法制審議会戸籍法部会 第3回会議 議事録 第1 日 時  平成30年1月19日(金)    自 午後 1時30分                          至 午後 4時24分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題  戸籍事務へのマイナンバー制度導入のための検討事項(各論)について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○窪田部会長 それでは,予定した時刻がまいりましたので,法制審議会戸籍法部会の第3回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中,御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。   本日ですが,須藤委員,筒井委員,岡田幹事,木村幹事が御欠席と伺っております。   それでは,本日の会議の配布資料の確認をさせていただきます。事務当局から御説明をお願いいたします。 ○渡邊幹事 お手元に配布資料目録,議事次第,委員等名簿を配布させていただいております。また事前に部会資料3,参考資料10,11,12の3枚物をお送りさせていただいております。不足の資料等ございましたら,事務当局までお申し付けいただければと存じます。   配布資料の説明は以上でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは,審議に入りたいと思います。   本日は,「戸籍事務へのマイナンバー制度導入のための検討事項(各論)」について御議論を頂きます。   まず,部会資料3,第1の7について事務当局から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 それでは,第1の7につきまして御説明いたします。   まず(1)と(2)を御説明させていただいて,一旦御質問,御議論いただいた上で,(3)についてまた御説明をさせていただきたいと思います。   お手元に部会資料3とともに,参考資料10,横長の戸籍事務内連携における事務の効率化ということで,現状の届書保存の流れというものが記載されてあるもの,裏に届書電子化後の届書保存の流れと書いてあるものを手元に置いてお聞きいただければと思います。   まず,届書類でございます。届書であるとか申請書,その他の書類でございます。こちらは,戸籍の記載のために届出がされる際に出されるものでございます。この届書類ですけれども,戸籍の記載を行った後,戸籍が滅失した際の再製資料として,あるいは裁判手続等における証拠として利用されるほか,管轄法務局において戸籍の副本と対照することによって,適切な戸籍の記載がされているか等の判断資料として利用しているものでございます。   また,戸籍の記載を要しない事項についての届書類,これは例えば外国人同士,外国人のみを届出事件の本人とするもので日本国内で届出をされる場合もございます。その場合,届出を受理したら,届書の記載事項証明を発行する,その届出に係る身分行為であるとか身分変動を公証するなどといった目的で利用してございます。   この記載事項証明書につきまして,戸籍六法の1,424ページ以下を御覧いただいてもよろしいでしょうか。   こちらは出生届について通達で様式を定めてございます。規則においては,1,425ページのこの左側の部分のみを定めてございますけれども,通達においてこの出生証明書の様式も記載してございます。御案内のように,お子さんがお生まれになった場合には,お医者さんにこの出生証明書を書いていただいて,併せて出生届の欄を記載し,出していただきます。こちらに様々な事項を書かれてあります。この事項について証明してもらいたいという場合には,届書の記載事項証明ということで,証明書の交付を求められ,保管しているところから証明書を発行するということになります。   また,婚姻届等につきましても,特に外国の方と婚姻した場合には,本国で発行された証明書を添付していただいて,婚姻届等を出されます。それら本国で発行された証明書,あるいは届出が受理されたことの証明書が欲しいということで,この記載事項証明というものを求められるということがございます。   参考資料10を見ていただければと思います。婚姻届の提出の場面です。こちらは非本籍地が婚姻届受理地の例です。例えば住所地の市区町村,本籍は別のところにある方が婚姻届を出されました。そうしますと届出を出された市区町村で審査を行います。ただ,戸籍の記載は本籍地で行いますので,コピーをとって謄本を作成します。そして,届書類の原本については本籍地の方に送られ,本籍地の方で戸籍に記載をする。受理をした非本籍地の市区町村においては,その作成した謄本を保存し,1年間保存しているということになります。他方,戸籍の記載をした本籍地の市区町村においては,この原本が郵送で送られてきます。郵送で送られてきたこの届書を見ながら,戸籍に記載をする。その上で1か月ごとに,この届書ですけれども,紙のまま法務局の方に送られてまいります。   届書類の保存期間に関しては,紙のもの,従来は27年保存ということにしておりましたけれども,法務局が,戸籍副本データ管理システムで,副本の送付又は送信を受けた場合には5年でよいとしておりますので,現在は基本的には5年保存すればよいということになっております。このように,届書類を保管しているところにおいて,先ほど申し上げました届書類の記載事項証明というものが求められれば,そちらをお出ししているということになります。   また,部会資料3の1ページの下の方になりますけれども,戸籍の記載を要しない届書類,こちらにつきましては,当該年度の翌年から創設的届出については50年,報告的な届出については10年間,こちらは市区町村の方で保存されるということになってございます。   なお,いずれも,これらは紙のまま保存するというのが現状,その前提での規定になっております。   2ページ目を御覧ください。併せて参考資料10の裏面を御覧ください。   先ほど見ていただきましたように,届出が出されました。届書に基づいて審査をし,受理をした場合には,その届書について本籍地の方に郵送で送って事務を行っておりました。このように郵送で送っておりますと時間もどうしてもかかってしまうということになります。また,それぞれ必要な事項の入力というものが,受理地であったり本籍地,それぞれで生じるという事務の重複ということも生じているところでございます。   ですので,今回新たなシステムを導入して,この事務処理の軽減を図りたいと考えてございます。具体的には,まず参考資料の10の裏面のところを見ていただければと思いますが,同じように婚姻届の提出がされます。そして,この届書,受理ができたものについては,届書の電子化ということでスキャンをして,国の方のシステムに送っていただくということを想定しております。   本籍地の方には,スキャンをして電子化された情報を,本籍地の方の市区町村がその情報を参照して,戸籍の記載,記入を行っていただくということを前提としております。こうすることによって,郵送によって本籍地へ届書類を送るということが不要になると考えられます。また現状,法務局の方に送っていただいているものも不要になるのではないかとも考えられるところでございます。   この場合,電子化する対象について,届書1枚だけにするのか,それ以外のものも含めて添付資料も含めてという議論があろうかと思いますけれども,本籍地の市区町村において,戸籍の記載をしなければならないということもございますので,そうしますと,その添付資料を確認する必要も出てこようかと思います。ですので,届書だけでなく,その添付資料も電子化することが必要だろうと考えられるところでございます。   また,電子化する範囲につきまして,本籍地に届書が出された場合にはどうするのかという点でございますけれども,その届出が出された市区町村に本籍がない方の分だけ電子化をするということになりますと,その事務が複雑になってまいりましょうし,電子化されたものと電子化されていないものが混在化するということになろうかと思っております。ですので,ここは一律に受理地の市区町村において全ての届書類を電子化することが相当ではないかと考えられるところでございます。   なお,この市区町村において,戸籍事務を行っていただく中で,この電子化した届書を参照できる市区町村については,戸籍の事務を行うために参照していただくということになりますので,受理地及び本籍地に限るとすることで足りるのではないかと考えられるところでございます。   そこで,今御説明しましたような内容を部会資料3の2ページの下のゴシックのところで書いてございます。届書類については,届書類を受理した市区町村において,内容を確認した上で電子化し,国が構築する戸籍情報連携システムに送信することとし,現在行われている本籍地市区町村及び管轄法務局等への送付事務を行わないこととする。届書類の参照範囲については,本籍地市区町村及び受理地の市区町村に限るということでどうかという御提案でございます。   なお,戸籍の記載を要しない届書,先ほど御説明いたしました外国人のみを届出事件の本人とする届出に関する届書等については,現行制度においても管轄法務局等への送付の対象となってございませんので,当面現行の取扱いを維持するということで,どうかという御提案でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   第1の7の(1)と(2)について御説明を頂きましたが,以上の部分について何か御質問等はございますでしょうか。 ○磯谷委員 すみません,磯谷です。今のところの確認なのですけれども,2ページの下から4行目のところで「届書類の参照範囲は本籍地市区町村及び受理地市区町村に限ることとする」とありますけれども,一つは,これはやはりシステム的にあれでしょうかね,ほかのところでは閲覧ができないように工夫をするということなのかなということと,それからもう一つ,後から出てきますけれども,法務局なんかがいろいろ調査をしたりという権限があったりしますけれども,この法務局とかは閲覧が可能というふうな理解なのか,その点だけ確認したいと思います。 ○窪田部会長 今の点について,御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 今御指摘いただいたとおり,市区町村においては本籍地の市区町村及び受理地の市区町村に限る。こちらの戸籍の記載あるいは受理をするために必要だからということになろうかと思います。   また,法務局については,戸籍の記載が正しくされているか,あるいはその他調査等も必要がありますので,その範囲については特段限定は予定してございません。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。 ○磯谷委員 はい。 ○窪田部会長 それでは,それ以外に何か御質問等ございますでしょうか。 ○鷲﨑幹事 細かい点ですが,電子化の際にその以前の紙ベースの届書等は,これは特に電子化せずにそのまま保管しておくということなのでしょうか。そうしますと,しばらく当面は併存して,ただ,過去の電子化前のものは,よほどのことがない限り参照はしないだろうという理解でよろしいのでしょうか。 ○北村幹事 過去のものまで電子化するということは,今のところ想定してございません。 ○鷲﨑幹事 システムが作られて,それから…… ○北村幹事 出されるものについて,このような取扱いをするということを想定してございます。 ○鷲﨑幹事 ありがとうございます。 ○大野幹事 大野ですけれども,ただ今の磯谷委員からの御質問に対しての答えの部分で,法務局は限定せず,届書類を参照可能ということを考えていますということなのですけれども,管轄法務局に限らなくてもよいということなのですか。その受理地ないし本籍地を管轄する法務局に限定するという意味での管轄法務局の方が,その説明としては分かりやすいかなと思うのですけれども,その辺はいかがでしょうか。 ○北村幹事 その点については,現時点では管轄を外すことも含めて検討しているということになります。複数の市区町村にまたがる戸籍の記載もございますので,しかもこのシステム自体は,法務大臣が管理を行うということを前提としておりますので,限定をしないということも一つの選択肢として考えておるところでございます。 ○大野幹事 とりあえず分かりました。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。 ○大橋委員 すみません,今の点なのですけれども,私もこの資料を読んだときに,ここに法務局が入るかどうかというところは非常に関心を持ったところです。やはり最終的には文書では,市町村のほか法務局の閲覧についても明示して出された方が,システム全体の理解が分かりやすいかなと思いますので,よろしくお願いします。 ○北村幹事 今の御指摘を踏まえて,次回記載したいと思います。 ○窪田部会長 ほかにございますでしょうか。   それでは,続けて(3)について御説明をお願いします。 ○北村幹事 それでは,(3)について御説明をさせていただきたいと思います。   席上に実際に存在しております婚姻届の例を置かせていただいておりますので,こちらも御覧いただければと思います。   なお,こちらは席上配布とだけさせていただいて,御覧になった後はそのまま置いていただいて,一旦回収をさせていただければと思いますので,御協力よろしくお願いいたします。   今,少し御議論いただきました届書類の電子化に関しまして,先ほど申しましたように,届書をスキャンをして国のシステムに送り,それを参照して事務を行うということを想定しており,先ほど御議論いただいたところでございます。この届書の様式につきましては,規則の59条ということで,戸籍六法ですと317ページから322ページを見ていただければと思いますが,こちらは出生と婚姻,離婚,死亡の4届書について規定をしてございます。ただ,先ほども見ていただきましたけれども,通達よりも更にあっさりした記載になってございます。出生届については,届出の部分のみを記載しておるということで,この様式と,様式の見出しの部分に書いていますけれども,大きさを記載しております。   さらに,それを踏まえて,先ほど見ていただきました通達によりまして,戸籍六法の1,424ページ以下を見ていただければと思いますけれども,実際の届書の様式というものが通達で定められております。例えば,婚姻届につきましては1,426ページ,1,427ページを見ていただければと思います。基本的にはこの様式によっているということになります。   ただ,法務省の方で定めておりますのは,いずれも用紙の大きさ,そして様式を定めているということになります。   このような状況におきまして,今席上に置かせていただいておりますように,各市区町村において,あるいは各事業者の方で作成した独自のデザインというものを施した届書を作成されてございます。   ざっと見ていただけるとお分かりかと思いますけれども,県であるとか市が関与されているものについては,周りのところについて絵が入っているといったものが多うございますけれども,それ以外,二つカラーで目立つものがございますけれども,かなりいろいろな絵が入っている。特に外国の風景の写真になっておるものについては,もうかなり実際に記入していただかないといけないところにも絵が入っているような状態でございまして,このようなものが実際に出されているところでございます。   電子化を前提とするだけではなく,現在も既に様々な届書が出されている中で,例えば,この紙にかつてラミネート加工をして破れない婚姻届などというものも,もう固くしてしまって破れないということで出されて,そうすると本来補正をしないといけないとか判子を押していただかないといけないところに,なかなかそれができないなどとあったりとか,それを普通折り畳んで保管するのですけれども,破れない,固いので折れないみたいなものがあったりとか,非常に様々なものが最近あるところでして,事務にもやはり支障が出るところかなと思われます。   さらにこのような届書をスキャンすることになりますと,実際にスキャンされた届書を参照して戸籍に記入しようとしますと,そこは十分読み取れない可能性があります。そういったことも踏まえますと,これは法律事項ではないかもしれませんけれども,事務に支障のない範囲で一定のデザイン,もう既に取り組んでいらっしゃる,あるいは市区町村,自治体の方でもいろいろなお考えの中で取り組んでいらっしゃることもございますので,一律に駄目だというのではなく,一定の制限をするということとさせていただけないか,そういった方向について御議論,御了解を得られないかと思って,今回議題として取り上げさせていただいた次第です。是非,実際の窓口事務を御担当されている立場からの御発言も頂けると幸いです。   説明としては以上になります。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。実際のものを4種類出していただきましたので,具体的なイメージも湧いて議論しやすいかと思います。ただ今御説明がありました点について,御質問というよりもむしろ御意見をお聞かせいただけたらと思いますが,いかがでしょうか。 ○浦郷委員 今回このような届出があるということで,私もちょっといろいろインターネットとか調べてみたのですけれども,やはり婚姻届など様々なデザインの用紙が,今インターネットで無料で簡単にダウンロードができるという状況になっています。さらには事業者さんが提出用,保存用,予備用の用紙,さらに保存用にはファイルや台紙を付けたりなんかして記念として保存できる,もうそういうビジネスになっているということで,びっくりしているところです。   この婚姻届というのは,役所にそのまま提出してしまうものですよね。ですので,記念に保存したい方は,あらかじめ写真を撮ったりとか,コピーをしてもらったりとか,あと立川市などは用紙が複写になっているというのも見ました。このようにビジネス化されていたりとか,やはり今の若い方は一生の思い出の記念に残したいという,そういう方たちもいると思いますし,その方たちの思いというのはすごくよく分かります。けれども,やはりいろいろ記載しなければならないことがあって,その時余白がないためにできないとか,今回の電子化に当たってはスキャンする上で,はっきり見えなくて困るというようなことが出てくると思います。記念ということでは何か保存用として別に作っていただいて,提出用としては,余白を確保したり支障がないように一定の制限というのは,私はやむを得ないのかなということは感じております。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   ほかにも御意見ございますか。 ○大野幹事 では,私からの意見としましては,各市区町村ともそれも各自それぞれのオリジナルのデザインで作っているところもあります。ただ,実際の届出書類を処理する側,立場としては,こちらに見本としても付けていただいているうちの,例えば2枚ないし3枚については市町村側での事務欄ですとか余白の部分がある程度あります。あと通達にあるところの記入に際しての説明の部分が,2枚については残っているのですけれども,残り2枚については説明の部分がないようなところですので,事務する側ということだけではなく,記入していただくための国民・住民の方に対してのサービスとしても,ある程度はその説明書きのところは残ってほしいので,そういう部分も含めて,こちらの案にあるような一定の制限ということについては賛成です。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   ほかにも御意見ございますでしょうか。もちろん,いや,こういうのは完全に自由で,最後の一番派手などを含めて可能とすべきだというようなことでもよろしいのですが,いかがでしょう。 ○川島委員 ありがとうございます。   一定の制限を行うということについては賛成です。   細かい話ですが,この記載内容に「電子化による事務の障害とならないよう」とありますが,「現実に事務に支障を来している場合もある」という現時点での問題もありますので,電子化による事務の障害だけでなく,ここにありますような,その他の事務に支障を来さないという視点も入れて検討いただけたらと思います。 ○窪田部会長 どうもありがとうございます。   今まで出ている支障というのは,一つはやはり読み取りがうまくできないという点と,もう一つは余白が十分でないために,事務上の対応がうまくできないという,特に2点ということでよろしいでしょうか。   ほかにも御意見ありますでしょうか。 ○鷲﨑幹事 細かい点ですけれども,電子化して移行する際に,当然過去の電子化前の届書がお手元にあって使おうとされる方が多分いらして,そういう方は恐らくはねられないというか,当面は受け付けることになるのでしょうか。それともこの新しい方に書き直してくださいという…… ○窪田部会長 つまり,もうダウンロードしたものがあって。 ○鷲﨑幹事 ええ,もう実際,もう出回っているものを使おうと。 ○窪田部会長 しかし,提出のときには,もうその制約がかかっていたという場合ですね。 ○鷲﨑幹事 ええ,そういう,一応検討はされていた方がいいのかもしれません。 ○渡邊幹事 既にそういった届出用紙を手に入れて,場合によればお金を払って手に入れて記載をしたというようなケースは当然想定しなければいけないかと思います。   一方で,婚姻届は届出時に婚姻意思が必要だということもございまして,作成してから随分たってから出すというのは,余り典型的なケースではないのではないかと思われるところもございまして,いつから施行と,どの範囲でこの制限を課した形での届出をお願いするかということにつきましては,その時点,頂いた時点をもって検討をしたいと思います。 ○窪田部会長 どうもありがとうございます。 ○久保野幹事 私も一定の制限を行うということに賛成ですけれども,先ほど電子化による事務の障害という観点に必ずしも狭く限る必要はないという指摘がありましたけれども,実務上記念にとっておきたいという事由はないとは思いますが,離婚届,形式的には離婚届なども射程に入る議論をしていると伺っていますけれども,そうしますとちょっと今見た限りでは規則の方には子供の面会交流や養育費についてなどのチェック欄が多分なくて,通達の方にあるということかなと理解したのですが,ちょっとその理解自体は,私自身は定かではありませんけれども,言いたいことは一番狭い規制でかけられている事柄以外の現在,しかし通常は書かれている事柄には,電子化の観点とは別の観点から見たときに,より法的なといいますか,記載についてコントロールを欠いたら適切なこともあるかもしれないと思いますので,電子化による事務の障害以外の観点からも,この点については賛成であるという意見です。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   久保野幹事の御意見というのは,もちろん電子化に際しての問題というだけではなくて,現在だと規則の部分で定められている内容と,通達の部分で示されている内容にずれといいますか,そうした部分もあるのだけれども,その部分も含めて検討するという御意見と理解してよろしいでしょうか。 ○久保野幹事 ちょっとその辺りの何が適切かについては,必ずしも定かな意見を持っているわけではありませんが,今気になったのは,正に離婚届で子供の面会交流や養育費について定めていますから,イエス・ノーというチェックする欄というものは,一定の重要な意味を持っていると思うのですけれども,仮にデザイン,離婚届というものがあって,それが除かれるということが横行するようなことがあれば,それは防いだ方がいいと思いますという,差し当たりはそういう意見です。 ○窪田部会長 そうですね。今は多分デザイン上の問題というよりは,むしろそこの部分にずれがあるがために,実際この民間のものと市区町村の作ったものでずれが出てきているということもあるので,その点も含めてきちっと検討した方がよろしいということだろうと思いますので,御検討をお願いできたらと思います。   ほかはいかがでしょうか。 ○大橋委員 ほとんど同じなのですけれども,この規則で書いてある必要記載事項と通達で求めている記載事項のほか,現物を見ると,横のところに事務処理をする場合の何かいろいろな枠とかがあります。実際に届出にどこまでの機能を確保するということが必要なのかということの折り合いだと思いますので,先ほど説明書きのところに発言がございましたけれども,そういうもろもろある記載事項のどこを守るというか,確保してもらうのかというようなことの整理は必要なのかなと思いました。 ○北村幹事 おっしゃるとおり今通達で定めている以外に,市区町村の事務処理上必要な欄というのを設けられているものもございます。今後電子化を,電子化だけではない事務処理のためにも一定の記載は必要だという御意見がございましたけれども,更に電子化をいたしますと,今までの事務の中で補正をした場合に記載をしたりとか,附箋を張ったりとかもしておりました。そういう附箋を貼ったまま電子化すると読めなくなるところもありますので,必要な事務,どういった事務が必要なのかというのを確認して,その事務のために必要な部分は守るというか,そこには特段デザインを入れていただかないような形での制限というものを考えていきたいなと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   大体よろしいでしょうか。   最初に浦郷委員からも御指摘がありましたけれども,これは基本的には届出書ですから,出してしまったらもう手元に残るものではないのですね。ラミネート加工するとか,そういったのは多分イメージとして,実際の届出書の使い方とは違うものをどうも考えておられるのかなということがあるように思います。だからこそこんなにいろいろな形で広がっているのかなとは思いますが,そうした状況も背後にあると思います。今お伺いした御意見としては,一定の規制をするということは構わないのではないかという方向であったと思いますし,その上でもう少し詰めて検討をしていただくということになろうかと思います。   それでは,第1の部分については以上でよろしいでしょうか。(1),(2)も含めて,まだ追加で御質問等がございましたら,どうぞ御遠慮なく御発言ください。   それでは,引き続きまして,「第2 市区町村及び法務局の調査権について」ということで,この部分についての御説明をお願いいたします。 ○渡邊幹事 御説明いたします。   資料の3ページ以下でございます。   この調査権につきまして,今回と次回の2回に分けて御議論をいただこうと考えております。その上でお手元の資料の横1枚紙,戸籍法部会参考資料11を御覧ください。   まず,市区町村,法務局の調査権,その二つの主体があるわけでございますけれども,まず市区町村の審査権,調査権について,これまでの議論の状況について簡単に御説明をしたいと思います。   市区町村の調査権については,民法の規定を見ますと重婚の禁止ですとか再婚禁止期間の経過ですとか,そういった法定の要件を審査した後でなければ,届出を受理することができないといった規定もあるところです。また戸籍法自体におきましても,特に重要であると認める事項の欠缺がある場合には不受理とできるですとか,あるいは不受理申出をした者に係る婚姻届などについて,申し出た者の出頭を確認できなかった場合には受理することができないとされています。   不受理申出と申しますのは,あらかじめ離婚届については不受理にしてくださいというような申出を出しているケースがございまして,これが法的に認められておりまして,そういった案件については不受理申出をした者について,その申出の出頭を確認できない場合には届出を受理することができないとされているものでございます。   いずれにしましても,こういったいろいろな届出に際して審査をすることについて認めた規定がございますので,市区町村長が戸籍の届出の受理について審査をすることができる権限があるということは認められることかと思います。   ただ,この市区町村の審査権につきまして,よく形式的審査権しかないといった表現で指摘されることがございます。これは関連する判例といたしまして,非常に古い判例でございますけれども,大審院の大正7年7月26日の判例がございまして,届出が形式上の要件を具備する以上は,記載手続をなすべきであるといったような言い方をした判例があったことも背景にあったかと存じます。ただ,今申し上げた判例は評価の分かれるところでございまして,後ほど併せて御説明をしたいと思います。   この審査権につきまして,よく指摘されるのが,その審査の対象,何を審査できるのか,あるいは審査の手法をどのように審査するのか,あるいはそれは権限なのか義務なのか,そういった視点が混在して語られているのではないかという指摘が文献でされているところでございます。   そこでまず,審査の対象について簡単にまとめさせていただきました。それがお手元資料(2)になります。   かつては,市区町村の審査権の対象は,先ほど申し上げました重婚の禁止,再婚禁止期間の経過といった,法律に定まった法定の要件の具備の有無に限るという見解がございました。一方で,近時に至りまして,その届出が真実の届出義務者による届出か否か,あるいは届出の内容,先ほど申し上げた民法の規定に合致しているか,あるいはそれ以上の実質的なあるいは形式的な要件を満たしているかにも及ぶとする見解がいわれるようになっております。   元々法定要件の具備に限るとした見解の主たる根拠としましては,市区町村は窓口事務であると,非常に多くの届出を迅速に処理しなければならないことからすると,立ち入った調査は困難であるといったことを主な根拠としております。   しかし,義務についてそういった立ち入った調査が困難であるということは,義務を認めない理由としては成立するとは思われますが,実際の権限に関する理由としては,必ずしも当たらないのではないかということでございます。   むしろ戸籍法は,届出に係る事実につきまして,先ほど届出書のところで御説明しましたように,出生届であれば出生証明書といった届出事実に係る疎明資料を提出することを要求しております。また本人確認,それから届出人本人の署名等を要求しておりまして,むしろ届出意思等のその他の要件も審査の対象とはしていると考えるのが合理的であろうと思われます。   審査,調査の負担は,後に述べます審査のやり方に関する問題であると考えられるところであります。この点は参考文献として(注5)に挙げさせていただきました北海道大学名誉教授の山畠正男先生の「注釈民法」の記載,記述にもまとまっているところでございます。市区町村長が形式に欠けるところがないということで,あたかも郵便ポストのように届出を受理しなければならないというわけではない。届出の要件違反が明白な場合には,審査することはできるといった趣旨の記載が見てとれます。   そして,審査の手法についてでございますけれども,実際に(3)を御覧ください。先ほど申し上げたように,非常に多数の届出事務を処理しなければならない。またその処理のスピードにつきましても,国民の身分関係を早期に確定するという,国民の皆様の利益というものがございますので,迅速に処理しなければならないという要請を負っているところでございます。   したがって,逐一事実関係を調査する。例えば裁判手続のような非常に厳密な調査,あるいは更にいろいろなレベルの調査があろうかと思いますが,そういったものではなくて,主として市区町村が保存する戸籍等の資料やあるいは届出人から提出された資料,そういった書面を対査して審査を行うことが想定をされておりまして,この点はどの見解を見ても異論のないところであるように思われます。   また,こういった実情を受けまして,現行の戸籍法施行規則,お手元の戸籍六法の278ページを御覧ください。278ページの63条に謄本等の提出要求ということで,資料提出要求権が定まっております。この資料提出要求権は,現状としてはこのように戸籍法そのものではなく,規則で定まっているという状況にございます。   一般的に行政法上,行政調査が任意であれば,法律の留保,法律上の定めがなくても,これを行うことができると考えられておりますけれども,この市区町村長が届出人に要求する資料というのは,その届出人の身分事項に係るプライバシーに関する資料の提出を求めるということにもなりますし,また,戸籍事務を行うに当たって,実際に窓口におられる市区町村の方々にとりますと,明確な根拠規定を示すことができた方が,より事務が円滑であろうということが考えられますので,今回規則ではなく法に,この資料提出要求権を定めることを御提案するものでございます。   御提案する規定の概要といたしましては,(4)に記載させていただいたとおりでございまして,現行の戸籍法施行規則第63条と同趣旨の規定,「市区町村長は,届出又は申請の受理に際し,戸籍の記載又は調査のため必要があるときは,書類の提出を求めることができることとする」,そういった旨の規定を設けることを御提案いたします。   なお,こういった資料だけではなくて,届出人にその届出に関する事情を聞く質問というものも別途想定をされるところでございますが,この点につきまして,戸籍法には現在本人確認等に関する規定等,一部が定まっておるところでございます。他の住民基本台帳事務等も参考にさせていただきながら,次回調査権,この点は議論をさせていただきたいと思っております。   市区町村長の関係は以上でございます。 ○窪田部会長 どうしましょう,ここで一遍切りましょうか。   法務局の調査権の話も,内部において関連する部分があるのですが,もし関連するところで市区町村の審査に関わって必要があれば,もう一度そのときに議論していただくということで,まず,今まで御説明いただいた市区町村の審査に関して御質問,御意見等がございましたら御発言をお願いいたします。 ○久保野幹事 すみません,基本的なところの質問で申し訳ないのですけれども,この現行の規定で任意であれば,法律の留保がなくてもこれは行うことができるという御照会があるところとの関連では,この法律に入れたときに,この提出を求めるのは,強制力まではないという理解でいいということでしたか。確認です。 ○渡邊幹事 現時点で,戸籍法施行規則は任意の規定として運用がなされております。間接強制の規定等は設けられておりませんし,また提出要求をした場合に,これを拒む方も中にはいらっしゃるわけですけれども,そういった場合に,更に何か強制的なことを運用上しているというわけではございません。現時点におきましては,そういった現行の施行規則63条と同様の任意調査の範囲で,戸籍法に規定を設けることを想定しております。 ○久保野幹事 すみません,続けてなんですけれども,その場合に,ちょっと次の問題と区別が付いていないかもしれませんが,受理する際に,疑義なり確かめたいことがあるから書類を求めると。でも拒まれてはっきりしないとなると,受理ができないという事態は想定されるところかというのも確認を含めてですけれども,そうすると,何ていうんですかね,いわゆる出させるための強制力は行使できないとしても,出さないとあなたの届出したい何々届は受理されず,それが創設的な届出だと効力,成立させることができないと,そういうことは想定されると。ちょっと具体例がどのぐらいあるのかとか全く分からずに質問していますけれども,よろしくお願いします。 ○渡邊幹事 正に,戸籍の届出は届出という言葉を使っておりますが,実質的には審査をしているという観点からしますと,行政法的には申請に準ずるような手続ではないかと思われます。実際に本来お願いした添付資料が添付されない状態で届出がなされたという場合に,市区町村長の側で調べることができるものについては,例えば戸籍謄本等の添付をお願いするケースというのが現状の戸籍事務ではあるわけですけれども,市区町村長の方で調べて対応をしております。   しかし,市区町村長が実際にそこまでアプローチできないような資料については調べることができない。したがって,その点が補足されなければ届出の適否を判断することができず,受理をできないというケースもあろうかと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   久保野幹事からは,次の問題にも関わるかもしれないというお話がありましたが,恐らく具体例としては,後でまた詳しく扱っていただくと思うのですけれども,6ページに挙がっている例が多分それに該当するのかと思います。つまり出生証明書は添付されないまま出生届が出てきたという例ですね。ただ,出生届の様式,先ほどのお話だと,規則の方であれば,それでも足りるわけですね。他方,通達の方では右側に出生証明書が付いている形になっているのだけれども,そういうものが付いていない出生届が出てきたときに,それを受理しなければいけないのかどうか。出生届を,証明書を提出してくださいということまでは,今回の提案で言えるけれども,それが提出されなかったときにはどうなるかという問題ですね。それは受理できないということになるのでしょうか。 ○渡邊幹事 出生証明書,どういたしましょうか,実際の実務について御説明をした方がよろしいでしょうかね。 ○窪田部会長 ちょっと詳しく説明していただいた方が分かりやすいのではないかと思います。 ○渡邊幹事 次の法務局の調査のところも,では併せて御説明をさせていただきたいと思いますけれども,よろしいでしょうか。   お手元の部会参考資料11を御覧ください。   実際に市区町村に届出が出る絵がございます。一番左側から届出が出ます。そしてもし仮にこの関係で出生届が出て出生証明書が付いていないということになりますと,法務局に照会をすると,上に矢印が出ておりますけれども,法務局に照会をするということになります。そして,法務局が調査をするということになります。   こういった調査の典型的な例が,正に今部会長がおっしゃった出生届の添付,出生証明書の添付のない出生届でございまして,こういったものにつきまして,実務上照会をいただくということが決まっております。そして照会を受けた場合には,法務局におきまして,そのお母さんと連絡をとって,母子健康手帳,保管中のへその緒,あるいは子供と撮った写真等,その母子関係を推認させる資料の提出を求めたり,あるいはそのお母さんから出生経過に関する事情を聞き取ったりして,その出生届の内容の真偽を判断しております。   そういった出生証明書そのものでなくても,その他の断片的な資料を総合して考えると,このお母さんからこのお子さんが出生したということが認定できる場合には,その調査結果を法務局の方から市区町村の方にお返しして,市区町村がそれも一材料として判断し,届出を受理するということになろうかと思います。 ○窪田部会長 私の段取りが悪くて,先ほど1の市区町村の調査権と2の法務局の調査権について切り離してということでしたが,一緒に御説明していただいた方が,多分議論しやすいですね。申し訳ございませんが,2の法務局の調査権についても御説明を頂いて,その上で御議論していただこうと思います。 ○渡邊幹事 承りました。   では,「2 法務局の調査権について」を御覧ください。   市区町村長は,戸籍の届出を審査するに当たりまして,事実の認定等に問題があった場合には,法務局に指示を求めることができることとされております。   先ほど見ていただきました戸籍法施行規則の82条になります。ページは287ページでございます。   これが先ほどの図を使って御説明した市区町村から法務局へ尋ねるという,受理照会と私ども呼んでおりますけれども,手続になります。そして,受理照会を受けた法務局におきましては,元々法務局は戸籍法3条2項に基づきまして,市区町村に指示,助言等ができることとなっておりますので,これを行うために,関係資料や関係者等について任意調査を行って,最終的にその照会について回答を作成し,市区町村にお返しをするということをしております。   元々戸籍制度は,日本国民の親族的身分関係を登録公証する,そういった目的の制度でありまして,公に証明するという以上は,できるだけ虚偽の届出による記載を始めとする異なる不実の記載をできる限り排除することが,そもそもの目的にかなうものであると考えられます。   一方で,冒頭に申しました形式的審査権,市区町村の形式的審査権をめぐる議論の背景にあります届出がなされた以上は,できるだけ早期にこれを受理しなければならないという一方の要請もございまして,市区町村のレベルでいいますと,調査の手法に限界があるということが言えると思います。   そこで,実務上,(注7)に先例として列記をさせていただきましたが,様々直ちに戸籍の届出が出たときに,その届出を受理するかどうか判断することが困難な迷う事例につきましてリストアップをして,各市区町村にお示しをしております。こういったその事例に合う場合には,市区町村から法務局へ照会が来るというような流れになっております。   先ほど御説明した典型例の第一ですけれども,出生証明書の添付のない出生届等につきましては,こういった照会が来れば法務局の職員がその届出人と直に連絡をとって,資料を求めたりあるいは事情を聞いたりといった調査をしているところでございます。   このような受理照会における調査対象は,出生,死亡といったいわゆるライフイベントとして,客観的な事実が多うございますけれども,虚偽の養子縁組であると疑われる届出に関する受理照会というものが平成22年に設けられ,実際に運用がなされております。   (注7)の一番最後のポツになります。我が国の養子縁組制度は,御案内のように,普通養子縁組制度は役所に届出をするだけで養子縁組が成立すると,養子縁組の効果が創設的に発生すると考えられておりますが,それが必ずしも新親子関係を作るという目的ではなくて,別の目的で使われているのではないかといった社会的な御指摘があって,こういった通達による調査の運用がなされたと承知しております。   ちなみに,この養子縁組の意思に関するものとしまして,(注9)でございます。御覧いただけますでしょうか。最高裁判例に,当事者に養子縁組をする意思がないときとは,当事者間において真に養親子関係の設定を欲する効果意思を有しない場合を指し,例え届出自体について意思の一致があったとしても,それが単にほかの目的を達するための便法として仮託されたものにすぎないときは,養子縁組の効力は生じないといった最高裁判例がございます。   実際に,この平成22年の通達に従う調査につきましても,養子縁組意思があるかというよりは,ない場合に当たるかといったような調査をしております。典型的には,刑事施設の中に収容されている方と外にいる方が面会をするために,親子関係を設定しておけば面会の権限を持つというか対象者になりますが,そうでないとなかなか面会できない,そういった現状がある中で,その目的に用いられていると認定できるかとか,あるいは借入れをするために氏を変える,そういった氏を変える目的,単に氏を変える目的と認定できるかといった,明らかに他の目的によるといった認定ができるかという観点から,そういった調査をしておるところでございます。現状がこのように法務局も戸籍の届出について調査をしておるといった現状がこのようにあるところでございます。   一方で,この法務局の職員が,実際に市区町村に対して助言,指示を行うために調査を行う権限というものにつきましては,戸籍法あるいは戸籍法施行規則,これらには規定はございません。確かに一般に行政調査は法律上の定めがなくても,これを行うことができると考えられておりますし,また戸籍法3条2項は,法務局は必要な指示を市区町村にできるという規定がございますので,当然それも有していることが想定されていると思われます。   市区町村自身は,窓口事務として専ら書類を対査する審査を行うことが求められておるわけでございますけれども,先ほど申し上げた不実の記載を防止する必要というものをどう実現していくかというところが問題になるところでございます。市区町村の窓口事務としての性質あるいは事実上の限界,一方で,法務局がこれまで行ってきた調査等の事務の特質に鑑みますと,双方が補い合って調査を分担してきたと考えることがいえるかと思います。   そして,戸籍法上,この調査権が明文化されていないことが実際の調査の支障になっている例がございます。調査の対象となる行政機関に届出人の情報について確認をする際に,法務局が調査をする根拠規定を求められることも多うございますし,また届出人は市区町村の窓口とは接点を持っておりますが,法務局から事情を聞かれる際に,法務局からなぜ聞かれるのかといった疑問が呈されることもあると聞いております。   そこで,戸籍法に法務局の調査権の権限の規定を設けることにより,実際に今行っている関係者への質問,あるいは行政機関への協力要請,こういったものを法的な根拠を示しながらできるようにする必要があると考えております。   そこで,(3)のゴシック部分でございますけれども,法務局の長は,戸籍事務の処理に関し必要があると認めるときは,届出人本人その他の関係者に対し,質問をし,又は文書の提示を求めることができる旨の規定を設けることを御提案するものでございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   第2の部分について全体を通じてということになりますが,もうどこからでも結構ですので,御質問,御意見等がございましたら御発言をお願いいたします。 ○北村幹事 先ほど久保野幹事から御質問ありましたところ,今説明にもありましたけれども,資料を求めるということで,例えば出生証明書が付いていない場合には,先ほど申しましたように,法務局の方でいろいろな資料を出していただいて判断をする。それで受理ができるかどうかを判断するという作業を行っております。   そのほか創設的届出ということでの御質問がございました。分かりやすいのが外国人の方との婚姻というのがあろうかと思います。婚姻には要件がございますけれども,何も出していただけないと,その審査をすることができない。日本にある資料ではなく本国からとっていただかないといけないような資料を出していただかないと,受理できるかどうか判断できません。その場合に,市区町村の方でそれを取り寄せるということは物理的にも不可能でございますし,そういった場合には受理できないという扱いになろうかと思います。そこの点は,この規定を市区町村の資料提出要求権を置いたとしても,そこは変わらないと考えておるところでございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   久保野幹事,よろしいでしょうか。 ○久保野幹事 はい,今の点についてはよく分かりました。ありがとうございます。 ○磯谷委員 磯谷です。今の市町村,それから法務局の調査権について,私ども日弁連の方でバックアップの会議がございますが,そこでもいろいろ意見を聞いてみたのですけれども,基本的にはその必要性について理解するというふうな意見が多かったのですけれども,一方でやはり懸念を表明する意見も少なからずございまして,そのやはり大きなポイントというのは,どこまで何を調べるのかというところにも関わってくるとは思うのですけれども,内容によってはかなりプライバシーにわたるところを根掘り葉掘り聞くというふうなことになるのではないかというふうな懸念を述べられる方が多かったです。   特に養子縁組などについては,先ほど御紹介いただいたような,やはり濫用事例があるということは承知はしておるものの,一方で養子縁組の意思について,どこまで認められるのかといったところについては,かなり議論があるところで,先般の最高裁の判例でも,節税目的についても認めるような内容のものがあったというところなどを踏まえると,かなりそこの辺りというのはデリケートだろうと。私も詳細は承知しておりませんけれども,どうもいわゆるLGBTの方が婚姻ができないということで,養子縁組をされるということも,そういう事例もあるやに聞いております。それについてもいろいろと評価はあるのかもしれませんけれども,いずれにしても養子縁組というのが,現実にいろいろな思惑で使われているというふうな状況を踏まえて,そうするとやり方によっては,あるいは審査の対象によっては,かなり細かいところまで調べられるのではないかと,その辺りを懸念する意見がございました。   それから,この辺りは本当に人によってある程度意見が変わってくるところですけれども,基本的にやはり原則受理で,受理をしないものというのは極めて例外的であるべきだというふうな意見を述べる方もいらっしゃいました。   また,先ほどの事務当局から御指摘のあった濫用事例,暴力団が接見に関して,接見を有利に行うために養子縁組を使うというふうなお話についても,若干論点がずれるかもしれませんけれども,むしろ我が国の刑務所における面会の制限自体が非常に過度に強いところにむしろ問題があって,それを養子縁組を無効にするという形で解決するというのはおかしいのではないか。別の視点で改めるべきではないかというふうな意見もございました。   いずれにしても,まとめますと,基本的な枠組みとしては理解はするけれども,やはり過度に広がらないために,どういうふうに対応するのが望ましいのかというところは,よくよく注意すべきだと,こういうふうなところが今のところの私どもの意見でございました。ちょっと報告みたいな感じで申し訳ありませんが。 ○窪田部会長 今,御指摘を頂いた部分,非常に大事な部分なのだろうと思いますけれども,事務当局の方から何かお答えいただくことはありますでしょうか。 ○渡邊幹事 御意見ありがとうございます。   お手元の戸籍六法の1,416ページを御覧いただけますでしょうか。今,御説明した平成22年の通達が掲載されております。   こちら通達,1,415ページから始まっておりますが,この通達を受けて下の平成22年12月27日の真ん中の段です。3201号のところに,実際にどんな養子縁組について受理照会をするのかというところが記載されております。第2の1(1)からその例が列記をされております。例えば冒頭御説明いたしますと,届出の前,おおむね6か月以内に養子縁組,離縁を2回以上行っているもの,あるいは(2)届出人のいずれかが届出時に2人以上の者と養子縁組をしている場合といったような事例を,事例というかケースを挙げさせていただいております。   おっしゃるように,調査権というものを定めたとしても,どのような事案でこの調査権を発動するかということに関しては,合理的な範囲でなければならないというのは当然のことかと考えておりまして,運用としてはこういった通達等でその場面を設定していくということが一つ考えられるかと思います。 ○窪田部会長 磯谷委員,よろしいでしょうか。   私も発言してよろしいでしょうか。   私も実は,磯谷委員と同じ部分が,ちょっと気になっておりました。磯谷委員の先ほどの御説明の中でも,接見目的の養子縁組というのは多分規制した方がいいだろうとか,クレジットカードの債務を免れるために名前を変えるというだけの養子縁組が問題があるというのは,多分共有できているのだろうと思いますが,それを前提とした上で,こういった形で,確かに限定はしていただいているのですけれども,それがうまく機能するかという問題は,なおちょっと気になる部分がございます。特に今挙げていただきました本件通達の趣旨ということで,第1のところで,縁組意思のない養子縁組(以下「虚偽の養子縁組」という。)と言うとすると,婚姻意思のない結婚(以下「虚偽の婚姻」という。)とかについても同じように言えるのかというと,やはり,そこまで広げていいのかとかという問題があると思います。もちろん多分そこまで広げるという趣旨で今日事務当局からも御説明があったわけではないのだろうと思いますが,どうやったらうまく絞り込めるかという点が気になります。磯谷委員の恐らく内容というのも,そういう意味だったのではないかと思います。今すぐ答えが出るということではないと思うのですが,検討していけたらいいなと思っております。 ○久保野幹事 今の御提起のあった問題と同じことに関してちょっと質問があるので,述べさせていただきます。   ちょっとただ前置きさせていただきますと,私も同じように,とりわけ典型的な濫用といえるような,およそ身分行為の設定とは関係ないといったようなものが,客観的に明白であるといったような例を考えたときに,調査の根拠を明らかにするという必要性があることですとか,あるいはやはり括弧付き,形式的審査権と呼ばれてきたものの,その限界みたいなものも議論されてきたと思いますので,意義があると考えていますけれども,今既に御指摘がありましたとおり,調査を必要とする場面が,あるいは意思がないですとか虚偽かあるいは不実かといったことが問題になり得るような場面が様々多様なように思いまして,調査を必要とする理由につきましても,先ほどのこの出生届の例というのが,その事実に基づいて身分関係が発生するときに,曖昧,事実をより立ち入って確認しないと,親子関係と基本的なことが分からないということについて,言わば子供の利益のためにか分かりませんが,この私人の利益のためもあって,職権的に調査するというような印象でも捉えられるのに対して,やはり養子縁組の接見のためというのは,むしろ何ていうのですか,やはり制度の濫用というか,ほかの制度との関係で問題があるようなものを,公的な観点から防ごうというような規制的なちょっと印象を,私はどちらかというと強いものに受けますし,今のそれぞれの理解はともかくとしまして,調査を必要とする理由もいろいろあるように思いますし,そこで問題となっている調査をすることで守ろうとしている利益というのは何かも,ちょっともしかしたらやはり違う,いろいろなものが入っているように思いまして,それは公証の目的というのは何かということにも関わっているようにも思いますし,あと先ほど創設的届出の場合はというのを,先ほど例で挙げましたけれども,その調査の結果,受理できないとなったときの効果がまた違う,物によって違うというのがあると思いますし,先ほど来出ているように,一定どの範囲,何の根拠をもってどこまでをどう調査するのかというところについては,なお,次回へ向けて慎重に考えるべきだと考えているところです。   私自身,ちょっと今いろいろ申し上げましたけれども,その割に自分の意見が今固まっているわけではないのですけれども,次回に向けても時間があるということですので,ちょっとばらばら,断片的になりますが,幾つか気になっていることをいいでしょうか,ちょっと長くなりますが質問させていただいて。   一つは,先ほど部会長が例として,意思の実質的な意思まで問題にし得るということになると,婚姻意思などはどうなるのかという提起がありましたけれども,婚姻意思ですとか離婚意思というものが,今のままですと可能性としては想定されるのか想定されないのか,形式的にはちょっと入ってこざるを得ないような気もするのですけれども,それがこういうもの,こういう基準で調査の有無というか,限界が区切れそうだというのは,何か現時点でおありかというのが一つと。   あと,遡るのですけれども,義務ではなく権限という話に関わってなんですが,調査の義務を負うというのは,どの範囲でも想定されていないと伺っていいのか,民法の740条で定められている部分については,考え方としては義務を負うと考えるのかというようなこと。   それとの関連で,740条を改めて見ましたら,735条などが例えば入っていまして,その姻族関係にかつてあった者の婚姻の問題などは,一件一件丁寧に調べるとすると,結構大変なようなものも入っていまして,そういうものも想定した場合に,義務の範囲があるのかどうかということを,差し当たりそれらについてお願いできたらと思います。すみません,長くなりました。 ○窪田部会長 それでは,お願いいたします。 ○渡邊幹事 調査として,婚姻届などについても調査が想定されるのかというお尋ねがあったと思いますが,一般的には先例で定めているものとして,婚姻届について受理照会をということで,そもそもその調査の対象として規定,想定しているものは今のところございませんので,むしろ先ほど申し上げた平成22年の虚偽の養子縁組届に関する調査の方が,社会的な要請を受けて調査をする必要があるだろうという御要望があって実施するに至っているというところでございます。   この虚偽の養子縁組の,虚偽の疑いのある養子縁組届の調査につきましては,戸籍事務,全国市区町村の戸籍事務を担当しておられる全国連合戸籍住民基本台帳協議会の総会の方でも要望として法務省の方に上がってきていたという経緯があります。調査の対象はそういう意味で申しますと,先例で一応定まっていて,その先例のケースに当たる場合に,市区町村から法務局に照会があって調査をするということになります。   あと,義務と権限のお話がございました。確かに民法上,法定要件が幾つか定まっておりまして,これらについては審査をするというのが,一応義務であるということが言えると思います。ただ,久保野幹事が言われたような,なかなか調査の難しい部分もございまして,基本的には義務であると考えられるというようなお答えにとどめさせていただきたいと思います。 ○窪田部会長 戸籍は届出によって記載いたしますので,先ほど例えば婚姻届を見ていただければ,お二人の署名があって,証人もあります。通常その署名があってお出しになるということであれば,それは意思があるものとして手続をし,受理をしていくというのが戸籍の枠組みでして,そこを変えようというものでは特にございません。特に疑義のあるものについて調査を,民法の規定も挙げていただきましたけれども,要件が規定に違反しないことを認めた後でなければ受理することができないというように,受理するに当たっては,当然市区町村の方では審査をしなければならない。そのための方策として権限を設けさせていただく。それは国民の方に何か義務を新たに課すというものではないと理解をしてございます。   ほかはいかがでしょうか。 ○三橋幹事 すみません,私は質問というよりは,今のお話を伺っていて思ったのですけれども,実務上何らかの調査権限が必要であるために規定されたいということで,その趣旨は理解できるところでありますし,また実際に8ページに例が書いてありますが,住民基本台帳法には市町村長の一定の調査権限があり,そのアナロジーで想定されているのかなと理解をしております。   ただ,今のお話と実務を伺ってみますと,市町村長は戸籍の届出について受理権限,行政手続法上では行政処分の扱いになるのではないかと思いますが,処分権限を持つ市町村長が直接調査権を持つというのは何となく分かるのですけれども,そうではない法務局とか,地方法務局の長が調査するという場合は,市町村が判断できないものが法務局長の方に上がって,その受理していいかどうかという市町村の判断に資する材料を法務局長が調査して提供しているということだと思います。   であるならば,法務局長はどういうケースで調査権限があるのかということを,法制的にきちんと整理しておいた方が良いのではないでしょうか。処分権者ではない者が重畳的に調査するというのは違和感があるので,そういった整理をきちんとした上で,どういうケースにおいて法務局や地方法務局の長の調査が生じるのかという要件を整備するという道もあるのではないかなと思っているところでございます。8ページの「そこで」という部分の書き方は非常に茫漠としていて,必要があれば「届出本人その他関係者」でほとんど全国民が調査対象になりかねないように読めてしまうので,そこら辺を少し整理をするという道もあるのではないかなと思ったところです。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   何かありますでしょうか。 ○杉谷関係官 1点だけ補足させていただきますと,法務局長の権限なのですけれども,市区町村長から照会を受けて受理の指示をしたり,あるいは回答したりという場合もありますし,あるいは戸籍訂正などで許可を出すという,こういうふうに訂正していいですかということを聞かれて許可を出すという,そういう権限もございます。   ですので,基本的には間接的に処分を下すということになるのでしょうけれども,実質的には戸籍の記載について踏み込んだ形での許可と,処分というのですか,行為を行うということは,一応想定の中に入っているところでございます。 ○渡邊幹事 御案内のように,戸籍法3条には,法務大臣は,市区町村長に対して報告を求め,助言又は勧告をすることができるという規定がございます。戸籍六法の186ページになります。   第3条の2項に戸籍事務の処理に関し,必要があると認めるときは,法務局長は市区町村長に対し報告を求め,助言又は勧告をすることができるという規定がございますし,今,杉谷関係官が説明しましたけれども,戸籍訂正に関して,市区町村長から照会を受けて許可をするというような,そういった規定も戸籍法24条2項に定められております。   確かに市区町村に権限があって,さらに法務局がそれについて調査をするという形という御指摘を受けたところでございますけれども,バックボーンには,こういった戸籍事務に関する国とそれから市区町村の関係があるということでございます。こういった規定が設けられた必要性というのは,実際に戸籍事務は国民に非常に近い市区町村が窓口を行うべき,あるいは事務を行うべきであるけれども,国民の親族的身分関係を登録公証するという観点から,統一的な基準が望ましいと。これを特に考えていく必要があるというような考えから,この3条が設けられたと聞いております。あるいは戸籍訂正に関する規定が設けられたと考えております。こういったバックボーンもうまく御説明をしながら,考え方をまとめさせていただきたいと思っております。   実際にどのような範囲で調査権を発動しているのかということに関しましては,そこに(注)に挙げさせていただきました先例でリストアップ,主なものをさせていただきましたけれども,そういったもので定まってきたという経緯がございます。量が非常に多うございまして,そういったものを法律に定めるというのは,なかなか難しいところかと思います。御意見も頂きながら,より分かりやすい内容にしていきたいと思っております。 ○窪田部会長 それでは,先ほどの御発言の続きということであれば,三橋幹事に御発言いただき,それから大橋委員に御発言いただきます。 ○三橋幹事 市町村長に対して法務省,法務大臣が国と地方の関与という点で,法定受託事務として関与されていることというのは全く否定していなくて,必要な助言や勧告,あるいは市町村長に対して報告を求める権限は当然あってしかるべきといいますか,あるはずのものなのですね。   ただ,気になるのは,本来の処分権者である市町村が調査権限を持つということを明確化するというのは割としっくりくるのですけれども,その市町村長に対する助言や勧告や報告を求める立場の法務局長が,直接国民に対して調査権限を持つというところに対しては,やはり違和感を感じる人もあると思います。そこをうまく,処分権限は市町村長にあるところ,国としてその処分権者に対して関与しているという規定をバックボーンにしながらもなお,法務局長が直接調査しなければいけないというケースを,権力の濫用にならないように要件を整備するという必要があるのではないかと,そういう観点の意見です。 ○窪田部会長 よろしいですか。今の点を踏まえた上で,御検討いただければと思います。 ○大橋委員 今日は調査権の話が二つ出ているのですけれども,まず一つは,この市町村の調査権の観点なのですけれども,今は割と法律で,行政目的で必要な場合には,調査規定を法律で置いているという例はかなりあることです。だんだん,行政調査手続というもの自体の価値が時代とともに上がってきているので,ここに書いてあるように,法律で必ず書かなければいけないかというと,書かなければいけないのは令状をとって直接強制するような場合とか,刑罰を書いて間接強制でやるような調査では,法律に書かなければいけないですけれども,任意調査の場合は,それは必要ないということです。けれども,任意調査を法律に書くということの立法政策的な意味というのは十分あります。横並びで住民基本台帳法の方の調査が法律で書いている,そういう御時世に,戸籍法のような基幹的な法律が省令レベルで調査をやるというのはどうかと,そういう問題が一つあると思いますので,そういう観点から今回調査事項を法律に格上げしようというのは,私は賛成です。   先ほどから話が出ている法務局の調査は,ちょっとまた話が少し違っていて,法務局が市町村に持っているのは,国・地方関係での関与ですから,一番気になるのは対国民という形での権限規定になっていない点です。先ほどの市町村は処分権限を持っているところに調査を任意でやるということだったのですけれども,法務局はそこがないので,ですから,今のように省令にも規定がなくて,それで国民に対して法務局が調査をやっているという実情よりは,私はきちんと法律規定を置いて,それに基づいてやらないと,多分市民の方もだんだん応じないし,関連の行政機関の方も簡単には応じられないという状況はこれからどんどん出てくるので,法律規定を置いてやってもらう必要があるかなと思います。   先ほどから出ている濫用の話は,行政調査もこれは行政活動ですから,当然比例原則とかの適用があって,必要性という範囲を超えたら,その調査は違法になるということです。この点は,きちっと認識して,今までされてきた調査の中身をちょっと今回もう一度見直していただいて,行き過ぎがないかというようなところを,民法の先生方がいらっしゃるので,民法の規定との関係で精査していただくとかということは必要なのかなというような気はいたしております。   それで,法律規定でどちらの調査も任意調査にとどめるということですけれども,先ほどお話が出ましたように,これは広い意味で申請手続なので,相手方が情報を出してこなければ,望んだ給付が与えられないという点が一つ担保措置になっているという点での手続です。そういう中で,今回のような形で任意調査として置いても,実効性はそれなりには確保できるのかなという,そういう気はいたします。   あと,調査の書き振りのところが,窓口業務が大部分だとはいっても,法律規定を書くときに,これを書面提出だけというような形で限定すると,元々任意調査で割と広くできていたところが,むしろ何か限定するような趣旨が出てくると問題なので,そこは少しゆったり表現することは必要かもしれません。調査は,2回に分けて検討されているということなので,また来週,次回の内容かもしれませんけれども,今述べた点も御検討いただければと思います。 ○窪田部会長 御意見として伺うということで,次回の検討に是非反映させていただいたらと思います。   ほかはいかがでしょうか。 ○鷲﨑幹事 細かい話ですけれども,ここの調査権の議論というのは,マイナンバー制度やその電子化,システム化とは独立した話で,あとはその改正をするに当たって,効率的ですから,併せて法令としても改正しておくという,そういう理解でよろしいのでしょうか。 ○渡邊幹事 おっしゃるとおりでして,マイナンバー制度導入とじかに関連するというよりは,戸籍の記載の正確性を担保するということでございまして,正確性を担保することによって,マイナンバー制度を導入する戸籍事務そのものが正確なものになるという,側面から支えるという位置付けの論点になります。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   いかがでしょうか。 ○石井幹事 筑波大学の石井です。市区町村の調査権ですとか法務局の調査権,御説明があったところなのですけれども,個人情報保護の話が出ておりまして,その個人情報保護の観点から申し上げますと,行政機関個人情報保護法ですとか,市区町村の条例とかが適用法令が異なっているという点にまず注意しなければいけないかなというのがありまして,ただ,行政機関個人情報保護法の場合は,保有の制限ですとか利用提供の制限があると。自治体の条例の中には,本人収集を原則とするものですとか,センシティブ情報の収集の原則禁止を設けるものがあると。ただ,いずれも法令に規定がある場合は抜けるようになっていて,その法令というのは,別に法律に書いていなければならないというものではないのですけれども,ガイドラインですとか個人情報保護委員会のガイドとか,委員会のガイドラインは民間向けですが,個人情報保護委員会のガイドラインですとか,関係する解説を見る限りでは,法律上の根拠規定がある場合というのが例として必ず挙がっていますので,法律の規定にしていただくという方が,結論的には望ましいのではないかという意見です。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   御意見として伺っておくということでよろしいでしょうか。   ほかいかがでしょうか。   どうも御議論ありがとうございました。この問題に関しては次回も重ねてということになりますので,本日の議論を,出た御意見等を踏まえて,事務方でもう少し検討していただいて,次回もう少し詰めることができればと思っております。   それでは,ちょっと大体3時になりましたので,休憩時間を取らせていただき,3時15分に再開いたします。           (休     憩) ○窪田部会長 それでは,先ほどの審議の続きに行きたいと思いますが,先ほど取り上げました第2の部分については,既に申し上げたとおり,次回も扱うことになります。ちょっと休憩時間の中でも,もう少し具体的な例でこの場合にどうなるのだろうかというような問題,これが幾つかありそうですので,そういった点について,どういう形で御準備いただけるか分からないのですけれども,事務局の方でも事前の資料の中に,そうした点について触れていただくようにして,次回の審議ではもう少し掘り下げた形で検討していただけたらと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。   それでは,引き続きまして,部会資料の3の8ページ,「第3 戸籍訂正制度について」ということで御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 それでは,御説明いたします。   戸籍法部会参考資料12,戸籍訂正手続の概要も手元に置きながら御覧ください。   戸籍訂正制度,そもそも一般的ではない手続ではございますので,少しお時間頂きまして,戸籍訂正というものがどういったものなのか,現状どうなのかというのを,まず御説明させていただきたいと思います。   まず部会資料3,8ページのところですけれども,お手元の戸籍六法の230ページ,113条,114条のところも併せて御覧ください。   113条に戸籍の記載が法律上,許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを発見した場合には,利害関係人は家庭裁判所の許可を得て戸籍の訂正を申請することができると記載してございます。   こちらの戸籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることというものは,どういうものかということについては,(注11)の中で記載をさせていただいているところでございます。   この訂正事由については様々でして,氏名であるとか出生事項であるとか死亡事項,父母欄とか婚姻事項等の訂正等もございます。また,複本籍というものもございます。ここで複本籍,今回後ほどでも出てきますので,改めて複本籍というものはどういうものかというのを御説明させていただきますけれども,(注12)のところに記載をしております。通常婚姻等をされますと,元の戸籍から除籍される場合がございまして,その場合には除籍の記載をしないと,戸籍からは除籍しなければならないことになりますけれども,何らかの事情で,そのような場合,転籍とか婚姻とか,そういう除籍をしなければならないときに,その手続を遺漏する例がございます。   複本籍の原因というのは様々ございますけれども,こういったものが多いのかなと考えられるところですけれども,そういったことにより,同一の方が2個以上の戸籍に記載されているという場合がございます。戸籍事務,市区町村長が管掌しておるということで,各戸籍が連携してございませんので,ある市区町村で除籍されないまま残っていきますと,その市区町村では,その方の戸籍はいわゆる生きたまま,現在の戸籍という形で残っていき,他方新しい新本籍のところでは,新本籍,戸籍ができて,そこに新しい身分事項が重なっていくということになります。そういった状態で続いているものがございまして,それが相続とかの際に発見されるということがございます。   こういう複本籍というものも相続等で発見されて訂正してほしいということで,訂正の手続がされることがございます。実際には全ての戸籍を確認するすべは今のところないわけでして,委託調査研究を行った際に推計した数字としては,全国に5万戸籍程度,このような複本籍があるのではないかと推計されているところでございます。   この113条に基づきます戸籍訂正の手続というものについては,先ほどの条文を見ていただきましたように,家庭裁判所に訂正の許可を申し立てて,その許可の裁判書を持って戸籍訂正の申請をしていただくということになります。   また114条には,届出によって効力を生ずべき行為について戸籍の記載をした後に,その行為が無効であることを発見したときはということで,届出人又は届出事件の本人が家庭裁判所の許可を得て,戸籍の訂正を申請することができるという規定がございます。   このようにちょっと似てはおりますけれども,届出によって効力を生ずべき行為というものは,創設的な届出だとされてございます。具体的にはどういったものが含まれるのかということですけれども,(注13)のところに,その例を挙げておきました。届出によって効力を生ずべき行為というものについては,認知であるとか縁組とか離縁とか婚姻,離婚のようなもの,民法上の効力を生ずるものも入り得ますけれども,それ以外の入籍,分籍であるとか転籍とか国籍留保とか,そういった届出によるべきものも含まれるとされてございます。   無効の原因は,あらゆる場合は該当するとされておりますけれども,実務上,その無効が親族相続法上重要な影響を持つものについては確定判決を得てということで,116条,こちらの家庭裁判所で裁判をしていただいて,その確定判決をもって戸籍訂正をしていただくというのが一般的でございます。ただ,この辺りの関係につきましては,後ほどまた御説明をさせていただきます。   このように訂正事由がある場合には,家庭裁判所の許可を得て訂正の申請をしていただくということになりますけれども,市区町村長において,この訂正事由を発見した場合には,戸籍法24条を御覧いただければと思います。戸籍六法198ページでございます。   24条の1項に,戸籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを発見した場合にはということで,113条の規定振りと同じ規定振りになってございますけれども,市町村長は遅滞なく届出人又は届出事件の本人に,その旨を通知しなければならないと記載がございます。このように訂正事由を市区町村長が発見した場合には,届出人,届出事件の本人にその旨を通知するということになってございます。   さらに24条3項を見ていただければと思いますけれども,裁判所その他の官庁,検察官又は吏員がその職務上戸籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを知ったときはということで,本籍地の届出事件の本人の本籍地の市町村長にその旨を通知しなければならないという規定もございます。このような形で他の行政機関からの通知を受けて誤り,訂正事由があるということを知るということがございます。その上で,24条の1項の通知を届出人等に行うという形になります。   24条1項通知,ただ全ての方にできるとは限りません。その場合には,2項のところに「通知をすることができないとき,又は通知をしても戸籍訂正の申請をする者がないときは,市町村長は管轄法務局又は地方法務局の長の許可を得て,戸籍の訂正をすることができる」という規定になってございます。これを職権訂正手続と呼んでございます。   さらに,先ほど少しお話させていただきましたけれども,その実体的な身分関係について争いが生じており,それについて実体的な身分関係を遡及的に確定する判決がなされた場合には,戸籍法の116条に基づきまして,訂正の申請をしていただくという流れになってございます。   11ページの訂正許可審判手続というところに移りたいと思いますけれども,この訂正許可審判手続というものがどういうものかということですけれども,こちらは家事事件,113条,114条に基づきます訂正許可申立て事件につきましては,家事事件手続法に基づきます審判が行われるということになってございます。   この訂正許可の裁判の効力の及ぶ範囲というものですけれども,主文に記載された事項,その審判の主文に記載された事項に限られると考えられるところですが,戸籍というものは同一の方についても,過去の戸籍等もございまして,同一の方が複数,現在の戸籍,そしてその前の除籍という形で記載されている場合がございまして,一つの戸籍を訂正いたしますと,訂正に伴って論理的に訂正すべき場合が生じてまいります。その場合も,どの範囲まで訂正できるのかというのが問題となってまいります。   また,審判書の内容について,こちら(注16)にも挙げさせていただきましたけれども,一般に法令違反と考えられる場合であり,戸籍上,矛盾を生ずるものであっても,その審判自体に無効をもたらすような重大な法令違反がない限り,基本的には審判書のとおり戸籍を訂正するものとされてございます。   続いて,イのこの訂正許可審判手続と確定判決による訂正手続の関係ということですけれども,先ほど見ていただきました戸籍法113条,114条の規定振りの中,この訂正事由についてはどの範囲が入るのかというのが,ここの問題でございます。   一般的には,この113条,114条については,この訂正事由,戸籍の記載自体で一見明白である場合も,それが明らかだというもの,あるいは訂正事項は軽微で訂正の結果,親族法,相続法上重大な影響を生ずることがないようなこの軽微だと言われておりますけれども,こういった場合に,この審判でできるとはされていたところではございますけれども,ただ,様々なその後も裁判例等もございまして,定説的なところがないところではございます。   なぜこの明白性,あるいは軽微性の要件を求められるのかというところですけれども,戸籍は親族的な身分関係を登録公証するものなので,実体的な身分関係に重大な影響がある場合には,正しく裁判手続,審判ではなく,非訟手続であるその審判ではなく,訴訟手続によるのが原則だと考えられているところではございます。   なお,今回全国の法務局におきまして,一定期間,戸籍訂正申請事案について調査をいたしました。その調査の中で113条に基づく訂正許可の審判がされたとして訂正の申請をされた事案について,実際にどういったものが多かったかと申しますと,生年月日であるとか御本人あるいは父母の氏名であるとか続柄の訂正に関するものが多かったところでございます。また,一般的に人事訴訟の対象になるようなもの,身分関係の変動を生じさせるようなものにつきましては,この113条の訂正の許可の審判でされていたものはありませんでした。   ただ,後ほど御議論いただきたいと思っておりますけれども,例えば婚姻届出が偽装だということで,日本人と外国人との偽装婚姻だということで,後に刑事事件になって,その婚姻が無効な婚姻だったということの判決がされ,刑事事件があって刑事の確定判決がされ,その旨検察官からの本籍地の市区町村への通知がされる場合がございます。これも24条の3項通知になりますけれども,このような場合には,24条の1項で,御本人に通知をしたとしても,相手方の外国人の方も国に戻っていることも多く,その日本人の方に通知をしても,別に戸籍の訂正を申請されない場合もございます。そういった場合,確定判決があるような場合には,訂正をしている例があると聞いてございます。   ただ,このような形になってございますけれども,一定の場合には,先ほど申しましたように,管轄法務局長の許可を得て訂正をしている場合があると申し上げました。更に軽微なもの,市区町村長の過誤によるものにつきましては,非常に軽微なミスということで,過誤と書いていますけれども,届書に書いてあるのだけれども,そのとおり記載しなかったような,本当に記載のミスといったものについては,市区町村長が,職権で法務局長の許可を得ずに訂正しているものがございます。   そのような形で職権訂正しておるというところなのですけれども,具体的に市区町村長限りの職権訂正の主な具体例については,(注19)になります。ちょっと説明が長くなりましたけれども,もう一度参考資料の12にお戻りいただいてもよろしいでしょうか。今まで御説明したものなのですけれども,それを図に表したものがこちらになります。   他の行政機関等から本籍地の市区町村長に訂正事由があるということで通知がされた場合,通常は右の方に移りまして,本籍地の市区町村長が届出人等にこの24条1項の通知を行います。そうしますと,その方が通知を受けた方が本籍地を管轄する家庭裁判所に訂正の許可の審判の申立てをして,届出人等が訂正の申請をしていただく。戸籍法の戸籍訂正というのは,この家庭裁判所に行っていただくというのが原則でございます。   そのために24条1項通知につきましても,訂正事由がありますよという通知をさせていただいているということになります。   ただ,その場合であってもいつまで御本人に通知をしたとしても,いつ家庭裁判所に行かれたのかということについては,市区町村の方では分かりません。いつまでたっても訂正の申請がない場合,あるいはそもそももうお亡くなりになっていて通知ができない場合もございます。そういった場合には,先ほどの24条1項通知が不可ということで,一定の場合,本籍地の市区町村長が法務局の方に許可,法務局長の許可を得て自分で直すという仕組みがあると。その範囲については,先ほど申し上げましたように裁判所ではございませんので,どんな事案でも法務局の方で許可が出せるというわけではございませんので,基本的には訂正事由があることが明らかな場合,そして身分関係上,重大な影響がないようなものに限られるとなっております。このように原則として上の方の手続,家庭裁判所に行っていただくのが原則でありながら,一定の場合には,職権で直しているということになります。   なお,この職権での訂正につきまして,こちらは戸籍の記載ですけれども,戸籍の記載によって新たな身分関係が生じるものではないということで,いわゆる行政法上の処分性があるとは解されてございません。ですので,訂正があってまたその訂正が誤りだということであれば,またさらに家庭裁判所に行って直していただいているというのが現状でございます。   まず,現状についてここまで説明させていただきました。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   今までのところで何か御質問等ございませんでしょうか。いかがでしょうか。   では続けて,戸籍訂正制度の在り方についても御説明を頂きたいと思います。 ○北村幹事 それでは,今御説明申し上げました現状の戸籍訂正制度というものを前提にいたしまして,今後何か変えるべきところはないのかどうかというところについて検討をさせていただきました。   15ページ以下でございます。   先ほども申し上げましたように,まずこの訂正制度ですけれども,職権で訂正できる事項というのは,先ほども申し上げましたように限られているところではございますし,審判において訂正が認められたとしても,主文の範囲に限られているということになりますので,関連事項,関連戸籍も訂正しなければならないときに,なかなかそれが訂正することが難しく御本人に改めてまた訂正の許可の審判をとっていただかないといけないであるとか,先ほども申し上げましたように,通知をして家庭裁判所に行っていただくのが原則の手続ですので,実際に通知ができた場合に,訂正をされるかどうか,訂正の申立てをされているのかどうか,家庭裁判所に実際に行かれたのかどうかについて,追いかけるすべもございませんので,いつまでそれを待っていればよいのかというのが問題になってまいります。   またその審判に関しても,特に市区町村長であるとか法務局については,法務局がその審判の手続に関与するということは,制度上,意見を聞くことが,裁判所の方から意見を聞くことはできますけれども,市区町村長の方が常にその手続に関与するということはございません。   他方,処分に対する不服の申立て事件に関しては意見を聞かなければならないという規定が設けられてございまして,そちらについては,必ず意見が聞かれるという制度になってございます。   また,先ほどの(注16)のような裁判例もございまして,最高裁の判例もございまして,一般的に法令違反と考えられるような場合であっても,その重大な法令違反がない限り,基本的には審判書のとおり訂正せざるを得ないという点も,現実の事務としては対応に苦慮する例があるというところでございます。   さらに,(注12)のところでも挙げさせていただきましたけれども,今後国において連携情報を調整していくということになりますと,先ほど推計として5万戸籍ほどあるという複本籍,こちらは発覚する,実際に見付かってくるということも十分予想されますので,できるだけ迅速に戸籍を訂正する必要というものがあるのではないかと考えておるところでございます。   そこで,以下のとおりの御提案をさせていただいているところでございまして,まず①として,裁判手続を今原則としております。まずは御本人に家庭裁判所に行ってくださいというのを原則としておりますけれども,戸籍の記載又は届書類,その他の書類ということで,書面から客観的なものから明らかに訂正事由があると認められる場合には,職権による戸籍訂正でよいという形,裁判所に行ってくださいと言わずに,職権で直せるという制度にしてはどうかというものでございます。   そして,その職権によるこの戸籍訂正ができないような場合,客観的に資料がもう十分そろっているような場合ではないものであるとか,あるいはその職権による訂正を更に訂正するといった場合には,裁判所におけるこの戸籍訂正手続をやっていただくという形でどうかというものでございます。   そして,この職権によるこの訂正手続ですけれども,御本人が全く知らないところで訂正されているというのも問題かと思われますので,戸籍の中に記載されている方について通知をする。訂正するに当たっては通知をするものとしてはどうかと書いてございます。   なお,括弧内のところは,後ほどまた御説明いたします。   そして,113条,114条の訂正事由,現在先ほど見ていただいたところですけれども,現在の規定振りからすると,実際には人事訴訟の対象となるような婚姻無効であるとか離婚無効,養子縁組無効とかも十分入り得るような規定振りとはなっておりますけれども,実際にはやはり今は人事訴訟法も作られ,先般家事事件手続法も作られ,家庭裁判所の実務においても迅速な審理がされておるところだと思いますので,そのようなものについて,人事訴訟で対応すべきものについては,やはり本来の手続でやっていただく,人事訴訟でやっていただくのが原則とすべきではないかということで,113条,114条の訂正事由からは除くべきではないでしょうかという御提案です。   ただ,今回この亀甲括弧で入れさせていただいております法24条3項通知がある場合を除きというところですけれども,こちらは先ほど申し上げました偽装婚姻のような場合で,刑事事件となったような場合には,実際には確定判決があるようなものについては訂正をしておる場合がございます。そのようなものについては,一定の場合を含め得る余地を残す必要はないでしょうかということで,亀甲括弧で入れさせておいていただいております。   さらに,市区町村長限りの職権訂正というものにつきまして,現在も先ほど見ていただきましたが,実際にはやってございます。法務局長の許可を得ずにやっておるものがございますけれども,明文で規定がないところでございますので,この点について明文での規定をするという形に御提案するものでございます。その範囲については,現在行っておる職権での訂正手続に準ずるようなものということで考えておるところでございます。   例えばということで,さらに含めてもよいものとして考えておるものとしては,17ページの最後のところに記載しておりますけれども,もう通常の一般的な寿命を超えているような方についても,許可がなく訂正するということは可能ではないか。現在120歳以上の高齢の方については戸籍の附票の記載がないもの等について,法務局長の許可を得て戸籍の記載を消除しておりますけれども,このようなものについては,許可をなくしてもよいのではないかであるとか,外国人の方の氏あるいは名の順序の訂正とかも,こういったものも(注19)と比べてもそう重大なものとはいえないと思いますので,こういったものを含める形で,①よりもさらに訂正事由があるのが明らか,明白であって,その明白性が高く,さらにその軽微の程度がより軽微なものについては,職権での市区町村長限りでの職権での訂正というものを明文で規定してはどうかという御提案でございます。   なお,現在24条の1項ただし書において,市区町村長限りの職権訂正を行う場合については通知を行ってございません。ですので,その運用については,維持をさせていただきたいと考えておるところでございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   以上,戸籍訂正制度の在り方についても御説明を頂きまして,戸籍訂正制度全体について,前半の現状まで含めて御質問あるいは御意見等がございましたら御発言をお願いいたしたいと思います。 ○磯谷委員 磯谷です。率直に言って,かなり錯綜している感じがありまして,一生懸命に読ませていただいて,何とか付いていけていたのだろうと主観的には思っておりますけれども,そこを確認するためにも,一度従前のものと,それから今後御検討されているもので,それぞれどういうふうなケースが当てはまるのかというところを,何か一覧表みたいなものを作っていただけると大変有り難いなと思います。   私が見ているところ,基本的に四つパターンがあって,一つは,正に116条の訴訟をやって戸籍を変えるという話,それからもう一つは,113条,114条の戸籍の訂正許可の話,やり方です。それから次に,もう裁判所は絡めないで,法務局の許可で戸籍を訂正する手続,そして最後が,もう法務局の許可,個別の許可も要らないという,市区町村レベルで修正しているものというふうな形で分けられるのだと思いますけれども,それぞれについて従前とそれから,今後の想定しているもので,どういうものが具体的に記載されているか。   例えばですけれども,本当に明白なとか明らかなというのが全部出てくるような感じなのです,116条以外は。そうすると明らかなというのも一体何がどう明らかなのかというのは,かなりちょっと分かりにくいような気がしておりますので,そこは一つお願いです。   もう一つは,本当に細かいところで恐縮ですけれども,一番最後に出てきた高齢者消除というのは,ちょっとよく分からなかったんですけれども,120歳以上の高齢者について,戸籍の附票の記載がないという,この戸籍の附票の記載がないという趣旨なんですけれども,要するに住民登録か何か職権消除かなんかされているということなのかとか,何でこういう事態が生じているのかというのが,ちょっとよく分からないので,この辺りを若干補足して説明していただければと思います。 ○北村幹事 今おっしゃられたとおり,住民登録があれば,住民票があれば戸籍の附票を作られますけれども,実際にそこにお住まいになっていない場合には,住民票を職権消除されるということもございます。そうなったまま附票がずっと記載されていないで,ただ死亡の届出がないために,もうずっと生きていることになっているという場合もございまして,そういった場合には職権で今消除をしているということになります。それの今年齢としては120歳以上とさせていただいているというところになります。   一番最初の次回までのということで,それはどこに当たるのかというのを整理したものを用意させていただきたいと思っております。今想定しておりますのは,基本的には書面で判断できるものというものについては,法務局長の許可でと考えております。そこが明白と使わせていただいているところで,軽微というのが実体法上あるいは相続法上のその影響が出る出ないかというところは,切り分けるラインなのかなとは考えていますので,そういったものが分かるように,もう少し整理をさせていただきたいなと思っております。 ○窪田部会長 多分,どういうふうに変えていくのかというのも含めて,いろいろな問題が錯綜しているというのは確かだろうと思いますし,これを多分一読してすぐ分かるというのも難しいと思いますので,やはり具体例に即しながら,更に検討することができたらと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。   では,ほかの委員,幹事の方々から何かございませんでしょうか。 ○安達委員 安達でございます。今の御説明は,実態として様々なケースにどのように対処しておられるかということだったと理解しましたが,今回マイナンバー導入で,システムを変えることによって一時的に作業量が増えるかもしれないという観点から一言申し上げます。御説明のように複本籍が洗い出されて,それに関する手続が一時的に増えて実務的な問題が発生するかもしれないので,もし問題になるのであれば対処を考えなければならないし,あるいは件数からいって実務的に問題がないのであれば,一時的なものとしてしのげばいいということになると思います。   質問は,この複本籍の整理が,実務的に問題でないのであれば,手続をきちんと決めて,それを行うというのでよろしいかと思います。一方,字を統一文字にするなどのことで,文字の問題がまた顕在化するのではないか,それがどの程度発生するのか,予測が付かないのですが,マイナンバーを導入してシステムをより合理的にすることによって,一時的に発生する作業を今どのようにお考えでしょうか。実務的に問題ないというのであれば全く問題ないのですが,このようなことについて何か見通しをお持ちなら是非教えていただきたいと思います。 ○北村幹事 今御質問いただいた点でございます。やはり実務的な対応は必要になってこようと思っております。我々としましては,可能な範囲で早い時期からやはりこの複本籍の解消というものに取り組まなければならないと考えてございます。ですので,現行法で対応できるものについては,現行法の枠組みでやっていかざるを得ませんし,もし簡便な手続がこの機会に作れるのであれば,その施行時期等もその作業の進捗度合いを見ながら,その部分だけ先に施行するということも選択肢の一つとしてやっていく。実際にこの連携情報を調製していくに当たっては,できるだけやはり複本籍あるいは戸籍の過誤については,訂正をしたいとは考えてございますので,そのような今,安達委員から御指摘ありましたような点も含めて検討していきたいと思っております。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。 ○渡邊幹事 文字の点について今お尋ねがあったかと思います。   文字の同定作業を現在予定しておりますが,その同定作業の対象は,私どもが構築することを考えている連携システムの方になりまして,今回戸籍訂正の対象となりますのは,市区町村が保管,管掌しております戸籍正本の方になります。戸籍正本自体が戸籍訂正により訂正されると,その副本データが連携システムの方に上がってくるといったような流れになりますので,文字の同定作業そのものによって,正本の戸籍訂正が直ちに問題になるということではないと考えております。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   私も十分理解していないのですが,同定作業をすることによって,それぞれの戸籍に記載されている文字自体については,別にそれ自体として直接に訂正の対象ということになるわけではない。ただ,実際に副本としてあるうちの一方がもう消除の対象になるのであれば,もうそれで消えてしまうという全体として多分そういう作りになっているのだろうと思います。 ○安達委員 問題が発生すると強いて考えますのは次の点になります。副本の方が通常使われ,印刷して戸籍として見ることが多くなりますと,昔の正本で難しい字を使っていたとしても,易しい字に変えたいとか,その方が合理的だという流れが増えて実務が増えるということは考えられるのでしょうか,あるいはそのようなことは無視しておいてもいいのか,この点が気になりました。 ○渡邊幹事 実際には問題になり得るかと思いますが,ちょっと量的にはまだ見通せないところかと思います。 ○窪田部会長 その場合も,もちろん実務としての対応が必要になるということでありますけれども,訂正ではなくてという扱いということになるでしょうね。 ○渡邊幹事 はい,戸籍訂正という重い手続ではなく,より簡便な文字の更正という別の考え方もあろうかと思います。 ○窪田部会長 結構いろいろな問題がやはりこっそりと潜んでいるという感じはしますけれども,いかがでしょうか。 ○久保野幹事 すみません,余り全体としては十分に理解できていないんですけれども,ちょっと1点質問,単純に分からないところの御質問をさせていただきたいんですけれども,15ページのところの2のこの提案内容が太字で書かれているところの,前のところの理由付けのところ,2段目の「加えて」というところなんですけれども,ちょっとここで書いてある審判の内容が云々かんぬんというところが,どういうことが問題になっているのかというのが,具体的にちょっと分からないので教えていただきたいと思います。その問題があるので,どのような改正の提案につながっているのかということとの関連とともに,その点,すみません,単純に教えてくださいという質問です。 ○北村幹事 今の御質問ですけれども,こちら(注16)で挙げさせていただきました裁判例を踏まえまして,現状戸籍面上,つながりが生じないような形あるいは矛盾してもらうような形での戸籍訂正許可審判がある場合がございます。こちらはどうしても当事者の方は今目の前のこの部分だけを直したいということで申立てをされて,家庭裁判所の方で申立てのその範囲で審判をされるということであって,そうしますと私どもの方にいろいろ聞いていただければ,ここも直さないといけませんよということがあり得る。あるいは本来こう訂正できないけれども,審判が出てしまったということであれば,訂正せざるを得ないということがあります。そういったことも含めて,自分たちで直せるものであれば,自分たちで直せるようにしてはどうかということの理由の一つではございます。それが①の方につながっているというところになります。   基本的には直せる範囲については,職権での訂正手続を中心に添えるということでどうでしょうかという御提案,家庭裁判所に行くのではなく,法務局長の許可を得て市区町村長が訂正をするということにしてはどうでしょうか。正に,戸籍の専門家である市区町村長の方で訂正をされる方が迅速に訂正ができるのではないかということでの御提案,その理由の一つとして,この「加えて」の部分を上げさせていただいているところでございます。 ○久保野幹事 すみません,ありがとうございました。   ちょっと訂正した原因は多分(注16)だというのが,今お話を伺って分かったのですが,(注16)というのは,これは訂正許可審判ではない審判ですよね。ですけれども,今の話は15ページのところで,訂正許可審判が先ほど御説明があったような限られた事柄についてだけ判断されていて,戸籍実務から見ると,ほかの部分も本当は審判してもらわないと整合性がとれないといったような内容の訂正許可審判が出たり,あるいはそもそもその前提として審理に関与していないというような問題があって,そのような訂正許可審判を基にしか訂正できないとなると限界があると。ところが(注16)は,訂正許可審判の事件ではないけれども,ただ正に訂正許可審判の場合であっても,やはり戸籍,それに従ってやらざるを得ないということが導き出されてくるので問題があると,そういう問題というか,課題があると,そういうお話として伺って…… ○北村幹事 そうですね,(注16)は正に親権者変更の話で…… ○久保野幹事 分かりました。すみません,ありがとうございました。 ○窪田部会長 よろしいですか。 ○磯谷委員 すみません,これまた読み込めていないのだと思いますけれども,ちょっと素朴な疑問として,その113条,114条が使われる場面というのは,どういうところなのかなというところなのです。   15ページのゴシック体の①のところで,戸籍の記載又は届書類その他の書類から,明らかに113条,114条の訂正事由があるという場合には,家裁に頼らずに職権で法務局の方で訂正をするということが書かれています。   一方,12ページの上から8行目辺りでしょうか,従前の戸籍訂正許可と,それから訴訟手続とのすみ分けのところで,いわゆる明白性の要件とか軽微性の要件というのも記載がございます。それと見比べると,要するに113条,114条の訂正事由があって,それが戸籍の記載とか届書類とか,そういうペーパーベースで明らかであったら職権で直してしまって,そうともいえないものについては,引き続き戸籍の訂正許可の審判なのかなと思うのですけれども,それとの絡みでちょっとよく分からないのは,先ほどの調査権限の話なのです。法務局は戸籍事務処理について必要があると認めるときは,原案では少なくとも非常に広範な質問等もできるということになっていて,そうすると,戻って15ページの届書類,その他の書類という,その書類というのが,端的に言えば,例えば調査報告書,法務局が作成したというふうなものも含まれるのかどうか,あるいは調査の中でいろいろと出てきたものとか,そういったものも含まれるのかとか,その辺りによっては,結構この113条,114条のつまり何ていうのですか,許可審判を求める範囲が結構分かりにくくなっているかなというふうなのがあるので,ちょっとその1点を,それが一つです。   それからもう一つは,15ページの上の方に,今回の問題点として挙げている中で,やはり市区町村や法務局が審判手続に関与できないというところの問題性が指摘されているわけですけれども,逆にそれに関与するという方向での改正ということは,ここではちょっと模索はされないということでよろしいのでしょうか。もしそうだとすれば,そこはちょっとなかなか難しいのかもしれませんが,その理由はどういうことなのかなと思いまして,その2点をお願いします。 ○北村幹事 まず,後半の部分ですけれども,やらないというものではなくて,そこも含めて,まだペンディングかなということで,今回問題点としては挙げさせていただいております。ただ,現状の規定として,裁判所の側からは聞くことができると法律上なっていますので,そこは法制上,どういう形で仮に置くとした場合に置けるのかどうかというのは,よくよく考えないといけないなとは思っておるところでございます。   1点目のところで,調査権との関係という御質問がございました。ここで想定しておるその他の書類等にその調査報告書が入るということは想定してございません。やはり戸籍を受理する段階と,実際にもう受理して記載されたものを訂正の場面は,実際にもう受理をした後の,それを直す場面ですので,基本的にはもう客観的に既に存在しておるものを前提に判断せざるを得ないと考えておりまして,訂正の場面で明白かどうかというのは,そういう既に存在しておる書類等から明らかかどうかという基準で切り分けようと考えておるというものでございます。 ○磯谷委員 ちょっと関連してよろしいですか。   そうすると,ちょっと戻るようですけれども,先ほどの法務局の調査権限というのは,これは届出の段階という理解なのでしょうか。市町村の方はこの案を見ると届出又は申請の受理に際しと限定があるんですけれども,法務局の方については,少なくとも見る限りは限定がなさそうな感じなんですが,届出や申請の受理の場面以外で調査を何か想定されているのかという部分。 ○渡邊幹事 お答えいたします。   市区町村の審査につきましては,今お話のとおり,戸籍の届出を受理するに際しということが典型的場面になりますので,記載させていただいております。法務局の方の調査権限については,基本的に届出の受理に際して市区町村から照会を頂くという場面があるのですけれども,戸籍訂正の関係で法務局が任意調査をするケースもございますので,事後的に一旦戸籍の記載がなされた後にする調査もあり得るのかなと考えております。この点は検討してまいりたいと思います。 ○窪田部会長 それ以外は。 ○澤村幹事 今のところと若干関連すると思うのですけれども,調査権限の場面であっても,この訂正の場面でも,それぞれの機関の役割分担がどういう趣旨で設けられていたのか,それを現在の運用がその趣旨と合わないから,趣旨に合わせる方にいくのか,あるいは政策的に違う形でいくのかをはっきりさせる必要があると思います。つまり例えば訂正の許可の審判を経なければならないとなっているのが,どういう理由でそうなっているのか,裁判所の役割と行政機関の役割の分担というのがどういう基準でされているのか,それが現在設けようとしている制度との関係で,その趣旨はそのとおりだけれども,趣旨に合わない部分を外すことにしましょうということなのか,あるいはそこを変えてしまうということなのか,そこの法律的な整理というのをきちんとした上でやっていく必要があるのではないかと思います。そうしないと,これは裁判所の判断事項なのか行政機関の判断事項なのかの切り分けが最終的にどういう条文になってもできなくなってしまうのではないかという気がちょっとしております。 ○窪田部会長 今の点,いかがでしょうか。 ○北村幹事 そうです,そこは次回,この訂正については次々回に改めての案を示させていただきたいと思いますので,御指摘の点も踏まえて,資料の方を御準備したいと思います。 ○窪田部会長 よろしくお願いいたします。 ○畑委員 具体的にどういう場合をどの手続に振り分けるかという問題はあると思いますが,私としては,大筋としては15ページの御提案のような方向に,それほど違和感は持っておりません。ただ,御説明の中にもありましたように,いろいろ詰めるべき点はあるだろうなと思いました。   磯谷委員やほかの委員,幹事の方がおっしゃっておられますけれども,家裁の戸籍訂正手続に,例えば市町村の意見を聞くというような規定を入れるのかどうかというようなこともありますし,それから現状のような当事者に通知をして家裁の手続を促すというようなものが残るのか残らないのか,あるいは促すだけでいいのかというようなことも,また詰める必要があるだろうとは思います。   それから,10ページの②の亀甲括弧の中も結構なかなか難しい問題かなと思っています。個人的には人訴事項だとすれば,やはり判決を経るというのが原則であろうと思います。ただし,現状でも訂正している例がある,刑事確定判決があるような場合だというお話がありましたし,私もそういう例外はあっていいのかなとは思いますが,それを何というか,過不足なくうまく書き出すのはなかなか難しいかなと思います。私も今いいアイデアがあるわけではないのですが,「24条3項の通知がある場合」だと,ちょっと広いかなというような印象は持っております。差し当たりの感想程度ですが。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   御意見ということでございますけれども,何かございますか。 ○北村幹事 御指摘を踏まえて検討したいと思います。 ○窪田部会長 よろしくお願いいたします。   ほかにいかがでしょう。 ○手塚委員 ちょっと2点ほどありまして,一つは単純な質問なのですが,ナンバー12の参考資料のところで,届出人が訂正申請がない場合というところで,そうなった場合には,本籍地の市区町村長の職権で訂正手続の方に回るという,そういうフローが書かれているわけですけれども,この訂正申請がない場合というのは,何をもってそういうふうに判断するのかというのは,今どうなっているのでしょうか。 ○北村幹事 そこは,通知をして,通知はできているのだけれども,いつまでたっても申請がないという場合に,職権で訂正を今行っている。ですので,裁判を経たのか経ないのか,裁判は経たけれども,その後どうして来ないのかというのは,十分把握できていないという,そこの問題点が一つあるということになります。 ○手塚委員 これは問題点として今後明確に,何をもってそういう上限としてここを決めていくかというのはあると思っていればいいですか。   それとあと,資料3の15ページの先ほどの複本籍の件なのですが,この複本籍が出来上がる状況というのは,先ほどお話があって,大体認識,私としても完璧にはまだ把握していませんけれども,そういうケースが出てくるのだなというのは分かりました。   これのときに,附票との関係はどんなふうに複本籍との関係で出来上がってきてしまうのかとか,その辺はどんなふうな感じなんでしょうか。 ○杉谷関係官 附票の場合は,複本籍ですので,戸籍が二つあるという状態には変わりませんので,それに附票がくっ付いていますので,附票自体は残っているのだと思います。ただ,住民票との関係を連絡するものでございますので,住民票は恐らく二つあるとかいう状況は余り想定されないので,一つなのだろうと。住民票の方の登録している本籍の方には,その後の変更があった場合の通知などがされるのでしょうけれども,されない方はそのまま附票は残っているのですけれども,昔の住所そのままずっと更新されずに残っているというような状況が,恐らく想定されるのかなと思うのですが。 ○手塚委員 分かりました。 ○窪田部会長 今の御説明でよろしいでしょうか。 ○手塚委員 はい,大体。どうもありがとうございます。 ○窪田部会長 ほかはいかがでしょう。 ○大橋委員 今回の御提案で,結局職権訂正に2種類のものがでてきている中で,特に軽微な訂正の方ですけれども,今までの取扱いですと包括的な許可があったと,そういう見方をして,さらにそれができることを通達で示しているというやり方です。これは,かなり見えにくい仕組みになっているような印象を持ちました。運用で必要だと思うのですけれども,多分件数が相当あるのかなとは思いながら,それを拝見したのです。今回はそれをきちんと法律上の手続において,その上で,職権訂正が可能な範囲というのも,通達から明文で,もう少し省令とかできちっと表すということをお考えになっているのか,この点を確認したいと思いました。それと,職権訂正した場合の通知の意味が,このペーパーであるように意味が違って,今までは1回言ってやらなかった人に対しての職権だったのですけれども,今度は場合によっては相手が知らないということもあるのです。職権訂正の許可付きの方は事前通知だという形で整理されていて,それはそのとおりだと思うのですけれども,この軽微な方の訂正について,通知は,本当に要らなくていいのでしょうかという辺りは,今まではそうしてきたということなのですけれども,そこのところはどうかなと,ちょっと気になりました。説明いただければと思います。 ○北村幹事 まず,一番最初の御質問,最初の方の御質問につきましては,今まで明文で規定がないところですので,どのような,まず法律の中でどれぐらい具体化できるのかというのはあろうかと思いますけれども,法律で規定して,さらに範囲というものは定める必要があるのだろうと。法律で置く以上は,一定の基準の分かるものにしないといけないとは考えております。   2点目のところ,24条1項ただし書で,市町村長の過誤ということであれば,通知をしなくてよいという規定がございました。こちらは何で過誤の場合に通知をしなくてよいのかというのがありますけれども,正に過誤というのは,届出がされて,届書に基づいて本当はこのとおり書かなければいけないものを,うっかり記載ミスをしてしまったというような事例が想定されております。そのような軽微なものについては,もうわざわざ御本人に伝えるまでもなく届出のとおりに直すという意味で,通知がされていなかったというものでございまして,今回も職権でしかも法務局長の許可がなく訂正できるというものについては,御本人には特に影響のない範囲というものを想定していますので,通知をしない扱いもできるのかなと,今までの扱いと同じ扱いでよいのかなと考えているところでございます。 ○大橋委員 この24条1項のただし書の規定というのが,個人情報とかが問題とされる時代よりは,もうちょっと古いときの規定かもしれないので,それが現在に引き直したときに,それがきちっと説明できるようなことになるのかどうかということのチェックは,必要なのかというところが気になりました。先ほど(注19)ですか,通達で上がっているような事項など,例で挙げていただいたものは,全然問題ないようなケースだと思うのですけれども。 ○窪田部会長 今の点,やはり戸籍法ができたときと現時点で状況が変わっている部分もありますので,一度事務局の方で御検討いただけますでしょうか。 ○新谷委員 ちょっと戻りますけれども,よろしいですか。   先ほど手塚委員の方から参考資料12のところの訂正申請がない場合は,何をして申請がないと見るかという,こういうお話だったと思うのですけれども,基本的には24条1項で通知をいたします。今までの経験では24条1項通知をして,申請がなかなか出てこないというときには,催告を一般的には行って,何月何日までに申請をしてくださいと。催告だけ2回やりなさいというのが,私たちがやっていたときの経験ですので,2回目の催告期限が切れたときに,ないというときには,管轄法務局にこういう形で通知をして催告したけれども,訂正申請をすることがないので,職権訂正をしたいということで,職権訂正の許可が出てくるというのが実情だったと記憶しております。 ○窪田部会長 新谷委員,一つ御質問させていただいてよろしいでしょうか。 ○新谷委員 はい。 ○窪田部会長 その2回催告をしてという,その手続については,通達等とかで決まっているのでしょうか。 ○新谷委員 通達では基本的にはやっていないけれども,大体そういうような形で指導助言をしてきたという経過がございます。これは過去からの経過だと思います。 ○窪田部会長 はい,分かりました。どうもありがとうございます。 ○鷲﨑幹事 少しシステムの観点で,恐らくこの訂正の履歴というのは戸籍上は残るということだと思うのですけれども,そうしますとそれに対応する形で,扱うシステムとしても訂正の履歴がきちんと扱える,利害関係者が遡って参照ができるように残せる形を念頭に置いておいた方がよろしいかと思いました。ただその際に履歴を,通常の戸籍の更新の一環として扱うのか,あるいは少し区別すべきなのかというのは,検討の余地があるかと思いました。 ○北村幹事 現状でも訂正した場合には,それが分かるようになりますので,ただ,実際にそれを更に別のところに戸籍を置く,あるいは再製することによって見えなくするということはあります。   ですので,今後もシステム上も恐らくその訂正の履歴というのは,国の方でも正本の方を市区町村の方で訂正をされた場合には,国の方でも同一の記録を同じ訂正の履歴を持つということになろうかと思いますし,それを今後どういうふうに見せる必要があるのかどうかというのは,また別の問題かなとは思ってございます。 ○石井幹事 先ほど手塚委員から御質問がありました戸籍の附票の件ですけれども,新しい戸籍と古い戸籍が両方残ってしまって,古い戸籍の方の附票に住所変更の情報がたまらなくなってくるという整理になっているかと思いますが,その中で,住民基本台帳法の定めで戸籍の附票について根拠規定があって,記載の修正などについても市区町村間で通知しなければならないとか,そういった規定がある中で,古い附票がたまってしまうというのを,古い附票が情報がたまらない状態で残ってしまうというのは,住民基本台帳法の観点からも望ましくないというように考えられます。   ですので,そういった観点も含めて,複本籍の解消についてはできるだけ早く詰めていただくのがよろしいかと思います。 ○窪田部会長 御意見として承るということでよろしいでしょうか。   先ほどお話がありましたが,次々回にこの問題をもう一度取り上げますので,今すぐこういう意見というだけではなくて,次々回の検討に向けて,こういう点についてあらかじめ少し検討してとか,あるいはこういった資料を用意してほしいといった御意見がもしございましたら御発言ください。   それでは,まだ少し時間があるようですが,全体を通してでも結構ですので,何か追加の御発言等はございませんでしょうか。 ○安達委員 ちょっと感想めいたことで恐縮なのですが,最初の方で色の付いた婚姻届というようなお話がございましたが,一市民としての懸念は,恐らくこういうものについて制約を加えるというようなことは,SNSやメディアの格好の話題で,遊び心があるものを頭の固いお役所がやめさせるというような観点で話題になりそうな気がしまして,そのようなインパクトがどの程度か,一過性のものとして扱うので差し支えないとは思いますが,このようなことも頭の隅に置いておいた方がいいと思いました。   もう少し整理して考えますと,基本的には,婚姻届や死亡届を手書きで書くという考え方に関する問題なのだろうと思います。一般のビジネスやほかの市区町村のサービスが次第にオンラインでできるようになるという流れが,今後も進むと思うのですが,そのときにこの戸籍関係の届出というのは頻繁にやるものではないですが,これだけは手書きで紙で出さなければいけないということが,いつまで続くのかというのが気になりました。もちろんそのようなものを全部オンラインでやる際には,もう届出の様式から全部なくす,要するにデータだけあればいいわけで,そのような形になるときに,もう一度制度を大きく見直すというのでいいと思います。今回はそのようなことは考えずに,一応現状を踏襲して新しいマイナンバーシステムにとにかく移行するという考え方で,個人的には全く問題ないと思いますが,ほかのサービスがどんどん変わっていく中で,つまり電子政府の方向に動いていく中で本件の立ち位置も考えておく必要があるという気がいたしました。   全部データとして送るとなると,先ほどの御説明のように紙の形できれいなものにするとかラミネート加工をするとかのことは全部吹き飛んでしまいますので,全く問題にならないのではと思いました。今回どこまでどのような考え方でやるのか,少なくとも全部オンラインでやるというのは,まだ先だということは,現時点での社会ですと問題ないとは思います。ただ,定められた様式のファイルに例えばマイクロソフトのワードを使って名前や住所は全部パソコンで打ち込み,署名と捺印だけは印刷したものに手作業ですませるというぐらいのことは,今の普通の感覚ではないかと思いますので,一般市民の観点を述べさせていただきました。   以上,感想です。 ○窪田部会長 どうもありがとうございます。 ○北村幹事 そうですね,オンラインの届出自体は,制度上は現在もございますが,やはり戸籍の届出という性質上,なかなか実際に本人確認等もしなければならないということで,公的個人認証もなかなか広がっていないという現状で,実施されている市区町村の方は今のところございません。ただ,御指摘のように将来的にずっと紙のままでよいのかどうかというのは,今後検討もしていかないといけないでしょうし,それに向けた考え方の整理も必要かなと。それにはやはりいろいろな戸籍,添付資料とか必要な証明書等もございますので,そういったものとの連携とかも将来的な課題になっていくのかなとは,すみません,雑駁な感想みたいなお返事しか今できないところでありますけれども。 ○渡邊幹事 補足いたしますけれども,戸籍六法,お手元の234ページに130条,情報通信技術利用法の適用における特則という部分がございます。   実は,戸籍法の法律上は,オンライン申請が可能な受皿は御用意はしておるところなのです。今,北村幹事の方から御説明しましたように,戸籍の届出は添付書類が多岐にわたるですとか,あるいは戸籍の届出は,届出件数は400万を年間超えるわけでございますけれども,各市区町村ごとで見ると,非常に頻繁なわけではない一方,実際にこのオンライン申請を可能にするためには,市区町村側のシステム改修等も必要になるということも恐らくあって,現在ではそのオンライン申請を導入している自治体がないということになりますが,先ほど申し上げましたとおり,今後は安達委員御指摘のとおり,そういった方向も進んでいくのではないかなと考えております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ほかはよろしゅうございますでしょうか。   それでは,ちょっと前回に比べると少し早い時間ということになりますが,全体を通じて御議論いただきましたので,以上ということにさせていただきたいと思います。活発な御議論を頂いて誠にありがとうございました。   最後に,次回の議事日程等について事務当局から御説明をお願いいたします。 ○渡邊幹事 御説明をいたします。   次回会議ですが,本年2月9日金曜日,時間は本日と同様午後1時30分から午後5時30分までの予定でございます。開催場所は追ってメールにて御連絡を申し上げます。お疲れ様でした。 ○窪田部会長 それでは,本部会の第3回会議はこれにて閉会にさせていただきます。どうもありがとうございました。 ―了―