持するとすれば,仮に1についてイをとったとしても,2について甲をとることはできない,同じはまずいということになるのだろうと思います。例えば,1でイをとれば,2では乙の①なり②をとることになろうかと思います。あるいは丙をとるのかもしれません。更に言えば,減資の場合は個別催告の省略は認められないというふうになるのかもしれないと思います。   それから,もう一つ御議論いただかなければなりませんのは,3ページの一番最後のところに(注)をつけてございますが,公告事項ごとに分けて考えるかどうかということでございます。   今,個別催告の省略が認められていない公告は,株式会社関係でいいますと,新設分割,分割する会社の吸収分割,資本減少・準備金減少,清算の場合,それから資本減少を伴う組織変更の場合と,あとは外国会社関係ですけれども,代表者が退任する場合の債権者に対する公告とか,日本における財産の清算関係の公告ですね。それから継続取引の中止の公告,これも清算につながりますので,清算の公告の一種といっていいと思います。   ここであるいは幾つか仕分けが可能かもしれないのでございまして,まず,会社分割の場合の分割会社がする公告は,これは減資や法定準備金の減少とはかなり意味合いが違うわけでございます。つまり,会社分割において分割会社がする公告につきましては,分割に伴って承継会社に移転することとなる債権の債権者にとりましては,分割に異議を述べないと,債務者の交代,いわゆる免責的債務引受けの効果が発生するということになっています。これは商法の374条ノ10の第2項,それから第374条ノ26の第2項でございます。ですから,債権者は,個別催告を受けて,異議を述べないと,自分の債務者が変わってしまうという,そういう意味があります。そこが資本減少や準備金減少とは違うということになりますので,減資などと比べても債権者の不利益の度合いはより高いということが,あるいは言えるのかもしれないと思います。そうすると,それについては資本減少よりも厳格な手続を要求するということも一つ考えられるのかもしれないと思います。   それから,更に,この会社が行う公告の中に,清算関係の公告がございます。これはいわゆる債権届出で,倒産手続でいうと債権届出のための公告に相当するものですので,これを省略してよいのかどうかというのは,これまた資本減少などと比べると厳密に考える必要があるのかもしれないと思います。   したがって,そういう,公告内容で不利益の程度,内容が異なるということとの関係をどう考えるかということもあわせて御議論いただければと思っております。   なお,第2の1と2に共通する問題ですけれども,第2の1のロと,第2の2の乙①につきまして,先ほど,1.5ということを申し上げましたけれども,この0.5の部分については,Bでいうところの証明機関の証明とか,あるいはDでいうところの登録なり認可なりを受けた機関による公告ということは要求されないということになります。ところが,合併にせよ,資本減少にせよ,これは後で登記しなければならないことになりますので,その分の0.5を法律で定めましても,その0.5の部分については自己証明にならざるを得なくなる。先ほど,自己証明はまずかろうということでAは落としていただいたわけですけれども,第1のAを落としたのであるとすると,この第2のところも,ロとか乙の①は落とすことになるのかどうかということをあわせて御議論いただく必要があろうかと思います。   次に,3に移らせていただきますが,3は,いろいろ書いておりますけれども,これも参考資料1の方を御覧いただいた方が分かりやすいと思います。   aが,第2の1のイに相当するので,紙1+電子1と。それから,bが,官報+電子公告の場合には紙1+電子2,官報+日刊新聞紙という形をとれば紙2+電子1という関係になる。それから,cが,アドレス登録方式で,第2の2の丙と同じものでございます。ですから,ここでは,独立で書いていますのは,dの,個別通知を省略することができないものとするとの考え方というものでございます。   第2の1は,もう既に官報と日刊新聞紙の双方に公告すれば個別催告の省略が認められていますので,個別催告の省略を認めないものとするという考え方はちょっととり得ないだろうと思います。第2の2については,もちろん個別催告を省略することができないという考え方をおとりいただくことは十分あり得ると思いますけれども,この3についてだけdをはっきり書きましたのは,その後の(注)に書いているような問題があるからでございます。   ちょっと読ませていただきますと,二つ問題があるわけですが,まず,一つ目として,会社から株主,登録質権者,記名社債権者への電磁的方法による通知につきましては,昨年秋の平成13年改正法により設けられました商法224条2項などの規定によりまして,株主などの承諾がないといけない,承諾があった場合にだけ電磁的方法による通知ができるということになっていて,そうでない場合は郵送の方式などによって個別に通知しなければならないということになっておりますのを,このaからcのどれかの考え方をとりますと,全く通知しなくてもよくなるか,あるいはcであればアドレス登録をした者にしか通知しなくていいということになって,平成13年改正法で考えられてきた,送られる側の利益を考えて,承諾をした場合でなければ電磁的方法による通知はしてはならないという考え方,これは商法だけではなくて,ほかのいろいろな法人法についてとられているわけですけれども,それを抜本的に変えることになるという問題があるというのが一つでございます。   二つ目の大きな問題といたしまして,第2の1とか2のような知れたる債権者に対する個別催告というのは,知れたる債権者の数が非常に多くなる場合があるということと,しかも金額の制限が別にないわけですから,非常に少額の債権者も,知れていれば,理屈上は送らなければいけない。実際は送っていないというふうに聞いていますけれども,送らなければいけないという問題があります。しかも,知れたる債権者というのはどこまで行けば知れているのかという微妙な問題,実務上厄介な問題があるわけですが,それに対して,株主とか登録質権者とか記名社債権者についてはそういう問題は一切ないわけで,株主名簿とか社債原簿によって誰がどこにいるのかということは把握されているし,その名簿上の住所等に送ればそれで会社は免責されるということにもなっているわけでございます。逆に,例えば株主の場合について考えてみますと,公告だけを受ける人というのは,株券を取得した--今度,株券不発行制度が採用されれば株式を取得したということになるわけですけれども,そういう取得はしたけれども名義書換をしていない人は公告だけになるわけですが,仮にこのaなりbなりの制度をとりますと,名義書換までした人でも個別通知はしてもらえないと。個別通知してもらえるのは何かというと,株主総会の招集通知だけということになるわけでございますが,それで本当にいいのだろうかという,そういう問題があろうかと思います。そこでdも掲げているということでございますので,この(注)についても十分御議論をいただければと思っております。   それから,第3の有限会社の問題ですけれども,第3の1が,第2の1のイからハまでと同様の考え方があるがどうかと。第3の2が,これは資本減少とか,そういうものですけれども,第2の2の甲から丙までと同様の考え方があるがどうかというふうに書いてございます。3だけは独立に書いてございますが,これは,有限会社の場合には,もともと定款で公告の方法を定めるということにはなっていない,つまり,公告は,普段であれば会社の掲示板に掲示したって構わないということになっていますのを,一定の場合だけ定款で定めて,その方法でやればいいという形になっていますので,書き方を少し変えていますけれども,中身的には,3のⅰが第2の3のaに相当し,ⅱが第2の3のbに相当するというふうに対応する。したがって,中身は株式会社の場合と全く同じものでございます。   ここでは,有限会社と株式会社の違いが,個別催告あるいは個別通知で何らかの差異を設けるべきかどうかということを御審議いただくことになろうと思いますけれども,私ども事務局でこれまで考えたところでは,どうも株式会社か有限会社かで区別する理由は余り見当たらないのではないかというふうに思っております。   最後に,(後注)でございます。   合名会社・合資会社のする手続で,合併と任意清算の公告がございます。これは,「会社が行う公告の種類・内容」というペーパーの1ページ目の,「官報公告に併せて「知レタル債権者」に対する個別催告もしなければならないものとされているもの」のうちの(二)の「個別催告の省略が認められていないもの」のイとロでございます。   これも種類が違いますが,任意清算の公告は,先ほどちょっと御説明いたしましたように,株式会社・有限会社の清算の場合と同じ問題ですけれども,そう簡単に省略は認めにくい問題かなという気がいたします。他方,合併につきましては,株式会社・有限会社については,二重の公告をすれば個別催告の省略が認められるわけですけれども,これは平成9年の商法改正で導入されたものですが,その際,合名会社・合資会社の合併の場合にはそういう省略という制度は導入されなかったわけでございます。   その際,なぜ合名・合資については導入されなかったかということについて,当時の立法担当官の解説を見ますと,二つ理由が挙がっております。   一つは,合名・合資会社が,物的会社つまり株式会社・有限会社と合併する場合は,合併後の会社は物的会社でなければならないという規制がございます。それとの兼ね合いで,無限責任社員がいなくなる場合が生ずるので,物的会社と合併する場合に個別催告の省略をするのは妥当でないと考えたというのが一つ挙がっております。   では,合名会社同士の合併の場合なら問題ないのかということですけれども,そちらにつきましては,合名・合資会社というのは,物的会社に比べると規模も小さくて,債権者の数もそれほど多くないので,わざわざ新聞公告という非常にお金のかかるものまでして個別催告を省略する合理性がないという説明がされておりますが,その説明をなお維持するのかどうかと。もしも維持しないとすれば,どういうふうに取り扱うべきかということを御審議いただきたいというのが,(後注)でございます。 ● 第2と第3を御議論いただくわけですが,順次,第2の1から切って,一つ一つ御議論いただきたいと思っているのですが,ここでいつものとおり休憩をとりたいと思いますので,よろしくお願いいたします。   それでは,休憩に入ります。           (休     憩) ● それでは,予定の時間になりましたので,再開させていただきます。   まず,第2の1から御議論いただきたいと思います。   説明するまでもありませんけれども,平成9年の改正でしたでしょうか,合併の改正の際に,知れたる債権者に対する通知は,官報に加えて日刊新聞紙に公告すれば個別催告を省略できるという制度になったわけでありますが,この電子化の関係で,その日刊新聞紙という要件と別の方法も認めることはできないかというのが論点であります。   イは,官報が,電子官報というものがくっつきますので,それだけでよいのではないかという考え方。   ロは,その官報公告に加えて,プラスアルファですが,特に第三者の証明のない電子的な方法をプラスすればよいのではないかと。   ハは,官報公告と電子公告--この電子公告の内容は,先ほど御議論いただきましたように,BかDか,これは決まっていないわけですけれども,どちらか今後決まるもの,それを行ったときでもよいということにしてはどうかというのが,ハでございます。   最初に,先ほどもありましたが,○○委員から御意見を事前にいただいておりますので,まず,それを紹介していただいて,それから皆様に御議論いただきたいと思います。 ● それでは,本日御欠席の○○委員からちょうだいした御意見を披露させていただきます。   ○○委員は,思い切ってイ,つまり電子官報も含む官報公告だけにするというのも一つの魅力的な考え方なのではないかと。ただ,それにこだわりはしないということです。ただ,ロは,その0.5の電子公告の部分が何らの証明もされないという関係で,登記との関係でやはり問題があるのではないかということで,イがだめならハではないかという御意見でございました。 ● それでは,皆様の御意見をどうぞお願いいたします。 ● 理屈から考えたら,紙という手段を残さない,要するに新聞のかわりというふうに考えますと,ハであれば普通満足水準でしょうねというふうになると思うのです。でも,ハに行くと電子二つでしょうということになりまして,そうすると何のためにやっているのか本当にわけが分からないので,これはやはり,実務界としては,ただ単にこんなことをやって意味があるのかということになるので,そうすると,イではだめなんですかということを逆に法曹界の方々に聞いてみて,それでどうしてもという理由がなければ,是非イでお願いしたいなというところが本音のところだと思うのですけれども。 ● 私の理解でいきますと,電子官報の場合は見るのにお金がかかると。お金を払わなくても見られる期間がほんの短い期間あるようですけれども。少なくともこの間御説明いただいたのはですね。今の日刊新聞は,普通,新聞はとっていますから,ぱっと見れば,これはただで知り得る機会はあったと。そういう点が違いかなと私は理解しておりますけれども。 ● 今,○○委員がお話になったことをちょっと敷えんして申し上げますと,第1回の部会の際に○○関係官から御説明いただいたときの資料がございますが,それをお持ちの方は,2と書いてあるページでございますが,官報検索サービスというものが有料になっておりまして,検索サービスも受けようと思いますと,月額2,000円払うことになると。ですから,ロとかハに意味があるとすると,先ほど○○委員がおっしゃられましたように,民間の部分はただ--ただといっても,インターネットには加入していなければいけないわけですけれども,それは官報の方も同じですので,それさえしていれば,あとはネットサーフィンすれば公告にたどり着けるという,それが違うということになろうかと思います。 ● その電子2の部分が,今御説明いただきましたので違うんじゃないかなと。特に検索の仕方が全然違うかと思います。   第1回目に電子公告の御説明をいただいたとき,正に有料ですと。電子官報での検索と,ネット上の検索,例えばgoogleを使って検索をするのとは,全く位置づけが違うのではないかと。つまり,簡単に探せるのと,電子官報の方は有料ということもあります。そうすると,この電子2というのは,単純に二つ並列するのではなくて,全く違うものと理解した方がいいのではないかと思って,それで私も先ほどの御質問に対する疑問で手を上げようとしただけですので,結構でございます。   ちょっと質問が違ってしまうのですが,BをとるかDをとるかというところを決めないでこちらに入っているのですが,Bをとった場合,ホームページプラス第三者機関,Bでは自社のホームページでも第三者機関で掲出されていることが証明できればいいという要件を満たしますので,BをとるのとDをとるのとでは,こちらでの位置づけもちょっと違うのではないかなという印象があるのですが。というのは,そうすると,Bというのは,実はロ・プラス第三者の証明ということになりますよね。それで,登記の申請の場合はいずれにしろ証明が必要になる。登記事項であれば証明が添付されなければいけないわけですから。Bは,むしろロ・プラスアルファ程度の意味なのかなというふうに整理できるのかと思ったものですから,それで質問させていただきました。 ● ロ・プラスアルファともいえますが,結局,第三者の証明がないのをロといっております。Bの形でも,とにかく証明があるものは,ここではハというふうに整理してあると,そういうことだと思います。 ● 整理だけの問題ですので,結構でございます。 ● おっしゃるように,ロ・プラスアルファというふうにも位置づけられます。 ● ここで検討する前提として,そもそも合併,後で議論する減資の場合でも,外国では個別の通知は要求していない国が多いというふうに物の本に書いてありまして,この際,もう一挙にそういう政策へ踏み出すということであれば,いいという方向がとれてくると思うのですが,ここでの御検討は,そこまでの思想の変更までは考えていないということなんですかね。仮にイの方向へ行くと,通知をするかどうかだけではなくて,異議申立制度全体を見直すという必要もあるのかなと。それはしないでも,もう思想を根本的に変える……。 ● それはむしろ第2の2の問題ではないかと。この第2の1は,一応もう個別催告をしない制度は既にある問題でありますから,その論点は確かにあるのですが,それはむしろ第2の2で御提起いただいた方がいいのではないかという気がしますが。 ● そうすると,1の方では……。 ● 一応,現在のような,日刊新聞に出せば個別催告はしなくていいと。 ● それと同等のものをどういうふうに考えるかと。 ● 同等でなければいけないかどうかというのは,その程度の微妙な話は,ここでしていただいても結構ですので。 ● そうすると,考え方としては,基本は,○○委員の言われたようなハの方がよりオーソドックスなのではないかなという気がしますね。 ● 産業界側の意見といたしましては,イの官報公告のみを行うということにも賛成でございますし,ロの官報公告プラス登記,電子媒体掲載というものでもよろしいのではないかというのが,意見でございます。 ● そうしますと,ハはまずいということでございますね。 ● ハは,第1がA案になるのであればハでもいいということです。 ● やはり,ハは,○○委員から冒頭にお話がございましたように,電子が二つというのがちょっと引っかかります。それと,定款というのは,やはりどうしても,実務を考えますと,ちょっと負担がしんどいかなと。このために定款変更,あるいは定款に制定ということから入らなければなりませんので,ロと。もちろん,イが最上,極上なんですが,それが問題ありとすれば,次のロというところで是非御採用願いたいなというふうに考えております。 ● ロは,○○委員もおっしゃっていましたけれども,0.5という部分がどうも一人歩きしてくるのではないかという感じがありまして,どうかなという感じがいたします。   イでもいいと思うのですけれども,ここに案に出ていないのですが,丙のアドレス登録というのは,この第2の1に入れてもいいんじゃないかと。強化と本当に言えるんだろうかと。つまり,債権者が登録してくれば通知すると。確かに平成9年の改正では,そこは個別の催告は要らないということにしたわけですが,そのときには,こういう手段というのは必ずしも想定して議論されていたわけではないと思いますので。ですから,この際は,イにした上で,債権者が登録してくればそちらに催告するという組み合わせもあり得るのかなという感じもしたのですが,これは必ずしも強化ということでは……。 ● 論理的にはあり得るのですが,それは言ってみれば,丙でないとこの第2の1も認めないという御議論ですよね。 ● いや,丙があった方がいいかなと私は思ったと……。 ● 自発的にするのは恐らく構わないわけでありまして,問題は,第2の1についても丙を強制するのかどうか。 ● 登録すれば催告しなければならないと書くかどうかということですね。 ● そうです。そういうことになってくると思います。 ● その程度がいいのではないかと思うんですけれどね。 ● 今,○○委員がおっしゃられたとおりだと思うのですが,つまり,現在,平成9年改正後は,官報と日刊新聞紙という二つの公告さえすれば個別催告は一切しなくていいということになっているわけですね。○○委員がおっしゃるのは,電子公告をした場合だけのことなのか,それとも,官報と日刊新聞紙で公告をした場合についても,アドレス登録をした者には個別催告をしなければならないとするのかどうかという問題があろうかと思いまして,恐らく,電子の場合と紙2本の場合で違う取扱いというのも変な話ですから,やるとすれば両方に要るのではないでしょうか。そうだとすると,今よりも規制を厳しくするということになると思いますが。 ● いや,○○委員も,電子を強制するということはないんだと思うのですね。今みたいに官報と日刊新聞紙だけという選択も恐らく認められるとは思うのですけれども,電子を採用したら丙まで強制しろと。 ● 差がありますかね。 ● 毒食わば皿までという。というお考えだと思います。   ○○委員,○○委員のように,会社側からすればイがいいとおっしゃるのはあれですけれども,債権者側から見ますと,やはり……。債権者もどうせ企業だろうとは言えるんですけれどね。だから,金払って官報に入りなさい,月2,000円払いなさいということも,それは論理的には考えられるのかなと。余り一般消費者的なものは想定しなくていいのかもしれません。 ● 私もそこが分からないのですけれども,印刷局の方が出ておられますから,後で教えていただきたいのですけれども,今,官報の場合,当然紙でございますから,これはもちろん有料という形になっているわけですけれども,私の記憶が間違っていたらまた訂正していただきたいのですけれども,インターネットで見る場合の検索サービスということと--検索サービスというのは,実は昭和20年代以降のもの全部の検索という話。要するに,今,2,000円という中で織り込んでいるのはですね。それと別途,検索サービスなしで官報の紙面だけ,これは今試験的ということですけれども,官報の紙面だけネット上で見られるというサービスがあるわけです。私もちょっとよく覚えていないのは,ネットのサービス,要するに紙の官報を買っている人,ですから月々の定期購読料を払っている人がネットで官報を見ようとしたときに,付加的な料金がほとんどかかっていなかったのではないかと思うのですけれども,そうであるとすると,今は,官報以外のものは無料で,官報の方は有料だというふうな認識で議論されていますけれども,そこは今の状況と基本的に変わるということではないんじゃないかというふうな,そういう印象で聞いておりました。   ちょっとここのところ,印刷局の方から,まず,事実関係がどうなっているかというのを教えていただければと思いますが。 ● 前回御説明しました資料の2ページのところに購読料というものがございますけれども,基本料金は月額1,520円。これは定期購読者割引ということで無料です。日付検索による基本的な閲覧が可能と。これはなぜ日付検索かといいますと,紙の官報はページ単位で作ってありますので,一応官報と全く同じということで,値段を設定しました。検索料金の方は月額料金が2,000円。ですから,現在官報をとっていただいている方は,480円払っていただければ,日付検索に加えて記事単位の検索が可能になるということで,あくまでも紙の料金をベースにして,機能分だけ実費でいただくような価格設定にしてあります。 ● よろしゅうございますか。   要するに,官報をとっている人にとっては,○○委員がおっしゃったように,ノミナル,400幾らでありますけれども,この資料によりますと,無料で見られる期間は当日を含めて1週間でありまして,現在の公告期間というのは普通1か月以上あるわけですね,それとはちょっと違ってくる。だから,無料で見られるのは1週間だけだということであります。 ● そのもう一つの前提ですけれども,要は,電子官報以外の電子的な公告の場合は無料という前提で今は議論がされているわけですけれども,そこはそう認識してしまってよろしいのでしょうか。   といいますのは,客観性あるいは証明の問題が一番初めから議論になっているわけですけれども,改ざんの恐れというのは,先ほどもありましたように,電子的なものである以上避けられないわけですね。その場合に,無制限に,要するにだれでも不特定多数がアクセスできるという話になってくると,改ざんの可能性は高い。もう一つは,特定の者,要するに不特定多数でない特定多数がアクセスできるということになれば,改ざんの可能性は高いということで,この新しい電子公告の制度を導入するときの一つの考え方として,あらかじめ登録したことによって,登録した者のみがアクセスできるという,そういう選択肢がゼロではないわけですね。   そのときに,果たして有料なのか無料なのかという議論はあるんだと思います。これは今これから作り上げていこうとするものですから,果たしてどういう制度になるか分からないわけですけれども,正に官報は有料であります,官報以外の電子公告というのは無料でありますという,それを所与のものとして今議論してしまってよいのかどうかというのが,私自身はそこは分かりませんけれども,若干そこのところは頭に置いて議論をする必要があるのではないかと思っています。   ただ,いずれにしても,一方は無料です,電子官報の方は有料ですということであれば,どちらも全く同等であるということであれば,私はイの方が,非常に分かりやすくて,よいのかなというふうに思っておりましたけれども,そこは料金に格差があるということであれば,イではなくて,ロというのは中途半端でございますから,ハという方向に,私自身としても賛成をせざるを得ないかなというのが印象でございます。 ● B案にしましてもD案にしましても,これは,見る方,株主,債権者側は無料で見られるということは当然の前提になっていたのではないかというふうに思います。見る方が料金を払って見るということは恐らく考えていなかったと思います。   イを支持する案,それから,ロでもいいんじゃないかとか,それから,ハという三つが出ておりますが,やはりイは,少なくとも今よりは債権者側にとって不利ではないかと。官報に入らないと1週間しか情報にアクセスできる期間がないというのは,これは明らかに現在より不利でありまして,それでもよいかという話になってくると思います。○○委員が先ほど言われたように,債権者側の保護を実質現在よりももっと切り下げてもよいのかという話にはなってくると思います。それで,ロやハだと,どこまでやれば同等なのかと,そういうことなのではないかと思いますが。 ● 平成9年の商法改正のときに,合併等における個別催告を省略する際には,仮に以前定款で公告媒体を官報と定めている会社であっても,時事に関する日刊新聞を公告媒体とかえることによって個別催告を省略するという手続を事実上要求したというのが,立法の過程の中であったわけでありますが,その趣旨というのは,やはり官報というものが一般的に利用が非常に多くはないと。あるいは,とりわけ有料な官報にお金を払ってそれを非常に頻繁に見ているということが実態としては少ないということが前提になっていたのだと思いますので,今回の改正の趣旨を,今,○○委員が言われたのと全く同じことになりますが,その9年の改正を更に一歩進めるという価値判断をとるのか,それとも,純然たる9年の改正を維持したまま,9年のときに言っていた,時事に関する日刊新聞にかわり得るものとしてどういうものを認めるのかというところを議論しなければいけないのだと思いますが,恐らく後者の方が,当時,その改正を教壇で学生たちに説明していたときの説明のイメージから考えると,やはり何かプラスアルファのものがないと,官報だけでは個別催告の省略はできないのだという判断がその立法者の中にはあるんだということは,まだ必ずしも否定できないのではないだろうかというふうに私自身は思います。 ● イの制度になれば企業はみんな官報をとるようになるということも,それは論理的には考えられないではないのですが,ちょっと難しいかなという気はしますけれども。   先ほど,○○委員,○○委員からは,できればイ,しかしそれが無理ならロということでありましたけれども,ロはちょっと,単に第三者の証明がないものを持ってくるということでは,登記の問題もありますし,やはり難しいのではないかという気がいたします。だから,イかハということにならざるを得ないのではないかという気がいたしますが,ロは落とすということではいかがでしょうか。--ということでよろしゅうございますか。   それでは,イかハかということは予想されたことですけれども,会社側と債権者側は--債権者といっても実は企業ではないかと私は思っていますけれども,若干利害の対立がありますので,まだ今日は絞らないということにして,先に進みたいと思いますが,それでよろしいでしょうか。   第2の2について御議論いただきたいと思います。これも相当大きな問題でありますけれども,現在は個別催告の省略が許されていない問題について,一定の電子的な措置をとれば個別催告の省略を認めることはどうかという問いでありますが,これも○○委員から意見が出ておりますので。 ● ○○委員からの御意見は,乙の②か,丙か,いずれかではないかと。ただ,どちらがいいのか迷っているという御意見でございました。どちらかを会社は選べるということも考えられるかもしれないということもおっしゃっておられます。ただし,分割会社が会社分割に際して行う公告については,やはり資本減少や準備金減少よりも厳格であるべきで,最低限丙になるのではないかという御意見でございました。 ● ややこだわっているのですけれども,そもそも電子公告をするということと個別催告を廃止することというのは全然違う議論ではないかという気がしていまして。   電子的に個別通知をするという手段が確保されている中で,個別催告をやめるとかやるとかという話であればやや理解しやすいのですけれども,案を見ていますと,もうそういう時代ではないんだと。個別催告そのものが議論の対象なので,この際もっけの幸いで議論してしまおうということなので,例えば,乙という選択肢が出てきて,官報と日刊紙をやれば,あと電子的に何かやっておけば個別催告はやめてしまおうということで言うと,今までの,日刊新聞なんかに載せていたとしても個別催告は要るんだと言っていた商法の考え方をやや改めて,日刊紙と官報と,それプラス何かアルファ,アルファの手段は別に完璧でなくてもいいのだと。例えば,丙をとると,eメールアドレスを持っていて,なおかつ,わざわざeメールアドレスを登録した人のみに通知するということですから,さはさりながら個別催告をするということになると,知れたる人にはすべてやるということですから,先ほど出ていましたけれども,1円の人でもやらなければいけないんじゃないかという議論になって,そこはコストとの兼ね合いでどういうリスクになるとかいう議論もしていろいろ物事が行われているわけですので,この際ジャンプしてしまおうという発想があって,ここに選択肢が書かれているというふうに理解すればよろしいのでしょうか。 ● ジャンプするかどうかを御審議いただきたいと思って書いているわけでございます。   先ほど○○委員からお話がありましたように,資本減少の場合に債権者保護手続をする,とりわけ個別催告をするというのは,先進諸国でも比較的例がないものでございます。これは○○委員の教科書に書いていただいているのですけれども,アメリカにおきましてはもともと資本維持の原則というもの自体がございませんので,債権者保護手続はないと。ドイツの場合は,実質的減資の場合には債権者保護手続が必要だけれども,形式上の減資の場合には債権者保護手続はないと。フランスもドイツと同じようなやり方であると。   そういう中で,日本は,形式的減資であっても債権者保護手続が要るという,現在からいうと比較的変わった制度であるということも事実ですので,そこもあわせて……。だから,場合によっては,形式的減資の場合は--先般の改正で,形式的減資か実質的減資かが分かるように決議公告がされるということになりましたので--例えばここでいうと甲だけれども,実質的減資なら丙だとか,あるいは個別催告が要るとか,ここはいろいろバリエーションを持って考えていただいていいと思っています。 ● 今,事務当局から説明があったところ,それから○○委員から問題提起されたところですけれども,ドイツ等については,例えば減資の場合について債権者保護手続をそもそも行うかどうかということについて,日本よりも緩い,かつ,債権者保護手続がある場合でも,○○委員がおっしゃったように個別催告はないんですね。あれは,減資決議がなされたということを登記いたしますと,登記に公告が--日本では公告しないことになっていますけれども,登記に当然公告がついておりまして,公告がなされる。それだけで債権者保護手続は終わります。ですから,○○委員がおっしゃるように,もう個別催告をやめてもいいという話なのかといいますと,今の官報にプラスアルファがあれば個別催告をやめてもいいのではないかという思想がこの案に入っていることは事実であります。 ● 丙案の位置づけなのですけれども,今お話が出ていましたが,これは書面による催告をすべて電子メールによる催告にかえるのではなくて,登録した方だけにするということだと思いますが,非常に中途半端な印象を持っております。一方で,登録を義務づけるわけではないのですね。登録した人はと,登録するかどうかは任意にされている。今後の運用でもって登録も義務づけるのであれば何となく分かるのですが,登録は義務づけないで,事実上,登録した方だけの義務づけになると,当該この個別催告をしたということをまた登記の際の添付書類か何かで証明してつけることになると思うのですが,それが,登録している人のリストも出していただいて云々ということになるわけですよね。何となく中途半端に感じましたので,ちょっと丙というのは……。サービスで通知するというお話が先ほど出ましたが,それなら別段法律で決めることではないのですけれども,義務づけをする前提が,任意の登録と。通常の書面による催告では,権利者,義務者,少なくとも債権者の住所はそれぞれ会社が把握しているだろうと,当然把握していることを前提に個別の書面で通知をするということになっているわけですけれども,それが分かっていても,電子メールのところを登録した任意の登録だけでその人にするというのは,ちょっと説明がつかないんじゃないかなというふうに思うものですから。 ● それは全然そんなことはないと思います。つまり,債権者は,自分の権利を守るかどうかは自分が自由に考えればいいので,債権者に登録するように義務づけるという,これはおかしいと思うのです。債権者は,通知が送られてくるようにしたければ登録すればいいので,自分で公告見るから要らないよという人は,別に登録しなくても構わないというだけのことで,しかし,登録した人にはちゃんと通知はしなければなりませんと,こういうものです。   ここで問題なのは,債権者は,先ほど○○委員がおっしゃられたように基本的に企業でしょうから,eメールアドレスぐらいは持っているだろうという前提が丙にはあるわけですけれども,果たしてそうではない,おじいさん,おばあさんで何か商売をやっているというような人で,パソコンを持っていないというような人は,これはeメールアドレスがないわけですから,登録しようがないので,公告を見なければいけないと。しかし,公告も,電子公告の方は見ようがありませんから,官報を見る以外ないということになってしまうという,そういうのがどれぐらいあるのかということが実際に問題ですけれども,一応,議論していする必要があるものとしてはそういうものがあろうかとは思います。ただ,債権者に登録を義務づけるというのは,それは無理だと思いますし,債権者が自分の身を守りたければ自分で登録すればいいと思います。 ● 私は,権利を保護するための義務づけということを話したかったのではなくて,ある意味で,一定のときの事実,登録したという事実だけを把握して,その者だけに通知するというのが,座りが悪いなと。   つまり,私がお話ししたかったのは,自分の権利を守るためには権利者として何をすべきだというところを,登録するかどうかは自由だといって,事実上,権利を守りたければ登録しなさいということになるわけですが,その発想というのが,今までの--債権者ということでは,そもそも把握しているという前提に立っている,会社の方としては住所は把握しているわけですよね。それは別に,常に住所を届け出なさいとか,そういうことを発想しているわけではない,事実として把握している。そしてそれにそのままにしていたのを,今回,ワンクッションの登録を任意ではめるというのが,何となく座りが悪いなと,そういう意味で申し上げているわけです。 ● 先ほどから出ている実質論と絡まるのですけれども,現在は,とにかくすべての債権者に通知しろということになっていまして,そうすると,1円の債権者にも,法的には恐らく通知しなければいけないということになっているのですが,それが合理的な制度だと思っている人は余りいないのではないかと。そこで,自分は通知してもらいたい人なのかどうかを,これは債権者の方からあれするという,そういう制度なんだろうと。   逆に,例えば1,000万円以上の債権者には通知すべきだとか,そういう制度は,立て方としてはあると思いますけれども,それは相当ドラスチックな話なので,ちょっとこの部会では難しいから,ここでは電子絡みの話でそれにかわるような話が出てきているのではないかと私は理解しております。 ● もう1点だけ。   これは今後の制度の立て方だと思うのですが,電子メールを登録する場合,その電子メールというのは,会社の代表というようなイメージでの登録ではなくて,個人の,例えば当該部署の担当者が登録しているという場合もあり得るわけですよね。それを,あくまで,会社としては代表メールを決めて,それを登録するのだという制度にすれば別だとは思うのですけれども,基本的には個別に,人ごとに付与されるメールだと。そうすると,仮にそれで代替するのだというと,その個人に対する通知で会社に対する通知にかわってしまうということになりかねないんじゃないかなというのもちょっと危ぐしますので,その点も一応触れておきたいとは思います。 ● それは恐らく,届け出られたところに通知すれば,少なくとも会社側としては免責されると,こういう話ではないでしょうかね。 ● 従前の個別通知も,常に本社の代表者あてに送るのではなくて,個々の担当に送っているというのも認識しておりますけれども,何となく,メールの属人的な部分と,これを債権者への催告と代替するというところに非常に抵抗があるものですから,お話しさせていただいただけですので。 ● 現行法が資本減少などについて個別催告の省略を認めていないというのは,○○幹事の御説明にもございましたように,資本減少などについては債権者を害する危険が一般的には大きいからだというように考えられてきたのだと思います。その考え方には合理性があると思いますので,合併の場合と資本減少などとの場合で債権者保護手続について差を設けることについては合理性があるのではないかと思うのですけれども,どういう差を設けるかということで,お示しいただいた案では,公告の仕方で差をつけるということになっているわけですけれども,公告の媒体を何本にしても,実質的に個別催告にはやはり代替できないであろうと。   したがって,先ほどからお話が出ていますように,この際一気に,もう債権者保護は後退させてもいいんだという選択をするのも一つだと思いますけれども,やはり債権者保護を,実質的にはできるだけ現在のレベルを維持したいと考えるのであれば,公告の仕方で差をつけるのではなくて,全く別の観点ですね,ちょっと私が一つ思い当たりましたのは,例えば,債権者を害するおそれがなければ個別催告を省略してよろしいというような別の要件で絞りをかけるというようなこともあるいは検討に値するのではないかと。つまり,資本減少とか会社分割でも債権者を害しない場合はあるので,そういう場合は合併と同じレベルでよろしいと。ですから,合併についてイとかハをとるのであればイとかハでいいけれども,債権者を害するおそれがない場合に限ると。現行法のもとでは,債権者を害するおそれがなくても公告とか個別催告は必要で,単に,その債権者が異議申立てをしてきたときに弁済とか担保提供しなくてよろしいということになっているだけですけれども,それを債権者保護手続の入口の方にも及ぼして,債権者を害するおそれがなかったら合併と同レベルの個別催告の省略を認めてよろしいというのも一つの考え方ではないかなと思ったのですけれども。   その差のつけ方が,公告の仕方で差をつけるというのが,どうも私,どれほど合理的かという気がいたしまして……。 ● 恐らく,公告の仕方で差をつけているのは,登記のときの形式的審査主義と絡まっているのではないかと思いますが,では,登記の際に,おっしゃるような実質的に害するおそれがあるというのはどうして証明するんだというような問題があるのではないかという気がしますが。 ● 現行法のもとでの,債権者を害するおそれがなくても公告・個別催告をさせているというのは,思うに,異議申立てをさせるためではないと思うのです。異議を申し立てたって,それは無視されるわけですから,無視されるような異議を申し立てるための機会を与えているのではなくて,後から自分が害されたと思った債権者が無効の訴えを起こせるようにということで,早い時期に,資本減少とか会社分割があったことを教えるという機能だけだと。ですから,そういう要件を加えるのであれば,実質的に今の債権者保護のレベルを下げずに個別催告を認められるのではないかなと,少し思っただけであります。また更に考えさせていただきます。 ● 今,○○幹事から,債権者を害するおそれがあるかと。害するおそれがあるかというのを少し客観化させるようにしようとしますと,例えば金額が一切無視されているとか,形式減資か実質減資かで差がないとか,それから,公開会社の場合ですと,例えば合併とか減資とか分割とかあれば,これはタイムリーな情報開示というのがあって,それで,企業である債権者は,これはどういう対応をしなければいけないかなということを自分なりに対応していくことも期待できるだろうと思うのです。   ですから,そういう意味では,形式減資かとか,金額の問題とか,タイムリーな情報開示がなされている会社かそうでない会社かとか,恐らくそういうのが,害するおそれというものを実質化させるというか,形式基準化するということの意味かなと,こういうような気もいたします。   そういう意味では,全くそういう条件がないような場合,つまり公告事項ごとに分けるというのは,これは,先ほど,○○委員も,分割の場合については丙だというふうにおっしゃっていましたけれども,あるいは,今のように,閉鎖的な会社とか,そういう会社の場合は,分かっている範囲もそんなに広いわけではありませんし,やはり,知っていれば,しかも形式減資ではなくて,かつ,金額もそんな,1円でもというのではないような縛りがあれば,そこは残しておいてもいいのかなという感じもいたします。   だけれども,今のように一律に無条件に要求するというのは行き過ぎているのかなという感じはいたしますが,それは,もうちょっときめ細かく絞れないものかなという感じがあります。 ● きめ細かく絞る御意見は,それは結構なんですが,その場合,どういうものに対してどういう電子的手段を要求するかということなんですが。 ● 公開会社で有価証券報告書提出会社,あるいは取引所で上場してタイムリー・ディスクローズをやっている会社とか,店頭登録会社とか,そういう会社ですね。   あとは,金額は,これは幾らというわけにはいかないのでしょうけれども,何らかの金額を基準にするとか……。 ● 公開会社として,○○委員は,どれを。甲,乙,丙があって,乙は①,②とありますが。 ● 公開会社であれば,その場合で丙という感じですね。公開会社ですと,情報が大体把握されているはずですから,自ら登録して,個別催告してくれと,こういう行動が期待できるのではないかなと。 ● これは,第2の1の方でどう決まるかにもよるので。第2の1より軽いという御意見は恐らくないと思うのです。   こちらの方が重くすると。 ● 債権者保護手続の在り方について,公開会社と閉鎖会社で区別するという,そこの理由をもうちょっとお教えいただけないでしょうか。公開会社だと何で軽くしていいのかというのがよく分からないのですけれども。 ● タイムリーな情報開示がなされているので,企業である債権者にとっては,自らを守る可能性が広いと,そのぐらいだろうと思うのですけれども。 ● 現状を変えるんだからという意見もあると思いますが。 ● あらかじめ登記したところに登録をしておくというのですが,減資なんかいつ行われるか分かりませんよね。だから,いつにしておくんですかね。債権者に通知するという手段として,こんな電子メールという簡単なのができたんやから,もうどんな場合でもこういうそこには通知するんやとか,そういうふうならいっそよく分かるのですが,合併のときはせんといて,このときだけするというのは,ああ,資本減少ありそうやな,言うたらいかんけど危ないなというようなところだけしておくのか。いつするんでしょうかね。 ● ですから,丹念にチェックしていって……,でも,分かったら……。そうですね,それで検索して,減資するということが分かったら,別に通知してもらう必要もないですね。 ● ないですね。ですから,いつするんかなと。 ● 済みません,アドレス登録についてアイデアを出した関係上。   私たちが考えていたことは,特にこの減資について登録するとかいうイメージは全く持っておりませんで,債権を取得した時点で,これから先いろいろなことが起こるだろうから,ホームページにアクセスして,あらかじめ電子登録はしておくと。そして,減資が起ころうと分割が起ころうと,一番最初に一回登録しておけば,その後は自動的にその通知が送られてくると。それが,パソコンであったり,場合によっては携帯電話であったり,何でもタイムリーにどんどんメールが送られてくるというイメージでここに記載しております。 ● 定款で電子公告をすると決めたら,そういうアドレスを届け出るあれをを開かなければいかんという,そういうことですかね。 ● 念のために,債権者の側に登録しておかなければね,何でも。そういうことですね。 ● ですから,合併の場合も同じにすれば……。 ● 筋は通りますね。何でも。   でも,それは,債権者ばかりそんなに大事にせんと,株主も大事にしてほしいですよね。株主も登録しておけば常に送ってもらえると,これが一番いいんじゃないでしょうか。 ● ちょっと理由にならない理由なんですが,御趣旨はそれなりに分かるのですけれども,会社の実務から考えますと,やはり,今,先生方の御意見にありますように,個別管理,個別対応というものを余り殊更以上に導入してしまいますと,会社としては非常に煩雑になりますし,非常に苦慮する部分が……。例えば,この登録一つとっても,ひどいじゃないか,おまえの方が悪いんだ,いや,私の方は悪くありませんという話から始まって,いろいろな場面が予想されますし,この個別というのは,代弁者になればなるほど,正直言ってちょっとしんどいなという気分はあるのは事実でございます。ただ,株主総会等で,もう制度として入れているじゃないかと,こう御指摘いただければ,またそれはそれで受けるところではあるのですけれども,なかなかこれは,動かすとなると,個別管理方式,あるいはメールアドレス登録方式というのはしんどくなるなというのは,正直言って否めないと思います。 ● 私もちょっとこの丙は若干気になっていますのは,今,○○関係官が説明されたような手続にならざるを得ないと思うのですけれども,そうすると,まじめな債権者は登録はすると思うのです。しかし,債権がなくなっても登録をやめたりはしない。しっ放しで,どんどんフォルダの中の登録が増える一方で,あと,債権者がいなくなったかどうかチェックして会社側の方で消さなければいけないということになるとすれば,それはちょっと大変なことは大変なのかもしれないという感じは受けておりますけれども。   ○○幹事,うなずいておられますけれども,やはりそういう問題はありますか。 ● そうじゃないかなと思いました。 ● おっしゃるように,この制度をやったら,債権が存在しない場合には会社側が抹消できるという権限を与えなければいけないので,間違えて消したら,○○委員もおっしゃったように紛争になり得る。そういう意味では,かなり管理が大変ですね。 ● ついでに追加させていただけるのであれば,電子メールアドレス自体がかなり変動する可能性が。今,いろいろな新しいシステムになりますと,ちょっと変更とかという,それがちょっと登録がずれてしまって,連絡がなかったとか,あったとか,そういう話も起こってくるので,比較的管理が難しいんじゃないかなという印象を,この丙案に対しては感じています。 ● 乙の①は,先ほど消したロと同じなのですが,もしロを消すと,乙の①も消すという話になるのですが,特に乙の①は絶対維持すべきだという御意見がありますでしょうか。   それから,甲については,第2の1でイだという,○○委員,○○委員のあれだと,論理的可能性としてはあるのですけれども,これもやはりそういうお考えですか。できれば甲がいいと。 ● そうは考えておりますけれども,整合性ということもございますので,乙の①とか,柔軟には考えたいと思います。 ● 少なくとも会社分割は,債権者を害する可能性は恐らく減資より大きいんですね。減資の場合も,会社がつぶれるような減資は,それはよほどの,もう会社がつぶれると分かってから駆け込み的にやるということはあり得ますけれども,経営者が会社がつぶれるような減資をするとは余り考えられないのですが,会社分割の方は恐らくあるわけですね。戦後すぐに,○○なり○○が分割された場合のような場合はですね。あれは,○○,○○のままならばまず絶対貸倒れにはならなかったでしょうが,恐らく幾つかはつぶれて,幾つかは貸倒れになったんだと思うのですけれども,これは恐らく一番危ない。ですから,恐らく会社分割について甲ということは会社もおっしゃらないのではないかというふうに私は期待いたしますが。 ● 清算はどうですかね。 ● やはり清算はなかなか,これは債権が失権してしまうことにつながるから,省略というのはまず不可能だろうという気がするんですよね。 ● それはヨーロッパも,恐らく清算はみんな個別催告していると思うんですね。   清算は個別催告維持ということでよろしいでしょうか。恐らく個別催告しない国は余りないのではないかと思いますので。   丙については,いろいろ,これは実際上難しいのではないかという御意見も出ましたけれども,なお支持する御意見もありましたので,残しておいてよろしいですかね。 ● 結局,通知による債権者保護をこの際やめようというのはなかなかどうも難しそうだということですから,そうなると,合併の場合に個別通知の省略を認めているのとどれが同じように言えるかということなので,そういう意味では,先ほども示唆されたような,形式的な減資あたりで分けるというのも,会社の資産が直に流失するかワンクッションあるのかで分けるというのも一つの分け方ではないかなというふうに思いましたけれども。 ● そうしますと,会社分割とか実質上の減資は,○○委員は,結論としては……。 ● 実質上の減資も,おっしゃったように,じゃあ直ちにつぶれるかというと,一般的には可能性は小さいわけで,そこで合併と同じ程度の危険だというふうなことが言えるとすれば,もう減資丸ごと……。 ● 合併とそろえるということですか。 ● その実体はもう一つという判断がつきますから。 ● 第2の1でどう決めるかにもよるわけですけれどね。第2の1にそろえてもいいのではないかと,そういう御意見だというふうに理解してよろしいですか。   そういうふうに幾つか分けなければいけないものもありますが,第2の1がどう結論が決まるかにもかかっていますので,それぐらいでよろしいですかね。   それでは,第2の3に移っていただきたいと思いますが,これは,株主に対する個別通知等が要求されている場合,典型的には株主割当増資とか,そういうケースだと思いますが,その場合に,例えば電子公告だけでもいいというようなことも考えられるのかというような問題であります。これはいかがでしょうか。 ● ちょっと済みません。先ほど○○委員から,いみじくも,株主は登録しているんだから通知してもらわなければというお話がございまして,何となく,そうかなという気もしているのですけれども,いかがでしょうか。 ● これは金額的に1円とかいう話ではないわけで,会社の方は把握しておりますし,名義書換えなり口座簿の書換えをしたのに,おまえは電子公告にアクセスしていなかったから権利が消滅しましたよと言われていいのかというようなことでありますので,これはb,個別通知は省略できないということになるのではないかと思いますが,いかがでしょうか。 ● 一応産業界の意見を言わせていただきますと,個別通知の問題につきましてはa案に賛成でございます。あるいはbでもよいという意見でございます。一応意見を言わせていただきました。 ● 余りここで強いことを言われますと,前の方も説得力がなくなってきますのでね。とにかくハードラインで押せということだけお考えなんじゃないかという気も……。   では,これはもうdで御異論はなかったという理解でよろしいでしょうか。 ● 済みません,意見というより,言わずもがななんだろうと思いますが,確認させていただければということですけれども,株券の不発行がもし実現していくような中においては,現在,個別通知というのは券面に係ることがかなり多いのですけれども,当然それは平仄が合うという理解でよろしいですよね。 ● 前回,株券の不発行の第1次試案の御審議をいただいたわけですが,そのときに,「各種公告制度の適用除外等」という項目があったのですけれども,第1の3の(2)という。それで,株券提供のための公告とか通知というのは,株券提供というのは要らないわけですから,それはなくなって,それにかわるものとして,例えば株式併合しようとする場合には,いつ株式併合の効力が生ずるのかというようなことを公告すると。ただし,新株引受権や新株予約権で未行使のものがないときは,これも名義株主だけですので,公告にかえて通知をするということでもいいというような,そういう案を出しております。   なお,その新しい振替制度を利用する,主として公開会社になるわけですけれども,公開会社の取扱いについては更に検討するということで御了解をいただいたかと思いますけれども。 ● よろしゅうございますか。   それでは,先に進ませていただきまして,第3,有限会社についてでありますけれども,これは,株式会社の方が決まれば,大体それにパラレルに決めていいのではないかというのが,先ほどの事務当局からの説明だったかと思いますが,何かそれについて,いや,ちょっと違うんではないかという御意見等がありましたら,どうぞお願いしたいと思います。   大体そういうことだというふうに理解してよろしいでしょうか。株式会社の方が決まれば自動的に決まる問題だというふうな理解でよろしいでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,御了承いただいたということにさせていただきます。   それでは,最後に,最後のページの最後に(後注)というのが出ています。これまで,合名会社と合資会社の債権者に対する合併及び任意清算の公告については個別催告の省略が認められていなかったわけでありますが,電子公告制度の導入に伴って,個別催告を省略する場合を認めるべきかどうかという問題であります。これは主として合併の場合ということだと思いますけれども,これについてはいかがでしょうか。   従来の説明は,人的会社と物的会社が合併すると物的会社になることが強制されている,それは債権者の利害状況が変わってくるというようなこと,それから,債権者の数も少ないから通知を要求してもいいのではないかと,そういうことだったようでありますが,この点,御意見をいただければと思いますが。 ● ○○委員からちょうだいいたしました意見は,合名・合資会社については,とりあえず当部会では現状維持で行ってもいいのではないかと。ただし,別途,現代化部会で,全体の会社制度の整合性を持った見直しということが行われていますので,そちらで検討した方がいいのではないかという,そういう御意見でございました。 ● ということでございます。   合名会社・合資会社,頭の中で考えれば,債権者は少ないだろう,だから電子公告なんかするよりは個別通知をするんではないかとも言えますが,しかし,合資会社などについては,しにせの造り酒屋は合資会社ということがまだ結構あるとか何とかいう話もありまして,本当にそう言い切れるのかという問題はあるかと思いますが,いかがでしょうか。何か御意見ございますか。 ● 今,○○委員からお話がありましたけれども,現在の合併の場合の二重の公告というのは,官報公告と日刊新聞紙の公告なわけですね。官報公告は,この間たしか料金もお示しいただいたと思いますけれども,それほど高くないのですけれども,日刊新聞紙の公告は,普通サイズで100万は下らない,ちょっと大きいとすぐ200万を超えるわけで,そういうことも考慮して,平成9年の改正では,合名・合資については,日刊新聞紙に公告する200万があれば通知した方がいいのではないかというふうに考えたのだと思います。しかし,電子公告は,それの100分の1までになるのかどうか分かりませんけれども,それよりはるかに安い金でできることになるのではないかと期待しておりまして,それを経済界も期待しておられると思うのですけれども,そうするとちょっと話が違ってくるのかなという気もしないではないのですけれども。 ● これは,まだ株式会社・有限会社についてどういう措置にするか決めていないわけですから,最終結論は出ないのですけれども,そういうところまで個別通知を緩和してよいかという,そういう問題だと御理解いただければと思いますが。   人的会社の合併は株式会社の場合と利害状況が違うかということですね。電子公告をしたいというような規模になると,そんなに株式会社と違わないのかもしれないですよね。人的に無限責任を負っている人が一人いるはずだといっても,実はそんなに……,人的会社であれば個人から取れたけれども,物的会社になったらがらっとそれが変わるというような話かなという疑問は持ちますけれどね。つまり,電子公告をしたいというようなところならば,余り物的会社と変わらないのではないかと。つまり,個別催告に非常にこだわる必要があるのかなという気もするのですけれどね。   ○○幹事は中小会社にお詳しいですよね。 ● 今後,例えばドイツなんかにありますようなG.m.b.H.&Co.K.Gみたいな,外側が人的会社で中に有限会社がくっついているみたいな……,要するに,今度,現代化の方で,企業形態の中に,株式会社自身が無限責任社員になることができるというようにもし改正しますと,かなり巨大な人的会社というのが出てくる可能性がありますので,それは議論がどうなるか全く分かりませんけれども,そういったような場合には,かなり大きなものもイメージできるのではないだろうかと。ちょっとまだ,そのあたり全然決まっていませんので,何とも……。   今の状況だと,余り必要性はないのかなという感じはします。 ● 大きなものが出てくるようであれば,もし株式会社の方が電子公告ということになるなら,こちらもしてもいいのではないかという御意見ですね。   特にほかに御意見ありますでしょうか。感じだけでも結構ですが。 ● 前の方に幾つか選択肢がありましたよね。選択肢のまま残っておりますので,その選択肢のうちのどこを選択するかというときに,合名・合資については多少違うかなと。ちょっと具体的には言えないのですけれども。 ● その点は,まだ確定的には決まらないのですが,個別催告をやめていいかどうか,およそ個別催告は絶対にやめさせないという御意見があるかどうか。 ● いや,それはそうとも限らないと思いますけれども。 ● では,少し柔軟に考える余地は残して,株式会社等が決まった後,改めて考えてみるということでよろしいでしょうかね。 ● 任意清算の公告については,これは今までどおり個別催告ということですね。 ● そうですね。これは株式会社についても個別催告は省略できないという結論だったかと思いますので,これは同じになるのではないかと。   これで一通り,本日予定した検討事項の審議はいたしたわけでありますので,必ずしも一つに絞ることはできませんでしたが,これで本日の会議は終えることにしたいと思いますが,それでよろしいでしょうか。   それでは,最後に,次回の予定について,事務当局から御説明いただきます。 ● 次回は,来年になります。1月22日,水曜日,午後1時30分からでございますが,場所は本日と異なりまして,法曹会館の「高砂の間」でございますので,お間違いのないようにお願いいたします。   次回の審議事項でございますが,今回とは異なりまして,前回御議論いただきました株券不発行制度につきまして,前回の御審議の結果を踏まえまして所要の修正を加えました第2次案を作りまして,それについて更に御審議をいただきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。   なお,今日御審議いただきました電子公告につきましては,この次の2月の部会の際に,試案の形にしたものを御審議いただきたいと思っています。落としていただいた部分を落として,また,一部修正しなければいけないところは修正をし,更に第2の2の部分につきましては,公告事項によって3も考えなければならないということでございましたので,それも踏まえて,どの程度のものができるか,もとが分かれるものですから,順列組合せにすると膨大な案ができるわけですけれども,できるだけ簡潔な試案の形にしたものを作って,それを2月に御審議いただきたいと思っています。   もう一回申しますが,次回は,株券の不発行制度の方の第2次案の御審議をいただきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。   本日はどうもありがとうございました。 ● それでは,閉会いたします。長時間どうもありがとうございました。 -了-