日本司法支援センター評価委員会 第55回会議 議事録 第1 日 時  平成30年2月15日(木)    自 午前10時00分                          至 午前11時52分 第2 場 所  東京地方検察庁刑事部会議室(中央合同庁舎6号館A棟5階) 第3 議 事  (1) 日本司法支援センターの第4期中期目標(案)について  (2) 日本司法支援センターの第4期中期計画(案)について  (3) 日本司法支援センターの役員退職手当規程の変更について  (4) 「日本司法支援センターの役員の退職金に係る業績勘案率の決定方法について」の改訂について 議        事 伊藤委員長 おはようございます。   定刻でございますので,ただいまから日本司法支援センター評価委員会第55回会議を開催いたします。   皆様方におかれましては,御多忙のところをお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。   ただいまの時点で,本日は9名の委員の御出席をいただいておりますので,定足数であります過半数の出席要件を満たしていることを確認いたします。   それでは,本日の議事につきまして,まず事務局から説明をお願いいたします。 山口参事官 事務局から御説明いたします。   お手元にお配りしておりますクリアファイルの中に議事次第,進行予定,出席者名簿,配席図と,併せまして一番最後に,横置きの「法教育事業についての整理(イメージ)」との表題の資料を入れておりますので,御確認ください。   なお,最後の「法教育事業についての整理」の資料は,後ほど中期計画(案)の御説明の際に使用する予定の資料でございます。   本日は,お手元の議事次第にあります,議事1から4について御審議いただきます。   議事1と議事2につきましては,御案内のとおり,法テラスは来年度から第4期中期目標期間を迎えますことから,法務大臣において,新たに第4期中期目標を策定し,また,これに基づいて法テラスが作成する第4期中期計画を認可する必要があります。そして,中期目標の策定と中期計画の認可に当たりましては,総合法律支援法により,あらかじめ評価委員会の意見を聴かなければならないとされておりますため,本日,御意見を伺うものでございます。   次に,議事3につきましては,今般,法テラスにおいて,役員退職手当規程を変更し,その届出がなされましたことから,当該変更について,評価委員会の御意見の有無をお諮りするものでございます。   最後に,議事4は,法テラス役員の退職金の算定の基礎となる業績勘案率の決定方法に関する評価委員会の規程について,改訂のお諮りをするものでございます。   議事についての説明は以上でございます。 伊藤委員長 ただいま事務局から説明がございました議事次第に沿いまして,順次,委員会の審議をいただきたいと思いますが,よろしゅうございますか。  (各委員了承)   それでは,そのように進めたいと存じます。   引き続きまして,本日の配布資料について,事務局から説明をお願いいたします。 山口参事官 それでは,お手元の資料の御確認をお願いいたします。   まず,本日の配布資料は,お手元の水色のファイルにつづっております。   表紙をめくって1枚目に,配布資料目録を入れております。この目録に記載がありますとおり,資料1として「第4期中期目標(案)」,資料2として「第4期中期計画(案)」,資料3として「役員退職手当規程」,資料4として「日本司法支援センターの役員の退職金に係る業績勘案率の決定方法について(案)」を順につづっております。   次に,ピンク色のファイルの本日の議事に関する参考資料を御覧ください。   資料A-1からA-3までは,中期目標及び中期計画に関する参考資料です。資料A-1は,第4期の中期目標(案)と中期計画(案)を項目ごとに対照させた対照表です。資料A-2は,昨年8月の評価委員会で御意見をいただいた上,法務大臣において発出しました,いわゆる「見直し意見」,資料A-3は,中期目標及び中期計画に係る関係法令をまとめたものです。   次に,資料B-1とB-2は,議事3の役員退職手当規程の変更に関する参考資料です。資料B-1は,変更前後の新旧対照表であり,資料B-2は,関係法令を御参考として配布するものです。   最後に,資料Cは,議事4の役員の退職金に係る業績勘案率の決定方法に関する参考資料であり,改訂前の現在の規程を御参考として配布するものです。   これらの机上配布資料は,御議論の際に,適宜御参照いただければと思います。   資料の説明は以上ですが,欠落等がございましたら補充いたしますので,いつでもお申し出ください。  (佐藤委員が到着し,全委員出席となる。) 伊藤委員長 よろしゅうございましょうか。   先ほど事務局から説明がありました本日の議事のうち,議事2の第4期中期計画(案)と議事3の役員退職手当規程は法テラスの作成に係るものですので,本日の審議には法テラスの担当者にも出席していただき,必要に応じて説明や質問への対応などお願いすることとしていますので,この点も御了解いただければと思います。  (各委員了承)   それでは,議事の内容に入りたいと思います。   まず,議事1の中期目標(案)と議事2の中期計画(案)につきましては,項目がおおむね共通のものとなっておりますので,同時に議論することとしたいと存じます。また,これらは内容が多岐にわたりますので,第1から第7までございます中期目標(案)の大項目のうち,「第4 提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」までとこれに相当する中期計画(案)の部分を前半部分,「第5 業務運営の効率化に関する事項」以降とこれに相当する中期計画(案)の部分を後半部分として,大きく二つに分けて議論をすることとしたいと存じます。   そこで,まず中期目標(案)の前半部分について,事務局から説明をお願いいたします。 山口参事官 中期目標(案)の前半部分につきまして御説明いたしますので,お手元の水色のファイルの配布資料1の第4期中期目標(案)を御覧いただけますでしょうか。   まず,1ページから2ページにかけて記載しております大項目「第1 政策体系における法人の位置付け及び役割」につきましては,いわば前文でございまして,本年1月24日の改正総合法律支援法の全面施行に伴い,法テラスの業務が追加されたことや政府の方針等を踏まえ,法テラスに期待されている役割やその重要性について記載しております。   次に,2ページの大項目「第2 中期目標の期間」につきましては,総合法律支援法上,中期目標期間は3年以上5年以下の範囲内で法務大臣が決めることとされており,第4期中期目標期間につきましても,従前と同様,4年間と定めるものです。   続きまして,2ページから6ページにかけての大項目「第3 総合法律支援の充実のための措置に関する事項」につきまして,御説明いたします。   まず,2ページの「1 業務運営の基本的姿勢」は,第3期の内容を踏襲し,利用者の立場に立った業務運営や効率的で効果的な業務運営等を記載しております。   次に,3ページから5ページにかけての「2 組織の基盤整備等」におきましては,「(1)支援センターの職員」の「ア」として,一般職員の適正配置や能力の向上のための研修の実施等について記載しております。   なお,第3期中期目標では一般職員と常勤弁護士とを同一の項目としておりましたが,常勤弁護士の採用や配置に関しましては,一般職員とは異なる課題等も存在するため,第4期中期目標(案)では常勤弁護士に関する項目を分け,「イ 常勤弁護士の採用,配置及び資質の向上」として,人材の確保,配置人数の適正化,未配置地方事務所への配置の促進等を記載しております。   また,4ページでは,(2)として,法的ニーズへの対応に必要な一般契約弁護士・司法書士の確保を記載しており,5ページにかけての「(3)事務所の存置等」では,事務所の存置等の必要性についての不断の検討や,出張所,扶助・国選対応地域事務所,司法過疎地域事務所の見直し等について記載しております。   次に,5ページの下から6ページにかけて,「3 関係機関等との連携強化」を記載しております。この項目に関しては,6ページの指標の二つ目として,新たに,地方公共団体,福祉機関・団体への業務説明への実施回数を設定しております。これは,従前は法教育事業の指標としていたものを改め,関係機関連携の指標として整理したものでございます。   続いて,6ページから9ページにかけての大項目「第4 提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」につきまして,御説明いたします。   この大項目では,法テラスの各業務ごとに目標を記載しております。   まず,6ページから7ページにかけての「1 情報提供業務」では,(1)として適切な情報提供の実施を,(2)として法教育事業を記載しております。特に,法教育事業に関しましては,これまでの評価委員会での議論も踏まえ,法テラスとして取り組むべき法教育事業の内容や目標を具体的に定めることとし,指標につきましても,一般市民向け法教育企画の回数及び参加人数とすることとしております。   7ページの「2 民事法律扶助業務」については,高齢者・障害者をはじめ,自ら法的援助を求めることが期待できない者に対する適切な援助を行うことなどについて,「3 国選弁護等関連業務」については,迅速かつ確実に国選弁護人等の選任が行われる態勢の確保などについて,それぞれ記載しております。   8ページの「4 司法過疎対策業務」については,司法過疎地域事務所を設置していない地域における効率的で効果的な方策の検討とその実施について記載しております。   最後に,8ページから9ページにかけての「5 犯罪被害者支援業務」では,「(1)適切な支援・援助の実施」において,支援体制の整備やニーズに応じた適切な援助の実施等について記載するとともに,(2)として,被害者参加旅費等支給業務の適切な実施について記載しております。   中期目標(案)の前半部分についての説明は以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   それでは,続きまして,法テラスから,中期計画(案)の前半部分についての説明をお願いしたいと存じます。 河原部長 それでは,中期計画(案)の前半部分につきまして,法テラス本部総務部長の河原から御説明いたします。   中期計画(案)は,事務局から御説明がありました中期目標(案)の内容に基づいて作成しておりますので,中期目標(案)との対比が分かりやすいよう,机上配布されております資料の中期目標(案)・中期計画(案)項目別対照表を使い,ポイントを絞って御説明したいと思います。   ピンク色のファイルの机上配布資料A-1を御覧ください。   まず,1ページから2ページにかけての前文は,法テラスの設立経緯やこれまでの中期目標期間における取組,改正総合法律支援法による業務の追加等を踏まえて,今後求められる役割について記載したものです。   次に,2ページの大項目「Ⅰ 総合法律支援の充実のための措置に関する目標を達成するためとるべき措置」の「1 業務運営の基本的姿勢」は,中期目標(案)に対応し,(1)から(3)としまして,利用者の立場に立った業務遂行,利用者や外部有識者からの意見等に応じた業務改善,納税者視点での効率的・効果的な業務運営の実現等について記載しております。   2ページから3ページにかけての「(1)支援センターの職員」につきましては,中期目標(案)に対応し,これまで一般職員と常勤弁護士を区別なく記載しておりました項目を,「ア」の一般職員と「イ」の常勤弁護士とに分けて記載しています。   「ア」の一般職員に関しましては,中期目標(案)に沿って,業務量に応じた適正な配置,研修による能力向上につき記載しましたほか,3ページの上から5行目になりますが,採用について,真に必要な職員数を検証した上で必要な数の採用を行うとしております。   「イ」の常勤弁護士に関しましては,中期目標(案)に沿って,人材確保,配置人数の適正化,未配置事務所への配置等について記載しております。   なお,「ア」の末尾の常勤弁護士の給与について,「実務経験年数において同等の裁判官・検事の給与を参考にする。」との部分がありますが,これは第3期中期計画の記載を踏襲しております。   次に,4ページ,「(3)事務所の存置等」は,中期目標(案)に対応し,事務所の種別ごとの見直しについて,具体的な考慮要素を掲げ記載しております。例えば,「ウ 司法過疎地域事務所」では,2行目になりますが,当該地域の法律事務取扱業務量,実動弁護士数とその偏在状況などの要素を,見直しの際の考慮要素として掲げております。   次に,5ページの「3 関係機関との連携強化」や,5ページから7ページにかけての大項目「Ⅱ 提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置」につきましては,中期目標(案)における各業務の目標及び指標に沿って計画を記載しております。   このうち,特に5ページの「(2)法教育事業」につきましては,これまでの評価委員会での御議論を踏まえ,取組内容等を整理することとし,中期計画(案)でも5ページの下から3行目にありますとおり,「具体的な内容及び目標を定めた計画を策定した上で,同計画に基づいて一般市民向け法教育事業を実施する。」としております。この点に関しまして,担当部長から御説明いたします。 菅沼部長 第一事業部長兼情報提供課長の菅沼でございます。平成30年度以降の法教育事業について説明いたします。   議事次第とともにクリアファイルに入れてお配りした「法教育事業についての整理(イメージ)」と題する資料を御覧ください。   法テラスが取り組むべき法教育事業につきましては,これまで,評価委員会でも多々御意見,御指摘等をいただき,法テラスにおいても継続的に検討を重ねてまいりました。特に,主に関係機関向けに行われている業務説明を法教育事業の一環として位置付けるか否かについては,数年来,御意見をいただいてきたところです。   第4期中期計画の策定に当たり,評価委員会でのこれまでの御意見や御指摘を踏まえ,平成30年度以降の法教育事業の在り方について,資料「法教育事業についての整理(イメージ)」のとおり取りまとめ,第4期中期計画(案)に反映いたしました。   端的に申し上げますと,従前,一般市民向けのものと関係機関向けのものとが混在していた法教育事業の取組について,平成30年度以降は一般市民向けの取組のみを法教育事業として整理することとし,他方で,業務説明を含む関係機関向けの取組は,関係機関等との連携強化の項目で報告することといたしました。   このような整理を前提として,法教育事業において主とする取組は,一般市民向けのシンポジウム,イベント,講演・講座等,この資料で言いますと,青線の太枠で囲んだ部分としていきたいと考えております。   学校教育向けの取組や矯正施設での講話等は,スタッフ弁護士を中心に熱心に取り組んでいるところであり,今後も各地の実情に応じて実施していきますが,法テラスの主たる取組としては,さきに述べたとおり,一般市民向けのシンポジウム等を展開していきたいと考えております。   そして,平成30年度以降の年度計画におきましては,目標・指標として,これらの一般市民向けのシンポジウム等の開催回数を具体的に掲げ,これに基づいて事業を展開していきたいと考えております。具体的には,平成30年度計画を現在策定しているところでございますが,全地方事務所において1回以上,全体で合計100回の一般市民向けの法教育事業の実施を目標とする予定でございます。   法教育事業に関する説明は以上でございます。 河原部長 中期計画(案)の前半部分についての説明は以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいま中期目標(案)及び中期計画(案)のそれぞれ前半部分に関しまして説明がございましたが,それを前提にして,委員の皆様からの御意見あるいは御質問があれば,承りたいと思います。   増田委員,お願いします。 増田委員 法教育に関しまして,御説明ありがとうございました。   消費生活の面から申し上げますと,成年年齢引下げを目前に控えまして,今,法教育自体が非常に重要視されている状況であります。しかしながら,進んでないのが実態でありまして,学習指導要領が改訂されて順次実施される状況ですけれども,なかなか教員の先生方自体に御理解いただけてないということと,時間がないということで,やはり外部の専門家との連携が非常に重要だと思います。ただ,いろいろな組織が,消費者教育や法教育を行うに当たって,それぞれに実施しているけれども,そこの横のつながりがないために,効果的でないと評価されています。   例えば,法務省が実施している法教育,法テラスが実施する法教育,学校が実施する,自治体が実施する,事業者団体が実施する,消費者団体が実施する,さまざまな消費者教育がありますけれども,どこが何をやっているのかというのをお互いに知らず,コーディネートがされてないという状況があります。やはり,連携をしていただいた上で,どこをターゲットにして法テラスが法教育を実施するのかということを,内部だけではなく,外部にアピールしていただいて,見える形にしていただくのが非常に重要ではないかなと思っております。是非,よろしくお願いいたします。 伊藤委員長 ただいま増田委員から,学校教育向けの法教育に関する重要性と,そこでの課題についての御意見がございましたが,何か,法テラスの側から御説明ございますか。 鈴木事務局長 事務局長の鈴木からお答えさせていただきます。   法教育に関しましては,法務省で推進に関する協議会を設けていただいており,我々も参加しております。法教育の関係機関は,この協議会で共通の理解を持っているものと思っておりますが,今,増田委員がおっしゃいましたように,消費者教育のこともございますし,全体的なところは少し法務省に動いていただければありがたいと思うところですが,法テラスとしても,前に出しゃばり過ぎることのないようにしつつ,連携を図っていきたいと考えております。 伊藤委員長 重要な御指摘と思いますので,是非,今後ともそういった点に留意いただきたいと思います。   ほかにはいかがでしょうか。   山中委員,お願いします。 山中委員 事前に御説明いただいた際に,幾つか意見を申し上げて,全体的にはこのような内容で良いのかなという印象なのですが,一つだけ気になっておりますのは,常勤弁護士の採用・配置で,目標と計画の言い回し,表現が,ほぼ同じなのですよね。共通の問題意識を持って書いているから同じになるということかもしれませんが,要するに,常勤弁護士が,地元弁護士会の反対とか無理解とか,商売敵だ,営業妨害だみたいな受け止め方をされて,なかなか進まないところがあるのかと思います。   法的な支援を国民がすべからく身近に受けられるという体制が,法テラスの業務を離れて見ても,全体として整備されているということであればいいわけですし,あるいはそういう法的な支援を必要とするだけの各地域のニーズが,あえて法テラスの業務として常勤弁護士を配置するまでの必要がないということであれば,現状でもいいということになるわけです。しかし,地元弁護士会とのあつれきというか,調整が難航して,常勤弁護士を配置したいけれども,なかなか進まないという,非常に強い問題意識を持っていて同じ表現だとすると,計画のレベルで見ると,やや具体性に欠けているのではないかという気がするわけです。   平均的に眺めて,常勤弁護士は,まあ,ある程度配置されているということで,法テラスの設立目的から見ても,それほど大きな支障が生じているわけではないという御認識であれば,別にこれ以上,取り立てて深刻に考えて,より具体性のある表現にする必要もないのかなという気もするのですが,現状のその認識の度合いというと,お答えしづらいかもしれませんが,どのような認識なのでしょうか。従来どおりのスタンスで,話がついたところから,配置していけばいいということなのか,それとも,やはり地域によっては,相当腰を入れて地元との調整の取組をやっていかなければならないというところが幾つかあるのか,そのあたりの御認識を伺っておきたいと思います。 伊藤委員長 山中委員からは,常勤弁護士の配置の地域における具体的な必要性というものの認識についての御質問と,もしそういうものが存在するのであれば,やはり目標と計画という二つの概念を比べたときに,計画においてはより具体的な方向性・内容を示してしかるべきではないかという御指摘がございましたが,この点に関してはいかがでしょうか。   どうぞ,事務局からお願いいたします。 野田部付 司法法制部付の野田でございます。私から御説明させていただきます。   まず,山中委員から御質問がございました,常勤弁護士の未配置地域についてどう取り組んでいくべきと,法務省あるいは法テラスとして考えているのかという点でございますが,法テラスが設立された目的は,あまねく全国において,民事,刑事を問わず,弁護士等による法的サービスを受けられるようにするというところでございまして,また,そういった法的サービスを身近に受けられるようにすることが目的とされております。   その上で,常勤弁護士の役割としては,この中期目標(案)でも記載しておりますが,セーフティネットとしての役割もございまして,そうした観点から考えますと,常勤弁護士を全国に配置するのが相当であると法務省としては考えているところでございます。   したがいまして,今回の中期目標(案)におきましても,未配置地域への常勤弁護士の配置を目標として掲げているところでございます。   次に,御指摘いただきました中期目標(案)と中期計画(案)が同じ内容になっている点でございますが,中期目標(案)におきましても,単に未配置地域に配置しろと記載するだけではなく,今まで,この10年以上にわたって法テラスとしても配置に向けた取組をしてきたものの,なかなか地元弁護士会の理解等や協議が進まず,配置ができていないという現状がございますので,まずは,方向性として,中期目標(案)におきまして,地元弁護士会と協議をして,常勤弁護士の活動についての理解を求めましょうということを記載したところでございます。   これを更に具体化できれば,中期計画に記載するのが相当でございまして,その点の御指摘はごもっともではございますが,やはり各地域において,それぞれに弁護士会との関係があり,中期計画において,全国的にこうするとか,どこの地域ではこうする,といったことを記載するのは,現状において厳しいところがあると考えているところでございます。   方向性としては,地元弁護士会との協議を進め,また理解を求めつつ,全国に常勤弁護士を配置していく,これが法務省,法テラスの共通認識としているところでございますので,結論としては同じ文言となっているのですが,法テラスにおきましては,この中期計画(案)を前提に,個々の地域において具体的に配置に向けた取組を進めていただきたいと考えているところでございます。 鈴木事務局長 法テラスからお答えさせていただきます。   表現が同じになっているとの御指摘はそのとおりでございますが,昨年,財務省の予算執行調査でも,未配置の事務所については常勤弁護士を配置すべく対応するようにとの御指摘をいただいたところであり,この間,各地方事務所とも協議を始めておりまして,弁護士会との関係をどうするかについて,個別の話を始めているところでございます。配置に向けた活動は,これまでも続けてきたところですが,次年度に向けて活性化しようと考えております。   しかしながら,今,野田部付からも説明がございましたように,各地で,状況が少しずつ違っており,あるところは本部から直接弁護士会と協議してほしいという地域もございますし,他方で,もう少し地元で協議を進めるからちょっと待ってくれという地域もございます。また,特定の弁護士会の意見だけを聞くわけにもいきませんので,全体的な状況や,周辺地域の弁護士会あるいは地方事務所との比較等も示しながら,日弁連にも協力を求めて,交渉をしているところでございます。   表現ぶりはこのようになっておりますが,活動としては具体化する努力をしておりますので,御理解いただければと思っております。 伊藤委員長 山中委員,いかがでしょうか。 山中委員 非常に重要な課題として捉えておられるということはよく分かりました。なおかつ,未配置地域についての事情がいろいろ異なっている,そうそう具体的な記述にまでは至らないという事情もそうだろうなという気がします。   それで,法テラス設立から10年ちょっと経ってですね,要するに,振り返ってみて,あるいはこれから先を見通して,遅々として進んでこなかったのか,あるいは若干ではあるけれども明るい見通しが得られている地域もあるということなのか,その辺をお聞かせいただけますか。 鈴木事務局長 実は,先週,先々週と各地方事務所の所長と本部とで,この問題に関しまして協議をしてきました。その中で言われていることですが,10年経って,法テラス全体が弁護士会の会員に理解されてきた中で,当初のような法テラスとの関係をイメージしている会員は少なくなり,もう少し法テラスを活用したら良いのではないかという意見や,その中には,スタッフ弁護士を活用している弁護士会の例も聞こえてきておりますので,未配置地域でもスタッフ弁護士を活用したらどうかという声が出ていないわけではないのだと思っております。ただ一方で,そのような議論をしても大丈夫なのかという意見も,弁護士会の中の事情としてあるということもお聞きしております。   また,未配置地域は,やはりスタッフ弁護士がどういう活動をしてくれるのかが分からない,分からないから置かないという意見も強いように聞いております。そのため,スタッフ弁護士の活動についてもお知らせしていく必要があるだろうということで,地方事務所によっては,スタッフ弁護士を呼んで弁護士会と懇談を持つような機会を設ける試みを始めております。これまでなかなか進まなかったところですが,少し動きが見え始めていると思っているところでございます。 伊藤委員長 いかがでしょうか,よろしゅうございますか。 山中委員 はい。 伊藤委員長 それでは,池田委員,お願いいたします。 池田委員 おはようございます。   御説明ありがとうございました。   常勤弁護士のお話というのは,毎回,ここでも大変長い時間をかけて御議論があったり,御説明をいただいているところなのですけれども,その中でも業務効率を上げていかなければいけないということで,拝見している中期目標(案)には指標として,常勤弁護士1人当たりの事件処理件数を前年度比3%以上増加させるという指標が書かれております。まず最初の質問としては,これは法テラス全体での数字を把握し,フォローしていかれるということでしょうか。 野田部付 さようでございます。 池田委員 恐らく,業務分析をなさった中で,配置人数の適正化を図るべきところについて,ある程度目星もついていらっしゃる中で,何らかの指標が必要ということだとは思うんですけれども,法律に素人の私から見ましても,事件というのは,恐らく1件1件に,その重みですとか,処理にかかる時間・エネルギーは,実に様々なのではないかと思います。   特に,法テラスでお引き受けになられる案件については,一般の弁護士がお引き受けにならないような難しいものが多く,さらにその中にも随分バリエーションがあるのではないかと思うのですが,果たしてこの事件処理件数という指標が,効率化を図っていく上での,それから先ほどの未配置地域の問題もある中で,本当に指標として適当だとお考えなのかどうかをお伺いしたいと思います。 伊藤委員長 事務局からどうぞ。 野田部付 事務局から説明をさせていただきます。   池田委員から御指摘いただいた懸念は,正にそのとおりであると思っているところではございます。ただ,今回,この常勤弁護士の1人当たりの事件処理件数を指標として掲げさせていただきましたが,事件類型にはいろいろなものがございまして,大きく分類いたしましても,民事事件,刑事事件とございますので,そうした事件の類型ごとに,それぞれ1人当たりの事件処理件数を見ていきたいと思っております。したがいまして,民事事件や刑事事件を全て合算した事件処理件数を見るというわけではなくて,それぞれの事件類型ごとに見ていきたいと思っております。   また,事件処理件数を増やそうにも,当然,他動的な要因もございます。日本国内の全体の事件数がどうなるのかということもございますし,また,先ほど池田委員から御指摘がありましたように,難しい事件をやればそれだけ手間がかかりますので,そのような要因により相対的には事件処理件数が減るということもございます。   一方で,今回,財務省の予算執行調査もありましたけれども,各事務所ごとの事件処理件数を全国的に見たとき,事務所ごとでやはりばらつきというものが少なからずあるのは事実でございます。そのため,まずは,各地方事務所ごとの常勤弁護士の配置人数を適正化することで,1人当たりの事件処理件数は少なからず平準化されることになると考えております。法テラスが国費を投入して運営されている法人であるということも考えますと,1人当たりの事件処理件数が増える方向での平準化というものを少なからず図らなければならないと考えておりまして,こういった指標を設けているところでございます。   なお,事務所ごとのばらつきが解消された場合には,当然,その後も右肩上がりで1人当たりの事件処理件数を増やしていくというのは難しいことになりますので,次の第5期中期目標におきまして,こういった指標を設けるのかは,また別途考えることとしておりますけれども,この第4期中期目標におきましては,まずは,配置人数の適正化を図り,その上で方向性としては,1人当たりの事件処理件数を増やす方向に持っていくべきではないかと考えている次第です。   また,本項目につきましては,課題や他動的要因がいろいろとございますので,そうしたことも踏まえまして,「難易度:高」と設定させていただいているところでございます。 池田委員 多分,課題がいろいろおありだということは,私などより十分御存じの上で,効率化,配員の適正化の中で,一つの指標として,この指標を選ばれたんだろうなと推測いたしますけれども,例えば,常勤弁護士さんが,実際に事件処理のために使っている時間を一つの指標にするといった考え方はなかったのでしょうか。 野田部付 時間という観点は,今御指摘いただくまで想定していなかったものでございます。法テラスに確認しておりませんが,そうした時間というものについては,そもそも把握できるのかというところがございますので,やはり目に見えるものとなりますと,事件処理件数というのが一番分かりやすい数字としてはあるのかなと思っているところでございます。 池田委員 消費者の立場からすると,弁護士に御相談する,あるいは事件解決に携わっていただくと,時間というのが,かかる費用の一つのベースになっているような気がいたしますので,そもそも常勤弁護士の方々が使われているお時間というのは,やっぱり把握していかれるべきなんじゃないかと思うのですけれども。 鈴木事務局長 法テラスとして,今おっしゃったように,タイムチャージの報酬制度をとっているわけではございませんので,件数単位の報酬請求になるものですから,時間での把握はしておりません。また,裁量労働制という仕組をとっており,勤務時間が何時から何時までというような形にもなっていないものですから,その辺は,結構深夜まで働いたりしているのは聞いておりますけれども,把握をしてないところでございます。 池田委員 分かりました。   きっと皆様いろいろお考えになってらっしゃるのだと思うのですが,私どもも視察でお邪魔した幾つかの事務所の常勤弁護士の皆さんは,本当に時間を問わず働いて,少しでも御相談に来られている方々の法的な問題の解決に当たってらっしゃるという印象を強く受けておりますので,決して無駄な時間を使っていらっしゃるとは思いませんが,今後,本当に適正な人員をどう置いていくかということの指標の一つとしては,事件処理件数だけで見ていくというのは,ひょっとするとバイアスがかかってしまったりする可能性があるのではないかなと思いますので,引き続き,何が一番適正な指標なのか御検討いただいた方が良いのかなという印象を持ちました。 伊藤委員長 ありがとうございます。   池田委員がおっしゃるように,この第4期の目標・計画においては,事件処理件数という指標を立てておりますけれども,将来,そのような指標がそのまま維持できるのか,それとも,やはり違った視点を持たなければいけないのかは課題だと思いますので,よろしくそのあたりは御考慮いただければと思います。   ほかにはいかがでしょうか。   どうぞ,黒田委員。 黒田委員 黒田です。   一つお尋ねしたいのは,事務所の設置の件なのですが,中期目標(案)の中で,不断の検討をするというのは大変結構なことだと思います。   それから,中期計画(案)の中でも,それと整合した考え方が出ておるのですが,私が考えますにも,法テラスには十数年の歴史があり,運営の効率化という視点からいろいろな考え方もあろうかと思いますけれども,利用者・国民サイドから見て,本当に公平な分布になっているのかどうか。例えば,司法過疎地域は皆,本当に公平に事務所等の設置があるのかどうか。こういうことは,一番最初にいろいろな検討があったのだろうと思いますけれども,そういうものを見直してもいいのではないかと感じるのが一点です。   それから,中期計画の中で,考え方がまだよく分からないのですが,事務所の設置基準についてですね。僕は十分に理解できていないのですが,もう少し透明性のある形で,運営者側からではなくて,利用者から見て,公平な分布になっているのかどうかという基準を,もう少し積極的に明示化していくことが,中期計画の中で必要になってくるのではないかと思うのです。今見る限り,中期計画(案)では,その部分に少し曖昧模糊とした感じがあるのかなという印象を受けていますので,その辺をこの中期計画の中でどういう対応されていくのかという点について,もう少し具体的にお話をいただきたいと思うのですが。 伊藤委員長 事務局からどうぞ。 野田部付 事務局から説明をさせていただきます。   2点御質問いただきましたところ,まず一つ目は,事務所の存置等で記載させていただいている内容が効率化の方向ばかりではないかという御指摘でございましたけれども,項目自体は「事務所の存置等」としておりますが,内容といたしましては,存置・移設・設置の必要性ということで,新設することも当然考えております。黒田委員から御指摘がありましたけれども,特に,司法過疎地域事務所につきましては,まだ司法過疎地として事務所を設置すべきところがあるのではないかという御指摘はもっともであり,法テラスにおいて,その点についても不断に検討していただいて,必要な地には新たに事務所を設置する,ということも当然に念頭に置いているものでございます。そのため,設置に関しましては,引き続き設置基準を設定するように,ということを記載しているところでございます。   次に,二つ目の,設置基準についての具体化という御指摘の点でございますが,中期計画(案)を見ていただきますと,「事務所の存置等」の「ウ」の司法過疎地域事務所のところの一文目としまして,統廃合を含めた見直しの考え方を記載しておりますが,「なお」以下で設置につきましても,上記要素ということで,当該地域の法律事務取扱業務量,実働弁護士数とその偏在状況,実働弁護士1人当たりの人口,公設事務所の設置状況などを考えるということにしております。   また,法テラスにおきましては,司法過疎地域事務所を設置するかどうかを検討するに当たっては,こうした要素のほか,近隣する地方事務所や支部からの距離といった要素も考慮して検討されているものと承知しておりますので,利用者の利便性という観点も考慮した上で,設置するかどうかの判断をしているものと認識しているところでございます。 鈴木事務局長 私からも説明させていただきます。中期計画(案)では,設置に係る具体的な検討体制や意思決定のプロセスの明確化も記載しておりまして,黒田委員の御指摘は重く受けとめていきたいと思っておりますし,設置をしないというわけではございませんので,利用者目線で頑張っていきたいと思っております。 伊藤委員長 いかがでしょうか。 黒田委員 よく理解できました。   確かに,一つの物的な基盤を整備するとなると,そのことによって運営の面,あるいは専門家の面,いろんな要素が複雑に絡んできて,大変なことではあろうと思いますけれども,常に法律の趣旨にのっとって,国民サイド・利用者サイドの視点で,組織の整備を図っていくということに御留意いただければと思っております。ありがとうございました。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ほかに御意見ございますでしょうか。   池亀委員,どうぞ。 池亀委員 事前に御説明いただいた総括調査票を拝見しまして,先ほどの事務所の存置ですとか,あるいは常勤弁護士の配置などについては,この調査票を参考にして取り組んでいかれるのだろうなということで,結構隅から隅まで読ませていただいて,ある程度理解をさせていただいたところです。   また,地元弁護士会との交渉ができていない状況だったということについて,なぜなのかなと思ったことについても,先ほど事務局長のほうから御説明がありましたので,承知したところです。   一つだけ,私の勉強不足かと思うのですが,民事法律扶助業務を中心に取り扱う出張所があり,民事法律扶助と国選弁護事件を取り扱う弁護士が少ない地域で,主にこれらを取り扱う扶助・国選事務所があると書かれていて,この二つの事務所が同じ県内に,近間に設置されているというような現状はあったりするのでしょうか。というのは,この説明だけ見ると,この二つの事務所は同じような業務を取り扱うようにも思いますので,これらはどういう関係にあるのかなと疑問に思ったところです。 伊藤委員長 事務局から,お願いします。 野田部付 事務局から説明させていただきます。   御指摘いただいたのは,法テラスが設けている事務所のうち,出張所と扶助・国選対応地域事務所の違いに関するものと理解させていただきましたが,大きく違うところで申し上げますと,出張所には常勤弁護士を配置しておりません。出張所の扱いとしましては,地方事務所において民事法律扶助の相談の申込みの受付や審査などを行っているわけですけれども,出張所でも,それを行うということになります。また,出張所では,センター相談も行っておりますが,出張所はあくまで法テラスの地方事務所の民事法律扶助業務の事務的な作業を行う場として設置しているものでございます。   一方で,扶助・国選対応地域事務所につきましては,弁護士が一定数いるため,司法過疎地域とまでは言えないのですが,事件数が多いために一般の契約弁護士だけでは対応できない地域に常勤弁護士を置くということで,扶助・国選対応地域事務所を設置しているところでございます。 鈴木事務局長 場所的には,出張所は東京と大阪にあり,あとは被災地の出張所になります。扶助・国選対応事務所は全国で4カ所あり,熊谷,松本,佐世保,それから下妻の4カ所になっておりまして,いずれも過疎とまでは言えないのですが,必要性があって設置しているところでございます。 池亀委員 扶助・国選対応事務所と出張所とは,別のものという理解でよろしいのですね。ありがとうございました。 伊藤委員長 ありがとうございました。   佐藤委員,どうぞ。 佐藤委員 佐藤です。   私からは,情報提供業務について質問したいのですが,中期計画(案)に書かれているところを見ると,データベースの構築,FAQだとか,表示されているデータベースを充実させるなどといったこと,それからコールセンターについて書かれており,データベースは,ウェブでのページの表示に関するものだと思うのですが,それ以外に,ほかの新しいメディアといいますが,コミュニケーションツール,例えば,SNSのようなものですね,そういったものを利用する可能性は視野に入っているのかどうか,お聞きしたいと思います。 伊藤委員長 その点はいかがでしょうか。   法テラスから,お願いいたします。 菅沼部長 御質問ありがとうございました。   コミュニケーションツールについて,もっと多様なものの利用を考えているかどうかという御質問をいただきました。検討しているところではございます。例えば,利用者の多いLINEであるとか,そういうものを使った情報提供はどうかなど,いろいろな御意見もいただいており,検討をしているところですが,まだ具体化には至っていないという状況でございます。引き続き検討していきたいと思います。 伊藤委員長 よろしゅうございますか。   それでは,ここで一旦休憩をとりたいと存じます。           (休     憩) 伊藤委員長 それでは,再開いたします。   前半部分の御審議を伺っておりますと,中期目標と中期計画のそれぞれ案につきましては,基本的な内容については御理解いただいたものと存じます。   御要望等については,今後,検討していただくことにいたしまして,これらの案の前半部分の内容につきましては,御了解いただいたものとして,文章の修正等が必要になりました場合には,私と事務局に御一任いただけますでしょうか。  (各委員了承)   それでは,後半部分に入りますが,まず中期目標(案)につきまして,事務局から説明をお願いいたします。 山口参事官 資料1の中期目標(案)の9ページからが中期目標(案)の後半部分でございます。9ページから10ページにかけての大項目「第5 業務運営の効率化に関する事項」では,まず「1」としまして,一般管理費及び事業費の効率化について記載しております。   この項目の指標としております,いわゆる「効率化減」には,一般管理費について前年度比3%以上の削減,事業費について前年度比1%以上の削減としております。   次に,10ページの「2 事業の効率化」では,各事業における効率化について記載しております。   「(1)情報提供業務」については,コールセンターの効率的で効果的な運営について,「(2)民事法律扶助業務」については,審査に関する事務手続の合理化について,「(3)国選弁護等関連業務」については,報酬算定に対する不服申立てへの対応に関する事務手続の合理化について,それぞれ記載しております。   続いて,10ページの大項目「第6 財務内容の改善に関する事項」では,「1 自己収入の獲得等」として,寄附金等の自己収入や地方公共団体等からの財政的支援の獲得・維持について,11ページの「2 民事法律扶助における立替金債権の管理・回収等」として,効率的かつ効果的な立替金債権の管理・回収や,高い償還率の維持等について記載しております。   また,12ページの「3 財務内容の公表」としては,セグメント情報等の決算情報の公表等について記載しております。   最後に,12ページから13ページにかけての大項目「第7 その他業務運営に関する重要事項」につきまして御説明いたします。   「1 業務運営の体制維持」では,業務運営のために必要な人的・物的体制の維持について,「2 内部統制の確実な実施」では,ガバナンスの強化,監査の充実,コンプライアンスの強化について,「3 情報セキュリティ対策」では,政府の方針に準じたセキュリティ対策の実施について,それぞれ記載しております。   また,「4 業務内容の周知を図る取組の充実」については,指標として,13ページにありますとおり,業務認知者の割合の増加とともに,ホームページの年間ページビュー数を設定することとしております。   13ページの「5 報酬・費用の立替・算定基準」については,民事法律扶助業務における報酬等の立替基準や国選弁護人等に支払う報酬等の算定基準について,多角的視点からの検討とその結果の適切な反映を記載しております。   中期目標(案)の後半部分についての説明は以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございます。   続いて,法テラスから,中期計画(案)の後半部分についての説明をお願いいたします。 河原部長 引き続き,机上配布資料の中期目標(案)・中期計画(案)項目別対照表を用いまして,中期計画(案)の後半部分を御説明いたします。机上配布資料A-1を御覧ください。   7ページから8ページにかけてでございますが,大項目「Ⅲ 業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置」の「1 一般管理費及び事業費の効率化」ですが,中期目標(案)の指標の内容に対応し,一般管理費を前年度比3%以上削減,事業費を前年度比1%以上削減とする旨を記載しております。また,第3期中期計画の記載を踏襲し,各種契約手続については,競争的手法により行うことを記載しております。   「2 事業の効率化」も同様に,中期目標(案)に対応しておりますが,「(1)情報提供業務の項目」におきましては,中期目標では中期計画で定めることとされているコールセンターにおいて維持する応答率につき,第3期中期計画を踏襲し,90%以上としております。   大項目「Ⅳ 予算,収支計画及び資金計画」では,「1 自己収入の獲得」で,(1)から(3)のとおり,寄附金,有償受任等による収入の獲得・確保につき,具体的に記載しております。   また,「2 民事法律扶助における立替金債権の管理・回収」についても,中期目標(案)に沿って,効率的かつ効果的な立替金債権の管理・回収や高い償還率の維持等につき記載したほか,(1)の下から4行目のなお書きのとおり,督促の実施に当たっては,年度ごと,地方事務所ごとに立替金債権の管理・回収計画を策定し,毎年度,その管理・回収状況について検証した上,不断に必要な見直しを行うこととしております。   次に,10ページの「4 予算,収支計画及び資金計画」から大項目「Ⅸ その他法務省令で定める業務運営に関する事項」の「3 積立金の使途」までは,中期計画(案)のみの記載部分であり,法令等で記載することになっている項目を記載したものです。   「4 予算,収支計画及び資金計画」については,法テラスは,国から運営費交付金と委託費という二つの形で予算が措置されており,それぞれ勘定を分けることとされているため,一般勘定と国選勘定の二つの勘定ごとに,セグメント別に作成しております。   なお,金額につきましては,現在,国会で審議中の30年度政府予算案をベースに作成しており,31年度以降の個別要因による変動は,各年度の予算査定時に考慮されることになります。   また,大項目「Ⅴ 短期借入金の限度額」につきましては,従前より中期目標期間最終年度の総支出見込額の1か月相当額とされてきましたので,その計算式に基づきまして35億円と算出しております。   「Ⅵ 不要財産又は不要財産となることが見込まれる財産がある場合には,当該財産の処分に関する計画」から「Ⅸ その他法務省令で定める業務運営に関する事項」の「1 施設及び整備並びに人事に関する計画」までは,第3期中期計画を踏襲しております。   「2 中期目標期間を超える債務負担」と「3 積立金の使途」は,これまでは記載していなかった項目ですが,法務省令で記載することになっておりますので,他の独立行政法人の例などを参考として記載しております。   10ページの一番下,「4 その他中期目標を達成するために必要な事項」からの項目ですが,中期目標(案)に沿った記載のほか,11ページ冒頭の「ア ガバナンスの強化」の(イ)では,常勤弁護士につき,支援センターの業務運営方針を理解して意欲的に取り組み,国民等の期待に応えるよう努めることとしております。   また,11ページ一番下の「(3)業務内容の周知を図る取組の充実」では,なお書き部分で,広報活動に要した費用及びその効果について,事後に分析・検証し,その結果を広報活動方針等に反映させることとしております。   中期計画(案)の後半部分の説明は以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいま御説明がありました中期目標(案)・中期計画(案)の後半部分でございますが,従来から委員会におきましても効率化でありますとか,あるいは立替金債権の管理・回収等については,様々な御意見をいただいているところでございますので,ただいまの説明に関しまして御質問,御意見ございましたら,どうぞ自由に御発言ください。   どうぞ,池田委員。 池田委員 「2 事業の効率化」の「(1)情報提供業務」のところでございますが,指標として,1コール当たりの運営経費について,中期目標期間を通じて削減するという記載がございます。この1コール当たりの運営経費を定点観測していかれたほうがよろしいのではないかというのは,私が御提言申し上げた件だったかと思います。   そのときの意図といたしましては,やはり配員の繁閑に応じたシフトの工夫ですとか,FAQを工夫することによって入電そのものをできるだけ削減していくですとか,IVRを工夫するですとか,後処理時間をいろいろな形で短縮する努力をするというようなことを含めて,1コール当たりの運営経費を下げていくということを見ていかれたら良いのではないか,その辺にまだ工夫の余地がおありなのではないかというつもりで申し上げました。   ただ,足元の人件費の高騰を見ますと,コールセンターで,ある程度の良い人材を集めてくるためには,正直言って,今だんだん人件費が上がってきているのも事実だろうと思いますし,これからの中期期間中に,そういったマーケットの需給関係がどうなっていくかということについては,必ずしも楽観できることばかりではないかと思います。   コールセンターの経費については,人件費が占めている部分がかなり大きな割合になっていると思いますので,一律にこれを削減するとなると,今,前半に申し上げたような工夫を通じて,できるだけ削減していく努力は続けていただきたいとは思いますけれども,人件費については,必ずしも一律に下げていけるものばかりではないのではないかなと思っております。その辺はどのようにお考えか,御意見を伺いたいと思います。 伊藤委員長 事務局からお願いします。 野田部付 それでは,事務局から説明をさせていただきます。   池田委員からの御指摘は,ごもっともであると思っております。確かに,人件費の高騰というのが最近言われておりまして,コールセンターにおきましても,オペレーターの確保に苦労されているということを聞いているところでございます。   中期目標(案)におきまして,1コール当たりの運営経費の削減を指標とさせていただきましたが,この評価委員会でも御議論いただきましたように,まだまだ工夫の余地がある部分はあるのではないかと思っておりまして,目標とするものといたしましては,やはり運営経費を下げる方向で考えていくべきだと考えております。   ただ,人件費の高騰などの特殊な要因があった場合には,それを法テラスにおいてきちんと説明していただいて,それを踏まえ,この評価委員会で御議論いただき,評価の際に適切に判断していただければと考えている次第でございます。 池田委員 ありがとうございました。   もう1点よろしいでしょうか。 伊藤委員長 どうぞ。 池田委員 「一般管理費及び事業費の効率化」のところでございますが,前回の会議でも同じようなことを申し上げておりますので,余り繰り返し同じことを申し上げることは避けたいと思っておりますけれども,一律に前年度の予算から3%以上の削減,事業費については1%以上の削減をするというやり方については,正直に言って,やはり,毎回,聞く度に違和感を感じるところではございます。   独立行政法人に一律に適用されているルールだと伺っておりますけれども,もしそうだとすると,どこの独立行政法人に対しても,最初に与えられている予算が正しい,正しく配分されているということを前提に,そこから同率で皆が下げていけば良いというルールになると思うのですが,やはり,本来は,各法人の中身を見ていただいて,工夫の余地があるところ,あるいは前年の実績がどうであったかという,実績に基づいて,更に工夫の余地があるところには更に削減をお願いし,そうでないところに関してはしないという,本来は,めり張りがあるべきところかなと思いますので,意見としてコメントさせていただきます。 伊藤委員長 ありがとうございます。   この点も大変に大きな問題でございますが,事務局から説明は付加されますか。 野田部付 前回も御指摘いただいたところでございまして,御指摘はそのとおりと思っておりますが,一方で,ルールというものも存在するところでございまして,現状,第4期中期目標におきましても,いわゆる効率化減の記載は残しているところでございます。   ただ,池田委員が御指摘のとおり,この効率化減は,予算を決める上での話でございますけれども,法テラスにおいて,不要な経費については削減するというのは当然でございますし,その一方で,ちゃんと事業を運営していくためには必要な経費というものもございますので,そうした経費につきましては,効率化減の対象外の新規・拡充分として予算を要求するなど,法務省といたしましても,法テラスがきちんとした業務運営をできる予算を引き続き確保してまいりたいと考えているところでございます。 池田委員 ありがとうございました。 伊藤委員長 それでは,他の委員の方,御発言ございましたらお願いいたします。   黒田委員からも,今の経費の関係で,事務所の賃借料などについて,御発言をいただいておりますが,何かございましたら。 黒田委員 やはり,一律3%削減するというのはなかなか難しい。具体的にどういう手法で対応されるのか,よく方法が分からないのですが,費目ごと分析をして,この部分はこう変えていこうといった,かなり詳細なプログラムをつくらないと対応できないかなと思うのですが,どのような手法でおやりになるのでしょうか。 伊藤委員長 事務局からお願いします。 野田部付 事務局から御説明させていただきます。   ここで言っております効率化減につきましては,効率化対象経費の枠の中で考えるということとされております。したがいまして,各費目につきましてそれぞれ3%削減するというものではございませんで,削減できるところで削減をし,削減できないところはそのままでも構わないものでございまして,要は対象経費全体の中で3%に相当する金額を削減すればいいということになっているところでございます。   この点につきましては,委員長からも御示唆がありましたけれども,事務所の賃借料などが,いわゆる施設経費ということで,法テラスの必要経費として存在するところでございます。今般,第4期中期目標でこの効率化減の指標を定めるに当たっては,法テラスには自己保有不動産がなく,事務所を維持するためには賃借料という形で経費が必要となり,これは,いわゆる固定経費のようなものでございますので,こうした施設経費を効率化により毎年一律に3%削減していくという点につきましては,なかなか難しい面があると法務省としても理解しているところでございます。この点,この施設経費につきまして,効率化の対象から外すことができないか,関係機関との協議もさせていただいたところでございます。   ただ,一方で,先ほど前半部分で御説明をさせていただきましたとおり,統廃合を含めた事務所の見直しというものも,第4期中期目標の中で一つのテーマとして上がっているところでございまして,事務所の見直しをすることとの整合性の観点もあって,今回の第4期中期目標におきましては,効率化減の対象として施設経費が維持されることとなったところでございます。   もっとも,第5期,第6期と,今後も法テラスの事業は続いていきますので,この第4期中期目標期間中に必要な事務所の見直しをしていただいて,そうしますと,もうそれ以上の施設経費の効率化は図れなくなっていきますので,関係機関にきちんと説明をした上で,第5期には,そうした固定経費になる施設経費につきましては,効率化の対象経費から除外されるような形で関係機関との調整を図っていきたいと考えているところでございます。 伊藤委員長 黒田委員。 黒田委員 新規分,あるいは拡充分,あるいは公租公課,人件費を除くと,これは基本的によく分かる。それと同時に,今おっしゃられたのは,いろんな費目の中で,ある意味,管理可能なものと不能なものとがあるので,そこをきめ細かくやって,いわゆる管理が可能なものについては,いろいろな交渉等によって削減を図っていくということで,その費目の選別をきめ細かくやっていくということなのですね。分かりました。   機械的に一律に3%削減といったら,3年間で10%近くなるわけですから,なかなか大変なことで,弱い者いじめになってもいけませんので,公正な料金体系,価格体系はきちんと維持しなければいけないとは思うのですが,交渉で削減できるものは積極的にやっていくというスタンスで結構ではないのかなと思っております。ありがとうございました。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ほかに,後半部分に関しまして御質問,御意見ございますでしょうか。   どうぞ,増田委員。 増田委員 中期計画(案)の11ページの業務内容の周知を図る取組の充実という部分についてなのですが,広報活動に要した費用とか効果について分析・検証するということで,効果の検証というのは非常に難しいことだと思うのですが,具体的にどういうことを想定されているのかということをお伺いします。   それから,私どもが実施している方法としては,必ず何でこの相談窓口の電話番号をお知りになりましたかというようなことを聞いて,その情報入手の入口を聞く,確認するということをやっているのですが,そのようなレベルのことで,おやりになっていることがあれば教えてください。 伊藤委員長 法テラスから,お願いいたします。 河原部長 広報調査室長を兼任しております総務部長の河原からお答えいたします。   正に,この効果の検証,費用等も含めてというのは非常に難しいところではありますけれども,今,委員がおっしゃったように,何で相談窓口をお知りになりましたかということにつきましては,コールセンターにお問合せをいただいた方にお伺いしておりまして,そうした情報から,この媒体は割と効果的だなといったことを把握したりしております。   効果検証については,いろいろやりながら,考えながらというところですが,単純なところで言いますと,例えば予算を使えるようになって,熊本地震などでテレビ広告とか新聞広告など,少し大き目の広報をできたときに,それによってどれぐらい問合せの電話がかかってきたか,相談に来たかなど,そういうものを一つ一つ見たりしております。   効果検証は,媒体,時期,内容などをトータルで見て考えなければならず,専門家の御助言もいただきながら,行っているところでございます。 伊藤委員長 よろしゅうございますか。   ほかにはいかがでしょうか。   もしございませんようでしたら,前半部分と同様に,中期目標・中期計画それぞれの案につきまして,基本的な内容については御了解いただいて,その上で何点か貴重な御指摘を頂戴したものと理解しております。もし文章の表現等で修正をする必要がございました場合には,私と事務局に御一任いただくということでよろしゅうございますか。  (各委員了承)   ありがとうございます。それでは,そのようにいたします。   それでは,引き続きまして,議事の(3)に進みたいと思います。   これにつきましては,法テラスから説明をお願いいたします。 佐々木課長 法テラス人事課長の佐々木でございます。   水色ファイルの資料3にあります法テラスの役員退職手当規程の変更につきまして,その要点を御説明差し上げたいと思います。   変更点は大きく2点ございまして,その1点目は,役員退職手当の算定に用いる基準率を引き下げたものであり,今般,公務員の退職手当に係る基準率が引き下げられたことに伴い,これと同水準に引き下げる変更を行ったものでございます。具体的には,役員退職手当規程の第2条,退職手当の額というところの2行目に100分の10.4625という数字がございますが,こちらの数字に変更したということでございます。   変更点の2点目は,役員退職手当の支払いについて,概算払い制度を新設したものでございます。法テラスの役員退職手当につきましては,例年8月頃の評価委員会で決定していただく業務実績評価に基づいて算出されるところ,役員の退職時期によっては退職手当の未払い期間が長期間になってしまうため,その不都合を解消するために変更したものでございます。   条文といたしましては,資料3の2ページの第5条,退職手当の支給の第3項に,概算払いの規定を設けたものになっております。   御説明は以上です。 伊藤委員長 ただいまの退職手当関係の変更点,2点ございますが,これにつきましての説明について,何か御質問,御意見ございますでしょうか。   それでは,役員退職手当規程の変更につきまして,評価委員会としては意見なしということにしたいと思いますが,御了解いただいたものとしてよろしいでしょうか。  (各委員了承)   引き続きまして,議事4に進みたいと思います。   議事4につきましては,事務局から説明をお願いいたします。 山口参事官 議事4の日本司法支援センターの役員の退職金に係る業績勘案率の決定方法の改訂につきましては,配布資料4が,このたび改訂する改訂案でございます。   業績勘案率の決定方法についての従前の規程は,平成23年8月に改訂されたものですが,その後,平成26年度から業務実績の評定方法が変更されたことに伴い,業績勘案率の決定方法について改訂する必要が生じております。   また,平成27年5月に独立行政法人の役員退職金に係る業績勘案率の統一的な算定ルールについて,総務大臣決定が発出されておりますので,それも踏まえて,今般,評価委員会の規程の改訂をお諮りするものでございます。   改訂の要点は,大きく2点ございます。1点目は,従前の規程では,業績勘案率の決定方法について,理事長,理事,監事を区別せず,業務実績の年度評価における評定を基礎としておりましたが,新規程では,資料4の1ページの「1 基本的な考え方」の(3),(4),それから2ページの(7)にありますとおり,理事長については中期目標期間における評定を,理事については年度評価における評定を,監事につきましては1.0を,それぞれ基礎とするという点でございます。   2点目の要点は,平成26年度から変更されております現在の業務実績の評定方法に合わせるという点でございまして,資料4の4ページの評定換算表を現在の業務実績の評価とそろえた形で改訂するものでございます。   説明は以上でございます。 伊藤委員長 ただいま業績勘案率の決定に関しまして,事務局から説明ございましたが,何か御質問,御意見がございましたらお願いいたします。   よろしいでしょうか。   それでは,日本司法支援センターの役員退職金に係る業績勘案率の決定方法につきましては,資料4の改訂案どおりに改訂することといたしたいと存じます。  (各委員了承) 伊藤委員長 ありがとうございました。   以上で,本日の審議の議事につきましては全て終了いたしました。最後に,事務局からの事務連絡をお願いいたします。 山口参事官 本日の会議の議事録についてでございますが,従前どおり,事務局におきまして原案を作成いたしまして,御出席の委員の皆様に内容を御確認いただき,最後に委員長に全体を御確認いただいた上で公表するという手順とさせていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。 伊藤委員長 よろしゅうございますか。  (各委員了承) 伊藤委員長 それでは,そのようにいたします。   ほかにございますか。   それでは,以上をもちまして日本司法支援センター評価委員会の第55回会議を終了いたします。 ―了―