法制審議会信託法部会 第48回会議 議事録 第1 日 時  平成30年3月20日(火)   自 午後1時30分                         至 午後3時05分 第2 場 所  法務省第一会議室 第3 議 題 公益信託法の見直しに関する要綱案の取りまとめに向けた検討 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○中田部会長 予定した時刻がまいりましたので,法制審議会信託法部会の第48回会議を開会いたします。   本日は,御多忙の中を御出席いただきまして,誠にありがとうございます。   本日は,能見委員,山本委員,稲垣幹事,岡田幹事,そして,明渡関係官が御欠席です。   まず,本日の会議資料の確認を事務当局からお願いします。 ○中辻幹事 お手元の資料について確認いただければと存じます。   事前に,参考資料7「「公益信託法の見直しに関する中間試案」に対して寄せられた意見の概要」を送付いたしました。また,当日配布資料として,先週閣議決定がされました内閣提出法案の一部ということになりますけれども,信託法の定める受託者等の欠格事由から成年被後見人等を削除する法案の新旧対照表を配布しております。   以上の資料について,もしお手元にない方がいらっしゃられたら,お申し付けください。よろしいでしょうか。 ○中田部会長 本日は,公益信託の審議に入る前に,事務当局から2点,報告,説明があるということです。   一つは,2月16日に開催された法制審議会総会における信託法部会の中間報告の状況についての報告です。   もう一つは,先週3月13日に閣議決定がされた成年後見に関する法律案のうち,信託法に関する部分に関する内容の説明です。ただいまお話のありましたものです。この法律は,成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律というものだそうです。   以上2点について,御報告,御説明をお願いします。 ○中辻幹事 まず,本年2月16日の法制審議会第180回総会におきまして,公益信託法の見直しに関する中間試案についての報告を中田部会長からしていただきました。   法制審の総会では,公益信託の受託者が自然人である場合のガバナンスの在り方や信託管理人について,委託者や受託者からの独立性をどのように確保するのか等の点について,幾つか質問がございましたが,中田部会長から,新たな公益信託では全て信託管理人が必置とされるとともに,それを補完する形で公益信託の認可を行う行政庁の監督がされることや,認可基準におきまして,信託管理人の委託者及び受託者並びにこれらの関係者からの独立性を確保する方策が提案されているということを御回答いただきました。   総じて,中間試案の内容について,特に大きな異論はなかったということを御報告させていただきます。   次に,成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案のうち,信託法7条の受託者の欠格条項等の改正に関する部分について御説明いたします。   先週の3月13日,閣法第56号として,今申し上げた法律案,これは内閣府の方で取りまとめられたものですが,国会に提出されました。そのうち,信託法に関する改正としては,本日お配りしました新旧対照表のとおり,信託法7条及び124条において,現在は受託者及び信託管理人の欠格事由に成年被後見人及び被保佐人が挙がっておりますが,これらを削除することとしております。   もっとも,受託者が信託契約の途中で成年後見又は保佐開始の審判を受けた場合には,信託契約設定時と事情が変わりますので,受託者の任務終了事由とする信託法56条1項はそのまま存置することとしております。   なお,新旧対照表の真ん中にありますように,信託法56条1項3号は,受託者が破産手続開始の決定を受けたことを任務終了事由としつつ,同項但し書きにおいて,信託行為で別段の定めがある場合には受託者の任務終了事由から外すことが可能とされているのですけれども,成年被後見人又は被保佐人について定めた同項2号についても同様の取扱いをすることが相当であると考えられますことから,その点もこの度,改正することとしております。   事務局からの御報告,御説明は以上です。 ○中田部会長 ただいまの御報告,御説明に対して,御質問などございますでしょうか。   特にないようでしたら,審議に入りたいと思います。   まず,事務当局から,参考資料7の中間試案について,パブリックコメントで寄せられた意見の概要を紹介していただき,フリーディスカッションという形で御審議いただく予定でおります。   今回から,要綱案の取りまとめに向けての検討という新しいステージに入ります。   中間試案の段階では,意見の対立している部分が幾つかありました。パブリックコメントでも分かれているところがあります。そこで,ここから先は,御自身とは異なる意見の存在することを踏まえて,部会でのコンセンサスが得られるようにするために,どのように考えるのかという観点からも御発言を頂きますと,有り難く存じます。   それでは,参考資料7について,事務当局から説明してもらいます。   中間試案の全体を三つに区切りまして,第1から第7,第8から第14,第15から第19までの区分ごとに説明していただき,御審議をお願いしたいと存じます。   まず,第1から第7までについて説明をしていただきます。 ○舘野関係官 それでは,参考資料7「「公益信託法の見直しに関する中間試案」に対して寄せられた意見の概要」について御説明申し上げます。   まず,第1から第7まで御説明いたします。   まず,第1,「新公益信託法の目的」について御説明いたします。   第1の本文の提案につきましては,賛成意見が6件あり,反対意見はありませんでした。賛成意見の中には,公益信託のガバナンスの中核は受託者による公益信託事務の適正な処理を確保するための措置であることを指摘するものや,公益法人制度と平仄を合わせ,新たな公益信託も税制優遇を受けられるようにすべきである旨を指摘するものがありました。   次に,第2,「公益信託の定義等」について御説明いたします。   第2の1,「公益信託の定義」の本文の提案につきましては,賛成意見が5件ありました。一方,「受益者の定めのない」の部分は削除すべきであるとして,本文の提案に反対する意見も1件ございました。また,その他の意見として,「学術,技芸,慈善,祭祀,宗教」という公益の例示から,「技芸,祭祀,宗教」を削除すべきとの意見もございました。   次に,第2の2,「公益信託事務の定義」の本文の提案につきましては,賛成意見が6件あり,反対意見はありませんでした。   なお,その他の意見として,不特定かつ多数の基準等について,公益信託の成立の認可のガイドライン等で示すべきとの意見が1件ございました。   第2の3,「現行公益信託法第2条第1項の削除」の本文の提案につきましては,賛成意見が6件あり,反対はございませんでした。   次に,第3,「公益信託の効力の発生」について御説明いたします。   まず,第3の1,「公益信託の成立の認可」の本文の提案につきましては,公益信託の信託行為と行政庁による公益信託の成立の認可の先後に関係なく,双方の条件を満たすことをもって,公益信託としての保護や監督が及ぶ等の効果が発生するための要件と整理することが合理的であるなどとして,本文の提案に賛成する意見が6件あり,反対意見はございませんでした。   次に,第3の2,「不認可処分を受けた信託の効力」についてですが,本文の提案に賛成する意見が1件,注1に賛成する意見が2件,注2に賛成する意見が3件ございました。注1に賛成する意見の中には,確認的な規定を法律に定めることに特段の意義はなく,解釈に委ねるべきとするものがございました。また,注2に賛成する意見の中には,公益の推進という観点から,受託者要件や存続期間の制限を緩和する旨の特則を設けるべきとするものがございました。   次に,第4,「公益信託の受託者」について御説明いたします。   まず,第4の1,「受託者の資格」の(1)の本文の提案については,受託者の範囲を公益信託事務の適正な処理をなし得る能力を有する法人とする甲案に賛成する意見が6件,当該能力を有する法人又は自然人とする乙案に賛成する意見が20件ございました。   甲案に賛成する意見の中には,公益信託のガバナンスの要である受託者については厳格なガバナンスが必要であり,事業の継続性の観点からも法人が相当であるとするものや,自然人受託者の健康状態が悪化した場合,公益信託事務の適正な処理をなし得る能力に悪影響を与える可能性があるが,行政庁はそのような状態を把握する方法がないなど,監督に問題が生じるおそれがあるとするもの,組織的に複数の目によるチェックが働く法人が相当であるとするものなどがありました。また,自然人受託者を許容するのであれば,信託財産の種類及び額や公益信託事務を限定すべきとするものもございました。   乙案に賛成する意見の中には,現行公益信託法においても制限はないこと,公益の増進を更に拡大するには担い手の拡大が必要であるということ,法人でも不祥事等はあり,組織性を過度に強調すべきではないとするもの,それから,弁護士等の専門職であって,財産管理業務に係る知識,経験,能力を備え,不祥事等を防止し得る制度を有する者であれば可とするものなどがありました。   また,注1については,賛成意見が1件,反対意見が13件ありました。注2については,賛成意見が1件ありましたが,自然人と法人との共同受託にしなくとも,二次的受託者となる者を定め,信託行為に定めるなどすれば対処可能であり,共同受託を義務付けるのは過剰な規制であるとして,注2に反対する意見が7件ありました。   また,本部会の直接の審議事項ではございませんが,信託業法との関係について,自然人が公益信託の受託者となる場合に信託業法が適用にならない旨を明確にすべきなどの意見も複数ございました。   次に,第4の1の(2)の本文の提案につきましては,賛成意見が5件あり,反対意見はございませんでした。   また,その他の意見として,本文の提案する欠格事由に加え,公の秩序若しくは善良な風俗を害するおそれのある事業を行わない者であることとの趣旨に沿った規定を設けるべきである旨の意見や,より実務的な観点から,公益信託の成立の認可の申請書類として,本人が取得した客観的な証明書の添付等を必要とすべきであるとする意見がございました。   第4の1の(3)の本文の提案につきましては,賛成意見が6件あり,反対意見はございませんでした。   また,第4の2,「公益信託の受託者の権限,義務及び責任」の本文の提案につきましては,賛成意見が7件あり,反対意見はございませんでした。   次に,第5,「公益信託の信託管理人」について御説明いたします。   まず,第5の1,「公益信託における信託管理人の必置」の本文の提案につきましては,賛成意見が6件あり,反対意見はございませんでした。   また,注について,自然人受託者を許容する場合には注に賛成する等の意見が3件ございましたが,注は,公益信託に軽量・軽装備の制度設計が求められていることと相容れない等として,注に反対する意見というのも4件ございました。   次に,第5の2,「公益信託の信託管理人の資格」の本文の提案につきましては,賛成意見が6件あり,反対意見はございませんでした。   また,注について,新たな公益信託の信託管理人には公益信託事務の適正な処理の監督をなし得る能力が必要であるなどとして,賛成する意見が2件ありましたが,学識,経験,信用の判断を行政庁が行うことは困難であるなどとして,注に反対する意見が4件ございました。   次に,第5の3,「公益信託の信託管理人の権限,義務及び責任」の本文(1)の提案につきましては,賛成意見が7件あり,反対意見はございませんでした。   本文(2)の提案につきましては,信託法の複数の条文は任意規定であり,信託管理人の権限が制限されることはあり得べきなどとして賛成する意見が3件ありましたが,公益信託のガバナンスの要を担う信託管理人の権限に関しては,信託行為の定めによる制限を全て認めるべきではないとして,本文の提案に反対する意見も2件ございました。   次に,第6,「公益信託の委託者」について御説明いたします。   まず,第6の1,「公益信託の委託者の権限」の本文の提案につきましては,賛成意見が5件ありましたが,公益性を確保する観点や,新たな公益信託が税制優遇を受けられるものであることを視野に入れる観点から,委託者の権限は原則なしとすべきであるとして,本文の提案に反対する意見も1件ございました。   次に,第6の2,「公益信託の委託者の相続人」の本文の提案につきましては,賛成意見が6件あり,反対意見はございませんでした。   注につきましては,公益信託の利用促進の観点から,委託者の地位を一身専属にするほどの制限の必要性には疑問があるとして,注に賛成する意見が2件ありましたが,委託者とその相続人の関係には利益相反的な面があることや,委託者の相続発生後の法律関係の複雑化の懸念から,注に賛成する意見も2件ありました。   次に,第7,「行政庁」ですが,こちらは第7の1,「公益信託の成立の認可・監督を行う行政庁」及び第7の2,「行政庁の区分」の本文の提案ともに,賛成意見が7件あり,反対意見はございませんでした。 ○中田部会長 それでは,意見交換に入ります。   第1から第7までのうち,どこからでも結構でございますので,御自由に御発言をお願いいたします。 ○深山委員 どこからでもということなので,リアクションが一番多かったと思われる第4の「受託者の資格」のところから,まずは口火を切らせていただきたいと思います。   この部会でも,ここは意見が分かれておりましたし,パブコメでも最も多くの意見が寄せられたように,このまとめからお見受けしました。   冒頭,部会長から,これからまとめるに当たっての議論という指摘がありましたので,どういう議論をするのがいいのかなと思い,つまり,同じ意見を繰り返しても前へ進まないので,少しでも前向きに,まとまる方向に行くような話をしたいと思っております。   要は,自然人が受託者になることを,実体法のルールとして一切認めないということについては,このパブコメの反対の意見と同様に私自身は考えており,やはり乙案ではないかと考えております。   乙案に対する反対意見の趣旨としては,ガバナンスが法人の場合には採られているけれども,自然人については,そういう体制が採られないという点を指摘するものが多いようです。あるいは,自然人ということで,死亡したり,病気になったりということに着目する意見もあるようです。   ガバナンスの点にしろ,自然人の病気とか死亡という問題にしろ,確かにそれ自体に一定の,もっともな面もあるとは思いますが,しかし,言うまでもないことですけれども,法人といえども,巨大な法人もあれば,実質1人で出資をしたり,1人で執行している,実質1人法人というものまで様々です。他方で,受託をする公益信託の内容も千差万別ということがあるわけですが,1人法人と自然人とが,では,どれほど違うかというと,私は,実質的にそれほど違わないんだろうと思います。   つまり,1人で法人を仕切っていれば,ガバナンスもきかないわけです。あるいは,その人が亡くなってしまえば,形の上では法人が消滅するわけではないですけれども,実質的には法人として機能しなくなるという意味では,自然人受託者が亡くなった場合と実質は何ら変わらない。しかるに,1人でも十分受託できるような信託業務であっても,およそ自然人には認めない,しかし,法人格を取得すれば,1人法人でもそれは認める。これは,やはり不合理ではないかなというふうに素朴に感じるところです。   もちろん,認可のところでは,この信託において自然人1人で大丈夫かという面は,当然,そのチェックは入ると思います。しっかりした体制なり基盤が必要だと考えられる公益信託については,受託者の点で認められないということは当然あり得ると思います。そういう意味では,自然人も含めて,正に公益信託事務の適正な処理をなし得る能力があるかどうかということを個別に判断をすれば足りることですし,そこが一番重要なんだと思います。   逆な言い方をすれば,自然人であれ法人であれ,誰でもいいということではもちろんないわけで,それなりの処理能力があることが当然の前提ですから,そこに疑問があれば,自然人であっても法人であっても,認可の判断のところで認められないということになろうかと思います。   したがって,形式的に自然人を一切排除するということではなくて,自然人,法人を含めて,どのような観点で適正な事務処理能力を判断するかという,その基準こそが実質的に大事です。しかしそれは,実体法の中には細々としたことまでは書けないでしょうから,今提案されているような表現にはなるんでしょうが,そこはガイドラインなり,別のところでルールを検討して,制度全体としては,自然人であれ法人であれ受託者になり得るという仕組みを作るのが,今後,この公益信託制度を発展させるためには重要なのではないかというふうに考えているところであります。 ○中田部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○林幹事 深山委員と同じく,第4の「受託者の資格」のところ,同じく乙案にすべきだというふうに思いますが,それについて申し上げたいと思います。   1点は,現行法でも自然人も認められているところであって,それを今回の改正で否定してしまうのかというのについては疑問があって,そこを実体法の観点から積極的に裏付けられるということはないのではないかと思います。   それから,深山委員と同じですけれども,自然人に対する,死亡した場合やガバナンスに関する批判については,工夫をすれば十分対応できるところです。つまり,自然人たる受託者の死亡については後継受託者を定めるとか,最後は裁判所によって選んでもらうという方法もあります。ガバナンスについていえば,個々のスキームにおいて,それぞれ対策を考えるところでもあると思います。法人というのを一括りにしていいのかというのは,深山委員が指摘したところで,法人も大小様々です。今回の公益信託法の改正では,軽量・軽装備でという公益信託のよいところを見て,よい制度を作って,制度を広げていくという観点があるわけですから,そうした意味においては,受託者に自然人を入れるべきだと思います。   ただ,自然人に対するいろいろな御指摘については,一つは,規模なり何なりにおいて,個々の事案,個々の信託に応じたものにしていく,あるいは受託者の能力に応じたものにしていくということは考えられると思うのですけれども,ただ,法のレベルで細かいバリエーションを設けるというのは,なかなかしんどいかもしれません。それは認可の問題かもしれないので,規則なのか,ガイドラインなのか,基準なのか分かりませんけれども,そういうところで十分対応できるのではないかと思います。   それで,もう1点は,これは弁護士に限らず,専門職を何らかうまい形で取り込むことによって,そういう懸念も払拭されるであろうと思っています。もちろん専門職ではない自然人の方が受託者になることも,もちろん認められるべきだと思いますが,そういう専門職をうまく制度に取り込むことも十分考えられるところだと思いますので,自然人も含めるという形において,今後,ガイドラインなのか何かは分かりませんけれども,そういうところで議論して詰めていければいいのではないかなと思っています。 ○中田部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○新井委員 私も,公益信託の受託者について発言させていただきます。   私は従来から,甲案賛成ということで発言してまいりました。ただ,結果を見ると,どうも乙案の方が有力ですので,そういうことも踏まえて,以後はまとめる方向で発言をしなければいけないなと今は考えているところです。   それで,今後の議論として,私が重要だと思っているのは,16ページに書いてあります信託業法との関係ではないかと考えます。ここでは,士業と非士業をやはり分けて考える必要があるのではないか。非士業,全く一般の方が1回だけ公益信託の受託者になるという場合は,恐らく信託業法の適用はないでしょうけれども,士業の方,これも弁護士,司法書士,税理士,あるいはファイナンシャルプランナーが複数回,反復継続して行うような場合に,信託業法の適用をするのかしないのか。これで大分,また様子が違ってくると思います。   弁護士さんの場合は,弁護士法との適用関係をどうするのか,では司法書士はどうなのかという問題もあると思いますので,次の論点として,信託業法との関係をやはりきちんと詰めていくということが課題ではないかと思われます。 ○中田部会長 ありがとうございます。   業法との関係を詰めるという御発言は理解できたんですけれども,ただ,この場でそれができるかどうかというのは,ちょっと難しいところもあると思うんですが,何かその点についてお考えはございますか。 ○新井委員 確かにここでは,信託業法は審議の対象ではないと思いますけれども,ただこれは,避けては通れない論点ではないでしょうか。私もよく分からないのですが,少なくとも論点としては認識して何らかの議論をしておくことは必要ではないでしょうか。今日はたまたまフリーディスカッションということですので,忌憚のない御意見をお伺いできればと思います。 ○島村幹事 信託業法の担当でございます。   新井委員の御指摘に関してご説明いたします。   信託業法では,信託の引受けについては,営利の目的,営業として信託の引受けを行う場合については,信託業法の規制が掛かることとされております。営利の目的を持って反復継続して,主に資本的計算方法の下に,少なくとも収支相償うということが予定されている信託の引受けであれば,これは信託業法の適用があると考えております。   こういった考え方の基となる信託業法の規制を課している趣旨は,信託業を営む場合,営業として行う場合については,業者と不特定多数の顧客である受益者との間で,情報量や交渉力の差が生じ得るということに加えまして,委託者等の信頼に基づいて信託された財産を受託者が自己名義で管理・運用するという信託業の特質も踏まえて,業者に対して管理・運用上の義務を確実に遂行するような一定の義務を課すという考え方でございまして,こうした考え方は,公益信託であっても,営業で行う場合については,当てはまるのではないかと考えております。   こういった状況も踏まえますと,先ほど新井委員も,部会長もおっしゃっていただいたとおり,法制審では信託業法の改正について御議論いただくということではないと思っておりますし,また現時点で,我が方で,信託業法の特則等を考えてはおらないところではございますけれども,新しい公益信託制度の下で,例えば,受託者の認定基準,認可基準等において,運用面で一定の対応ができるのかどうかなど,先ほど申し上げました信託業法の考え方を踏まえて,適宜整合性に留意しながら対応を図っていくことを考えております。 ○中田部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○吉谷委員 甲案賛成の立場からも,一言申し上げておきたいと思います。   深山委員がおっしゃったことの裏返しなんですけれども,法人あるいは自然人という形で定義されていて,その前に,公益信託事務の適正な処理をなし得る能力を有すると書いてあるわけでございます。この能力を有するか否かというところについて,法律ではなく,行政庁に全て任せてしまっていいのだろうかというところについては,ちょっと疑問を感じるというところでございます。   公益法人の場合でも一定の枠組みを持っているかと思いますけれども,公益信託になったら,受託者については枠はないと,信託管理人は置くわけですから,最低2名の人でできてしまうということになってしまうわけでございます。そこから先は,認可のときの判断に委ねるのであるというような考え方で,この法律ができてよいのだろうかというところについては疑問があるということでございます。 ○中田部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○小野委員 同じ論点で,今吉谷委員が御発言された,甲案,乙案いずれについても,適正な処理をなし得る能力という,一応,抽象的な要件が書かれておりますけれども,恐らくこの場では,この抽象的な要件をもう少し,ある程度抽象的であることは仕方ないにしても,具体的に議論するということもあり得るのかなと考えます。   というのも,これまでの議論でも,いろいろな,非常に小規模な給付型の信託から事業型,場合によっては,事業型といっても,大規模なものもあり得るかもしれません。それぞれに応じて,適正な受託者というものがあり得るということと思いますけれども,要綱案においては,もう少し具体的に議論し規定することが,恐らく将来的に,各認可団体,認可行政機関が判断するときのよりどころになるのではないかなというふうに思います。   その関係で,もちろんといいますか,乙案支持なんですけれども,成年後見制度とかでも採られているように,分別管理が必要とされ,かつ,信託制度の受託者であるため分別管理は法的義務ですが,どのように運用しようとしているかも受託者の適格性判断には重要であり,その意味でも,ある人についての要件というよりも,全体の,公益信託として採用しようとしている全体の仕組みの中で,どうやって信託事務が適正になされているかというようなことを,申請の際に説明し,疎明していくのではないかと思うんですけれども,その点を含めて受託者の適格性を見る必要があると思います。中間試案の書きぶりだけ見ると,ある人の能力ということだけで,あたかもその人だけの能力のようにも見えなくないというか,そう書かれておりますけれども,実際には,それは法人であっても,信託銀行であれば,当然かもしれませんけれども,ほかの法人の場合では,どういうふうな仕組みの中で公益信託事務を運営していくのか,運用していくのか,能力とか安全性を示していって,認可を取ることになると思うので,そういう観点からもう少し踏み込んだ議論又は,どう表現していいのか,その人の属性としての能力だけではなくて,仕組みとしての安全,能力ということも踏まえるんだという趣旨の,何か踏み込んだ,若干の議論も必要なのかなというふうに感じます。 ○中田部会長 ほかにいかがでしょうか。   受託者の資格についての御意見が続いておりますけれども,もちろんこの点でも結構ですし,ほかの点でも結構でございます。 ○林幹事 先ほど話題に出た業法の点だけ,1点だけ,今の時点の私の考えというかを簡単に申し上げたいと思うのですが,ここの法制審では,公益信託法の議論だというのは分かりますので,そういう意味においては,業法は変えないというか,そういう前提の下で,何ができるかというのを考えるべきだと思います。   それで,業法の考え方というのは,基本的には島村幹事が今おっしゃったとおりのことですので,そういう枠の中で,士業であっても非士業であっても必要な報酬を,もちろん,この改正の提案の中の範囲で,それほど高額ではないものだと思いますけれども,それを受けながらやっていくということが許されるかどうかの問題であると思います。私個人としては,十分可能性もあると思います。本当に沢山扱うと問題なのだと思いますけれども,実際上は,弁護士なり一般の人たちができる件数というのは,限られていると思うので,そういう中で,運用なり解釈なりで工夫していく余地も,それなりにあるのではないかと思います。そういう意味において,業法であっても,ほかの点であっても,ガイドラインというのか,規則というのか分かりませんけれども,そういうものをもう少し突っ込んで議論していけば,前向きなものになるのではないのかというふうには考えていますので,是非そういう機会があればというふうに思います。 ○中田部会長 今日いきなり,全部まとめるということが難しいということはよく理解しておりまして,それぞれ御意見を深めていただきながら,詰めていこうと思いますけれども,ほかにございますでしょうか。   もしないようでしたら,先に進んでよろしいでしょうか。   それでは,参考資料7の第8から第14までについて説明をしてもらいます。 ○舘野関係官 それでは,第8から第14まで御説明いたします。   まず,第8,「公益信託の成立の認可の申請」ですけれども,第8の1,「公益信託の成立の認可の申請主体」の本文の提案については,賛成意見が6件ございまして,反対意見はございませんでした。   また,第8の2,「公益信託の成立の認可の申請手続」の本文の提案については,賛成意見が5件あり,反対意見はこちらもございませんでした。   次に,第9,「公益信託の成立の認可基準」について御説明いたします。   まず,第9の1,「公益信託の目的に関する基準」の本文の提案につきましては,賛成意見が6件あり,反対意見はございませんでした。   また,第9の2,「公益信託の受託者の行う信託事務に関する基準」の本文の提案につきましては,賛成意見が7件あり,反対意見はありませんでした。   次に,第9の3,「公益信託の信託財産に関する基準」の(1)及び(2)の本文の提案につきましては,賛成意見が6件あり,反対意見はございませんでした。(3)の本文の提案及び注につきましては,(3)の提案に賛成し,注に反対する意見が2件,提案に反対し,注に賛成する意見が,これも2件ございました。   次に,第9の4,「公益信託の信託行為の定めに関する基準」(1)アからウの本文の提案につきましては,賛成意見が6件あり,反対意見はございませんでした。   また,(1)のエ,「公益信託の会計について」につきましては,(ア)いわゆる収支相償,(イ)遊休財産の保有制限,(ウ)経常的経費の額が一定の割合以下となると見込まれるものであることという提案ですが,この提案につきましては,賛成意見が1件ございまして,また,軽量・軽装備の公益信託にはなじまないということで,(ア),(イ),(ウ)の基準のいずれも不要であるとして,提案に反対する旨の意見が3件ございました。   第9の4(2)の本文の提案につきましては,賛成意見が4件ありました。賛成意見の中には,(1)エの会計基準についての問題は,助成型でも理論的には発生し得る問題であり,この問題が発生しないことが担保されることを条件として,賛成する旨の意見もございました。   一方,現在の公益信託においても,経常的経費の割合が公益信託事務の費用を上回る事例も一部見受けられるということで,(ウ)の基準は適用されるべきとして,本文の提案に反対する意見が1件ありました。   次に,第10,「公益信託の名称」の本文の提案につきましては,賛成意見が7件あり,反対意見はございませんでした。   また,第11,「公益信託の情報公開」の1の本文の提案につきましては,賛成意見が7件あり,反対意見はございませんでした。   なお,賛成意見の中には,受託者の負担が過大なものとならないよう配慮すべきとの意見が複数ございました。   また,第11の2,「公益信託の公示」の本文の提案につきましては,賛成意見が6件あり,反対意見はございませんでした。   次に,第12,「公益信託の監督」につきまして,第12の1,「行政庁の権限」及び第12の2,「裁判所の権限」の本文の提案につきましては,いずれも賛成意見が5件あり,反対意見はありませんでした。   一方,第13から第16において,本文の提案とは異なる行政庁及び裁判所の関わり方を提案することから,第12の本文の提案に反対する旨の意見も1件ございました。   次に,第13,「公益信託の受託者の辞任・解任,新受託者の選任」につきまして御説明いたします。   まず,第13の1,「公益信託の受託者の辞任」の本文の提案については,賛成意見が4件ございましたが,一方,受託者の辞任に委託者の同意はデフォルトでは必要なく,委託者不存在の場合,裁判所の許可を要することは手続として負担が大きく,行政庁への届出により受託者が辞任できるようにすべきであるとして,本文の提案に反対する意見も1件ございました。   また,受託者の辞任事由についてのブラケット内の文言につきましては,「やむを得ない事由」に賛成する意見が1件,「正当な理由」に賛成する意見が3件ございました。   「やむを得ない事由」に賛成する意見では,信託法第57条第2項と同様の,「やむを得ない事由が」相当であるとした上で,従来のやむを得ない事由の解釈では,辞任が許される場合が硬直的で狭過ぎるという批判があることから,解釈上の課題について,今後検討すべきであるということが述べられております。   一方,「正当な理由」に賛成する意見の中には,「やむを得ない事由」との文言は不必要に狭く解釈されるおそれがあることを指摘するものや,具体的な後任候補が存在する場合には,裁判所は緩やかな基準で受託者の辞任を許可するようにすべきことを指摘するものがありました。   次に,第13の2,「公益信託の受託者の解任」の本文の提案については,賛成意見が4件ございました。一方,委託者にデフォルトで解任権を与えるものであることに反対するとして,本文の提案に反対する意見も1件ございました。   また,信託関係人の合意による受託者の解任事由についてのブラケット内の文言については,「受託者がその任務に違反して信託財産に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるとき」に賛成する意見が2件ございました。また,「正当な理由」があるときに賛成する意見が,こちらも2件ございました。   「受託者がその任務に違反して信託財産に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるとき」に賛成する意見の中には,委託者及び信託管理人の合意による受託者の解任を広く認めることは,公益信託事務の中断により,受給者の地位を不安定にさせる懸念があることを指摘するものがございました。   また,「正当な理由」に賛成する意見の中には,「受託者がその任務に違反して信託財産に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるとき」とすると,回復不可能な損害が生じてからでないと解任できないかのようであり,実効性あるガバナンスを確保できないおそれがあることを指摘するものがございました。   次に,第13の3,「公益信託の受託者の選任」の(1)の本文の提案に対しては,賛成意見が5件ございました。一方,信託管理人単独での受託者の新選任を認めるべきであり,むしろ受託者の新選任の申立てができる利害関係人の範囲,前受託者等の申立て理由を見直して,行政庁への申立てを広く認めるべきであるとして,本文の提案に反対する意見も1件ございました。   また,3(2)の本文の提案及び注につきましては,注では,裁判所は行政庁に対して認可基準要件に係る意見を聴取することになり,裁判所の判断対象ではない事項について意見を聴取することになってしまい,行政庁と裁判所では役割が異なることなどを理由として,(2)の提案に賛成し,注に反対する旨の意見が2件ございました。   一方,裁判所において,受託者の選任をした上で,行政庁が当該新選任を認可するという2段階の方法は迂遠であるなどとして,(2)の提案に反対し,注に賛成する意見が,こちらも2件ございました。   次に,第14,「公益信託の信託管理人の辞任・解任,新信託管理人の選任」についてですが,第14の本文の提案につきましては,賛成意見が5件ございましたが,本文の提案では,委託者の不存在の場合,信託管理人の辞任には常に裁判所の許可を要することになるほか,公益法人の監事の辞任は制限されないことの平仄から,本文の提案に反対するという旨の意見も1件ございました。 ○中田部会長 それでは,今御説明のありました第8から第14までについて,御意見を頂きたいと思います。どこからでも結構でございます。 ○林幹事 第9の2の「公益信託の受託者の行う信託事務に関する基準」の点ですが,特に信託事務において,収益事務が伴うことを許されるという,この範囲の限定なりについてイメージしているところは,この法制審でもそれなりにコンセンサスに近かったと思いますが,それをどう表現するかという悩みがあるところであったと思います。その点,東京都さんの意見によれば,そこについて,基準がまだ若干不明確だから,明確にするようにしてほしいという趣旨にも受け取れるので,それはそのとおり受け止めて,何か工夫すべきではないのかと思います。   ですから,もちろん,この提案に賛成の立場であるからということですが,賛成だとした上で,よりよいものにするために,一面は柔軟に解釈すべき面もありつつ,一面は何らか,認可に耐え得る基準をというか,そういう要望も受けて,何か工夫できないか考えるべきのように思います。ただ,実体法上はこのように書いて,認可基準の問題なのか,ガイドラインか,そういう言葉ばかり使ってしまって申し訳ありませんが,そういうところで議論すべきものなのか。もしここで幾らか議論できるなら,そういうものを工夫してはどうかというふうには思います。 ○中田部会長 ありがとうございます。 ○道垣内委員 先ほどから,林幹事の方から,ガイドラインが,ガイドラインがという話が出ているんですが,ガイドラインをここで議論して,それについてコンセンサスを取ることについては,ここのやるべき仕事ではないというふうに思いますし,コンセンサスを取ったからといって,それを要綱案として出せるわけではないわけでしょう。したがって,フリーディスカッションするのは構わないと思うのですけれども,コンセンサスを取るという形で,何らかのことをここでするということには賛成できません。 ○林幹事 申し訳ございません。   道垣内委員のおっしゃるように,この法制審でできる範囲というのがあるのは分かっていますから,その範囲で法制審ではすべきだと思うのは,そこは私も了解しています。ただ,どこまで実体法で規定して,それをどう明確にするのか,そういう意味の問題意識だけは申し上げたいということです。 ○中田部会長 この問題は常に出てきますよね。新しい公益信託法の中で,どこまできっちり書きこむのか,一部を外に出してしまうのか,もし出すとすると,この審議会で何を詰めることができるのか。膨らみを持たせながら,しかし曖昧にはしないと。とても難しいことだとは思うのですが,ここでできることについて,何かもし具体的なお考えがあれば,お聞かせいただければと思いますけれども。   これは多分,この先も出てくる問題だと思いますので,更に御検討いただくことになると思いますが,ほかに何か。 ○深山委員 今の部会長の御指摘は誠にごもっともで,ここでの議論を前提に,詳細はその先のところでの議論に委ねざるを得ないということは,もちろんそうなんですが,では何もできないかというと,そうでもないんだろうと思います。それはケース・バイ・ケースで考えるしかないのですけれども,今指摘のあった第9の2のところに関していうと,収益を伴う事務がどの範囲でできるのかということについて,この部会でも何度もいろいろ議論したと記憶しています。   ここにいる人たちの考え方は,そう大きくは違わないと思います。つまり,一切できないわけではないという点は,多分共通認識で,しかしどこかに限界があるということについて,その線の引き方の表現が難しいということで,いろいろ表を作ったり,整理をしたわけです。ここで大事なことは,「なお,信託事務が収益を伴うことは許容される」というこの趣旨を,何らかの形で条文に反映させることなんだろうと思います。それによって,どこまでできるのかという形で,その先の議論につながるんだろうと思います。何も触れないと,その議論の取っ掛かりがなくなってしまいますので,収益を伴うことが許容されるということが,何らかの表現で具体的な条文に明記されることがやはり大事なのかなと思います。   これは,ほかの点でも言えることで,やはり議論の言わば取っ掛かりになるようなことを条文化するということが,そこまでがこの部会の役割であり,更にその詳細は次の場で考えてもらうという形でバトンを渡すところまで必要ではないかなと思います。そういう意味でいうと,ここでのキーポイントは,収益を伴うことは許容されるということが何らかの表現で条文化されることではないかと思います。 ○中田部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○吉谷委員 委託者の権限のところと受託者の辞任・解任,選任のところについて,信託協会から反対意見を出させていただいておるんですけれども,このような反対意見となるのはなぜかということを考えると,やはり,ここで書いているままではうまくいかなくて,ある程度,信託行為の中で何か別途定めを置いて,それに従うというような形でないと,うまくガバナンスというのが動かないのではないかと思われるのです。そのような信託行為でどこまで定めていいのかということについてのコンセンサスを得ることはできないのかもしれないのですけれども,どのような,どの部分が任意規定になっていて,任意規定になっているということは,これも行政庁の認可のところに委ねられてしまうということになるとすると,ちょっと今後,公益信託の受託をする立場としては,うまくいくのかどうかということについて,確信が持てないということではないかと思います。   典型的なのが,信託管理人の解任のところでございまして,法制審の場では,受託者は信託管理人を解任できませんというお話なのですけれども,では信託行為に,どういうふうに解任の要件を定めればいいのかと。実際には,委託者不存在の場合というのがかなり起こってくるわけですので,委託者が解任するということは余り期待することができないのであれば,何らかの解任事由を信託行為に定める必要がある。   現在の信託行為などを見ると,運営委員会というものがあって,そこで解任や選任についての定めを置いている場合も多いわけです。ですので,今後,従来から行われているようなタイプの公益信託を信託銀行が行う場合には,そういうような定めを信託行為に置くということが考えられると思うのですけれども,一方で,この中間試案においても,運営委員会というのはなくていいということになっているわけであります。それは任意で置いても構わないという御説明なのかもしれないんですけれども,実際に認可を受けるときに,どのような場合であれば認められるのかということについてのイメージがないというところについては,不安を感じるということになるのではないかと思われます。   ですので,行政庁に委ねるのであれば,何を委ねるのかということについて,もう少し議論をした方がいいのではないかなという気はいたします。 ○中田部会長 ありがとうございました。   具体的にはどうなりますでしょうか。任意規定かどうかということについては,これは明記しているわけですから,信託行為で別段の定めができるということで,そこははっきりしているわけです。そうすると,どこまで信託行為で定めることができるかということだと思うんですが,今の吉谷委員の御発言の中でも,一律の基準というのではなくて,個別の判断のような御発言もあったかと存じます。   そうすると,それを書き切るのが難しいと思うんですけれども,何か具体的に書けるのであれば,ここでの要綱案に向けての検討対象となると思うんですけれども,不安なので明確にということですと,なかなかそれは要綱案にはしにくいと思うんです。もし何か,更にお知恵がございましたら,お出しいただければと思いますけれども,今日でなくても結構でございます。   ほかに。 ○小幡委員 行政庁と裁判所の関係について議論したところで,賛成とか注についてどうだ,というのがあるのですが,51ページ,第13の3で,注で,行政庁の認可と,それから,裁判所が全部包括的にやるというのとは,注にあるのですが,大体ここで出てきたのは,もう既にこの場で出てきた議論だと思うのですが,53ページの最後辺りから最高裁のところで,実務上の懸念ということで,注の方の立場,つまり,迂遠なので,裁判所が全部引き受けてやればよいのではないかというのについて,行政庁に裁判所の方から意見聴取を求めたときに,確かに,これだけでは判断できないという回答がある可能性はあるということ,そういうことから,なかなかすんなり事が運ばなくなるということの指摘がなされていますが,確かにこれはあり得るのかと私も思っていて,したがいまして,またそこで手続が,情報が足りないなどで行ったり来たりしたり,かえって時間が掛かるという懸念が少しあるというのは,私も前に申し上げたことなのですが。   このような懸念,つまり,1回で当事者にとって,どちらが楽かということなのですが,かえって時間が掛かったり迂遠になる,裁判所が一手にやることが,かえって物事を遅くするという可能性もあるのかなというのは,この指摘どおりかなと思った次第です。あとは大体,議論として出てきたところがここに出ているかなと思います。   私自身の意見は,やはり,この本文の方でよいと思っておりますけれども。 ○中田部会長 ありがとうございました。 ○棚橋幹事 パブリックコメント手続の際に,最高裁から法務省に提出させていただいた意見に関して,若干補足させていただきます。参考資料7中に最高裁の意見と記載されている部分は,最高裁から,実際裁判をやっている高裁,地裁に,中間試案の内容について,裁判実務上の支障があるかどうかという観点で意見を聞き,その結果を取りまとめたものです。   裁判実務上の支障の有無という観点から特に意見の多かった点が,第13の3の(2)などの裁判所による新選任・変更命令と行政庁の認可との関係の点と,第3の1などの辞任許可事由の点でした。   後者の辞任許可事由については,私益信託と異なる要件にする理由が分からないといった意見や,正当な理由という概念の内容について疑問が出されておりました。正当な理由が非常に広い概念ということになりますと,正当な理由はあるけれども,後任者候補がいないということもあり得ると思います。そうなると,信託事務が停滞してしまうということにもなりますので,今後の議論していただく中では,概念整理も含めて御議論いただければと考えております。   また,受託者を新選任したけれども,認可を受けられないことによって信託関係人に支障が生じることは問題であると考えておりますので,裁判所における新受託者の選任手続の中で解決するのはなかなか難しいと考えておりますが,支障がない制度を作っていただければと考えております。 ○中田部会長 ありがとうございました。   小野委員,道垣内委員,順にお願いします。 ○小野委員 やむを得ない事由と正当な事由のところの意見なんですけれども,いずれの概念も抽象的な概念であることから,今,棚橋幹事もおっしゃったようなコメントがあるということは想定されるところでもありますし,また,法制局に行けば,パブコメにもあるように,制度間の整合性みたいな議論も出てくるかと思うんですけれども,その際に,ガイドラインという必要は全然なくて,実定法の中に,例えば,今棚橋幹事がおっしゃられた言葉をそのまま借りますと,信託事務の適正・円滑な遂行という観点から,やむを得ない事由,正当事由でもいいんですけれども,一つメルクマールになる,何か判断基準になるような文言を,ガイドラインではなくて,飽くまで法律の中に加えることによって,解釈のぶれとか議論のぶれをなくすと。   パブコメを見ていても,反対,賛成に分かれても,恐らくそれほどの差はなくて,単に言葉の,法律用語の選択のところだと思うんですね。というような観点からも,是非検討するということもしていただければと思います。   あと,難しいという議論が占めてしまうのかもしれませんけれども,先ほど棚橋幹事がおっしゃった行政庁の認可と裁判所の関係ですけれども,この穴を埋めるのは,やはり民間といいますか,受託者といいますか,受託者がそれなりに,きちんと情報提供すると。それを裁判所に委ねるとか,裁判所がまとめてやるとか,だから行政庁なんだというよりも,やはり,民間活力ということでもありますが,その民間の情報がどこまで正しいかどうか,信頼性の問題はあるかもしれませんけれども,それは他の証憑とかも同じで,そういうことも条文にどう落とすかという工夫が必要ですが,単に申請して,裁判所どうぞというよりも,そういうことも踏まえて何かを申請するとか,それをガイドラインというようなことではなくて,条文の中に落としていくということも検討の余地があるのではと思います。   いろいろなところで解釈論が分かれるところには,単に法律用語の問題のところとか,今言ったようなところもあるかと思うんです。それについては,条文の中にそういう趣旨を加えることによって,ある程度,指針が示せるのではないのかなと思いました。 ○中田部会長 ありがとうございました。 ○道垣内委員 辞任について意見がいろいろ出ているときに,話を解任の方に移してしまって,大変申し訳ないのですけれども,解任のところで,「受託者がその任務に違反して・・・・・・の重要な事由があるとき」というのと,「正当な理由があるとき」というのがブラケットで包まれていて,私が気になりましたのは,50ページの「【反対】信託協会」というところです。受託者の信託事務処理能力が欠如しているとまではいえないけれども,より望ましいと信託管理人等が考える受託者候補が存在するにもかかわらず,受託者が辞任しない場合に,解任ができるというふうにした方がよいのではないかという感じなんだろうと思うんですね。   しかし,それはひどい話だというふうに私は思います。こっちの方がよかったというふうにいって,いつも替えられるというのは,それはおかしいのではないか。そして,そうなったときに,51ページの方に,札幌弁護士会と東京弁護士会の方で,委託者,受託者,いつでもその合意により受託者が解任できるというのは,信託法の方はそうなっているではないかと。そうなると,正当な事由があるときには自由にできるようにした方がよいのではないかという話なんですが,58条1項は2項と結び付いているんですよね。つまり,解任はできる,しかしながら,不利益な時期にやった場合には損害賠償しろという話になっているわけでありまして,1項の部分だけを引用して,このように言うのは,私はおかしいのではないかと思います。   仮に,最終的に,正当な理由のときに,よりよい公益の増進のために,もっと適任の人がいたら自由に替えられるようにしようではないかということが,ここのコンセンサスとして認められるに至り,そういうふうになったとしても,そのときには,58条2項に対応する規定が必要なのではないかと思います。 ○中田部会長 ありがとうございました。   58条の2項を持ってくるというのは,それは仮にという前提のお話だと思いますけれども,そこの損害というのは,公益信託の場合も同じことと考えてよろしいんでしょうか。 ○道垣内委員 信託銀行は公益を増進する義務は負っていないと思うのですね。商売をしているだけであって。それ考えますと,公益信託だから損害が小さく算定されるということにはならないと思います。 ○中田部会長 分かりました。ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○吉谷委員 今の50ページの信託協会のところを引用していただいたので,簡単にお話を致しますと,ここで書いているのは,正当な理由があるときというので思い付くのは,このような理由であると。であるので,受託者がその任務に違反して,信託財産に著しい損害を与えたこと,その他重要な事由があるときとすべきであるというような趣旨で書いていたと思います。   ですので,正当な理由があるときというのに,そのような場合は含まれないんだということが解釈上明確にならないと,正当な理由というのは,ちょっと賛成することはできないなというふうに考えております。 ○道垣内委員 吉谷委員から説明していただいて,それはそれで理解できますが,そうであるならば,50ページの記述はちょっとミスリーディングかなと思います。 ○林幹事 すみません,細かいようですが,先ほど58条2項のことが出たので申し上げます。これまでの議論の中では,58条2項のような制度は,一応設けない前提で議論して,解任事由なりをどうするかというふうに議論していたように記憶しています。要するに,任期の途中で解任したとき,損害を賠償しなければならないというような制度は重くなるので,あえてそういう制度を設けない前提で議論していたように記憶しています。記憶違いだったら申し訳ないのです申し上げます。 ○道垣内委員 それはそれで構わないのですが,そうであるならば,よりよい人がいたら解任できるとはならないと思うのです。正当な理由という言葉を最終的に使うことになったとしても,より適任の者がいたらすぐに替えられますという話ではないということを何らかのかたちで明らかにする必要があり,その1つの方法は,小野委員がおっしゃったような例示的修飾節といいますか,そういうものを付けることだと思います。こっちの方がいいといって自由に替えられるんだというふうなことを前提にしますと,2項は設けないことが前提であったということの更なる前提が崩れるのではないかと思います。 ○中田部会長 ありがとうございました。   この点については,今日の御議論で,少し方向性が出てきたような感じもしておりますけれども,ほかにございますでしょうか。   ほかにないようでしたら,ここで休憩を挟むというのも中途半端かもしれませんので,続けてやってよろしいでしょうか。   それでは,参考資料7の第15から第19までについて,説明をお願いします。 ○舘野関係官 それでは,御説明いたします。   まず,第15,「公益信託の変更,併合及び分割」について御説明いたします。   まず,第15の1,「公益信託事務の処理の方法に係る信託行為の定めの変更」の(1)アの本文の提案につきましては,賛成意見が4件ございましたが,委託者の合意は不要とすべきであるとして,本文の提案に反対する意見も1件ございました。また,その他の意見として,原則を届出制とし,例外的に認可制とすべきであるとの意見もございました。   1の(1)イの本文の提案につきましては,賛成意見が4件あり,反対意見はございませんでした。   1の(1)ウの本文の提案及び注につきましては,本文に賛成し,注に反対する意見が3件ございましたが,変更の適法性の最終的な判断を裁判所に委ねる以上,行政庁の関与は変更命令の前が適切であり,そのようにしないと,行政庁の認可に不服がある場合に,別途行政訴訟が必要となり,迂遠であるとして,本文の提案に反対し,注に賛成する意見も1件ございました。   1の(2)の本文の提案につきましては,賛成意見が5件あり,反対意見はございませんでした。   次に,第15の2,「公益信託の目的の変更」の(1)の本文の提案につきましては,賛成意見が5件ございましたが,信託目的の安易な変更がされないようにすべきであり,委託者の合意により信託目的の変更することによって,委託者が公益信託事務の処理に介入しているかのような外観を与えないように,あらかじめ信託行為に目的の変更の手続に関する定めを入れるなどの措置を採るべきであるとして,本文の提案に反対する意見も1件ございました。   2の(2)の本文の提案については,賛成意見が2件あり,反対意見はございませんでした。   次に,第15の3,「公益信託の併合・分割」の提案につきましては,賛成意見が5件ありましたが,信託目的が明らかな場合には委託者の合意は不要であるとして,本文の提案に反対する意見も1件ございました。   また,注として掲げた,いわゆる裁判所による併合・分割命令につきましては,賛成する意見はなく,私的自治に対する過度な介入となるおそれがあるなどとして,注に反対する意見が4件ございました。   次に,第16,「公益信託の終了」について御説明いたします。   まず,第16の1,「公益信託の終了事由」の本文の提案につきましては,賛成意見が5件ございました。一方,(2)の信託管理人の1年間の不存在を終了事由としている点につきまして,信託管理人の任務終了事由が発生したことを他の関係者が早期に知ることができるとは限らず,信託管理人の任務終了から1年以内に新信託管理人を選任することが常に容易ではあるとはいえないということから,不測の事態により信託が終了するおそれがあるとして,(2)についてのみ反対する旨の意見も1件ございました。   次に,第16の2,「公益信託の存続期間」の本文の提案につきましては,賛成意見が6件あり,反対意見はございませんでした。   第16の3,「委託者,受託者及び信託管理人の合意による終了」の本文の提案につきましては,公益性を有する公益信託が当事者の合意のみで終了するのは相当でないなどとして,甲案を支持する意見が6件ございました。一方,私人に残余財産の帰属を認めないことを前提として,乙案に賛成する意見も1件ございました。   また,甲案のブラケット内の文言につきましては,「終了の認可」に賛成する意見が3件ございましたが,「成立の認可の取消し」に賛成する意見は,こちらはございませんでした。   次に,第16の4,「公益信託の終了命令」の本文の提案につきましては,賛成意見が6件あり,反対意見はございませんでした。   第16の5,「公益信託の成立の認可の取消しによる終了」の本文の提案及び注につきましては,認可が取り消されるような場合は,信託を存続させるに値しないといえ,委託者の通常の意思としても,存続を望まないといえることなどを理由に,本文の提案に賛成し,注に反対する意見が3件ございました。   一方,一旦組成した器を再利用するニーズがあり,信託行為において,目的信託としての存続を予定しているのであれば,積極的に当該信託を終了させなければならないとするまでのことはないとして,本文の提案に反対し,注に賛成する旨の意見が2件ございました。   次に,第17,「公益信託の終了時の残余財産の処理」について御説明いたします。   まず,第17の1,「残余財産の帰属権利者の指定」の(1)の本文の提案につきましては,賛成意見が7件あり,反対意見はございませんでした。   また,1の(2)の本文の提案及び注につきましては,本文の提案に賛成し,注に反対する意見が5件ございましたが,私人への残余財産の帰属を認めないのは硬直的に過ぎるなどとして,本文の提案に反対し,注に賛成する旨の意見が2件ございました。   第17の2,「最終的な残余財産の帰属」につきましては,賛成意見が6件あり,反対意見はございませんでした。   次に,第18,「公益信託と受益者の定めのある信託等の相互変更等」について御説明いたします。   まず,第18の1,「公益先行信託」の本文の提案につきましては,これに賛成する意見が5件ございましたが,公益信託の利用促進の観点から,私的利用の隠れ蓑にならないようにするための所要の措置を講じた上で,公益先行信託について,行政庁が成立の認可を行う制度を設けるべきであるなどとして,本文の提案に反対する意見が2件ございました。   第18の2,「公益信託から受益者の定めのある信託への変更」の提案につきましては,賛成意見が7件あり,反対意見はございませんでした。   第18の3,「残余公益信託」の本文の提案につきましては,信託設定当初の時点では,将来の時点で公益信託に拠出される信託財産の規模が不確定であり,認可基準を満たしているか否かの判断が困難であるなどとして,本文の提案に賛成する意見が4件ございました。一方,私益信託拠出時に公益信託に拠出されることが確実に決まっていることが望ましいなどとして,本文の提案に反対する意見が3件ございました。   第18の4,「受益者の定めのある信託から公益信託への変更」の本文の提案につきましては,現在,受益者の定めのある信託で,公益信託と比較できるような公益的な事業を行っている事例を認識していないことや,公益信託の認可前に受益者の定めのある信託を設定し,信託の変更することに何らかのメリットがあるとは考え難いこと等を理由として,甲案に賛成する意見が1件ございました。一方,民間の活力を利用し,公益信託の利用を広める観点などから,乙案に賛成する意見が8件ございました。   最後に,第19,「その他」について御説明いたします。   まず,第19の1,「信託法第3条第3号に規定する方法による公益信託」の本文の提案につきましては,信託財産を税法上の寄附金として取り扱うことからすれば,委託者が受託者として,引き続き信託財産を管理することは不合理であること,委託者の影響力を極力排除することが公益信託の原則と考えるべきであり,このような制度は税制上も,通常の公益信託に認められる措置が認められるとは考え難いことなどを理由に,甲案に賛成する意見が5件ございました。   一方,新たな公益信託は,信託管理人が必置となっているほか,公益認定の手続を得ることとされており,目的信託と比較して,ガバナンスが強化されていること,公益活動を行う能力があり,自らの財産を活用したいと考える者の公益活動を促進すべきであること等を理由として,乙案に賛成する意見が4件ございました。   次に,第19の2,「新公益信託法施行時に存在する既存の公益信託の取扱い」の本文の提案につきましては,賛成意見が7件ございました。賛成意見の中には,2の(1)について,既存の公益信託が必要以上に終了してしまうこととならないようにするためにも,一定の要件を満たしているものについては,届出等の簡易な手続で以降の認可を受けることや,2の(3)について,円滑な移行のため,移行期間について,比較的長く設けるということも検討すべきであるなどの意見がございました。   また,2の(2)につきまして,これまで問題なく運営されてきた既存の公益信託について,移行時はもちろん,移行後も含め,何らかの新たな負担を課すべきではなく,会社法の特例有限会社の例等も参考に,旧法(現行公益信託法)適用の公益信託として存続させることを検討すべきであるとして,本文の提案に反対する意見も1件ございました。   第19の3,「罰則」につきましては,賛成意見が3件あり,反対意見はございませんでした。   最後に,第19の4,「その他」につきましては,賛成意見が3件あり,反対意見はございませんでした。   その他の意見として,公益信託法の見直しにおいて,目的信託の活用に関する規律の見直しも行うべきであるという意見や,限定責任信託の規律が公益信託にも適用されることを明確にすべきである等の意見がございました。 ○中田部会長 それでは,第15から第19までについて,御発言をお願いいたします。 ○小幡委員 第15の変更のところの,その他の意見,57ページとか58ページで,公益法人制度との比較で意見がかなりあるのですが,届出を原則とすべきとかありますが,公益法人の場合,今日は明渡関係官がいらっしゃらないので,意見が聞けませんが,公益法人だと届出が原則のように読めるのですが,そうではなくて,軽微な変更であれば届出で足りるというふうに,公益法人制度ではなっていて,ただ,現実に実務をやっていますと,はっきり言って,そこが,どこの委員会でも結構困っているのですが,軽微な変更で届出でよいのか,それとも,軽微とは言えないので,委員会に掛けないといけないのか,公益法人の場合認定が必要ですが,こちらだと認可だと思いますが,そこがなかなか微妙でして,結局は事務局と相談したりして,振り分けているという実態があるという現実はあるので,ここをどういうふうに仕組むかは,公益法人制度でも割と難しくて,実務では,比較的楽にできるようにということで,軽微な変更の方で,届出で済むような形ではやっていきたいという傾向はあるのですが,いずれにしても,実際に制度を仕組むときは,どちらにしても,いろいろなケースがありますので,難しいことはあると思っております。何か公益法人の場合届出で足りる,とか,原則は,と言われているのですが,一応本当は,変更の認定は要るのですが,軽微な変更であれば届出で足りる,それが結構多いという実態があるということです。   ですから,今回の場合は,やはり,個人的には,本文でよいのかと思うのですが,実際に軽微な変更をどのぐらいにするかということは,また,制度として,出発のときに仕組む必要があると思っております。 ○中田部会長 ありがとうございました。   ほかに,15から19までについて,どこでも結構ですけれども,いかがでしょうか。あるいは,全体を通じてでも結構でございます。 ○林幹事 19の1の自己信託の方法によるところについて,賛成の立場からですが,ニーズもそれなりにあり得るし,制度があれば,可能性として公益信託が広がると思います。反対の立場からは,いろいろ指摘されている部分もあるのですけれども,それも個々の信託の組み方なりでも工夫できるところですし,工夫の仕方というのは何らかあり得ると思います。先ほどと一緒で,実体法でどこまで書いて,どこからをその外のことにするのか,そういう問題はもちろんあるのでしょうけれども,十分使い勝手がありうるところですので,その辺も含め,今後議論していただけたらと思っています。 ○中田部会長 ほかにいかがでしょうか。   本日の御審議で,若干方向性が見えてきた部分はありますけれども,依然として,なお意見が対立しているところが残っておりまして,これをどうやって収束していくのか,大変だと思いますが,是非お知恵をお出しいただきまして,御協力をお願いしたいと存じます。   結局は,先ほど申しましたけれども,公益信託法の中できちんと決めることを目指しているわけですが,ある部分を外に出してしまうということになったとしても,完全に白紙で出してしまって,公益信託法が空洞のようだというのも,うまくいかないでしょうから,そこを考える必要があるのかなと,お話を伺っていて感じました。次回以降,何とか要綱案に向けて,引き続き御審議をお願いしたいと存じます。   ほかにございませんようでしたらば,本日の審議はこの程度にしたいと思いますが,よろしいでしょうか。   それでは,次回の日程等について,事務当局から説明してもらいます。 ○中辻幹事 次回の部会からは,パブリックコメントの結果及び,本日皆様から頂いた御指摘を踏まえまして,公益信託法の見直しに関する要綱案の取りまとめに向けた本格的な検討に入っていくことを予定しております。   次回の日程は,事務局の都合で恐縮なのですが,来月の4月17日は開催せず,その約1か月後の5月15日火曜日に開催し,これまでどおり,午後1時30分から午後5時30分まで御審議いただくこととさせていただければと存じます。場所は法務省ですけれども,具体的な会議室は未定ですので,決まり次第,また御連絡いたします。   なお,従前確保していただいておりました6月19日及び7月17日の日程につきましては,引き続きあけておいていただくようお願いいたします。 ○中田部会長 よろしいでしょうか。   それでは,本日の審議はこれで終了といたします。本日も熱心な御審議を賜りまして,ありがとうございました。 -了-