法制審議会戸籍法部会 第5回会議 議事録 第1 日 時  平成30年3月9日(金)     自 午後 1時31分                          至 午後 4時32分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題  戸籍事務へのマイナンバー制度導入のため更に検討を要する事項         戸籍法の改正に関する中間試案のたたき台 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○窪田部会長 それでは,予定した時刻がまいりましたので,法制審議会戸籍法部会の第5回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中,御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。   本日ですが,須藤委員,筒井委員が御欠席と伺っております。また,小野瀬委員,阿部幹事,木村幹事が遅れて参加されると伺っております。   それでは,本日の会議の配布資料の確認をまずさせていただきます。事務当局からお願いいたします。 ○渡邊幹事 お手元に配布資料目録,議事次第,委員等名簿を配布させていただいております。 また,お手元に部会資料5-1及び5-2,そして,横紙になります参考資料12及び16,さらに,日本経済団体連合会提出の資料,最後に,大橋委員御提出の資料をお配りさせていただいております。 不足の資料等ございましたら,事務当局までお申し付けいただければと思います。   配布資料の御説明は以上でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   お手元の資料はよろしいでしょうか。   それでは,審議に入ります。   最初に,日本経済団体連合会から資料の提出がございますので,事務局から資料について御説明をお願いいたします。 ○渡邊幹事 先ほど御確認いただきました日本経済団体連合会の2018年2月20日付けの資料を御覧ください。「国民本位のマイナンバー制度への変革を求める」と題した資料でございます。   その資料の4ページをお開きください。   戸籍事務についての言及がございます。戸籍事務につきまして,電算化が実施されているけれども,各地方自治体間で個別の情報が構築されている現状にある。したがって,戸籍謄本等の取得について不便が生じている。今般,戸籍謄本等を,マイナンバー制度を活用した行政機関のバックオフィス連携による添付不要化や,あるいは改製原戸籍を円滑に取得する仕組みの構築による国民の負担軽減が望まれると書かれております。   以上,資料の御紹介でございました。 ○窪田部会長 これについては,ただ今御説明いただいたということでよろしいかと思います。   それでは,次に,「戸籍事務へのマイナンバー制度導入のため更に検討を要する事項(2)」について議論を頂きます。   まず,部会資料5-1の「第5 戸籍訂正制度について」について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 それでは,第5,戸籍訂正制度について御説明をさせていただきます。   部会資料5-1を御覧ください。   まず,1の現状につきましては,基本的に,部会資料の3を再掲したものになります。若干,文言上の修正は行っておりますけれども,基本的には部会資料3のとおりでございます。   改めまして,戸籍訂正制度,どういう手続なのかということをおさらいをさせていただきたいと思います。   現行の戸籍訂正制度でございますけれども,部会参考資料12という横長のもの,前回も使わせていただきましたけれども,こちらをお手元に置いて御覧ください。   戸籍訂正制度ですけれども,戸籍の記載に遺漏等があった場合,そういった訂正事由があった場合には,まず,本籍地の市区町村長が届出人等に,戸籍法24条1項に基づいて通知を行います。その通知,遺漏がありますといったもの,訂正事由がありますよという通知を行います。それを受けた届出人が,本籍地を管轄する家庭裁判所の方に戸籍訂正の許可の審判を申し立て,その審判を受けた人が本籍地の市区町村長の方に訂正の申請を行って,直してもらうというのが原則的な手続になっております。したがいまして,戸籍に誤りであるとか遺漏の記載があった場合には,通知を受けて,御本人が家庭裁判所に行き,家庭裁判所の許可を受けて,その許可をもって,本籍地の市区町村に訂正してくださいというのが原則的な流れということになります。   ただ,24条1項の通知ができない場合,あるいは通知をしても,いつまでたっても訂正の申請がされない場合には,一定の場合には,管轄法務局長の許可を得て,本籍地の市区町村長が職権で訂正をすることが認められております。このように,原則的には家庭裁判所に行ってくださいというものになりますけれども,一定の場合には,職権での訂正もできるとされているところでございます。   さらに,市区町村長の過誤によるということで,こちらは,後ほども御説明いたしますけれども,基本的には軽微な事項で,身分関係に関わらないような事項ということで,届書に書いてあるとおり,本来は入力・記載すればよかったんですけれども,届書に書いてあるものを間違って記載してしまった,それで大きな影響がないものについては,発見した場合には,通知をせずに,市区町村長の方で職権で訂正をしている場合があるということになります。   このような手続になっておりまして,その説明が,この部会資料の1ページから,大体6ページ,7ページのところまで書いてあるということになります。   具体的に,5ページのところの職権訂正手続のところで,市区町村限りの職権訂正,どういった場合にやっているのかということについては,注9に文献上挙げられているものを記載してございますけれども,整理をすると,基本的には身分関係に影響を及ぼさず,かつ軽微な事項について,戸籍面上顕著な誤記であるとか遺漏があることが明白な場合の一定の場合というふうに整理ができるのかなと思っておるところでございます。その上で,戸籍訂正制度,何か改善すべきところがあるかということで,御議論を頂いているところでございます。   まず,戸籍訂正制度,7ページを御覧ください。7ページの2のところになります。   まず,①として,113条に基づく訂正の許可の審判,そして,114条による訂正の許可の審判手続による場合と116条の確定判決による戸籍訂正による場合の区別が明らかでないという問題点が一つ挙げられるところでございます。   お手元の戸籍六法の230ページを御覧ください。   戸籍の訂正ということで,113条,114条,116条という規定がございます。113条は,戸籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを発見した場合にはということで記載されています。また,114条は,届出によって効力を生ずべき行為について,戸籍の記載をした後に,その行為が無効であることを発見したときはということが記載されております。さらに,116条は,確定判決によって戸籍の訂正をすべきときはというふうに記載されているところでございます。   113条の要件,114条の要件,結構漠とした広いものでございますので,確定判決によって,例えば,離婚無効判決であるとか,養子縁組無効の判決であるとか,そういったものでやるべきなのか,それとも,例えば114条で,届出によって効力を生ずべき行為について,その行為が無効であるという場合に入ってくるのかなどと,文言上は境目が曖昧なように読めているところでございます。その辺りの区別がはっきりしていないというところもあり,かつては,本来は116条の戸籍訂正でやるべきではないかというところを113条の審判で訂正を行ったという事例もあったというふうに聞いておりまして,かねてから,この切り分けが問題となってきたところでございます。この辺りの説明は,この部会資料の前半等に記載させていただいているところでございます。   また,市区町村長が管轄法務局長等の許可を得て職権で訂正できる範囲が必ずしも明らかではないということも言われたりしてございます。こちらは戸籍法24条,戸籍六法の198ページになりますけれども,前回も御説明いたしましたが,1項で,戸籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを発見した場合にはということで,こちらの記載は,先ほど見ていただきました113条の規定振りと同じでございます。その場合には,先ほど御説明いたしましたように,通知をしなければならないとなっている。そして,2項で,前項の通知をすることができないとき又は通知をしても戸籍訂正の申請をする者がないときは,市町村長は管轄法務局又は地方法務局の長の許可を得て,戸籍の訂正をすることができるというふうになってございます。   このように,113条の戸籍訂正審判の規定振り,要件と,基本的には同じようになってございますけれども,どの範囲だったらできるのか,できないのかということは,必ずしもこの文言上明らかではないという問題点もございます。さらに,市区町村長が管轄法務局長の許可を得ずに職権で訂正できる,現在行っているところ,一部やっているところはございますけれども,明文の規定がなく,その範囲も明らかではないというところになります。   訂正事由があることを発見された場合にも,さらに,実際に訂正の許可審判の手続をとっているかどうかということも,市区町村長の方は把握するのがなかなか難しい。前回御説明ありましたように,一定の期間催告はしているところではございますけれども,なかなかその把握というのは難しい。あるいは,現行法上,特に,積極的に市区町村長の方であるとか法務局の方がその手続に関与はしていないということで,そういう観点の問題も挙げられるということになります。   前回少し,訂正をした場合に履歴がどうなるのかというお話もあったかと思います。訂正ですけれども,法務局長の許可あるいは訂正の許可の審判手続の部会の参考資料12を見ていただければと思いますけれども,管轄法務局長の許可を得て訂正した場合,あるいは上の訂正許可審判手続に基づいて訂正申請があったものにつきましては,訂正の履歴,訂正の審判の許可という理由で訂正をしたということが分かるように戸籍に記載されます。また,管轄法務局長の許可の場合にも,同様に戸籍に記載されて,訂正したということが分かる形になっております。ただし,その場合であっても,申出によって戸籍を再製していただくという手続がございます。その手続によって,訂正の履歴が戸籍面上見えないようにするということは可能となってございます。   他方,市区町村長限りで職権訂正をした場合には,その訂正の履歴,内部では持ってございます,当然持ってございますけれども,実際の戸籍の中には,先ほど申しましたように,市区町村長限りでの職権訂正というものは,軽微なものと扱われてございますので,戸籍の記載の表には出てきませんけれども,当然,履歴としては持っているということになります。   こういった戸籍訂正制度,さらに,先ほど御説明しました問題点等を踏まえまして,前回も御議論を頂いたところでございます。   8ページの①から③を御覧ください。   前回,第3回会議ですけれども,御議論を踏まえて,その際には,方向性自体は大きな御異論等はなかったと,私ども承知してございますけれども,要件の切り分けであるとか,その辺りは,もう少しはっきりした方がよいのではないかという御意見を頂いたところでございます。それを踏まえて,この①から③と整理をさせていただいたところでございます。   前回お示ししたものと若干の順番が変わってございます。併せて,部会参考資料16ということで,席上で配布させていただいている資料も御覧ください。横長の青い表になっているものになります。   まず,①のところですけれども,こちらは,家庭裁判所の手続に関わる事項ということになります。訂正事由,まず,家庭裁判所で行っていただきます訂正の許可の審判あるいは確定判決による戸籍訂正の切り分けについてですけれども,113条及び114条の戸籍訂正許可手続については,人事訴訟の手続で行うべき事項については対象としない。こちらは,人事訴訟の手続でやっていただくべき事項ということで,それがどういったものが入っているのかということにつきましては,注8,8ページのところになりますけれども,人事訴訟の対象ということで,人事訴訟法第2条の対象となるものということで,実体的身分関係の形成又は存否に関する判断を要するものという形でくくらせていただいているところでございます。そういったものについては,本来的には人事訴訟手続でやっていただくべきであろうということで,113条,114条の戸籍訂正許可の手続から外すということを提案するものでございます。   前回も御説明いたしましたが,この点につきまして,実際に一定の期間,法務局に訂正の許可の,法務局に対して訂正の申請があったものについて,審判事例等も取り寄せてみましたけれども,113条,114条で,人事訴訟対象手続が含まれている,そちらでやるべきだけれども,113条,114条でされていたものもなかったというところでございますので,大きな影響がないところではないかと思っておりますし,本来的には,人事訴訟でやっていただくべきものは人事訴訟手続でやっていただきたいということで,このような規律にした,御提案したものでございます。   続いて,②でございます。参考資料16の上から二つ目になります。   裁判所でやっていただく手続と職権でやる手続とを切り分ける,まず一つの基準として,訂正事由が明白である場合というふうに分けさせていただいております。こちらは,戸籍の記載であるとか届書類,その他の書類から,訂正事由が明らかであるといえるような場合には,職権での訂正ができるというふうにしてはどうかと。その場合に,現在もやっておりますけれども,現在の規律は,先ほど申し上げましたように,まず通知をして,裁判所に行ってくださいというふうな手続になっておりますけれども,まず裁判所に行ってくださいというのではなく,誤りであること,訂正事由があることが明らかである場合には訂正しますよということで,職権で訂正できるようにしようというものでございます。   さらに,一番下の枠組みですけれども,こちらは現在,市区町村長限りでの職権訂正ができるというふうにはされていますけれども,明文での規定がございません。その場合,現在の大きな枠組みを特に変えるわけではないんですけれども,市区町村長限りで訂正できるものとして,どういう基準でできるのかということで,③のところ,訂正事由があることが当該市区町村長において,戸籍の記載又は届書類,その他の書類から明らかに認めることができる場合であることに加えて,訂正事項が軽微で,かつ戸籍訂正を行っても身分関係の影響を及ぼさないという形であれば,市区町村長限りの職権で訂正できるとすることを御提案するものでございます。   その場合に,軽微である,あるいは身分関係に影響がないというものは,どういったものというのが問題になってこようかと思います。参考資料の16は,従前の先例等を挙げさせていただいたものになりまして,例えばこういったものが含まれるということで挙げさせていただいたものであります。かなり限界事例のようなものを挙げさせていただいておりまして,通常,市区町村長限りで訂正を行っているものにつきましては,本当に,届書の父母の氏名の記載を間違えたであるとか,一文字書き間違えたというのが多うございます。さらには,例えば,受理者が何々市長と書かなければいけないのを何々市と書いてしまった,そこでシステム上ひっかかってこなかったというのが後で発見されたような場合が多いというふうには承知しておりますが,さらに,もう少しぎりぎりのところで,挙げられるものを挙げさせていただいております。   一番下のところを御覧ください。   一番分かりやすいのが,出生年月日を誤記した場合というものが挙げられると思います。こちらは,出生届を見ると出生年月日が書いてありますし,出生届には出生証明書も添付されてございます。そちらを見て,そのとおり,本来は記入しないといけなかったけれども,日付を間違えてしまったということが,入力間違いがあったということがあり得ます。そのような場合には,訂正事項は軽微で,かつ身分関係に影響がないというふうに整理ができるものと考えております。   ただし,(嫡出性に関わらないもの)というふうに記載しております。上の方の枠,身分関係に影響があるものの①のところですけれども,嫡出性に関わる生年月日の訂正として挙げております。   今,生年月日の誤記について,基本的には軽微なものというふうには御説明しましたけれども,生年月日の日付と父母の婚姻日との関係によっては,嫡出子あるいは嫡出でない子の違いが出てくる場合がございます。そういった場合には,やはりそこは身分関係に影響があるというふうに考えられるというところで,そのような場合には法務局長の許可を得ていただく必要があるというふうに考えております。   上の方に,軽微でない事例というものを挙げさせていただいております。こちらは,婚姻届を出す場合に,夫又は妻の氏ということで選択して,どちらかで届出をしていただくことになりますけれども,誤って,例えば,妻の氏で婚姻届を出したけれども夫の氏で戸籍を編製してしまった,あるいは逆の場合というのもあるかもしれません。そういった場合には,戸籍をまた作り直さないといけないということもございます。そういったものは,やはり軽微でないという類型に入るのだろうというふうに整理をしておるところでございます。   このような形で,訂正事由が書面等から明らかである場合には,職権による戸籍訂正をまずさせていただくということにしたいというものでございます。実際にできる範囲というものは,今と基本的には変わりがなくて,まず裁判所に行ってくださいというルールを改めるというのを今回御提案するものということになります。その場合に,裁判所に行ってください,誤りがありますよという通知は,裁判所に行ってくださいというのを原則としないということになりますので,通知をする必要があるのかないのかというところも問題となろうかと思います。   前回も御議論いただいて,事前にした方がよいのではないかという御意見の方が多かったところであります。今回はその形で,②のところですけれども,職権による戸籍訂正手続を行うに当たっては,訂正事由のある戸籍の名欄に記載されている者に対して通知をするものとするというふうに記載をさせていただいているところでございます。   さらに,③の市区町村長限りの職権訂正については,軽微でかつ身分関係に影響がない事案ということでございます。先ほども御説明しましたように,この場合,わざわざ通知をして,届出をされた方に手を煩わせていただく必要がないということで,現行法上も通知は必要ないとされているところでございますので,今回の提案としても,そこは維持をするということを考えてございます。   さらに,前回,御議論の中で少し話題となったところでございますけれども,10ページ以下でございます。   家事事件手続法には,一般的な規定として,調査の規定等を設けられているところではございますけれども,家庭裁判所が必要あると認める場合には,市区町村長であるとか管轄法務局長に対して意見を聞くことができるという規定を設けるということは,どう考えるのかという御意見等もあったところでございます。その辺りについても御意見を頂きたいとは思っております。   ただ,この点ですけれども,家事事件手続法,戸籍事件についての市区町村長の処分に対する不服の申立てがあった場合には,意見を聞かなければならないという規定はございます。ただ,必要な場合に意見を聞くことができるという規定を設けられていない,他の審判類型もそうなんですけれども,そのような規定が設けられていない中で,戸籍にだけ置けるのかという問題点はあろうかなと思います。   戸籍訂正についての御説明は以上になります。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは,この部分について御議論いただきたいと思います。ただ今御説明を頂いたところについて,何か御質問等ございますでしょうか。あるいは,お示しいただいた方向性についての御意見でも結構です。 ○畑委員 質問ですが,人訴事項をどうするのかという,前回から議論に上がっていた点について,部会資料の方は,8ページの①で,人訴対象事項は戸籍訂正の対象にしないということで終わっているのですが,参考資料16だと,人訴事項が二つに分かれているようにも見えるのです。参考資料16の御趣旨をもう少しご説明いただけますでしょうか。 ○北村幹事 16の一番上の欄が,家庭裁判所の関係でございます。 ○渡邊幹事 一番上の行のことについてのお尋ねというふうに伺ってよろしいでしょうか。 ○畑委員 参考資料16に,「人訴事項」という列がありますよね。この列を縦に下りていくと,「116条」とまず書いてあって,それから,その下のセルに「116条(確定判決による通知の場合を除く)」と書いてあるので,その二つの関係がちょっとよく分からないということです。 ○渡邊幹事 承知いたしました。   人訴事項としまして,離婚無効ということが,例えば例としてあるわけでございますけれども,この離婚無効について,訂正事由が明白でない場合には,当然裁判所に行くということになります。例えば,刑事判決等で,その婚姻が無効であったと判断された旨の通知が検察官から戸籍事務に対してあるということがございます。そのような場合には,例えば,人事訴訟で離婚無効を確認したのと同じぐらい確からしい判断だというふうに思われますので,そういった通知を根拠として,116条の訂正と同様の訂正ができるということになります。 ○北村幹事 訂正事由が明白である場合ということで,身分関係に影響があって,人訴の対象事項になりそうなものは,基本的には人事訴訟手続でやっていただくというのが原則ではあります。それ以外の事項を職権での訂正にしようと考えております。ただ,確定判決による24条3項通知の場合を除くということで,部会資料の9ページの辺りの中間ぐらいに書いてございますけれども,24条3項通知がされた場合であって,同通知によって,公正証書原本不実記載罪に当たることが刑事確定判決により明らかな場合も含み得るというふうにしてございます。そのようなものがあった場合には,職権での訂正,そちらの訂正事由が明らかである場合に含めてよいのではないかという考え方でございます。   そういったものではない,起訴猶予となったようなものについては,明白である場合に入ってこない,ちょっとその辺りが,この表が分かりにくい形になっていったのはおわびしたいと思います。基本的には,人訴事項については,人事訴訟手続でやっていただくということを考えているというものでございます。 ○畑委員 そうすると,中身としては,前回この問題を議論したときと基本的には変わっていないということでしょうか。 ○北村幹事 そうです。そこは変わっていないです。 ○畑委員 分かりました。   ただ,そうすると,参考資料16の書き方が少しおかしいような気がします。 ○渡邊幹事 数字が変かもしれませんね。 ○畑委員 かつ,「24条3項通知がされた場合を除く」と書くのは何か意味が逆ではないでしょうか。 ○渡邊幹事 そうですね,逆ですね。申し訳ございませんでした。修正をしておきます。 ○窪田部会長 今の畑委員からの指摘というのは,参考資料16について,多分訂正が必要だということもあるのですが,資料5-1に関しては,8ページのところ,①,②という書き方で,今の部分というのが十分に見えるかどうかという御指摘も含んでいるかと思いますが,それでよろしいでしょうか。 ○畑委員 ちょっと分かりづらいような感じがいたしますね。 ○窪田部会長 つまり,9ページの説明を読んだ上で初めて,②の方に入ってくるということなのかもしれないのですが,①だけを見れば,当然,人訴事項については,最初の段階ではねられるということになりますので,②のところでもう一度入ってくるということが,少なくともゴシック体で示された部分だけだと,うまく見えていないということになろうかと思います。   ちょっと,この点も踏まえて,少し検討いただければと。 ○渡邊幹事 ええ,資料の方を整えたいと思います。申し訳ありませんでした。 ○窪田部会長 ほかはいかがでしょうか。 ○澤村幹事 先ほど,最後の方でお話になりました職権による戸籍訂正を行うに当たっての通知のお話です。   前回のお話ですと,職権訂正に対しては不服申立てはできないということだったと理解しておりますけれども,事前に通知をされたということですと,通知を受けた方としては,戸籍が訂正されることに対して,不服を申し立てることができるというふうに考えるのが自然ではないかというように思われます。それからまた,部会資料の方の9ページを拝見しましても,手続保障の観点からというような記載がされています。ところが,先ほど申し上げたように,職権訂正に対して不服申立てはできないということになっています。   そうしますと,そのような前提の下で,24条1項に,今あるものと違う形での事前通知というものをする趣旨・目的というのは,改めて整理・検討する必要があるのではないかと思います。加えて,職権による戸籍訂正そのものに対して不服申立てをすることができないと整理された場合に,これに不服がある方が何か採ることのできる手段があるのか,あるとすれば,その手段はどういうものなのかということも,きちんと整理しておく必要があるのではないかというふうに思います。 ○窪田部会長 いかがでしょうか。 ○北村幹事 まず,不服申立ての観点ですけれども,前回も御説明したところではございますけれども,戸籍の訂正自体は,実体法上の親族関係まで変更するものではないということですので,処分性があるものとは考えてございません。それに対しては,改めての訂正の許可の審判をその場合には申し立てていただく,訂正事由があることが明らかだとは,法務局の方では言えないことになりますので,改めての訂正の許可の審判を申し立てていただくということを考えております。   それを踏まえて,なぜ事前の通知にしたのかというところでございますけれども,職権で行うということにはなりますけれども,やはり法務局長の許可を得て行う訂正でございます。戸籍面上の身分関係に影響が及ぶ事項であるとか,改めて戸籍を作り直さないといけないという訂正になりますので,やはりそこは事前に本人に伝えておくということで,本人にも御理解いただいて手続を行うことができる,そのことによって,現場でのトラブル等も防止できるということが考えられるところではございます。   もっともただ,通常は本人からの申出による場合が多いのかなとは思ってございますけれども,そういう趣旨から,事前通知があった方がよいのかなというふうに考えているところでございます。 ○窪田部会長 今の答えでよろしいでしょうか。まだ御疑問があったらどうぞ。 ○澤村幹事 やはり,御本人にそういう通知をしておく必要があると,影響があるということだとすると,先ほどの処分性がないというところとの関係の説明が,なかなか難しくなるのではないかなというふうに思うところです。   場合によっては,職権での訂正がされて,それに不服がある方が,行政不服審査はできなくても,行政訴訟として取消訴訟のようなものを提起してくることがないではないかと,あり得るのではないかと思います。そのときに裁判体の方が,そのような制度の作りを見て,これは処分性ありというような判断をするということも,場合によっては考えられるのではないかというような気がして,そこの制度の作りというのが,ちょっと中途半端になっているように見えるというのが気になるところです。   ただ,きちんとそこの説明が,もう少しきれいにできるということであれば,そこは整理をしていただければというふうに思います。 ○渡邊幹事 戸籍訂正ということでございますので,登録された記載を訂正するということでございます。そして,また一方で,御案内のように行政処分の定義というものがあって,そこに法的効果が発生するというものとは直ちに一緒にならないという従前の整理には,一定の理由があったのではないかなというふうに考えております。これは,行政法的な観点からも御示唆を頂ければというふうに思っております。   事前に通知するということの趣旨といたしましては,手続保障という形でまとめさせていただいたところではございますけれども,あらかじめ,今後訂正が行われるということを通知することによって,御本人に訂正することを伝えるということが可能になりますし,また,その訂正が間違っていたということであれば,さらに,②の方に書かせていただきましたように,その訂正が間違っているという趣旨で,家庭裁判所における戸籍訂正の手続をとることができるということになろうかと思います。 ○窪田部会長 いかがでしょうか。今の点,あるいは,大橋委員,何か御意見ございますでしょうか。 ○大橋委員 処分とは関連されないというところの理解なんですけれども,市区町村長が行って,今お話があったように,最後に訂正に不服がある場合には,訂正許可の審判手続に乗るということだとすれば,やはり何か守るべき法的な利益はあるというように思えるわけです。つまり,処分といえば処分と言えなくもなく,放っておいたら不服申立ての方には乗っていくのかもしれないのです。けれども,通常の行政庁とか総務省の行政不服審査会に来て,適切な審理ができるとは思えないので,むしろ立法者は,家庭裁判所を信頼して,特則として,こういうルートを開いて整理したというように私は見ているのです。そういう理解であれば納得できるかなというふうに思います。 ○大野幹事 よろしいでしょうか。   今,そちらの御説明の,渡邊幹事の説明で,一旦訂正してしまうので,それに対して訂正許可審判をということは理解できます。ですけれども,前段の北村幹事からの御説明のときに,申出があった場合には,御本人に訂正許可審判を求めてもらうことになります,その方がトラブル防止になりますという御説明があったと思いますが。 ○北村幹事 いや,そういう御説明ではなく,通常は御本人から,間違っていますよという申出があるのではないかなというふうな実態を御説明しただけでして,その場合に,家庭裁判所に行ってくださいという促しを従前どおりするという話とは,また別の話でございます。 ○大野幹事 直しますという通知に対して,何か申出ということは,本人としては,逆にそのままにしてほしいというイメージだと思ったので,そこで訂正許可審判ということになると,申出があるということ自体が,実際に本人と行政側の一種のトラブルになっているわけですから,その訂正,事前通知に対する本人側の,それはしないでほしいということに対しての申出に対して,どうするかという部分は,一旦は訂正してしまいますということになるということでよろしいんですねということなんですが。 ○渡邊幹事 職権訂正につきましては,御案内の資料のとおり,訂正事由が明白である場合になります。もし事前に通知をして,戸籍事務が持っている戸籍の記載,あるいは届書類,その他の添付書類といった戸籍事務がアクセス可能な資料から過誤が,誤った記載が明らかであろうと思ったとしても,通知したことによって,御本人から,それは正しいんですと,こうこうこういう理由で正しいのでという御説明が資料に基づいてあったとするならば,それはもはや,職権訂正できる明白な場面に当たらないのではないかと考える余地もあるよう思われますが,個別の事案については,それぞれ状況が違うので,一概には申し上げられないと思います。 ○大野幹事 分かりました。 ○窪田部会長 今の点について,ほかの方から,御意見,御質問等はございますでしょうか。 ○新谷委員 よろしいですか。   今の,ちょっと議論はかみ合わないかも分かりません。現実問題,市町村サイドなり法務局サイドなりから,ここの戸籍を訂正しますよということは基本的にない,先ほど説明ありましたように,誤記訂正とか何かというのは,お客様というか,戸籍に記載されている人が戸籍謄本を取って初めて,あっ,違うなというケースが大半なんですね。ですから,それでもって明白に上がる,届書がある。問題はだから,それが長年たっていたときに,何も訂正資料がないときにどうするかという問題は,一つあろうかと思いますけれども,実務的にはですね。   ですから,具体的に,あなたのこの戸籍のここが違いますからということで,何もアクションがないときに,戸籍事務管掌者が通知をするということは,基本的にほとんどないのではないかという理解をしていたところです。ちょっと意見が違う,かみ合わないかも分かりませんが。 ○窪田部会長 前提としてということで,今のような状況があるということかと思いますが,ほかの方,いかがでしょうか。   すみません,ちょっと私自身も,よく分からないところが出てきてしまったので,具体例で一つ質問させていただきたいのですが,どのケースでもいいんですけれども,嫡出性に関わる生年月日とかということで,その日付が間違っていた,1日違えば嫡出性があるかどうかということが変わってくるというケースは,限界事例であるんだろうと思うのですが,そのときに,だからといって,勝手に変えられるわけではなくて,出生届をもう一度再確認してみたら,何もなしで再確認するということは余りないんだろうと思うのですが,再確認してみたら,医師の示した書類の日付と間違っているような形で出されていたと。出生届自体の本人の届出書の中でも違う日が記載されていた。にもかかわらず,何かの多分誤入力か何かで記載されてしまったというのが,訂正事由が明白であるけれども身分関係に影響がある場合ということで,ルートとしては,管轄法務局の許可を得てというところに乗るんだろうと思うんですが,先ほどからのお話ですと,それについて,事前の通知をして,いや,実はこれで間違っていなかったんですと,書類はそうかもしれないけれども,これで間違いがないんですというふうに,もし当事者というか,御本人がおっしゃれば,その段階で明白性が欠けるという御説明が一つあったんだろうと思います。   その上で,事前の異議はなかったのだけれども,訂正後,やはりそれはおかしいという形で,再度の訂正許可審判を求めるというルートがあるということでしょうか。 ○渡邊幹事 職権訂正した後に…… ○窪田部会長 職権訂正をした後にということができるということだったんですが,その理解はそれで,まずよろしいんですか。   そうすると,私,ちょっとよく分からなかったのが,書類からは明白であるんだけれども,御本人が,いや,この日付でいいんですというのか,正しいんですというふうに言えば,明白でなくなる理由というのが,もう一つ,ちょっとよく分からないかなという感じもしたんですが,その部分はいかがでしょうか。 ○渡邊幹事 実際に,新谷委員からお話がございましたように,戸籍に誤記があるということが分かる場面というのは,実際の場面を見てみますと,戸籍謄本を取ってみたその御自身が,あっ,違ったという申出をしているケースが多くございます。そういった観点から,これまでの戸籍事務の先例が作られてきたところがございまして,そういった場面で,その申出を契機に,実際に届書,あるいは届書に添付された出生証明書等の書類と照らし合わせてみるといった流れで事務が行われていたところがございまして,そういった実情に沿った形の表現として,戸籍事務がアクセス可能な届書その他の書類から明白である場合というふうに申しておりますが,先ほど私の方から御説明申し上げましたように,もし御本人が違う,届書に書いたものと違うと,戸籍面の記載の方が正しいということを,資料に基づいておっしゃったとしますと,それは明白でない場面という扱いという考え方もあろうかと存じます。 ○窪田部会長 それは多分,御説明の中であった明白性の要件をなぜ要求するのかという,紛争を回避するためだということの理解でよろしいんでしょうか。 ○渡邊幹事 はい。 ○窪田部会長 はい,分かりました。   ほか,いかがでしょうか。戸籍訂正の部分は,形式としての訂正という問題と,恐らく実体法上の身分関係の問題というのが,どうもやはり渾然一体となる部分というのがあると思うんですが,一定の形で切り分けをするような方向を示していただいているとは思いますが,更に何か。 ○大橋委員 今日のお話は,7ページのところにある課題を解決するということで,御提案があったというように受け止めております。   それで,この7ページのところの④と8ページの⑤ですけれども,どちらも訂正許可審判手続に乗った場合には,市区町村長が処分庁でもあるにもかかわらずに,蚊帳の外に置かれてしまうということに伴う問題だというように捉えています。   それで,⑤の方の問題は,今回あったような形で,裁判所の方が必要があると認めれば意見を聞くことができるという規定を設けたことで,審理の充実を図ることができそうなので,これはクリアできるのかなというように受け止めたんです。けれども,逆に,④の方の問題ですけれども,結局,市区町村長が把握するすべがないというこの問題は,必要があるというように裁判所が考えて,意見を聞いてくれれば解決しますけれども,必要がないと判断した場合にはスルーしてしまう。結局,市区町村長は知るすべがなくなってしまうという問題は残ります。それで,例えば,家事事件手続法でも230条辺りを見ると,告知の規定というのがあって,とにかく審判でどういうことをやったということを,蹴った場合でも,受け入れた場合でも,一応市区町村の方が分かるような規定になっています。こういう手続というのは必要ないのかと思いました。逆に,そういうのを入れないと,④のところの問題は,まだ残ってしまうような印象を受けたんです。そこのところはいかがでしょうか。 ○窪田部会長 いかがでしょうか。 ○北村幹事 戸籍訂正審判自体が結構な数がありまして,従前の場合だと,軽微なものも,まず裁判所に行ってくださいというものもありましたので,全てについて通知をしていただくとなると,かなり量も多くございまして,通知を頂いたとしても,特に証拠も何もない,書類とかも何もないような事案については,意見を述べられるものでもないということから,特段規定も置いていなかったというところはございます。   今後,確かにそこの把握というのは,どういう形でやればいいのかというのは,いろいろな考えがあるのかなというふうに今,考えてはいるところではございます。ただ,今御指摘のあったような通知をするというのでよいのか,またほかの手続があるのかは,もう少し検討させていただきたい。何か,あるいはまた,実務的な対応でも,そこはいけるのかといったことも含めて,検討させていただければとは思っております。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。 ○大橋委員 ここは必要があるという規定になっているものですから,下にあるような形で,意見を聞くというような方針だったら,そこはすっきりするのかなと思ったんです。けれども,そこがどんな運用で,必要性の判断というのがどのようにされていくのかなというところについて,いろいろ,④,⑤の問題の解決も変わってくるのかなと思いました。そこも含めて,少し検討課題はあるかなというふうに指摘でございます。 ○窪田部会長 大橋委員の御意見は,むしろ必要性の有無にかかわらず,戸籍の訂正許可審判の手続が始まった段階で,あるいは結果が出た段階で,市区町村に通知をするというイメージでよろしいでしょうか。 ○大橋委員 はい,それで。 ○窪田部会長 それによって,少なくとも④の問題というのは解消するだろうということですね。 ○大橋委員 そういうことかなと思いました。 ○窪田部会長 ほか,いかがでしょうか。 ○畑委員 今の点については,私も似たような感じを持っておりますが,結果が出てから告知するというよりは,事件がかかった段階で通知なり,あるいは意見を聞くでもいいのですが,その方がいいのかもしれないと思います。ただ,訂正事件がどのぐらいあって,一々全部通知するとか何とかいうことが実務的にワークするかどうかというのは,ちょっと私にはよく分からないところではあります。   逆に,必要があると認めるときはという規定の書き方については,前にもこの部会でも,資料になっていたかどうか,ちょっと分からないのですが,必要があるときに意見を聞くことは現在でも,現在の家事事件手続法でもできるはずですので,それをわざわざ書くというのは,むしろちょっと難しいかなという感触もあります。 ○窪田部会長 今御指摘あった点,あるいは,今すぐには出てこないのかもしれませんが,訂正許可審判の件数といいますか,そうしたものについても,もし分かれば。 ○渡邊幹事 職権訂正が,概数でございますけれども,約1万程度です。戸籍訂正全般を合わせますと,8万6000ということです。 ○北村幹事 市区町村の職権が7万件ぐらい,全体が8万6000ぐらいで,市区町村長の職権,こちら,法務局長の許可を得たものも含めて7万7000ぐらいなので,裁判所での訂正の許可,あるいは116条に基づく訂正の申請を合わせて,約1万件ぐらいあると,戸籍の統計からは分かりますけれども,ちょっとその正確な数字については,改めて確認させていただきたいと思います。 ○窪田部会長 今の制度を前提としての1万件ということであって,現在は家庭裁判所の訂正許可審判の対象になっているもののうち,一部は②に移るわけですから,最後に残る①がどの程度の数なのかということ,今お手元に,多分資料はないわけですけれども,ということになるのかなと思って伺っておりました。   畑委員,今の点はそれでよろしいでしょうか。 ○畑委員 はい。私が申し上げることではないのですが,多分,今の点については,裁判所の幹事,関係官の方でも御検討いただく必要があるかなと思いました。   別の点で,ちょっと話が戻るのですが,職権による訂正のときの事前の通知について,私も,全体としては,この資料のような方向かなと思っておりますが,事前の通知というのが実際にどういうイメージなのかということを,もう少し詰めなくていいのかなという感じがあります。多分これは,今までとは違う位置付けの通知で,今までの戸籍実務でなさっているのと,ちょっと違う話になると思うので,「事前」というのがどのぐらいの事前なのかとか,そこに,「いつ頃訂正します」というようなことを書いておくのか,おかないのかとか,その辺り,多分,法改正が実現した後の戸籍実務に直結する話だと思うので,もう少し詰めた方がいいのかなという感じもいたします。 ○窪田部会長 今の点はいかがでしょうか。 ○北村幹事 今の御意見を踏まえて,実際にどういう通知,通知を事前にするのであれば,どういう通知をするのか,その内容等についても,なお検討したいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   畑委員から御示唆がありましたけれども,裁判所に毎回全て通知というのを課すようなことについて,裁判所の負担としては,どういう感じなのかということについて,澤村幹事,いかがでしょうか。 ○澤村幹事 今ある戸籍訂正の審判の中で,今度新しい制度になった場合に,抜けていくもののボリューム感がどうなるかというのは,ちょっと裁判所の統計では分かりかねるところがあります。審判書一つ一つをチェックし,それがどういう意味のものなのかというのは,見ないと分からないということがあるので,こちら側から積極的にそこの数,ボリューム感を今の時点ではかるというのは,なかなか難しいかなというふうに,直感的には思うところです。   法務省さんともちょっと御相談をして,確かにこちらのボリューム感が分からないとというところはありますので,返答はさせていただきたいと思います。 ○窪田部会長 仮に1万件程度のボリュームだというふうになった場合に,審判の開始時に,あるいは審判の終了時に,市区町村に通知をするということについての負担感といったものについては,何かございますでしょうか。 ○澤村幹事 手続の中で,戸籍管掌者への通知をしなければいけないものというのは,家事審判の中で,かなり数ありますので,それに準じた形でやるということであれば,不可能ではないとは思います。ただ,そのフローをきちんと,やりやすいように作っていく必要はあるかというふうに思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ほか,いかがでございますでしょうか。 ○澤村幹事 非常に細かいことになってしまうんですが,先ほど,職権で戸籍訂正がされて,それに不服がある場合には,また戸籍訂正の審判を求めることができるというようなお話がありましたが,その申立ての期間というのは,全く制限がないことになろうかと思うんですが,特に市区町村限りで訂正をしたような場合に,明白であるということを確認した資料というものは,相当期間保存されたような状態になるのか,あるいはそれは,ある程度の時期でなくなってしまうのかということが分かれば,教えていただければと思います。ボリューム的には非常に少ない事件になるということは分かっておりますが。 ○北村幹事 現状としては,戸籍法施行規則の48条の届書類等と同じ扱いになるのかなと思ってございます。ですので,それらの保存期間に準ずる形になりますけれども,今回,届書について電子化をして,その保存期間等も,なお今後検討していく中で,御指摘いただいた部分というのは,検討していきたいと思っております。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   いかがでしょうか。よろしいですかね。   それでは,第5に関しては以上とさせていただきます。   次に,部会資料5-1の「第6 目的規定について」について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○杉谷関係官 それでは,部会資料11ページの第6,目的規定について,について,私から御説明したいと思います。   まず,1の方なんですけれども,基本的なことで誠に恐縮でございますが,戸籍制度の意義・権能についてのおさらいということで書かせていただいております。   まず,戸籍制度は,人の親族的な身分関係を登録・公証することを目的とするものでございます。戸籍は日本国民についてのみ編製されます。ただ,日本国内にある外国人にも戸籍法というのは適用されまして,国内で発生した出生あるいは死亡については届出が義務化されております。また,婚姻,認知,養子縁組などの届出をすることもできるということになっております。   戸籍によって登録・公証される身分関係ですけれども,本人を特定する情報あるいは本人に関する情報のほか,親子関係,夫婦関係などのほかの者との基本的な身分関係,あるいは親権者や後見人などの法定代理人に関する事項などがございます。   このように,戸籍は人の親族的身分関係を登録・公証する公文書であるということから,その記載は常に真実の身分関係と合致しているということが要請されるところでございます。   そして,戸籍法ですけれども,下の2の方に移ってまいりますけれども,現行戸籍法ですが,昭和22年に戸籍法を改正する法律が施行されまして,その際に今の法律がスタートしているわけですけれども,その際には目的・趣旨規定というのは設けられておりません。その後,平成6年に,戸籍事務についてコンピューター化が可能になりまして,その後,現在に至るまでコンピューター化が進みまして,平成30年3月9日現在で99.79%,電算化が完了しているという状況にございます。そして,こういった戸籍事務の電算化によって,行政運営の効率化とともに国民の利便性が向上したということも明らかという状況でございます。   さらに,戸籍事務を行う市区町村及び法務局の間で戸籍情報の授受を行うこと,これは戸籍事務内連携というふうに呼んでおりますが,あるいは他の行政事務に必要な情報を提供することということで,これをネットワーク連携というふうに呼んでおりますが,これらによって,更なる行政運営の効率化及び行政サービスにおける国民の利便性の向上というのが期待されるところということになっております。   そして,目的規定というのが,先ほども,戸籍法にはないということで御説明しましたけれども,今般,目的規定を整備してはどうかというふうに考えているところでございます。   3の方ですけれども,戸籍法部会の,この当部会の方では,電算化を原則とする規定振りということで,この点については特段の異論はなかったというふうに認識しているところではございますが,目指すべき点を明らかにするという趣旨で,戸籍法に目的規定を設けるということについて,まず,どのように考えられるかという点でございます。   あるいは,目的規定を定めるに当たっては,戸籍は民法その他の法律によって定まる親族的な身分関係を登録・公証することを目的とするということで,先ほど戸籍法の,戸籍制度の意義・権能のところでお話しいたしました。そのほか,国民の権利利益の保護,国民の利便性向上又は国及び地方公共団体の行政運営の効率化等の観点が考慮事項というふうに考えております。こういった点を踏まえて,どのような形で目的規定を置くべきかということを御議論いただければと思います。   そして,大橋委員の方からも参考の資料を御提出いただいております。1枚物でございますけれども,まず,目的規定の権能と,機能ということでまとめられているものでございます。こういった点も踏まえて,御議論いただければというふうに思います。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは,目的規定の部分について検討を進めたいと思いますが,大橋委員からまず,資料を提出していただいていますので,何か補足説明がございましたらお願いできますでしょうか。 ○大橋委員 今回こういう目的規定の整備という非常に面白いテーマが出てきたので,情報提供の意味です。   行政法規,行政に関わる法律というのは,民事とか刑事の法律と違って,必ず1条に目的規定というのが置かれます。最近では,これは何でだろうというのが研究テーマになってきていて,一番最初に問題にされたのが,今日お配りした注の5にある塩野宏先生が書いたこの論文がスタートです。多分,行政制度を設けてやっていく以上は,立法者がどうしてこういうような仕組みを設けて,公務員をここに配置してやっているのかという制度の説明責任というか,そのようなことを果たすということが一つあります。それと,もう一つあるタイプは,何か新しい時代の転換期のようなときに,新しい流れを示すというようなことをやる,そういう啓発機能です。戸籍法についても,こういう基本的な法律については,やはり政策目的をきちんと掲げるということは,現代の立法スタイルからすると必要なのかなということです。特に今回,いろいろな情報連携とか,利便性でありますとか,国,市区町村の効率性も考えるということですから,啓発機能もすごく大事なことになってくるので,そういうところも配慮しながらやっていきますということを掲げて法文作りをする必要があり,今までの書面主義から電算的な処理に変わってきますというようなところの今回の改正の趣旨ともつながるので,私はこういう方向を打ち出すのは,非常にいいのではないかということで,一つの資料として提出させていただきました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   ある時期からでしょうか,民事関係の法律についても,特別法では,第1条に目的規定を置いて,第2条で定義規定というのが多くなってきたかと思います。目的規定を整備するということ自体と,あるいは目的規定の中に何を書き込むかということ,二つの論点があるかと思いますが,それについて,自由に御議論いただければと思いますが,いかがでしょうか。 ○磯谷委員 この点,面白いテーマとは思いますけれども,結論から申し上げて消極的であります。戸籍の在り方そのものについて,まだ十分議論がされているわけではありませんし,将来的には,例えば,戸籍という,「家」単位で記録ではなくて,一人一人の単位で記録をし,それをネットワーク化するというようなことも考えられるのではないかと思っております。   そうすると,今回の戸籍法の改正というのは,飽くまでマイナンバーを契機にしてなされるもので,一時,研究会の段階で,戸籍法の全面的な改正というようなことも,ちらっと出てきたときがありましたけれども,そういうことではなくて,基本的にはマイナンバーに対応するということと,あと現状起こっている問題,手直ししなければいけないところを手直しすると,そういう改正の趣旨だというふうに理解をしております。そうすると,この段階で戸籍法の目的というものを明記するというのは,ちょっと時期的にもそぐわないのではないかと思います。   また,中身につきましても,親族的身分関係を登録・公証するということぐらいであれば,まだ分かりますけれども,それ以外の国民の権利利益の保護とか,利便性の向上であるとか,行政運営の効率化うんぬんというところについては,一面,そういった面があることは確かではあると思いますが,しかしそれは,ある意味,光と影の光の部分を取り上げているのであって,やはり戸籍制度の抱える問題は,まだ十分に出てきていないのではないか。そう考えますと,この段階で目的規定を設けるということについては消極的でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   この部分については,自由に御議論いただくのがよろしいかなと思いますが,ほかの方々の御意見も伺えればと思います。いかがでしょうか。 ○鷲﨑幹事 すみません,せっかくですので。   そもそも,逆に今まで,こういう目的の記述がなかったというのは,あえて目的というものを明示したくなかったという意図があるんですか。つまり,目的を定めると,目的外利用であるですとか,そういったことになりかねないといったことがあったのでしょうか。 ○渡邊幹事 いえ,そういう趣旨というよりは,立法のスタイルが昭和20年代,30年代,その頃には,余り目的規定が置かれたものがそもそもなかったということでございます。その中で,時代を経て,最近になってきて,目的規定を置かれる行政法規が多くなってきたということがあろうかと思います。   戸籍法は今まで改正を何度かしておりますけれども,全面的な改正というものは,昭和22年の最初の法律の成立以来しておりませんので,そういったところが影響しているかと考えております。 ○鷲﨑幹事 分かりました。ありがとうございます。 ○窪田部会長 ほか,いかがでしょうか。 ○木村幹事 戸籍のところの目的として,私も,民法などで定まる親族的な身分関係を登録・公証するという制度の内容自体を示すこと自体は,これぐらいの書き振りであれば,比較的コンセンサスは得られるのではないかと考えます。しかし,それに続いて,例えば,「国民の権利利益の保護」という言葉が出てきます。この文言は,もしかしたら次の参考例で掲載されている行政手続法の中にある同じような文言を参照されたのかもしれませんが,ここで,戸籍制度によってもたらされる国民の権利利益の保護というものについて,具体的にどういうものをイメージされているのかということについて教えていただければと思います。   というのは,少し抽象的な言い方で分かりにくいかもしれませんけれども,戸籍制度そのものによって何かしら提供される権利や利益というものがあるのかどうか,という点がはっきりしないためです。例えば,制度の中で整理されている一定の手続などの形で,利便性が上がるということはイメージができると思うのですが,それとはまた違った形で,戸籍という制度が国民に何らかの権利や利益を提供しているかについては,必ずしもコンセンサスはないようにも思われます。この点について,現時点でどういうイメージを持っていらっしゃるのか,教えていただければと思います。 ○窪田部会長 何かお答えはありますでしょうか。 ○渡邊幹事 戸籍制度は,そこに記載させていただきましたように,親族的身分関係を登録し,公証するというものでございます。そして,日本国民であることの証明でもあるというものでございます。   例えば,戸籍の証明書を示すことによって,より迅速に,日本国民であるという取扱いがなされ,例えば旅券が発給されて,外国に行きますと,日本人として外交的な保護を受けることができるですとか,あるいは,親族的身分関係を登録・公証いたしますので,どなたかがお亡くなりになったときに,その相続人が誰かということが分かるような,そういう元となる帳簿でございます。相続というのは,当然のことながら,財産的な権利の移転の原因になるということでございますので,そういった国民の権利,例えば,相続でいえば財産権といったものの保護に資する,そういった性質の帳簿であるとは考えております。 ○窪田部会長 木村幹事,どうぞ続けてください。 ○木村幹事 相続制度によってもたらされる権利や利益というものはイメージできるのですが,ここで言われているのは,身分関係が登録されていることによって得られる権利や利益のことを指しているのであって,財産権そのものが直接的に保証されるようなものではないですよね。そのため,余り何か権利という言葉を安易に持ち出してくることには,若干抵抗があるように感じました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   ほかの方にも,どうぞ自由に御意見を言っていただければと思いますが。 ○石川委員 私は,平成13年から,毎回この部会に入っているのですが,常に戸籍法の目的規定をきちんとしてくださいと,改正の都度申し上げてきました。この表現がいいのかどうかは別ですが,現状の中で見ますと,やはり市町村も事務を担っているわけですから,きちんと目的規定を置いてくださいということをずっと言い続けております。  市町村の事務を行なっている我々の観点から見ても,戸籍というのはどのような目的のために設定されているかというのは,表現は別としても,是非置いていただきたいということは,申し上げております。 ○窪田部会長 石川委員,逆に,一つ教えていただきたいんですが,昭和22年の頃は,多分,目的規定というのを置くという発想がそもそもなかったと思うんですが,その後,検討の都度,そういう目的規定を置いたらどうだという御意見が出る中で,必ずしもそういうふうに変更がなされなかったということについては,今までの審議会等では議論はあったんでしょうか。 ○石川委員 私は,平成13年,14年くらいから,この問題について申し上げています。最初のきっかけは,偽装結婚で大きな問題になったことです。それをどのように直すかというところから始まったのですが,その後,戸籍の公開の問題など様々なことがあり,それから,受付のところでどのようにチェックを行なうかなどということがあり,その都度その都度,改正を行なってきた経緯があるので,基本的に私は目的規定というのははっきりしてくださいと申し上げてきました。昭和22年の話ではありません。 ○窪田部会長 それは分かったんですが,そういう御発言がある中で,必ずしも目的規定を設けるという結論に至らなかったということについて,実質的な議論があったのかなという点についてはいかがでしょうか。 ○石川委員 それは私の方では分からないです。法務省の方はどのように考えたのか。 ○北村幹事 従前,改正は何度か行ってきておりますけれども,その都度その都度,必要な部分の改正を行ってきたということがございまして,改正部分というのは割と限られていたという経緯もございました。   前回大きく改正したのが,平成19年の法改正でございます。そのときも,目的規定を入れてはどうかという御意見を石川委員から頂いていたと承知してございます。ただ,あのときはやはり,公開制度をどうするのかを中心に,その辺りに論点を絞って議論をしていただいていたという経緯もございまして,特段設けなかったというふうに承知してございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   いかがでしょうか。 ○三橋幹事 今の石川委員の御発言,逆に御質問したいんですけれども,目的規定が必要だというニーズというのは,どこら辺にあるんでしょうか。といいますのは,法律改正をするに当たって,目的規定を触るというのは,法律の位置付けといいますか,立て付け自体に手を入れるということになりますので,デファクトとして存在している規定自体を見直していくという必要もありますから,普通考えると,結構大変な作業といいますか,かなり考えなければいけないことがいろいろ出てくることではあります。でも,そういう背景もあって,もしかしたら今まで目的規定が設けられることはなかったのかもしれませんけれども,もし今,目的規定が現場感覚として必要だということであれば,どこら辺にニーズがあるのかなということを伺わせていただけたらと思います。 ○石川委員 法律的に,私はそのような詳細は分からないのですが,平成14年くらいからこれまでに大幅に改正しています。今日,最初の方で議論が出ました戸籍の再製の問題でも,相当な議論をして改正してきています。ですから,重要な改正が行われたと私は思っております。しかし,実際には,この戸籍の位置付けがどうなのかということがはっきりしないから,改正のときの論理をどのように構成するかというのは,私は非常に苦労したと思います。したがいまして,是非目的規定を置いていただきたいということを申し上げてきました。ただし,どのような条文にするのかというのは,なかなか私自身分からないので,そういう趣旨で申し上げております。   おそらく,そのとき一番議論に出たのは,弁護士会と大分議論があったわけですけれども,戸籍の公開の問題で大議論があったことは間違いありません。やはりそのときにも,私はそういう議論をお願いしたのですが,この扱いをどうするかというのが最大の焦点になったので,抜本的な議論がされなかったという認識をしております。 ○窪田部会長 更に議論の続きはありますでしょうか。   恐らく,卵が先か鶏が先かのような部分がございまして,目的規定を定めた上で,全く新しく法律を作る場合には,目的規定は,割に早い段階でイメージとして作られて,それに合わせて具体的な制度設計していくというタイプのものもあると思います。また,制度が先にあって,その制度趣旨について疑義がないようなものであれば,比較的,今度は具体的な制度からフィードバックして目的規定を作るということは容易なのかなとは思うんですが,恐らく今出ていた議論の中には,磯谷委員からの御指摘もそうなんですけれども,恐らく戸籍制度自体をどのようなものとして理解するのかということについて,全く異論がないような形で共通認識が必ずしも得られているわけではないとすると,フィードバック型のものは多分,少し難しいのかもしれないということがあるのかもしれません。あるいは,その上で,多分共通理解が得られているのは,ここでお示しいただいたものですと,民法その他の法律によって定める親族的身分関係を登録・公証することを目的とするというぐらいなんだろうと思うんですが,これだったら,書いても書かなくてもいいのかなという話が多分出てくるんだろうなという気もします。   更にいうと,本当に登録・公証というのも全く疑義がないかというと,戸籍に関して,かつてのように,当然のように全てアクセスできるという状態だったのから,かなりアクセス制限が図られるようになった段階で,公証性というのも多分変わってきているのではないかとも思います。私自身は特にどちらであるかについて明確な意見はないのですが,自由に委員,幹事の皆様の御意見を伺えればと思っております。 ○新谷委員 戸籍は人を扱うんです,基本的にね。それと,ここにある,頭に不動産登記法が出ているけれども,不動産登記法は物を扱う。目的規定を設けるかどうかは別として,人と物の違いがあるんですよね。物の場合は結構ばっさりできるんですけれども,人の場合というのはばっさりできない。例えば,戸籍訂正でも同じですね。勝手にやるというわけにはいかないですけれども,不動産登記の場合でしたら,登記官が行って,建物の流れを職権でぱっと切ってしまうと,そういうことができるので,そこのところは,やはりゆっくり考えて,人と物の違いで,具体的に目的規定をどうするかと,非常に難しい問題ではないかと思うので,じっくりこれは考える必要があるのではないかなというのが感想です。 ○窪田部会長 ありがとうございます。 ○畑委員 私の専門分野というわけではありませんし,特定の考え方があるということではないのですが,コンセンサスが得られる部分があるのであれば,目的規定を置くということは,特に問題ないのかなという気はしております。   規定の中身について,明確な意見はないのですが,先ほどの渡邊幹事からの御説明でも,国籍との結び付きのようなことがあったと思います。確かに戸籍というのは日本国籍と結び付いていると理解しておりますが,そういうことを書くということも候補としてはあるのかなという感じはいたしました。 ○窪田部会長 どうでしょうか。自由に多分,御議論していただいて,その方が多分,事務当局の方でも方向性を得る上でいいと思いますので,率直なところをお聞かせいただければと思います。目的規定を設けるかどうかということとともに,特に問題になるのは,恐らく目的規定として,具体的に示していただいたもののうちの後半部分のようなものまで含めて考えるのかどうかといった辺りについての御意見,御感想といったものがあれば,それについてもお聞かせいただければと思います。 ○磯谷委員 私ももちろん戸籍法の,何か専門に研究しているわけではないですけれども,今回この11ページのところで,現在の戸籍法はということで,昭和23年に施行されてうんぬんというのがありますけれども,当然ながら,戸籍制度というのは,その前から存在していたわけで,そうすると,戦前の戸籍制度から綿々とつながっているものを一体どう整理するのかしないのかといった検討も,多分,目的規定を考える上では,やはり必要になってくるのではないかなと思いますので,やはり目的規定というのは,相当慎重に考えないと難しいのではないかなと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   事務当局の方からは何かございますか。特には,今の点はよろしいですか。 ○渡邊幹事 目的規定につきまして,本日頂いた御議論を踏まえ,十分に検討させていただきまして,また更に御提案させていただきたいというふうに思っております。ありがとうございました。 ○窪田部会長 それでは,いろいろな御意見を頂いて,ありがとうございました。   ここで一旦休憩をさせていただきたいと思います。後ろの時計で3時10分まで,15分間休憩を取らせていただきます。           (休     憩) ○窪田部会長 それでは,時間がまいりましたから再開したいと思いますが,ちょっと休憩時間に御意見,御質問を伺っている中で,委員,幹事の皆様方にも共有しておいていただいた方がいいかなと思う論点がございましたので,ちょっと追加をさせてください。   資料5-1の「第5 戸籍訂正制度について」ですが,まず,木村幹事から御発言を頂けますでしょうか。 ○木村幹事 すみません,後出しのようになって申し訳ないのですが,私の理解が十分でなかった点もあったので,お伺いしたいことがあります。例えば,参考資料の16を見てもらうのが一番分かりやすいかと思いますが,今回,職権訂正に入るものの後者,二つ目のものですね,市区町村限りで訂正というものが挙げられており,その要件として,訂正事項が軽微かつ身分関係に影響がないものが,これに当たるとされています   そして,これについては,事前通知も事後通知もないという整理をされていたと思います。この点につきまして例えば,⑦の死亡年月日を誤記しているような場合がここに入っており,当該事項が,訂正事項が軽微であり,かつ身分関係に影響がないとものとして扱われているように理解できます。しかし,例えば,死亡年月日が変わってしまうことによって,その人自体が死んだということ自体は変わらないですけれども,そのほかの親族関係における相続などの効果によって,法定相続人が変わるなどの影響が及ぶような場合があり得ると思います。そうすると,こういった事柄を単純に訂正事項が軽微であるものとしてカテゴライズしていいのかどうかについて,とりわけこのカテゴリには事前も事後も通知もないということなので,もう少し慎重に検討していただく必要があると思います。   これとの関係で,管轄法務局長等の許可を得て職権訂正をするような場合において,軽微であるかどうかの基準は,主として戸籍を作り直す必要があるという観点からのご説明だったように思います。しかし,この軽微でないという意味が,そういった事柄だけではなくて,実際戸籍上の記載が変わることによって,法的な意味や法的な効果を含めて重大な影響がある,あるいは,影響が軽微でないという意味も含めて,あらためて整理をした方がいいのではないか,という意見と質問です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   これについては,事務当局から御説明ございますでしょうか。 ○北村幹事 まず1点目の点です。死亡年月日の誤記又は遺漏というので,死亡の年月日が変わると,相続であるとか,そういったところに影響が出るというのは,恐らくそのとおりかなとは思いました。   ただ,通常ここで挙げております,説明が不十分だったことかなと思いますが,こういう形で,市区町村限りで職権で訂正している事案というものは,死亡届が出され,すぐに除籍になった形での戸籍が渡されて,その場で違うというふうなことが明らかで,届書を見て確認して,すぐ直すような場面を想定してございました。そこから少し時間があいて,後から違っていたと言われたものを市区町村限りで職権で訂正しているという例は通常ないだろうとは思います。その辺りは,もう少し整理をしてお示しすべきだったかなと思っております。   2点目の御意見については,今頂いた御意見を踏まえて,更に分け方等,検討させていただきたいと思います。 ○窪田部会長 どうぞよろしくお願いいたします。   それから,もう1点,澤村幹事からも御発言を頂けますでしょうか。 ○澤村幹事 休憩前のところで,渡邊幹事の方から,事前通知の効果のようなところの御説明がありました。その中で,事前通知をして,このように訂正したいけれどもというふうに事前通知をしたところ,御本人の方が,いや,これは訂正してもらっては困る,こういう事情があるからというふうに言ってきて,それがなるほどということであれば,訂正はしないというような扱いをするというような御趣旨だったかと理解しておりますが,そのような,御本人が何か言ってくれば訂正しないということになり得るような場合まで,そもそも訂正事由が明白である場合というふうに位置付けられるのか。訂正事由が明白であるというのが,戸籍事務を取り扱っている役所から見て明白だという場合だけで,職権訂正ができるものと位置付けて本当に大丈夫なのか。その辺がちょっと疑問に思いましたので,そこを少し,もう一度整理していただければなというふうに思います。 ○窪田部会長 これについては,いかがでしょうか。 ○渡邊幹事 承って整理をいたします。 ○窪田部会長 それでは,どうぞよろしくお願いいたします。   それでは,続いて,部会資料5-2「戸籍法の改正に関する中間試案のたたき台」についての1から5までについて,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 部会資料5-2について,1から5まで,まず御説明をさせていただきたいと思います。   こちらは,中間試案のたたき台ということで,今まで御議論いただいてきた論点について,法改正事項となり得る部分,あるいは,以前からゴシックで記載していた部分をまとめさせていただいたものになります。今回までの御意見等を踏まえて,また次回御提示をさせていただきたいと思っておりまして,次回,御了承が得られるのであれば,中間試案という形で,ゴシックの部分,必要であれば,そこに注が,語句の説明が付きますけれども,基本的にはゴシックの部分と,そこと一体となる注の部分について,一般に意見を聞く手続に付していくということも予定してございます。そのためのたたき台ということで,今まで御議論いただいてきたものをまとめさせていただいたものになります。   本日の補足説明は,御説明させていただく際の説明という形で付けさせていただいたものになります。   それでは,まず1から5まで御説明させていただきます。   1につきましては,電算化を原則とする規定振りへの変更についてというものになります。戸籍法につきまして,電算化戸籍を原則とする規定振りとするというものでございます。   ただ,全ての市区町村の電算化が完了した場合であっても,紙戸籍の処理が残るということは考えられますので,現行の紙戸籍による処理の規定も例外として残すというのではどうかというものでございます。   続いて,2番でございます。国が連携情報を管理することの根拠規定等の整備についてというものになります。   こちらは,国(法務大臣)が国及び市区町村がネットワーク連携や戸籍事務内連携を行うための連携情報を整備して管理するための根拠等の規定を設けるというものでございます。   こちら,補足説明で記載させていただいております。連携情報とは,戸籍内の各人について,戸籍により得られる情報により作成される情報,こちらは戸籍の記載事項のほか,親族関係を明らかにするものというふうに,現時点で記載してございます。   なお,ネットワーク連携でございますけれども,こちらは,総務大臣が管理する情報提供ネットワークシステムを利用して情報提供を行うものでございます。   3番,バックアップデータについてでございます。   戸籍事務へのマイナンバー制度導入のために,国において連携情報を整備・管理するに至った後も,国(法務大臣)において副本を保管する旨を規定する。   法務省が所管する戸籍副本データ管理システムにおいて保存されている現状及び国(法務大臣)において副本を保管することに即して,副本は市役所又は町村役場を管轄する法務局又は地方法務局,以下,管轄法務局等といいますけれども,これで保存するとしている戸籍法第8条第2項を改正するものとするというものでございます。   4番でございます。文字の取扱いについてということで,まず「(1)連携情報で使用する文字」でございます。   現に各市区町村で戸籍に記録されている文字を収集した上で,同じ文字と異なる文字とを峻別する文字の同定作業を実施し,法務省が管理する連携情報において,可及的に字形の同一化を図るというものでございます。   なお,文字の同定作業については,当該分野の専門家の知見を得るため,戸籍文字整備委員会(仮称)を設置し,文字の同定に疑義が生じた文字について,同定の可否を同委員会に諮問するものとするというものでございます。   「(2)戸籍正本で使用する文字」についてでございます。   市区町村において,新たな文字が登録されることを防ぐため,連携情報に使用する文字として整備された文字及び文字コード,以下,整備文字等といいますけれども,こちらを公表するとともに,整備文字等にひも付けることができる文字の同定基準を確定・公表するものとするというものでございます。   今後新たに戸籍の正本に用いる文字については,字形,こちらはデザインでございますけれども,について,特段の制限は設けませんけれども,この同定基準に従って,整備文字等とひも付けられた文字を記録するものとするというものでございます。   こちらは若干の補足説明を付けてございます。(1)の同定作業,ゴシックのところに記載しておるとおり,法務省が他の行政機関との連携情報を行うため,法務省が管理する連携情報を整備するために実施するものでございます。したがって,現在の戸籍の正本に記録されている文字をそのまま訂正するというものではございません。   他方,本籍地市区町村の変更を伴う戸籍の異動がある場合において,従前の本籍地で登録されている文字,こちらが新本籍地の市区町村に登録されていないときは,その市区町村において新たに文字を作成されているという現状がございます。この状況が続いた場合には,文字コードが統一されずに,連携情報の整備に支障を来すということになると考えられるところでございます。そこで,(2)に基づいて,文字の同定基準を確定・公表することによって,新たに整備文字等にひも付けるという形で,新たにシステムに登録される文字が増加するということを防ごうというものでございます。   5番,改製不適合戸籍の取扱いについてでございます。   戸籍の氏又は名の文字が誤字で記載されているため,コンピューターによる取扱いに適合しない戸籍,改製不適合戸籍とされている場合には,当該戸籍に記載されている者に対し,対応する正字等により記載する旨の告知を改めて行うものとするというものでございます。   こちらは,対応する正字で戸籍に記載されることを希望しない者に係る戸籍については,文字に対する愛着が強く,その結果,改製不適合戸籍とせざるを得なかった国民がいるという経緯もあることですので,引き続き改製不適合戸籍として取り扱うというものになります。   ここまでは以上になります。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   今御説明を頂きましたけれども,中間試案を作成した上で,それを公表してパブリックコメントにかけるという形になります。それをパブリックコメントでの反応,御意見を伺った上で,最終的な取りまとめの方に向けての作業をこの部会でやっていくということになりますが,今日お示しいただいているのは,ゴシック部分というのが実際のパブコメの材料として提供されるものということになりますので,これでいいのかどうかという点も含めて御検討いただければと思います。   それでは,どうぞ。 ○三橋幹事 すみません,今のところ,確認なんですけれども,このゴシック部分だけがパブリックコメントの対象ということになるんでしょうか。それとも,補足説明も一緒に公表されるというふうに伺ったんですが,それはどちらなんですか。 ○北村幹事 パブリックコメントに付す場合には,ゴシック部分と,例えばそこの,今補足説明と書いていますけれども,必要な部分は注として記載することを予定してございます。今回は御説明あるいは,そういったものということになっていますので,必要な部分は書き込んだ上で,全体としてパブリックコメントに付すという形になります。   それとは別途,担当官の方での補足説明というものも併せて,説明資料としては公表することにはなりますけれども,それはパブコメの対象というものではなく,理解をしていただくための資料として,準備はさせていただくということになろうかと思います。 ○三橋幹事 では,すみません,よろしいでしょうか。   確認ですけれども,パブコメの対象は,この太字のところ,ゴシックのところと,今補足説明となっているところは,必要なものは注にするということなんですね。それ以外に,パブコメにかけるものの補足資料が付くと。以上がパブコメの対象だという理解でよろしいですか。 ○北村幹事 パブコメの対象は,中間試案として公表するものとなります。 ○三橋幹事 パブコメのときに公表されるものだということでよろしいでしょうか。 ○北村幹事 はい,そうです。 ○三橋幹事 分かりました。 ○窪田部会長 通常のプロセスとして,中間試案として比較的薄いものが公表されて,中間試案の補足説明という形で,比較的ボリュームのある詳しい説明というのが別途添付されるという形になりますが,今御説明があったとおり,補足説明の方は直接パブコメの対象ではなくて,飽くまで中間試案として示されたものが対象になるということだと思います。 ○磯谷委員 今までのところの1と2辺りなんですけれども,答える側からいたしますと,例えば1については,戸籍法について,電算化戸籍を原則とする規定振りとすると。それ自体はいいとしても,具体的にどうなるんだろうか,どういうものをイメージすればいいんだろうかというのは,これだけだと全く伝わってこない気がいたしまして,答えるのがなかなか難しいと思います。次の2の方も同じで,連携情報を整備して管理するための根拠等の規定を設けるということについては,多分,それは必要だということになるでしょうけれども,具体的にどんなものが設けられるのかというのをもう少し,いずれも具体的なものがあった方がいいかなというふうに思います。 ○窪田部会長 その点いかがでしょうか。 ○北村幹事 そうですね,承って,次回お示しできるときにもう少し,どういったものが出せるか内部で検討したいと思います。 ○窪田部会長 では,その点の検討をよろしくお願いいたします。 ○安達委員 今の御意見について,私は少し違った観点がありまして,2についてですが,連携情報とは,新たに戸籍に付加される情報ではなく,現在の戸籍を見ると自然に分かる関係,例えば親子,夫婦,結婚という情報をコンピューターの中で管理する都合上,IDを振って認識できるようにするというものではないかと思います。連携情報というものを新たに外に出すということをせずとも,電算化するときに必然的に,戸籍という少し複雑な構造のデータを持つために必要になってくる情報なので,明示する必要はないのではないかという気もいたしました。つまり,あえて連携情報というものを新たに管理する根拠は,その上の電算化戸籍を原則とするというところで,当然それを実現するために,様々な内部的な情報構造を作る必要があるということでよろしいのではと思いました。   連携情報を説明しようとすると,そのようなところをいろいろ細かく説明せざるをえなくなるのではないかと思いまして,2の連携情報はなくてもいいのではないかと思った次第です。 ○窪田部会長 今,ちょっと2の部分で,実質的な議論が出ているのかと思います。   磯谷委員から御指摘があったのは,1もそうだったのですが,2についても,根拠規定を設けるという一般論としては了解を得られるとしても,具体的にどんな規定になるのかというイメージがないと,パブコメにかけても議論がしにくいのではないかという御意見だったと思いますし,安達委員からはむしろ,連携情報というのは,電算化戸籍を前提として考えるのであれば,当然扱われることになるんだから,根拠規定は要らないのではないかという御指摘だったかと思います。   今まで,同時にやはり,この種のものについては,それをこういう形で扱うということが法的にできるのかどうなのかということで,事務当局の案というのは,むしろそれについての根拠規定が必要ではないのかということだったんだろうと思うんですけれども,その点も含めまして,どうぞ自由に議論していただければと思います。 ○三橋幹事 今議論になっています2のところですが,実は私も非常に気になっていまして,一般的に誤解をいろいろ生む表現かもしれないと思います。今,何を示しているのか分かりにくいという御意見,あるいは,連携情報という言葉が必要ないのではないかという御意見がありましたが,やはり,書いてあることのイメージがちょっと分からないと思うんですね。   ですから,補足説明もありますけれども,ネットワーク連携あるいは戸籍事務内連携というものがどういうものであって,そのために,必要な所要の管理規定を設けたいというのが,恐らく法務省さんの趣旨だと思うんですけれども,それがちょっとこの2行だけだと,「連携情報を整備して」というところについて,一方で非常に強く,この表現を読む人もいれば,さらっと読む人もいる,というふうになるので,もう少し丁寧に書いておかないと,有効なパブリックコメントの対象にならないのではないかと思います。 ○渡邊幹事 御指摘ありがとうございます。   1と2の書き方が,まだ趣旨というか,スタンスそのものを表しただけであるというのは,御指摘のとおりかと思いますので,先ほど北村幹事から申し上げましたように,その具体化に努めたいというふうに考えております。   そして,電算化をすると,2の部分は必要ないのではないかという御指摘もございましたが,御案内のように,戸籍事務は各市区町村が戸籍情報システムを持って,今運用しておる現状にございます。そして,2の方につきましては,必要な情報を適切にお出しするためには,その情報を市区町村だけではなくて,法務省の方も管理するという,そういう趣旨がございますので,やはり規定は,その規定振りの記載の仕方に注意をしながら,設ける必要があるのではないかというふうに考えております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   今のような形で検討を進めていただく,次回もう少しその点の検討を踏まえたものを出していただくということになろうかと思いますが,連携情報という言葉自体が,何か連携といったときに,いろいろなものをそれぞれ,みんな違う,ネットワーク絡みのものだったり,いろいろなものを考えるので,ちょっと場合によっては,言葉の部分まで含めて検討いただいたらよろしいのかと思います。   ほかの部分も含めて,いかがでしょうか。今までの1,2も結構ですし。 ○鷲﨑幹事 念のため確認ですけれども,最初に,要するに,どういう目的でこういうのが出てくる,こういう提案になっているんですということは,お示しになるということですよね。これだけを提示するということではなくて。 ○窪田部会長 中間試案として提示するものとしては…… ○鷲﨑幹事 どういう目的があって,だからこういう制度の見直しをしているんですという説明にならないと,恐らくきっと,読み手としては,ちょっと趣旨が分かりにくいと感じたんですけれども。 ○北村幹事 先ほども申し上げましたように,パブリックコメントに付す部分としては,基本的にこういう形になろうかと思いますけれども,そこに合わせて,担当者の方の補足説明という形で,丁寧に説明をさせていただくということを考えてございます。それを踏まえて見ていただいて,御理解を得るということを予定してございます。 ○鷲﨑幹事 分かりました。ありがとうございます。 ○窪田部会長 一般的には恐らく,中身ではなくて,形式だけいうと,中間試案のたたき台というふうになっているものの,「たたき台」が取られたものが,非常にコンパクトなものが中間試案として公表されて,それとは別冊の形でのものとして,中間試案の補足説明という冊子が作成されることになると思います。 ○川島委員 ありがとうございます。   今の御発言との関わりで申し上げますと,まず,中間試案のたたき台については,特に異存はございません。その上で,参考資料として取りまとめられる補足説明について,2点ほどお願いしたいと思っています。   まず,1点目は,正に今委員が御発言された,当部会の検討趣旨や目的を丁寧に記載していただきたいということです。といいますのは,法務大臣からの諮問のタイトルは,戸籍事務へのマイナンバー制度の導入に係る戸籍法等の改正についてでありますけれども,この検討項目の中には,マイナンバー制度の導入如何にかかわらず,戸籍事務の扱いについて見直しを行うために必要な法改正が,かなりの項目として議論されているというふうに認識しています。したがいまして,そのことが読み手にとって,よく分かるように丁寧に記載していただくことと,できれば,それぞれの項目について,見直しの目的は主にマイナンバー制度の導入に関わるものであるのか,あるいは戸籍事務そのものの見直しに関わるものであるのかということが分かるような記載上の工夫をしていただくと,読み手の側の理解もより深まるのではないかと考えましたので,その点,御検討をお願いしたいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。 ○川島委員 もう1点,2点目は,これも補足資料に関してのお願いですが,この部会での議論経過が読み手にとっても,議事録をたどらなくてもある程度分かるように,幾つか意見などについても拾い上げていただけたらというように思います。   例えば,前回私,不正な情報参照を防止する対策として,証跡ログを市区町村の管理責任者が日常的に管理できるようにすること,また,届出の種類に応じて参照できる情報を絞り込むような仕組みを設けることということを申し上げました。こういった内容は,中間試案に反映してくださいとまでは申し上げませんが,そういういろいろな意見が,あるいは補強する意見があったというようなことも,取りまとめに支障のない範囲で工夫していただけたらと思いますので,その点も御検討いただけたらと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   そういう形で,今の御指摘を踏まえて検討していただくということはよろしいでしょうか。   ほか,いかがでしょうか。 ○手塚委員 やはり1番と2番のところですね。この辺が非常に混乱を招くのかなと,ここのままの表記ですとね。それは,どういう点かというと,1番目というのは,やはり電算化ということを今後中心にまとめていくと。その中で,今まで,副本というものをどういう位置付けにしてくるのかというのをかなり議論していたと思うので,その辺の表記をうまく盛り込んでいただきたいなという気がしています。   それはそれで,1番目の内容だということにして,やはり2番目の方は,今度はマイナンバー制度の導入ということで,それがどういうふうに絡んでくるのかという視点で,2番の方はまとめていただくという,そういう整理の方が,この辺のところは明確に,戸籍システムそのもの,それと,戸籍システムとマイナンバーの導入による連携,そういうふうな切り分けで,1,2というところを表記していただければというふうに思います。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   ただ今の御指摘は,意見として反映させていただくということでよろしいでしょうか。   ほか,いかがでしょうか。   ちょっと,今出た点とも確認をさせていただきたいんですが,副本の話が出てくるのは,3の中に出てくるんですが,ただ,3ではバックアップデータについてという,バックアップという位置付けで出てきていて,今までの議論の中でも,副本というのがバックアップとしての意味と,副本データシステムという形で,何かそれ自体として利用の対象となるというイメージの部分があったと思うんですが,ここでは純粋にバックアップの話だけということでよろしいですか。 ○北村幹事 そうですね,連携情報を整備するに至った後も,バックアップとしての副本は必要だという形での記載になってございます。 ○窪田部会長 この部分の,したがって,戸籍副本データ管理システムというのは,むしろ後ろの戸籍情報連携システムが出来上がった場面では,純粋なバックアップとして残るものということでよろしいですか。 ○北村幹事 はい,そうです。 ○窪田部会長 分かりました。   ほか,いかがでしょうか。 ○磯谷委員 以前,結構ちょっと気になる論点として,マイナンバーと戸籍の情報をどういうふうにひも付けるのかという,そのひも付けのやり方について,少し懸念を申し上げたような気がするんですけれども,確かそのときは,引き続きちょっと,具体的なひも付けの方法については,なお検討されるというようなお話だったかと思いますけれども,今回のたたき台とかだと,そういうところは出てこないという感じになりましょうか。 ○北村幹事 現時点で,なお協議をしているところでございますので,まだ出している段階ではないということになります。 ○窪田部会長 よろしいですか。   ほかに,いかがでしょうか。 ○磯谷委員 特にマイナンバー連携との関係が前段の方ですので,ちょっとお尋ねですけれども,多分,戸籍とマイナンバーをリンクさせるとすると,戸籍法の改正だけではなくて,ほかにも多分,法律の改正が必要になるのではないかと思いますけれども,番号法とかですね。そういったところについては,この法制審の守備範囲でないということは理解しているんですけれども,この辺りは何か,どういうふうな検討をされるのかとか,あるいは,パブコメみたいなものがまた出るのかどうかとか,そういったところの予定を分かれば,教えていただければと思います。 ○三橋幹事 番号法自体が元々,施行後3年後の見直しという規定が附則にございまして,以前も御説明させていただいたかと思いますけれども,その中の一環が,まず戸籍とマイナンバー制度の連携,導入ということになっているわけなので,当然,戸籍法の改正に係るこの戸籍法部会の中で,マイナンバー制度の導入について,一定の方向性が出れば,関連して番号法の改正というのも出てくるというふうに我々は思っています。   それを,この戸籍分野だけではなくて,ほかの分野にも,番号法の改正という項目が挙がっているもの,検討されているものが各省でございますので,番号法は番号法として改正法というのを立てていくことになるんだろうというふうに思っています。   ですから,この部会の御議論としては,当然,戸籍法の改正があり,それに伴う番号法の改正については,ほかの分野を含めた一括改正法になるのか現時点では決まっておりませんけれども,そこに取り込んで改正するものと思います。現時点では,我々もまだお示しできるものは何もなく,それぞれの省庁で検討されているものを我々もお聞き取りしながら,大体方向性がまとまれば,何らかの形で世の中にお示ししていくようなことを考えなければいけない,そういうふうには思っておりますけれども,今,まだ正に,それが各省で検討されているという状況でございます。 ○窪田部会長 今の,それでよろしいでしょうか。 ○磯谷委員 はい。 ○窪田部会長 恐らく,関連して整備する規定というのは,まだほかにも出てくるんだろうと思いますが,まだ少し先のことかと思います。   ほか,いかがでしょうか。 ○鷲﨑幹事 今,5番までの議論でよろしいですか。 ○窪田部会長 はい,5番まで。 ○鷲﨑幹事 そうしますと,恐らく読み手の一般からしますと,自身の戸籍の文字の扱いというのは,非常に強い関心を持たれるところだと思いますけれども,5番の中で,ゴシックになっているところの末尾ですね。対応する正字により記載する旨の告知を改めて行うということの表現は,少し何か曖昧に感じたんですけれども,これが要するに,勝手に正字に直されてしまうのか,正字に直してくださいということを奨励といいますか,促していくということの意味なのか,その辺りをはっきりされるのかどうかというのはいかがでしょうか。 ○渡邊幹事 従前から御説明しているとおりでございまして,告知の性質としては,強制力があるわけではなく,促しというものでございます。確かにこの記載ですと,語弊もあるかと思いますので,承りまして,修正を図りたいと思います。 ○窪田部会長 恐らく告知を改めて行うだけだと,意見が出しにくいということもあると思いますので,むしろ中間試案の段階では,具体的な対応が分かるような形で示していただいた方がよろしいかと思います。 ○磯谷委員 先ほど,いいですかと言われて,はいと言ってしまったんですけれども,例えば,ほかの機会で,戸籍とマイナンバーを結び付けること自体について,国民に広く意見を問うたようなことというのは過去にあったんでしょうか。   今回,問われる方からいたしますと,何か戸籍とマイナンバーをリンクさせることというのは大前提になっているものの,そこが明確に問われていない印象の中で,たたき台の記載が進んでいくので,やはりそこのところを,まずそもそも論として,どう考えるのかというような形というのは,どこかで問うた方がよいのではないか。そこをちょっと確認したいと思いまして。 ○窪田部会長 いかがでしょうか。 ○北村幹事 先ほども申し上げましたように,ひも付けの方向とか,そういったことは,まだお示しできる段階ではないので,やっていないということと,そもそも論について,何か改めてのパブコメをしたのかという御質問については,研究会について公表してきたという経緯がございまして,それ以上にやっているものではない。ただ,パブコメの中での補足説明としては,経緯はしっかりと記載をした上で,世の中には問うていきたいとは思っております。 ○窪田部会長 いかがでしょうか。   磯谷委員からは,ただ今の御質問のバックグラウンドには,多分,その部分についても意見を問うべきだという御主張があるのかなというふうにも拝察したんですが,もしもう少し補足していただくことがあれば。 ○磯谷委員 もちろん我々も,随分長い間この議論をしてきたので,あたかも戸籍とマイナンバー,当然リンクさせるような前提で,ずっと議論してきたようにも思いますけれども,実はそこのところというのは,一旦置いておいて,仮に結び付けるとなったら,何に留意すべきなのかといったことを議論してきたんだろうと思っていて,正面から戸籍とマイナンバーを結び付けることについて,問うてはいなかったのではないかな,我々自身も。そこのところが明確なかたちで問われていなかったという気もするものですから,この機会にやはり一度,「こういうふうなことをやろうとしているんだ」ということの大前提として,まず,そもそも戸籍とマイナンバーを結び付けるということについて,どういうふうに考えるのかというところを,正面から問うてもいいのではないかなと。もちろんそれは,賛成,反対,いろいろな意見あろうかと思いますけれども,それもまた最終的な取りまとめにおいては,大きな参考になるのではないかなというふうに思いますけれども,いかがでしょうかね。 ○北村幹事 今の御意見を踏まえまして,次回お示しできるものに,どういう形で反映できるか,よく考えたいと思います。 ○窪田部会長 すみません,今の事務当局からのお答えでよろしいんだろうと思うのですが,ちょっと磯谷委員の,具体的イメージをもう少しお聞かせいただければと思います。例えば,3の冒頭で,戸籍事務へのマイナンバー制度導入のためにという一言が入っているんですが,これを例えば,一番最初のところで,戸籍事務へのマイナンバー制度を導入することを前提として,戸籍法について,電算化戸籍を原則とする規定振りとするとかという形になると,少なくとも冒頭のところで,マイナンバー制度と戸籍事務を連携するということが,そこでは前提という言い方をしてしまうと,議論の余地がないのかもしれませんけれども,一応示されると思うんですが,そういう形で示されても構わないということなのか,もっとストレートにそれ自体を,戸籍事務へマイナンバー制度を導入するといったようなこと自体が1項目として必要だというイメージなのか,ちょっともう少しだけお聞かせいただければと思います。 ○磯谷委員 ざっくばらんに言って,何を書いても反対する人は反対と書くだろうから,いいんでしょうけれども,一般的に言えば,やはり正面からまずストレートに聞かれた方が,当然何を聞かれているかは分かりやすいわけですから,戸籍情報とマイナンバーを結び付けて,マイナンバー連携を通して提供することについて,どう考えるのかというふうな形で,一番まず最初に持ってきた方が望ましいんだろうというふうには思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ただ今の御意見も踏まえた上で,少しその部分について,見直しをしてもらうということになろうかと思います。   ほかに御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,後ほど,また1から5についても,出てきたら扱っていただくという前提で,6以降について御説明をお願いできますでしょうか。 ○櫻庭関係官 それでは,「6 市区町村における連携情報の参照について」を御説明したいと思います。   市区町村における連携情報の参照につきましては,第2回と第4回のこの部会で議論されてございます。   「(1)届出の受理の審査のための連携情報の参照」でございます。   市区町村の戸籍事務従事職員が届出の受理の審査に当たって,戸籍情報を確認する必要がある場合には,原則として,現在,届出人が戸籍謄本等の添付をしているわけですけれども,この添付を省略するということで,代わりに,新しく構築されます戸籍情報連携システムの情報を参照することができることとしてはどうかというものでございます。   (2)につきましては,連携情報の参照範囲ということで,市区町村の戸籍事務従事職員が情報を確認するときに,どこまで参照するかという論点でございますけれども,現在,公用請求等によって確認している戸籍情報につきましては,今後も確認する必要があるということでございますので,審査のために確認が必要な従前戸籍についても特段制限を設けない。一方で,不正な情報参照を防止するために十分な方策を講じるということを記載してございます。   (3)につきましては,その不正な情報参照を防止する方策についての一例を挙げてございます。アとして,一般的対策,イとしては,個別的な対策という形で,二つに分かれてございます。   アの一般的対策でございます。これにつきましては,一例でございますけれども,四つほど方策の案を挙げてございます。   ①につきましては,市区町村の担当職員が届出を契機に情報を参照しようといった場合,通常ですと,その届出事件を受理するのか,受理しないのかという形で,処分決定をするわけでございますが,その処分決定に至らない段階で業務処理を終了しようと,そういったものにつきましては,不正参照の可能性があるのではないかということで,コンピューター処理画面上に警告メッセージを表示するとともに,なお,そのまま業務処理を終了したものにつきましては,管轄法務局の長に通知するといった方策が考えられるところでございます。   ②番目につきましては,誰がいつ,どのような戸籍情報を参照したかという形での証跡ログを残すということと,それについては,年に1回以上,管轄法務局長による監査を実施するといったことを記載してございます。   ③につきましては,個人の戸籍情報を漏えいしてはならないといった義務を設けた上で,違反があった場合には罰則規定の対象にしてはどうかということを記載してございます。   ④につきましては,遡って参照する従前戸籍数が一定数を超過した場合に,その必要性について確認するために,コンピューター処理画面に確認のメッセージを表示させたり,あるいは当該事務処理担当者以外の者を介入させたりする仕組みを作ってはどうかといったことを記載してございます。   イが,個別対策ということで,これは実際に不正な事案というものが,公用請求も含めてあったわけですけれども,その対策ということでございます。   ①につきまして,著名人の戸籍情報の取得ですとか,あるいは職員の家系図の作成という話もございましたので,一定の期間に特定の者の戸籍情報について探索的な操作をするなど不自然なアクセスがあった場合,あるいは,一定の期間に特定の職員が一定の閾値を超えた検索行為をした場合に,コンピューター処理画面に自動的に警告メッセージを表示するとともに,管轄法務局長等に通知するという仕組みを設けてはどうかというものでございます。   ②番につきましては,DV被害とかストーカー,そういったものがございますけれども,場合によっては職員が加害者になるという可能性もございますので,事前にDV被害等による情報秘匿の申出がある事件にフラグを立てて,届出が出た場合には上司等の承認を得るという形で,一人で処理しない,複数の担当者の関与を経る仕組みとしてはどうかというふうなことを提案するものでございます。   補足説明につきましては,連携情報の参照範囲についての補足でございます。参照範囲につきましては,現在戸籍のみを参照するといった意見もございましたけれども,届出の審査に当たっては,必要に応じて従前戸籍の情報について確認をしているという現状もございますし,事務に必要であれば,確認できるようにしておくべきではないかといった意見も出されたところでございます。   また,全連の協力を得まして,実際調査しましたところ,届出件数の多い死亡届とか出生届,婚姻届,離婚届,こういったものにつきましては,現在戸籍を参照しただけでは審査がなかなか完了しない場合が多いということが分かりましたし,市区町村が届出の審査をする際には,現状と変わらないということになりますと,また従前戸籍について,電話照会等する必要が生じるというところで,業務の改善にはつながりにくいのではないかということが指摘されたところでございます。   一方,従前戸籍を参照するということができるようになった場合には,現在,電話で照会するといった業務がなくなるといいますか,少なくなると。そういったことで,業務の効率化も期待できるというほかに,届出人も戸籍法の施行規則63条に基づいて,戸籍の謄本等の提出を求められる機会が一層減少するということもございましたので,効果は大きいのではないかと。そこで,従前戸籍も参照することができるようにした上で,不正な参照防止をする方策として,上記のア,イの対策を講じるということが有効であると考えられたところでございます。   ここまでが,市区町村における連携情報の参照でございます。   7につきましては,今度は管轄する管轄法務局等における連携情報の参照ということでございます。   内容は,市区町村における連携情報の参照と重複するところがありますので,簡単に説明するにとどめたいと思いますけれども,(1)番は,管轄法務局が行うものとしましては,市区町村が行う戸籍事務への指導といった形で,連携情報を参照する必要性もございますので,そういった場合に,やはり管轄法務局等においても連携情報を参照してはいいのではないかといった点が記載されてございます。   (2)番につきましては,連携情報の参照範囲ということですけれども,こちらも市区町村が行う戸籍事務への指導等のためには確認が必要だというふうなことがございますので,ここも不正な情報参照を十分に防止するための対策を講じた上で,従前戸籍も見られるようにしてはどうかという提案でございます。   (3)の不正な情報参照を防止する方策,一般的対策,個別対策というふうにございますが,こちらもそれぞれ,十分な対策を講じる必要があるということで掲げているものでございます。   7番についての説明は以上でございます。   続きまして,8番の届出書類の電子化,保存について御説明申し上げます。   (1)届出書類の電子化ということで,現在,届出書等は紙等で提出いただいていると。これを受理した市区町村において郵送しているということですけれども,これをスキャナー等で読み込むことによって電子化して,国が構築する戸籍情報連携システムに送信するということにしまして,現在行われております本籍地市区町村と届出の市区町村間のやり取り,あるいは,市区町村から管轄法務局等への送付と,こういったものを行わないような形にして,参照範囲につきましては,本籍地市区町村と受理市区町村が見られるようにしてはどうかといった提案でございます。   なお,外国人のみを届出事件の本人とするような届出につきましては,戸籍の記載を要しないわけですけれども,こういったものにつきましては,現行制度において,管轄法務局等への送付の対象になっていないということを踏まえまして,当面,現行の取扱いを維持するといったことを提案してございます。   (2)番目につきましては,届出書の加工制限ということで,今回,届出書類等をスキャニングするということを考えますと,デザイン婚ですとか,そういった電子化に支障を生じる部分もございますので,用紙の大きさ,様式に加えて,電子化による事務の障害とならないように,一定の制限を行ってはどうかといった形での提案になってございます。   説明については以上でございます。 ○渡邊幹事 続きまして,9番について御説明申し上げます。市区町村及び法務局の調査権についてでございます。   まず,市区町村の調査権についてですが,現在,法律の留保なく行うことが行政法上できることとされている任意調査の範囲内において,市区町村長の届出又は申請の受理に際し,必要があると認めるときに,届出人その他の関係者に対する質問権及び文書の提出要求権に関する規定を設けるというものでございます。   また,法務局の調査権につきまして,これも現在,法律の留保なく行うことができることとされております任意調査の範囲内において,市区町村から受理照会を受けた場合,その他,戸籍法第3条2項の指示を行うに当たり必要があると認める場合の届出人その他の者に対する質問権,文書提出要求権に関する規定を設けるというものでございます。   なお,虚偽の養子縁組に係る受理照会のように,意思の有無を対象とする調査につきましては,別途,濫用事例に当たる疑いがある場合に,調査権が発動されるべきことを確認することが適切であるということでございます。   市区町村,法務局の調査権につきましては,任意調査,様々ございます。間接強制が付いているもの等ございますけれども,その任意調査の中でも,行政法上,法律の根拠なく行うことができることとされているその範囲内におきまして,国民や関係機関に対する関係で,その所在を明確にし,届出審査に係る事務処理を円滑に進めることができるようにする趣旨で,それぞれ規定を求めるというものでございます。   このうち,法務局の調査権につきましては,市区町村から受理照会を受けた場合,その他戸籍法3条2項の指示等を行うに当たり必要があると認めるときに限ることといたしまして,国と地方の関係にも配意したものとするほか,意思の有無を対象とする調査の場面を念頭に置きまして,法文上又は下位規定に何らかの定めを置くことの可否について,引き続き検討を行うというものでございます。   続きまして,「10 死亡届の届出資格者の拡大について」でございます。   まず,任意後見受任者,任意後見契約をし,かつ任意後見人にまだなっていない者につきまして,死亡届の届出資格を付与することとし,死亡届を届け出る際には,任意後見契約の登記事項証明書等の添付書類を提出させることとするというものでございます。   任意後見監督人が選任される前に本人が死亡した場合の任意後見受任者は,現行法におきまして,届出資格者には当たらないこととされています。しかし,任意後見受任者でありましても,本人の生死の状態を知ることができる,そういった本人との密接な関係を有するものであることには変わりはございません。現行法上,死亡の届出の迅速・的確な報告を求めている,そうした現行法の趣旨を踏まえまして,任意後見受任者にも届出資格を付与するものとしたいと考えております。また,論点といたしまして,本人と死後の事務処理の委任契約を受任した者,死後事務受任者に対して,死亡届の届出資格を付与すべきとの考え方もあるところでございます。   届出人が届出資格を有する者であるか否かを確認するための提出させる書面の内容につきまして,まずは問題になりますし,また,死後事務受任者を死亡届の届出資格者にすべきか否かにつきまして,引き続き検討を行うこととしたいと考えております。   そのほか,総括的な質問といたしまして,11でございます。国民の利便性向上,戸籍事務の効率化などのために,併せて検討すべき課題はあるかということを問いたいというふうに考えております。   御説明は以上でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは,かなりボリュームがありますが,6から最後11のその他まで含めて,特に順番は決めませんので,自由に,この部分が気になるといったようなことがあれば,出していただければと思います。 ○三橋幹事 書いてあること自体は,今まで議論してこられたことをまとめられているんだろうなというふうに思っております。また,いろいろな御意見があって,修文もあるかもしれませんけれども,番号制度を担当している者として,部会第1回でマイナンバー制度を説明させていただいた者として,やや気になっている点というのを申し上げます。  例えば6番,7番では,「市町村における情報連携の参照について」,それから「管轄法務局等における連携情報の参照について」と,職員の利用サイドの面から書き起こされて,そして,不正な参照を防止する方策というのを書かれています。   もちろん書かれている内容が,先ほど川島委員からもお話ありましたけれども,これで十分かどうかというのはやはり議論があって,防止策をもっときちんと採られるべきものは,きちんと採った方がいいですねということはあると思うんですけれども,切り口として,発想が,利用する職員サイドをどう管理するかという観点がやや走っている気がいたします。マイナンバーとの連携をどのようにするかという課題はあるんですけれども,やはり個人情報の保護という観点をきちんと立てておかないと,これだけ大きなシステムを作る際に,いろいろな議論を生む可能性はあるかなというふうには思っています。   マイナンバー制度は,部会第1回目でも御説明しましたように,それぞれの情報を分散管理し,そして,分散管理するものをなるべく一元,集約機関を作らないように,機関別の符号というものを使って,マイナンバーをあえて使わずにやり取りをするというふうな仕組みで,慎重に構築をし,さらにネットワークの監視自体を,国の省庁ではなくて,第三者委員会の個人情報保護委員会がそれをチェックし,管理しています。さらに,システム自体も,セキュリティーの観点から,慎重にチェックされています。  別にこのペーパーを修正するとかということではないんですけれども,これだけのものを作る観点では,今後また,そういう観点での議論をしていただいた方がいいのかなというふうに思っているところでございます。 ○窪田部会長 今の御意見というのは,中間試案の文言自体についての修正とかということではなくて,議論の基本的なベースとして,個人情報保護というのをきちんと重視して議論していきなさいという趣旨のことでよろしいですか。 ○三橋幹事 そうですね。もう少し具体的に言いますと,例えば,法務局等の職員の不正参照を防止する対策は,かなり書いてあると思うんですけれども,では,データを持っている情報システム自体を,どう監視するのか。マイナンバー制度ですと,第三者機関である個人情報保護委員会が,我々も含めて監視をしていると,ネットワーク自体も監視しているということになりますので,そこら辺については,例えば,どのような整理をするのかということを,少し念頭に置いた方がいいのかなというふうに思っています。 ○窪田部会長 事務当局から何かございますか。 ○北村幹事 御意見として承りたいと思います。 ○窪田部会長 では,それでお願いいたします。 ○久保野幹事 私も同じ,6や7の情報に関わるところについて,質問なんですけれども,前回の議論で,確か行政機関,今のお話ともやや関連するかもしれないんですが,行政機関がそもそも個人情報を扱うときについて,一般的に規律している個人情報保護法との関連について,論点が出たような気がするんですけれども,その点について,どのような整理がされて,この提案に至っているのでしょうか。例えば,情報についての義務違反規定,罰則規定を設けるというのが,一例に挙がっていることと,一般的なルールとの関係はどうなっているか,ちょっと確認をさせていただければと思います。 ○櫻庭関係官 ここの罰則というのは,新しく今回,戸籍情報連携システムを作るということになりまして,先ほど三橋幹事の方からもありましたけれども,個人情報の保護というので,非常に大事だろうということもありましたので,住基ネットですとか,ほかの類例を参考にしながら,戸籍の個人情報を漏えいする場合に,付加的に罰則規定を設けてはどうかということで書いたものでございます。   例を見ますと,一般に国家公務員ですとか地方公務員につきましては,秘密を漏らした場合に,懲役1年以下とか,そういった規律があるわけでございますけれども,住基ネットとか,マイナンバーもそうですけれども,従事者が秘密をもらした場合には2年以上の懲役などとして加重している,そういったものもございますので,そういったものを参考にしながら,我々の方も個人情報を丁寧に扱っていってはどうかということで記載しております。   個人情報保護法との関係につきましては,戸籍法に今,例外の規定というのがございますけれども,現時点で,特にそことの関係というのは,まだちょっと詰めてはいないところもありますので,別途検討したいと思っております。 ○久保野幹事 今御説明いただいたような,もしこの特則を設けなければ,一般ルールとしては,何法に基づいて,どういうことになるということとの関係を,補足説明ですかね,に入れていただければと思います。 ○窪田部会長 それでよろしいでしょうか。 ○久保野幹事 はい。 ○窪田部会長 ほか,いかがでしょうか。 ○大橋委員 全く同じところなんですけれども,この罰則規定の適用というところが,やはりちょっと趣旨が伝わりにくいところがあると思います。非常に秘密性が高い個人の戸籍情報というものであれば,この情報の特性に合っただけの罰則を用意しますとか,一般行政事務の場合の取扱いとは異なる,加重した罰則規定を用意しますとか,何かそういうことを書いていただかないと,趣旨が伝わらないかなという気がしました。そこの補足を,本文の方でもお願いできればと思います。 ○窪田部会長 今のは多分,補足説明でというよりは,ゴシックの文章自体の中に,単に罰則というのではなくて,プライバシー情報としての特性に応じた適切な罰則とか何か,そういう形での修飾を付けるという方が適切だということでしょうか。 ○大橋委員 多分,住民基本台帳法もそういう発想で,一般レベルよりも上げているということだと思いますので,ここも発想としては同じことかなと思います。 ○窪田部会長 では,その点も踏まえて,ちょっと検討していただけますでしょうか。 ○石井幹事 筑波大学の石井です。   やや分かりにくいところがあるなという印象を受けました。項目の二つ目のところでネットワーク連携と戸籍事務内連携を両方掛かる形で,連携情報という言葉を使われていますよね。ですが,マイナンバー制度を導入するためのネットワーク連携の方法については,検討しているというお話だったかと思います。これについて,どのように連携するかというところが,まだ明確にされていないところで,不正な情報参照を防止するところを先に項目として出してしまっているところが分かりにくいと思います。どういう形でネットワーク連携されるのか,戸籍事務内連携されるのかというところの説明がまずあってから,不正参照を防止する策という流れに入っていかないと,恐らく読まれる人が,どういう趣旨の説明になっているのかということをきちんと理解できないような印象を受けました。 ○窪田部会長 その点はいかがですか。 ○渡邊幹事 第2回の部会資料で,戸籍事務内連携とネットワーク連携という二つの違う概念がございますというのを前注でお示しをしたところです。   2の部分につきましても,確かに,2の部分は補足説明の部分で,連携情報の一般な定義を御説明した上で,ネットワーク連携だけを御説明しているので,やや分かりにくくなっているかと思いますが,このネットワーク連携というのは,正にここに書いてあるとおり,戸籍事務以外の他の行政事務を扱う行政機関との間で,総務省,総務大臣が管理する情報提供ネットワークシステムというマイナンバーそのもの,あるいは機関別符号を用いて連携を行う,そういったものでございます。   そして,6と7につきましては,戸籍事務内,他の行政事務との連携ではなくて,戸籍事務内において,戸籍事務に従事している人同士で戸籍情報を確認,職務上必要な,もちろん範囲に当然限られるわけでございますけれども,参照することができるというものでございます。書きぶりについて,分かりやすくするように努めたいと思います。 ○石井幹事 ありがとうございます。まだよろしいですか。   戸籍情報連携システムというのは,ネットワーク連携にもつながりますし,戸籍事務内連携にもつながるシステムですよね。 ○渡邊幹事 ネットワーク連携につきましては,情報提供ネットワークシステムでの連携に適した形に調整された情報を中間サーバーに置いて,機械的に行うというものでございます。 ○石井幹事 6番,7番もそうですけれども,マイナンバー制度を導入するために国が構築する戸籍情報連携システムと書いてしまっていると,マイナンバーの話をしているのか,戸籍事務内連携の話をしているのか,どうしても混乱してしまいますので。 ○渡邊幹事 元々のそれぞれの概念の別も分かるようにしたいと思いますし,紛れのないようにしたいと思います。 ○窪田部会長 それでは,よろしくお願いいたします。   ほか,いかがでしょうか。 ○石井幹事 筑波大学の石井です。   6と7の(3)の不正な情報参照を防止する策のうちのアの③で,漏えいしてはならないといった義務を設けるというようにありますが,不正参照が主に懸念される部分かと思いますので,あまり漏えいに偏らないように御検討いただければと思います。 ○渡邊幹事 はい。 ○畑委員 分かりやすさの点からいえば,先ほどの石井幹事の御質問にも関係があるかもしれませんが,6とか7になって初めて,「戸籍情報連携システム」という言葉が出てくるというのは,初めて見る人にとっては,非常に分かりづらいのではないかなと思います。多分,前の御議論にもありましたけれども,やはり1とか2のところで,その辺りをもう少し丁寧に説明する方がいいのではないかなと思います。 ○窪田部会長 今の御指摘は,大変にごもっともだと思いますので,先ほどの条文の書き方ではないですけれども,早い段階で多分定義的なものを設けないと,ちょっと何を書かれているのか,初めて見る人は分からないということがあるかと思いますので,少し検討していただけますでしょうか。 ○手塚委員 6,7の関係ですけれども,書かれているのはこのとおりだと思うんですが,ゴシックで書いている,太字で書いている方ですね。その内容の一般対策とか個別対策という,結構具体的な内容がここでは急に出てきているという感覚がありまして,最初の1,2,3,4とかとのレベル感が相当あるなと思っています。むしろこういう内容は,補足説明の方に入る内容ではないかなと思っていまして,もう少し概念的な話を6,7のところも書いていくということが,レベル感的には大事かなという気がしています。   例えば,年1回以上やるとか,そういうのは今後,具体的に決めていくような話だと思いますので,むしろこういうところは,証跡ログというものをしっかり取って,先ほど,例えばマイナンバーの方でいえば,これに関係するのは,個人情報保護委員会がそういうところの証跡ログなどをやはり,何かあったときにはそれを参照して見ていくような,そういう仕掛けだというような位置付けだと思うので,年何回とか,そういうことではなくて,むしろ考え方,そこをもう少しうまく書いていただければなというふうに,書いてあることは間違いないんですが,レベル感の問題で御指摘させていただきます。 ○窪田部会長 恐らく今のままで,中間試案という形で出たときに,片一方がものすごく抽象的で,片一方がものすごく具体的だということが適切なのかということもあるかと思いますので,その点もちょっと検討していただけますでしょうか。 ○石井幹事 筑波大学の石井です。何度も申し訳ありません。   監督権限のところで,マイナンバー法の適用がある範囲は,個人情報保護委員会の監督が及ぶかと思いますけれども,そうではない戸籍事務内連携の辺りは,何かしらの制度上の手当ては御検討されていないという理解になりますでしょうか。 ○櫻庭関係官 そうですね,現在のところは考えていませんけれども,御意見を踏まえて,ちょっと検討はしてみます。 ○杉谷関係官 逆にお聞きしたいのですけれども,ある一つの事務のシステムに対して,別の第三者機関が監督をするような例というのがあるのでしょうか。ちょっとよく分からないので,御知見がおありでしたら御教示ください。例えば,マイナンバー制度のように,異なる行政機関間にまたがり,様々な事務を処理するシステムが多数つながっていて,全体として,そのものがある意味一つの大きなシステムを構成しているような場合であれば,その全体を第三者機関が監督するというのはイメージが沸くのですけれども,例えば年金や税務といった個別の事務を処理するシステムに各々第三者機関が監査するという仕組みを設けている例があるのか,ちょっと思い当たらないので…… ○石井幹事 余り例はないかもしれないのですが,もし何かあれば,追って御連絡さしあげる形に。 ○三橋幹事 そこは正に,技術的な情報セキュリティーの観点で考えるのか,個人情報という情報の中身の観点で考えるのか,二つあって,年金機構なんかは典型ですけれども,セキュリティーの観点でいえば,年金機構も膨大な個人情報を持っていますが,かつて個人情報の流出事案というのがあって,これはマイナンバー付きではなかったわけですけれども,やはり内閣サイバーセキュリティーセンター,NISCと呼ばれていますけれども,その機関の監査の対象になっています。そういう意味では,幾つかの国の機関,これは各省もそうですし,各省が持っているシステム,そういうものが定期的な監査の仕組みには付されています。   それから,マイナンバー制度では,当然,各省が所管している特定個人情報の取扱いが個人情報保護委員会という第三者機関の監視の対象となっています。我々のシステムそのものもそうですし,地方公共団体についても,同様です。また,そもそも個人情報保護委員会は,民間企業も含めて,マイナンバー付きの情報に関しては,強い調査権限を持っています。そういう意味での一定の監視の仕組みというのはあるので,もっといえば,そういう一般的な仕組みの中で,この戸籍制度とマイナンバー制度との連携も対象としていくのかということのように思います。 ○窪田部会長 今,御説明と御意見を伺ったかと思いますが,事務当局から何かございますか。 ○渡邊幹事 承りまして,検討したいと思います。 ○窪田部会長 では,それを踏まえて,御検討いただければと思います。 ○石井幹事 御参考になるかどうか分かりませんけれども,J-LISの中にガバナンスの仕組みが入っています。機構処理事務特定個人情報保護委員会のようなガバナンスの仕組みを設けるという形を採られたりはしています。 ○渡邊幹事 今おっしゃっていたのは,運用する当該組織の中,つまり,今議論している戸籍の連携情報システムについていえば,これを運用する法務省の中にガバナンスの組織を作るということでございますね。承りました。検討したいと思います。 ○木村幹事 話が少し変わりますけれども,資料5-2の5ページの9のところにある調査権について,とりわけ(2)のところですが,(2)の記述の下から3行目のところで,虚偽の養子縁組のことが書かれてあると思います。まずこの文章ですけれども,前半の文章を受けて,「なお,虚偽の養子縁組に係る受理照会のように,意思の有無を対象とする調査については,別途,濫用事例に当たる疑いがある場合に調査権が発動されるべきことを確認することが適切である」と書かれてあります。この点について,前回の第4回の資料のところの記述もふまえて,質問させていただきたいと思います。まず,前回の第4回の資料だと,15ページ,そして17ページ以下に,これに当たる規定が書かれていると思いますけれども…… ○窪田部会長 前回の資料というのは,横の青いファイルに入っています。 ○木村幹事 はい。17ページの辺りから18ページにかけて,そして15ページに関連する質問です。 ○窪田部会長 お手元の資料の第4回というところに資料4というのがあるんですが,多分,その15ページの下からのところですね,虚偽の養子縁組の。 ○木村幹事 はい。   まず1点目の質問は,この「意思の有無を対象とする調査については,別途,調査権が発動されるべきことを確認することが適切である」との記述において,とくに「別途」と書かれてある事柄の理解についてです。これは,基本的には,客観的事実についての調査権が想定されているが,一定の濫用事例などがあることが想定される場合については,意思などについても別途調査権を要するという意味で「別途」という記述があるのですか。 ○渡邊幹事 いえ,調査権自体は,調査事項そのものを示した案ではありませんので,客観的事実が対象になる場合もあれば,意思が対象になる場合もあると想定しています。別途と書かせていただきましたのは,調査権を設ける規定そのものにそのことを書くか,それとも下位の規定に,どういった場合に発動されるかを書くかという,そういった御議論がございましたので,「別途」と,一緒かどうかは別としてというような意味で記載をしたものでございます。 ○木村幹事 分かりました。   2点目の質問は,これは第4回の資料の18ページのゴシック体のところです。ここでは,「乱用事例に当たる疑いがある場合に限り」調査権が発動すると,限定的に示されているのに対して,今回のゴシック体には,その限りに限るという文言がないのですが,これにはどのような意図があるのでしょうか。 ○渡邊幹事 申し訳ありません。それは,「限り」を入れても全く意図するところに変わりはなく,たまたま落ちてしまっただけでございますので,「限り」ということで結構でございます。修正いたします。 ○木村幹事 読み手からすると,客観的事実に対する調査だけではなくて,意思という自分の主観に関わる事柄についても調査が及ぶということに対して,かなりいろいろな反応があるのではないかと考えています。そのため,この部分の記述に「限り」という文言を入れるのか入れないのかということと,また虚偽の養子縁組に係る受理照会が濫用事例として挙げられていますが,ここでは虚偽の養子縁組の事例だけを想定しているのか,それ以外にも,偽装婚なども踏まえたいわゆる身分意思と言われるものにかかわる濫用事例を広く想定しているのか,つまり当事者の意思を調査する一般的可能性も含めているのか,いろいろな場面が想定されうると思います。ここでは,書き振りによって,読み手の理解・印象が異なると思いますので,どういう事柄をパブリックコメントで聞きたいのかということをもう少し明示的に教えていただければと思います。 ○渡邊幹事 かねて御説明を申し上げておりますように,平成22年に通達を発出しまして,養子縁組については調査をしておるところでございます。実際に行っているものとしては,それが主でございますので,そのことが議論の対象になってきたものと承知しております。   ただ,実際どこの枠までを中間取りまとめで問う形にするかの表現につきましては,今日頂いた御指摘を踏まえて,より分かりやすくしたいと思います。 ○窪田部会長 それでは,ただ今の御意見を踏まえて検討していただければと思いますが,ただやはり,別途という言い方は,先ほどの御説明いただいたニュアンスは,当然には伝わらないかなというふうに思いますので,その点も含めて御検討いただけばと思います。   ほかにいかがでしょうか。 ○久保野幹事 まず,2点ございますけれども,9でただ今議論がありました点につきましては,虚偽というのと意思がないというものが同じなのかどうかといった点も含めて,ちょっと概念整理のようなものを引き続きお願いできればと思います。   もう1点は,10項目がありまして,10についてなんですけれども,こちらについて,2段落目のまたの方,つまり,任意後見制度ではない形での一般の委任契約における受任者についての記述の部分ですけれども,先ほど御説明の中で,提出させる書面の内容について,引き続き検討のみならず,その者を含めるかどうかについても引き続き検討するというふうに付け加えていただきましたけれども,それはそのように付け加えてという御趣旨かということを,念のため確認させていただきたいと思います。その確認をさせていただく趣旨は,私,当該論点について議論したときには,明確に意見をするところまではできなかったんですけれども,その後,考えたところでは,私の意見としましては,一般の受任者については含めない方がよいというふうに考えるに至っていまして,それについて,今回書き入れてほしいというようなことを言うつもりはない,あるいは原案を変えてほしいといったようなことはないんですけれども,書き入れていただきたいという意味での質問です。 ○渡邊幹事 承りました。 ○窪田部会長 虚偽の養子縁組という言葉は,通達の中で使っているんですね。ただ,実体法上はよく分からないところがあって…… ○久保野幹事 言いたいことは,正にその通達で言っている虚偽というのと,ここで議論があったような養子の意思や婚姻の意思といったものについて,様々なものが議論がある中で,重なるものと重ならないものについては,明確な区別をしての議論が必要ではないかという趣旨でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございます。これは,多分,通達とかによく接しておられる方は,何の違和感もない概念であると同時に,家族法に接していても,実務との関係では距離があり,言われたときに,一体何なのかなという感じがする概念だと思います。補足説明の方で少し丁寧に,背景事情も含めて説明していただくのがよろしいかと思います。   ほか,いかがでしょうか。1から含めて,全体通じてということで構いませんが,何かございましたら。よろしいですかね。   それでは,予定した時間より少し早い時間でございますが,意見も十分に出していただきましたので,本日の審議はこの程度にさせていただければと思います。   最後に,次回の議事日程等について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○渡邊幹事 次回の会議でございますが,本年4月20日金曜日,時間は本日と同様,午後1時30分から午後5時30分までの予定でございます。開催場所は,追ってメール等でお知らせを致します。 ○窪田部会長 それでは,本部会の第5回会議は,これにて閉会とさせていただきます。熱心な御審議を賜りまして,どうもありがとうございました。 ―了―